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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173594
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B25C 7/00 20060101AFI20241205BHJP
   B25C 1/06 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
B25C7/00 A
B25C1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186729
(22)【出願日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2023090408
(32)【優先日】2023-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相澤 宗太郎
(72)【発明者】
【氏名】西河 智雅
(72)【発明者】
【氏名】安富 俊徳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】川又 隆
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068BB01
3C068CC07
3C068HH19
(57)【要約】
【課題】作業機の作業性を向上させる。
【解決手段】打込機10は、射出部13に供給された釘78を打撃する打撃部12と、射出部13に取り付けられるハウジング11と、相手材30に当接することで第1位置から第2位置に移動可能なプッシュレバー79と、プッシュレバー79の一部を覆うことで、プッシュレバー79が相手材30に当接することなく移動することを規制するガードカバー38と、を備える。さらに、打込機10は、ガードカバー38がプッシュレバー79を覆う状態でガードカバー38を固定するねじ56を備える。ねじ56によるガードカバー38の固定は、ハウジング11が射出部13に取り付けられた状態で、解除不能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
止具が供給される射出部と、
前記射出部に供給された前記止具を第1方向の一方側へ打撃する打撃部と、
前記射出部に取り付けられるハウジングと、
相手材に当接することで第1位置から第2位置に移動可能な当接部と、
前記当接部の少なくとも一部を覆うことで、前記当接部が相手材に当接することなく前記第1位置から前記第2位置に移動することを規制するカバー部材と、
前記カバー部材が前記当接部を覆う状態で前記カバー部材を固定するカバー固定部と、
を備え、
前記カバー固定部による前記カバー部材の固定は、前記ハウジングが前記射出部に取り付けられた状態で解除不能である、作業機。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記カバー固定部を覆う、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記第1方向と交差する第2方向を左右方向としたとき、
前記ハウジングは、右側ハウジングと、該右側ハウジングと対向して配置される左側ハウジングと、を含み、
前記右側ハウジングと前記左側ハウジングとを固定するハウジング固定部をさらに有し、
前記ハウジング固定部は、右側から前記ハウジングに挿通され、
前記カバー固定部は、左側から前記カバー部材に挿通される、請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記第1方向を上下方向としたとき、
前記打撃部を上方へ移動させる回転部と、
前記回転部を回転させる駆動力を付与するモータと、
前記モータの駆動を制御するとともに複数の配線を含む制御部と、を有し、
前記複数の配線の少なくとも一部は、前記左側ハウジングに支持される、請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記第1方向において、前記射出部の下端部から前記回転部の位置と同じ高さまで延びている、請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記射出部は、前記回転部が収容される回転部収容部を有し、
前記カバー部材の一部は、前記回転部収容部の下方に配置されている、請求項4に記載の作業機。
【請求項7】
前記当接部は、前記第1方向に移動可能であるとともに、当接部本体部と、前記第1方向の一方側の端部に位置して相手材と当接する先端部と、前記先端部よりも前記第1方向の他方側に位置して前記当接部本体部から突出する段差部と、を有し、
前記カバー部材は、少なくとも前記段差部を覆う、請求項1に記載の作業機。
【請求項8】
前記先端部は、前記射出部から射出された前記止具が通過する射出口を有する、請求項7に記載の作業機。
【請求項9】
前記カバー固定部は、前記カバー部材を前記射出部に固定する、請求項1に記載の作業機。
【請求項10】
前記射出部は、
第1射出部材と、
前記第1射出部材に対して前記第1方向と交差する第3方向の一方側に位置し、前記第1射出部材との間に前記止具が通過する射出路を形成する第2射出部材と、
前記第1射出部材と前記第2射出部材とを互いに固定する射出部固定部と、を含み、
前記射出部固定部は、前記カバー固定部が前記カバー部材を固定した状態で、前記第1射出部材と前記第2射出部材との固定を解除可能である、請求項9に記載の作業機。
【請求項11】
前記カバー部材は、前記第1射出部材を前記第3方向の他方側から覆うように固定され、
前記射出部固定部は、前記第3方向の一方側から前記第1射出部材および前記第2射出部材に挿通されて螺合されるねじである、請求項10に記載の作業機。
【請求項12】
前記止具を前記射出部に供給するマガジンを更に備え、
前記マガジンは、前記カバー部材が前記ハウジングから取り外された状態で、前記止具を前記射出部に供給不能である、請求項1に記載の作業機。
【請求項13】
前記マガジンは、内部に複数の前記止具を収容する円筒形状の本体部と、前記本体部から前記射出部へ前記止具を供給する通路を形成する供給路と、を有し、
前記供給路の少なくとも一部を形成する壁部が、前記カバー部材が前記ハウジングから取り外された状態で前記カバー部材に支持される、請求項12に記載の作業機。
【請求項14】
前記壁部は、前記供給路内の前記止具が前記射出部から離反する方向に移動することを規制する規制部材を有する、請求項13に記載の作業機。
【請求項15】
前記カバー部材は、前記当接部が前記第2位置に位置することを検知可能な当接部検知部を有し、
前記当接部検知部は、前記カバー部材が前記ハウジングから取り外された状態において、前記当接部が前記第2位置に位置することを検知不能である、請求項1に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打込機等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機の一例として、止具の射出路を形成する射出部と、前記射出路に配置された止具を打撃する打撃部と、前記打撃部を収容するハウジングと、前記射出部に対して移動および停止可能であり、相手材に当接すると前記射出部に対して移動するプッシュレバーと、を有する打込機が知られている。
【0003】
上述のような打込機として、例えば、特許文献1には、プッシュレバーの一部がハウジングから露出した構造の打込機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-103291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に記載された打込機では、プッシュレバーの一部がハウジングから露出している。具体的には、プッシュレバーの相手材に当接させる当接部と、相手材に当接させる必要がない非当接部とが打込機のハウジングから露出している。このため、打込み作業においては、作業者が、プッシュレバーの当接部以外の部分(例えば、上記非当接部)を周囲部材等に接触させないように回避しつつプッシュレバーの押込み操作を行う必要がある。
【0006】
このとき、打込み作業の作業性を向上させるために、プッシュレバーを覆うカバーを打込機に設けることが考えられる。しかしながら、カバーを固定する固定部が誤って取り外されてしまうと、プッシュレバーが誤って押込み操作されて打込み作業の作業性が損なわれる可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、作業性を向上させた作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の作業機は、止具が供給される射出部と、前記射出部に供給された前記止具を第1方向の一方側へ打撃する打撃部と、前記射出部に取り付けられるハウジングと、相手材に当接することで第1位置から第2位置に移動可能な当接部と、前記当接部の少なくとも一部を覆うことで、前記当接部が相手材に当接することなく前記第1位置から前記第2位置に移動することを規制するカバー部材と、前記カバー部材が前記当接部を覆う状態で前記カバー部材を固定するカバー固定部と、を備え、前記カバー固定部による前記カバー部材の固定は、前記ハウジングが前記射出部に取り付けられた状態で解除不能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業機の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施1の形態の作業機の構造を示す斜視図である。
