(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017362
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】加湿器
(51)【国際特許分類】
F24F 6/04 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
F24F6/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119943
(22)【出願日】2022-07-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年5月18日~5月20日に東京で開催された「THREEUP 2022 WINTER COLLECTION」にて公開 令和4年5月25日~5月26日に大阪で開催された「THREEUP 2022 WINTER COLLECTION」にて公開 令和4年6月1日~6月2日に福岡で開催された「THREEUP 2022 WINTER COLLECTION」にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】508256396
【氏名又は名称】スリーアップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【弁理士】
【氏名又は名称】椿 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100124589
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 竜郎
(72)【発明者】
【氏名】辻野 真介
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055BA01
3L055DA20
(57)【要約】
【課題】衛生上の問題が発生しにくい加湿器を提供する。小型化を図ることのできる加湿器を提供する。
【解決手段】加湿器は、筐体2と、筐体2に対して着脱可能に設けられ、水を貯蔵するタンクと、通過する空気を加湿する加湿フィルター4と、加湿フィルター4を通過した空気を筐体2の外部に送風する送風部5と、加湿フィルター4を濡らすための水を送るポンプと、タンクの内部とポンプとを互いに接続するポンプ供給管7と、加湿フィルター4から滴った水をポンプ供給管7に還流させるフィルター用還流部8とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に対して着脱可能に設けられ、水を貯蔵するタンクと、
通過する空気を加湿する加湿フィルターと、
前記加湿フィルターを通過した空気を前記筐体の外部に送風する送風部と、
前記加湿フィルターを濡らすための水を送るポンプと、
前記タンクの内部と前記ポンプとを互いに接続するポンプ供給管と、
前記加湿フィルターから滴った水を前記ポンプ供給管に還流させるフィルター用還流部とを備えた、加湿器。
【請求項2】
前記フィルター用還流部は、
前記加湿フィルターから滴った水を受けるフィルター用水受部と、
前記フィルター用水受部にて受けた水を前記ポンプ供給管に還流させるフィルター用還流管とを含む、請求項1に記載の加湿器。
【請求項3】
前記フィルター用還流管は、
前記フィルター用水受部から下方に延在する第1のフィルター用還流管と、
前記第1のフィルター用還流管の下端と前記ポンプ供給管とを接続する第2のフィルター用還流管とを含む、請求項2に記載の加湿器。
【請求項4】
前記送風部は、前記加湿フィルターを通過した後の空気を吸い込み、
前記送風部に付着した水を前記ポンプ供給管に還流させる送風部用還流部をさらに備えた、請求項1に記載の加湿器。
【請求項5】
前記フィルター用還流部は前記送風部用還流部の一部を構成する、請求項4に記載の加湿器。
【請求項6】
前記送風部用還流部は、
前記送風部から滴った水を受ける送風部用水受部と、
前記送風部用水受部にて受けた水を前記ポンプ供給管に還流させる送風部用還流管とを含む、請求項4に記載の加湿器。
【請求項7】
前記ポンプによって送られた水を前記加湿フィルターに供給するフィルター供給管をさらに備え、
前記フィルター供給管は、前記加湿フィルターの上部において前記加湿フィルターの延在方向に沿って設けられた複数の吹出口の各々を含む、請求項1に記載の加湿器。
【請求項8】
前記筐体は、
前記加湿フィルターの後部に設けられた吸込口と、
