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特開2024-173731プロテーゼ、特に膝プロテーゼまたは関節ステムプロテーゼ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173731
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】プロテーゼ、特に膝プロテーゼまたは関節ステムプロテーゼ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/38 20060101AFI20241205BHJP
   A61F 2/36 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61F2/38
A61F2/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024082517
(22)【出願日】2024-05-21
(31)【優先権主張番号】10 2023 114 598.3
(32)【優先日】2023-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハリー ケンプ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA05
4C097AA07
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC04
4C097SC01
4C097SC09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可能な限り低い復元力を発現し、同時に十分に高い安定性を有するプロテーゼを提供する。
【解決手段】本発明は、プロテーゼ(10)、特に膝プロテーゼまたは股関節ステムプロテーゼに関し、プロテーゼ(10)は長骨に配置および装着するためのシャフト(12)を有し、シャフトは、スロット型中間空間(28)によって互いに分離されたシャフト軸(18)に平行に延びるシャフト部(30、32)を有し、シャフト部は、スロット型中間空間が減少するように、変形していない静止状態から開始して、曲げ荷重によって変形可能であり、第1シャフト部が第1突出部を備え、第1突出部は第2シャフト部に面する第1シャフト部の側に設けられ、中間空間の第1狭窄部を形成し、第2シャフト部に対して位置合わせするための第1境界面を備えており、第1境界面は、変形していない静止状態において、第2シャフト部から距離を空けて配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロテーゼ(10)、特に膝プロテーゼまたは股関節ステムプロテーゼであって、
長骨内に配置および装着するためのシャフト(12)を有し、
前記シャフト(12)は前記長骨内に挿入可能であって、近位端(20)と遠位端(22)との間をシャフト軸(18)に沿って延びており、
前記シャフト(12)は第1部分長さ(24)に沿って前記近位端(20)から始まる、特に中実の断面を有し、
前記シャフト(12)は第2部分長さ(26)に沿って第1断面から逸脱した第2断面を有し、
前記第2断面は前記シャフト(12)の前記遠位端(22)を含み、
前記シャフト(12)はシャフト部(30、32)を有し、
前記シャフト部(30、32)は、前記シャフト軸(18)に平行に前記第2部分長さ(26)に沿って延びており、スロット型中間空間(28)によって互いに分離されており、
前記シャフト部(30、32)は、変形していない静止状態から始まって、前記スロット型中間空間(28)が減少するように、曲げ荷重によって変形可能であり、
第1シャフト部(30)が第1突出部(46)を備え、
前記第1突出部(46)は第2シャフト部(32)に面する前記第1シャフト部(30)の側に設けられ、前記中間空間(28)の第1狭窄部を形成し、前記シャフト軸(18)に沿って見て、前記シャフト(12)の前記第1部分長さ(24)から距離を置いて配置されており、
前記第1突出部(46)は、前記第2シャフト部(32)に対して位置合わせするための第1境界面(48)を備え、前記第1境界面(48)は、前記変形していない静止状態において、前記第2シャフト部(32)から距離をおいて配置されていることを特徴とする、プロテーゼ(10)。
【請求項2】
前記第2シャフト部(32)が第2突出部(52)を備え、
前記第2突出部(52)は、前記第1シャフト部(30)に面する前記第2シャフト部(32)の側に設けられ、前記中間空間(28)の第2狭窄部を形成し、前記シャフト軸(18)に沿って見て、前記シャフト(12)の前記第1部分長さ(24)から距離をおいて配置され、
前記第2突出部(52)は、前記第1シャフト部(30)に対して位置合わせするための第2境界面(54)を備え、前記第2境界面(54)は、前記変形していない静止状態において、前記第1シャフト部(30)から距離を置いて配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のプロテーゼ(10)。
