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特開2024-173560インホイールモーター車両の冷却システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173560
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】インホイールモーター車両の冷却システム
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/02 20060101AFI20241205BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20241205BHJP
   B60L 58/26 20190101ALI20241205BHJP
   B60K 7/00 20060101ALI20241205BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20241205BHJP
【FI】
B60K11/02
B60L3/00 J
B60L58/26
B60K7/00
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125473
(22)【出願日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】10-2023-0068872
(32)【優先日】2023-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 淵 浩
(72)【発明者】
【氏名】金 洙 環
(72)【発明者】
【氏名】鄭 ホ 永
(72)【発明者】
【氏名】朴 晃 熙
(72)【発明者】
【氏名】金 載 然
(72)【発明者】
【氏名】趙 祥 ムン
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H125
5H770
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3D038AC23
3D235AA01
3D235BB45
3D235CC42
3D235HH04
5H125AA01
5H125AB01
5H125AC12
5H125CD06
5H125CD08
5H125FF22
5H125FF23
5H125FF24
5H770AA21
5H770BA02
5H770CA06
5H770DA21
5H770PA14
5H770PA32
5H770PA41
5H770PA42
5H770PA47
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両用インホイールモーターをインバーターと一緒に冷却水で冷却する。
【解決手段】インホイールモーターに備えられた冷却水流路と、複数のインバーターに備えられた冷却水流路と、前記インバーター及びインホイールモーターを冷却した冷却水を通過させて冷却水の放熱を実行するよう備えられたラジエーターと、前記インバーターの冷却水流路、前記インホイールモーターの冷却水流路、及び前記ラジエーターの間に冷却水が循環するように連結された冷却水循環ラインと、前記冷却水循環ラインの冷却水をポンピングして冷却水循環ラインに沿って循環させるウォーターポンプとを含み、前記ウォーターポンプによってポンピングされる冷却水が分配されて前記複数のインバーターを並列に通過することができるように冷却水の循環経路を基準にインバーターの上流側の冷却水循環ラインが前記複数のインバーターのそれぞれに分岐されて連結される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のホイールに装着されたインホイールモーターに備えられた冷却水流路と、
前記インホイールモーターを駆動及び制御するための複数のインバーターに備えられた冷却水流路と、
前記複数のインバーター及びインホイールモーターを冷却した冷却水を通過させて冷却水の放熱を実行するように備えられたラジエーターと、
前記複数のインバーターの冷却水流路、前記インホイールモーターの冷却水流路、及び前記ラジエーターの間に冷却水が循環するように連結された冷却水循環ラインと、
前記冷却水循環ラインの冷却水をポンピングして冷却水循環ラインに沿って循環させるウォーターポンプと、を含み、
前記ウォーターポンプによってポンピングされる冷却水が分配されて前記複数のインバーターを並列に通過することができるように、冷却水の循環経路を基準にインバーターの上流側の冷却水循環ラインが前記複数のインバーターのそれぞれに分岐されて連結されていることを特徴とするインホイールモーター車両の冷却システム。
【請求項2】
前記複数のインバーターを並列に通過した冷却水が再び合管された冷却水循環ラインに沿って循環するうち車両のホイールに装着された複数のインホイールモーターを順に通過するように、前記複数のインホイールモーターが前記合管された冷却水循環ラインによって直列に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のインホイールモーター車両の冷却システム。
【請求項3】
前記複数のインホイールモーターを直列に連結する冷却水循環ラインがラジエーターに連結され、冷却水の循環経路を基準に前記複数のインホイールモーターの下流側に前記ラジエーターが配置されていることを特徴とする請求項2に記載のインホイールモーター車両の冷却システム。
【請求項4】
前記複数のインホイールモーターは、車両の左側輪インホイールモーター及び右側輪インホイールモーターを含み、
前記複数のインバーターは、前記左側輪インホイールモーターを駆動及び制御するための左側輪インバーターと、前記右側輪インホイールモーターを駆動及び制御するための右側輪インバーターと、を含むことを特徴とする請求項2に記載のインホイールモーター車両の冷却システム。
【請求項5】
前記複数のインホイールモーターは、車両の前輪側インホイールモーター及び後輪側インホイールモーターを含み、
前記複数のインバーターは、前記前輪側インホイールモーターを駆動及び制御するための前輪インバーターと、前記後輪側インホイールモーターを駆動及び制御するための後輪インバーターと、を含むことを特徴とする請求項2に記載のインホイールモーター車両の冷却システム。
【請求項6】
前記前輪側インホイールモーターは、前輪の左側輪インホイールモーターと前輪の右側輪インホイールモーターと、を含み、
前記後輪側インホイールモーターは、後輪の左側輪インホイールモーターと、後輪の右側輪インホイールモーターと、を含むことを特徴とする請求項5に記載のインホイールモーター車両の冷却システム。
【請求項7】
前記ウォーターポンプは、