前記送風部の上部に設けられた送風口とを含み、
前記加湿フィルターは、前記送風部の後部に設けられ、
前記送風部の作用によって、前記吸込口から前記筐体の内部に吸い込まれた空気は、前記加湿フィルターを通過して前記送風部に到達し、前記送風部に到達した空気は、前記送風口から前記筐体の外部に送風される、請求項1に記載の加湿器。
【請求項9】
前記ポンプ供給管の内部を流通する水を加熱する加熱部をさらに備えた、請求項1~8のいずれかに記載の加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿器に関する。より特定的には、本発明は、加湿フィルターを通過した空気を送風する加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
加湿器としては、気化式、超音波式、スチーム式、またはハイブリッド式などの様々な方式のものが存在している。これらのうち気化式は、湿らせた加湿フィルターを通過した空気を送風する方式である。気化式の加湿器における加湿フィルターを湿らせる方法としては、次の第1および第2の方法が主に存在する。第1の方法は、加湿フィルターの下部を水槽部の内部に貯蔵された水に浸漬し、水槽部の内部に貯蔵された水を毛細管現象により加湿フィルターに吸い上げる方法である。第1の方法では、加湿器の非動作時にも加湿フィルターの下部が水に浸漬されるため、加湿フィルターが常時湿った状態となる。このため、加湿フィルターにかびや雑菌が発生しやすく、衛生上の問題が発生しやすいという問題があった。
【0003】
第2の方法は、水槽部の上部に水槽部から間隔をおいて配置した加湿フィルターに対して、水槽部の内部からポンプでくみ上げた水を供給する方法である。第2の方法では加湿フィルターは水槽部の内部に貯蔵された水に浸漬されないので、第1の方式の衛生上の問題をある程度回避することができる。第2の方式を採用した加湿器は、下記特許文献1および2などに開示されている。
【0004】
下記特許文献1には、水槽部と、送風機と、気化フィルターと、水供給手段などを備えた加湿機能付空気清浄機が開示されている。水供給手段は、水槽部内に設置された送水ポンプと、この送水ポンプから気化フィルター上方へと延伸させた給水管とから構成されている。水槽部内の水は送水ポンプの駆動により給水管を通して気化フィルター上方まで汲み上げられ、気化フィルターのプリーツ最上面に給水口より供給される。気化フィルターに吸水し切れなかった余剰分の水は、気化フィルター下方に配置された水槽部に流れ落ちる。
【0005】
下記特許文献2には、気化フィルターと、フィルターガイドと、給水部と、水槽部と、送風機とを備えた加湿器が開示されている。給水部には、フィルターガイドの上ガイドの軸方向に均一な間隔で、複数の注水孔が設けられている。本体に供給された水は一旦水槽部に溜められ、ポンプ機構によって気化フィルターの上部に配置された給水部に汲み上げられ、給水部に設けられた注水孔から気化フィルターへと供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-89902号公報
【特許文献2】特開2012-97912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の加湿器には、依然として衛生上の問題が発生しやすいという問題があった。上述の第1および第2の方式のいずれでも、加湿器の筐体の内部には、加湿フィルターに供給する水を貯蔵する水槽部が設けられる。このため、水槽部の内部に貯蔵された水の蒸発によって筐体の内部全体の湿度が上昇し、筐体の内部にかびや雑菌が発生しやすかった。このように、従来の加湿器には衛生上の問題が発生しやすかった。また、水槽部のためのスペースが必要であり、加湿器が大型となっていた。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、衛生上の問題が発生しにくい加湿器を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、小型化を図ることのできる加湿器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一の局面に従う加湿器は、筐体と、筐体に対して着脱可能に設けられ、水を貯蔵するタンクと、通過する空気を加湿する加湿フィルターと、加湿フィルターを通過した空気を筐体の外部に送風する送風部と、加湿フィルターを濡らすための水を送るポンプと、タンクの内部とポンプとを互いに接続するポンプ供給管と、加湿フィルターから滴った水をポンプ供給管に還流させるフィルター用還流部とを備える。
