(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173691
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】圧力システムを有する半導体スイッチング装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024068338
(22)【出願日】2024-04-19
(31)【優先権主張番号】23176123
(32)【優先日】2023-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミハル・ティルザー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】半導体スイッチング装置および半導体スイッチング装置を組み立てるための方法を提供する。
【解決手段】半導体スイッチング装置(1)は、ゲートリング(5)と、ゲートリング(5)に接触するためのゲートコネクタ要素(6)と、を備え、ゲートコネクタ要素(6)をゲートリング(5)上に押圧するための圧力システム(7)を備え、圧力システム(7)は、絶縁リング(11)と、絶縁リング(11)上に周方向に配置された複数のばね梁(12)と、を備え、絶縁リング(11)は、ばね梁(12)の両端部を支持するための複数の支持体(16、17)を備える。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートリング(5)と、前記ゲートリング(5)に接触するためのゲートコネクタ要素(6)とを備え、前記ゲートコネクタ要素(6)を前記ゲートリング(5)上に押圧するための圧力システム(7)を備える半導体スイッチング装置(1)であって、前記圧力システム(7)は、絶縁リング(11)と、前記絶縁リング(11)上に周方向に配置された複数のばね梁(12)とを備え、前記絶縁リング(11)は、前記ばね梁(12)の端部(14、15)を支持するための複数の支持体(16、17)を備える、半導体スイッチング装置(1)。
【請求項2】
前記ゲートコネクタ要素(6)は複数のフィンガ(27)を備え、前記フィンガ(27)の各々は前記ばね梁(12)のうちの1つに載置される、請求項1に記載の半導体スイッチング装置(1)。
【請求項3】
前記ばね梁(12)の周方向の移動を防止するために、前記支持体(16、17)のうちの隣接するものの間に壁(18)を備える、先行する請求項のいずれかに記載の半導体スイッチング装置(1)。
【請求項4】
前記ばね梁(12)は、中央部分に肥厚部(28)を備える、先行する請求項のいずれかに記載の半導体スイッチング装置(1)。
【請求項5】
前記絶縁リング(11)は、前記ばね梁(12)が配置される第1の側(13)とは反対の前記絶縁リング(11)の第2の側(22)に複数のピン(21)を備え、前記複数のピン(21)は、前記半導体スイッチング装置(1)の前記圧力システム(7)および/またはさらなる部分の回転ロックを提供するように構成される、先行する請求項のいずれかに記載の半導体スイッチング装置(1)。
【請求項6】
前記ゲートコネクタ要素(6)をカソード極片(3)から絶縁するためのスペーサリング(8)を備え、前記圧力システム(7)は、前記スペーサリング(8)の回転ロックを提供する、請求項5に記載の半導体スイッチング装置(1)。
【請求項7】
前記スペーサリング(8)は、前記ゲートコネクタ要素(6)を支持するための複数の支持要素(23)と、前記支持要素(23)間の複数のスロット(26)とを備え、前記ピン(21)は前記スロット(26)に係合する、請求項6に記載の半導体スイッチング装置(1)。
【請求項8】
前記支持要素(23)の各々は、第1の部分(24)および第2の部分(25)を備え、前記ゲートコネクタ要素(6)は、前記第1の部分(24)に載置され、第2の部分(25)によって一方の回転方向での回転を防止され得る、請求項7に記載の半導体スイッチング装置(1)。
【請求項9】
前記圧力システム(7)は、前記半導体スイッチング装置(1)の組立てのための単一部品として提供されるように構成される、先行する請求項のいずれかに記載の半導体スイッチング装置(1)。
【請求項10】
前記スイッチング装置(1)は、ゲート整流サイリスタ、集積ゲート整流サイリスタおよびゲートターンオフサイリスタから選択される、先行する請求項のいずれかに記載の半導体スイッチング装置(1)。
【請求項11】