前記複数のインバーターの上流側に配置された第1ウォーターポンプと、
前記前輪側インホイールモーターと前記後輪側インホイールモーターとの間の冷却水循環ラインに設けられた第2ウォーターポンプと、を含むことを特徴とする請求項5に記載のインホイールモーター車両の冷却システム。
【請求項8】
前記ウォーターポンプは、
前記複数のインバーターの上流側に配置された第1ウォーターポンプと、
前記複数のインバーターを通過した冷却水をポンピングするように前記複数のインバーターの下流側に配置された第2ウォーターポンプと、を含むことを特徴とする請求項2に記載のインホイールモーター車両の冷却システム。
【請求項9】
前記冷却水循環ラインに沿って循環する冷却水と、エアコンシステム及びヒートポンプシステムの冷媒循環ラインに沿って循環する冷媒との間の熱交換を実行するように備えられた水冷式熱交換器をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のインホイールモーター車両の冷却システム。
【請求項10】
前記ウォーターポンプは、
前記複数のインバーターの上流側に配置された第1ウォーターポンプと、
前記水冷式熱交換器の上流側の冷却水循環ラインに設けられた第2ウォーターポンプと、を含むことを特徴とする請求項9に記載のインホイールモーター車両の冷却システム。
【請求項11】
前記水冷式熱交換器が前記ラジエーターの上流側に配置されていることを特徴とする請求項9に記載のインホイールモーター車両の冷却システム。
【請求項12】
前記ウォーターポンプは、
前記複数のインバーターの上流側に配置された第1ウォーターポンプと、
前記水冷式熱交換器の上流側の冷却水循環ラインに設けられた第2ウォーターポンプと、を含むことを特徴とする請求項11に記載のインホイールモーター車両の冷却システム。
【請求項13】
前記水冷式熱交換器が前記ラジエーターの下流側に配置されていることを特徴とする請求項9に記載のインホイールモーター車両の冷却システム。
【請求項14】
前記ウォーターポンプは、
前記複数のインバーターの上流側に配置された第1ウォーターポンプと、
前記ラジエーターの上流側の冷却水循環ラインに設けられた第2ウォーターポンプと、を含むことを特徴とする請求項13に記載のインホイールモーター車両の冷却システム。
【請求項15】
前記ラジエーターの上流側の冷却水循環ラインから分岐された連結ラインがチラーに連結され、
前記冷却水循環ラインにおいて前記連結ラインが分岐された分岐点には、冷却水をラジエーター及びチラーのうちの選択された方向に流れるようにする3方バルブが設けられ、
前記チラーには、エアコン冷媒が通過するように、冷媒ラインが連結されることにより、
前記チラーから前記冷媒ラインを通して流入したエアコン冷媒と前記連結ラインを通して流入した冷却水との間の熱交換がなされるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のインホイールモーター車両の冷却システム。
【請求項16】
前記チラーにはバッテリーを冷却するためのバッテリー冷却回路の冷却水循環ラインが連結され、前記チラーからバッテリー冷却回路の冷却水循環ラインに沿って循環する冷却水と前記エアコン冷媒との間の熱交換がなされるように構成されていることを特徴とする請求項15に記載のインホイールモーター車両の冷却システム。
【請求項17】
前記チラーにエアコン冷媒が流入する冷媒ラインには、エアコン冷媒を膨張させる膨張バルブが配置されていることを特徴とする請求項15に記載のインホイールモーター車両の冷却システム。
【請求項18】
前記ウォーターポンプが前記複数のインバーターのそれぞれに分岐されて連結された冷却水循環ラインにそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載のインホイールモーター車両の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の各ホイール(wheel)に装着されたインホイールモーターをインバーターと一緒に冷却水で効果的に冷却することができるインホイールモーター車両の冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車は排気ガスの排出がない環境に優しい車両である。このような電気自動車には、走行のためのエネルギーを供給する高電圧バッテリー、高電圧バッテリーから出力される直流電力(DC)を交流電力(AC)に変換するインバーター、及び前記インバーターから交流電力を受けて回転力を発生させて車両を駆動するモーターなどが必須に搭載される。
現在まで商用化した電気自動車のパワートレイン構成としては、モーターの動力(回転力)が減速機によって減速された後、駆動軸を介してホイール(車輪)に伝達されることで、車両が走行するようにするものがよく知られている。
【0003】
これに加えて、最近では、ホイールにおいてタイヤ装着用リム部にモーターを内設することで、モーターの動力がホイールに直接伝達されるようにするインホイールモーター(in-wheel motor、IWM)システムが脚光を浴びている。インホイールモーターが装着された電気自動車は、減速機や差動ギアのような中間段階の動力伝達装置が省略されるので、車両の重さを減少させることができる。
また、一部の装置が省略されることにより、車両において駆動系が占める空間を大きく減らすことができ、動力伝達過程でのエネルギー損失を低減させることができるという利点がある(燃費向上)。
【0004】
さらに、最近では、ホイール、駆動装置であるインホイールモーター、インバーター、制動装置、操舵装置、及び懸架装置をすべて組み合わせてモジュール化したEコーナーモジュール(electronic corner module)に対する研究及び開発が活発に進んでいる。
【0005】
車両にEコーナーモジュールを適用する場合、それ自体がホイールを独立的に操舵することができる駆動装置になるので、車輪の反応性及び走行安全性が向上する利点を有することになる。また、車両において各車輪を独立的に駆動及び操舵して制御することができるので、車両回転の際、旋回半径を大きく縮小することができる。
【0006】
一方、車両のホイールに装着されたインホイールモーターにおいては、固定子のコイルに電流が流れるのに伴って抵抗によるジュール熱などが発生し、インホイールモーターで発生する熱は部品の温度を上昇させるので、インホイールモーターに対する期待寿命を大きく縮める。このように、インホイールモーターの発熱はモーターの性能及び耐久性に悪影響を及ぼすので、適切な冷却が必要である。