【0011】
上記加湿器において好ましくは、フィルター用還流部は、加湿フィルターから滴った水を受けるフィルター用水受部と、フィルター用水受部にて受けた水をポンプ供給管に還流させるフィルター用還流管とを含む。
【0012】
上記加湿器において好ましくは、フィルター用還流管は、フィルター用水受部から下方に延在する第1のフィルター用還流管と、第1のフィルター用還流管の下端とポンプ供給管とを接続する第2のフィルター用還流管とを含む。
【0013】
上記加湿器において好ましくは、送風部は、加湿フィルターを通過した後の空気を吸い込み、送風部に付着した水をポンプ供給管に還流させる送風部用還流部をさらに備える。
【0014】
上記加湿器において好ましくは、フィルター用還流部は送風部用還流部の一部を構成する。
【0015】
上記加湿器において好ましくは、送風部用還流部は、送風部から滴った水を受ける送風部用水受部と、送風部用水受部にて受けた水をポンプ供給管に還流させる送風部用還流管とを含む。
【0016】
上記加湿器において好ましくは、ポンプによって送られた水を加湿フィルターに供給するフィルター供給管をさらに備え、フィルター供給管は、加湿フィルターの上部において加湿フィルターの延在方向に沿って設けられた複数の吹出口の各々を含む。
【0017】
上記加湿器において好ましくは、筐体は、加湿フィルターの後部に設けられた吸込口と、送風部の上部に設けられた送風口とを含み、加湿フィルターは、送風部の後部に設けられ、送風部の作用によって、吸込口から筐体の内部に吸い込まれた空気は、加湿フィルターを通過して送風部に到達し、送風部に到達した空気は、送風口から筐体の外部に送風される。
【0018】
上記加湿器において好ましくは、ポンプ供給管の内部を流通する水を加熱する加熱部をさらに備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、衛生上の問題が発生しにくい加湿器を提供することができる。また、小型化を図ることのできる加湿器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施の形態における加湿器1の構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施の形態における加湿器1において、タンク3を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1中III-III線に沿った断面図である。
【
図6】本発明の一実施の形態における加湿器1において、加湿フィルター4などを取り外した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、図面におけるx軸、y軸、およびz軸は互いに直交している。以降の説明では、x軸の正方向を右、x軸の負方向を左、y軸の正方向を前、y軸の負方向を後、z軸の正方向を上、z軸の負方向を下と記すことがある。
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態における加湿器1の構成を示す斜視図である。
図2は、本発明の一実施の形態における加湿器1において、タンク3を取り外した状態を示す斜視図である。
【0023】
図1および
図2を参照して、本実施の形態における加湿器1(加湿器の一例)は、筐体2(筐体の一例)と、タンク3(タンクの一例)と、操作表示部13などを備えている。筐体2は、略直方体の形状を有している。筐体2は、送風口22(送風口の一例)と、ベース部23と、ベース部突起24と、右側面25などを含んでいる。送風口22は、筐体2の内部から外部に空気を送風するための開口である。送風口22は、筐体2の上面に設けられている。ベース部23は、筐体2の上方から見た場合に円の形状を有している。ベース部23は、筐体2の右側面25の下部に設けられており、右側面25から右方に突出している。ベース部突起24は、ベース部23の内部の中央部に設けられている。右側面25は、筐体2の上側から見た場合に弧の形状を有している。
【0024】
タンク3は、略円筒形状を有しており、筐体2に対して着脱可能に設けられている。タンク3の内部には水が貯蔵される。タンク3は、上部に設けられた把手31を含んでいる。把手31は、タンク3の上部に設けられた揺動軸(図示無)を中心に揺動可能である。タンク3は、タンク3の下部がベース部23の上部に係合することにより、筐体2に装着される。タンク3の外周面は、右側面25に対応する形状を有している。タンク3が筐体2に装着された状態では、タンク3の外周面の一部は右側面25と密着している、または右側面25と互いに対向している。