半導体スイッチング装置(1)を組み立てるための方法であって、
A)ハウジング(9)と、ゲートコネクタ要素(6)と、カソード極片(3)とを備える前記半導体スイッチング装置(1)のハウジングアセンブリ(31)を提供し、前記ゲートコネクタ要素(6)をゲートリング(5)上に押圧するための圧力システム(7)を提供することであって、前記圧力システム(7)は、絶縁リング(11)と、前記絶縁リング(11)上に周方向に配置された複数のばね梁(12)とを備え、前記絶縁リング(11)は、前記ばね梁(12)の端部(14、15)を支持するための複数の支持体(16、17)を備える、提供することと、
B)前記圧力システム(7)を前記ハウジングアセンブリ(31)と組み立てることであって、前記圧力システム(7)は単一部品として提供される、組み立てることと
を含む、方法。
【請求項12】
B)の前に、前記ゲートコネクタ要素(6)を前記カソード極片(3)から絶縁するためのスペーサリング(8)が設けられ、前記スペーサリング(8)は、複数の支持要素(23)を備え、前記スペーサリング(8)は、前記カソード極片(3)の周りに配置され、前記ゲートコネクタ要素(6)が前記スペーサリング(8)の支持要素(23)上に配置されるまで回転される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ゲートコネクタ要素(6)は複数のフィンガ(7)を備え、前記支持要素(23)は第1の部分(24)および第2の部分(25)を備え、前記スペーサリング(8)は、前記フィンガ(7)が前記第1の部分(24)上に配置されるまで回転され、さらなる回転は、前記第2の部分(25)によって阻止される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記圧力システム(7)を組み立てることは、前記圧力システム(7)のピン(21)を前記スペーサリング(8)のスロット(26)に挿入することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ゲートコネクタ要素(6)は複数のフィンガ(27)を備え、前記フィンガ(27)は、前記ばね梁(12)上に配置されるように曲げられる、請求項11~14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体スイッチング装置および半導体スイッチング装置を組み立てるための方法に関する。装置は、ゲート整流サイリスタ(GCT:Gate Commutated Thyristor)、特に集積ゲート整流サイリスタ(IGCT:Integrated Gate Commutated Thyristor)であってもよい。
【背景技術】
【0002】
IGCTから要求される最大制御可能ターンオフ電流の定格を増加させると、IGCTウェハのサイズが直径約100mmから150mmに増加する。それにより、ハウジングも増加し、より高い複雑さおよびコストにつながる。それに加えて、大面積装置の簡単な取り付けを可能にしなければならない。さらに、ハウジング内のすべての部品は、輸送後の適切な接触を確実にするために、輸送中に既に適切に位置合わせされ支持されていなければならない。
【0003】
米国特許第9,698,067号は、スペーサリングおよび複数の絶縁要素として形成される半導体スイッチング装置用のスペーサシステムを開示している。米国特許第10,892,245号は、半導体要素と、半導体要素を2つの極片の間にクランプするために半導体要素を横方向に取り囲むリング状ワッシャを有するばねシステムを備えるハウジングとを備えるスイッチング装置を開示している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施形態は、改良された半導体スイッチング装置に関する。
本開示の第1の態様によれば、半導体スイッチング装置は、ゲートリングと、ゲートリングに接触するためのゲートコネクタ要素とを備え、ゲートコネクタ要素をゲートリング上に押圧するための圧力システムを備える。圧力システムは、絶縁リングと、絶縁リング上に周方向に配置された複数のばね梁とを備え、絶縁リングは、ばね梁の端部を支持するための複数の支持体を備える。
【0005】
例として、半導体スイッチング装置は、ゲート整流サイリスタ(GCT:Gate Commutated Thyristor)またはゲートターンオフサイリスタ(GTO:Gate Turn-off Thyristor)であってもよい。半導体スイッチング装置は、集積ゲート整流サイリスタ(IGCT:Integrated Gate Commutated Thyristor)であってもよい。
