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特開2024-173702釣竿の性能を客観的に評価するための評価方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173702
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】釣竿の性能を客観的に評価するための評価方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/00 20060101AFI20241205BHJP
   A01K 97/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A01K87/00 620Z
A01K87/00 640Z
A01K97/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024075598
(22)【出願日】2024-05-08
(31)【優先権主張番号】P 2023091280
(32)【優先日】2023-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】小田 琢也
【テーマコード(参考)】
2B019
2B109
【Fターム(参考)】
2B019AA14
2B109FA07
2B109FA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】釣竿の動的なデータを用いて、釣竿の現実の使用状態や動き等に応じた釣竿の特性を可視化して釣竿の性能を客観的に評価する評価方法を提供することにある。
【解決手段】本発明の一実施形態による評価方法は、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における釣竿の曲げ剛性(EI)を算出し、釣竿を使用した際の、前記釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における曲率を算出し、前記各位置と前記釣竿の竿先における作用線との間の距離を算出し、前記釣竿の曲げ剛性(EI)と、前記曲率と、前記距離とに基づき、釣竿を使用した際の、釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力を算出し、前記張力の動的な変化を、前記釣竿と共に表示するようにされる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における釣竿の曲げ剛性(EI)を算出し、
釣竿を使用した際の、前記釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における曲率を算出し、
前記各位置と前記釣竿の竿先における作用線との間の距離を算出し、
前記釣竿の曲げ剛性(EI)と、前記曲率と、前記距離とに基づき、釣竿を使用した際の、釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力を算出し、
前記張力の動的な変化を、前記釣竿と共に表示することを特徴とする釣竿の評価方法。
【請求項2】
前記釣竿の竿先に作用する荷重と、前記釣竿の保持角度とを含む複数の条件に基づき、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における釣竿の曲げ剛性(EI)を算出する、請求項1に記載の釣竿の評価方法。
【請求項3】
前記張力の算出値に応じて割り当てられたカラーマップの表示色を、前記釣竿に接続された前記釣糸に動的に表示する、請求項1に記載の釣竿の評価方法。
【請求項4】
前記カラーマップの表示色の設定値により表示色の使用範囲が設定される、請求項3に記載の釣竿の評価方法。
【請求項5】
前記設定値は、釣り動作又は釣種の少なくともいずれかにより異なるように設定される、請求項4に記載の釣竿の評価方法。
【請求項6】
前記釣り動作は、前記釣竿のキャスティング動作である、請求項5に記載の評価方法。
【請求項7】
前記釣り動作は、前記釣竿に設けた仕掛け又はルアーの操作である、請求項5に記載の評価方法。
【請求項8】
前記釣り動作は、前記釣竿のフッキング動作である、請求項5に記載の評価方法。
【請求項9】
前記釣り動作は、前記釣竿の止め動作である、請求項5に記載の評価方法。
【請求項10】
前記釣り動作は、前記釣竿の引き寄せ動作である、請求項5に記載の評価方法。
【請求項11】
前記釣り動作は、前記釣竿の取込み動作である、請求項5に記載の評価方法。
【請求項12】
前記釣竿は、複数の釣竿である、請求項1に記載の評価方法。
【請求項13】
前記張力の動的な変化を、前記釣竿と共に表示すると共に、前記曲率の動的な変化又は前記釣竿の各位置における歪エネルギーの少なくともいずれかの動的な変化を、前記釣竿と共に表示する、請求項1に記載の評価方法。
【請求項14】
前記張力の動的な変化を、前記釣竿と共に二次元的又は三次元的に表示する、請求項1に記載の評価方法。
【請求項15】
釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における釣竿の曲げ剛性(EI)を算出し、
該釣竿の竿先から竿尻に至る各位置の座標及び該釣竿に接続される仕掛けの座標を抽出し、
