(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173651
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】放射線検出装置
(51)【国際特許分類】
G01T 7/00 20060101AFI20241205BHJP
A61B 6/42 20240101ALI20241205BHJP
【FI】
G01T7/00 A
A61B6/42 500W
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024023262
(22)【出願日】2024-02-19
(31)【優先権主張番号】P 2023090273
(32)【優先日】2023-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023096030
(32)【優先日】2023-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】大橋 航一郎
(72)【発明者】
【氏名】江川 陸
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
【Fターム(参考)】
2G188AA03
2G188AA25
2G188BB02
2G188BB04
2G188BB05
2G188BB06
2G188CC17
2G188CC22
2G188DD05
2G188DD12
2G188DD38
2G188DD39
2G188DD47
2G188EE21
4C093AA03
4C093CA36
4C093EB12
4C093EB13
4C093EB17
(57)【要約】
【課題】 電源を着脱可能で且つ底面の清掃が容易な放射線検出装置を提供する。
【解決手段】 放射線撮像装置(100)は、放射線検出パネル(1)と、バッテリ(8)と、バッテリホルダ(20)と、筐体(101)と、を有し、筐体(101)は、天面部(2)と、底面部(3b)と、側面部(3a)と、を有し、側面部(3a)はバッテリ(8)を筐体(101)の内外に挿抜するための開口(9)を有し、バッテリホルダ(20)は、筐体(101)に対して固定された別部品である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を検出する放射線検出パネルと、
前記放射線検出パネルに電力供給をおこなう内蔵電源と、
前記内蔵電源を保持するための保持部材と、
前記放射線検出パネルと前記内蔵電源と前記保持部材とを収容する筐体と、を有し、
前記筐体は、前記放射線検出パネルに前記放射線を入射させるための天面部と、前記天面部とは反対側に位置する底面部と、前記天面部と前記底面部をつなぐ側面部と、を有し、
前記側面部は、前記内蔵電源を前記筐体の内外に挿抜するための開口を有し、
前記保持部材は、前記筐体に対して固定された別部品であることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
前記保持部材は、前記筐体に固定された状態で前記天面に沿って広がるホルダ上面部およびホルダ下面部と、前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部をつなぐホルダ側面部と、を有し、
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部の肉厚は前記ホルダ側面部の肉厚よりも薄いことを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項3】
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部は、前記ホルダ側面部と別部品であることを特徴とする請求項2に記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部は、同じ材料から成ることを特徴とする請求項2または3に記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部は、異なる材料から成ることを特徴とする請求項2または3に記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部は、前記ホルダ側面部の材料と同じ材料から成ることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部は、前記ホルダ側面部の材料と異なる材料から成ることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項8】
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部は、樹脂から成ることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項9】
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部は、PET樹脂から成ることを特徴とする請求項8に記載の放射線検出装置。
【請求項10】
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部は、可撓性を持つことを特徴とする請求項2乃至9のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
【請求項11】
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部は、剛体部材であることを特徴とする請求項2乃至9のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
【請求項12】
前記ホルダ上面部は前記支持基台に対して間隔をあけて配置されることを特徴とする請求項2乃至11のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
【請求項13】
前記ホルダ下面部は前記支持基台に対して間隔をあけて配置されることを特徴とする請求項2乃至11のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
【請求項14】
前記内蔵電源を前記保持部材に固定するための固定部材を更に有することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
【請求項15】
前記開口の近傍において、前記筐体の内部には補強リブが設けられていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
【請求項16】
前記補強リブは、前記底面部を構成する部材に対して一体に形成された構造物、または、前記底面部を構成する部材に対して締結された部材であることを特徴とする請求項15に記載の放射線検出装置。
【請求項17】
