(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173690
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】面取り床材の改良構造
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
E04F15/02 A
E04F15/02 B
E04F15/02 E
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024068201
(22)【出願日】2024-04-19
(31)【優先権主張番号】112120309
(32)【優先日】2023-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】524050796
【氏名又は名称】科定企業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100135758
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高志
(72)【発明者】
【氏名】曹 憲章
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA33
2E220AC03
2E220BA03
2E220BB02
2E220BB20
2E220DA11
2E220DB03
2E220EA02
2E220FA01
2E220GA22X
2E220GB33X
2E220GB34X
2E220GB48X
(57)【要約】 (修正有)
【課題】如何なる色系の床材であっても接合後の面取り加工された継ぎ目の溝の色差を減らすか、色が相違する問題が発生することを防ぎ、見た目を良くする、面取り床材の改良構造を提供する。
【解決手段】面取り床材の改良構造は、底層11及び床材層2を備えた面取り床材1を含み、底層の側辺には、第1の接続部111及び第2の接続部112をそれぞれ設け、第1の接続部は、他方の面取り床材の第2の接続部と接続し、第2の接続部は、他方の面取り床材の第1の接続部と接続し、床材層は、底層上に形成するとともに、頂部両側辺に面取り21をそれぞれ設け、床材層は、同色層22及び耐摩印刷層23を含み、耐摩印刷層は、同色層上に形成し、同色層は単一色であり、ポリエチレンテレフタレートグリコール又はアクリロニトリルブタジエンスチレンからなり、厚さは0.2mm~1mmである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底層及び床材層を備えた面取り床材を含む、面取り床材の改良構造であって、
前記底層の側辺には、第1の接続部及び第2の接続部をそれぞれ設け、前記第1の接続部は、他方の前記面取り床材の前記第2の接続部と接続し、前記第2の接続部は、他方の前記面取り床材の前記第1の接続部と接続し、
前記床材層は、前記底層上に形成するとともに、頂部両側辺に面取りをそれぞれ設け、前記床材層は、同色層及び耐摩印刷層を含み、前記耐摩印刷層は、前記同色層上に形成し、
前記同色層は単一色であり、
前記同色層は、ポリエチレンテレフタレートグリコール(Polyethylene Terephthalate Glycol:PETG)又はアクリロニトリルブタジエンスチレン(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene:ABS)からなり、
前記同色層の厚さは0.2mm~1mmであることを特徴とする、面取り床材の改良構造。
【請求項2】
前記底層は、MDF(Medium Density Fiberboard)、SPC(Solid Polymer Core)、ポリ塩化ビニル(Polyvinyl Chloride:PVC)、フォーム(Foam)又は単板積層材(Laminated Veneer Lumber)からなることを特徴とする請求項1に記載の面取り床材の改良構造。
【請求項3】
前記耐摩印刷層は、ポリプロピレン(Polypropylene:PP)、ポリ塩化ビニル(Polyvinyl Chloride:PVC)又は紙からなることを特徴とする請求項1に記載の面取り床材の改良構造。
【請求項4】
前記床材層の頂部四側辺には、前記面取りをそれぞれ設けることを特徴とする請求項1に記載の面取り床材の改良構造。
【請求項5】
前記第1の接続部は、雄コネクタ構造であり、
前記第2の接続部は、雌コネクタ構造であり、
前記第1の接続部と前記第2の接続部とは互いに接続し得ることを特徴とする請求項1に記載の面取り床材の改良構造。
【請求項6】
前記面取りの深さは0.05mm~0.8mmであることを特徴とする請求項1に記載の面取り床材の改良構造。
【請求項7】
