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特開2024-173640電気化学デバイス用電極、電気化学デバイス、アルカリ水電解装置、および電極の製造方法
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  • 特開-電気化学デバイス用電極、電気化学デバイス、アルカリ水電解装置、および電極の製造方法 図1
  • 特開-電気化学デバイス用電極、電気化学デバイス、アルカリ水電解装置、および電極の製造方法 図2
  • 特開-電気化学デバイス用電極、電気化学デバイス、アルカリ水電解装置、および電極の製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173640
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電気化学デバイス用電極、電気化学デバイス、アルカリ水電解装置、および電極の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C25B 11/077 20210101AFI20241205BHJP
   C25B 11/052 20210101ALI20241205BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20241205BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20241205BHJP
   H01M 4/86 20060101ALI20241205BHJP
   H01M 4/88 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
C25B11/077
C25B11/052
C25B9/00 A
C25B1/04
H01M4/86 B
H01M4/86 M
H01M4/88 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024007344
(22)【出願日】2024-01-22
(31)【優先権主張番号】P 2023088399
(32)【優先日】2023-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100167232
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 みな
(72)【発明者】
【氏名】坂巻 龍之介
(72)【発明者】
【氏名】小塚 久司
(72)【発明者】
【氏名】中西 祐貴
【テーマコード(参考)】
4K011
4K021
5H018
【Fターム(参考)】
4K011AA29
4K011BA06
4K011DA01
4K021AA01
4K021BA02
5H018AA10
5H018BB08
5H018EE02
5H018EE12
5H018EE13
5H018HH03
(57)【要約】
【課題】電気化学デバイス用電極の耐久性を高め、貴金属の使用量を低減あるいは削減可能にする。
【解決手段】電気化学デバイス用電極は、金属系導電基材と、導電基材上に設けられ、導電基材を構成する金属の酸化物を主成分とする第1層と、第1層上に設けられ、導電性酸化物粒子の集合体として形成される第2層と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学デバイス用電極であって、
金属系導電基材と、
前記導電基材上に設けられ、前記導電基材を構成する金属の酸化物を主成分とする第1層と、
前記第1層上に設けられ、導電性酸化物粒子の集合体として形成される第2層と、
を備えることを特徴とする電極。
【請求項2】
請求項1に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記導電基材は、ニッケル含有基材であり、
前記金属の酸化物は、ニッケル酸化物を主成分とすることを特徴とする
電極。
【請求項3】
請求項2に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記第2層は、実質的に前記導電基材に含まれない少なくとも1種の元素を含み、
前記第1層は、ニッケルおよび酸素に加えて、前記第2層に含まれて前記導電基材に含まれない元素のうちの少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする
電極。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記第1層の平均膜厚は、前記第2層の平均膜厚以下であることを特徴とする
電極。
【請求項5】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記導電性酸化物粒子を構成する導電性酸化物は、ペロブスカイト型酸化物およびスピネル型酸化物の少なくとも一方であることを特徴とする
電極。
【請求項6】
請求項5に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記導電性酸化物粒子を構成する導電性酸化物は、La、Mn、Fe、Co、CuおよびNiのうち少なくとも1種以上を含む、ペロブスカイト型酸化物およびスピネル型酸化物の少なくとも一方であることを特徴とする
電極。
【請求項7】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記第2層は、前記第1層よりも粗であることを特徴とする
電極。
【請求項8】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記第2層を構成する前記導電性酸化物粒子が結晶質であることを特徴とする
電極。
【請求項9】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、
酸素発生反応用触媒を担持するための支持体を構成することを特徴とする
電極。
【請求項10】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、さらに、
前記第2層の表面に担持されて電気化学反応を促進する触媒を備えることを特徴とする
電極。
【請求項11】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、さらに、
前記第2層の表面に担持されて酸素発生反応を促進する触媒を備えることを特徴とする
電極。
【請求項12】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極を備えることを特徴とする
電気化学デバイス。
【請求項13】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極を備えることを特徴とする
アルカリ水電解装置。
【請求項14】
電気化学デバイス用電極の製造方法であって、
ニッケル含有基材を用意し、
導電性酸化物粒子を含むスラリーを作製し、
前記ニッケル含有基材の表面を前記スラリーでコートし、
前記スラリーでコートした前記ニッケル含有基材を、酸素含有雰囲気下で加熱して、前記ニッケル含有基材上にニッケル酸化物を主成分とする第1層を形成すると共に、前記第1層上に、前記導電性酸化物粒子の集合体である第2層を形成することを特徴とする