該釣竿を使用した際の、該釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における曲率を算出し、
前記各位置と前記釣竿の竿先における作用線との間の距離を算出し、
前記釣竿の曲げ剛性(EI)と、前記曲率と、前記距離とに基づき、釣竿を使用した際の、釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力を算出し、
前記釣竿の保持長を抽出し、
前記張力と、前記釣竿の竿尻における位置から該釣竿の竿先に作用する作用線までの距離と、前記保持長とに基づき、釣竿を使用した際の、釣竿の保持位置における支持力を算出し、
前記支持力の動的な変化を、前記釣竿と共に表示することを特徴とする釣竿の評価方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿の性能を客観的に評価するための評価方法、特に、釣竿の性能を可視化して評価するための評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
釣竿には、様々な特性が要求される。釣竿の設計時に重要視される特性には、客観的に測定可能な客観的特性があり、例えば、竿体の曲げ剛性やねじれ剛性が挙げられる。
【0003】
釣竿のこのような客観的特性は、定量的なものではあるものの、釣竿の実際の動きが反映されたものではない、すなわち動的な評価ではないことから、このような特性をもって、釣竿の性能を客観的に評価することは事実上困難であるという問題がある。また、このような動的な評価を行うためには、釣竿の客観的特性をどのように表すか(示すか)という問題もある。
【0004】
従来より、釣竿の性能を客観的に評価することが求められているが、例えば、特開2013-153740号公報(特許文献1)には、物理的要素による数値化された感性的評価を用いて、樹脂製の管状若しくは板状の長尺部材を設計する設計システムが開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る方法では、釣竿の現実の使用状態や動きなどの動的な変化を必ずしも正確に反映できていないため、釣竿の性能を客観的に評価できているとは言い難く、また、そもそもこうした動的な変化を視覚的に把握することができていないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-153740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の一つは、釣竿の動的なデータを用いて、釣竿の現実の使用状態や動き等に応じた釣竿の特性を可視化して釣竿の性能を客観的に評価する評価方法を提供することにある。
【0008】
本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態による評価方法は、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における釣竿の曲げ剛性(EI)を算出し、釣竿を使用した際の、前記釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における曲率を算出し、前記各位置と前記釣竿の竿先における作用線との間の距離を算出し、前記釣竿の曲げ剛性(EI)と、前記曲率と、前記距離とに基づき、釣竿を使用した際の、釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力を算出し、前記張力の動的な変化を、前記釣竿と共に表示するようにされる。
【0010】
本発明の一実施形態による評価方法は、前記釣竿の竿先に作用する荷重と、前記釣竿の保持角度とを含む複数の条件に基づき、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における釣竿の曲げ剛性(EI)を算出する。
【0011】
本発明の一実施形態による評価方法において、前記張力の算出値に応じて割り当てられたカラーマップの表示色を、前記釣竿に接続された前記釣糸に動的に表示する。また、本発明の一実施形態による評価方法において、前記カラーマップの表示色の設定値により表示色の使用範囲が設定される。
【0012】
本発明の一実施形態による評価方法において、前記設定値は、釣り動作又は釣種の少なくともいずれかにより異なるように設定される。
【0013】
本発明の一実施形態による評価方法において、前記釣り動作は、前記釣竿のキャスティング動作である。
【0014】
本発明の一実施形態による評価方法において、前記釣り動作は、前記釣竿に設けた仕掛け又はルアーの操作である。
【0015】
本発明の一実施形態による評価方法において、前記釣り動作は、前記釣竿のフッキング動作である。
【0016】
本発明の一実施形態による評価方法において、前記釣り動作は、前記釣竿の止め動作である。
【0017】
本発明の一実施形態による評価方法において、前記釣り動作は、前記釣竿の引き寄せ動作である。
【0018】
本発明の一実施形態による評価方法において、前記釣り動作は、前記釣竿の取込み動作である。
【0019】
