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特開2024-173752抗ヒトCD33 BETデグレーダー抗体-薬物コンジュゲート
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  • 特開-抗ヒトCD33  BETデグレーダー抗体-薬物コンジュゲート 図1
  • 特開-抗ヒトCD33  BETデグレーダー抗体-薬物コンジュゲート 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173752
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】抗ヒトCD33 BETデグレーダー抗体-薬物コンジュゲート
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/30 20060101AFI20241205BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241205BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20241205BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241205BHJP
   C07D 487/16 20060101ALI20241205BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
C07K16/30 ZNA
A61P35/02
A61K47/68
A61K39/395 N
A61K39/395 T
C07D487/16
A61K39/395 L
C07K16/30
C12N15/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024084583
(22)【出願日】2024-05-24
(31)【優先権主張番号】63/505,672
(32)【優先日】2023-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/584,449
(32)【優先日】2023-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブランコ,ミラン
(72)【発明者】
【氏名】コーエン,ダニエル・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ファーベル,エミリー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハーラン,ジョン・イー
(72)【発明者】
【氏名】レイブン,マシュー・エム
(72)【発明者】
【氏名】シェン,ユー
(72)【発明者】
【氏名】シェパード,ジョージ・エス
(72)【発明者】
【氏名】ワン,レー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シンシン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE59
4C076FF70
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA21
4C085AA26
4C085BB31
4C085CC23
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA72
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045FA83
4H045GA21
(57)【要約】
【課題】急性骨髄性白血病の処置においてなどの、治療目的で使用することができる抗ヒトCD33 BETd ADCを提供すること。
【解決手段】本開示は、抗ヒトCD33 ブロモ-及びエキストラターミナルドメインデグレーダー抗体-薬物コンジュゲートを、そのような抗体-薬物コンジュゲートを使用する組成物及び方法を含めて提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造:
【化1】
を含む抗ヒトCD33 ブロモ-及びエキストラターミナルドメインデグレーダー(BETd)抗体-薬物コンジュゲート(ADC)であって、
nが1~10の整数であり、
mAb1が、
CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含む重鎖可変領域、並びにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含む軽鎖可変領域を含むIgG抗ヒトCD33抗体であり、
CDR-H1が配列番号1のアミノ酸配列を有し、
CDR-H2が配列番号2のアミノ酸配列を有し、
CDR-H3が配列番号3のアミノ酸配列を有し、
CDR-L1が配列番号4のアミノ酸配列を有し、
CDR-L2が配列番号5のアミノ酸配列を有し、
CDR-L3が配列番号6のアミノ酸配列を有する、
抗ヒトCD33 BETd ADC。
【請求項2】
mAb1が、
配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び
配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域
を含む、請求項1に記載の抗ヒトCD33 BETd ADC。
【請求項3】
mAb1が、
配列番号9又は配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖及び
配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖
を含む、請求項1に記載の抗ヒトCD33 BETd ADC。
【請求項4】
nが約2である、請求項3に記載の抗ヒトCD33 BETd ADC。
【請求項5】
配列番号9又は配列番号10の296Cがコンジュゲーションの部位である、請求項4に記載の抗ヒトCD33 BETd ADC。
【請求項6】
mAb1が、
配列番号9のアミノ酸配列を有する重鎖及び
配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖
を含む、請求項3に記載の抗ヒトCD33 BETd ADC。
【請求項7】
nが約2である、請求項6に記載の抗ヒトCD33 BETd ADC。
【請求項8】
配列番号9の296Cがコンジュゲーションの部位である、請求項7に記載の抗ヒトCD33 BETd ADC。
【請求項9】
mAb1が、
配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖及び
配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖
を含む、請求項3に記載の抗ヒトCD33 BETd ADC。
【請求項10】
nが約2である、請求項9に記載の抗ヒトCD33 BETd ADC。
【請求項11】
配列番号9の296Cがコンジュゲーションの部位である、請求項10に記載の抗ヒトCD33 BETd ADC。
【請求項12】
以下の構造:
【化2】
を含む抗ヒトCD33 ブロモ-及びエキストラターミナルドメインデグレーダー(BETd)抗体-薬物コンジュゲート(ADC)であって、
nが約2であり、mAb1が、
配列番号9又は配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖及び
配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖
を含むIgG抗ヒトCD33抗体である、
抗ヒトCD33 BETd ADC。
【請求項13】
296Cがコンジュゲーションの部位である、請求項12に記載の抗ヒトCD33 BETd ADC。
【請求項14】
式(III):
【化3】
の化合物。
【請求項15】
請求項1~13に記載の抗ヒトCD33 BETd ADCを含み、薬学的に許容される担体をさらに含む、医薬組成物。
【請求項16】
急性骨髄性白血病を処置する方法であって、請求項1~13に記載の抗ヒトCD33 BETd ADCの治療有効量を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法。
【請求項17】
急性骨髄性白血病を処置する方法であって、請求項15に記載の医薬組成物の治療有効量を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法。
【請求項18】
以下の構造:
【化4】
を含む抗ヒトCD33 ブロモ-及びエキストラターミナルドメインデグレーダー(BETd)抗体-薬物コンジュゲート(ADC)組成物であって、
nが約2であり、mAb1が、
配列番号9又は配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖及び
配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖
を含むIgG抗ヒトCD33抗体である、
抗ヒトCD33 BETd ADC組成物。
【請求項19】
296Cがコンジュゲーションの部位である、請求項18に記載の抗ヒトCD33 BETd ADC組成物。
【請求項20】
抗ヒトCD33抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、抗体がCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含む重鎖可変領域、並びにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含む軽鎖可変領域を含み、
CDR-H1が配列番号1のアミノ酸配列を有し、
CDR-H2が配列番号2のアミノ酸配列を有し、
CDR-H3が配列番号3のアミノ酸配列を有し、
CDR-L1が配列番号4のアミノ酸配列を有し、
CDR-L2が配列番号5のアミノ酸配列を有し、
CDR-L3が配列番号6のアミノ酸配列を有する、
ポリヌクレオチド。
【請求項21】
以下の構造:
【化5】
を含む抗ヒトCD33 ブロモ-及びエキストラターミナルドメインデグレーダー(BETd)抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を作製するための方法であって、
nが1~10の整数であり、mAb1が、
配列番号9又は配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖及び
配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖
を含むIgG抗ヒトCD33抗体であり、
前記方法が、前記抗体を過剰な還元剤で還元するステップ及び次に抗体を過剰な薬物-リンカーでコンジュゲートするステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、抗ヒトCD33 ブロモ-及びエキストラターミナルドメインデグレーダー抗体-薬物コンジュゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
がん遺伝子の転写上方調節は多くの腫瘍の進行の背後にある推進力である。ブロモ-及びエキストラターミナルドメイン(BET)モチーフを含有するタンパク質は、がんの領域での発癌ネットワークの重要な活性化因子である。複数のBETブロモドメイン阻害剤(BETi)は臨床開発まで進展してきたが、主に血小板減少症及び有害な胃腸作用などのオンターゲット用量制限毒性のために、BETiの有望な臨床的活性は骨髄増殖性腫瘍においてのみ観察された。
【0003】
デグレーダーは、内在性タンパク質分解機構を用いて目的の標的を分解する二機能性分子である。BET分解は、アセチル化ヒストンとのブロモドメイン相互作用をBETiにより遮断する/阻害することとは機構的に異なるコア転写伸長複合体の阻害を誘発する。
【0004】
抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、化学リンカーにより細胞毒性薬にコンジュゲートされた抗体を含むクラスの治療薬を表す。ADCの治療概念は、抗体の結合能力を薬物と組み合わせることであり、抗体は、腫瘍細胞において過剰発現されている又は増幅されている標的表面抗原を含む、標的表面抗原への結合によって薬物を腫瘍細胞に送達するのに使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
CD33は、急性骨髄性白血病において発現される膜貫通型タンパク質である。CD33を標的にするADCがAMLを処置するのに使用されてきた。したがって、抗ヒトCD33 BETd ADCの必要性が存在し、特に、急性骨髄性白血病の処置においてなどの、治療目的で使用することができる抗ヒトCD33 BETd ADCの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本開示は、ヒトCD33に特異的に結合するADCを提供する。
【0007】
第1の態様は、以下の構造:
【0008】
【化1】
を含む抗ヒトCD33 BETd ADCであって、
nが1~10の整数であり、mAb1が、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含む重鎖可変領域、並びにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含む軽鎖可変領域を含むIgG抗ヒトCD33抗体であり、
CDR-H1が配列番号1のアミノ酸配列を有し、
CDR-H2が配列番号2のアミノ酸配列を有し、
CDR-H3が配列番号3のアミノ酸配列を有し、
CDR-L1が配列番号4のアミノ酸配列を有し、
CDR-L2が配列番号5のアミノ酸配列を有し、
CDR-L3が配列番号6のアミノ酸配列を有する、
抗ヒトCD33 BETd ADCを含む。
【0009】
別の態様は、mAb1が、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、第1の態様の抗ヒトCD33 BETd ADCを含む。
【0010】
別の態様は、mAb1が、配列番号9又は配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、第1の又は第2の態様の抗ヒトCD33 BETd ADCを含む。
【0011】
別の態様は、nが約2である、第1から第3の態様までの抗ヒトCD33 BETd ADCを含む。
【0012】
別の態様は、配列番号9又は配列番号10の296Cがコンジュゲーションの部位である、第1から第3の態様までの抗ヒトCD33 BETd ADCを含む。
【0013】
別の態様は、以下の構造:
【0014】
【化2】
を含む抗ヒトCD33 BETd ADCであって、
nが約2であり、mAb1が、配列番号9又は配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖を含むIgG抗ヒトCD33抗体である、抗ヒトCD33 BETd ADCを含む。
【0015】
別の態様は、296Cがコンジュゲーションの部位である、第6の態様の抗ヒトCD33 BETd ADCを含む。
【0016】
別の態様は、式(III):
【0017】
【化3】
の化合物を含む。
【0018】
別の態様は、第1から第7までの態様のいずれかの抗ヒトCD33 BETd ADCを含み、薬学的に許容される担体をさらに含む医薬組成物を含む。
【0019】
別の態様は、急性骨髄性白血病を処置する方法であって、第1から第7までの態様のいずれかに記載の抗ヒトCD33 BETd ADCを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法を含む。
【0020】
別の態様は、急性骨髄性白血病を処置する方法であって、第9の態様の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法を含む。
【0021】
別の態様は、抗ヒトCD33抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、抗体がCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3を含む重鎖可変領域、並びにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含む軽鎖可変領域を含み、
CDR-H1が配列番号1のアミノ酸配列を有し、
CDR-H2が配列番号2のアミノ酸配列を有し、
CDR-H3が配列番号3のアミノ酸配列を有し、
CDR-L1が配列番号4のアミノ酸配列を有し、
CDR-L2が配列番号5のアミノ酸配列を有し、
CDR-L3が配列番号6のアミノ酸配列を有する、
ポリヌクレオチドを含む。
【0022】
別の態様は、式(I)の構造を含む抗ヒトCD33 ブロモ-及びエキストラターミナルドメインデグレーダー(BETd)抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を作製するための方法であって、nが1~10の整数であり、mAb1が、配列番号9又は配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖を含むIgG抗ヒトCD33抗体であり、方法が、抗体を過剰な還元剤で還元するステップ及び次に抗体を過剰な薬物-リンカーでコンジュゲートするステップを含む、方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】患者由来異種移植片(「PDX」)全身モデルにおけるmAb1-LD3活性の結果を示している。
図2】CDXマウスモデルにおいてmAb1-LD3により示される有効性結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ブロモ-及びエキストラターミナルドメインデグレーダー(BETd)並びにBETdを含む抗ヒトCD33 BETd ADCの実施形態が本明細書で開示される。ある特定の実施形態は、抗ヒトCD33 BETd ADCを合成するのに有用なリンカー-薬物、抗ヒトCD33 BETd ADCを作製する方法及び抗ヒトCD33 BETd ADCを使用する方法も含む。
【0025】
1.1.BETデグレーダー(構造式II)
BETタンパク質は、細胞増殖及び分化中にブロモドメインとアセチル化ヒストンの間のエピジェネティック相互作用を通して遺伝子転写を調節するのに決定的な役割を果たしている。式(II)に記載のBETデグレーダー薬物(BETd薬物)が本明細書で提示され、この薬物は、抗ヒトCD33抗体へのコンジュゲーションによる細胞への標的化された送達を意図しうる。
【0026】
【化4】
【0027】
実施形態では、BETd薬物は、式(II)に記載の化合物である。実施形態では、BETd薬物は、N-[(3-{2-[(10-アミノ-2-メチル-3-オキソ-7-フェニル-3,4,6,7-テトラヒドロ-2H-2,4,7-トリアザジベンゾ[cd,f]アズレン-5-カルボニル)アミノ]エトキシ}プロポキシ)アセチル]-3-メチル-L-バリル-(4R)-4-ヒドロキシ-N-{(1R)-2-ヒドロキシ-1-[4-(4-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-L-プロリンアミドである。
【0028】
1.2.BETdリンカー薬物(構造式III)
ある特定の実施形態では、BETdリンカー薬物は式(III):
【0029】
【化5】
に記載の化合物である。
【0030】