インホイールモーターが装着された車両、すなわちインホイールモーター車両で、車両の各ホイールには多数の熱源が存在する。例えば、制動装置、タイヤなどが熱源として作用することができる。すなわち、制動の際、制動装置でパッドと摩擦材との間の摩擦によって発生した熱がインホイールモーターに伝達されることがあり、車両走行の際には、路面との摩擦によってタイヤで発生した熱がインホイールモーターに伝達されることがある。
【0007】
したがって、このようなインホイールモーター車両において特別に変わる多くの因子を考慮して、各ホイールに装着されたインホイールモーターに対する最適の冷却システムを構成する必要がある。
従来は、インホイールモーターの冷却のために、モーターハウジングに熱が伝導されると、モーターハウジングで外部空気との対流熱伝逹によって放熱するようにすることが知られているが、このような方式は冷却効率が大きく落ちるという欠点を有する。
その他に、オイルを用いてインホイールモーターを冷却する方式が知られているが、このようなオイル冷却方式の場合、インホイールモーターを冷却したオイルを冷却するための装置、すなわち別途のオイルクーラーが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記のような問題点を解決するためになされたものであり、車両の各ホイールに装着されたインホイールモーターをインバーターと一緒に冷却水で効果的に冷却するための水冷式冷却回路の構成を有するインホイールモーター車両の冷却システムを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施例によるインホイールモーター車両の冷却システムは、車両のホイールに装着されたインホイールモーターに備えられた冷却水流路と、前記インホイールモーターを駆動及び制御するための複数のインバーターに備えられた冷却水流路と、前記複数のインバーター及びインホイールモーターを冷却した冷却水を通過させて冷却水の放熱を実行するように備えられたラジエーターと、前記複数のインバーターの冷却水流路、前記インホイールモーターの冷却水流路、及び前記ラジエーターの間に冷却水が循環するように連結された冷却水循環ラインと、前記冷却水循環ラインの冷却水をポンピングして冷却水循環ラインに沿って循環させるウォーターポンプと、を含み、前記ウォーターポンプによってポンピングされる冷却水が分配されて前記複数のインバーターを並列に通過することができるように、冷却水の循環経路を基準にインバーターの上流側の冷却水循環ラインが前記複数のインバーターのそれぞれに分岐されて連結されることを特徴とする。
【0010】
前記複数のインバーターを並列に通過した冷却水が再び合管された冷却水循環ラインに沿って循環するうち車両のホイールに装着された複数のインホイールモーターを順に通過するように、前記複数のインホイールモーターが前記合管された冷却水循環ラインによって直列に連結されることができる。
【0011】
前記複数のインホイールモーターを直列に連結する冷却水循環ラインがラジエーターに連結され、冷却水の循環経路を基準に前記複数のインホイールモーターの下流側に前記ラジエーターが配置されることができる。
【0012】
前記複数のインホイールモーターは、車両の左側輪インホイールモーター及び右側輪インホイールモーターを含み、前記複数のインバーターは、前記左側輪インホイールモーターを駆動及び制御するための左側輪インバーターと、前記右側輪インホイールモーターを駆動及び制御するための右側輪インバーターとを含むことができる。
【0013】
前記複数のインホイールモーターは、車両の前輪側インホイールモーター及び後輪側インホイールモーターを含み、前記複数のインバーターは、前記前輪側インホイールモーターを駆動及び制御するための前輪インバーターと、前記後輪側インホイールモーターを駆動及び制御するための後輪インバーターとを含むことができる。
【0014】
前記前輪側インホイールモーターは、前輪の左側輪インホイールモーターと前輪の右側輪インホイールモーターとを含み、前記後輪側インホイールモーターは、後輪の左側輪インホイールモーターと、後輪の右側輪インホイールモーターと、を含むことができる。
【0015】
前記ウォーターポンプは、前記複数のインバーターの上流側に配置された第1ウォーターポンプと、前記前輪側インホイールモーターと前記後輪側インホイールモーターとの間の冷却水循環ラインに設けられた第2ウォーターポンプとを含むことができる。
【0016】
前記ウォーターポンプは、前記複数のインバーターの上流側に配置された第1ウォーターポンプと、前記複数のインバーターを通過した冷却水をポンピングするように前記複数のインバーターの下流側に配置された第2ウォーターポンプとを含むことができる。
【0017】
前記冷却水循環ラインに沿って循環する冷却水と、前記エアコンシステム及びヒートポンプシステムの冷媒循環ラインに沿って循環する冷媒との間の熱交換を実行するように備えられた水冷式熱交換器をさらに含むことができる。
【0018】
ここで、前記ウォーターポンプは、前記複数のインバーターの上流側に配置された第1ウォーターポンプと、前記水冷式熱交換器の上流側の冷却水循環ラインに設けられた第2ウォーターポンプとを含むことができる。
【0019】
また、前記水冷式熱交換器は、前記ラジエーターの上流側に配置されることができる。
【0020】
ここで、前記ウォーターポンプは、前記複数のインバーターの上流側に配置された第1ウォーターポンプと、前記水冷式熱交換器の上流側の冷却水循環ラインに設けられた第2ウォーターポンプと、を含むことができる。
【0021】
また、前記水冷式熱交換器は、前記ラジエーターの下流側に配置されることができる。
【0022】
ここで、前記ウォーターポンプは、前記複数のインバーターの上流側に配置された第1ウォーターポンプと、前記ラジエーターの上流側の冷却水循環ラインに設けられた第2ウォーターポンプとを含むことができる。
【0023】
前記ラジエーターの上流側の冷却水循環ラインから分岐された連結ラインがチラーに連結され、前記冷却水循環ラインにおいて前記連結ラインが分岐された分岐点には、冷却水をラジエーター及びチラーのうちの選択された方向に流れるようにする3方バルブが設けられ、前記チラーには、エアコン冷媒が通過するように、冷媒ラインが連結されることにより、前記チラーから前記冷媒ラインを通して流入したエアコン冷媒と前記連結ラインを通して流入した冷却水との間の熱交換がなされるように構成されることができる。
【0024】
ここで、前記チラーには、バッテリーを冷却するためのバッテリー冷却回路の冷却水循環ラインが連結され、前記チラーからバッテリー冷却回路の冷却水循環ラインに沿って循環する冷却水と前記エアコン冷媒との間の熱交換がなされるように構成されることができる。
【0025】
また、前記チラーにエアコン冷媒が流入する冷媒ラインには、エアコン冷媒を膨張させる膨張バルブが配置されることができる。
【0026】
