IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社湯山製作所の特許一覧

<>
  • 特開-保管装置 図1
  • 特開-保管装置 図2
  • 特開-保管装置 図3
  • 特開-保管装置 図4
  • 特開-保管装置 図5
  • 特開-保管装置 図6
  • 特開-保管装置 図7
  • 特開-保管装置 図8
  • 特開-保管装置 図9
  • 特開-保管装置 図10
  • 特開-保管装置 図11
  • 特開-保管装置 図12
  • 特開-保管装置 図13
  • 特開-保管装置 図14
  • 特開-保管装置 図15
  • 特開-保管装置 図16
  • 特開-保管装置 図17
  • 特開-保管装置 図18
  • 特開-保管装置 図19
  • 特開-保管装置 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173612
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】保管装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023208027
(22)【出願日】2023-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2023091910
(32)【優先日】2023-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】寺田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 征人
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047JJ06
4C047JJ31
4C047KK28
4C047KK30
(57)【要約】
【課題】地震等が生じた場合に、保管棚に保管された薬剤箱の取出し可否を短時間で特定できる。
【解決手段】保管装置(1)は、複数の保管棚(30)のうちの1つの保管棚に保管された複数の薬剤箱のうちの一部の薬剤箱について、保管位置にずれが生じているかを判定する判定部(217)と、判定部が保管位置にずれが生じていると判定した場合、上記1つの保管棚に保管された全ての薬剤箱を、取出不可の薬剤箱として特定する特定部(218)と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤が収容された薬剤箱を保管可能な複数の保管棚と、
前記複数の保管棚のうちの少なくとも1つの対象保管棚に保管された複数の薬剤箱のうちの一部の薬剤箱について、保管位置にずれが生じているかを判定する判定部と、
前記判定部が前記保管位置にずれが生じていると判定した場合、前記対象保管棚に保管されている全ての薬剤箱を、取出不可の薬剤箱として特定する特定部と、を備える、保管装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記判定部が前記保管位置にずれが生じていると判定した場合、前記複数の保管棚のうち、前記対象保管棚の上方に位置する少なくとも1つの保管棚に保管されている全ての薬剤箱を、取出不可の薬剤箱として特定する、請求項1に記載の保管装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の保管装置は、薬剤箱を受入れる受入部と、受入部で受入れ、所定領域に載置された薬剤箱を把持して、保管棚に搬送する搬送部と、を備える。特許文献1の保管装置は、保管棚に保管された薬剤箱の向きが所定方向からずれており、薬剤箱を取出すことができない場合、当該薬剤箱の保管位置を、取出しに失敗した保管位置として管理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2022/224712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、例えば地震等、多くの薬剤箱の保管位置にずれが生じ得る現象が生じた場合、どのように薬剤箱の取出し可否を特定するかについては開示されていない。
【0005】
本開示の一態様は、上記現象が生じた場合に、保管棚に保管されている薬剤箱の取出し可否を短時間で特定可能な保管装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る保管装置は、薬剤が収容された薬剤箱を保管可能な複数の保管棚と、前記複数の保管棚のうちの少なくとも1つの対象保管棚に保管された複数の薬剤箱のうちの一部の薬剤箱について、保管位置にずれが生じているかを判定する判定部と、前記判定部が前記保管位置にずれが生じていると判定した場合、前記対象保管棚に保管されている全ての薬剤箱を、取出不可の薬剤箱として特定する特定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、保管棚に保管されている薬剤箱の取出し可否を短時間で特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】薬剤払出システムの一例を示す図である。
図2】保管装置の外観の一例を示す図である。
図3】保管装置の内部構造の一例を示す図である。
図4】保管装置の内部構造の一例を示す図である。
図5】保管装置の構成の一例を示すブロック図である。
図6】薬剤受入部とその周辺の構成の一例を示す斜視図である。
図7】薬剤受入部の一例を示す斜視図である。
図8】第1搬送部に載置された薬剤箱が第3-1搬送部に搬送される工程の一例を示す図である。
図9】第2搬送部の構成の一例を示す斜視図である。
図10】把持部の構成の一例を示す斜視図である。
図11】第3搬送部上の薬剤箱を第2搬送部が引出して把持するときの動作例と、第2搬送部が把持した薬剤箱を押出して保管棚に保管するときの動作例とを示す図である。
図12】搬送先又は取出先の高さに対する把持部の載置部の高さの調整について説明するための図である。
図13】第5搬送部の構成の一例を示す斜視図である。
図14】振動検知時の処理の一例を示すフローチャートである。
図15】有効段特定処理の一例を示すフローチャートである。
図16】有効段特定処理を行う対象となるブロックの設定例について説明するための図である。
図17】対象ブロックにおいて、判定部による判定対象となる対象薬剤箱の決定例を示す図である。
図18】保管棚における薬剤箱の配置例を示す図である。
図19】薬剤箱の保管状態の一例と、仮置きスペースを説明するための模式図である。
図20】電源復旧後の初期動作に係る処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪薬剤払出システム≫
本実施形態の薬剤払出システム100の概要について、図1を用いて説明する。図1は、薬剤払出システム100の一例を示す図である。薬剤払出システム100は、薬剤を払出すことが可能なシステムであって、例えば図1に示すように、保管装置1とドラッグステーション2とを備える。
【0010】
ドラッグステーション2は、薬剤の保管、並びに、薬剤の充填及び払出しを行うための装置である。ドラッグステーション2は、例えば、本体ユニット201とピッキングユニット202とを備える。
【0011】
本体ユニット201は、薬剤を保管するユニットである。具体的には、本体ユニット201は、薬剤を収容する複数個のカセット(不図示)を保管可能な薬剤収容棚として機能する。本体ユニット201には、病院又は薬局等の1施設での使用が想定されている種類(例:約1500~2000種類)の薬剤を保管することが可能である。薬剤として、例えば、錠剤、散薬、軟膏若しくは目薬等の外用薬、又は注射薬が挙げられる。本体ユニット201は、薬剤を収容する容器(例:PTP(Press Through Package)シート、ボトル、チューブ又は瓶など)の形態に関わらず、どのような薬剤を保管しても構わない。また、本体ユニット201には、上述の薬剤を収容する薬剤箱の形態として、薬剤が保管されてもよい。
【0012】
ピッキングユニット202は、作業者によって本体ユニット201に保管された薬剤を取扱うことを可能とする装置である。薬剤の払出しを実現するために、ピッキングユニット202は、作業者がカセットから薬剤を必要数取出すピッキング作業を行うための装置として機能する。また、ピッキングユニット202は、作業者が薬剤を本体ユニット201が保管するカセットに充填するための充填作業を行うための装置として機能する。換言すれば、ピッキングユニット202は、作業者が、本体ユニット201に保管されるカセットからの薬剤の取出し、又は当該カセットへの薬剤の充填を行うための装置として機能する。
【0013】
本実施形態では、本体ユニット201の前面側に、本体ユニット201の幅方向(±X軸方向)に沿って、ピッキングユニット202が設けられた構成となっている。これに限らず、1台のピッキングユニット202が設けられても構わないし、3台以上のピッキングユニット202が設けられていても構わない。
【0014】
ドラッグステーション2は、例えば処方データに基づき、本体ユニット201に保管されたカセットを順次、ピッキングユニット202に移送する。ドラッグステーション2の作業者は、ピッキングユニット202に移送されたカセットから薬剤を取出し、搬送トレイ(不図示)に投入する。搬送トレイに収容された薬剤は、薬剤師等の医療従事者による目視監査の対象となる。
【0015】
保管装置1は、薬剤が収容された薬剤箱を保管する装置である。本実施形態では、保管装置1は、保管装置1の作業者が薬剤受入部11(受入部)に投入した薬剤箱を保管する。
【0016】
保管装置1は、例えば、ドラッグステーション2で取扱うことが可能な薬剤が収容された薬剤箱を保管する。保管装置1は、例えば、ドラッグステーション2において、ある種類の薬剤が欠品となった場合に、保管装置1に保管している、当該薬剤が収容された薬剤箱を、ドラッグステーション2へと送出す。
【0017】
保管装置1は、保管している薬剤箱をドラッグステーション2に搬送する第5搬送部19を備える。第5搬送部19は、例えば、ベルトコンベヤである。第5搬送部19は、排出搬送部192を備える。排出搬送部192は、保管装置1に保管された薬剤箱を保管装置1から排出する搬送部である。また、保管装置1は、第5搬送部19が搬送した薬剤箱が投入される投入箱40を備える。本実施形態では、排出搬送部192及び投入箱40は、本体ユニット201の前面側であって、かつピッキングユニット202の上方に設けられている。投入箱40は、排出搬送部192の下方に設けられている。
【0018】
本実施形態では、投入箱40は、各ピッキングユニット202に対応して設けられている。排出搬送部192により搬送された薬剤箱は、指定された投入箱40まで搬送され、当該投入箱40において落下する。薬剤箱の搬送先となる投入箱40の指定は、例えば、ドラッグステーション2によって行われ、保管装置1の制御部21(図5参照)は、ドラッグステーション2からの指示に従って、排出搬送部192に、指定された投入箱40まで薬剤箱を搬送させる。なお、薬剤箱の搬送先は、タッチパネル20を介して入力されてもよい。
【0019】
これにより、ドラッグステーション2の作業者は、保管装置1から搬送された薬剤箱を受取ることができる。そして、ドラッグステーション2の作業者は、ピッキングユニット202において、受取った薬剤箱又は薬剤箱に収容された薬剤を、ドラッグステーション2に充填できる。また、ドラッグステーション2の作業者は、ピッキングユニット202において、受取った薬剤箱に収容された薬剤を、ドラッグステーション2から払出す薬剤として、搬送トレイ(不図示)に収容できる。
【0020】
ドラッグステーション2及び保管装置1の作業者は、ドラッグステーション2から薬剤を取出すものであり、薬剤師、看護師又は医師等の資格を有さない無資格者である。但し、作業者は、当該資格を有する有資格者であってもよい。
【0021】
≪保管装置の概要≫
保管装置1の概要について、図2図4を用いて説明する。図2は、保管装置1の外観の一例を示す図である。図2の符号2001は、第1扉51及び第2扉52が閉状態である場合の保管装置1の外観例を示し、符号2002は、第1扉51及び第2扉52が開状態である場合の保管装置1の外観例を示す。図3及び図4は、保管装置1の内部構造の一例を示す図である。
【0022】
図2に示すように、保管装置1は、タッチパネル20と、第1扉51と、第2扉52とを備える。タッチパネル20は、保管装置1に関する各種情報を表示する表示装置であると共に、作業者による入力操作を受付ける入力装置としても機能する。
【0023】
第1扉51は、薬剤受入部11への作業者のアクセスを遮断可能な扉である。本実施形態では、第1扉51は、鉛直上方向(+Z軸方向)にスライド可能なシャッタである。
【0024】
第2扉52は、保管装置1内部への作業者のアクセスを可能とする扉である。本実施形態では、第2扉52は、鉛直下方向(-Z軸方向)にスライド可能なシャッタである。
【0025】
図3に示すように、保管装置1は、薬剤受入部11と、第3搬送部15と、第5搬送部19と、保管棚30と、を備える。
【0026】
薬剤受入部11は、作業者が投入した薬剤箱を受入れる部分である。薬剤受入部11には、第1搬送部112及びシャッタ114が設けられている。第1搬送部112は、薬剤受入部11で受入れた薬剤箱を載置した状態でシャッタ114へと搬送するものである。シャッタ114は、第1搬送部112が第2搬送部17(図9参照)側へ搬送中の薬剤箱の移動を妨げるものである。
【0027】
保管棚30は、薬剤箱を保管する棚である。保管棚30には、複数の薬剤箱を保管できる。保管装置1は、複数の保管棚30を設置可能な保管庫31を備える。本実施形態では、保管庫31として、保管装置1の前面側に設けられた第1保管庫31Aと、保管装置1の裏面側に設けられた第2保管庫31Bと、に、少なくとも1つの保管棚30を設置できる。第1保管庫31Aは、第5搬送部19の上方と、薬剤受入部11及び第3搬送部15の下方と、に設けられている。第2保管庫31Bは、保管装置1の裏面側の一面に設けられている。なお図3では、保管棚30が、第5搬送部19の上方に1つ、薬剤受入部11及び第3搬送部15の下方に1つ設けた場合のみが図示されているが、第1保管庫31A及び第2保管庫31Bには、保管棚30を複数段設置できる。
【0028】
また、保管棚30には、保管装置1の奥行方向(±Y軸方向)に複数の薬剤箱が並んだ状態で配置されてもよい。この場合、複数の薬剤箱の少なくとも2つが、同種の薬剤箱であっても、異種の薬剤箱であってもよい。保管装置1の奥行方向に並んだ状態で保管される薬剤箱の数は、保管棚30の奥行方向の長さ及び薬剤箱の長さに応じて決定されればよい。
【0029】
薬剤受入部11に投入された薬剤箱は、シャッタ114が開状態であるとき、第1搬送部112により第3搬送部15へと搬送される。第3搬送部15は、第1搬送部112から搬送された薬剤箱を順次受取り、受取った薬剤箱を所定幅離隔した状態で搬送する。そして、第2搬送部17は、第3搬送部15に載置された薬剤箱を把持して保管棚30へ搬送する。これにより、薬剤受入部11に投入された薬剤箱を保管棚30に保管できる。また、第2搬送部17は、保管棚30に保管された薬剤箱を把持して、第5搬送部19へと搬送する。これにより、保管棚30に保管された薬剤箱を、保管装置1から別の装置(本実施形態では、ドラッグステーション2)へ搬送できる。
【0030】
また、図4に示すように、保管装置1は、免振部材50を備える。本実施形態では、免振部材50は、保管装置1の枠組みを構成するフレームFRと、保管庫31の底壁及び側壁とに接続されている。図4では、第1保管庫31Aに免振部材50が設けられた構成を示しているが、第2保管庫31Bも第1保管庫31Aと同様に免振部材50が設けられていてよい。免振部材50の設置により、地震等による保管庫31の揺れを吸収できる。
【0031】
また、保管装置1の枠組みを構成するフレームFRとして、保管庫31と接続する第1フレームと、第2搬送部17と接続する第2フレームとが別体に設けられていてよい。そして、第1フレームと第2フレームとの間に免振部材50が設けられていてよい。フレームFRを別体に構成することにより、第2搬送部17の移動による保管庫31の揺れを吸収できる。
【0032】
さらに、保管装置1は、振動検知器60(図5参照)を備える。振動検知器60は、所定値以上の振動を検知した場合、振動を検知したことを制御部21に通知する。所定値は、例えば実験等により、保管庫31に保管された薬剤箱の保管位置にずれが生じる程度の値に設定されてよい。
【0033】
なお、第1搬送部112、シャッタ114、第3搬送部15、第2搬送部17、第5搬送部19の動作の詳細については後述する。
【0034】
≪保管装置の具体的構成≫
保管装置1の具体的構成について、以下に説明する。図5は、保管装置1の構成の一例を示すブロック図である。図5において、白抜きの矢印は、薬剤箱を薬剤受入部11で受入れた後、保管棚30に保管されるまでの流れと、薬剤箱が保管棚30に保管された後、投入箱40に排出されるまでの流れと、を示している。図5には、薬剤箱の流れを説明するための主要な構成のみを図示している。
【0035】
保管装置1は、図5に示すように、保管装置1において薬剤箱を搬送する搬送装置10を備える。搬送装置10は、例えば、薬剤受入部11、幅検出部13、第3搬送部15、第2搬送部17、第5搬送部19、制御部21及び記憶部23を備える。制御部21及び記憶部23以外の具体的な構成については、図5以外の図も参照しながら説明する。
【0036】
<制御部及び記憶部>
制御部21は、保管装置1(具体的には、搬送装置10)を統括的に制御する。記憶部23は、保管装置1(具体的には、搬送装置10)の制御に必要な情報を記憶する。
【0037】
制御部21は、例えば、搬送制御部211、シャッタ制御部212、方向特定部213、保管位置管理部214、及びタッチパネル制御部215を備える。
【0038】
搬送制御部211は、第1搬送部112、第3搬送部15、第2搬送部17、及び第5搬送部19の動作を制御する。シャッタ制御部212は、シャッタ114の開閉動作を制御する。タッチパネル制御部215は、タッチパネル20の表示を制御する。