実施形態では、BETdリンカー薬物は、N-[(3-{2-[(10-{[N-({(3S,5S)-3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-2-オキソ-5-[(2-スルホエトキシ)メチル]ピロリジン-1-イル}アセチル)-L-アラニル-L-アラニル]アミノ}-2-メチル-3-オキソ-7-フェニル-3,4,6,7-テトラヒドロ-2H-2,4,7-トリアザジベンゾ[cd,f]アズレン-5-カルボニル)アミノ]エトキシ}プロポキシ)アセチル]-3-メチル-L-バリル-(4R)-4-ヒドロキシ-N-{(1R)-2-ヒドロキシ-1-[4-(4-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-L-プロリンアミドである。
【0031】
1.3.抗ヒトCD33 BETd ADC
本明細書に記載されるBETデグレーダーを抗ヒトCD33抗体にコンジュゲートして、抗ヒトCD33 BETd ADCを形成することができる。ADCは、1つ以上の薬物部分(複数可)を、CD33発現腫瘍などの標的組織に選択的に送達する。したがって、実施形態では、本開示は、急性骨髄性白血病の処置における治療的使用のための抗ヒトCD33 BETd ADCを提供する。
【0032】
本明細書に記載される抗ヒトCD33 BETd ADCの実施形態では、BETd薬物はリンカー部分を経て抗ヒトCD33抗体にコンジュゲートされる。実施形態では、リンカー部分は、1つの位置ではBETd薬物への共有結合を、別の場所では抗ヒトCD33抗体への共有結合を形成することにより、BETd薬物を抗ヒトCD33抗体に連結させる。共有結合は、リンカー上の官能基とBETd薬物及び抗ヒトCD33抗体上の官能基の間の反応により形成される。ある特定の実施形態では、本開示の抗ヒトCD33 ADCは、式(III)のBETdリンカー薬物にコンジュゲートされた抗ヒトCD33抗体で構成されている。
【0033】
1.3.1.抗体mAb1
ある特定の実施形態では、mAb1は、CD33の細胞外ドメインを標的にして、CD33結合を生じるヒト化組換えIgGであり、これは抗ヒトCD33抗体と呼ばれることもある。
【0034】
ある特定の実施形態では、mAb1は、当技術分野で開発されたルールに従って及び/又は既知の可変領域のデータベースに対して配列を整列させることにより同定される可変領域及びCDR(相補性決定領域)を含む。
【0035】
これらの領域を同定するための方法は、Kontermann and Dubel編、Antibody Engineering、Springer、New York、N.Y.2001年及びDinarelloら、Current Protocols in Immunology、John Wiley and Sons Inc.Hoboken、N.J.2000年に記載されている。例えば、CDRは、Kabatら、(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest(第5版)、U.S.Dept.of Health and Human Services、PHS、NIH、NIH Publication No.91~3242により提供されるスキームのうちの1つ(本明細書では「Kabat」と呼ばれる。)に従って又はAbM(Oxford Molecular/MSI Pharmacopia)(本明細書では「AbM」と呼ばれる)に従って同定しうる。AbMは、www.bioinf.org.uk/abs(A.C.Martin in the Department of Biochemistry&Molecular Biology University College Londonにより維持されている。)のAbysisデータベースから入手可能である。
【0036】
実施形態では、mAb1は、配列番号1のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号2のアミノ酸配列を有するCDR-H2、配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-H3、配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR-L2及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む。
【0037】
実施形態では、mAb1は、配列番号7のアミノ酸配列:
【0038】
【化6】
を含む重鎖可変領域
及び配列番号8のアミノ酸配列:
【0039】
【化7】
を含む軽鎖可変領域を含む。実施形態では、mAb1は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖配列を含む(定常領域は太字であり、CDRは下線が引かれ(出現順にそれぞれ配列番号1~3として開示される。)、CH2突然変異=Y296C/N297Aはイタリック体で表示され下線が引かれている。):
【0040】
【化8】
(配列番号9として開示される全長配列)。実施形態では、mAb1の重鎖の優勢な種は、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖配列を含む、C末端リジンを欠く重鎖配列を含み(定常領域は太字であり、CDRは下線が引かれ(出現順にそれぞれ配列番号1~3として開示される。)、CH2突然変異=Y296C/N297Aはイタリック体で表示され下線が引かれている。):
【0041】
【化9】
mAb1の軽鎖は、配列番号11のアミノ酸配列(定常領域は太字であり、CDRは下線が引かれている(出現順にそれぞれ配列番号4~6として開示される。)。)を含む。
【0042】
【化10】
【0043】
実施形態では、mAb1の重鎖は以下のヌクレオチド配列(配列番号12として開示される全長配列):
【0044】
【化11】
によりコードされる。
【0045】
実施形態では、mAb1の軽鎖は以下のヌクレオチド配列(配列番号13として開示される全長配列):
atggacatgcgcgtgcccgcccagctgctgggcctgctgctgctgtggttccccggctcgcgatgcgacatccagatgacccagtctccatcctcactgtctgcatctgtaggagacagagtcaccatcacttgtcgggcgagtcaggatattagcaatttcttaaattggtatcagcagaaaccagggaaagtccctaagctcctgatctattatacatccaacttgcaaagtggggtcccatcaaggttcagcggcagtggatctgggacagatttcactctcaccatcagcagcctgcagcctgaagatgttgcaacttattactgccaacagtatgacgagagccctcccacttttggccaggggaccaagctggagatcaaacgtacggtggctgcaccatctgtcttcatcttcccgccatctgatgagcagttgaaatctggaactgcctctgttgtgtgcctgctgaataacttctatcccagagaggccaaagtacagtggaaggtggataacgccctccaatcgggtaactcccaggagagtgtcacagagcaggacagcaaggacagcacctacagcctcagcagcaccctgacgctgagcaaagcagactacgagaaacacaaagtctacgcctgcgaagtcacccatcagggcctgagctcgcccgtcacaaagagcttcaacaggggagagtgttga(配列番号13)
によりコードされる。
【0046】
1.3.2.連結された薬物の数
本明細書で開示されるADCは、抗体の立体配置及び少なくとも部分的にコンジュゲーションを引き起こすのに使用される方法に応じて、種々の化学量論的モル比で抗体部分に連結される薬物分子を含む。
【0047】
用語「薬物負荷(drug load)」又は「薬物負荷(drug loading)」とは、個々のADC分子中の抗体あたりの薬物分子の数のことである。抗ヒトCD33抗体に連結されたBETd薬物の数は変動可能であり、抗ヒトCD33抗体上の利用可能な結合部位の数により制限される。本明細書で開示される抗ヒトCD33 BETd ADCについて想定されるように、リンカーは、単一のBETd薬物を抗ヒトCD33抗体に連結して、抗ヒトCD33 ADCを構成する。抗ヒトCD33 BETd ADCが使用及び/又は貯蔵条件下で容認できないレベルの凝集を見せない限りは、10までのnを有する抗ヒトCD33 BETd ADC(すなわち、式(I))が想定される。一部の実施形態では、抗ヒトCD33 BETd ADCは、1~10の範囲のnを有する。実施形態では、抗ヒトCD33 BETd ADCは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10から選択されるnを有する。実施形態では、nは2、4、6、8又は10である。実施形態では、nは2である。実施形態では、nは4である。実施形態では、nは6である。実施形態では、薬物負荷は、1薬物分子、2薬物分子、3薬物分子、4薬物分子、5薬物分子、6薬物分子、7薬物分子、8薬物分子、9薬物分子又は10薬物分子を含みうる。
【0048】
ADCの優勢種が2のnを有し、組成物が2又は約2の薬物-抗体比(DAR)を有する抗ヒトCD33 BETd ADC組成物を作製するコンジュゲーション法が本明細書で提供される。DARは組成物中でそれぞれの抗体に連結された薬物の平均数である。コンジュゲーションの他の方法は、当技術分野で公知であり、異なる数のコンジュゲート薬物(例えば、1、2、3、4、5、6又は7のnを有する)を有するADC及び異なるDAR(例えば、1、2、3又は約1、約2、若しくは約3のDAR)の組成物を作製するのに利用することができる。
【0049】
1.3.3.例示的抗ヒトCD33 BETd ADC
実施形態では、抗ヒトCD33 BETd ADCは、切断可能なアラニン-アラニン(aa)リンカーを通してBETd薬物にコンジュゲートされた抗ヒトCD33抗体を含み、抗ヒトCD33抗体はmAb1のCDRに対応する6つの相補性決定領域(CDR)を含む。実施形態では、リンカーは、ADCの抗ヒトCD33 BETd抗体由来の還元システインのスルフヒドリルへのコンジュゲーションのためのマレイミド官能基を含む。
【0050】
実施形態では、抗ヒトCD33 BETd ADCは、抗体mAb1のCDRに対応する6つの相補性決定領域(CDR)を含む抗ヒトCD33抗体を含み、これは抗ヒトCD33抗体のシステイン残基のスルフヒドリル基で形成された連鎖を介してリンカー-薬物LD1(式(III))にコンジュゲートされている。実施形態では、抗ヒトCD33抗体は、抗体mAb1の可変重(VH)鎖及び可変軽(VL)鎖領域配列を含む。実施形態では、抗ヒトCD33抗体は、抗体mAb1の重鎖(HC)及び軽鎖(LC)配列を含む。
【0051】
実施形態では、抗ヒトCD33 BETd ADCは、以下の式(IV):
【0052】
【化12】
を有し、
nは1~10の整数であり、mAb1は、配列番号1の重鎖CDR1、配列番号2の重鎖CDR2、配列番号3の重鎖CDR3、配列番号4の軽鎖CDR1、配列番号5の軽鎖CDR2及び配列番号6の軽鎖CDR3を含むIgG抗ヒトCD33抗体である。実施形態では、抗体mAb1は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むIgG抗ヒトCD33抗体である。実施形態では、抗体Abは、配列番号9又は配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗ヒトCD33抗体である。実施形態では、抗体へのリンカー-薬物のコンジュゲーションは、抗体のシステイン残基のスルフヒドリル基で形成された連鎖を介する。実施形態では、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の値を有する。実施形態では、nは2、4、6、8又は10の値を有する。実施形態では、nは2である。
【0053】
ある特定の実施形態では、抗ヒトCD33 BETd ADCは、抗体mAb1のCDRに対応する6つの相補性決定領域(CDR)を含む抗ヒトCD33抗体を含み、これは抗ヒトCD33抗体のシステイン残基のスルフヒドリル基で形成された連鎖を介してリンカー-薬物LD1(式(III))にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、抗ヒトCD33抗体は、抗体mAb1の可変重(VH)鎖及び可変軽(VL)鎖領域配列を含む。一部の実施形態では、抗ヒトCD33抗体は、抗体mAb1の重鎖(HC)及び軽鎖(LC)配列を含む。
【0054】
一部の実施形態では、抗ヒトCD33 BETd ADCは、以下の構造式(V):
【0055】
【化13】
を有し、
nは1~10の整数であり、mAb1は、配列番号1の重鎖CDR1、配列番号2の重鎖CDR2、配列番号3の重鎖CDR3、配列番号4の軽鎖CDR1、配列番号5の軽鎖CDR2及び配列番号6の軽鎖CDR3を含むIgG抗ヒトCD33抗体である。実施形態では、抗体mAb1は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むIgG抗ヒトCD33抗体である。実施形態では、抗体Abは、配列番号9又は配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗ヒトCD33抗体である。実施形態では、抗体へのリンカー-薬物のコンジュゲーションは、抗体のシステイン残基のスルフヒドリル基で形成された連鎖を介する。実施形態では、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の値を有する。実施形態では、nは2、4、6、8又は10の値を有する。実施形態では、nは2である。
【0056】
ある特定の実施形態では、抗ヒトCD33 BETd ADCは、抗体mAb1のCDRに対応する6つの相補性決定領域(CDR)を含む抗ヒトCD33抗体を含み、これは抗ヒトCD33抗体のシステイン残基のスルフヒドリル基で形成された連鎖を介してリンカー-薬物LD1(式(III))にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、抗ヒトCD33抗体は、抗体mAb1の可変重(VH)鎖及び可変軽(VL)鎖領域配列を含む。一部の実施形態では、抗ヒトCD33抗体は、抗体mAb1の重鎖(HC)及び軽鎖(LC)配列を含む。
【0057】
一部の実施形態では、抗ヒトCD33 BETd ADCは、以下の式(VI):
【0058】
【化14】
を有し、
nは1~10の整数であり、mAb1は、配列番号1の重鎖CDR1、配列番号2の重鎖CDR2、配列番号3の重鎖CDR3、配列番号4の軽鎖CDR1、配列番号5の軽鎖CDR2及び配列番号6の軽鎖CDR3を含むIgG抗ヒトCD33抗体である。実施形態では、抗体mAb1は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むIgG抗ヒトCD33抗体である。実施形態では、抗体Abは、配列番号9又は配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗ヒトCD33抗体である。実施形態では、抗体へのリンカー-薬物のコンジュゲーションは、抗体のシステイン残基のスルフヒドリル基で形成された連鎖を介する。実施形態では、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の値を有する。実施形態では、nは2、4、6、8又は10の値を有する。実施形態では、nは2である。
【0059】
本開示の抗ヒトCD33 BETd ADCの実施形態は、対象への投与に適した組成物として提供しうる。一部の実施形態では、組成物は、本開示の抗ヒトCD33 BETd ADC及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。
【0060】
1.4.使用方法
急性骨髄性白血病(AML)を処置するための方法であって、本明細書で開示される抗ヒトCD33 BETd ADCの治療有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法の実施形態が本明細書で提供される。
【0061】
用語「対象」とは、本明細書で使用される場合、ヒトのことである。用語「ヒト」、「患者」及び「対象」は本明細書では互換的に使用される。
【0062】
用語「処置する(treat)」、「処置する(treating)」及び「処置(treatment)」とは、本明細書で使用される場合、疾患及び/又はその付随する症状を軽減する又は抑制する方法のことである。
【0063】
語句「治療有効量」とは、特定の対象又は対象集団での処置のために投与された場合、処置されている状態又は障害の症状のうちの1つ以上をある程度軽減するのに十分な量のことである。
【実施例0064】
以下の実施例は、本明細書に記載される実施形態のある特定の特長及び特性を強調する。
【0065】
略語
APCIは大気圧化学イオン化;DCIは脱離化学イオン化;DCIは脱離化学イオン化;DMSOはジメチルスルホキシド;ESIはエレクトロスプレーイオン化;HATUは1-((ジメチルアミノ)(ジメチルイミニオ)メチル)-1H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(V);HPLCは高速液体クロマトグラフィー;MSは質量スペクトル;m/zは質量電荷比;NMRは核磁気共鳴;ppmは100万分の1;及びpsiはポンド毎平方インチを表す。
【0066】
分取HPLC条件-方法A
試料は、Phenomenex(登録商標)Luna(登録商標)分取カラム(10μm、C18(2)、250mm×50mm、100Å)を使用する分取HPLCにより100mL/分の流速で精製され、0.1%のトリフルオロ酢酸/水中20~100%アセトニトリルで30分間かけて溶出させた。産物含有画分は収集されて凍結乾燥され、所望の物質を得た。
【0067】
[実施例1] BETd1
【0068】
【化15】
【0069】
【化16】
【0070】
[実施例1-1]
(E)-2-(5-ブロモ-2-メトキシ-3-ニトロピリジン-4-イル)-N,N-ジメチルエテン-1-アミン
5-ブロモ-2-メトキシ-4-メチル-3-ニトロピリジン(15.0g、60.7mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(300mL)に溶解し、リチウムメタノレート(6.07mL、6.07mmol、メタノール中1M)を添加した。反応混合物は100℃で加熱した。この混合物に、1,1-ジメトキシ-N,N-ジメチルメタンアミン(64.5mL、486mmol)を10分間かけて滴下した。反応混合物を95℃で16時間攪拌した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、水を添加した(300mL、発熱性)。得られた沈殿物を減圧濾過により収集し、水で洗浄し、乾燥させて表題の化合物を得た(13.9g、収率76%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.25 (s, 1H), 7.05 (d, J = 13.5 Hz, 1H), 4.81 (d, J = 13.5 Hz, 1H), 3.88 (s, 3H), 2.91 (s, 6H); MS (ESI) m/z 302.0 (M+H)
【0071】
[実施例1-2]
4-ブロモ-7-メトキシ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン
実施例1-1(13.9g、45.8mmol)及び酢酸エチル(150mL)を、ステンレス鋼製圧力ボトル中のRaney(登録商標)-ニッケル2800(エタノールで前洗浄)、水スラリー(6.90g、118mmol)に添加し、Hの30psi及び周囲温度で30分間攪拌した。反応混合物を濾過し、濃縮した。残渣はジクロロメタンを用いてすりつぶされ、濾過されて表題の化合物を得た(5.82g)。母液は濃縮され、残渣はジクロロメタンを用いてすりつぶされ、濾過されて表題の化合物をさらに1.63g得た(全部で7.45g、収率72%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 12.15 (s, 1H), 7.76 (s, 1H), 7.56 (t, J = 2.8 Hz, 1H), 6.43 (dd, J = 2.9, 2.0 Hz, 1H), 4.01 (s, 3H); MS (ESI) m/z 227.0 (M+H)
【0072】
[実施例1-3]
4-ブロモ-7-メトキシ-1-(4-メチルベンゼン-1-スルホニル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン
N,N-ジメチルホルムアミド(235mL)中の実施例1-2(7.42g、32.7mmol)の溶液を周囲温度で攪拌した。水素化ナトリウム(1.18g、1.96gの油中60%分散液、49.0mmol)を溶液に添加し、反応混合物を10分間攪拌した。次に、p-トルエンスルホニルクロリド(9.35g、49.0mmol)を分割添加し、混合物を窒素下、周囲温度で16時間攪拌した。反応混合物を水で慎重にクエンチし、ブフナー漏斗上で吸引濾過し、水で洗浄した。次に、収集及び真空オーブン中、50℃で乾燥させた後、表題の化合物が生成した(12.4g、収率99%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.18 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.90 - 7.82 (m, 2H), 7.50 - 7.42 (m, 2H), 6.81 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 3.82 (s, 3H), 2.39 (s, 3H); MS (APCI) m/z 383.1 (M+H)
【0073】
[実施例1-4]
エチル4-ブロモ-7-メトキシ-1-(4-メチルベンゼン-1-スルホニル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキシレート
テトラヒドロフラン(150mL)中の実施例1-3(12g、32mmol)の溶液に、リチウムジイソプロピルアミド(LDA、1.95M、24.3mL、47.2mmol)を-70℃、滴下し、混合物を-70℃~-50℃で45分間攪拌し、続いてエチルカルボノクロリデート(5.12g、47.2mmol)を滴下した。1.5時間後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチした。揮発物を減圧下で取り除き、残渣を酢酸エチル(3×300mL)で抽出した。複合有機画分を無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、濾過し、減圧下で濃縮して粗い表題化合物が得られ、これをジクロロメタンとメタノール(1:10)ですりつぶして表題化合物を得た(13g、収率91%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.17 - 8.08 (m, 3H), 7.25 (m, 2H), 7.25 (s, 1H), 4.39 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.82 (s, 3H), 2.41 (s, 3H), 1.33 (t, J = 7.1 Hz, 3H); MS (ESI) m/z 454.9 (M+H)
【0074】
[実施例1-5]
エチル4-ブロモ-1-(4-メチルベンゼン-1-スルホニル)-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキシレート
クロロトリメチルシラン(10.43g、96mmol)を、アセトニトリル(400mL)中実施例1-4(29g、64mmol)とヨウ化ナトリウム(14.38g、96mmol)の混合物に滴下した。得られた混合物は周囲温度で1時間攪拌され、その後水(0.576g、32.0mmol)を滴下し、混合物を65℃で3時間攪拌した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、濾過した。沈殿物をジクロロメタンに溶解し、濾過し、濃縮し、石油エーテル及びジクロロメタンで洗浄して表題の化合物を得た(27.9g、収率99%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 11.76 (s, 1H), 8.27 - 8.20 (m, 2H), 7.50 - 7.43 (m, 3H), 6.99 (s, 1H), 4.35 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.39 (s, 3H), 1.31 (t, J = 7.1 Hz, 3H); MS (ESI) m/z 440.9 (M+H)
【0075】
[実施例1-6]
エチル4-ブロモ-6-メチル-1-(4-メチルベンゼン-1-スルホニル)-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキシレート
ヨードメタン(3.20mL、51.1mmol)を、無水N,N-ジメチルホルムアミド(200mL)中実施例1-5(18.72g、42.6mmol)と炭酸セシウム(16.66g、51.1mmol)の混合物に滴下した。反応混合物を周囲温度で72時間攪拌した。水を添加し(500mL)、沈殿物を濾過により収集した。収集した物質を水で洗浄して、55℃、真空下一晩乾燥させて表題の化合物を得た(17.9g、収率90%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.28 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.91 (s, 1H), 7.50 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.02 (s, 1H), 4.37 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.43 (s, 3H), 2.41 (s, 3H), 1.32 (t, J = 7.1 Hz, 3H); MS (ESI) m/z 454.9 (M+H)
【0076】
[実施例1-7]
4-ブロモ-6-メチル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボン酸
ジオキサン(400mL)中実施例1-6(35g、80mmol)の溶液を、1.0Mの水酸化ナトリウム溶液(159mL、319mmol)で処理して、混合物を80℃で4時間攪拌した。反応混合物を2NのHClでpH1に調整した。沈殿物を濾過により収集し、水(50mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて表題の化合物を得た(20.8g、77mmol、収率96%)。H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ ppm 13.17 (s, 1H), 12.99 (s, 1H), 7.60 (s, 1H), 6.77 (s, 1H), 3.49 (s, 3H); MS (DCI) m/z 270.9 (M+H)
【0077】
[実施例1-8]
tert-ブチル4-ブロモ-6-メチル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキシレート
ジオキサン(200mL)中実施例1-7(10g、36.9mmol)に、(E)-tert-ブチルN,N’-ジイソプロピルカルバムイミド酸(14.78g、73.8mmol)を添加し、反応混合物を密封して110℃で18時間加熱した。次に、別のバッチの(E)-tert-ブチルN,N’-ジイソプロピルカルバムイミド酸(14.78g、73.8mmol)を添加し、反応混合物を110℃で24時間攪拌した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、酢酸エチル(600mL)と水(100mL)の間で分配した。水層を酢酸エチル(200mL)で再び抽出した。複合有機層を飽和水性塩化ナトリウム(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、濾過して濃縮した。残渣はフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル中25%~60%の酢酸エチルで溶出させた。)により精製され、表題の化合物を得た(11.7g、収率90%)。H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ ppm 13.09 (s, 1H), 7.61 (s, 1H), 6.75 (s, 1H), 3.51 (s, 3H), 1.55 (s, 9H); MS (ESI) m/z 327.1 (M+H)
【0078】
[実施例1-9]
tert-ブチル6-メチル-7-オキソ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキシレート
ジオキサン(150mL)中実施例1-8(9.7g、28mmol)、酢酸カリウム(8.29g、84mmol)、ジシクロヘキシル(2’,4’,6’-トリイソプロピル-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)ホスフィン(0.537g、1.13mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.258g、0.282mmol)及び4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(21.46g、84mmol)の混合物からガスを抜き、窒素を数回充填して戻した。反応混合物を、80℃で16時間加熱した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、珪藻土のパッドを通して濾過した。パッドを酢酸エチルで洗浄し、濾液を濃縮した。粗い物質を石油エーテルで洗浄して表題の化合物を得た(9.0g、収率79%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 12.53 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.00 (s, 1H), 3.51 (s, 3H), 1.51 (s, 9H), 1.27 (s, 12H); MS (ESI) m/z 375.4 (M+H)
【0079】
[実施例1-10]
2-ブロモ-4-ニトロ-N-フェニルアニリン
2-ブロモ-1-フルオロ-4-ニトロベンゼン(30.0g、136mmol)、アニリン(25.4g、273mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(47.6mL、273mmol)の混合物を還流下140℃で12時間攪拌した。周囲温度まで冷却後、N,N-ジイソプロピルエチルアミンを減圧下で取り除いた。残渣を酢酸エチル(500mL)で希釈した。得られた混合物を水性2N HCl(200mL)及び飽和水性塩化ナトリウム(500mL)で順次洗浄し、その後無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、濾過し、減圧下で濃縮した。冷メタノール(100mL)で洗浄後表題の化合物が得られた(25.5g、収率63.3%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.47 (s, 1 H), 8.39 (d, J =2.65 Hz, 1 H), 8.05 (dd, J =9.26, 2.65 Hz, 1 H), 7.39 - 7.51 (m, 2 H), 7.32 (d, J =7.50 Hz, 2 H), 7.18 - 7.26 (m, 1 H), 7.02 (d, J =9.26 Hz, 1 H); MS (ESI) m/z 293.2 (M+H)
【0080】
[実施例1-11]
tert-ブチル4-(2-アニリノ-5-ニトロフェニル)-6-メチル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-2-カルボキシレート
ジオキサン(24mL)及び水(6mL)中実施例1-10(1.15g、3.92mmol)、実施例1-9(1.762g、4.71mmol)、1,3,5,7-テトラメチル-6-フェニル-2,4,8-トリオキサ-6-ホスファアダマンタン(0.134g、0.459mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.108g、0.118mmol)及びリン酸カリウム(0.833g、3.92mmol)の混合物からガス抜きし、窒素を数回充填して戻した。反応混合物を60℃で16時間加熱した。反応混合物を水と酢酸エチルの間で分配し、濾過した。濾液を分離した。水層を追加の酢酸エチルで3回抽出した。複合有機層を飽和水性塩化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で脱水させ、濾過し、濃縮した。残渣はフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル中5%のメタノールで溶出させた)により精製され、表題の化合物の第2のバッチを得た。全表題の化合物は1.79g単離された(収率99%)。H NMR (501 MHz, DMSO-d) δ ppm 12.72 (s, 1H), 8.08 (dd, J = 9.1, 2.7 Hz, 2H), 8.03 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.36 - 7.29 (m, 2H), 7.22 - 7.14 (m, 3H), 7.12 - 7.05 (m, 1H), 6.55 (s, 1H), 3.56 (s, 3H), 1.44 (s, 9H); MS (ESI) m/z 461.3 (M+H)
【0081】
[実施例1-12]
tert-ブチル2-メチル-10-ニトロ-3-オキソ-7-フェニル-3,4,6,7-テトラヒドロ-2H-2,4,7-トリアザジベンゾ[cd,f]アズレン-5-カルボキシレート
酢酸(100mL)中実施例1-11(5.2g、11.29mmol)及びパラホルムアルデヒド(1.017g、33.9mmol)の混合物を80℃で2時間攪拌した。追加のパラホルムアルデヒド(0.678g、22.6mmol)を添加し、反応混合物を80℃でさらに3時間攪拌した。反応混合物を水(約100mL)で希釈し、沈殿物を濾過により収集し、ヘキサンで洗浄して表題の化合物を得た(5.3g、収率82%)。MS(APCI)m/z 473.0(M+H)
【0082】
[実施例1-13]
2-メチル-10-ニトロ-3-オキソ-7-フェニル-3,4,6,7-テトラヒドロ-2H-2,4,7-トリアザジベンゾ[cd,f]アズレン-5-カルボン酸
トリフルオロ酢酸(10mL、130mmol)を周囲温度でジクロロメタン(20mL)中実施例1-12(2.6g、5.4mmol)の溶液に添加し、得られた混合物を周囲温度で4時間攪拌した。揮発物を減圧下で取り除いた。水(80mL)ですりつぶし、濾過し、高真空下で乾燥した後、表題の化合物(2.30g、収率99%)が得られた。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 12.53 (s, 1H), 8.74 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.20 (dd, J = 8.7, 2.7 Hz, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.57 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.04 (dd, J = 8.6,7.4 Hz, 2H), 6.60 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 6.48 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 5.12 (s, 2H), 3.59 (s, 3H); MS (ESI) m/z 417.3 (M+H)
【0083】
【化17】
【0084】
[実施例1-14]
({2-[(プロプ-2-エン-1-イル)オキシ]エトキシ}メチル)ベンゼン
60%水素化ナトリウム(7.88g、197mmol)及び3-ブロモプロプ-1-エン(17.1mL、197mmol)を0℃で、テトラヒドロフラン(160mL)中2-(ベンジルオキシ)エタノール(23.3mL、164mmol)の溶液に慎重に添加した。反応混合物を周囲温度で4時間攪拌し、水でクエンチし、酢酸エチルで分配した。有機層を飽和水性塩化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水させ、濾過して濃縮した。残渣はフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン中5~10%の酢酸エチル)により精製され、表題の化合物を得た(27.4g、収率87%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.38 - 7.22 (m, 5H), 5.86 (ddt, J = 17.3, 10.5, 5.3 Hz, 1H), 5.23 (dq, J = 17.3, 1.8 Hz, 1H), 5.16 - 5.08 (m, 1H), 4.47 (s, 2H), 3.94 (dt, J = 5.3, 1.5 Hz, 2H), 3.59 - 3.49 (m, 4H).
【0085】
[実施例1-15]
3-[2-(ベンジルオキシ)エトキシ]プロパン-1-オール
ボラン-メチルスルフィド複合体(13.5mL、143mmol)を0℃で、トルエン(140mL)中実施例1-14(27.4g、143mmol)の溶液に添加した。混合物を周囲温度で3時間攪拌し、0℃でメタノール(140mL)、続いて30%の過酸化水素(19.39g、171mmol)、続いて2Mの水性水酸化ナトリウム(178mL、356mmol)を用いて慎重にクエンチした。反応混合物を周囲温度で2時間攪拌し、次に、酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を10%の水性亜硫酸水素ナトリウム及び飽和水性塩化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣はフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン中10~40%の酢酸エチル)により精製され、表題の化合物を得た(13.8g、収率46%)。H NMR (501 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.34 (dt, J = 6.7, 1.1 Hz, 1H), 7.34 - 7.26 (m, 3H), 7.29 - 7.22 (m, 1H), 4.47 (s, 2H), 4.37 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 3.56 - 3.40 (m, 8H), 1.63 (p, J = 6.4 Hz, 2H).