前記ウォーターポンプは前記複数のインバーターのそれぞれに分岐されて連結された冷却水循環ラインにそれぞれ設けられることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によるインホイールモーター車両の冷却システムによれば、車両の各ホイールに装着されたインホイールモーターをインバーターと一緒に冷却水で効果的に冷却することができる。
特に、本発明のインバーター並列回路構成では、システムの通水抵抗を減少させることができ、インホイールモーター及びラジエーター側での流量増加による冷却性能の改善が可能になる。
また、相対的に発熱量が多いインホイールモーターと放熱量が多くなければならないラジエーターではインバーターを通過した冷却水が再び合わせられた全体流量が通過するので、インホイールモーター及びラジエーター側での流量を増加させることができ、結局インホイールモーターでの吸熱量及びラジエーターでの放熱量が増大し、システムの冷却性能が向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施例によるインホイールモーター車両の冷却システムを示す回路構成図である。
図2】本発明の第2実施例によるインホイールモーター車両の冷却システムを示す回路構成図である。
図3】本発明の第3実施例によるインホイールモーター車両の冷却システムを示す回路構成図である。
図4】本発明の第4実施例によるインホイールモーター車両の冷却システムを示す回路構成図である。
図5】本発明の第5実施例によるインホイールモーター車両の冷却システムを示す回路構成図である。
図6】本発明の第6実施例によるインホイールモーター車両の冷却システムを示す回路構成図である。
図7】本発明の第7実施例によるインホイールモーター車両の冷却システムを示す回路構成図である。
図8】本発明の第8実施例によるインホイールモーター車両の冷却システムを示す回路構成図である。
図9】本発明の第9実施例によるインホイールモーター車両の冷却システムを示す回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では添付図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
【0030】
発明の実施例で提示する特定の構造や機能の説明は、本発明の概念による実施例を説明するための目的で例示するものであり、本発明の概念による実施例は多様な形態に実施可能である。また、本明細書で説明する実施例によって本発明が限定されるものと解釈されてはいけなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更物、均等物及び代替物を含むものと理解されなければならない。
【0031】
一方、本発明で、第1及び/または第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使うことができるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一構成要素を他の構成要素と区別する目的で使われる。例えば、本発明の概念による権利範囲から逸脱しない範囲内で、第1構成要素は第2構成要素と名付けることができ、同様に第2構成要素は第1構成要素と名付けることができる。
【0032】
ある構成要素が他の構成要素に「連結」されているかまたは「接続」されていると言及されたとき、その他の構成要素に直接的に連結されるか接続されることもできるが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解されなければならないであろう。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結」されているかまたは「直接接触」していると言及されたとき、中間に他の構成要素が存在しないものと理解されなければならないであろう。構成要素との関係を説明するための他の表現、すなわち「~の間に」及び「すぐ~の間に」または「~に隣接する」及び「~に直接隣接する」などの表現も同様に解釈されなければならない。
【0033】
明細書全般にわたって同じ参照番号は同じ構成要素を示す。本明細書で使用する用語は実施例を説明するためのものであり、本発明を限定しようとするものではない。本明細書で、単数型は、文句で特に言及しない限り、複数型も含む。明細書で使用する「含む(comprises)」及び/または「含む(comprising)」は言及された構成要素、段階、動作及び/または素子が一つ以上の他の構成要素、段階、動作及び/または素子の存在または追加を排除しない。
【0034】
車両の熱管理システムは、圧縮機、外部凝縮器、膨張バルブ、蒸発器、及び冷媒循環ラインを含むエアコンシステム、ラジエーター、ウォーターポンプ、及び冷却水循環ラインを含む冷却システム、及びエアコンシステムの冷媒を用いて車両の室内を暖房するヒートポンプシステムを含む。このうち、冷却システムは、水冷式冷却システムであり、冷却水を用いて車両に搭載されたインバーターやインホイールモーターなどの電装部品及びバッテリーを冷却する。
【0035】
図1は本発明の第1実施例によるインホイールモーター車両の冷却システムを示す回路構成図であり、図2は本発明の第2実施例によるインホイールモーター車両の冷却システムを示す回路構成図である。
【0036】
図1を参照すると、車両の2個のホイール(wheel)に装着された2個のインホイールモーター21、22が示されている。前記2個のインホイールモーター21、22は車両の左側輪及び右側輪にそれぞれ装着されたインホイールモーターである。ここで、前記左側輪及び右側輪は前輪の左側輪及び右側輪であり、または後輪の左側輪及び右側輪である。
また、図示のように、車両にはインホイールモーター21、22を駆動及び制御するための複数のインバーターが搭載される。第1実施例で、2個のインバーター10a、10bは左側輪インバーター及び右側輪インバーターである。
【0037】
左側輪インバーター10bはバッテリー(図示せず)から出力される直流電力(DC)を交流電力(AC)に変換して左側輪インホイールモーター22に印加し、右側輪インバーター10aはバッテリーから出力される直流電力(DC)を交流電力(AC)に変換して右側輪インホイールモーター21に印加する。
このために、左側輪インバーター10bは左側輪インホイールモーター22を駆動及び制御するためのパワーモジュール(図示せず)を有し、右側輪インバーター10aは右側輪インホイールモーター21を駆動及び制御するためのパワーモジュール(図示せず)を有する。
【0038】
図2には車両の4個のホイールに装着された4個のインホイールモーター21~24が示されている。前記4個のホイールは前輪の左側輪及び右側輪と後輪の左側輪及び右側輪であり、前記4個のインホイールモーター21~24は前述した各ホイールに装着されたインホイールモーターである。