本発明の一実施形態による評価方法において、前記釣竿は、複数の釣竿であるように構成される。また、本発明の一実施形態による評価方法において、 前記張力の動的な変化を、前記釣竿と共に表示すると共に、前記曲率の動的な変化又は前記釣竿の各位置における歪エネルギーの少なくともいずれかの動的な変化を、前記釣竿と共に表示するように構成される。また、本発明の一実施形態による評価方法において、前記張力の動的な変化は、前記釣竿と共に二次元的又は三次元的に表示するように構成される。
【0020】
本発明の一実施形態による評価方法は、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における釣竿の曲げ剛性(EI)を算出し、該釣竿の竿先から竿尻に至る各位置の座標及び該釣竿に接続される仕掛けの座標を抽出し、該釣竿を使用した際の、該釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における曲率を算出し、前記各位置と前記釣竿の竿先における作用線との間の距離を算出し、前記釣竿の曲げ剛性(EI)と、前記曲率と、前記距離とに基づき、釣竿を使用した際の、釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力を算出し、前記釣竿の保持長を抽出し、前記張力と、前記釣竿の竿尻における位置から該釣竿の竿先に作用する作用線までの距離と、前記保持長とに基づき、釣竿を使用した際の、釣竿の保持位置における支持力を算出し、前記支持力の動的な変化を、前記釣竿の保持位置又は釣竿の保持位置における仮想腕(釣人が釣竿を保持する位置にある釣竿を保持する仮想の腕)上に表示するようにされる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実施形態によって、釣竿の動的なデータを用いて、釣竿の現実の使用状態や動き等に応じた釣竿の特性を可視化して釣竿の性能を客観的かつ正確に評価する評価方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態による計測システムの全体構成図である。
図2】本発明の一実施形態による評価システムの全体を説明する図である。
図3】本発明の一実施形態による評価システムにおける釣竿の特性を算出するためのフローを示す図である。
図4】本発明の一実施形態による評価方法における釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力を可視化するためのフローを示す図である。
図5】本発明の一実施形態による評価方法における釣竿の保持位置における支持力を可視化するためのフローを示す図である。
図6A】本発明の一実施形態による評価方法における釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力を可視化した例を示す図である。
図6B】本発明の一実施形態による評価方法における釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力を可視化した例を示す図である。
図7A】本発明の一実施形態による評価方法における釣竿の保持位置における支持力を可視化した例を示す図である。
図7B】本発明の一実施形態による評価方法における釣竿の保持位置における支持力を可視化した例を示す図である。
【0023】
以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。なお、各図面において共通する構成要素に対しては同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0024】
図1は、本発明の評価方法に使用する釣竿の張力や支持力を算出するために各種データを計測する計測システム1の全体の構成を模式的に示す図である。図1に示されるように、計測システム1は、竿の各位置に所定のマーキング8を施した釣竿10と、該釣竿10の一端に取り付けられた錘20と、当該マーキング8を捉えるカメラ30とで構成される。操作者が、釣竿10を保持して釣りの動作を行うと、当該カメラ30が当該マーキング8を捉えることで、竿全体及びマーキングの各位置における変化を計測するように構成される。
【0025】
ここで、当該計測システム1は、図示しない情報処理装置と接続するように構成されてもよい。また、計測システム1は、釣竿20を保持する保持装置をさらに設けるよう構成してもよい。また、計測システム1は、釣竿10、錘20、カメラ30以外の異なる別の装置と組み合わせて構成してもよい。
【0026】
このようにして、図示の計測システム1は、釣竿を使用した際の、釣竿10の速度と、加速度と、釣竿の各位置の座標を検出する。そして、釣竿の各位置の座標に基づく曲率を算出し、釣竿の各位置から釣竿の作用線までの距離を算出し、釣竿の各位置の座標に基づく曲率と剛性、当該距離とから、釣竿10の張力を算出し、また、当該張力と、竿尻における位置から竿先に作用する作用線までの距離とから、釣竿10の支持力を算出し、釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力又は釣竿の保持位置における支持力の動的な変化を、当該情報処理装置において、前記釣竿と共に表示するようにして釣竿の性能の評価を行う。なお、時系列的なデータの算出に変えて、例えば、釣糸の他端に測定器を接続して直接測定する方法や釣竿の保持位置における支持力を測定器により直接測定する方法も考えられることに留意されたい。より詳細につき以下説明する。
【0027】