【0086】
[実施例1-16]
tert-ブチル{3-[2-(ベンジルオキシ)エトキシ]プロポキシ}アセテート
ジクロロメタン(47.0mL)中実施例1-15(8.9g、42.3mmol)、ブロモ酢酸tert-ブチル(16.51g、85mmol)、テトラブチルアンモニウムクロリド(11.76g、42.3mmol)及び10Mの水性水酸化ナトリウム(46.6mL、466mmol)の混合物を8時間激しく攪拌した。追加のブロモ酢酸tert-ブチル(16.51g、85mmol)を添加し、混合物を48時間攪拌した。混合物を減圧下で濃縮してジクロロメタンを取り除き、それぞれ200mLの酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を100mLの飽和水性塩化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、120gカラム、ヘプタン中5~100%酢酸エチル)による精製により表題の化合物が得られた(9.1g、収率56%)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 1.47 (s, 9H), 1.88-1.95 (m, 2H), 3.57-3.63 (m, 8H), 3.94 (s, 2H), 4.57 (s, 2H), 7.27-7.35 (m, 5H).
【0087】
[実施例1-17]
tert-ブチル[3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロポキシ]アセテート
メタノール(100mL)中実施例1-16(11.73g、36.2mmol)を、アルゴンを流した250mLのステンレス鋼圧力ビン中の10%Pd/C、ドライ(2.30g、2.16mmol)に添加した。反応器をアルゴンで一掃し、20psiの水素下、18時間外部加熱なしで標準速度で振盪した。混合物はポリプロピレン膜を通して濾過され、濾液を減圧下で濃縮して表題の化合物を得た(8.49g、収率99%)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 1.48 (s, 9H), 1.87-1.93 (m, 2H), 2.36 (br, 1H), 3.56-3.58 (m, 2H), 3.60-3.64 (m, 4H), 3.72-3.74 (m, 2H), 3.96 (s, 2H).
【0088】
[実施例1-18]
tert-ブチル(3-{2-[(4-メチルベンゼン-1-スルホニル)オキシ]エトキシ}プロポキシ)アセテート
ピリジン(12mL)中実施例1-17(4.85g、20.7mmol)の溶液に、p-トルエンスルホニルクロリド(4.34g、22.8mmol)を添加した。反応混合物を1時間攪拌し、次に、酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を、冷水性1MのHCl、続いて飽和水性塩化ナトリウムで順次洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、濾過して濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン中5~60%の酢酸エチル)による精製により表題の化合物が得られた(5.88g、収率68%)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 1.48 (s, 9H), 1.78-1.85 (m, 2H), 2.45 (s, 3H), 3.49-3.56 (m, 4H), 3.62 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 3.93 (s, 2H), 4.15 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 7.35 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.80 (d, J = 8.4 Hz, 2H).
【0089】
[実施例1-19]
tert-ブチル[3-(2-アジドエトキシ)プロポキシ]アセテート
N,N-ジメチルホルムアミド(20mL)中実施例1-18(5.88g、15.14mmol)及びアジ化ナトリウム(1.181g、18.16mmol)の混合物を70℃で3時間攪拌し、冷却し、酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を飽和水性塩化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン中5~50%の酢酸エチル)による精製により表題の化合物が得られた(3.6g、収率89%)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 1.48 (s, 9H), 1.89-1.94 (m, 2H), 3.36 (t, J = 5.0 Hz, 2H), 3.59-3.64 (m, 6H), 3.96 (s, 2H).
【0090】
[実施例1-20]
tert-ブチル[3-(2-アミノエトキシ)プロポキシ]アセテート
テトラヒドロフラン(36mL)/水(1.1mL)中実施例1-19(3.2g、12.3mmol)及びトリフェニルホスフィン(4.86g、18.5mmol)の混合物を周囲温度で5時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を飽和水性塩化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中1~10%のメタノール/3%のアンモニア)による精製により表題の化合物が得られた(2.5g、収率87%)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 1.48 (s, 9H), 1.87-1.94 (m, 2H), 2.85 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 3.45-3.48 (m, 2H), 3.57 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.61 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.95 (s, 2H).
【0091】
[実施例1-21]
tert-ブチル1-(9H-フルオレン-9-イル)-3-オキソ-2,7,11-トリオキサ-4-アザトリデカン-13-oate
N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(0.56mL、3.2mmol)を、ジクロロメタン(9mL)中実施例1-20(0.500g、2.143mmol)の溶液に添加した。反応混合物を0℃まで冷却し、9-フルオレニルメチルクロロホルメート(0.61g、2.36mmol)を、ジクロロメタン(3.0mL)中の溶液として滴下した。氷水浴を外し、反応混合物を周囲温度で48時間攪拌した。混合物を飽和水性塩化アンモニウムでクエンチし、層を分離した。水層をジクロロメタンで抽出した。複合有機層を飽和水性炭酸水素ナトリウム及び飽和水性塩化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で脱水させて、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン中0~50%の酢酸エチル)による精製により表題の化合物が得られた(0.64g、収率66%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.85 (dt, J = 7.5, 0.9 Hz, 2H), 7.65 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.38 (tt, J = 7.5, 1.0 Hz, 2H), 7.33 - 7.22 (m, 3H), 4.25 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 4.18 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 3.87 (s, 2H), 3.42 (dt, J = 16.1, 6.5 Hz, 4H), 3.33 (s, 1H), 3.09 (q, J = 5.9 Hz, 2H), 1.69 (p, J = 6.5 Hz, 2H), 1.37 (s, 9H); MS (ESI) m/z 478.1 (M+Na)
【0092】
[実施例1-22]
1-(9H-フルオレン-9-イル)-3-オキソ-2,7,11-トリオキサ-4-アザトリデカン-13-oic酸
ギ酸(14mL)中実施例1-21(0.64g、1.4mmol)を60℃で2時間加熱した。揮発物を減圧下で取り除き、残渣をトルエン(3×25mL)と共沸させて表題の化合物を得た(0.55g、収率98%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 12.57 (s, 1H), 7.85 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.65 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.38 (td, J = 7.5, 1.2 Hz, 2H), 7.33 - 7.23 (m, 3H), 4.26 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 4.17 (t, J = 6.9 Hz, 1H), 3.93 (s, 2H), 3.45 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 3.43 - 3.32 (m, 4H), 3.09 (q, J = 5.9 Hz, 2H), 1.70 (p, J = 6.5 Hz, 2H); MS (ESI) m/z 400.0 (M+H)
【0093】
【化18】
【0094】
[実施例1-23]
tert-ブチル[(1R)-1-(4-ブロモフェニル)-2-ヒドロキシエチル]カルバメート
ジ-tert-ブチルジカーボネート(9.65mL、41.6mmol)及び飽和水性炭酸水素ナトリウム(50mL)を、テトラヒドロフラン(100mL)中(2R)-2-アミノ-2-(4-ブロモフェニル)エタン-1-オールハイドロクロライド(10g、39.6mmol)の溶液に20℃で添加した。混合物を20℃で3時間攪拌し、水(150mL)でクエンチし、酢酸エチル(200mL)で抽出した。複合有機層を塩水(100mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で脱水させた。溶液を濾過し濃縮して表題の化合物を得た(12g、収率91%)。MS(ESI)m/z 338.7(M+Na)
【0095】
[実施例1-24]
tert-ブチル[(1R)-1-(4-ブロモフェニル)-2-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル]カルバメート
tert-ブチルジメチルクロロシラン(7.15g、47.4mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(180mL)中実施例1-23(12g、38mmol)の溶液に20℃で添加し、次に、イミダゾール(6.46g、95mmol)を添加した。反応混合物を周囲温度で8時間攪拌し、飽和水性NHCl(300mL)でクエンチし、酢酸エチル(300mL)で抽出した。複合有機相を塩水(150mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、減圧中で濃縮した。残渣は、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、石油エーテル/酢酸エチル=50:1)により精製され、表題の化合物を得た(15g、収率87%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.56 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.33 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 4.63-4.60 (m, 1H), 3.70-3.65 (m, 2H), 1.42 (s, 9H), 0.86 (s, 9H), 0.01 (d, J = 9.2 Hz, 6H); MS (ESI) m/z 452.7 (M+Na)
【0096】
[実施例1-25]
tert-ブチル{(1R)-2-ヒドロキシ-1-[4-(4-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)フェニル]エチル}カルバメート
炭酸カリウム(4.82g、34.8mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.209g、0.929mmol)、トリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.684g、1.86mmol)及びピバル酸(0.712g、6.97mmol)を、磁気攪拌棒を備えたスクリューキャップバイアル中に置いた。N,N-ジメチルホルムアミド(77.5mL)を添加した。実施例1-24(10.0g、23.2mmol)及び4-メチルチアゾール(2.75mL、30.2mmol)を添加した。混合物を窒素で3分間通気した。次に、反応混合物を100℃で16時間激しく攪拌した。その後、溶液を周囲温度まで冷却し、酢酸エチル(150mL×2)で希釈し、塩水(100mL×3)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して濃縮した。粗生成物をテトラヒドロフラン(100mL)に溶解し、その後、テトラヒドロフラン(25mL)中1Mのフッ化テトラブチルアンモニウムを添加した。混合物を3時間攪拌し、酢酸エチル(150mL×2)で希釈し、飽和塩化アンモニウム(100mL×5)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で脱水させて、濾過し濃縮した。この物質はフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/石油エーテル=1/10)により精製され、表題の化合物を得た(7.0g、収率86%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.99 (s, 1H), 7.44 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.38 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.29 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.83 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 4.57-4.55 (m, 1H), 3.51 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 2.46 (s, 3H), 1.37 (s, 9H); MS(ESI) m/z 335.7 (M+H)
【0097】
[実施例1-26]
(2R)-2-アミノ-2-[4-(4-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)フェニル]エタン-1-オールハイドロクロライド
1,4-ジオキサン(120mL)中実施例1-25(6.0g、18mmol)及び4N HCl/ジオキサン(40mL)の溶液を20℃で16時間攪拌した。揮発物を減圧下で取り除いて表題の化合物を得た(4.8g、収率94%)。MS(ESI)m/z 235.7(M+H)
【0098】
【化19】
【0099】
[実施例1-27]
メチルN-(tert-ブトキシカルボニル)-3-メチル-L-バリル-(4R)-4-ヒドロキシ-L-プロリネート
1-((ジメチルアミノ)(ジメチルイミニオ)メチル)-1H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(V)(41.6g、109mmol、HATU)を、N,N-ジメチルホルムアミド(230mL)中N-(tert-ブトキシカルボニル)-3-メチル-L-バリン(23g、99mmol)、メチル(4R)-4-ヒドロキシ-L-プロリネートハイドロクロライド(18.06g、99mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(60.8mL、348mmol)の混合物に0℃で添加した。混合物を20℃で16時間攪拌した。反応混合物を水(500mL)でクエンチし、酢酸エチル(1000mL)で抽出した。複合有機層を5%のクエン酸(300mL×3)、飽和NaHCO溶液(300mL×2)及び塩水(300mL×4)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で脱水させた。有機溶液を濾過し、濃縮して表題の化合物を得た(35g、収率93%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 6.58 (d, J=9.2 Hz, 1H), 5.28 (d, J=3.6 Hz, 1H), 4.48-4.34 (m, 2H), 4.22 (d, J=9.2 Hz, 1H), 3.79-3.59 (m, 5H), 2.22-2.10 (m, 1H), 2.02-1.88 (m, 1H), 1.44 (s, 9H), 0.99 (s, 9H); MS(ESI) m/z 381.7 (M+Na)
【0100】
[実施例1-28]
N-(tert-ブトキシカルボニル)-3-メチル-L-バリル-(4R)-4-ヒドロキシ-L-プロリン
テトラヒドロフラン(100mL)及び水(50mL)中実施例1-27(10g、28mmol)及び水酸化リチウム水和物(5.85g、139mmol)の混合物を20℃で4時間攪拌した。混合物を1Nの塩酸でpH=4まで中和した。得られた懸濁液を濾過し、水(15mL)で洗浄し、濾過し、ハウスバキューム下、周囲温度で乾燥させて表題の化合物を得た(8.8g、収率87%)。MS(ESI)m/z 367.1(M+Na)
【0101】
[実施例1-29]
N-(tert-ブトキシカルボニル)-3-メチル-L-バリル-(4R)-4-ヒドロキシ-N-{(1R)-2-ヒドロキシ-1-[4-(4-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-L-プロリンアミド