【0025】
加湿器1に水を充填する際に、使用者は、起立させた把手31を把持してタンク3を持ち上げることで、タンク3をベース部23から取り外す。使用者は、取り外したタンク3の内部に水を補充し、タンク3をベース部23に再び装着する。タンク3の下部におけるベース部突起24に対応する位置には、図示しない給水弁が設けられている。タンク3がベース部23に装着されると、タンク3の給水弁がベース部突起24によって上部に押し上げられる。これにより、後述するポンプ供給管7とタンク3の内部とが互いに接続され、タンク3の内部の水がポンプ供給管7の内部に供給可能となる。
【0026】
操作表示部13は、筐体2の上面に設けられている。操作表示部13は、操作部131と、表示部132とを含んでいる。操作部131は、使用者からの加湿器1の操作を受け付ける。具体的には、操作部131は、加湿運転の開始または停止、風量、およびタイマー設定などの操作を受け付ける。表示部132は、使用者に対して加湿器1に関する各種表示を行う。具体的には、表示部132は、湿度、風量、およびタイマー残時間などの表示を行う。
【0027】
図3は、
図1中III-III線に沿った断面図である。
図4は、
図1中IV-IV線に沿った断面図である。
図5は、
図1中V-V線に沿った断面図である。なお
図3では、供給管7の位置が点線で示されている。
【0028】
図3~
図5を参照して、筐体2は、吸込口21(吸込口の一例)をさらに含んでいる。吸込口21は、筐体2の外部から内部に空気を吸い込むための開口である。吸込口21は、筐体2の後側面の中央部に設けられている。
【0029】
加湿器1は、加湿フィルター4(加湿フィルターの一例)と、送風部5(送風部の一例)と、ポンプ6(ポンプの一例)と、ポンプ供給管7(ポンプ供給管の一例)と、フィルター用還流部8(フィルター用還流部の一例)と、送風部用還流部9(送風部用還流部の一例)と、フィルター供給管10(フィルター供給管の一例)と、加熱部11(加熱部の一例)と、フィルターケース12とをさらに備えている。送風部5が生じさせる空気の流れ方向は、矢印ARで示されている。矢印ARで示す空気の流れ方向の上流側から下流側に向かって、吸込口21、加湿フィルター4、送風部5、および送風口22がこの順序で配置されている。
【0030】
加湿フィルター4は、水で濡らされ、通過する空気を加湿する。加湿フィルター4は、筐体2の内部における吸込口21の付近に設けられている。加湿フィルター4の後部には吸込口21が設けられている。加湿フィルター4と吸込口21とは前後方向で互いに対向している。加湿フィルター4は、たとえば吸水性に優れたシート状の不織布よりなっており、左右方向に折り重ねられた形状(プリーツ形状)を有している。
【0031】
送風部5は、加湿フィルター4を通過した後の空気を吸い込む。送風部5は、吸い込んだ空気を筐体2の外部に送風する。送風部5の後部には加湿フィルター4が設けられている。加湿フィルター4と送風部5とは前後方向で互いに対向している。送風部5は、たとえばシロッコファンよりなっており、羽根51と、羽根ケース52と、モーター53と、回転軸54を含んでいる。羽根51は、円筒形状を有している。円筒形状の側面には、回転軸54に対して平行に延在した多数のフィンの各々が設けられている。羽根ケース52は、羽根51の一部を覆っている。羽根ケース52の後部には、加湿フィルター4を通過した空気を吸い込むための多数の開口521が設けられている。羽根ケース52の上部には、送風口22に向けて空気を吹き出すための開口522が設けられている。モーター53は、羽根51の前方に設けられている。モーター53には、前後方向に延在する回転軸54が固定されている。回転軸54には羽根51が固定されている。モーター53は、回転軸54を回転させることにより、羽根51を回転駆動する。羽根51は、回転軸54を中心として回転する。すなわち、送風部5は、羽根51の回転により後方の開口521から空気を吸い込む。送風部5は、吸い込んだ空気の進行方向を前方から上方に変更して、開口522から送風口22へ向けて吹き出す。
【0032】
送風部5は、加湿フィルター4よりも空気の流れ方向に沿った上流側に設けられてもよく、加湿フィルター4を通過する前の空気を吸い込んでもよい。
【0033】