【0039】
方向特定部213は、第1検出部113の検出結果に基づき、薬剤箱の向きを特定する。本実施形態では、方向特定部213は、第1検出部113の検出結果と、読取部111で読取った薬剤識別情報とに基づき、薬剤箱の向きを特定する。また、方向特定部213は、薬剤箱の向きが所定方向を向いているか否かを判定する。本実施形態では、方向特定部213は、薬剤箱の長手方向が保管装置1の奥行方向を向いているか否かを判定する。搬送制御部211は、方向特定部213により特定された薬剤箱の向きが所定方向を向いていないと判定した場合、シャッタ114が閉状態において、第1搬送部112を所定時間動作させる。
【0040】
薬剤識別情報は、薬剤箱の表面に付された、薬剤箱に収容された薬剤を識別するための情報(例:薬剤の種類を示す情報)である。薬剤識別情報は、例えばGS1コードに含まれる情報の一例であり、バーコードの形式により薬剤箱の表面に付されている。但し、薬剤識別情報は、薬剤箱に収容された薬剤を識別可能な情報であればよく、GS1コード以外の情報により実現されてもよい。また、薬剤識別情報は、読取部111が読取り可能な形式であればよく、バーコード以外の形式で付されてもよい。薬剤箱の表面に付された情報には、薬剤の種類を示す薬剤識別情報の他、薬剤箱に収容された薬剤の有効期限、ロット番号、及び個数を示す情報が含まれてよい。なお、有効期限は使用期限と称される場合もある。
【0041】
また、薬剤箱の長手方向は、薬剤箱を規定する辺のうちの最長の辺に沿った方向であり、薬剤箱の短手方向は、薬剤箱を規定する辺のうちの最短の辺に沿った方向である。なお、本実施形態において、薬剤箱の形状は略直方体である。
【0042】
保管位置管理部214は、薬剤受入部11で受入れた薬剤箱の、保管棚30における保管位置を管理する。保管位置管理部214は、例えば、各保管棚30において座標系が予め設定されており、当該座標系において薬剤箱が保管されている領域を示す座標(例:4隅の座標)を、薬剤箱の保管位置として決定してよい。
【0043】
保管位置管理部214は、保管棚30への保管対象である薬剤箱の大きさに基づき、保管位置を決定する。保管位置管理部214は、例えば、読取部111で読取った薬剤識別情報に基づき、記憶部23に記憶された薬剤データベースを参照することにより、薬剤受入部11で受入れた薬剤箱の大きさを特定する。保管位置管理部214は、特定した薬剤箱の大きさと、記憶部23に記憶された保管位置情報と、に基づき、保管棚30における薬剤箱の保管位置を決定する。
【0044】
薬剤データベースは、例えば、複数種類の薬剤に関する情報を管理するものである。薬剤データベースは、例えば、複数種類の薬剤のそれぞれに対応付けて、薬剤を収容する薬剤箱の大きさ(例:縦、横、高さの各長さ)を示す情報を管理する。保管位置情報は、保管棚30における薬剤(具体的には、薬剤箱)の保管位置を示す情報である。保管位置管理部214は、保管位置情報を参照することにより、保管棚30における空き領域を特定できる。これにより、物理的な仕切りにより保管位置が決められていない保管棚30の空き領域に、第2搬送部17は、薬剤箱を保管できる。
【0045】
また、保管位置管理部214は、例えば、薬剤箱の保管位置を決定した場合、及び、薬剤箱の取出指示を受付けた場合に、保管位置情報を更新する。保管位置管理部214は、薬剤箱の保管位置を決定した場合、当該薬剤箱の保管位置を含むように保管位置情報を更新してよい。また、保管位置管理部214は、薬剤箱の取出指示を受付けた場合、当該薬剤箱の保管位置を削除するように(空き領域とするように)保管位置情報を更新してよい。
【0046】
保管位置管理部214は、第2搬送部17により保管棚30に薬剤箱が保管されたと判定した場合、及び、第2搬送部17により保管棚30から薬剤箱が取出されたと判定した場合に、保管位置情報を更新してもよい。保管位置管理部214は、例えば、第2搬送部17の把持部171が備える通過検出部1751(図10参照)から、薬剤箱を検出したことを示す検出信号を受信した場合、保管位置情報を参照することにより、薬剤箱が保管されたか、又は取出されたかを判定する。保管位置管理部214は、この判定結果に基づき、保管位置情報を更新してもよい。
【0047】
図5に示すように、制御部21は、その他、決定部216、判定部217及び特定部218を備える。決定部216、判定部217及び特定部218については後述する。
【0048】
<薬剤受入部とその周辺の構成>
図6の符号5001及び符号5002は、薬剤受入部11とその周辺の構成の一例を示す斜視図である。図6の符号5001における矢印は、第3搬送部15における薬剤箱の搬送方向を示す。図7は、薬剤受入部11の一例を示す斜視図である。
【0049】
図6及び図7に示すように、薬剤受入部11は、第1側壁部116、第2側壁部117、シャッタ114、第1搬送部112、及び天面部118により形成される空間部である。また、第1側壁部116、シャッタ114、第1搬送部112、及び天面部118により、薬剤箱を薬剤受入部11に受入れる開口部が形成される。
【0050】
第1側壁部116は、シャッタ114と対向する側壁部である。第2側壁部117は、上記開口部と対向する側壁部である。また、シャッタ114は、薬剤受入部11の側壁部の一部として機能し、第1搬送部112は、薬剤受入部11の底部として機能する。
【0051】
また、薬剤受入部11の内部には、薬剤箱の表面に付された薬剤識別情報を読取る読取部111が設けられている。本実施形態では、薬剤識別情報は、バーコードの形式により薬剤箱の表面に付されている。そのため、本実施形態では、読取部111は、バーコードリーダである。読取部111は、薬剤箱の表面に付された薬剤識別情報を読取り可能な装置であればよい。読取部111は、読取った薬剤識別情報を、制御部21に送信する。
【0052】
制御部21は、読取部111が薬剤識別情報を読取った場合、報知部(不図示)から音(例:BEEP音)を出力させる。すなわち、制御部21は、報知部を介して、読取部111が薬剤識別情報を読取ったことを報知させる。これにより、作業者は、読取部111が薬剤識別情報を読取ったことを認識できる。そのため、作業者は、次の薬剤箱を薬剤受入部11に投入し、当該薬剤箱に付された薬剤識別情報を読取部111に読取らせることができる。すなわち、保管装置1は、薬剤受入部11において、薬剤箱を連続して受入れることができる。
【0053】
なお、制御部21は、タッチパネル20を介して手動充填の入力を受付けた場合に、読取部111を駆動させてよい。
【0054】
また、読取部111は、薬剤受入部11の内部に複数設けられている。本実施形態では、図7に示すように、読取部111として、読取部111A~111Cが設けられている。読取部111Aは、薬剤識別情報の読取方向が第2側壁部117に略直交する方向となるように、第1側壁部116に設けられている。読取部111Bは、薬剤識別情報の読取方向が第1側壁部116に略直交する方向となるように、第2側壁部117に設けられている。読取部111Cは、薬剤識別情報の読取方向が天面部118に略直交する方向となるように、天面部118に設けられている。
【0055】
読取部111が薬剤受入部11の内部に複数設けられていることにより、作業者は、薬剤受入部11に薬剤箱を投入するだけ、又は、薬剤受入部11の内部において最大180°回転させるだけで、読取部111に薬剤識別情報を読取らせることができる。また、上述のように、作業者は、薬剤識別情報の読取りができたか否かを確認できる。
【0056】
第1搬送部112は、搬送制御部211の制御により、薬剤受入部11で受入れた薬剤箱を載置した状態でシャッタ114へと搬送する。本実施形態では、第1搬送部112は、ベルトコンベヤである。搬送制御部211は、例えば、読取部111が読取った薬剤識別情報を受信後に、第1搬送部112を順送りさせる。第1搬送部112を順送りさせるとは、第1搬送部112の搬送ベルトを、載置された薬剤箱をシャッタ114側(+X軸方向)へと搬送するように動作させることを指す。なお、搬送制御部211が、第1搬送部112の搬送ベルトを、載置された薬剤箱が第1側壁部116側(-X軸方向)へと搬送するように動作させることを、第1搬送部112を逆送りさせるとも称する。
【0057】
シャッタ114は、第1搬送部112と第3搬送部15との間に設けられ、シャッタ制御部212の制御により開閉する。シャッタ114は、薬剤受入部11で薬剤箱を受入れ可能な状態において閉状態である。また、シャッタ114は、閉状態のときに、第1搬送部112により第3搬送部15側へと搬送される薬剤箱の移動を妨げる。
【0058】
シャッタ114は、閉状態において、第1搬送部112により搬送中の薬剤箱の1側面が接触する側面1141(接触面)を有する側面接触部として機能する。すなわち、本実施形態では、第1搬送部112は、薬剤受入部11で受入れた薬剤箱を搬送することにより、当該薬剤箱の1側面を側面1141と接触させるものである。
【0059】
また、本実施形態では、シャッタ114は、鉛直方向(±Z軸方向)に開閉動作を行う。
【0060】
第1検出部113は、シャッタ114に接触又は近接した薬剤箱を検出する検出部である。第1検出部113は、光を出力することにより対象物の有無を検出するセンサ1131を複数備える。本実施形態では、複数のセンサ1131は、図6の符号5001に示すように、シャッタ114の側面1141に含まれる一辺であって、かつ、第1搬送部112と接触可能な一辺に沿って設けられている。すなわち、複数のセンサ1131は、側面1141の下端部に、±Y軸方向に沿って設けられている。そして、複数のセンサ1131は、シャッタ114の側面1141と略垂直方向に光を出射するように、側面1141に設けられている。また、本実施形態では、センサ1131は、光を出射する出射部と、出射した光が対象物に反射した後の反射光を受光する受光部とを備える反射型のセンサである。
【0061】
第1検出部113は、薬剤箱を検出したことを示す検出信号を、制御部21に送信する。また、第1検出部113は、複数のセンサ1131のうち、どのセンサ1131が薬剤箱を検出したかを示す情報を、検出信号に含めて、制御部21に送信する。これにより、制御部21は、薬剤箱を検出したかどうかを判定できる。また、方向特定部213は、薬剤箱を検出したセンサ1131の配置位置と、読取部111で読取った薬剤識別情報に基づいて薬剤データベースを参照することにより取得した薬剤箱の大きさと、を比較する。これにより、方向特定部213は、薬剤箱のどの表面がシャッタ114の側面1141に近接又は接触しているのかを特定できる。そのため、方向特定部213は、シャッタ114の側面1141に近接又は接触した薬剤箱の向きが所定方向を向いているかどうかを特定できる。
【0062】
なお、第1検出部113は、薬剤箱がどのようにシャッタ114の側面1141に接触しているのかを特定できるものであればよい。例えば、複数のセンサ1131は、複数列に設けられていてもよいし、光以外の電磁波、又は、音波(例:超音波)を出射するものであってもよい。また、第1検出部113が、シャッタ114と隣接する天面部118に設けられた撮像部であってもよい。この場合、方向特定部213は、撮像部が撮像した薬剤箱の画像を解析することにより、薬剤箱の向きを特定できる。すなわち、方向特定部213は、撮像部としての第1検出部113の検出結果に基づき、薬剤箱の向きを特定できる。
【0063】
出入検出部115は、薬剤受入部11において、第1搬送部112の手前側(薬剤箱を受入れる側)に設けられている。出入検出部115は、光を出力することにより対象物の有無を検出するセンサを複数備える。本実施形態では、当該複数のセンサは、±X軸方向に一列に設けられている。また、本実施形態では、当該センサは反射型のセンサである。
【0064】
センサは、対象物を検出した場合、対象物を検出したことを示す検出信号を、制御部21に送信する。これにより、制御部21は、作業者の手及び腕が薬剤受入部11に挿入されているか否かを判定できる。
【0065】
第3搬送部15は、搬送制御部211の制御により、シャッタ114が開いている状態において、第1搬送部112から搬送された薬剤箱を順次受取れるよう、シャッタ114を介して第1搬送部112に併設されている。本実施形態では、第3搬送部15は、ベルトコンベヤである。
【0066】
本実施形態では、第3搬送部15は、第3-1搬送部15Aと第3-2搬送部15Bとを備える。第3-1搬送部15Aは、第1搬送部112から受取った薬剤箱を所定幅離隔した状態で搬送する。第3-1搬送部15Aは、第1搬送部112から搬送された薬剤箱を順次受取れるよう、シャッタ114を介して第1搬送部112に併設されている。第3-2搬送部15Bは、第3-1搬送部15Aから受取った薬剤箱を所定幅離隔した状態で搬送する。第3-2搬送部15Bは、保管装置1の奥行方向(±Y軸方向)において、第3-1搬送部15Aに併設されており、第3-1搬送部15Aと逆向きに薬剤箱を搬送する。
【0067】
第3-1搬送部15Aの、薬剤受入部11とは反対側の端部側には、(1)第3-1搬送部15Aの当該端部と、(2)第3-2搬送部15Bの、第3-1搬送部15Aの当該端部と対向する端部との間で、薬剤箱を移動させる薬剤移動部151が設けられている。
【0068】
薬剤移動部151は、押出板1511、タイミングベルト1512、及び駆動部1513を備える。押出板1511がタイミングベルト1512の一部に固定されており、タイミングベルト1512が2つの駆動軸に装着されている。また、一方の駆動軸が駆動部1513に接続されている。搬送制御部211は、駆動部1513を駆動させることにより、タイミングベルト1512を動作させることができ、この動作に対応させて押出板1511を、±Y軸方向に移動させることができる。
【0069】
すなわち、押出板1511が、第3-1搬送部15Aの上記端部に到達した薬剤箱を第3-2搬送部15Bへと押出すことにより、薬剤移動部151は、当該薬剤箱を、第3-1搬送部15Aから第3-2搬送部15Bへと移動させることができる。搬送制御部211は、駆動部1513を制御することにより、第3-2搬送部15Bへ薬剤箱を移動させた後、押出板1511を第3-1搬送部15A側へと移動させる。これにより、薬剤移動部151は、薬剤箱を順次、第3-1搬送部15Aから第3-2搬送部15Bへと移動させることができる。
【0070】
なお、搬送制御部211は、第3-2搬送部15Bに搬送された薬剤箱の向きを±Y軸方向に調整するために、第3-2搬送部15Bが第3-1搬送部15Aから薬剤箱を受取った後に、第3-2搬送部15Bの載置面を押出板1511側に移動させてよい。すなわち、搬送制御部211は、第3-2搬送部15Bが第3-1搬送部15Aから薬剤箱を受取った後に、第3-2搬送部15Bの載置面を、図6に示す矢印方向とは逆方向に移動させてよい。これにより、タイミングベルト1512が設けられた筐体に薬剤箱を当接させることにより、薬剤箱の向きを調整できる。
【0071】
搬送制御部211は、例えば、シャッタ制御部212がシャッタ114を開状態とした後、第1搬送部112及び第3搬送部15を順送りさせる。第3搬送部15を順送りさせるとは、第3-1搬送部15Aの搬送ベルトを、載置された薬剤箱がシャッタ114から離隔する方向(+X軸方向)へと搬送するように動作させることを指す。また、第3搬送部15を順送りさせるとは、第3-2搬送部15Bの搬送ベルトを、載置された薬剤箱をシャッタ114側に近づく方向(-X軸方向)へと搬送するように動作させることを指す。
【0072】
搬送制御部211は、第3搬送部15を所定時間動作させた後、停止させる。これにより、第3搬送部15において、薬剤箱を所定幅離隔させた状態で、薬剤箱を搬送できる。すなわち、第3搬送部15を動作させる所定時間は、隣接する薬剤箱同士を所定幅離隔させることが可能な時間に設定されている。所定幅は、第2搬送部17の把持部171が薬剤箱を把持するときに、把持対象の薬剤箱と隣接する薬剤箱に接触しない程度の幅に設定されていればよい。本実施形態では、例えば15mmに設定される。なお、搬送制御部211は、第3搬送部15の停止時に、第1搬送部112を停止させてよい。
【0073】
例えば、搬送制御部211は、第2搬送部17を制御して、第3搬送部15に載置された薬剤箱を順次、保管位置管理部214が決定した保管位置へ搬送してよい。搬送制御部211は、例えば、タッチパネルを介して、充填作業を完了するための入力を受付けた場合、又は、入力された薬剤箱の充填数に達したと判定した場合に、第2搬送部17を制御して、薬剤箱を保管位置へ搬送してもよい。
【0074】
また例えば、搬送制御部211は、第3搬送部15上の薬剤箱の個数が第3搬送部15に載置可能な薬剤箱の個数の最大数と一致した場合に、第2搬送部17を制御して、先頭の薬剤箱から順次、保管位置管理部214が決定した保管位置へ搬送してよい。この場合、搬送制御部211は、第2搬送部17による薬剤箱の把持タイミングにあわせて、第3搬送部15上の薬剤箱を順次、順送りしてもよい。これにより、制御部21は、第3搬送部15に上記最大数の薬剤箱が載置されているときに、読取部111で薬剤識別情報を読取った薬剤箱が第1搬送部112に載置された場合であっても、当該薬剤箱を第3搬送部15上に搬送できる。すなわち、第2搬送部17による薬剤箱の把持後に、シャッタ制御部212がシャッタ114を開状態とする。その後、搬送制御部211が第1搬送部112及び第3搬送部15を駆動させることにより、第1搬送部112上の薬剤箱を、第3搬送部15上に載置できる。
【0075】
なお、制御部21は、例えば幅検出部13による薬剤箱の検出により、第3搬送部15に載置された薬剤箱の個数を計数できる。また、記憶部23には、第3搬送部15に載置可能な薬剤箱の個数の最大数を示す情報が記憶されている。また、第2搬送部17による薬剤箱の把持位置は、第3搬送部15上において特定されていてもよい。この場合、シャッタ114から当該把持位置までの間に第3搬送部15に載置可能な薬剤箱の個数が上記最大数となる。
【0076】
