(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173657
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】車両フロント構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/08 20060101AFI20241205BHJP
B60R 19/04 20060101ALI20241205BHJP
B60R 19/34 20060101ALI20241205BHJP
F16F 7/00 20060101ALI20241205BHJP
F16F 7/12 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B62D25/08 D
B60R19/04 A
B60R19/34
F16F7/00 K
F16F7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024035566
(22)【出願日】2024-03-08
(31)【優先権主張番号】10-2023-0070283
(32)【優先日】2023-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朴 智 雄
(72)【発明者】
【氏名】崔 哲 鉉
(72)【発明者】
【氏名】李 江 山
【テーマコード(参考)】
3D203
3J066
【Fターム(参考)】
3D203BB16
3D203BB17
3D203CA24
3D203CA45
3D203DA22
3J066AA02
3J066AA23
3J066BF01
(57)【要約】
【課題】スモールオーバーラップ衝突時に、車両の回転挙動を抑制し、車両の横方向挙動を増大させることにより、乗客の安全性を改善することができる車両フロント構造を提供する。
【解決手段】車両フロント構造は、一対のフロントサイドメンバーと、前記一対のフロントサイドメンバーの前方に位置したフロントバンパービームと、前記フロントバンパービームの両端部から車両の室外に向かって個別に延びた一対のバンパービーム延長部と、前記一対のバンパービーム延長部の自由端に個別に装着された一対のデフレクタと、前記一対のデフレクタの後方に個別に配置された一対のサポートとを含むことができる。各サポートは、それに対応するフロントサイドメンバーに付着されることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のフロントサイドメンバーと、
前記一対のフロントサイドメンバーの前方に位置したフロントバンパービームと、
前記フロントバンパービームの両端部から個別に延びた一対のバンパービーム延長部と、
前記一対のバンパービーム延長部に個別に装着された一対のデフレクタと、
前記一対のデフレクタの後方に個別に配置され、各サポートは、それに対応するフロントサイドメンバーの室外側面に付着された一対のサポートとを含むことを特徴とする車両フロント構造。
【請求項2】
各デフレクタは、それに対応するバンパービーム延長部の外側に配置された第1デフレクタ部材と、各バンパービーム延長部のキャビティに挿入される第2デフレクタ部材とを含み、
前記第1デフレクタ部材および前記第2デフレクタ部材は、それに対応するバンパービーム延長部にともに固定されることを特徴とする請求項1に記載の車両フロント構造。
【請求項3】
前記第1デフレクタ部材は、その内部に形成された複数のリブと、前記複数のリブによって限定された複数のキャビティとを有することを特徴とする請求項2に記載の車両フロント構造。
【請求項4】
前記第2デフレクタ部材は、その内部に形成された複数のリブと、前記複数のリブによって限定された複数のキャビティとを有することを特徴とする請求項2に記載の車両フロント構造。
【請求項5】
前記第2デフレクタ部材は、それに対応するバンパービーム延長部のキャビティに挿入される挿入部と、それに対応するバンパービーム延長部のキャビティから突出した突出部とを含むことを特徴とする請求項2に記載の車両フロント構造。
【請求項6】
各サポートは、その前方端の幅がその後方端の幅より狭いことを特徴とする請求項1に記載の車両フロント構造。
【請求項7】
各サポートは、その内部に形成された複数のリブと、前記複数のリブによって限定された複数のキャビティとを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両フロント構造。
【請求項8】
前記一対のフロントサイドメンバーを車両の幅方向に連結するクロスメンバーをさらに含み、
前記クロスメンバーの各端部は、ブラケットを介してそれに対応するフロントサイドメンバーの室内側面に固定されることを特徴とする請求項1に記載の車両フロント構造。
【請求項9】
各サポートの少なくとも一部は、車両の幅方向に沿って前記クロスメンバーに整列されることを特徴とする請求項8に記載の車両フロント構造。
【請求項10】
一対のフロントサイドメンバーに個別に装着される一対のフロントマウントを有するフロントサブフレームをさらに含み、
各フロントマウントは、それに対応するサポートの少なくとも一部および前記クロスメンバーに整列されることを特徴とする請求項8に記載の車両フロント構造。
【請求項11】
各サポートは、車両の後方に向かって延びた後方フランジをさらに含み、
