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特開2024-173553真空浸炭有害排ガス低減装置、及びこれを用いた真空浸炭有害排ガス低減方法
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  • 特開-真空浸炭有害排ガス低減装置、及びこれを用いた真空浸炭有害排ガス低減方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173553
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】真空浸炭有害排ガス低減装置、及びこれを用いた真空浸炭有害排ガス低減方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20241205BHJP
   B01D 53/72 20060101ALI20241205BHJP
   B01D 53/76 20060101ALI20241205BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20241205BHJP
   C23C 8/20 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B01D53/62 100
B01D53/72
B01D53/76
B01D53/86 222
B01D53/86 230
B01D53/86 245
B01D53/86 280
B01D53/86 241
C23C8/20
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115735
(22)【出願日】2023-07-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-25
(31)【優先権主張番号】23176004
(32)【優先日】2023-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】523269269
【氏名又は名称】ドンウー エイチエスティー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO HST CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄭 秀振
(72)【発明者】
【氏名】安 承均
(72)【発明者】
【氏名】金 在勳
(72)【発明者】
【氏名】姜 在圭
(72)【発明者】
【氏名】呂 權九
(72)【発明者】
【氏名】申 榮憫
【テーマコード(参考)】
4D002
4D148
4K028
【Fターム(参考)】
4D002AA40
4D002BA05
4D002BA12
4D002DA70
4D002EA05
4D002GA01
4D002GB03
4D148AA02
4D148AA06
4D148AA13
4D148AA14
4D148AA18
4D148AA30
4D148AB01
4D148AB02
4D148AB09
4D148BA03X
4D148BA10X
4D148BA11X
4D148BA18X
4D148BA30X
4D148BA31X
4D148BA41X
4D148BB01
4D148BB02
4D148BB20
4D148DA03
4D148DA06
4D148DA09
4D148DA20
4K028AA01
4K028AC03
4K028AC08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】真空浸炭有害排ガス低減装置、及びこれを用いた真空浸炭有害排ガス低減方法を提供する。
【解決手段】真空浸炭工程上の真空ポンプから排出されて流入した排ガスを500~1500℃に加熱させる高温分解部;及びPt、Pd及びこれらの合金からなる群より選択される1つ以上を含む触媒が担持された触媒担持体を含み、前記高温分解部で加熱処理を経た排ガスが前記触媒担持体と接する高温触媒部;を含むことを特徴とする。本発明によると、真空浸炭工程中に真空ポンプを介して排出される排ガス中の一酸化炭素、窒素酸化物、ベンゼン、THC(Total Hydrocarbon)などの有害物質を画期的に低減することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空浸炭工程上の真空ポンプから排出されて流入した排ガスを500~1500℃に加熱させる高温分解部;及び
