(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173643
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】再生可能アルキルベンゼン生成物を生成するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
C07C 2/02 20060101AFI20241205BHJP
C07C 15/02 20060101ALI20241205BHJP
C07C 9/15 20060101ALI20241205BHJP
C07C 4/10 20060101ALI20241205BHJP
B01J 23/89 20060101ALI20241205BHJP
B01J 23/42 20060101ALI20241205BHJP
B01J 23/46 20060101ALI20241205BHJP
B01J 23/755 20060101ALI20241205BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
C07C2/02
C07C15/02
C07C9/15
C07C4/10
B01J23/89 Z
B01J23/42 Z
B01J23/46 301Z
B01J23/755 Z
C07B61/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024009723
(22)【出願日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】63/504,879
(32)【優先日】2023-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】フォン ティ.エム.ドー
(72)【発明者】
【氏名】ハイ ドゥ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ダブリュ.フィヒトル
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ ティ.ウェクスラー
(72)【発明者】
【氏名】エセオゲネ ジェロロ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック シー.ウィットチャーチ
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA01A
4G169BA05A
4G169BA10A
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BC70A
4G169BC70B
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169CB02
4G169DA05
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC21
4H006BA21
4H006BA23
4H006BA26
4H006BA55
4H006BC10
4H006BC11
4H006BE20
4H039CA19
4H039CE90
(57)【要約】 (修正有)
【課題】トリグリセリドから誘導される線状アルキルベンゼン生成物を生成するための方法を提供する。
【解決手段】トリグリセリド、具体的には、16個未満の炭素原子を有する60%以上のアルキル鎖を有するトリグリセリドから、アルキルベンゼンを生成するためのプロセスが記載されている。プロセスは、C14+鎖をC9~C14鎖に分解するための線状選択分解プロセスを含み、これは、洗剤に使用するための線状アルキルベンゼンを作製するのに有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリグリセリドから誘導される線状アルキルベンゼン生成物を生成するための方法であって、
脱酸素化後に16個未満の炭素原子を有する60%以上のノルマルパラフィンを生成するトリグリセリド(105)を脱酸素化して、16個未満の炭素原子を有する60%以上のノルマルパラフィンを含むパラフィン流を形成することと、
前記パラフィン流を分留して、C9~C14パラフィンを含むC9~C14流(115)、及びC14+パラフィンを含むC14+流(120)を形成することと、
線状選択分解触媒の存在下の線状選択分解条件下で、別々の線状選択分解ユニット(125)において、前記C14+流(120)を線状選択分解して、ノルマル又は軽度に分岐したC9~C14パラフィンを含む第1の流れ(130)、及びイソパラフィンを含む第2の流れ(130)を形成することと、
前記C9~C14流(115)及び前記第1の流れ(130)から汚染物質を除去して、除染された流れ(145)を形成することであって、前記汚染物質が、硫黄化合物、若しくは窒素化合物、若しくはリン化合物、若しくは酸素化物、若しくは芳香族、又はそれらの組み合わせを含む、除染された流れを形成することと、