各サポートの後方フランジは、それに対応するフロントサイドメンバーの室外側面に付着されることを特徴とする請求項8に記載の車両フロント構造。
【請求項12】
前記ブラケットは、車両の後方に向かって延びた後方フランジをさらに含み、
前記ブラケットの後方フランジは、それに対応するフロントサイドメンバーの室内側面に付着されることを特徴とする請求項11に記載の車両フロント構造。
【請求項13】
各サポートの後方フランジは、車両の幅方向に沿って前記ブラケットの後方フランジに整列されることを特徴とする請求項12に記載の車両フロント構造。
【請求項14】
前記サポートの後方フランジ、それに対応する前記フロントサイドメンバーの一部、および前記ブラケットの後方フランジを貫通する貫通パイプをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の車両フロント構造。
【請求項15】
前記フロントバンパービームは、一対のクラッシュボックスを介して前記一対のフロントサイドメンバーの前方端に連結され、
各クラッシュボックスの幅は、それに対応するフロントサイドメンバーの幅より大きく、
各サポートは、各クラッシュボックスの後方でそれに対応するフロントサイドメンバーの室外側面に装着されることを特徴とする請求項1に記載の車両フロント構造。
【請求項16】
各フロントサイドメンバーは、その前方端に提供されたプレートを含み、
各クラッシュボックスは、それに対応するフロントサイドメンバーのプレートに固定されることを特徴とする請求項15に記載の車両フロント構造。
【請求項17】
前記プレートは、それに対応するフロントサイドメンバーの室内側面と接触する室内側フランジと、それに対応するサポートと接触する室外側フランジとを有することを特徴とする請求項16に記載の車両フロント構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両フロント構造に係り、より詳しくは、車両の衝突時に車両の横方向挙動を増大させることができる車両フロント構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両は、フロントインパクト(frontal impacts)、サイドインパクト(side impacts)、リアインパクト(rear impacts)、ロールオーバ(roll-over)などの様々なテストによってその衝突性能(crashworthiness)がテストされている。 最近、リジッドバリア(rigid barrier)に対するスモールオーバーラップ正面衝突(small overlap frontal crashes against a rigid barrier)をシミュレーション(模擬)するスモールオーバーラップテストが米国高速道路安全保険協会(Insurance Institute for Highway Safety、IIHS)により導入されている。このようなスモールオーバーラップ試験は、40MPH(64KPH)で走る車両の運転席の前部で車両幅の25%を障害物と衝突させる試験であり、公知の衝突試験のうち最も苛酷である。
【0003】
純粋な電気自動車(BEV、battery electric vehicle)、燃料電池自動車(FCEV、fuel cell electric vehicle)、ハイブリッド自動車(HEV、hybrid electric vehicle)などの環境にやさしい自動車(eco-friendly motor vehicles)は、バッテリー、燃料電池などのエネルギーソース(energy source)の重量が内燃機関自動車に比べて相対的に大きくなるため、車両の全重量が相対的に増加する。
【0004】
このように、環境にやさしい自動車は、エネルギーソースの重量によって既存の内燃機関自動車に比べて相対的にその重量が増加し、増加した重量だけ衝突エネルギーが増加する。そのため、車体の補強構造を強化する必要があるため、その製造コストおよび重量が増加し得る。また、スモールオーバーラップ試験において車両がバリアと衝突する時に、車両の回転挙動(yaw motion)が発生し、車両のフロントドアの開口に隣接したフロントピラーがバリアと直接衝突することによってフロントピラーの補強構造強化が必須となり、そのため、フロントピラーの重量および製造コストが増大する欠点があった。
【0005】
スモールオーバーラップ衝突時に、車両の回転挙動を防止するために、既存の環境にやさしい自動車は、各フロントサイドメンバーに装着されたサポートを備え、サポートは、バンパーの各端部からそれに対応するフロントサイドメンバーに向かって傾斜して構成され、スモールオーバーラップ衝突時に、バンパーの各端部がフロントサイドメンバーに向かって変形することにより、バンパーの各端部は、サポートに支持される。しかし、スモールオーバーラップ衝突時に、バンパーの変形した端部がサポートを直接打撃することからフロントサイドメンバーが過剰に折り曲げられる可能性があり、そのため、車両の横方向荷重(lateral force)および横方向挙動(lateral displacement)が減少する。
【0006】
また、既存の環境にやさしい自動車は、スモールオーバーラップ衝突時に、バンパーの各端部およびサポートが常に接触するか、バンパーの各端部とサポートとの間隔が狭小であるため、車両の低速衝突時に、車両が破損しやすい欠点がある。
【0007】
