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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173652
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】運搬用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/18 20060101AFI20241205BHJP
   B65D 6/40 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65D6/18 D
B65D6/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024024106
(22)【出願日】2024-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2023091731
(32)【優先日】2023-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名和 昌秀
(72)【発明者】
【氏名】岩田 匡平
(72)【発明者】
【氏名】市原 直樹
【テーマコード(参考)】
3E061
【Fターム(参考)】
3E061AA05
3E061CA06
3E061CA25
3E061DA13
3E061DA15
3E061DB17
(57)【要約】
【課題】内部に浸入した水が外部に排出されやすい運搬用容器を提供する。
【解決構造】運搬用容器9は、底壁1、口枠2、複数の側壁7、及び保持構造3を備える。複数の側壁7は、一対の揺動板73を含む。一対の揺動板73の各々は、口枠2に対して回転可能に連結された基端縁部731と、基端縁部731とは反対側の先端縁部732と、を有する。保持構造3は、一対の揺動板73を回転させた収容状態で、一対の揺動板73の少なくとも一方を、自身の表面730が先端縁部732から基端縁部731に向けて下り傾斜した姿勢で保持する。口枠2又は底壁1には、排水孔5が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と、
前記底壁の上に位置する口枠と、
前記底壁及び口枠の間で起立する複数の側壁と、を備え、
前記複数の側壁は、一対の揺動板を含み、
前記一対の揺動板の各々は、前記口枠に対して回転可能に連結された基端縁部と、前記基端縁部とは反対側の先端縁部と、を有し、
前記一対の揺動板を、互いの先端縁部が近づく向きに回転させることで折り畳み可能に構成された運搬用容器であって、
前記一対の揺動板を回転させた収容状態で、前記一対の揺動板の少なくとも一方を、自身の表面が前記先端縁部から前記基端縁部に向けて下り傾斜した姿勢で保持するための保持構造を更に備え、
前記口枠又は前記底壁には、前記表面を伝って前記基端縁部に流れた水を外部に排出する排水孔が設けられている、
運搬用容器。
【請求項2】
前記複数の側壁は、折り曲げ可能な一対の折曲板を更に含み、
前記保持構造は、前記一対の揺動板に設けられた凸部を含み、
前記一対の揺動板を回転させ、かつ前記一対の折曲板を折り曲げた収容状態で、前記凸部が、前記一対の折曲板の少なくとも一方に対して上から当たるように構成されている、
請求項1の運搬用容器。
【請求項3】
前記複数の側壁は、折り曲げ可能な一対の折曲板を更に含み、
前記保持構造は、前記底壁に設けられた突状部を含み、
前記一対の揺動板を回転させ、かつ前記一対の折曲板を折り曲げた収容状態で、前記突状部が、前記一対の折曲板の少なくとも一方に対して下から当たるように構成されている、
請求項1の運搬用容器。
【請求項4】
前記複数の側壁は、折り曲げ可能な一対の折曲板を更に含み、
前記保持構造は、前記一対の折曲板の少なくとも一方に設けられた突起を含み、
前記一対の揺動板を回転させ、かつ前記一対の折曲板を折り曲げた収容状態で、前記突起が、前記底壁に対して上から当たるように構成されている、
請求項1の運搬用容器。
【請求項5】
前記保持構造は、前記一対の揺動板の少なくとも一方に設けられた凹凸構造を含み、
前記一対の揺動板を回転させた収容状態で、前記凹凸構造と前記口枠の一部とが係合するように構成されている、
請求項1の運搬用容器。
【請求項6】
底壁と、
前記底壁の上に位置する口枠と、
前記底壁及び口枠の間で起立する複数の側壁と、を備え、
前記複数の側壁は、一対の揺動板を含み、
前記一対の揺動板の各々は、前記口枠に対して回転可能に連結された基端縁部と、前記基端縁部とは反対側の先端縁部と、を有し、
前記一対の揺動板を、互いの先端縁部が近づく向きに回転させることで折り畳み可能に構成された運搬用容器であって、
前記一対の揺動板の少なくとも一方の表面には、自身の前記基端縁部に向けて伸びる排水溝が設けられており、
前記一対の揺動板を回転させた収容状態で、前記排水溝は、前記基端縁部に向けて下り傾斜し、
前記口枠又は前記底壁には、前記排水溝を伝って前記基端縁部に流れた水を外部に排出する排水孔が設けられている、
運搬用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、底壁、口枠、及び複数の側壁を備えた運搬用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
底壁、口枠、及び複数の側壁を備えた運搬用容器が、従来公知である(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-95426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の運搬用容器では、内部に水が浸入したときに、その水が外部に排出されにくいという問題があった。
【0005】
本開示が解決しようとする課題は、内部に浸入した水が外部に排出されやすい運搬用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一様態に係る運搬用容器は、底壁と、前記底壁の上に位置する口枠と、前記底壁及び口枠の間で起立する複数の側壁と、を備え、前記複数の側壁は、一対の揺動板を含み、前記一対の揺動板の各々は、前記口枠に対して回転可能に連結された基端縁部と、前記基端縁部とは反対側の先端縁部と、を有し、前記一対の揺動板を、互いの先端縁部が近づく向きに回転させることで折り畳み可能に構成された運搬用容器であって、前記一対の揺動板を回転させた収容状態で、前記一対の揺動板の少なくとも一方を、自身の表面が前記先端縁部から前記基端縁部に向けて下り傾斜した姿勢で保持するための保持構造を更に備え、前記口枠又は前記底壁には、前記表面を伝って前記基端縁部に流れた水を外部に排出する排水孔が設けられている。