図2を参照して、本発明の一実施形態による釣竿の性能を評価するための評価システム100について説明する。図2は、本発明の一実施形態による釣竿の性能を評価するための評価システム100の全体構成を示すブロック図である。図示のように、本発明の一実施形態による評価システム100は、既述の計測システム1と、該計測システム1に接続される情報処理装置40と、を含むように構成される。当該情報処理装置40は、計測システム1と計測データの送受信を行うための通信部41と、後述する剛性(EI)、曲率に加え、釣竿の張力や支持力等の釣竿の特性を算出するための制御部(演算部)42と、当該計測データや釣竿の特性を記憶するための記憶部43と、当該計測データや釣竿の特性を表示するための表示部44と、を備えるように構成される。ここで、当該情報処理装置40は、コンピュータ、スマートフォン、ウェアラブル端末、ゲーム再生機、又はクラウドシステムが考えられるが、これらに限られない。
【0028】
次に、図3を参照して、本発明の一実施形態による釣竿の性能を評価するための方法について説明する。図示のように、本発明の一実施形態による評価方法において、まず、上述の情報処理装置40の制御部(演算部)42による、釣竿10の各位置の座標に基づく剛性(EI)の算出方法について説明する。具体的には、まず、釣竿(の穂先)に作用する荷重と釣竿を保持する保持角度とを定める条件を複数(例えば、5つの異なる条件)設定し、各条件における静荷重を計測する(ステップSA1)。例えば、条件1として、保持角度が0度で荷重が0kgfの場合(マーカー間の距離を取得するため)、条件2として、保持角度が60-70度で荷重が小さい場合(釣竿の穂先が曲がる条件)、条件3として、保持角度が50度で荷重が条件2よりも大きい場合(釣竿の穂先から中央の間で曲がる条件)、条件4として、保持角度が40-50度で荷重が条件3よりも大きい場合(釣竿の竿元から中央の間で曲がる条件)、条件5として、保持角度が30-40度で荷重が最も大きい場合(釣竿の竿元で曲がる条件)が考えられる。
【0029】
次に、上記ステップにより計測された計測データの編集を行う(ステップSA2)。より詳細には、必要に応じて、計測データの繋ぎ合わせ、計測データ欠損修正、計測データの入れ替え修正、釣竿の各位置の順序変更等を行う。次に、掛けカーブの確認を行う(ステップSA3)。ここで、掛けカーブとは、釣竿に負荷を与えた時に釣竿が曲がった状態(曲がり状態)を言うものとする(本明細書を通じて同様である)。その後、釣竿10の各位置の座標のデータ出力を行う(ステップSA4)。次に、上記条件2ないし5から各位置の曲率半径を算出して、釣竿10の各位置の座標に基づく剛性(EI)を算出する(ステップSA5)。
【0030】
次に、上述の情報処理装置40の制御部(演算部)42による、釣竿10の各位置の座標に基づく曲率の算出方法について説明する。まず、釣竿の動作による各位置の座標の時間的変遷(時間的変化)の計測を行う(SB1)。次に、計測された計測データの編集を行う(ステップSB2)。より詳細には、必要に応じて、計測データの繋ぎ合わせ、計測データ欠損修正、計測データの入れ替え修正、釣竿の各位置の順序変更等を行う。次に、編集後の計測データの確認を行う(ステップSB3)。ここで、編集後の計測データの確認とは、ノイズが無いかを確認すると共に想定される掛けカーブを示すかどうかを確認することを言うものとする。その後、釣竿10の各位置の座標及び仕掛けの座標の時系列データの出力を行う(ステップSB4)。なお、仕掛けの座標が必要な理由は、釣竿に掛かる力の作用線を算出し、各マーカー(各位置)から作用線までの距離を算出するためである。ここで、釣竿に掛かる力の作用線とは、釣竿の穂先と力点(仕掛けや錘、ルアー等)を結ぶ直線を言うものとする。次に、出力された釣竿10の各位置の座標の時系列データに基づき、釣竿10の各位置における曲率の時系列データを算出する(ステップSB5)。また、出力された釣竿10の各位置の座標及び仕掛けの座標の時系列データに基づき、各マーカー(各位置)から作用線までの距離を算出する(ステップSB6)。また、該当する場合、欠損した竿尻の位置(マーカー)の座標の時系列データの抽出を行う(ステップSB7)。さらに、釣竿10の保持長の抽出を行う。ここで、釣竿10の保持長とは、竿尻から釣人が釣竿を保持する長さを指し、竿尻から釣人が釣竿を保持する長さを測定することで決定できる(実際の保持長は、釣り種、竿の長さ、竿の調子、釣り場の状況、釣り人の感性等の要因も含め決定される)。
【0031】
ここで、曲率の算出にあたり、釣竿に掛かる負荷が元部に移った場合、穂先部の曲率変化は小さく、同様に釣竿の元部も曲率変化が小さいため、近接するマーカー位置3点を単純に選んで計算を行っても、計測誤差により計算誤差が大きくなってしまうことがあるため、最適なマーカー位置3点を選んで計算を行うようにすると3点角度の時系列変化は滑らかな曲線となり、曲率の正確な計算が可能となる。ここで、釣竿は、元竿、中竿、及び穂先竿等の複数の竿体を連結することによって構成されるか、又は単一の竿体から構成されていてもよく、いずれの場合も、マーカー位置として、各竿体において3点以上設けるのが望ましい。
【0032】