この背景技術部分に記載の事項は、発明の背景に関する理解を深めるために作成されており、この技術が属する分野において通常の知識を有する者にとって既知の従来技術ではない事項を含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような点を考慮して導き出されており、スモールオーバーラップ衝突時に、車両の回転挙動を抑制し、車両の横方向挙動を増大させることにより、乗客の安全性を改善することができる車両フロント構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の車両フロント構造は、一対のフロントサイドメンバーと、前記一対のフロントサイドメンバーの前方に位置したフロントバンパービームと、前記フロントバンパービームの両端部から車両の室外に向かって個別に延びた一対のバンパービーム延長部と、前記一対のバンパービーム延長部の自由端に個別に装着された一対のデフレクタと、前記一対のデフレクタの後方に個別に配置された一対のサポートとを含むことができる。各サポートは、それに対応するフロントサイドメンバーに付着されることができる。
【0010】
各デフレクタは、それに対応するバンパービーム延長部の外側に配置された第1デフレクタ部材と、各バンパービーム延長部のキャビティに挿入される第2デフレクタ部材とを含むことができる。前記第1デフレクタ部材および前記第2デフレクタ部材は、それに対応するバンパービーム延長部にともに固定されることができる。
【0011】
前記第1デフレクタ部材は、その内部に形成された複数のリブと、前記複数のリブによって限定された複数のキャビティとを含むことができる。
【0012】
前記第2デフレクタ部材は、その内部に形成された複数のリブと、前記複数のリブによって限定された複数のキャビティとを含むことができる。
【0013】
前記第2デフレクタ部材は、それに対応するバンパービーム延長部のキャビティに挿入される挿入部と、それに対応するバンパービーム延長部のキャビティから突出した突出部とを含むことができる。
【0014】
各デフレクタは前記第1デフレクタ部材と前記第2デフレクタ部材との間に位置した補強材をさらに含むことができる。
【0015】
各サポートの前方端の幅が各サポートの後方端の幅より狭くすることができる。
【0016】
各サポートは、その内部に形成された複数の補強リブと、前記複数のリブによって限定された複数のキャビティとを含むことができる。
【0017】
前記一対のフロントサイドメンバーを車両の幅方向に連結するフランクバーをさらに含むことができる。前記フランクバーの各端部は、ブラケットを介してそれに対応するフロントサイドメンバーの室内側面に固定されることができる。
【0018】
各サポートの少なくとも一部は、車両の幅方向に沿って前記フランクバーに整列されることができる。
【0019】
本発明の車両フロント構造は、一対のフロントサイドメンバーに個別に装着される一対のフロントマウントを有するフロントサブフレームをさらに含むことができる。各フロントマウントは、それに対応するサポートの少なくとも一部および前記フランクバーに整列されることができる。
【0020】
各サポートは車両の後方に向かって延びた後方フランジをさらに含み、各サポートの後方フランジは、それに対応するフロントサイドメンバーの室外側面に付着されることができる。
【0021】
前記ブラケットは、車両の後方に向かって延びた後方フランジをさらに含み、前記ブラケットの後方フランジは、それに対応するフロントサイドメンバーの室内側面に付着されることができる。
【0022】
各サポートの後方フランジは、車両の幅方向に沿って前記ブラケットの後方フランジに整列されることができる。
【0023】
本発明の車両フロント構造は、各サポートの後方フランジ、それに対応するフロントサイドメンバーの一部、および前記ブラケットの後方フランジを貫通する貫通パイプをさらに含むことができる。
【0024】
前記フロントバンパービームは、一対のクラッシュボックスを介して前記一対のフロントサイドメンバーの前方端に連結されることができる。各クラッシュボックスの幅は、それに対応するフロントサイドメンバーの幅より大きく、各サポートは、各クラッシュボックスの後方端とそれに対応するフロントサイドメンバーの室外側面に装着されることができる。
【0025】
各フロントサイドメンバーは、その前方端に提供されたプレートを含み、各クラッシュボックスは、それに対応するフロントサイドメンバーのプレートに固定されることができる。
【0026】
前記プレートは、それに対応するフロントサイドメンバーの室内側壁と接触する室内側フランジと、それに対応するサポートと接触する室外側フランジとを有することができる。
【0027】
各サポートは、それに対応するフロントサイドメンバーのプレートに装着される第1付着壁と、それに対応するフロントサイドメンバーの室外側壁に装着される第2付着壁と、それに対応するデフレクタと対向する第1傾斜壁と、前記第1傾斜壁の先方に位置した第2傾斜壁とを含むことができる。
【0028】
各サポートは、車両の後方に向かう第3傾斜壁をさらに含み、前記第3傾斜壁は前記第1傾斜壁に所定角度で交差することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、スモールオーバーラップ衝突試験で車両とバリアが衝突する時に、車両の回転が抑制され、車両の横方向挙動が増加することで、フロントドアの開口に隣接したフロントピラーの補強構造の重量が相対的に減少することができ、乗客の安全性が有利になる。