ポンプ6は、加湿フィルター4を濡らすための水を送る。ポンプ6は、筐体2の内部における送風部5の下部付近に設けられている。
【0034】
ポンプ供給管7は、タンク3の内部とポンプ6とを互いに接続している。ポンプ供給管7には、タンク3の内部からポンプ6へ供給される水が流通する。ポンプ供給管7は、筐体2の内部における送風部5の下部付近であって、ポンプ6の右側に設けられている。ポンプ6およびポンプ供給管7は、加湿フィルター4および送風部5のうち少なくともいずれか一方の下部に設けられることが好ましい。
【0035】
フィルター用還流部8は、加湿フィルター4から滴った水をポンプ供給管7に還流させる。フィルター用還流部8は、フィルター用水受部81(フィルター用水受部の一例)と、フィルター用管82および83(フィルター用還流管の一例)とを含んでいる。フィルター用水受部81は、加湿フィルター4から滴った水を受ける。フィルター用水受部81は、加湿フィルター4を覆うフィルターケース12の下部を構成している。フィルター用水受部81は、たとえば下方に突出した円錐状の形状を有している。フィルター用水受部81の上面の最も低い位置には、開口811が形成されている。これにより、加湿フィルター4から滴った水を開口811に容易に導くことができる。
【0036】
還流管82および83は、フィルター用水受部81にて受けた水をポンプ供給管7に還流させる。還流管82は、開口811から下方に延在している。還流管82の下端は、還流管83に接続されている。還流管83は、還流管82の下端から前方に延在している。還流管83の前端は、ポンプ供給管7に接続されている。ポンプ供給管7における還流管83と接続される位置は、ポンプ供給管7における加熱部11により加熱される位置よりも、水の流通方向に沿った下流側であることが好ましい。これにより、還流した水を加熱することができる。
【0037】
送風部用還流部9は、送風部5に付着した水をポンプ供給管7に還流させる。送風部用還流部9は、送風部用水受部91(送風部用水受部の一例)と、送風部用管92~94(送風部用還流管の一例)と、フィルター用還流部8とを含んでいる。送風部用水受部91は、送風部5から滴った水を受ける。送風部用水受部91は、羽根ケース52の下部を構成している。送風部用水受部91は、たとえば下方に突出した円錐状の形状を有している。送風部用水受部91の上面の最も低い位置には、開口911が形成されている。これにより、送風部5から滴った水を開口911に容易に導くことができる。
【0038】
還流管92~94は、送風部用水受部91にて受けた水をポンプ供給管7に還流させる。還流管92は、開口911から下方に延在している。還流管92の下端は、還流管93に接続されている。還流管93は、還流管92の下端から右方に延在している。還流管92の右端は、還流管93に接続されている。還流管93は、還流管92の右端から後方に延在している。還流管93の後端は、フィルター用水受部81の上方に開口している。
【0039】
フィルター供給管10は、ポンプ6によって送られた水を加湿フィルター4に供給する。フィルター供給管10の一部(図示無し)は、フィルターケース12の外部に設けられている。フィルター供給管10の残りの部分は、フィルターケース12の内部に設けられている。フィルター供給管10の一端は、ポンプ供給管7に接続されている。フィルター供給管10の他端は、加湿フィルター4の上部に延在している。フィルター供給管10は、縦供給管101と、横供給管102と、複数の吹出口103(吹出口の一例)とを含んでいる。
【0040】
縦供給管101は、フィルターケース12の外部に設けられたフィルター供給管10(図示無し)に接続されており、フィルターケース12の内部において上方に延在している。縦供給管101の上端は横供給管102に接続されている。
【0041】
横供給管102は、フィルターケース12の内部において、縦供給管101の上端から加湿フィルター4の延在方向(右方向)に延在している。横供給管102は、加湿フィルター4の上部に設けられている。
【0042】
複数の吹出口103の各々は、横供給管102に設けられた開口である。複数の吹出口103の各々は、加湿フィルター4の上部において加湿フィルター4の延在方向(左右方向)に沿って設けられている。複数の吹出口103の各々は、加湿フィルター4に向かって水を噴出(供給)する。
【0043】
