IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173592
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ポンプ式吐出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B65D47/34 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186364
(22)【出願日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2023088491
(32)【優先日】2023-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】長島 弘彦
(72)【発明者】
【氏名】前田 信也
(72)【発明者】
【氏名】野島 悠
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AB01
3E084AB09
3E084AB10
3E084BA02
3E084CB04
3E084DB12
3E084DC03
3E084EB03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084GB11
3E084GB17
3E084JA20
3E084KA20
3E084LC01
(57)【要約】
【課題】従来と同じようにして内容液を吐出することが可能であって、更にリサイクル性にも優れるポンプ式吐出器を提案する。
【解決手段】ポンプ式吐出器100は、ステム7aが進退移動することによって駆動するポンプと、吐出口11dを有するとともにステム7aに連結するヘッド11と、を備え、ヘッド11及びキャップ10の何れか一方に、ヘッド11及びキャップ10の何れか他方に向けて延出された延出部11eが設けられ、ヘッド11及びキャップ10の何れか他方に、ヘッド11をキャップ10に向けて前進させた際に延出部11eによって撓む弾性片10mが設けられ、弾性片10mは、先端部に対して根元部の厚みが厚くなっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液を収容する容器の口部に装着されるキャップと、該キャップにより該口部に保持されステムが進退移動することによって駆動するポンプと、内容液を外界に吐出させる吐出口を有するとともに該ステムに連結するヘッドと、を備え、該ヘッドを該キャップに向けて移動させることによって該容器内の内容液を該吐出口から吐出させるポンプ式吐出器において、
前記ヘッド及び前記キャップの何れか一方に、該ヘッド及び該キャップの何れか他方に向けて延出された延出部が設けられ、
前記ヘッド及び前記キャップの何れか他方に、該ヘッドを前記キャップに向けて前進させた際に前記延出部によって撓む弾性片が設けられ、
前記弾性片は、先端部に対して根元部の厚みが厚いポンプ式吐出器。
【請求項2】
前記弾性片は、前記ヘッドを前記キャップに向けて前進させた際に前記延出部によって前記ステムの中心軸線に近づく向きに撓むものである請求項1に記載のポンプ式吐出器。
【請求項3】
前記弾性片は、弾性片本体と、該弾性片本体よりも幅狭になる補強リブを備え、
前記弾性片本体及び前記補強リブの少なくとも一方は、前記先端部から前記根元部に向かって厚みが徐々に厚くなっている請求項1に記載のポンプ式吐出器。
【請求項4】
前記弾性片は、弾性片本体と、該弾性片本体よりも幅狭になる補強リブを備え、
前記補強リブは、前記ヘッドが前記キャップに対して前進限まで移動した状態において、前記延出部よりも前記ヘッド及び前記キャップの何れか他方側に位置する請求項1に記載のポンプ式吐出器。
【請求項5】
前記キャップは、前記弾性片を有し、
前記ヘッドは、前記延出部を有するとともに、前記キャップに向けて移動可能な押圧可能位置と該キャップに向けての移動が阻止される押圧不能位置との間で、該キャップに対して回転可能であって、
前記延出部は円筒状であって、該延出部の内周部は、前記押圧可能位置に前記ヘッドを回転させた際に前記弾性片の前記先端部に接触する接触部分と、該内周部を該接触部分よりも径方向外側に凹ませた形状をなし、前記押圧不能位置に前記ヘッドを回転させた際に前記弾性片とは非接触となる非接触部分とを有する請求項1に記載のポンプ式吐出器。
【請求項6】