【0030】
また、デフレクタの第2デフレクタ部材および第1デフレクタ部材がバンパービーム延長部にともに結合するように構成されることで、デフレクタの装着剛性が強化するだけでなく、デフレクタの組立性が大幅に改善する。
【0031】
また、衝突が発生する前には、デフレクタがサポートに対して対角線方向に離隔しており、衝突が発生した時にバンパービーム延長部が折り曲げられる間にデフレクタが、デフレクタとサポートとの間の離隔した距離だけ移動した後、デフレクタが、サポートを打撃するか接触することで、低速衝突性能が十分に確保される。
【0032】
さらに、サポートの少なくとも一部が車両の幅方向に沿ってフロントサイドメンバーの一部、ブラケット、およびフランクバーに整列されることで、サポートの少なくとも一部、フロントサイドメンバーの一部、ブラケット、およびフランクバーが重なり合うことができ、これによって、サポート、フロントサイドメンバー、ブラケット、およびフランクバーは、横荷重を伝達するロードパスを形成することができ、これにより、スモールオーバーラップ衝突時に、車両の横方向挙動が増加する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の車両フロント構造を図示した斜視図である。
【
図2】本発明の車両フロント構造のバンパービーム延長部、デフレクタ、およびサポートを拡大した図である。
【
図3】本発明の車両フロント構造の一部を図示した平面図である。
【
図4】スモールオーバーラップ衝突時に、バリアが本発明の車両フロント構造を打撃することを図示した図である。
【
図6】
図5のB-B線に沿って図示した断面図である。
【
図7】本発明の車両フロント構造において、フランクバーがフロントサイドメンバーのブラケットに固定されたことを車両の前方から見た図である。
【
図8】本発明の車両フロント構造のフロントサイドメンバーのブラケットを図示した図である。
【
図9】本発明の車両フロント構造において、フランクバーがフロントサイドメンバーのブラケットに固定されたことを車両の後方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明について、添付の図面を参照して詳細に説明する。参考までに、本発明を説明する上で参照する図面に図示されている構成要素のサイズ、線の厚さなどは、理解の便宜上、多少誇張して表現されている可能性がある。また、本発明の説明に使用される用語は、本発明における機能を考慮して定義したものであり、ユーザ、運用者の意図、慣例などに応じて変化し得る。したがって、この用語に関する定義は、本明細書の全般にわたる内容に基づいて下すべきである。
【0035】
本発明の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用する。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであって、その用語によって当該構成要素の本質や手順または順序などが限定されない。また、他に定義されない限り、技術的や科学的な用語をはじめここで使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的もしくは過剰に形式的な意味に解釈されない。
【0036】
図1~
図5に示すとおり、本発明の車両フロント構造10は、一対のフロントサイドメンバー11と、一対のフロントサイドメンバー11の前方に位置したフロントバンパービーム13(front bumper beam)と、フロントバンパービーム13の両端から車両の室外に向かって個別に延びた一対のバンパービーム延長部14と、一対のバンパービーム延長部14に個別に装着された一対のデフレクタ20と、一対のデフレクタ20の後方に配置された一対のサポート15とを含む。
【0037】
一対のフロントサイドメンバー11は、ダッシュクロスメンバー1から車両の前方に向かって延びることができ、一対のリアロアメンバー2がダッシュクロスメンバー1の両端に個別に提供されることができ、各フロントサイドメンバー11の後方端は、それに対応するリアロアメンバー2に連結される。各フロントサイドメンバー11は、車両の長手方向に沿って延びることができ、これにより、各フロントサイドメンバー11の長手方向の軸線と車両の長手方向の軸線とが平行である。一対のフロントサイドメンバー11は、車両の幅方向に沿って離隔する。各フロントサイドメンバー11は、車両の室外に向かう室外側面と、車両の室内に向かう室内側面とを含む。
【0038】
図2および
図3に示すとおり、フロントサイドメンバー11は、その前方端に提供されたプレート11aを含むことができ、プレート11aは、溶接、締結具などによりフロントサイドメンバー11の前方端に固定される。プレート11aは、フロントサイドメンバー11の室内側面と接触する室内側フランジ11bと、サポート15と接触する室外側フランジ11cとを有する。室内側フランジ11bは、フロントサイドメンバー11の長手方向の軸線と平行であることができ、室外側フランジ11cは、フロントサイドメンバー11の長手方向の軸線に対して所定の角度で傾斜する。
【0039】