前記内蔵電源は、バッテリまたはキャパシタであることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
【請求項18】
前記底面部は、前記天面部の側に向かって窪んだ把持部を有することを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
【請求項19】
前記把持部は、最寄りの側面部との距離が25~40mmであることを特徴とする請求項18に記載の放射線検出装置。
【請求項20】
前記把持部は、5.0~8.0mmの深さを有することを特徴とする請求項18または19に記載の放射線検出装置。
【請求項21】
前記把持部の短手方向長さは15~30mmであることを特徴とする請求項18乃至20のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
【請求項22】
前記底面部の外周を四辺形状としてみたとき、前記把持部は、前記開口が設けられた側面部に対応する辺に沿って長手方向長さを持つことを特徴とする請求項18乃至21のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
【請求項23】
前記内蔵電源の厚さは、前記把持部の深さよりも薄いことを特徴とする請求項18乃至22に記載の放射線検出装置。
【請求項24】
前記保持部材は前記開口を介して前記筐体に着脱可能であることを特徴とする請求項1乃至23のいずれか1項に記載の放射線検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出装置に関する。放射線検出装置は、医療診断機器、非破壊検査機器として用いられる装置であり、例えばX線フラットパネルディテクタである。
【背景技術】
【0002】
工業用の非破壊検査や医療診断の現場では、対象物を透過した放射線を検出して放射線画像を得る放射線撮像装置(放射線検出装置)が利用されている。また、昨今では、放射線撮像装置の可搬性を考慮して、電源としてのバッテリからの電力供給によって動作可能なタイプの放射線撮像装置が普及している。
【0003】
特許文献1では、バッテリを側方から挿抜して交換するタイプの放射線撮像装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の放射線撮像装置は、清掃容易性の観点で改善の余地がある。なぜならば、特許文献1の放射線撮像装置はその底面のバッテリ装着部分に細い溝を生じているため、放射線撮像装置の設置位置に液体状または粉体状の汚れがあった場合に、この溝に汚れが入り込み拭き取り困難となってしまうからである。
【0006】
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、電源を着脱可能で且つ底面の清掃が容易な放射線撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明に係る放射線検出装置は、放射線を検出する放射線検出パネルと、前記放射線検出パネルに電力供給をおこなう内蔵電源と、前記内蔵電源を保持するための保持部材と、前記放射線検出パネルと前記内蔵電源と前記保持部材とを収容する筐体と、を有し、前記筐体は、前記放射線検出パネルに前記放射線を入射させるための天面部と、前記天面部とは反対側に位置する底面部と、前記天面部と前記底面部をつなぐ側面部と、を有し、前記側面部は、前記内蔵電源を前記筐体の内外に挿抜するための開口を有し、前記保持部材は、前記筐体に対して固定された別部品であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
電源を着脱可能で且つ底面の清掃が容易な放射線検出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)は、放射線撮像装置の天面側を斜視する図である。
図1(b)は、放射線撮像装置の底面側を斜視する図である。
【
図2】放射線撮像装置のA-A断面を示す図である。
【
図3】放射線撮像装置のB-B断面を示す図である。
【
図6】バッテリ収容部にバッテリを装着した状態を示す図である。
【
図7】
図7(a)はバッテリを挿入する様子を示す図である。
図7(b)はバッテリが装着された様子を示す図である。
【
図8】
図8(a)は、放射線撮像装置の天面側を斜視する図である。
図8(b)は、放射線撮像装置の底面側を斜視する図である。
【
図9】バッテリ収容部と把持部の関係を示す図である。
【
図10】放射線撮像システムの構成を示す図である。
【
図11】バッテリ収容部と把持部の関係を示す図である。
【
図12】バッテリ収容部と把持部の関係を示す図である。
【
図13】放射線撮像装置のB-B断面を示す図である。
【
図15】
図15(a)はバッテリを挿入する様子を示す図である。
図15(b)はバッテリが装着された様子を示す図である。
【
図16】
図16(a)はバッテリホルダを挿入する様子を示す図である。
図16(b)はバッテリホルダが装着された様子を示す図である。
【
図17】放射線撮像装置のC-C断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について具体的な実施例をあげ、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施例では装置の構成要素を複数挙げているが、これら全ての構成要素が発明に必須のものとは限らない。例えば、一部の構成要素を削除、置換等してもよい。また、複数の実施例の特徴を組み合わせてもよい。
【0011】
(実施例1)
<システム>
放射線撮像装置(放射線撮影装置、放射線検出装置)の利用環境である放射線撮像システムについて説明する。
図10は、放射線撮像システムの概略構成を示す図である。放射線撮像システム1000は、放射線撮像装置100、制御装置400、放射線発生部300、RIS510、PACS520、HIS530を備えている。なお、RISは、Radiology Information Systems(放射線部門内情報システム)の略称である。PACSは、Picture Archiving and Communication Systems(画像サーバ)の略称である。HISは、Hospital Information Systems(院内情報システム)の略称である。
【0012】
放射線発生部(放射線発生装置、放射線照射装置)300は、放射線を発生させる放射線管を具備しており、患者等の被写体600に対して放射線を照射する。ここでは、X線だけでなく、α線、β線、γ線、粒子線、宇宙線なども、放射線に含まれるものとする。
【0013】
放射線撮像装置100は、放射線発生部300から照射された放射線に基づき画像を生成する。放射線撮像装置100は例えばフラットパネルディテクタである。放射線撮像装置100の詳細は後述する。
【0014】
制御装置400は、放射線撮像装置100、放射線発生部300及びネットワーク500を介して接続可能な各装置を中継する装置である。制御装置400は、撮像制御部410と、照射制御部420と、UI制御部430とを有する。