前記底層の厚さは1mm~25mmであることを特徴とする請求項1に記載の面取り床材の改良構造。
【請求項8】
前記耐摩印刷層の厚さは0.05mm~0.5mmであることを特徴とする請求項1に記載の面取り床材の改良構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材に関し、特に、如何なる色系の床材であっても接合後、面取り加工された継ぎ目の溝の色差を減少させ、色が異なってしまう問題を改善し、見た目を良くする、面取り床材の改良構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フローリング床材は、浮かし床とも称され、設計が簡単で、速やかに施工することができる床材である。このような床材の設計は、例えば、コンクリート、タイル、従来のフローリング床など、硬い表面上に貼り付けることができる。フローリング床材は、複合(積層)フローリング、無垢フローリングなどのタイプを含む。以下、フローリング床材を貼る技術の基本要素について説明する。
【0003】
ロックシステム:フローリング床材のポイントは、ロックシステムにある。これらフローリング床材の縁部には、特殊なほぞ及びほぞ溝を設け、ほぞとほぞ溝とを密着させることができるため、接着剤も釘も全く必要ない。このシステムは、フローリング床材を平らに貼ることができるとともに、必要に応じて容易に取り除くか交換することができる。
【0004】
材料:フローリング床材は、各種材料からなる。代表的な物としては、複合(積層)フローリングがあり、これは耐摩耗印刷層、画像層(木又は石を模倣した見た目)、高密度繊維板(中間層)及び底層から構成されてなる。無垢フローリングは、天然木からなり、見た目がとても自然であるが、高コストであった。豪華なビニル床は、ビニル系樹脂からなり、様々な自然材料を模倣するとともに、高い耐久性及び防水性を有する。
【0005】
貼り付け:フローリング床材の貼り付けは、簡単であり、特に専門的な技術は必要ない。一般にフローリング床材は、所望のパターン及び方向に配列させてから、それらを圧縮すると一体化させることができる。フローリング床材間のロックシステムにより床材を互いに密着させ、表面をスムーズに形成することができる。
【0006】
養生:フローリング床材を容易に養生することができる。一般に清掃は、乾燥した布又は僅かに濡れた布を使用して行うが、フローリング床材の材質に応じて、一部特殊な清掃製品を使用する必要もあった。
【0007】
しかし、従来技術の欠点としては、中間層(非PETG又はABS材料)の色が単調であり、多色系の耐摩耗印刷層の色と相違することが一般的であったため、面取り箇所の色が一般にフローリング床材を接合した後の継ぎ目の溝の色と異なり、見た目があまり良くなく、バランスが悪く見える上、さらには色差を隠すために2次加工を行い、手作業でカラーペンを用いて縁部を塗り、耐摩耗印刷層と同じ色にすることもあった。この問題及び手間が生じることを防ぐために、印刷フローリングの設計・製造・生産を行う際は、面取りを有する製品を生産しないことが一般的であった。
【0008】
こうした現状に鑑み、本発明者は、関連分野の長年にわたる製造及び設計の経験、知識により、様々な工夫を凝らして本発明を完成したものである。
【0009】
こうした現状に鑑み、本発明者は鋭意研究を重ね、改良と試作を行った結果、本発明を完成したものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主な目的は、如何なる色系の床材であっても接合後の面取り加工された継ぎ目の溝の色差を減らすか、色が相違する問題が発生することを防ぎ、見た目を良くする、面取り床材の改良構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、底層及び床材層を備えた面取り床材を含む、面取り床材の改良構造であって、前記底層の側辺には、第1の接続部及び第2の接続部をそれぞれ設け、前記第1の接続部は、他方の前記面取り床材の前記第2の接続部と接続し、前記第2の接続部は、他方の前記面取り床材の前記第1の接続部と接続し、前記床材層は、前記底層上に形成するとともに、頂部両側辺に面取りをそれぞれ設け、前記床材層は、同色層及び耐摩印刷層を含み、前記耐摩印刷層は、前記同色層上に形成し、前記同色層は単一色であり、前記同色層は、ポリエチレンテレフタレートグリコール(Polyethylene Terephthalate Glycol:PETG)又はアクリロニトリルブタジエンスチレン(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene:ABS)からなり、前記同色層の厚さは0.2mm~1mmであることを特徴とする、面取り床材の改良構造を提供する。
【0012】