フロントバンパー組立体(front bumper assembly)が、一対のフロントサイドメンバー11の前方に連結される。フロントバンパー組立体は、バンパーカバー(bumper cover)と、バンパーカバーに連結されたフロントバンパービーム13とを含む。フロントバンパービーム13は、車両の幅方向に沿って延びることができ、これにより、フロントバンパービーム13の長手方向の軸線は、フロントサイドメンバー11の長手方向の軸線と直交する。フロントバンパービーム13は、その内部に限定されたキャビティを有する。
【0040】
フロントバンパービーム13は、一対のクラッシュボックス16を介して一対のフロントサイドメンバー11の前方端に連結される。各クラッシュボックス16の前方端は、溶接、締結具などによりフロントバンパービーム13に結合することができ、各クラッシュボックス16の後方端は、溶接、締結具などにより各フロントサイドメンバー11のプレート11aに固定される。特に、各クラッシュボックス16は、車両の長手方向に沿ってそれに対応するフロントサイドメンバー11に整列されることができ、これにより、各クラッシュボックス16およびこれに相当するフロントサイドメンバー11は、車両の長手方向に沿ってフロントバンパービーム13から車両の後方に向かって延びる。各クラッシュボックス16は、車両の室外に向かう室外側面と、車両の室内に向かう室内側面とを含む。
【0041】
図3に示すとおり、各クラッシュボックス16の幅w1は、それに対応するフロントサイドメンバー11の幅w2より相対的に大きいことができ、フロントサイドメンバー11の室外側面が、各クラッシュボックス16の室外側面より車両の長手方向の中心軸線に向かって凹むことができ、各サポート15は、それに対応するフロントサイドメンバー11の室外側面に付着されることができ、各サポート15は、それに対応するクラッシュボックス16の後方に位置することができる。各サポート15の前方端は、それに対応するクラッシュボックス16の後方端と隣接する。
【0042】
各バンパービーム延長部14は、フロントバンパービーム13の各端部から車両の室外に向かって延びることができ、各バンパービーム延長部14は、車両の後方に向かってカーブする。特に、各バンパービーム延長部14は、それに対応するフロントサイドメンバー11および/またはサポート15に向かって面するように車両の後方に向かってカーブする。スモールオーバーラップ衝突時に、バリア70(
図4参照)がバンパービーム延長部14を打撃する時に、バンパービーム延長部14は、クラッシュボックス16およびフロントサイドメンバー11に向かって変形される。
【0043】
各バンパービーム延長部14は、車両の上方に向かう上部壁と、車両の下方に向かう下部壁と、車両の前方に向かう前方壁と、車両の後方に向かう後方壁とを含む。各バンパービーム延長部14は、その内部に限定されたキャビティを有することができ、キャビティは、上部壁、下部壁、前方壁、および後方壁によって限定される。
【0044】
図3および
図4に示すとおり、各デフレクタ20が、機械的結合構造、熱的結合構造などにより、各バンパービーム延長部14の自由端14aに装着される。
図4に示すとおり、バンパービーム延長部14がクラッシュボックス16およびフロントサイドメンバー11に向かって変形される時に、デフレクタ20は、サポート15と接触するか、サポート15を打撃する。
【0045】
図2に示すとおり、各デフレクタ20は、バンパービーム延長部14の外側に配置された第1デフレクタ部材21と、バンパービーム延長部14のキャビティに挿入された第2デフレクタ部材22とを含む。第1デフレクタ部材21および第2デフレクタ部材22は、締結具、溶接、熱融着などによりバンパービーム延長部14の後方壁にともに固定される。
【0046】
第1デフレクタ部材21がバンパービーム延長部14の後方壁に固定されることで、第1デフレクタ部材21は、バンパービーム延長部14の外側からサポート15に向かって露出する。第1デフレクタ部材21は、その内部に形成された複数のリブ21cと、複数のリブ21cによって限定された複数のキャビティ21dとを有する。第1デフレクタ部材21は、その長手方向に沿って均一な断面を有する。第1デフレクタ部材21は、複数のリブ21cによってその剛性および強度が強化することができ、第1デフレクタ部材21は、複数のキャビティ21dによってその重量が減少する。一例によると、第1デフレクタ部材21は、押出、鋳造、プレス工程のいずれか一つの工程により製造される。
【0047】
第2デフレクタ部材22は、バンパービーム延長部14のキャビティに挿入される挿入部22aと、バンパービーム延長部14のキャビティから突出した突出部22bとを有する。第2デフレクタ部材22は、その内部に形成された複数のリブ22cと、複数のリブ22cによって限定された複数のキャビティ22dとを有する。第2デフレクタ部材22は、その長手方向に沿って均一な断面を有する。第2デフレクタ部材22は、複数のリブ22cによってその剛性および強度が強化することができ、第2デフレクタ部材22は、複数のキャビティ22dによってその重量が減少する。一例によると、第2デフレクタ部材22は、押出、鋳造、プレス工程のいずれか一つの工程により製造される。
【0048】
このように、第2デフレクタ部材22の挿入部22aがバンパービーム延長部14のキャビティに挿入され、第1デフレクタ部材21がバンパービーム延長部14の後方壁に露出するように装着されることで、デフレクタ20は、バンパービーム延長部14の自由端に強固に固定されることができ、デフレクタ20は、バンパービーム延長部14に簡単に組み立てられる。
