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  • 特開-制御装置、移動体および制御方法 図1
  • 特開-制御装置、移動体および制御方法 図2
  • 特開-制御装置、移動体および制御方法 図3A
  • 特開-制御装置、移動体および制御方法 図3B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173636
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】制御装置、移動体および制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/85 20240101AFI20241205BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20241205BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20241205BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241205BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241205BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20241205BHJP
   B60W 50/04 20060101ALI20241205BHJP
   B62D 65/18 20060101ALI20241205BHJP
   G05D 1/43 20240101ALN20241205BHJP
   G05D 1/249 20240101ALN20241205BHJP
   G05D 1/225 20240101ALN20241205BHJP
【FI】
G05D1/85
B60W60/00
B60W30/10
G08G1/00 X
G08G1/09 V
B60W40/02
B60W50/04
B62D65/18 Z
G05D1/43
G05D1/249
G05D1/225
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024005278
(22)【出願日】2024-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2023089963
(32)【優先日】2023-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 豪
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 典継
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 義徳
(72)【発明者】
【氏名】狩野 岳史
(72)【発明者】
【氏名】岡元 裕生
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
【テーマコード(参考)】
3D114
3D241
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
3D114AA18
3D114GA01
3D114GA13
3D114JA04
3D241BA00
3D241BA11
3D241BB00
3D241BC01
3D241BC02
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE06
3D241DB01Z
3D241DB05Z
3D241DB13Z
3D241DB15Z
3D241DB16Z
5H181AA27
5H181BB04
5H181BB08
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF27
5H181LL09
5H301AA01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD05
5H301DD15
5H301FF05
5H301FF15
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】意図しない対象に遠隔制御が継続されることを抑制する。
【解決手段】制御装置は、無人運転により移動可能な移動体に搭載されており移動体の外部に位置している目印を検出する検出器の検出結果を取得する検出結果取得部と、検出器により検出されるべき目印を決定する決定部と、移動体を無人運転により移動させる制御部であって、検出器により検出されるべき目印が検出結果に含まれていた場合と含まれていなかった場合とで移動体の移動に関する処理を異ならせる制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置であって、
無人運転により移動可能な移動体に搭載されており前記移動体の外部に位置している目印を検出する検出器の検出結果を取得する取得部と、
前記検出器により検出されるべき目印を決定する決定部と、
前記移動体を無人運転により移動させる制御部であって、前記検出器により検出されるべき目印が前記検出結果に含まれていた場合と含まれていなかった場合とで前記移動体の移動に関する処理を異ならせる制御部と、
を備える、制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記制御部は、前記検出器により検出されるべき目印が前記検出結果に含まれていなかった場合には、異常が発生したことを報知する処理と、前記移動体の速度を変更する処理と、前記移動体の制御を停止する処理とのうちの少なくとも1つの処理を実行する、制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記検出器は、カメラであり、
前記目印は、二次元コードである、制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記決定部は、前記移動体の位置を示す情報として用いられる位置情報と、前記目印の位置を示す位置情報とを用いて、前記検出器により検出されるべき目印を決定する、制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記目印は、前記移動体の外部に位置している投影装置により投影される投影像であり、
前記投影装置を制御する投影制御部をさらに備える、制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記決定部は、前記検出器により検出されるべき目印、および、前記目印が検出されるべき前記移動体に対する方角を決定し、
前記制御部は、前記検出器により検出されるべき目印が前記検出結果に含まれており、かつ、前記検出器により検出されるべき目印が検出されるべき方角に位置しているか否かに応じて、前記移動体の移動に関する処理を異ならせる、制御装置。
【請求項7】
無人運転により移動可能な移動体であって、
前記移動体の外部に位置している目印を検出する検出器と、
前記移動体の外部から前記移動体を制御する制御装置により決定された前記検出器により検出されるべき目印の情報を取得する取得部と、
前記制御装置から送信される指令に応じて前記移動体を移動させる制御部であって、前記検出器により検出されるべき目印が前記検出器の検出結果に含まれていた場合と含まれていなかった場合とで前記移動体の移動に関する処理を異ならせる制御部と、
を備える、移動体。
【請求項8】
無人運転により移動可能な移動体であって、
前記移動体の外部に位置している目印を検出する検出器と、
前記検出器により検出されるべき目印を決定する決定部と、
前記移動体を無人運転により移動させる制御部であって、前記検出器により検出されるべき目印が前記検出器の検出結果に含まれていた場合と含まれていなかった場合とで前記移動体の移動に関する処理を異ならせる制御部と、
を備える、移動体。
【請求項9】
制御方法であって、
無人運転により移動可能な移動体に搭載されており前記移動体の外部に位置している目印を検出する検出器の検出結果を取得し、
前記検出器により検出されるべき目印を決定し、
