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特開2024-173544本縫いミシンの下糸供給方法と下糸、下糸ケース、内釜の構造
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  • 特開-本縫いミシンの下糸供給方法と下糸、下糸ケース、内釜の構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173544
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】本縫いミシンの下糸供給方法と下糸、下糸ケース、内釜の構造
(51)【国際特許分類】
   D05B 57/26 20060101AFI20241205BHJP
   D05B 57/14 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
D05B57/26 Z
D05B57/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023100343
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】523226642
【氏名又は名称】村瀬 愛介
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 愛介
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150AA01
3B150AA02
3B150CB03
3B150CD01
3B150CE10
3B150CE27
3B150DG15
3B150DG16
3B150FE00
(57)【要約】
【課題】 刺繍業界では、上糸と下糸の糸張力を安定させる事で刺繍の質を高め今以上に高品質な製品を作ることができる課題。
縫製業界の分野に於いても上糸と下糸の糸張力が安定する事で製品の質の向上と生産向上に大いに役立つ課題。
今後レース業界等でも小ロットで多品質の生産が可能になり更に高速化も進める事ができる課題。
【解決手段】 円筒状に巻いた下糸と下糸の中心部から引出し可能にした下糸ケース及び下糸ケースの飛び出しを防止する内釜の構想により巻き量に関係なく板バネの糸張力調整のみで安定した縫い形成ができる手段
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外釜に摺動可能に設けられた内釜のボビンケースを支える突起を無くし、これに代わるボビンケースの支えを内釜の外面に設けるとともにボビンケースに在る中心部の筒状の柱を無くし、このボビンケース(詳細説明では下糸ケースと表示)に筒状で中心部から糸端を引き出せる形態の下糸を収める事で下糸の引き出し力を安定させることを特徴とする本縫いミシンの釜と下糸の装置と下糸の供給方法
【請求項2】
糸のみで円筒形に形作り外周の糸端は固定して外周から糸が解れることを防ぎ、内周側(中心部)から糸端を引き出すことを可能にしたことを特徴とする下糸
【請求項3】
下糸ケースの端壁の内面には周壁側に設けた糸道孔から端壁の内面中心に向け扇形の浅い溝を設け下糸の中心部から引き出された糸が糸道孔に導かれるなかで糸に負荷がかからない様な構造を特徴とした下糸ケース
【請求項4】
内釜には下糸ケースのラッチL形部が入り込める溝があり、この溝には内釜の鍔面に溝蓋を付けてここに入り込んだラッチL形部により内釜に収納された下糸ケースの飛び出しを防止する構造を特徴とした内釜
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、本縫いミシンに於ける釜組から繰り出される下糸の使用量に関係なく安定した糸張力で繰り出し可能にした下糸と外釜と中釜及び下糸を収納する下糸ケースを含む下糸供給の方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の本縫いミシンは、上糸の糸道及びテンション等の改良及び開発が行われて一部のミシンに導入されたものも有るが下糸の供給に関しては従来の糸の供給方法に大きな変化はなくボビンに巻かれた糸が消費されて下糸の量が少なくなる毎に下糸張力が変化して上糸の張力に対し下糸の張力が強くなり縫い目に変化が起こる。
これにより上下糸の張力バランスが崩れて縫製品の出来上がりに大きく影響する事になる。
下糸の供給に付いても出願された物はあるが実用的なものが考えられていない。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58-216089
【特許文献2】特開平10-201978
【特許文献3】特開2000-210490(P2000-210490A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これは次のような欠点があった
従来のミシンは、高速化を求めるなかで上糸と下糸の張力バランスが非常に重要になる縫製中に上糸が安定的に供給されても下糸の供給が糸の減少量で張力に変化が起こり縫いの進行につれて釜から下糸が引き出される抵抗が大きくなり生地の裏では上糸に対し下糸が強くなるため上糸が生地裏に多く引き込まれる現象が起こり縫い上がりに変化が出て製品に影響が出る。