【0049】
図2に示すとおり、第1デフレクタ部材21の周縁は、MIG溶接などにより全周縁溶接23aによってバンパービーム延長部14の後方壁に固定される。
【0050】
各サポート15は、それに対応するデフレクタ20に対して対角線方向に十分に離隔することができ、各サポート15は、締結具、溶接などにより、それに対応するフロントサイドメンバー11の室外側面に固定される。
図2および
図3に示すとおり、各サポート15は、それに対応するフロントサイドメンバー11のプレート11aに付着される第1付着壁31と、それに対応するフロントサイドメンバー11の室外側面に付着される第2付着壁32と、それに対応するデフレクタ20と対向する第1傾斜壁33と、第1傾斜壁33の前方に位置した第2傾斜壁34と、車両の後方に向かう第3傾斜壁35とを含む。
【0051】
第1付着壁31は、締結具、溶接などによりフロントサイドメンバー11のプレート11aに装着できる。一例によると、第1付着壁31は、FDS(Flow Drill Screw)によりフロントサイドメンバー11のプレート11aに固定される。
【0052】
第2付着壁32は、締結具、溶接などによりフロントサイドメンバー11の室外側面に付着される。一例によると、第2付着壁32の周縁がMIG溶接(Metal Inert Gas Arc Welding)によりフロントサイドメンバー11の室外側面に固定される。
【0053】
第1傾斜壁33は、車両の長手方向の軸線に対して所定の角度aで傾斜して形成される。第1傾斜壁33の傾斜角aは、鋭角である。
【0054】
第2傾斜壁34は、第1傾斜壁33と同一もしくは類似する角度でフロントサイドメンバー11の長手方向の軸線に対して傾斜する。第2傾斜壁34は、第1傾斜壁33に対して所定の間隔でオフセットすることができ、プレート11aの室外側フランジ11cが第2傾斜壁34と同じ角度で傾斜することができる。プレート11aの室外側フランジ11cは、締結具、溶接などにより第2傾斜壁34に固定される。一例によると、プレート11aの室外側フランジ11cは、FDS(Flow Drill Screw)により第2傾斜壁34に固定される。
【0055】
第3傾斜壁35は、車両の長手方向の軸線に対して所定の角度で傾斜して形成されることができ、第3傾斜壁35は、第1傾斜壁33に対して所定の角度で交差する。
【0056】
サポート15は、第1傾斜壁33および第2傾斜壁34によってその前方端の幅がその後方端の幅より相対的に狭くする。そのため、スモールオーバーラップ衝突時に、バンパー延長部14がフロントサイドメンバー11に向かって折り曲げられる時に、デフレクタ20がサポート15の第1傾斜壁33およびプレート11aの室外側フランジ11cと直接接触するか打撃することができ、デフレクタ20がサポート15の第1傾斜壁33およびプレート11aの室外側フランジ11cと接触する面積が相対的に広いことから車両に加えられる横方向荷重が増加することにより、車両の横方向挙動が増大する。
【0057】
サポート15の第1付着壁31がフロントサイドメンバー11のプレート11aに装着されるように、サポート15のサイズは、相対的に小さいことができ、これにより、スモールオーバーラップ衝突初期に、デフレクタ20の第1デフレクタ部材21がサポート15を打撃する時に、フロントサイドメンバー11の折り曲げは最小化することができ、車両の横方向挙動は相対的に増加する。
【0058】
図2および
図3に示すとおり、サポート15は、その内部に形成された複数のリブ36、37と、複数のリブ36、37によって限定された複数のキャビティ38とを含む。複数のリブ36、37は、車両の長手方向に延びた第1リブ36と、第1リブ36の長手方向の軸線に対して所定の角度で交差する第2リブ37からなる。第1リブ36は、第1付着壁31および第3傾斜壁35を連結することができ、第2リブ37は、第1傾斜壁33および第2付着壁32を連結する。第1リブ36の長手方向の軸線は、フロントサイドメンバー11の長手方向の軸線と平行であることができる。第2リブ37の長手方向の軸線は、第3傾斜壁35の長手方向の軸線と実質的に平行である。
【0059】
サポート15は、その長手方向に沿って均一な断面を有する。一例によると、サポート15は、押出、鋳造、プレス工程のいずれか一つの工程により製造される。
【0060】
図1に示すとおり、本発明の車両フロント構造10は、一対のフロントサイドメンバー11を車両の幅方向に連結するクロスメンバーの一種であるフランクバー17(frunk bar)をさらに含む。フランクバー17は、電気自動車のフロントコンパートメントに装着されたフランクハウジング(frunk housing)を支持するように構成される。フランクバー17は、上向きに突出した突出部17aを有する。フランクバー17は、車両の幅方向に沿って延びることができ、フランクバー17の両端は、一対のブラケット18を介して一対のフロントサイドメンバー11に個別に固定される。各フロントサイドメンバー11は、フランクバー17の端部を固定するブラケット18を含むことができ、ブラケット18は、各フロントサイドメンバー11の室内側面に固定される。
【0061】
図1に示すとおり、フロントサイドメンバー11は、ブラケット18の後方に位置した凹ビード19(recessed bead)を有する。凹ビード19は、フロントサイドメンバー11の室内側面からその高さ方向に延びることができ、凹ビード19は、ブラケット18から相対的に遠距離で離隔する。