【0007】
本開示の別態様に係る運搬用容器は、底壁と、前記底壁の上に位置する口枠と、前記底壁及び口枠の間で起立する複数の側壁と、を備え、前記複数の側壁は、一対の揺動板を含み、前記一対の揺動板の各々は、前記口枠に対して回転可能に連結された基端縁部と、前記基端縁部とは反対側の先端縁部と、を有し、前記一対の揺動板を、互いの先端縁部が近づく向きに回転させることで折り畳み可能に構成された運搬用容器であって、前記一対の揺動板の少なくとも一方の表面には、自身の前記基端縁部に向けて伸びる排水溝が設けられており、前記一対の揺動板を回転させた収容状態で、前記排水溝は、前記基端縁部に向けて下り傾斜し、前記口枠又は前記底壁には、前記排水溝を伝って前記基端縁部に流れた水を外部に排出する排水孔が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、運搬用容器の内部に浸入した水が外部に排出されやすいという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態の運搬用容器の斜視図である。
図2図2は、同上の運搬用容器の平面図である。
図3図3は、図2のA-A線断面図である。
図4図4は、図2のB-B線断面図である。
図5図5は、同上の運搬用容器の要部水平断面である。
図6図6は、同上の運搬用容器の分解斜視図である。
図7図7は、同上の運搬用容器が備える底壁の斜視図である。
図8図8は、同上の運搬用容器が備える一対の折曲板の斜視図である。
図9図9は、同上の運搬用容器が備える一対の揺動板の斜視図である。
図10図10は、同上の運搬用容器が備える口枠の斜視図である。
図11図11は、同上の運搬用容器が備える一対の揺動板が縦姿勢にあるときの斜視図である。
図12図12は、同上の運搬用容器が備える折曲板が展開姿勢にあるときの斜視図である。
図13図13は、第1変形例の運搬用容器の鉛直断面図である。
図14図14は、同上の運搬用容器が備える底壁の平面図である。
図15図15は、第2変形例の運搬用容器の鉛直断面図である。
図16図16は、第3変形例の運搬用容器の要部水平断面である。
図17図17は、第4変形例の運搬用容器の鉛直断面図である。
図18図18は、第5変形例の運搬用容器が備える揺動板の正面図である。
図19図19は、図18のC-C線断面図である。
図20図20は、図18のD-D線断面図である。
図21図21は、同上の揺動板の側面図である。
図22図22は、図21のE-E線断面図である。
図23図23は、第6変形例の運搬用容器が備える揺動板の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.一実施形態
(運搬用容器の全体)
図1から図12には、一実施形態の運搬用容器9が示されている。以下の説明で用いる上下方向等の各方向は、運搬用容器9が備える底壁1が、水平面上に置かれたときを基準とする。
【0011】
一実施形態の運搬用容器9は、長手方向D1及び短手方向D2を有する平面視長方形状の容器本体90と、容器本体90に対して回転可能に連結された蓋8と、を備える。長手方向D1及び短手方向D2は、互いに直交し、かつ各々が上下方向と直交する方向である。
【0012】
蓋8は、容器本体90に対して回転することで、容器本体90の上向きの開口を開閉するように構成されている。
【0013】
(容器本体)
容器本体90は、底壁1と、底壁1の上に位置する口枠2と、複数の側壁7と、を備える。底壁1、口枠2、及び複数の側壁7は、いずれも樹脂成形品である。
【0014】
図示の容器本体90は、折り畳み状態である。折り畳み状態において、底壁1と口枠2は上下に重なり、複数の側壁7は、底壁1と口枠2の内側に収容される。
【0015】
(底壁)
図6及び図7に示されるように、底壁1は、平面視において長方形状である。底壁1の長手方向D1及び短手方向D2は、容器本体90の長手方向D1及び短手方向D2と一致する。
【0016】
底壁1は、平面視において長方形状の平板で構成された底板11と、底板11の周縁部から上方に突出した起立片13と、底板11と起立片13の間に設けられた軸受け部15と、底板11と起立片13の間に設けられた係合部17と、を備える。
【0017】
起立片13は、底板11の周縁部の全周から上方に突出した片であり、長手方向D1に伸びる一対の第1片131と、短手方向D2に伸びる一対の第2片132と、を含む。
【0018】
一対の第1片131は、短手方向D2に距離をあけて、互いに平行に位置する。一対の第2片132は、長手方向D1に距離をあけて、互いに平行に位置する。第1片131と第2片132は、起立片13の周方向において交互にかつ連続して位置する。長手方向D1における第1片131の長さは、短手方向D2における第2片132の長さよりも、長く設けられている。
【0019】
軸受け部15は、対応する側壁7の下端縁部(詳細には、後述する折曲板74の下端縁部)が回転可能に連結する部分である。軸受け部15は、一対の第1片131のそれぞれと底板11の間に設けられている。
【0020】
軸受け部15は、長手方向D1に距離をあけて並設された複数の軸受けブロック152を含む。各軸受けブロック152は、短手方向D2において隣接する第1片131と一体に形成され、かつ、底板11と一体に形成されている。
【0021】
長手方向D1において隣接する2つの凸状の軸受けブロック152の間には、それぞれ凹部154が形成されている。各凹部154は、上方に開放され、かつ短手方向D2の内側方に開放されている。各凹部154の短手方向D2の外側方は、第1片131によって塞がれている。
【0022】
係合部17は、対応する側壁7の下端縁部(詳細には、後述する揺動板73の下端縁部)が係合する凸状の部分である。係合部17は、一対の第2片132のそれぞれと底板11との間に設けられている。
【0023】
(口枠)
図6及び図10に示されるように、口枠2は、平面視において長方形枠状に形成されている。口枠2の上下に貫通した開口が、容器本体90の開口を構成する。
【0024】
口枠2は、長手方向D1に伸びる一対の第1直線部21と、短手方向D2に伸びる一対の第2直線部22と、を含む。一対の第1直線部21は、短手方向D2に距離をあけて、互いに平行に位置する。一対の第2直線部22は、長手方向D1に距離をあけて、互いに平行に位置する。
【0025】
第1直線部21と第2直線部22は、口枠2の周方向において交互にかつ連続して位置する。長手方向D1における第1直線部21の長さは、短手方向D2における第2直線部22の長さよりも、長く設けられている。
【0026】
一対の第1直線部21の上面からは、蓋8を回転可能に連結するための軸受け部25が突出している。軸受け部25は、長手方向D1に距離をあけて並設された複数の軸受けブロック252を含む。
