(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173766
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】アクセス開口部を備えた極低温タンクおよびそれを備えた航空機
(51)【国際特許分類】
F17C 3/08 20060101AFI20241205BHJP
B64D 37/06 20060101ALI20241205BHJP
B64D 37/30 20060101ALI20241205BHJP
F16J 13/02 20060101ALI20241205BHJP
F16J 12/00 20060101ALI20241205BHJP
F17C 13/06 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F17C3/08
B64D37/06
B64D37/30
F16J13/02
F16J12/00 Z
F17C13/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024085567
(22)【出願日】2024-05-27
(31)【優先権主張番号】23176491
(32)【優先日】2023-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】311014956
【氏名又は名称】エアバス オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Airbus Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Kreetslag 10,21129 Hamburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】プシュマン,カーステン
【テーマコード(参考)】
3E172
3J046
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172BB04
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD10
3E172DA04
3J046AA04
3J046AA13
3J046BA02
3J046BB00
3J046BC06
3J046DA10
(57)【要約】
【課題】航空機(30)に搭載されたタンク内の機器のメンテナンスおよび修理サービスのためタンクアクセスできる航空機(30)のための極低温タンク(10)を提供すること。
【解決手段】アクセス開口部(44)は、真空断熱された多重壁パネル(56)を含む取り外し可能な閉鎖部(48)によって閉じられており、この多重壁パネルは、極低温タンク(10)への熱の侵入が最小限に抑えられ、取り外し可能な閉鎖部(48)の開閉によって真空が影響されないように、多重タンク壁(42)に設計され取り付けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重タンク壁(42)と、メンテナンス、修理、および/または、交換サービスのために極低温タンク(10)の内部(46)にアクセスできるようにする前記多重タンク壁(42)におけるアクセス開口部(44)と、前記アクセス開口部(44)を閉じるための取り外し可能な閉鎖部(48)と、を備え、
前記多重タンク壁(42)は、内タンク壁スキン(50)、外タンク壁スキン(52)、及び前記内タンク壁スキン(50)と前記外タンク壁スキン(52)との間のタンク壁真空断熱空間(54)を含み、
前記閉鎖部(48)は、外パネル壁(2)、内パネル壁(3)、および前記外パネル壁(2)と前記内パネル壁(3)との間のパネル真空断熱空間(58)を含む多重壁パネル(56)を備える、
極低温タンク(10)。
【請求項2】
前記閉鎖部(48)は、外閉鎖リング壁(4)、内閉鎖リング壁(5)、及び前記外閉鎖リング壁(4)と前記内閉鎖リング壁(5)との間の閉鎖リング真空断熱空間(62)を備えた多重壁閉鎖リング(60)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の極低温タンク(10)。
【請求項3】