前記除染された流れ(145)を脱水素化して、モノ-オレフィン、ジ-オレフィン、及び芳香族を含む脱水素化された流れ(155)を提供することと、
前記脱水素化された流れ(155)中の前記ジ-オレフィンを選択的に水素化して追加のモノ-オレフィンを形成し、前記モノ-オレフィンから前記芳香族を分離及び除去して、前記芳香族を含む芳香族流(165)及び前記モノ-オレフィンを含むモノ-オレフィン流(170)を形成することと、
アルキル化条件下で前記モノ-オレフィンでベンゼン(180)をアルキル化して、アルキルベンゼン及びベンゼンを含む、アルキル化流出物(185)を提供することと、
前記アルキルベンゼンを単離して、前記トリグリセリドから誘導された前記アルキルベンゼン生成物(205)を提供することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記線状選択分解触媒が、ルテニウム、白金、及びニッケル担持触媒、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記線状選択分解条件が、290℃~455℃の範囲の温度、又は2.8MPa~17.5MPaの範囲の圧力、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の記載)
本出願は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、2023年5月30日出願の米国仮特許出願第63/504,879号、及び2023年11月02日出願の米国特許出願第18/500,161号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
線状アルキルベンゼンは、式C6H5CnH2n+1を有する有機化合物である。アルキル炭素数「n」は、任意の実用的な値を有し得るが、洗剤製造業者は、アルキルベンゼンが9~16個の範囲、好ましくは9~14の範囲のアルキル炭素数を有することを望んでいる。アルキルベンゼンが洗剤用界面活性剤の生成における中間体として使用される場合、多くの場合、これらの特定の範囲が必要とされる。9~14の範囲のアルキル炭素数は、洗剤産業の規格に合致する。
【0003】
アルキルベンゼンから作製される界面活性剤は、生分解性であるので、1960年代の洗剤生成における最初の使用以来、アルキルベンゼンの生成は急速に成長してきた。アルキルベンゼン中のパラフィン鎖の線状性は、材料の生分解性及び洗浄剤としての有効性に重要である。アルキルベンゼンの最終的な線状性における主な要因は、パラフィン成分の線状性である。
【0004】
アルキルベンゼン系界面活性剤を利用して作製される洗剤は、生分解性であるが、アルキルベンゼンを作製するための以前のプロセスは、再生可能な供給源に基づいていない。特に、アルキルベンゼンは、現在、地球から抽出された原油から精製されたケロシンから生成されている。化石燃料抽出に対する増大する環境に関する先入観及び化石燃料鉱床の枯渇に対する経済的懸念に起因して、洗剤及び他の産業において生分解性界面活性剤の代替的な供給源を使用することが支持され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、地球から抽出されたものの代わりに、バイオ再生可能な供給源から作製される高い線状性を有する線状アルキルベンゼンを提供することが望ましい。更に、容易に処理されるトリグリセリド、並びに植物油、動物油、堅果油、及び/又は種子油からの脂肪酸から再生可能な線状アルキルベンゼンを提供することが望ましい。パーム核油、ヤシ油、及びババス油は、洗剤産業において望ましいアルキル炭素数範囲と一致する、望ましい範囲のC9~C14n-パラフィンが高い組成を有する。そのような再生可能な供給源はまた、大量のnC16~nC18供給物を有し、高い1回通過当たりの収率で、これらの供給物をnC9~nC14供給物に変換するのに望ましい。これらのnC9~nC14中間生成物は、追加のプロセスステップを通じて、最終的に、線状アルキルベンゼンタイプの洗剤を生成するのに有用である。生じるnC9~nC14パラフィンが、最小限の分岐異性体生成物を有する線状生成物であることが、更に望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明による、トリグリセリドからアルキルベンゼンを生成するためのプロセスの一実施形態の概略図である。
【
