IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レスキュー インテリテック アーベーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173733
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】軸受手段
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B08B3/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024082823
(22)【出願日】2024-05-21
(31)【優先権主張番号】23176424.2
(32)【優先日】2023-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】523410126
【氏名又は名称】レスキュー インテリテック アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】セルイス ロビン
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB01
3B201BB24
3B201BB43
3B201BB62
3B201BB94
3B201CB12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】洗浄装置の洗浄媒体アームのための軸受手段(26)が提供される。
【解決手段】軸受手段(26)は、ハブ部分とヘッド部分とを備え、孔(29)がハブ部分とヘッド部分とを通って延びる。少なくとも1つの第1溝が孔(29)に沿って提供され、この溝は、第1端部分と第2端部分とを備える。かかる軸受手段を備えるアームユニットも提供される。アームユニットは、洗浄媒体を導くように構成された洗浄媒体アーム(19)と、心棒(22)を備えるハブ(23)と、洗浄媒体アーム(19)内に設けられ、ハブ(23)の心棒(22)に回転可能に装着されるように構成された上述の軸受手段(26)とを備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄媒体アーム軸受手段(26)であって、前記軸受手段(26)は、ハブ部分(27)とヘッド部分(28)とを備え、
孔(29)が、前記ハブ部分(27)と前記ヘッド部分(28)とを通って延び、
前記孔(29)に沿って少なくとも1つの第1溝(30)が提供され、前記溝(30)は、第1端部分(34)と第2端部分(35)とを備える、軸受手段。
【請求項2】
前記ヘッド部分(28)の上部表面に沿って少なくとも1つの第2溝(31)が提供され、前記孔(29)から外方に径方向に延び、前記第2溝(31)は、第1端部分(36)と第2端部分(37)とを備える、請求項1に記載の軸受手段。
【請求項3】
前記第1溝(30)の前記第1端部分(34)は、前記ハブ部分(27)の前記孔(29)の開口部に位置し、前記第1溝(30)の前記第2端部分(35)は、前記ヘッド部分(28)の前記孔(29)の開口部に位置し、前記第2溝(31)の前記第1端部分(36)は、前記軸受手段(26)の前記孔(29)の近位にあり、前記第2溝(31)の前記第2端部分(37)は、前記孔(29)から遠位にあり、前記第1溝(30)の前記第2端部分(35)は、前記第2溝(31)の前記第1端部分(36)に隣接して位置し、前記第1溝(30)及び前記第2溝(31)は、一緒に連接した溝を形成する、請求項2に記載の軸受手段。
【請求項4】
少なくとも1つの前記第1溝(30)の前記第1端部分(34)と前記第2端部分(35)との間の角度変位(α)は、0°;>0°且つ≦360°;又は>360°のうちの1つである、請求項1~3のいずれか一項に記載の軸受手段。
【請求項5】
少なくとも1つの前記第2溝(31)の前記第1端部分(36)と前記第2端部分(37)との間の角度変位(β)は、0°;>0°且つ<360°;又は>360°のうちの1つである、請求項2~4のいずれか一項に記載の軸受手段。
【請求項6】