図2】実施の形態1の作業機の構造を示す左側側面図である。
図3】実施の形態1の作業機の構造を示す右側側面図である。
図4】実施の形態1の作業機の内部構造を示す側面断面図である。
図5】実施の形態1の作業機のカバー部材を外した構造を示す斜視図である。
図6図5に示される作業機の構造を示す左側側面図である。
図7図5に示される作業機の構造を示す右側側面図である。
図8】実施の形態1の作業機においてカバー固定部の取付位置を一部破断して示す左側側面図である。
図9図8に示されるカバー固定部の構造を示す部分拡大斜視図である。
図10図2のA-A線に沿って切断した構造を示す断面図である。
図11図2のB-B線に沿って切断した構造を示す部分断面図である。
図12図11に示される構造において第1射出部材と第2射出部材とを離脱させた構造を示す部分断面図である。
図13】実施の形態1の作業機においてプッシュレバーがオフ位置の状態を示す左側側面図である。
図14】実施の形態1の作業機においてプッシュレバーがオン位置の状態を示す左側側面図である。
図15】実施の形態1の変形例の作業機の構造を示す断面図である。
図16】本発明の実施の形態2の作業機の構造を示す左側側面図である。
図17図16に示される作業機の内部構造を左側から見た側面断面図である。
図18図16に示される作業機の構造を示す右側側面図である。
図19図16に示される作業機のハウジングを外してカバー部材の固定状態を示す左側側面図である。
図20図16に示される作業機の内部構造を右側から見た側面断面図である。
図21図16に示される作業機の右側ハウジングを外して内部構造を見た正面図である。
図22図16に示される作業機の内部構造を示す正面図である。
図23図16に示される作業機のヘッドカバーを残し左右のハウジングを外して内部構造を左側から見た側面図である。
図24図16に示される作業機のフィーダ部の後退位置の構造を示す平面図である。
図25図16に示される作業機のフィーダ部の前進位置の構造を示す平面図である。
図26図16に示される作業機のフィーダ部の解放状態の構造を示す平面図である。
図27図16に示される作業機の分解前の構造を示す外観斜視図である。
図28図27に示される作業機のヘッドカバーと左右のハウジングを外して内部構造を示す斜視図である。
図29図28に示される構造においてソレノイドカバーを外して内部構造を示す斜視図である。
図30図29に示される構造においてカバー部材を外して左手前から内部を見た構造を示す斜視図である。
図31図29に示される構造においてカバー部材を外して右手前から内部を見た構造を示す斜視図である。
図32図29に示される構造においてカバー部材を外して右側から見た内部構造を示す側面図である。
図33図16に示される作業機のネイルガイド支持構造を示す斜視図である。
図34図33に示されるネイルガイド支持構造を左側後方から見た斜視図である。
図35図33に示されるネイルガイド支持構造を分解して見た斜視図である。
図36図16に示される作業機のヘッドカバーと左右のハウジングを外して内部構造を示す正面図である。
図37図36に示される内部構造のプッシュレバーON状態を左側から見た側面図である。
図38図36に示される内部構造のプッシュレバーOFF状態を左側から見た側面図である。
図39図37に示される内部構造においてカバー部材を外してプッシュレバーON状態を左側から見た側面図である。
図40図39に示される内部構造のプッシュレバーON状態を左側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
図1図4に示される打込機(作業機)10は、空気圧縮式の作業機であり、ハウジング11、打撃部12、射出部13、電源部14、電動モータ(モータ)15、減速機構16、巻き上げ機構17及び蓄圧容器18を有する。図1図3に示されるように、ハウジング11は、打込機10の外殻要素であり、シリンダケース19、ハンドル20、モータケース21及び装着部22を有する。シリンダケース19は筒形状であり、ハンドル20及びモータケース21は、シリンダケース19に接続されている。また、装着部22は、ハンドル20及びモータケース21に接続されている。
【0012】
本実施の形態1では、シリンダケース19が延びる方向を上下方向(第1方向)M1と定義し、上下方向(第1方向)M1と直交する方向を左右方向(第2方向)R1と定義する。さらに、上下方向(第1方向)M1と左右方向(第2方向)R1とに直交し、モータケース21が延びる方向を前後方向(第3方向)N1と定義する。
【0013】
ハウジング11は、左右2つ割り構造となっており、右側に位置する右側ハウジング11aと、左側に位置する左側ハウジング11bとからなる。右側ハウジング11aと、左側ハウジング11bとは対向して配置され、右側ハウジング11aと左側ハウジング11bとが組付けられた状態で、図3に示されるように、14箇所においてねじ(ハウジング固定部)55により固定されている。
【0014】
ねじ55によって右側ハウジング11aと左側ハウジング11bとが組付けられる際には、ねじ55は、右側から右側ハウジング11aに挿通され、その後、左側ハウジング11bに係合する。これにより、ねじ55により右側ハウジング11aと左側ハウジング11bとが固定される。
【0015】
電源部14は、装着部22に取り付け及び取り外しが可能である。電動モータ15は、モータケース21内に配置されている。蓄圧容器18は、キャップ23と、キャップ23が取り付けられるホルダ24と、を有する。シリンダケース19には、ヘッドカバー25が取り付けられており、蓄圧容器18は、シリンダケース19内及びヘッドカバー25内に亘って配置されている。
【0016】
図4に示されるように、シリンダケース19内には、シリンダ27が収容されている。シリンダ27は、金属製、例えば、アルミニウム製または鉄製である。シリンダ27は、シリンダケース19に対して中心線A1に沿った方向及び径方向に位置決めされている。中心線A1は、シリンダ27の中心を通る。径方向は、中心線A1を中心とする仮想円の径方向である。また、蓄圧容器18内及びシリンダ27内に亘って圧力室26が形成されている。圧力室26には、圧縮気体が充填されている。圧縮気体は、空気の他、不活性ガスを用いることができる。不活性ガスは、一例として、窒素ガス、希ガスを含む。本実施の形態1では、圧力室26に空気が充填されている例を説明する。なお、圧力室26は、打撃部12を上下方向(第1方向)M1の下方(一方)側へ付勢する付勢部でもある。
【0017】
打撃部12は、ハウジング11の内部から外部に亘って配置されている。打撃部12は、ピストン28及びドライバブレード29を有する。ピストン28は、シリンダ27内で中心線A1に沿った方向に作動可能である。ピストン28の外周面に、環状のシール部材84が取り付けられている。シール部材84は、シリンダ27の内周面に接触してシール面を形成する。ドライバブレード29は、一例として金属製、非鉄金属製、鋼製である。ピストン28とドライバブレード29とが別部材で設けられ、ピストン28とドライバブレード29とが連結されている。
【0018】
したがって、打撃部12は、上下方向(第1方向)M1の下方(一方)側へ移動することで、釘(止具)78を打撃可能である。
【0019】
図4に示される射出部13は、釘78が供給される部分を備え、後述する図10に示されるように、シリンダ27を支持するノーズ部32と、ドライバブレード29の移動を案内するブレードガイド34と、を含む。
【0020】
右側ハウジング11aと左側ハウジング11bとが組付けられる際には、右側ハウジング11aと左側ハウジング11bは、それぞれノーズ部32に嵌合される。言い換えれば、右側ハウジング11aと左側ハウジング11bは、射出部13のノーズ部32に取り付けられている。
【0021】
ノーズ部32は、シリンダケース19の内外に亘って配置されている。ノーズ部32は、円筒形状のバンパ支持部31及び筒状のピンホイール収容部(回転部収容部)33を有する。バンパ支持部31内には、バンパ35が配置されている。バンパ35は合成ゴム製、シリコンゴム製の何れでもよい。バンパ35はガイド孔36を有する。中心線A1はガイド孔36内を通る。
【0022】
図4に示されるように、ドライバブレード29は、バンパ支持部31のガイド孔内及びガイド孔36内に配置されている。打撃部12は、中心線A1に沿った打込方向D1及び復帰方向D2で作動できる。打込方向D1と復帰方向D2とは、互いに逆方向である。打込方向D1は、ピストン28がバンパ35に接近する方向である。復帰方向D2は、ピストン28がバンパ35から離間する方向である。打撃部12は、圧力室26の気体圧力で打込方向D1に常に付勢されている。打撃部12が打込方向D1で作動することを、下降と定義可能である。打撃部12が復帰方向D2で作動することを、上昇と定義可能である。打込方向D1は、上下方向(第1方向)M1の下方(一方)側と同一である。復帰方向D2は、上下方向(第1方向)M1の上方(他方)側と同一である。
【0023】
また、ノーズ部32は、バンパ支持部31から中心線A1に沿った方向に突出している。射出部13は釘78が配置される射出路37を有し、射出路37は中心線A1に沿って設けられている。ドライバブレード29は、射出路37内で中心線A1に沿った方向に作動できる。
【0024】