図2】実施例2による、脱酸素化温度に対するノルマルパラフィン質量%のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、トリグリセリドから、具体的には、水素化後に16個未満の炭素原子を有する60重量%以上のノルマルパラフィンを生成するトリグリセリドから、アルキルベンゼンを生成するためのプロセスに関する。また、これらのトリグリセリドのうちの一部は、脱水素化後に16~24個の炭素原子を有する実質的な量の、例えば、20~30%のノルマルパラフィンを生成する。これらのパラフィンは、洗剤製品の生成に望まれるよりも長い。
【0008】
いくつかの実施形態では、二水素化後に16個の炭素原子を有するノルマルパラフィンの量は、20%未満、又は15%未満、又は10%未満である。
【0009】
トリグリセリドは、天然油に由来する。天然油は、ケロシン又は他の化石燃料に基づかない。天然油としては、植物若しくは藻類材料、又は動物性脂肪、堅果油及び/又は種子油、並びにトリグリセリド含有油から誘導されたものが挙げられ、多くの場合、再生可能油と称される。天然油は、典型的には、トリグリセリド、遊離脂肪酸、又はそれらの組み合わせを含む。天然油としては、限定されないが、アラキス油(ピーナツ油;ラッカセイ油)、ババス油、ヤシ油、綿実油、グレープシード油、トウモロコシ油(コーン油)、カラシナ種子油、パーム核油、パーム油、パームオレイン(パーム油の分留から誘導される液体画分)、パームステアリン(パーム油の分留から誘導される高融点画分)、ナタネ油、ナタネ油-低エルカ酸(低エルカ酸アブラナ油);低エルカ酸セイヨウアブラナ油;キャノーラ油)、サフラワー種子油(サフラワー油;紅花(carthamus)油;紅花(kurdee)油)、サフラワー種子油-高オレイン酸(高オレイン酸サフラワー油;高オレイン酸紅花(carthamus)油;高オレイン酸紅花(kurdee)油)、ゴマ種子油(ゴマ油;ジンゲリー油;ベネ油;ベン油;ティル油;ティリー(tillie)油)、大豆油(ダイズ油)、ヒマワリ種子油(ヒマワリ油)、及びヒマワリ種子油-高オレイン酸(高オレイン酸ヒマワリ油)が挙げられる。
【0010】
いくつかの実施形態では、トリグリセリドは、脱酸素化後に12又は14個の炭素原子を有する15重量%以上のノルマルパラフィンを生成する。いくつかの実施形態では、トリグリセリドは、脱酸素化後に12個の炭素原子を有する10重量%以上のノルマルパラフィンを生成する。
【0011】
本発明による、トリグリセリドからアルキルベンゼンを作製するためのプロセスは、トリグリセリドを脱酸素化してパラフィンを形成することを含む。パラフィンは、(分留、蒸留などによって)C9~C14パラフィンを含むC9~C14流と、C14+(すなわち、C15~C28の炭素鎖を含有する)パラフィンを含むC14+流とに分離される。C14+流は、C14+パラフィンを分解するために別の線状選択分解ユニットに送られ、分解されたパラフィンは、C9~C14ノルマルパラフィン及び軽度に分岐したパラフィンを含む第1の流れ、及びイソパラフィンを含む第2の流れへと分留される。汚染物質は、限定されないが、硫黄化合物、若しくは窒素化合物、若しくはリン化合物、若しくは酸素化物、若しくは芳香族、又はそれらの組み合わせを含み、C9~C14流及び第1流から除去される。除染された流れは、脱水素化されて、オレフィン、ジ-オレフィン、及び芳香族が形成される。ジ-オレフィンは、選択的に水素化されて追加のオレフィンを形成し、芳香族は、分離され除去されて、芳香族を含む芳香族流、及びモノ-オレフィンを含むモノ-オレフィン流を形成する。ベンゼンは、オレフィンでアルキル化され、アルキル化流出物は、アルキルベンゼン及びベンゼンを含む。次いで、アルキルベンゼンが単離される。
【0012】
線状選択分解ステップについて、更に記載する。第1段階からの硫黄及び窒素汚染物質は、金属系水素化分解触媒を被毒し得るので、線状選択分解は、第1段階水素化分解反応器の底部床ではなく、別々のユニットで行う。C14+パラフィンは、より高い吸収エネルギーに起因して、C9~C14よりも選択的に分解される。
【0013】
貴金属(ルテニウム及び白金など)及びニッケルを含む特定の金属触媒を選択することによって、以前のプロセスよりもはるかに高い収率の、9~14個の炭素を有するノルマルパラフィンを生成することができる。好適な触媒としては、限定されないが、Ru/ZrO2、Pt-Al2O3、Ni-アルミナ、又はNiOx/粘土が挙げられる。これらの触媒を用いることによって、C14+流は、顕著な量の分岐異性体を生成することなく、線状分解生成物を生成することができる。
【0014】
好ましい触媒のうち、Ru触媒は、他の触媒よりもはるかに高い活性及び1回通過当たりのnC9~nC14収率を呈する。また、最適化された反応条件下では、メタン及び異性化された生成物の生成は非常に少量である。これは、そのような化学変換プロセスに最良の触媒であることが見出されている。Pt-Al2O3触媒は、Ru系触媒よりも更に低いメタン収率を生じ得、線状生成物収率がわずかに低い。
【0015】
