(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017373
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240201BHJP
C23C 16/505 20060101ALI20240201BHJP
C23C 16/52 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H05H1/46 L
C23C16/505
C23C16/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119962
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】東 大介
(72)【発明者】
【氏名】酒井 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】藤原 将喜
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA03
2G084AA04
2G084BB07
2G084BB25
2G084BB30
2G084BB32
2G084CC13
2G084CC33
2G084DD04
2G084DD12
2G084DD25
2G084DD32
2G084DD35
2G084DD55
2G084DD62
2G084FF22
2G084FF32
2G084HH08
2G084HH11
2G084HH23
2G084HH24
2G084HH25
2G084HH33
2G084HH34
2G084HH35
2G084HH42
2G084HH45
2G084HH57
4K030CA04
4K030CA06
4K030CA07
4K030CA12
4K030CA17
4K030FA04
4K030GA02
4K030HA16
4K030JA16
4K030KA30
4K030KA37
4K030KA39
4K030KA41
4K030KA46
4K030LA15
4K030LA18
(57)【要約】
【課題】内側カバーを設けた場合でも、アンテナおよびその周囲状態を確認することができるプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】プラズマ処理装置(1)は、第1の開口部(2b)が設けられた筐体(2)と、第1の開口部(2b)に脱着可能に取り付けられ、当該第1の開口部(2b)を閉塞する真空カバー(4)と、第1の開口部(2b)の内部にて支持される、誘電性を有するアンテナカバー(5)と、少なくとも真空カバー(4)およびアンテナカバー(5)によって囲まれて形成されるアンテナ収容空間(AK)に配され、誘導結合性のプラズマを発生させるためのアンテナ(8)と、真空カバー(4)に設けられた透光性を有するビューポート(4b)と、ビューポート(4b)を透過したアンテナ収容空間(AK)内の光を受光する光学センサ(14)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室を備えたプラズマ処理装置であって、
前記処理室と外部環境とを連通する開口部が設けられた筐体と、
前記開口部に脱着可能に取り付けられ、当該開口部を閉塞する外側カバーと、
前記開口部の内部にて支持される、誘電性を有する内側カバーと、
少なくとも前記外側カバーおよび前記内側カバーによって囲まれて形成される包囲空間に配され、誘導結合性のプラズマを発生させるためのアンテナと、
前記外側カバーに設けられた透光性を有する光透過部と、
前記光透過部を透過した前記包囲空間内の光を受光する受光素子と、を備えている、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記筐体の前記開口部側には、前記内側カバーを取り外し可能に支持するフランジが設けられている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記アンテナの一部は、直線状の直線状部と、前記直線状部の一方の端部および他方の端部にそれぞれ連続的に設けられた第1折り曲げ部および第2折り曲げ部とを含み、
前記受光素子は、前記直線状部の中央部、前記第1折り曲げ部、および前記第2折り曲げ部のうち、少なくとも1つから発せられた光を受光する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記受光素子の検出結果を用いて、前記処理室における被処理物のプラズマ処理について、所定の制御処理を実行する、請求項1から3のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記アンテナに電力を供給する電源をさらに備え、
前記制御部は、前記制御処理として、前記電源の制御を行う、請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記受光素子の出力値が所定のしきい値以上であることを検知したときに、前記電源を停止させる、請求項5に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
複数の前記アンテナにそれぞれ設けられた複数の前記受光素子を備え、
前記制御部は、前記複数の受光素子のうち、いずれか1つの前記受光素子の出力値が前記しきい値以上であることを検知したときに、前記電源を停止させる、請求項6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記内側カバーを取り外し可能に支持する支持台をさらに備え、