1-((ジメチルアミノ)(ジメチルイミニオ)メチル)-1H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(V)(6.68g、17.6mmol、HATU)を、N,N-ジメチルホルムアミド(60mL)中実施例1-28(5.5g、16mmol)、実施例1-26(4.32g、16.0mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(9.76mL、55.9mmol)の混合物に0℃で添加した。混合物を20℃で5時間攪拌した。反応混合物を水(200mL)で希釈し、次に酢酸エチル(200mL×3)で抽出した。複合有機画分を塩水(100mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣は、連続シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=20/1)及び逆相クロマトグラフィー(RP-C18カートリッジ、40~60μm、60Å)(HO(0.01%のNHHCO)(A)/メタノール(B)、0分~35分でBの5~60%の勾配、次に35分~56分でBの60~80%の勾配)により精製され、表題の化合物を得た(6.94g、収率76%)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 8.68 (s, 1H), 7.52 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.43 (s, 4H), 5.23 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 5.21-5.16 (m, 1H), 4.64 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 4.49 (brs, 1H), 4.22 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 4.07 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.99-3.91 (m, 1H), 3.89-3.81 (m, 1H), 3.74-3.67 (m, 1H), 3.65-3.58 (m, 1H), 3.50-3.47 (m, 1H), 2.52 (s, 3H), 2.34-2.24 (m, 1H), 2.20-2.10 (m, 1H), 1.41 (s, 9H), 1.04 (s, 9H); MS(ESI) m/z 560.8 (M+H)
【0102】
[実施例1-30]
3-メチル-L-バリル-(4R)-4-ヒドロキシ-N-{(1R)-2-ヒドロキシ-1-[4-(4-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-L-プロリンアミドトリフルオロ酢酸
攪拌棒付きの丸底フラスコに、実施例1-29(176mg、0.314mmol)、2,2,2-トリフルオロ酢酸(1.0mL、13mmol)及びジクロロメタン(4.0mL)を投入した。溶液を周囲温度で90分間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、3部のトルエンで追跡し、その後一晩真空乾燥した。表題の化合物は、定量的収量を想定して精製せずに繰り越した。H NMR (501 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.98 (s, 1H), 7.45 - 7.32 (m, 2H), 7.30 - 7.09 (m, 2H), 5.24 (dtd, J = 13.1, 7.5, 5.4 Hz, 1H), 4.69 - 4.52 (m, 1H), 4.02 (q, J = 5.6 Hz, 1H), 3.91 (q, J = 5.5 Hz, 1H), 3.81 (ddd, J = 12.7, 10.9, 3.9 Hz, 1H), 3.69 - 3.54 (m, 1H), 3.54 - 3.46 (m, 1H), 2.44 (d, J = 2.3 Hz, 2H), 2.28 (s, 3H), 2.17 - 2.03 (m, 1H), 1.01 (s, 9H); MS (ESI) m/z 461.4 (M+H)
【0103】
[実施例1-31]
N-[1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,13-ジオキソ-2,7,11-トリオキサ-4-アザトリデカン-13-イル]-3-メチル-L-バリル-(4R)-4-ヒドロキシ-N-{(1R)-2-ヒドロキシ-1-[4-(4-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-L-プロリンアミド
攪拌棒付きのフラスコに、N,N-ジメチルホルムアミド(9.39mL)中実施例1-22(0.759g、1.90mmol)及び2-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムヘキサフルオロホスフェート(V)(0.928g、2.44mmol)を投入して無色の溶液を得た。実施例1-30(1.002g、1.878mmol)は、N,N-ジメチルホルムアミド(9.39mL)中の溶液として添加された。N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(2.60mL、15.0mmol)を添加した。反応混合物を周囲温度で1.5時間攪拌した。反応混合物を、酢酸エチル(200mL)と塩水(100mL)の間で分配した。水層を追加の酢酸エチル(200mL)で抽出した。複合有機層を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、濾過し、濃縮した。残渣は40gのTeledyne ISCO RediSep Rf Gold(登録商標)シリカカートリッジ上でクロマトグラフィーにかけ、10~100%の3:1の酢酸エチル:エタノール/ヘプタンで溶出させ表題の化合物を得た(1.422g、90%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.94 (s, 1H), 8.38 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.85 (dd, J = 7.6, 1.0 Hz, 2H), 7.66 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.44 - 7.32 (m, 4H), 7.29 (td, J = 7.5, 3.0 Hz, 4H), 5.10 (d, J = 3.5 Hz, 1H), 4.82 (dt, J = 8.3, 6.2 Hz, 1H), 4.74 (dd, J = 6.4, 5.1 Hz, 1H), 4.55 - 4.40 (m, 2H), 4.40 - 4.23 (m, 4H), 3.92 - 3.82 (m, 2H), 3.57 (q, J = 5.1, 4.1 Hz, 2H), 3.57 - 3.46 (m, 2H), 3.46 - 3.31 (m, 3H), 3.11 (q, J = 5.7 Hz, 2H), 2.42 (s, 3H), 2.05 (s, 2H), 2.11 - 1.98 (m, 1H), 1.76 (tt, J = 12.7, 5.6 Hz, 2H), 0.91 (s, 9H); MS (ESI) m/z 842.6 (M+H)
【0104】
[実施例1-32]
N-{[3-(2-アミノエトキシ)プロポキシ]アセチル}-3-メチル-L-バリル-(4R)-4-ヒドロキシ-N-{(1R)-2-ヒドロキシ-1-[4-(4-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-L-プロリンアミド
攪拌棒付きの100mLフラスコに、N,N-ジメチルホルムアミド(17mL)中実施例1-31(1.42g、1.686mmol)の溶液を投入し、これをジエチルアミン(0.26mL、2.510mmol)で処理した。反応混合物を周囲温度で一晩攪拌した。揮発物を減圧下で取り除き、残渣は、20gのTeledyne ISCO RediSep Rf Gold(登録商標)シリカカートリッジ上にロードし、0~20%アンモニア飽和メタノール/ジクロロメタンの勾配で溶出させ、表題の化合物を得た(0.683g、65%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.95 (s, 1H), 8.40 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.45 - 7.32 (m, 2H), 4.87 - 4.77 (m, 1H), 4.54 - 4.42 (m, 1H), 4.06 (m, 1H), 3.95 - 3.82 (m, 1H), 3.64 - 3.47 (m, 2H), 3.44 (t, J = 6.4 Hz, 1H), 3.32 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 3.40-3.16 (m, 13H), 2.64 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 2.42 (s, 1H), 2.03 (ddd, J = 10.2, 7.8, 2.2 Hz, 1H), 1.81 - 1.70 (m, 1H), 0.91 (s, 9H); MS (ESI) m/z 620.4 (M+H)
【0105】
[実施例1-33]
3-メチル-N-[(3-{2-[(2-メチル-10-ニトロ-3-オキソ-7-フェニル-3,4,6,7-テトラヒドロ-2H-2,4,7-トリアザジベンゾ[cd,f]アズレン-5-カルボニル)アミノ]エトキシ}プロポキシ)アセチル]-L-バリル-(4R)-4-ヒドロキシ-N-{(1R)-2-ヒドロキシ-1-[4-(4-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-L-プロリンアミド
N,N-ジメチルホルムアミド(3.6mL)中実施例1-13(153mg、0.367mmol)、実施例1-32(263mg、0.424mmol)、((3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)オキシ)トリ(ピロリジン-1-イル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(V)(231mg、0.443mmol)及びN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(0.250μL、1.43μmol)の混合物を周囲温度で90分間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、塩水(2×100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、濾過して、濃縮し、表題の化合物を得た(0.369g、収率99%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.94 (s, 1H), 8.70 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.43 (m, 1H), 8.36 (d, J = 8 Hz, 1H), 8.16 (dd, J = 8.6, 2.7 Hz, 1H), 7.93 (m, 1H), 7.54 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.43 - 7.27 (m, 4H), 7.02 - 6.94 (m, 2H), 6.55 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 6.49 - 6.42 (m, 2H), 5.09 (d, J = 3.5 Hz, 2H), 4.82 (q, J = 6.6 Hz, 2H), 4.73 (dd, J = 6.4, 5.1 Hz, 2H), 4.54 - 4.35 (m, 3H), 4.25 (s, 2H), 3.90 - 3.81 (m, 3H), 3.61 - 3.45 (m, 10H), 2.42 (s, 3H), 2.08 - 1.98 (m, 1H), 1.81 (d, J = 6.4 Hz, 2H), 0.90 (s, 9H); MS (ESI) m/z 1018.2 (M+H)
【0106】
[実施例1-34]
N-[(3-{2-[(10-アミノ-2-メチル-3-オキソ-7-フェニル-3,4,6,7-テトラヒドロ-2H-2,4,7-トリアザジベンゾ[cd,f]アズレン-5-カルボニル)アミノ]エトキシ}プロポキシ)アセチル]-3-メチル-L-バリル-(4R)-4-ヒドロキシ-N-{(1R)-2-ヒドロキシ-1-[4-(4-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-L-プロリンアミド
テトラヒドロフラン(8.00mL)、エタノール(8.00mL)及び水(1.6mL)中実施例1-33(369mg、0.362mmol)、塩化アンモニウム(107mg、2.00mmol)及び鉄粉、10ミクロン未満(292mg、5.23mmol)の混合物を90℃で150分間加熱した。周囲温度まで冷却後、反応混合物を珪藻土のパッドを通して濾過し、フィルターパッドを5%のメタノール/ジクロロメタンで洗浄した。濾液を濃縮し、残渣は4gのシリカカートリッジ上でクロマトグラフィーにかけ、0~10%のアンモニア飽和メタノール/ジクロロメタンで溶出させ、表題の化合物を得た(218mg、61%)。1H NMR (501 MHz, DMSO-d) δ ppm 12.13 (s, 1H), 8.95 (s, 1H), 8.40 (m, 2H), 7.48 (s, 1H), 7.38 (m, 4H), 7.32 (m, 1H), 6.96 (m, 2H), 6.87 (dd, J = 8.5, 7.0 Hz, 2H), 6.60 (dd, J = 8.3, 2.5 Hz, 1H), 6.39 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 6.33 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 5.84 (d, J = 16.9 Hz, 1H), 5.16 (s, 2H), 5.12 (dd, J = 3.6, 1.3 Hz, 1H), 4.83 (q, J = 6.6 Hz, 1H), 4.76 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 4.52 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 4.48 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 4.31 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 4.28 (m, 2H), 3.89 (m, 2H), 3.62 - 3.54 (m, 4H), 3.44 (m, 1H), 3.32 (s, 3H), 2.43 (s, 3H), 2.05 (m, 1H), 1.82 (t, J = 6.4 Hz, 1H), 1.76 (m, 1H), 0.92 (s, 9H); MS (ESI) m/z 988.4 (M+H)
【0107】
[実施例2]LD1
【0108】
【化20】
【0109】
【化21】
【0110】
[実施例2-1]
2,5-ジオキソピロリジン-1-イルN-(tert-ブトキシカルボニル)-L-アラニネート
ジクロロメタン(500mL)中1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(33.5g、291mmol)及びN-(tert-ブトキシカルボニル)-L-アラニン(50.0g、264mmol)の混合物を0℃まで冷却した。N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(60.0g、291mmol)を溶液に添加した。反応混合物を、25℃で約16時間攪拌し、濾過し、追加のジクロロメタン(3×100mL)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し表題の化合物を得た(54g、収率71%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.60 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 4.39 (p, J = 7.3 Hz, 1H), 2.78 (s, 4H), 1.37 (s, 12H).
【0111】
[実施例2-2]
N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-アラニル-L-アラニン
水(150mL)中L-アラニン(6.22g、69.9mmol)及び炭酸水素ナトリウム(11.74g、140mmol)を、1,2-ジメトキシエタン(150mL)中実施例2-1(20.0g、69.9mmol)の溶液に添加した。反応混合物を25℃で約16時間攪拌した。揮発性溶剤を減圧下で取り除いた。残りの溶液のpHは、水性クエン酸で1に調整した。沈殿物を濾過により収集し、追加の水で洗浄して乾燥させ表題の化合物を得た(16g、収率88%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.96 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 6.83 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 4.20 (p, J = 7.2 Hz, 1H), 4.09 - 3.89 (m, 1H), 1.37 (s, 9H), 1.27 (d, J = 7.3 Hz, 3H), 1.17 (d, J = 7.1 Hz, 3H).
【0112】
【化22】
【0113】
[実施例2-3]
(3R,7aS)-3-フェニルテトラヒドロ-3H,5H-ピロロ[1,2-c][1,3]オキサゾール-5-オン