【0015】
撮像制御部410は、放射線撮像装置100と通信して放射線撮像(放射線撮影)のための各種制御をおこなう。例えば、撮像制御部410は、放射線撮像装置100に対して、放射線撮像にともなう各種通信処理を実行する。この通信処理では、撮像条件の設定情報、動作制御の設定情報、画像情報、到達線量情報等がやりとりされる。
【0016】
照射制御部420は放射線発生部300と通信して、放射線の照射条件等を制御する。
【0017】
照射制御部420は、取得した線量情報に基づいて放射線発生部300に照射制御信号などの情報を出力する。
【0018】
照射制御部420から放射線発生部300に伝達される照射制御信号は、放射線の照射を停止するための停止信号(照射停止信号)と放射線を照射するため照射信号(非照射停止信号)の2つを含みうる。照射制御部420は、停止信号および照射信号の双方、または、一方の信号の出力を制御することによって、放射線発生部300からの放射線の照射および停止を制御することが可能である。
【0019】
UI制御部430は、操作部431を介する情報の入力と、表示部432を介する情報の出力を制御する。例えば、操作部431を介して放射線撮像の撮像条件が入力され、表示部432を介して放射線撮像の結果が出力される。操作部431は、キーボード、ポインティング装置(例えば、マウス等)、タッチパネルなどの入力装置を備える。表示部432は液晶ディスプレイ等のモニタを備える。
【0020】
UI制御部430には、技師により、放射線撮像に必要な各種情報が入力される。入力される情報としては、線量、照射時間(ms)、管電流(mA)、管電圧(kV)、放射線を検出する領域である採光野などである。これらの情報は、撮像制御部410を介して放射線撮像装置100に送信される。
【0021】
撮像制御部410と、照射制御部420と、UI制御部430は互いに通信することにより連携することができる。
図10では、説明を簡単にするため制御装置400を1つの装置として記載しているが、制御装置400は複数の装置によって構成されていてもよい。例えば、撮像制御部410と、照射制御部420と、UI制御部430とはそれぞれ独立した装置であってもよい。
【0022】
制御装置400は、放射線発生部300と有線で接続され、放射線撮像装置100とは有線通信または無線通信で接続されており、各機器と通信してその動作を制御する。有線通信はEthernet(登録商標)等のLAN(Local Area Network)を介して行うことができるが、他の有線通信方式により通信を行ってもよい。また、無線通信のための構成である無線通信ユニットは、例えば電波を送受信するためのアンテナと通信用ICを備える。通信用ICを備える回路基板は、アンテナを介して無線LANに基づいたプロトコルの通信処理を行う。なお、無線通信における周波数帯、規格や方式には特に限定無くNFC、Bluetoothなどの近接無線やUWBなどの方式を使用してもよく、複数の無線通信の方式を有し適宜選択して通信を行っても良い。
【0023】
また、制御装置400は、RIS510、PACS520、HIS530とネットワーク500を介して接続されており、放射線画像や患者情報等をやり取りすることができる。
図10では放射線撮像システム1000の中にRIS510、PACS520、HIS530が含まれるものとして記載されているが、これらの少なくとも一部を含まないシステムであってもよい。
【0024】
<放射線撮像装置>
実施例1における放射線撮像装置について説明する。
図1(a)は、放射線撮像装置の天面側を斜視する図である。
図1(b)は、放射線撮像装置の底面側を斜視する図である。
図2は、放射線撮像装置のA-A断面を示す図である。
【0025】
放射線撮像装置100は、放射線を電気信号に変換するための放射線検出パネル1を有する。放射線検出パネル1は、入射した放射線を電気信号に変換する機能を有する。放射線検出パネル1は、ガラス基板または樹脂フィルム基材上に複数の光電変換素子が二次元状に配置されたセンサ基板1aと、センサ基板1aの上に配置された蛍光体層1bと、蛍光体層1bの上に配置された蛍光体保護膜1cから構成される。センサ基板1a上に配置される複数の光電変換素子は、MIS型、PIN型の可視光を検出し得る変換素子が用いられる。蛍光体保護膜1cは、防湿性が比較的高い材料から成り、蛍光体層1bを保護するために用いられる。ここで、放射線検出パネル1は、入射した放射線を放射線画像として画像化が可能な有効撮像領域を有する。放射線検出パネル1は、放射線の入射方向から見て、複数の光電変換素子が配置された平面上の全ての領域、あるいは、その一部の領域が有効撮像領域として規定される。
【0026】
上述の構成により、放射線検出パネル1は、入射した放射線によって蛍光体層1bが発光し、当該発光した光をセンサ基板1a上に配置された光電変換素子が電気信号に変換する。放射線検出パネル1は、蛍光体層1bと光電変換素子の代わりに、放射線を直接電気信号に変換する直接変換型の変換素子を使用してもよい。
【0027】
放射線検出パネル1は、フレキシブル回路基板4を介して、制御基板5と電気的に接続されている。制御基板5は、放射線検出パネル1によって変換された電気信号を読み出し、読み出した電気信号を処理する。制御基板5は、当該電気信号をデジタル信号に変換し放射線画像データを取得する。
【0028】
上述した各構成物は、支持基台6によって支持される。支持基台6は、放射線の入射面側に放射線検出パネル1を支持する。また支持基台6は、放射線検出パネル1を支持する面と対向する面に、制御基板5を支持する。また、筐体101と放射線検出パネル1との間に、放射線検出パネル1を外力から保護する緩衝材7を有していてもよい。更に、放射線撮像装置100は、放射線検出パネル1および制御基板5の動作に用いる電力供給をするバッテリ8を備えている。バッテリ8は放射線撮像装置100に着脱可能に設けられる内蔵電源の一例である。内蔵電源として、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、全固体電池、電気二重層コンデンサ、キャパシタを用いることができる。本実施例では、バッテリは1つのみが配置されているがその限りではなく、複数配置されていてもよい。
【0029】
筐体101は、上述した各構成物を内包する。筐体101は、放射線が入射する入射面2(天面部)と、背面筐体3で構成される。背面筐体3は、放射線検出パネル1を挟んで入射面2と対向する(反対側の)位置において設置面に接触する背面部3b(底面部)と、4つの側面部3a(側壁部)を有する。なお、背面筐体3において、背面部3b(底面)と4つの側面部3aは一体の構造材で形成される。
【0030】
入射面2は、放射線検出パネル1に放射線を入射させるため、放射線の透過率が比較的高いことが望ましい。更に、入射面2は、重量が軽く、かつ衝撃に対し一定の強度を確保できることが好ましい。そのため、入射面2には、例えば、樹脂材料やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)などが用いられる。