前記開口部を通じて、前記内側カバーを前記支持台から取り外すとともに前記筐体の外部に取り出し可能となっている、請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
真空容器内に配置したアンテナを用いて当該真空容器内に誘導結合性のプラズマを発生させるプラズマ処理装置が知られている。プラズマ処理装置は、その種別に応じて、発生させたプラズマを用いた所定のプラズマ処理を被処理基板に施す。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のプラズマ処理装置は、真空容器の上壁に設けられた空洞の内部に高周波アンテナが配置されたアンテナ配置部と、上壁の内面側全体を覆うように設けられた仕切板とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来のプラズマ処理装置では、そのプラズマ処理の動作時において、アンテナおよびその周囲状態を確認することができないという問題点があった。
【0006】
本開示は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、内側カバーを設けた場合でも、アンテナおよびその周囲状態を確認することができるプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の一側面に係るプラズマ処理装置は、処理室を備えたプラズマ処理装置であって、前記処理室と外部環境とを連通する開口部が設けられた筐体と、前記開口部に脱着可能に取り付けられ、当該開口部を閉塞する外側カバーと、前記開口部の内部にて支持される、誘電性を有する内側カバーと、少なくとも前記外側カバーおよび前記内側カバーによって囲まれて形成される包囲空間に配され、誘導結合性のプラズマを発生させるためのアンテナと、前記外側カバーに設けられた透光性を有する光透過部と、前記光透過部を透過した前記包囲空間内の光を受光する受光素子と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、内側カバーを設けた場合でも、アンテナおよびその周囲状態を確認することができるプラズマ処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態1に係るプラズマ処理装置の構成を説明する図である。
【
図3】上記プラズマ処理装置の動作例を説明する波形図である。
【
図4】本開示の実施形態2に係るプラズマ処理装置の構成を説明する図である。
【
図6】変形例1に係るプラズマ処理装置でのアンテナの具体的な配線を説明する図である。
【
図7】変形例2に係るプラズマ処理装置でのアンテナの具体的な配線を説明する図である。
【
図8】変形例3に係るプラズマ処理装置でのアンテナの具体的な配線を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本開示の実施形態1について、
図1および
図2を用いて詳細に説明する。
図1は、本開示の実施形態1に係るプラズマ処理装置1の構成を説明する図である。
図2は、
図1のII-II線断面図である。
【0011】
なお、以下の説明では、所定のプラズマ処理として、誘導結合性のプラズマを使用したプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相堆積)法によって、被処理物としての被処理基板H1の表面に所定の皮膜を成膜する成膜処理を行うプラズマ処理装置1を例示して説明する。
【0012】
しかしながら、本開示は、所定のプラズマ処理として、例えば、スパッタ法によって被処理基板H1に所定の皮膜を成膜する成膜処理を行うプラズマ処理装置1に適用することができる。また、本開示は、所定のプラズマ処理として、プラズマを用いて、被処理基板H1の表面に対して、所定の加工を行う表面加工処理、例えば、エッチング処理あるいはアッシング処理を行うプラズマ処理装置1に適用することができる。なお、スパッタ法を行うプラズマ処理装置1においては、ターゲットは、例えば、後述するプラズマ生成領域HAの内部に設置される。
【0013】
<プラズマ処理装置1の構成>
図1に示すように、本実施形態1のプラズマ処理装置1は、筐体2と、フランジ3と、真空カバー4と、アンテナカバー5と、ステージ6とを備えている。また、プラズマ処理装置1は、アンテナ8と、光学センサ14と、制御装置15とを備えている。また、プラズマ処理装置1では、
図2に示すように、複数のアンテナ8、例えば、4つのアンテナ8が設けられており、真空カバー4、アンテナカバー5、および光学センサ14は、アンテナ8毎に設置されている。さらに、プラズマ処理装置1では、被処理基板H1は搬送機構によってステージ6と公知のロードロック室との間で搬送される(図示せず)。
【0014】
被処理基板H1は、例えば、液晶パネルディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)パネルディスプレイなどに用いられるガラス基板、合成樹脂基板であり得る。また、被処理基板H1は、各種用途に用いられる半導体基板であり得る。プラズマ処理装置1は、上記所定のプラズマ処理によってバリア(防湿)膜などの所定の皮膜を被処理基板H1上に成膜する。
【0015】
<筐体2>