【0027】
第2直線部22には、第1方向D1に貫通した排水孔5が設けられている。第2直線部22には、短手方向D2に距離をあけて位置する2つの排水孔5が設けられている。2つの排水孔5は、第2直線部22の短手方向D2の中間点を基準として、この中間点を挟む左右の両側に位置している。各排水孔5は、短手方向D2に伸びる直線状の細孔である。各排水孔5は、運搬用容器9の内部から外部へと水を排出するために用いられる。
【0028】
(複数の側壁)
複数の側壁7は、4つの側壁7である。4つの側壁7は、一対の揺動板73と、一対の折曲板74と、で構成されている。
【0029】
(一対の揺動板)
一対の揺動板73は、図9等に示された横姿勢と、図11に示された縦姿勢と、の間でそれぞれ姿勢変更が可能である。
【0030】
一対の揺動板73は、それぞれ矩形平板状の板材で構成されている。一対の揺動板73の各々は、口枠2に対して回転可能に連結される基端縁部731と、基端縁部731とは反対側の先端縁部732と、を有する。一対の揺動板73の基端縁部731は、口枠2の一対の第2直線部22に対して回転可能に連結し、一対の揺動板73の先端縁部732は、底壁1に設けられた一対の係合部17に対して、内側から係脱可能に係合する。
【0031】
一対の揺動板73の先端縁部732が底壁1に係合した状態で、一対の揺動板73は、底壁1及び口枠2の間で起立した縦姿勢となる。口枠2に連結された縦姿勢の一対の揺動板73に対して内側方に外力を加えることで、一対の揺動板73を、互いの先端縁部732が近づく向きに回転させることが可能である。各揺動板73は、上記のように回転することで、図9等に示された横姿勢に至る。
【0032】
一対の揺動板73の表面730には、自身の基端縁部731に向けて伸びる排水溝4が設けられている。各揺動板73の表面730は、その揺動板73が縦姿勢のときに内側方を向く面であり、また、その揺動板73が横姿勢のときに上方を向く面である。一対の揺動板73がともに縦姿勢にあるとき、一対の揺動板73の表面730は互いに対向する。
【0033】
排水溝4は、揺動板73の先端縁部732から基端縁部731に向けて直線状に伸びた溝である。排水溝4は、揺動板73の基端縁につながり、揺動板73の先端縁にはつながっていない。排水溝4の深さは、基端縁部731に近い部分ほど深くなるように設けられている。
【0034】
各揺動板73の表面730には、2つの排水溝4が設けられている。2つの排水溝4は、短手方向D2に距離をあけて位置し、互いに平行である。2つの排水溝4は、揺動板73の短手方向D2の中間点を基準として、この中間点を挟む左右の両側に位置している。各排水溝4は、短手方向D2と直交する方向に伸びる直線状の溝である。各排水溝4は、外部に向けて水を排出するために用いられる。
【0035】
(一対の折曲板)
一対の折曲板74は、図8等に示された折り曲げ姿勢と、図12に示された展開姿勢と、の間でそれぞれ姿勢変更が可能である。
【0036】
一対の折曲板74はそれぞれ、互いに回転可能に連結された上板741及び下板742で構成されている。一対の折曲板74の上端縁部(つまり上板741の上端縁部)が、口枠2の一対の第1直線部21に対して回転可能に連結され、一対の折曲板74の下端縁部(つまり下板742の下端縁部)が、底壁1の周縁部分に対して回転可能に連結される。詳細には、下板742の下端縁部に設けられたヒンジ部745が、底壁1の対応する軸受け部15に対して、回転可能に連結される。折曲板74のヒンジ部745は、長手方向D1に距離をあけて並設された複数のヒンジブロック747を含む。折曲板74の複数のヒンジブロック747はそれぞれ、底壁1の対応する凹部154(図7を参照)に挿し込まれ、該凹部154と隣接する軸受けブロック152に対して回転可能に連結される。
【0037】
各折曲板74において、上板741及び下板742は、内側に向けて「く」字状に折れ曲がる。一対の折曲板74の各々の上板741及び下板742が、図12に示されるような上下に伸びた展開姿勢にあるときに、一対の折曲板74は、底壁1及び口枠2の間で起立する。展開姿勢にある各折曲板74に対して内側方に外力を加えることで、各折曲板74を「く」字状に折り曲げ、折り曲げ姿勢とすることが可能である。
【0038】
(蓋)
蓋8は、対をなす一対の蓋板81を含む。
【0039】
図1図2及び図6に示されるように、一対の蓋板81は、ともに長手方向D1及び短手方向D2を有する平面視長方形状の板材である。一対の蓋板81は、それぞれ容器本体90の口枠2に対して回転可能に連結されている。一対の蓋板81が、口枠2に対して回転することで、容器本体90の上向きの開口が開閉される。
【0040】
一対の蓋板81はそれぞれ、短手方向D2の両端に位置する基端縁部811及び先端縁部812を有する。基端縁部811及び先端縁部812はともに直線状であり、互いに平行である。
【0041】
蓋板81の基端縁部811には、口枠2に対して回転可能に連結するためのヒンジ部815が設けられている。蓋板81のヒンジ部815が、口枠2の第1直線部21に設けられた軸受け部25に対して、回転可能に連結されることで、蓋板81の基端縁部811が口枠2の第1直線部21に対して回転可能に連結されている。
【0042】
蓋板81の長手方向D1の両端部には、それぞれ排水溝816が設けられている。排水溝816は、蓋板81の外周縁につながるように形成されている。
【0043】
更に、蓋板81には、傾斜面817,818が設けられている。傾斜面817,818は、蓋板81の上面に含まれ、蓋板81が閉姿勢にあるときに、排水溝816に向けて下り傾斜するように構成されている。傾斜面817,818は、互いに異なる傾斜を有した2つの傾斜面817,818を含む。蓋板81が閉姿勢にあるときに、傾斜面817は、2つの排水溝816の一方に向けて下り傾斜し、傾斜面818は、2つの排水溝816の一方に向けて下り傾斜する。傾斜面817と傾斜面818は、互いに連続している。
【0044】
図1等に示されるように、一対の蓋板81が閉姿勢にあるとき、一対の蓋板81の互いの先端縁部812は上下に重なって位置する。
【0045】
(折り畳み状態)
容器本体90が折り畳み状態にあるとき、折り曲げ姿勢にある一対の折曲板74は、横姿勢にある一対の揺動板73の下に位置する(図6等を参照)。
【0046】
より詳細に述べると、「く」字状に折れ曲がった一対の折曲板74は、短手方向D2に距離をあけて、平面視において互いに平行に位置する。各折曲板74において、上板741は下板742の上に重なって位置する。上板741と下板742の間の上下の距離は、上板741と下板742の連結部分から離れた部分ほど、大きくなっている。
【0047】
横姿勢にある一対の揺動板73は、互いの先端縁部732が上下に重なる状態で、保持される。
【0048】