【0006】
半導体スイッチング装置は、単一部品として顧客に輸送されることが多く、複数の装置が顧客によって積層されてもよい。スタックでは、各装置がクランプされる。圧力システムは、クランプ状態でゲートコネクタ要素をゲートリング上に押圧する。
【0007】
ゲートコネクタ要素は複数のフィンガを備えてもよい。フィンガの各々はばね梁のうちの1つに載置されてもよい。フィンガは、ばね梁の中央部分に載置されてもよい。フィンガは、ばね梁の周りで部分的に曲げられてもよい。
【0008】
ばね梁の周方向の移動を防止するために、支持体のうちの隣接するものの間に壁が存在してもよい。これにより、ばね梁は、ゲートコネクタ要素のフィンガと整列した状態に保つことができる。
【0009】
ばね梁は、それらの中央部分に肥厚部を備えてもよい。したがって、ばね梁は、端部よりも中央部分の方が厚くてもよい。肥厚部は、支持体を越えて軸方向に突出してもよい。これにより、ゲートリングと支持体との間のクリアランスを大きくすることができる。それに加えて、装置の非クランプ状態の間、カソード極片と半導体基板との間のクリアランスを確保することができる。
【0010】
絶縁リングは、ばね梁が配置される第1の側とは反対の絶縁リングの第2の側に複数のピンを備えてもよく、複数のピンは、半導体スイッチング装置の絶縁リングおよび/またはさらなる部分の回転ロックを提供するように構成される。一例として、ゲートコネクタ要素の回転ロックを達成してもよい。
【0011】
スイッチング装置は、ゲートコネクタ要素をカソード極片から絶縁するためのスペーサリングを備えてもよい。圧力システムは、スペーサリングの回転ロックを提供してもよい。スペーサリングは、ゲートコネクタ要素を支持するための複数の支持要素と、支持要素間の複数のスロットとを備えてもよく、ピンはスロットに係合する。したがって、ピンをスロットに挿入するだけで、回転ロックを達成することができる。
【0012】
支持要素の各々は、第1の部分および第2の部分を備えてもよい。ゲートコネクタ要素は、第1の部分に載置され、第2の部分によって一方の回転方向での回転を防止されてもよい。第1および第2の部分は、段差として設けられてもよい。
【0013】
圧力システムは、半導体スイッチング装置の組立てのための単一部品として提供されるように構成されてもよい。したがって、ばね梁は、圧力システムの支持体によって絶縁リングにしっかりと固定される。これにより、装置の迅速かつ簡単な組立ておよび分解が可能になる。
【0014】
本開示のさらなる態様によれば、半導体スイッチング装置を組み立てるための方法は、半導体スイッチング装置のハウジングアセンブリを提供するステップと、ゲートコネクタ要素をスイッチング装置のゲートリング上に押圧するための圧力システムを提供するステップとを含む。ハウジングアセンブリは、ハウジングと、ゲートコネクタ要素と、カソード極片とを備えてもよい。圧力システムは、絶縁リングと、絶縁リング上に周方向に配置された複数のばね梁とを備え、絶縁リングは、ばね梁の端部を支持するための複数の支持体を備える。この方法では、圧力システムはハウジングアセンブリと組み立てられ、圧力システムは単一部品として提供される。
【0015】
この方法で組み立てられた半導体スイッチング装置は、上記で説明した装置の任意の構造的および機能的特性を有してもよい。
【0016】
圧力システムを単一部品の形態で提供することにより、組立てを簡素化することができる。これにより、単一部品が設けられ、部品が装置の部品と別々に組み立てられる圧力システムと比較して、コストを削減し、正しい組立てを容易に確保することができる。
【0017】
圧力システムをハウジングアセンブリと組み立てる前に、ゲートコネクタ要素をカソード極片から絶縁するためのスペーサリングが設けられてもよい。スペーサリングは、複数の支持要素を備え、スペーサリングは、カソード極片の周りに配置され、ゲートコネクタ要素がスペーサリングの支持要素上に配置されるまで回転される。
【0018】
特に、ゲートコネクタ要素のフィンガは、支持要素の第1の支持部分上に配置されてもよく、スペーサリングのさらなる回転は、支持要素の第2の部分によって阻止される。
【0019】
圧力システムを組み立てるとき、圧力システムのピンがスペーサリングのスロットに挿入されてもよい。これにより、圧力システムおよびスペーサリングの簡単で効果的な自動ロック機構が達成されてもよい。
