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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173613
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】真空ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 19/04 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
F04D19/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023210071
(22)【出願日】2023-12-13
(31)【優先権主張番号】23176149
(32)【優先日】2023-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520415627
【氏名又は名称】プファイファー・ヴァキューム・テクノロジー・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・バーダー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・シュトル
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・シュヴァイクヘーファー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ローゼ
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン・ビルケンフェルト
【テーマコード(参考)】
3H131
【Fターム(参考)】
3H131AA02
3H131CA31
3H131CA36
(57)【要約】
【課題】特別な要求にもかかわらずその吸気口領域に関して高い排気速度を有する真空ポンプを提供する
【解決手段】真空ポンプ200、300、特にターボ分子ポンプにおいて、ロータと吸気開口212、312とを備え、ロータは、複数のポンプ作用を奏する要素124と回転軸線122とを有し、回転軸線を中心に、ポンプ作用を奏する要素は、真空ポンプの運転時に回転し、回転軸線は、軸方向を規定し、吸気開口は、真空ポンプのハウジングに配置されていて、吸気開口は、開放領域140と重畳領域214、314とを有し、開放領域は、ロータのポンプ作用を奏する要素の外側で延在するとともに軸方向にポンプ作用を奏する要素に隣接し、重畳領域において、吸気開口は、軸方向に少なくとも部分的にロータのポンプ作用を奏する要素の1つにわたって延在する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプ(200、300)、特にターボ分子ポンプにおいて、
ロータ(200)と吸気開口(212、312)とを備え、前記ロータ(200)は、複数のポンプ作用を奏する要素(124)と回転軸線(122)とを有し、前記回転軸線(122)を中心に、前記ポンプ作用を奏する要素(124)は、前記真空ポンプ(200、300)の運転時に回転し、前記回転軸線(122)は、軸方向を規定し、
前記吸気開口(212、312)は、前記真空ポンプ(200、300)のハウジング(100)に配置されていて、
前記吸気開口(212、312)は、開放領域(140)と重畳領域(214、314)とを有し、前記開放領域(140)は、前記ロータ(120)の前記ポンプ作用を奏する要素(124)の外側で延在するとともに軸方向に前記ポンプ作用を奏する要素(124)に隣接し、前記重畳領域(214、314)において、前記吸気開口(212、312)は、軸方向に少なくとも部分的に前記ロータ(120)の前記ポンプ作用を奏する要素(124)の1つにわたって延在する、真空ポンプ(200、300)。
【請求項2】
前記吸気開口(212、312)は、前記重畳領域(214、314)内で軸方向に少なくとも前記ロータ(120)の前記ポンプ作用を有する要素(124)の1つの軸方向の長さ(318)の半分にわたって延在する、請求項1に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項3】
前記吸気開口(212、312)は、前記重畳領域(214、314)内で軸方向に完全に前記ロータ(120)の前記ポンプ作用を有する要素(124)の1つの軸方向の長さ(318)にわたって延在する、請求項1又は2に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項4】
前記開放領域(140)の軸方向の長さ(142)は、前記重畳領域(214、314)の軸方向の長さ(216、316)よりも大きい、請求項1から3のいずれか一項に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項5】
前記吸気開口(212、312)の前記開放領域(140)は、前記ポンプ作用を奏する要素(124)の直径(D)以下である長さ(142)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項6】
前記吸気開口(212)は、前記重畳領域(214)において、前記ハウジング(110)の内側に内縁(220)と、前記ハウジング(110)の外側に外縁(230)とを有し、