前記多重壁閉鎖リング(60)の第1端が密閉され、前記多重壁閉鎖リング(60)の第2端が、前記多重壁パネル(56)に緊密に接続され、前記パネル真空断熱空間(58)と前記閉鎖リング真空断熱空間(62)が単一の閉鎖間空間真空ボリューム(7)を形成することを特徴とする、請求項2に記載の極低温タンク(10)。
【請求項4】
4.1 前記閉鎖部(48)が、前記閉鎖間空間真空ボリューム(7)の排気のための真空ポート(8)を有する、および/または、
4.2 多層断熱材(9)が、前記閉鎖間空間真空ボリューム(7)の内側に取り付けられている、ことを特徴とする、請求項3に記載の極低温タンク(10)。
【請求項5】
前記多重タンク壁(42)における前記アクセス開口部(44)が、外タンクリング壁配置構成(14、15)、内タンクリング壁(16)、および前記外タンクリング壁配置構成(14、15)と前記内タンクリング壁(16)との間のタンクリング真空断熱空間(66)を備えた多重壁タンクリング(64)によって定められることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の極低温タンク(10)。
【請求項6】
6.1 前記多重壁タンクリング(64)の端が密閉されている、および/または、
6.2 前記外タンクリング壁配置構成が、前記内タンク壁スキン(50)の内側に配置された内側外タンクリング壁(14)と、前記外タンク壁スキン(52)の外側に配置された外側外タンクリング壁(15)とを含む、および/または、
6.3 前記外タンクリング壁配置構成(14、15)が、前記タンク壁真空断熱空間(54)と前記タンクリング真空断熱空間(66)が互いに流体連通するように、および/または、単一のタンク壁間隔真空ボリューム(18)を形成するように、前記外タンク壁スキン(50)および前記内タンク壁スキン(52)に緊密に接続される、
ことを特徴する、請求項5に記載の極低温タンク(10)。
【請求項7】
7.1 前記多重壁閉鎖リング(60)は、前記アクセス開口部(44)を閉じるために前記多重壁タンクリング(64)に挿入可能である、および/または、
7.2 前記内タンクリング壁(16)の内側と前記外閉鎖リング壁(4)の外側は、前記アクセス開口部(44)が前記閉鎖部(48)によって閉鎖されたときに互いの間に締りばめを形成するように構成された滑らかな表面を有する、
ことを特徴する、請求項2~6のいずれか1項に記載の極低温タンク(10)。
【請求項8】
前記アクセス開口部(44)は、タンクフランジ(11)を有し、前記閉鎖部(48)は、前記タンクフランジ(11)と対になる閉鎖フランジ(1)を有し、閉鎖状態では前記閉鎖フランジ(1)が特に多数のボルトおよびねじアセンブリ(13)によって前記タンクフランジ(11)に緊密に接続されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の極低温タンク(10)。
【請求項9】
少なくとも1つのパイプ(20)は、前記閉鎖部(48)を貫通し、前記閉鎖部(48)に固定された多重壁パイプセクション(21)を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の極低温タンク(10)。
【請求項10】
前記多重壁パイプセクション(21)は、内パイプ壁と外パイプ壁とを有し、前記内パイプ壁と前記外パイプ壁は、それらの間にパイプ真空断熱空間を有し、
特に、
10.1 前記パイプ真空断熱空間は前記パネル真空断熱空間と流体連通している、および/または、
10.2 前記多重壁パイプセクション(21)は、前記内パネル壁(3)から延び、前記外パイプ壁は前記内パネル壁(3)に接続される、または
10.3 前記多重壁パイプセクション(21)は、前記外パネル壁(2)から延び、前記外パイプ壁は、前記外パネル壁(2)に接続される、
ことを特徴とする、請求項9に記載の極低温タンク(10)。
【請求項11】
いくつかの前記パイプ(20)が、前記閉鎖部(48)を貫通し、構造的支持として、および/または、前記内パネル壁(2)と前記外パネル壁(3)の間の距離を維持するために、前記内パネル壁(2)および前記外パネル壁(3)に固定されていることを特徴とする、請求項9または10に記載の極低温タンク(10)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の極低温タンクを備えた航空機(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重タンク壁を備えた極低温タンク、特に航空機用の極低温タンクに関する。さらに、本発明は、そのようなLH2(Liquid H2)タンクを備えた航空機に関する。好ましい実施形態によれば、極低温タンクは液体水素を貯蔵するための液体水素(LH2)タンクである。