筐体2は、被処理基板H1に対して上記所定のプラズマ処理を行う処理室を構成するための筐体本体2aを備え、当該筐体本体2aの上部には、上記処理室と外部環境とを連通する第1の開口部2bが設けられている。本実施形態のプラズマ処理装置1では、筐体2は、上側が開口した箱体状の筐体本体2aを有しており、筐体本体2aの上面側には、複数の開口部を有するフランジ3が気密に取り付けられている。プラズマ処理装置1では、筐体本体2aにフランジ3が取り付けられた状態において、フランジ3の開口部が、上記処理室と外部環境とを連通する第1の開口部2bであると言える。
【0016】
<フランジ3>
フランジ3は、
図2に示すように、例えば、互いに対向する2つの第1辺部3aと、第1辺部3aに直交するとともに、互いに対向する2つの第2辺部3b(
図1)と、を有する矩形状の枠体を備えている。また、フランジ3は、例えば、上記枠体の内側において一方の第2辺部3bから他方の第2辺部3bにわたって設けられた、第3辺部3c、第4辺部3d、および第5辺部3eを備えている。すなわち、これらの第3辺部3c、第4辺部3d、および第5辺部3eの各両端部は、第2辺部3bに連続して形成されている。第3辺部3c、第4辺部3d、および第5辺部3eは、2つの第1辺部3aの間において、第1辺部3aと平行となるように形成されていてよい。
【0017】
また、第1辺部3a、第2辺部3b、第3辺部3c、第4辺部3d、および第5辺部3eはそれぞれ、第1の開口部2b側に突出する突出部(詳しくは後述)を有していてよい。なお、以下の説明では、第1辺部3a、第2辺部3b、第3辺部3c、第4辺部3d、および第5辺部3eについて、辺部3hと総称する。
【0018】
<真空カバー4>
また、プラズマ処理装置1では、第1の開口部2bを閉塞する真空カバー4が、当該第1の開口部2bに脱着可能に取り付けられるように構成されている。つまり、真空カバー4は、第1の開口部2bを閉塞するようにフランジ3に気密に取り付けられるとともに、可逆的にフランジ3から取り外し可能に取り付けられる。ここで、フランジ3は、外部環境から上記処理室に向かう方向において第1の開口部2bの開口面積を段階的に小さくするように形成された突出部を有していてよい。例えば、第1辺部3a、第3辺部3c、第4辺部3d、および第5辺部3eのそれぞれは、第1の開口部2bの内部において、真空カバー4の周縁部を係止するように突出する第1の支持部を有していてよい。第1の支持部は上記突出部の一部であってよい。
【0019】
また、真空カバー4は、外側カバーの一例であり、第2辺部3bの上面に当接するとともに、第1辺部3a、第3辺部3c、第4辺部3d、および第5辺部3eにおける第1の支持部の上面に当接して支持される。また、真空カバー4は、例えば、平板状のカバー本体4aと当該カバー本体4aに設けられたビューポート4bとを備えている。カバー本体4aは、例えば、金属製である。また、ビューポート4bは、例えば、透明な合成樹脂材料または透明なガラス材料を用いて構成されており、透光性を有する光透過部を構成している。
【0020】
<アンテナカバー5>
また、プラズマ処理装置1では、アンテナカバー5が第1の開口部2bの内部にてフランジ3に対し取り外し可能に支持されている。具体的には、アンテナカバー5は、
図1及び
図2に示すように、例えば、断面U字状に構成されたアンテナ収容部5aを備えている。また、アンテナカバー5は、カバー支持部5bと、カバー開口部5cとを備えている。カバー支持部5bは、断面U字状のアンテナ収容部5aの2つの端部から連続的に形成されるとともに、アンテナ収容部5aの端部から外向きに張り出すように形成された鍔部である。つまり、カバー支持部5bは、外向きフランジ形状を有する。
【0021】
ここで、例えば、フランジ3の辺部3hは、第1の開口部2bの内部において、アンテナカバー5の周縁部を係止するように突出する第2の支持部を有していてよい。第2の支持部は、上記突出部の一部であり、上記第1の支持部よりも第1の開口部2bの内部側に突出している(突出長が大きい)。アンテナカバー5が第1の開口部2bの内部に支持された状態において、カバー支持部5bは、フランジ3の辺部3h(の上記第2の支持部)によって支持される。また、アンテナカバー5は、アンテナ収容部5aによって囲まれて形成されたカバー開口部5cを有している。
【0022】
また、アンテナカバー5は、例えば、アルミナなどの誘電材料を用いて構成されており、誘電性を有する内側カバーを構成している。また、アンテナカバー5では、アンテナ収容部5aは保持するアンテナ8の形状に一致するように形成されており、アンテナ8の外周面に対応して当該外周面を覆うよう構成されている。また、アンテナカバー5では、カバー支持部5bがフランジ3の辺部3hに取り外し可能に支持されている。さらに、アンテナカバー5では、カバー開口部5cが真空カバー4側に開口するように設けられている。このカバー開口部5cは、後述のアンテナ収容空間AKの一部を構成する第2の開口部の一例である。
【0023】
さらに、アンテナカバー5には、例えば、大きいヘーズ値を有する、不透明な不透光材料が用いられている。これにより、本実施形態1では、光学センサ14が後述のプラズマ生成領域HAからの光を受光する可能性を大幅に低減されている。
【0024】
また、筐体2では、少なくとも真空カバー4およびアンテナカバー5によって囲まれたアンテナ収容空間AKが形成されている。このアンテナ収容空間AKは、包囲空間の一例であり、誘導結合性のプラズマを発生させるためのアンテナ8が収容されている。但し、このアンテナ収容空間AKでは、その空間の大きさがアンテナ8によるプラズマを維持することができない大きさに設定されているため、プラズマ非生成領域として機能する。