電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気化学デバイス用電極、電気化学デバイス、アルカリ水電解装置、および電極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気化学デバイス用電極として、種々の電極が知られている。例えば、特許文献1では、ニッケルを含有する導電性基体上にリチウム含有ニッケル酸化物触媒層を設けるアルカリ水電解用陽極が開示されている。ここでは、触媒層におけるリチウムとニッケルの比率と、触媒層の形成時においてニッケルを含有する導電性基体上にリチウムイオンを含有する溶液を配置して熱処理する際の熱処理温度と、を調節することにより、電極の耐久性の向上や電極活性の向上を図っている。また、特許文献2では、アルカリ水電解用陽極において、ニッケルを含有する導電性基体の表面に形成した電極触媒層を、ニッケルコバルト系の酸化物から成る第1触媒成分と、特定の貴金属酸化物から成る第2触媒成分と、により構成することで、過電圧の低減を図る構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-86420号公報
【特許文献2】特開2017-190476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の陽極は、900℃から1000℃のような高温での熱処理を必要としているため、ニッケルを含有する導電性基体自体の酸化が進行する可能性があり、基材の変質により電極の耐久性が低下する可能性があった。さらに、熱処理温度が高温であることにより、導電性基体と触媒層との間の熱応力差によって、電極において反りなどの変形が生じ、実用上、問題が生じる可能性があった。また、特許文献2に記載の電極は、イリジウムやルテニウム等の貴金属が必須であるという問題があった。そのため、高温の熱処理に起因する基材の酸化や電極の変形を伴うことなく電極の耐久性を高め、貴金属の使用量を低減あるいは削減可能な技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、電気化学デバイス用電極が提供される。この電気化学デバイス用電極は、金属系導電基材と、前記導電基材上に設けられ、前記導電基材を構成する金属の酸化物を主成分とする第1層と、前記第1層上に設けられ、導電性酸化物粒子の集合体として形成される第2層と、を備える。
この形態の電気化学デバイス用電極によれば、第1層を設けることにより、導電基材を保護して電極の耐久性を高めることができると共に、導電基材を構成する金属の酸化物を主成分とする第1層が、比較的低温の加熱処理により形成可能であるため、電極の製造時の加熱に起因する導電基材の変質を抑制し、電極の耐久性をさらに高めることができる。また、導電性酸化物粒子の集合体として形成される第2層を備えることで、電気化学反応が進行する表面積を、より広く確保して、電極性能を高め、貴金属触媒の使用量を低減あるいは削減することが可能になる。
(2)上記形態の電気化学デバイス用電極において、前記導電基材は、ニッケル含有基材であり、前記金属の酸化物は、ニッケル酸化物を主成分とすることとしてもよい。このような構成とすれば、導電基材としてニッケル含有基材を備える電気化学デバイス用電極において、耐久性を高めると共に電極性能を高め、貴金属触媒の使用量を低減あるいは削減することができる。
(3)上記形態の電気化学デバイス用電極において、前記第2層は、実質的に前記導電基材に含まれない少なくとも1種の元素を含み、前記第1層は、ニッケルおよび酸素に加えて、前記第2層に含まれて前記導電基材に含まれない元素のうちの少なくとも1種をさらに含有することとしてもよい。このような構成とすれば、第1層と第2層とが共通成分を含むことにより、第1層と第2層との密着性を高めることができる。また、第2層中の元素が第1層に添加されることにより、第1層の導電性が高まり、ニッケル酸化物を主成分とする第1層を設けることに起因する電極全体の導電性の低下を抑えることができる。
(4)上記形態の電気化学デバイス用電極において、前記第1層の平均膜厚は、前記第2層の平均膜厚以下であることとしてもよい。このような構成とすれば、第1層を設けることに起因する電極全体の導電性の低下を抑えることができる。また、第2層の厚みを確保することで、電気化学反応が進行する第2層の表面積をより大きくして、電極性能を高めることができる。
(5)上記形態の電気化学デバイス用電極において、前記導電性酸化物粒子を構成する導電性酸化物は、ペロブスカイト型酸化物およびスピネル型酸化物の少なくとも一方であることとしてもよい。このような構成とすれば、ペロブスカイト型酸化物およびスピネル型酸化物の少なくとも一方を含む電極における耐久性および電極性能を向上させることができる。このとき、電極で進行させる反応を促進する触媒活性を有するペロブスカイト型酸化物およびスピネル型酸化物の少なくとも一方を用いることにより、電極性能を向上させる効果、および、貴金属触媒の使用量を低減あるいは削減する効果を、さらに高めることができる。
(6)上記形態の電気化学デバイス用電極において、前記導電性酸化物粒子を構成する導電性酸化物は、La、Mn、Fe、Co、CuおよびNiのうち少なくとも1種以上を含む、ペロブスカイト型酸化物およびスピネル型酸化物の少なくとも一方であることとしてもよい。このような構成とすれば、電極性能を向上させる効果、および、貴金属触媒の使用量を低減あるいは削減する効果を得ることが、さらに容易になる。
(7)上記形態の電気化学デバイス用電極において、前記第2層は、前記第1層よりも粗であることとしてもよい。このような構成とすれば、電気化学反応が進行する第2層の表面積をより大きく確保すること、および、第1層によって導電基材を保護することが容易になり、電極性能を高めることができる。
(8)上記形態の電気化学デバイス用電極において、前記第2層を構成する前記導電性酸化物粒子が結晶質であることとしてもよい。このような構成とすれば、第2層の導電性および耐熱性を高めることが容易になる。
(9)上記形態の電気化学デバイス用電極は、酸素発生反応用触媒を担持するための支持体を構成することとしてもよい。このような構成とすれば、導電性酸化物粒子の集合体として形成される第2層において、触媒を担持するための表面積を、より広く確保することができる。
(10)上記形態の電気化学デバイス用電極において、さらに、前記第2層の表面に担持されて電気化学反応を促進する触媒を備えることとしてもよい。このような構成とすれば、導電性酸化物粒子の集合体として形成される第2層において、電気化学反応を促進する触媒を担持する表面積が、より広く確保されており、より多くの触媒を分散担持することが可能になるため、電極性能を高めることができる。
(11)上記形態の電気化学デバイス用電極において、さらに、前記第2層の表面に担持されて酸素発生反応を促進する触媒を備えることとしてもよい。このような構成とすれば、導電性酸化物粒子の集合体として形成される第2層において、酸素発生反応を促進する触媒を担持する表面積が、より広く確保されており、より多くの触媒を分散担持することが可能になるため、電極性能を高めることができる。
(12)本開示の他の一形態によれば、上記形態の電気化学デバイス用電極を備える電気化学デバイスが提供される。
この形態の電気化学デバイスによれば、電極の耐久性が高められているため、電気化学デバイスの動力源における負荷変動が比較的大きい場合であっても、電気化学デバイスの耐久性を高めることができる。
(13)本開示のさらに他の一形態によれば、上記形態の電気化学デバイス用電極を備えるアルカリ水電解装置が提供される。