前記内周部は、前記接触部分と前記非接触部分との境界を滑らかにつなぐ湾曲部分を有する請求項5に記載のポンプ式吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ式吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプ式吐出器として、容器の口部に装着されるキャップと、キャップにより口部に保持されステムが進退移動することによって駆動するポンプと、ステムに連結するヘッドとを備え、ヘッドをキャップに向けて移動させることによって容器内の内容液をヘッドの吐出口から吐出させるものが既知である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このようなポンプ式吐出器の内部には、特許文献1に示されているように、キャップに向けて移動させたヘッドを初期位置に復帰させるためにコイルスプリングが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-31950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでこのようなポンプ式吐出器は、大部分の部材は合成樹脂製であるものの、コイルスプリングは金属製である。このため使用後に廃棄するにあたって、このままの状態では樹脂品としてリサイクルすることができない。また一般にこの種のポンプ式吐出器では、通常の使用時において部材が外れてしまうことを避けるべく、例えば嵌合等によって部材同士は強固に固定されている。従って、ポンプ式吐出器を分解してコイルスプリングと他の部材とに分別するにも手間を要することとなる。
【0006】
本発明はこのような問題点を解決することを課題とするものであって、従来と同じようにして内容液を吐出することが可能であって、更にリサイクル性にも優れるポンプ式吐出器を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内容液を収容する容器の口部に装着されるキャップと、該キャップにより該口部に保持されステムが進退移動することによって駆動するポンプと、内容液を外界に吐出させる吐出口を有するとともに該ステムに連結するヘッドと、を備え、該ヘッドを該キャップに向けて移動させることによって該容器内の内容液を該吐出口から吐出させるポンプ式吐出器において、
前記ヘッド及び前記キャップの何れか一方に、該ヘッド及び該キャップの何れか他方に向けて延出された延出部が設けられ、
前記ヘッド及び前記キャップの何れか他方に、該ヘッドを前記キャップに向けて前進させた際に前記延出部によって撓む弾性片が設けられ、
前記弾性片は、先端部に対して根元部の厚みが厚いポンプ式吐出器である。
【0008】
前記弾性片は、前記ヘッドを前記キャップに向けて前進させた際に前記延出部によって前記ステムの中心軸線に近づく向きに撓むものであることが好ましい。
【0009】
前記弾性片は、弾性片本体と、該弾性片本体よりも幅狭になる補強リブを備え、
前記弾性片本体及び前記補強リブの少なくとも一方は、前記先端部から前記根元部に向かって厚みが徐々に厚くなっていることが好ましい。
【0010】
前記弾性片は、弾性片本体と、該弾性片本体よりも幅狭になる補強リブを備え、
前記補強リブは、前記ヘッドが前記キャップに対して前進限まで移動した状態において、前記延出部よりも前記ヘッド及び前記キャップの何れか他方側に位置することが好ましい。
【0011】
前記キャップは、前記弾性片を有し、
前記ヘッドは、前記延出部を有するとともに、前記キャップに向けて移動可能な押圧可能位置と該キャップに向けての移動が阻止される押圧不能位置との間で、該キャップに対して回転可能であって、
前記延出部は円筒状であって、該延出部の内周部は、前記押圧可能位置に前記ヘッドを回転させた際に前記弾性片の前記先端部に接触する接触部分と、該内周部を該接触部分よりも径方向外側に凹ませた形状をなし、前記押圧不能位置に前記ヘッドを回転させた際に前記弾性片とは非接触となる非接触部分とを有することが好ましい。
【0012】
前記内周部は、前記接触部分と前記非接触部分との境界を滑らかにつなぐ湾曲部分を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のポンプ式吐出器によれば、ヘッドをキャップに向けて移動させた際、延出部によって弾性片が撓むため、撓んだ弾性片が復元する際にヘッドを初期位置に復帰させることができる。ところで撓み変形可能な弾性片は、比較的大きな負荷でもって繰り返し撓ませるとへたりが生じて復元性が低下することがある。一方、弾性片の剛性を高めることによってへたりは生じにくくなるところ、剛性が高まると弾性片は撓みにくくなることから特にヘッドとキャップに向けて移動させ始める際の操作性が損なわれることになる。これに対して本発明の弾性片は、先端部に対して根元部の厚みが厚い(根元部に対して先端部の厚みが薄い)ことから、延出部によって最初に撓み始める先端部をそれ程過大な力を要さずに撓ませることができるため、ヘッドをキャップに向けて移動させ始める際の操作性が損なわれることがない。また弾性片がこのように構成されることによって根元部の剛性が高まるため、へたりが生じにくくなる。
【0014】
また本発明の一態様におけるポンプ式吐出器において、上記のように押圧可能位置と押圧不能位置との間でヘッドがキャップに対して回転可能であり、延出部の内周部に接触部分と非接触部分とを設けたものにおいては、保管時等ではヘッドを押圧不能位置に回転させておくことによってヘッドの押圧が阻止されるため、内容液が不用意に吐出される不具合を防止することができる。なお、撓み変形可能な弾性片は、常に撓ませておくとへたりが生じやすくなるが、この一態様のポンプ式吐出器ではヘッドを押圧不能位置に回転させておくことによって弾性片は延出部とは非接触になり、弾性片に負荷がかからなくなるため、このようなへたりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るポンプ式吐出器の一実施形態における弾性片が撓む前の状態を示した側面視での断面図(図3のB-Bに沿う断面図)である。