前記検出器により検出されるべき目印が前記検出結果に含まれていた場合と含まれていなかった場合とで前記移動体の移動に関する処理を異ならせる、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、移動体および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のワイパー等を遠隔制御により動かすための指令を送信し、指令に応じて車両のワイパー等が動くか否かを観察することにより、意図した車両を制御しているか否かを確認する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10532771号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術では、対象の車両と対象でない車両とが同時期に同じ動作を実行した場合に、意図した対象を制御しているか否かの判定に誤りが生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の第1の形態によれば、制御装置が提供される。この制御装置は、無人運転により移動可能な移動体に搭載されており前記移動体の外部に位置している目印を検出する検出器の検出結果を取得する取得部と、前記検出器により検出されるべき目印を決定する決定部と、前記移動体を無人運転により移動させる制御部であって、前記検出器により検出されるべき目印が前記検出結果に含まれていた場合と含まれていなかった場合とで前記移動体の移動に関する処理を異ならせる制御部と、を備える。
この形態の制御装置によれば、意図した対象を制御しているか否かの判定に誤りが生じることを抑制できる。
(2)上記形態の制御装置において、前記制御部は、前記検出器により検出されるべき目印が前記検出結果に含まれていなかった場合には、異常が発生したことを報知する処理と、前記移動体の速度を変更する処理と、前記移動体の制御を停止する処理とのうちの少なくとも1つの処理を実行してもよい。
この形態の制御装置によれば、意図しない移動体が移動することを抑制できる。
(3)上記形態の制御装置において、前記検出器は、カメラであり、前記目印は、二次元コードであってもよい。
この形態の制御装置によれば、カメラによる二次元コードの検出結果を用いて、意図した対象を制御しているか否かの判定することができる。
(4)上記形態の制御装置において、前記決定部は、前記移動体の位置を示す情報として用いられる位置情報と、前記目印の位置を示す位置情報とを用いて、前記検出器により検出されるべき目印を決定してもよい。
この形態の制御装置によれば、検出器により検出される目印を精度良く推定することができる。
(5)上記形態の制御装置において、前記目印は、前記移動体の外部に位置している投影装置により投影される投影像であってもよく、制御装置は、前記投影装置を制御する投影制御部をさらに備えてもよい。
この形態の制御装置によれば、投影装置により投影される投影像を目印として用いることができる。
(6)上記形態の制御装置において、前記決定部は、前記検出器により検出されるべき目印、および、前記目印が検出されるべき前記移動体に対する方角を決定し、前記制御部は、前記検出器により検出されるべき目印が前記検出結果に含まれており、かつ、前記検出器により検出されるべき目印が検出されるべき方角に位置しているか否かに応じて、前記移動体の移動に関する処理を異ならせてもよい。
この形態の制御装置によれば、意図した対象を制御しているか否かをより精度良く判定できる。
(7)本開示の第2の形態によれば、無人運転により移動可能な移動体が提供される。この移動体は、前記移動体の外部に位置している目印を検出する検出器と、前記移動体の外部から前記移動体を制御する制御装置により決定された前記検出器により検出されるべき目印の情報を取得する取得部と、前記制御装置から送信される指令に応じて前記移動体を移動させる制御部であって、前記検出器により検出されるべき目印が前記検出器の検出結果に含まれていた場合と含まれていなかった場合とで前記移動体の移動に関する処理を異ならせる制御部と、を備える。
この形態の移動体によれば、意図した対象を制御しているか否かの判定に誤りが生じることを抑制できる。
(8)本開示の第3の形態によれば、無人運転により移動可能な移動体が提供される。この移動体は、前記移動体の外部に位置している目印を検出する検出器と、前記検出器により検出されるべき目印を決定する決定部と、前記移動体を無人運転により移動させる制御部であって、前記検出器により検出されるべき目印が前記検出器の検出結果に含まれていた場合と含まれていなかった場合とで前記移動体の移動に関する処理を異ならせる制御部と、を備える。
この形態の移動体によれば、意図した対象を制御しているか否かの判定に誤りが生じることを抑制できる。
(9)本開示の第4の形態によれば、制御方法が提供される。この制御方法は、無人運転により移動可能な移動体に搭載されており前記移動体の外部に位置している目印を検出する検出器の検出結果を取得し、前記検出器により検出されるべき目印を決定し、前記検出器により検出されるべき目印が前記検出結果に含まれていた場合と含まれていなかった場合とで前記移動体の移動に関する処理を異ならせる。
この形態の制御方法によれば、意図した対象を制御しているか否かの判定に誤りが生じることを抑制できる。
本開示は、制御装置、移動体、および、制御方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、無人運転システム、コンピュータプログラム、および、コンピュータプログラムが記録された記録媒体などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の無人運転システムの構成を示す説明図。
図2】第1実施形態の車両の構成を示す説明図。
図3A】工場において遠隔制御により車両が移動する様子を示す説明図。
図3B】第1実施形態の車両の走行制御の処理手順を示すフローチャート。
図4】第1実施形態の確認処理の内容を示すフローチャート。
図5】第1実施形態の検出処理の内容を示すフローチャート。
図6】遠隔制御対象を確認する様子を示す説明図。
図7】第2実施形態の無人運転システムの構成を示す説明図。
図8】第3実施形態の無人運転システムの構成を示す説明図。
図9】第3実施形態の車両の構成を示す説明図。
図10】第3実施形態の確認処理の内容を示すフローチャート。
図11】第3実施形態の検出処理の内容を示すフローチャート。
図12】第4実施形態の無人運転システムの構成を示す説明図。
図13】第4実施形態の車両の構成を示す説明図。
図14】第4実施形態の車両の走行制御の処理手順を示すフローチャート。
図15】第4実施形態の確認処理の内容を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における無人運転システム10の構成を示す説明図である。図2は、第1実施形態における車両100の構成を示す説明図である。無人運転システム10は、移動体を無人運転により移動させるために用いられる。本実施形態では、無人運転システム10は、移動体を製造する工場において、移動体を無人運転により移動させるために用いられる。なお、無人運転システム10は、移動体を製造する工場ではなく、例えば、商業施設や大学や公園などにおいて、移動体を無人運転により移動させるために用いられてもよい。
【0009】
本開示において、「移動体」は、移動し得る物体を意味し、例えば、車両や電動垂直離着陸機(いわゆる空飛ぶ自動車)である。車両は、車輪によって走行する車両であっても無限軌道によって走行する車両であってもよく、例えば、乗用車、トラック、バス、二輪車、四輪車、戦車、工事用車両などである。車両は、電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)、ガソリン自動車、ハイブリッド自動車、ならびに燃料電池自動車を含む。移動体が車両以外である場合には、本開示における「車両」や「車」との表現を、適宜に「移動体」に置き換えることができ、「走行」との表現を、適宜に「移動」に置き換えることができる。
【0010】
車両100は、無人運転により走行可能に構成されている。「無人運転」とは、搭乗者の走行操作によらない運転を意味する。走行操作とは、車両100の「走る」、「曲がる」、「止まる」の少なくともいずれかに関する操作を意味する。無人運転は、車両100の外部に位置する装置を用いた自動または手動の遠隔制御によって、あるいは、車両100の自律制御によって実現される。無人運転によって走行している車両100には、走行操作を行わない搭乗者が搭乗していてもよい。走行操作を行わない搭乗者には、例えば、単に車両100の座席に着座している人や、組み付け、検査、スイッチ類の操作といった走行操作とは異なる作業を車両100に乗りながら行っている人が含まれる。なお、搭乗者の走行操作による運転は、「有人運転」と呼ばれることがある。
【0011】