洗浄媒体を導くように構成された洗浄媒体アーム(19)と、
心棒(22)を備えるハブ(23)と、
前記洗浄媒体アーム(19)内に設けられ、前記ハブ(23)の前記心棒(22)に回転可能に装着されるように構成された、請求項1~5のいずれか一項に記載の軸受手段(26)と
を備える、アームユニット。
【請求項7】
前記軸受手段(26)は、前記洗浄媒体アーム(19)に提供された貫通開口部に受け入れられる、請求項6に記載のアームユニット。
【請求項8】
前記軸受手段(26)の前記孔(29)の直径は、前記心棒(22)に対して間隔(33)を形成するような寸法にされ、前記間隔は0.2~3mmであり、0.5~4mmであるのが好ましく、1~2mmであるのがより好ましい、請求項6~7のいずれか一項に記載のアームユニット。
【請求項9】
前記第1溝(30)の前記第1端部分(34)は、前記ハブ部分(27)の前記孔(29)の開口部に位置し、前記第1溝(30)の前記第2端部分(35)は、前記ヘッド部分(28)の前記孔(29)の開口部に位置し、前記第2溝(31)の前記第1端部分(36)は、前記軸受手段(26)の前記孔(29)の近位にあり、前記第2溝(31)の前記第2端部分(37)は、前記孔(29)から遠位にあり、前記軸受手段(26)の前記溝(30、31)の少なくとも1つの前記第1端部分(34、36)から前記第2端部分(35、37)までの角度変位(α、β)は、前記洗浄媒体アーム(19)の回転方向とは反対方向に延びる、請求項6~8のいずれか一項に記載のアームユニット。
【請求項10】
個人用防護機器を除染するための洗浄装置(10)であって、
洗浄チャンバ(12)を囲むハウジング(11)と、
洗浄媒体に圧力をかけるように構成されたポンプユニット(16)と、
少なくとも1つの、前記洗浄チャンバ(12)内に設けられた請求項6~9のいずれか一項に記載のアームユニット(15)と
を備える、洗浄装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄媒体アーム軸受手段、かかる軸受手段を備えるアームユニット、かかるアームユニットを備える洗浄装置、及び洗浄装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば消防活動、採石業、鉱業、化学工業などにおいて、労働者を有害物質から防護するために防護衣服/機器/ギアが使用される。したがって衣服/機器/ギアは、労働者に知られていない可能性のある多数の物質にさらされる。作業割当が完了すると、着用者/使用者が衣服/機器/ギアを取り扱う際に物質にさらされないために、衣服/機器/ギアが清掃/洗浄/除染されねばならない。
【0003】
衣服/機器/ギアは過酷な環境で使用されるため、汚れがひどく、石/岩材などのより大きな粗大粒子が固着している可能性がある。清掃/洗浄/除染プロセスの間には、清掃/洗浄/除染プロセスに使用される洗浄装置によって衣服/機器/ギアから粒子が除去されて廃棄される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
問題は、材料/粒子、特に端が鋭利な粒子は、詰まったり、洗浄装置のアームを動かなくさせたりする傾向があるので、装置の様々なパーツが動かなくなり得ること、又は様々なパーツの動きが損なわれることである。その結果、衣服/機器/ギアの洗浄/清掃/除染が損なわれ、洗浄装置が機能しなくなり壊れる可能性もある。
【0005】
洗浄装置の頻繁なメンテナンス/修理にはコストがかかり非効率であり、適切に清掃されていない衣服/機器/ギアを再洗浄しなければならないのは時間がかかり非効率である。
【0006】
以上から、改良の余地があることが理解され、本発明は、上記及び他の問題を解決するか又は少なくとも緩和することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、添付の独立請求項によって定義される。本明細書に開示される構想のさらなる特徴及び利点は、以下の説明に記載され、一部は説明から明らかになるか又は説明された技術の実践によって知られ得る。本構想の特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘された道具及び組み合わせによって実現及び獲得され得る。説明された技術のこれら及び他の特徴は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより十全に明らかになるか又は本明細書に記載される開示された構想の実践によって知られ得る。