【0025】
<アンテナ8>
アンテナ8は、例えば、円筒状に構成されるとともに、銅などの金属材料を用いて構成されている。また、アンテナ8の一方の端部および他方の端部は、それぞれアンテナ絶縁部13Aおよび13Bを介して真空カバー4に電気的に絶縁された状態で設けられており、筐体2の外部に気密に引き出されている。
【0026】
また、アンテナ8には、チラー12が設置されており、当該チラー12によって循環された冷却媒体、例えば、冷却水によってアンテナ8は所定温度に冷却されるようになっている。具体的には、チラー12は、図示しないポンプ等の駆動部を含み、冷却水を循環させるためのチラー本体12aと、チラー本体12aに気密に連結された配管12bとを備えている。また、配管12bは、アンテナ8の内部空間にも配置されており、アンテナ8の当該内部空間を冷却水の循環路として利用するよう構成されている。すなわち、アンテナ8では、
図1に矢印R1およびR2にて示すように、アンテナ8の内部空間に冷却水を流すことにより、当該アンテナ8の冷却を行うようになっている。
【0027】
また、アンテナ8の一方の端部および他方の端部には、インピーダンス調整部10およびインピーダンス調整部11がそれぞれ電気的に接続されている。インピーダンス調整部10は、図示しない整合回路を備えており、整合回路を介してアンテナ8の一方の端部が電源9に接続されている。また、インピーダンス調整部11は、可変コンデンサを備えており、アンテナ8の他方の端部は可変コンデンサを介して電気的に接地されている。
【0028】
電源9は、例えば、13.56MHzの高周波電力を、インピーダンス調整部10を介してアンテナ8の一方の端部に供給する。プラズマ処理装置1では、制御装置15の制御部15aがインピーダンス調整部11の上記可変コンデンサの容量を変更することにより、アンテナ8に高周波電力が効率的に供給されるように制御する。また、本実施形態1では、電源9、インピーダンス調整部10、およびインピーダンス調整部11はアンテナ8毎に設けられており、制御部15aは、アンテナ8毎の電源9の制御を行うことにより、各アンテナ8で発生させるプラズマの生成制御を実行し得る。
【0029】
また、筐体2では、第1の開口部2bの内部にアンテナカバー5を取り付けることによって、当該筐体2の内部空間が画定されてプラズマ生成領域HAが筐体本体2aの内部に形成される。このプラズマ生成領域HAの内部には、ステージ6および当該ステージ6に支持された被処理基板H1が配置されるようになっており、プラズマ生成領域HAが上記処理室を実質的に構成している。換言すれば、筐体2では、アンテナカバー5により、プラズマ生成領域HAと上記プラズマ非生成領域とが互いに区切られている。
【0030】
さらに、筐体2では、フランジ3および真空カバー4がそれぞれ筐体本体2aおよびフランジ3に気密に取り付けられることにより、上記処理室を含んだ真空容器を構成している。つまり、
図1に示すように、筐体2では、真空ポンプPOが筐体本体2aに連結されており、制御部15aが真空ポンプPOの制御を行うことにより、プラズマ生成領域HAの内部は少なくともプラズマ処理の際に所定の真空度とされる。なお、
図1に示すように、筐体2およびステージ6は、各々電気的に接地されている。
【0031】
また、筐体2には、プラズマ生成領域HAの内部での圧力(真空度)を検知する圧力計(図示せず)が設けられており、制御部15aは、当該圧力計の検知結果を用いて、プラズマ生成領域HAの内部の真空度の制御を行う。
【0032】
また、筐体2には、ステージ6の温度を検出する温度センサが設けられており(図示せず)、当該温度センサの検出結果は、制御部15aに出力される。そして、制御部15aは、入力した温度センサの検出結果を用いたフィードバック制御を行うことにより、上記プラズマ処理中に、ステージ6を予め定められた設定温度となるように制御する。
【0033】
また、筐体2には、上記所定のプラズマ処理に対応した、上記皮膜の成膜用ガスを含んだ処理ガスを筐体2のプラズマ生成領域HA(処理室)の内部に導入する処理ガス供給部を備えており(図示せず)、処理ガスの雰囲気化で当該プラズマ処理が行われるようになっている。なお、処理ガスは、例えば、アルゴン、水素、窒素、シラン、または酸素である。
【0034】
<光学センサ14>
光学センサ14は、例えば、フォトダイオードあるいはフォトトランジスタ、またはCCDセンサなどの固体撮像素子等の受光素子を用いて構成されている。光学センサ14は、図示しない治具を介在させてビューポート4b上となるように真空カバー4に取り付けられている。
【0035】
また、本実施形態1では、
図1に示すように、ビューポート4bおよび光学センサ14は、アンテナ8の直線状部の中央部に対向する位置に設けられている。そして、光学センサ14は、ビューポート4bを介してアンテナ収容空間AK内のアンテナ8の上記中央部およびその周囲部分から発生された光を受光して、その受光した検出結果を示す出力値を制御装置15に出力する。
【0036】
<制御装置15>
制御装置15は、制御部15aと発光分光分析装置15bとを備えている。制御部15aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じてプラズマ処理装置1の各部の制御を行う機能ブロックである。具体的には、制御部15aは、例えば、光学センサ14の検出結果を用いて、プラズマ生成領域HAにおける被処理基板H1のプラズマ処理について、所定の制御処理を実行する。
【0037】