【0031】
背面筐体3は、落下や衝撃などに対する強度の確保、運搬時の負担軽減を目的とした軽量化、およびユーザにとっての優れた操作性が確保されていることが望ましい。例えば、マグネシウムやアルミニウムまたはその両方を含む金属合金、CFRPや繊維強化樹脂などが背面筐体3の材料として用いられる。
【0032】
本実施例では、筐体101は、入射面2の部材と背面筐体3の部材とが、ビスによる締結や接着剤による接着によって結合された2分割構造である。本実施例では、背面筐体3と側面部3aを一体に構成して入射面2と分割する2分割構造であるが、入射面2と側面部3aを一体に構成して背面部3bと分割する2分割構成であってもよい。本実施例のように2分割構造の筐体101では、従来多く採用されている3分割構造の筐体に比べて部材間(接合部分)のつなぎ目に生じる隙間(溝)が少ない。そのため、薬剤消毒や紫外線殺菌等の清掃作業を効率よく行うことができる。また、筐体の剛性を向上させるやすい。
【0033】
<バッテリ装着構造>
図3は、放射線撮像装置のB-B断面を示す図である。
図4は、バッテリの外観を示す図である。
【0034】
背面筐体3の4つの側面部3aの少なくとも一つの面には、バッテリ8を筐体の内外に挿抜するための開口9が存在する。また、開閉可能な開口カバー10(蓋部材)が配置されており、開口9を覆うことができる。本実施例では、開口9と開口カバー10は矩形であるがその限りではなく、略矩形や楕円形などでもよく、また、開口カバー10はバッテリ8と別体であっても一体となっていてもよい。本実施例では、バッテリ8は
図4に示すように略六面体の形状である。しかしながらバッテリ8の形状はこの限りではなく、例えば、開口9に挿入しやすいようにバッテリ8の端子8d側の幅が小さくなっていてもよい。また、バッテリ8の上下を誤って装着しないように上下非対称の形状となっていたりしてもよい。開口カバー10と開口9の間にはシール部材(不図示)が配置されていることが望ましい。シール部材は、患者体液や消毒薬剤などが放射線撮像装置100の内部に侵入することを防ぐため、ゴムやクッション材で形成されることが望ましい。また、背面部3bの厚み分、開口9は設置面よりも高い位置にある。そのため、汚れた設置面に放射線撮像装置100が載置されたとしても、開口9から侵入しにくい。なお、シール材は開口カバー10側、開口9側のいずれに配置されていてもよい。
【0035】
従来の放射線撮像装置では、バッテリ8を広い面8b側から挿入する構造、あるいは、バッテリ8を装着した状態において広い面8bを外側に露出する構造であることが多かった。こうした構造の場合、広い面8bに準じた大きさの開口を必要とする。そのため、開口を開口カバーで覆った際に生じる溝の量(合計長さ)も多かった。
【0036】
これに対し、本実施例では、放射線撮像装置100に対してバッテリ8を短側面8aの側から挿入する構造であり、且つ、バッテリ8を装着した状態においてその他の面が外側に露出しない構造である。そのため、開口9の大きさは短側面8aに準じた大きさで済む。また、開口9を開口カバー10で覆った際に生じる溝の量(周長、合計長さ)も、少なくて済む。したがって、薬剤消毒や紫外線殺菌などの清掃作業を効率よく行うことができる。なお、本実施例におけるバッテリ8は、
図3に示すようにZ軸方向において背面部3bに近い側に装着される。詳細には、バッテリ8は、支持基台を間に挟んで放射線検出パネル1とは反対側に配置される。そして、バッテリ8は、
図3のX軸方向において放射線検出パネル1と重複するように装着される。すなわち、放射線検出パネル1のサイズで規定されるスペースに対してX軸方向に追加のスペースを確保することなくバッテリ8を装着でき、放射線撮像装置100がX軸方向に肥大することを抑制できる。これに伴い、開口9のZ方向における中心線Dは、放射線撮像装置100のZ軸方向における中心線Cよりも背面部3b側に近い位置となる。また、バッテリ8を装着するスペースを確保できるよう、支持基台6は中心線Cよりも入射面2側に配置される。
【0037】
図5は、バッテリ収容部を示す図である。
図6は、バッテリ収容部にバッテリを装着した状態を示す図である。
図7(a)はバッテリを挿入する様子を示す図である。
図7(b)はバッテリが装着された様子を示す図である。
【0038】
収容部11(バッテリ収容部)は開口9と開口9の近傍に配置される複数の補強リブを含む。複数の補強リブは、バッテリ8の短側面8aを保持する短リブ11aと、バッテリ8の長側面8bを保持する長リブ11b、バッテリ8の2つの広い面8cを保持するホルダ面11c(片面は不図示)で構成される。収容部11の開口9は、側面部3aの領域確保やシール性の観点から、背面筐体3と一体化されている方が望ましいが、一体化していなくてもよい。さらに、短リブ11a、長リブ11b、ホルダ面11cは、背面筐体3と一体化されていてもよいし、一部が別構造材であったり、支持基台6と一体化されていたりしてもよい。短リブ11aや長リブ11bはバッテリ8を保持し、開口9によって低下した開口9周辺の筐体の剛性を向上させることができる。ホルダ面11cは、バッテリ8の挿抜時に広い面8cとの接触抵抗を低減し、挿抜をスムーズに行うために、バッテリ8の広い面8cと摩擦抵抗の小さい材料で形成されることが望ましい。
【0039】
続いて、バッテリ8の配置箇所について説明する。
図3に示すように、バッテリ8は、放射線検出パネル1と背面部3bの間に配置される。また、バッテリ8は、側面部3aのうち開口9が設けられていないZ軸方向の残りの領域と背面部3bとの間に配置される。バッテリ8を放射線検出パネル1と背面部3bの間に配置することで、放射線撮像装置100のサイズや重量の増加を抑制することができ、装置の可搬性や作業性の低下を抑制することができる。また、バッテリ8を、側面部3aの内部側への突出部と背面部3bとの間に配置することで、放射線撮像装置100の耐荷重の低下を抑制することができる。詳細には、側面部3aの内部側への突出部と背面部3bとの間に配置されたバッテリが、側面部3aからの負荷を一部受けることができる。そのため、入射面2側から荷重がかかった場合、例えば、患者が放射線撮像装置100に乗るような荷重が生じた場合、収容部11がこの荷重を分散させるため、耐荷重の低下を抑制することができる。
【0040】
なお、側面部3aに開口9を設けると、その幅が狭いため、装着されたバッテリ8を取り出しにくいことが想定される。そこで、本実施例では、
図6に示すように、バッテリ8の装着領域の奥側(短リブ11aに相当)に付勢バネ12を配置する。バッテリ8装着すべく押し込むと、付勢バネ12に付勢力が付与される。そのため、装着状態を解除した際に付勢バネ12によってバッテリ8が飛び出し、ユーザがバッテリ8を掴んで取り出しやすくなる。付勢力を付与する機構としてはバネやゴムが挙げられるが、これに限定するものではない。
【0041】
続いて、付勢力が与えられたバッテリ8を押さえる機構について説明する。バッテリ8を抑える機構については種々の方法があるが、本実施例では、一例としてバッテリロック13を用いた方式としている。