幅検出部13は、薬剤箱の幅を検出するものである。幅検出部13は、例えば反射型のセンサである。幅検出部13は、幅検出部13の前方を通過する薬剤箱を検出する。本実施形態では、幅検出部13は、第3-1搬送部15A及びシャッタ114の近傍であり、かつ、薬剤箱の検出方向(光の出射方向)が、第3-1搬送部15Aによる薬剤箱の搬送方向と略垂直となる位置に設けられている。
【0077】
本実施形態においては、第1搬送部112及びシャッタ114によって、薬剤箱の長手方向が保管装置1の奥行方向と一致するように、薬剤箱の向きが調整される。そのため、薬剤箱の長手方向と垂直な側面が幅検出部13と対向するように、薬剤箱は、幅検出部13の前方を通過する。搬送制御部211は、例えば、幅検出部13による薬剤箱の検出時間と、第3-1搬送部15Aの搬送ベルトの移動速度(薬剤箱の搬送速度)とに基づき、薬剤箱の幅(第3-1搬送部15Aに載置された状態において±X軸方向に沿った幅)を算出できる。そのため、搬送制御部211は、第2搬送部17の把持部171が薬剤箱を把持するときに、算出した薬剤箱の幅よりも大きく、±X軸方向に把持部171を開くことができる。
【0078】
なお、幅検出部13は、薬剤箱の通過を特定できるように設けられていればよい。例えば、幅検出部13は、透過型のセンサとして実現されていてもよいし、光以外の電磁波、又は、音波(例:超音波)を出射するものであってもよい。また、幅検出部13は、撮像部として実現されていてもよい。なお、本明細書において、対象物を検出する検出部は、特に断りが無い限り、反射型又は透過型のセンサであってよいし、電磁波又は音波を出射するものであってよいし、撮像部であってもよい。
【0079】
<保管装置への薬剤箱の受入動作例>
保管装置1への薬剤箱の受入動作例について、図8を用いて説明する。本実施形態では、保管棚30には、薬剤箱の長手方向が保管装置1の奥行方向(±Y軸方向)と一致するように、薬剤箱が載置される。また、第2搬送部17は、第3搬送部15に載置された薬剤箱の向きをそのまま、又は180度回転させて保管棚30に保管する。第3搬送部15の搬送では、薬剤箱の向きは変更されない。従って、保管棚30に上記のように薬剤箱を保管可能とするために、薬剤受入部11において、薬剤箱の長手方向が±Y軸方向を向くように調整される。
【0080】
図8は、第1搬送部112に載置された薬剤箱MB1が第3-1搬送部15Aに搬送される工程の一例を示す図である。図8は、薬剤受入部11で受入れた薬剤箱MB1の向きを調整する工程の一例を示す図である。
【0081】
まず、作業者は、薬剤箱MB1を把持した状態で、薬剤受入部11に投入する。このとき、出入検出部115は、対象物(作業者の手又は腕)を検出したことを示す検出信号を制御部21に送信する。制御部21は、当該検出信号を受信した場合、読取部111を動作させて、薬剤識別情報の読取りが可能な状態とする。
【0082】
読取部111は、薬剤受入部11に投入された薬剤箱MB1に付された薬剤識別情報を読取った場合、制御部21は、報知部から、薬剤識別情報を読取ったことを報知するための音を出力する。また、搬送制御部211は、読取部111が薬剤識別情報を読取った場合、図8の符号7001に示すように、第1搬送部112を動作させて、第1搬送部112を順送りさせる。これにより、図8の符号7002に示すように、薬剤箱MB1は、シャッタ114まで搬送される。
【0083】
その後、シャッタ114の側面1141に設けられた第1検出部113が薬剤箱MB1を検出する。搬送制御部211は、第1検出部113から薬剤箱MB1を検出したことを示す検出信号を受信した場合、搬送制御部211は、第1搬送部112による薬剤箱MB1の搬送を一旦停止する。
【0084】
方向特定部213は、第1検出部113の検出結果に基づき、第1検出部113が検出した薬剤箱MB1がシャッタ114の側面1141に沿った方向(±Y軸方向)を向いているか否かを判定する。本実施形態では、方向特定部213は、薬剤箱MB1の長手方向が±Y軸方向を向いているか否かを判定する。
【0085】
記憶部23には、シャッタ114における複数のセンサ1131の配置位置を示す情報が記憶されている。また、第1検出部113は、どのセンサ1131によって薬剤箱を検出したのかを示す情報も検出信号に含ませる。さらに、制御部21は、読取部111で読取った薬剤識別情報に基づいて薬剤データベースを参照することにより、薬剤箱の大きさを示す情報を取得できる。そのため、制御部21は、これらの情報に基づき、シャッタ114の側面1141に沿った方向の薬剤箱の大きさを特定できる。すなわち、方向特定部213は、これらの情報に基づき、薬剤箱MB1の長手方向がシャッタ114の側面1141に沿った方向を向いて、シャッタ114に近接又は接触しているか否かを判定できる。
【0086】
符号7002の状態では、方向特定部213は、薬剤箱MB1の長手方向がシャッタ114の側面1141に沿った方向を向いていると判定する。このとき、シャッタ制御部212は、出入検出部115から、対象物(作業者の手又は腕)を検出したことを示す検出信号を受信していないか否かを判定する。シャッタ制御部212は、薬剤箱MB1の長手方向がシャッタ114の側面1141に沿った方向を向いていると判定し、かつ、出入検出部115から検出信号を受信していないと判定した場合、シャッタ114を開状態とする。すなわち、シャッタ制御部212は、作業者の手又は腕が薬剤受入部11に挿入されていない場合に、シャッタ114を開く動作を開始する。
【0087】
ここで、シャッタ114に設けられた第1検出部113の複数のセンサ1131は、上述したように、シャッタ114の側面1141における、第1搬送部112と接触可能な一辺に沿って設けられている。また、複数のセンサ1131は、シャッタ114の側面1141と略垂直方向に光を出射する。そのため、シャッタ114が鉛直上方向に動作するときに、第1搬送部112に載置された薬剤箱の上端部を通過すると、複数のセンサ1131は薬剤箱を検出できなくなる。シャッタ制御部212は、複数のセンサ1131が薬剤箱を検出できなくなってから所定距離動作後、又は所定時間経過後に、シャッタ114の動作を停止させてよい。この場合、シャッタ114を開状態とするたびに、シャッタ114の可動範囲の最高位までシャッタ114を開く必要がなく、薬剤箱の高さに合わせてシャッタ114を開くことができる。
【0088】
シャッタ制御部212は、シャッタ114の動作を停止させた位置、すなわち第1検出部113が検出した薬剤箱の高さが、読取部111で薬剤識別情報を読取った薬剤箱に対して設定された設定値以上の高さであるか否かを判定する。
【0089】
シャッタ制御部212は、読取部111が読取った薬剤識別情報に基づいて記憶部23に記憶された薬剤データベースを参照することにより、薬剤受入部11で受入れた薬剤箱の高さを取得できる。記憶部23には、薬剤データベースに登録された各薬剤箱の高さに所定値を加算した高さが、各薬剤箱に対して設定された設定値として予め記憶されている。なお、制御部21は、薬剤受入部11で受入れた薬剤箱の高さを取得したときに、上記所定値を加算することにより、上記設定値を算出してもよい。所定値としては、シャッタ114が開状態のときに、1つの薬剤箱の第3-1搬送部15Aへの搬送を許容し、かつ、当該薬剤箱に他の薬剤箱が積重なった状態での第3-1搬送部15Aへの搬送を許容しない程度のマージン(例:数mm)が設定されていればよい。
【0090】
シャッタ制御部212が、シャッタ114の動作を停止させた位置が上記設定値未満の位置であると判定した場合、搬送制御部211は、第1搬送部112による薬剤箱MB1の搬送を再度開始する。このとき、搬送制御部211は、第3搬送部15も順送りさせる。これにより、符号7003に示すように、隣接する薬剤箱同士の間隔が所定幅となるように、第3-1搬送部15Aに薬剤箱MB1を載置できる。すなわち、既に第3-1搬送部15Aに載置されている薬剤箱MB2と薬剤箱MB3との間隔W2と、薬剤箱MB2と、第3-1搬送部15Aに搬送した薬剤箱MB1との間隔W1とを略同一にした状態で、薬剤箱MB1~MB3を第3-1搬送部15Aに載置できる。
【0091】
一方、薬剤箱MB1の長手方向がシャッタ114の側面1141に沿った方向を向いていない状態で、薬剤箱MB1が第1搬送部112に載置された場合を考える。この場合、第1検出部113は、薬剤箱MB1の長手方向に沿った薬剤箱MB1の長さ全体において、薬剤箱MB1を検出できない。そのため、搬送制御部211は、シャッタ114が閉状態のまま、すなわち薬剤箱MB1がシャッタ114の側面1141に接触した状態で第1搬送部112を順送りさせる。これにより、薬剤箱MB1の長手方向をシャッタ114の側面1141に沿った方向に向けることができる。
【0092】
第1搬送部112による薬剤箱の搬送中、方向特定部213は、第1検出部113の検出結果に基づき、薬剤箱MB1の長手方向がシャッタ114の側面1141に沿った方向を向いたか否かを判定する。方向特定部213が、薬剤箱MB1の長手方向がシャッタ114の側面1141に沿った方向を向いたと判定し、かつ、出入検出部115から検出信号を受信していないと判定した場合、制御部21は、上述したようにシャッタ114、第1搬送部112及び第3搬送部15を制御する。すなわち、符号7002及び符号7003に示すように、第1搬送部112上の薬剤箱MB1は、シャッタ114が開状態となった後、第3-1搬送部15A上に搬送される。
【0093】
このように、第1搬送部112に載置された薬剤箱の向きに依らず、第1搬送部112及びシャッタ114により、薬剤箱の長手方向がシャッタ114の側面1141に沿った方向を向いた状態で、第3搬送部15に搬送できる。そのため、薬剤受入部11で受入れた薬剤箱の向きを揃えた状態で、第3搬送部15に薬剤箱を連続的に載置していくことができる。従って、第2搬送部17は、簡易な機構により、薬剤箱を順次把持していくことができる。また、保管棚30においても薬剤箱の向きを揃えた状態で、薬剤箱を保管できる。本実施形態では、薬剤箱の長手方向が保管装置1の奥行方向を向くように、保管棚30に薬剤箱を保管できる。
【0094】
また、第1搬送部112が搬送中の薬剤箱の移動をシャッタ114が妨げることにより、薬剤受入部11で受入れた薬剤箱の長手方向をシャッタ114の側面1141に沿った方向に向けることができる。すなわち、第1搬送部112及びシャッタ114という簡易な構成により、薬剤受入部11で受入れた薬剤箱の向きを上記方向に調整できる。
【0095】
また、第1搬送部112と第3搬送部15とが別体であるため、搬送制御部211は、第1搬送部112と第3搬送部15とを独立して制御できる。そのため、薬剤箱の長手方向がシャッタ114の側面1141に沿った方向を向いていない場合に、搬送制御部211が、シャッタ114を閉じたまま第1搬送部112を順送りさせている間、第3搬送部15を停止させておくことができる。そして、搬送制御部211は、薬剤箱がシャッタ114の位置において、薬剤箱の長手方向がシャッタ114の側面1141に沿った方向を向いた状態で、第1搬送部112と第3搬送部15とを駆動する。これにより、複数の薬剤箱の位置間隔を一定に保持した状態で、第3搬送部15に複数の薬剤箱を載置できる。
【0096】
また、搬送制御部211は、第1搬送部112と第3搬送部15とを独立して制御できるため、第1搬送部112の送り量と第3搬送部15の送り量とをそれぞれ設定できる。送り量とは、第1搬送部112の搬送ベルト、又は、第3搬送部15の搬送ベルトを順送りするときの速度である。従って、例えば、第1搬送部112から第3搬送部15へ薬剤箱を搬送した後の第3搬送部15の送り量に応じて、2つの薬剤箱の位置間隔を任意に設定できる。
【0097】
<第2搬送部>
図9は、第2搬送部17の構成の一例を示す斜視図である。図9では、第2保管庫31B側の図示を省略している。
【0098】
第2搬送部17は、薬剤が収容された薬剤箱を把持し、当該薬剤箱を任意の位置へ搬送するための装置である。例えば、第2搬送部17は、薬剤箱を第3搬送部15から保管位置管理部214が決定した保管位置に搬送することにより、当該薬剤箱を保管棚30に保管する。また、第2搬送部17は、ドラッグステーション2から、又はタッチパネル20を介して、薬剤の払出指示を受付けた場合、当該薬剤を収容した薬剤箱を、保管棚30から第5搬送部19に搬送することにより、当該薬剤箱を外部へと払出す。
【0099】
図9に示すように、第2搬送部17は、把持部171及び搬送機構(リフタ)172を備える。第2搬送部17は、保管装置1内に、1台のみ設けられてもよいし複数台設けられてもよい。例えば、保管装置1に設けられる2つの第1保管庫31A及び第2保管庫31Bに沿って、第1保管庫31A及び第2保管庫31Bの間に、2台の第2搬送部17が設けられてもよい。
【0100】
搬送機構172は、把持部171を保管装置1内の任意の位置に移動させるための動作部である。図9に示すように、搬送機構172は、X軸レール部1721、支柱1722、X軸タイミングベルト1723、Z軸駆動部1724、Z軸タイミングベルト1725、X軸駆動部1726、補助タイミングベルト1727、及び駆動軸1728を備える。
【0101】
X軸レール部1721は、保管装置1の幅方向(±X軸方向)に沿って設けられており、支柱1722を±X軸方向にスライド可能に支持する。図9に示すように、X軸レール部1721は、保管装置1の天面部側及び床面部側の両方に設けられていてよい。すなわち、支柱1722は、その両端部において、X軸レール部1721により±X軸方向にスライド可能に支持されていてよい。
【0102】
支柱1722は、鉛直方向(±Z軸方向)に沿って設けられており、X軸レール部1721によって支持されている。支柱1722は、X軸レール部1721に沿って±X軸方向にスライド可能であり、把持部171を支持する。また、支柱1722は、X軸レール部1721に沿って配置されているX軸タイミングベルト1723に接続されている。本実施形態では、保管装置1の天面部側のX軸タイミングベルト1723は、駆動軸1728の一端に接続されている。駆動軸1728の他端は、補助タイミングベルト1727を介して、X軸駆動部1726に接続されている。また、保管装置1の床面部側のX軸タイミングベルト1723も、X軸駆動部1726に接続されている。これにより、X軸タイミングベルト1723は、搬送制御部211の制御によるX軸駆動部1726の動作に従って回転できる。そのため、支柱1722は、X軸レール部1721に沿って移動できる。
【0103】
図10は、把持部171の構成の一例を示す斜視図である。把持部171は、薬剤箱を把持し、搬送機構172の動作に伴って移動することにより、薬剤箱を任意の位置に移動させる。具体的には、支柱1722がX軸レール部1721に沿って移動することにより、把持部171は支柱1722と共に、保管装置1の幅方向(±X軸方向)に移動する。また、把持部171は、支柱1722に沿って鉛直方向(±Z軸方向)に移動可能である。把持部171は、支柱1722に設けられたZ軸タイミングベルト1725がZ軸駆動部1724の動作により回転することによって、支柱1722に沿って移動できる。
【0104】
図10の符号12001及び12002に示すように、把持部171は、主として、載置部1711、及び出入部1712を備える。
【0105】
載置部1711は、薬剤箱を載置するための台である。載置部1711は、例えば保管装置1に保管され得る薬剤箱よりも大きな板状の部材である。載置部1711には、出入部1712が備える1対の挟持部1715に挟持され、保管棚30から引入れられた薬剤箱が載置される。載置部1711には、複数の薬剤箱が載置部1711の長手方向(1対の挟持部1715の延伸方向;図10の±X軸方向)に並んだ状態で載置されてもよい。この場合、把持部171は複数の薬剤箱を同時に搬送できる。
【0106】
出入部1712は、載置部1711に対して薬剤箱を出入れするものである。本実施形態では、出入部1712は、1対の挟持部1715及び押出部1716を備える。
【0107】
1対の挟持部1715は、搬送制御部211の制御に従って動作し、薬剤箱を挟持することにより薬剤箱を把持する。一例として、1対の挟持部1715は、載置部1711の長手方向に沿って延伸する1対の平板状の部材である。1対の挟持部1715は、搬送制御部211の制御に従って、載置部1711の幅方向(図10の±Y軸方向)に、かつ対称的に動作する。上記1対の平板状の部材を、それぞれ把持板1715a及び1715bと称することもできる。
【0108】
具体的には、把持部171は、薬剤箱が載置部1711に対して出入りする側とは反対側(図10の+X軸方向側)に、1対の挟持部1715を載置部1711の幅方向に沿って動作させるY軸動作部を備える。すなわち、把持部171は、載置部1711の先端部とは反対側(載置部1711の奥側)に、Y軸動作部を備える。
【0109】
本実施形態では、Y軸動作部は、例えば、ギア駆動部1731、ギア1732、及び1対の移動体1733を備える。ギア駆動部1731は、ギア1732を回転させるものであり、載置部1711の長手方向に沿った駆動軸を有する。ギア駆動部1731の駆動軸にギア1732が接続され、載置部1711の幅方向に沿って延伸する1対の移動体1733がギア1732に接続されている。搬送制御部211の制御によるギア駆動部1731の動作に従って、ギア1732が回転することにより、1対の移動体1733は、それぞれ反対方向に移動する。1対の移動体1733のそれぞれには、把持板1715a及び1715bが接続されている。そのため、1対の移動体1733の動作により、1対の挟持部1715は、載置部1711の幅方向に沿って開閉できる。なお、把持板1715a及び1715bのいずれか一方のみが、載置部1711の幅方向に動作する構成であってもよい。
【0110】
把持板1715a及び1715bの間の間隔が、把持板1715a及び1715bの間に存在する薬剤箱の、把持板1715a及び1715bのそれぞれに対向する側面に接する程度の広さとなるまで狭められることにより、把持部171は薬剤箱を把持できる。具体的には、上記Y軸動作部は、搬送制御部211の制御に従い、薬剤箱の幅よりも広くなるように、把持板1715a及び1715bの間の間隔を広げた後、当該薬剤箱の幅と同程度となるまで当該間隔を狭める。搬送制御部211は、読取部111で読取った薬剤識別情報に基づいて薬剤データベースを参照することにより、薬剤箱の幅を特定できる。なお、搬送制御部211は、幅検出部13による検出結果に基づき、薬剤箱の幅を特定してもよい。