詳細にいえば、制御部15aには、光学センサ14毎、つまりアンテナ8毎に、光学センサ14の出力値に対する、所定のしきい値が設定可能に構成されている。そして、制御部15aでは、後に詳述するように、当該しきい値を用いた所定の制御処理が実行可能になっている。
【0038】
発光分光分析装置(Optical Emission Spectrometer)15bは、光学センサ14の検出結果に対して、所定の分光分析処理を実行し、その分光分析結果を制御部15aに出力する。これにより、制御部15aでは、アンテナ収容空間AKにプラズマが発生した場合、分光分析結果を基に、そのプラズマに含まれる、元素および元素の濃度を検知することが可能となる。さらに、制御部15aでは、その検知結果に基づき、プラズマ発生の原因を容易に把握することができる。また、制御部15aは、異常放電がアンテナ収容空間AKに発生した場合でも、分光分析結果に基づき、異常放電の光に含まれる、元素および元素の濃度を検知することも可能となる。
【0039】
<動作例>
図3も用いて、本実施形態1のプラズマ処理装置1の動作例について具体的に説明する。
図3は、上記プラズマ処理装置1の動作例を説明する波形図である。なお、以下の説明では、制御部15aにおける、しきい値を用いた電源9の制御処理について主に説明する。
【0040】
制御部15aは、光学センサ14の出力値としきい値との比較を行うことにより、電源9の制御を実行する。つまり、制御部15aは、
図3の曲線50にて示すように、光学センサ14の出力値で表される、アンテナ収容空間AKから発生された光の発光強度を検出する。そして、制御部15aは、時点T1で光学センサ14の出力値がしきい値以上となったことを検知すると、制御部15aは、電源9を停止させる。これにより、電源9では、
図3に直線70にて示すように、時点T1でON状態からOFF状態に切り替えられる。この結果、アンテナ8への電力の供給が停止されて、当該アンテナ8によるプラズマの発生もまた停止される。
【0041】
また、制御部15aは、複数の光学センサ14のうち、いずれか1つの光学センサ14の出力値がしきい値以上であることを検知したときに、全ての電源9を停止させる。
【0042】
なお、制御部15aにおける、電源9の上記制御処理が実行されない場合、
図3に点線80にて示すように、時点T1を経過した後も、電源9は、停止されずに、ON状態で維持される。このため、
図3に点線60にて示すように、アンテナ収容空間AKから発生された光の発光強度は、時点T1を経過した後も、上限値となるまで上昇する。
【0043】
以上のように構成された本実施形態1のプラズマ処理装置1は、第1の開口部2bが設けられた筐体2と、第1の開口部2bに脱着可能に取り付けられ、当該第1の開口部2bを閉塞する真空カバー4とを備えている。また、プラズマ処理装置1は、第1の開口部2bの内部にて支持される、誘電性を有するアンテナカバー5と、少なくとも真空カバー4およびアンテナカバー5によって囲まれて形成されるアンテナ収容空間AKに配され、誘導結合性のプラズマを発生させるためのアンテナ8とを備えている。また、プラズマ処理装置1は、真空カバー4に設けられた透光性を有するビューポート4bと、ビューポート4bを透過したアンテナ収容空間AK内の光を受光する光学センサ14と、を備えている。
【0044】
以上の構成により、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、アンテナカバー5を設けた場合でも、アンテナ8およびその周囲状態を確認することができる。具体的にいえば、本実施形態1では、アンテナ収容空間AKにおいて、異常放電またはプラズマが発生した場合に、制御装置15は光学センサ14の検出結果を用いて、その異常放電の発生またはプラズマの発生を検知することができる。
【0045】
また、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、制御部15aは、光学センサ14の検出結果を用いて、電源9およびプラズマ生成領域HAにおける被処理基板H1のプラズマ処理について、所定の制御処理を実行する。これにより、本実施形態1では、制御部15aは光学センサ14の検出結果を基にプラズマ処理装置1を適切に動作させることができる。また、本実施形態1では、制御部15aはアンテナ8をより適切に動作させることができ、アンテナ収容空間AKでの異常放電やプラズマ発生を確実に抑制可能となって、アンテナ8の損傷発生をより確実に抑えることができる。
【0046】
さらに、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、制御部15aは、
図3に例示したように、光学センサ14の出力値が所定のしきい値以上であることを検知したときに、電源9を停止させる。これにより、本実施形態1では、制御部15aは電源9をより適切に制御することができ、アンテナ収容空間AKでの異常放電やプラズマ発生をより確実に抑制可能となって、プラズマ処理装置1をより適切に動作させることができる。
【0047】
また、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、制御部15aは複数の光学センサ14のうち、いずれか1つの光学センサ14の出力値がしきい値以上であることを検知したときに、全ての電源9を停止させる。これにより、本実施形態1では、複数のアンテナ8が設けられている場合でも、制御部15aは複数の各アンテナ収容空間AKでの異常放電またはプラズマの発生をより確実に抑制可能となって、より適切な動作をプラズマ処理装置1に確実に行わせることができる。