図7にバッテリ装着中(
図7(a))とバッテリ装着後(
図7(b))の状態の断面図を示す。バッテリロック13にはバネ14が接続されており、バッテリ8を収容部11内に挿入する際は、バッテリロック13の外観側に形成された斜面がバッテリ8に押されることで、バッテリロック13が背面側に引っ込み、挿入を阻害しないようになっている。バッテリ8が完全に装着されるとバネ14の付勢力によってバッテリロック13が押し戻り、バッテリ8が飛び出ないように押さえられるようになっている。逆に、バッテリ8を取り出す際は、バッテリロック13を指などで引っ込ませることで、付勢バネ12の付勢力により、バッテリ8が飛び出すようになっている。
【0042】
<効果>
以上に記載したように、実施例1に記載の放射線撮像装置100よれば、バッテリ交換を可能にしながらも、背面部3b(底面)の外表面に部材の継ぎ目による溝が生じない。そのため、放射線撮像装置100に対して消毒・殺菌等の清掃作業を効率よく行うことができる。
【0043】
(実施例2)
実施例1では、背面部3b(底面)に部材の継ぎ目による溝が生じない構造について説明した。実施例2では、清掃作業を妨げない範囲において背面部3b(底面)に凹凸を有する構造について説明する。なお、実施例2に登場する各種構成は上記特徴に関する部分を除いて実施例1と同様である。そのため、同様の構成については同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0044】
図8と
図9を用いて、実施例2における放射線撮像装置について説明する。
【0045】
図8(a)は、放射線撮像装置の天面側を斜視する図である。
図8(b)は、放射線撮像装置の底面側を斜視する図である。
図9は、バッテリ収容部の設置位置を示す図である。
【0046】
図8(b)に示すように、背面筐体3の背面部3bには側面アンテナ窓16と背面アンテナ窓17が設けられている。背面筐体3を金属(導電性部材)で形成する場合、放射線撮像装置100内部に配置した無線通信ユニットのアンテナ(不図示)から発した電波を阻害してしまう。そのため、外部装置との無線通信を可能にするように側面アンテナ窓16および背面アンテナ窓17は樹脂材料で形成された非導電性部材である。ここで、背面アンテナ窓17は開口9に取り付けられる開口カバー10のような着脱を前提としていない。背面筐体3を金属に設けた開口に対して隙間を生じないサイズで樹脂部材を取りつけることができ、十分な防水性能を有する。このように十分な防水性能を持ち、溝が生じないように処理が施された部材であれば、清掃への影響が少ないと判断できるため、背面部3bに配置してもよい。また、側面アンテナ窓16を配置せずに背面アンテナ窓17のみを配置してもよい。しかしながら、背面部3bに背面アンテナ窓17を設けなくて済むのであればその方が望ましい。そのため、側面アンテナ窓16のみを配置し、背面アンテナ窓17は配置しない構成としてもよい。
【0047】
図8(b)に示すように、背面筐体3の背面部3bの外周を四辺形状として見た場合、各辺付近に把持部18が設けられている。この把持部18は、背面部3bの側から入射面2に向けて窪んだ窪みであり、背面筐体3の他の部分と一体の部材によって形成されている。把持部18は、放射線撮像装置100を側方から把持した際に、把持部18の外周側の側壁に指を掛けられる寸法であることが望ましい。そのため、背面部3bの外周と把持部18の最寄りの位置との間の距離を25~40mmにするとよい。
【0048】
また、把持部18の深さはそこまで指が届く深さであることが望ましく、例えば5.0~8.0mmにするとよい。また、把持部18の幅(短手方向長さ)は指を挿入可能な幅であることが望ましく、例えば15~30mmにするとよい。把持部18の長手方向長さは幅よりも長いものとする。このような構成であれば、把持部18内に汚れが付着しても、紙や布などを指で押し込むようにして十分に清掃ができる。
【0049】
ところで、背面部3bを窪ませて把持部18を形成する場合、把持部18が位置する部分では筐体101の内部空間が減少する。そのため、この把持部18と位置が重複するように収容部11を形成することは困難である。したがって、
図9に示すように、バッテリ8と開口9を含む収容部11は、把持部18と把持部18から最も近い辺を結ぶ領域19には配置しない。換言すると、収容部11は領域19の外側に配置される。また、収容部11は領域19と間隔をあけて配置することが望ましい。上記により、ユーザが把持部18を握って放射線撮像装置100を持った際にユーザの手と開口9に装着された開口カバー10が干渉することを抑制できる。これにより、開口カバー10やバッテリ8が不意に脱落してしまうといった事態の発生を抑制でき、放射線撮像装置100の搬送時や位置調整作業時の作業性が向上する。
【0050】
また、
図8aや
図9に示すように、放射線撮像装置100には、バッテリ挿抜のための開口9と同じ側面部3aにユーザインターフェース部15が設けられる。ユーザインターフェース部15は、撮像装置の電源を切り替える電源スイッチやバッテリの残充電量を示すバッテリ表示部、撮像部の稼働状態を切り替えるレディスイッチ、撮像部の状態を示すレディ表示部など含む。ユーザインターフェース部15の構成はこの限りではなく、一部の構成はなくてもよいし、更なる構成を有していてもよい。
【0051】
開口9およびユーザインターフェース部15を同じ辺の側面部3aに設けると、バッテリの残充電量や電源の状態を確認してバッテリ交換する際などに作業性を向上させることができる。なお、同じ辺の側面部3aに開口9およびユーザインターフェース部15を設けるにあたり、開口9およびユーザインターフェース部15は、把持部18を間に挟んで反対側に配置される。換言すると、開口9およびユーザインターフェース部15は長手方向の中央に対して一方側と他方側に配置される。把持部18の持ちやすさを考慮して最寄りの辺の中央位置と対向するように把持部18を形成する場合、スペースを考慮してこのように設計される。しかしながら、開口9およびユーザインターフェース部15の配置はこれには限られず、別々の辺の側面部3aに設けてもよいし、開口9を長手方向の辺の側面部3aではなく短手方向の辺の側面部3aに設けてもよい。
【0052】
ところで、放射線撮像装置100を架台に組み込んで使用する場合、通常、放射線撮像装置100の背面部3bは設置面に設置しているためアクセスできない。そのため、背面部3aにバッテリを取り付ける従来構成では、一度架台から放射線撮像装置100を取り外さないとバッテリ交換ができなかった。これに対し、本実施例の放射線撮像装置100はバッテリ8を側方から交換可能であるため、放射線撮像装置100を架台に取り付けた状態でのバッテリ交換を行うことができる。
【0053】
<効果>
以上に記載したように、実施例1に記載の放射線撮像装置100よれば、バッテリ交換を可能にしながらも、背面部3b(底面)において清掃の妨げとならないように構造物を配置することができる。そのため、放射線撮像装置100に対して消毒・殺菌等の清掃作業を効率よく行うことができる。