トルエン(300mL)中(S)-5-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-2-オン(25g、0.22mmol)、ベンズアルデヒド(25.5g、0.24mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(0.50g、0.0026mmol)の混合物を、乾燥管下のディーンスタークトラップを使用して還流下16時間加熱した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、溶剤を不溶性物質からデカントした。溶剤混合物を飽和水性炭酸水素ナトリウム混合物及び飽和水性塩化ナトリウムで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣はフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、35/65 ヘプタン/酢酸エチル)により精製され表題の化合物を得た(35.3g、収率80%)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 7.47 (dd, J = 8.0, 1.7 Hz, 2H), 7.43 - 7.34 (m, 2H), 7.38 - 7.26 (m, 1H), 6.36 (s, 1H), 4.25 (dd, J = 8.0, 6.3 Hz, 1H), 4.17 (ddd, J = 13.8, 7.7, 5.7 Hz, 1H), 3.51 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 2.83 (ddd, J = 17.4, 10.1, 9.0 Hz, 1H), 2.57 (ddd, J = 17.4, 10.0, 3.8 Hz, 1H), 2.40 (dddd, J = 13.7, 10.3, 7.5, 3.8 Hz, 1H), 1.96 (dtd, J = 13.5, 9.5, 5.4 Hz, 1H); MS (DCI) m/z 204.0 (M+H)
【0114】
[実施例2-4]
(3R,6R,7aS)-6-ブロモ-3-フェニルテトラヒドロ-3H,5H-ピロロ[1,2-c][1,3]オキサゾール-5-オン
窒素下-77℃まで冷却したテトラヒドロフラン(670mL)中実施例2-3(44.6g、0.22mmol)の混合物に、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(ヘキサン中1.0M、250mL)を、内部温度を-73℃未満に保ちつつ、液滴で40分かけて添加した。反応混合物を-77℃で2時間攪拌し、その後臭素(12.5mL、0.24mmol)を、内部温度を-64℃未満に保ちつつ、液滴で20分かけて添加した。反応混合物を、-77℃で75分間攪拌し、その後、-77℃反応混合物に、冷10%の水性チオ硫酸ナトリウム(150mL)の添加によりクエンチした。反応混合物を周囲温度まで温め、半飽和水性塩化アンモニウム混合物と酢酸エチルの間で分配した。層を分離し、有機層を水と飽和水性塩化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣は、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、80/20、75/25及び70/30 ヘプタン/酢酸エチルの勾配で溶出させた。)により精製され表題の化合物を得た(19.3g、31.2%)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 7.50 - 7.32 (m, 5H), 6.33 (s, 1H), 4.53 (dd, J = 6.9, 1.3 Hz, 1H), 4.48 - 4.37 (m, 1H), 4.30 (ddd, J = 8.4, 6.4, 0.5 Hz, 1H), 3.63 (dd, J = 8.4, 7.2 Hz, 1H), 2.67 (ddd, J = 14.6, 6.2, 1.3 Hz, 1H), 2.50 (dt, J = 14.7, 6.9 Hz, 1H); MS (DCI) m/z 299.0 and 301.0 (M+NH+H)
【0115】
[実施例2-5]
(3R,6S,7aS)-6-アジド-3-フェニルテトラヒドロ-3H,5H-ピロロ[1,2-c][1,3]オキサゾール-5-オン
N,N-ジメチルホルムアミド(100mL)中実施例2-4(19.3g、0.068mmol)の混合物に、アジ化ナトリウム(13.5g、0.208mmol)を添加した。反応混合物を2.5時間で60℃まで加熱した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、水(500mL)と酢酸エチル(200mL)の間で分配した。層を分離し、有機層を飽和水性塩化ナトリウムで洗浄した。複合水層を酢酸エチル(50mL)で逆抽出した。複合有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣は、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製され、78/22 ヘプタン/酢酸エチルで溶出させて、表題の化合物を得た(13.5g、81%)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 7.50 - 7.41 (m, 2H), 7.45 - 7.32 (m, 3H), 6.38 (s, 1H), 4.56 (dd, J = 10.5, 8.5 Hz, 1H), 4.33 (dd, J = 8.4, 6.2 Hz, 1H), 4.06 (ddd, J = 13.9, 7.5, 6.4 Hz, 1H), 3.62 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 2.78 (ddd, J = 13.0, 8.5, 6.6 Hz, 1H), 1.81 (ddd, J = 13.0, 10.4, 7.4 Hz, 1H); MS (DCI) m/z 262.0 (M+NH+H)
【0116】
[実施例2-6]
(3R,6S,7aS)-6-アミノ-3-フェニルテトラヒドロ-3H,5H-ピロロ[1,2-c][1,3]オキサゾール-5-オン
テトラヒドロフラン(500mL)及び水(50mL)中実施例2-5(13.5g、0.553mmol)の混合物に、ポリマー担持トリフェニルホスフィン(55g、3mmol PPh/g、Aldrich #366455)を添加した。反応混合物を周囲温度で一晩機械的に攪拌した。反応混合物は珪藻土を通して濾過し、酢酸エチル及びトルエンで順次溶出させた。濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン(100mL)に溶解し、無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、濾過した。濾液を濃縮して表題の化合物を得て、この化合物をさらに精製することなくその後のステップに使用した(11.3g、収率94%)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 7.52 - 7.21 (m, 5H), 6.34 (s, 1H), 4.28 (dd, J = 8.4, 6.3 Hz, 1H), 4.10 - 3.93 (m, 2H), 3.59 (dd, J = 8.4, 7.2 Hz, 1H), 2.88 - 2.77 (m, 1H), 1.69 - 1.56 (m, 1H); MS (DCI) m/z 219.0 (M+H)
【0117】
[実施例2-7]
(3R,6S,7aS)-6-(ジベンジルアミノ)-3-フェニルテトラヒドロ-3H,5H-ピロロ[1,2-c][1,3]オキサゾール-5-オン
N,N-ジメチルホルムアミド(100mL)中実施例2-6(11.3g、0.0518mmol)の混合物に、炭酸カリウム(7.0g、0.051mmol)、ヨウ化カリウム(4.2g、0.025mmol)及びベンジルブロミド(14.5mL、0.122mmol)を添加した。反応混合物を周囲温度で一晩攪拌し、その後水と酢酸エチルの間で分配した。層を分離し、有機層を飽和水性塩化ナトリウムで洗浄した。複合水層を酢酸エチルで逆抽出した。複合有機層を無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣は、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン中10%~15%酢酸エチルの勾配で溶出させた。)により精製され、ヘプタンで滴定して風乾し、表題の化合物を得た(14.3g、収率69.3%)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 7.50 - 7.39 (m, 5H), 7.43 - 7.22 (m, 9H), 4.29 (dd, J = 8.3, 6.2 Hz, 1H), 4.11 (dd, J = 11.3, 8.7 Hz, 1H), 4.07 (s, 1H), 4.04 (s, 1H), 3.92 (qd, J = 7.4, 6.2 Hz, 1H), 3.74 (d, J = 13.9 Hz, 2H), 3.53 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 2.50 (ddd, J = 12.7, 8.6, 7.0 Hz, 1H), 1.92 (ddd, J = 12.8, 11.3, 7.5 Hz, 1H); MS (DCI) m/z 399.1 (M+H)
【0118】
[実施例2-8]
(3S,5S)-3-(ジベンジルアミノ)-5-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-2-オン
テトラヒドロフラン(130mL)中実施例2-7(13g、0.033mmol)の混合物に、パラ-トルエンスルホン酸一水和物(12.4g、0.0652mmol)及び水(50mL)を添加し、反応混合物を6日間で65℃まで加熱した。反応混合物を、周囲温度まで冷却し、飽和水性炭酸水素ナトリウム及び酢酸エチルの添加によりクエンチした。層を分離し、有機層を飽和水性塩化ナトリウムで洗浄した。複合水層を酢酸エチルで逆抽出した。複合有機層を無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、濾過して、減圧下で濃縮した。残渣を、ヘプタン(150mL)ですりつぶし、風乾して表題の化合物を得た(9.3g、収率92)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 7.43 (d, J = 8.2 Hz, 4H), 7.31 (t, J = 7.8 Hz, 4H), 7.27 - 7.19 (m, 2H), 7.10 (s, 1H), 3.90 (d, J = 13.7 Hz, 2H), 3.77 - 3.51 (m, 6H), 3.43 (dd, J = 11.0, 7.1 Hz, 1H), 2.14 (ddd, J = 12.6, 8.9, 6.9 Hz, 1H), 1.76 (ddd, J = 12.7, 10.4, 8.7 Hz, 1H); MS (DCI) m/z 311.1 (M+H)
【0119】
[実施例2-9]
(3S,5S)-5-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-3-(ジベンジルアミノ)ピロリジン-2-オン
N,N-ジメチルホルムアミド中実施例2-8(9.3g、30mmol)及び1H-イミダゾール(2.2g、32mmol)の混合物に、tert-ブチルクロロジメチルシラン(11.2mL、32.2mmol、トルエン中50重量%)を添加し、反応混合物を一晩攪拌した。反応混合物を水とエチルエーテルの間で分配した。層を分離し、有機層を飽和水性塩化ナトリウムで洗浄した。複合水層をジエチルエーテルで逆抽出した。複合有機層を無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣は、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン中35%の酢酸エチルで溶出させた。)により精製され、表題の化合物を得た(12.77g、収率99%)。H NMR (501 MHz, CDCl) δ ppm 7.50 - 7.43 (m, 4H), 7.37 - 7.30 (m, 4H), 7.29 - 7.22 (m, 2H), 6.00 (s, 1H), 4.01 (d, J = 13.8 Hz, 2H), 3.75 - 3.66 (m, 4H), 3.56 (dddd, J = 10.7, 7.0, 5.2, 2.2 Hz, 1H), 3.41 (dd, J = 10.1, 7.9 Hz, 1H), 2.19 (dddd, J = 12.9, 9.2, 6.8, 0.6 Hz, 1H), 1.71 (ddd, J = 12.9, 10.5, 8.8 Hz, 1H), 1.30 (dt, J = 4.0, 2.0 Hz, 1H), 0.90 (s, 9H), 0.98 - 0.80 (m, 2H), 0.07 (d, J = 2.8 Hz, 6H); MS (DCI) m/z 425.1 (M+H)
【0120】
[実施例2-10]
tert-ブチル[(3S,5S)-5-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-3-(ジベンジルアミノ)-2-オキソピロリジン-1-イル]アセテート
窒素下0℃で攪拌しながらテトラヒドロフラン(45mL)中実施例2-9(4.50g、10.6mmol)の混合物に、95%の水素化ナトリウム(0.32g、12.67mmol)を2つに分けて添加した。冷却した混合物を40分間攪拌し、次に、tert-ブチル2-ブロモ酢酸(4.22g、21.7mmol、3.2mL)を添加した。反応混合物を周囲温度まで温め、一晩攪拌した。反応混合物を、水及び酢酸エチルの添加によりクエンチした。層を分離し、有機層を飽和水性塩化ナトリウムで洗浄した。複合水層を酢酸エチルで逆抽出した。複合有機層を無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣は、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン中5~12%の酢酸エチルの勾配で溶出させた。)により精製され、表題の化合物を得た(5.3g、収率94%)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 7.46 - 7.35 (m, 4H), 4.36 (d, J = 17.5 Hz, 1H), 3.93 (d, J = 13.8 Hz, 2H), 3.85 - 3.50 (m, 7H), 2.11 (ddd, J = 12.8, 9.3, 6.8 Hz, 1H), 1.42 (s, 9H), 0.83 (s, 9H); MS (DCI) m/z 539.2 (M+H)
【0121】
[実施例2-11]
tert-ブチル[(3S,5S)-3-(ジベンジルアミノ)-5-(ヒドロキシメチル)-2-オキソピロリジン-1-イル]アセテート
テトラヒドロフラン(25mL)中実施例2-10(5.3g、9.8mmol)の混合物に、フッ化テトラブチルアンモニウム(11mL、11mmol、95/5 テトラヒドロフラン/水中1.0M)を添加した。反応混合物を周囲温度で1時間攪拌し、次に、飽和水性塩化アンモニウム混合物、水及び酢酸エチルの添加によりクエンチした。層を分離し、有機層を飽和水性塩化ナトリウムで洗浄した。複合水層を酢酸エチルで逆抽出した。複合有機層を無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣は、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン中35%の酢酸エチルで溶出させた。)により精製され、表題の化合物を得た(4.173g、収率100%)。H NMR (501 MHz, CDCl) δ ppm 7.50 - 7.41 (m, 4H), 7.36 - 7.28 (m, 4H), 7.28 - 7.21 (m, 2H), 4.40 (d, J = 17.6 Hz, 1H), 3.96 (d, J = 13.7 Hz, 2H), 3.78 (d, J = 13.8 Hz, 3H), 3.71 (t, J = 9.8 Hz, 1H), 3.61 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 3.55 - 3.45 (m, 2H), 3.40 (ddt, J = 8.4, 7.5, 2.1 Hz, 1H), 2.36 (ddd, J = 13.1, 9.9, 8.4 Hz, 1H), 2.12 (ddd, J = 13.1, 9.6, 7.5 Hz, 1H), 1.51 (s, 9H); MS (DCI) m/z 425.1 (M+H)
【0122】
[実施例2-12]
tert-ブチル[(3S,5S)-3-(ジベンジルアミノ)-2-オキソ-5-(8,8,13,13-テトラメチル-5,5-ジオキソ-12,12-ジフェニル-2,6,11-トリオキサ-5λ-チア-12-シラテトラデカン-1-イル)ピロリジン-1-イル]アセテート
ジメチルスルホキシド(14mL)中実施例2-11(4.7g、11mmol)の混合物に、ジメチルスルホキシド(14mL)中4-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-2,2-ジメチルブチルエテンスルホン酸(14.5g、32.5mmol、Organic and Biomolecular Chemistry 2007年、5(1)、132~138頁、S.Seeburgerら、に記載される通りに調製された。)の混合物を添加した。炭酸カリウム(2.60g、18.8mmol)及び水(0.028g、1.6mmol、0.028mL)を添加し、反応混合物を窒素下60℃で1日加熱した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、次に、飽和水性塩化ナトリウム混合物、水及びジエチルエーテルの添加によりクエンチした。層を分離し、有機層を飽和水性塩化ナトリウムで洗浄した。複合水層をジエチルエーテルで逆抽出した。複合有機層を無水硫酸ナトリウム上で脱水させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣は、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘプタン中15~25%の酢酸エチルの勾配で溶出させた。)により精製され、表題の化合物を得た(5.3g、収率55%)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 7.71 - 7.63 (m, 2H), 7.43 (tdt, J = 6.0, 4.3, 1.7 Hz, 4H), 7.39 (d, J = 6.3 Hz, 1H), 7.35 - 7.27 (m, 2H), 7.27 - 7.19 (m, 1H), 4.20 (d, J = 17.3 Hz, 0H), 4.00 - 3.88 (m, 2H), 3.88 - 3.77 (m, 1H), 3.80 - 3.66 (m, 2H), 3.67 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 3.55 - 3.48 (m, 1H), 3.27 (t, J = 6.6 Hz, 1H), 2.18 (ddd, J = 12.9, 9.3, 7.2 Hz, 0H), 1.69 - 1.55 (m, 2H), 1.44 (s, 4H), 1.05 (s, 4H), 0.96 (s, 3H); MS (ESI) m/z 871.2 (M+H)