図2の第2実施例で、2個のインバーター11、12は前輪インバーター及び後輪インバーターであり、前輪インバーター12はバッテリー(図示せず)から出力される直流電力(DC)を交流電力(AC)に変換して前輪の左側輪インホイールモーター23及び右側輪インホイールモーター24に印加する。後輪インバーター11はバッテリーから出力される直流電力を交流電力に変換して後輪の左側輪インホイールモーター22及び右側輪インホイールモーター21に印加する。
【0039】
図2の第2実施例で、前輪インバーター12は前輪の左側輪インホイールモーター23及び右側輪インホイールモーター24を駆動及び制御するためのパワーモジュール(図示せず)を有し、後輪インバーター11は後輪の左側輪インホイールモーター22及び右側輪インホイールモーター21を駆動及び制御するためのパワーモジュール(図示せず)を有する。各パワーモジュールは、直流を交流に変換するためのスイッチング素子を含む。
【0040】
図1及び図2で、インホイールモーター21~24及びインバーター10a、10b、11、12は車両から電気を受けて作動する装置であり、いずれも作動時に熱が発生する装置であり、性能及び耐久性の確保のために冷却が必要な装置である。
本発明の第1実施例及び第2実施例によるインホイールモーター車両の冷却システムは、前記装置(インホイールモーター及びインバーター)の冷却のために冷却水循環ライン100、100a、100bに沿って循環する冷却水を用いる水冷式冷却システムである。
このようなインホイールモーター車両の冷却システムは、インホイールモーター21~24及びインバーター10a、10b、11、12などの電装部品を冷却するためのPE(Power Electronic)冷却回路を含む。
【0041】
ここで、PE冷却回路は、各インホイールモーター21~24及びインバーター10a、10b、11、12に冷却水が通過することができるように備えられた冷却水流路(図示せず)を含み、前記冷却水流路は、各インホイールモーター及びインバーターの内部を通過する冷却水が当該装置を冷却することができるように、すなわち内部を通過する冷却水が当該装置で発生する熱を吸収することができるように備えられる。例として、冷却水流路は、インホイールモーター21~24及びインバーター10a、10b、11、12のハウジング(図示せず)にそれぞれ冷却水が通過することができる通路を形成して構成する。
【0042】
また、PE冷却回路は、冷却水の循環のためにインホイールモーター21~24及びインバーター10a、10b、11、12の冷却水流路の間を連結する冷却水循環ライン100、100a、100bと、冷却水循環ラインで冷却水をポンピングして循環させるウォーターポンプ121と、冷却水循環ライン100、100a、100bに沿って循環する冷却水の熱を外部に放出するための熱交換器であるラジエーター130とをさらに含む。
ここで、ウォーターポンプ121はバッテリーから電力を受けて作動する電動式ウォーターポンプである。これは、制御器(図示せず)の制御信号に応じて作動が制御できるように備えられる。
【0043】
また、ラジエーター130はクーリングファン(図示せず)と一緒にクーリングモジュールを構成するものであり、これはクーリングファンと一緒に車両の前段部に取り付けられることができる。ラジエーター130では内部を通過する冷却水とその周囲を通過する空気との間の熱交換がなされ、このような熱交換によって冷却水が空気によって冷却されるかまたは空気の熱を吸収する。
その他に、PE冷却回路は、冷却水を貯蔵するレザボアタンク110をさらに含むことができ、レザボアタンク110は冷却水循環ライン100においてウォーターポンプ121の前段側(上流側、入口側)の位置に配置される。
【0044】
本発明では、ウォーターポンプ121から冷却水が吐き出される出口部に連結された冷却水循環ライン100が第1コネクタ101で冷却水循環ライン100a、100bに分岐され、第1コネクタ101で冷却水循環ライン100から分岐された冷却水循環ライン100a、100bは対応するインバーター10a、10b、11、12にそれぞれ連結される。
【0045】
例として、本発明の第1実施例及び第2実施例で、冷却水循環ライン100は第1コネクタ101で2個の循環ライン100a、100bに分岐され、第1コネクタ101で分岐された各冷却水循環ライン100a、100bが2個のインバーター10a、10b、11、12のうちの対応するインバーターにそれぞれ連結されることができる。ここで、第1コネクタ101で分岐された二つの冷却水循環ライン100a、100bが当該インバーター10a、10b、11、12の冷却水流路入口部に連結される。
【0046】
また、各インバーター10a、10b、11、12で冷却水流路を通過した冷却水が排出される出口部に連結された冷却水循環ライン100a、100bは再び第2コネクタ102で単一の循環ライン100に合管される。第2コネクタ102で合管された冷却水循環ライン100は、以後に冷却水が複数のインホイールモーター21~24を順次通過することができるように、複数のインホイールモーター21~24を直列に連結する。
第1コネクタ101で各インバーター10a、10b、11、12に分岐されて連結される冷却水循環ライン100a、100bは冷却水が第1コネクタで同一流量に分配されて各インバーターに流れるように分岐されるものである。
【0047】
この場合、ウォーターポンプ121の出口部から吐き出された冷却水が第1コネクタ101及び冷却水循環ライン100a、100bによって1:1の分配比で、すなわち同一流量に分配されて二つのインバーター10a、10b、11、12の冷却水流路に供給される。
その後、両インバーター10a、10b、11、12を並列に通過した冷却水は第2コネクタ102で単一の冷却水循環ライン100に合流した後、複数のインホイールモーター21~24を順次流れる。 このように、PE冷却回路は複数のインバーターが冷却水循環ラインを介して並列に連結され、複数のインホイールモーターが冷却水循環ラインを介して直列に連結された回路構成を有する。
【0048】
図1の第1実施例では、第2コネクタ102で合管された冷却水循環ライン100が右側輪インホイールモーター21の入口部に連結され、右側輪インホイールモーター21の出口部に連結された冷却水循環ライン100が左側輪インホイールモーター22の入口部に連結され、左側輪インホイールモーター22の出口部に連結された冷却水循環ライン100がラジエーター130の入口部に連結されている。
これにより、冷却水循環ライン100は右側輪インホイールモーター21及び左側輪インホイールモーター22を順に経てからラジエーター130に連結され、インバーター10a、10bを冷却した冷却水が右側輪インホイールモーター21及び左側輪インホイールモーター22を順に冷却した後、ラジエーター130で熱を放出する。