【背景技術】
【0002】
技術的な背景については、次の文献を参照されたい。
[1] DE 10 2014 107 316 A1
[2] US 2021/0 078 702A1
[3] WO2021/148 335A1
[4] US 2023/0 002 069 A1
[5] EP 4 119 834 A1
[6] EP 4 124 568 A1
[7] EP 4 124 790 A1
[8]製品仕様(Product Sheet):Demaco-Cryogenics Johnston Coupling、2023年5月23日ダウンロード
【0003】
[1]から[3](特許文献1~3)は航空機内の水素設備に関するものである。[4]から[7](特許文献4~7)は、航空機用の極低温タンク、特に液体水素タンク(LH2タンク)およびそのような極低温タンクを備えた航空機に関するものである。[8](非特許文献1)は極低温パイプセクションを結合するためのいわゆるジョンストンカップリングに関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ特許公開10 2014 107 316 A1
【特許文献2】米国特許公開2021/0 078 702A1
【特許文献3】国際公開2021/148 335A1
【特許文献4】米国特許公開2023/0 002 069 A1
【特許文献5】欧州特許公開4 119 834 A1
【特許文献6】欧州特許公開4 124 568 A1
【特許文献7】欧州特許公開4 124 790 A1
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】製品仕様(Product Sheet):Demaco-Cryogenics Johnston Coupling、2023年5月23日ダウンロード
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
軽量のエネルギー貯蔵は次世代航空機にとって重要なテーマである。水素は高いエネルギー密度を提供するが、貯蔵技術(極低温、圧縮、固体/吸収)が重要な課題である。水素は圧縮および/または極低温まで冷却することで、体積および重量のエネルギー密度を高めることができる。通常、複雑なタンクシステムには、材料、設計、動作原理、たとえば操作上の安全性などに対する個別の要件が必要である。
【0007】
圧縮極低温水素は、自動車や飛行機などの今日の乗り物に選択される技術である。極低温タンクは、最小の燃料体積//燃料質量比(the lowest fuel volume / fuel mass ratio)を実現できる。LH2タンクは非常に優れた断熱性を備える必要がある。
【0008】
本発明の目的は、航空機などの車両で使用するための水素タンクを改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。 好ましい実施形態は従属請求項の主題である。
【0010】
本発明は、多重タンク壁と、メンテナンスまたは修理サービスのために極低温タンクの内部にアクセスできるようにする多重タンク壁におけるアクセス開口部と、前記アクセス開口部を閉じるための閉鎖部とを備えた極低温タンク、特にLH2タンクを提供し、
前記多重タンク壁は、内タンク壁スキン、外タンク壁スキン、及び前記内タンク壁スキンと前記外タンク壁スキンとの間のタンク壁真空断熱空間を含み、
前記閉鎖部は、外パネル壁、内パネル壁、および前記外パネル壁と前記内パネル壁との間のパネル真空断熱空間を含む多重壁パネルを備える。
【0011】
好ましくは、前記閉鎖部は、外閉鎖リング壁、内閉鎖リング壁、および前記外閉鎖リング壁と前記内閉鎖リング壁との間の閉鎖リング真空断熱空間を備えた多重壁閉鎖リングをさらに含む。
【0012】
好ましくは、前記多重壁閉鎖リングの第1端は密閉され、前記多重壁閉鎖リングの第2端は前記多重壁パネルに緊密に接続され、前記パネル真空断熱空間と前記閉鎖リング真空断熱空間が共通空間真空ボリュームを共有する。
【0013】
好ましくは、前記閉鎖部は、前記共通空間真空ボリュームの排気のために真空ポートを有する。
【0014】