Pt、Pd及びこれらの合金からなる群より選択される1つ以上を含む触媒が担持された触媒担持体を含み、前記高温分解部で加熱処理を経た排ガスが前記触媒担持体と接する高温触媒部;を含むことを特徴とする、真空浸炭有害排ガス低減装置。
【請求項2】
前記高温分解部は、酸化雰囲気の造成のために空気が注入されることを特徴とする、請求項1に記載の真空浸炭有害排ガス低減装置。
【請求項3】
前記注入された空気と前記流入した排ガスの体積比は1~3:1であることを特徴とする、請求項2に記載の真空浸炭有害排ガス低減装置。
【請求項4】
前記高温分解部の内部の水素濃度が4体積%以下となるように空気を注入することを特徴とする、請求項1に記載の真空浸炭有害排ガス低減装置。
【請求項5】
前記触媒担持体は、セラミックハニカム担体であることを特徴とする、請求項1に記載の真空浸炭有害排ガス低減装置。
【請求項6】
前記触媒は、Laドーピングされたアルミナを含む触媒支持体に担持されることを特徴とする、請求項1に記載の真空浸炭有害排ガス低減装置。
【請求項7】
前記触媒担持体は、ゼオライトをさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の真空浸炭有害排ガス低減装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の真空浸炭有害排ガス低減装置を用いた真空浸炭有害排ガス低減方法において、
前記真空浸炭工程上の真空ポンプから排出されて流入した排ガスが高温分解部に流入するステップ;
前記高温分解部に流入する排ガスを500~1500℃に加熱させるステップ;及び
前記高温分解部で加熱処理を経た排ガスを前記高温触媒部に流入させて前記触媒担持体と接するステップ;
を含むことを特徴とする、真空浸炭有害排ガス低減方法。
【請求項9】
前記高温分解部の内部に空気を注入して、酸化雰囲気状態で前記流入した排ガスを加熱することを特徴とする、請求項8に記載の真空浸炭有害排ガス低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空浸炭有害排ガス低減装置、及びこれを用いた真空浸炭有害排ガス低減方法に関し、より詳しくは、真空浸炭工程中に真空ポンプを介して排出される排ガス中の一酸化炭素、窒素酸化物、ベンゼン、THC(Total Hydrocarbon)などの有害物質を高熱及び触媒処理により画期的に低減できる真空浸炭有害排ガス低減装置、及びこれを用いた真空浸炭有害排ガス低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、自動車エンジンの高性能、高出力化の傾向に合わせて、変速器部品の耐久性の確保が大きな課題の1つとなっており、変速器の耐久性を改善するためには、まず主な構成要素であるギア類の耐久性改善が先決課題である。
【0003】
自動車変速器ギア及びシャフト部品の一般ガス浸炭の場合、熱処理雰囲気ガス中の酸素の存在によって、ギア素材内における焼入れ性増大元素であるSi、Cr、Mn要素と組み合わせ、SiO、Cr、MnOのような酸化物が母材の最表面の粒界に偏析して粒界酸化を生じることで、ギア及びシャフトの曲げ疲労強度及び接触疲労強度を低下させる原因を提供する。このような問題を改善させるための熱処理工程が低圧真空浸炭工程である。
【0004】
前記真空浸炭工程は、真空雰囲気で浸炭を行い、高圧のガス(gas)で焼入れをさせる新しい熱処理方法であり、表面異常層が生成されないため、耐久性(耐疲労性及び耐磨耗性)が画期的に向上し、浸炭時に二酸化炭素がほとんど発生せず、クエンチング媒体として主にガスを用い、また廃油/廃水処理などがほとんど必要でないため環境にやさしく、異物除去のためのショートなどの後工程が必要でないため生産時間を短縮できる新しい浸炭法として知られている。
【0005】
このような真空浸炭工程を適用する場合、粒界酸化層がゼロレベルで曲げ疲労強度が20%向上し、接触疲労強度も30%以上改善する。特に、低圧真空浸炭は、環境にやさしい熱処理工程であって、処理前の処理対象物であるギア及びシャフトの表面積を計算して、目的の有効硬化深さを考慮した炭素フラックスを浸炭と拡散過程を経てパルス状に浸炭させる工程である。また、1050℃程度の高温で処理可能であり、生産性にも優れた熱処理方式である。
【0006】