【0123】
[実施例2-13]
tert-ブチル[(3S,5S)-3-アミノ-2-オキソ-5-(8,8,13,13-テトラメチル-5,5-ジオキソ-12,12-ジフェニル-2,6,11-トリオキサ-5λ-チア-12-シラテトラデカン-1-イル)ピロリジン-1-イル]アセテート
実施例2-12(0.873g、0.50mmol)を酢酸エチル(5mL)及びメタノール(15mL)に溶解し、炭素上水酸化パラジウム(20重量%、0.18g)を添加した。反応混合物を水素雰囲気(30psi)下周囲温度で30時間、その後50℃で1時間攪拌した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、濾過し、濃縮して表題の化合物を得た(0.673g、収率97%)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 7.72 - 7.64 (m, 4H), 7.50 - 7.35 (m, 6H), 4.32 (d, J = 17.5 Hz, 1H), 3.99 (s, 2H), 3.96 - 3.79 (m, 4H), 3.76 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 3.62 - 3.46 (m, 3H), 3.32 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 2.50 (ddd, J = 12.7, 8.7, 6.8 Hz, 1H), 2.09 (s, 3H), 1.62 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 1.49 - 1.41 (m, 2H), 1.07 (s, 10H), 0.99 (d, J = 2.7 Hz, 7H), 0.90 (s, 1H); MS (ESI) m/z 691.0 (M+H)
【0124】
[実施例2-14]
4-{[(3S,5S)-1-(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)-2-オキソ-5-(8,8,13,13-テトラメチル-5,5-ジオキソ-12,12-ジフェニル-2,6,11-トリオキサ-5λ-チア-12-シラテトラデカン-1-イル)ピロリジン-3-イル]アミノ}-4-オキソブタ-2-エン酸
無水マレイン酸(0.100g、1.02mmol)をジクロロメタン(0.90mL)に溶解し、ジクロロメタン(0.90mL)中実施例2-13(0.65g、0.941mmol)の混合物を滴下した。次に、混合物を40℃で2時間加熱した。反応混合物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0.2%の酢酸を含有するジクロロメタン中1.0~2.5%のメタノールの勾配で溶出させた。)により直接精製した。表題の化合物を保有する画分を濃縮した後、トルエン(10mL)を添加し、混合物を再び濃縮して表題の化合物を得た(0.563g、収率76%)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 7.82 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.72 - 7.65 (m, 4H), 7.50 - 7.37 (m, 6H), 7.32 - 7.24 (m, 1H), 7.20 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.43 - 6.31 (m, 2H), 4.73 (dt, J = 9.8, 7.2 Hz, 1H), 4.40 (d, J = 17.6 Hz, 1H), 4.02 (s, 2H), 4.00 (s, 1H), 3.89 (tt, J = 11.1, 5.8 Hz, 2H), 3.78 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 3.74 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 3.63 (dd, J = 10.2, 2.3 Hz, 1H), 3.52 (dd, J = 10.3, 4.3 Hz, 1H), 3.39 - 3.22 (m, 2H), 2.81 (ddd, J = 13.6, 9.8, 8.0 Hz, 1H), 2.38 (s, 1H), 1.79 (dt, J = 13.6, 6.8 Hz, 1H), 1.62 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 1.49 (s, 9H), 1.07 (s, 9H), 1.00 (s, 5H), 0.99 (s, 1H); MS (ESI) m/z 787.3 (M-H)-
【0125】
[実施例2-15]
tert-ブチル[(3S,5S)-3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-2-オキソ-5-(8,8,13,13-テトラメチル-5,5-ジオキソ-12,12-ジフェニル-2,6,11-トリオキサ-5λ-チア-12-シラテトラデカン-1-イル)ピロリジン-1-イル]アセテート
実施例2-14(0.56g、0.71mmol)をトルエン(7mL)中にスラリー状にし、トリエチルアミン(0.16g、1.6mmol、0.22mL)及び硫酸ナトリウム(0.525g、3.70mmol)を添加した。反応混合物を窒素雰囲気下還流下で6時間加熱し、その後反応混合物を周囲温度で一晩攪拌した。反応混合物を濾過し、酢酸エチルですすいだ。溶離液を減圧下で濃縮し、残渣は、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、45/55 ヘプタン/酢酸エチルで溶出させた。)により精製され、表題の化合物を得た(0.363g、収率66%)。H NMR (501 MHz, CDCl) δ ppm 7.72 - 7.66 (m, 4H), 7.50 - 7.43 (m, 2H), 7.45 - 7.36 (m, 4H), 6.74 (s, 2H), 4.84 (dd, J = 10.6, 9.7 Hz, 1H), 4.43 (d, J = 17.4 Hz, 1H), 4.09 - 3.99 (m, 1H), 4.00 (s, 2H), 3.91 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 3.91 - 3.84 (m, 2H), 3.76 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 3.72 (dd, J = 10.1, 7.5 Hz, 1H), 3.59 (dd, J = 10.0, 3.1 Hz, 1H), 3.35 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 2.43 (ddd, J = 12.5, 9.7, 7.1 Hz, 1H), 1.97 (ddd, J = 12.5, 10.6, 9.1 Hz, 1H), 1.66 - 1.59 (m, 4H), 1.49 (s, 9H), 1.29 (s, 2H), 1.11 - 1.05 (m, 1H), 1.07 (s, 9H), 1.00 (s, 6H), 0.94 - 0.88 (m, 1H), 0.91 - 0.83 (m, 1H), 0.86 (s, 1H); MS (ESI) m/z 771.6 (M+H)
【0126】
[実施例2-16]
{(3S,5S)-3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-2-オキソ-5-[(2-スルホエトキシ)メチル]ピロリジン-1-イル}酢酸
実施例2-15(1.2g、1.6mmol)をトリフルオロ酢酸(22.2g、195mmol、15mL)に溶解し、窒素下で一晩65~70℃まで加熱した。トリフルオロ酢酸を減圧下で取り除いた。残渣をアセトニトリル(2.5mL)に溶解し、水中0.1%のトリフルオロ酢酸を含有する5~75%のアセトニトリルの勾配を使用してPhenomenex(登録商標)Luna(登録商標)C18(2)AXIA(商標)カラム(250×50mm、10μm粒子サイズ)上で調製用逆相液体クロマトグラフィーにより30分かけて精製し、表題の化合物を得た(0.30g、収率51%)。H NMR (400 MHz, メタノール-d) δ ppm 6.85 (d, J = 1.0 Hz, 2H), 4.86 (t, J = 10.1 Hz, 1H), 4.30 (dd, J = 17.6, 8.0 Hz, 1H), 4.20 (dd, J = 21.6, 17.6 Hz, 1H), 4.00 (dh, J = 12.3, 3.2 Hz, 1H), 3.89 - 3.72 (m, 2H), 3.72 - 3.56 (m, 2H), 3.15 - 3.07 (m, 1H), 3.11 - 3.02 (m, 1H), 2.66 (s, 1H), 2.52 - 2.39 (m, 1H), 2.00 - 1.86 (m, 1H); MS (ESI) m/z 375.2 (M-H)
【0127】
【化23】
【0128】
[実施例2-17]
N-({3-[2-({10-[(L-アラニル-L-アラニル)アミノ]-2-メチル-3-オキソ-7-フェニル-3,4,6,7-テトラヒドロ-2H-2,4,7-トリアザジベンゾ[cd,f]アズレン-5-カルボニル}アミノ)エトキシ]プロポキシ}アセチル)-3-メチル-L-バリル-(4R)-4-ヒドロキシ-N-{(1R)-2-ヒドロキシ-1-[4-(4-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-L-プロリンアミド
N,N-ジメチルホルムアミド(2mL)及びジクロロメタン(4mL)中実施例1-34(164mg、0.166mmol)、実施例2-2(60.9mg、0.234mmol)、1-((ジメチルアミノ)(ジメチルイミニオ)メチル)-1H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(V)(86mg、0.226mmol、HATU)及び2,6-ルチジン(60μL、0.515mmol)の混合物を周囲温度で1時間攪拌した。混合物を回転式エバポレーターにより濃縮し、次に4mLのジクロロメタン中2,2,2-トリフルオロ酢酸(2mL、26.0mmol)を用いて周囲温度で40分間処理した。反応混合物を濃縮し、1:1のジメチルスルホキシド:メタノール(2mL)に溶解し、調製用逆相HPLC(方法A)により精製し、表題の化合物を161.3mg(72%)得た(ビストリフルオロ酢酸塩として任意に割り当てられた。)。H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ ppm 12.27 (s, 1H), 10.35 (s, 1H), 8.99 (s, 1H), 8.74 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 8.51 - 8.38 (m, 1H), 8.08 (d, J = 5.3 Hz, 2H), 7.99 (d, J = 33.3 Hz, 1H), 7.78 - 7.59 (m, 1H), 7.54 (s, 1H), 7.47 - 7.27 (m, 4H), 6.94 (dd, J = 8.7, 7.2 Hz, 2H), 6.48 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 6.43 - 6.33 (m, 2H), 5.92 (d, J = 17.0 Hz, 1H), 4.86 (dt, J = 8.4, 6.3 Hz, 1H), 4.62 - 4.43 (m, 2H), 4.40 - 4.21 (m, 2H), 3.98 - 3.84 (m, 12H), 3.64 - 3.54 (m, 5H), 2.46 (s, 3H), 2.08 (s, 3H), 1.85 (q, J = 6.5 Hz, 2H), 1.79 (td, J = 8.7, 4.4 Hz, 1H), 1.49 - 1.32 (m, 6H), 0.94 (s, 9H); MS (ESI-) m/z 1128.5 (M-H)
【0129】
[実施例2-18]
N-[(3-{2-[(10-{[N-({(3S,5S)-3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-2-オキソ-5-[(2-スルホエトキシ)メチル]ピロリジン-1-イル}アセチル)-L-アラニル-L-アラニル]アミノ}-2-メチル-3-オキソ-7-フェニル-3,4,6,7-テトラヒドロ-2H-2,4,7-トリアザジベンゾ[cd,f]アズレン-5-カルボニル)アミノ]エトキシ}プロポキシ)アセチル]-3-メチル-L-バリル-(4R)-4-ヒドロキシ-N-{(1R)-2-ヒドロキシ-1-[4-(4-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-L-プロリンアミド
実施例2-16(10mg、0.027mmol)、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(20μL、0.116mmol)及び2-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムヘキサフルオロホスフェート(V)(11mg、0.029mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(0.5mL)中で組み合わせた。反応混合物を周囲温度で5分間攪拌し、次に、N,N-ジメチルホルムアミド(0.5mL)中実施例2-17(37.2mg、0.027mmol)及びN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(20μL、0.116mmol)の溶液に添加した。混合物を周囲温度で1時間攪拌し、2mLの1:1のジメチルスルホキシド/メタノールで希釈し、シリンジフィルター(0.45μmのポリプロピレン)を通して濾過し、その後分取HPLC(方法A、水中20~80%のアセトニトリル/0.1%のトリフルオロ酢酸で溶出させた。)により精製し表題の化合物を得た(15mg、35%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 12.18 (s, 1H), 9.93 (s, 1H), 9.85 (s, 1H), 8.95 (s, 1H), 8.44 - 8.35 (m, 2H), 8.22 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 8.03 (d, J = 13.5 Hz, 2H), 7.70 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 7.55 (d, J = 27.2 Hz, 1H), 7.46 - 7.28 (m, 5H), 7.23 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.03 (d, J = 3.8 Hz, 2H), 6.88 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 6.42 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 6.37 (m, 1H), 5.87 (d, J = 17.0 Hz, 1H), 4.82 (q, J = 6.7 Hz, 1H), 4.69 (m, 1H), 4.56 - 4.40 (m, 2H), 4.42 - 4.29 (m, 2H), 4.27 - 4.08 (m, 2H), 3.97 - 3.82 (m, 3H), 3.70-3.40 (bd, 14H), 2.78 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 2.42 (s, 3H), 2.03 (dd, J = 12.9, 8.2 Hz, 1H), 1.90 - 1.69 (m, 3H), 1.31 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.27 - 1.19 (m, 5H), 0.90 (s, 9H); MS (ESI-) m/z 1486.8 (M-H)
【0130】
[実施例3] インビトロ結合アッセイ
TR-FRET結合アッセイを使用して、BETデグレーダーの結合特性を評価した。比較BETファミリー・ブロモドメイン・インヒビター、MS417((Zhang Gら、Journal of Biological Chemistry 2012年、第287巻、28840~28851頁)、CAS登録番号916489-36-6)を使用した。MS417を、使用のためにAlexa647で標識し、FRETアッセイ緩衝液(20mMのリン酸ナトリウム、pH6.0、50mMのNaCl、1mMのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二無水物、0.01%のTriton X-100、1mMのDL-ジチオスレイトール)で希釈した。アッセイのための標的タンパク質はBRD4(UniProt受入番号:O60885-1)ポリペプチドであった。結合アッセイの成分はHisタグ付きBRD4ブロモドメイン1(K57-E168)(配列番号18)又はHisタグ付きBRD4ブロモドメイン2(E352-M457)(配列番号19)、ユーロピウムコンジュゲート抗His抗体(Invitrogen/ThermoFisher)、実施例1(BETd1)及びAlexa647コンジュゲートMS417であった。周囲温度での1時間の平衡後、ユーロピウム励起波長340nmでEnvisionマルチラベルプレートリーダー(PerkinElmer、Waltham、MA、USA)を使用してTR-FRET比を決定し、Alexa647プローブ発光を665nmでモニターした。BETd1は、BRD4ブロモドメイン1に対して0.0102μMのIC50及びBRD4ブロモドメイン2に対して0.0506μMのIC50を示した。
【0131】
[実施例4] CD33 mAb1
ヒトCD33タンパク質、ヒト単球、カニクイザル単球及びCD33を発現する組換えHEK-293T細胞に結合するラット抗体を、ハイブリドーマ技術を使用して単離した。ラット抗体を使用してmAb1を産生した。
【0132】
mAb1は、CD33に結合する組換えヒト化IgG1カッパモノクローナル抗体である。mAb1は、ヒト免疫グロブリンガンマ1重鎖(Y296C、N297A)及びカッパ軽鎖定常領域と融合されたキメララット抗体のヒト化相補性決定領域からなる。
【0133】