【0048】
また、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、筐体2の第1の開口部2b側には、アンテナカバー5を取り外し可能に支持するフランジ3が設けられている。これにより、本実施形態1では、アンテナカバー5を容易に筐体2に設けることができる。さらに、本実施形態1では、真空カバー4、アンテナカバー5、およびアンテナ8などを筐体2から容易に取り外すことが可能となって、メンテナンス性に優れたプラズマ処理装置1を容易に構成することができる。
【0049】
なお、上記の説明では、制御装置15にしきい値を設定して、制御部15aが当該しきい値と光学センサ14の出力値とを用いた制御を行う場合について説明したが、本開示はこれに限定さない。例えば、制御装置15に情報を表示する表示部を設けて、当該表示部に光学センサ14の検出結果を表示させることにより、しきい値を設定することなく、ユーザが、アンテナ収容空間AKにおける、異常放電の発生の有無またはプラズマの発生の有無を判断する構成でもよい。
【0050】
但し、上記実施形態1のように、制御装置15にしきい値を設定する場合の方が、プラズマ処理装置1を高精度に制御することができる点で好ましい。具体的には、光学センサ14に対して、外部環境側からの光(迷光)が受光されることも有り得る。また、光学センサ14は、アンテナカバー5において、ひびなどの微細な損傷が生じた場合、プラズマ発生領域HAからの迷光を受光することも有り得る。このような迷光を鑑みて、しきい値を適切に設定することにより、制御部15aは、これらの迷光の影響を極力排除して、プラズマ処理装置1をより精度よく制御することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態1のプラズマ処理装置1では、アンテナカバー5がプラズマ生成領域HAとプラズマ非生成領域(アンテナ収容空間AK)とを互いに区切っている。これにより、本実施形態1では、異常放電の発生またはプラズマの発生によってアンテナ8等が損傷して、パーティクルなどの汚染物質がアンテナ収容空間AKに生じたとしても、汚染物質のプラズマ生成領域HA側への侵入をアンテナカバー5によって大幅に抑制することができ、汚染物質による被処理基板H1の品質低下の発生する可能性を極力低減することができる。
【0052】
また、本実施形態1では、アンテナ8毎に、真空カバー4およびアンテナカバー5が設けられているので、アンテナ8単位に、設置作業、交換作業、およびメンテナンス作業等を行うことが可能となる。この結果、本実施形態1では、取り扱いが容易な作業性に優れたプラズマ処理装置1を簡単に構成することができる。
【0053】
また、本実施形態1では、ネジ止めを用いていた上記従来例と異なり、アンテナカバー5はネジ止め等を行うことなく、筐体2の内部に設置することができる。この結果、本実施形態1では、プラズマ生成領域HA(処理室)の内部を所定の真空度の真空環境下にしたときでも、上記従来例と異なり、ネジ止めの箇所を起点とする割れまたは変形などがアンテナカバー5に生じる可能性を大幅に低減することができる。
【0054】
〔実施形態2〕
本開示の実施形態2について、
図4および
図5を用いて具体的に説明する。
図4は、本開示の実施形態2に係るプラズマ処理装置1の構成を説明する図である。
図5は、
図4のV-V線断面図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0055】
本実施形態2と上記実施形態1との主な相違点は、アンテナ8の直線状部と8a、直線状部8aの一方の端部および他方の端部にそれぞれ連続的に設けられた第1折り曲げ部8bおよび第2折り曲げ部8cから発せられた光をそれぞれ受光する3つの光学センサ14A、14B、および14Cを設けた点である。
【0056】
図4および
図5に示すように、本実施形態2のプラズマ処理装置1では、4つの各アンテナ8の一部は、直線状の直線状部8aと、直線状部8aの一方の端部および他方の端部にそれぞれ連続的に設けられた第1折り曲げ部8bおよび第2折り曲げ部8cとを含んでいる。また、真空カバー4には、直線状部8aの中央部、第1折り曲げ部8b、および第2折り曲げ部8cにそれぞれ対応して、ビューポート4b、4c、および4dが設けられている。
【0057】
また、本実施形態2のプラズマ処理装置1では、ビューポート4b、4c、および4dにおいて、光学センサ14A、14B、および14Cがそれぞれ取り付けられている。そして、光学センサ14A、14B、および14Cは、それぞれ直線状部8aに中央部、第1折り曲げ部8b、および第2折り曲げ部8cからの光を受光する。
【0058】
具体的にいえば、光学センサ14Aは、アンテナ8の直線状部8aの中央部およびその周囲部分からの光を受光する。また、光学センサ14Bは、アンテナ8の一方の端部であって直線状部8aが真空カバー4側に折り曲げられた第1折り曲げ部8bおよびその周囲部分からの光を受光する。また、光学センサ14Cは、アンテナ8の他方の端部であって直線状部8aが真空カバー4側に折り曲げられた第2折り曲げ部8cおよびその周囲部分からの光を受光する。
【0059】
さらに、本実施形態2のプラズマ処理装置1は、アンテナカバー5を取り外し可能に支持する支持台16をさらに備えている。そして、本実施形態2のプラズマ処理装置1では、第1の開口部2bを通じて、アンテナカバー5を支持台16から取り外すとともに筐体2の外部に取り出し可能となっている。これにより、本実施形態2では、筐体2から、アンテナカバー5と一体でアンテナ8および真空カバー4を取り外せることができる。この結果、本実施形態2では、プラズマ処理装置1のメンテナンス性をさらに向上させることができる。