図2図3に示したポンプ式吐出器におけるC-Cに沿う断面図である。
図3図1のA-Aに沿う断面図である。
図4A図1に示した弾性片の平面図である。
図4B図4Aの矢印Dに沿う向きでの矢視図である。
図4C図4AのE-Eに沿う断面図である。
図5図1に示したポンプ式吐出器に関し、ヘッドを押圧した状態での側面視での断面図である。
図6】本発明に係るポンプ式吐出器の変形例を示した図であって、弾性片が撓む前の状態における側面視での断面図である。
図7A図6に示した弾性片の平面図である。
図7B図7Aの矢印Fに沿う向きでの矢視図である。
図7C図7AのG-Gに沿う断面図である。
図8】本発明に係るポンプ式吐出器の第二の変形例を示した図であって、弾性片が撓む前の状態における側面視での断面図である。
図9A図8に示した弾性片の平面図である。
図9B図9Aの矢印Hに沿う向きでの矢視図である。
図9C図9AのJ-Jに沿う断面図である。
図10】本発明に係るポンプ式吐出器の第三の変形例を示した図であって、ヘッドを押圧不能位置に回転させた状態における側面視での断面図である。
図11図10のK-Kに沿う断面図である。
図12図10に示したポンプ式吐出器に関し、ヘッドを押圧可能位置に回転させた状態における側面視での断面図である。
図13図12のL-Lに沿う断面図である。
図14図12に示したポンプ式吐出器に関し、ヘッドを押圧した状態での側面視での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明に係るポンプ式吐出器の一実施形態であるポンプ式吐出器100について説明する。なお、本明細書等において上下方向とは、図示した中心軸線O(後述するステム7aの中心軸線)に沿う向きであって、パイプ4が位置する側が「下」であり、ヘッド11が位置する側が「上」である。また径方向とは、中心軸線Oに対して垂直な面内で中心軸線Oと直交する方向であり、周方向とは、この面内で中心軸線Oを中心として周回する方向である。
【0017】
本実施形態のポンプ式吐出器100は、ボトル状をなす不図示の容器の口部に装着して使用される。ポンプ式吐出器100で吐出させる内容液は、例えば化粧料(一例として乳液や化粧水)、シャンプー、ボディソープ、ハンドソープ、洗顔料等である。
【0018】
ポンプ式吐出器100は、シリンダー1、弁部材2、パイプ4、内部部材5、ピストン6、筒状部材7、ホルダー8、パッキン9、キャップ10、ヘッド11、カバー12で構成されている。ここでシリンダー1、弁部材2、内部部材5、ピストン6、筒状部材7、及びホルダー8は、本明細書等における「ポンプ」を構成する部材である。また上記の部材のうち、弁部材2、ピストン6、パッキン9は、弾性を有する軟質の合成樹脂(例えばポリエチレン(LDPE、HDPE、発泡PE))により形成されていて、その他の部材は、硬質の合成樹脂(例えばポリプロピレン(PP)・ポリブチレンテレフタレート(PBT)・ポリアセタール(POM)・ポリケトン(POK)樹脂等)で形成されている。そしてポンプ式吐出器100を構成する各部材は、基本的に中心軸線Oを中心とする形状で形作られている。
【0019】
シリンダー1は、円板状をなしていて中央部が上方に突出する底壁部1aと、底壁部1aの外縁部から起立する円筒状の筒壁部1bと、筒壁部1bの上部から径方向外側に向けて延在するフランジ壁1cを備えている。底壁部1aにおける中央部の突出する部位には、貫通孔(吸込口1d)が設けられている。また底壁部1aの下面には、吸込口1dを取り囲んで下方に向けて延在し、パイプ4を保持する筒状の保持筒1eが設けられている。そして筒壁部1bには、貫通孔(通気口1f)が設けられている。
【0020】
弁部材2は、基部2aと、基部2aの内側で吸込口1dを覆って底壁部1aの上面に着座する弁体部2bと、基部2aと弁体部2bとを連結する弾性変形可能な連結片2cとを備えている。弁部材2は逆止弁として機能するものであって、シリンダー1内が減圧状態になると、吸込口1dを閉鎖していた弁体部2bが底壁部1aから離反して吸込口1dを開放させることができる。
【0021】
基部2aは、本実施形態では有蓋筒状をなしていて上面中央部が上方に向けて突出した形態をなしていて、吸込口1dを通過した内容液が通過する不図示の開口を備えている。基部2aは、筒壁部1bの内周面に嵌合保持されるものであり、これにより弁部材2は、シリンダー1内で保持される。
【0022】
パイプ4は、中空状をなすものであって、上端部は保持筒1eに挿入されてこれに嵌合保持されている。
【0023】