前記内縁(220)と前記外縁(230)とは、軸方向で同一の高さに配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項7】
前記吸気開口(312)は、前記重畳領域(314)において、前記ハウジング(110)の内側に内縁(320)と、前記ハウジング(110)の外側に外縁(330)とを有し、
前記内縁(320)と前記外縁(330)とは、軸方向で離間している、請求項1から5のいずれか一項に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項8】
前記吸気開口(312)の前記外縁(330)は、前記重畳領域(314)において、前記ポンプ作用を奏する要素(124-1)の、前記吸気開口(312)の前記開放領域(124)に隣接する軸方向の端部(125)と同一の軸方向の高さに配置されていて、前記吸気開口(312)は、前記重畳領域(314)において、前記ポンプ作用を奏する要素(124-1)にわたって延在する、請求項7に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項9】
前記内縁(320)は、軸方向の断面が真っ直ぐな経過を有する1つ又は複数の面(315)を介して前記外縁(330)に接続されている、請求項7又は8に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項10】
前記内縁(320)は、1つ又は複数の面にわたって前記外縁(330)に接続されていて、前記面のうちの少なくとも1つの面は、湾曲している、請求項7又は8に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項11】
軸方向の前記内縁(320)と前記外縁(330)との間の距離(316)は、前記ポンプ作用を奏する要素(124)が延在する軸方向の長さ(318)の半分よりも大きい、請求項7から10のいずれか一項に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項12】
前記吸気開口(212、312)は、側方で、前記ハウジング(110)に配置されていて、前記ロータ(120)の前記回転軸線(122)に対して平行に軸方向に延在する、請求項1から11のいずれか一項に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項13】
前記真空ポンプ(200、300)は、前記ロータ(120)の低圧側で前記ロータ(120)の軸方向の端部に付加的な吸気開口を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項14】
前記吸気開口(212、312)は、前記ロータ(120)の軸方向の端部に配置されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項15】
前記吸気開口(212、312)は、前記ハウジング(110)の軸方向の領域で前記ロータ(120)の軸方向の端部間に配置されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の真空ポンプ(200、300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプ、特にターボ分子ポンプに関する。真空ポンプは、ポンプ作用を有する要素を有するロータと、真空ポンプのハウジングに配置された吸気開口とを備える。
【背景技術】
【0002】
真空ポンプは、真空ポンプを所望されるように真空設備に組み込むために、真空ポンプの吸気領域の特別な構成を必要とすることが多い。しかも、真空ポンプの吸気領域の特別な構成によって、真空ポンプの排気速度に関して制限がもたらされるおそれがある。
【0003】
さらに、いわゆる差動排気では、真空ポンプの主吸気口とポンプ段間の側方の吸気口又はポートとの両方が使用され得る。例えば真空ポンプのハウジング壁面に配置されたそのような側方の吸気口は、その限られた開放面に基づいて、真空ポンプの排気速度を制限し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、特別な要求にもかかわらずその吸気口領域に関して高い排気速度を有する真空ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴部に記載の構成を有する真空ポンプによって解決される。本発明の有利な発展形態は、従属請求項、明細書及び図面に記載されている。
【0006】
特にターボ分子ポンプとして構成された真空ポンプは、ロータと吸気開口とを備え、ロータは、複数のポンプ作用を奏する要素と回転軸線とを有し、回転軸線を中心に、ポンプ作用を奏する要素は、真空ポンプの運転時に回転し、回転軸線は、軸方向を規定し、吸気開口は、真空ポンプのハウジングに配置されている。吸気開口は、開放領域と重畳領域とを有し、開放領域は、ロータのポンプ作用を奏する要素の外側に延在するとともに軸方向にポンプ作用を奏する要素に隣接し、重畳領域において、吸気開口が、軸方向に少なくとも部分的にロータのポンプ作用を奏する要素の1つにわたって延在する。
【0007】
真空ポンプがターボ分子ポンプとして構成されているとき、ロータのポンプ作用を奏する要素は、例えば動翼であってよい。さらに、軸方向は、例えば真空ポンプの粗真空側又は微真空側から真空ポンプの高真空側又は吸気側へ延在してよい。