加熱部11は、ポンプ供給管7の内部を流通する水を加熱する。これにより、加湿フィルター4には温水が供給される。加熱部11は、ポンプ供給管7の付近に設けられている。加熱部11は、電熱線またはPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタなどを含んでいる。
【0044】
フィルターケース12は、加湿フィルター4の周囲を覆っている。フィルターケース12は、加湿フィルター4の含水による重量の増加に伴う加湿フィルター4の形状の変化を抑止する。フィルターケース12は、吸込口21の前側に設けられている。
【0045】
図6は、加湿フィルター4などの部材を筐体2から取り外した状態を示す斜視図である。
【0046】
図6を参照して、筐体2における吸込口21付近の部分と、加湿フィルター4およびフィルターケース12とは、筐体2本体に対して着脱可能である。これにより、吸込口21や加湿フィルター4の交換や清掃を行うことができる。
【0047】
続いて、加湿器1の動作について説明する。
【0048】
図3~
図5を参照して、操作部を通じて加湿器1の動作を開始する操作を受け付けると、加湿器1は送風部5の羽根51を回転させ、ポンプ6を駆動する。
【0049】
羽根51の回転(送風部5の作用)により、矢印ARに沿って次のように空気が流れる。筐体2の外部の空気は、吸込口21から筐体2の内部に吸い込まれる。吸い込まれた空気は、筐体2の内部を前方へ移動し、加湿フィルター4を通過して送風部5に到達する。加湿フィルター4を通過する際に空気は加湿される。送風部5に到達した空気は、送風部5にて進行方向を上方に変更され、送風口22から筐体2の外部に送風される。
【0050】
ポンプ6の駆動により、次のように加湿フィルター4に水が供給される。タンク3の内部の水は、ポンプ供給管7を経由して左方に送られ、加熱部11によって加熱され、ポンプ6に到達する。ポンプ6に到達した水は、フィルター供給管10を経由して上方に送られ、複数の吹出口103の各々から加湿フィルター4に向かって供給される。供給された水により、加湿フィルター4が濡らされる。
【0051】
加湿フィルター4に付着した余分な水は、加湿フィルター4で保持しきれなくなり、重力により加湿フィルター4から滴る。加湿フィルター4から滴った水は、フィルター用還流部8によって、次のようにポンプ供給管7に還流される。フィルター用水受部81に滴った水は、フィルター用水受部81の上面を伝って開口811に流れ込む。開口811に流れ込んだ水は、開口811から還流管82および83の各々をこの順序で流通し、ポンプ供給管7に還流され、タンク3の内部の水から供給されてきた水と合流する。その後、ポンプ供給管7に還流された水は、加熱部11によって加熱され、フィルター供給管10を経由して加湿フィルター4に再び供給される。
【0052】
加湿フィルター4を通過した後の湿った空気を送風部5が吸い込む場合、送風部5(特に羽根51)には水が付着する。送風部5に付着した水は、送風部用還流部9およびフィルター用還流部8によって、次のようにポンプ供給管7に還流される。送風部5に付着した水は、重力により送風部5から送風部用水受部91に滴る。送風部用水受部91に滴った水は、送風部用水受部91の上面を伝って開口911に流れ込む。開口911に流れ込んだ水は、開口911から還流管92、93、および94の各々をこの順序で流通し、還流管94の端部の開口からフィルター用水受部81の上面に流出する。還流管94の端部の開口から流出した水は、加湿フィルター4からフィルター用水受部81に滴った水と合流する。その後、還流管94の端部の開口から流出した水は、フィルター用還流部8を経てポンプ供給管7に還流され、タンク3の内部の水から供給されてきた水と合流する。
【0053】
なお、送風部用還流部9は、上述のようにフィルター用還流部8を経て、送風部5に付着した水をポンプ供給管7に還流させてもよい(つまり、フィルター用還流部8は送風部用還流部9の一部を構成していてもよい)。また、送風部用還流部9は、フィルター用還流部8とは別の経路を経て、送風部5に付着した水をポンプ供給管7に還流させてもよい。
【0054】
[実施の形態の効果]
【0055】
上述の実施の形態によれば、タンク3の内部の水をポンプ6に供給するポンプ供給管7に、加湿フィルター4に付着した余分な水が還流され、加湿フィルター4に再供給される。これにより、水面が露出した水槽部を筐体2の内部に設ける必要がなくなり、筐体2の内部全体の湿度が上昇することがなくなる。その結果、筐体2の内部にかびや雑菌が発生しにくくなり、加湿器の衛生上の問題が発生しにくくなる。また、水槽部のためのスペースが不要となり、加湿器の小型化を図ることができる。