内部部材5は、シリンダー1の内部に配置され、シリンダー1に対して上下動する部材である。内部部材5は、円筒状をなしていて下端部は閉鎖された連結筒5aを備えている。図1に示すように、連結筒5aの下部は径方向外側に突出している。まあ内部部材5は、連結筒5aから下方に向けて延在してその後径方向外側に延在する下端部5bを備えている。また連結筒5aには、これを貫通する孔(連通口5c)が設けられていて、下端部5bには、これを貫通する孔(下端部連通口5d)が設けられている。
【0024】
ピストン6は、連結筒5aに挿通してシリンダー1の内部に配置される。本実施形態のピストン6は、円環状の基部6aを備えている。基部6aの外縁部には、基部6aから上方及び下方に向けて延在する外側摺動片6bが設けられている。外側摺動片6bは、筒壁部1bの内周面に対して摺動可能に液密に当接するものである。そして基部6aの内縁部には、基部6aから上方及び下方に向けて延在する内側摺動片6cが設けられている。内側摺動片6cの下部は、連結筒5aにおける径方向外側に突出した下部に液密に当接し、内側摺動片6cの上部は、筒状部材7における後述する拡径部7bの内周面に対して摺動可能に液密に当接する。
【0025】
筒状部材7は、全体的に筒状をなす部材である。筒状部材7は、円筒状をなすステム7aと、ステム7aの下端部に連結するとともにステム7aよりも大径になる拡径部7bを備えている。ステム7aに連結筒5aが挿入されると両者は嵌合されるため、内部部材5と筒状部材7は、シリンダー1に対して一体的に移動する。
【0026】
ホルダー8は、ステム7aの径方向外側に位置する部位と拡径部7bの径方向外側に位置する部位を持ち、筒壁部1bの内側に挿入されるホルダー基部8aを備えている。ホルダー基部8aの外周面は、筒壁部1bの内周面に嵌合保持されるように構成されていて、ホルダー基部8aを筒壁部1bに嵌合させることによって、内部部材5、ピストン6、筒状部材7のシリンダー1からの抜け出しを防止している。なお、ホルダー基部8aの上端部には径方向外側に向けて延在するフランジ8bが設けられていて、ホルダー基部8aを筒壁部1bの内側に挿入した際、フランジ8bはフランジ壁1cの上面に接触するため、ホルダー基部8aが過剰に挿入されることはない。
【0027】
パッキン9は、円環板状をなすものであって、シリンダー1の筒壁部1bに挿通されてこれに嵌合保持されている。ポンプ式吐出器100を不図示の容器に取り付けた際、パッキン9は容器の口部とフランジ壁1cに挟持される。これにより、例えば容器を倒した際に内容液が口部から溢れる等の不具合が防止される。
【0028】
キャップ10は、円板状をなしていて中央部に貫通孔を備える天壁10aを備えている。そして天壁10aの外縁部には、下方に向けて延在する円筒状の下側周壁10bが設けられている。下側周壁10bの内周面における上部は、径方向内側に向けて膨出してフランジ壁1cを嵌合保持することが可能であって、これによりシリンダー1は、キャップ10に保持される。また下側周壁10bの内周面には、容器の口部に設けた雄ねじ部に螺合する雌ねじ部10cが設けられていて、雄ねじ部と雌ねじ部10cとを螺合させることにより、キャップ10を容器に装着することができる。
【0029】
またキャップ10は、天壁10aの外縁部から上方に向けて延在する円筒状の上側周壁10dを備えている。上側周壁10dの内周面には、図3に示すように上側周壁10dの内周面を径方向外側に向けて凹ませた2つの凹部が設けられている。ここで、周方向長さが小さい凹部を第一凹部10eと称し、周方向長さが第一凹部10eより大きい凹部を第二凹部10fと称する。第一凹部10eと第二凹部10fは、上側周壁10dの上端部付近に設けられていて、後述する第一突起部11fと第二突起部11gの下方への移動を阻止するストッパーとして機能する。また上側周壁10dの内周面には、図3に示すように第一凹部10eと第二凹部10fから周方向にずれたところにおいて、図1に示すように上側周壁10dの上端部から下端部まで延在する2つの縦溝部を備えている。ここで、第一凹部10eと周方向長さが略同じ縦溝部を第一縦溝部10gと称し、第二凹部10fと周方向長さが略同じ縦溝部を第二縦溝部10hと称する。更に上側周壁10dの内周面には、第一凹部10eと第一縦溝部10gとをつなぐ第一接続部10jと、第二凹部10fと第二縦溝部10hとをつなぐ第二接続部10kを備えている。第一接続部10j及び第二接続部10kは、第一凹部10e及び第二凹部10fと同様に上側周壁10dの上端部付近に設けられていて、その上下方向の長さは第一凹部10e等と同一であるが、第一接続部10j及び第二接続部10kの内周面は、第一凹部10e等の内周面よりも径方向内側に位置している。
【0030】