好ましくは、多層断熱材が前記共通空間真空ボリューム内に取り付けられる。
【0015】
好ましくは、前記多重タンク壁における前記アクセス開口部は、外タンクリング壁、内タンクリング壁、および前記外タンクリング壁と前記内タンクリング壁との間のタンクリング真空断熱空間を備えた多重壁タンクリングを含む。
【0016】
好ましくは、前記多重壁タンクリングの端は密閉されており、前記外タンクリング壁は前記外タンク壁スキンおよび前記内タンク壁スキンに緊密に接続され、前記タンク壁真空断熱空間と前記タンクリング真空断熱空間は共通空間真空ボリュームを共有する。
【0017】
好ましくは、前記多重壁閉鎖リングは、前記アクセス開口部を閉じるために多重壁タンクリングに挿入可能である。
【0018】
好ましくは、前記内タンクリング壁の内側と外閉鎖リング壁の外側は、前記アクセス開口部が前記閉鎖部によって閉鎖されたときに互いの間に締りばめを形成するように構成された滑らかな表面を有する。
【0019】
好ましくは、前記アクセス開口部はタンクフランジを有し、前記閉鎖部は前記タンクフランジと対になる閉鎖フランジを有し、閉鎖状態では前記閉鎖フランジが、特に多数のボルトおよびねじアセンブリによって前記タンクフランジに緊密に接続される。
【0020】
好ましくは、少なくとも1つのパイプが前記閉鎖部を貫通し、前記閉鎖部に固定された多層壁パイプセクションを有する。
【0021】
好ましくは、前記多重壁パイプセクションは、内パイプ壁と外パイプ壁とを有し、前記内パイプ壁と前記外パイプ壁の間にパイプ真空断熱空間が設けられる。
【0022】
好ましくは、前記パイプ真空断熱空間と前記パネル真空断熱空間は共通空間真空ボリュームを共有する。
【0023】
好ましくは、前記多重壁パイプセクションは前記内パネル壁から延び、前記外パイプ壁は前記内パネル壁に接続される。
【0024】
あるいは、前記多重壁パイプセクションは前記外パネル壁から延び、前記外パイプ壁は前記外パネル壁に接続される。
【0025】
好ましくは、いくつかの前記パイプは前記閉鎖部を貫通し、構造的支持として、および/または、前記内パネル壁と前記外パネル壁との間の距離を維持するために、前記内パネル壁と前記外側パネル壁に固定される。
【0026】
別の態様によれば、本発明は、前述の実施形態のいずれかによる極低温タンクを備えた航空機を提供する。
【0027】
本発明の好ましい実施形態は、液体水素タンク(LH2タンク)などの極低温タンクのための真空断熱アクセスパネルに関する。
【0028】
本発明の好ましい実施形態は、液体水素タンクの設計を改善する。好ましくは、タンクは二重壁真空断熱設計であり、これはこのような用途における最先端のタンク設計である。本発明の実施形態により、タンクの真空を破ることなくタンクを開いて内部にアクセスすることが可能になる。このような設計は、水素動力航空機に好んで使用される。
【0029】
現在、水素タンクは通常溶接によって完全に密閉されている。溶接部やタンク構造を切断せずにタンクの内部にアクセスすることは不可能である。したがって、タンク内の機器や設備は、多大な労力をかけてのみ保守または交換できる。その結果、通常はタンク全体を航空機から取り外し、航空機外のショップで修理する必要がある。
【0030】
従来の航空機燃料タンクの中には、修理やメンテナンスの目的で航空機に搭載された燃料タンクの内部にアクセスできるアクセス開口部を備えているものがある。本発明の実施形態によれば、メンテナンスおよび修理のためのこのようなタンクアクセスを、航空機で使用される液体水素タンクまたはその他の極低温タンクにも提供することができる。本発明の実施形態では、タンクアクセス開口部はパネルを含む閉鎖部によって閉鎖される。いくつかの実施形態では、このパネルは二重壁であり、真空断熱されている。パネルは、冷たい水素への熱の侵入が最小限に抑えられるように設計され、タンクに取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる極低温タンクを備えた航空機を示す図である。
【
図2】アクセス開口部と、閉鎖状態におけるこのアクセス開口部のための閉鎖部と、を備えた極低温タンクの一部(例えば、上部)の断面図である。
【
図3】アクセス開口部と閉鎖部が開いた状態における
図2と同様の断面図である。
【
図4】アクセス開口部と閉鎖部が閉じた状態の極低温タンクの一部を示す斜視図である。
【