本明細書において、「遠隔制御」は、車両100の外部から車両100の動作の全てが完全に決定される「完全遠隔制御」と、車両100の外部から車両100の動作の一部が決定される「部分遠隔制御」とを含む。また、「自律制御」は、車両100の外部の装置から一切の情報を受信することなく車両100が自身の動作を自律的に制御する「完全自律制御」と、車両100の外部の装置から受信した情報を用いて車両100が自身の動作を自律的に制御する「部分自律制御」とを含む。
【0012】
図1に示すように、本実施形態では、無人運転システム10は、少なくとも1つの車両100と、車両100を遠隔制御する遠隔制御装置200と、工場において異常が発生したこと報知するための報知装置300と、工場における車両100の製造工程を管理するための工程管理装置400と、少なくとも1つの外部センサ500とを備えている。なお、遠隔制御装置200のことを単に制御装置と呼ぶことがある。本実施形態では、遠隔制御装置200が本開示の「制御装置」に相当する。
【0013】
図2に示すように、本実施形態では、車両100は、遠隔制御により移動可能に構成された電気自動車である。車両100は、車両100の各部を制御するための車両制御装置110と、車両100を加速させるための駆動装置120と、車両100の進行方向を変更するための操舵装置130と、車両100を減速させるための制動装置140と、無線通信により遠隔制御装置200と通信するための通信装置150と、車両100の外部に位置している目印LMを検出するためのカメラ160とを備えている。駆動装置120には、バッテリ、バッテリの電力により駆動するモータ、および、モータにより回転する駆動輪が含まれている。なお、カメラ160のことを検出器と呼ぶことがある。
【0014】
車両制御装置110は、プロセッサ111と、メモリ112と、入出力インタフェース113と、内部バス114とを備えるコンピュータにより構成されている。プロセッサ111、メモリ112、および、入出力インタフェース113は、内部バス114を介して、双方向に通信可能に接続されている。入出力インタフェース113には、駆動装置120、操舵装置130、制動装置140、通信装置150、カメラ160が接続されている。メモリ112には、コンピュータプログラムPG1が記憶されている。
【0015】
プロセッサ111は、コンピュータプログラムPG1を実行することにより、車両制御部115、および、カメラ制御部116として機能する。車両制御部115は、駆動装置120と操舵装置130と制動装置140とを制御する。車両制御部115は、車両100に運転者が搭乗している場合には、運転者の操作に応じて駆動装置120と操舵装置130と制動装置140とを制御することにより、車両100を走行させることができる。車両制御部115は、車両100に運転者が搭乗しているか否かにかかわらず、遠隔制御装置200から供給される遠隔制御指令に応じて駆動装置120と操舵装置130と制動装置140とを制御することにより、車両100を走行させることができる。カメラ制御部116は、カメラ160を制御する。カメラ制御部116は、カメラ160による目印LMの検出を実行し、目印LMの検出結果を遠隔制御装置200に送信する。
【0016】
図1に示すように、遠隔制御装置200は、プロセッサ201と、メモリ202と、入出力インタフェース203と、内部バス204とを備えるコンピュータにより構成されている。プロセッサ201、メモリ202、および、入出力インタフェース203は、内部バス204を介して、双方向に通信可能に接続されている。入出力インタフェース203には、無線通信により車両100と通信するための通信装置205が接続されている。本実施形態では、通信装置205は、有線通信あるいは無線通信により報知装置300、工程管理装置400、および、外部センサ500とも通信することができる。メモリ202には、コンピュータプログラムPG2、および、データベースDBが記憶されている。
【0017】
データベースDBには、工場内の目印LMに関する情報が記録されている。本実施形態では、目印LMは、工場内の設備に付されている二次元コードである。より具体的には、目印LMは、工場内の設備に付されているQRコード(登録商標)である。データベースDBには、二次元コードの位置情報、および、二次元コードの内容が記録されている。なお、目印LMは、例えば、DataMatrixやPDF417などのQRコード以外の二次元コードでもよいし、バーコードでもよい。
【0018】
プロセッサ201は、コンピュータプログラムPG2を実行することにより、遠隔制御部210、取得部220、決定部230、および、判定部240として機能する。遠隔制御部210は、車両100を遠隔制御することにより、車両100を走行させる。遠隔制御部210は、車両100を遠隔制御することにより、カメラ160による目印LMの検出、および、目印LMの検出結果の送信を実行させる。取得部220は、車両100から送信された検出結果を取得する。カメラ160による検出結果は、カメラ160から出力される映像であってもよい。映像は、静止画であっても動画であってもよい。カメラ160による検出結果は、カメラ160から出力された映像から読み取られた二次元バーコードの内容であってもよい。決定部230は、カメラ160により検出されるべき目印LMを決定する。判定部240は、カメラ160により検出されるべき目印LMがカメラ160による検出結果に含まれているか否かを判定する。カメラ160による検出結果が映像である場合には、判定部240は、映像を解析することにより、検出されるべき目印LMが検出結果に含まれているか否かを判定する。カメラ160による検出結果が二次元バーコードの内容である場合には、判定部240は、検出されるべき二次元バーコードの内容と検出結果とを比較することにより、検出されるべき目印LMが検出結果に含まれているか否かを判定する。なお、遠隔制御部210のことを単に制御部と呼ぶことがある。
【0019】
報知装置300は、無人運転システム10の管理者や工場の作業員に、工場において異常が発生したことを報知するための装置である。以下の説明では、無人運転システム10の管理者や工場の作業員のことを管理者等と呼ぶ。報知装置300は、例えば、工場に設けられている警告ブザーや、工場に設けられている警告ランプである。報知装置300は、管理者等により携帯されるタブレット端末であってもよい。報知装置300は、図示されていない通信装置を備えており、有線通信あるいは無線通信により遠隔制御装置200と通信することができる。
【0020】
工程管理装置400は、工場における車両100の製造工程を管理するための装置である。工程管理装置400は、コンピュータにより構成されている。工程管理装置400は、図示されていない通信装置を備えており、有線通信あるいは無線通信により遠隔制御装置200、および、工場の各種設備と通信することができる。工程管理装置400は、例えば、いつ、どこで、誰が、どの車両100に、何の作業を実施する予定であるかを示す情報と、いつ、どこで、誰が、どの車両100に、何の作業を実施したかを示す情報とを管理する。
【0021】
外部センサ500は、車両100の外部に配置されているセンサである。外部センサ500は、車両100の位置および向きを検出するために用いられる。本実施形態では、外部センサ500は、工場に設置されているカメラである。外部センサ500は、図示されていない通信装置を備えており、有線通信あるいは無線通信により遠隔制御装置200と通信する。
【0022】
図3Aは、工場KJにおいて車両100が遠隔制御により移動する様子を示す説明図である。図3Aには、5台の車両100A~100Eが図示されている。以下の説明では、5台の車両100A~100Eを特に区別せずに説明する場合には、単に車両100と呼ぶ。本実施形態では、工場KJは、車両100の組み立てを実施するための第1場所PL1と、車両100の検査を実施するための第2場所PL2と、検査に合格した車両100を保管するための第3場所PL3とを備えている。第1場所PL1、第2場所PL2、および、第3場所PL3は、車両100が走行可能な走行路SRによって接続されている。
【0023】
第1場所PL1には目印LM1が設けられており、第2場所PL2には目印LM2が設けられている。上述した通り、本実施形態では、各目印LM1,LM2は、二次元コードである。目印LM1である二次元コードの内容、および、目印LM2である二次元コードの内容は互いに異なる。以下の説明では、目印LM1と目印LM2とを特に区別せずに説明する場合には、単に目印LMと呼ぶ。
【0024】