【0020】
圧力システムの組立て後、ゲートコネクタ要素のフィンガは、ばね梁上に配置されるように曲げられてもよい。
【0021】
本開示は、いくつかの態様および実施形態を含む。態様および実施形態のうちの1つに関して記載されるあらゆる特徴は、それぞれの特徴がこの文脈で明示的に言及されていない場合であっても、他の態様および実施形態に関しても本明細書に開示される。
【0022】
さらなる特徴、改良および便宜は、図面に関連する例示的な実施形態の以下の説明から明らかになる。図では、同じ構造および/または機能の要素は、同じ参照符号で参照され得る。図に示される実施形態は例示的な表現であり、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】一実施形態に対するスイッチング装置の詳細を示す断面図である。
【
図2A】
図1のスイッチング装置の圧力システムの斜視図である。
【
図3】クランプ状態にある
図1のスイッチング装置を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、一実施形態によるスイッチング装置のスペーサリングの斜視図である。
【
図5A】一実施形態によるスイッチング装置を組み立てるための方法におけるステップを示す斜視図である。
【
図5B】一実施形態によるスイッチング装置を組み立てるための方法におけるステップを示す斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、さらなる実施形態によるスイッチング装置の詳細の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、半導体スイッチング装置1の詳細を示す。スイッチング装置1は、GCT(Gate-Commutated Thyristor:ゲート整流サイリスタ)、特にIGCT(Integrated Gate-Commutated Thyristor:集積ゲート整流サイリスタ)であってもよい。IGCTは大面積IGCTであってもよく、GCTウェハ上のゲート構造はウェハ周辺に配置される。
【0025】
スイッチング装置1は、半導体基板2と、カソード極片3と、アノード極片4と、ゲートリング5とを備える。カソード極片3はカソード歪み緩衝板19を備え、アノード極片4はアノード歪み緩衝板20を備える。歪み緩衝板19、20は、半導体基板2とそれぞれの極片3、4との間の熱膨張係数を有する導電性材料で作られる。ゲートリング5は、ゲートコネクタ要素6によって電気的に接続される。
【0026】
圧力システム7は、必要な圧力をゲートコネクタ要素6に加える役割を果たす。ゲートコネクタ要素6は、ゲートリング5にかかる力を伝達して、半導体基板2の適切なスイッチング能力を確保する。
【0027】
それに加えて、圧力システム7は、例えば輸送中または振動試験中に要素を適所にロックするように機能する。圧力システム7は、スペーサリング8をロックし、スペーサリング8が回転するのを防止する。スペーサリング8は、ゲートコネクタ要素6をカソード極片3から電気的に絶縁する。
【0028】
スイッチング装置1は、外側に沿面セクションを備えるハウジング9を備える。ハウジング9は、アノードフランジ10によってアノード極片4に接続される。
【0029】
輸送および振動試験中、スイッチング装置1は通常、単一部品として提供される。動作中、スイッチング装置1を電気的に相互接続するために、クランプされたスイッチング装置1のスタックを形成することができる。スタックにおいて、アノード極片4は、半導体基板2に向かって押圧される。
【0030】
【0031】
圧力システム7は、絶縁材料の絶縁リング11を備える。絶縁リング11は、例えば、プラスチック材料を含んでもよい。
【0032】
圧力システム7は、複数のばね梁12をさらに備える。圧力システム7は、絶縁リング11および複数のばね梁12からなってもよい。ばね梁12は、偏向して後に元の形状に戻るように構成される。ばね梁12は、ばね鋼などのばね材料を含んでもよい。圧力システム7は、絶縁リング11に沿って周方向に延在する単一のばねの代わりに複数のばね梁12による「セグメント化された」圧力システム7として示すことができる。
【0033】