【0111】
また、1対の挟持部1715は、搬送制御部211の制御に従い、載置部1711の長手方向(把持部171の前後方向;図10の±X軸方向)に動作する。具体的には、把持部171は、1対の挟持部1715を載置部1711の長手方向に沿って動作させるX軸動作部を備える。本実施形態では、X軸動作部は、例えば、挟持駆動軸1741及び挟持駆動部1742を備える。挟持駆動軸1741は、載置部1711の長手方向に延伸して把持部171に設けられている。挟持駆動軸1741には、1対の挟持部1715及びY軸動作部を支持する挟持支持部1720が、載置部1711の長手方向に移動可能に接続されている。搬送制御部211の制御に従って挟持駆動部1742が動作することにより、挟持駆動軸1741は、挟持駆動軸1741の延伸方向に沿った挟持駆動軸1741の中心軸を回転軸として自転する。挟持支持部1720は、この自転に伴って載置部1711の長手方向に移動できる。すなわち、1対の挟持部1715は、挟持駆動軸1741の自転により、載置部1711の長手方向に移動できる。
【0112】
把持部171は、把持部171外に位置する薬剤箱(例:保管棚30に保管された薬剤箱)を把持する場合、以下のように動作する。すなわち、十分に開いた状態の把持板1715a及び1715bが、載置部1711から載置部1711外に突出する方向(図10の-X軸方向)に向けて移動する。その後、把持部171外に位置する薬剤箱と同程度の幅となるように、把持板1715a及び1715bの幅を狭める。これにより、把持部171は、当該薬剤箱を把持できる。また、薬剤箱を把持した状態において、1対の挟持部1715が、載置部1711外から載置部1711に戻る方向(図10の+X軸方向)に移動することにより、把持部171外に位置する薬剤箱を、載置部1711へと引込むことができる。
【0113】
また、1対の挟持部1715は、載置部1711を上方から見たときに、挟持支持部1720との接続側から先端部にかけて(図10の-X軸方向に向けて)、内側に傾斜している。換言すると、把持板1715a及び1715bの間の間隔は、挟持支持部1720との接続側よりも先端部側の方が狭くなっている。また、1対の挟持部1715は、載置部1711の奥側から手前側にかけて(載置部1711の後方から前方にかけて)、内側に傾斜しているとも換言できる。例えば、保管装置1の長手方向に1列に並んで、複数の薬剤箱が保管棚30に保管されている場合、1対の挟持部1715は、把持部171から最遠位にある薬剤箱を把持して、当該複数の薬剤箱を載置部1711へと引込む。このとき、上記のように把持板1715a及び1715bが傾斜して設けられている場合、当該複数の薬剤箱を載置部1711へと引込みやすい。
【0114】
押出部1716は、把持部171から薬剤箱を押出すための部材である。一例として、図10に示すように、押出部1716は、載置部1711の長手方向(図10の±X軸方向)に移動可能な棒状の部材である。押出部1716は、搬送制御部211の制御による不図示の動作部の動作により、載置部1711の長手方向に移動する。載置部1711に薬剤箱が載置されている状態において、押出部1716が載置部1711から載置部1711外に突出する方向(図10の-X軸方向)に移動することにより、当該薬剤箱を、載置部1711外に移動させることができる。なお、押出部1716が載置部1711に載置された薬剤箱を押出すとき、1対の挟持部1715は、当該薬剤箱を目的の位置に押出す際のガイドとしても機能する。
【0115】
このように、出入部1712は、載置部1711の前方(図10の-X軸方向)から薬剤箱を載置部1711に引入れると共に、載置部1711に載置された薬剤箱を載置部1711の前方に押出す。
【0116】
なお、本実施形態では、押出部1716により、載置部1711に載置された薬剤箱を、載置部1711外へと押出す。但し、1対の挟持部1715が載置部1711へと薬剤箱を引入れるときと逆の動作を行うことにより、載置部1711に載置された薬剤箱を、載置部1711外に搬送してもよい。
【0117】
また、把持部171は、図10に示すように、把持検出部1714及び通過検出部1751を備える。
【0118】
把持検出部1714は、載置部1711の幅方向(図10の±Y軸方向)において、1対の挟持部1715の外側に配置されるセンサである。具体的には、把持検出部1714は、1対の移動体1733のそれぞれに設けられ、把持板1715a及び1715bのそれぞれの外側に設けられている。一例として、把持検出部1714は、1対の挟持部1715の長辺に略平行に、把持部171の前方に向けて光を出射する出射部と、出射した光が対象物によって反射した反射光を受光する受光部と、を有する反射型のセンサであってよい。把持検出部1714は、例えば、把持部171の前方に存在する薬剤箱を検出する。把持検出部1714が、薬剤箱を検出したことを示す検出信号を制御部21に送信することにより、搬送制御部211は、1対の挟持部1715の移動可否を判定できる。
【0119】
例えば、取出対象の薬剤箱の長手方向が保管装置1の奥行方向(±Y軸方向)に略平行になるように第3搬送部15又は保管棚30に載置されている場合、把持検出部1714は薬剤箱を検出しない。この場合、搬送制御部211は、1対の挟持部1715を載置部1711の前方(図10の-X軸方向)へと移動させることにより、薬剤箱を把持できる。
【0120】
一方、例えば、第3搬送部15又は保管棚30において、取出対象の薬剤箱が保管装置1の奥行方向に対して斜めに載置されている場合、把持検出部1714は薬剤箱を検出する。この場合、1対の挟持部1715が載置部1711の前方に移動すると、1対の挟持部1715の先端部が薬剤箱に衝突してしまう可能性がある。そのため、把持検出部1714が薬剤箱を検出した場合、搬送制御部211は、1対の挟持部1715(すなわち、把持板1715a及び1715b)の間の間隔を少し(例:数mm)広げる。把持検出部1714が薬剤箱を検出しなくなるまで、搬送制御部211は、この動作を繰返し実行する。把持検出部1714が薬剤箱を検出しなくなった場合、搬送制御部211は、1対の挟持部1715を載置部1711の前方に移動させる。これにより、1対の挟持部1715は、薬剤箱を把持できる。
【0121】
但し、1対の挟持部1715を最大まで開いたとしても、把持検出部1714が薬剤箱を検出する場合には、制御部21は、タッチパネル20又は点灯部材(不図示)等を用いて、薬剤箱を把持できないことを報知してもよい。
【0122】
また、制御部21は、把持検出部1714が薬剤箱を検出すること等により、把持部171が保管棚30から薬剤箱を取出すことができないと判定した場合、当該薬剤箱が存在する列については、薬剤箱の取出し及び保管不可の列として特定してよい。つまり、制御部21は、取出不可の薬剤箱が保管された保管棚30において、当該薬剤箱が保管された列以外の領域については、薬剤箱の取出し又は保管を行うことができる。
【0123】
例えば、複数の薬剤箱が一列に並んで保管されている状態で、そのうちの1つの薬剤箱(例えば、把持部171に最も近い位置に保管されている薬剤箱)の保管位置にずれが生じている場合を考える。この場合、制御部21は、当該薬剤箱と同列に保管された他の薬剤箱を取出不可の薬剤箱と特定してよい。また、その列に空き領域がある場合であっても、制御部21は、当該空き領域を保管不可領域として特定してよい。
【0124】
通過検出部1751は、載置部1711に引入れられる薬剤箱、又は載置部1711から押出される薬剤箱を検出する。一例として、通過検出部1751は、鉛直上方向に光を出射する出射部と、出射した光が対象物によって反射した反射光を受光する受光部と、を有する反射型のセンサであってよい。通過検出部1751は、載置部1711の先端部側(図10の-X軸方向側)の、載置部1711の下方に設けられている。通過検出部1751が、薬剤箱を検出したことを示す検出信号を制御部21に送信することにより、制御部21は、載置部1711の先端部側での薬剤箱の通過状況を特定できる。すなわち、制御部21は、通過検出部1751の検出結果に基づき、把持部171が薬剤箱を引入れて把持したか、又は、把持部171から薬剤箱を把持部171外へと押出したかを特定できる。換言すれば、制御部21は、通過検出部1751の検出結果に基づき、把持部171と把持部171外との間での薬剤箱の移送を特定できる。また制御部21は、例えば、通過検出部1751による薬剤箱の検出時間と、1対の挟持部1715の移動速度(薬剤箱の搬送速度)とに基づき、薬剤箱の長手方向の幅(±Y軸方向に沿った幅)を算出してもよい。これにより、制御部21は、把持部171による移送対象が所望の薬剤箱か否かを特定してもよい。
【0125】
また、図10の符号12002に示すように、把持部171は、鉛直方向回り(具体的には、回転駆動部1755の回転軸Ax1回り)に、把持部171を回転させる回転駆動部1755を備える。本実施形態では、回転駆動部1755は、載置部1711の下方に設けられている。回転駆動部1755は、搬送制御部211の制御に従って動作することにより、1対の挟持部1715の先端部側を、第3搬送部15、第1保管庫31Aの保管棚30、第2保管庫31Bの保管棚30、及び第5搬送部19にそれぞれ向けることができる。
【0126】
<保管動作>
以下、第1搬送部112から第3搬送部15に搬送された薬剤箱MB1を保管棚30に保管する際の第2搬送部17の動作について、図11を用いて説明する。図11は、第3搬送部15上の薬剤箱MB1を第2搬送部17が引出して把持するときの動作例と、第2搬送部17が把持した薬剤箱を押出して保管棚30に保管するときの動作例とを示す図である。
【0127】
なお、図11において、13001A等、符号Aが付されている図は、把持部171を側面(図10の+Y軸方向)から見た状態を示す。また、13001B等、符号Bが付されている図は、把持部171を正面(図10の-X軸方向)から見た状態を示す。符号Aが付された図と符号Bが付された図とを総称する場合は、図示しない「13001」等の数字のみによって称する。
【0128】
まず、搬送制御部211は、第3搬送部15上に薬剤箱が載置された状態において、第2搬送部17を動作させる。具体的には、図11の符号13001に示すように、搬送制御部211は、第3搬送部15に載置された薬剤箱MB1と対向して把持部171が位置するように、把持部171を移動させる。搬送制御部211は、X軸レール部1721に沿って支柱1722を移動させることにより、把持部171と薬剤箱MB1との保管装置1の幅方向の位置をあわせる。また、搬送制御部211は、支柱1722に沿って把持部171を移動させることにより、把持部171と薬剤箱MB1とのZ軸方向の位置をあわせる。
【0129】
続いて、図11の符号13002に示すように、搬送制御部211は、1対の挟持部1715(すなわち、把持板1715a及び1715b)の間の間隔が搬送対象の薬剤箱MB1の幅よりも広くなるように、1対の挟持部1715を開く。その後、図11の符号13003に示すように、搬送制御部211は、1対の挟持部1715を第3搬送部15側に移動させる。
【0130】
搬送制御部211は、1対の挟持部1715を第3搬送部15側に移動させた後、図11の符号13004に示すように、把持板1715a及び1715bの間の間隔を狭める。具体的には、搬送制御部211は、把持板1715a及び1715bの間の間隔が、薬剤箱MB1の幅と同程度又は若干狭くなるように、把持板1715a及び1715bを動作させる。薬剤箱MB1の幅は、記憶部23に記憶された当該薬剤箱MB1の大きさ、又は幅検出部13によって検出された幅に基づいて特定されてよい。これにより、把持部171によって薬剤箱MB1が把持される。
【0131】
その後、図11の符号13005に示すように、搬送制御部211は、1対の挟持部1715を載置部1711側に移動させる。これにより、薬剤箱MB1が第3搬送部15から引出され、載置部1711に載置される。
【0132】
なお、搬送制御部211は、把持部171を別の薬剤箱MB1と対向する位置に移動させた後、上記の動作を繰返し実行することにより、把持部171に複数の薬剤箱MB1を把持させてもよい。
【0133】
また、搬送制御部211は、第2搬送部17に薬剤箱MB1を把持させた後、目的の位置において払出させる。具体的には、搬送制御部211は、薬剤箱MB1を把持した把持部171を、保管棚30において当該薬剤箱MB1が保管される保管位置に移動させる。保管位置は、例えば保管位置管理部214によって特定された位置である。把持部171を保管位置に移動させる方法は、把持部171を薬剤箱MB1と対向する位置に移動させた場合と同様である。
【0134】
搬送制御部211は、把持部171を保管位置に移動させた後、1対の挟持部1715を若干広げる。その後、搬送制御部211は、把持部171を保管棚30側に移動させた後、押出部1716を突出させる。これにより、載置部1711に載置された薬剤箱MB1は、保管棚30に移動する。
【0135】
なお、搬送制御部211は、1対の挟持部1715を保管棚30側に移動させながら、押出部1716を突出させてもよい。1対の挟持部1715の先端部が、押出部1716により押される薬剤箱MB1の重心位置よりも、1対の挟持部1715又は押出部1716の移動方向側に位置するように、薬剤箱MB1を移動できればよい。これにより、薬剤箱MB1を把持部171から把持部171外に移動させるときに、1対の挟持部1715を、薬剤箱MB1を目的の位置まで案内するガイドとして機能させることができる。
【0136】
搬送制御部211は、保管棚30に薬剤箱MB1を載置した後に、図11の符号13006に示すように、1対の挟持部1715を載置部1711側に移動させ、その後、押出部1716を載置部1711側に移動させる。この場合、1対の挟持部1715を載置部1711側に移動させている間、保管棚30に載置した薬剤箱MB1の位置を、押出部1716により固定できる。そのため、1対の挟持部1715がその移動中に薬剤箱MB1に接触することにより、薬剤箱MB1の位置がずれてしまう可能性を低減できる。
【0137】
なお、保管棚30に薬剤箱を保管する場合、搬送制御部211は、載置部1711に載置された薬剤箱を1対の挟持部1715に挟持させた後、薬剤箱を挟持した1対の挟持部1715を保管棚30へと移動させてもよい。また、搬送制御部211は、保管棚30に薬剤箱を保管した後、1対の挟持部1715の開閉制御を行ってもよい。具体的には、搬送制御部211は、保管棚30に薬剤箱を保管した1対の挟持部1715を開動作させた後、一旦閉動作させ、その後再度開動作させてもよい。ここで、閉動作においては、1対の挟持部1715の間の間隔が薬剤箱MB1の幅よりも若干狭くなるように、把持板1715a及び1715bを動作させることが好ましい。この1対の挟持部1715の開閉動作により、保管棚30に保管した薬剤箱の向きが±Y軸方向となるように調整できる。なお、初めの開動作の速度よりも、薬剤箱の向き調整のために実行する閉開動作の速度を遅くしてもよい。この場合、保管棚30への保管動作に伴う薬剤箱の向きのずれ(±Y軸方向に対するずれ)を発生させないか、又は小さくすることができる。
【0138】
なお、保管棚30から薬剤箱MB1を取出す場合についても、符号13001~13005で説明した動作と同様の動作が行われてよい。また、保管棚30から取出した薬剤箱MB1を第5搬送部19に払出す場合も、符号13006で説明した動作と同様の動作が行われてよい。
【0139】
<複数の薬剤箱が一列に並んで保管されているときの取出例>
複数の薬剤箱が一列に並んで保管棚30に保管されているときに、把持部171が保管棚30の手前側の薬剤箱を取出す場合であって、保管棚30の奥側に、保管棚30の手前側よりも幅が大きい薬剤箱が保管されている場合を考える。「保管棚30の手前側」とは、保管棚30において第2搬送部17から見て近い側を示す。「保管棚30の奥側」とは、保管棚30において第2搬送部17側から見て遠い側を示す。
【0140】
手前側の薬剤箱が取出対象の薬剤箱である場合、搬送制御部211は、1対の挟持部1715が手前側の薬剤箱を挟持できるよう、把持板1715a,1715bの間隔を広げる。但し、1対の挟持部1715が手前側の薬剤箱を挟持できる程度に把持板1715a,1715bの間隔を広げた場合であっても、奥側の薬剤箱の幅の大きさによっては、把持検出部1714が奥側の薬剤箱を検出する可能性がある。
【0141】
このような場合であっても、搬送制御部211は、手前側の薬剤箱を取出すために、1対の挟持部1715を、載置部1711の前方に移動させてよい。
【0142】
把持検出部1714は、測距センサとして機能してよい。この場合、搬送制御部211は、把持検出部1714の検出結果に基づき、搬送先又は取出先に載置された薬剤箱までの距離を計測できる。第2搬送部17による薬剤箱の搬送先及び取出先としては、例えば、第3搬送部15、保管棚30、及び、第5搬送部19の受入搬送部191が挙げられる。
【0143】
搬送制御部211は、上記距離を計測できることにより、把持板1715a,1715bの前方に薬剤箱が存在する場合であっても、把持板1715a,1715bが搬送先又は取出先の薬剤箱に衝突する可能性を低減できる。従って、上記のように、手前側の薬剤箱の幅よりも幅が大きい薬剤箱が奥側に保管されている場合に、手前側の薬剤箱を取出すために1対の挟持部1715を移動させたとしても、奥側の薬剤箱に1対の挟持部1715が衝突する可能性を低減できる。
【0144】
<薬剤箱の受渡し時又は取出し時の把持部の高さ調整>
図12は、搬送先又は取出先の高さに対する把持部171の載置部1711の高さの調整について説明するための図である。図12の符号10011は、把持部171が載置部1711に載置された薬剤箱MBを搬送先に受渡すときの模式図である。図12の符号10012は、把持部171が取出先から薬剤箱MBを取出すときの模式図である。
【0145】