更にキャップ10は、図2に示した如き天壁10aの上面から上方に向けて延在していて、上方に位置する先端部に対して天壁10aにつながる根元部の厚みが厚くなる弾性片10mを備えている。本実施形態の弾性片10mは、図3に示すように中心軸線Oに対して対向する配置で合計2つ設けられている。また弾性片10mは、図3図4A図4Cに示すように中心軸線Oを中心とした円弧板状の弾性片本体10nと、弾性片本体10nよりも幅狭であって(弾性片本体10nよりも周方向長さが短くなっていて)、弾性片本体10nの内周面中央部に位置する内側補強リブ10pと、弾性片本体10nの外周面中央部に位置する外側補強リブ10qを備えている。弾性片本体10nは、図4Cに示すように天壁10aの上面につながる下端部から中央部にかけて厚み(径方向に沿う長さ)が略同一になるように延在していて、上端部は外周面が径方向内側に倒れるように傾いている。そして内側補強リブ10pは、天壁10aの上面につながる下端部から上方に向かうにつれて径方向外側に傾くように延在して弾性片本体10nの上端部につながっている。すなわち内側補強リブ10pは、上端部から下端部に向かって厚み(径方向に沿う長さ)が徐々に厚くなるものである。また外側補強リブ10qは、弾性片本体10nの外周面に沿うように上下方向に延在するものであって、天壁10aの上面につながる下端部から中央部にかけて略同厚みで延在し、上端部は外周面が径方向内側に倒れるように傾いている。なお図4Cに示した仮想線は、後述する延出部11eに関し、ヘッド11がキャップ10に対して最も下降した下降限(ヘッド11がキャップ10に対して最も前進した前進限)に位置する状態での弾性片10mとの上下方向の位置関係を示している。
【0031】
ヘッド11は、図1に示すように、ステム7aが挿入されてこれに嵌合保持される円筒状の筒状部11aを備えている。筒状部11aの上部には、上面が下方に凹むように形作られ、内部に筒状部11aに通じる通路を有する頂部11bが設けられている。頂部11bには、筒状をなしていて径方向外側に向けて延在し、頂部11bの内部に設けた通路に通じるノズル11cが設けられている。ノズル11cの先端には、ポンプ式吐出器100によって内容液が吐出される吐出口11dが設けられている。
【0032】
またヘッド11は、図1図2図5に示すように頂部11b及びノズル11cから下方に向けて延出された延出部11eを備えている。本実施形態の延出部11eは、中心軸線Oを中心とする円筒状である。また延出部11eの下端部(先端部)は、図2図5に示すように、概ね下方に向かうにつれて径方向内側に狭まるように傾斜している。なお、図2では、弾性片10mは垂直方向に延在し、外側補強リブ10qの上端部に対して延出部11eの下端部が重なるように図示したが、実際にはこの重なりが解消されるように、弾性片10mは径方向内側に向けて若干傾いた状態にあって、ヘッド11は、図1図2に示した押圧する前の状態においては、キャップ10に対して最も上昇した上昇限(キャップ10に対して最も後退した後退限)まで移動している。
【0033】
更にヘッド11は、図1図3に示すように延出部11eの下端部から径方向外側に向けて突出する2つの突起部を備えている。ここで、周方向長さが小さい突起部を第一突起部11fと称し、周方向長さが第一突起部11fより大きい突起部を第二突起部11gと称する。なおヘッド11は、キャップ10に対して周方向に回転できるように構成されていて、第一突起部11fは、第一凹部10e、第一接続部10j、及び第一縦溝部10gの間を周方向に移動し、第二突起部11gは、第二凹部10f、第二接続部10k、及び第二縦溝部10hの間を周方向に移動する。
【0034】
カバー12は、有蓋筒状をなすものであって、図示したようにヘッド11を覆ってキャップ10に装着される。カバー12をキャップ10に装着することにより、吐出口11dに対する埃の付着やヘッド11を不用意に操作してしまう等の不具合を防止することができる。
【0035】
このような部材によって構成されるポンプ式吐出器100を使用するにあたっては、装着していたカバー12を取り外した後、ヘッド11をキャップ10に対して周方向に回転させて図3に示した状態にセットする(押圧可能状態)。ここで、ヘッド11を周方向に回転させる前の状態(図3に示した状態に対してヘッド11が時計回りに回転していて、第一突起部11fと第二突起部11gが第一凹部10eと第二凹部10fに収まっている状態)においては、上述したように第一凹部10eと第二凹部10fは上側周壁10dの上端部付近に設けられていて、第一突起部11fと第二突起部11gの下方への移動を阻止するストッパーとして機能するため、ヘッド11を不用意に押し下げてしまう不具合を防止することができる(押圧不能状態)。また、第一接続部10j及び第二接続部10kの内周面は、第一凹部10e等の内周面よりも径方向内側に位置しているため、ヘッド11を意図せず周方向に回転させてしまう不具合を防止することができる。なお、ヘッド11を図3に示した状態にセットし、第一突起部11fと第二突起部11gが第一縦溝部10gと第二縦溝部10hに収まっている状態においては、第一縦溝部10gと第二縦溝部10hは、上側周壁10dの上端部から下端部まで延在しているため、ヘッド11を押し下げることができる。
【0036】