【0008】
本発明による真空ポンプは、吸気開口が開放領域と重畳領域との両方を有し、重畳領域が、ポンプ作用を奏する要素の空間領域内に延在することを特徴とする。これにより、吸気開口は、従来の真空ポンプと比較して、重畳領域に基づいて拡大されている。従来の真空ポンプと比較して吸気開口が増大すると、真空ポンプの排気速度が増加する。
【0009】
一実施形態によれば、吸気開口は、重畳領域内で、軸方向に、少なくともロータのポンプ作用を奏する要素の一つの軸方向の長さの半分にわたって延在してよい。したがって、そのような、すなわち軸方向のロータの第1のポンプ作用を奏する要素の軸方向の長さの半分にわたる吸気開口の拡張は、真空ポンプの排気速度の実地に関連する増加を達成するために、吸気開口の拡張についての下限を表してよい。
【0010】
さらに、吸気開口は、重畳領域内で、軸方向に、完全にロータのポンプ作用を奏する要素の1つの軸方向の長さにわたって延在してよい。したがって、吸気開口は、軸方向に、ロータの全体の第1のポンプ作用を奏する要素又はターボ分子ポンプでは第1の動翼にわたって拡張されてよい。これにより、動翼の圧縮を大幅に低下させることなく、かつロータ又は真空ポンプの運転を損なうことなく、排気速度の最大の増加を達成できる。したがって、軸方向に吸気開口をロータの第1のポンプ作用を奏する要素全体にわって拡張することは、軸方向の吸気開口の拡張について上限をなす。吸気開口の縁部は、そのような実施形態では、軸方向に、ロータの第1のポンプ作用を奏する要素に隣接する、真空ポンプの第1のステータ要素の傍に位置してよい。
【0011】
しかも代替的な一実施形態では、吸気開口は、重畳領域内で、軸方向に、ロータのポンプ作用を奏する要素の1つの完全な軸方向の長さよりも短く延在してよい。真空ポンプの運転中の安全性は、そのような実施形態によって、特に、吸気開口が部分的にしか延在しない、ロータのポンプ作用を奏する要素の1つが、ロータから断裂するような故障の場合において改善できる。吸気開口は、この実施形態では、すなわちポンプ作用を奏する要素の完全な軸方向の長さにわたって延在しないので、軸方向にポンプ作用を奏する要素が延在するが吸気開口は延在しない、真空ポンプのハウジングの部分が存在する。ハウジングのこの部分は、断裂するポンプ作用を奏する要素に対する遮蔽部を形成してよい。これにより、ポンプ作用を奏する要素の破断片が真空ポンプの吸気開口の外側の領域に達することを少なくとも部分的に阻止できる。
【0012】
開放領域の軸方向の長さは、重畳領域の軸方向の長さよりも大きくてよい。さらに、吸気開口の開放領域は、軸方向に、ポンプ作用を奏する要素の直径以下である長さを有してよい。複数のポンプ作用を奏する要素が、例えばターボ分子ポンプの動翼として構成されていると、これらは同一の直径を有してよい。したがって、吸気開口の開放領域の軸方向の長さは、ポンプ作用を奏する要素又は第1の動翼の直径よりも小さくてよく、ポンプ作用を奏する要素又は第1の動翼にわたっては、吸気開口が重畳領域において延在する。吸気開口の開放領域に対して重畳領域の軸方向の長さを制限することと、開放領域の軸方向の長さを制限することとによって、真空ポンプの運転安全性を向上できる。
【0013】
吸気開口は、重畳領域において、真空ポンプのハウジングの内側に内縁と、ハウジングの外側に外縁とを有してよい。一実施形態によれば、内縁と外縁とは、軸方向に同一の高さに配置されてよい。したがって、重畳領域における吸気開口の内縁及び外縁は、この実施形態では、軸方向にほぼ同一の位置に配置されてよい。このことは、吸気開口の製造を簡単にできる。
【0014】
しかも、代替的な実施形態では、重畳領域において吸気開口の内縁と外縁とは、軸方向に離間してもよい。これにより、重畳領域は、ハウジングの内側で、ハウジングの外側よりも大きい軸方向の長さを有してよい。換言すると、重畳領域において、吸入開口の境界面は、重畳領域の外縁から内縁まで傾斜して延在してよく、この場合、内縁は、外縁よりもさらに開放領域から離間してよい。そのような配置は、軸方向において例えば真空ポンプの吸入開口又はハウジングの外縁の寸法が設定されている又はこれを超えてはならないときでも、重畳領域への吸気開口の拡張を可能にする。
【0015】
吸気開口の外縁は、重畳領域において、ポンプ作用を奏する要素の、吸気開口の開放領域に隣接する軸方向の端部と同一の軸方向高さに配置されてよく、ポンプ作用を奏する要素にわたって、吸気開口が重畳領域において延在する。換言すると、吸気開口の外縁は、重畳領域において、ポンプ作用を奏する要素の軸方向の端部とほぼ同一平面に終端してよく、その一方で、吸気開口の内縁は、重畳領域において、軸方向に第1のポンプ作用を奏する要素の領域内にシフトされている。これにより、吸気開口は、ポンプ作用を奏する要素に、ハウジングの内側だけで重畳するので、重畳領域への吸気開口の拡張は、ポンプの外側からは見えない。
【0016】
吸気開口の内縁は、重畳領域において、さらに1つ又は複数の軸方向断面で真っ直ぐな経過を有する面を介して外縁に接続されてよい。真っ直ぐな経過を有するそのような面は、吸気開口の製造を簡単にできる。代替的に、内縁は、1つ又は複数の面を介して外縁に接続されてよく、面のうちの少なくとも1つは、湾曲している。そのような湾曲した面は、例えば事前に決定された径を有してよい。重畳領域の内縁と外縁との間の1つ又は複数の面の湾曲によって、重畳領域の拡がりを最適化できる。
【0017】