載置部1711に載置された薬剤箱MBを搬送先に受渡す場合を考える。この場合、図12の符号10011に示すように、制御部21は、載置部1711における薬剤箱MBの載置面1711Aが、搬送先の載置面SF1よりも所定距離だけ高くなるように、把持部171の高さを調整する。一方、図12の符号10012に示すように、取出先に載置された薬剤箱MBを取出先から取出す場合、制御部21は、載置面1711Aが、取出先の載置面SF2よりも所定距離だけ低くなるように、把持部171の高さを調整する。
【0146】
薬剤箱MBを搬送先に受渡す場合の所定距離は、例えば、薬剤箱MBの搬送先への受け渡し易さを考慮して、実験等により設定されていてよい。また、取出先から薬剤箱MBを取出す場合の所定距離についても、例えば、薬剤箱MBの取出先からの引入れ易さを考慮して、実験等により設定されていてよい。
【0147】
<第5搬送部>
図13は、第5搬送部19の構成の一例を示す斜視図である。図13では、第5搬送部19の、保管装置1の内部に設けられた部分のみを図示している。第5搬送部19は、保管装置1から外部へと薬剤箱を払出すための搬送部である。本実施形態では、第5搬送部19は、保管装置1から外部の装置(例:ドラッグステーション2)側へと薬剤箱を払出す。図13に示すように、第5搬送部19は、受入搬送部191及び排出搬送部192を備える。
【0148】
受入搬送部191は、第2搬送部17によって保管棚30から取出され、搬送されてきた薬剤箱を受入れ、排出搬送部192に向けて搬送する搬送部である。例えば、受入搬送部191は、受入搬送部191に載置された薬剤箱を第2搬送部17側から排出搬送部192側に向けて、換言すると-Y軸方向に向けて搬送可能なベルトコンベヤである。
【0149】
図13に示すように、本実施形態では、受入搬送部191として、複数の受入搬送部191が設けられている。具体的には、受入搬送部191として、第1受入搬送部191A、第2受入搬送部191B、第3受入搬送部191C、及び第4受入搬送部191Dが設けられている。第1受入搬送部191Aでは、2つのベルトコンベヤが隣接して配置されている。第2受入搬送部191B、第3受入搬送部191C、及び第4受入搬送部191Dは、1つのベルトコンベヤにより構成されている。但し、受入搬送部191の個数は、保管装置1の規模等によって決定されてよく、1つであってもよい。また、第1受入搬送部191A~191Dにおけるベルトコンベヤの個数も、排出搬送部192への薬剤箱の搬送を確認するための実験等により決定されればよい。
【0150】
排出搬送部192は、例えば、受入搬送部191の順送り方向下流側に位置するベルトコンベヤである。受入搬送部191の順送り方向とは、受入搬送部191の搬送ベルトを、載置された薬剤箱を排出搬送部192側(-Y軸方向)へと搬送するように動作させることを指す。なお、排出搬送部192の順送り方向とは、排出搬送部192の搬送ベルトを、載置された薬剤箱を保管装置1の外部(+X軸方向)へと搬送するように動作させることを指す。
【0151】
排出搬送部192は、受入搬送部191から搬送された薬剤箱をさらに搬送し、保管装置1の外部に排出する。本実施形態では、図1に示すように、排出搬送部192は、保管装置1の外部に位置する、保管装置1から遠位に位置するピッキングユニット202まで延伸している。本実施形態では、排出搬送部192の、ピッキングユニット202と対応する位置において、排出搬送部192から搬送された薬剤箱が投入される投入箱40が、排出搬送部192の下方に設けられている。排出搬送部192によって搬送された薬剤箱は、投入箱40に落下する。これにより、作業者は投入箱40から薬剤箱を回収できる。
【0152】
排出搬送部192には、第1受入搬送部191Aから搬送された薬剤箱を、+X軸方向に案内する案内部1921が設けられている。案内部1921は、第1受入搬送部191Aの外壁1911と排出搬送部192の外壁1922と共に、第5搬送部19の外側の外壁を構成する。案内部1921は、±Y軸方向に延伸する外壁1911と、±X軸方向に延伸する外壁1922とを接続している。案内部1921は、第5搬送部を上方からみたとき、湾曲した形状である。これにより、第1受入搬送部191Aから搬送された薬剤箱を、排出搬送部192へスムーズに搬送できる。
【0153】
第1受入搬送部191Aを構成する2つのベルトコンベヤのうち、第1受入ベルトコンベヤ191Aaは、第2受入ベルトコンベヤ191Abよりも順送り速度が速い。第1受入ベルトコンベヤ191Aaは、薬剤箱の搬送方向外周に位置するベルトコンベヤであり、第2受入ベルトコンベヤ191Abは、薬剤箱の搬送方向内周に位置するベルトコンベヤである。なお、搬送方向外周とは、薬剤箱が受入搬送部191から排出搬送部192へ搬送される際に案内部1921に沿って旋回するときの中心軸に対して外側の位置を示し、搬送方向内周とは、当該中心軸に対して内側の位置を示す。
【0154】
第1受入ベルトコンベヤ191Aaの順送り速度を、第2受入ベルトコンベヤ191Abの順送り速度よりも速くすることにより、第1受入搬送部191Aから排出搬送部192への薬剤箱の搬送をスムーズに行うことができる。
【0155】
また、本実施形態では、第1受入ベルトコンベヤ191Aaの搬送ベルトを回転させるプーリの径を、第2受入ベルトコンベヤ191Abの搬送ベルトを回転させるプーリの径よりも大きくしている。これにより、両方のプーリを同軸で接続し、1つの駆動部(不図示)で駆動させるといった簡易な構成により、第1受入ベルトコンベヤ191Aaの順送り速度(搬送ベルトの回転速度)を、第2受入ベルトコンベヤ191Abの順送り速度よりも速くできる。
【0156】
<受入搬送部への薬剤箱の搬送制御>
図13に示すように、第1受入搬送部191Aの幅(X軸方向の長さ)は、第2受入搬送部191B、第3受入搬送部191C及び第4受入搬送部191Dのそれぞれの幅(X軸方向の長さ)よりも大きい。従って、搬送制御部211は、受入搬送部191に払出す薬剤箱の幅によって、薬剤箱を、第1受入搬送部191Aに搬送するか、第2受入搬送部191B~第4受入搬送部191Dの何れかに搬送するかを決定してよい。
【0157】
例えば、搬送制御部211は、受入搬送部191に払出す薬剤箱の幅が、第2受入搬送部191Bの幅よりも小さいかを判定してよい。第2受入搬送部191B、第3受入搬送部191C及び第4受入搬送部191Dの幅は略同一である。
【0158】
搬送制御部211は、受入搬送部191に払出す薬剤箱の幅が、第2受入搬送部191Bの幅よりも小さいと判定した場合、第2搬送部17を制御して、第2受入搬送部191B~第4受入搬送部191Dのうち空いている受入搬送部191に、薬剤箱を搬送する。一方、搬送制御部211は、受入搬送部191に払出す薬剤箱の幅が、第2受入搬送部191Bの幅以上であると判定した場合、第2搬送部17を制御して、第1受入搬送部191Aに薬剤箱を搬送する。
【0159】
受入搬送部191に払出す薬剤箱の幅が第2受入搬送部191Bの幅よりも小さい場合であって、第2受入搬送部191B~第4受入搬送部191Dに空きがない場合を考える。この場合、搬送制御部211は、第1受入搬送部191Aが空いている場合には、第2搬送部17を制御して、受入搬送部191に払出す薬剤箱を、第1受入搬送部191Aに搬送する。
【0160】
搬送制御部211は、例えば払出順を変更する指示を受付けることにより、受入搬送部191に払出す薬剤箱を、第2受入搬送部191B~第4受入搬送部191Dに載置された薬剤箱に優先して払出す必要がある場合がある。例えばこのような場合にも、搬送制御部211は、第2搬送部17を制御して、第2受入搬送部191Bの幅よりも小さい幅を有する薬剤箱を、第1受入搬送部191Aに搬送してよい。
【0161】
但し、搬送制御部211は、第2搬送部17を制御して、第2受入搬送部191B~第4受入搬送部191Dに載置された薬剤箱の何れかを、保管棚30の空き領域に一旦戻してもよい。その後、搬送制御部211は、搬送制御部211は、第2搬送部17を制御して、受入搬送部191に払出す薬剤箱を、空きができた第2受入搬送部191B~第4受入搬送部191Dの何れかに搬送してもよい。
【0162】
また、受入搬送部191に払出す薬剤箱の幅が第2受入搬送部191Bの幅以上である場合であって、第1受入搬送部191Aに空きがない場合を考える。搬送制御部211は、例えば払出順を変更する指示を受付けることにより、受入搬送部191に払出す薬剤箱を、第1受入搬送部191Aに載置された薬剤箱に優先して払出す必要がある場合がある。この場合、搬送制御部211は、第2搬送部17を制御して、第1受入搬送部191Aに載置された薬剤箱を、保管棚30の空き領域に一旦戻す。その後、搬送制御部211は、第2搬送部17を制御して、受入搬送部191に払出す薬剤箱を、空きができた第1受入搬送部191Aに搬送する。
【0163】
≪振動検知時の処理例≫
図14は、振動検知時の処理の一例を示すフローチャートである。図14に示すように、制御部21は、保管装置1の稼働中に、振動検知器60が地震等により所定値以上の振動を検知したかを判定する(S1)。制御部21は、振動検知器60が所定値以上の振動を検知するまで、当該振動を検知した旨の通知の受取りを待機する(S1でNO)。
【0164】
制御部21が、振動検知器60から所定値以上の振動を検知した旨の通知を受けた場合(S1でYES)、タッチパネル制御部215は、タッチパネル20を介して、薬剤箱の保管位置にずれが生じていないかの判定を行う旨を通知する。制御部21は、ドラッグステーション2に、ドラッグステーション2が備えるタッチパネルを介して当該通知を行うよう指示してもよい。
【0165】
また、S1でYESの場合、制御部21は、既に受付けている薬剤の払出指示(薬剤箱の取出指示)の記録を削除し(S3)、薬剤の払出指示の受付けを停止する(S4)。また、S1でYESの場合、制御部21は、有効段判定処理を実行する。有効段判定処理については、図15を用いて後述する。S3~S5の処理は、図14に示す順で行われなくてもよく、例えば並行して行われてもよい。S2の処理は、S5の処理前又は処理中に行われればよい。
【0166】
S5の処理後、タッチパネル制御部215は、タッチパネル20を介して、有効段特定処理が終了したことを通知する(S6)。タッチパネル制御部215は、タッチパネル20に、薬剤箱が取出可能な保管棚30及び/又は薬剤箱が取出不可能な保管棚30を表示してもよい。また、タッチパネル制御部215は、タッチパネル20に、取出可能な薬剤箱の保管位置及び/又は取出不可の薬剤箱の保管位置を表示してもよい。制御部21は、ドラッグステーション2に、ドラッグステーション2が備えるタッチパネルを介して、例えば保管装置1の使用可否の通知を行うよう指示してもよいし、タッチパネル20と同一内容の通知を行うよう指示してもよい。
【0167】
またS5の処理後、制御部21は、保管装置1が継続して使用可能な場合、例えば薬剤箱が取出可能な保管棚30が存在する場合、薬剤の払出指示の受付けを再開する(S7)。S6及びS7の処理は、図14に示す順で行われなくてもよく、例えば並行して行われてもよい。
【0168】
<有効段特定処理>
図15は、有効段特定処理の一例を示すフローチャートである。有効段特定処理は、所定値以上の振動が検知された後に、薬剤箱が取出可能な保管棚30(有効な保管棚30)を特定する処理である。図5に示すように、制御部21は、決定部216、判定部217、及び特定部218を備える。決定部216、判定部217、及び特定部218は、有効段特定処理を実行するための機能ブロックである。
【0169】
本実施形態では、予め複数の保管棚30がブロック(グループ)分けされている。具体的には、保管棚30のブロックは、鉛直方向に沿って配置されている複数の保管棚30を、所定数含むブロックに分けることにより設定されている。そして本実施形態では、制御部21は、予め設定された保管棚30のブロック毎に有効段特定処理を行う。図16は、有効段特定処理を行う対象となるブロックの設定例について説明するための図である。
【0170】
図16では、1つのブロックに5つの保管棚30が含まれるように、ブロック分けを行った例を示している。図16では、最下段の保管棚30からブロックの設定を行った場合の例を示している。
【0171】
図16に示すように、保管棚30が配置可能な箇所であるが、保管棚30が配置されていない空間(抜け段30SP)が存在する場合、抜け段30SPにも保管棚30が配置されているものとしてブロックの設定が行われる。また、鉛直方向に隣接する保管棚30同士の間に器材(例:第3搬送部15、第5搬送部19)が存在する場合には、当該器材の存在を無視してブロックの設定が行われる。
【0172】
図16の例では、最下段のブロックから順に、ブロック32A~32Dが設定されている。最後に設定される最終段のブロックについては、保管棚30の数が所定数(ここでは5つ)に満たなくてもよい。
【0173】
図15に示すように、まず、決定部216は、予め設定された複数のブロックから、有効段特定処理を行う対象ブロック(判定部217による判定対象となるブロック)を決定する。本実施形態では、制御部21は、まず、最下段のブロックを対象ブロックとして決定する(S11)。図16の例では、制御部21は、まず、最下段のブロック32Aを対象ブロックとして決定する。
【0174】
S1の処理後、決定部216は、最下段のブロックにおいて、判定部217による判定対象となる対象薬剤箱MBTを決定する(S12)。対象薬剤箱MBTは、例えば以下のように決定される。図17は、対象ブロックにおいて、対象薬剤箱MBTの決定例を示す図である。図17では、対象ブロックに含まれる1つの段に、複数の保管棚30A~30Dが配置されている例を示している。
【0175】
決定部216は、有効段特定処理を行う対象保管棚に保管された全ての薬剤箱のうち、対象保管棚の全体において端部側に保管された薬剤箱を、対象薬剤箱MBTとして決定する。本実施形態では、複数の保管棚30が複数段に配置されており、複数段のそれぞれの段には、複数の保管棚30が配置されている。この状態において、決定部216は、有効段特定処理を行う対象段に配置された少なくとも1つの保管棚30全体において端部側に存在する薬剤箱MBを、対象薬剤箱MBTとして決定する。
【0176】
本実施形態では、決定部216は、対象段に含まれる第1保管庫31A側に配置された複数の保管棚30において、把持部171の移動方向(±X軸方向)に沿って最も離れた位置に保管されている2つの薬剤箱MBを、対象薬剤箱MBTとして決定する。また、決定部216は、対象段に含まれる第2保管庫31B側に配置された複数の保管棚30において、把持部171の移動方向(±X軸方向)に沿って最も離れた位置に保管されている2つの薬剤箱MBを、対象薬剤箱MBTとして決定する。
【0177】
複数の薬剤箱MBが保管装置1の奥行方向に1列に並んで配置されている場合には、決定部216は、例えば、把持部171の移動経路に最も近い薬剤箱MBを、対象薬剤箱MBTとして決定してよい。但し、決定部216は、当該複数の薬剤箱MBの何れを対象薬剤箱MBとして決定してもよい。決定部216は、当該複数の薬剤箱MBのうちの2以上の薬剤箱MBを、対象薬剤箱MBとして決定してもよい。
【0178】
図17の符号10021に示すように、保管棚30A~30Dのそれぞれに薬剤箱MBが保管されているとする。保管棚30A,30Bは、第2保管庫31Bにおいて対象段に含まれる、把持部171の移動方向(±X軸方向)に沿って隣接する2つの保管棚30である。保管棚30C,30Dは、第1保管庫31Aにおいて対象段に含まれる、把持部171の移動方向(±X軸方向)に沿って隣接する2つの保管棚30である。
【0179】
図17の符号10021の例では、決定部216は、保管棚30A~30Dのそれぞれにおいて、対象薬剤箱MBT1~MBT4を決定する。保管棚30C,30D全体における、把持部171の移動方向(±X軸方向)に沿った2つの端部側のうち、保管棚30Cの端部側では、保管装置1の奥行方向に1列に並んで複数の薬剤箱MBが保管されている。そのため、決定部216は、当該複数の薬剤箱MBのうち、把持部171の移動経路に最も近い薬剤箱MBを、対象薬剤箱MBT3として決定している。
【0180】
図17の符号10022に示すように、保管棚30A~30Cのそれぞれに薬剤箱MBが保管されているが、保管棚30Dには薬剤箱MBが保管されていないとする。この場合、決定部216は、保管棚30A,30Bのそれぞれにおいて対象薬剤箱MBT1,MBT2を決定する。また、決定部216は、保管棚30Cにおいて、把持部171の移動方向に沿って最も離れている2つの薬剤箱MBを、対象薬剤箱MBT3,MBT4として決定する。
【0181】
保管棚30Cにおける、把持部171の移動方向(±X軸方向)に沿った2つの端部側のそれぞれにおいて、保管装置1の奥行方向に1列に並んで複数の薬剤箱MBが保管されている。そのため、決定部216は、当該複数の薬剤箱MBのうち、把持部171の移動経路に最も近い薬剤箱MBを、対象薬剤箱MBT3,MBT4として決定している。
【0182】
決定部216は、保管棚30A及び/又は保管棚30Bに1つの薬剤箱MBしか保管されていない場合、当該薬剤箱MBを対象薬剤箱MBTとして決定する。決定部216は、保管棚30C及び/又は保管棚30Dに1つの薬剤箱MBしか保管されていない場合、当該薬剤箱MBを対象薬剤箱MBTとして決定する。決定部216は、保管棚30A~30Dに1つの薬剤箱MBしか保管されていない場合、当該薬剤箱MBを対象薬剤箱MBTとして決定する。
【0183】
図15に示すように、S2の処理後、判定部217は、対象ブロックの何れかの保管棚30において、決定部216が決定した対象薬剤箱MBTの保管位置にずれが生じているかを判定する(S13)。
【0184】
判定部217は、例えば、対象ブロックにおいて予め指定された1つの対象段に含まれる少なくとも1つの保管棚30について、対象薬剤箱MBTの保管位置にずれが生じているかを判定する。この場合、各対象ブロックにおいて1つの段のみを判定部217による判定対象とするため、制御部21は、各対象ブロックにおいて複数の段を判定対象とする場合よりも、保管装置1の使用可否を短時間で判定できる。例えば、各対象ブロックに含まれる複数段のうちの最上段が、対象段として指定されていてよい。