【0060】
以上の構成により、本実施形態2のプラズマ処理装置1は、第1の実施形態のものと同様な効果を奏する。
【0061】
また、本実施形態2のプラズマ処理装置1では、光学センサ14Bおよび14Cがそれぞれ第1折り曲げ部8bおよび第2折り曲げ部8cから発せられた光を受光するので、光学センサ14Bおよび14Cは、アンテナ8において、電界が集中し易いエッジからの光を受光することができる。従って、本実施形態2では、アンテナ8およびその周囲状態をより確実に確認することができる。この結果、本実施形態2では、アンテナ収容空間AKでの異常放電の発生またはプラズマの発生をより確実に検知可能となって、より適切な動作をプラズマ処理装置1に確実に行わせることができる。
【0062】
なお、上記の説明では、3つの光学センサ14A、14B、および14Cを設けて、それぞれアンテナ8の直線状部8aの中央部、第1折り曲げ部8b、および第2折り曲げ部8cから発生られた光を受光する場合について説明した。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではなく、光学センサ14が直線状部8aの中央部、第1折り曲げ部8b、および第2折り曲げ部8cのうち、少なくとも1つから発せられた光を受光するものであればよい。
【0063】
また、本実施形態3では、アンテナカバー5に対する、支持台16の支持高さを部分的に調整して、調整した支持台16に合わせて、アンテナ8を真空カバー4に取り付けることができる。これにより、本実施形態3では、アンテナカバー5、ひいては被処理基板H1に対する、アンテナ8の高さ調整およびその長手方向の傾き調整を容易に行うことができる。この結果、本実施形態3では、高精度なプラズマ処理を実行することができるプラズマ処理装置1を容易に構成することができる。
【0064】
〔変形例1〕
本開示の変形例1について、
図6を用いて具体的に説明する。
図6は、変形例1に係るプラズマ処理装置1でのアンテナ81~84の具体的な配線を説明する図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0065】
本変形例1と上記実施形態1との主な相違点は、2つの電源9Aおよび9Bなどを用いて、4つのアンテナ81、82、83、および84を動作させる点である。
【0066】
図6に示すように、本変形例1のプラズマ処理装置1では、電源9Aには、2つのアンテナ81および82の各一端がインピーダンス調整部10Aを介して並列に接続されている。アンテナ81および82の他端は、それぞれインピーダンス調整部11Aおよび11Bに接続されている。電源9Bには、2つのアンテナ83および84の各一端がインピーダンス調整部10Bを介して並列に接続されている。アンテナ83および84の他端は、それぞれインピーダンス調整部11Cおよび11Dに接続されている。そして、本変形例1のプラズマ処理装置1では、制御部15aがインピーダンス調整部11A~11Dの各可変コンデンサの容量を変更することにより、アンテナ81~84に高周波電力が効率的に供給されるように制御する。
【0067】
以上の構成により、本変形例1のプラズマ処理装置1では、上記実施形態1のものと同様な効果を奏する。
【0068】
〔変形例2〕
本開示の変形例2について、
図7を用いて具体的に説明する。
図7は、変形例2に係るプラズマ処理装置1でのアンテナ81~84の具体的な配線を説明する図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0069】
本変形例2と上記実施形態1との主な相違点は、2つの電源9Aおよび9Bとインピーダンス調整部11Eおよび11Dなどを用いて、4つのアンテナ81、82、83、および84を動作させる点である。
【0070】
図7に示すように、本変形例2のプラズマ処理装置1では、電源9Aには、アンテナ81の一端がインピーダンス調整部10Aを介して接続されている。アンテナ81の他端には、インピーダンス調整部11Eを介してアンテナ82の一端が接続されている。アンテナ82の他端は、接地されている。電源9Bには、アンテナ83の一端がインピーダンス調整部10Bを介して接続されている。アンテナ83の他端には、インピーダンス調整部11Fを介してアンテナ84の一端が接続されている。アンテナ84の他端は、接地されている。そして、本変形例2のプラズマ処理装置1では、制御部15aがインピーダンス調整部11Eおよび11Fの各可変コンデンサの容量を変更することにより、アンテナ81~84に高周波電力が効率的に供給されるように制御する。
【0071】
以上の構成により、本変形例2のプラズマ処理装置1では、上記実施形態1のものと同様な効果を奏する。
【0072】
〔変形例3〕
本開示の変形例3について、
図8を用いて具体的に説明する。
図8は、変形例3に係るプラズマ処理装置1でのアンテナ81~84の具体的な配線を説明する図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0073】
本変形例3と上記実施形態1との主な相違点は、電源9とインピーダンス調整部11Gおよび11Hなどを用いて、4つのアンテナ81、82、83、および84を動作させる点である。
【0074】