【0008】
第1態様では、洗浄媒体アーム軸受手段が提供される。軸受手段は、ハブ部分とヘッド部分とを備え、ハブ部分とヘッド部分とを通って延びる孔が提供される。少なくとも1つの第1溝が、孔に沿って提供される。溝は、第1端部分と第2端部分とを備える。この軸受手段は、孔に沿って提供された溝が軸受手段に入った粒子の除去を容易にする点で有利である。粒子は孔に入ると軸受手段を動かなくさせ得るが、溝により、粒子が孔を詰まらせずに溝の一端からもう一端に向かって案内される。第1溝は、軸受手段の垂直方向への粒子の輸送を容易にする。軸受手段は、洗浄装置の洗浄媒体アームに対して提供される。
【0009】
一実施形態では、軸受手段には、ヘッド部分の上部表面に沿って少なくとも1つの第2溝が提供される。第2溝は、孔から外方に径方向に延び、第1端部分と第2端部分とを備える。第2溝は、軸受手段の水平方向への粒子の輸送を容易にする。第1溝によって孔の外に案内された粒子は、軸受手段のヘッド部分と隣接する構成要素との間に捕捉され得るが、第2溝がそのような除去を容易にする。
【0010】
一実施形態では、第1溝の第1端部分は、ハブ部分の孔の開口部に位置し、第1溝の第2端部分は、ヘッド部分の孔の開口部に位置する。第2溝の第1端部分は軸受手段の孔の近位にあり、第2溝の第2端部分は孔から遠位にある。第1溝の第2端部分は、第2溝の第1端部分に隣接して位置し、したがって第1溝及び第2溝は一緒に連接した溝を形成する。垂直方向及び水平方向の両方に延びる連接した溝は、軸受手段を通って出る粒子の輸送を容易にし、軸受手段が動かなくなるリスクを低減する。
【0011】
一実施形態では、少なくとも1つの第1溝の第1端部分と第2端部分との間の角度変位(angular displacement)は、0°;>0°且つ≦360°;又は>360°のうちの1つである。軸受手段が動作位置で回転するように構成されるため、少なくとも1つの第1溝の第1端部分と第2端部分との間の角度変位は粒子の輸送を容易にする。
【0012】
一実施形態では、少なくとも1つの第2溝の第1端部分と第2端部分との間の角度変位は、0°;>0°且つ<360°;又は>360°のうちの1つである。軸受手段が動作位置で回転するように構成されるため、少なくとも1つの第2溝の第1端部分と第2端部分との間の角度変位は粒子の輸送を容易にする。
【0013】
第2態様では、洗浄媒体を導くように構成された洗浄媒体アームと、心棒(axle)を備えるハブと、洗浄媒体アーム内に設けられた軸受手段とを備えるアームユニットが提供される。軸受手段は、ハブの心棒に回転可能に装着されるように構成される。このアームユニットは、洗浄媒体とともに運ばれて洗浄媒体アームの軸受手段に入る粒子が、アームユニットが動かなくならないように軸受手段を通って輸送される点で有利である。
【0014】
一実施形態では、軸受手段は、洗浄媒体アームに提供された貫通開口部に受け入れられる。これは、軸受手段を洗浄アームに装着する好ましいやり方である。
【0015】
一実施形態では、軸受手段の孔の直径は、心棒に対して間隔を形成するような寸法にされる。この間隔は、0.2~3mmであるのが好ましく、0.5~4mmであるのがより好ましく、1~2mmであるのが最も好ましい。この間隔又は間隙は、少なくとも1つの第1溝と一緒に、軸受手段を通る粒子の輸送に貢献する。したがって、この間隔はアームユニットの信頼できる動作に貢献する。
【0016】
一実施形態では、第1溝の第1端部分は、ハブ部分の孔の開口部に位置し、第1溝の第2端部分は、ヘッド部分の孔の開口部に位置する。第2溝の第1端部分は軸受手段の孔の近位にあり、第2溝の第2端部分は孔から遠位にある。軸受手段の溝の少なくとも1つの第1端部分から第2端部分までの角度変位は、洗浄媒体アームの回転方向と比較して反対方向に延びる。回転方向と比較して反対方向に延びる角度変位により、軸受手段からの粒子の除去が容易になる。