真空浸炭工程では、浸炭段階ではアセチレン(C)を、拡散段階では窒素(N)を用いて、真空ポンプを介して排気しており、ポンプ内の合成オイル(エステル、RCOO-R’)とアセチレンボンベから一部出るアセトン(CHOH)、炉の耐火ボードに含有された酸素などと高温反応して有機化学的熱分解を経ることで、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸貨物(Sox)、揮発性有機化合物(VOCs)などと、タール、スート(soot、粒子状物質)などが排ガス中に存在するため、大気環境を汚染する問題が発生した。
【0007】
これを解決するために、従来は排ガスを、低温状態でフィルターを介してタール、スートなどをろ過して通過する有害排ガスをTiなどの触媒を用いて処理していたが、過剰のタール及びスートの発生によってフィルターが詰まり、触媒の被毒劣化が加速化するなどの問題が相変らず発生した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するために導き出されたものであり、真空浸炭工程中に真空ポンプを介して排出される排ガス中の一酸化炭素、窒素酸化物、ベンゼン、THC(Total Hydrocarbon)などの有害物質を高熱及び触媒処理により画期的に低減することで、安定性及び効率性を向上させることができる真空浸炭有害排ガス低減装置、及びこれを用いた真空浸炭有害排ガス低減方法を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような目的を達成するために、本発明による真空浸炭有害排ガス低減装置は、真空浸炭工程上の真空ポンプから排出されて流入した排ガスを500~1500℃に加熱させる高温分解部;及びPt、Pd及びこれらの合金からなる群より選択される1つ以上を含む触媒が担持された触媒担持体を含み、前記高温分解部で加熱処理を経た排ガスが前記触媒担持体と接する高温触媒部;を含むことを特徴とする。
【0010】
前記高温分解部は、酸化雰囲気の造成のために空気が注入されてもよく、
前記注入された空気と前記流入した排ガスの体積比は1~3:1であってもよく、前記高温分解部の内部の水素濃度が4体積%以下となるように前記空気を注入してもよい。
【0011】
前記触媒担持体は、セラミックハニカム担体であってもよい。
【0012】
前記触媒は、Laドーピングされたアルミナを含む触媒支持体に担持されてもよく、ゼオライトを含む触媒向上剤をさらに含んでもよい。
【0013】
また他の本発明は、前記真空浸炭有害排ガス低減装置を用いた真空浸炭有害排ガス低減方法において、前記真空浸炭工程上の真空ポンプから排出されて流入した排ガスが高温分解部に流入するステップ;前記高温分解部に流入する排ガスを500~1500℃に加熱させるステップ;及び前記高温分解部で加熱処理を経た排ガスを前記高温触媒部に流入させて前記触媒担持体と接するステップ;を含むことを特徴とする。
【0014】
前記高温分解部の内部に空気を注入して、酸化雰囲気状態で前記流入した排ガスを加熱してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、真空浸炭工程中に真空ポンプを介して排出される排ガス中の一酸化炭素、窒素酸化物、ベンゼン、THC(Total Hydrocarbon)などの有害物質を高熱及び触媒処理により画期的に低減することができる。
【0016】
本発明による高温分解部に流入した排ガスを高温で加熱して発熱反応及び燃焼反応を起こすことで、排ガス中の炭化水素からなる物質、及びタール、スート(soot)などを酸化させて除去可能であり、さらには一酸化炭素の酸化も同時に除去可能となる。
【0017】
また、500℃以上の高温に加熱された前記排ガスが本発明による高温触媒部の触媒担持体と接しても、耐熱性に優れたセラミックハニカム担体によって、より高い温度でも優れた触媒反応性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例による真空浸炭有害排ガス低減装置を説明するための流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明する。ただし、下記の実施例は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が発明を容易に実施できるように詳しく説明するためのものであり、これにより本発明の技術的な思想及び範疇が限定されることを意味しない。
【0020】