【請求項3】
前記シャフト部(30、32)の曲げ変形が、前記第1突出部(46)および前記第2突出部(52)の領域において、前記第2境界面(54)に対する前記第1境界面(48)の位置合わせによって制限されることを特徴とする、請求項2に記載のプロテーゼ(10)。
【請求項4】
前記第1境界面(48)および前記第2境界面(54)は、前記シャフト部(30、32)の前記変形していない静止状態において、または前記シャフト部(30、32)の変形状態において、互いに平行に配向されていることを特徴とする、請求項3に記載のプロテーゼ(10)。
【請求項5】
前記第1境界面(48)および/または前記第2境界面(54)は、前記シャフト軸(18)に沿って見て、前記シャフト(12)の前記遠位端(22)まで延びていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロテーゼ(10)。
【請求項6】
前記第1境界面(48)および/または前記第2境界面(54)は、前記シャフト軸(18)に沿って見て、前記第2部分長さ(26)の5%~45%、特に15%~35%の境界面長さ(58)を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のプロテーゼ(10)。
【請求項7】
前記シャフト部(30、32)は、前記シャフト(12)の前記第1部分長さ(24)に隣接する前記シャフト(12)の前記第2部分長さ(26)の領域に、前記シャフト部(30、32)の前記変形していない静止状態において、前記スロット型中間空間(28)の幅に対応する互いからのシャフト部距離(44)を有し、
前記シャフト部距離(44)は、好ましくは、前記シャフト(12)の円周面(34)の最大直径(38)の少なくとも20%、特に少なくとも25%であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のプロテーゼ(10)。
【請求項8】
前記第1突出部(46)は前記第1境界面(48)に対して垂直に測定された第1高さ(50)を有し、および/または、前記第2突出部(52)は前記第2境界面(54)に対して垂直に測定された第2高さ(56)を有し、好ましくは、前記第1高さ(50)および/または前記第2高さ(56)は少なくとも0.5mm以上であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のプロテーゼ(10)。
【請求項9】
前記第1高さ(50)と前記シャフト部距離(44)との間の比率または、前記第2高さ(56)と前記シャフト部距離(44)との間の比率または、前記第1高さ(50)と前記第2高さ(56)との和と前記シャフト部距離(44)との間の比率が、少なくとも10%、特に少なくとも20%であることを特徴とする、請求項7を引用する請求項8に記載のプロテーゼ(10)。
【請求項10】
前記シャフト(12)が、前記シャフト軸(18)に平行に延びる長手方向の溝(36)を有する円周面(34)を備えることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のプロテーゼ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテーゼ、特に膝プロテーゼまたは股関節ステムプロテーゼであって、長骨内に配置および装着するためのシャフトを有し、このシャフトは長骨内に挿入可能であって、近位端と遠位端との間をシャフト軸に沿って長さ方向に延びており、シャフトは、第1部分長さに沿って近位端から始まる、第1の、特に中実の断面を有しており、シャフトは、シャフトの遠位端を含む、第2部分長さに沿って第1断面から逸脱した第2断面を有し、シャフトは、第2部分長さに沿ってシャフト軸に平行に延びるシャフト部を備え、前記シャフト部は、スロット型(slotted)中間空間によって互いに分離され、シャフト部は、変形していない静止状態から始まって、スロット型中間空間が減少するように、曲げ荷重によって変形可能である。
【0002】
前述のタイプのプロテーゼは、例えばEP 0 966 928 A2から知られている。シャフトを長骨に固定するために、シャフトの遠位端は長骨の骨髄腔に挿入される。スロット型中間空間の目的は、骨髄腔への挿入中にシャフト部が弾性的に半径方向内側に変形することを可能にすることであり、その際スロット型中間空間は減少する。骨髄腔に完全に挿入された後、シャフト部分は、骨髄腔の境界に対してプレテンション(前張力)下で静止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