現状では上糸の糸道及び上糸張力装置等の改良開発は進んでおり実際に一部がミシンに導入されているものもあるが下糸供給方法に於いては従来のものに殆んど変化は無くボビンに巻かれた糸の使用量の減少で下糸の張力が強くなり上糸の張力に対し下糸の張力が変化するためバランスが崩れ縫いの安定を確保できない。
この問題点はボビン3に下糸2が巻かれこの糸端8は巻き糸の外周から引き出されてボビンケース7に収納されて糸端8をボビンケース7外周の案内溝9に導かれて糸道孔10を通りボビンケース糸道15を通過して内釜5に収納される。
この糸端8は生地11に縫い針12の針孔13に導通した上糸6を外釜4の剣先14が捕捉して内釜5の外周に案内され外釜4の内周をすり抜けることで下糸2と上糸6が絡み合い縫いが形成できるこの縫い形成する際に上糸6を生地11の面まで天秤(図示していない)で引き上げる時に下糸2の使用量33と縫い針12の移動に使用する縫い幅16の下糸2の使用量34との双方が下糸の必要量となる。
この必要となる下糸2がボビンケース7の糸道孔10に導きかれる時にボビン3の巻き糸の外周から繰り出す為に縫い目毎にボビン3を回転させて下糸2を繰り出し下糸2の巻き量が変わることにより下糸2の繰り出し力が変化し上糸6と下糸2の糸張力のバランスが崩れて縫い上がりに大きな変化をもたらす。
尚縫い目毎にボビン3を回転させるため上糸6と下糸2との張力差によりボビン3が空転しボビンケースの中で糸を弛ませることが時々起こる此れにより下糸2が生地下で弛みが出て最悪の場合は生地上まで下糸2を引き出す事もある。
この様な問題を解決するために提案する。
尚下糸の供給を安定させる方法でいくつかの特許等の出願が有りますがこれらは実用化に不向きで取り扱いが難しいと思われる。
今回の本発明は以上の様な欠点をなくすために提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
下糸は、ボビン3を無くし糸を筒状の特定幅に巻いて中心部から糸端23を引き出すことができる下糸20を作りこれを使用する。
これを円筒形の一部を切欠いた周壁21と軸方向の一端を塞ぐ端壁22とからなり周壁21には下糸20の糸端23を導く案内溝24と糸道孔25が設けられこの糸道孔25を塞ぐように周壁21に沿って取り付けられた下糸20の糸張力を調整できる板バネ26とこの板バネ26を固定するネジ32と板バネ26の押し力が調整できるネジ33が設けられ板バネ26の先端部には糸端23が案内されて糸が板バネから外れないように爪A35と爪B36を設ける。
尚端壁22の内面には周壁21側に設けた糸道孔25から端壁22の内面中心に向け扇形の浅い溝37を設け端壁22の外側には水平方向に設置されたラッチ38がありこのラッチ38の一片をL形39にしてありラッチには押しバネ40が付設され一方向に押圧され周壁21の外周からL形39突出するよう設置されこのラッチ38を押しバネ40の押圧に反動させる動作片41を組み込み常にはラッチ38と動作片41は押バネ40の押し力により重なり合う状態で待機した下糸ケース27に収納される。
下糸ケース27は、円筒形の周壁28と軸方向の一端を塞ぎ一部を開放した端壁29と周壁28の内周側には下糸ケース27の切り欠き部47に合わせた突起48を設け周壁28の外周側には凸形レール30を周長の3/4ほどの長さで設けて開放側の周壁には周長の2/3ほどの長さで変形した鍔31を設けこの鍔31の上方正面側には内釜42の回転を止める為の釜支え34の凸部43と噛み合わせ上糸6が通り抜けできる幅の溝44を設ける更にこの溝44より正面から見て時計の3時方向には下糸ケース27のラッチ38のL形部39が入り込める溝45を設けこの溝45には鍔31の面に溝蓋46を付けここに入り込んだラッチ38のL形部39により内釜42に収納された下糸ケース27の飛び出しを防止する。
尚この内釜42の外郭には摺動可能に設けられた外釜4がありこの外釜4の内周に凹形の溝19が内周長の2/5ほどありこれに内釜42の外周側の凸形レール30を勘合させて外釜4の外周側に内釜4が飛び出さない様にレール蓋46を配置する更に外釜4の外周には縫針12の先端の針孔13に導通した上糸6を捕捉する剣先14が有りこの捕捉した上糸6を前糸47と後糸48に分けて内釜42をくぐらせる糸分け部49と上糸6を下糸ケース27の正面を通過させる外ヒレ50を有した構成で成り立つ釜構造に収納する。
本発明は、以上の構成よりなる下糸の中心部から引き出される事で抵抗無く糸が解かれ糸量に影響されることなくどの状況下に於いても一定のテンションで作業が進められる釜組及び下糸ケースに関する下糸供給の方法と装置である。
【発明の効果】
【0006】
ボビンを無くし円筒状に巻いた下糸を内径側から引き出す事で糸の巻き量に関係なく板バネのテンション調整のみの抵抗で引き出す事が出来る為安定した縫い形成ができる効果がある。
内釜及びボビンケース(変更後は下糸ケース)の一部を変更する事で、釜関係及び下糸ケース等の取り扱いに関しても現在の使い勝手と変わり無く使用でき現在使用しているボビン交換装置等の周辺機器を変更する事無く使用できる効果がある。
ボビンが無くなりボビンの体積分の下糸が増える事で1個の下糸の稼働時間を増やす事ができ更に下糸の量が増えても糸の張力は使い始めから終わりまで変化無く使用できる効果がある。
尚垂直釜の2倍釜及び3倍釜等についてもより大きな効果が出る
更に水平釜に対しても同じ効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】現行の内釜とボビン及び下糸とボビンケースを組み合わせた説明図