また、モータケース21内には、電動モータ15が配置されている。電動モータ15は、ロータ39及びステータ40を有する。ステータ40は、モータケース21に取り付けられている。ロータ39は、ロータ軸41に取り付けられ、ロータ軸41の端部は、軸受42を介してモータケース21により回転可能に支持されている。電動モータ15は、ブラシレスモータであり、電動モータ15に電圧が印加されると、ロータ39は、中心線A2を中心として回転する。
【0025】
さらに、モータケース21内には、ギヤケース43が設けられている。ギヤケース43は筒形状である。ギヤケース43内には、減速機構16が設けられている。減速機構16は、複数組のプラネタリギヤ機構を備えている。減速機構16の入力要素は、動力伝達軸44を介してロータ軸41に連結されている。動力伝達軸44は、軸受45により回転可能に支持されている。
【0026】
また、後述するピンホイール50が収容されるピンホイール収容部33内には、回転軸46が設けられている。回転軸46は軸受48,49により回転可能に支持されている。ロータ軸41、動力伝達軸44、減速機構16及び回転軸46は、中心線A2を中心として同心状に配置されている。減速機構16の出力要素47と回転軸46とが同心状に配置され、かつ、出力要素47と回転軸46とが一体回転する。減速機構16は、電動モータ15から回転軸46に至る動力伝達経路に配置されている。巻き上げ機構17は、回転軸46の回転力を、打撃部12を復帰方向D2で付勢する力に変換する。
【0027】
また、打込機10には、トリガ53及びトリガセンサ85が設けられている。トリガ53及びトリガセンサ85は、ハンドル20に設けられている。トリガセンサ85は、トリガ53に加わる操作力の有無を検出し、かつ、検出結果に応じた信号を出力する。
【0028】
電源部14は、収容ケース76と、収容ケース76内に収容されたバッテリとを有する。上記バッテリは、複数の電池セルを有する。これら電池セルは、充電及び放電が可能な二次電池であり、電池セルは、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケルカドミウム電池等、公知の電池セルを任意に用いることができる。
【0029】
また、打込機10には、マガジン77が設けられている。マガジン77は、ノーズ部32及び装着部22により支持されている。マガジン77内には、釘(止具)78が収容される。マガジン77はフィーダを有し、フィーダは、マガジン77内の釘78を射出路37へ送る。すなわち、フィーダは、マガジン77内の釘78を前後方向(第2方向)N1の前方側へ移動させる。なお、ノーズ部32は、例えば、金属製である。
【0030】
ノーズ部32には、プッシュレバー(当接部)79が取り付けられている。プッシュレバー79は、ノーズ部32に対して中心線A1に沿って方向の所定範囲内で作動できる。プッシュレバー79は、スイッチ部材である。具体的には、相手材30に当接することで第1位置(スイッチオフの位置)から第2位置(スイッチオンとなる位置)に移動可能である。また、図5及び図6に示されるように、射出部13には、プッシュレバー79を図4の中心線A1に沿った方向に付勢する弾性部材80が設けられている。弾性部材80は、一例として金属製のスプリングであり、弾性部材80は、プッシュレバー79をバンパ支持部31から離間する向きで付勢する。すなわち、プッシュレバー79は、弾性部材80によって常時上下方向M1の下方側に付勢されている。したがって、プッシュレバー79は、その先端部79aが相手材30に押し付けられていない状態では、常時、第1位置(スイッチオフの位置)にいる。一方、プッシュレバー79は、その先端部79aが相手材30に押し付けられて上記第1位置より上方側の所定の位置(第2位置)まで移動すると、スイッチオンとなる。
【0031】
ここで、打込機10には、ノーズ部32にホールICセンサ59が設けられている(図10参照)。ホールICセンサ59は、プッシュレバー79の位置を検出するセンサである。具体的には、図5に示されるように、プッシュレバー79にセンサマグネット60が取り付けられ、一方、センサマグネット60を検出可能なホールICセンサ59がノーズ部32に取り付けられている。したがって、ホールICセンサ59がセンサマグネット60を検出することにより、プッシュレバー79の位置を検出することができる。
【0032】
次に、打込機10が備えるコントローラ82について説明する。コントローラ82は、装着部22内に設けられており、主に、電動モータ15の駆動を制御する。コントローラ82は、マイクロプロセッサを有する。また、図4に示されるように、モータケース21内には、モータ基板83が設けられている。そして、モータ基板83には、図示しないインバータ回路が設けられている。このインバータ回路は、電動モータ15のステータ40と電源部14とを接続及び遮断する。上記インバータ回路は、複数のスイッチング素子を備え、これら複数のスイッチング素子はそれぞれオン・オフが可能である。コントローラ82は、上記インバータ回路を制御することにより、電動モータ15の回転及び停止、あるいは電動モータ15の回転数、電動モータ15の回転方向を制御する。
【0033】
打込み作業では、プッシュレバー79が、図4に示される相手材30に押し付けられて所定の位置(第2位置)に移動するとオンとなり信号を出力する。また、トリガ53が操作されてトリガセンサ85がオンになると信号を出力する。
【0034】
そして、ホールICセンサ59及びトリガセンサ85から出力される信号は、コントローラ82に入力される。コントローラ82は、入力される各信号を処理して、上記インバータ回路を制御する。このようにコントローラ82は、電動モータ15、トリガセンサ85及びホールICセンサ59等とそれぞれ配線54を介して電気的に接続されている。これにより、コントローラ82は、電動モータ15の停止、回転、回転方向および回転速度を制御する。本実施の形態1における制御部は、コントローラ82、ホールICセンサ59、及び、トリガセンサ85の他、作業者に操作されてコントローラ82の動作モードを切り替える図示しないスイッチパネル、電源部14に接続されて電源及び信号が入力される図示しないターミナル、ピンホイール50の回転位置またはドライバブレード29の上下方向位置を検出する図示しない位置検出センサ、及び、これらの要素間やこれらの要素と電動モータ15との間を接続する複数の配線54などを含む。なお、ホールICセンサ59、トリガセンサ85、位置検出センサ、及び、複数の配線54のうちこれらのセンサとコントローラ82とを接続する配線は、左側ハウジング11bに支持されている。コントローラ82、電動モータ15、トリガ53、スイッチパネル、及び、ターミナルは、左側ハウジング11bと右側ハウジング11aとに挟まれて支持されている。複数の配線54のうち、電動モータ15とコントローラ82との間を接続する配線、及び、ターミナルとコントローラ82との間を接続する配線は、左側ハウジング11bと右側ハウジング11aのいずれにも支持されていない。
【0035】
また、図1及び図2に示されるように、射出部13には、打込機10による釘78の打込み深さを調整するためのダイヤル式のアジャスタ52が取り付けられている。すなわち、作業者は、打込み作業時に、アジャスタ52を回すことで打込機10による釘78の打込み深さを調整可能である。
【0036】
次に、打込機10が備える巻き上げ機構17について説明する。巻き上げ機構17は、図4に示されるように、ドライバブレード29、ドライバブレード29に設けられた複数のラック61、ピンホイール(回転部)50、及びピンホイール50に設けられた複数のピン51を含む。中心線A1に対して垂直な平面内で、ドライバブレード29の断面形状は、略四角形である。複数のラック61は、ドライバブレード29と一体で、かつ、上下方向M1に並んで設けられている。
【0037】
一方、ピンホイール50は、ノーズ部32のピンホイール収容部(回転部収容部)33に収容されるとともに、回転軸46に取り付けられている。ピンホイール50は、電動モータ15の駆動力によって回転する回転部である。言い換えると、電動モータ15は、ピンホイール50に該ピンホイール50を回転させる駆動力を付与する。ピンホイール50は、一例として金属製、非鉄金属製、鋼製である。ピンホイール50は中心線A2を中心として回転する。中心線A2は、打撃部12の作動方向に対して交差する方向で、ドライバブレード29から左右方向(第2方向、図10参照)R1に離間して配置されている。
【0038】
また、ピンホイール50は、電動モータ15の回転力で図10において時計回りに回転し、打撃部12を上下方向M1の上方側へ移動させる回転部である。ピンホイール50は、その回転方向に並んで設けられる複数のピン51を有している。複数のピン51は、ピンホイール50とは別体で設けられており、ピンホイール50の円盤面から突出するようにピンホイール50に固定されている。
【0039】
そして、ピンホイール50の複数のピン51と、ドライバブレード29の複数のラック61とは、図4の中心線A2に沿った方向で重なる位置に設けられ、互いに係合する位置関係となっている。
【0040】
次に、図1図4に示される打込機10の動作例について説明する。コントローラ82は、トリガ53に操作力が加えられていないこと、またはプッシュレバー79が相手材30に押し付けられていないこと、のうち、少なくとも一方を検出すると、電動モータ15に対する電力の供給を停止する。このため、電動モータ15は停止し、打撃部12は待機位置で停止している。
【0041】