第1場所PL1において組み立てられた車両100には、車両制御装置110と駆動装置120と操舵装置130と制動装置140と通信装置150とカメラ160とが装着されている。第1場所PL1において組み立てられた車両100は、遠隔制御装置200に遠隔制御されることにより第1場所PL1から第2場所PL2まで走行する。第2場所PL2における検査に合格した車両100は、遠隔制御装置200に遠隔制御されることにより第2場所PL2から第3場所PL3まで走行する。その後、車両100は、工場KJから出荷される。
【0025】
遠隔制御部210が遠隔制御により車両100を移動させる方法について説明する。遠隔制御部210は、車両100が走行路SRを通って目的地まで走行するための目標ルートを決定する。ここでいう目標ルートとは、後述する参照経路RRのことである。走行路SRの周囲には、複数の外部センサ500が設置されている。本実施形態では、外部センサ500は、カメラである。遠隔制御部210は、外部センサ500であるカメラにより撮影された映像を解析することにより、リアルタイムで、目標ルートに対する車両100の相対的な位置および向きを取得することができる。工場KJ内の任意の位置は、グローバル座標系GCのX,Y,Z座標で表現することができる。個々の外部センサ500の位置は固定されており、グローバル座標系GCと個々の外部センサ500の装置座標系との相対関係は既知であり、グローバル座標系GCの座標と個々の外部センサ500の装置座標系の座標とを相互に変換するための座標変換行列も既知である。遠隔制御部210は、車両100を目標ルートに沿って走行させるための遠隔制御指令を生成し、遠隔制御指令を車両100に送信する。ここでいう遠隔制御指令とは、後述する走行制御信号のことである。車両100に搭載されている車両制御装置110は、受信した遠隔制御指令に従って駆動装置120と操舵装置130と制動装置140とを制御することにより、車両100を走行させる。したがって、クレーンやコンベアなどの搬送装置を用いずに、車両100を移動させることができる。遠隔制御指令には、例えば、車両100の加速度の目標値や操舵角の目標値が示されている。なお、遠隔制御指令には、車両100の目標ルートが示されていてもよい。この場合、車両制御部115が目標ルートから車両100の加速度の目標値や操舵角の目標値を決定してもよい。遠隔制御部210は、複数の車両100A~100Eを遠隔制御することができる。具体的には、遠隔制御部210は、複数の車両100A~100Eのそれぞれを遠隔制御するための遠隔制御指令を生成する。遠隔制御部210は、入出力インタフェース203および通信装置205を介して、複数の車両100A~100Eのそれぞれに対して、複数の車両100A~100Eのそれぞれに対応する遠隔制御指令を送信する。遠隔制御部210は、複数の車両100A~100Eを1つずつ順番に遠隔制御してもよいし、複数の車両100A~100Eを同時並列的に遠隔制御してもよい。
【0026】
図3Bは、第1実施形態における車両100の走行制御の処理手順を示すフローチャートである。ステップS1からステップS4までは、遠隔制御装置200のプロセッサ201により繰り返し実行され、ステップS5からステップS6までは、車両制御装置110のプロセッサ111により繰り返し実行される。ステップS1にて、遠隔制御装置200は、外部センサ500から出力される検出結果を用いて、車両位置情報を取得する。車両位置情報は、走行制御信号を生成する基礎となる位置情報である。本実施形態では、車両位置情報には、工場KJの基準座標系における車両100の位置および向きが含まれている。本実施形態では、工場KJの基準座標系は、グローバル座標系GCであり、工場KJ内の任意の位置は、グローバル座標系GCにおけるX,Y,Zの座標で表現される。本実施形態では、外部センサ500は、カメラであり、外部センサ500からは、検出結果として撮像画像が出力される。すなわち、ステップS1にて、遠隔制御装置200は、外部センサ500であるカメラから取得した撮像画像を用いて、車両位置情報を取得する。
【0027】
詳細には、ステップS1では、遠隔制御装置200は、例えば、撮像画像から車両100の外形を検出し、カメラの座標系、すなわち、ローカル座標系における車両100の測位点の座標を算出し、算出された座標をグローバル座標系GCにおける座標に変換することによって、車両100の位置を取得する。撮像画像に含まれる車両100の外形は、例えば、人工知能を活用した検出モデルDMに撮像画像を入力することで検出できる。検出モデルDMは、例えば、無人運転システム10内や無人運転システム10外で準備され、遠隔制御装置200のメモリ202に予め記憶される。検出モデルDMとしては、例えば、セマンティックセグメンテーションとインスタンスセグメンテーションとのいずれかを実現するように学習させた学習済みの機械学習モデルが挙げられる。この機械学習モデルとしては、例えば、学習用データセットを用いた教師あり学習によって学習された畳み込みニューラルネットワーク(以下、CNN)を用いることができる。学習用データセットは、例えば、車両100を含む複数の訓練画像と、訓練画像における各領域が車両100を示す領域と車両100以外を示す領域とのいずれであるかを示すラベルとを有している。CNNの学習時には、バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)により、検出モデルDMによる出力結果とラベルとの誤差を低減するように、CNNのパラメータが更新されることが好ましい。また、遠隔制御装置200は、例えば、オプティカルフロー法を利用して、撮像画像のフレーム間における車両100の特徴点の位置変化から算出された車両100の移動ベクトルの向きに基づいて推定することによって、車両100の向きを取得できる。
【0028】
ステップS2にて、遠隔制御装置200は、車両100が次に向かうべき目標位置を決定する。本実施形態では、目標位置は、グローバル座標系GCにおけるX,Y,Zの座標で表される。遠隔制御装置200のメモリ202には、車両100が走行すべき経路である参照経路RRが予め記憶されている。経路は、出発地を示すノード、通過点を示すノード、目的地を示すノード、および、各ノードを結ぶリンクで表されている。遠隔制御装置200は、車両位置情報と参照経路RRとを用いて、次に車両100が向かうべき目標位置を決定する。遠隔制御装置200は、車両100の現在地よりも先の参照経路RR上に目標位置を決定する。
【0029】
ステップS3にて、遠隔制御装置200は、決定した目標位置に向かって車両100を走行させるための走行制御信号を生成する。本実施形態では、走行制御信号には、車両100の加速度および舵角がパラメータとして含まれている。遠隔制御装置200は、車両100の位置の推移から車両100の走行速度を算出し、算出した走行速度と目標速度とを比較する。遠隔制御装置200は、全体として、走行速度が目標速度よりも低い場合には、車両100が加速するように加速度を決定し、走行速度が目標速度よりも高い場合には、車両100が減速するように加速度を決定する。また、遠隔制御装置200は、車両100が参照経路RR上に位置している場合には、車両100が参照経路RR上から逸脱しないように舵角および加速度を決定し、車両100が参照経路RR上に位置していない場合、換言すれば、車両100が参照経路RR上から逸脱している場合には、車両100が参照経路RR上に復帰するように舵角および加速度を決定する。
【0030】
ステップS4にて、遠隔制御装置200は、生成した走行制御信号を車両100に送信する。遠隔制御装置200は、所定の周期で、車両100の位置の取得、目標位置の決定、走行制御信号の生成、および、走行制御信号の送信などを繰り返す。
【0031】
ステップS5にて、車両制御装置110は、遠隔制御装置200から送信される走行制御信号を受信する。ステップS6にて、車両制御装置110は、受信した走行制御信号を用いて、駆動装置120、操舵装置130、および、制動装置140を制御することにより、走行制御信号に表されている加速度および操舵角で車両100を走行させる。車両制御装置110は、所定の周期で、走行制御信号の受信、および、各種装置120~140の制御を繰り返す。
【0032】
図4は、遠隔制御装置200において実行される確認処理の内容を示すフローチャートである。図5は、車両100において実行される検出処理の内容を示すフローチャートである。図4および図5を用いて、無人運転システム10において実行される車両100の制御方法について説明する。
【0033】