(保持構造)
一実施形態の運搬用容器9は、折り畳み状態において一対の揺動板73を所定の姿勢で保持するための保持構造3を、更に備える。
【0049】
保持構造3は、一対の揺動板73を回転させて横姿勢とし、かつ一対の折曲板74を「く」字状に折り曲げて折り曲げ姿勢とした状態(以下、この状態を「収容状態」という。)で、一対の揺動板73の少なくとも一方を、所定の姿勢で保持するための構造である(図3を参照)。揺動板73の所定の姿勢は、横姿勢であるとともに、自身の表面730が先端縁部732から基端縁部731に向けて下り傾斜した姿勢である。揺動板73が所定の姿勢にあるとき、表面730に設けられた排水溝4は、揺動板73の基端縁部731に向けて、下り傾斜する。より具体的に述べると、排水溝4が、その排水溝4が設けられた揺動板73の基端縁部731に向けて下り傾斜する。
【0050】
一実施形態の運搬用容器9では、一対の揺動板73のうち上側に重なる揺動板73が、表面730が下り傾斜した所定の姿勢で保持され、下側に重なる揺動板73の表面730は、基端縁部731に向けて下り傾斜した姿勢で保持されない。しかし、下側に重なる揺動板73の表面730に設けられた排水溝4は、この揺動板73の基端縁部731に向けて、下り傾斜している。つまり、下側に重なる揺動板73の排水溝4は、この揺動板73の基端縁部731に向けて下り傾斜している。
【0051】
上側に重なる揺動板73では、揺動板73の表面730に付着した水は、先端縁部732から基端縁部731に向けて流れる。特に、表面730の排水溝4に浸入した水は、先端縁部732から基端縁部731に向けて更に勢いよく流れる。基端縁部731に向けて流れた水は、口枠2の第2直線部22に設けられた2つの排水孔5を通じて、外部に排出される。排水孔5は、横姿勢にある揺動板73の基端縁部731に対して、長手方向D1において並んで位置しており、また、横姿勢にある揺動板73の排水溝4の下流端に対して、長手方向D1において並んで位置している。排水溝4の下流端は、排水孔5に向けて開放されている。
【0052】
下側に重なる揺動板73では、揺動板73の表面730の排水溝4に浸入した水が、先端縁部732から基端縁部731に向けて流れ、口枠2の別の第2直線部22に設けられた2つの排水孔5を通じて、外部に排出される。排水孔5は、横姿勢にある揺動板73の排水溝4の下流端に対して、長手方向D1において並んで位置している。
【0053】
一実施形態の運搬用容器9において、保持構造3は、一対の揺動板73に設けられた凸部31と、底壁1に設けられた突状部33と、一対の折曲板74に設けられた突起35と、一対の揺動板73に設けられた凹凸構造37と、を含む。
【0054】
(凸部)
保持構造3に含まれる凸部31は、一対の揺動板73のそれぞれに設けられている。図3及び図11に示されるように、各揺動板73の先端縁部732に、短手方向D2に距離をあけて2つの凸部31が設けられている。各揺動板73が横姿勢にあるとき、2つの凸部31は下方に突出する。各揺動板73が縦姿勢にあるとき、2つの凸部31は長手方向D1の外側方に突出する。
【0055】
一実施形態の運搬用容器9では、一対の揺動板73及び一対の折曲板74が収容状態にあるときに、下側に重なる揺動板73の2つの凸部31が、一対の折曲板74に対してそれぞれ上から当たる。加えて、上側に重なる揺動板73の2つの凸部31が、下側の揺動板73の先端縁部732に対して上から当たる。
【0056】
これにより、上側の揺動板73は、自身の表面730が先端縁部732から基端縁部731に向けて下り傾斜した所定の姿勢で、保持される。また、下側の揺動板73と上側の揺動板73はともに、自身の基端縁部731に向けて排水溝4が下り傾斜した姿勢に保持される。
【0057】
上記では、一対の折曲板74の両方に対して揺動板73の対応する凸部31が上から当たっているが、凸部31の形態はこれに限定されない。揺動板73には、一対の折曲板74の少なくとも一方に対して上から当たるように、1つ以上の凸部31が設けられていればよい。
【0058】
また、上記において凸部31は、縦姿勢にあるときの揺動板73から長手方向D1の外側方に突出するように設けられているが、凸部31の形態はこれに限定されない。例えば、各揺動板73において、自身が縦姿勢にあるときに長手方向D1の内側方に突出するように凸部31が設けられてもよい。この場合、一対の揺動板73及び一対の折曲板74が収容状態にあるときに、下側に重なる揺動板73の凸部31が、上側の揺動板73の先端縁部732に対して下から当たる。
【0059】
また、縦姿勢の揺動板73から長手方向D1の外側方に突出する凸部31(以下、「外側の凸部31」という。)と、縦姿勢の揺動板73から長手方向D1の内側方に突出する凸部31(以下、「内側の凸部31」という。)と、が共に設けられてもよい。この場合、一対の揺動板73及び一対の折曲板74が収容状態にあるときに、下側に重なる揺動板73の外側の凸部31が、一対の折曲板74に対してそれぞれ上から当たる。加えて、上側に重なる揺動板73の外側の凸部31が、下側の揺動板73の内側の凸部31に対して上から当たる。
【0060】
(突状部)
保持構造3に含まれる突状部33は、底壁1の主体をなす平板状の底板11に設けられている。図4及び図7に示されるように、底板11のうち、短手方向D2において軸受け部15と隣接する部分に、突状部33が設けられている。
【0061】
突状部33は、長手方向D1に距離をあけて並設された複数の突状ブロック332を含む。各突状ブロック332は、底板11から上方に突出したものであり、底板11と一体に形成されている。
【0062】
複数の突状ブロック332は、軸受け部15に含まれる複数の凹部154に対して、短手方向D2において隣接する部分に、それぞれ設けられている。
【0063】
一実施形態の運搬用容器9では、一対の揺動板73及び一対の折曲板74が収容状態にあるときに、一対の折曲板74の下板742の下端縁部に対して各突状ブロック332が下から当たり、一対の折曲板74を持ち上げる(図4を参照)。
【0064】
これにより、一対の折曲板74を介して、その上に重なる一対の揺動板73が持ち上げられる。上側の揺動板73は、自身の表面730が先端縁部732から基端縁部731に向けて下り傾斜した所定の姿勢で、保持される。また、下側の揺動板73と上側の揺動板73はともに、自身の基端縁部731に向けて排水溝4が下り傾斜した姿勢に保持される。
【0065】
上記では、一対の折曲板74の両方に対して、底板11の対応する突状部33が下から当たっているが、突状部33の形態はこれに限定されない。底板11には、一対の折曲板74の少なくとも一方に対して下から当たるように、突状部33が設けられていればよい。
【0066】
(突起)