この形態のアルカリ水電解装置によれば、電極の耐久性が高められているため、アルカリ水電解装置の動力源における負荷変動が比較的大きい場合であっても、アルカリ水電解装置の耐久性を高めることができる。
(14)本開示のさらに他の一形態によれば、電気化学デバイス用電極の製造方法が提供される。この電気化学デバイス用電極の製造方法は、ニッケル含有基材を用意し、導電性酸化物粒子を含むスラリーを作製し、前記ニッケル含有基材の表面を前記スラリーでコートし、前記スラリーでコートした前記ニッケル含有基材を、酸素含有雰囲気下で加熱して、前記ニッケル含有基材上にニッケル酸化物を主成分とする第1層を形成すると共に、前記第1層上に、前記導電性酸化物粒子の集合体である第2層を形成する。
この形態の電気化学デバイス用電極の製造方法によれば、第1層と第2層とを同時に形成するため、電極の製造工程を簡素化することができる。また、第1層と第2層とを同時に形成することにより、第1層と第2層との間の密着性を高めることができる。さらに、第1層と第2層とを同時に形成する加熱の工程において、第2層に含まれる元素を第1層に拡散させることにより、第1層と第2層との密着性を向上させると共に、第1層の導電性を高めることができる。
【0006】
本開示は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、アルカリ水電解用アノード電極、アルカリ水電解用カソード電極、金属空気2次電池の空気極、電気化学デバイス用電極を備えたアルカリ水電解装置、および、金属空気2次電池などの形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】電気化学デバイス用電極の構成を表す断面模式図。
図2】実施形態の電極の製造方法を示すフローチャート。
図3】実施例の各サンプルの具体的な構成を示す説明図。
図4】サンプルS2の断面の画像を示す説明図。
図5】元素分析を行ったサンプルS2の断面の画像を示す説明図。
図6】サンプルS2について元素分析を行った結果を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.電気化学デバイス用電極の構成:
図1は、本開示の実施形態としての電気化学デバイス用電極10(以下、「電極10」とも呼ぶ)の構成を表す断面模式図である。電極10は、基材12と、第1層14と、第2層16と、を備える。以下、電極10を構成する各層について順次説明する。なお、図1は、各部の寸法の比率を正確に表すものではない。
【0009】
基材12は、金属を含む導電性材料により形成される金属系導電基材であり、「導電基材」とも呼ぶ。基材12は、例えば、ニッケルを含有する導電性材料により形成することができる。具体的には、基材12は、例えば、ニッケル、ニッケル基合金、あるいは、ニッケルメッキ鉄材料などのニッケルメッキ金属材料等により形成することができる。基材12は、少なくとも表面がニッケル又はニッケル基合金であることが好ましい。ただし、基材12は、ニッケルを実質的に含有しない鉄や鉄合金等の金属など、種々の導電性の材料により形成することができる。また、電極10においては、後述する酸素発生反応(OER)のように気体が生成される反応が進行するため、基材12は、生成する気体を電極表面から除去することが容易になるように、ガスを排出するための開口部を有する形状であることが好ましい。具体的には、基材12は、例えば、パンチングプレートやエクスパンドメッシュ等の形状とすることが好ましい。このような形状の基材12における空隙率は、例えば、10~95%であることが好ましい。
【0010】
第1層14は、基材12上に設けられており、基材12を構成する金属の酸化物を主成分とする層である。基材12がニッケル含有基材である場合には、第1層14は、ニッケル酸化物を主成分とする層とすることができ、例えば、酸化ニッケル(NiO)を主成分とする層とすることができる。基材12が複数の金属により構成される場合には、「基材12を構成する金属の酸化物」は、基材12を構成する複数の金属のうちの少なくとも1種の金属の酸化物によって構成され、例えば、基材12を構成する少なくとも2種の金属を含む合金の酸化物を含むことができる。
【0011】
ここで、基材12を構成する金属の酸化物が主成分であるとは、第1層14における上記金属の酸化物の含有率が50質量%以上であることを指し、60質量%であることが好ましく、70質量%であることがより好ましい。第1層14における上記金属の酸化物の含有率は、電子線マイクロアナライザ(EPMA)あるいはエネルギー分散型X線分光法(EDS)を用いた分析により確認することができる。第1層14は、基材12を構成する金属および酸素以外の成分として、第2層を構成する元素や、基材12を構成する上記金属以外の元素を含んでいてもよい。電極10の製造方法として、後述するように第2層16の材料を含むスラリーを基材12上に塗布して加熱することにより、第1層14と第2層16とを同時に形成する方法を採用する場合には、上記加熱の工程において、第2層16の材料に含まれる元素が第1層14中に拡散される。その結果、例えば、第2層16が実質的に基材12に含まれない少なくとも1種の元素を含む場合には、第1層14は、基材12を構成する金属および酸素に加えて、第2層16に含まれて基材12に含まれない元素のうちの少なくとも1種をさらに含有することになり得る。このように第1層14と第2層16とが共通成分を含む場合には、第1層14と第2層16との密着性を高めることができる。また、第1層14が、例えば酸化ニッケル(NiO)のように比較的導電性が低い金属酸化物によって構成される場合には、上記のように第2層16中の他の元素が第1層14に添加されることにより、第1層14の導電性を高めて、第1層14を設けることに起因する電極10全体の導電性の低下を抑えることが可能になる。
【0012】
第1層14は、均一な組成の層とする必要はなく、例えば、含有する元素の濃度勾配が内部に形成される層であってもよい。例えば、電極10の製造方法として、後述するように第2層16の材料を含むスラリーを基材12上に塗布して加熱することにより、第1層14と第2層16とを同時に形成する方法を採用する場合には、第1層14において、第2層16により近い領域では、基材12により近い領域よりも、第2層16の構成元素の含有率が高くなるような濃度勾配を有する第1層14を形成することができる。第1層14において含有する元素の濃度勾配が形成されていることは、第1層14の複数箇所において、第1層14の構成元素の含有率を測定することにより確認することができる。具体的には、第1層14の厚みが一定厚以上(例えば0.5μm以上)である場合には、電子線マイクロアナライザ(EPMA)やEDS搭載走査型電子顕微鏡(SEM-EDS)を用いて、第1層14における、第2層16に近い領域と基材12に近い領域のスポット分析をそれぞれ行えばよい。また、第1層14の厚みがより薄い場合には、EDS搭載透過型電子顕微鏡(TEM-EDS)を用いて、第1層14における、第2層16に近い領域と基材12に近い領域のスポット分析をそれぞれ行えばよい。
【0013】