少なくとも一部の患者では、プロテーゼが挿入された後長時間にわたっても、このプレテンションの結果として、いわゆるシャフト痛(shaft pain)も生じ得ることが示されている。したがって、このようにして弾性復元力を低減するために、小さな力で変形可能なシャフト部を提供することが必要である。しかし、同時に提示される問題は、シャフト部が過度に不安定に適合すると、望ましくない塑性変形、あるいはシャフト部の破損さえも伴う可能性があるということである。
【0004】
これに基づいて、本発明の基本的な目的は、可能な限り低い復元力を発現し、同時に十分に高い安定性を有するプロテーゼを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明によれば、第1シャフト部が第1突出部を備え、第1突出部は第2シャフト部に面する第1シャフト部の側に設けられ、中間空間の第1狭窄部を形成し、シャフト軸に沿って見て、シャフトの第1部分長さから距離をおいて配置されており、第1突出部は、第2シャフト部に対して位置合わせための第1境界面を備え、第1境界面は、変形していない静止状態において、第2シャフト部から距離をおいて配置される、上述したタイプのプロテーゼによって達成される。
【0006】
本発明によるプロテーゼは、第1シャフト部の最大変形状態において第2シャフト部に対して位置合わせされる第1境界面を有する突出部によって最大曲げ変形が制限される少なくとも1つの第1シャフト部を規定する。変形していない静止状態では、スロット型中間空間の断面は、第1突出部の領域で狭くなっている。この第1シャフト部の変形していない静止状態では、突出部の第1境界面は、第2シャフト部から距離をあけて配置される。これにより、第1シャフト部は、曲げ荷重が作用したときに、第1突出部の高さ(シャフト軸に沿って見た高さ)でも変形することができる。ただし、第1突出部の高さにおける第1シャフト部の変形経路は、第1シャフト部の第1突出部の第1境界面が第2シャフト部に対して位置合わせされた状態までに制限される。
【0007】
特に、第1シャフト部が比較的小さな表面慣性モーメントを有し、すなわち、プロテーゼが外科的に長骨内に挿入されるときに低い変形力のみで変形することができ、骨髄腔内への挿入後に比較的低い復元力を発現することが可能である。それにもかかわらず、第1シャフト部は、第2シャフト部に対して第1境界面が位置合わせした結果としてそれ以上変形することができないので、第1シャフト部の望ましくない塑性変形または破損を伴う故障さえも防止することができる。第1シャフト部の最大変形経路は、突出部がスロット型中間空間を狭める範囲に制限される。この範囲は、第2シャフト部に向かう方向に延びる第1シャフト部のベース面を超えて延びる第1突出部の高さによって規定される。
【0008】
本発明のプロテーゼでは、チタンや鋼合金など、実際に実績のある材料を使用することができる。
【0009】
第2シャフト部が第2突出部を有し、第2突出部は、第1シャフト部に面する第2シャフト部の側に設けられ、中間空間の第2狭窄部を形成し、シャフト軸に沿って見て、シャフトの第1部分長さから距離を置いて配置され、第2突出部は、第1シャフト部に対して位置合わせするための第2境界面を備え、第2境界面は、変形していない静止状態において、第1シャフト部から距離を置いて配置される場合に、特別な利点が生じる。
【0010】
第1シャフト部および第2シャフト部は、好ましくは、中心シャフト軸の互いに対向する側に配置される。第2シャフト部も第2突出部を備える場合、第2突出部の第2境界面が第1シャフト部に対して位置合わせされたときに、第2シャフト部の変形経路も制限可能である。
【0011】
第1突出部および第2突出部は、曲げ荷重が加えられたときに2つの境界面の一方が2つのシャフト部の一方に対して位置合わせされ、他方の境界面が他方のシャフト部に対してその後にのみ位置合わせされるように、シャフト軸に沿って互いにオフセットして配置されることが可能である。
【0012】
しかし、第1突出部と第2突出部とがシャフト軸に沿って、シャフト軸に沿って見て、同じ高さに配置され、第1突出部と第2突出部との領域におけるシャフト部の曲げ変形が、第2境界面に対する第1境界面の位置合わせによって制限されることも可能である。これは、シャフト部がシャフト軸に対して互いに鏡面対称の断面を有する場合に特に有利であり、遠位端が長骨に挿入されたときに、2つのシャフト部がシャフト軸に対して対称に変形し、プロテーゼが挿入状態にあるときに、骨髄腔の境界の互いに対向する部分に対して反対で等しい値の復元力を及ぼすという結果をもたらす。
【0013】
第1境界面および第2境界面は、シャフト部の変形していない静止状態またはシャフト部の変形状態において、互いに平行に配向されている場合がさらに好ましい。シャフト部の変形していない静止状態およびシャフト部の変形状態における境界面の平行配向の場合、2つの境界面は、最初は接触線に沿って互いに接触するのみである。さらに変形する場合、この接触線は、境界面がその範囲に沿って互いに(すなわち、表面積にわたって)位置合わせされた状態まで拡大する。この状態において、2つのシャフト部は、安定した方法で、すなわち局所的に増大する表面圧力を回避することによって、互いに対して留められる(braced)ことができる。このことは、特に、変形していない静止状態において境界面が互いに対して僅かな角度を付けて配置されている場合に当てはまり、その角度は、シャフト部の最大変形状態において、2つの境界面が同時に、かつその範囲全体にわたって互いに位置合わせされるように選択される。