触媒失活を制限するために、水素化脱酸素の前に、硫黄、塩化物、及び金属汚染物を除去するために供給物は処理される。さもなければ、硫黄、塩化物、及び金属が、触媒上に蓄積し、これが失活をもたらす。高温水素処理は、失われた活性の一部を回復することが示された。水素化脱酸素の程度は、9~14個の炭素範囲のノルマルパラフィンの各々への選択性に影響を及ぼし得る。水素化脱酸素の程度が大きいと、水素化脱酸素された組成物が、ノルマルドデカン及びノルマルデカンに大きく偏って、ノルマルウンデカン及びノルマルトリデカンが損なわれる場合がある。水素化脱酸素の程度が小さいと、水素化脱酸素された組成物が、ノルマルウンデカン及びノルマルトリデカンに偏って、ノルマルドデカン及びノルマルデカンを損なう場合がある。
【0016】
水素化脱酸素反応器温度は、低く保たれ、典型的なバイオ再生可能な供給原料については343℃(650°F)未満、より高い遊離脂肪酸(free fatty acid、FFA)濃度を有する供給原料については、FFA中に見出されるオレフィンの重合を回避するために、304℃(580°F)未満に保たれる。一般に、700kPa(100psig)~21MPa(3000psig)の水素化脱酸素反応器圧力が好適である。
【0017】
全体のプロセスについて、以下に記載する。
【0018】
アルキルベンゼン生成物の線状性は、ベンゼンをアルキル化するために使用されるパラフィンの線状性に大きく依存する。当業者による一般的な経験則では、パラフィン供給物の線状性は、脱水素化及びアルキル化後に5~7質量%低下する。したがって、97質量%の線状性を有するパラフィン(又はあるいは3質量%のイソパラフィン)は、約90~92質量%の線状性を有するアルキルベンゼン生成物を生じるであろう。これによって、パラフィン線状性の要件は、アルキルベンゼン生成物の仕様よりも5~7質量%高く設定される。典型的には、パラフィン生成物の線状性は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、ASTMから入手可能なUOP621、UOP411、又はUOP732標準試験方法によって測定される。線状アルキルベンゼンは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、ASTM標準試験方法D4337を使用して分析することができる。
【0019】
図には、特定のトリグリセリド供給物からアルキルベンゼン生成物を生成するための例示的なシステム100が示されている。
【0020】
示される実施形態では、選択されたトリグリセリド供給物105は、水素供給物(図示せず)も受け取る脱酸素化ユニット110に送達される。脱酸素化ユニット110では、選択されたトリグリセリド供給物105中の脂肪酸が脱酸素化され、ノルマルパラフィンへと変換される。構造的に、トリグリセリドは、グリセロール架橋で一緒に結合された3つの、典型的には異なる脂肪酸分子によって形成される。グリセロール分子は、3個のヒドロキシル基(HO--)を含み、各脂肪酸分子は、カルボキシル基(COOH)を有する。トリグリセリドでは、グリセロールのヒドロキシル基が、脂肪酸のカルボキシル基と結合してエステル結合を形成する。したがって、脱酸素化の間に、脂肪酸は、トリグリセリド構造から遊離され、ノルマルパラフィンへと変換される。グリセロールは、プロパンへと変換され、ヒドロキシル基及びカルボキシル基中の酸素は、水、二酸化炭素、又は一酸化炭素へと変換される。脂肪酸及びトリグリセリドの脱酸素化反応は、それぞれ以下のように示される:
【0021】
【0022】
脱酸素化反応の間、作製されるパラフィン鎖Rnの長さは、正確な反応経路に応じて1の値だけ変動するであろう。脱酸素化は、水素化脱酸素、脱炭酸化、及び脱カルボニル化のうちの少なくとも1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含むことが理解される。例えば、二酸化炭素が形成される場合、鎖は、脂肪酸源よりも1つ少ない炭素を有するであろう。水が形成される場合、鎖は、脂肪酸源の長さに一致するであろう。
【0023】
脱酸素化ユニットの操作条件としては、250~800psig(1724~5516kPa)の範囲の圧力、及び一実施形態では274℃~371℃(525°F~700°F)、別の実施形態では274℃~338℃(525°F~640°F)、及び別の実施形態では274℃~310℃(525°F~590°F)の範囲の温度が挙げられる。触媒としては、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、及びそれらの混合物上に、Ni--Mo、Ni--Mo--P、Ni--Co--Mo、又はCo--MoなどのNi、Mo、Co、Pのうちの1つ以上を含有するものを挙げることができる。好適な水素対炭化水素モル比としては、1500~10,000、4000~9000、及び5000~8000の供給原料バレル当たりの標準立方フィート/(standard cubic feet per barrel of feedstock、scf/B)が挙げられる。好適な空間速度としては、0.2~3.0hr-1LHSVが挙げられる。条件は、パラフィンの分解又は異性化を最小限に抑えるように選択される。