【0054】
(実施例3)
実施例1、2では、背面筐体3と一体化するように形成された収容部11について説明した。実施例2では、背面筐体3と別体の部材で形成されたバッテリホルダ20について説明する。なお、実施例3に登場する各種構成は上記特徴に関する部分を除いて実施例1、2と同様である。そのため、同様の構成については同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0055】
特許文献1の放射線撮像装置は、バッテリ保護の観点で改善の余地がある。なぜならば、特許文献1の放射線撮像装置は、その背面側においてバッテリが露出する構造であるため、放射線撮像装置を設置面に設置する際にバッテリに衝撃が伝わり破損を招く虞があるからである。また、背面部においてバッテリを単純に覆った場合であっても、背面部に衝撃が発生した場合に背面部が変形してバッテリに接触し、結果としてバッテリに衝撃が伝わってしまう虞がある。実施例3は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、電源を着脱可能で且つ電源に対して外部からの衝撃が伝わることを抑制可能な放射線検出装置を提供することを目的とする。
【0056】
バッテリ8を保持するバッテリホルダ20について
図13および
図14を用いて説明する。
図14は、バッテリホルダ20のみを図示した外観図である。バッテリホルダ20は筐体101と独立した部品(保持部材)である。また、バッテリホルダ20は開口9を含み、ホルダ側面部20aとホルダ上面部とホルダ下面部の総称であるホルダ上下面部20b(片面は透過して図示する)から構成される。開口9がある面以外のすべての面でバッテリ8を支持、保持をするとともに、外部の衝撃からこれを保護する。バッテリ8を挿抜するためのスペースを確保するために、ホルダ上下面部20cはホルダ側面部20a,20bに対して肉厚が薄くなっていてもよい。また、ホルダ側面部20a,20bとホルダ上下面部20cは一体部品であっても別部品であってもよく、材料が同一であっても異なっていてもよい。さらにホルダ上下面部20cである二面それぞれの材料が同一であっても異なっていてもよい。材料は例えば樹脂やPET樹脂、PC-ABSなどが用いられる。これらの材料を強度確保や軽量化、摺動性の観点で好適であるが、他の材料を用いてもよい。開口カバー10と開口9の間にはシール部材(不図示)が配置されていることが望ましい。シール部材は、患者体液や消毒薬剤などが放射線撮像装置100の内部に侵入することを防ぐため、ゴムやクッション材で形成されることが望ましい。また、背面部3bの厚み分、開口9は設置面よりも高い位置にある。そのため、汚れた設置面に放射線撮像装置100が載置されたとしても、開口9から侵入しにくい。なお、シール材は開口カバー10側、開口9側のいずれに配置されていてもよい。また、シール材によってカバー10とバッテリホルダ20の間で防水が取れる方が好ましく、さらにカバー10とバッテリホルダ20の間で防水が取れることで、筐体101全体を防水できるようにする方が好ましい。
【0057】
バッテリホルダ20は、バッテリ8を保護する役割が求められる。そのため、外部からの衝撃により筺体101が変形した場合であっても、この衝撃がバッテリ8に伝わることを抑制できることが望ましい。そのため、ホルダ上下面部20bは、衝撃を受け止められるように十分な強度を持つ剛体部材を用いるか、あるいは、衝撃を吸収・分散できるように可撓性の部材を用いるとよい。また、バッテリホルダ20と背面部3bの間に空隙を設け、筺体101の変形の影響を受けにくくなるよう設計してもよい。
【0058】
また、実施例1と同様に付勢バネ12を設けてもよい。
図15(a)、
図15(b)に示すように、バッテリ8の装着領域の奥側(ホルダ側面部20aに相当)に付勢バネ12を配置する。
図15(a)はバッテリを挿入する様子を示す図である。
図15(b)はバッテリが装着された様子を示す図である。
【0059】
<効果>
以上に記載したように、実施例1に記載の放射線撮像装置100よれば、バッテリ8を筐体101の側方から挿抜することが可能となる。また、外部の衝撃からバッテリ8を保護することができる。さらに、バッテリホルダ20は、バッテリ8を保護するにあたって破損した場合であっても、背面筐体3から独立した部材であるので容易に交換することができる。
【0060】
また、実施例3に記載の放射線撮像装置100よれば、バッテリ8を筐体101の側方から挿抜することが可能となる。また、外部の衝撃からバッテリ8を保護することができる。さらに、バッテリホルダ20は、バッテリ8を保護するにあたって破損した場合であっても、背面筐体3から独立した部材であるので容易に交換することができる。
【0061】
(実施例4)
実施例3では、バッテリホルダ20によってバッテリ8を保護する例について説明した。実施例4では、バッテリホルダ20に加えて収容部11の補強リブによってバッテリ8を保護する例について説明する。なお、実施例4に登場する各種構成は上記特徴に関する部分を除いて実施例4と同様である。そのため、同様の構成については同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0062】
図11は補強リブを示す図である。
図16に示すように、実施例4の放射線撮像装置100は、筐体101に収容部11を備えている。収容部11(バッテリホルダ収容部)はバッテリ8およびバッテリホルダ20を保護する構造物である。補強11リブは、バッテリホルダ20の短側面8a側の領域を補強する部分と、バッテリホルダ20の長側面8bの領域を保持するコの字形状である。収容部11の補強リブの高さはバッテリホルダ20の厚さよりも高くなっており、筺体101に対して発生した外力をバッテリホルダ20ではなく補強リブで受けることが可能となる。収容部11の補強リブは、背面筐体3と一体化していてもよいし、支持基台6と一体化していてもよい。また、実施例4では、バッテリ8だけではなく、バッテリホルダ20自体を筐体101の側方から挿抜することが可能な構造となっている。
図16(a)はバッテリホルダを挿入する様子を示す図である。
図15(b)はバッテリホルタが装着された様子を示す図である。バッテリホルダ20を背面筐体3に取り付けるために、背面筐体3に開口9が設けられている。バッテリホルダ20は背面筐体3に対して自由に着脱可能であり、バッテリホルダ20の清掃や交換が容易となる。収容部11の補強リブで囲まれた収容スペースにバッテリホルダ20を挿入した後、バッテリホルダ20は背面筐体3に対して固定することが望ましい。固定方法の例としては、ねじ締結や両面テープ貼付等の固定部材を用いた固定方法が挙げられるがこの限りではない。
【0063】
<効果>
以上に記載したように、実施例4に記載の放射線撮像装置100よれば、バッテリ8およびバッテリホルダ20を筐体101の側方から挿抜することが可能となる。また、外部からの衝撃うぃ収容部11の補強リブで受け止めることができ、バッテリ8およびバッテリホルダ20を保護することができる。
