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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173767
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】扉開閉補助装置、及び扉構造体
(51)【国際特許分類】
   E05F 1/12 20060101AFI20241205BHJP
   E05F 1/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
E05F1/12
E05F1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024085836
(22)【出願日】2024-05-27
(31)【優先権主張番号】P 2023090311
(32)【優先日】2023-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】516217321
【氏名又は名称】大和電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】下浦 博生
【テーマコード(参考)】
2E050
【Fターム(参考)】
2E050AA03
2E050BA04
2E050CA00
2E050EA01
2E050EB02
(57)【要約】
【課題】扉の開閉をスムーズに行えるとともに、グリス等の油分を使用しなくても安定的に使用可能な扉開閉補助装置、及び扉構造体の実現を目的とした。
【解決手段】扉開閉補助装置10は、第一接続部30と、第二接続部40と、第一接続部30及び第二接続部40を繋ぐ中間部20とを有する。中間部20は、回動軸3hに沿って延びる軸方向延伸部22を構成できるものであり、ワイヤーケーブル26を備えている。扉開閉補助装置10は、第一接続部30を扉3、第二接続部40を支持体5に対して接続した状態として取り付けられる。扉3に対して回動力を作用させることにより、ワイヤーケーブル26に対して捩り力を作用させるとともに、扉3に対する回動力を解除あるいは低減させることにより、ワイヤーケーブル26に復元力を発現させ、回動力の作用方向とは反対方向に向けて扉3を回動させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回動軸を中心として回動することにより開閉する開き戸の開閉を補助する扉開閉補助装置であって、
前記開き戸に対して接続される第一接続部と、
前記開き戸を回動可能に支持する支持体に対して接続される第二接続部と、
前記第一接続部及び前記第二接続部を繋ぐ中間部と、
を有し、
前記中間部の少なくとも一部が、前記回動軸に沿って延びるように配される軸方向延伸部を構成できるものであり、
前記中間部が、少なくとも前記軸方向延伸部を構成する部分において、複数のストランドを撚ることにより形成されたワイヤーケーブルを備えており、
前記ワイヤーケーブルが、前記第一接続部側、及び前記第二接続部側において回動不能に固定されており、
前記第一接続部を前記開き戸に対して接続するとともに、前記第二接続部を前記支持体に対して接続した状態として取り付けられ、
前記開き戸に対して前記回動軸を中心として回動させる方向への回動力を作用させることにより、前記軸方向延伸部において、前記ワイヤーケーブルに対して捩り力を作用させ、
前記開き戸に対する前記回動力を解除あるいは低減させることにより、前記ワイヤーケーブルに作用した前記捩り力の作用方向とは反対方向への復元力を発現させ、前記回動力の作用方向とは反対方向に向けて前記開き戸を回動させることができること、を特徴とする扉開閉補助装置。
【請求項2】
前記第一接続部における前記開き戸に対する前記第一接続部の周方向への接続位置、及び前記第二接続部における前記支持体に対する前記第二接続部の周方向への接続位置の少なくともいずれかを変更することにより、前記ワイヤーケーブルにおける前記ストランドの撚り状態を調整できること、を特徴とする請求項1に記載の扉開閉補助装置。
【請求項3】
前記第一接続部及び前記第二接続部の少なくとも一方が、
前記中間部に対して固定される固定部と、
前記固定部に対して係合する係合部と、
を有し、