【0049】
図2の第2実施例では、第2コネクタ102で合管された冷却水循環ライン100により、後輪の右側輪インホイールモーター21、後輪の左側輪インホイールモーター22、前輪の左側輪インホイールモーター23、前輪の右側輪インホイールモーター24、及びラジエーター130の順に直列に連結されている。
これにより、第2実施例では、ラジエーター130で放熱した冷却水が、二つのインバーター11、12を並列に通過して冷却した後、後輪の右側輪インホイールモーター21、後輪の左側輪インホイールモーター22、前輪の左側輪インホイールモーター23、及び前輪の右側輪インホイールモーター24の経路として冷却水循環ライン100に沿って直列に循環するので、循環中にこれらのインホイールモーターを順に冷却するようになる。
【0050】
このように、第2実施例の冷却水の循環経路、すなわち図2に示すインバーターとインホイールモーターとの間の冷却水循環経路は以後に説明する第3実施例~第8実施例でもそのまま適用される。
前記のように、冷却水循環ラインがインバーターを並列に連結し、インホイールモーターを直列に連結することは各装置の通水抵抗を考慮したことである。すなわち、ウォーターポンプ121を基準に、インホイールモーター21~24に比べて冷却水循環経路上の上流側に設けられて通水抵抗が大きく作用するインバーター10a、10b、11、12の場合、冷却水循環ライン100、100a、100bを介して互いに並列に連結することで、冷却水が複数のインバーターに分配されてから通過することができるようにする、一方、インホイールモーター21~24の場合、冷却水循環ライン100を介して互いに直列に連結することで、冷却水が複数のインホイールモーターを順次通過することができるようにする。
【0051】
次に、図3は本発明の第3実施例によるインホイールモーター車両の冷却システムを示す回路構成図であり、図4は本発明の第4実施例によるインホイールモーター車両の冷却システムを示す回路構成図である。
【0052】
図3及び図4に示すように、第3実施例及び第4実施例では、冷媒と冷却水との間の熱交換がなされる水冷式熱交換器140をさらに含む冷却システムを例示している。
水冷式熱交換器140はエアコンシステム及びヒートポンプシステムの冷媒循環ライン(図示せず)とPE冷却回路の冷却水循環ライン100との間に備えられるものであり、冷媒循環ラインの冷媒と冷却水循環ライン100の冷却水との間に熱交換がなされるようにする。
【0053】
図3の第3実施例では、ラジエーター130の出口側(冷却水の循環経路を基準にラジエーターの下流側)の冷却水循環ライン100に水冷式熱交換器140が設けられており、ラジエーター130で空気と熱交換した冷却水が前記水冷式熱交換器140を通過するように構成されている。
ラジエーター130で空気(クーリングファン(図示せず)によって吸入される外気)と熱交換した冷却水は水冷式熱交換器140を通過しているうちに冷媒と熱交換し、その後、ウォーターポンプ121によって冷却水循環ライン100、100a、100bに沿って循環するように押送される。
【0054】
図4に示す第4実施例では、ラジエーター130の入口側(冷却水循環経路を基準にラジエーターの上流側)の冷却水循環ライン100に水冷式熱交換器140が設けられており、ラジエーター130に向かって流れる冷却水が前記水冷式熱交換器140を通過しているうちに冷媒と熱交換するようになっている。
このように、水冷式熱交換器140を通過した冷却水がその後にラジエーター130を通過しているうちに空気との間に熱交換を行い、その後、冷却水循環ライン100、100a、100bに沿って循環するようにウォーターポンプ121によって押送される。
【0055】
次に、図5は本発明の第5実施例によるインホイールモーター車両の冷却システムを示す回路構成図であり、図6は本発明の第6実施例によるインホイールモーター車両の冷却システムを示す回路構成図である。
【0056】
第5実施例及び第6実施例による冷却システムは、単数ではなく複数のウォーターポンプ121、122を含み、第1実施例~第4実施例と同様に、インバーター11、12の上流側の冷却水循環ライン100にウォーターポンプ121が設けられることができ、これに加えて、複数のインホイールモーター21~24を直列に連結している冷却水循環ライン100に別途のウォーターポンプ122がさらに設けられる。
【0057】
以下の説明では、インバーター11、12の上流側のウォーターポンプ121を「第1ウォーターポンプ」と言い、複数のインホイールモーター21~24を直列に連結している冷却水循環ライン100に設けられたウォーターポンプ122を「第2ウォーターポンプ」と言う。
第1ウォーターポンプ121は、第1実施例~第4実施例と同様に、ラジエーター130の下流側(出口側)でありながらもインバーター11、12の上流側(入口側)の冷却水循環ライン100に設けられ、インバーター11、12の上流側でも第1コネクタ101の上流側の冷却水循環ライン100、すなわち第1コネクタ101で各インバーター11、12に分岐される前の冷却水循環ライン100に設けられる。
【0058】
ここで、第2ウォーターポンプ122はインバーター11、12の出口側(下流側)の冷却水循環ライン100に設けられることができ、インバーター11、12の出口側でも第2コネクタ102の出口側の合管された冷却水循環ライン100、すなわち第2コネクタ102で合管されてからインホイールモーター21に連結される冷却水循環ライン100に設けられる。
【0059】
図5に示す第5実施例では、冷却水循環ライン100によって直列に連結された複数のインホイールモーター21~24のうち冷却水循環経路を基準に一番目のインホイールモーター21の入口部に連結された冷却水循環ライン100に第2ウォーターポンプ122が設けられている。第2コネクタ102とインホイールモーター21との間の冷却水循環ライン100に第2ウォーターポンプ122が設けられている。
これにより、レザボアタンク110、第1ウォーターポンプ121、第1コネクタ101、インバーター11、12、第2コネクタ102、第2ウォーターポンプ122、後輪の右側輪インホイールモーター21、後輪の左側輪インホイールモーター22、前輪の左側輪インホイールモーター23、前輪の右側輪インホイールモーター24、及びラジエーター130の経路に沿って冷却水が循環される。
【0060】
図6に示す第6実施例では、前輪側インホイールモーター23、24と後輪側インホイールモーター21、22との間の冷却水循環ライン100に第2ウォーターポンプ122が設けられている。すなわち、図6に示すように、後輪の左側輪インホイールモーター22と前輪の左側輪インホイールモーター23との間の冷却水循環ライン100に第2ウォーターポンプ122が設けられることができる。