【0024】
ノルマルパラフィン、水、二酸化炭素、一酸化炭素、及びプロパンを含有する脱酸素化された生成物は、C9~C14流115及びC14+流120へと分留される。分離は、多段分留ユニット、蒸留システム、又は同様の既知の装置で実施され得る。いずれの事象でも、分離器は、脱酸素化された生成物から水、二酸化炭素、一酸化炭素、及びプロパンを除去する。C5~C9の炭素鎖長を有するパラフィンのナフサ流(図示せず)も、形成され得る。
【0025】
C14+流120は、線状選択分解ユニット125に送られ、そこで選択的に分解されて、上述のように、ノルマル又は軽度に分岐したC9~C14パラフィンを含む第1の流れ130、及びイソパラフィンを含む第2の流れ135が形成される。
【0026】
脱酸素化ユニット110からのC9~C14流115及び線状選択分解ユニット125からの第1の流れ130は、除染ユニット140に送られる。除染ユニット140は、吸着システムにおいて、C9~C14流115及び第1の流れ130中のC9~C14パラフィンから汚染物質を除去する。汚染物質としては、限定されないが、硫黄化合物、若しくは窒素化合物、若しくはリン化合物、若しくは酸素化物、若しくは芳香族、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
除染された流れ145は、脱水素化ユニット150に送られ、そこで水素が除去されて、モノ-オレフィン、ジ-オレフィン、及び芳香族を含む脱水素化された流れ155が生成される。脱水素化ユニット150において、パラフィンは、パラフィンと同じ炭素数のモノ-オレフィンへと脱水素化される。典型的には、脱水素化は、商業的に普及しているPacolプロセスなどの既知の触媒プロセスを通じて行われる。以下の等式で表される脱水素化反応の望ましくない結果として、ジ-オレフィン(すなわち、ジエン)及び芳香族も生成される:
モノ-オレフィン形成:CxH2x+2→CxH2x+H2
ジ-オレフィン形成:CxH2x→CxH2x-2+H2
芳香族形成:CxH2x-2→CxH2x-6+2H2
【0028】
脱水素化ユニット150の操作条件としては、5~50LHSV及び20~32LHSVの空間速度、1kPa(g)~1013kPa(g)(0.1psig~150psig)の圧力、400℃~500℃及び440℃~490℃の温度、並びに1~12及び3~7の水素対炭化水素モル比が挙げられる。好適な触媒の一例は、白金が減衰金属で減衰されているPt-アルミナ触媒である。別の好適な触媒は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,177,381号に記載されている。脱水素化ユニット150は、乾燥した状態で、又は最大2000質量-ppmの水を注入して、操作され得る。水素は、上流の脱酸素化ユニットに再循環され得る。
【0029】
脱水素化された流れ155は、DeFine反応器などの選択的水素化ユニット160に送られ、そこでジ-オレフィンの少なくとも一部分が水素化されて追加のモノ-オレフィンが形成される。結果として、モノ-オレフィン流170は、脱水素化された流れ155と比較して増加した、モノ-オレフィン濃度を有する。芳香族は分離され、芳香族流165として除去される。上流処理中の分解又は他の反応から生じたブタン、プロパン、エタン、及びメタンなどの任意の軽質分を含有する軽質末端流167も除去され得る。
【0030】
モノ-オレフィンを含むモノ-オレフィン流170は、ベンゼン流180とともにアルキル化ユニット175に送られる。ベンゼンは、モノ-オレフィンでアルキル化されてアルキルベンゼンが形成される。アルキル化ユニット175は、モノ-オレフィンによるベンゼンのアルキル化を支援する、固体酸触媒などの触媒を含有する。フッ素化シリカ-アルミナ、フッ化水素(hydrogen fluoride、HF)、塩化アルミニウム(AlCl3)、ゼオライト、及びイオン液体触媒は、線状モノ-オレフィンによるベンゼンのアルキル化のための商業的使用における主な触媒の一例であり、アルキル化ユニット175において使用され得る。アルキル化の結果として、典型的には線状アルキルベンゼン(linear alkylbenzene、LAB)と呼ばれるアルキルベンゼンが、以下の反応に従って形成される:
C6H6+CxH2x→C6H5CxH2x+1
【0031】
アルキル化ユニット175に好適な操作条件としては、1~10LHSVの空間速度、2068kPa(g)~4137kPa(g)(300psig~600psig)などの液相操作を維持する圧力、80℃~180℃及び120℃~170℃の範囲の温度、3~40及び8~35のベンゼン対オレフィンモル比が挙げられる。