ばね梁12は、絶縁リング11の第1の側13に取り付けられる。第1の側13は上側として示すことができる。ばね梁12は、第1の側13に沿って周方向に配置され、閉じたリングを形成する。ばね梁12の各々は、その端部14、15の各々において、複数の支持体16、17のうちの1つに固定される。支持体16、17は、絶縁リング11の一体部分であってもよい。ばね梁12は、支持体16、17内に保持されてもよい。支持体16、17は、ばね梁12がリング2にしっかりと固定されるように、可撓性のセルフロック設計を有する。一例として、ばね梁12を支持体16、17内にクリックすることができる。
【0034】
隣接する支持体16、17間の壁18は、ばね梁12を正しい周方向位置に位置決めする。これにより、ばね梁12がゲートコネクタ要素6に対して中心に置かれて、正確な圧力分布を確実にする。
【0035】
絶縁リング11のセグメント化設計により、ばね梁12の長さ、直径、または総数を変更することによって、ゲートリング5にかかる圧力の調整を容易に調整することができる。さらに、セグメント化設計は、圧力システム7の全高を低減することを可能にし、スイッチング装置1のハウジング9の全高を低減することを可能にする。これにより、特に低電圧クラスの設計の場合に、全高を低減することができる。
【0036】
圧力システム7は、絶縁リング11の第2の側22にピン21を備える。第2の側22は、第1の側13の反対側であり、絶縁リング11の底側であってもよい。ピン21は、
図5Aおよび
図5Bに関連して詳細に説明するように、スイッチング装置1のさらなる部分を定位置に保持する役割を果たす。ピン21は、絶縁リング11の一体部分であってもよい。
【0037】
図3は、クランプ状態にある
図1のスイッチング装置1を示す。
図1に示す非クランプ状態から区別されるように、アノード極片4は、半導体基板2に向かって押圧される。カソード歪み緩衝板19と半導体基板2との間の隙間は除去される。
【0038】
それに加えて、ばね梁12は、それらの中央部分において下方に偏向され、したがって歪みが加えられる。したがって、ばね梁12は、ゲートリング5に向かってゲートコネクタ要素6にばね力を及ぼす。
図1に示す非クランプ状態では、ばね梁12は緩められる。ばね梁12が既にわずかに撓み、したがって非クランプ状態で歪められていることも可能である。圧力システムが、装置の非クランプ状態に既にあるゲートリング上にゲートコネクタ要素をわずかに押圧することも可能である。
【0039】
図4Aはスペーサリング8の斜視図を示し、
図4Bはその詳細を示す。スペーサリング8は、リング状の壁30と、壁30の底側に周方向に配置された複数の支持要素23とを備える。
【0040】
支持要素23の各々は、第1の部分24および第2の部分25を備え、第1の部分24は第2の部分25よりも低い高さを有する。第1の部分24は、ゲートコネクタ要素6、特にゲートコネクタ要素6のフィンガ27を支持するために設けられる(
図5Aも参照)。
【0041】
第2の部分25は、スイッチング装置1を組み立てるときにフィンガ27のストッパを形成するように構成される(
図5Aも参照)。第2の部分25は、圧力システム7のための支持体をさらに形成してもよい。
【0042】
スロット26は、圧力システム7のピン21を受け入れるように構成される(
図5Bを参照)。
【0043】
図5Aおよび
図5Bは、スイッチング装置1を組み立てるための方法におけるステップを示す。スイッチング装置1およびその構成要素は、前述の図に関連して説明した通りであってもよい。
【0044】
図5Aでは、ハウジング9、カソード極片3およびゲートコネクタ要素6を含むスイッチング装置1のハウジングアセンブリ31が設けられている。ゲートコネクタ要素6は、一例として、ハウジング9の2つの部分の間にはんだ付けされて、ハウジング9に固定される。ハウジングアセンブリ31はまた、ハウジング9に固定され、カソード極片3に固定されたさらなるゲートコネクタ要素32(
図3参照)を備える。
【0045】
スペーサリング8は、上からハウジングアセンブリ31に挿入される。スロット26は、最初にゲートコネクタ要素6のフィンガ27と位置合わせされる。スペーサリング8がカソード極片3上に着座すると、スペーサリング8は、フィンガ27が支持要素23の第1の部分24上に着座するまで回転される。第2の部分25の左側でフィンガ27が当接することで回転が停止する。回転は、ハウジング9の上から下に見たときに時計回りである。
図5Aは、回転後の端部位置にあるフィンガ27を示す。
【0046】
