(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173533
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】補助電源システム
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H02J9/06 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023098814
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】505034393
【氏名又は名称】コバックス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】巽 光敏
【テーマコード(参考)】
5G015
【Fターム(参考)】
5G015FA10
5G015GB03
5G015HA16
5G015JA32
5G015JA52
(57)【要約】
【課題】 補助電源内の停電時のバックアップ電源(6)と充放電回路(36)を省くことで補助電源(4)の低価格化を実現することを目的とする。
【解決手段】 補助電源(10)の設定電圧を主装置の電圧よりも高く設定し、主装置と補助電源とをそれぞれ第1のダイオード(12),第2のダイオード(13)を介して外部制御機器である電力を消費する第2の装置(7)に接続する。通常は補助電源(10)より外部制御機器である電力を消費する第2の装置(7)に電力を供給し停電時のみ主装置(1)のバックアップ電源(3)より電力を供給することで課題を解決する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を消費する第1の装置(30)と、
電力を消費する第2の装置(7)と、
商用電源から電力を得て第1の装置に直流の電力を供給する第1の電源(2)と、
商用電源から電力を得て第2の装置に直流の電力を供給する第2の電源(11)と、
商用電源の停電時に第1の装置に直流の電力を供給するバックアップ電源(3)と、
商用電源の非停電時には、第2の電源の出力電力を第2の装置に供給し、商用電源の停電時には、バックアップ電源の出力電力を第2の装置にも供給する電源切り替え部(40)と、を備える補助電源システム。
【請求項2】
前記電源切り替え部(40)は、
第2の電源の出力電力を第2の装置に供給する第1の経路(21)と、
バックアップ電源の出力電力を第2の装置にも供給する第2の経路(20)と、を有し、
第1の経路(21)と第2の経路(20)は、互いに合流して(23,22)第2の装置に接続されており、
前記電源切り替え部(40)は、
合流していない第1の経路(21)に介在する第2のダイオード(13)と、
合流していない第2の経路(20)に介在する第1のダイオード(12)とを、更に有しており、
第1のダイオード及び第2のダイオードは、電力の供給を妨げない方向に介在しており、
第2の電源の出力電圧は、第1の電源の出力電圧よりも高い、請求項1に記載の補助電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば防犯セキュリティシステムの監視機能をつかさどる主装置、外部機器へ電力供給を行なう補助電源、外部機器で構成され、商用交流電源より直流電力を発生させ、停電時にはバックアップ電源にて直流電力を供給するための補助電源システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、停電時にバックアップを必要とする電源システムの主装置の補助電源には停電時に外部機器へ電力を供給する為のバックアップ電源と充放電回路が組み込まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の電源システムの主装置(1)の補助電源(4)では補助電源内の停電時のバックアップ電源(6)、充放電回路(36)を備える必要があったため高価であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一形態は、補助電源システムであって、電力を消費する第1の装置(30)と、電力を消費する第2の装置(7)と、商用電源から電力を得て第1の装置に直流の電力を供給する第1の電源(2)と、商用電源から電力を得て第2の装置に直流の電力を供給する第2の電源(11)と、商用電源の停電時に第1の装置に直流の電力を供給するバックアップ電源(3)と、商用電源の非停電時には、第2の電源の出力電力を第2の装置に供給し、商用電源の停電時には、バックアップ電源の出力電力を第2の装置にも供給する電源切り替え部(40)と、を備えている。
【0005】