コントローラ82は、トリガ53に操作力が付加されていること、及びプッシュレバー79が相手材30に押し付けられていること、を検出すると、電源部14から電動モータ15に電圧を印加させ、電動モータ15を正回転させる。これにより、打込み動作を開始する。電動モータ15の回転力は、減速機構16を経由して回転軸46に伝達される。すると、回転軸46及びピンホイール50は、図10に示される時計回りに回転し、打撃部12が上昇する。打撃部12が上昇すると、圧力室26の気体圧力が上昇する。減速機構16は、ピンホイール50の回転速度を、電動モータ15の回転速度よりも低速にする。
【0042】
ピンホイール50の上記時計回りの回転方向における最終のピン51が最終のラック61から離間すると、打撃部12は、圧力室26の気体圧力で下降する。最終のピン51が最終のラック61から離間した時点における打撃部12の位置が上死点である。打撃部12が圧力室26の気体圧力で下降することで、ドライバブレード29が射出路37に位置する1本の釘78を打撃し、釘78は相手材30に打ち込まれる。
【0043】
ピストン28は、釘78が相手材30に打ち込まれた後、バンパ35に衝突する(下死点に到達する)。バンパ35は中心線A1に沿った方向の荷重を受けて弾性変形し、打撃部12の運動エネルギの一部を吸収する。
【0044】
コントローラ82は、打撃部12が釘78を打ち込んで下死点に到達した後も、電動モータ15の回転を継続させる。このため、ピンホイール50が上記時計回りに回転すると、第1番目のピン51が第1番目のラック61に接近する。
【0045】
そして、第1番目のピン51が、第1番目のラック61に係合すると、打撃部12は、ピンホイール50の回転力で下死点から待機位置に向けて作動する。その後、ピンホイール50の複数のピン51とドライバブレード29の複数のラック61とが順次係合及び離間することで、ドライバブレード29が上方側に向けて巻き上げられる。コントローラ82は、打撃部12が待機位置に到達したことを検出すると、電動モータ15を停止させ、ピンホイール50の回転が止まる。
【0046】
次に、本実施の形態1の打込機10が備えるガードカバー38について説明する。図1図4に示されるように、打込機10は、その射出部13にガードカバー(カバー部材)38を備えている。ガードカバー38は、図5に示されるプッシュレバー79の少なくとも一部を覆っている。具体的には、図1図4に示されるように、ガードカバー38は、図5図7に示されるプッシュレバー79の先端付近からプッシュレバー79のアジャスタ52が配置されている付近までを覆っている。
【0047】
なお、プッシュレバー79は、上下方向(第1方向)M1に移動可能であるとともに、プッシュレバー本体部(当接部本体部)79gと、上下方向M1の一方(下方)側の端部に位置して相手材30と当接する先端部79aと、先端部79aよりも上下方向M1の他方(上方)側に位置してプッシュレバー本体部79gから突出するアジャスタ支持部(段差部)79bと、を有している。詳細には、プッシュレバー79は、プッシュレバー本体部79g、先端部79a及びアジャスタ支持部79bを含む第1プッシュレバー79dと、第1プッシュレバー79dより前後方向(第3方向)N1の後方側に配置され、かつ、センサマグネット60が取り付けられる第2プッシュレバー79eと、からなる。また、先端部79aには、凸部(段差部)79fが設けられている。さらに、先端部79aは、図10に示されるように、射出部13から射出された釘78(図4参照)が通過する射出口79cを有している。
【0048】
そして、プッシュレバー79は、その先端部79aを相手材30に押し付けるとONになるスイッチ部材である。したがって、プッシュレバー79は、先端部79aを相手材30に押し付けられるように外部に露出させる必要がある。ただし、プッシュレバー79の先端部79aより上方側の部分、すなわち、プッシュレバー本体部79gやアジャスタ支持部79bは、作業者が意図せずプッシュレバー79の押込み操作を行わないように覆うことが必要である。また、プッシュレバー79の先端部79aには、射出口79cがあるため、作業者が先端部79aを容易には押せないようにすることが好ましい。
【0049】
そこで、本実施の形態1の打込機10には、プッシュレバー79のプッシュレバー本体部79g及びアジャスタ支持部79bを含む部分と、先端部79aの一部と、ノーズ部32の一部と、を覆う、図8及び図10に示されるようなガードカバー(カバー部材)38が設けられている。すなわち、打込機10には、プッシュレバー79やその先端部79aの射出口79cの周りを覆うガードカバー38が設けられている。なお、プッシュレバー79は、第1位置(スイッチオフの位置)から第2位置(スイッチオンとなる位置)に移動可能である。第1位置では、図13に示されるように、プッシュレバー79の先端部79aの大部分がガードカバー38から突出しており、この状態ではスイッチオフである。
【0050】
一方、プッシュレバー79の先端部79aが相手材30に押し付けられて、プッシュレバー79が第1位置より上方側の第2位置に移動すると、図14に示されるように、プッシュレバー79の先端部79aの大部分がガードカバー38内に引っ込んだ状態となり、この状態でスイッチオンとなる。
【0051】
したがって、ガードカバー38は、プッシュレバー79が相手材30に当接することなく第1位置(スイッチオフの位置)から第2位置(スイッチオンとなる位置)に移動することを規制する。つまり、ガードカバー38は、プッシュレバー79が相手材30に当接することなく上方側へ移動することを規制するカバー部材である。
【0052】
詳細には、ガードカバー38は、プッシュレバー79を覆う状態で固定されている。ガードカバー38は、図4及び図8に示されるように、ねじ(カバー固定部)56によって射出部13のノーズ部32に固定されている。言い換えると、ねじ56は、ガードカバー38を射出部13のノーズ部32に固定している。本実施の形態1では、ガードカバー38は、3カ所でねじ56によってノーズ部32に固定されている。つまり、ガードカバー38は、3本のねじ56によってノーズ部32に固定されている。
【0053】
具体的には、図8に示されるように、ガードカバー38は、打込機10の左側において2本のねじ56によって固定されている。2本のねじ56のうち、ねじ56bは、下方側に取り付けられ、ねじ56cは、ねじ56bより上方側に取り付けられている。また、ガードカバー38は、図3及び図4に示されるように、打込機10の右側において1本のねじ56aによって固定されている。ここで、図10に示されるように、打込機10の左側においてガードカバー38を固定する2本のねじ56のうち、上方側に配置されるねじ56cは、左側ハウジング11bによって覆われており、外部に露出していない。したがって、ガードカバー38を固定する3本のねじ56のうちの1本のねじ56cについては、左側ハウジング11bがノーズ部32に取り付けられた状態では、固定を解除不能である。すなわち、ガードカバー38を固定する3本のねじ56のうちの1本のねじ56cは、左側ハウジング11bによって覆われていて外部に露出していないため、取り外すことができない。
【0054】
これにより、本実施の形態1の打込機10においては、ガードカバー38は、左側ハウジング11bがノーズ部32に取り付けられた状態では、ノーズ部32から取り外すことができない。つまり、ガードカバー38は、右側ハウジング11aが左側ハウジング11bに取り付けられた状態では、ノーズ部32から取り外すことができない。換言すると、ガードカバー38は、右側ハウジング11aが左側ハウジング11bから取り外された状態であって、より詳細には、左側ハウジング11bがノーズ部32に取り外された状態のみで、ノーズ部32から取り外すことができる。
【0055】
なお、図1及び図2に示されるように、ガードカバー38には、その一部に開口部38aが設けられており、この開口部38aにアジャスタ52の一部が露出している。したがって、作業者は、打込み作業時に、ガードカバー38が取り付けられた状態であってもアジャスタ52を回すことができ、釘78の打込み深さを調整することができる。
【0056】
また、ガードカバー38を固定する3本のねじ56は、図9に示されるように、ガードカバー38を固定するための特殊な形状のねじ56であり、そのねじ頭の形状が十字型凸部56dとなっている。したがって、ねじ56は、ねじ56に係合可能な専用工具でしか回すことができない。つまり、打込機10では、作業者がねじ56を取り外すことが容易ではない。さらに、ねじ56が容易に取り外せないため、打込機10では、ガードカバー38を取り外すことが非常に困難である。
【0057】
また、図10に示されるように、打込機10のハウジング11は、左右2つ割り構造となっており、右側に位置する右側ハウジング11aと、左側に位置する左側ハウジング11bとから構成される。具体的には、シリンダ27と、シリンダ27を支持するノーズ部32とからなる構造体の右側に右側ハウジング11aが配置され、シリンダ27と、シリンダ27を支持するノーズ部32とからなる構造体の左側に左側ハウジング11bが配置されている。そして、互いにノーズ部32に組付けられた右側ハウジング11aと左側ハウジング11bとが、複数のねじ55によって固定されている。右側ハウジング11aと左側ハウジング11bとが、ねじ55によって固定される際には、ねじ55は、右側からハウジング11に挿通される。すなわち、右側ハウジング11aと左側ハウジング11bとは、右側から挿通されるねじ55によって固定される。一方、ガードカバー38を固定し、かつ、左側ハウジング11bによって覆われるねじ56cは、左側から挿通されて固定される。
【0058】