さらに、軸方向の内縁と外縁との間の距離は、ポンプ作用を奏する要素が延在する軸方向の長さの半分よりも大きくてよい。このポンプ作用を奏する要素は、この実施形態でもまた、吸気開口の重畳領域が少なくとも部分的に延在する、ポンプ作用を奏する要素のうちの1つである。したがって、ポンプ作用を奏する要素の軸方向の長さの半分は、ここでもまた吸気開口の拡張について下限を設定してよく、この場合、この拡張は、重畳領域の内縁と、重畳領域の外縁に対する内縁の距離と、場合によっては軸方向の開放領域に対する外縁のシフトとによって決定される。
【0018】
したがって、重畳領域の内縁と外縁と間の1つ又は複数の面は、全体で1つ又は複数の平らな面、1つ又は複数の面取り部又は傾斜部、1つ又は複数の径、又はこれらの組合せを有してよい。これにより、重畳領域の形態の吸気開口の拡張を例えば吸気開口の寸法に関する基準値に適合できる。
【0019】
別の実施形態によれば、吸気開口は、側方で真空ポンプのハウジングに配置されて、ロータの回転軸線に対して平行に軸方向に延在してよい。この実施形態では、吸気開口を通る気体流は、ロータの回転軸線によって設定された軸方向に対して直角に進行する。側方でハウジングに配置された吸気開口は、例えば真空ポンプの吸気開口を事前に設定された空間領域に配置できる、真空ポンプの特別な組付け状態を可能にする。
【0020】
真空ポンプは、ロータの低圧側でロータの軸方向の端部に付加的な吸気開口をさらに有してよい。そのような真空ポンプは、スプリットフロー真空ポンプとも称される。スプリットフローポンプは、ハウジングの様々な位置で吸気流を受容し、これにより、差動排気を実現できる。
【0021】
真空ポンプ吸気開口は、さらに、ロータの軸方向の端部に配置されてもよい。ロータのこの軸方向の端部は、例えばロータ及び真空ポンプの低圧側又は高真空側に位置してよい。代替的又は付加的に、吸気開口又は別の吸気開口は、ロータの軸方向の端部間でハウジングの軸方向領域に配置されてよい。吸気開口のそのような配置は、中間段ポートとも称され、そこでは、吸気開口は、ポンプ段間に位置し、すなわちロータの低圧側又は高真空側で軸方向の端部とロータの高圧側で反対側の軸方向の端部との間の所定の位置に存在する。
【0022】
以下、本発明を、例示的に有利な実施形態に基づいて、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来技術による真空ポンプの一部の断面図を概略的に示す。
図2】本発明の一実施形態による真空ポンプの一部の断面図を概略的に示す。
図3】本発明の代替的な一実施形態による真空ポンプの断面図を概略的に示す。
図4】従来技術による真空ポンプの一部の斜視図を概略的に示す。
図5】本発明に係る真空ポンプの一部の斜視図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、ターボ分子ポンプとして構成された真空ポンプ100の一部の断面図を示す。真空ポンプ100は、ハウジング110とロータ120とを有し、ハウジング110は、真空ポンプ100用の吸気開口112を有し、ロータ120は、回転軸線122と複数のポンプ作用を奏する要素124とを有し、ポンプ作用を奏する要素124は、ターボ分子ポンプの動翼として構成されている。真空ポンプ100は、ステータ130をさらに有し、ステータ130は、静翼の形態のポンプ作用を奏する要素132を有する。
【0025】
吸気開口112は、軸方向に、すなわち軸方向を規定するロータ120の回転軸線122に対して平行に、ポンプ作用を奏する要素124、132が設けられていない開放領域140にわたって延在する。したがって、吸気開口112の開放領域140は、ロータ120のポンプ作用を奏する要素又は動翼124の外側で延在するとともに、軸方向にポンプ作用を奏する要素又は動翼124に隣接し、すなわち動翼の第1の動翼124-1又はロータ120のポンプ作用を奏する要素124に隣接する。ロータ120の第1のポンプ作用を奏する要素又は第1の動翼124-1は、吸気開口112の開放領域140に隣接する軸方向の端部又は軸方向の縁部125をさらに有する。吸気開口112の対応する縁部は、第1のポンプ作用を奏する要素124-1の軸方向の端部125とほぼ同一平面内に位置合わせされている。
【0026】
したがって、従来技術による真空ポンプ100の吸気開口112は、軸方向で第1の動翼124-1の縁部とほぼ同一平面に終端する。したがって、軸方向に、吸気開口112は、軸方向の長さ又はポート高さ142を有し、軸方向の長さ又はポート高さ142は、真空設備に真空ポンプ100を組み付けるときの状況及び要求に応じて設定されている。例示的な真空ポンプ100では、ポート高さ142又は軸方向の長さは、17.75mmである。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態による真空ポンプ200の一部の断面図を示す。真空ポンプ200は、図1に関連して前述したように、同様にハウジング110とロータ120とを有する。図2において図1と同一の符号を付された全ての要素は、図1で述べられた要素と同一であり又は類似していて、以下に新たに述べることはしない。
【0028】