通常の高温浸炭処理工程で発生するベントガス(Vent gas)であるC及びNが真空ポンプ(120)のポンプオイルと反応して、有機化学的熱分解を経るようになり、このときに不完全な一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、VOCs(揮発性有機化合物)などの有害物質が生成される。また、これらのベントガスは、アセチレンボンベから一部出るアセトン(CHOH)、炉の耐火ボードに含有された酸素などと高温反応することで、有機化学的熱分解を経て、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸貨物(Sox)、揮発性有機化合物(VOCs)などとタール、スートなどが排ガスに含まれて排出される。
【0021】
したがって、本発明は、真空浸炭炉(110)を経て真空ポンプ(120)を介して排出される排ガスを高温分解部(210)に流入させた後、電気ヒータ又はガスバーナーなどを用いて500~1,500℃、好ましくは800~1,000℃に加熱すると、排ガス中の有害物質が発熱反応及び燃焼反応を起こし、排ガス中の炭化水素からなる物質及びタール、スート(soot)などが酸化して除去され、一酸化炭素も共に酸化して除去することができる。
【0022】
このとき、前記高温分解部(210)に空気を注入して内部を酸化雰囲気に造成すると、完全燃焼及び発熱反応に有利になる。前記空気の注入は、真空ポンプ(120)の前段でブロワーにより行われてもよい。
【0023】
前記空気の注入は、流入した排ガスの総流量に対して1~3:1であることが効率的である。また、アセチレン(C)ガスが分解して出る排ガス中には、水素(H)濃度が30体積%以上と高いので、酸素との反応時に爆発の危険がある。よって、前記空気の注入後に高温分解部(210)の内部の水素濃度が4%以下となるように空気の注入を調整することが好ましい。
【0024】
仮に、前記高温分解部(210)を経ない場合、真空ポンプ(120)から排出された低温状態の排ガスが、後述の高温触媒部(220)の触媒と直接接するようになり、この場合、タールやスートなどが触媒に蓄積して触媒活性及び耐久性を急激に低下させる問題が発生する可能性がある。
【0025】
次いで、前記高温分解部(210)で加熱された排ガスの一部又は全部が、触媒担持体を含む高温触媒部(220)に流入して前記触媒担持体と接するようになる。
【0026】
前記触媒担持体は、Pt、Pd及びこれらの合金からなる群より選択される1つ以上の触媒を含み、耐熱性の強化のために、前記触媒担持体は、セラミックハニカム担体であることが好ましい。前記セラミックハニカム担体は、一例としてコーディエライト材質のハニカム担体であってもよい。
【0027】
もし、ハニカム担体でなく、球状、ペレットタイプ、ディスクタイプなどの担体を用いる場合、排ガスの背圧が上昇して本発明の装置作動上に問題が発生し、排ガス浄化効率が低減する問題が発生する可能性もある。よって、ハニカム担体を用いる場合、排ガスの流れがより円滑になる長所がある。
【0028】
より詳しくは、背圧を最小化するために、前記ハニカムセラミック担体は、400cell densityに6mil壁厚(400/6cell/in)であることが好ましい。参照として、セル密度(cell density)が大きいほど、壁厚が小さいほど、触媒の体積が大きいほど触媒の全体表面積が大きくなるので触媒効率性が向上し得るが、背圧が多くかかる可能性がある。
【0029】
前記触媒は、Pt、Pd及びこれらの合金からなる群より選択される1つ以上の触媒を含んでもよい。前記触媒は酸化触媒であり、タール、スート、一酸化炭素、HC系炭化水素などを容易に酸化させることができ、好ましくは、Pt/Pd系触媒でPt;Pd=4/1であることが好ましい。
【0030】
前記触媒の効率を最大化し、また触媒の表面積を増大させるために、アルミナ触媒支持体に担持することができる。さらに、耐熱性の向上のために、希土類成分でドーピングされた合金化アルミナ触媒支持体を用いてもよく、一例として、ランタニウム(La)ドーピングされたアルミナ触媒支持体であってもよい。
【0031】
前記アルミナ触媒支持体を含んでいない場合、温度上昇によって急激に表面積が減少することによって触媒性能が低減する可能性がある。
【0032】
また、本発明による触媒担持体は、タール、スート、長鎖炭化水素などを低温から効率的に除去するために、ゼオライトなどの触媒向上剤(Promotor)をさらに含んでもよい。
【0033】
以下、上述した本発明による真空浸炭有害排ガス低減装置(200)を用いた真空浸炭有害排ガス低減方法について説明する。