【0017】
第3態様では、個人用防護機器を除染するための洗浄装置が提供される。この洗浄装置は、洗浄チャンバを囲むハウジングと、洗浄媒体に圧力をかけるように構成されたポンプユニットと、少なくとも1つの、洗浄チャンバ内に設けられたアームユニットとを備える。この洗浄装置は、装置の動作信頼性に影響を与えずに、大(large)粒子/粗大(coarse)粒子/粗(rough)粒子/端が鋭利な(sharply-edged)粒子などの粒子だけでなく、粉塵/粘土/泥などの微粒子を装置に持ち込む物品を洗浄/除染するためにも適合されるため、重度汚染物品を取り扱うことができる点で有利である。
【0018】
上述の実施形態が実施される態様を最もよく説明するとともに、本開示の他の利点及び特徴を定義するために、より具体的な説明が以下に提供され、添付の図面に示される。これらの図面は本発明の例示的な実施形態のみを描写し、したがって範囲を限定するものと考えてはならないことを理解した上で、添付の図面を用いて実施例をさらなる具体性及び詳細を伴って記載及び説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】洗浄装置の正面図である。
図2図1の洗浄装置の線B‐Bに沿った断面図である。
図3図1の洗浄装置の透視図である。
図4a】一実施形態による洗浄アームユニットの側面図である。
図4b図4aの洗浄アームユニットの線B‐Bに沿った側断面図である。
図4c図4bの円Fによる詳細である。
図5】一実施形態による洗浄アームユニットの斜視図である。
図6図5の洗浄アームユニットの分解斜視側面図である。
図7図4の洗浄アームユニットの分解斜視側面図である。
図8図4及び図7の洗浄アームユニットの斜視図である。
図9図4及び図7~8の洗浄アームユニットの上面図である。
図10a】一実施形態による軸受手段の斜視図である。
図10b図10aの軸受手段の側面図である。
図10c図10a~bの軸受手段の線C‐Cに沿った断面図である。
図10d図10aの軸受手段の上面図である。
図10e図10dの軸受手段の線D‐Dに沿った断面図である。
図11a】一実施形態による軸受手段の斜視図である。
図11b図11aの軸受手段の上面図である。
図11c図11aの軸受手段の側面図である。
図11d図11cの軸受手段の線E‐Eに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
さらに、図面において同様の参照文字は、いくつかの図面全体にわたり同様の又は対応する部分を指す。
【0021】
開示された方法及び装備の様々な実施形態を以下で詳細に論じる。具体的な実施態様が論じられるが、これは説明の目的でなされるにすぎないことが理解されねばならない。関連技術の当業者は、本開示の精神及び範囲から離れずに他の構成要素、構成、及びステップが使用され得ることを認識するであろう。
【0022】
明細書及び特許請求の範囲において、「備える」という単語及びこの単語の「備えている」、「備えた」などの変化形は、他の要素又はステップを排除しない。
【0023】
以下では、ある実施形態が添付の図面を参照しながらより十全に説明される。当業者には、本発明の構想から逸脱せずに様々な修正及び改変が加えられ得ることが明らかになるであろう。他の実施形態は、明細書及び本明細書に開示された実践の検討から当業者に明らかになるであろう。本明細書の実施形態は、本開示が徹底的かつ完全になり、本発明の構想の範囲を十全に伝達するように、また、特許請求の範囲が本発明の構想が関係する技術の当業者に明らかな本発明の構想のすべての等価物を包含するものと解釈されるように、例として提供される。他に何も述べられていない場合には、異なる実施形態は互いに組み合わされてもよい。
【0024】