図1に示された真空ポンプ100とは、図2の本発明に係る真空ポンプ200は、真空ポンプ200が吸気開口212を有し、吸気開口212が、前述の開放領域140の傍に重畳領域214を有し、重畳領域214において、吸気開口212は、軸方向にロータ120のポンプ作用を奏する要素124の1つにわたって、すなわち第1の動翼124-1にわたって延在する点で異なる。具体的には、重畳領域214は、完全にロータ120のポンプ作用を奏する領域124の軸方向の長さにわたって又は軸方向の第1の動翼124-1の完全な高さにわたって延在するので、重畳領域214の軸方向の長さ216は、第1の動翼124-1の高さ又は第1の動翼124-1の軸方向の長さと一致する。
【0029】
吸気開口212は、重畳領域214において、ハウジング110の内側に内縁220とハウジング110の外側に外縁230とを有する。内縁220と外縁230とは、図2の実施例では、軸方向で同一の高さに配置されている。換言すると、内縁220と外縁230とは、同一平面内に又は図2の断面図ではロータ120の回転軸線122に対して垂直に延在する一直線上に配置されている。重畳領域214の内縁220と外縁230とにわたって延在するこの直線は、さらに第1の動翼124-1の、同様に開放領域140に隣接する軸方向の前側の端部125とは反対側に位置する後側の端部に沿って延在する。
【0030】
図4及び図5に関連して以下に詳説するように、図1の真空ポンプ100の吸気開口112と比較して、付加的な重畳領域214に基づいて図2の吸気開口212が拡大することによって、真空ポンプ200の排気速度が増加する。吸気開口212の拡大によって、ロータ120によって吸気開口212を介して圧送され、吸気開口212に接続されたレシピエント(図示されていない)から外へ移送されるべき気体の逆流がもたらされる。逆流によって、ロータ120の圧縮損失が生じ得、排気速度は、場合によっては増加せず、重畳領域214が例えば第1の動翼124-1にわたって拡がりすぎると低下する。しかし、重畳領域214の軸方向の長さ216が第1の動翼124-1の高さ又は軸方向の長さと同一である又はこれよりも小さい場合には、予想される逆流が排気速度への影響をほとんど有さず、許容可能な圧縮損失が生じることが分かっている。
【0031】
しかも、開放領域140の軸方向の長さ142は、重畳領域214の軸方向の長さ216よりも大きい。さらに、開放領域140の軸方向の長さ142は、ロータの第1のポンプ作用を奏する要素又は第1の動翼124-1の直径Dよりも小さい。図2では、配向をより良好に表すために、既知のように直径Dの半分の大きさの第1の動翼124-1の半径Rが示されている。軸方向の長さ142と軸方向の長さ216との間及び軸方向の長さ142と直径Dとの間の前述の関係によって、真空ポンプ200の安定性及び運転安全性を確保できる。
【0032】
図3は、本発明の別の一実施形態による真空ポンプ300の一部の断面図を示す。図3の実施形態は、図2の実施形態とは、真空ポンプ300が前述したように開放領域140と重畳領域314とを有する吸気開口31を備えるが、重畳領域314は、図2の重畳領域214とは異なり、面取り部又は傾斜面315を有する点で異なる。傾斜面315に基づいて、吸気開口312の重畳領域314は、ロータ120のポンプ作用を奏する要素124-1の軸方向の長さ318又は第1の動翼124-1の高さよりも小さい軸方向の長さ316を有する。
【0033】
傾斜面315は、ハウジング110の内側に内縁320を有し、内縁320は、ハウジング110の外側にある重畳領域314の外縁330から軸方向に離間している。外縁330は、開放領域140に隣接する、第1のポンプ作用を奏する要素又は第1の動翼124-1の軸方向の端部125と同一の軸方向高さ又は同一の軸方向位置にある。図3の実施形態は、ハウジング110の外側で所定の寸法、例えば吸気開口312の軸方向の長さ又は高さ142の基準値が保持される場合でも、重畳領域314の分だけ吸気開口312の拡張を可能にする。
【0034】
本発明による真空ポンプ200、300の排気速度の効果的な増加を達成するために、重畳領域214、314の軸方向の長さ216、316は、この軸方向の長さ216、316が第1の動翼124-1の軸方向の長さ又は高さ318の半分よりも大きいように選択されている。他方、重畳領域214、314の軸方向の長さ216、316は、真空ポンプ200、300の運転安全性を損なわないために、第1の動翼124-1の軸方向の長さ又は高さ318よりも大きくてはならない。
【0035】
図3の実施形態において、このことは、面取り部315の軸方向の長さ、すなわち内縁320と外縁330との間の軸方向の距離が、第1の動翼124-1の軸方向の長さ又は高さの半分よりも大きいことを意味する。図3から看取されるように、内側の軸方向の縁部320と外側の軸方向の縁部330とは、一方では面取り部又は傾斜面315によって、他方ではロータ120の回転軸線122に対して垂直に、ひいては軸方向に対して垂直に延在する別の平面によって相互に接続されている。
【0036】
しかも、図3に示された真っ直ぐな面取り部315に代えて、重畳領域314は、代替的な実施形態では、事前に規定された径を有する図示されていない曲面によって画定されてよい。重畳領域314の内縁320と外縁330とが、図3のように互いに離間していると、重畳領域314の縁320と330との間に、さらに平面と曲面との任意の組合せが設定されてよく、これにより、重畳領域320が規定される。
【0037】
図4は、従来技術による図1の真空ポンプ100の一部の斜視図を示し、その一方で、図5は、本発明による図2の真空ポンプ200の対応する一部の斜視図を示す。真空ポンプ100、200のハウジング110のそれぞれの部分に、異なる形に構成されたそれぞれの吸気開口112、212が認められる。さらに、ロータ120の一部がそれぞれ示されていて、この場合、第1の動翼124-1と次の動翼124との間に静翼132が示されている。