図4に示す確認処理は、遠隔制御装置200において繰り返し実行される。確認処理が開始されると、ステップS110にて、遠隔制御部210は、遠隔制御による移動を開始する予定の車両100があるか否かを判定する。以下の説明では、遠隔制御による移動を開始する予定の車両100のことを対象車両100と呼ぶ。本実施形態では、対象車両100は、工場KJの第1場所PL1に設けられているスタート地点、または、工場KJの第2場所PL2に設けられているスタート地点に、所定の位置および向きで配置される。遠隔制御部210は、第1場所PL1に設けられているスタート地点に車両100が位置していることを示す情報、または、第2場所PL2に設けられているスタート地点に車両100が位置していることを示す情報を工程管理装置400から受信した場合に、対象車両100があると判定する。ステップS110において対象車両100がないと判定された場合には、遠隔制御部210は、ステップS110後の処理をスキップして、確認処理を終了する。
【0034】
ステップS110において対象車両100があると判定された場合には、遠隔制御部210は、ステップS120にて、カメラ160を用いた目印LMの検出を対象車両100に実行させるための遠隔制御指令を対象車両100に送信する。以下の説明では、目印LMの検出を実行させるための遠隔制御指令のことを検出指令と呼ぶ。
【0035】
ステップS130にて、決定部230は、対象車両100のカメラ160により検出されるべき目印LMを決定する。本実施形態では、メモリ202に記憶されているデータベースDBには、各場所PL1,PL2のスタート地点の位置情報、各場所PL1,PL2に設けられている目印LMの位置情報、および、各場所PL1,PL2に設けられている目印LMの内容が記録されている。決定部230は、データベースDBを用いて、対象車両100のカメラ160により検出されるべき目印LMを決定する。なお、ステップS130の処理は、ステップS120の前に実行されてもよいし、ステップS140の後に実行されてもよい。
【0036】
ステップS140にて、取得部220は、対象車両100からカメラ160による検出結果を取得する。ステップS150にて、判定部240は、決定部230により決定された検出されるべき目印LMが検出結果に含まれているか否かを判定する。判定部240は、データベースDBを用いて、検出されるべき目印LMが検出結果に含まれているか否かを判定することができる。
【0037】
ステップS150において検出されるべき目印LMが検出結果に含まれていると判定された場合には、遠隔制御部210は、ステップS160にて、対象車両100の遠隔制御による移動を開始する。その後、遠隔制御装置200は、確認処理を終了する。
【0038】
ステップS150において検出されるべき目印LMが検出結果に含まれていないと判定された場合には、遠隔制御部210は、ステップS165にて、対象車両100の遠隔制御による移動を取り止める。ステップS168にて、遠隔制御部210は、報知装置300を用いて、異常が発生したことの報知を実行する。その後、遠隔制御装置200は、確認処理を終了する。
【0039】
図5に示す検出処理は、対象車両100のカメラ制御部116により繰り返し実行される。検出処理が開始されると、ステップS210にて、カメラ制御部116は、遠隔制御装置200から検出指令を受信したか否かを判定する。ステップS210において遠隔制御装置200から検出指令を受信したと判定されなかった場合には、カメラ制御部116は、ステップS210後の処理をスキップして、検出処理を終了する。
【0040】
ステップS210において遠隔制御装置200から検出指令を受信したと判定された場合には、カメラ制御部116は、ステップS220にて、カメラ160による目印LMの検出を実行する。ステップS230にて、カメラ制御部116は、カメラ160による検出結果を遠隔制御装置200に送信する。その後、カメラ制御部116は、検出処理を終了する。
【0041】
図6は、意図した対象を遠隔制御しているか否かを確認する様子を示す説明図である。第1場所PL1に位置している車両100Aを遠隔制御装置200が遠隔制御により移動させようとしている場合には、確認処理において、遠隔制御装置200から車両100Aに検出指令SSが送信される。遠隔制御装置200は、第1場所PL1に車両100Aが位置していると認識しているため、検出指令SSの送信先から返信される検出結果RTには、第1場所PL1に設けられている目印LM1が検出されるべきであると決定する。検出指令SSの送信先である車両100Aにおける検出処理により、車両100Aから遠隔制御装置200に、目印LM1が検出されたことを示す検出結果RTが送信される。したがって、意図した対象を遠隔制御している場合には、検出されるべき目印LM1が検出結果RTに含まれている。
【0042】
これに対して、第1場所PL1に位置している車両100Aを遠隔制御装置200が遠隔制御により移動させようとしているにもかかわらず、第2場所PL2に位置している車両100Bを遠隔制御装置200が誤って遠隔制御している場合には、確認処理において、車両100Aではなく車両100Bに検出指令SSが送信される。この場合、検出指令SSの送信先である車両100Bにおける検出処理により、車両100Bから遠隔制御装置200に、目印LM2が検出されたことを示す検出結果RTが送信される。第1場所PL1に位置している車両100Aを遠隔制御装置200が遠隔制御により移動させようとしているにもかかわらず、第2場所PL2に位置している車両100Bを遠隔制御装置200が誤って遠隔制御している場合には、確認処理において、車両100Aではなく車両100Cに検出指令SSが送信される。この場合、検出指令SSの送信先である車両100Cにおける検出処理により、車両100Cから遠隔制御装置200に、目印LMが検出されなかったことを示す検出結果RTが送信される。したがって、意図しない対象を遠隔制御している場合には、検出されるべき目印LM1が検出結果RTに含まれていない。
【0043】
以上で説明した本実施形態における無人運転システム10によれば、遠隔制御装置200は、検出されるべき目印LMが検出結果RTに含まれていると判定された場合には、対象車両100の遠隔制御による移動を開始させ、検出されるべき目印LMが検出結果RTに含まれていないと判定された場合には、対象車両100の遠隔制御による移動を取り止める。すなわち、遠隔制御装置200は、意図した車両100を遠隔制御しているか否かを確認した後、対象車両100の遠隔制御による移動を開始させる。したがって、意図しない車両100が遠隔制御により移動することを抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態では、遠隔制御装置200は、検出されるべき目印LMが検出結果RTに含まれていないと判定された場合には、報知装置300を用いて、異常が発生したことを管理者等に報知する。したがって、管理者等は、異常が発生したことを早期に把握し、対応を講じることができる。
【0045】
また、遠隔制御装置200が複数の車両100を遠隔制御する場合には、通信装置205から制御指令が当該制御指令と対応しない車両100に送信され得る。ここで、通信装置205から制御指令が当該制御指令と対応しない車両100に送信されるとは、複数の車両100のうちの一の車両100を遠隔制御するために生成された制御指令が、通信装置205から、当該一の車両100以外の他の車両100に送信されることを意味する。このような事象のことを、遠隔制御対象の車両100の取り違いと呼ぶことがある。遠隔制御装置200が複数の車両100を遠隔制御する場合、無人運転システム10の不具合や工場の作業員のヒューマンエラーなどにより、遠隔制御対象の車両100の取り違いが生じる可能性がある。例えば、図3に示したように、遠隔制御装置200が5台の車両100A~100Eを、車両100E、車両100D、車両100C、車両100B、車両100Aの順に遠隔制御する場合に、通信装置205から制御指令が当該制御指令と対応しない車両100に送信され得る。具体的には、遠隔制御装置200による車両100Cの遠隔制御が終了した後、車両100Cから取り外された通信装置150が車両100Bに装着される予定であったにもかかわらず、車両100Cから取り外された通信装置150が誤って車両100Aに装着されると、車両100Bを遠隔制御するために生成した制御指令が車両100Aに送信される。このような場合であっても、本実施形態では、車両100Bに搭載されているカメラ160により検出されるべき目印LMが検出されたか否かを判定することにより、通信装置205から制御指令が当該制御指令と対応しない車両100に送信されたことを検出することができる。そのため、誤って車両100Aに装着されている通信装置150を車両100Aから取り外して車両100Bに装着し、車両100Bの遠隔制御を開始することが可能になる。
【0046】
B.第2実施形態:
図7は、第2実施形態における無人運転システム10bの構成を示す説明図である。第2実施形態における無人運転システム10bは、目印LMとして用いられる二次元コードの映像を投影するための投影装置600を備えていることが第1実施形態とは異なる。その他の構成については、特に説明しない限り第1実施形態と同じである。なお、本実施形態では、遠隔制御装置200が本開示の「制御装置」に相当する。
【0047】
投影装置600は、例えば、工場KJの壁面あるいは天上面に固定されており、工場KJの壁面あるいは床面に、二次元コードの映像を投影する。本実施形態では、投影装置600は、第1場所PL1と第2場所PL2とに設けられている。第1場所PL1に設けられている投影装置600は、目印LM1として用いられる二次元コードの映像を投影し、第2場所PL2に設けられている投影装置600は、目印LM2として用いられる二次元コードの映像を投影する。なお、投影装置600により投影された映像のことを投影像と呼ぶことがある。
【0048】
本実施形態では、遠隔制御装置200のプロセッサ201は、メモリ202に予め記憶されているコンピュータプログラムPG2を実行することにより、遠隔制御部210、取得部220、決定部230、および、判定部240として機能し、さらに、投影制御部250として機能する。投影制御部250は、投影装置600を制御する。投影制御部250は、対象車両100における検出処理が実行されている間、投影装置600に二次元コードの映像を投影させる。
【0049】
以上で説明した本実施形態における無人運転システム10bによれば、工場KJの壁面や床面に目印LMとしての二次元コードを貼り付けなくても、工場KJの壁面や床面に目印LMとしての二次元コードを表示させることができる。したがって、二次元コードの貼り付けが困難な場所であっても、二次元コードの表示が可能になる。
【0050】
C.第3実施形態:
図8は、第3実施形態における無人運転システム10cの構成を示す説明図である。図9は、第3実施形態における車両100の構成を示す説明図である。第3実施形態の無人運転システム10cでは、検出されるべき目印LMが検出結果に含まれているか否かの判定が車両100上において実行されることが第1実施形態とは異なる。その他の構成については、特に説明しない限り第1実施形態と同じである。なお、本実施形態では、遠隔制御装置200が本開示の「制御装置」に相当する。
【0051】
図8に示すように、本実施形態では、遠隔制御装置200のプロセッサ201は、メモリ202に予め記憶されているコンピュータプログラムPG2を実行することにより、遠隔制御部210および決定部230として機能する。本実施形態では、遠隔制御装置200は、取得部220および判定部240を備えていない。
【0052】
図9に示すように、本実施形態では、車両制御装置110のプロセッサ111は、メモリ112に予め記憶されているコンピュータプログラムPG2を実行することにより、車両制御部115およびカメラ制御部116として機能し、さらに、取得部117および判定部119として機能する。取得部117は、検出されるべき目印LMに関する情報を遠隔制御装置200から取得する。判定部119は、カメラ160により検出されるべき目印LMがカメラ160による検出結果に含まれているか否かを判定する。
【0053】
図10は、第3実施形態における確認処理の内容を示すフローチャートである。図11は、第3実施形態における検出処理の内容を示すフローチャートである。図10に示す確認処理は、遠隔制御装置200において繰り返し実行される。確認処理が開始されると、ステップS310にて、遠隔制御部210は、遠隔制御による移動を開始する予定の車両100、換言すれば、対象車両100があるか否かを判定する。ステップS310において対象車両100がないと判定された場合には、遠隔制御部210は、ステップS310後の処理をスキップして、確認処理を終了する。
【0054】
ステップS310において対象車両100があると判定された場合には、ステップS320にて、決定部230は、第1実施形態と同様に、対象車両100のカメラ160により検出されるべき目印LMを決定する。ステップS330にて、遠隔制御部210は、検出指令および検出されるべき目印LMに関する情報を対象車両100に送信する。その後、遠隔制御装置200は、確認処理を終了する。
【0055】
図11に示す検出処理は、車両制御装置110において繰り返し実行される。検出処理が開始されると、ステップS410にて、取得部117は、遠隔制御装置200から検出指令および検出されるべき目印LMに関する情報を受信したか否かを判定する。ステップS410において遠隔制御装置200から検出指令を受信したと判定されなかった場合には、カメラ制御部116は、ステップS410後の処理をスキップして、検出処理を終了する。
【0056】
ステップS410において遠隔制御装置200から検出指令を受信したと判定された場合には、カメラ制御部116は、ステップS420にて、カメラ160による目印LMの検出を実行する。ステップS430にて、判定部119は、遠隔制御装置200から受信した検出されるべき目印LMに関する情報を用いて、カメラ160による目印LMの検出結果に検出されるべき目印LMが含まれているか否かを判定する。
【0057】
ステップS430において検出されるべき目印LMが検出結果に含まれていると判定された場合には、車両制御部115は、ステップS440にて、車両100の遠隔制御による移動を開始する。ステップS430において検出されるべき目印LMが検出結果に含まれていないと判定された場合には、車両制御部115は、ステップS445にて、車両100の遠隔制御による移動を取り止める。車両制御部115は、例えば、遠隔制御装置200との通信を切断することにより、遠隔制御による移動を取り止める。ステップS448にて、車両制御部115は、報知装置300を用いて、異常が発生したことを報知する。ステップS440またはステップS448の後、車両制御装置110は、検出処理を終了する。
【0058】
以上で説明した本実施形態における無人運転システム10cによれば、遠隔制御装置200上ではなく、車両100上で、遠隔制御装置200が意図した車両100を遠隔制御しているか否かを確認することができる。
【0059】
D.第4実施形態:
図12は、第4実施形態における無人運転システム10dの構成を示す説明図である。第4実施形態では、無人運転システム10dが遠隔制御装置200を備えていないこと、および、車両100が遠隔制御ではなく自律制御により走行することが第1実施形態とは異なる。その他の構成については、特に説明しない限り第1実施形態と同じである。なお、本実施形態では、車両制御装置110が本開示の「制御装置」に相当する。
【0060】
本実施形態では、車両100は、自律制御により走行可能に構成されている。車両100は、通信装置150を用いた無線通信により、報知装置300、工程管理装置400、および、外部センサ500と通信することができる。
【0061】
車両制御装置110のプロセッサ111は、メモリ112に予め記憶されているコンピュータプログラムPG1を実行することにより、車両制御部115およびカメラ制御部116として機能し、さらに、取得部117、決定部118、および、判定部119として機能する。取得部117は、カメラ160による目印LMの検出結果を取得する。決定部118は、カメラ160により検出されるべき目印LMを決定する。判定部119は、カメラ160により検出されるべき目印LMが取得部117により取得された検出結果に含まれているか否かを判定する。本実施形態では、メモリ112には、データベースDB、参照経路RR、および、検出モデルDMが予め記憶されている。なお、車両制御部115のことを単に制御部と呼ぶことがある。
【0062】
図14は、本実施形態における車両100の走行制御の処理手順を示すフローチャートである。ステップS11にて、車両制御部115は、外部センサ500であるカメラから出力される検出結果を用いて車両位置情報を取得する。ステップS21にて、車両制御部115は、車両100が次に向かうべき目標位置を決定する。ステップS31にて、車両制御部115は、決定した目標位置に向かって車両100を走行させるための走行制御信号を生成する。ステップS41にて、車両制御部115は、生成した走行制御信号を用いて、駆動装置120、操舵装置130、および、制動装置140を含む各種装置を制御することにより、走行制御信号に表されているパラメータに従って車両100を走行させる。車両制御部115は、所定の周期で、車両位置情報の取得、目標位置の決定、走行制御信号の生成、および、各種装置120~140の制御を繰り返す。
【0063】