【0185】
但し、各対象ブロックにおいて判定部217が判定対象とする対象段は、複数指定されていてもよい。各対象ブロックに含まれる全ての段が対象段として指定されていてもよい。この場合、例えば、判定部217は、対象ブロック内の複数の保管棚30について、例えば最上段の保管棚30から順に、対象薬剤箱MBTの保管位置にずれが生じているかを判定してもよい。各対象ブロックにおいて対象段が複数指定されている場合、判定部217は、対象ブロック内のどの対象段から、対象薬剤箱MBTの保管位置にずれが生じているかを判定してよい。例えば、対象ブロック内の最下段の保管棚30から、対象薬剤箱MBTの保管位置にずれが生じているかを判定してもよい。
【0186】
例えば、搬送制御部211は、対象保管棚において、1対の挟持部1715に対象薬剤箱MBTを挟持させ、載置部1711まで引入れた後、押出部1716により対象薬剤箱MBTを元の位置に戻すという一連の動作を、把持部171に行わせる。判定部217は、この一連の動作を介して、対象薬剤箱MBTの保管位置にずれが生じているかを判定してよい。
【0187】
例えば、搬送制御部211は、第2搬送部17を制御して、決定部216が決定した1つの対象薬剤箱MBTの正面に、把持部171を位置させる。対象薬剤箱MBTの奥行方向が保管装置1の奥行方向に対して斜めを向くように、対象薬剤箱MBTの保管位置がずれている場合、把持検出部1714が対象薬剤箱MBTを検出する。この場合、判定部217は、対象薬剤箱MBTの保管位置にずれが生じていると判定する。
【0188】
例えば、保管装置1の奥行方向に沿って対象薬剤箱MBTの保管位置がずれている場合、1対の挟持部1715が対象薬剤箱MBTを把持できない可能性がある。この場合、1対の挟持部1715を元の位置まで移動させたときに、通過検出部1751が対象薬剤箱MBの通過を検出できない。
【0189】
また、1対の挟持部1715が対象薬剤箱MBTを把持できた場合であっても、載置部1711における対象薬剤箱MBTの載置位置が、保管位置にずれが生じてないときの正常位置とは異なる位置となる。例えば、載置部1711における対象薬剤箱MBTの位置を検出できる検出部を備えている場合、制御部21は、当該検出部の検出結果に基づき、載置部1711における対象薬剤箱MBTの位置が、正常位置であるかを判定できる。
【0190】
従って、把持部171が対象薬剤箱MBTの引入れ動作を行ったときに、通過検出部1751が対象薬剤箱MBの通過を検出しなかった場合、判定部217は、対象薬剤箱MBの保管位置にずれが生じていると判定してよい。また、上記引入れ動作を行ったときに、制御部21が対象薬剤箱MBの載置位置が正常位置とは異なる位置であると判定した場合、判定部217は、対象薬剤箱MBの保管位置にずれが生じていると判定してよい。
【0191】
また、保管装置1の奥行方向に沿って対象薬剤箱MBTの保管位置がずれている場合であって、把持検出部1714が測距センサとして機能する場合を考える。この場合、把持検出部1714により計測される対象薬剤箱MBTまでの距離は、保管位置にずれが生じてないときの対象薬剤箱MBTまでの距離とは異なる。従って、判定部217は、これらの距離が一致しないと判定した場合に、対象薬剤箱MBの保管位置にずれが生じていると判定してもよい。
【0192】
対象段において対象薬剤箱MBTが複数存在する場合には、判定部217は、1つの対象薬剤箱MBTを判定対象とした後、当該対象薬剤箱MBTの保管位置にずれが生じていない場合には、次の対象薬剤箱MBTを判定対象とする。また、対象ブロックにおいて対象段が複数指定されている場合には、判定部217は、次のように判定を行ってもよい。判定部217は、対象段の全ての対象薬剤箱MBTについて保管位置にずれが生じていないと判定した場合には、他の段を対象段として、対象薬剤箱MBTの保管位置にずれが生じていないかを判定してもよい。判定部217は、対象ブロック内において、保管位置にずれが生じていると判定するまで、判定処理を繰返し実行してもよい。
【0193】
判定部217が、対象ブロック内の何れかの保管棚30において、対象薬剤箱MBの保管位置にずれが生じていると判定した場合を考える(S13でYESの場合)。この場合、特定部218は、対象ブロック内、及び対象ブロックより上段のブロック内の全ての薬剤箱MBを、取出不可の薬剤箱MBとして特定する(S14)。
【0194】
例えば、対象段として、対象ブロックの最上段が指定されている場合を考える。この場合に、判定部217が当該最上段の保管棚30において対象薬剤箱MBの保管位置にずれが生じていると判定した場合、特定部218は、対象ブロック内、及び対象ブロックより上段のブロック内の全ての薬剤箱MBを、取出不可の薬剤箱MBとして特定する。
【0195】
S1において、最下段のブロック32Aが対象ブロックとして決定されている場合、特定部218は、最下段のブロック32A内、及びブロック32Aより上段のブロック32B~32Dに保管された全ての薬剤箱MBを、取出不可の薬剤箱MBとして特定する。すなわちこの場合、特定部218は、保管装置1が保管する全ての薬剤箱MBを、取出不可の薬剤箱MBとして特定する。
【0196】
判定部217が、対象ブロックにおいて対象薬剤箱MBの保管位置にずれが生じていないと判定した場合(S13でNO)、決定部216は、対象ブロックが最上段のブロックであるかを判定する(S15)。例えば、対象段として、対象ブロックの最上段が指定されている場合を考える。この場合に、判定部217が当該最上段の保管棚30において対象薬剤箱MBの保管位置にずれが生じていないと判定した場合、対象ブロックの薬剤箱MB全ての保管位置にずれが生じていないと推定して、決定部216はS15の処理を行う。
【0197】
決定部216は、対象ブロックが最上段のブロックではないと判定した場合(S15でNO)、次上段のブロックを、対象ブロックとして決定する。決定部216が、対象ブロックが最上段のブロックであると判定した場合(S15でYES)、制御部21は、全てのブロックについての有効段特定処理を実行済であるため、本処理を終了する。この場合、特定部218は、保管装置1が保管する全ての薬剤箱MBを、取出可能な薬剤箱MBとして特定できる。
【0198】
S1において、最下段のブロック32Aが対象ブロックとして決定されている場合、決定部216は、S15でNOと判定し、S16において、次上段のブロック32Bを対象ブロックとして決定する。
【0199】
その後、制御部21は、ブロック32Bについて、S12及びS13の処理を行う。S13でYESの場合、特定部218は、ブロック32B内、及びブロック32Bより上段のブロック32C,32D内の全ての薬剤箱MBを、取出不可の薬剤箱として特定する。一方、S13でNOの場合、決定部216は、S15の処理を行う。
【0200】
このように、制御部21は、S15において、S13の処理を行った対象ブロックが最上段のブロックであると判定するまで、S12~S16の処理を行う。図16の例では、制御部21は、S15において、S13の処理を行った対象ブロックが最上段のブロック32Dであると判定するまで、S12~S16の処理を行う。
【0201】
図16の例において、ブロック32Cについて、S13でYESの場合、特定部218は、ブロック32C内、及びブロック32Cより上段のブロック32D内の全ての薬剤箱MBを、取出不可の薬剤箱として特定する。また、ブロック32Dについて、S13でYESの場合、特定部218は、ブロック32D内の全ての薬剤箱MBを、取出不可の薬剤箱として特定する。
【0202】
以上のように、ある対象ブロックにおいて、対象薬剤箱MBTの保管位置にずれが生じている場合、特定部218は、当該対象ブロック、及び当該対象ブロックの上方に位置するブロックに保管された薬剤箱MBについては、取出不可の薬剤箱として特定する。つまり、特定部218は、当該対象ブロックよりも下方に位置するブロックに保管された薬剤箱MBについては、取出可能な薬剤箱として特定できる。特定部218は、薬剤箱が取出不可又は取出可能であることを示す情報を、薬剤識別情報に対応付けて、記憶部23に記憶する。
【0203】
地震等、保管庫31に保管された多くの薬剤箱MBの保管位置にずれが生じ得る現象が発生した場合、制御部21は、把持部171が薬剤の払出指示に従って薬剤箱MBを取出すことができる状態であるかを判定する。本実施形態では、制御部21は、当該現象が発生する前までの記録を一旦削除し、保管装置1における処理を一旦停止する。そして、制御部21は、有効段判定処理において保管位置にずれが生じていないかを判定し、保管位置にずれが生じていないと推定される保管棚30については、当該保管棚30からの薬剤箱の取出しを可能とする。
【0204】
制御部21は、保管装置1に保管された全ての薬剤箱MBについて、保管位置にずれが生じていないかを判定してもよい。但し、制御部21は、保管装置1に保管された全ての薬剤箱MBについて、保管位置のずれの発生有無を判定する対象とした場合、取出不可の薬剤箱(すなわち取出可能な薬剤箱)を特定するまでの時間が長くなる可能性がある。保管装置1に保管されている薬剤箱MBの数が多い程、上記の特定までに膨大な時間を要することとなる。
【0205】
上述したように、上記現象が発生した場合、判定部217は、保管装置1に保管された一部の薬剤箱MB(対象薬剤箱MBT)について、保管位置にずれが生じていないかを判定する。そして、特定部218は、判定部217による一部の薬剤箱MBに対する判定結果に基づき、取出不可の薬剤箱を特定する。従って、制御部21は、上記現象が発生した後に、一部の薬剤箱MBに対する判定結果に基づき取出可能な薬剤箱の有無を特定するため、保管装置1が引続き使用できるかの判定を、短時間で行うことができる。
【0206】
また、地震が発生した場合、薬剤箱MBの大きさ及び重量にもよるが、下方に位置する薬剤箱よりも上方に位置する薬剤箱MBの方が、保管位置にずれが生じやすい。従って、ある対象ブロックにおいて対象薬剤箱MBTの保管位置にずれが生じている場合、当該対象ブロック内の薬剤箱MBの保管位置、及び当該対象ブロックよりも上方に位置するブロック内の薬剤箱MBの保管位置にずれが生じている可能性が高いと推定できる。一方、当該対象ブロックよりも下方に位置するブロック内の薬剤箱の保管位置については、ずれが生じている可能性が低いと推定できる。
【0207】
本実施形態では、特定部218が、対象薬剤箱MBTの保管位置にずれが生じている対象ブロックより下方に位置するブロックに保管された薬剤箱MBを、取出可能な薬剤箱として特定できる。従って、判定部217が、一部の薬剤箱MBについてのみ保管位置にずれが生じているかを判定するだけであっても、特定部218は、ずれが生じている可能性が低いと推定できる薬剤箱のみを、取出可能な薬剤箱として特定できる。
【0208】
但し、決定部216は、最下段のブロックから順に、対象ブロックを決定しなくてもよい。決定部216は、例えば、最上段のブロックから順に、対象ブロックを決定してもよい。その他、実験等により、振動の影響を受けやすい保管棚30、又は振動の影響を受けやすい薬剤箱MBが載置される保管棚30が特定されていてもよい。この場合、決定部216は、これらの保管棚30を含むブロックから順に、対象ブロックを決定してもよい。
【0209】
また本実施形態では、対象段として、対象ブロックの最上段が指定されている。対象ブロックに含まれる複数段のうち、最上段に保管された対象薬剤箱MBTが、地震が発生した場合に保管位置にずれが生じている可能性が最も高いと推定できる。そのため、判定部217が対象ブロックの最上段の対象薬剤箱MBTのみを判定対象とすることにより、判定部217の判定処理に要する時間を短くできると共に、判定処理の精度を向上させることができる。
【0210】
また本実施形態では、複数の保管棚30を鉛直方向に沿ってブロック分けしておき、判定部217は、決定部216が対象ブロックとして決定したブロック毎に、保管位置にずれが生じているかを判定する。これに限らず、判定部217は、保管棚30が配置された段毎に、保管位置にずれが生じているかを判定してもよい。また、判定部217は、保管棚30毎に、保管位置にずれが生じているかを判定してもよい。これらの場合、ブロック分けを行わなくてよい。
【0211】
但し、ブロック分けした場合、ブロック毎に纏めて決定部216、判定部217及び特定部218の処理を行うことができる。そのため、ブロック分けした場合、決定部216、判定部217及び特定部218の処理負担を軽減できる。
【0212】
また、判定部217が、ブロック、段又は保管棚30に保管された対象薬剤箱MBTの保管位置にずれが生じていると判定した場合、特定部218は、当該ブロック、段又は保管棚30に保管された薬剤箱MBのみを、取出不可の薬剤箱として特定してもよい。この場合、特定部218は、ブロック毎、段毎又は保管棚30毎に、取出不可の薬剤箱を特定できる。
【0213】
また、地震等の上記現象が生じた場合、保管棚30を少なくとも1つ含む段を平面視したとき、当該段の外周側に保管された薬剤箱MBが振動の影響を受けやすい。特に、把持部171の移動方向(±X軸方向)において、当該段の端部側に保管された薬剤箱MBが振動の影響を受けやすい。
【0214】
本実施形態では、決定部216は、把持部171の移動方向(±X軸方向)に沿って配置された複数の保管棚30において、当該移動方向において最も離れた2つの薬剤箱MBを、対象薬剤箱MBTとして決定する。従って、決定部216は、振動により保管位置にずれが生じている可能性が高い薬剤箱MBを、対象薬剤箱MBTとして決定できる。そのため、判定部217が、一部の薬剤箱MBについてのみ保管位置にずれが生じているかを判定するだけであっても、特定部218は、ずれが生じている可能性が低いと推定できる薬剤箱のみを、取出可能な薬剤箱として特定できる。
【0215】
但し、決定部216は、1段を構成する少なくとも1つの保管棚30に保管された複数の薬剤箱MBの何れを、対象薬剤箱MBとして特定してもよい。
【0216】
<小括>
保管装置1では、判定部217は、複数の保管棚30のうちの少なくとも1つの対象保管棚に保管された複数の薬剤箱MBのうちの一部の薬剤箱MBについて、保管位置にずれが生じているかを判定する。特定部218は、判定部217が保管位置にずれが生じていると判定した場合、対象保管棚に保管されている全ての薬剤箱MBを、取出不可の薬剤箱として特定する。
【0217】
本実施形態では、上述したように、判定部217は、対象ブロックに含まれる複数の保管棚30のうちの何れかの保管棚30(対象保管棚)に保管された複数の薬剤箱MBのうちの一部の薬剤箱MBについて、保管位置にずれが生じているかを判定する。特定部218は、保管位置にずれが生じていると判定した場合、対象ブロックに保管された全ての薬剤箱を、取出不可の薬剤箱として特定する。
【0218】
従って、制御部21は、上記現象が生じた場合に、全ての保管棚30に保管された薬剤箱MBについて保管位置にずれが生じているかを判定し、薬剤箱MBの取出し可否を特定する場合に比べ、薬剤箱MBの取出し可否を短時間で特定できる。
【0219】
また、特定部218は、判定部217が保管位置にずれが生じていると判定した場合、複数の保管棚30のうち、対象保管棚の上方に位置する少なくとも1つの保管棚30に保管されている全ての薬剤箱MBも、取出不可の薬剤箱として特定する。
【0220】
本実施形態では、上述したように、判定部217が対象ブロックにおいて一部の薬剤箱の保管位置にずれが生じていると判定した場合、特定部218は、対象ブロックの上方に位置するブロックに保管された全ての薬剤箱MBも、取出不可の薬剤箱として特定する。
【0221】
そのため、制御部21は、地震により保管位置にずれが生じている可能性が高いと推定できる保管棚30に保管された薬剤箱MBを、取出不可の薬剤箱として特定できる。従って、制御部21は、複数の保管棚30に保管された薬剤箱MBの取出し可否を、より短時間で特定できる。また、一部の薬剤箱MBを判定対象とする場合であっても、上記現象による保管装置1の動作復旧後に、取出可能な状態であると特定した薬剤箱MBを、実際には取出すことができないという事態が生じる可能性を低減できる。
【0222】
≪薬剤箱の大きさを示す情報の別例≫
上述したように、薬剤データベースでは、例えば、複数種類の薬剤のそれぞれに対応付けて、薬剤を収容する薬剤箱の大きさ(例:縦、横、高さの各長さ)を示す情報を管理している。しかし、記憶部23にこのような薬剤データベースが予め記憶されていなくてもよい。記憶部23には、薬剤箱の大きさを示す情報が記憶されていなくてもよい。記憶部23には、例えば、薬剤の種類を示す情報、及び/又はバーコードが示す識別コード(識別番号)のみが予め記憶されていてもよい。
【0223】
この場合、制御部21は、薬剤受入部11で薬剤箱を受入れるたびに、読取部111が読取った薬剤箱に収容された薬剤の種類を示す情報を取得すると共に、例えば以下に示すように取得した薬剤箱の大きさを示す情報を取得する。取得した薬剤の種類を示す情報が予め記憶された薬剤の種類を示す情報と一致する場合、制御部21は、予め記憶された薬剤の種類を示す情報に、取得した薬剤箱の大きさを示す情報を対応付けて記憶してもよい。また、予め記憶された薬剤の種類を示す情報の中に、取得した薬剤の種類を示す情報が存在しない場合、制御部21は、取得した薬剤の種類を示す情報に、取得した薬剤箱の大きさを示す情報を対応付けて記憶してもよい。制御部21は、このようにして、取得した薬剤の大きさを示す情報を含む薬剤データベースを構築してもよい。
【0224】
上記のように薬剤データベースが構築される場合の薬剤箱の大きさを示す情報には、例えば、薬剤箱の縦、横及び高さの各長さに加え、薬剤箱を把持できることを示す把持情報が含まれる。薬剤箱の縦の長さは、薬剤箱の長手方向の長さである。薬剤箱の横の長さは、薬剤箱の短手方向の長さである。
【0225】
薬剤箱の高さは、シャッタ114が備える第1検出部113による検出有無により特定される。シャッタ制御部212は、第1搬送部112に薬剤箱が載置され、かつ出入検出部115が対象物を検出していない状態において、シャッタ114を閉状態から開く動作を開始する。制御部21は、シャッタ114の、閉状態から、第1検出部113が薬剤箱を検出しなくなったときまでの移動距離を特定する。制御部21は、この移動距離を薬剤箱の高さとして特定する。