したがって、例えば、メンテナンスや修理で打込機10を分解する際には、まず、打込機10の左側ハウジング11bを下方側に配置した状態で全てのねじ55を外し、その後、上方側に配置された右側ハウジング11aを左側ハウジング11bから取り外す。さらに、右側ハウジング11aを取り外した後、シリンダ27とノーズ部32とからなる構造体を左側ハウジング11bから取り外す。このような手順でノーズ部32から左側ハウジング11bを取り外した後でなければ、射出部13からガードカバー38を取り外すことはできない。
【0059】
ところが、打込機10においては、左側ハウジング11bを下方側に配置した状態では、コントローラ82、電動モータ15、配線54及びピンホイール50等の主要な部材が、図4に示されるように、左側ハウジング11bに支持されている。したがって、打込機10において、左側ハウジング11bを取り外す作業は簡単ではなく、作業者においてできる作業ではない。
【0060】
また、ノーズ部32に取り付けられたガードカバー38を固定する3本のねじ56のうち、ねじ56cは、左側ハウジング11bによって覆われている。したがって、ねじ56cを外すのも簡単ではなく、作業者においてできる作業ではない。つまり、打込機10のガードカバー38は、作業者において容易に取り外せるカバーではない。
【0061】
また、打込機10の射出部13は、図10図12に示されるように、第1ブレードガイド(第1射出部材)34aと、第1ブレードガイド34aに対して第1方向(上下方向)M1と交差する第3方向(前後方向)N1の一方(後方)側に位置する第2ブレードガイド(第2射出部材)34bと、を含んでいる。この第2ブレードガイド34bは、第1ブレードガイド34aとの間に釘78が通過可能な射出路37を形成する部材である。さらに、射出部13は、第1ブレードガイド34aと第2ブレードガイド34bとを互いに固定するねじ(射出部固定部)57を含んでいる。具体的には、ねじ57は、図11に示されるように、ノーズ部32に支持されたナット57aに締結される。また、第1ブレードガイド34aと第2ブレードガイド34bは、位置決めピン58によって互いが位置決めされている。したがって、第1ブレードガイド34aと第2ブレードガイド34bは、位置決めピン58によって互いが位置決めされた状態でねじ57によって固定されるとともに、ノーズ部32に組付けられている。
【0062】
なお、ねじ57については、ねじ56がガードカバー38を固定した状態で、第1ブレードガイド34aと第2ブレードガイド34bとの固定を解除可能である。すなわち、ねじ56によってガードカバー38が固定された状態においても、ねじ57を取り外すことが可能であり、ねじ57を取り外すことで、図12に示されるように、第1ブレードガイド34aと第2ブレードガイド34bとを分離することができる。
【0063】
詳細には、第1ブレードガイド34aは、ノーズ部32に取り付けられ、一方、第2ブレードガイド34bは、マガジン77に取り付けられている。そして、第1ブレードガイド34aと第2ブレードガイド34bとが、位置決めピン58によって位置決めされた状態でねじ57によって固定される。第1ブレードガイド34aと第2ブレードガイド34bとが、位置決めされた状態で合わさり、かつ、固定されることで、第1ブレードガイド34aと第2ブレードガイド34bとにより、釘78が通過可能な射出路37が形成される。なお、ねじ57は、後方側に位置する第2ブレードガイド34bに直接支持されている。
【0064】
また、ガードカバー38は、第1ブレードガイド34aを前後方向N1の他方(前方)側から覆うように固定されており、ねじ57は、前後方向N1の一方(後方)側から第1ブレードガイド34a及び第2ブレードガイド34bに挿通されて螺合されるねじである。すなわち、ガードカバー38を取り外さなくても、ねじ57を外して第1ブレードガイド34aと第2ブレードガイド34bとを分離することができる。言い換えれば、打込機10では、ガードカバー38を取り外さなくても、ねじ57を外すことで、射出部13のノーズ部32からマガジン77を取り外すことができる。
【0065】
これにより、ガードカバー38を取り外さなくても、マガジン77を取り外すことが可能であり、マガジン77を取り外すことで、第1ブレードガイド34aと第2ブレードガイド34bとを分離することができ、射出路37を広く開口させることができる。
【0066】
したがって、射出路37において釘詰まりが発生した場合であっても、ガードカバー38を取り外さずにマガジン77のみを取り外すことで、射出路37を広く開口させることができ、射出路37に詰まった釘78を容易に取り除くことができる。すなわち、釘詰まり発生時の釘78の除去作業の作業性を高めることができる。
【0067】
また、ねじ57は、第2ブレードガイド34bに直接支持されているとともに、第2ブレードガイド34bは、マガジン77の前方側端部に取り付けられている。したがって、マガジン77をノーズ部32に装着する際に、第1ブレードガイド34aと第2ブレードガイド34bとが、位置決めピン58によって位置決めされた状態で、かつ、第2ブレードガイド34bに直接支持されたねじ57によって固定されるため、第1ブレードガイド34aと第2ブレードガイド34bとを高精度に位置決めして固定することができる。また、マガジン77を装着する際に、ノーズ部32に取り付けられた第1ブレードガイド34aと、マガジン77の前方側端部に取り付けられた第2ブレードガイド34bとを直接ねじ57で固定するため、マガジン77の取付け強度を高くすることができる。
【0068】
また、ガードカバー38は、図10に示されるように、上下方向M1において、ブレードガイド34を含む射出部13の下端部からピンホイール50の位置と同じ高さまで延びている。すなわち、ガードカバー38は、射出部13の下端部付近からピンホイール50の配置位置と同じ高さの位置まで延びている。その際、射出部13のノーズ部32は、ピンホイール50が収容される筒状のピンホイール収容部33を有している。そして、ガードカバー38の一部は、ピンホイール収容部33の下方にも配置されている。したがって、ガードカバー38が射出部13の周囲を覆うためには、ピンホイール収容部33との干渉を回避する必要がある。そこで、本実施の形態1のガードカバー38には、ピンホイール収容部33との干渉を回避するための円弧状の切欠部38bが設けられている。
【0069】
したがって、ピンホイール収容部33とガードカバー38とは、上下方向M1及び左右方向R1において互いに干渉しているが、ガードカバー38に円弧状の切欠部38bが設けられていることで、ガードカバー38は、ピンホイール収容部33との干渉を回避している。これにより、ピンホイール50と射出部13とが近接する構成であっても、ガードカバー38は、射出部13の周囲を十分覆うことができる。
【0070】
また、上下方向M1において、ピンホイール収容部33とほぼ同じ高さの位置に、プッシュレバー79の位置を検出するホールICセンサ(基板)59が設けられている。そして、ホールICセンサ59の前面及び左側側面は、ガードカバー38によって覆われている。これにより、ホールICセンサ59の破損や粉塵の付着、電磁波による影響等を低減することができる。
【0071】
本実施の形態1の打込機10によれば、射出部13の周囲を覆うガードカバー38が設けられたことで、プッシュレバー79が相手材30に当接することなくスイッチオンとなる位置に移動することを規制することができる。これにより、プッシュレバー79が誤って押込み操作されて打込み作業の作業性が損なわれることを抑制でき、打込機10の作業性を向上させることができる。
【0072】
また、ガードカバー38を固定する3本のねじ56は、特殊な形状であり、ねじ56に係合可能な専用工具でしか回すことができない。さらに、3本のねじ56のうち、1本のねじ56cは左側ハウジング11bによって覆われている。したがって、これら3本のねじ56を作業者が取り外すことは容易ではない。すなわち、打込機10は、ガードカバー38を取り外すことが非常に困難な構造の作業機である。これにより、作業者が誤ってプッシュレバー79を押込み操作することを回避できる。
【0073】
一方で、打込機10は、ガードカバー38を取り外さなくても、マガジン77を取り外すことが可能な構造となっている。これにより、射出路37において釘詰まりが発生した場合であっても、ガードカバー38を取り外さずにマガジン77のみを取り外して射出路37を開口させ、射出路37に詰まった釘78を容易に取り除くことができる。つまり、釘詰まり発生時の釘78の除去作業の作業性を高めることができる。
【0074】
(実施の形態2)
本実施の形態2の作業機は、図16図18に示されるように、ロールマガジンタイプの打込機100である。すなわち、打込機100が有するマガジン90は、連結された複数の止具である釘78(後述する図24参照)をロール状にして内部に収容可能であり、ドラム状に形成された本体部90aを含んでいる。
【0075】
打込機100は、実施の形態1の打込機10と同様に、ハウジング11、打撃部12、射出部13、電源部14、電動モータ15、減速機構16、巻き上げ機構17、蓄圧容器18等を有する。ハウジング11は、シリンダケース19、ハンドル20、モータケース21及び装着部22を有する。シリンダケース19は筒形状であり、ハンドル20及びモータケース21は、シリンダケース19に接続されている。また、装着部22は、一端がハンドル20に接続され、反対側の他端が延在部21aを介してモータケース21に接続されている。マガジン90は、その後端部が装着部22の一端によって支持され、延在部21aおよび装着部22の下部に配置されている。