図15は、本実施形態における確認処理の内容を示すフローチャートである。図15に示す確認処理は、車両100の自律制御による移動開始に先立って車両制御装置110により実行される。確認処理が開始されると、ステップS510にて、車両制御部115は、自律制御による移動を開始するか否かを判定する。車両制御部115は、例えば、第1場所PL1のスタート地点または第2場所PL2のスタート地点に自車両が位置していることを示す情報を工程管理装置400から受信した場合に、自律制御による移動を開始すると判定する。ステップS510において自律制御による移動を開始しないと判定された場合には、車両制御部115は、ステップS510後の処理をスキップして、確認処理を終了する。
【0064】
ステップS510において自律制御による移動を開始すると判定された場合には、決定部118は、ステップS520にて、自車両のカメラ160により検出されるべき目印LMを決定する。本実施形態では、メモリ112に記憶されているデータベースDBには、各場所PL1,PL2のスタート地点の位置情報、および、各場所PL1,PL2に設けられている目印LMの位置情報、および、各場所PL1,PL2に設けられている目印LMの内容が記録されている。決定部118は、データベースDBを用いて、自車両のカメラ160により検出されるべき目印LMを決定する。なお、決定部118は、車両制御部115が外部センサ500を用いて取得した自車両の位置情報とデータベースDBとを用いて、カメラ160により検出されるべき目印LMを決定してもよい。
【0065】
ステップS530にて、カメラ制御部116は、カメラ160による目印LMの検出を実行し、取得部117は、カメラ160による目印LMの検出結果を取得する。ステップS540にて、判定部119は、決定部118により決定された目印LM、換言すれば、検出されるべき目印LMがカメラ160により検出されたか否かを判定する。ステップS540において検出されるべき目印LMが検出されたと判定された場合には、車両制御部115は、ステップS550にて、車両100の自律制御による移動を開始する。これに対して、ステップS540において検出されるべき目印LMが検出されなかったと判定された場合には、車両制御部115は、ステップS555にて、車両100の自律制御による移動を取り止める。ステップS558にて、車両制御部115は、報知装置300を用いて、異常が発生したことを報知する。ステップS550またはステップS558の後、車両制御装置110は、確認処理を終了する。
【0066】
以上で説明した本実施形態における無人運転システム10dによれば、車両100を外部から遠隔制御しなくても、車両100の自律制御によって車両100を走行させることができる。また、本実施形態では、車両100は、自車両に搭載されているカメラ160により検出されるべき目印LMが検出されるか否かを確認することにより、自車両の外部から取得される自車両の位置情報が正しいか否かを確認することができる。
【0067】
E.他の実施形態:
(E1)上記第1実施形態から第4実施形態の無人運転システム10~10dでは、確認処理は、無人運転による車両100の移動開始前に実行されている。これに対して、他の実施形態E1では、確認処理は、無人運転による車両100の移動中に実行されてもよい。この場合、無人運転による移動の取り止めには、車両100を無人運転により制動し、車両100を停止させることが含まれてもよい。無人運転による車両100の移動中に実行される確認処理において、検出されるべき目印LMが検出結果に含まれていないと判定された場合に、無人運転による移動を取り止めずに、車両100が停止しない範囲内で車両100を減速させてもよいし、車両100を減速させずに車両100の移動速度の上限値を低くしてもよい。
【0068】
(E2)上記第1実施形態から第4実施形態の無人運転システム10~10dでは、車両100はカメラ160を備えており、カメラ160を用いて目印LMを検出している。これに対して、他の実施形態E2では、車両100は、LiDAR(Light Detection and Ranging)などの目印LMの形状や目印LMとの距離を検出する検出器を備えてもよい。この場合、目印LMの形状や目印LMとの距離を用いて目印LMを識別することができる。また、車両100は、ミリ波レーダや超音波ソナーなどの目印LMとの距離を検出する検出器を備えてもよい。この場合、目印LMとの距離を用いて目印LMを識別することができる。
【0069】
(E3)上記第1実施形態から第4実施形態の無人運転システム10~10dでは、判定部240,119は、確認処理において、検出されるべき目印LMが検出結果に含まれているか否かを判定し、遠隔制御部210または車両制御部115は、判定部240,119の判定結果に応じて、その後の処理の内容を異ならせている。これに対して、他の実施形態E3では、判定部240,119は、検出されるべき目印LMが検出結果に含まれており、かつ、検出されるべき目印LMが検出されるべき方角に検出されたか否かを判定し、遠隔制御部210または車両制御部115は、判定部240,119の判定結果に応じて、その後の処理の内容を異ならせてもよい。この場合、意図した車両100を制御しているか否かを精度良く判定することができる。
【0070】
(E4)上記第1実施形態から第4実施形態の無人運転システム10~10dでは、遠隔制御部210および車両制御部115は、車両100の外部に位置している報知装置300を用いて、異常の発生を報知している。これに対して、他の実施形態E4では、遠隔制御部210は、遠隔制御により車両100のホーンを鳴動させることにより、異常の発生を報知してもよいし、遠隔制御により車両100のヘッドランプを点滅させることにより、異常の発生を報知してもよい。他の実施形態E4では、車両制御部115は、自車両のホーンを鳴動させることにより、異常の発生を報知してもよいし、自車両のヘッドランプを点滅させることにより、異常の発生を報知してもよい。
【0071】
(E5)他の実施形態E5では、上記第4実施形態の車両100に搭載されているカメラ160は、投影装置600により投影された目印LMを検出してもよい。この場合、車両制御装置110には、無線通信により投影装置600を制御する投影制御部が設けられてもよい。
【0072】
(E6)上記第1実施形態から第4実施形態では、外部センサ500は、カメラである。これに対して、他の実施形態E6では、外部センサ500は、カメラでなくてもよく、例えば、LiDAR(Light Detection And Ranging)であってもよい。この場合、外部センサ500から出力される検出結果は、車両100を表す3次元点群データであってもよい。この場合、遠隔制御装置200あるいは車両制御装置110は、検出結果としての3次元点群データと、予め準備された参照用点群データとを用いたテンプレートマッチングによって、車両位置情報を取得してもよい。
【0073】
(E7)上記第1実施形態から第3実施形態では、遠隔制御装置200により車両位置情報の取得から走行制御信号の生成までの処理が実行される。これに対して、他の実施形態E7では、車両100により車両位置情報の取得から走行制御信号の生成までの処理の少なくとも一部が実行されてもよい。例えば、以下の(1)から(3)の形態であってもよい。
【0074】
(1)遠隔制御装置200は、車両位置情報を取得し、車両100が次に向かうべき目標位置を決定し、取得した車両位置情報に表されている車両100の現在地から目標位置までの経路を生成してもよい。遠隔制御装置200は、現在地と目的地との間の目標位置までの経路を生成してもよいし、目的地までの経路を生成してもよい。遠隔制御装置200は、生成した経路を車両100に対して送信してもよい。車両100は、遠隔制御装置200から受信した経路上を車両100が走行するように走行制御信号を生成し、生成した走行制御信号を用いて、駆動装置120、操舵装置130、および、制動装置140を制御してもよい。
【0075】
(2)遠隔制御装置200は、車両位置情報を取得し、取得した車両位置情報を車両100に対して送信してもよい。車両100は、車両100が次に向かうべき目標位置を決定し、受信した車両位置情報に表されている車両100の現在地から目標位置までの経路を生成し、生成した経路上を車両100が走行するように走行制御信号を生成し、生成した走行制御信号を用いて、駆動装置120、操舵装置130、および、制動装置140を制御してもよい。
【0076】