なお、第2層16を構成する元素を第1層14が含有することは、例えば、電極10における基材12と第1層14と第2層16とを含む断面について、電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いた分析を行うことにより確認することができる。EPMAを用いた分析を行う際には、電極10における上記断面を鏡面研磨した後、アルゴンイオン等のイオンビームで試料の断面を処理するクロスセクションポリッシャ(CP)処理を行って、EPMAを用いた撮像を行えばよい。そして、基材12と第1層14と第2層16とを横切る線分上に並ぶ各層上に位置するポイントについて、EPMAを用いて元素分析を行えばよい。具体的には、各層上に位置するポイントにおける酸素以外の各々の元素(金属元素)の含有率(質量%)を求め、第1層14において、基材12を構成する金属以外の金属元素であって、第2層16を構成する金属元素の含有率が1質量%以上であるポイントが検出されれば、第1層14が第2層16を構成する元素を含有すると判断することができる。
【0014】
第2層16は、第1層14上に設けられており、導電性酸化物粒子の集合体として形成されている。上記導電性酸化物粒子を構成する導電性酸化物は、電極10の使用環境において安定であれば特に制限されないが、例えば、導電性を有するペロブスカイト型酸化物を好適に用いることができる。導電性酸化物粒子を構成するペロブスカイト型酸化物としては、例えば、ABOで表されるペロブスカイト型構造のAサイトにLaを含むLa系ペロブスカイト型酸化物、具体的には、La(Fe,Ni)Oや、(La,Sr)MnOや、La(Co,Ni)Oで表されるペロブスカイト型酸化物を好適に用いることができる。上記した各々の組成式が示す酸化物は、括弧内に記載された2種の元素のうちの一方の元素のみを含む酸化物と、括弧内に記載された2種の元素の双方を含む酸化物とのうちのいずれであってもよく、上記2種の元素の双方をBサイトに含む場合には、2種の元素の割合は任意に設定され得る。上記のようなLa系ペロブスカイト型酸化物は、一般に酸素発生反応用触媒活性を有しているため、このようなペロブスカイト型酸化物によって構成される第2層を備える電極10は、電気化学反応として酸素発生反応(OER)が進行する電極として好適に用いることができる。酸素発生反応(OER)は、以下の(1)式で表すことができる。
【0015】
4OH → O + 2HO + 4e … (1)
【0016】
第2層16を構成する導電性酸化物は、上記したLa系ペロブスカイト型酸化物以外のペロブスカイト型酸化物、例えば、La、Mn、Fe、Co、CuおよびNiのうち少なくとも1種以上を含むペロブスカイト型酸化物や、Sr(Ti,Nb)O(BサイトにTiとNbの双方を含む酸化物)や、SrCrO等の複合酸化物であってもよく、また、ペロブスカイト型酸化物以外の酸化物、例えば、スピネル型結晶構造を有する酸化物(スピネル型酸化物)であってもよい。また、ペロブスカイト型酸化物を含む上記した種々の酸化物から選択される複数種類の導電性酸化物により、第2層16を構成してもよい。
【0017】
スピネル型構造を有する金属酸化物は、例えば、ABで表される複合酸化物である。このような金属酸化物において、Aサイトには2価の金属元素を1種以上含むことができる。また、Bサイトには、3価の金属元素を1種以上含むことができ、さらに、4価の金属元素を含むこともできる。第2層16を構成する導電性酸化物としてのスピネル型酸化物は、La、Mn、Fe、Co、CuおよびNiのうち少なくとも1種以上を含むことが好ましい。このようなスピネル型酸化物としては、例えば、Ni(Fe,Co)や、(Ni,Cu)(Mn,Fe,Co)で表される酸化物とすることができる。上記した各々の組成式が示す酸化物は、括弧内に記載された複数の元素のうちの一方の元素のみを含む酸化物と、括弧内に記載された元素から選択される複数の元素を含む酸化物とのうちのいずれであってもよく、上記括弧内の複数の元素を含む場合には、当該複数の元素の割合は任意に設定され得る。本願明細書において、「スピネル型構造を有する金属酸化物」とは、正スピネル型結晶構造を有する正スピネル化合物と、逆スピネル型結晶構造を有する逆スピネル化合物の両方を含む。
【0018】
第2層16を構成する導電性酸化物としては、既述した種々の酸化物の中でも、ペロブスカイト型酸化物およびスピネル型酸化物のうちの少なくとも一方を好適に用いることができる。第2層16を構成する導電性酸化物の種類は、例えば、X線回折法(XRD)によって結晶構造を解析することにより確認することができる。
【0019】
第2層16を構成する導電性酸化物粒子の平均粒径は、0.1μm以上とすることができる。そのため、「第2層16が導電性酸化物粒子の集合体として形成される」ことは、「第2層16が、平均粒径0.1μm以上の導電性酸化物粒子によって構成されており、導電性酸化物粒子間に空隙が形成された粒子集合体層として形成されていること」であると定義することができる。本実施形態において導電性酸化物粒子の平均粒径は、電極10における基材12と第1層14と第2層16とを含む断面を鏡面研磨した後、クロスセクションポリッシャ(CP)処理を行い、得られた処理面を対象として、電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて撮像した10視野(40μm×40μm視野)の画像を用いて測定する。各画像における導電性酸化物粒子の平均粒径の測定は、公知のインターセプト法("水谷惟恭、尾崎義治、木村敏夫、山口喬著、「セラミックプロセッシング」、技報堂出版株式会社、1985年3月25日発行、第192頁から第195頁"において記載されている方法)に従って行う。具体的には、上記10視野の各画像において、基材12と第1層14との界面に平行な直線を、第2層16上において複数本引き、この直線上に位置する導電性酸化物粒子の長さ(直線における各粒子を横切る部分の長さ)を粒子毎に測定し、これらの長さの平均値を、各画像における平均径として求める。10視野の画像の各々において特定した粒子の平均径の平均値を、最終的な粒子の平均粒径とする。
【0020】
第2層16の空隙率は、電気化学反応が進行する電極10の表面積を確保する観点から、15%以上とすることが好ましい。ただし、第2層16の空隙率が過剰に大きい場合にも、電気化学反応が進行する電極10の表面積を確保し難くなるため、電気化学反応が進行する反応の場を確保する観点から、また、第2層16の強度および電極10の耐久性を確保する観点から、第2層16の空隙率は、60%以下とすることが好ましい。第2層16の空隙率は、既述した第2層16における導電性酸化物粒子の平均粒径の測定で用いる画像と同様の画像を用いて測定することができる。具体的には、上記した画像について画像解析ソフトウェアを用いて二値化処理を行い、空隙とみなせる黒色の部分の面積率を求めて、空隙率を算出する。
【0021】
第2層16は、第1層14よりも粗であることが望ましい。すなわち、第2層16の空隙率は、第1層14の空隙率よりも大きいことが望ましい。これにより、電気化学反応が進行する第2層16の表面積をより大きく確保して、電極性能を高めることができる。第1層14の空隙率は、基材12と第1層14との界面に存在する気泡を除いた空隙率として、上記した第2層16と同様の方法により算出することができる。ここで、基材12を構成する金属の酸化物を主成分とする本実施形態の第1層14は、後述するように、基材12の表面を酸化させることにより形成することができる。このような形成方法を採用することで、導電性酸化物粒子の集合体として形成される第2層16よりも緻密な第1層14を、容易に形成することができる。
【0022】