【0076】
ハウジング11は、左右2つ割り構造となっており、右側に位置する右側ハウジング11aと、左側に位置する左側ハウジング11bとからなる。右側ハウジング11aと、左側ハウジング11bとは対向して配置され、右側ハウジング11aと左側ハウジング11bとが組付けられた状態で、複数のねじによって固定されている。
【0077】
また、シリンダケース19には、ヘッドカバー25が取り付けられており、シリンダケース19内及びヘッドカバー25内に亘って、キャップ23を有する蓄圧容器18が配置されている。さらに、シリンダケース19内には、シリンダ27が収容されている。シリンダ27は、金属製、例えば、アルミニウム製または鉄製である。また、蓄圧容器18内及びシリンダ27内に亘って圧力室26が形成されている。圧力室26には、圧縮気体が充填されている。圧力室26は、圧縮気体によって打撃部12を上下方向M1の下方側へ付勢する付勢部でもある。
【0078】
図17に示されるように、打撃部12は、ハウジング11の内部から外部に亘って配置されており、ピストン28及びドライバブレード29を有する。ピストン28は、シリンダ27内で上下方向M1に作動可能である。ピストン28とドライバブレード29は、別部材で設けられ、ピストン28とドライバブレード29とが連結されている。これにより、打撃部12は、上下方向M1の下方側へ移動することで、釘(止具)78を打撃可能である。
【0079】
射出部13は、釘78が供給される部分を備え、シリンダ27を支持するノーズ部32と、ドライバブレード29の移動を案内するブレードガイド34と、を含む。
【0080】
ドライバブレード29は、バンパ支持部31のガイド孔内とバンパ35のガイド孔36内に配置されている。打撃部12は、上下方向M1に作動可能であり、圧力室26の圧縮気体の圧力で下方側へ常に付勢されている。射出部13は釘78が配置される射出路37を有し、射出路37は上下方向M1に沿って設けられている。ドライバブレード29は、射出路37内で上下方向M1に作動可能である。
【0081】
また、モータケース21内には、電動モータ15が配置され、さらに、図19に示されるギヤケース43が設けられている。ギヤケース43は筒形状である。ギヤケース43内には、減速機構16が設けられている。減速機構16は、複数組のプラネタリギヤ機構を備えており、動力伝達経路において、電動モータ15からの入力要素を減速させて出力する機構である。電動モータ15の動力は、減速機構16によって減速されて巻き上げ機構17に伝達される。巻き上げ機構17は、電動モータ15の回転軸の回転力を、打撃部12を上下方向M1の上方側へ付勢する力に変換する。具体的には、巻き上げ機構17は、ドライバブレード29と係合するピンホイール50を備えており、ピンホイール50は、電動モータ15の動力によって回転する。すなわち、電動モータ15の動力によってピンホイール50が回転し、ピンホイール50の回転によって、打込み後のドライバブレード29が上下方向M1の上方側へ押し上げられる。
【0082】
また、マガジン90は、その前方側の端部が、後述する図24に示されるフィーダ部96を介してノーズ部32によって支持され、後方側の端部は、装着部22によって支持されている。マガジン90は、ドラム状の本体部90aとマガジンカバー90nと本体部90aを覆う蓋部90jとを有し、連結された複数の釘78(図24参照)をロール状にして本体部90aの内部に収容する。複数の釘78は、例えば接着剤、針金等の連結要素である連結部78aによって互いに連結されており、これら連結された複数の釘78は、ロール状に巻かれた状態で本体部90aに配置される。なお、連結部78aによって連結された状態の複数の釘78は、本体部90aから送り出され、フィーダ部96によって射出部13の射出路37へ送られる。
【0083】
また、射出部13には、打込機100による釘78の打込み深さを調整するためのダイヤル式のアジャスタ52が取り付けられている。すなわち、作業者は、打込み作業時に、アジャスタ52を回すことで打込機100による釘78の打込み深さを調整可能である。
【0084】
また、ノーズ部32には、プッシュレバー(当接部)79が取り付けられている。プッシュレバー79は、ノーズ部32に対して上下方向M1の所定範囲内で作動できる。プッシュレバー79は、スイッチ部材である。具体的には、相手材30に当接することで第1位置(スイッチオフの位置)から第2位置(スイッチオンとなる位置)に移動可能である。なお、プッシュレバー79は、図示しない弾性部材によって常時上下方向M1の下方側に付勢されている。したがって、プッシュレバー79は、その先端部が相手材30に押し付けられていない状態では、常時、第1位置(スイッチオフの位置)にいる。一方、プッシュレバー79は、その先端部79aが相手材30に押し付けられて上記第1位置より上方側の所定の位置(第2位置)まで移動すると、スイッチオンとなる。
【0085】
また、打込機100には、トリガ53および図示しないトリガセンサが設けられている。トリガ53およびトリガセンサは、ハンドル20に設けられている。上記トリガセンサは、トリガ53に加わる操作力の有無を検出し、かつ、検出結果に応じた信号を出力する。
【0086】
また、打込機100が備えるコントローラ82は、装着部22内に設けられており、主に、電動モータ15の駆動を制御する。コントローラ82は、マイクロプロセッサを有する。また、モータケース21内には、インバータ回路を有した回路基板が設けられている。上記インバータ回路は、複数のスイッチング素子を備え、これら複数のスイッチング素子はそれぞれオン・オフが可能である。コントローラ82は、上記インバータ回路を制御することにより、電動モータ15の回転及び停止、あるいは電動モータ15の回転数、電動モータ15の回転方向を制御する。
【0087】
次に、本実施の形態2の打込機100の動作例について説明する。コントローラ82は、トリガ53に操作力が加えられていないこと、またはプッシュレバー79が相手材30に押し付けられていないこと、のうち、少なくとも一方を検出すると、電動モータ15に対する電力の供給を停止する。このため、電動モータ15は停止し、打撃部12は待機位置で停止している。
【0088】
コントローラ82は、トリガ53に操作力が付加されていること、及びプッシュレバー79が相手材30に押し付けられていること、を検出すると、電源部14から電動モータ15に電圧を印加させ、電動モータ15を正回転させる。これにより、打込み動作を開始する。言い換えれば、コントローラ82は、トリガ53に操作力が付加されていること、及びプッシュレバー79が相手材30に押し付けられていること、の両方を検出しなければ、電源部14から電動モータ15に電圧を印加させる信号を出力することはなく、打込み動作を開始することはない。
【0089】
打込み動作の開始により、電動モータ15が起動する。電動モータ15の回転力は、減速機構16を経由してピンホイール50に伝達される。ピンホイール50が所定方向に回転すると、打撃部12が上昇する。打撃部12が上昇すると、圧力室26の気体圧力が上昇する。
【0090】
ピンホイール50の所定方向の回転における最終ピンがドライバブレード29の最終ラックから離間すると、打撃部12は、圧力室26の気体圧力で下降する。打撃部12が圧力室26の気体圧力で下降することで、ドライバブレード29が射出路37に位置する1本の釘78を打撃し、釘78は相手材30に打ち込まれる。
【0091】
次に、本実施の形態2の打込機100が備えるガードカバー38について説明する。図16図20に示されるように、打込機100は、その射出部13にガードカバー(カバー部材)38を備えている。ガードカバー38は、プッシュレバー79の少なくとも一部(相手材30に当接させる必要がない部分)を覆っている。具体的には、ガードカバー38は、プッシュレバー79の先端付近からプッシュレバー79のアジャスタ52が配置されている付近までを覆っている。
【0092】
なお、プッシュレバー79は、後述する図30に示されるように、上下方向M1に移動可能であるとともに、プッシュレバー本体部(当接部本体部)79gと、上下方向M1の下方側の端部に位置して相手材30と当接する先端部79aと、先端部79aよりも上下方向M1の上方側に位置してプッシュレバー本体部79gから突出するアジャスタ支持部(段差部)79bと、を有している。プッシュレバー79の先端部79aは、図17に示されるように、射出部13から射出された釘78(図24参照)が通過する射出口79cを有している。
【0093】
そして、プッシュレバー79は、その先端部79aを相手材30に押し付けるとONになるスイッチ部材である。したがって、プッシュレバー79は、先端部79aを相手材30に押し付けられるように外部に露出させる必要がある。ただし、プッシュレバー79の先端部79aより上方側の部分、すなわち、プッシュレバー本体部79gやアジャスタ支持部79bは、作業者が意図せずプッシュレバー79の押込み操作を行わないように覆うことが必要である。また、プッシュレバー79の先端部79aには、射出口79cがあるため、作業者が先端部79aを容易には押せないようにすることが好ましい。
【0094】
そこで、本実施の形態2の打込機100においても、プッシュレバー79のプッシュレバー本体部79g及びアジャスタ支持部79bを含む部分と、先端部79aの一部と、ノーズ部32の一部と、を覆うガードカバー(カバー部材)38が設けられている。すなわち、打込機100には、プッシュレバー79やその先端部79aの射出口79cの周りを覆うガードカバー38が設けられている。なお、プッシュレバー79は、第1位置(スイッチオフの位置)から第2位置(スイッチオンとなる位置)に移動可能である。第1位置では、図16図20に示されるように、プッシュレバー79の先端部79aの大部分がガードカバー38から突出しており、この状態ではスイッチオフである。