【0064】
(実施例5)
実施例4では、収容部11の補強リブによってバッテリ8およびバッテリホルダ20を保護する例について説明した。実施例5では、他の目的で形成された把持部18を用いてバッテリホルダ20およびバッテリ8を保護する例について説明する。なお、実施例5に登場する各種構成は上記特徴に関する部分を除いて実施例3、4と同様である。そのため、同様の構成については同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0065】
図17はバッテリ収容部と把持部の関係を示す図である。
図17に示すように、把持部18の背面部3bを入射面2の側(支持基台6の側)に向けて深く窪ませることで形成されている。
図17は放射線撮像装置のC-C断面を示す図である。そして、把持部18の内表面は支持基台6に対して微少な間隔をあけて対向している。このような構成では、負荷がかかった際に背面部3bが変形し、把持部18の内表面と支持基台6が当接する。そのため、負荷を分散することができ、バッテリ8およびバッテリホルダ20に伝わる衝撃を低減することができる。なお、負荷分散の効果を十分に得るためにバッテリ8の厚みは把持部18の深さよりも薄いことが望ましい。
【0066】
<効果>
以上に記載したように、実施例5に記載の放射線撮像装置100よれば、バッテリ8およびバッテリホルダ20を筐体101の側方から挿抜することが可能となる。また、外部からの衝撃を把持部18で受け止めることができ、バッテリ8およびバッテリホルダ20を保護することができる。
【0067】
(その他の実施例)
本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施例の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施例及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0068】
本実施形態の開示は、以下の構成及び方法等を含む。
【0069】
図8(b)では、最寄りの辺の中央位置と対向する位置から左右対称に長手方向長さを持つように把持部18が形成されているが、把持部18は必ずしも左右対称でなくてもよい。
図11はバッテリ収容部と把持部の関係を示す図である。収容部11のスペースを確保することを優先して、
図11で示すように、収容部11が設けられた側を短く、反対側を長くするように把持部18aを形成してもよい。なお、その場合であっても把持部18aは最寄りの辺の中央位置と対向するように形成されることが望ましい。
【0070】
図8(b)では、開口9が形成された辺に対応する把持部18と、これと対向する辺に形成する把持部18の長手方向長さを同一の長さとしている。しかしながら、
図11で示すように、開口9が形成された辺に対応する把持部18aの長手方向長さを短く、対向する辺に形成される把持部18cの長手方向長さが長くなるように背面部3bを形成してもよい。
【0071】
図8(b)では、背面部3bの外周を成す各辺に対して1つずつ独立した把持部18を設けているが、把持部18の形状はこれに限られるものではない。
図12はバッテリ収容部と把持部の関係を示す図である。
図12に示すように、複数の辺に沿って長手方向長さを持つ把持領域を、1つの把持部18として形成してもよい。このように把持部18を形成する場合、収容部11を配置する領域に把持部18は形成されない。あるいは、把持部18を形成したとしても、その他の領域よりも窪みの深さが浅い。
【0072】
(付記)
本実施形態の開示は、以下の構成を含むものである。
【0073】
[構成1]
放射線を検出する放射線検出パネルと、
前記放射線検出パネルに電力供給をおこなう内蔵電源と、
前記放射線検出パネルと前記内蔵電源を収容する筐体と、を有し、
前記筐体は、前記放射線検出パネルに前記放射線を入射させるための天面部と、前記天面部とは反対側に位置する底面部と、前記天面部と前記底面部をつなぐ側面部と、を有し、
前記側面部は、前記内蔵電源を前記筐体の内外に挿抜するための開口を有し、
前記底面部の外表面は、複数の部材を接合することで生じる溝を有さないことを特徴とする放射線撮像装置。
【0074】
[構成2]
前記開口の近傍において、前記筐体の内部には補強リブが設けられていることを特徴とする構成1に記載の放射線撮像装置。
【0075】
[構成3]
前記補強リブは、前記底面部を構成する部材に対して一体に形成された構造物、または、前記底面部を構成する部材に対して締結された部材であることを特徴とする構成2に記載の放射線撮像装置。
【0076】
[構成4]
前記底面部と前記背面部は一体の部材であり、
アルミまたはマグネシウムまたはその両方を含む合金を材料とする部材であることを特徴とする構成1乃至3のいずれか1つに記載の放射線撮像装置。
【0077】
[構成5]
無線通信を行うために無線通信ユニットであって前記筐体の内部に収容される無線通信ユニットと、
前記無線通信ユニットの電波を透過させるための非導電性部材であって前記側面部に配置される非導電性部材と、とを有することを特徴とする構成1乃至4のいずれか1つに記載の放射線撮像装置。
【0078】
[構成6]
前記開口を塞ぐための蓋部材を有することを特徴とする構成1乃至5のいずれか1つに記載の放射線撮像装置。
【0079】
[構成7]
前記側面部を4つの面を有する構造として見た場合、前記開口が設けられた1つの面と同じ面にユーザインターフェースが設けられることを特徴とする構成1乃至6のいずれか1つに記載の放射線撮像装置。
【0080】
[構成8]
前記ユーザインターフェースは、表示部または操作部の少なくとも一方を含むことを特徴とする構成7に記載の放射線撮像装置。
【0081】
[構成9]
前記内蔵電源は、バッテリまたはキャパシタであることを特徴とする構成1乃至8のいずれか1つに記載の放射線撮像装置。
【0082】
[構成10]
前記底面部は、前記天面部の側に向かって窪んだ把持部を有することを特徴とする構成1乃至9のいずれか1つに記載の放射線撮像装置。
【0083】
[構成11]
前記把持部は、最寄りの側面部との距離が25~40mmであることを特徴とする構成10に記載の放射線撮像装置。
【0084】
[構成12]
前記把持部は、5.0~8.0mmの深さを有することを特徴とする構成10または11に記載の放射線撮像装置。
【0085】
[構成13]
前記把持部の短手方向長さは15~30mmであることを特徴とする構成10乃至12のいずれか1つに記載の放射線撮像装置。
【0086】
[構成14]
前記底面部の外周を四辺形状としてみたとき、前記把持部は、前記開口が設けられた側面部に対応する辺に沿って長手方向長さを持つことを特徴とする構成10乃至13のいずれか1つに記載の放射線撮像装置。
【0087】
[構成15]
前記開口は、前記把持部と対向しない領域に設けられることを特徴とする構成10乃至14のいずれか1つに記載の放射線撮像装置。
【0088】
[構成16]