【0062】
図7~
図9に示すとおり、ブラケット18は、車両の上部に向かう上部壁51と、車両の下部に向かう下部壁52と、車両の後方に向かう後方壁53と、フロントサイドメンバー11の室内側面に付着される側壁54とを含む。後方壁53は、上部壁51および下部壁52を垂直に連結することができ、ブラケット18は、後方壁53によって車両の後方に対して閉鎖されることができ、ブラケット18は、車両の前方に向かって開放される。
【0063】
フランクバー17の各端部は、複数の締結具55、56によってブラケット18の上部壁51、下部壁52、および後方壁53に固定される。複数の第1締結具55は、上部壁51、フランクバー17の端部、および下部壁52を締結することができ、各第1締結具55は、車両の高さ方向に沿って延びる。複数の第2締結具56は、フランクバー17の端部および後方壁53を締結することができ、各第2締結具56は、車両の長手方向に沿って延びる。ブラケット18は、車両の前方に向かって開放されていることからフランクバー17の各端部がブラケット18に簡単に装着されることができ、フランクバー17は、ブラケット18の後方壁53によって支持されることで、フランクバー17は、車両の前方衝突時に、ブラケット18に安定的に支持される。
【0064】
図3に示すとおり、サポート15の少なくとも一部が車の幅方向に沿ってフロントサイドメンバー11の一部、ブラケット18、およびフランクバー17に整列されることで、サポート15の少なくとも一部、フロントサイドメンバー11の一部、ブラケット18、およびフランクバー17は、重なり合う。サポート15の少なくとも一部、フロントサイドメンバー11の一部、ブラケット18、およびフランクバー17の間の重畳領域OVは、フロントサイドメンバー11の長手方向に沿って延びる。このように、サポート15、フロントサイドメンバー11、ブラケット18、およびフランクバー17が重畳領域OVを介して互いに連結されることで、サポート15、フロントサイドメンバー11、およびフランクバー17は、横荷重を伝達するロードパスを形成することができ、これにより、スモールオーバーラップ衝突時に、車両の横方向挙動が増加する。特に、横方向荷重がサポート15の第3傾斜壁35を介してフロントサイドメンバー11およびフランクバー17に伝達されることで、車両の横方向挙動が増大する。
【0065】
図3に示すとおり、サポート15は、第2付着壁32から車両の後方に向かって延びた後方フランジ39をさらに含む。サポート15の後方フランジ39は、締結具、溶接などによりフロントサイドメンバー11の室外側面に付着される。ブラケット18は、側壁54から車両の後方に向かって延びた後方フランジ59をさらに含む。ブラケット18の後方フランジ59は、締結具、溶接などによりフロントサイドメンバー11の室内側面に付着される。サポート15の後方フランジ39は、車両の幅方向に沿ってブラケット18の後方フランジ59に整列されることができ、これにより、フロントサイドメンバー11の一部分がサポート15の後方フランジ39とブラケット18の後方フランジ59との間でサンドイッチされる。
【0066】
図3に示すとおり、貫通パイプ49が、サポート15の後方フランジ39、フロントサイドメンバー11、およびブラケット18の後方フランジ59を貫通する。貫通パイプ49は、フロントサイドメンバー11の幅方向に延びることができ、貫通パイプ49の第1端部は、溶接などによりサポート15の後方フランジ39に固定されることができ、貫通パイプ49の第2端部は、溶接などによりブラケット18の後方フランジ59に固定される。これにより、サポート15およびブラケット18は、貫通パイプ49を介してそれに対応するフロントサイドメンバー11の両側面に強固に固定される。一例によると、サポート15の第2付着壁32の周縁および後方フランジ39の周縁は、MIG溶接(Metal Inert Gas Arc Welding)を介してフロントサイドメンバー11の室外側面に固定されることができ、サポート15の後方フランジ39は、FDS(Flow Drill Screw)などの様々な締結具48を介してフロントサイドメンバー11の室外側面に固定される。
【0067】
図3に示すとおり、衝突が発生する前には、デフレクタ20が、サポート15に対して対角線方向に十分な距離で離隔しており、
図4のように衝突が発生した時に、バンパービーム延長部14が折り曲げられる間に、デフレクタ20がデフレクタ20とサポート15との間の離隔した距離だけ移動した後、デフレクタ20がサポート15を打撃するか接触することで、車両の低速衝突性能が十分に確保される。
【0068】
図4に示すとおり、スモールオーバーラップ衝突時に、バリア70がバンパービーム延長部14を打撃することで、バンパービーム延長部14は、サポート15に向かって折り曲げられ、デフレクタ20が、サポート15の第1傾斜壁33およびプレート11aの室外側フランジ11cと接触する。これにより、フロントバンパービーム13、バンパービーム延長部14、デフレクタ20、サポート15、フロントサイドメンバー11、およびフランクバー17は、荷重を伝達するロードパスLを形成することができ、スモールオーバーラップ衝突初期に、車両の横方向挙動が効果的に誘導される。特に、スモールオーバーラップ試験時に、バンパービーム延長部14がバリア70と衝突することによって発生した横方向荷重が、バンパービーム延長部14、サポート15、およびフランクバー17を介して車両の幅方向に沿って伝達されることができ、これにより、車両の回転が抑制される一方、車両の横方向挙動が増加する。