次に、上述の情報処理装置40の制御部(演算部)42により、上記のように算出された釣竿10の各位置の座標に基づく剛性(EI)と、同様に上記のように算出された釣竿10の各位置における曲率の時系列データと、釣竿の各マーカー(位置)から竿尻(竿尻マーカー)の位置から作用線までの距離とから、釣糸を介して釣竿10の竿先に作用する張力の時系列データを算出する(ステップSC)。また、釣糸を介して釣竿10の竿先に作用する張力の時系列データと、竿尻における位置から竿先に作用する作用線までの距離と、上述の釣竿10の保持長とから、釣竿10の保持位置における支持力の時系列データを算出する(ステップSD)。ここで、釣竿の張力とは、釣糸を介して釣竿10の竿先に作用する張力を指し、釣竿の支持力とは、釣人が釣竿を操作するために釣竿を保持する保持位置において釣人に支持される支持力を指す。こうした張力や支持力は、釣竿の性能により変化するものであることから、釣竿の性能を評価する際に有用な情報となる。また、釣糸に掛かる張力や支持力を算出するために使用するマーカ位置は、ノイズを低減するため、例えば、竿の曲率が大きい釣竿先や中間で曲りが大きい位置に近いマーカー位置の張力計算を使用するとよい。
【0033】
ここで、キャスティングについて、穂先は張力とは別に振動が発生し易く(通常、先から200mmが目安であるが竿の調子による)、穂先は曲率の最大値が大きくなりやすいが振動モードが大きく、その影響により正しい張力を算出することが難しいという点が挙げられる。また、釣竿の中央より後方側は曲率が小さいため、算出値は信頼性が低くなる傾向があり(竿の調子による)、釣竿の竿元部は計測誤差が出やすく、採用できない場合があるという点が挙げられる、また、ファイティングについて、釣竿の先部は、釣竿が伸びた状態となり易く、張力の変化が反映されるのは釣竿の中央から竿元側であり、また、竿元部は計測誤差が出やすく、採用できない場合があるという点が挙げられる。このため、各マーカー位置のEIと曲率、及び各マーカーから作用線までの距離により、マーカー位置毎に張力を算出できるものの、張力について、曲率が最大のマーカー位置を抽出し、各算出値を統合するのがより好ましいことが判明している(動きが静的である場合)。他方で、キャスティングやポンピング動作のような動きがある場合、特に竿先に振動が発生してしまうため、曲率最大部を適用できない場合も考えられる。そのため、例えば、キャスティングの場合、釣竿の中間から少し前のマーカー位置から算出した張力を選択することが好ましい。また、例えば、ファイティングの場合、釣竿の中間から少し後ろのマーカー位置から算出した張力を選択することが好ましい。また、張力算出値の選択は、振動成分の影響が大きい算出値を排除して、消去法により残ったものを選択するようにしてもよい。
【0034】
次に、図4、5を参照して、本発明の一実施形態による釣竿の性能を評価するための方法について更に説明する。まず、図4を参照して、釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力の動的な変化を、上述の情報処理装置40の表示部44において、釣竿と共に表示する(可視化する)方法について説明する。ここで、釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力の動的な変化を釣竿と共に表示する(可視化する)とは、釣竿が挙動を示す際に釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力を釣竿に接続された釣糸に視覚的に(色で)表示することを言うものとする(本明細書を通じて同様である)。また、本発明の一実施形態による評価方法において、釣竿は、1つのみならず、複数の釣竿であるように構成されてもよい(本明細書を通じて同様とする)。すなわち、1つのみならず、複数の釣竿(例えば、2つの釣竿)の張力の動的な変化を同時に表示するように構成することができる。このようにして、複数の釣竿間の比較を行い易くなる。また、本発明の一実施形態による評価方法において、張力の動的な変化を、釣竿と共に表示すると共に、曲率の動的な変化又は釣竿の各位置における歪エネルギーの少なくともいずれかの動的な変化を、前記釣竿と共に表示するように構成されてもよい。このようにして、張力だけでなく、曲率や歪エネルギーの動的変化も併せて表示することで、種々の指標を同時に確認することができる。ここで、曲率や歪エネルギーを例に説明したが、その他のパラメータ(指標)であってもよい(本明細書を通じて同様である)。また、張力に代えて、後述する支持力やその他のパラメータ(指標)であってもよい(本明細書を通じて同様である)。また、本発明の一実施形態による評価方法において、張力の動的な変化は、釣竿と共に二次元的又は三次元的に表示(空間上の(x、y)二次元座標又は(x、y、z)三次元座標として表示)するように構成される。
【0035】
図示のように、ステップSAにおいて、釣竿10の各位置の座標における剛性(EI)を算出し、ステップSBにおいて、釣竿10の各位置の座標の曲率を算出し、ステップSCにおいて、釣糸を介して釣竿10の竿先に作用する張力を算出する。これらの各ステップについては、上述の通りであり、これ以上の詳細は省略する。ステップSEにおいて、上述の情報処理装置40の表示部44において釣竿と共に表示する(可視化する)ために、当該情報処理装置40の表示部44において又は通信部41を介して外部の装置より、カラーマップにおける色彩(表示色)の使用範囲を指定する。このようにして指定された情報は、適宜記憶部43に記憶するようにしてもよい。具体的には、数値0から100までの範囲に各色彩(表示色)が割り当てられており、数値0からどの数値の範囲にある色彩の範囲を使用するかを決定するため、カラーマップの最大値を指定する。当該最大値は、釣竿による釣り動作と釣種により異なる設定を行うことができる。このようにして、釣り動作と釣種に適した表示を行うことが可能となる。ここで、カラーマップとは、釣竿に掛かる張力の大小を視覚化するための各表示色の配列表を指すものとする。数値0からどの数値の範囲にある色彩の範囲を使用するかを指定することにより、当該配列表のどの範囲の表示色を使用するかが決定されることとなる。