【0226】
制御部21は、シャッタ114の移動距離として、例えば、シャッタ114を動作させるベルトの移動距離を取得してもよい。制御部21は、ベルトを駆動するモータの、ベルトを移動させるときの回転数を計測し、当該回転数からベルトの移動距離を算出してもよい。また、制御部21は、シャッタ114の閉状態から第1検出部113が薬剤箱を検出しなくなったときまでの時間を計測し、当該時間にシャッタ114の移動速度を乗じた値を、シャッタ114の移動距離としてもよい。
【0227】
薬剤箱の縦及び横の長さのうちの一方の長さは、幅検出部13による薬剤箱の検出時間と、第3-1搬送部15Aの搬送ベルトの移動速度(薬剤箱の搬送速度)とに基づき算出される。上記一方の長さは、幅検出部13による薬剤箱の検出時間の間に移動した、第3-1搬送部15Aの搬送ベルトの移動距離であってもよい。これにより、薬剤箱の長さであって、1対の挟持部1715が薬剤箱を把持するときの動作方向の長さが検出される。
【0228】
薬剤箱の縦及び横の長さのうちの他方の長さは、把持部171の通過検出部1751を用いて特定されてよい。この場合、搬送制御部211は、1対の挟持部1715を制御して、第3搬送部15に載置された薬剤箱を、押出部1716の初期位置まで引入れる。押出部1716の初期位置は、押出部1716の、通過検出部1751から最も離れた位置である。
【0229】
薬剤箱が初期位置にある押出部1716に接触した状態において、搬送制御部211は、把持板1715a,1715bを所定距離離間させた後、押出部1716を通過検出部1751側へと移動させる。搬送制御部211は、通過検出部1751が薬剤箱を検出するまで、押出部1716を通過検出部1751側へと移動させる。
【0230】
搬送制御部211は、初期位置から、通過検出部1751が薬剤箱を検出した位置までの、押出部1716の移動距離を特定する。例えば、搬送制御部211は、押出部1716を駆動するモータの回転数を計測し、当該回転数から押出部1716の移動距離を特定してもよい。搬送制御部211は、押出部1716の初期位置と通過検出部1751との間の距離から、特定した押出部1716の移動距離を減じることにより、上記他方の長さを特定する。
【0231】
本例の場合、薬剤箱の大きさを示す情報が予め記憶部23に記憶されていないため、方向特定部213は、薬剤受入部11で受入れた薬剤箱の向きを特定できない。そのため、本例では、薬剤箱の長手方向が保管装置1の奥行方向を向いて第1搬送部112に載置された場合も、薬剤箱の短手方向が保管装置1の奥行方向を向いて第1搬送部112に載置された場合も、第3搬送部15に薬剤箱が搬送される。
【0232】
従って、薬剤箱の長手方向が保管装置1の奥行方向を向いて第1搬送部112に載置された場合、制御部21は、幅検出部13を用いて薬剤箱の横の長さを特定し、通過検出部1751を用いて薬剤箱の縦の長さを特定する。一方、薬剤箱の短手方向が保管装置1の奥行方向を向いて第1搬送部112に載置された場合、制御部21は、幅検出部13を用いて薬剤箱の縦の長さを特定し、通過検出部1751を用いて薬剤箱の横の長さを特定する。
【0233】
但し、タッチパネル制御部215は、例えば、薬剤箱の長手方向が保管装置1の奥行方向を向くように第1搬送部112に載置するよう、タッチパネル20に表示してもよい。また、薬剤箱の大きさを示す情報を取得した後の薬剤箱については、方向特定部213は薬剤箱の向きを特定できる。
【0234】
把持情報は、薬剤箱を把持可能な把持板1715a,1715bの間の距離(1対の挟持部1715の間の距離)を規定する情報である。この距離は、例えば、把持板1715a,1715bの先端部(挟持支持部1720から最も離れた位置)における距離であってよい。
【0235】
把持情報は、例えば、トルク検出部176によるトルクの検出結果に基づき特定されてよい。図5に示すように、第2搬送部17は、トルク検出部176を備える。具体的には、トルク検出部176は、把持部171に設けられている。トルク検出部176は、例えば、ギア駆動部1731のトルクを検出する。具体的には、トルク検出部176は、ギア駆動部1731が備えるモータのトルクを検出する。ギア駆動部1731は、1対の移動体1733を介して、1対の挟持部1715(把持板1715a,1715b)を、1対の挟持部1715が薬剤箱を把持するときの動作方向に沿って移動させる。
【0236】
記憶部23には、1対の挟持部1715が薬剤箱を把持したときに検出されるトルクに対応する基準電流値が記憶されていてよい。基準電流値は、幅検出部13が検出した薬剤箱の長さよりも短く、かつ、実際の薬剤箱の長さよりも短い距離に設定される。基準電流値は、例えば実験等により、保管装置1に保管され得る薬剤箱(第2搬送部の搬送対象となり得る薬剤箱)のうち、最も重い薬剤箱を1対の挟持部1715が把持できる程度の電流値に設定される。
【0237】
搬送制御部211は、第3搬送部15に載置された薬剤箱の位置まで、1対の挟持部1715を移動させる。搬送制御部211は、把持板1715a,1715bの間に薬剤箱が位置する状態において、トルク検出部176が検出するトルクに対応する電流値が基準準流値となるまで、把持板1715a,1715bを互いに近づけていく。
【0238】
搬送制御部211は、トルク検出部176が検出するトルクに対応する電流値が基準準流値となったとき、1対の挟持部1715が薬剤箱を把持したと判定する。制御部21は、このときの把持板1715a,1715bの間の距離を特定し、当該距離を把持情報として特定する。制御部21は、例えば、ギア駆動部1731が備えるモータの回転数を計測し、当該回転数から把持板1715a,1715bの間の距離を特定してもよい。
【0239】
このように、制御部21は、1対の挟持部1715の間(把持板1715a,1715bの間)に薬剤箱が位置する状態で1対の挟持部1715の間の距離を狭めることにより、把持情報を取得する第1処理を実行する。第1処理は、当該距離を狭めることにより、1対の挟持部の間の距離であって、薬剤箱を把持可能な距離を計測する計測処理とも称することができる。
【0240】
本実施形態では、制御部21は、1対の挟持部1715の間の距離を狭めていき、1対の挟持部1715が薬剤箱を挟んだときの当該距離を、把持情報として取得する第1処理を実行する。具体的には、制御部21は、1対の挟持部1715が薬剤箱を挟んだ状態で、上記電流値が基準電流値となったときの当該距離を、把持情報として取得する第1処理を実行する。
【0241】
把持情報は、薬剤箱を堅固に把持できる把持板1715a,1715bの間の距離であってよい。例えば、把持板1715a,1715bに薬剤箱を把持させたときに、把持板1715a,1715bが薬剤箱に接触した状態から所定量(例:4mm程度ずつ)撓んだ状態となるときに検出される電流値を、基準電流値として記憶していてよい。これにより、制御部21は、薬剤箱を堅固に把持できる把持板1715a,1715bの間の距離(把持板1715a,1715bが所定量撓んだときの距離)を、把持情報として取得できる。
【0242】
制御部21は、第1処理により取得した把持情報を用いて1対の挟持部1715の間の距離を狭めることにより、1対の挟持部1715に搬送対象の薬剤箱を把持させる第2処理を実行する。具体的には、制御部21は、薬剤受入部11で薬剤箱を受け入れるたびに把持情報を取得し、記憶部23に記憶していく。把持情報を取得できた薬剤箱は、保管棚30に保管される。制御部21は、第2搬送部17を制御して、保管棚30に保管され、搬送対象となった薬剤箱を搬送するときに、当該薬剤箱の把持情報を用いて、1対の挟持部1715に当該薬剤箱を把持させる。第2処理は、第1処理を実行した保管装置1の電源がオフなってから、再度保管装置1の電源がオンされた後に行われてもよいし、保管装置1が稼働している状態のまま第1処理及び第2処理が行われてもよい。
【0243】
このように、把持情報を記憶部23に記憶しておくことにより、制御部21は、保管棚30に保管された薬剤箱を把持するときに、把持情報を用いて、1対の挟持部1715を動作させることができる。そのため、搬送制御部211は、例えば、1対の挟持部1715を駆動するギア駆動部1731が備えるモータに流れる電流値を計測しながら薬剤箱を把持するといった動作を行うことなく、1対の挟持部1715に薬剤箱を把持させることができる。従って、1対の挟持部1715が薬剤箱を把持するときの時間を短縮できる。
【0244】
また、薬剤受入部11で薬剤箱を受入れるたびに薬剤データベースが構築されることにより、保管位置管理部214は、当該薬剤データベースを参照して、薬剤箱の大きさを特定し、薬剤箱の保管位置を決定できる。
【0245】
制御部21は、把持部171が薬剤箱を引入れた後に、薬剤受入部11で受入れた薬剤箱の縦又は横の何れかの長さを示す情報を取得する。従って、制御部21は、把持部171が薬剤箱を引入れた後に、薬剤箱の大きさを示す情報の全て(薬剤箱の縦、横、高さを示す情報、及び、把持情報)を取得する。そのため、制御部21が、薬剤データベースを構築していく場合には、保管位置管理部214は、把持部171が薬剤箱を引入れ、薬剤箱の大きさを示す情報の全てを取得した後に、薬剤箱の保管位置を決定する。
【0246】
以上のように、薬剤受入部11で薬剤箱を受入れるたびに、制御部21が薬剤箱の大きさを示す情報を取得して薬剤データベースを構築することにより、薬剤箱の大きさを示す情報を予め記憶部23に記憶しておく必要が無い。
【0247】
また、薬剤箱の大きさに変更(包装変更)が生じる場合もある。この場合、変更後の薬剤箱の表面に付された情報(例:バーコードの形式により付された情報)が、変更前の薬剤箱の表面に付された情報と同一である場合がある。これらの情報が同一である場合、予め記憶部23に記憶されている薬剤箱の大きさと、薬剤受入部11で受入れた薬剤箱の実際の大きさとが異なる場合がある。
【0248】
制御部21は、薬剤箱の大きさを示す情報を取得して薬剤データベースを構築することにより、包装変更前の薬剤箱の大きさも、包装変更後の薬剤箱の大きさも取得できる。従って、包装変更が生じた場合であっても、第1搬送部112は、薬剤受入部11から第3搬送部15へと薬剤箱を搬送できる。また、把持部171は、包装変更前の薬剤箱も包装変更後の薬剤箱も把持できる。さらに、保管位置管理部214は、薬剤箱の保管位置を適切に管理できる。
【0249】
また、予め記憶部23に薬剤データベースを記憶する場合、薬剤データベースの記憶後に販売された新薬が収容された薬剤箱の大きさを示すデータについては、薬剤データベースに記憶されていない。制御部21は、新薬の種類を示す情報と薬剤箱の大きさを示す情報を取得して薬剤データベースに記憶するため、保管装置1において、新薬が収容された薬剤箱を搬送し、かつ保管できる。
【0250】
<小括>
保管装置1について、例えば、以下のようにも記載できる。
【0251】
本開示の第1態様に係る搬送装置(保管装置1、第2搬送部17)は、
薬剤箱を搬送する搬送装置であって、
薬剤箱を挟むことにより当該薬剤箱を把持する1対の挟持部(1715)と、
上記1対の挟持部が把持対象とする薬剤箱に収容された薬剤の種類を読取る読取部(111)と、
上記1対の挟持部の間の距離であって、薬剤箱を把持可能な距離を規定する把持情報を取得し、上記読取部が読取った薬剤の種類毎に対応付けて記憶する制御部(21)と、を備える。
【0252】
薬剤箱の大きさを示す情報が予め記憶されている場合、1対の挟持部が薬剤箱を把持するときの1対の挟持部の間の距離は、予め記憶された薬剤箱の大きさを示す情報に基づき決定される。一方、薬剤箱の大きさを示す情報が予め記憶されていない場合、1対の挟持部は、互いに異なる大きさを有する種々の薬剤箱を把持できない可能性がある。上記のように把持情報を記憶しておくことにより、1対の挟持部は、搬送対象となる当該種々の薬剤箱を把持できる。
【0253】
また、本開示の第2態様に係る搬送装置は、上記第1態様において、
薬剤箱を通過させることにより、当該薬剤箱の長さであって、上記1対の挟持部が当該薬剤箱を把持するときの動作方向の長さを検出する検出部(幅検出部13)を備え、
上記制御部は、上記検出部が検出した薬剤箱の長さよりも短く、かつ、実際の薬剤箱の長さよりも短い距離を、上記把持情報が示す距離として特定する。
【0254】
薬剤箱の大きさを示す情報として、薬剤箱の長さを示す情報が予め記憶されている場合、1対の挟持部が薬剤箱を把持するときの1対の挟持部の間の距離は、1対の挟持部が薬剤箱を把持できるように、薬剤箱の長さよりも若干小さく設定される。薬剤箱の長さが予め記憶されている場合、この薬剤箱の長さは実際の長さである。
【0255】
一方、薬剤箱の長さを示す情報が予め記憶されていない場合、搬送装置は、上記のように検出部により薬剤箱の長さを検出する。この場合、薬剤箱の実際の長さよりも長く検出される可能性がある。そのため、搬送装置は、1対の挟持部が薬剤箱を把持するために、上記1対の挟持部の間の距離を、検出した薬剤箱の長さよりも若干小さく設定したとしても、その設定値が薬剤箱の実際の長さよりも大きく設定される可能性がある。この場合、1対の挟持部は、薬剤箱を把持できない可能性がある。
【0256】
搬送装置は、上記のように把持情報が示す距離を特定することにより、薬剤箱の長さを示す情報が予め記憶されていない場合であっても、1対の挟持部に薬剤箱を把持させることができる。
【0257】
また、本開示の第3態様に係る搬送装置は、上記第2態様において、
上記1対の挟持部を上記動作方向に沿って移動させるギア駆動部(1731)と、
上記ギア駆動部のトルクを検出するトルク検出部(176)と、を備え、
上記制御部は、上記トルク検出部によるトルクの検出結果に基づき、上記把持情報を特定する。
【0258】
また、本開示の第4態様に係る搬送装置(第2搬送部17)は、
薬剤箱を搬送する搬送装置であって、
薬剤箱を挟むことにより薬剤箱を把持する1対の挟持部(1715)と、
上記1対の挟持部の間に薬剤箱が位置する状態で上記1対の挟持部の間の距離を狭めることにより、上記1対の挟持部の間の距離であって、薬剤箱を把持可能な距離を規定する把持情報を取得する第1処理と、
取得した上記把持情報を用いて上記1対の挟持部の間の距離を狭めることにより、上記1対の挟持部に搬送対象の薬剤箱を把持させる第2処理と、を実行する制御部(21)と、を備える。
【0259】
搬送装置は、第1処理を実行することにより、把持情報を取得できる。そして、搬送装置は、第2処理を実行することにより、把持情報が示す距離だけ1対の挟持部の間の距離を狭めて搬送対象の薬剤箱を把持できる。従って、薬剤箱の大きさを示す情報が予め記憶されていない場合であっても、搬送装置は、第1処理及び第2処理を実行することにより、搬送対象となる種々の薬剤箱を把持できる。
【0260】
<保管位置の特定例>
制御部21が薬剤箱の大きさを示す情報を取得して薬剤データベースを構築する場合、薬剤箱の大きさを示す情報には、薬剤箱の幅方向の情報として、薬剤箱の縦又は横を示す情報と、把持情報との2種類が存在する。保管位置管理部214は、薬剤箱の保管位置を決定する場合に、薬剤箱の幅方向の情報として、これらの2種類の情報を用いてよい。
【0261】
例えば、保管位置管理部214は、保管対象の薬剤箱を保管棚30に最初に保管する場合、薬剤箱の幅方向の情報として、薬剤箱の縦又は横を示す情報と把持情報とのうち、値が大きい方の情報を用いて、保管位置における薬剤箱の幅方向の座標を決定してよい。保管位置管理部214は、保管対象の薬剤箱を保管棚30において保管されている薬剤箱とは異なる列に保管する場合も、薬剤箱の幅方向の情報として、上記値が大きい方の情報を用いて、保管位置における薬剤箱の幅方向の座標を決定してよい。
【0262】
また例えば、保管位置管理部214は、保管棚30に保管されている薬剤箱と同列に保管対象の薬剤箱を保管する場合を考える。この場合、保管位置管理部214は、薬剤箱の幅方向の情報として、薬剤箱の縦又は横を示す情報と把持情報とのうち、値が小さい方の情報を用いて、保管位置における薬剤箱の幅方向の座標を決定してよい。
【0263】
≪電源復旧後の薬剤箱の把持確認≫
1対の挟持部1715が薬剤箱を把持している状態で、停電等により不意な電源消失が生じた場合を考える。この場合、搬送制御部211は、電源復旧後に、1対の挟持部1715の閉動作を実行し、1対の挟持部1715が薬剤箱を把持しているかを判定してもよい。例えば、搬送制御部211は、トルク検出部176が検出したトルクに対応する電流値が所定値以上であるかを判定する。搬送制御部211は、上記電流値が所定値以上である場合、1対の挟持部1715が薬剤箱を把持していると判定する。
【0264】
これにより、搬送制御部211は、電源消失前に、1対の挟持部1715が薬剤箱を把持した状態であったと認識できる。上記所定値は、例えば実験等により、薬剤箱を1対の挟持部1715が把持できる程度の電流値に設定されていればよい。所定値は、例えば、基準電流値であってよい。
【0265】
搬送制御部211は、1対の挟持部1715が薬剤箱を把持していると判定した場合、第2搬送部17を制御して、1対の挟持部1715が把持している薬剤箱を、保管装置1から作業者が取出し可能な位置まで搬送する。
【0266】
例えば、第2搬送部17は、1対の挟持部1715が把持している薬剤箱を、第3搬送部15に搬送してもよい。この場合、作業者は、第2扉52を開くことにより、第3搬送部15上の薬剤箱を取出すことができる。また、搬送制御部211が第3搬送部15及び第1搬送部112を制御し、シャッタ制御部212がシャッタ114の開閉動作を制御することにより、第3搬送部15に載置された薬剤箱を、薬剤受入部11まで搬送してもよい。この場合、作業者は、薬剤受入部11から薬剤箱を取出すことができる。
【0267】
≪保管棚における薬剤箱の配置方向≫
図18は、保管棚30における薬剤箱MBの配置例を示す図である。図18の符号AL1に示すように、保管棚30には、薬剤箱MBの長手方向が保管装置1の奥行方向を向くように保管できる。この保管方法を第1保管方法と称する。
【0268】