【0014】
第1境界面および/または第2境界面は、シャフト軸に沿ってシャフトの遠位端まで延びていることが特に好ましい。その結果、シャフト部(単数)またはシャフト部(複数)の変形経路を、曲げ荷重時に最大変形経路を有するシャフト部の領域において制限することができる。シャフトの遠位端のスロット型中間空間が、突出部のある結果として狭められた断面を有することも有利であり、その結果、遠位端を骨髄腔に特に容易に挿入することができる。
【0015】
本発明はさらに、第1境界面および/または第2境界面が、シャフト軸に沿って長さ方向に、第2部分長さの5%から45%の、特に15%から35%の境界面を有することを提案する。言い換えればシャフト部の第2部分長さの95%から55%、特に85%から65%は、好ましくは突出部を有さず、すなわち、少なくとも1つの突出部によって制限されないスロット型中間空間を有する。この「突出部のない」シャフト部の第2部分長さは、大容積の中間空間を提供することを可能にし、これは、シャフト部の断面がそれに対応して減少することを伴い、従って、変形抵抗が低い。
【0016】
シャフト部は、シャフトの第1部分長さに隣接するシャフトの第2部分長さの領域に、およびシャフト部の変形していない静止状態において、スロット型中間空間の幅に対応するシャフト部距離を備える。この(「突出部のない」)シャフト部距離は、好ましくは、シャフトの円周面の最大直径の少なくとも20%、特に少なくとも25%である。例えば、この最大直径は、10mm、12mm、14mm、16mm、18mm、20mm、22mm、または24mmである。直径が10mmのシャフトの例では、シャフト軸に対して対称的な設計を考慮すると、シャフト部の半径方向の広がりが最大4mmとなるように、前述のシャフト部の距離が少なくとも2mmであることが好ましい。
【0017】
第1突出部は、第1境界面に対して垂直に測定された第1高さを有し、第1高さだけ第1突出部が第1シャフト部のベース面を超えて延びる。存在する場合、第2突出部は、第2境界面に対して垂直に測定された第2高さを有し、この第2高さだけ第2突出部は第2シャフト部のベース面を越えて延びる。前述のベース面は、突出部が配置されていない領域において、シャフト軸に沿って見て、スロット型中間空間の対向する境界面を形成する。本発明は、第1高さおよび/または第2高さが少なくとも0.5mmであることを提案する。これは、対向するベース面のみを有し、進歩性のある突出部を有しない先行技術から公知のプロテーゼと比較して、スロット型中間空間が、少なくとも1つの突出部の領域において、少なくとも0.5mmの変形経路によって制限されることを意味する。
【0018】
シャフト軸に沿って同じ高さに配置される2つの突出部が設けられる場合、スロット型中間空間は、先行技術と比較して少なくとも1mm狭められ、シャフト部の共通の変形経路は、したがって、先行技術と比較して少なくとも1mm短縮される。
【0019】
第1高さと(「突出部のない」)シャフト部距離との間の比率または、第2高さと(「突出部のない」)シャフト部距離との間の比率または、第1高さと第2高さとの和と(「突出部のない」)シャフト部距離との間の比率が、少なくとも10%、特に少なくとも20%であるとき、特に好ましい。これは、「突出部のない」先行技術を基準として、変形経路の少なくとも10%、特に少なくとも20%の短縮を伴う。
【0020】
シャフトが、シャフト軸に平行に延びる長手方向の溝を有する円周面を有するとさらに有利である。シャフトの周方向に閉じた表面のこのような設計は、シャフトが「ワグナープロフィール」を有するという点でも説明することができる。長手方向の溝は、骨髄腔の境界における確実な固定を支持するが、それ自体で見ると、シャフト部の断面の局所的に弱くなった部分を形成する。本発明によるプロテーゼは、この弱体化を補償することができる。
【0021】
本発明のさらなる特徴および利点は、好ましい例示的な実施形態の以下の説明の範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面に示す:
図1】従来技術から公知のプロテーゼの断面図。
図2】本発明によるプロテーゼの一実施形態の側面図。
図3図2のIIIと表示された部分の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
先行技術から公知のプロテーゼ(EP 0 966 928 A2)が図1に示されており、参照符号10が付されている。このプロテーゼは、例えば両者の間に連結部16を配置することにより、一端が関節部14に連結されたシャフト12を備える。
【0024】