【0036】
次に、ステップSFにおいて、当該情報処理装置40の制御部(演算部)42により、釣糸を介して釣竿10の竿先に作用する張力の時系列データにおける張力の値に応じて、数値0から上述のステップで設定した最大値の間の色彩の範囲における各色彩(表示色)の割り当てを行い、表示部44において釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力の動的な変化を、張力の値に応じて割り当てられた色彩(表示色)を釣竿と共に釣糸上に表示する(図6に、張力の変化を釣竿と共に釣糸上に表示した例を示す)ようにすることで、釣竿の動的なデータを用いて、釣竿の現実の使用状態や動き等に応じた、釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力を可視化でき、これにより、釣竿の性能を客観的かつ正確に評価することが可能となる。
【0037】
次に、図5を参照して、釣竿の保持位置における支持力の動的な変化を、上述の情報処理装置40の表示部44において、釣竿の保持位置又は釣竿の保持位置における仮想腕(釣人が釣竿を保持する位置にある釣竿を保持する仮想の腕)において表示する(可視化する)方法について説明する。ここで、釣竿の保持位置における支持力の動的な変化を釣竿の保持位置又は釣竿の保持位置における仮想腕(釣人が釣竿を保持する位置にある釣竿を保持する仮想の腕)において表示する(可視化する)とは、釣竿が挙動を示す際に釣人が釣竿の保持位置において釣竿が支持される支持力の大きさを当該保持位置又は釣竿の保持位置における仮想腕(釣人が釣竿を保持する位置にある釣竿を保持する仮想の腕)において視覚的に(色で)表示することを言うものとする。
【0038】
図示のように、ステップSDにおいて、釣竿10の保持位置における支持力を算出する。当該ステップについては、上述の通りであり、これ以上の詳細は省略する。ステップSEにおいて、上述の情報処理装置40の表示部44において釣竿の保持位置又は釣竿の保持位置における仮想腕(釣人が釣竿を保持する位置にある釣竿を保持する仮想の腕)上に表示する(可視化する)ために、当該情報処理装置40の表示部44において又は通信部41を介して外部の装置より、カラーマップにおける色彩(表示色)の使用範囲を指定する。このようにして指定された情報は、適宜記憶部43に記憶するようにしてもよい。具体的には、数値0から100までの範囲に各色彩(表示色)が割り当てられており、数値0からどの数値の範囲にある色彩の範囲を使用するかを決定するため、カラーマップの最大値を指定する。当該最大値は、釣竿による釣り動作と釣種により異なる設定を行うことができる。このようにして、釣り動作と釣種に適した表示が可能となる。ここで、カラーマップとは、釣竿10の保持位置における支持力の大小を視覚化するための各表示色の配列表を指すものとする。数値0からどの数値の範囲にある色彩の範囲を使用するかを指定することにより、当該配列表のどの範囲の表示色を使用するかが決定されることとなる。
【0039】
次に、ステップSFにおいて、当該情報処理装置40の制御部(演算部)42により、釣竿10の保持位置における支持力の時系列データにおける支持力の値に応じて、数値0から上述のステップで設定した最大値の間の色彩(表示色)の範囲における各色彩の割り当てを行い、表示部44において釣竿10の保持位置における支持力の動的な変化を、当該位置の支持力の値に応じて割り当てられた色彩(表示色)を釣竿の保持位置又は釣竿の保持位置における仮想腕(釣人が釣竿を保持する位置にある釣竿を保持する仮想の腕)上に表示する(図7に、支持力の変化を釣竿の保持位置における仮想腕(釣人が釣竿を保持する位置にある釣竿を保持する仮想の腕)上に表示した例を示す)ようにすることで、釣竿の動的なデータを用いて、釣竿の現実の使用状態や動き等に応じた釣竿の保持位置における支持力を可視化でき、これにより、釣竿の性能を客観的かつ正確に評価することが可能となる。
【0040】
ここで、本発明の一実施形態による評価方法において、釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力又は釣竿の保持位置における支持力の算出は、釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力又は釣竿の保持位置における支持力の時系列データの抽出である。このように、釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力又は釣竿の保持位置における支持力の時系列データを用いることで、釣竿の現実の使用状態や動き等に応じた、釣竿のより客観的かつ正確な性能評価が可能となる。
【0041】