【0095】
一方、プッシュレバー79の先端部79aが相手材30に押し付けられて、プッシュレバー79が第1位置より上方側の第2位置に移動すると、プッシュレバー79の先端部79aの大部分が、後述する図36に示されるように、ガードカバー38内に引っ込んだ状態となり、この状態でスイッチオンとなる。
【0096】
したがって、ガードカバー38は、プッシュレバー79が相手材30に当接することなく第1位置(スイッチオフの位置)から第2位置(スイッチオンとなる位置)に移動することを規制する部材である。つまり、ガードカバー38は、プッシュレバー79が相手材30に当接することなく上方側へ移動することを規制するカバー部材である。
【0097】
なお、ガードカバー38は、プッシュレバー79を覆う状態で固定されており、ねじ94(図19参照)によって射出部13のノーズ部32に固定されている。本実施の形態2では、ガードカバー38は、2箇所でねじ94a,94b(図28参照)によってノーズ部32に固定され、さらに、1箇所でねじ97によってブレードガイド34に固定されている。つまり、ガードカバー38は、3箇所でねじ94a,94b,97によって固定されている。
【0098】
具体的には、図19図23に示されるように、ガードカバー38は、打込機100の左側においてねじ94aによって固定され、また、図28に示されるように、打込機100の右側においてねじ94bによって固定され、さらに、図30に示されるように、打込機100の下部においてねじ97によって固定されている。ここで、ガードカバー38の固定用の左側のねじ94aは、図16および図21に示される左側ハウジング11bによって覆われていて外部に露出していない。一方、図28に示されるガードカバー38の固定用の右側のねじ94bは、図18に示される右側ハウジング11aによって覆われていて外部に露出していない。したがって、ねじ94aおよびねじ94bが、図28に示されるように、ハウジング11によって覆われているため、ガードカバー38の固定を容易に解除することはできない。すなわち、右側ハウジング11aと左側ハウジング11bを取り外さないとガードカバー38を取り外すことはできないため、ガードカバー38を取り外すことは容易ではない。
【0099】
なお、図21図23に示されるように、ガードカバー38には、その一部に開口部38aが設けられており、この開口部38aにアジャスタ52の一部が露出している。したがって、作業者は、打込み作業時に、ガードカバー38が取り付けられた状態であってもアジャスタ52を回すことができ、釘78の打込み深さを調整することができる。
【0100】
また、ガードカバー38を固定するねじ94aおよびねじ94bは、そのねじ頭の形状が特殊な十字型の形状となっており、専用工具でしか回すことができない。つまり、打込機100においても、作業者がねじ94aおよびねじ94bを取り外すことは容易ではない。さらに、ねじ94aおよびねじ94bが容易に取り外せないため、ガードカバー38を取り外すことは非常に困難な構造となっている。
【0101】
次に、図16図23に示されるマガジン90と、図24図26に示されるフィーダ部96とについて説明する。マガジン90は、図24に示される連結部78aによって連結された複数の釘78をロール状にして収容可能な収容部である。また、フィーダ部96は、マガジン90から引き出された複数の釘78を、打ち込みが行われる射出部13に送り出す機構部である。言い換えると、マガジン90は、釘78を収容しつつ釘78を射出部13に供給する供給機構も含んでいる。
【0102】
マガジン90は、図16図23に示されるように、内部に複数の釘78を収容する円筒形状(ドラム状)の本体部90aと、本体部90aの側面を覆うマガジンカバー90nと、マガジンカバー90nと一体に形成され、かつ、本体部90aの上部を覆う蓋部90jと、を含む。本体部90aには、連結部78aとともにロール状に巻かれた複数の釘78を支持する軸部90kが設けられ、本体部90aのロール釘収容部90mに複数の釘78が収容される。
【0103】
さらに、マガジン90は、本体部90aから引き出され、かつ、連結部78aによって連結された複数の釘78を、図24図26に示される射出部13へ供給する通路90cを形成する供給路90bを有している。また、供給路90bは、複数の釘78の移動をガイドする壁部90dを備えている。壁部90dは、供給路90bの一部である。すなわち、複数の釘78が射出部13へ供給される供給路90bは、射出部13に向かって延びるブレードガイド34と、通路90cと、釘78の移動のガイドである壁部90dと、を含んでいる。
【0104】
ここで、供給路90bにおいて連結部78aにより連結された複数の釘78を射出部13へ送り出すフィーダ部96について説明する。フィーダ部96は、電力の印加によりプランジャ93dを動作させるソレノイド93と、プランジャ93dとともに往復動する可動部材93cと、可動部材93cとともに往復動し、かつ、先頭の釘78を射出部13へ送り込む送込部材96aと、を有する。
【0105】
これにより、ソレノイド93への電力供給がOFFの場合、図示しない弾性体の付勢力によってフィーダ部96が、図25に示される前進方向P2に沿って前方側に付勢され、プランジャ93dが前方側に移動する。その際、プランジャ93dの移動に伴って可動部材93cが前方側に移動し、さらに、可動部材93cとともに送込部材96aも前方側に移動して先頭の釘78を射出部13へ送り込む。
【0106】
また、ソレノイド93への電力供給がONにされた場合、プランジャ93dを図24に示される後退方向P1に沿って後方側に移動させる。その際、プランジャ93dの後方側への移動に伴って可動部材93cを後方側に移動させ、さらに、可動部材93cとともに送込部材96aも後方側に移動させて2番目の釘78の後方に配置させる。これにより、送込部材96aは、2番目の釘78の後方で待機している。
【0107】
また、マガジン90は、壁部90dを備えたネイルガイド90fと、ネイルガイド90fに取り付けられてネイルガイド90fを覆うネイルガイドカバー90gと、ネイルガイドカバー90gの回転の軸となる回転軸90hと、を備えている。なお、送込部材96aが2番目の釘78に乗り上げつつ2番目の釘78の後方に移動する際、2番目の釘78が後方側に押されて後方に移動するのを規制する規制部材が、ネイルガイド90fの壁部90dに設けられている。言い換えれば、壁部90dは、供給路90b内の釘78が射出部13から離反する方向(後方)に移動することを規制する規制部材を有している。前記規制部材として、壁部90dにネイルストッパ90eが設けられている。ネイルストッパ90eは、常時、釘78に向かって付勢されている。すなわち、ネイルストッパ90eは、送込部材96aが2番目の釘78に乗り上げつつ後方に移動する際に、2番目の釘78が送込部材96aにより押されて後方に移動するのを規制する規制部材である。
【0108】
また、ネイルガイドカバー90gに取り付けられた回転軸90hは、ガードカバー38に回転可能に支持されている。すなわち、ネイルガイドカバー90gの回転軸90hは、ガードカバー38に取り付けられている。これにより、図26に示されるように、ネイルガイドカバー90gは、回転軸90hを基点として回転可能にガードカバー38に支持されている。ネイルガイドカバー90gは、ネイルガイド90fとともに回転軸90hを基点として開口方向Q1のように開く。ネイルガイドカバー90gを開くと、ネイルガイド90fの壁部90dや壁部90dに設けられたネイルストッパ90eも釘78の列から外れて釘78から離間する。別の表現で述べると、ネイルガイド90fやネイルガイド90fの壁部90dは、ガードカバー38がハウジング11から取り外された状態(より詳細には、ハウジング11が取り付けられているノーズ部32及びブレードガイド34から取り外された状態)では、ガードカバー38に支持されており、したがって、ネイルストッパ90eも釘78の列から離間した状態となる。
【0109】
ネイルガイドカバー90gは、図16に示されるロックレバー90iを操作することで開くことができる。ロックレバー90iを操作すると、ネイルガイドカバー90gを開くことができるとともに、マガジンカバー90nを開口させることができる。つまり、マガジン90に釘78を装填する際に、ロックレバー90iを操作することで、ネイルガイドカバー90gとマガジンカバー90nとを同時に開口させてマガジン90の全体を開口させることができる。これにより、ロール状に巻かれて連なった状態の複数の釘78をマガジン90の本体部90a内に装填するとともに、本体部90aから引き出され、かつ、連結部78aによって連結された複数の釘78をブレードガイド34上に装填する。
【0110】
したがって、ガードカバー38を取り外すと、ネイルガイドカバー90gとともにネイルガイド90fやネイルストッパ90eも取り外された状態となり、釘78の通路90cがむき出しの状態となる。その場合、ネイルストッパ90eが釘78の列から外れてしまうため、釘78の列を規制することができなくなる。すなわち、ネイルストッパ90eが正規の箇所に配置されないと、フィーダ部96の送込部材96aが後方に移動する際に、2番目の釘78を引っ掛けてしまい、2番目の釘78が送込部材96aに押されて過剰に後方に移動することになる。その結果、釘78を射出部13へ正常に送り込むことが不可能になる。別の表現で述べると、マガジン90は、ガードカバー38がハウジング11から取り外された状態(より詳細には、ハウジング11が取り付けられているノーズ部32及びブレードガイド34から取り外された状態)では、釘78を射出部13に供給不能である。