(3)上記(1),(2)の形態において、車両100に内部センサが搭載されており、経路の生成と走行制御信号の生成との少なくとも一方に、内部センサから出力される検出結果が用いられてもよい。内部センサは、車両100に搭載されたセンサである。内部センサには、例えば、車両100の運動状態を検出するセンサや、車両100の各部の動作状態を検出するセンサや、車両100の周囲の環境を検出するセンサが含まれ得る。具体的には、内部センサには、例えば、カメラ、LiDAR、ミリ波レーダ、超音波センサ、GPSセンサ、加速度センサ、ジャイロセンサなどが含まれ得る。例えば、上記(1)の形態において、遠隔制御装置200は、内部センサの検出結果を取得し、経路を生成する際に内部センサの検出結果を経路に反映してもよい。上記(1)の形態において、車両100は、内部センサの検出結果を取得し、走行制御信号を生成する際に内部センサの検出結果を走行制御信号に反映してもよい。上記(2)の形態において、車両100は、内部センサの検出結果を取得し、経路を生成する際に内部センサの検出結果を経路に反映してもよい。上記(2)の形態において、車両100は、内部センサの検出結果を取得し、走行制御信号を生成する際に内部センサの検出結果を走行制御信号に反映してもよい。
【0077】
(E8)上記第4実施形態において、車両100に内部センサが搭載されており、経路の生成と走行制御信号の生成との少なくとも一方に、内部センサから出力される検出結果が用いられてもよい。例えば、他の実施形態E8では、車両100は、内部センサの検出結果を取得し、経路を生成する際に内部センサの検出結果を経路に反映してもよい。車両100は、内部センサの検出結果を取得し、走行制御信号を生成する際に内部センサの検出結果を走行制御信号に反映してもよい。
【0078】
(E9)上記第4実施形態では、車両100は、外部センサ500であるカメラの検出結果を用いて車両位置情報を取得している。これに対して、他の実施形態E9では、車両100に内部センサが搭載されており、車両100は、内部センサの検出結果を用いて車両位置情報を取得し、車両100が次に向かうべき目標位置を決定し、取得した車両位置情報に表されている車両100の現在地から目標位置までの経路を生成し、生成した経路を走行するための走行制御信号を生成し、生成した走行制御信号を用いて、駆動装置120、操舵装置130、および、制動装置140を制御してもよい。この場合、車両100は、外部センサ500の検出結果を一切用いずに走行することができる。なお、車両100は、車両100の外部から目標到着時刻や渋滞情報を取得し、経路と走行制御信号の少なくとも一方に目標到着時刻や渋滞情報を反映させてもよい。
【0079】
(E10)上記第1実施形態から第3実施形態では、遠隔制御装置200は、車両100に対して送信する走行制御信号を自動で生成している。これに対して、他の実施形態E10では、遠隔制御装置200は、車両100の外部に位置している外部オペレータの操作に従って、車両100に対して送信する走行制御信号を生成してもよい。例えば、外部センサ500であるカメラから出力される撮像画像を表示するディスプレイ、車両100を遠隔操作するためのステアリング、アクセルペダル、ブレーキペダル、および、有線通信あるいは無線通信により遠隔制御装置200と通信するための通信装置を備える操縦装置を外部オペレータが操作し、遠隔制御装置200は、操縦装置に加えられた操作に応じた走行制御信号を生成してもよい。この形態において、車両100に搭載されているカメラ160により撮像された目印LMの撮像画像が操縦装置のディスプレイに表示され、オペレータにより目印LMの確認が実施されてもよい。
【0080】
(E11)上記第1実施形態から第4実施形態および他の実施形態E1から他の実施形態E10において、車両100は、無人運転により移動可能な構成を備えていればよく、例えば、以下に述べる構成を備えるプラットフォームの形態であってもよい。具体的には、車両100は、無人運転により「走る」、「曲がる」、「止まる」の3つの機能を発揮するために、少なくとも車両制御装置110、駆動装置120、操舵装置130、および、制動装置140を備えていればよい。無人運転のために車両100が外部から情報を取得する場合に、車両100は、さらに、通信装置150を備えていればよい。すなわち、無人運転により移動可能な車両100は、運転席やダッシュボードなどの内装部品の少なくとも一部が装着されていなくてもよく、バンパーやフェンダーなどの外装部品の少なくとも一部が装着されていなくてもよく、ボディシェルが装着されていなくてもよい。この場合、車両100が工場KJから出荷されるまでの間に、ボディシェル等の残りの部品が車両100に装着されてもよいし、ボディシェル等の残りの部品が車両100に装着されていない状態で、車両100が工場KJから出荷された後にボディシェル等の残りの部品が車両100に装着されてもよい。各部品は、車両100の上側、下側、前側、後側、右側あるいは左側といった任意の方向から装着されてよく、それぞれ同じ方向から装着されてもよいし、それぞれ異なる方向から装着されてもよい。なお、プラットフォームの形態に対しても、第1実施形態における車両100と同様にして位置決定がなされ得る。
【0081】
(E12)車両100は、複数のモジュールを組み合わせることによって製造されてもよい。モジュールは、車両100の部位や機能に応じて纏められた複数の部品によって構成されるユニットを意味する。例えば、車両100のプラットフォームは、プラットフォームの前部を構成する前方モジュールと、プラットフォームの中央部を構成する中央モジュールと、プラットフォームの後部を構成する後方モジュールとを組み合わせることで製造されてもよい。なお、プラットフォームを構成するモジュールの数は、3つに限られず、2つ以下や4つ以上であってもよい。また、プラットフォームを構成する部品に加えて、あるいは、これに代えて、車両100のうちプラットフォームとは異なる部分を構成する部品がモジュール化されてもよい。また、各種モジュールは、バンパーやグリルといった任意の外装部品や、シートやコンソールといった任意の内装部品を含んでいてもよい。また、車両100に限らず、任意の態様の移動体が、複数のモジュールを組み合わせることによって製造されてもよい。こうしたモジュールは、例えば、複数の部品を溶接や固定具等によって接合することで製造されてもよいし、モジュールを構成する部品の少なくとも一部を鋳造によって一の部品として一体的に成型することで製造されてもよい。一の部品、特に比較的大型の部品を一体的に成型する成型手法は、ギガキャストやメガキャストとも呼ばれる。例えば、上記の前方モジュールや中央モジュールや後方モジュールは、ギガキャストを用いて製造されてもよい。
【0082】
(E13)無人運転による車両100の走行を利用して車両100を搬送させることを「自走搬送」とも呼ぶ。また、自走搬送を実現するための構成を、「車両遠隔制御自律走行搬送システム」とも呼ぶ。また、自走搬送を利用して車両100を生産する生産方式のことを「自走生産」とも呼ぶ。自走生産では、例えば、車両100を製造する工場KJにおいて、車両100の搬送の少なくとも一部が、自走搬送によって実現される。
【0083】
(E14)上記各実施形態において、ソフトウェア的に実現される機能及び処理の一部又は全部は、ハードウェア的に実現されてもよい。また、ハードウェア的に実現される機能及び処理の一部又は全部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。上記各実施形態における各種機能を実現するためのハードウェアとしては、例えば、集積回路やディスクリート回路といった各種回路を用いてもよい。
【0084】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
10~10d…無人運転システム、100…車両、110…車両制御装置、111…プロセッサ、112…メモリ、113…入出力インタフェース、114…内部バス、115…車両制御部、116…カメラ制御部、117…取得部、118…決定部、119…判定部、120…駆動装置、130…操舵装置、140…制動装置、150…通信装置、160…カメラ、200…遠隔制御装置、201…プロセッサ、202…メモリ、203…入出力インタフェース、204…内部バス、205…通信装置、210…遠隔制御部、220…取得部、230…決定部、240…判定部、250…投影制御部、300…報知装置、400…工程管理装置、500…外部センサ、600…投影装置
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
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図8
図9
図10
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図15