本発明の更に望ましい形態では、前記電源切り替え部(40)は、
第2の電源の出力電力を第2の装置に供給する第1の経路(21)と、
バックアップ電源の出力電力を第2の装置にも供給する第2の経路(20)と、を有している。そして、第1の経路(21)と第2の経路(20)は、互いに合流して(23,22)第2の装置に接続されている。また、前記電源切り替え部(40)は、合流していない第1の経路(21)に介在する第2のダイオード(13)と、合流していない第2の経路(20)に介在する第1のダイオード(12)とを、更に有している。第1のダイオード及び第2のダイオードは、電力の供給を妨げない方向に介在しており、第2の電源の出力電圧は、第1の電源の出力電圧よりも高く設定されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、2つの装置のバックアップ電源が一つで足りるので、製造コストが下がり低価格の補助電源の商品化を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の補助電源システムの一実施形態による構成。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図2は従来の背景となる補助電源システムの構成である。例示される従来の電源システム(8)は、施設内の異常を検知し、警備保障会社等に通報するシステムである。電源システム(8)は主装置(1)、補助電源(4)、電力を消費する第2の装置(7)等を有している。主装置(1)は、制御ユニット(30)、第1の電源(2)、バックアップ電源(3)等を有している。外部制御機器である電力を消費する第2の装置(7)は、例えば無線ルーター(33)、センサ(34)、カードリーダー(35)を有している。補助電源(4)は電源(5)、バックアップ電池(6)、充電回路(36)を有している。
【0009】
外部制御機器である電力を消費する第2の装置(7)の無線ルーター(33)は警備情報を無線により警備保障会社に通報するためのもので無線電波が届くエリアに設置され、また侵入を検知するためのセンサ(34)は侵入経路の天井に設置されている。防犯開始/解除を制御するためのカードリーダー(35)は施設の入り口近辺に設置されている。
【0010】
例えば制御ユニット(30)は、センサ(34)、カードリーダー(35)の信号を信号線(32)を通じて受信し、異常の有無を判断し、異常があれば、LANケーブル(31)、無線ルーター(33)を通じて警備保障会社に通報する。
第1の電源(2)は、例えばAC100Vの商用交流電源から電力を得て、直流12Vを制御ユニット(30)に供給する。
【0011】
バックアップ電源(3)は、停電の際に一定時間、制御ユニット(30)に電力を送るためのバックアップ電源である。ルーター(33)は、制御ユニット(30)からLANケーブル(31)を通じて送信された通報データを、無線により警備保障会社の監視システムに送信する。
センサ(34)は、例えば人感センサ、窓、扉等に設置される開閉センサなどである。
【0012】
カードリーダー(35)は警備の開始と解除を登録されたカードによって操作するための装置である。
【0013】
補助電源(4)は、外部制御機器である電力を消費する第2の装置(7)に直流の電力を供給する。近年になって外部制御機器である電力を消費する第2の装置(7)に多種多様の装置が組み込まれるようになり、第1の電源(2)のみでは電力を供給しきれなくなったため、外部機器専用の電源として、補助電源(4)が設置されるようになってきた。
【0014】
電源(5)は、例えばAC100Vの商用交流電源から電力を得て、直流12Vを外部制御機器である電力を消費する第2の装置(7)に供給する。
バックアップ電源(6)は、停電時に外部制御機器である電力を消費する第2の装置(7)に電力を供給するバックアップ電源である。
補助電源(4)にはバックアップ電源(6)を充放電させるための充放電回路(36)が組み込まれる。これらの充放電回路(36)及びバックアップ電源(6)は、高価であり、製造コストの増大を招くという問題があった。
【0015】
本発明はこの問題を解消するものである。
図1は、本発明の一実施の形態による補助電源システムの構成を例示する。
システム全体構成と機能について説明する。例示される電源システム(9)は、施設内の異常を検知し、警備保障会社等に通報するシステムである。電源システム(9)は主装置(1)、電源切り替え部(40)、補助電源(10)、外部制御機器である電力を消費する第2の装置(7)等を有している。
【0016】