【0032】
過剰量のベンゼンがアルキル化ユニット175に供給されて、高度の所望のアルキル化が達成される。したがって、アルキル化ユニット175を出るアルキル化流出物185は、アルキルベンゼン及び未反応ベンゼンを含有する。更に、アルキル化流出物185はまた、いくらかの未反応パラフィンを含み得る。アルキル化流出物185は、アルキル化流出物185から未反応ベンゼン及びパラフィンを分離するために、分留カラムなどのベンゼン分離ユニット190に送られる。未反応ベンゼンは、ベンゼン分離ユニット190を出てベンゼン再循環流195となり、所望のベンゼン/オレフィン比(例えば、1~50)を維持するために、アルキル化ユニット175に送り戻されて、必要とされる作り出されるベンゼンの体積を低減することができる。作り出されるベンゼンの必要量(すなわち、正味のベンゼン)は、アルキル化ユニットに対する正味のオレフィンによって決定される。また、パラフィン流200が分離され得、脱水素化ユニット150に再循環され得る。
【0033】
アルキル化後分離プロセスの結果として、線状アルキルベンゼン生成物205が単離される。線状アルキルベンゼン生成物205を単離するためのそのような分離プロセスは、全ての実施形態に必要ではないことに留意されたい。
【0034】
線状アルキルベンゼン生成物205は、式中、nが、9~14である、式C6H5CnH2n+1を有するアルキルベンゼンを含む、線状アルキルベンゼン生成物である。いくつかの実施形態では、アルキルベンゼンの少なくとも80質量%、又は少なくとも90質量%が、線状アルキル基を有する。
【0035】
線状アルキルベンゼンは、スルホン化されて、式中、nが、10~14であるか、又はnが、11~13である、式CnH2n+1C6H4SO3Hを有するアルキルベンゼンスルホネート化合物を含む線状アルキルベンゼンスルホネート生成物が提供され得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「分離器」という用語は、入口と、少なくとも塔頂蒸気出口及び塔底液体出口とを有し、ブートからの水性流出口も有し得る容器を意味する。フラッシュドラムは、より高い圧力で操作され得る分離器と下流連通し得るタイプの分離器である。「連通」という用語は、列挙された構成要素間で流体の流れが動作可能に許容されることを意味し、これは「流体連通」として特徴付けることができる。「下流連通」という用語は、下流連通している対象に流れる流体の少なくとも一部が、流体連通している物体から動作可能に流れることができることを意味する。
【0037】
「カラム」という用語は、異なる揮発性の1つ以上の成分を分離するための1つ又は複数の蒸留カラムを意味する。別途記載のない限り、各カラムは、カラムの頂部に戻る塔頂流の一部を凝縮かつ還流させるためにカラムの塔頂に凝縮器と、底部流の一部を、気化させ、カラムの底部へと返送するためにカラムの底部に再沸器と、を含む。カラムへの供給物は、予熱され得る。頂部圧力は、カラムの蒸気出口における塔頂蒸気の圧力である。底部温度は、液体底部出口温度である。別途記載のない限り、塔頂ライン及び塔底ラインは、任意の還流又は再沸騰除去の下流のカラムからカラムまでの正味のラインを指す。ストリッパカラムは、カラムの底部にあるリボイラーを省略し、代わりに、水蒸気などの流動化不活性媒体から所要熱量及び分離の推進力を提供し得る。
【0038】
本明細書で使用される場合、「成分リッチ流」又は「成分流」という用語は、容器から出てくる流れが、容器への供給物よりも高い濃度の成分を有することを意味する。本明細書で使用される場合、「成分希薄流」という用語は、容器から出てくる希薄流が、容器への供給物よりも低い濃度の成分を有することを意味する。
【実施例0039】
実施例1
ヤシ油供給物を脱酸素化してパラフィンを形成し、脱水素化してモノ-オレフィンを形成し、ベンゼンをモノ-オレフィンでアルキル化して、66.4質量%の理論上の現代炭素含有量と比較して、ASTM D6866によって決定して62質量の96現代炭素の現代炭素含有量、UOP標準試験方法304によって決定して試料グラム当たり/1gのBrの臭素価、及び92質量%の線状性を有するアルキルベンゼン生成物を形成した。
【0040】
実施例2
480psigの圧力、7200scf/BのH対バイオ油比、及び1hr’のLHSVで、触媒を使用して油を脱酸素化した。操作中、脱酸素化反応温度を315℃(600°F)から34.9℃(660°F)、次いで377℃(710°F)及び404℃(760°F)に段階的に上昇させて、反応温度に対する最終生成物の線状性の応答を監視した。結果は、反応温度に対するノルマルC10~C13パラフィンの質量%での濃度のプロットである
図2に示される。