第2層16を構成する導電性酸化物粒子は、結晶質の粒子であってもよく、アモルファスの粒子であってもよいが、結晶質の粒子であることが望ましい。結晶質の導電性酸化物粒子により第2層16を構成することで、第2層16の導電性および耐熱性を高めることが容易になる。第2層16を構成する導電性酸化物粒子が結晶質であることは、電極10をX線回折法(XRD)により解析することで判断することができる。具体的には、第2層16を構成する導電性酸化物粒子由来のピークの中で、検出強度上位3つの結晶面における半値幅(FWHM)を求め、いずれの半値幅も1.0deg以下であれば、結晶質であると判断することができる。
【0023】
本実施形態の電極10において、第1層14の平均膜厚は、第2層16の平均膜厚以下であることが好ましい。例えば、第1層14を構成する金属酸化物として好適に用いることができる酸化ニッケル等の金属酸化物は、基材12や第2層16に比べて導電性が低く、酸素発生反応等を促進する触媒活性を実質的に有していない。そのため、第1層14の厚みを抑えることにより、第1層14に起因する電極10全体の導電性の低下を抑えることができ、電極10において触媒活性に寄与しない部分の割合を抑えることができる。また、第2層16の厚みを第1層14より厚くして、導電性酸化物粒子の集合体であって多孔質な第2層16の厚みを確保することで、電気化学反応が進行する第2層16の表面積をより大きくして、電極性能を高めることができる。
【0024】
上記のように導電性が比較的低く触媒活性を実質的に有していない第1層14の厚みを抑える観点から、第1層14の平均膜厚は、5μm以下とすることが望ましく、1μm以下とすることがより望ましい。ただし、第1層14は、基材12を保護する機能を有している。このような第1層14の機能を確保する観点から、第1層14の平均膜厚は、0.2μm以上とすることが望ましく、0.5μm以上とすることがさらに望ましい。そのため、第1層14の平均膜厚は、例えば、0.2μm以上5μm以下とすることが望ましく、0.5μm以上1μm以下とすることがより望ましい。
【0025】
第1層14および第2層16の平均膜厚は、既述した第2層16における導電性酸化物粒子の平均粒径の測定で用いる画像と同様の10視野の画像を用いて測定することができる。具体的には、画像解析ソフトウェアを用いて、上記した画像におけるコントラストから、基材12と第1層14、および、第1層14と第2層16との間の界面位置を特定し、第1層14および第2層16の平均膜厚を算出する。10視野の画像の各々における第1層14および第2層16の膜厚は、上記のように特定した各層間の界面にラインを引いて、ライン間の最短距離として測定する。そして、10視野の画像の各々で測定した膜厚の平均値を、第1層14および第2層16の平均膜厚とする。上記した10視野の画像を得る際には、電極10の中央部を切り出すことによって撮像のための断面を得て、電極10の中央部を含む部位における平均膜厚を測定することとすればよい。ただし、基材12としてエクスパンドメッシュやパンチングプレートのように、電極10の全体形状における中央部の断面であっても、基材12の構造上の端部(メッシュ穴との界面など)を含む断面となり得る場合には、基材12の構造上の端部から離間した中央部分を含む連続した10視野を撮像することとする。
【0026】
電極10において、第2層16を構成する導電性酸化物が、電極10で進行する電気化学反応を促進する活性を有する場合には、第2層16上における触媒のさらなる担持を不要とすることができるが、第2層16の表面上に、電気化学反応を促進する触媒をさらに備えることとしてもよい。例えば、電気化学デバイスの電極10において酸素発生反応が進行する場合には、基材12と第1層14と第2層16とを備える3層構造体は、酸素発生反応用触媒を担持する支持体とすることができる。
【0027】
第2層16上に担持する触媒としては、例えば、白金(Pt)等の貴金属やニッケル(Ni)等の卑金属により構成される金属触媒、あるいは、酸化物触媒など、促進する電気化学反応に応じて適宜選択すればよく、公知の種々の触媒を用いることができる。電気化学反応を促進する触媒として酸化物触媒を用いる場合には、触媒が第2層16上から脱落し難いという効果を奏することができる。酸素発生反応用触媒としては、例えば、RuOやIrO等の金属酸化物を用いることとしてもよい。また、酸素発生反応用触媒としては、例えば、組成式CaMn12-δで表されるAサイト秩序型ペロブスカイト(四重ペロブスカイト)酸化物を用いることとしてもよい。上記の組成式において、元素Dは、アルカリ金属元素、Caを除くアルカリ土類金属元素、希土類元素から選ばれる少なくとも1種を表し、元素Eは、Mnを除く遷移元素から選ばれる少なくとも1種を表す。上記組成式において、a,b,c,d,δは、以下に示す(2)式~(7)式を満たすこととすればよい。
【0028】
0.85≦(a+b)≦1.15 … (2)
6.75≦(c+d)≦7.25 … (3)
0.125<(a+b)/(c+d)<0.167 … (4)
0≦b≦0.3 … (5)
0≦d≦0.5 … (6)
0<δ≦0.5 … (7)
【0029】
B.電極の適用例:
本実施形態の電極10は、種々の電気化学デバイスに適用することができる。電極10が酸素発生反応用触媒活性を備える場合には、電極10は、例えば、アルカリ水電解用アノード電極や、金属空気2次電池の空気極等として用いることができる。
【0030】
アルカリ水電解装置とは、一対の電極間に電解質としてアルカリ水を配置して水電解を行う装置であり、アノードにおいて以下の(8)式の反応が進行し、カソードにおいて以下の(9)式の反応が進行する。このようなアルカリ水電解装置において、酸素発生反応が進行するアノード電極を、本実施形態の電極10とすることで、アノード電極で進行する酸素発生反応を促進し、装置性能を向上させることができる。
【0031】
2OH → HO + 1/2O + 2e … (8)
2HO +2e → H + 2OH … (9)
【0032】
金属空気2次電池とは、正極活物質として空気中の酸素を用い、負極活物質として金属を用いる2次電池である。例えば、亜鉛空気電池では、放電時には、空気極(正極)において以下の(10)式の反応が進行し、負極において以下の(11)式の反応が進行する。そして、充電時には、放電時とは逆の反応が進行する。このような金属空気2次電池において、空気極を本実施形態の電極10とすることで、充電時に空気極で進行する酸素発生反応を促進し、装置性能を向上させることができる。
【0033】
+ 2HO + 4e → 4OH … (10)
Zn + 2OH → ZnO + HO + 2e … (11)
【0034】
ただし、本実施形態の電極10の用途は上記に限定されず、さらに他の装置における酸素発生反応を進行する電極に適用することとしてもよい。また、酸素発生反応を進行する電極以外であっても、電気化学デバイスで用いられる種々の電極(例えば、ニッケル含有基材を備える電極)において、本実施形態の電極10を適用することができる。例えば、既述したアルカリ水電解装置においてのカソードに本実施形態の電極10を適用して、電極10において、(9)式に示す水素発生反応を進行させることとしてもよい。
【0035】
C.電極の製造方法:
図2は、本実施形態の電極10の製造方法の一例を示すフローチャートである。以下では、図2に基づいて、基材12としてニッケル含有基材を用いる場合の製造方法について説明する。電極10を製造する際には、まず、第2層16を形成するための導電性酸化物粉末を作製する(工程T100)。工程T100における導電性酸化物粉末の作製方法の一例を以下に説明する。導電性酸化物粉末を作製するには、まず、導電性酸化物の原料粉末を混合する。原料粉末は、第2層16を構成する導電性酸化物に含まれる各々の元素についての酸化物や炭酸塩や水酸化物等とすることができる。これらの原料粉末を、作製したい導電性酸化物における各元素の組成比に応じた混合割合で混合すればよい。そして、混合した原料粉末に、例えばエタノール等の溶媒を加えてボールミル等を用いて湿式にて混合する。その後、得られた混合物を乾燥して混合粉末を得て、得られた混合粉末を、大気雰囲気下、900~1100℃で1~10時間程度仮焼して、仮焼物を得る。得られた仮焼物に、例えばエタノール等の溶媒を加えてボールミル等を用いて湿式にて粉砕・混合して、焼成用スラリーを作製する。得られた焼成用スラリーを乾燥・造粒して、大気雰囲気下、1100~1500℃で1~10時間程度焼成して、複数の導電性酸化物粒子によって構成される導電性酸化物粉末を得る。上記した仮焼や焼成の条件は、用いる原料粉末や、作製する導電性酸化物の種類等に応じて適宜選択すればよく、焼成後に適宜粉砕工程を追加してもよい。また、第2層16を複数種類の導電性酸化物によって構成する場合には、導電性酸化物ごとに別々に上記のようにして導電性酸化物粉末を作製し、その後、これらの粉末を所望の混合割合で混合して、第2層16を形成するための導電性酸化物粒子を完成すればよい。
【0036】
また、ニッケル含有基材である基材12を用意する(工程T110)。基材12は、所望の電極10に応じた形状のニッケル含有金属部材(例えば、パンチングプレートやエクスパンドメッシュ等)とすることができる。工程T110では、基材12上に形成する第1層14および第2層16の密着性向上のために、第1層14および第2層16を形成する前処理として、基材12の表面を予め粗面化する粗面化処理を行うことが好ましい。粗面化処理の方法としては、例えば、基材12の表面に粉末を吹き付けるブラスト処理や、基材12を溶解する性質を有する(基材可溶性の)酸を用いたエッチング処理や、プラズマ溶射などが挙げられる。
【0037】
また、工程T100で作製した導電性酸化物粉末を用いて、導電性酸化物のスラリーを作製する(工程T120)。工程T120のスラリーの作製は、導電性酸化物粉末に対して、水やエタノール等の溶剤と、バインダとを混合することにより行う。用いるバインダは、分解等によって後の工程で除去できるものであればよく、例えば、アクリル系バインダやポリエチレンオキサイド系バインダ等の有機バインダを用いることができる。
【0038】
その後、工程T110で用意した基材12の表面を、工程T120で作製したスラリーでコートして(工程T130)、基材12上にスラリー層を形成する。スラリーを用いたコーティングの方法は特に制限されないが、例えば、ディップコートにより行うことができる。
【0039】
コーティングの後、60℃~100℃程度で1~10時間乾燥させて(工程T140)、スラリー中の溶剤を除去する。そして、酸素含有雰囲気下において550~750℃にて3分~60分の熱処理を行い(工程T150)、スラリーの層から第2層16を形成すると共に、第2層と基材12との間に第1層14を形成させて、電極10を完成する。上記熱処理時における熱処理温度は、第2層16を構成する導電性酸化物の導電性を確保しつつ、基材12の導電性を損なわないように、適宜設定すればよい。上記熱処理時における酸素含有雰囲気は、工程T150において第1層14を形成することができる雰囲気として設定される。具体的には、上記酸素含有雰囲気は、酸素分圧が10-7atm以上の雰囲気とすればよく、例えば、酸素分圧が10-7atm以上の窒素雰囲気や、大気雰囲気とすることができる。また、熱処理時間は、工程T150で形成される第1層14の厚みが所望の厚み(例えば5μm以下、好ましくは1μm以下)となるように、適宜設定すればよい。
【0040】
工程T150について、さらに詳しく説明する。工程T130および工程T140で形成した乾燥したスラリー層は、工程T100で作製した導電性酸化物粉末を構成する導電性酸化物粒子の集合体として形成されているため、緻密ではなく、雰囲気中の酸素が内部に侵入する。そのため、工程T150の熱処理時には、スラリー層内に侵入した酸素によってニッケル含有基材12の表面が酸化されて、基材12の表面に酸化ニッケル(NiO)を主成分とする第1層14が形成される動作と、形成されつつある第1層14上において、スラリー層中のバインダが分解されてスラリー層から第2層16が形成される動作とが、同時に進行する。その結果、工程T150の熱処理を行うことで、図1に示す3層構造が形成される。
【0041】
なお、さらに触媒金属を備える電極10を作製する場合には、上記のように工程T150で三層構造を形成した後に、第2層16上に触媒金属を担持させればよい。第2層16上に触媒金属を担持させる方法は、特に制限は無く、担体上に触媒金属を担持させるための公知の種々の方法を採用可能である。例えば、含浸法、アーク放電、スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、めっき処理、湿式コート、陽極酸化等の種々の方法を用いることができる。
【0042】
上記した説明では、図1に示す3層構造を有する電極10を作製する際に、図2に示すように、第2層16を形成するためのスラリーで基材12をコートして熱処理を行うことにより、第1層14と第2層16とを同時に形成することとしたが、異なる構成としてもよい。例えば、最初に基材12について工程T150と同様にして550~750℃で熱処理を施して、基材12表面でニッケルの酸化反応を進行させて基材12上に第1層14を形成し、その後、工程T120で作製したスラリーで第1層14をコートして、加熱によりスラリー中のバインダを分解させて第2層16を形成することとしてもよい。ただし、図2に示すように第1層14と第2層16とを同時に形成する方が、電極10の製造工程を簡素化することができる。また、第1層14と第2層16とを同時に形成する方が、第1層14と第2層との間の密着性を高めることができる。さらに、第1層14と第2層16とを同時に形成する場合には、工程T150の加熱処理において形成される第1層14内に、第2層16に含まれる元素が拡散され得る。このように、第1層14が第2層16と共通する成分を含むことにより、既述したように、第1層14と第2層16との密着性を向上する効果を高めると共に、第1層14の導電性を高めることができる。
【0043】
なお、基材12として、ニッケル含有基材以外の金属系導電基材を用いる場合には、第1層14として、ニッケル酸化物を主成分とする層に代えて、上記金属系導電基材を構成する金属の酸化物を主成分とする層を形成することとすればよい。このような第1層14は、ニッケル酸化物を主成分とする第1層14と同様に、図2に記載の方法により形成することができる。すなわち、金属系導電基材の表面を導電性酸化物のスラリーでコートして、酸素存在下で熱処理すればよい。これにより、基材12の表面では、基材12を構成する金属の酸化物を主成分とする第1層を形成させると共に、導電性酸化物粒子を備える第2層16を形成することができる。
【0044】
以上のように構成された本実施形態の電極10によれば、第1層14を設けることによって基材12を保護して電極10の耐久性を高めると共に、550~750℃といった比較的低温の加熱処理によって電極10を製造することができるため、電極の製造時の加熱に起因する基材12の酸化の進行を抑制し、基材12の変質に起因する電極10の耐久性の低下を抑えることができる。また、電極10の製造時の加熱温度が上記のように比較的低いため、電極の製造時の熱処理において、基材12と第2層16との間の熱応力差に起因する電極10の反りなどの変形を抑えることができる。