図2】現行の縫い説明とボビンの動作説明図
図3】提案(特許)の内釜と外釜の組み合わせを現した説明図
図4】提案(特許)の釜の全体を組み合わせた説明図
図5】提案(特許)の内釜と下糸と下糸ケースを組み合わせた説明図(第1図との比較図)
図6】提案(特許)の下糸ケース詳細図
図6-1】ラッチ詳細図
図6-2】作動片詳細図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
下糸は、筒状で特定幅に巻き外周部の糸端が解れない様に固定し中心部から糸端23を引き出すことができる下糸20を作りこれを使用する。
下糸ケース27は、円筒形の一部を切欠いた周壁21と軸方向の一端を塞ぐ端壁22とからなり周壁21には下糸20の糸端23導く案内溝24と糸道孔25が設けられこの糸道孔25を塞ぐように周壁21に沿って取り付けられた下糸20の糸張力が調整できる板バネ26とこの板バネ26を固定するネジ32と板バネ26の押し力が調整できるネジ33が設けられ板バネ26の先端部には糸端23が案内されて糸が板バネから外れないように爪A35と爪B36を設ける。
端壁22の内面には周壁21側に設けた糸道孔25から端壁22の内面中心に向け扇形の浅い溝37を設け端壁22の外側には水平方向に設置されたラッチ38がありこのラッチ38の一片をL形39にしてありラッチには押しバネ40が付設され一方向に押圧され周壁21の外周からL形39突出するよう設置されている。
ラッチ38は押しバネ40の押圧に反動させる動作片41を組み込み常にはラッチ38と動作片41は押バネ40の押し力により重なり合う状態で端壁22の外側に収納する。
内釜42は、円筒形の周壁28と軸方向の一端を塞ぎ一部を開放した端壁29で構成されている周壁28の内周側には下糸ケース27の切り欠き部47の幅に合わせた二つの突起48を設け外周側には凸形レール30を周長の3/4ほどの長さで設け開放側の周壁には周長の2/3ほどの長さで変形した鍔31を設けこの鍔31の上方正面側には内釜42の回転を止める為の釜支え34の凸部43と噛み合わせ上糸6が通り抜けできる幅の溝44を設ける溝44の正面から見て時計の3時方向には下糸ケース27のラッチ38のL形部39が入り込める溝45を設けこの溝45には鍔31の面に溝蓋46を付けここに入り込んだラッチ38のL形部39により内釜42に収納された下糸ケース27の飛び出しを防止する構造を有する。
内釜42の外郭には摺動可能に設けられた外釜4がありこの外釜4は内周に凹形の溝19が内周長の2/5ほどありこれに内釜42の外周側の凸形レール30を勘合させて外釜4の外周側に内釜4が飛び出さない様にレール蓋46を配置する更に外釜4の外周には縫針12の先端の針孔13に導通した上糸6を捕捉する剣先14が有りこの捕捉した上糸6を前糸47と後糸48を分けて内釜5をくぐらせる糸分け部49と上糸6を下糸ケース27正面に通過させる外ヒレを有した構成で成り立つ釜である。
本発明は、以上のような形態である。
この発明を使用する目的は、下糸20は巻き糸の中心部から引き出されることで糸張力調整の板バネ26の調整力で下糸が一定の抵抗で引き出され糸量に影響されることなくどの縫い状況に於いても一定のテンションで縫いが進められ安定した縫製作業を行う事が出来る事である。
【符号の説明】
【0009】
1・・・釜組 4・・・外釜(共用部)
5・・・内釜(現行品) 20・・下糸
26・・板バネ 27・・下糸ケース
28・・周壁 29・・端壁
37・・浅い溝 38・・ラッチ
41・・動作片 42・・内釜(新規品)
46・・溝蓋
【産業上の利用可能性】
【0010】
刺繍レース機を使用している業界は、上糸と下糸のバランスをとることが非常に難しく 昔からのシャトル釜のレース機械が主流である。
シャトル釜とは、垂直釜とか水平釜とは異なり下糸の繰り出し方が異なり糸のテンションが一定に繰り出される構造になっており今回の特許出願の機構を利用して刺繍機械に導入すれば高額なレース機で大きな施設を整えなくても安価な刺繍機で小ロット生産でき、高速化を求める施設ができる
今後レース業界も小ロットで多品質の生産が可能になり更に高速化も進め
る事ができる。
刺繍業界では、刺繍の質を高め今以上に高品質な製品を作ることができる
縫製ミシンの分野に於いても上糸と下糸のバランスが安定する事で縫い目が安定し製品の質の向上と生産向上に大いに役立つものです
縫製業界でも、縫いに於ける上糸と下糸のバランスには苦慮しており 下糸の張力変化には対応しきれていない この釜方式を使用すればより良い縫製品を作ることができる。
【受託番号】
【・・・・】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-07-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
図1】現行の内釜とボビン及び下糸とボビンケースを組み合わせた説明図
図2】現行の縫い説明とボビンの動作説明図(一部提案の縫い説明にも使用)
図3】提案(特許)の内釜と外釜の組み合わせを現した説明図
図4】提案(特許)の釜の全体を組み合わせた説明図
図5】提案(特許)の内釜と下糸と下糸ケースを組み合わせた説明図(第1図との比較図)
図6】提案(特許)の下糸ケース詳細図
【手続補正書】
【提出日】2023-07-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正の内容】
図6