図8に示すように、本変形例3のプラズマ処理装置1では、電源9には、アンテナ81の一端がインピーダンス調整部10を介して接続されている。アンテナ81の他端には、インピーダンス調整部11Gを介してアンテナ82の一端が接続されている。アンテナ82の他端は、接地されている。インピーダンス調整部10には、アンテナ83の一端が接続されている。アンテナ83の他端には、インピーダンス調整部11Hを介してアンテナ84の一端が接続されている。アンテナ84の他端は、接地されている。そして、本変形例3のプラズマ処理装置1では、制御部15aがインピーダンス調整部11Gおよび11Hの各可変コンデンサの容量を変更することにより、アンテナ81~84に高周波電力が効率的に供給されるように制御する。
【0075】
以上の構成により、本変形例3のプラズマ処理装置1では、上記実施形態1のものと同様な効果を奏する。
【0076】
〔まとめ〕
上記の課題を解決するために、本開示の第1態様のプラズマ処理装置は、処理室を備えたプラズマ処理装置であって、前記処理室と外部環境とを連通する開口部が設けられた筐体と、前記開口部に脱着可能に取り付けられ、当該開口部を閉塞する外側カバーと、前記開口部の内部にて支持される、誘電性を有する内側カバーと、少なくとも前記外側カバーおよび前記内側カバーによって囲まれて形成される包囲空間に配され、誘導結合性のプラズマを発生させるためのアンテナと、前記外側カバーに設けられた透光性を有する光透過部と、前記光透過部を透過した前記包囲空間内の光を受光する受光素子と、を備えている。
【0077】
上記構成によれば、内側カバーを設けた場合でも、アンテナおよびその周囲状態を確認することができるプラズマ処理装置を提供することができる。
【0078】
本開示の第2態様は、第1態様のプラズマ処理装置において、前記筐体の前記開口部側には、前記内側カバーを取り外し可能に支持するフランジが設けられてもよい。
【0079】
上記構成によれば、内側カバーを容易に筐体に設けることができる。
【0080】
本開示の第3態様は、第1態様または第2態様のプラズマ処理装置において、前記アンテナの一部は、直線状の直線状部と、前記直線状部の一方の端部および他方の端部にそれぞれ連続的に設けられた第1折り曲げ部および第2折り曲げ部とを含み、前記受光素子は、前記直線状部の中央部、前記第1折り曲げ部、および前記第2折り曲げ部のうち、少なくとも1つから発せられた光を受光してもよい。
【0081】
上記構成によれば、アンテナおよびその周囲状態をより確実に確認することができる。
【0082】
本開示の第4態様は、第1態様から第3態様のいずれかの態様のプラズマ処理装置であって、制御部をさらに備え、前記制御部は、前記受光素子の検出結果を用いて、前記処理室における被処理物のプラズマ処理について、所定の制御処理を実行してもよい。
【0083】
上記構成によれば、制御部は受光素子の検出結果を基にプラズマ処理装置を適切に動作させることができる。
【0084】
本開示の第5態様は、第4態様のプラズマ処理装置であって、前記アンテナに電力を供給する電源をさらに備え、前記制御部は、前記制御処理として、前記電源の制御を行ってもよい。
【0085】
上記構成によれば、制御部はアンテナをより適切に動作させることができ、包囲空間での異常放電やプラズマ発生を確実に抑制可能となって、アンテナの損傷発生をより確実に抑えることができる。
【0086】
本開示の第6態様は、第4態様または第5態様のプラズマ処理装置において、前記制御部は、前記受光素子の出力値が所定のしきい値以上であることを検知したときに、前記電源を停止させてもよい。
【0087】
上記構成によれば、制御部は電源をより適切に制御することができ、包囲空間での異常放電やプラズマ発生をより確実に抑制可能となって、プラズマ処理装置をより適切に動作させることができる。
【0088】
本開示の第7態様は、第5態様または第6態様のプラズマ処理装置であって、複数の前記アンテナにそれぞれ設けられた複数の前記受光素子を備え、前記制御部は、前記複数の受光素子のうち、いずれか1つの前記受光素子の出力値が前記しきい値以上であることを検知したときに、前記電源を停止させてもよい。
【0089】
上記構成によれば、複数のアンテナが設けられている場合でも、制御部は複数の各包囲空間での異常放電やプラズマ発生をより確実に抑制可能となって、より適切な動作をプラズマ処理装置に確実に行わせることができる。
【0090】
本開示の第8態様は、第1態様から第7態様のいずれかの態様のプラズマ処理装置であって、前記内側カバーを取り外し可能に支持する支持台をさらに備え、前記開口部を通じて、前記内側カバーを前記支持台から取り外すとともに前記筐体の外部に取り出し可能となってもよい。
【0091】
上記構成によれば、筐体から、内側カバーと一体でアンテナおよび外側カバーを取り外せることができ、プラズマ処理装置のメンテナンス性をさらに向上させることができる。
【0092】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1 プラズマ処理装置
2 筐体
2b 第1の開口部(開口部)
3 フランジ
4 真空カバー(外側カバー)
4b、4c、4d ビューポート(光透過部)
5 アンテナカバー(内側カバー)
8、81、82、83、84 アンテナ
8a 直線状部
8b 第1折り曲げ部
8c 第2折り曲げ部
9、9A、9B 電源
14、14A、14B、14C 光学センサ(受光素子)
15a 制御部
16 支持部
H1 被処理基板(被処理物)
AK アンテナ収容空間(包囲空間)
HA プラズマ生成領域(処理室)