【0111】
つまり、ガードカバー38を取り外すと、釘78を射出部13へ正常に送り込むことが不可能になるため、打込機100は、釘打ちを実施することができない。
【0112】
次に、図27に示される打込機100において、ガードカバー38および図24に示されるネイルガイド90fの外し方について説明する。まず、それぞれの固定用ねじを外すことで、図28に示されるように、右側ハウジング11a、左側ハウジング11bおよびヘッドカバー25を取り外す。これにより、ねじ94bとねじ94a(図30参照)が露出した状態となる。
【0113】
続いて、図29に示されるように、固定用のねじ93bを外すことで、ソレノイドカバー93aを取り外す。その後、図30図32に示されるように、ねじ94bおよびねじ94aを外すとともに、ねじ97を外すことで、ガードカバー38を取り外すことができる。
【0114】
また、ガードカバー38には、図33および図34に示されるように、回転軸90hを介してネイルガイドカバー90gおよびネイルガイド90fが取り付けられている。図35に示されるように、ガードカバー38から回転軸90hを取り外すことで、ネイルガイドカバー90gおよびネイルガイド90fをガードカバー38から取り外すことができる。
【0115】
以上のように、ガードカバー38にはネイルガイド90fが取り付けられていることから、ガードカバー38をハウジング11から取り外すと、釘78を射出部13へ正常に送り込むことが不可能になるため、打込機100は、釘打ちを実施することができない。
【0116】
次に、図36に示されるガードカバー38と、プッシュレバー79を検知するセンサ91との関係について説明する。
【0117】
プッシュレバー79のON/OFFを検知するセンサ91は、ガードカバー38のセンサ収容部38cに取り付けられている。図37および図38では、ガードカバー38の側面の壁が外された状態が示されており、ガードカバー38の内部にセンサ91が配置された状態が示されているが、打込機100では、ガードカバー38にセンサ91が取り付けられている。
【0118】
一方、図37に示されるセンサ91によって検知される磁石92は、プッシュレバー79に取り付けられている。したがって、ガードカバー38が取り外されると、それに伴ってセンサ91も取り外されるため、センサ91が取り外された状態で、図40に示されるOFF位置(第1位置)のプッシュレバー79が、図39に示されるようにON位置(第2位置)に移動しても、センサ91が取り外されているため、プッシュレバー79がON位置(第2位置)に移動したことは検知されない。
【0119】
つまり、ガードカバー38は、プッシュレバー(当接部)79がON位置(第2位置)に位置することを検知可能なセンサ(当接部検知部)91を有しているが、センサ91は、ガードカバー38がハウジング11から取り外された状態(より詳細には、ハウジング11が取り付けられているノーズ部32及びブレードガイド34から取り外された状態)においては、プッシュレバー79がON位置(第2位置)に位置することを検知不能である。
【0120】
以上のように、ガードカバー38を取り外すと、図38に示されるセンサ91が無くなるため、図39に示されるようにプッシュレバー79を押し込んでも、プッシュレバー79に取り付けられた磁石92を検知することはできない。つまり、図16に示されるコントローラ82が、プッシュレバー79が押し込まれていることを認識できず、ON信号を出力することができない。打込機100では、打込みを行うためには、プッシュレバー79およびトリガ53の両方がON状態にならなければならない。したがって、本実施の形態2の打込機100は、ガードカバー38を取り外すと、打込みを行うことができない。
【0121】
本実施の形態2の打込機100によれば、プッシュレバー79の先端部79aより上方側の部分を覆うガードカバー38が設けられているが、右側ハウジング11aおよび左側ハウジング11bを取り外さないとガードカバー38を取り外すことはできない。すなわち、ガードカバー38を取り外すことは容易ではない。したがって、実施の形態1の打込機10と同様に、プッシュレバー79が誤って押込み操作されて打込み作業の作業性が損なわれることを抑制できる。その結果、打込機100の作業性を向上させることができる。
【0122】
また、ガードカバー38にネイルガイド90fが取り付けられているため、ガードカバー38が取り外されると、ネイルガイド90fも取り外される。その結果、釘78の正常なフィードを行うことができなくなり、打込み動作を行うことができない。
【0123】
また、プッシュレバー79の移動を検知するセンサ91がガードカバー38に取り付けられたため、ガードカバー38が取り外されると、プッシュレバー79の移動を検知することができない。打込機100では、打込みを行うためには、プッシュレバー79およびトリガ53の両方がON状態であることを検知できなければならない。したがって、ガードカバー38が取り外されると、プッシュレバー79の押し込みを検知することができないため、打込み動作を行うことができない。
【0124】
以上のように本実施の形態2の打込機100では、ガードカバー38を取り外すことは容易ではない上、万が一、ガードカバー38が取り外されたとしても、打込み動作が行われることはない。
【0125】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施の形態1,2では、ガードカバー38が射出部13のノーズ部32に固定されている場合を説明したが、ガードカバー38は、ハウジング11に固定されていてもよい。
【0126】
また、上記実施の形態1では、ガードカバー38は、ガードカバー38及び射出部13とは別体のねじ56によって射出部13に固定される構造としたが、ガードカバー38及び射出部13のいずれか一方または両方に、これらと一体的に形成される部分または組付けられた別体部品として、カバー固定部としてのフックやラッチ機構を設けてもよい。図15の変形例に示すように、カバー固定部としての係止爪156a、156bを、右側ハウジング11a及び左側ハウジング11bの各々一体的に形成し、係止爪156a、156bがガードカバー38に挿入されることで、ガードカバー38がハウジング11及び射出部13に固定される構成としてもよい。この場合も右側ハウジング11aを左側ハウジング11bから取り外し、シリンダ27とノーズ部32とからなる構造体を左側ハウジング11bから取り外した後でなければ、射出部13からガードカバー38が取り外せない構造となる。
【符号の説明】
【0127】
10…打込機(作業機)、11…ハウジング、11a…右側ハウジング、11b…左側ハウジング、12…打撃部、13…射出部、14…電源部、15…電動モータ(モータ)、16…減速機構、17…巻き上げ機構、18…蓄圧容器、19…シリンダケース、20…ハンドル、21…モータケース、21a…延在部、22…装着部、23…キャップ、24…ホルダ、25…ヘッドカバー、26…圧力室、27…シリンダ、28…ピストン、29…ドライバブレード、30…相手材、31…バンパ支持部、32…ノーズ部、33…ピンホイール収容部(回転部収容部)、34…ブレードガイド、34a…第1ブレードガイド(第1射出部材)、34b…第2ブレードガイド(第2射出部材)、35…バンパ、36…ガイド孔、37…射出路、38…ガードカバー(カバー部材)、38a…開口部、38b…切欠部、38c…センサ収容部、39…ロータ、40…ステータ、41…ロータ軸、42…軸受、43…ギヤケース、44…動力伝達軸、45…軸受、46…回転軸、47…出力要素、48,49…軸受、50…ピンホイール(回転部)、51…ピン、52…アジャスタ、53…トリガ、54…配線、55…ねじ、56,56a,56b,56c…ねじ(カバー固定部)、56d…十字型凸部、57…ねじ(射出部固定部)、57a…ナット、58…位置決めピン、59…ホールICセンサ、60…センサマグネット、61…ラック、76…収容ケース、77…マガジン、78…釘(止具)、78a…連結部、79…プッシュレバー(当接部)、79a…先端部、79b…アジャスタ支持部(段差部)、79c…射出口、79d…第1プッシュレバー、79e…第2プッシュレバー、79f…凸部(段差部)、79g…プッシュレバー本体部(当接部本体部)、80…弾性部材、82…コントローラ、83…モータ基板、84…シール部材、85…トリガセンサ、90…マガジン、90a…本体部、90b…供給路、90c…通路、90d…壁部、90e…ネイルストッパ(規制部材)、90f…ネイルガイド、90g…ネイルガイドカバー、90h…回転軸、90i…ロックレバー、90j…蓋部、90k…軸部、90m…ロール釘収容部、90n…マガジンカバー、91…センサ(当接部検知部)、92…磁石、93…ソレノイド、93a…ソレノイドカバー、93b…ねじ、93c…可動部材、93d…プランジャ、94,94a,94b…ねじ、96…フィーダ部、96a…送込部材、97…ねじ、100…打込機(作業機)、156a,156b…係止爪、A1,A2…中心線、D1…打込方向、D2…復帰方向、M1…上下方向(第1方向)、N1…前後方向(第3方向)、P1…後退方向、P2…前進方向、Q1…開口方向、R1…左右方向(第2方向)
図1
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