【0056】
また、加湿フィルター4に付着した余分な水はポンプ供給管7に還流されるため、予測される加湿フィルター4での気化量よりも多い量の水(過剰な水)を加湿フィルター4へ供給することができる。その結果、加湿フィルター4の乾燥を確実に防止することができ、加湿器1の加湿性能を向上することができる。また、加湿フィルター4に付着した余分な水に起因する筐体2の内部でのかびや雑菌の発生を抑止することができる。
【0057】
また、加湿フィルター4を通過した後の湿った空気を送風部5が吸い込む場合、送風部5に付着した水は送風部用還流部9によってポンプ供給管7に還流される。これにより、送風部5に付着した水に起因する筐体2の内部でのかびや雑菌の発生を抑止することができる。
【0058】
また、フィルター用還流部8が送風部用還流部9の一部を構成する場合には、送風部5に付着した水の還流経路と、加湿フィルター4に付着した余分な水の還流経路とを共通化することができ、加湿器の小型化を図ることができる。
【0059】
また、加湿フィルター4の延在方向に沿って設けられた複数の吹出口103の各々から加湿フィルター4に水が供給されるため、加湿フィルター4全体にわたって水を供給することができ、加湿フィルター4を通過する空気を効率的に加湿することができる。
【0060】
また、一般的に、加湿器はサーキュレータと比較して風量が弱い。湿った空気は乾いた空気と比較して重いため、落下しやすい。このため、筐体2の上面の送風口22から上方へ向けて送風を行うことにより、筐体2の外部の広い面積を均一に加湿することができる。この場合、シロッコファンよりなる送風部5を採用することで、筐体2の側面の吸込口21から吸引した空気を筐体2の上面の送風口22から送風する空気の流れを実現することができる。またこの場合、加湿フィルター4を送風部5よりも空気の流れ方向の上流側に設けることにより、進行方向を上方向に変更する前の空気が加湿フィルター4を通過するようになる。これにより、加湿フィルター4を上下方向に立てた状態で筐体2の内部に配置することができ、加湿フィルター4の面積の増加に伴う筐体2の平面面積の増加を抑止することができる。
【0061】
さらに、加熱部11を設けることにより、加湿フィルター4に温水が供給されるため、加湿フィルター4を通過する空気を効率的に加湿することができる。
【0062】
[その他]
【0063】
送風部用還流部9、フィルター供給管10、加熱部11、またはフィルターケース12などは、省略されてもよい。フィルター供給管10が省略され、ポンプ6が加湿フィルター4の上部に設けられ、タンク3の内部の水がポンプ6から加湿フィルター4に直接供給されてもよい。加湿器1は、加湿を行わず送風のみを行う送風モードでの運転を操作表示部13にてさらに受け付けてもよい。この場合、加湿器1は、加湿器1は、ポンプ6を駆動せずに送風部5の羽根51を回転させてもよい。加湿器1は、加湿機能を有する暖房器具などに搭載されてもよい。
【0064】
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
1 加湿器(加湿器の一例)
2 筐体(筐体の一例)
3 タンク(タンクの一例)
4 加湿フィルター(加湿フィルターの一例)
5 送風部(送風部の一例)
6 ポンプ(ポンプの一例)
7 ポンプ供給管(ポンプ供給管の一例)
8 フィルター用還流部(フィルター用還流部の一例)
9 送風部用還流部(送風部用還流部の一例)
10 フィルター供給管(フィルター供給管の一例)
11 加熱部(加熱部の一例)
12 フィルターケース
13 操作表示部
21 筐体の吸込口(吸込口の一例)
22 筐体の送風口(送風口の一例)
23 筐体のベース部
24 筐体のベース部突起
25 筐体の右側面
31 タンクの把手
51 送風部の羽根
52 送風部の羽根ケース
53 送風部のモーター
54 送風部の回転軸
81 フィルター用還流部のフィルター用水受部(フィルター用水受部の一例)
82,83 フィルター用還流部の還流管(フィルター用還流管の一例)
91 送風部用還流部の送風部用水受部(送風部用水受部の一例)
92~94 送風部用還流部の還流管(送風部用還流管の一例)
101 フィルター供給管の縦供給管
102 フィルター供給管の横供給管
103 フィルター供給管の吹出口(吹出口の一例)
131 操作表示部の操作部
132 操作表示部の表示部
521,522 羽根ケースの開口
811 フィルター用水受部の開口
911 送風部用水受部の開口