保持構造3に含まれる突起35は、一対の折曲板74のそれぞれに設けられている(図4図8、及び図12を参照)。図12に示されるように、各折曲板74の下板742には、長手方向D1に距離をあけて2つの突起35が設けられている。各折曲板74が展開姿勢にあるとき、2つの突起35は内側方に突出する。各折曲板74が折り曲げ姿勢にあるとき、2つの突起35は下方に突出する(図4及び図8を参照)。
【0067】
より詳細に述べると、突起35は、下板742の長手方向D1の両端部に設けられた係止体748から、突出している。係止体748は、縦姿勢にあるときの揺動板73が係止するように構成されており、折曲板74が展開姿勢にあるときは内側方に突出し、折曲板74が折り曲げ姿勢にあるときには下方に突出する。なお、図8及び図12に示されるように、上板741においても、縦姿勢にあるときの揺動板73が係止する係止体749が設けられている。
【0068】
一実施形態の運搬用容器9では、一対の揺動板73及び一対の折曲板74が収容状態にあるときに、一対の折曲板74のそれぞれが有する2つの突起35が、底壁1に対して上から当たる。
【0069】
これにより、一対の折曲板74は持ち上げられ、その上に重なる一対の揺動板73が持ち上げられる。上側の揺動板73は、自身の表面730が先端縁部732から基端縁部731に向けて下り傾斜した所定の姿勢で、保持される。また、下側の揺動板73と上側の揺動板73はともに、自身の基端縁部731に向けて排水溝4が下り傾斜した姿勢に保持される。
【0070】
上記では、一対の折曲板74の両方から突起35が突出しているが、これに限定されない。一対の揺動板73を持ち上げることが可能な限りにおいて、突起35は、一対の折曲板74の少なくとも一方において、1つ以上が設けられていればよい。
【0071】
(凹凸構造)
保持構造3に含まれる凹凸構造37は、一対の揺動板73のそれぞれに設けられている。図5図9、及び図11に示されるように、各揺動板73の先端縁部732に、短手方向D2に距離をあけて2つの凹凸構造37が設けられている。2つの凹凸構造37は、それぞれ凹状部で構成されている。2つの凹凸構造37は、短手方向D2において互いに近づく向きに凹んでいる。各揺動板73が横姿勢にあるとき、凹凸構造37は、横に長い直線状の外形を有する。
【0072】
図5及び図10に示されるように、口枠2には、2つの凹凸構造27が設けられている。2つの凹凸構造27は、口枠2の一部を構成する一対の第1直線部21の長手方向D1の中間部に、それぞれ設けられている。2つの凹凸構造27は、それぞれ凸状部で構成されている。2つの凹凸構造27は、短手方向D2において互いに近づく向きに突出している。
【0073】
一実施形態の運搬用容器9では、一対の揺動板73及び一対の折曲板74が収容状態にあるときに、上側に重なる揺動板73が有する2つ凹状の凹凸構造37に対して、口枠2が有する2つの凸状の凹凸構造27が嵌まり込み、弾性的に係合する(図5を参照)。
【0074】
これにより、上側の揺動板73は、自身の表面730が先端縁部732から基端縁部731に向けて下り傾斜し、かつ、自身の排水溝4が先端縁部732から基端縁部731に向けて下り傾斜した姿勢で、保持される。
【0075】
上記では、一対の揺動板73のうち上側の揺動板73だけを口枠2の一部で係止するが、一対の揺動板73の両方を口枠2の一部で係止することも可能である。また、上記では、一対の揺動板73の両方に凹凸構造37が設けられているが、これに限定されず、一対の揺動板73の少なくとも一方に同様の凹凸構造37が設けられていればよい。
【0076】
2.変形例
上記した一実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎず、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0077】
以下、各種の変形例を列挙する。以下に列挙する変形例は、適宜に組み合わせて適用することが可能である。変形例の説明において、上記した一実施形態と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0078】
(第1変形例)
図13には、第1変形例の運搬用容器9の鉛直断面が示されている。図13は、一実施形態の図4に相当する部分の断面である。図14は、第1変形例の運搬用容器9の底壁1を示している。
【0079】
第1変形例では、保持構造3に含まれる突状部33が、底壁1の主体をなす平板状の底板11に設けられるのではなく、底壁1の軸受け部15に設けられている。
【0080】
詳細には、底壁1のうち底板11を挟んだ短手方向D2の両側に位置する軸受け部15に、それぞれ突状部33が設けられている。突状部33は、長手方向D1に距離をあけて並設された複数のリブ状の突起体334を含む。複数の突起体334は、軸受け部15に含まれる複数の凹部154に、それぞれ設けられている。各突起体334は、凹部154の一部から上方に突出している。ここでの凹部154の一部は、凹部154のうち、短手方向D2の内側方寄りの部分である。各突起体334の高さは、隣接する軸受けブロック152よりも低い。
【0081】
第1変形例の運搬用容器9では、一対の揺動板73及び一対の折曲板74が収容状態にあるときに、一対の折曲板74の下板742の下端縁部に対して各突起体334が下から当たり、一対の折曲板74を持ち上げる。これにより、一対の折曲板74を介して、その上に重なる一対の揺動板73が持ち上がって位置する。
【0082】
(第2変形例)
図15には、第2変形例の運搬用容器9の鉛直断面が示されている。図15は、一実施形態の図4に相当する部分の断面である。
【0083】
第2変形例では、保持構造3に含まれる突状部33が、底板11の上面から突出した複数の突起335で、構成されている。
【0084】
一実施形態の運搬用容器9では、一対の揺動板73及び一対の折曲板74が収容状態にあるときに、一対の折曲板74の下板742から下方に突出した各係止体748に対して、対応する突起335が下から当たる。これにより、一対の折曲板74は持ち上げられ、その上に重なる一対の揺動板73が持ち上げられる。
【0085】
第2変形例では、係止体748から突出する突起35が設けられていないが、底壁1が上記の突起335を備えることに加えて、折曲板74が突起35を備えてもよい。この場合、一対の揺動板73及び一対の折曲板74が収容状態にあるときに、底壁1から突出した突起335が折曲板74の係止体748に当るとともに、係止体748から突出した突起35が底壁1に当たり、これにより一対の折曲板74が持ち上げられる。
【0086】
(第3変形例)
図16には、第3変形例の運搬用容器9の要部の水平断面が示されている。図16は、一実施形態の図5に相当する部分の断面である。
【0087】