そしてヘッド11を上方から押圧してヘッド11を下降させる(ヘッド11をキャップ10に向けて前進させる)と、図5に示すように、ステム7aがヘッド11とともに押し下げられる(中心軸線Oに沿ってステム7aがキャップ10に向けて移動する)。またステム7aが押し下げられるに伴い、連結筒5aも下降するため、連結筒5aにおける径方向外側に突出した下部とピストン6における内側摺動片6cの下部との液密な当接が解除される。そしてヘッド11を更に押し下げていくと、筒状部材7及び内部部材5とともにピストン6も下降して、シリンダー1の内部が加圧される。このためシリンダー1内の内容液は、下端部連通口5dと連通口5cを通過し、連結筒5a、ステム7a、筒状部11a、頂部11bの内部に設けた通路、及びノズル11cの内側を通って吐出口11dから外界に吐出される。なお、ヘッド11を押圧してピストン6が通気口1fよりも下降すると、不図示の容器は、通気口1fを介して外界と連通する。これにより容器に収容した内容液が減っても容器内は負圧化されず、容器がつぶれるように変形する不具合が防止される。
【0037】
またヘッド11が押し下げられると、延出部11eが弾性片10mに押圧力を付与するため、図5に示すように弾性片10mは径方向内側に撓んでいく。ここで本実施形態の弾性片10mにおいて、弾性片本体10nは、天壁10aにつながる下端部の厚み(径方向に沿う長さ)に対して上端部は薄くなっていて、また内側補強リブ10pも、その下端部の厚みに対して上端部は薄くなっている。すなわち、延出部11eによって最初に撓み始める弾性片10mの上端部は、その下端部よりも撓みやすくなっている。従って、ヘッド11を押し始めたときに弾性片10mから受ける反力はそれ程過大になることがないため、ヘッド11の操作性が損なわれることがない。
【0038】
その後、ヘッド11への押圧を解除すると、弾性変形していた弾性片10mの弾性力がヘッド11に作用し、ヘッド11は上昇し始める。これに伴い、連結筒5aにおける径方向外側に突出した下部と内側摺動片6cの下部が再び液密に当接しつつ、ピストン6が内部部材5とともに上昇するため、シリンダー1の内部が減圧される。これにより、弁体部2bが底壁部1aから離反して吸込口1dが開放されて、パイプ4を通して容器内の内容液をシリンダー1内に吸引させることができる。
【0039】
このように本実施形態のポンプ式吐出器100によれば、金属製のコイルスプリングを用いずとも、内容液を吐出させた後のヘッド11を復帰させることができ、従来のポンプ式吐出器と同じように使用することができる。また、弾性片10mの如き撓み変形可能な弾性片は、比較的大きな負荷でもって繰り返し撓ませるとへたりが生じて復元性が低下することがあるが、ポンプ式吐出器100では、弾性片10mの下端部の厚みを厚くしてこの部位の剛性を高めているため、へたりの影響を抑えることができる。
【0040】
次に、図6図7に示したポンプ式吐出器100の変形例について説明する。この変形例では、弾性片10mに換えて弾性片10rを備えている。本実施形態の弾性片10rも、中心軸線Oに対して対向する配置で合計2つ設けられている。また弾性片10rは、図7A図7Cに示すように中心軸線Oを中心とした円弧板状の弾性片本体10sと、弾性片本体10sよりも幅狭であって(弾性片本体10sよりも周方向長さが短くなっていて)、弾性片本体10sの内周面中央部に位置する内側補強リブ10tと、弾性片本体10sの外周面中央部に位置する外側補強リブ10uを備えている。なお図7Cに示した仮想線は、上述した延出部11eに関し、ヘッド11がキャップ10に対して最も下降した下降限(ヘッド11がキャップ10に対して最も前進した前進限)に位置する状態での弾性片10rとの上下方向の位置関係を示している。
【0041】
弾性片本体10sは、図7Cに示すように天壁10aの上面につながる下端部から中央部にかけて厚み(径方向に沿う長さ)が略同一になるように延在していて、上端部は外周面が径方向内側に倒れるように傾いている。そして内側補強リブ10tは、天壁10aの上面につながる下端部から上方に向かって厚み(径方向に沿う長さ)が略同一になるように延在している。なお内側補強リブ10tの上端部は、ヘッド11がキャップ10に対して下降限まで移動した状態において、延出部11eと略同じ高さかそれよりも下方に位置している。また外側補強リブ10uは、弾性片本体10sの外周面に沿うように上下方向に延在するものであって、天壁10aの上面につながる下端部から中央部にかけて略同厚みで延在し、上端部は外周面が径方向内側に倒れるように傾いている。このように本実施形態の弾性片10rは、上記のような弾性片本体10sと内側補強リブ10tを備えていて、上方に位置する先端部に対して天壁10aにつながる根元部の厚みが厚くなっている。
【0042】
図6図7A図7Cに示したポンプ式吐出器100の変形例によれば、ヘッド11が押し下げられると、延出部11eが押圧力を付与して弾性片10rは径方向内側に撓んでいく。上述したように弾性片10rにおいて、弾性片本体10sは、天壁10aにつながる下端部の厚み(径方向に沿う長さ)に対して上端部は薄くなっている。また内側補強リブ10tは、ヘッド11がキャップ10に対して下降限まで移動した状態において、延出部11eと略同じ高さかそれよりも下方に位置している。すなわち、延出部11eによって最初に撓み始める弾性片10rの上端部は、その下端部よりも撓みやすいため、本実施形態においてもヘッド11の操作性が損なわれることがない。また内側補強リブ10tによって、弾性片10rの下端部の厚みを厚くしてこの部位の剛性を高めているため、へたりの影響を抑えることができる。
【0043】