【0045】
さらに、第2層16が、導電性酸化物粒子の集合体として形成されるため、電極10の表面部分において、電気化学反応が進行する表面積を、より広く確保することが可能になる。すなわち、第2層16の内部においても、導電性酸化物粒子間の空隙に露出する導電性酸化物粒子表面を、電気化学反応が進行する電極表面として利用することができる。そのため、第2層16上にさらに触媒を担持する場合には、触媒を分散担持させるための第2層16の表面積をより広く確保することが可能になるため、電極10の性能を高めることができる。特に、第2層16を構成する導電性酸化物が触媒活性を有する場合には、電極10の性能をより高めることができる。その結果、第2層16上へのさらなる貴金属触媒などの触媒の担持を不要とし、あるいは、第2層16上にさらに触媒を担持する場合であっても、担持する触媒量を削減することができる。
【0046】
本実施形態の電極10は、上記のように導電性酸化物粒子の集合体である第2層16によって電気化学反応が進行する表面積を確保しつつ、第2層16と基材12との間に設けられて基材12を構成する金属の酸化物を主成分とする第1層14によって基材12を保護している。そのため、電極10を備える電気化学デバイスを使用する際に、例えば電気化学デバイスの動力源における負荷変動が比較的大きい場合(再生可能エネルギーなどの出力変動の大きい電力を動力源とする場合など)であっても、第1層14によって基材12を保護して変質を抑え、電極10の耐久性を高めることができる。このように第1層14によって基材12を保護する効果は、既述したように第2層16の空隙率よりも第1層14の空隙率を小さくして、第1層14を、より密に形成することにより高めることができる。
【実施例0047】
図3は、サンプルS1~S8までの8種類の電極を作製して、その性能を調べた結果を示す説明図である。図3では、各サンプルの具体的な構成と、電極性能に係る評価を行った結果とを示している。サンプルS1~S7は、図1に示すように、基材12と第1層14と第2層16とを備える構造を有している。サンプルS8は、基材12のみによって構成される比較例である。
【0048】
<各サンプルの作製>
[サンプルS1~S7]
図2に示した方法に従い、サンプルS1~S6の電極を作製した。工程T100では、原料粉末として炭酸マンガン(MnCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、水酸化ランタン(La(OH))、酸化鉄(Fe)、酸化コバルト(Co)、酸化銅(CuO)および酸化ニッケル(NiO)を用いた。各々のサンプルについて、これらの原料粉末を適宜混合して、最終的に図3に示す「第2層の組成」の組成となる導電性酸化物粉末を作製した。サンプルS1~S4の第2層を構成する導電性酸化物はペロブスカイト型酸化物であり、サンプルS5およびS6の第2層を構成する導電性酸化物はスピネル型酸化物である。工程T100では、混合した原料粉末にエタノールを加えてボールミルにて15時間湿式混合した。その後、得られた混合物を乾燥させて混合粉末を得て、得られた混合粉末を大気雰囲気下、900~1100℃で1~10時間程度仮焼して、仮焼物を得た。この仮焼物にエタノールを加えてボールミルにて粉砕・混合して、焼成用スラリーを作製した。得られた焼成用スラリーを乾燥・造粒して、大気雰囲気下、1100~1500℃で1~10時間程度焼成して、導電性酸化物粒子によって構成される導電性酸化物粉末を得た。上記のような焼成の工程によって得られた各サンプルの導電性酸化物粉末を構成する導電性酸化物粒子は、結晶質の粒子となる。なお、サンプルS7の電極を作製するための導電性酸化物粉末は、上記のようにして作製したサンプルS3およびサンプルS6の導電性酸化物粉末を1:1の割合で混合することにより得た。すなわち、サンプルS7の第2層は、ペロブスカイト型酸化物とスピネル型酸化物の双方を導電性酸化物として含む混合層である。
【0049】
工程T110では、基材12として、ニッケルエクスパンドメッシュ(メッシュの短方向寸法SW:1.0mm、メッシュの長方向寸法LW:2.0mm、厚み0.6mm)を用意した。さらに、工程T110では、上記ニッケルエクスパンドメッシュに粗面化処理を施した。具体的には、220メッシュのアルミナ粒子でブラスト処理を行い、その後、洗浄・乾燥処理を行った。
【0050】
工程T120では、上記工程T100で作製した導電性酸化物粉末に対して、水とポリエチレンオキサイド系バインダとを混合して、導電性酸化物粒子を含むスラリーを作製した。工程T130では、ディップコートにより、工程T120で作製したスラリーで基材12をコーティングした。コーティングの後、60℃~80℃で1~10時間乾燥させた(工程T140)。その後、図3に示すように大気雰囲気下または窒素雰囲気下にて600~700℃で10~30min熱処理を行い、各サンプルの電極を得た。上記窒素雰囲気における酸素分圧は、1.0×10-6atmである。
【0051】
[サンプルS8]
サンプルS1~S7を作製するために工程T110で用意したニッケルエクスパンドメッシュを、サンプルS8として用いた。
【0052】
<膜厚の測定>
サンプルS1~S7について、第1層14および第2層16の平均膜厚を測定した。すなわち、各サンプルについて、基材12と第1層14と第2層16とを含む断面であって、既述した中央部を含む断面を鏡面研磨した後、断面のクロスセクションポリッシャ(CP)処理を行い、得られた処理面を対象として、電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて撮像した10視野(40μm×40μm視野)の画像を用いて、各層の平均膜厚を測定した。具体的には、画像解析ソフトウェアを用いて、上記した画像におけるコントラストから、基材12と第1層14、および、第1層14と第2層16との間の界面位置を特定し、第1層14および第2層16の平均膜厚を算出した。10視野の画像の各々における第1層14および第2層16の膜厚は、上記のように特定した各層間の界面にラインを引いて、ライン間の最短距離として測定した。そして、10視野の画像の各々で測定した膜厚の平均値を、第1層14および第2層16の平均膜厚とした。
【0053】
図4は、上記のように処理したサンプル断面を、EPMAを用いて撮像した画像の一例として、サンプルS2の断面の画像を示す説明図である。図4に示すように、サンプルS1~S7のいずれにおいても、基材12上に、実質的に空隙が認められない緻密な第1層14と、第1層14上に形成されると共に導電性酸化物粒子の集合体として形成される多孔質な第2層16と、が形成されており、第2層16の方が第1層14よりも粗である様子が観察された。
【0054】
<電気化学的評価>
電気化学的評価を行うために、耐久試験の前後で各サンプルの電極の過電圧を測定した。耐久試験としては、サイクリックボルタンメトリー(CV)を行った。以下に説明するサイクリックボルタンメトリー(CV)は、20wt%の水酸化カリウム水溶液を測定溶液として用いて、室温にて行った。参照極には、可逆水素電極(RHE)を用い、対極にはPtコイルを用いた。なお、対極にはNiコイルを用いてもよい。まず、電気化学的前処理として、各サンプルについて、RHEに対し0V以上1.7V以下の範囲で、走査速度100mVsec-1にて100サイクルのサイクリックボルタンメトリー(CV)を行った。その後、耐久試験として、RHEに対し1.0V以上1.8V以下の範囲で、走査速度1Vsec-1にて10,000サイクルのサイクリックボルタンメトリー(CV)を行った。上記した耐久試験としてのCVの前後において、各サンプルの電極について、電流密度0.1Acm-2での過電圧を測定した。「耐久試験としてのCV前の過電圧からCV後の過電圧を減算した値の、CV前の過電圧に対する比率」を、「CV前後の過電圧変化率」として図3に示している。耐久試験としてのCV後に過電圧が増大する程度が大きいほど、電極の耐久性が低いと評価することができる。