第3変形例では、保持構造3に含まれる凹凸構造37が、凹状部で構成されるのではなく、凸状部で構成されている。
【0088】
詳細には、各揺動板73の先端縁部732に、短手方向D2に距離をあけて2つの凸状の凹凸構造37が設けられている。2つの凹凸構造37は、短手方向D2において互いに離れる向きに突出している。
【0089】
口枠2の凹凸構造27は、凸状部で構成されるのではなく、凹状部で構成されている。口枠2が有する2つの凹状の凹凸構造27は、短手方向D2において互いに離れる向きに凹んでいる。
【0090】
一実施形態の運搬用容器9では、一対の揺動板73及び一対の折曲板74が収容状態にあるときに、上側に重なる揺動板73の2つの凸状の凹凸構造37が、口枠2の2つの凹状の凹凸構造27に嵌まり込み、弾性的に係合する。
【0091】
これにより、上側の揺動板73は、自身の表面730が先端縁部732から基端縁部731に向けて下り傾斜し、かつ、自身の排水溝4が先端縁部732から基端縁部731に向けて下り傾斜した姿勢で、保持される。
【0092】
(第4変形例)
図17には、第4変形例の運搬用容器9の鉛直断面が示されている。図17は、一実施形態の図3に相当する部分の断面である。
【0093】
第4変形例では、保持構造3に含まれる凸部31が、一実施形態と比較して大きな突出寸法で各揺動板73から突出している。これにより、第4変形例では、一対の揺動板73及び一対の折曲板74が収容状態にあるときに、一対の揺動板73の両方が、自身の表面730が先端縁部732から基端縁部731に向けて下り傾斜した姿勢で保持される。加えて、一対の揺動板73の両方が、自身の基端縁部731に向けて排水溝4が下り傾斜した姿勢に保持される。
【0094】
第4変形例では、一実施形態と比較して凸部31の突出寸法を大きくすることで、一対の揺動板73の両方を上記の姿勢で保持しているが、これに代えて又は加えて、底壁1の突状部33の構成を変更することや、一対の折曲板74の突起35の構成を変更することや、一対の揺動板73の凹凸構造37の構成を変更することによって、一対の揺動板73の両方を、自身の表面730が先端縁部732から基端縁部731に向けて下り傾斜した姿勢で保持することも可能である。
【0095】
(第5変形例)
図18から図22には、第5変形例の運搬用容器9の揺動板73が示されている。図18に示されるように、揺動板73の表面730には、運搬用容器9の短手方向D2に距離をあけて位置するように2つの排水溝4が設けられている。2つの排水溝4は、同一方向に伸びる2つの直線状の溝である。2つの排水溝4は、以下の共通の構成を備える。
【0096】
排水溝4は、一実施形態とは異なり、揺動板73の先端縁まではつながっていない。揺動板73の基端縁と排水溝4との間には、揺動板73の基端縁部731が位置し、揺動板73の先端縁と排水溝4との間には、揺動板73の先端縁部732が位置している。
【0097】
排水溝4は、底面41と、基端側及び先端側の端面42,43と、内側及び外側の側面44,45と、を有する。
【0098】
基端側の端面42は、揺動板73の基端縁部731に最も近い端面であり、その全体が平坦に形成されている。端面42は、底面41に対して垂直であるが、これに限定されず、例えば、底面41から離れた部分ほど、揺動板73の基端縁部731に近づくように端面42の全体が傾斜してもよい。
【0099】
先端側の端面43は、揺動板73の先端縁部732に最も近い端面であり、その全体が平坦に形成されている。先端側の端面43は、基端側の端面42に対向して位置する。先端側の端面43と、基端側の端面42と、は互いに平行である。端面43は、底面41に対して垂直であるが、これに限定されず、例えば、底面41から離れた部分ほど、揺動板73の先端縁部732に近づくように端面43の全体が傾斜してもよい。
【0100】
内側及び外側の側面44,45は、基端側と先端側の端面42,43をつなぐように設けられている。内側及び外側の側面44,45は、互いに対向して位置する。内側及び外側の側面44,45は、底面41から離れるほど互いの距離が広がるように傾斜している(図20を参照)。内側の側面44は、底面41から離れた部分ほど、排水溝4の幅方向において内側に位置するように傾斜している。外側の側面45は、底面41から離れた部分ほど、排水溝4の幅方向において外側に位置するように傾斜している。底面41と直交する面を基準としたとき、内側の側面44の傾きと、外側の側面45の傾きと、は互いに異なる。内側の側面44の傾きは、外側の側面45の傾きよりも大きく設定されている。外側の側面45の傾きは、内側の側面44の傾きと同じであることが好ましいが、第5変形例では、外側の側面45の傾きが内側の側面44の傾きよりも小さく設定されることで、揺動板73の強度確保が図られている。
【0101】
排水溝4の底面41は平坦に設けられているが、底面41が曲面を含んでもよい。例えば、排水溝4が全体として断面U字状をなすように、底面41が、側面44,45と滑らかにつながる凹曲面で構成されてもよい。
【0102】
底面41は、平滑性を有することが好ましく、底面41にはシボが設けられていない。底面41の深さは、揺動板71の全体の厚さと同程度又はこれよりも浅く設けられている。底面41には、段差415が設けられている(図19を参照)。底面41のうち、段差415よりも基端側に位置する部分は、段差415よりも先端側に位置する部分と比較して、深く形成されている。底面41に段差415を設ける代わりに(又は段差415を設けることに加えて)、底面41を傾斜させることも好ましい。例えば、底面41の深さが、先端側の部分ほど浅くなるように、底面41の全体を傾斜させてもよい。
【0103】
排水溝4は、排水口47,48を更に有する。排水口47,48は、基端側の端面42において開口する基端側の排水口47と、先端側の端面43において開口する基端側の排水口48と、を含む。
【0104】
基端側の排水口47は、基端側の端面42の一部に設けられている。詳細には、基端側の排水口47は、基端側の端面42のうち、排水溝4の幅方向(つまり運搬用容器9の短手方向D2)の中央部分に設けられている。なお、排水口47が、基端側の端面42のうち排水溝4の幅方向の全域にわたって設けられてもよいし、基端側の端面42のうち側面44又は側面45に沿った位置に設けられてもよい。
【0105】
先端側の排水口48は、先端側の端面43の一部に設けられている。詳細には、先端側の排水口48は、先端側の端面43のうち、排水溝4の幅方向の中央部分に設けられている。排水口48が、端面43のうち排水溝4の幅方向の全域にわたって設けられてもよい。
【0106】
揺動板73において排水溝4よりも基端側の部分には、基端側の空所735が形成されている(図19を参照)。空所735は、揺動板73が横姿勢にあるとき、下方に開放される。基端側の空所735は、排水口47を通じて排水溝4に連通している。