前記開口が設けられた側面部に対応する辺に沿った方向において、前記開口と前記把持部は間隔あけて配置されていることを特徴とする構成10乃至15のいずれか1つに記載の放射線撮像装置。
【0089】
[構成17]
放射線を検出する放射線検出パネルと、
前記放射線検出パネルに電力供給をおこなう内蔵電源と、
無線通信を行うために無線通信ユニットと、
前記放射線検出パネルと前記内蔵電源を収容する筐体と、を有し、
前記筐体は、前記放射線検出パネルに前記放射線を入射させるための天面部と、前記天面部とは反対側に位置する底面部と、前記天面部と前記底面部をつなぐ側面部と、を有し、
前記側面部は、前記内蔵電源を着脱するための開口を有し、
前記底面部は、導電性の第1の部材と、非導電性の部材であって前記無線通信ユニットの電波を透過させるための第2の部材と、を接合して構成されており、
前記底面部の外表面は、前記第1の部材と前記第2の部材が接合された所定の接合部分を除き、複数の部材を接合することで生じる溝を有さないことを特徴とする放射線撮像装置。
【0090】
[構成18]
放射線を検出する放射線検出パネルと、
前記放射線検出パネルに電力供給をおこなう内蔵電源と、
前記内蔵電源を保持するための保持部材と、
前記放射線検出パネルと前記内蔵電源と前記保持部材とを収容する筐体と、を有し、
前記筐体は、前記放射線検出パネルに前記放射線を入射させるための天面部と、前記天面部とは反対側に位置する底面部と、前記天面部と前記底面部をつなぐ側面部と、を有し、
前記側面部は、前記内蔵電源を前記筐体の内外に挿抜するための開口を有し、
前記保持部材は、前記筐体とは別体の部材であることを特徴とする放射線検出装置。
【0091】
[構成19]
前記保持部材は、前記筐体に固定された状態で前記天面に沿って広がるホルダ上面部およびホルダ下面部と、前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部をつなぐホルダ側面部と、を有し、
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部の肉厚は前記ホルダ側面部の肉厚よりも薄いことを特徴とする構成18に記載の放射線検出装置。
【0092】
[構成20]
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部は、前記ホルダ側面部と別部品であることを特徴とする構成19に記載の放射線撮影装置。
【0093】
[構成21]
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部は、同じ材料から成ることを特徴とする構成19または20に記載の放射線撮影装置。
【0094】
[構成22]
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部は、異なる材料から成ることを特徴とする構成19または20に記載の放射線撮影装置。
【0095】
[構成23]
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部は、前記ホルダ側面部の材料と同じ材料から成ることを特徴とする構成19乃至22のいずれか1つに記載の放射線撮影装置。
【0096】
[構成24]
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部は、前記ホルダ側面部の材料と異なる材料から成ることを特徴とする構成19乃至22のいずれか1つに記載の放射線撮影装置。
【0097】
[構成25]
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部は、樹脂から成ることを特徴とする構成19乃至24のいずれか1つに記載の放射線撮影装置。
【0098】
[構成26]
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部は、PET樹脂から成ることを特徴とする構成25に記載の放射線検出装置。
【0099】
[構成27]
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部は、可撓性を持つことを特徴とする構成19乃至26のいずれか1つに記載の放射線検出装置。
【0100】
[構成28]
前記ホルダ上面部および前記ホルダ下面部は、剛体部材であることを特徴とする構成19乃至26のいずれか1つに記載の放射線検出装置。
【0101】
[構成29]
前記ホルダ上面部は前記支持基台に対して間隔をあけて配置されることを特徴とする構成19乃至28のいずれか1つに記載の放射線検出装置。
【0102】
[構成30]
前記ホルダ下面部は前記支持基台に対して間隔をあけて配置されることを特徴とする構成19乃至28のいずれか1つに記載の放射線検出装置。
【0103】
[構成31]
前記内蔵電源を前記保持部材に固定するための固定部材を更に有することを特徴とする構成19乃至30のいずれか1つに記載の放射線検出装置。
【0104】
[構成32]
前記開口の近傍において、前記筐体の内部には補強リブが設けられていることを特徴とする構成19乃至30のいずれか1つに記載の放射線検出装置。
【0105】
[構成33]
前記補強リブは、前記底面部を構成する部材に対して一体に形成された構造物、または、前記底面部を構成する部材に対して締結された部材であることを特徴とする構成32に記載の放射線検出装置。
【0106】
[構成34]
前記内蔵電源は、バッテリまたはキャパシタであることを特徴とする構成19乃至32のいずれか1つに記載の放射線検出装置。
【0107】
[構成35]
前記底面部は、前記天面部の側に向かって窪んだ把持部を有することを特徴とする構成19乃至34のいずれか1つに記載の放射線検出装置。
【0108】
[構成36]
前記把持部は、最寄りの側面部との距離が25~40mmであることを特徴とする構成35に記載の放射線検出装置。
【0109】
[構成37]
前記把持部は、5.0~8.0mmの深さを有することを特徴とする構成35または36に記載の放射線検出装置。
【0110】
[構成38]
前記把持部の短手方向長さは15~30mmであることを特徴とする構成35乃至37のいずれか1つに記載の放射線検出装置。
【0111】
[構成39]
前記底面部の外周を四辺形状としてみたとき、前記把持部は、前記開口が設けられた側面部に対応する辺に沿って長手方向長さを持つことを特徴とする構成35乃至38のいずれか1つに記載の放射線検出装置。
【0112】
[構成40]
前記内蔵電源の厚さは、前記把持部の深さよりも薄いことを特徴とする構成35乃至39に記載の放射線検出装置。
【0113】
[構成41]
前記保持部材は前記開口を介して前記筐体に着脱可能であることを特徴とする構成19乃至40のいずれか1つに記載の放射線検出装置。
【符号の説明】
【0114】
100 放射線撮像装置
101 筐体
1 放射線検出パネル
3 背面筐体
3a 側面部
3b 背面部
6 支持基台
8 バッテリ
9 開口
10 開口カバー
10a 入射面側段差部
11 収容部
20 バッテリホルダ