本発明の一実施形態による評価方法は、釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力又は釣竿の保持位置における支持力の変化と前記釣竿の使用態様に基づき、釣竿の性能を評価するようにされる。これは、釣竿の使用態様の如何によっては、釣竿の性能評価の観点が異なることを考慮したものである。これにより、釣竿の性能の評価が釣竿の使用態様に沿ってより正確に行うことが可能となる。
【0042】
本発明の一実施形態による評価方法において、当該釣竿の使用態様は、釣竿のキャスティング動作である。
【0043】
本発明の一実施形態による評価方法において、当該釣竿の使用態様は、釣竿に設けた仕掛け又はルアーの操作である。
【0044】
本発明の一実施形態による評価方法において、当該釣竿の使用態様は、釣竿のフッキング動作である。
【0045】
本発明の一実施形態による評価方法において、当該釣竿の使用態様は、釣竿の止め動作である。
【0046】
本発明の一実施形態による評価方法において、当該釣竿の使用態様は、釣竿の引き寄せ動作である。
【0047】
本発明の一実施形態による評価方法において、当該釣竿の使用態様は、釣竿の取込み動作である。
【0048】
本発明の一実施形態による評価方法は、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における釣竿の曲げ剛性(EI)を算出し、釣竿を使用した際の、前記釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における曲率を算出し、前記各位置と前記釣竿の竿先における作用線との間の距離を算出し、前記釣竿の曲げ剛性(EI)と、前記曲率と、前記距離とに基づき、釣竿を使用した際の、釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力を算出し、前記張力の動的な変化を、釣竿と共に釣糸に表示するようにされる。
【0049】
本発明の一実施形態による評価方法によれば、釣竿の動的なデータを用いて、釣竿の現実の使用状態や動き等に応じた釣竿の特性を可視化して釣竿の性能を客観的かつ正確に評価する評価方法を提供することが可能となる。
【0050】
本発明の一実施形態による評価方法は、該釣竿の竿先に作用する荷重と、該釣竿の保持角度とを含む複数の条件に基づき、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における釣竿の曲げ剛性(EI)を算出する。
【0051】
本発明の一実施形態による評価方法において、該張力の算出値に応じて割り当てられたカラーマップの表示色を、釣竿に接続された釣糸上に動的に表示する。また、本発明の一実施形態による評価方法において、該カラーマップの表示色の設定値により表示色の使用範囲が設定される。また、本発明の一実施形態による評価方法において、該設定値は、釣り動作又は釣種の少なくともいずれかにより異なるように設定される。
【0052】
本発明の一実施形態による評価方法は、釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における釣竿の曲げ剛性(EI)を算出し、該釣竿の竿先から竿尻に至る各位置の座標及び該釣竿に接続される仕掛けの座標を抽出し、該釣竿を使用した際の、該釣竿の竿先から竿尻に至る各位置における曲率を算出し、前記各位置と前記釣竿の竿先における作用線との間の距離を算出し、前記釣竿の曲げ剛性(EI)と、前記曲率と、前記距離とに基づき、釣竿を使用した際の、釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力を算出し、前記釣竿の保持長を抽出し、前記張力と、前記釣竿の竿尻における位置から該釣竿の竿先に作用する作用線までの距離と、前記保持長とに基づき、釣竿を使用した際の、釣竿の保持位置における支持力を算出し、前記支持力の動的な変化を、釣竿の保持位置又は釣竿の保持位置における仮想腕(釣人が釣竿を保持する位置にある釣竿を保持する仮想の腕)上に表示するようにされる。
【0053】
本発明の一実施形態による評価方法によれば、釣竿の動的なデータを用いて、釣竿の現実の使用状態や動き等に応じた釣竿の特性を可視化して釣竿の性能を客観的かつ正確に評価する評価方法を提供することが可能となる。
【0054】
本発明の一実施形態による評価方法において、複数の釣竿(例えば、2つの釣竿)の掛けカーブについて、掛けカーブの通常表示と掛けカーブのコンター表示とを切り替えられるように構成してもよい。ここで、掛けカーブとは、既述の通り、釣竿に負荷を与えた時に釣竿が曲がった状態(曲がり状態)を言うものとする。また、掛けカーブの通常表示とは、釣竿に負荷を与えた時に釣竿が曲がった状態(曲がり状態)を視覚的に表示することを指し、掛けカーブのコンター表示とは、釣竿の曲がり状態が表示されると共に、釣竿の各部の曲率分布を視覚化しかつ釣竿の各部の歪エネルギー分布を視覚化することを指すものとする(本明細書を通じて同様とする)。また、こうした表示は、前述の張力の動的な変化を釣竿と共に表示することに代えて若しくは前述の張力の動的な変化を釣竿と共に表示することに加えて(同時に)行うことができるように構成される。また、こうした表示は、前述の支持力の動的な変化を、釣竿の保持位置又は釣竿の保持位置における仮想腕(釣人が釣竿を保持する位置にある釣竿を保持する仮想の腕)上に表示することに代えて若しくは前述の支持力の動的な変化を、釣竿の保持位置又は釣竿の保持位置における仮想腕(釣人が釣竿を保持する位置にある釣竿を保持する仮想の腕)上に表示することに加えて(同時に)行うことができるように構成される。また、上述のいずれの態様若しくは後述するいずれの態様においても、釣竿の保持位置又は釣竿の保持位置における支持力変化を、別途、棒グラフとして追加し、これを可視化できるようにしてもよい。