【0107】
揺動板73において排水溝4よりも先端側の部分には、先端側の空所736が形成されている。先端側の空所736は、開口737を通じて揺動板73の先端側に開放されている。更に、先端側の空所736は、揺動板73が横姿勢にあるときに、揺動板72の先端縁部732の別の開口738を通じて、下方に開放される。開口738は、排水溝4の幅方向に長く形成されたスリット状の開口である(図22を参照)。先端側の空所736は、排水口48を通じて排水溝4に連通している。
【0108】
図22に示されるように、先端側の空所736には、リブ739が更に設けられている。リブ739は、先端側の排水口48と開口737との間に位置している。リブ739は、排水溝4の幅方向を厚み方向とした薄板状のリブである。
【0109】
リブ739は、先端側の排水口48よりも、揺動板73の先端側に位置している。リブ739は、排水溝4の幅方向において、先端側の排水口48の幅内に位置している。
【0110】
先端側の空所736を外部に開放する開口738は、リブ739よりも、揺動板73の先端側に位置している。リブ739は、排水溝4の幅方向において、開口738の幅内に位置している。
【0111】
リブ739は、揺動板73の一部を補強する機能を有する。加えて、リブ739は、排水口48の開口を実質的に絞る機能や、水の流れをガイドする機能を有する。例えば、少量の水が残存したときに、リブ739を伝って開口737,738から排水させることができる。
【0112】
上記の揺動板73を備える第5変形例の運搬用容器9では、例えば揺動板73が、先端縁部732から基端縁部731に向けて下り傾斜した横姿勢にあるときは、排水溝4に浸入した水は基端縁部731の側に向けて流れ、基端側の排水口47を通じて空所735に浸入し、空所735を通じて流下する。
【0113】
また、例えば揺動板73が、基端縁部731から先端縁部732に向けて下り傾斜した横姿勢にあるときは、排水溝4に浸入した水は先端縁部732の側に向けて流れ、先端側の排水口48を通じて空所736に浸入する。空所736に浸入した水は、スリット状の開口738や開口737を通じて流下する。
【0114】
そのため、横姿勢にある一対の揺動板73の互いの先端縁部732が上下に重なる状態で、一対の揺動板73の両方又は一方が、先端縁部732から基端縁部731に向けて下り傾斜しているときには、一対の揺動板73の両方又は一方において、排水溝4に浸入した水は基端側の排水口47を通じて排出される。
【0115】
また、横姿勢にある一対の揺動板73の互いの先端縁部732が上下に重ならず、この状態で、一対の揺動板73の両方が、基端縁部731から先端縁部732に向けて下り傾斜するような場合には、一対の揺動板73の両方において、排水溝4に浸入した水は先端側の排水口48を通じて排出される。
【0116】
また、上記構造の排水溝4において、排水口47は基端側の端面42に設けられているが、排水口47の位置はこれに限定されず、例えば底面41のうち基端縁部731に近い端部に、排水口47が設けられてもよい。同様に、排水口48は先端側の端面43に設けられているが、排水口48の位置はこれに限定されず、例えば底面41のうち先端縁部732に近い端部に、排水口48が設けられてもよい。
【0117】
また、上記構造の揺動板73において、排水溝4は、揺動板73の両端部に設けられているが、排水溝4が設けられる部分はこれに限定されず、排水溝4の数も2つに限定されない。例えば、揺動板73の中間部分に排水溝4が設けられてもよい。
【0118】
(第6変形例)
図23には、第6変形例の運搬用容器9が備える揺動板73の要部断面が示されている。図23は、第5変形例の図22に相当する部分の断面である。
【0119】
揺動板73が備える排水溝4の基本的な構成は、第5変形例と同様である。以下においては、第5変形例とは相違する構成について説明する。
【0120】
第6変形例においては、排水溝4の基端側の端面42が、基端側の排水口47に向けて傾斜した斜面421,423を含む。斜面421,423は、排水溝4の幅方向において排水口47を挟んだ両側に位置する。斜面421,423はともに、排水口47に近い部分ほど基端側に位置するように傾斜している。両斜面421,423を含む端面42は、排水口47に近い部分ほど基端側に位置する断面V字状の形状を有する。
【0121】
基端側の端面42が、ガイド用の斜面421,423を含むことで、排水溝4に浸入した水が基端縁部731の側に向けて流れるときに、基端側の排水口47を通じて排水溝4から排出されやすくなる。基端側の端面42が、斜面421,423の一方だけを含むこともあり得る。
【0122】
また、排水溝4の先端側の端面43は、先端側の排水口48に向けて傾斜した斜面431,433を含む。斜面431,433は、排水溝4の幅方向において排水口48を挟んだ両側に位置する。斜面431,433はともに、排水口48に近い部分ほど先端側に位置するように傾斜している。両斜面431,433を含む端面43は、排水口48に近い部分ほど先端側に位置する断面V字状の形状を有する。
【0123】
先端側の端面43が、ガイド用の斜面431,433を含むことで、排水溝4に浸入した水が先端縁部732の側に向けて流れるときに、先端側の排水口48を通じて排水溝4から排出されやすくなる。先端側の端面43が、斜面431,433の一方だけを含むこともあり得る。
【0124】
また、基端側の端面42が斜面421,423の少なくとも一方を含み、かつ先端側の端面43が斜面431,433を含まないことや、基端側の端面42が斜面421,423を含まず、かつ先端側の端面43が斜面431,433の少なくとも一方を含むこともあり得る。
【0125】
(他の変形例)
上記の第1変形例から第6変形例に示された以外の部分においても、適宜に構成を変更することが可能である。
【0126】
例えば、一対の揺動板73及び一対の折曲板74が収容状態にあるときに、一対の揺動板73の両方が、自身の表面730は基端縁部731に向けて下り傾斜した姿勢に保持されず、かつ、自身の排水溝4は基端縁部731に向けて下り傾斜した姿勢に保持されてもよい。
【0127】
また、保持構造3が、凸部31、突状部33、突起35、及び凹凸構造37の全てを含むことは必須でない。保持構造3は、凸部31、突状部33、突起35、及び凹凸構造37のうち少なくとも1つを含めばよい。
【0128】
また、折り畳み状態において、一対の揺動板73の互いの先端縁部732が上下に重ならないように構成されてもよい。
【0129】
また、一対の揺動板73の両方に排水溝4が設けられることは必須でなく、一対の揺動板73の両方に排水溝4が設けられないことも有り得る。一対の揺動板73のうち一方に排水溝4が設けられず、他方に排水溝4が設けられることも有り得る。揺動板73に設けられる排水溝4の数も2つに限らず、1つ又は3つ以上の排水溝4が設けられてもよい。