【0038】
従来技術による真空ポンプ100では、吸気開口112は、軸方向に、ロータ120の回転軸線122に対して平行に、 吸気開口112の後縁410が第1の動翼124-1の軸方向の端部125の領域に配置されている(図1も参照)ような長さ142を有する。図4の具体例では、吸気開口112の外側の領域における軸方向の長さ412は、図2に示された吸気開口112の軸方向の長さ142にほぼ相当し、17.75mmである。
【0039】
真空ポンプ200の吸気開口212が図5に斜視図で示されていて、この真空ポンプ200では、吸気開口212は、図4の真空ポンプの吸気開口112とは異なり、軸方向に、重畳領域214の長さ216の分だけ拡大されている(図2参照)ので、重畳領域214は、ロータ120の第1の動翼124-1に軸方向に重畳する。その逆に、図5の真空ポンプ200では、ロータ120の第1の動翼124-1は、軸方向に吸気開口212の領域に突出する。図5の実施例では、重畳領域214の軸方向の長さ216が、約6.9mmであるので、図4と比較して、拡大された吸気開口212の外側の領域に約24.65mmである全体の軸方向の長さ516が得られる。
【0040】
それぞれの部分が図4又は図5に示された真空ポンプ100、200について、前述の寸法を用いて、それぞれの真空ポンプ100、200の排気速度についてシミュレーション計算を行った。シミュレーション計算において、圧送されるべき気体として、窒素を、20℃の周囲温度のとき粒子数20000で仮定した。さらに、それぞれの真空ポンプ100、200のロータ120について1100Hzの回転速度を用いた。
【0041】
さらに、真空ポンプ100、200は、スプリットフロータボ分子ポンプとして構成されていると仮定した。このことは、真空ポンプ100、200が、それぞれの吸気開口112、212に対して付加的に、例えば吸気開口112、212と同様に側方でそれぞれの真空ポンプ100、200のハウジング110に配置された、図示されていない別の吸気開口をそれぞれ有することを意味する。吸気開口112、212と第1の動翼124-1との間には、保護グリッド(図示されていない)が位置し、保護グリッドについては、82.6%の透過率を仮定した。したがって、吸気開口112又は212は、側方で、真空ポンプ100、200のそれぞれのハウジング110において、第1の動翼124-1の軸方向の端部125の領域に配置されている。したがって、吸気開口112又は212は、ホルベック真空ポートとも称されてもよい。代替的に、吸気開口112又は212は、真空ポンプ100、200のポンプ段の間に配置された段間ポートとして構成されてもよい。
【0042】
吸気開口112を有する図4の真空ポンプ100については、シミュレーション計算では、1秒当たり106リットルの有効排気速度が提供され、これに対して、拡大された吸気開口212を有する図5の真空ポンプ200について、シミュレーション計算では、1秒当たり136リットルの有効排気速度が得られた。したがって、図4の吸気開口112と比較して、吸気開口212を約7mm拡張したことによって、本発明に係る真空ポンプ200の有効排気速度の大幅な増加がもたらされた。
【符号の説明】
【0043】
100 背景技術による真空ポンプ
110 ハウジング
112 吸気開口
120 ロータ
122 回転軸線
124 ロータのポンプ作用を奏する要素、動翼
124-1 第1の動翼
125 第1の動翼の軸方向の端部
130 ステータ
132 ステータのポンプ作用を奏する要素、静翼
140 開放領域
142 開放領域の軸方向の長さ
200 本発明の一実施形態による真空ポンプ
212 吸気開口
214 重畳領域
216 重畳領域の軸方向の長さ
220 重畳領域の内縁
230 重畳領域の外縁
300 本発明の別の一実施形態による真空ポンプ
312 吸気開口
314 重畳領域
315 傾斜面
316 重畳領域の軸方向の長さ
318 第1の動翼の軸方向の長さ又は高さ
320 重畳領域の内縁
330 重畳領域の外縁
410 吸気開口の後縁
412 吸気開口の外側領域における軸方向の長さ
516 拡張された吸気開口の全体の軸方向の長さ
D ロータの直径
R ロータの半径
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプ(200、300)、特にターボ分子ポンプにおいて、
ロータ(200)と吸気開口(212、312)とを備え、前記ロータ(200)は、複数のポンプ作用を奏する要素(124)と回転軸線(122)とを有し、前記回転軸線(122)を中心に、前記ポンプ作用を奏する要素(124)は、前記真空ポンプ(200、300)の運転時に回転し、前記回転軸線(122)は、軸方向を規定し、
前記吸気開口(212、312)は、前記真空ポンプ(200、300)のハウジング(100)に配置されていて、
前記吸気開口(212、312)は、開放領域(140)と重畳領域(214、314)とを有し、前記開放領域(140)は、前記ロータ(120)の前記ポンプ作用を奏する要素(124)の外側で延在するとともに軸方向に前記ポンプ作用を奏する要素(124)に隣接し、前記重畳領域(214、314)において、前記吸気開口(212、312)は、軸方向に少なくとも部分的に前記ロータ(120)の前記ポンプ作用を奏する要素(124)の1つにわたって延在する、真空ポンプ(200、300)。