方向特定部213が薬剤箱MBの向きを特定する場合を考える。この場合、本実施形態では、制御部21は、シャッタ114に接触した薬剤箱MBの長手方向が保管装置1の奥行方向を向いている場合に、シャッタ114を開状態とし、第1搬送部112を動作させる。これにより、第1搬送部112が、第1搬送部112上の薬剤箱MBを第3搬送部15に受渡し、第2搬送部17が、第3搬送部15上に受渡された薬剤箱MBを、薬剤箱MBの長手方向が保管装置1の奥行方向を向くように、保管棚30に保管する。
【0269】
しかし、図18の符号AL2に示すように、保管棚30には、薬剤箱MBの短手方向が保管装置1の奥行方向を向くように保管されてもよい。この保管方法を第2保管方法と称する。方向特定部213が薬剤箱MBの向きを特定する場合、制御部21は、シャッタ114に接触した薬剤箱MBの短手方向が保管装置1の奥行方向を向いている場合に、シャッタ114を開状態とし、第1搬送部112を動作させればよい。
【0270】
このように、保管装置1では、第1保管方法及び第2保管方法の何れの保管方法でも薬剤箱MBを保管できる。但し、制御部21は、薬剤箱MBの保管方法を切替え可能であってもよい。例えば、制御部21は、第1保管方法及び第2保管方法の何れの保管方法も許容する第1モードと、第1保管方法のみ許容し、第2保管方法は許容しない第2モードとを切替え可能であってもよい。
【0271】
保管棚30の奥行方向に1列に保管できる薬剤箱MBの数は、予め設定されている。当該薬剤箱MBの数は、1つの薬剤箱MBあたりの奥行方向の長さが大きくなる第1保管方法で薬剤箱MBを保管することを考慮して設定される。図18の例では、当該薬剤箱MBの数は3である。
【0272】
この場合、図18の符号AL2に示すように、第2保管方法で1列に複数の薬剤箱MBを保管した場合、同列内に空き領域SPが形成される。薬剤箱MBの保管方法として第2モードが設定された場合、このような空き領域SPが形成される可能性を低減できる。
【0273】
方向特定部213が薬剤箱MBの向きを特定する場合を考える。第2モードにおいては、制御部21は、シャッタ114に接触した薬剤箱MBの短手方向が保管装置1の奥行方向を向いている場合、シャッタ114を閉状態のままとし、第1搬送部112上の薬剤箱MBを第3搬送部15に受渡さなくてよい。この場合、タッチパネル制御部215は、タッチパネル20に、薬剤箱MBを保管装置1に保管できないことを通知させてもよい。
【0274】
また、制御部21が薬剤箱の大きさを示す情報を取得して薬剤データベースを構築する場合(方向特定部213が薬剤箱MBの向きを特定できない場合)を考える。第2モードにおいては、制御部21は、幅検出部13を用いて特定した薬剤箱MBの一辺の長さが、通過検出部1751を用いて特定した薬剤箱MBの他辺の長さが長い場合、薬剤箱MBの保管動作を行わなくてもよい。この場合、タッチパネル制御部215は、タッチパネル20に、薬剤箱MBを保管装置1に保管できないことを通知させてもよい。
【0275】
≪第2搬送部の動作状態に関するログの記録≫
制御部21は、第2搬送部17の動作状態を示すデータ(ログ)を記憶部23に記録してもよい。当該データとしては、例えば、第2搬送部17が正常に動作しているかどうか、把持部171が載置部1711において薬剤箱を保持した状態であるかどうか、把持部171がアクセス先に対してアクセス中であるかどうか、を示すデータであってよい。アクセス先は、第3搬送部15、第5搬送部19及び保管棚30であってよい。
【0276】
制御部21は、このような記録を行うことにより、薬剤箱の搬送中に停電等による不意な電源消失が生じた場合であっても、電源復旧後に、電源消失直前の第2搬送部17の動作状態を特定できる。また、制御部21は、電源復旧後に、保管装置1における電源消失直前の在庫数を特定できる。
【0277】
≪在庫数の上限設定≫
例えば、薬剤の種類のそれぞれに対して薬剤の梱包形態毎に、保管装置1に保管できる薬剤箱の数の第1上限値が、予め設定されていてもよい。第1上限値は、記憶部23に記憶されている。
【0278】
また、薬剤箱の表面に付された情報には、薬剤の梱包形態を示す情報が含まれていてよい。薬剤の梱包形態としては、例えば、規定数の薬剤を収容する薬剤箱であって、最小の梱包形態である薬剤箱が挙げられる。
【0279】
制御部21は、薬剤受入部11において、薬剤箱の表面に付された情報(例:GS1コード)として、薬剤識別情報と薬剤の梱包形態を示す情報とを取得する。制御部21は、薬剤の種類のそれぞれについて、薬剤の梱包形態毎に、薬剤箱の在庫数を管理できる。また、制御部21は、薬剤箱の表面に付された情報を取得したときに、薬剤箱の在庫数が第1上限値に達しているかを判定できる。制御部21は、薬剤箱の在庫数が第1上限値に達している場合、当該薬剤箱を保管庫31への保管動作を行わない。
【0280】
また例えば、薬剤の種類毎に、保管装置1に保管できる薬剤の数の第2上限値が、予め設定されていてもよい。第2上限値は、記憶部23に記憶されている。
【0281】
制御部21は、薬剤受入部11において、薬剤箱の表面に付された情報として、薬剤識別情報と薬剤の梱包形態を示す情報とを取得することにより、薬剤の種類毎に、薬剤の在庫数を管理できる。また、制御部21は、薬剤箱の表面に付された情報を取得したときに、薬剤の在庫数が第2上限値に達しているかを判定できる。制御部21は、薬剤箱の在庫数が第2上限値に達している場合、当該薬剤箱を保管庫31への保管動作を行わない。
【0282】
このように薬剤箱の数又は薬剤の数に対して上限値を設定することにより、保管装置1において保管している薬剤の種類に偏りが生じる可能性を低減できる。
【0283】
≪電源復旧後の初期動作≫
図4図19および図20を用いて、電源復旧後の初期動作の一例について説明する。電源復旧には、(1)作業者が電源をオフにした後、作業者が電源をオンにした場合も、(2)停電等により不意な電源消失が生じた後に、作業者が電源をオンにした場合、又は制御部21が自動で電源をオンにした場合も含まれる。まず、電源復旧後の初期動作に係る処理の一例を説明する前に、電源復旧後の初期動作において薬剤箱が載置されているかの判定対象となる仮置きスペースについて説明する。
【0284】
<仮置きスペース>
図19は、薬剤箱MBの保管状態の一例と、仮置きスペースTSPを説明するための模式図である。図19の符号10031に示すように、保管棚30には、保管装置1の奥行方向に一列に並んだ状態で複数の薬剤箱MBを配置できる。このような状態において、保管棚30の奥側に保管されている薬剤箱MBを取出す場合、保管棚30の手前側に保管されている薬剤箱MBは、保管棚30の別の空きスペースに搬送される。図19の例では、薬剤箱MB2を取出す場合、薬剤箱MB1が空きスペースに搬送される。また、薬剤箱MB3を取出す場合、薬剤箱MB1,MB2が空きスペースに搬送される。
【0285】
本実施形態では、図19に示すように、保管棚30の一部に仮置きスペースTSPが設定されている。仮置きスペースTSPは、保管装置1の奥行方向に沿って保管された複数の薬剤箱MBのうち、奥側の薬剤箱MBの取出指示を制御部21が受付けた場合に、奥側の薬剤箱MBより手前側の薬剤箱MBを一時的に退避させるための、薬剤箱MBの載置スペースである。
【0286】
仮置きスペースTSPは、複数の保管棚30のうちのどの保管棚30に設定されてもよいし、保管棚30のどの位置に設定されてもよい。また、仮置きスペースTSPは、保管装置1に保管され得る薬剤箱MBのうち、短手方向の長さ又は長手方向の長さが最も大きい薬剤箱MBを、保管装置1の奥行方向に沿って一列に複数個載置できる程度の大きさを有していてよい。薬剤箱MBの長手方向が保管装置1の奥行方向に沿うように薬剤箱MBが保管棚30に保管される場合、仮置きスペースTSPのX軸方向の幅は、短手方向の長さが最も大きい薬剤箱MBを載置できる程度の幅に設定されてよい。但し、仮置きスペースTSPは、二列以上の薬剤箱を載置できる程度の幅を有していてもよい。
【0287】
仮置きスペースTSPは予め設定されており、その位置情報が記憶部23に記憶されている。仮置きスペースTSPは、1箇所に設定されていても、複数箇所に設定されていてもよい。また、仮置きスペースTSPは予め設定されていなくてもよい。この場合、制御部21は、奥側の薬剤箱MBの取出指示を受付けるたびに、その時点において空いているスペースを仮置きスペースTSPとして設定してもよい。制御部21は、仮置きスペースTSPとして設定した位置情報を記憶部23に記憶し、仮置きスペースTSPから薬剤箱MBが取出された後に当該仮置きスペースTSPの位置情報を削除してもよい。
【0288】
制御部21は、仮置きスペースTSPにおける薬剤箱MBの載置状態を示す載置データ(ログ)を記憶部23に記憶している。例えば、制御部21は、仮置きスペースTSPに薬剤箱MBが載置されたときに(例えば、一対の挟持部1715が当該薬剤箱MBの挟持を解除したときに)、当該薬剤箱MBの載置データを記憶してよい。
【0289】
例えば、制御部21は、仮置きスペースTSPに載置される薬剤箱MBの載置データとして、薬剤箱MBに収容された薬剤の薬剤識別情報に対応付けて、薬剤箱MBを載置した位置を示す情報を、記憶部23に記憶してよい。また例えば、制御部21は、仮置きスペースTSPに載置される薬剤箱MBの載置データとして、薬剤識別情報に対応付けて、仮置きスペースTSPに載置される前に薬剤箱MBが保管されていた位置を示す情報を、記憶部23に記憶してよい。制御部21は、仮置きスペースTSPから薬剤箱MBが取出されたときに(例えば、一対の挟持部1715が当該薬剤箱MBを挟持したときに)、当該薬剤箱MBの載置データを削除してもよい。あるいは、制御部21は、当該薬剤箱MBが取出されたことを示す取出情報を当該載置データに付与してもよい。
【0290】
<電源復旧後の初期動作フロー>
図20は、電源復旧後の初期動作に係る処理の一例を示すフローチャートである。
【0291】
電源復旧後、搬送制御部211は、把持部171の載置部1711に薬剤箱MBが載置されているかを判定する(S21)。例えば、上記≪電源復旧後の薬剤箱の把持確認≫において説明したように、搬送制御部211は、1対の挟持部1715の閉動作を実行し、トルク検出部176が検出したトルクに対応する電流値が所定値以上であるかを判定する。搬送制御部211は、上記電流値が所定値以上であると判定した場合、1対の挟持部1715が薬剤箱MBを把持していると判定する。搬送制御部211は、1対の挟持部1715が薬剤箱MBを把持していると判定した場合、載置部1711に薬剤箱MBが載置されていると判定する。
【0292】
搬送制御部211は、載置部1711に薬剤箱MBが載置されていると判定した場合(S21でYES)、第2搬送部17を制御して、薬剤箱MBを、保管装置1から作業者が取出し可能な位置まで搬送する(S22)。例えば、第2搬送部17は、1対の挟持部1715が把持している薬剤箱MBを、第3搬送部15に搬送する。
【0293】
その後、タッチパネル制御部215は、第3搬送部15に搬送された薬剤箱MBを、第3搬送部15から取出すように作業者に促す報知画像を、タッチパネル20に表示する(S23)。制御部21は、この報知内容を音声として報知してもよい。これにより、作業者は、第2扉52を開くことにより、第3搬送部15上の薬剤箱MBを取出すことができる。
【0294】
S21において、搬送制御部211が、載置部1711に薬剤箱MBが載置されていないと判定した場合(S21でNO)、保管位置管理部214は、上記載置データに、仮置きスペースTSPに薬剤箱MBが載置されていることを示す載置情報が含まれているかを判定する(S24)。保管位置管理部214は、上記載置データに、上記取出情報が付与されていない薬剤箱MBの情報が含まれている場合に、上記載置データに上記載置情報が含まれていると判定してよい。
【0295】
保管位置管理部214が、上記載置データに上記載置情報が含まれていると判定した場合(S24でYES)、制御部21はS22の処理を行う。S24でYESの場合、上記載置情報に対応する薬剤箱MBが仮置きスペースTSPに載置されている。そのため、搬送制御部211が、仮置きスペースTSPに載置されている薬剤箱MBを第3搬送部15に搬送した後、タッチパネル制御部215が、上記報知画像をタッチパネル20に表示する。
【0296】
一方、保管位置管理部214が、上記載置データに上記載置情報が含まれていないと判定した場合(S24でNO)、搬送制御部211は、第2搬送部17を制御して、仮置きスペースTSPに薬剤箱MBが載置されているかを判定する(S25)。
【0297】
S25の判定を行う場合、図19に示すように、搬送制御部211は、第2搬送部17を制御して、把持部171を仮置きスペースTSPに移動させる。そして、搬送制御部211は、把持部171を仮置きスペースTSPの前を通過させることにより、把持検出部1714に仮置きスペースTSPを走査させる。図19の符号10032に示すように、搬送制御部211は、把持検出部1714による走査の結果、把持検出部1714が物体を検出した場合、仮置きスペースTSPに薬剤箱MBが載置されていると判定する。
【0298】
搬送制御部211が、仮置きスペースTSPに薬剤箱MBが載置されていると判定した場合(S25でYES)、タッチパネル制御部215は、当該薬剤箱MBを、仮置きスペースTSPから取出すことを作業者に促す報知画像を、タッチパネル20に表示する(S26)。制御部21は、この報知内容を音声として報知してもよい。
【0299】
不意な電源消失等の不具合の発生により、仮置きスペースTSPに薬剤箱MBが載置されているにもかかわらず、上記載置データに当該薬剤箱MBの情報が含まれていない場合も想定される。このような薬剤箱MBについて、上記報知画像が表示されることにより、作業者は、仮置きスペースTSPから取出すことができる。
【0300】
タッチパネル制御部215は、S26の処理後、タッチパネル20を介して、作業者が報知内容を確認したことを示す入力操作を受付けたかを判定する(S27)。タッチパネル制御部215は、当該入力操作を受付けるまで待機する(S27でNOの場合)。タッチパネル制御部215は、当該入力操作を受付けた場合(S27でYES)、S25の処理を再度行う。
【0301】
仮置きスペースTSPに薬剤箱MBが載置されているにもかかわらず、上記載置データに当該薬剤箱MBの情報が含まれていない場合、制御部21は、電源復旧後、仮置きスペースTSPに薬剤箱MBが載置されていないものとして、薬剤箱MBの搬送制御を行う。従って、作業者が仮置きスペースTSPから薬剤箱MBを取出さない限り、仮置きスペースTSPに薬剤箱MBが載置されている状態において、仮置きスペースTSPに別の薬剤箱MBが搬送される可能性がある。この場合、仮置きスペースTSPに載置されている薬剤箱MBが、別の薬剤箱MBにより潰される可能性がある。
【0302】
S27において上記入力操作を受付けることにより、仮置きスペースTSPから薬剤箱MBが取出された可能性が高い状態において、別の薬剤箱MBを仮置きスペースTSPに載置できる。そのため、仮置きスペースTSPに載置されている薬剤箱MBが別の薬剤箱MBにより潰される可能性を低減できる。
【0303】
制御部21は、S27の処理後、S25の処理を再度行う。これにより、制御部21は、作業者が仮置きスペースTSPから薬剤箱MBを取出さずに上記入力操作を行った場合であっても、当該薬剤箱MBを取出すよう報知できる。そのため、仮置きスペースTSPに載置されている薬剤箱MBが別の薬剤箱MBにより潰される可能性をさらに低減できる。
【0304】
S23の処理後、及び、搬送制御部211が、仮置きスペースTSPに薬剤箱MBが載置されていないと判定した場合(S25でNO)、電源復旧後の初期動作に係る処理を終了する。
【0305】
<その他の処理形態>
制御部21は、S25でYESの場合、S26の処理に代えて、S22及びS23の処理を行ってもよい。つまり、S25において、搬送制御部211は、仮置きスペースTSPに薬剤箱MBが載置されていると判定した場合、仮置きスペースTSPに載置されている薬剤箱MBを第3搬送部15に搬送してもよい。その後、タッチパネル制御部215は、上記報知画像をタッチパネル20に表示してもよい。また、制御部21は、仮置きスペースTSPに載置されている薬剤箱MBを第3搬送部15に搬送した後に、S25の処理を再度行ってもよい。但し、制御部21は、S25の処理を再度行わなくてもよい。
【0306】
制御部21は、S24の処理を行わなくてもよい。この場合、制御部21は、載置部1711に薬剤箱MBが載置されていないと判定した場合(S21でNO)、第2搬送部17を制御して、仮置きスペースTSPに薬剤箱MBに載置されているかを判定すればよい(S25)。また、制御部21は、S27の処理を行わなくてもよい。つまり、制御部21は、S25の処理を再度行わなくてもよい。
【0307】
このように、制御部21は、少なくともS21~S23の処理、及び、S25~S26の処理(又はS26の処理に代えてS22及びS23の処理)を行えばよい。
【0308】
〔ソフトウェアによる実現例〕
保管装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部21に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0309】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0310】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0311】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0312】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0313】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0314】
1 保管装置
30 保管棚
217 判定部
218 特定部
MB 薬剤箱
MBT 対象薬剤箱(一部の薬剤箱)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20