これは、後輪側インホイールモーター21、22と前輪側インホイールモーター23、24との間の冷却水循環ライン100の長さが長いことを考慮したものである。詳細には、後輪の左側輪インホイールモーター22と前輪の左側輪インホイールモーター23との間を連結している冷却水循環ライン100が長くなることによって前後輪間の通水抵抗が大きくなるので、このような大きい通水抵抗を考慮して、後輪の左側輪インホイールモーター22と前輪の左側輪インホイールモーター23との間の冷却水循環ライン100に第2ウォーターポンプ122を設けたものである。
【0061】
次に、図7は本発明の第7実施例によるインホイールモーター車両の冷却システムを示す回路構成図であり、図8は本発明の第8実施例によるインホイールモーター車両の冷却システムを示す回路構成図である。
図7に示す第7実施例は図3に示す第3実施例に第2ウォーターポンプ122をさらに追加した実施例であり、図8に示す第8実施例は図4に示す第4実施例に第2ウォーターポンプ122をさらに追加した実施例である。
【0062】
第7実施例及び第8実施例のいずれも水冷式熱交換器140の追加によって通水抵抗が大きくなることを考慮して、ラジエーター130及び水冷式熱交換器140の上流側(前段側、入口側)に第2ウォーターポンプ122が設けられている。
第7実施例では、第3実施例のように水冷式熱交換器140がラジエーター130の下流側に追加されることによって通水抵抗が大きくなることを考慮して、ラジエーター130の上流側の冷却水循環ライン100に第2ウォーターポンプ122が設けられている。
第8実施例では、第4実施例のように水冷式熱交換器140がラジエーター130の上流側に追加されることによって通水抵抗が大きくなることを考慮して、水冷式熱交換器140の上流側(入口側)の冷却水循環ライン100に第2ウォーターポンプ122が設けられている。
【0063】
一方、図9は本発明の第9実施例による冷却システムを示す回路構成図であり、バッテリー冷却回路をさらに含む冷却システムの構成を示している。
図示のように、第9実施例による冷却システムは、図2に示す第2実施例の構成に加えて、バッテリー冷却回路をさらに含む。また、第2実施例だけでなく、以下で説明するバッテリー冷却回路を図1図3図8に示す各実施例の構成にも追加して冷却システムを構成することができる。
【0064】
以下の説明では、第2実施例の構成にバッテリー冷却回路を追加した冷却システムの構成について説明し、第1実施例、第3実施例~第8実施例の構成にバッテリー冷却回路を追加した冷却システムについては、第2実施例の構成にバッテリー冷却回路を追加した第9実施例と比較して各実施例の構成にバッテリー冷却回路を追加したことの他には違いがないので、詳細な説明は省略する。
しかし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、第9実施例についての次の説明から、第1実施例、第3実施例~第8実施例の構成にバッテリー冷却回路を追加した冷却システムの構成が明らかになるであろう。
【0065】
本発明の第9実施例による冷却システムは、インホイールモーター21~24及びインバーター11、12を冷却するためのPE冷却回路と、インホイールモーター21~24及びインバーター11、12に電力を供給するバッテリー30を冷却するためのバッテリー冷却回路とを含む。
PE冷却回路は車両に搭載された電装部品であるインホイールモーター21~24及びインバーター11、12を冷却するためのものであり、このようなPE冷却回路構成については、図2を参照して説明した第2実施例の構成と比較して違いがないので、追加の説明は省略する。
【0066】
バッテリー冷却回路は、バッテリー30に冷却水が通過するように備えられる冷却水流路(図示せず)を含み、バッテリー30の冷却水流路は、その内部を通過する冷却水がバッテリー30を冷却することができるように、すなわち内部を通過する冷却水がバッテリー30で発生する熱を吸収することができるように備えられる。
また、バッテリー冷却回路は、エアコン冷媒が通過するチラー220、及びバッテリー30とチラー220との間に冷却水が循環するように連結される冷却水循環ライン200をさらに含んでなることができる。
【0067】
また、バッテリー冷却回路は、冷却水循環ライン200で冷却水をポンピングして循環させる別途のウォーターポンプ210をさらに含むことができる。バッテリー冷却回路のウォーターポンプ210もバッテリー30から電力を受けて作動する電動式ウォーターポンプであり、制御器(図示せず)の制御信号に応じて作動が制御されるように備えられる。
チラー220は冷却水と冷媒との間に熱交換を行う熱交換器であり、前記チラー220には、冷却水と冷媒との間の熱交換のために、PE冷却回路の冷却水循環ライン200から分岐された連結ライン201、バッテリー冷却回路の冷却水循環ライン200、及び冷媒ライン300が連結される。
【0068】
チラー220を通して冷媒が通過することができるようにするための冷媒ライン300はエアコンシステムの主冷媒ライン(図示せず)から分岐されたものであり、チラー220の冷媒入口部及び冷媒出口部にそれぞれ連結される。これにより、エアコンシステムの主冷媒ラインから分配された冷媒が前記冷媒ライン300に沿って移動するうちにチラー220を通過することができるようになる。
そして、チラー220の冷媒入口部に連結された冷媒ライン300には、エアコンシステムの圧縮機(図示せず)によって圧縮された高温及び高圧の冷媒を受けて低温及び低圧に膨張させる膨張バルブ310が設けられることができる。
【0069】
これにより、膨張バルブ310を通過した低温及び低圧の冷媒が冷媒ライン300を通してチラー220に供給されることができる。また、チラー220に供給された冷媒がチラー220を通過しているうちに冷却水と熱交換するようになる。
チラー220には、冷却水を通過させて冷媒との熱交換がなされるようにする熱交換通路部が備えられ、熱交換通路部は、PE冷却回路の冷却水循環ライン100から分岐された連結ライン201が連結される第1熱交換通路221と、バッテリー冷却回路の冷却水循環ライン200が連結される第2熱交換通路222とを含む。
【0070】
PE冷却回路連結ライン201はラジエーター130の前段側(上流側、入口側)の位置の冷却水循環ライン100から分岐されてチラー220の冷却水入口部(第1熱交換通路の入口部)に連結され、チラー220の冷却水出口部(第1熱交換通路の出口部)に連結された連結ライン201は第3コネクタ103でラジエーター130の後段側(下流側、出口側)の位置の冷却水循環ライン100と連結されて合管される。
ラジエーター130の前段側位置の冷却水循環ライン100から連結ライン201が分岐された分岐点には、制御器(図示せず)によって開度状態が制御される3方バルブ104が設けられる。