タンパク質工学は、部位特異的コンジュゲーションのために実行された。Fc領域の重鎖のCH2ドメインにおいて以下のことが見出されている。Y296Cはコンジュゲーション部位であり、N297Aは天然のグリコシル化部位を取り除く。グリカン(N297A)の非存在下、システイン(Y296C)でコンジュゲートすると、結合したリンカー-薬物を、通常グリカンが占めているポケット中に向けることができる。このポケットへのリンカー-薬物の隔離により、ADCの見かけ上の疎水性が減少し、リンカー-薬物が水性環境から遮蔽されていることを示している。得られた変異体はmAb1として選択された[突然変異:G54A CDR-H2;S62A CDR-H2;G28D CDR-L1;S93E CDR-L3]。抗体は、ヒトIgG1/kアイソタイプであり、zを有し、非アロタイプである。
【0134】
非コンジュゲート抗ヒトCD33抗体mAb1の代表的なロットは、安定なCHOプール発現により作製され精製された。
【0135】
mAb1の重及び軽鎖に存在するアミノ酸の修飾又は欠失を確定するためにペプチドマッピングを実行した。変性及び還元に続いて、mAbは、リジンのC末端でペプチド結合を切断するタンパク質分解酵素であるLys-Cを使用する消化を受けた。消化された試料は、翻訳後修飾について大きな断片をモニターするため変性条件下でオービトラップMSを有する還元逆相液体クロマトグラフィー-質量分析(RPLC-MS)を使用して分析した。
【0136】
タンパク質分解消化に続くmAb1ペプチド断片の3バッチの分析により、重鎖の2つの種が存在することが示された。定量化は、C末端リジンあり及びなしの消化されたペプチドの抽出イオンクロマトグラムのシグナル強度に基づいて実施された。配列番号9に示されるように、mAb1の重鎖のごく僅かな割合だけ(1.7パーセント)が、C末端リジンを有する重鎖からなっていた。配列番号10に示されるように、mAb1中の重鎖の優勢な種がC末端リジンを欠いていた。配列番号11に示されるように、mAb1消化に続く軽鎖特異的断片は、コードされた一次アミノ酸配列から予測される通りにロットにわたり一貫していた。
【0137】
[実施例5] CD33発現HEK-293細胞へのmAb1特異的結合
抗ヒトCD33 mAb1の結合を確定するため、フローサイトメトリー分析を使用した。対照及びCD33発現HEK-293細胞は、細胞解離緩衝液(Life Technologies/ThermoFisher、Carlsbad、CA、USA)を使用しておおよそ80%コンフルエントになった場合にフラスコから収集された。細胞をPBS/1% FBS(FACS緩衝液)で1回洗浄し、FACS緩衝液中1.5~2.0×10細胞/mLで再懸濁し、100μL/ウェルで丸底プレート(Corning)に移した。10×濃縮の試験抗体を10マイクロリットル添加し、プレートを4℃で2時間インキュベートした。ウェルを、FACS緩衝液で2回洗浄し、FACS緩衝液で希釈された1:500抗ヒトIgG Ab(AlexaFluor488、Invitrogen/ThermoFisher、Carlsbad、CA、USA)の50mLに再懸濁した。プレートを4℃で1時間インキュベートし、FACS緩衝液で2回洗浄した。細胞を、PBS/1%ホルムアルデヒドの100mLに再懸濁し、Becton Dickinson(Franklin Lakes、NJ、USA)LSRIIフローサイトメーター上で分析した。
【0138】
陰性対照ヒト抗CMV IgG mAb2及びmAb1は、対照及びCD33発現HEK-293細胞上でのFACS滴定実験におけるCD33特異的結合について試験された。抗ヒトCD33 mAb1は、CD33発現HEK-293細胞に特異的に結合するが、対照HEK-293細胞には結合しない。CMV(サイトメガロウイルス)を認識する対照mAb2では結合は観察されず、このウイルスは使用されたモデルには存在しない。配列番号14に示される重鎖配列及び配列番号15に示される軽鎖配列を有する抗体mAb2が試験された。
【0139】
[実施例6] mAb1-LD2 ADCを作製するためのコンジュゲーション手順
mAb1は、リンカー薬物にコンジュゲートされて(実施例2-1、LD1)、式(I)の代表的なADCである、抗体-薬物コンジュゲートmAb1-LD2を形成した。
【0140】
実施例4由来の抗体、mAb1は、下に記載される通りに、過剰な還元剤、4-(ジフェニルホスフィノ)安息香酸(DpHPBA)で還元され、次に過剰な薬物-リンカーでコンジュゲートされた。
【0141】
反応溶液から酸素を取り除くため、反応上部空間を窒素でスイープし、溶液濃度が測定して1ppm未満になるまで混ぜ合わせた。抗体を還元するため、ジメチルスルホキシド中2.5モル当量の4-(ジフェニルホスフィノ)安息香酸(0.3w/w%)を添加し、4℃で一晩(16~24時間)混ぜ合わせた。還元抗体は実施例2-1由来のリンカー-薬物LD1(ジメチルスルホキシド中0.8w/w%溶液として2.05モル当量)と反応させ、20℃でおおよそ1時間反応させた。反応混合物を疎水性相互作用クロマトグラフィーにより精製した。産物画分を濃縮し、pH8.5に緩衝及びpH調整して、リンカー環の開口をもたらした(20℃で48時間保持した。)。開環産物溶液を無菌濾過し-80℃で保管した。
【0142】
[実施例7] mAb1-LD3 ADCを作製するためのコンジュゲーション手順
mAb1をリンカー薬物(実施例2-1、LD1)にコンジュゲートして、式(VI)の代表的なADCである、抗体-薬物コンジュゲートmAb1-LD3を形成した。HC:Y296C、N297A突然変異を有するCD33抗体(mAb1)を還元するため、3モル当量の4-(ジフェニルホスフィノ)安息香酸を水性抗体溶液に添加し、反応混合物を穏やかにボルテックスした。反応混合物を4℃で一晩(16~24時間)インキュベートした。コンジュゲーション反応では、2.1~2.5モル当量のリンカー-薬物(実施例2-1、LD1)(N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)中10mMの保存液として溶解させた。)を還元抗体に添加し、穏やかに混合し、続いて4℃で1時間インキュベートした。コンジュゲートを精製し、0.2μMのフィルター(Acrodisc Syringe Filter、Pall Corporation、Port Washington、NY、USA)を通して濾過し、4℃で保管した。
【0143】
[実施例8] DAR(薬物抗体比)の特徴付け及びADC決定の凝集のパーセンテージ
LC-MS分析mAb1-LD2によるDAR決定:還元サブユニット分析は、Orbitrap Fusion Lumos質量分析計(Waltham、MA)に接続されたThermoFisher Vanquish LCを使用して実施された。ADCは、室温で30分間32mM(最終濃度)のジチオスレイトールを使用して還元され、BioResolve RP mAbポリフェニルカラム(2.1×150mm、2.7μm dp、450Åポアサイズ、Waters Corporation、Milford、MA、USA)を使用して分離された。移動相Aは、HO中0.085%のギ酸及び0.015%のトリフルオロ酢酸であり、移動相Bは、アセトニトリル中0.085%のギ酸及び0.015%のトリフルオロ酢酸であり、流速は0.4mL/分であった。抽出強度対m/zスペクトルは、Protein Metrics Byos Intact Module(Dotmatics、Boston、MA、USA)を使用してデコンボリューションされて、それぞれの還元抗体断片の質量を決定した。DARは、強度に結合した薬物の数を掛けることにより正規化して、重鎖についての非修飾及び修飾ピークの強度を合計することによりデコンボリューションされたスペクトルから計算された。加算され、正規化された強度は強度の合計で割り、2つの重鎖についての加算結果により完全ADCについての最終平均DAR値が得られた。Xevo G2-XS Q-TOF質量分析計に接続されたWaters UHPLC H-Class Acquityを使用してネイティブインタクト分析が実施された。ADCは、Acquity UPLCタンパク質BEH SECカラム(4.6×150mm、1.7μm dp、200Åポアサイズ、Waters)により分離され、10%のイソプロパノール中100mMの酢酸アンモニウムの移動相を使用した。流速は0.2mL/分であり、質量スペクトルはMassLynxソフトウェア(Waters)により得られた。抽出質量スペクトルは、Protein Metrics Byos Intact Module(Dotmatics)を使用して、DARプロファイルを決定するためにデコンボリューションされた。DAR2は優勢型のmAb1-LD2である。
【0144】
LC-MS分析mAb1-LD3によるDAR決定:Agilent LC/MSD TOF 6220 ESI質量分析計に接続されたAgilent 1100 HPLCシステムを使用して分析は実施された。ADCは、25mM(最終濃度)のBond-Breaker(登録商標)TCEP溶液(Thermo Scientific、Rockford、IL、USA)で還元され、タンパク質Microtrap(Michrom Bioresources、Auburn、CA、USA)脱塩カートリッジ上にロードされ、周囲温度、0.2分で10%Bから75%Bの勾配を用いて溶出させた。移動相Aは0.1%のギ酸を有するHOであり、移動相Bは0.1%のギ酸を有するアセトニトリルであり、流速は0.2mL/分であった。共溶出する軽及び重鎖のエレクトロスプレーイオン化飛行時間型質量スペクトルは、Agilent MassHunter(商標)収集ソフトウェア(Agilent、Santa Clara、CA、USA)を使用して獲得された。抽出強度対m/zスペクトルは、MassHunter(商標)ソフトウェアの最大エントロピーフィーチャーを使用してデコンボリューションされて、それぞれの還元抗体断片の質量を決定した。DARは、強度に結合した薬物の数を掛けることにより正規化して、軽鎖及び重鎖についてのネイキッド及び修飾ピークの強度を合計することによりデコンボリューションされたスペクトルから計算された。加算され、正規化された強度は強度の合計で割り、2つの軽鎖及び2つの重鎖についての加算結果により約2の完全ADCについての最終平均DAR値が得られた。
【0145】
[実施例9] ADC特徴付け
ADCの2つの代表的ロットは、選択的還元プロトコルを使用して安定なCHOプール発現により産生される抗体の操作されたY296Cシステインでのコンジュゲーションにより作製された。これらのロットは、質量分光法による薬物-抗体比(DAR)及びコンジュゲーションの特異性、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)による凝集体含有量、並びに疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)による見かけの疎水性を決定するために特徴付けられた。開始抗体ロットは大半が単量体(約94%)であり、操作されたシステインはおおよそ90%がシステイン又はグルタチオンで完全にキャップされていた。得られたADCは高単量体含有量(約99%)を保持しており、優勢型としてDAR2を有した。重鎖の95%超が重鎖当たり1分子のLD2という予想される単一修飾を有することにより証明されるように、コンジュゲーションは高度に選択的であった。
【0146】
mAb1―LD2のコンジュゲーション部位の確認は、還元されアルキル化された抗体のLys-C消化に続いて得られたペプチドの逆相HPLC分離により達成された。コンジュゲートされたペプチドは、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)を使用して同定され、理論的モノアイソトピック分子量と比較された。重鎖断片(HC289-317)は理論的質量4862.29Da及び観察された質量4862.30Daを有し、C293での予想されるコンジュゲーション部位を確認した。
【0147】
[実施例10] 細胞培養
以下の実施例に記載されるAML細胞株は、はじめはATCC(アメリカ培養細胞系統保存機関)又はDSMZ(ドイツ微生物細胞培養コレクション)から入手した。AML細胞株はすべてRPMI-1640+10%FBS(Gibco/Thermo Fisher、Waltham、MA、USA)で培養され、解凍後2ヶ月未満の間培養液中で維持された。一次AML細胞は、StemSpan(商標)SFEM培地(STEMCELL(商標)Technologies、Vancouver、CA)+サイトカインカクテル中で維持された。
【0148】
[実施例11] AML細胞株でのmAb1-LD2、mAb1-LD3 ADCの抗増殖活性
mAb3-LD3、mAb1-LD2及びmAb1-LD3での処置に続く細胞増殖アッセイ
細胞は384ウェルプレートのそのそれぞれの培養培地中に蒔かれ、37℃、5%のCOの雰囲気でインキュベートされた。30nM~0.005nMに及ぶ連続的1:3希釈のADCが調製された。使用されたADCは、対照ADCを含んでおり、これはBETデグレーダーリンカー薬物LD1にコンジュゲートされた抗テタヌス毒素mAbであり、mAb3-LD3と命名された。mAb3は、配列番号16で示される重鎖配列及び配列番号17で示される軽鎖配列を有する。
【0149】
mAb3-LD3に加えて、既に記載されているADC mAb1-LD2及びmAb1-LD3をこれらのアッセイで使用した。希釈されたADCを24時間の培養後プレートに添加し、細胞培養物を37℃でさらに3日間インキュベートした。Celltiter-Glo(登録商標)アッセイ(Promega、Madison、WI、USA)を製造業者の説明書に従って実施して細胞増殖を判定した。それぞれのウェルからの発光シグナルは、Victor3プレートリーダー(PerkinElmer、Waltham、MA、USA)を使用して取得され、データはGraphPad Prismソフトウェア(Dotmatics)を使用して解析された。
【0150】
【表1】
【0151】
mAb3-LD3は、AML細胞株の増殖を妨げるのに大部分が不活性であったが、両方のmAb1 ADCは試験されたAML細胞株での細胞増殖を有意に制限した。
【0152】
mAb3-LD3、mAb1-LD2及びmAb1-LD3により影響を受けたBRD4定量化
細胞は96ウェルプレートのそのそれぞれの培養培地中に蒔かれ、37℃、5%のCOの雰囲気で一晩インキュベートされた。連続的1:3希釈のADCが調製され、次の日にプレートに添加された。ADCと一緒の18時間のインキュベーション後、細胞は凍結され、後のアッセイのために-80℃で保管された。MSDタンパク質アッセイ(Mesoscale Discovery、Rockville、MD、USA)の日、細胞は氷上で、ウェル当たり100μLの溶解緩衝液(RIPA緩衝液:Thermo Scientific、プロテアーゼインヒビターカクテルタブレット:Roche、and PMSF)を添加して溶解され、それぞれのウェル中のBRD4タンパク質の量は、MSDプレートリーダー(Meso Scale Discovery)を使用するMSD製造業者が推奨するプロトコルに従って抗BRD4ウサギmAb捕獲抗体(Fortis Life Sciences、Waltham、MA、USA)を使用して決定され、データはGraphPad Prismソフトウェア(Dotmatics)を使用して解析された。
【0153】
【表2】
【0154】
陰性対照である抗テタヌス毒素mAb3-LD3は、AML細胞株でのBRD4タンパク質に影響を及ぼすのに大部分が不活性であったが、両方のmAb1 ADCは試験されたAML細胞株でのBRD4の存在を有意に減少させた。
【0155】
[実施例12] 患者由来異種移植片(「PDX」)全身モデルでのmAb1―LD3活性
移植研究では、AML患者PBMC(末梢血単核球)試料を使用して、亜致死性照射新生仔免疫不全CIEA-NOGマウス(Taconic Biosciences、Rensselaer、NY、USA)の肝内に接種した。12週間後、代理マウスで生着が確認され、残りのコホートはスクリーニングされ、処置群に無作為化された。5週間の処置後、骨髄中のヒト細胞の存在は、フローサイトメトリーにより評価された。
【0156】
mAb1―LD3の抗増殖活性は、免疫抑制マウス中へのPBMCのPDX移植によりAML患者単離物上で評価された。マウスは、3つの別々のコホートにおいてmAb1―LD3 ADCを投与された。それぞれのコホートでのマウスの骨髄中のヒト細胞の増殖は、陰性対照と比べた場合抑制されていることが分かった。mAb1―LD3の結果は図1に示されている。
【0157】
[実施例13] CDXマウスモデルでのmAb1-LD2及びmAb1-LD3により示される有効性
移植モデル:メスNSGマウスをJackson Laboratories(Bar Harbor、ME、USA)から購入し、下に記載される通りに、生物発光読取り情報を有する腫瘍移植モデルに使用した。マウスは6~8週齢であり、研究開始時の体重は21~24グラムである。餌と水は適宜与えられ、動物施設は12時間明期:12時間暗期のスケジュールで保たれる。すべての動物研究は、AbbVie動物実験委員会により確立された指針に従って行われる。
【0158】
全身移植モデルでは、Red-Fluc安定F.ルシフェラーゼ発現細胞株は、親AML細胞株(DSMZ由来のMOLM13、Braunschweig、DE、並びにTHP-1及びMV4-11、両方ともATCC、Manassas、VA、USA由来)にRediFect Red-FLuc-ピューロマイシン・レンチウイルス粒子(PerkinElmer、Waltham、MA)を感染させることにより生み出され、移植パラメータについて及びシグナルの安定性について確認される安定な細胞株を作り出す。次に、マウスは、MOLM13-Red-Fluc(1×10細胞)、THP1-Red-Fluc(1×10細胞)及びMV4-11-Red-Fluc(5×10細胞)を尾静脈中に培養培地の0.2mLの接種菌液と一緒に静脈内に接種される。腫瘍生着を測定するため、生物発光(BLI)シグナルを、LagoX(登録商標)イメージングシステム(Spectral Instruments Imaging、Tucson、AZ、USA)を使用してルシフェリン(150mg/kg)のIP注射の10分後に取得する。シグナル強度は、マウスの全体像で目的の領域を調べることにより決定される。生着データは、LagoX(登録商標)ソフトウェアを使用して定量化され、マウスは3×10シグナルで処置及び対照群に、研究群当たり9マウスで割り当てられる。腫瘍量測定は、BLI=(処置されたマウスBLI-サイズ一致BLIでのバックグラウンド)として、正規化されたBLI測定に基づいて評価される。マウスは、3つの異なる既定の用量で、単回腹腔内投与としてmAb1-LD2又はmAb1-LD3を投与される。BLIシグナルは、マウスの背側及び腹側位置で、少なくとも週2回モニターされる。1×1010BLIのBLIシグナルが観察された場合、マウスは研究から外され人道的に安楽死される。mAb1-LD3についての結果は図2に示されている。
【0159】
【表3】
図1
図2
【配列表】
2024173752000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
【外国語明細書】