シャフト12は、シャフト軸18に沿って、すなわち、関節部14に面する近位端と、シャフトが長骨の骨髄腔に配置されるときに骨髄腔に最初に挿入される自由遠位端22との間に延びている。
【0025】
近位端20から始まって、シャフト12は、第1部分長さ24に沿って第1の、特に中実の断面を有する。シャフト12の遠位端22を含む第2部分長さ26に沿って、シャフト12は、第1断面からは逸脱する第2断面を有する。
【0026】
シャフト軸18に平行に延びるスロット型中間空間28が、第2部分長さ26に沿って設けられている。中間空間28は、第1シャフト部30と、第1シャフト部30から距離をあけて配置された第2シャフト部32とによって対向する側で区切られている。
【0027】
本発明のプロテーゼ10の例示的な実施形態の以下の説明については、図1の上記説明を参照されたい。図2によるプロテーゼ10は、例えば、膝プロテーゼまたは股関節ステムプロテーゼとして適合させることができ、必要に応じて、中間部16を使用することにより、関節部14(図示せず)もプロテーゼ10に設けることができることは言うまでもない。
【0028】
シャフト12は、シャフト軸18に沿って見たときに、シャフト12の円周にわたって分布している、特に規則的に分布している長手方向溝36が少なくとも断面的に設けられている円周面34を備えている。例えば、合計10本の長手方向溝36が、円周方向に互いにオフセットして設けられている。
【0029】
シャフト12は、例えば10mmから24mmの間の最大直径38を有する。
【0030】
さらなる説明については、図3を参照されたい。
【0031】
第1シャフト部30は、シャフト12の第1部分長さ24に隣接する領域において第2シャフト部32に面するベース面40を備える。第2シャフト部32は、第1ベース面40に面する第2ベース面42を備える。ベース面40および42は、シャフト部距離44にわたって互いに距離をあけて配置され、スロット型中間空間28の境界を形成する。
【0032】
第2シャフト部32に面する側において、第1シャフト部30は、第2シャフト部32に面する第1境界面48を備える突出部46を有する。第1境界面48とベース面40との間の距離は、第1突出部46の高さ50に対応する。第1突出部46は、特に第1シャフト部30と一体的に形成されている。
【0033】
第1シャフト部30に面する側において、第2シャフト部32は、第1シャフト部30に面する第2境界面54を有する第2突出部52を担持する。第2シャフト部32の第2境界面54からベース面42までの距離は、第2突出部52の第2高さ56に対応する。第2突出部52は、特に第2シャフト部32と一体的に形成されている。
【0034】
第1高さ50は少なくとも0.5mmであり、第2高さ56は少なくとも0.5mmである。
【0035】
突出部46および52は、スロット型中間空間28のそれぞれの狭窄部を形成する。境界面54、48の領域において、スロット型中間空間28は、突出部46、52の高さ50、56の合計によって制限される。
【0036】
境界面48および54は、特に、シャフト12の変形していない静止状態において、互いに平行に配向されている。
【0037】
境界面48および54は、シャフト軸18の互いに背を向けた側にシャフト軸18に対して相対的に配置され、シャフト軸18に対する寸法および位置に関して鏡面対称である。
【0038】
境界面48および54は、シャフト軸18に沿って、好ましくは同一の境界面の長さ58にわたって延びている。
【0039】
図面に示すシャフト部30および32の変形していない静止状態から始まって、遠位端22は、長骨、特に脛骨または大腿骨の骨髄腔に挿入することができる。この場合、シャフト12の直径38は、シャフトが好ましくは長手方向溝36の延在部と共に骨髄腔に挿入できるように、かつ、シャフト部30および32の半径方向外側を向く面が前記挿入後に骨髄腔のそれぞれの境界部分に対して予備張力下で位置合わせされるように、骨髄腔の直径との関係で選択される。
【0040】
変形していない開始状態から出発して、図3を参照すると、シャフト部30および32は、境界面48および54が互いに向かって移動する、すなわち、境界面48および54が少なくとも断面的に、好ましくは表面積にわたって互いに位置合わせされる状態まで、曲げによって変形することができる。この位置合わせは、境界面の長さ58にわたるシャフト部30および32の最大変形経路を規定する。
【0041】
先行技術(図1参照)と同一のシャフト部距離44を仮定し、シャフト部30および32の同一の材料および同一の寸法を仮定し、同一の第2部分長さ26を仮定すると、このように、シャフト部30および32の変形経路は、遠位端22の領域において、突出部46および52の高さ50および56の和に対応する尺度だけ短縮される。その結果、シャフト部30および32は、低い変形力で曲げることができ、それに応じて、長骨に挿入された後、低い復元力しか生じず、同時に、シャフト部30および32の望ましくない塑性変形または破損を伴う破損を防止することができる。
図1
図2
図3
【外国語明細書】