【0055】
本発明の一実施形態による評価方法によれば、複数の釣竿の動的なデータを用いて、釣竿の現実の使用状態や動き等に応じた、釣糸を介して釣竿の竿先に作用する張力又は釣竿の保持位置又は釣竿の保持位置における仮想腕における支持力を、掛けカーブと共に可視化でき、これにより、釣竿の性能をより客観的かつ正確に評価することが可能となる。
【0056】
本発明の一実施形態による評価方法において、複数の釣竿(例えば、2つの釣竿)の掛けカーブについて、掛けカーブの通常表示又はコンター表示と併せて、複数の釣竿の状態の差異をより分かり易く判断できるようにするため、釣竿上の曲率変化又は歪エネルギーの変化の少なくともいずれかを別のグラフとして同時に表示するように構成されてもよい。その際、掛けカーブの表示は、マーカーの空間上の(x、y)二次元座標又は(x、y、z)三次元座標に従ってプロットされて表示される。なお、曲率の変化や歪エネルギーの変化に関するグラフのx軸として、例えば、釣竿が曲がっていない状態における釣竿の長手方向における釣竿上の位置とすることができる。また、掛けカーブの表示として、荷重変化又は時間変化に基づくマーカーの空間上の(x、y)二次元座標又は(x、y、z)三次元座標を表示するようにすることができる。また、荷重変化又は時間変化を切り替えることができるようにしてもよい。また、荷重変化に伴う、釣竿の曲率の変化や歪エネルギーの変化を、釣竿の各箇所に色付けして視覚的に表示する(曲率や歪エネルギーの値に応じて割り当てられた色を釣竿の各箇所に表示する)ことで、曲率の変化や歪エネルギーの変化を可視化するようにしてもよい。また、荷重変化を、別途、棒グラフとして追加し、これを可視化できるようにしてもよい。なお、時間変化で比較する場合は、釣竿に設けられた釣糸に作用する引張速度で制御されたデータを使用するとよい。また、こうした表示は、前述の張力の動的な変化を釣竿と共に表示することに代えて若しくは前述の張力の動的な変化を釣竿と共に表示することに加えて(同時に)行うことができるように構成される。また、また、前述の支持力の動的な変化を、釣竿の保持位置又は釣竿の保持位置における仮想腕(釣人が釣竿を保持する位置にある釣竿を保持する仮想の腕)上に表示することに代えて若しくは前述の支持力の動的な変化を、釣竿の保持位置又は釣竿の保持位置における仮想腕(釣人が釣竿を保持する位置にある釣竿を保持する仮想の腕)上に表示することに加えて(同時に)行うことができるように構成される。
【0057】
本発明の一実施形態による評価方法によれば、複数の釣竿の動的なデータを用いて、掛けカーブをその他のパラメータ(指標)と同時に可視化でき、これにより、釣竿の性能をより客観的かつ正確に評価することが可能となる。
【0058】
本発明の一実施形態による評価方法において、釣竿の竿先に掛かる荷重が同じタイミングになるように複数の釣竿(例えば、2つの釣竿)の掛けカーブを表示すると共にモーメントアームを表示するように構成される。ここで、モーメントアームとは、釣竿の竿尻から、該釣竿の竿先に掛かる力の作用線に下ろした垂線の距離を指す。ここで、該釣竿の竿先に掛かる荷重は、釣竿の曲がりから算出される。又は、釣竿に設けられた釣糸を荷重計に取付けて計測した実測値を用いてもよい。また、本発明の一実施形態による評価方法において、複数の釣竿の竿先に掛かる荷重の変化と共に、上記モーメントアームの変化が(同時)表示されるように構成してもよい。複数の釣竿(例えば、2つの釣竿)で比較する際、荷重が同じであるという条件において、複数の釣竿の掛けカーブ及びモーメントアームが同じタイミングで表示されているため、モーメントアームが短い程釣人に掛かる負荷が小さいことが判断できる。
【0059】
また、本発明の一実施形態による評価方法において、釣竿の掛けカーブの表示の際、釣竿上における最大曲率の位置を示すようにしてもよい。また、この場合、釣竿の掛けカーブの変化と共に最大曲率位置が移動する様子を表示することが可能となる。このように構成することで、掛けカーブをその他のパラメータ(指標)と同時に可視化でき、これにより、釣竿の性能をより客観的かつ正確に評価することが可能となる。また、本発明の一実施形態による評価方法において、釣竿の掛けカーブの表示の際、釣竿上における最大歪エネルギーの位置を示すようにしてもよい。また、この場合、釣竿の掛けカーブの変化と共に最大歪エネルギー位置が移動する様子を表示することが可能となる。このように構成することで、掛けカーブをその他のパラメータ(指標)と同時に可視化でき、これにより、釣竿の性能をより客観的かつ正確に評価することが可能となる。
【0060】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0061】
1 計測システム
8 マーキング
10 釣竿
20 錘
30 計測カメラ
40 情報処理装置
41 通信部
42 制御部(演算部)
43 記憶部
44 表示部
100 評価システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B