本出願は、個人用防護機器又はギア及び/又は防護衣服の清掃/洗浄/除染に関する。防護衣服/機器/ギアは、消防活動、鉱業、採石業、化学工業などのために適合され得る。防護衣服/機器/ギアは、以下の説明では物品と呼ばれるが、清掃が必要な任意の衣服/機器/ギアなどを含み得る。物品は汚れがひどい可能性があり、そのため石/岩材などの粒子が清掃/洗浄/除染プロセスに持ち込まれ得る。「粒子」は以下では、洗浄装置の機能及び/又は動作信頼性を損ない得る任意の粒子、例えば大粒子/粗大粒子/粗粒子/端が鋭利な粒子だけでなく、ある量で例えば粘土又は泥を形成する粉塵などの微粒子を指す。
【0025】
従来の洗浄装置は、物品によって洗浄装置に持ち込まれ、洗浄プロセスの間に物品から除去される粒子が、洗浄装置の様々な部分を通って循環する洗浄媒体の流れによって運ばれるように設計される。そのため、洗浄媒体の流れに入る粒子が装置の機械に引っかかり、例えば可動部品が目的通りに回転/運動することを妨げ、あるいは回転/運動を不完全にし得る。
【0026】
そのため本発明の発明者は、洗浄装置の動作信頼性を向上させるために装置の改良が有利であることに気づいた。以下では、改良された洗浄装置を添付の図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1~3は、洗浄チャンバ12を囲むハッチ又はドア14を備えるハウジング11を備える洗浄装置10を示す。洗浄チャンバ12は、洗浄媒体のための少なくとも1つの入口と、洗浄媒体及び洗浄された物品から除去された汚染物質のための少なくとも1つの出口18とを有する。洗浄チャンバ12は、洗浄される物品を受け入れるように構成される。
【0028】
洗浄装置10は、洗浄チャンバ12内に設けられた2つのアームユニット15を備える。アームユニット15は、洗浄チャンバ12への前記入口を備える。第1アームユニット15は、洗浄チャンバ12の上部エリアに設けられ、第2アームユニット15は、洗浄チャンバ12の下部エリアに設けられる。したがって、洗浄される物品が洗浄チャンバ12内に配置されたときには、第1アームユニット15は物品の上方に位置し、第2アームユニット15は物品の下方に位置する。
【0029】
各アームユニット15は、2つの回転可能なアーム、1つの洗浄媒体アーム19と1つのリンス媒体アーム20とを備える。各アームユニット15の各アーム19、20には、洗浄チャンバ12内への洗浄媒体/リンス媒体のための少なくとも1つの入口を形成する開口部又はノズル21が提供される。洗浄媒体アーム19及びリンス媒体アーム18は、洗浄媒体及びリンス媒体がそれぞれこれらをノズル21に向かって通過する通路を提供するために中空である。
【0030】
洗浄装置10は、出口18に接続された洗浄媒体貯留部32をさらに備える。ポンプユニット16が、洗浄媒体貯留部32内に又は洗浄媒体貯留部32と接続されて設けられる。ポンプユニット16は、導管17を介してそれぞれの第1及び第2洗浄アームユニット15に接続される。ポンプユニット16は、洗浄媒体を洗浄媒体貯留部32から洗浄アームユニット15に送るように構成され、洗浄アームユニット15を通して洗浄媒体が洗浄チャンバ12に再導入される。
【0031】
図5~6には、一実施形態のアームユニット15が示される。アームユニット15は、洗浄媒体アーム19と、リンス媒体アーム20と、中空心棒(又はスピンドル/シャフト)22と、ハブ23と、洗浄媒体アーム軸受手段26と、リンス媒体アームピボット24とストップフェルール25とを備える。図4及び図7~9では、リンス媒体アーム20を除いたアームユニット15が示される。
【0032】
軸受手段26は、ハブ部分、又はハブ部分、27と、ヘッド28とを備える。連接又は連続した貫通孔29が、軸受手段ヘッド28及びハブ部分27の長手方向を通って延びる。
【0033】
組立状態では、例えば図5~8に示されるように、洗浄媒体アームハブ23が中空心棒22上に設けられ、洗浄媒体アーム19がハブ23上に設けられる。洗浄媒体アーム19は、洗浄媒体アーム19の回転のための軸受として作用する軸受手段26によって心棒22に取り付けられる。したがって、心棒22の外側表面と軸受手段の孔29との間、及び軸受手段の上部表面とリンス媒体アームピボット24との間にそれぞれ軸受エリアが形成される。
【0034】