【請求項2】
前記吸気開口(212、312)は、前記重畳領域(214、314)内で軸方向に少なくとも前記ロータ(120)の前記ポンプ作用を有する要素(124)の1つの軸方向の長さ(318)の半分にわたって延在する、請求項1に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項3】
前記吸気開口(212、312)は、前記重畳領域(214、314)内で軸方向に完全に前記ロータ(120)の前記ポンプ作用を有する要素(124)の1つの軸方向の長さ(318)にわたって延在する、請求項1に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項4】
前記開放領域(140)の軸方向の長さ(142)は、前記重畳領域(214、314)の軸方向の長さ(216、316)よりも大きい、請求項1に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項5】
前記吸気開口(212、312)の前記開放領域(140)は、前記ポンプ作用を奏する要素(124)の直径(D)以下である長さ(142)を有する、請求項1に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項6】
前記吸気開口(212)は、前記重畳領域(214)において、前記ハウジング(110)の内側に内縁(220)と、前記ハウジング(110)の外側に外縁(230)とを有し、
前記内縁(220)と前記外縁(230)とは、軸方向で同一の高さに配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項7】
前記吸気開口(312)は、前記重畳領域(314)において、前記ハウジング(110)の内側に内縁(320)と、前記ハウジング(110)の外側に外縁(330)とを有し、
前記内縁(320)と前記外縁(330)とは、軸方向で離間している、請求項1から5のいずれか一項に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項8】
前記吸気開口(312)の前記外縁(330)は、前記重畳領域(314)において、前記ポンプ作用を奏する要素(124-1)の、前記吸気開口(312)の前記開放領域(124)に隣接する軸方向の端部(125)と同一の軸方向の高さに配置されていて、前記吸気開口(312)は、前記重畳領域(314)において、前記ポンプ作用を奏する要素(124-1)にわたって延在する、請求項7に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項9】
前記内縁(320)は、軸方向の断面が真っ直ぐな経過を有する1つ又は複数の面(315)を介して前記外縁(330)に接続されている、請求項7に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項10】
前記内縁(320)は、1つ又は複数の面にわたって前記外縁(330)に接続されていて、前記面のうちの少なくとも1つの面は、湾曲している、請求項7に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項11】
軸方向の前記内縁(320)と前記外縁(330)との間の距離(316)は、前記ポンプ作用を奏する要素(124)が延在する軸方向の長さ(318)の半分よりも大きい、請求項7に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項12】
前記吸気開口(212、312)は、側方で、前記ハウジング(110)に配置されていて、前記ロータ(120)の前記回転軸線(122)に対して平行に軸方向に延在する、請求項1からのいずれか一項に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項13】
前記真空ポンプ(200、300)は、前記ロータ(120)の低圧側で前記ロータ(120)の軸方向の端部に付加的な吸気開口を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項14】
前記吸気開口(212、312)は、前記ロータ(120)の軸方向の端部に配置されている、請求項1からのいずれか一項に記載の真空ポンプ(200、300)。
【請求項15】
前記吸気開口(212、312)は、前記ハウジング(110)の軸方向の領域で前記ロータ(120)の軸方向の端部間に配置されている、請求項1からのいずれか一項に記載の真空ポンプ(200、300)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
吸気開口112を有する図4の真空ポンプ100については、シミュレーション計算では、1秒当たり106リットルの有効排気速度が提供され、これに対して、拡大された吸気開口212を有する図5の真空ポンプ200について、シミュレーション計算では、1秒当たり136リットルの有効排気速度が得られた。したがって、図4の吸気開口112と比較して、吸気開口212を約7mm拡張したことによって、本発明に係る真空ポンプ200の有効排気速度の大幅な増加がもたらされた。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下を含む。
1.