図2は、脱酸素化反応温度が上昇するにつれて、線状パラフィンの濃度が減少することを明確に示している。温度を404℃(760°F)未満に制御することによって、92質量パーセント超の線状パラフィンが生じた。
【0041】
注:実施例1及び2は、実施例3及び4として米国特許第9,079,814号に以前に含まれていた。
【0042】
特定の実施形態
以下を特定の実施形態と併せて説明するが、この説明は、前述の説明及び添付の特許請求の範囲の範囲を例解するものであり、限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【0043】
本発明の第1の実施形態は、トリグリセリドから誘導される線状アルキルベンゼン生成物を生成するための方法であって、脱酸素化後に16個未満の炭素原子を有する60%以上のノルマルパラフィンを生成するトリグリセリドを脱酸素化して、16個未満の炭素原子を有する60%以上のノルマルパラフィンを含むパラフィン流を形成することと、パラフィン流を分留して、C9~C14パラフィンを含むC9~C14流、及びC14+パラフィンを含むC14+流を形成することと、線状選択分解触媒の存在下の線状選択分解条件下で、別々の線状選択分解ユニットにおいて、C14+流を線状選択分解して、ノルマル又は軽度に分岐したC9~C14パラフィンを含む第1の流れ、及びイソパラフィンを含む第2の流れを形成することと、C9~C14流及び第1の流れから汚染物質を除去して、除染された流れを形成することであって、汚染物質が、硫黄化合物、若しくは窒素化合物、若しくはリン化合物、若しくは酸素化物、若しくは芳香族、又はそれらの組み合わせを含む、除染された流れを形成することと、除染された流れを脱水素化して、モノ-オレフィン、ジ-オレフィン、及び芳香族を含む脱水素化された流れを提供することと、脱水素化された流れ中のジ-オレフィンを選択的に水素化して追加のモノ-オレフィンを形成し、モノ-オレフィンから芳香族を分離及び除去して、芳香族を含む芳香族流、及びモノ-オレフィンを含むモノ-オレフィン流を形成することと、アルキル化条件下でモノ-オレフィンでベンゼンをアルキル化して、アルキルベンゼン及びベンゼンを含む、アルキル化流出物を提供することと、アルキルベンゼンを単離して、トリグリセリドから誘導されたアルキルベンゼン生成物を提供することと、を含む、方法である。本発明の一実施形態は、C9~C14流及び第1の流れが、組み合わされた後、C9~C14流及び第1の流れから汚染物質を除去して、除染された流れが形成される、この段落の第1の実施形態からこの段落の先行実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、線状選択分解触媒が、ルテニウム、白金、及びニッケル担持触媒、又はそれらの混合物を含む、この段落の第1の実施形態からこの段落の先行実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、線状選択分解条件が、290℃~455℃の範囲の温度、又は2.8MPa~17.5MPaの範囲の圧力、又はそれらの組み合わせを含む、この段落の第1の実施形態からこの段落の先行実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、アルキルベンゼン生成物の量が、線状選択分解ステップを伴わないプロセスにおいて生成されるアルキルベンゼンの量よりも多い、この段落の第1の実施形態からこの段落の先行実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、アルキルベンゼン生成物が、C9~C14鎖を有するアルキルベンゼンを含む、この段落の第1の実施形態からこの段落の先行実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、アルキルベンゼン生成物が、C10~C13鎖を有するアルキルベンゼンを含む、この段落の第1の実施形態からこの段落の先行実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、トリグリセリドが、脱水素化後に16個の炭素原子を有する0.1重量%~20重量%のノルマルパラフィンを生成する、この段落の第1の実施形態からこの段落の先行実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、C14+流が、C16~C18パラフィンを含む、この段落の第1の実施形態からこの段落の先行実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、トリグリセリドが、脱酸素化後に12又は14個のいずれかの炭素原子を有する15重量%以上のノルマルパラフィンを生成する、この段落の第1の実施形態からこの段落の先行実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、トリグリセリドが、脱酸素化後に12個の炭素原子を有する10重量%以上のノルマルパラフィンを生成する、この段落の第1の実施形態からこの段落の先行実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。