前記底層は、MDF(Medium Density Fiberboard)、SPC(Solid Polymer Core)、ポリ塩化ビニル(Polyvinyl Chloride:PVC)、フォーム(Foam)又は単板積層材(Laminated Veneer Lumber)からなることが好ましい。
【0013】
前記耐摩印刷層は、ポリプロピレン(Polypropylene:PP)、ポリ塩化ビニル(Polyvinyl Chloride:PVC)又は紙からなることが好ましい。
【0014】
前記床材層の頂部四側辺には、前記面取りをそれぞれ設けることが好ましい。
【0015】
前記第1の接続部は、雄コネクタ構造であり、前記第2の接続部は、雌コネクタ構造であり、前記第1の接続部と前記第2の接続部とは互いに接続し得ることが好ましい。
【0016】
前記面取りの深さは0.05mm~0.8mmであることが好ましい。
【0017】
前記底層の厚さは1mm~25mmであることが好ましい。
【0018】
前記耐摩印刷層の厚さは0.05mm~0.5mmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の面取り床材の改良構造は、如何なる色系の床材であっても接合後の面取り加工された継ぎ目の溝の色差を減らすか、色が相違する問題が発生することを防ぎ、見た目を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る面取り床材の改良構造を示す斜視図(1)。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る面取り床材の改良構造を示す斜視図(2)。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る面取り床材の改良構造を示す分解斜視図。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る面取り床材の改良構造を示す側面図。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る面取り床材の改良構造を使用する状態の説明図。
【
図6】
図6は、本発明の他の実施形態に係る面取り床材の改良構造を使用する状態の説明図。
【
図7】
図7は、本発明の他の実施形態に係る面取り床材の改良構造を使用する状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の技術手段及びそれにより達成可能な効果を、より完全かつ明白に開示するために、開示した添付の図面及び符号と併せて本発明を以下で詳説する。
【0022】
図1~
図4を参照する。
図1は、本発明の一実施形態に係る面取り床材の改良構造を示す斜視図(1)である。
図2は、本発明の一実施形態に係る面取り床材の改良構造を示す斜視図(2)である。
図3は、本発明の一実施形態に係る面取り床材の改良構造を示す分解斜視図である。
図4は、本発明の一実施形態に係る面取り床材の改良構造を示す側面図である。
【0023】
図1~
図4に示すように、本発明の一実施形態に係る面取り床材の改良構造が含む面取り床材1は、底層11及び床材層2を備える。
【0024】
底層11の側辺には、第1の接続部111及び第2の接続部112をそれぞれ設ける。第1の接続部111は、他方の面取り床材1の第2の接続部112と接続する。第2の接続部112は、他方の面取り床材1の第1の接続部111と接続する。好ましくは、底層11は、MDF(Medium Density Fiberboard)、SPC(Solid Polymer Core)、ポリ塩化ビニル(Polyvinyl Chloride:PVC)、フォーム(Foam)又は単板積層材(Laminated Veneer Lumber)からなる。第1の接続部111は、雄コネクタ構造であり、第2の接続部112は、雌コネクタ構造であり、第1の接続部111と第2の接続部112とは互いに接続し得る。底層11の厚さは、1mm~25mmであるが、これだけに限定されない。
【0025】
床材層2は、底層11上に形成するとともに、頂部四側辺に面取り21をそれぞれ設ける。床材層2は、同色層22及び耐摩印刷層23を含む。耐摩印刷層23は、同色層22上に形成する。好ましくは同色層22は、ポリエチレンテレフタレートグリコール(Polyethylene Terephthalate Glycol:PETG)又はアクリロニトリルブタジエンスチレン(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene:ABS)からなる。耐摩印刷層23は、ポリプロピレン(Polypropylene:PP)、ポリ塩化ビニル(Polyvinyl Chloride:PVC)又は紙からなる。好ましくは、床材層2の頂部四側辺には、面取り21をそれぞれ設ける。面取り21の深さは0.05mm~0.8mmであり、同色層22の厚さは0.2mm~1mmであり、耐摩印刷層23の厚さは0.05mm~0.5mmであるが、これだけに限定されない。