【0071】
3方バルブ104は冷却水の流動を制御するためのものであり、ラジエーター130に連結された冷却水循環ライン100及びチラー220に連結された連結ライン201に対する冷却水流動を制御するためのものである。
例えば、3方バルブ104において、ラジエーター130側の冷却水循環ライン100が連結された内部通路が開放すると、3方バルブ104を通過した冷却水が冷却水循環ライン100を通してラジエーター130に流れ、チラー220側の連結ライン201が連結された内部通路が開放すると、3方バルブ104を通過した冷却水が連結ライン201を通してチラー220に流れる。
【0072】
また、3方バルブ104がラジエーター130の前段側位置の冷却水循環ライン100に設けられるので、3方バルブ104には、インバーター11、12及びインホイールモーター21~24を冷却するうちに当該装置から熱を吸収した高温の冷却水が通過するようになる。
仮に、3方バルブ104においてチラー220側の連結ライン201が連結された内部通路が開放すると、高温の冷却水が連結ライン201に流れ、その後、連結ライン201に沿って移動した高温の冷却水がチラー220の第1熱交換通路221を通過するようになる。
このように、チラー220に移動した高温の冷却水は第1熱交換通路221を通るうちにエアコン冷媒と熱交換することができ、この際、冷却水の熱が相対的に低温のエアコン冷媒に伝達されることができる。これにより、3方バルブ104及び連結ライン201はヒートポンプシステムの部品として機能するようになる。
【0073】
次いで、チラー220の第1熱交換通路221を通過した冷却水は連結ライン201に沿って流れた後、第3コネクタ103によってラジエーター130の後段側(下流側、出口側)位置の冷却水循環ライン100で冷却水と合流するようになる。
このように、PE冷却回路では、インホイールモーター21~24及びインバーター11、12を冷却した冷却水が3方バルブ104を通して連結ライン201に流れてからチラー220に供給され、次いでチラー220で冷媒によって冷却された後、再びインホイールモーター21~24及びインバーター11、12を冷却することができるように、ウォーターポンプ121によって冷却水循環ライン100を循環するようになる。
同様に、バッテリー冷却回路ではバッテリー30を冷却した冷却水がチラー220に供給され、次いでチラー220で冷媒によって冷却された後、再びバッテリー30を冷却することができるように、ウォーターポンプ210によって冷却水循環ライン200を循環するようになる。
【0074】
以上で本発明の各実施例による冷却システムについて詳述した。
上述したように、本発明の冷却システムでは、インホイールモーター21~24、ラジエーター130、ウォーターポンプ121などの他の構成に対して、複数のインバーター10a、10b、11、12が、分岐された冷却水循環ライン100a、100bによって、互いに並列に連結される。また、複数のインホイールモーター21~24が他の残りの構成に対して冷却水循環ライン100によって互いに直列に連結される。
よって、本発明の冷却システムは、冷却水が複数のインバーター11、12に分配された後、前記インバーター10a、10b、11、12を並列に通過することができるようにしたインバーター並列回路の構成、及び冷却水が複数のインホイールモーター21~24を直列に通過することができるようにしたインホイールモーター直列回路の構成を有する。
【0075】
本発明の実施例によるインバーター並列回路構成では、システムの通水抵抗が減少することができ、結局インホイールモーター21~24及びラジエーター130側での流量増加による冷却性能の改善が可能になる。
すなわち、本発明では、冷却水が分けられた後、インバーター10a、10b、11、12を並列に通過することにより、冷却システムでの通水抵抗が減少し、特にインバーター10a、10b、11、12での通水抵抗の減少によってインバーター冷却性能が改善する効果を期待する(図1図9参照)。
また、本発明の場合、インホイールモーターの直列回路構成により、相対的に発熱量の多いインホイールモーター21~24及び放熱量が多くなければならないラジエーター130では、インバーター10a、10b、11、12を通過した冷却水が再び合わせられた全体流量が通過するので(図1図8参照)、インホイールモーター21~24及びラジエーター130側での流量を増加させることができ、結局インホイールモーター21~24での吸熱量及びラジエーター130での放熱量を増大させることができるので、システムの冷却性能が向上する。
【0076】
本発明の実施例によるインバーター並列回路の構成において、冷却水の要求流量によって、図1図4の実施例のように単数のウォーターポンプ121が設けられるか、または図5図8の実施例のように複数のウォーターポンプ121、122が設けられる。
また、図5図8の実施例では、2個のウォーターポンプ121、122が冷却水循環ライン100に沿って直列に配置されているが、2個のウォーターポンプ121、122が冷却水循環ライン100に並列に配置されることも可能である。
すなわち、図2図3図4及び図9の各実施例では、第1コネクタ101の入口側(上流側)に1個のウォーターポンプ121が設けられているが、第1コネクタ101の入口側ではなく、第1コネクタの出口側で二つの冷却水循環ライン100a、100bにそれぞれ1個ずつのウォーターポンプが設けられることが可能である。すなわち、第1コネクタ101と各インバーター10a、10b、11、12との間の冷却水循環ライン100a、100bに1個ずつのウォーターポンプ121が設けられる。
【0077】
以上で本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲がこれに限定されるものではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いる当業者の多くの変形及び改良形態も本発明の権利範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
10a、10b、11、12 インバーター
21-24 インホイールモーター
30 バッテリー
100 冷却水循環ライン
100a、100b 分岐された循環ライン
101、102、103 コネクタ
104 3方バルブ
110 レザボアタンク
121、122 ウォーターポンプ
130 ラジエーター
140 水冷式熱交換器
200 冷却水循環ライン
201 連結ライン
210 ウォーターポンプ
220 チラー
221 第1熱交換通路
222 第2熱交換通路
300 冷媒ライン
310 膨張バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9