前記固定部及び前記係合部の係合位置を周方向に複数段階、あるいは無段階に変更して調整できるものであり、
前記固定部及び前記係合部の係合位置を周方向に調整することにより、前記ワイヤーケーブルにおける前記ストランドの撚り状態を調整できること、を特徴とする請求項1又は2に記載の扉開閉補助装置。
【請求項4】
前記固定部及び前記係合部のうち一方が、スプライン軸を備えたものであり、
前記固定部及び前記係合部のうち他方が、前記スプライン軸が嵌合可能なスプラインハブを備えたものであり、
前記スプライン軸を前記スプラインハブに挿入してスプライン接続構造を形成することにより、前記固定部及び前記係合部が係合状態とされるものであり、
前記スプライン軸及び前記スプラインハブの嵌合位置を周方向に変更することにより、前記ワイヤーケーブルにおける前記ストランドの撚り状態を調整できること、を特徴とする請求項3に記載の扉開閉補助装置。
【請求項5】
前記ワイヤーケーブルは、前記開き戸に対して前記回動軸を中心として回動させる方向への回動力が作用することにより、前記ストランドの撚り方向とは反対方向への捩り力が作用するように設けられていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の扉開閉補助装置。
【請求項6】
前記中間部は、長手方向の途中において屈曲可能とされており、前記軸方向延伸部に対して交差する方向に延びる交差方向延伸部を形成できるものであり、
前記第一接続部は、前記交差方向延伸部において、前記軸方向延伸部とは反対側となる位置に設けられていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の扉開閉補助装置。
【請求項7】
前記第一接続部及び前記第二接続部の少なくとも一方に対して、クランプ部が設けられており、
前記第一接続部及び前記第二接続部の少なくとも一方が、前記クランプ部を介して前記開き戸あるいは前記支持体に対して接続されること、を特徴とする請求項1又は2に記載の扉開閉補助装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の扉開閉補助装置と、
所定の回動軸を中心として回動することにより開閉する開き戸と、
前記開き戸を回動可能に支持する支持体と、
を有し、
前記開き戸及び前記支持体に対して前記扉開閉補助装置が取り付けられていること、を特徴とする扉構造体。
【請求項9】
前記中間部は、長手方向の途中において屈曲可能とされており、前記軸方向延伸部に対して交差する方向に延びる交差方向延伸部を有するものであり、
前記扉開閉補助装置は、前記軸方向延伸部の長さが、前記交差方向延伸部の長さよりも長くなるように取り付けられること、を特徴とする請求項8に記載の扉構造体。
【請求項10】
前記固定部及び前記係合部のうち一方が、スプライン軸を備えたものであり、
前記固定部及び前記係合部のうち他方が、前記スプライン軸が嵌合可能なスプラインハブを備えたものであり、
前記スプライン軸を前記スプラインハブに挿入してスプライン接続構造を形成することにより、前記固定部及び前記係合部が係合状態とされるものであり、
前記スプライン軸には、複数の軸側凹部が形成されており、
前記スプラインハブは、前記スプライン軸を挿通するための挿通孔が貫通形成されており、
前記挿通孔の周面には、挿入始端から挿入終端に亘って、前記軸側凹部と係合する複数の突起が形成されており、
前記軸側凹部は、前記突起の軸線方向長さよりも短く形成されると共に、前記軸側凹部の形成終端部が、前記突起の前記挿入始端と係合すること、を特徴とする請求項3に記載の扉開閉補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉開閉補助装置、及び扉構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に係る高所作業部昇り口の転落事故防止装置のようなものが提供されている。下記特許文献1に係る従来技術においては、作業用架台において作業部に乗り移るための昇り口として設けられた開口部を塞ぐように配設された扉が、支持部によって軸を中心に回動自在とされている。また、下記特許文献1に係る転落事故防止装置においては、支持部がスリーブ内に扉のパイプを収容するとともに、スリーブに斜めの切欠が形成され、この切欠に扉側に取り付けられたベアリングを収容して、切欠の傾斜面とベアリングとの係合により扉の重量を支持した構成とされている。