【0026】
詳細には、同色層22は単一色(例えば白色、黒色、灰色、黄色、赤色など如何なる色)でもよく、この色は、耐摩印刷層23に類似した色である。同色層22にPETG又はABSを使用する付加的な利点には、以下(1)~(6)がある。
(1)三層構造によりフローリングのバランスを高めることができる。
(2)耐摩印刷層23の硬度及び強靭性を高めることができる。
(3)耐摩印刷層23の耐候性及び耐白化性を高めることができる。
(4)使用する材料は環境を汚染させない。
(5)加工が簡単である。
(6)多種類の単一色を製作することができる。耐摩印刷層23には、様々な色、天然模様及びトーテム(totems)を印刷することができるとともに、耐摩耗処理などを施すこともできる。
【0027】
上述した構造、組成設計に基づき、本発明の使用動作の状況について以下説明する。
図5を参照する。
図5は、本発明の一実施形態に係る面取り床材の改良構造を使用する状態の説明図である。
図5に示すように、本実施形態の床材層2の頂部四側辺には、面取り21をそれぞれ設ける。即ち、面取り床材1の短側辺及び長側辺に面取り21をそれぞれ設け、複数の面取り床材1を組み合わせると、2つの面取り21の間に溝部が形成される。各面取り床材1は、第1の接続部111及び第2の接続部112を利用して互いに接続し得る。さらに詳細には、第1の接続部111は、雄コネクタ構造であり、第2の接続部112は、雌コネクタ構造であり、それらは互いに接続し得る。
【0028】
図6を参照する。
図6は、本発明の他の実施形態に係る面取り床材の改良構造を使用する状態の説明図である。
図6に示すように、本実施形態の床材層2の頂部両側辺には、面取り21をそれぞれ設けるとともに、長側辺に設置し、複数の面取り床材1を組み合わせ、2つの面取り21間には溝部を形成する。ここで短側辺の結合箇所には、溝部は形成されない。
【0029】
図7を参照する。
図7は、本発明の他の実施形態に係る面取り床材の改良構造を使用する状態の説明図。
図7に示すように、本発明の他の実施形態に係る面取り床材の改良構造は、互いに結合させる各面取り床材1に面取り21が設けられているため、以下(1)~(3)の長所を有する。
(1)視覚性:面取り21の立体的な質感により、フローリングが多層状に見え、本物の木のように見え、質感も本物の木に近く、フローリング床材がより平坦に見え、空間の延伸感及び見た目を良くすることができる。
(2)機能性:フローリング床材が加熱により膨張し冷卻により収縮するという特性を有するため、フローリング床材の伸縮度はそれぞれ異なる。そのため、面取り21が無い場合、接合箇所が平らでなくなり、面取り21を設けることによりフローリング床材の間の接合箇所に空隙を設けて緩衝部として用いると、フローリング床が押圧されて高低差が生じる問題を改善することができるため、施工がより容易になる。フローリング床材の角の耐久性を高めてフローリング床材の滑り止め効果を高めることができるため、使用寿命が延びる。
(3)安全性:直角形状に設計した場合、バリ、角潰れが容易に発生し易いが、滑らかな形状に設計した場合、掻き傷の発生を防ぎ、面取り21によりフローリング床材の滑り止め効果を高めることができるため、安全性が高い。
【0030】
本発明の同色層22には、ポリエチレンテレフタレートグリコール(Polyethylene Terephthalate Glycol:PETG)が、非晶性の共重合コポリエステル(Amorphous Copolyester)の材料又はアクリロニトリルブタジエンスチレン(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene:ABS)など3種の組成共重合体を利用し、それが多種類の特殊な長所を有するため、様々な色彩から選択した単一色の製品を生産し、異なる色の耐摩印刷層23と結合した後、板の縁部を削って幅が異なる(0.05mm~0.8mm)面取り21を形成し、フローリング床材と組み合わせた継ぎ目の溝に色差が生じることを防ぐ。
【0031】
上述したことから分かるように、本発明に係る面取り床材の改良構造は、実際に使用する際、従来技術と比べ、如何なる色系の床材であっても接合後、面取り21の継ぎ目の溝の色差を減少させ、色が異なってしまう問題を改善し、見た目を良くすることができる。
【0032】
当該分野の技術の当業者が理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0033】
1 面取り床材
2 床材層
11 底層
21 面取り
22 同色層
23 耐摩印刷層
111 第1の接続部
112 第2の接続部