真空ポンプ(200、300)、特にターボ分子ポンプにおいて、
ロータ(200)と吸気開口(212、312)とを備え、前記ロータ(200)は、複数のポンプ作用を奏する要素(124)と回転軸線(122)とを有し、前記回転軸線(122)を中心に、前記ポンプ作用を奏する要素(124)は、前記真空ポンプ(200、300)の運転時に回転し、前記回転軸線(122)は、軸方向を規定し、
前記吸気開口(212、312)は、前記真空ポンプ(200、300)のハウジング(100)に配置されていて、
前記吸気開口(212、312)は、開放領域(140)と重畳領域(214、314)とを有し、前記開放領域(140)は、前記ロータ(120)の前記ポンプ作用を奏する要素(124)の外側で延在するとともに軸方向に前記ポンプ作用を奏する要素(124)に隣接し、前記重畳領域(214、314)において、前記吸気開口(212、312)は、軸方向に少なくとも部分的に前記ロータ(120)の前記ポンプ作用を奏する要素(124)の1つにわたって延在する、真空ポンプ(200、300)。
2.
前記吸気開口(212、312)は、前記重畳領域(214、314)内で軸方向に少なくとも前記ロータ(120)の前記ポンプ作用を有する要素(124)の1つの軸方向の長さ(318)の半分にわたって延在する、上記1の真空ポンプ(200、300)。
3.
前記吸気開口(212、312)は、前記重畳領域(214、314)内で軸方向に完全に前記ロータ(120)の前記ポンプ作用を有する要素(124)の1つの軸方向の長さ(318)にわたって延在する、上記1又は2の真空ポンプ(200、300)。
4.
前記開放領域(140)の軸方向の長さ(142)は、前記重畳領域(214、314)の軸方向の長さ(216、316)よりも大きい、上記1から3のいずれか一つの真空ポンプ(200、300)。
5.
前記吸気開口(212、312)の前記開放領域(140)は、前記ポンプ作用を奏する要素(124)の直径(D)以下である長さ(142)を有する、上記1から4のいずれか一つの真空ポンプ(200、300)。
6.
前記吸気開口(212)は、前記重畳領域(214)において、前記ハウジング(110)の内側に内縁(220)と、前記ハウジング(110)の外側に外縁(230)とを有し、
前記内縁(220)と前記外縁(230)とは、軸方向で同一の高さに配置されている、上記1から5のいずれか一つの真空ポンプ(200、300)。
7.
前記吸気開口(312)は、前記重畳領域(314)において、前記ハウジング(110)の内側に内縁(320)と、前記ハウジング(110)の外側に外縁(330)とを有し、
前記内縁(320)と前記外縁(330)とは、軸方向で離間している、上記1から5のいずれか一つの真空ポンプ(200、300)。
8.
前記吸気開口(312)の前記外縁(330)は、前記重畳領域(314)において、前記ポンプ作用を奏する要素(124-1)の、前記吸気開口(312)の前記開放領域(124)に隣接する軸方向の端部(125)と同一の軸方向の高さに配置されていて、前記吸気開口(312)は、前記重畳領域(314)において、前記ポンプ作用を奏する要素(124-1)にわたって延在する、上記7の真空ポンプ(200、300)。
9.
前記内縁(320)は、軸方向の断面が真っ直ぐな経過を有する1つ又は複数の面(315)を介して前記外縁(330)に接続されている、上記7又は8の真空ポンプ(200、300)。
10.
前記内縁(320)は、1つ又は複数の面にわたって前記外縁(330)に接続されていて、前記面のうちの少なくとも1つの面は、湾曲している、上記7又は8の真空ポンプ(200、300)。
11.
軸方向の前記内縁(320)と前記外縁(330)との間の距離(316)は、前記ポンプ作用を奏する要素(124)が延在する軸方向の長さ(318)の半分よりも大きい、上記7から10のいずれか一つの真空ポンプ(200、300)。
12.
前記吸気開口(212、312)は、側方で、前記ハウジング(110)に配置されていて、前記ロータ(120)の前記回転軸線(122)に対して平行に軸方向に延在する、上記1から11のいずれか一つの真空ポンプ(200、300)。
13.
前記真空ポンプ(200、300)は、前記ロータ(120)の低圧側で前記ロータ(120)の軸方向の端部に付加的な吸気開口を有する、上記1から12のいずれか一つの真空ポンプ(200、300)。
14.
前記吸気開口(212、312)は、前記ロータ(120)の軸方向の端部に配置されている、上記1から13のいずれか一つの真空ポンプ(200、300)。
15.
前記吸気開口(212、312)は、前記ハウジング(110)の軸方向の領域で前記ロータ(120)の軸方向の端部間に配置されている、上記1から14のいずれか一つの真空ポンプ(200、300)。
【外国語明細書】