【0034】
まず、前記真空浸炭工程上の真空ポンプ(120)から排出されて流入した排ガスが高温分解部(210)に流入する(S1ステップ)。
【0035】
その後、前記高温分解部(210)に流入する排ガスを500~1500℃に加熱させる(S2ステップ)。加熱方法と理由については前述したので省略する。次いで、前記高温分解部(210)で加熱処理を経た排ガスを前記高温触媒部(220)に流入し、前記触媒担持体と接して触媒反応が起きるようにする(S3ステップ)。特に、前記S2ステップの前に前記高温分解部(210)の内部に空気を注入し、酸化雰囲気状態で前記流入した排ガスを加熱させることが完全燃焼及び発熱反応に有利である。前記空気の注入は、真空ポンプ(120)の前段でブロワーにより行われてもよい。前記空気の注入は、流入した排ガスの総流量に対して1~3:1であることが効率的であり、アセチレン(C)ガスが分解して出る排ガス中には、水素(H)の濃度が30体積%以上と高いので、酸素との反応時に爆発の危険性がある。よって、前記空気の注入によって高温分解部(210)の内部の水素濃度が4%以下となると、爆発の危険性を低めることができる。
【0036】
<実験評価>
1.本発明による真空浸炭有害排ガス低減装置の製造
まず、コーディエライト材質のハニカムセラミック担体を用いて触媒担持体を製造した。前記ハニカムセラミック担体は400cell densityに6mil壁厚が400/6cell/inであり、担体容積は2Lであった。次いで、Laドーピングされたアルミナ触媒支持体350g/L base及び触媒向上剤(Promotor)としてゼオライト50g/L baseを前記ハニカム担体に添加した。その後、PtとPdを4:1の比率で9/g/L baseで前記アルミナ触媒支持体に含浸してウォッシュコートを合成し、これを前記コーディエライトセラミック担体にコーティングした。触媒のコーティング量は9g/Lにし、触媒システムを構成するためにステンレススチールを材料とする高温触媒部を製造した。
【0037】
その後、高温分解部の排出口と、上記で製造した高温触媒部の流入口とを連結した。
【0038】
2.有害排ガス毎の濃度の測定
真空浸炭部の真空ポンプから排出される排ガスが上記で製造した高温分解部に流入するように連結した。具体的な真空浸炭部の運営条件は下記の通りである。
1)真空浸炭炉の浸炭温度:980℃
2)真空浸炭炉の数量:10基X Vacuum pump 2基X MDS 1台の構成
3)真空ポンプ常時稼動
4)真空ポンプ用オイル:合成オイル(添加剤入りエステルオイル)/n-フェニル-1-ナフチルアミン添加剤0.1~0.5重量%
5)真空ポンプ通過後の排ガス温度:25~35℃
【0039】
前記真空ポンプを通過した後に排出される排ガスが、本発明によって製造した真空浸炭有害排ガス低減装置を通過した排ガス(実施例)、及び前記真空ポンプを通過した後に本発明による低減装置を経ていない排ガス(比較例)の有害物質毎の濃度を測定した結果は下記のようである。参照として、有害物質毎の濃度測定のための真空浸炭炉への投入ガスは下記の通りである。
(1)NOx、SOx、CO濃度測定時:Nを1,000l/hr投入した後、対流加熱980℃でC 4,000l/hr、30秒間投入
(2)THC濃度測定時:980℃でCを4,000l/hr、30秒間投入
(3)ベンゼン濃度測定(捕集測定)時:980℃でCを4,000l/hr、60秒間投入
【0040】
3.有害排ガス毎の濃度測定の結果
本発明によって製造した真空浸炭有害排ガス低減装置を通過した排ガス(実施例)では、一酸化炭素(CO)0ppm、窒素酸化物(NOx)1ppm、硫黄酸貨物(Sox)1ppm、THC(Total Hydrocarbon)80ppm、ベンゼン0ppmであることが確認された。
【0041】
一方、本発明による排ガス低減装置を通過することなく真空ポンプから排出された排ガス(比較例)の場合、一酸化炭素(CO)12600ppm、窒素酸化物(NOx)290ppm、硫黄酸貨物(Sox)20ppm、THC 12900ppm、ベンゼン9ppmと測定された。
【0042】
これによって、本発明による真空浸炭有害排ガス低減装置を適用する場合、排出される排ガス中の有害物質が大きく低減することが確認された。
【符号の説明】
【0043】
100;真空浸炭部
110;真空浸炭炉
120;真空ポンプ
200;真空浸炭有害排ガス低減装置
210:高温分解部
220:高温触媒部
図1