図8図9A図9Cは、図1等に示したポンプ式吐出器100の第二の変形例を示している。この変形例では、弾性片10mに換えて弾性片10vを備えている。本実施形態の弾性片10vも、中心軸線Oに対して対向する配置で合計2つ設けられている。また弾性片10vは、図9A図9Cに示すように中心軸線Oを中心とした円弧板状の弾性片本体10wと、弾性片本体10wよりも幅狭であって(弾性片本体10wよりも周方向長さが短くなっていて)、弾性片本体10wの外周面中央部に位置する外側補強リブ10xを備えている。
【0044】
弾性片本体10wは、図9Aに示すようにその内周面は下方から上方に向かって径方向外側に傾くように延在していて、外周面は下方から上方に向かって延在した後に径方向内側に傾くように延在している。すなわち弾性片本体10wは、上端部から下端部に向かって厚み(径方向に沿う長さ)が徐々に厚くなるものである。そして外側補強リブ10xは、弾性片本体10wの外周面に沿うように上下方向に延在するものであって、天壁10aの上面につながる下端部から中央部にかけて略同厚みで延在し、上端部は外周面が径方向内側に倒れるように傾いている。
【0045】
図8図9A図9Cに示したポンプ式吐出器100の変形例においても、ヘッド11が押し下げられると、延出部11eが押圧力を付与して弾性片10vは径方向内側に撓んでいく。上述したように弾性片10vにおいて、弾性片本体10wは、天壁10aにつながる下端部の厚み(径方向に沿う長さ)に対して上端部は薄くなっている。すなわち、延出部11eによって最初に撓み始める弾性片10vの上端部は、その下端部よりも撓みやすいため、本実施形態においてもヘッド11の操作性が損なわれることがない。また弾性片本体10wの下端部の厚みを厚くしてこの部位の剛性を高めているため、へたりの影響を抑えることができる。
【0046】
図10図14は、図1等に示したポンプ式吐出器100の第三の変形例を示している。この変形例は、形状が一部異なる部材を用いる点を除いて、基本的に図1等に示したポンプ式吐出器100と同じ機能を有する部材で構成されている。以下の説明では、図1等に示したポンプ式吐出器100と異なる機能を中心に説明することとし、機能が同一の部分については、図面に同一の符号を付して詳細な説明は省略する。なお、図10図11は、キャップ10に対するヘッド11の押し下げが阻止される押圧不能位置にヘッド11を回転させた状態を示していて、図12図13は、キャップ10に対してヘッド11の押し下げが可能な押圧可能位置にヘッド11を回転させた状態を示している。
【0047】
図10図11に示すようにこの変形例のキャップ10は、図1図4に示した如き天壁10a、下側周壁10b、雌ねじ部10c、上側周壁10d、第一凹部10e、第二凹部10f、第一縦溝部10g、第二縦溝部10h、第一接続部10j、第二接続部10k、弾性片10m、弾性片本体10n、内側補強リブ10p、外側補強リブ10qを備えている。
【0048】
そして図10図11に示すようにこの変形例のヘッド11は、図1図4に示した如き筒状部11a、頂部11b、ノズル11c、吐出口11d、延出部11e、第一突起部11f、第二突起部11gを備えている。変形例の延出部11eも、図10図11に示すように中心軸線Oを中心とする円筒状である。一方、変形例の延出部11eにおける内周部11hには、図11において弾性片10mに対して周方向に90°ずれたところに位置する接触部分11jと、弾性片10mに対して周方向で同じところに位置する非接触部分11kが設けられている。非接触部分11kは、内周部11hを接触部分11jよりも径方向外側に凹ませた形状で形作られていて、図11に示す状態において、弾性片10mは延出部11eと非接触の状態にある。そして接触部分11jと非接触部分11kとがつながる部分には、図11に示すように平面視で円弧状に延在して接触部分11jと非接触部分11kとの境界を滑らかにつなぐ円弧状の湾曲部分11mが設けられている。
【0049】
このような変形例のポンプ式吐出器100において、ヘッド11を図10図11に示した押圧不能位置に回転させると、第一突起部11fは第一凹部10eに収まっていて、第二突起部11gは第二凹部10fに収まっているため、ヘッド11をキャップ10に向けて押し下げることができない状態にある。すなわち、ヘッド11に意図せず力を加えてもヘッド11は押し下げられないため、内容液が不用意に吐出される不具合を防止することができる。
【0050】
また図10図11に示した状態において、ヘッド11の非接触部分11kは、キャップ10の弾性片10mに対して周方向で同じところに位置していて、弾性片10mは延出部11eと非接触である。撓み変形可能な弾性片は、常に撓ませておくとへたりが生じやすくなるが、本変形例では、ヘッド11を押圧不能位置に回転させることによって弾性片10mに負荷を与えていない状態になるため、このようなへたりを防止することができる。
【0051】