図5】アクセス開口部と閉鎖部が開いた状態の極低温タンクの一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施形態について、添付の図面を参照して以下に説明する。
【0033】
図1を参照すると、航空機30は胴体32を備える。航空機30は、胴体32取り付けられた一対の翼34をさらに備える。さらに、各翼34にはエンジン36が取り付けられている。
【0034】
航空機30は、水平尾翼と垂直尾翼を含む尾翼セクション(aft section)38を備える。さらに、航空機30はタンク配置構成(tank arrangement)40を備える。タンク配置構成40は、尾翼セクション38に好ましくは配置される極低温タンク10を備える。なお、極低温タンク10は、異なる形状を有する、および/または、航空機30の異なるセクションに配置されてもよい。
【0035】
タンク10は、エンジン36に直接供給できる水素燃料を含む。水素燃料は燃料電池(図示せず)に供給されてもよく、そこで水素が電気エネルギーに変換され、その電気エネルギーがエンジン36に供給される。水素燃料は、極低温液体、すなわち液体水素(LH2)の形態でタンク10内に貯蔵される。
【0036】
図2~
図5を参照して、極低温タンク10の実施形態をさらに詳細に説明する。
【0037】
極低温タンク10は、多重タンク壁42と、メンテナンスや修理サービスのために極低温タンク10の内部46にアクセスできるようにする多重タンク壁42におけるアクセス開口部(access opening)44と、アクセス開口部44を閉じるための閉鎖部(closure)48とを備える。
【0038】
図示の実施形態では、極低温タンク10は二重壁タンク10であり、多重タンク壁42は、内タンク壁スキン(inner tank wall skin)50、外タンク壁スキン(outer tank wall skin)52、および内タンク壁スキン50と外タンク壁スキン52との間のタンク壁真空断熱空間54を含む。
【0039】
閉鎖部48は、外パネル壁2、内パネル壁3、および外パネル壁2と内パネル壁3との間のパネル真空断熱空間58を含む多重壁パネル56を備える。
【0040】
図示の実施形態では、アクセス開口部44は極低温タンク10の上部に配置されている。
図2は、閉じた状態での、この上部の断面図を示し、
図3は開いた状態での上部の断面図を示し、
図4は閉じた状態での上部の斜視図を示し、
図5は開いた状態での上部の斜視図を示す。
【0041】
図示の実施形態では、多重壁パネル56は二重壁アクセスパネルである。このパネル56は、パネルフランジ1と、外パネル壁2としての上壁と、内パネル壁3としての下壁とを有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、閉鎖部48は、外閉鎖リング壁4、内閉鎖リング壁5、および外閉鎖リング壁4と内閉鎖リング壁5との間の閉鎖リング真空断熱空間62を備えた多重壁閉鎖リング60をさらに含む。
【0043】
図2~
図5を参照すると、多重壁閉鎖リング60は、多重壁パネル56に取り付けられた一種の「シャフト」である。このシャフトは、外閉鎖リング壁4としての外リング、内閉鎖リング壁5として内リング、および下閉鎖プレート6から構成される。これらの部品1、2、3、4、5、および6はすべて共に溶接されて、単一の閉鎖間空間ボリューム(single closure interspace volume)7を形成する。この単一の閉鎖間空間ボリューム7は、例えば、閉鎖部48の端領域で流体連通して組み合わされたパネル真空断熱空間58と閉鎖リング真空断熱空間62によって構成される。このボリューム7内の空気は、真空ポート8を通じて排出される。多層断熱材(Multi Layer Insulation(MLI)詳細は図示せず)9が閉鎖間空間ボリューム7内に取り付けられている。
【0044】
多重タンク壁42の側において、パネルフランジ1と接続する別のフランジ(タンクフランジ11)が多重タンク壁42に取り付けられている。タンクフランジ11とパネルフランジ1との間にはシール12が設けられている。フランジ1、11は、複数のボルト・ねじアセンブリ13によって互いに締め合わされている。
【0045】