図5Bは、ピン21がスロット26に嵌合するように、圧力システム7が上側からハウジング9に挿入される後続のステップを示す。圧力システム7は、単一の予め組み立てられた部品として挿入される。次いで、圧力システム7は、支持要素23の第2の部分25上に、および/またはカソード極片3上に直接着座してもよい。
【0047】
この位置で、圧力システム7は、フィンガ27が反時計回りに戻るのを防止する。スペーサリング8、圧力システム7およびフィンガ27は、互いにロックされ、回転が防止される。したがって、圧力システム7、ゲートコネクタ要素6、およびスペーサリング8のセルフロック設計が提供される。
【0048】
さらに、スロット26に適切に嵌合するピン21により、ばね梁12もフィンガ27と適切に位置合わせされる。次のステップでは、フィンガ27がばね梁12の上で曲げられる。フィンガ27は、ゲートリング5への圧力を均一に分散させることができるように、梁12の中央部分と位置合わせされる。
【0049】
その後、ゲートリング5、半導体基板2およびアノード極片4をハウジング9内に上方から挿入し、アノードフランジ10をアノード極片4に固定する。
【0050】
ピン21をスロット26に挿入することによる回転ロックは簡単であり、特別な工具を必要としない。したがって、組立ては、スペーサリングが回転するのを防止するためにフィンガ27がスペーサリングの特定の位置に曲げられる従来技術よりも簡単かつ迅速である。
【0051】
図6Aおよび
図6Bは、圧力システム7を有する半導体スイッチング装置1のさらなる実施形態を示す。前述の実施形態との唯一の際立った特徴は、ばね梁12が中央部分に肥厚部28を有することである。肥厚部28は、ばね梁12の残りの部分と一体の部分であってもよい。肥厚部28は、ばね梁12の残りの部分を囲む追加の要素であることも可能である。
【0052】
肥厚部28により、ばね梁12は、支持体16、17を越えて軸方向に突出する。
これにより、カソード極片3と半導体基板2とのクリアランス29を大きくすることができる。さらに、支持体16、17とゲートリング5との間の適切な距離が維持されることが保証される。肥厚部28はまた、ゲートリング5が支持体16、17上に位置することなく、ばね梁12のより大きな曲げを可能にする。
【0053】
全体として、セグメント化された圧力システム7は、圧力システム7を予め組み立てられた部品としてハウジング9に挿入することができるので、スイッチング装置1の組立てをより容易に、より速く、かつポカヨケにする。これは、GCT要素の組立て中にいくつかの皿ばねおよびばね座金をハウジング9に個別に挿入しなければならず、各要素を正確に配向しなければならない従来技術を超える利点である。
【0054】
それに加えて、セグメント化された圧力システム7は、全高に関してよりコンパクトにすることができる。これにより、ハウジング9も、所望の電圧クラスに十分である限り、より小さい高さおよび省コストを有することができる。
【0055】
ゲートリング5に加えられる必要な圧力を達成するためにばね梁12の数、直径、または長さを調整することによって、圧力システム7のばね特性の微調整を達成することができる。
【0056】
基本的に両端で支持される梁であるばね梁12の単純な設計により、最初の反復で、機構の基本原理からばね特性を容易に計算することができる。適切なばね梁12は、様々な材料の選択肢および寸法で市場で入手可能であり、既存の圧力システムの皿ばねおよびばね座金よりも安価である。設計が単純であるため、圧力システム7は、製造時に設計を実施する前に、例えば3Dプリントで容易に試験することができる。さらに、圧力システム7が積層された2つの部品、すなわち絶縁リング11およびばね梁12のみを含む場合、総厚およびクリアランスの精度に関する要件は、積層されたより多くの部品、すなわち2つのワッシャおよび2つの皿ばねを有する既存の概念よりも低い。
【符号の説明】
【0057】
参照符号
1 半導体スイッチング装置
2 半導体基板
3 カソード極片
4 アノード極片
5 ゲートリング
6 ゲートコネクタ要素
7 圧力システム
8 スペーサリング
9 ハウジング
10 アノードフランジ
11 絶縁リング
12 ばね梁
13 第1の側
14 端部
15 端部
16 支持体
17 支持体
18 支持体間の壁
19 カソード歪み緩衝板
20 カソード歪み緩衝板
21 ピン
22 第2の側
23 支持要素
24 第1の部分
25 第2の部分
26 スロット
27 フィンガ
28 肥厚部
29 クリアランス
30 スペーサリングの壁
31 ハウジングアセンブリ
32 さらなるゲートコネクタ要素
【外国語明細書】