下記特許文献1に係る転落事故防止装置は、扉を作業部上の方向に押すと開き、手を離すと傾斜面に沿って自重で閉じるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7-25151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1に係る転落事故防止装置のように、スリーブに形成された斜めの切欠に対し、扉側に取り付けられたベアリングを切欠の傾斜面に係合させた構成とした場合、切欠においてベアリングがスムーズに摺動できないと、扉がスムーズに開閉できなかったり、扉によって開口部が完全に閉止することなく開放された状態のままになってしまったりするといった問題があった。また、特許文献1に係る転落事故防止装置のような構成とした場合、切欠やベアリングにグリス等を塗布する等してメンテナンスを行う必要があるが、グリスに塵埃が付着する等すると、扉がスムーズに開閉できない状態になってしまうといった問題があった。さらに、特許文献1に係る転落事故防止装置のような構成とした場合、切欠やベアリングに塗布したグリス等が落下すると、周辺環境を汚染してしまうことになる。特に、洋上で作業する場所に設けられるものである場合には、グリス等の油分が落下すると海洋汚染等に繋がる懸念があることから、グリス等の油分を使用しなくても使用可能なものの提供が求められている。
【0005】
そこで本発明は、高所作業を行う現場や、工場や作業現場等において、作業用の架台や領域を囲んだり、他の領域から隔てるように設けられ、転落事故や作業領域等への侵入を防止する等の用途で用いられる扉の開閉をスムーズに行えるとともに、グリス等の油分を使用しなくても安定的に使用可能な扉開閉補助装置、及び扉構造体の実現を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の扉開閉補助装置は、所定の回動軸を中心として回動することにより開閉する開き戸の開閉を補助するものであって、前記開き戸に対して接続される第一接続部と、前記開き戸を回動可能に支持する支持体に対して接続される第二接続部と、前記第一接続部及び前記第二接続部を繋ぐ中間部と、を有し、前記中間部の少なくとも一部が、前記回動軸に沿って延びるように配される軸方向延伸部を構成できるものであり、前記中間部が、少なくとも前記軸方向延伸部を構成する部分において、複数のストランドを撚ることにより形成されたワイヤーケーブルを備えており、前記ワイヤーケーブルが、前記第一接続部側の端部、及び前記第二接続部側の端部において回動不能に固定されており、前記第一接続部を前記開き戸に対して接続するとともに、前記第二接続部を前記支持体に対して接続した状態として取り付けられ、前記開き戸に対して前記回動軸を中心として回動させる方向への回動力を作用させることにより、前記軸方向延伸部において、前記ワイヤーケーブルに対して捩り力を作用させ、前記開き戸に対する前記回動力を解除あるいは低減させることにより、前記ワイヤーケーブルに作用した前記捩り力の作用方向とは反対方向への復元力を発現させ、前記回動力の作用方向とは反対方向に向けて前記開き戸を回動させることができること、を特徴とするものである。
【0007】
本発明の扉開閉補助装置は、中間部の少なくとも一部をなす軸方向延伸部を有し、開き戸からなる扉の回動軸に沿って延びるように軸方向延伸部を配した状態で設置することができる。本発明の扉開閉補助装置は、少なくとも軸方向延伸部を構成する部分にワイヤーケーブルを備えている。また、ワイヤーケーブルは、開き戸に対して接続される第一接続部側、及び開き戸を回動可能に支持する支持体に対して接続される第二接続部側において、回動不能に固定されている。そのため、本発明の扉開閉補助装置は、扉に対して回動軸を中心として回動させる方向への回動力を作用させることにより、軸方向延伸部において、ワイヤーケーブルに対して捩り力を作用させることができる。また、本発明の扉開閉補助装置は、このようにしてワイヤーケーブルに対して捩り力が作用した状態において、開き戸に対して作用する回動力が解除あるいは低減されると、ワイヤーケーブルにおいて、捩り力の作用方向とは反対方向への復元力が発現し、回動力の作用方向とは反対方向に向けて開き戸を回動させることができる。このように、本発明の扉開閉補助装置は、扉の回動に伴ってワイヤーケーブルに対して作用する捩り力を動力源として、扉をスムーズ回動させることができる。また、本発明の扉開閉補助装置は、ワイヤーケーブルに作用する捩り力を活用するものであるため、従来技術のもののように、グリス等の油分を使用しなくても安定的に使用することができる。