主装置(1)は、制御ユニットである電力を消費する第1の装置(30)、第1の電源(2)、バックアップ電源(3)等を有している。外部制御機器である電力を消費する第2の装置(7)は、例えば警備情報を警備保障会社に通報するための無線ルーター(33)、侵入を検知するためのセンサ(34)、防犯開始/解除を制御するためのカードリーダー(35)有している。補助電源(4)は電源(5)、バックアップ電源(6)、充電回路(36)を有している。
主装置(1)は外部制御機器である電力を消費する第2の装置(7)とインタフェースし各種制御を行う制御ユニット(30)と制御ユニット(30)に電力供給する第1の電源(2)と停電バックアップ電源(3)を有している。
【0017】
制御ユニットである電力を消費する第1の装置(30)は、センサ(34)、カードリーダー(35)の信号を信号線(32)を通じて受信し、異常の有無を判断し、異常があれば、LANケーブル(31)、無線ルーター(33)を通じて警備保障会社に通報する。
第1の電源(2)は、例えばAC100Vの商用交流電源から電力を得て、直流12Vを制御ユニットである電力を消費する第1の装置(30)に供給する。
バックアップ電源(3)は、停電の際に一定時間、制御ユニットである電力を消費する第1の装置(30)に電力を送るためのバックアップ電源である。
第1の電源(2)にはバックアップ電源(3)を充放電させるための充放電回路(図示略)が組み込まれる。
センサ(33)は、例えば人感センサ、窓、扉等に設置される開閉センサなどである。
カードリーダー(35)は警備の開始と解除を登録されたカードによって操作するための装置である。
【0018】
補助電源(10)は、システム(8)の補助電源(4)とは異なり、バックアップ電源(6)が除去されている。更に第2の電源(11)の出力電圧が第1の電源(2)の出力電圧よりも高く設定されている。
【0019】
電源切り替え部の構成について述べる。
一般に電源切り替え部は、停電でないときは、第2の電源(11)が外部制御機器である電力を消費する第2の装置(7)に電源を供給し、停電になると、主装置(1)のバックアップ電源(3)から、外部制御機器である電力を消費する第2の装置(7)に電源の供給を切り替えるもので、停電センサで停電を検知すると、電源供給を切り替えるものである。商用電源の供給電圧を測定し規定電圧以下になると出力が変化するコンパレータICによる切り替え回路で構成可能である。
【0020】
より望ましい構成では、停電センサを用いることなく、電源を切り替える方法である。
第2の電源(11)の出力である第1の経路(21)は第2のダイオード(13)のアノード、電源切り替え部の出力である第2の経路(20)は、第1のダイオード(12)のアノードに接続され、第2のダイオード(13)のカソードと第1のダイオード(12)のカソードは結線(23)で接続され、入力(22)を通して外部制御機器である電力を消費する第2の装置(7)に入力される。
外部制御機器である電力を消費する第2の装置(7)には、第1の電源(2)、第2の電源(11)の出力電力が第2の経路(20)、第1の経路(21)、第1のダイオード(12)、第2のダイオード(13)、入力(22)を通して第1の電源(2)、第2の電源(11)のどちらからでも電力が供給される。
【0021】
非停電時には第1の電源(2)、第2の電源(11)より電力が供給されるが、第2の電源(11)の方が第1の電源(2)よりも出力電圧が高いので第2の電源(11)より供給される。
【0022】
停電時には第2の電源(11)からは電力供給されない。第1の電源(2)からも供給されず停電時用のバックアップ電源(3)から電力が供給される。バックアップ電源(3)のバックアップ時間は短くなるが外部制御機器である電力を消費する第2の装置(7)の電力をまかなうことができる。
【0023】
このように、バックアップ電源(3)より外部制御機器である電力を消費する第2の装置(7)の電力を供給するので バックアップ電源(6)及び充放電回路(36)を省くことができる。
【0024】
外部制御機器である電力を消費する第2の装置(7)は消費電力が主装置(1)の標準外部供給電力より大きいため、バックアップ電源(3)のバックアップ時間が短くなるが、近年では停電時に短時間に警備保障会社等に必要なデータを送り、停電への外部機器の停止、警告などの対応を行うことができるので問題はない。
【符号の説明】
【0025】
1 主装置
2 第1の電源
3 バックアップ電源
4 補助電源
5 電源
6 バックアップ電源
7 第2の装置
8 システム
9 システム
10 補助電源
11 第2の電源
12 第1のダイオード
13 第2のダイオード
20 第2の経路
21 第1の経路
22 入力
23 結線
30 第1の装置
31 LANケーブル
32 信号線
33 無線ルーター
34 センサ
35 カードリーダー
36 充放電回路
40 電源切り替え部
41 商用交流電源