中空心棒は、リンス媒体アームピボット24を受け入れるように構成され、リンス媒体アームピボット24の上にリンスアーム18が取り付け可能である。アームユニット15は、リンス媒体アームピボット24に例えば適合するねじ山によって取り付けられるストップフェルール25によって一緒に保持される。
【0035】
使用時には、リンス媒体がリンス媒体供給部(図示せず)からリンス媒体アームピボット24を介してリンス媒体アーム20へ中空心棒22を通して導かれる。リンス媒体は、リンスアームノズル21を介して洗浄チャンバ12に入る。
【0036】
洗浄媒体は、ポンプユニット16によって洗浄媒体貯留部32からそれぞれのアームユニット15に送られ、そこでハブ23に入り、そこから洗浄媒体アーム19の内側の中空部分内に導かれ、ノズル21を通って出て洗浄チャンバ12に入るように構成される。図4bの矢印Aを参照されたい。
【0037】
しかし、汚れがひどい物品が洗浄装置で洗浄されると、物品が結局適切に洗浄されないことがある。洗浄が損なわれる結果、危険物質及び/又は有毒物質にさらされた物品を清掃する場合には、危険及び/又は有毒な残留物が物品上に残ることがある。
【0038】
本発明の発明者は、洗浄が損なわれるのは、洗浄媒体アームが回転を妨げられることに起因することに気づいた。本発明者は、これは洗浄媒体流の一部がノズル21を通って洗浄チャンバ12に入らず、代わりに心棒22と軸受手段26との間の軸受エリアに押し込まれることに起因することにさらに気づいた。図4bの矢印Bを参照されたい。すなわち、洗浄媒体の一部は、洗浄チャンバ12に到達するために軸受手段26の孔29、及び軸受手段ヘッド28の上側表面とこれに当接するリンス媒体アームピボット24の表面との間を通過する。
【0039】
材料/粒子が矢印Bに沿って、軸受内の心棒22と軸受手段26との間及び軸受手段ヘッド28の上側表面とリンス媒体アームピボット24の当接表面との間に洗浄媒体とともに運ばれると、粒子により洗浄媒体アーム19が回転できるのが部分的に又は完全に妨げられ、その結果洗浄が損なわれ、洗浄装置の動作の信頼性がなくなるリスクがある。
【0040】
この問題が存在することに気づくことにより、そして洞察に満ちた推論及び発明的思考を通じて、本出願の背後の発明者は、洗浄装置10の動作信頼性が向上する解決策を設計している。
【0041】
図10~11に詳細に示される軸受手段26には、軸受手段26のハブ部分27及びヘッド部分28を通って延びる連続孔29に沿った第1溝30が提供される。
【0042】
図10eに示すように、溝30は、軸受手段26のハブ部分27の孔29の開口部に位置する第1の下側/下部端部分34を有する。溝30は、軸受手段26のヘッド28の孔29の開口部に位置する第2の上部/上側部分35を有する。
【0043】
溝30は、部品の組立状態で心棒22の外側表面と軸受手段26の孔29の表面との間に通路を提供する。
【0044】
軸受手段26には、軸受手段ヘッド28の上部表面に沿って延びる第2溝31がさらに提供される。第2溝31は、孔29から外方に径方向に、ヘッド28の周縁に向かって延びる。
【0045】
図10dに示すように、溝31は、軸受手段26の孔29の近位の第1の径方向内側端部分36を有する。溝31は、軸受手段26の孔29から遠位の第2の径方向外側端部分37を有する。
【0046】
溝31は、部品の組立状態で軸受手段ヘッド28の上部表面とリンス媒体アームピボット24の当接表面との間に通路を提供する。
【0047】
ここで、「上部」とは、例えば図5~8における軸受手段26の方向をさす。この参照方式では、第1溝30は垂直溝と呼称されてもよく、第2溝31は水平溝と呼称されてもよい。
【0048】
垂直溝30の第1端部分34は、水平溝31の第1の径方向内側端部分36に隣接して設けられる。したがって、2つの溝30、31は、ハブ23の内側から洗浄チャンバ12までの連接した通路を形成する。
【0049】
加えて、一実施形態では、図4cに示されるように、軸受手段26の孔29の直径は、軸受手段26を通る孔29の表面と心棒22の外側表面との間に間隔33を形成して、2つの部品の間に間隙を形成するような寸法にされる。間隔33は、0.2~3mmであるのが好ましく、0.5~4mmであるのが好ましく、1~2mmであるのがより好ましい。