内容液を吐出させるときには、図12図13に示す状態になる位置(押圧可能位置)までヘッド11を回転させる。この状態においては、第一突起部11fが第一縦溝部10gに収まっていて、第二突起部11gが第二縦溝部10hに収まっている。また第一縦溝部10gと第二縦溝部10hは、上側周壁10dの上端部から下端部まで延在している。すなわち、ヘッド11をキャップ10に向けて押し下げることができる状態にある。
【0052】
また押圧可能位置においては、図13に示すように、キャップ10の弾性片10mに対してヘッド11の接触部分11jが周方向で同じところに位置していている。またこの位置において、図12に示すように接触部分11jの下端部は、弾性片10mの上端部(先端部)に接触している。なお図12では、接触部分11jの下端部と弾性片10mの上端部が重なるように図示したが、実際にはこの重なりが解消されるように、弾性片10mは径方向内側に向けて若干傾いた状態にあって、ヘッド11をキャップ10に対して最も上昇した上昇限まで移動させることができる。なお、上述したように接触部分11jと非接触部分11kとがつながる部分には、図13に示すように円弧状の湾曲部分11mが設けられている。すなわち、ヘッド11を押圧不能位置から押圧可能位置へ回転させる際、弾性片10mには接触部分11jよりも先にこの湾曲部分11mが接触するため、ヘッド11を回転させる際に接触部分11jが弾性片10mに引っ掛かる等の不具合を防止することができる。
【0053】
その後は、図14に示すようにヘッド11を押し下げることにより、内容液を外界に吐出させることができる。またヘッド11が押し下げられると、延出部11eの接触部分11jが弾性片10mに押圧力を付与するため、弾性片10mは径方向内側に撓んでいく。その後、ヘッド11への押圧を解除すると、弾性変形していた弾性片10mの弾性力がヘッド11に作用するため、図12に示すようにヘッド11を上昇させることができる。
【0054】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば上述した実施形態の構成は、適宜追加、削除が可能であり、また一の実施形態の構成を他の実施形態に設けることも可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0055】
例えば上述したポンプは一例であって、他の形式のポンプを採用した場合も本発明に含まれる。また、弾性片10m等の数やこれを設ける位置は、上述した実施形態に限られるものではなく、適宜変更可能である。そして弾性片10m等は、図示したように平面視で円弧状になるものに限られず、例えば平面視で直線状になるものでもよい。また延出部11eは円筒状になるものに限られず、例えば角筒状になるものでもよい。なお、本実施形態では弾性片10m等を中心軸線Oに対して対向する配置で設けていて、弾性片10m等からの弾性力はヘッド11に対して周方向に均等に加わることから、ヘッド11は上下方向に対して傾きが抑えられた状態で上下動する。このため弾性片10m等は、ヘッド11に対して周方向に均等に加わる配置で設けることが好ましい。また、本実施形態の弾性片10m等は合計2つであって、これを多数設ける場合に比して樹脂量を削減できるという利点がある。
【0056】
また本実施形態の弾性片10m等は、中心軸線Oに対して近づく向きに撓むものであったが、中心軸線Oから離れる向きに撓むものでもよい。なお、弾性片10m等が中心軸線Oに対して近づく向きに撓むものである場合は、上側周壁10dを弾性片10m等に近づけても撓んだ弾性片10m等と干渉することがないため、ポンプ式吐出器100のサイズを小さくできるという利点がある。
【0057】
本実施形態では、キャップ10に弾性片10m等を設け、ヘッド11に延出部11eを設けたが、延出部11eをキャップ10に設け、弾性片10m等をヘッド11に設けてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1:シリンダー
1a:底壁部
1b:筒壁部
1c:フランジ壁
1d:吸込口
1e:保持筒
1f:通気口
2:弁部材
2a:基部
2b:弁体部
2c:連結片
4:パイプ
5:内部部材
5a:連結筒
5b:下端部
5c:連通口
5d:下端部連通口
6:ピストン
6a:基部
6b:外側摺動片
6c:内側摺動片
7:筒状部材
7a:ステム
7b:拡径部
8:ホルダー
8a:ホルダー基部
8b:フランジ
9:パッキン
10:キャップ
10a:天壁
10b:下側周壁
10c:雌ねじ部
10d:上側周壁
10e:第一凹部
10f:第二凹部
10g:第一縦溝部
10h:第二縦溝部
10j:第一接続部
10k:第二接続部
10m:弾性片
10n:弾性片本体
10p:内側補強リブ
10q:外側補強リブ
10r:弾性片
10s:弾性片本体
10t:内側補強リブ
10u:外側補強リブ
10v:弾性片
10w:弾性片本体
10x:外側補強リブ
11:ヘッド
11a:筒状部
11b:頂部
11c:ノズル
11d:吐出口
11e:延出部
11f:第一突起部
11g:第二突起部
11h:内周部
11j:接触部分
11k:非接触部分
11m:湾曲部分
12:カバー
100:ポンプ式吐出器
O:中心軸線
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14