【0130】
また、一実施形態の運搬用容器9では、揺動板73の表面730のうち2つの排水溝4の間の部分が平坦面で構成されているが、これに限定されず、揺動板73の表面730のうち2つの排水溝4の間の部分が、揺動板73が横姿勢にあるときに2つの排水溝4に向けて下り傾斜する傾斜面で構成されてもよい。例えば、揺動板73の表面730のうち2つの排水溝4の中間に位置する部分(一例として中間線)を頂部とし、該頂部よりも一方の排水溝4に近い部分が、この一方の排水溝4に向けて下り傾斜し、該頂部よりも他方の排水溝4に近い部分が、この他方の排水溝4に向けて下り傾斜するように、揺動板73の表面730を設けることも可能である。
【0131】
また、一実施形態の運搬用容器9では、排水孔5が口枠2に設けられているが、同様の機能を有する排水孔5が底壁1の起立片13に設けられてもよい。
【0132】
また、一実施形態の運搬用容器9では図示されていないが、揺動板73の基端縁部731に、折曲板74の上板741に設けられた係止体749(図8及び図12を参照)の干渉を避けるための凹部を設けることも好ましい。例えば、揺動板73の基端縁部731に格子状のリブを設け、これら格子状のリブ間に形成される凹部に、折り畳み状態において上板741の係止体749を収容させることが可能である。
【0133】
3.まとめ
上記の実施形態及び各種の変形例に基づいて説明したように、本開示の第1態様に係る運搬用容器9は、底壁1と、底壁1の上に位置する口枠2と、底壁1及び口枠2の間で起立する複数の側壁7と、を備える。複数の側壁7は、一対の揺動板73を含む。一対の揺動板73の各々は、口枠2に対して回転可能に連結された基端縁部731と、基端縁部731とは反対側の先端縁部732と、を有する。運搬用容器9は、一対の揺動板73を、互いの先端縁部732が近づく向きに回転させることで折り畳み可能に構成されている。運搬用容器9は、一対の揺動板73を回転させた収容状態で、一対の揺動板73の少なくとも一方を、自身の表面730が先端縁部732から基端縁部731に向けて下り傾斜した姿勢で保持するための保持構造3を更に備える。口枠2又は底壁1には、表面730を伝って基端縁部731に流れた水を外部に排出する排水孔5が設けられている。
【0134】
この態様によれば、例えば運搬用容器9を屋外で保管した際に、運搬用容器9の内部に雨水が浸入したときには、その雨水を、一対の揺動板73の少なくとも一方の表面730を伝って流下させ、口枠2又は底壁1の排水孔5を通じて外部に排出することが可能である。この態様によれば、内部に浸入した水が外部に排出されやすい。
【0135】
本開示の第2態様に係る運搬用容器9では、第1態様に加えて、複数の側壁7は、折り曲げ可能な一対の折曲板74を更に含む。保持構造3は、一対の揺動板73に設けられた凸部31を含む。運搬用容器9は、一対の揺動板73を回転させ、かつ一対の折曲板74を折り曲げた収容状態で、凸部31が、一対の折曲板74の少なくとも一方に対して上から当たるように構成されている。
【0136】
この態様によれば、一対の揺動板73に凸部31を設けたシンプルな構造で、一対の揺動板73の少なくとも一方を、外部への円滑な排水に適した所定の姿勢に保持することができる。
【0137】
本開示の第3態様に係る運搬用容器9では、第1態様に加えて、複数の側壁7は、折り曲げ可能な一対の折曲板74を更に含む。保持構造3は、底壁1に設けられた突状部33を含む。運搬用容器9は、一対の揺動板73を回転させ、かつ一対の折曲板74を折り曲げた収容状態で、突状部33が、一対の折曲板74の少なくとも一方に対して下から当たるように構成されている。
【0138】
この態様によれば、底壁1に突状部33を設けたシンプルな構造で、一対の揺動板73の少なくとも一方を、外部への円滑な排水に適した所定の姿勢に保持することができる。
【0139】
本開示の第4態様に係る運搬用容器9では、第1態様に加えて、複数の側壁7は、折り曲げ可能な一対の折曲板74を更に含む。保持構造3は、一対の折曲板74の少なくとも一方に設けられた突起35を含む。運搬用容器9は、一対の揺動板73を回転させ、かつ一対の折曲板74を折り曲げた収容状態で、突起35が、底壁1に対して上から当たるように構成されている。
【0140】
この態様によれば、一対の折曲板74に少なくとも一方に突起35を設けたシンプルな構造で、一対の揺動板73の少なくとも一方を、排水に適した所定の姿勢に保持することができる。
【0141】
本開示の第5態様に係る運搬用容器9では、第1態様に加えて、保持構造3は、一対の揺動板73の少なくとも一方に設けられた凹凸構造37を含む。運搬用容器9は、一対の揺動板73を回転させた収容状態で、凹凸構造37と口枠2の一部とが係合するように構成されている。
【0142】
この態様によれば、一対の揺動板73の少なくとも一方に凹凸構造37を設けたシンプルな構造で、一対の揺動板73の少なくとも一方を、排水に適した所定の姿勢に保持することができる。
【0143】
本開示の第6態様に係る運搬用容器9は、底壁1と、底壁1の上に位置する口枠2と、底壁1及び口枠2の間で起立する複数の側壁7と、を備える。複数の側壁7は、一対の揺動板73を含む。一対の揺動板73の各々は、口枠2に対して回転可能に連結された基端縁部731と、基端縁部731とは反対側の先端縁部732と、を有する。運搬用容器9は、一対の揺動板73を、互いの先端縁部732が近づく向きに回転させることで折り畳み可能に構成されている。一対の揺動板73の少なくとも一方の表面730には、自身の基端縁部731に向けて伸びる排水溝4が設けられている。一対の揺動板73を回転させた収容状態で、排水溝4は、基端縁部731に向けて下り傾斜する。口枠2又は底壁1には、排水溝4を伝って基端縁部731に流れた水を外部に排出する排水孔5が設けられている。
【0144】
この態様によれば、例えば運搬用容器9を屋外で保管した際に、運搬用容器9の内部に雨水が浸入したときには、その雨水を、一対の揺動板73の少なくとも一方の排水溝4を伝って流下させ、口枠2又は底壁1の排水孔5を通じて外部に排出することが可能である。この態様によれば、内部に浸入した水が外部に排出されやすい。
【符号の説明】
【0145】
1 底壁
2 口枠
3 保持構造
31 凸部
33 突状部
35 突起
37 凹凸構造
4 排水溝
5 排水孔
7 側壁
73 揺動板
730 表面
731 基端縁部
732 先端縁部
74 折曲板
9 運搬用容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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