【0050】
洗浄媒体が心棒22と軸受手段26との間の軸受エリアに押し込まれると、それとともに導かれる可能性がある粗大粒子が溝30、31を通って案内され、それにより洗浄チャンバ12に入る。より小さな粒子は、心棒22と軸受手段26との間の間隔33を通り得る。これにより、粒子は、心棒22と軸受手段26との間に捕捉されて洗浄媒体アーム19の回転を損なうか又は停止させ得る代わりに洗浄チャンバ12内に送達される。したがって、洗浄装置の動作信頼性が向上する。
【0051】
図10a~eに示される軸受手段の実施形態では、溝30が下部端部分34から上部端部分35に一直線に延びる。そのため、溝30の下部端部分34と上部端部分35とは角度的に分離されない。換言すれば、溝30の上部端35と下部端34との間の角度変位αは0°である。
【0052】
あるいは、図11a~dに示す実施形態によれば、溝30は、孔29に非直線的に沿って延びる。溝30は、例えば螺旋状に延び得る。溝30の下部端部分34と上部端部分35とは360°の角度分離(angular separation)αを有する。他の実施形態では、角度分離αは360°を上回り得る。別の実施形態では、角度分離αは360°未満であり得る。
【0053】
溝31は、第1端部分36と第2端部分38との間に一直線に延び得る。したがって、溝31の径方向内側端部分36と溝31の径方向外側端部分37とは角度的に分離されない。換言すれば、溝31の内側端部分36と外側端部分37との間の角度変位βは0°だけ分離される。
【0054】
あるいは、図10~11に示すように、溝31の径方向外側部分37は溝31の径方向内側部分36との関係で角度変位βを有し得る。溝31の2つの端部分36、37の間の角度分離/変位βは45°であるのが好ましい。溝31の角度変位βの方向は、アームユニット15の運動の方向と比較して逆、すなわち反対方向であるのが好ましい。
【0055】
一実施形態では、図11a~dに示されるように、軸受手段26は、孔29に沿って延びるいくつかの垂直溝30と、軸受手段ヘッド28に提供された対応する数のそれぞれ関連する水平溝31とを備える。
【0056】
一実施形態では、第1溝30及び第2溝31の角度変位α、βはそれぞれ、洗浄媒体アーム19の回転方向と反対の方向に延びる。すなわち、螺旋/スパイラル形状の溝30、31の螺旋/スパイラルは、洗浄媒体アーム19の回転方向と相反する方向に旋回する。この構成は、軸受手段26から外への砂粒子の輸送を容易にする点で有利である。
【0057】
別の実施形態では、螺旋/スパイラル形状の溝30、31の螺旋/スパイラル方向は、洗浄媒体アーム19の回転方向に対応する。
【0058】
洗浄装置10内の物品を除染/洗浄/清掃するために使用される洗浄媒体は、水、洗濯洗剤、洗浄薬液(単数又は複数)、顆粒、ドライクリーニング剤、RO水、消毒剤、石鹸、食器用液体洗剤、食器用石鹸、食洗機用洗剤、脱脂剤、超純水のうちの1つ以上であり得る。
【0059】
洗浄装置10内に2組のアームユニット15があり、1つは上方から、1つは下方から洗浄媒体の流れを提供することが有益である。これにより、物品のより徹底的な除染が可能になる。回転可能アームの代わりに、別の形状の回転可能構造体上にノズル/開口部が提供されてもよいし、又は構造体は回転可能ではなく、代わりに前後に旋回可能であってもよい。これらの種類の構造体にも、上述の軸受エリアに関する同じ原理及び解決策が有効である。
【0060】
上述した様々な実施形態は、例示として提供されるにすぎず、本発明を限定するものと解釈されてはならない。例えば、本明細書の原理は、任意の洗浄装置に適用され得る。当業者は、本明細書に例示及び記載された実施形態及び応用例にしたがわずに、本開示の範囲から逸脱せずに本発明に加えられ得る様々な修正及び変更を容易に認識するであろう。例えば、洗浄装置は洗浄アームユニットを1つしか有していなくてもよい。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
図10d
図10e
図11a
図11b
図11c
図11d
【外国語明細書】