いくつかの実施形態では、多重タンク壁42は、外タンクリング壁配置構成14、15、内タンクリング壁16、並びに外および内タンクリング壁14、15、16の間のタンクリング真空断熱空間66を備えた多重壁タンクリング64を含む。いくつかの実施形態では、外タンクリング壁配置構成は、内タンク壁スキン50の内側に配置された内側外タンクリング壁14と、外タンク壁スキン52の外側に配置された外側外タンクリング壁15とを含む。図示の実施形態では、多重壁タンクリング64は、タンクフランジ11に接続された一種の「シャフト」である。このシャフトは、内側外タンクリング壁14(例えば、タンク壁材から作られた下外リング)、外側外タンクリング壁15(例えば、タンク壁材から作られた上外リング)、内タンクリング壁16(例えば、タンク壁材から作られた内リング)、および内側閉鎖プレート17(例えば、多重壁タンクリング64の内側端を閉じるためにタンク壁材から作られた下閉鎖プレート)から構成される。多重壁タンクリング64の他端は、タンクフランジ11によって密閉されている。
【0046】
すべてのタンク側部品11、14、15、16、17、50、および52は溶接され、多重壁タンクリング64によって定められるアクセス開口部44を備えた多重タンク壁42を形成する。単一のタンク壁間空間ボリューム(single tank wall interspace volume)18が、多重タンク壁42内に作成される。すなわち、スキン50、52間およびタンクリング壁14、15、16間の真空断熱空間54、66が、単一のタンク壁間空間ボリューム18に結合される。このタンク壁間空間ボリューム18も、多層断熱材(MLI、詳細は図示せず)19によって断熱されている。
【0047】
外閉鎖リング壁4の外側と内タンクリング壁16の内側は滑らかな表面を有し、閉じた状態では、互いに密着して、締りばめが形成される。タンク10から水素が漏れるのを防ぐために、パネルフランジ1にシール12が取り付けられている。
【0048】
極低温タンク10内に延びるパイプ20は、アクセスパネル56を通って配設される。パイプ20には、パイプ20に沿った熱の侵入を最小限にするために二重壁セクション21が取り付けられている。この二重壁セクション21は、一端(ここでは上部に示す)で閉鎖間空間ボリューム7に開いており、パネル56の他の部分と共通の真空を形成する。他端(ここでは下部に示す)は、溶接(図示せず)によってパイプに閉じられている。二重壁セクション21の内部は、多層断熱材(MLI、図示せず)によって断熱されている。
【0049】
パイプ20は構造的なサポートとしても機能し、外パネル壁2と内パネル壁3の間の距離を確保する。
【0050】
図示の実施形態では、二重壁セクション21はタンクの内部46に延びているが、タンクの内部に延びる冷たい内パイプを断熱するために二重壁セクションを外側に配置することも可能である。
【0051】
航空機(30)に搭載されたタンク内部のメンテナンス、検査、修理のためにタンクへのアクセスを提供する航空機(30)のための極低温タンク(10)について説明した。アクセス開口部(44)は、真空断熱された多重壁パネル(56)を含む取り外し可能な閉鎖部(48)によって閉鎖され、この多重壁パネル(56)は、極低温タンク(10)への熱の侵入が最小限に抑えられるように設計され、多重タンク壁(42)に取り付けられている。利点は、取り外し可能な閉鎖部(48)を開閉することによって真空が影響されないことである。
【符号の説明】
【0052】
1 パネルフランジ
2 外パネル壁
3 内パネル壁
4 外閉鎖リング壁
5 内閉鎖リング壁
6 閉鎖プレート
7 閉鎖間空間ボリューム
8 真空ポート
9 多層断熱材(閉鎖間空間ボリューム内)
10 極低温タンク
11 タンクフランジ
12 シール
13 ボルトとねじアセンブリ
14 内側外タンクリング壁
15 外側外タンクリング壁
16 内タンクリング壁
17 端プレート(多重壁タンクリングの端プレート)
18 タンク壁間空間ボリューム
19 多層断熱材(タンク壁間空間ボリューム内)
20 パイプ
21 二重壁セクション
30 飛行機
32 胴体
34 翼
36 エンジン
38 尾翼セクション
40 タンク配置構成
42 多重タンク壁(例:二重タンク壁)
44 アクセス開口部
46 タンク内部
48 閉鎖部
50 内タンク壁スキン
52 外タンク壁スキン
54 タンク壁真空断熱空間
56 パネル
58 パネル真空断熱空間
60 多重壁閉鎖リング
62 閉鎖リング真空断熱空間
64 多重壁タンクリング
66 タンクリング真空断熱空間