【0069】
本発明の車両フロント構造10は、一対のフロントサイドメンバー11の下方に位置したフロントサブフレーム40を含む。フロントサブフレーム40は、フロントサイドメンバー11およびダッシュクロスメンバー1などに装着される。
図5および
図6に示すとおり、フロントサブフレーム40は、その前方端に提供された一対のフロントマウント41を有し、フロントサブフレーム40のフロントマウント41がフロントサイドメンバー11に装着される。各フロントマウント41は、フロントサイドメンバー11の前方部に装着されるパイプ形状に構成される。フロントサブフレーム40は、エレクトロニックモータ(electric motor or electric engine)、パワーエレクトロニクス(power electronics)、変速機(transmission)、懸架装置などを支持するように構成される。
【0070】
図3および
図5に示すとおり、フロントサブフレーム40のフロントマウント41は、車両の幅方向に沿ってそれに対応するサポート15の少なくとも一部、ブラケット18、およびフランクバー17に整列される。これにより、フロントサブフレーム40のフロントマウント41は、サポート15とフランクバー17との間の重畳領域OVに位置することができ、これにより、車両の衝突時に、荷重がサポート15、フロントサイドメンバー11、およびフロントマウント41を介してフロントサブフレーム40に伝達される。
【0071】
図6に示すとおり、フロントサブフレーム40のフロントマウント41が一対のフロントサイドメンバー11に直接連結され、フロントマウント41が車両の幅方向に沿ってフランクバー17に整列されることで、フランクバー17、一対のフロントマウント41、およびフロントサブフレーム40は、閉ループ構造CLPを形成する。フランクバー17、一対のフロントマウント41、およびフロントサブフレーム40は、閉ループ構造CLPを形成することで、車両の衝突初期に、サポート15、フランクバー17、およびフロントサブフレーム40に沿って伝達される横方向荷重が増加することができ、これにより、車両の横方向挙動が増加することができ、フロントサブフレーム40の装着剛性が強化することで、車両のNVH性能が改善する。
【0072】
上述のように、スモールオーバーラップ衝突初期に、バリア70がバンパービーム延長部14を打撃することで、バンパービーム延長部14は、サポート15に向かって折り曲げられることができ、デフレクタ20は、サポート15の第1傾斜壁33と接触する。サポート15の第1傾斜壁33がフロントサイドメンバー11の長手方向の軸線に対して鋭角で傾斜し、サポート15の第1付着壁31および第2傾斜壁34がフロントサイドメンバー11のプレート11aに付着されることにより、バンパービーム延長部14がバリア70によってサポート15に向かって折り曲げられる時に、デフレクタ20がサポート15を打撃する時にフロントサイドメンバー11の折り曲げが相対的に最小化することができ、車両の横方向挙動は、相対的に増加する。このように、スモールオーバーラップ衝突時に、フロントサイドメンバー11の折り曲げが最小化し、車両の横方向挙動が増加することにより、車両は回転せずバリア70からスライドアウェイ(slide away)し、これにより、乗客の頭および首の回転が最小化することができ、乗客の保護性能が向上する。
【0073】
特に、スモールオーバーラップ衝突時に、車両の横方向挙動が相対的に増加し、車両の回転挙動が最小化することで、バリア70が車両のフロントドアの開口に隣接したフロントピラーを直接打撃しないことから、車両のフロントピラーの補強構造が相対的に簡素化することができ、これにより、フロントピラーの重量および製造コストが大幅に減少する。
【0074】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正および変形が可能である。
【0075】
したがって、本発明に開示されている実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであって、このような実施形態によって本発明の技術思想の範囲が限定されない。本発明の保護範囲は、以下の請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0076】
1 ダッシュクロスメンバー
2 リアロアメンバー
3 フロントエンドキャリア
4 フェンダーエプロン
5 ロアストラット
6 ダンパハウジング
7 ダンパストラットバー
9 ダッシュパネル
10 車両フロント構造
11 フロントサイドメンバー
11a プレート
11b 室内側フランジ
11c 室外側フランジ
13 フロントバンパービーム
14 バンパービーム延長部
15 サポート
16 クラッシュボックス
17 フランクバー
18 ブラケット
20 デフレクタ
21 第1デフレクタ部材
22 第2デフレクタ部材
31 第1付着壁
32 第2付着壁
33 第1傾斜壁
34 第2傾斜壁
35 第3傾斜壁
36、37 補強リブ
39 後方フランジ
40 フロントサブフレーム
49 貫通パイプ
51 上部壁
52 下部壁
53 後方壁
54 側壁
55、56 締結具
59 後方フランジ