【0055】
図3に示すように、サンプルS1~S7はいずれも、サンプルS8に比べてCV前後の過電圧変化率がはるかに小さかった。また、サンプルS1~S7はいずれも、過電圧変化率の値が負の値であって、CVを行っても過電圧が抑えられる傾向が認められた。以上より、図1に示す構造を有するサンプルS1~S7の電極は、出力変動が比較的大きい電力を動力源とする電気化学デバイスに適用する場合であっても、高い耐久性を実現して優れた電極性能を維持可能であることが確認された。
【0056】
<第1層における第2層原料由来成分の存在の確認>
既述した膜厚測定で用いた各サンプルの画像(各サンプルの断面をCP処理してEPMAを用いて撮像した画像)と同様の画像において、EPMAを用いて元素分析を行うことにより、第1層14に第2層16由来成分が存在することを確認した。以下では、一例として、サンプルS2について元素分析を行った結果を示す。
【0057】
図5は、元素分析を行ったサンプルS2の断面の画像を示す説明図である。EPMAを用いた元素分析を行う際には、図5に示すように、基材12と第1層14と第2層16とを横切る線分上に並ぶ各層上に位置するポイントとして、ポイント1~7を設定して、各ポイントについて元素分析を行った。ポイント1~3は第2層16上の分析ポイントであり、ポイント4は第1層14上の分析ポイントであり、ポイント5~7は基材12上の分析ポイントである。
【0058】
図6は、サンプルS2について元素分析を行った結果を示す説明図である。図6において、横軸は分析ポイントを示し、縦軸は各分析ポイントに含まれる各金属元素の含有率(質量%)を表す。図6に示すように、第2層16に対応するポイント1~3では、原料粉末として加えたランタン(La)、ニッケル(Ni)および鉄(Fe)が、比較的変動幅が小さいほぼ一定の含有率で含まれることが確認された。また、基材12に対応するポイント5~7は、ほぼニッケル(Ni)によって占められることが確認された。そして、第1層14に対応するポイント4では、80質量%を超える大部分がニッケル(Ni)で占められると共に、第1層14の構成成分であるランタン(La)が、10質量%を超える含有率で含まれると共に、第1層14の構成成分である(Fe)が約2質量%含まれることが確認された。このように、酸化ニッケルを主成分とする第1層14において、第2層16を構成する元素が含まれることが確認された。
【0059】
本開示は、上述の実施形態等に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0060】
本開示は、以下の形態としても実現することが可能である。
[適用例1]
電気化学デバイス用電極であって、
金属系導電基材と、
前記導電基材上に設けられ、前記導電基材を構成する金属の酸化物を主成分とする第1層と、
前記第1層上に設けられ、導電性酸化物粒子の集合体として形成される第2層と、
を備えることを特徴とする電極。
[適用例2]
適用例1に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記導電基材は、ニッケル含有基材であり、
前記金属の酸化物は、ニッケル酸化物を主成分とすることを特徴とする
電極。
[適用例3]
適用例2に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記第2層は、実質的に前記導電基材に含まれない少なくとも1種の元素を含み、
前記第1層は、ニッケルおよび酸素に加えて、前記第2層に含まれて前記導電基材に含まれない元素のうちの少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする
電極。
[適用例4]
適用例1から3までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記第1層の平均膜厚は、前記第2層の平均膜厚以下であることを特徴とする
電極。
[適用例5]
適用例1から4までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記導電性酸化物粒子を構成する導電性酸化物は、ペロブスカイト型酸化物およびスピネル型酸化物の少なくとも一方であることを特徴とする
電極。
[適用例6]
適用例5に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記導電性酸化物粒子を構成する導電性酸化物は、La、Mn、Fe、Co、CuおよびNiのうち少なくとも1種以上を含む、ペロブスカイト型酸化物およびスピネル型酸化物の少なくとも一方であることを特徴とする
電極。
[適用例7]
適用例1から6までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記第2層は、前記第1層よりも粗であることを特徴とする
電極。
[適用例8]
適用例1から7までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記第2層を構成する前記導電性酸化物粒子が結晶質であることを特徴とする
電極。
[適用例9]
適用例1から8までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、
酸素発生反応用触媒を担持するための支持体を構成することを特徴とする
電極。
[適用例10]
適用例1から8までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、さらに、
前記第2層の表面に担持されて電気化学反応を促進する触媒を備えることを特徴とする
電極。
[適用例11]
適用例1から8までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、さらに、
前記第2層の表面に担持されて酸素発生反応を促進する触媒を備えることを特徴とする
電極。
[適用例12]
適用例1から11までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極を備えることを特徴とする
電気化学デバイス。
[適用例13]
適用例1から11までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極を備えることを特徴とする
アルカリ水電解装置。
[適用例14]
電気化学デバイス用電極の製造方法であって、
ニッケル含有基材を用意し、
導電性酸化物粒子を含むスラリーを作製し、
前記ニッケル含有基材の表面を前記スラリーでコートし、
前記スラリーでコートした前記ニッケル含有基材を、酸素含有雰囲気下で加熱して、前記ニッケル含有基材上にニッケル酸化物を主成分とする第1層を形成すると共に、前記第1層上に、前記導電性酸化物粒子の集合体である第2層を形成することを特徴とする
電極の製造方法。
【符号の説明】
【0061】
10…電気化学デバイス用電極
12…基材
14…第1層
16…第2層
図1
図2
図3
図4
図5
図6