【0044】
本発明の第2の実施形態は、トリグリセリドから誘導されるアルキルベンゼン生成物を生成するための方法であって、脱酸素化後に16個未満の炭素原子を有する60%以上のノルマルパラフィンを生成するトリグリセリドを脱酸素化して、16個未満の炭素原子を有する60%以上のノルマルパラフィンを含むパラフィン流を形成することと、パラフィン流を分留して、C9~C14パラフィンを含むC9~C14流、及びC14+パラフィンを含むC14+流を形成することと、線状選択分解触媒の存在下の線状選択分解条件下で、別々の線状選択分解ユニットにおいて、C14+流を線状選択分解して、ノルマル又は軽度に分岐したC9~C14パラフィンを含む第1の流れ、及びイソパラフィンを含む第2の流れを形成することであって、線状選択分解触媒が、ルテニウム、白金、及びニッケル担持触媒、又はそれらの混合物を含む、第2の流れを形成することと、C9~C14流及び第1の流れから汚染物質を除去して、除染された流れを形成することであって、汚染物質が、硫黄化合物、若しくは窒素化合物、若しくはリン化合物、若しくは酸素化物、若しくは芳香族、又はそれらの組み合わせを含む、除染された流れを形成することと、除染された流れを脱水素化して、モノ-オレフィン、ジ-オレフィン、及び芳香族を含む脱水素化された流れを提供することと、脱水素化された流れ中のジ-オレフィンを選択的に水素化して追加のモノ-オレフィンを形成し、モノ-オレフィンから芳香族を分離及び除去して、芳香族を含む芳香族流、及びモノ-オレフィンを含むモノ-オレフィン流を形成することと、アルキル化条件下でモノ-オレフィンでベンゼンをアルキル化して、アルキルベンゼン及びベンゼンを含む、アルキル化流出物を提供することと、アルキルベンゼンを単離して、トリグリセリドから誘導されたアルキルベンゼン生成物を提供することと、を含み、アルキルベンゼン生成物が、C9~C14鎖を有するアルキルベンゼンを含む、方法である。本発明の一実施形態は、C9~C14流及び第1の流れが、組み合わされた後、C9~C14流及び第1の流れから汚染物質を除去して、除染された流れが形成される、この段落の第2の実施形態からこの段落の先行実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、線状選択分解条件が、290℃~455℃の範囲の温度、又は2.8MPa~17.5MPaの範囲の圧力、又はそれらの組み合わせを含む、この段落の第2の実施形態からこの段落の先行実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、アルキルベンゼン生成物の量が、線状選択分解ステップを伴わないプロセスにおいて生成されるアルキルベンゼンの量よりも多い、この段落の第2の実施形態からこの段落の先行実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、トリグリセリドが、脱酸素化後に16個の炭素原子を有する0.1重量%~20重量%のノルマルパラフィンを生成する、この段落の第2の実施形態からこの段落の先行実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、トリグリセリドが、脱酸素化後に12又は14個のいずれかの炭素原子を有する15重量%以上のノルマルパラフィンを生成する、この段落の第2の実施形態からこの段落の先行実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、トリグリセリドが、脱酸素化後に12個の炭素原子を有する10重量%以上のノルマルパラフィンを生成する、この段落の第2の実施形態からこの段落の先行実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。
【0045】
更に詳述することなく、前述の説明を使用して、当業者が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明を最大限まで利用し、かつ本発明の本質的な特性を容易に確認することができ、本発明の様々な変更及び修正を行い、様々な使用及び条件に適合させることができると考えられる。したがって、先行する好ましい特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなるようにも本開示の残りを限定するものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものである。
【0046】
上記では、全ての温度は摂氏度で記載され、全ての部及び百分率は、別途記載のない限り、重量基準である。