【0008】
(2)本発明の扉開閉補助装置は、前記第一接続部における前記開き戸に対する前記第一接続部の周方向への接続位置、及び前記第二接続部における前記支持体に対する前記第二接続部の周方向への接続位置の少なくともいずれかを変更することにより、前記ワイヤーケーブルにおける前記ストランドの撚り状態を調整できること、を特徴とするものであると良い。
【0009】
本発明の扉開閉補助装置は、上記(2)のような構成とすることにより、ワイヤーケーブルにおけるストランドの撚り状態(撚り強度)を調整できる。すなわち、本発明の扉開閉補助装置は、ワイヤーケーブルにおけるストランドの撚り方向に向けて第一接続部及び第二接続部を相対回転させることにより、ワイヤーケーブルにおいてストランドが一層強固に撚られた状態とすることができる。また、本発明の扉開閉補助装置は、ワイヤーケーブルにおけるストランドの撚り方向とは反対方向に向けて第一接続部及び第二接続部を相対回転させることにより、ワイヤーケーブルにおいてストランドの撚りを緩めることができる。本発明の扉開閉補助装置は、上述したように、ワイヤーケーブルに作用する捩り力を活用して扉を開閉させるものである。そのため、本発明の扉開閉補助装置は、上記(2)のような構成とすることにより、ワイヤーケーブルにおけるストランドの撚り状態(撚り強度)を調整することにより、扉に対して回動力を作用させた際にワイヤーケーブルにおいて発生する捩り力を調整し、扉の開閉動作の勢いや、開閉動作に要する力(回動力)の大きさを調整することができる。
【0010】
(3)本発明の扉開閉補助装置は、前記第一接続部及び前記第二接続部の少なくとも一方が、前記中間部に対して固定される固定部と、前記固定部に対して係合する係合部と、を有し、前記固定部及び前記係合部の係合位置を周方向に複数段階、あるいは無段階に変更して調整できるものであり、前記固定部及び前記係合部の係合位置を周方向に調整することにより、前記ワイヤーケーブルにおける前記ストランドの撚り状態を調整できるものであると良い。
【0011】
本発明の扉開閉補助装置は、上記(3)のような構成とすることにより、第一接続部及び第二接続部の少なくとも一方において、固定部及び係合部の係合位置を周方向に調整することにより、ワイヤーケーブルにおけるストランドの撚り状態(撚り強度)を調整できる。従って、本発明の扉開閉補助装置は、上記(3)のような構成とすることにより、固定部及び係合部の係合位置を調整することにより、扉に対して回動力を作用させた際にワイヤーケーブルにおいて発生する捩り力を調整し、扉の開閉動作の勢いや、開閉動作に要する力(回動力)の大きさを調整することができる。
【0012】
(4)本発明の扉開閉補助装置は、前記固定部及び前記係合部のうち一方が、スプライン軸を備えたものであり、前記固定部及び前記係合部のうち他方が、前記スプライン軸が嵌合可能なスプラインハブを備えたものであり、前記スプライン軸を前記スプラインハブに挿入してスプライン接続構造を形成することにより、前記固定部及び前記係合部が係合状態とされるものであり、前記スプライン軸及び前記スプラインハブの嵌合位置を周方向に変更することにより、前記ワイヤーケーブルにおける前記ストランドの撚り状態を調整できるものであると良い。
【0013】
本発明の扉開閉補助装置は、上記(4)のような構成とすることにより、第一接続部及び第二接続部の少なくとも一方において、固定部及び係合部をなすスプライン軸及びスプラインハブの係合位置を周方向に調整することにより、ワイヤーケーブルにおけるストランドの撚り状態(撚り強度)を調整できる。従って、本発明の扉開閉補助装置は、上記(4)のような構成とすることにより、固定部及び係合部の係合位置を調整することにより、扉に対して回動力を作用させた際にワイヤーケーブルにおいて発生する捩り力を調整し、扉の開閉動作の勢いや、開閉動作に要する力(回動力)の大きさを調整することができる。
【0014】
また、本発明の扉開閉補助装置は、上記(4)のように、固定部及び係合部を構成するスプライン軸及びスプラインハブによるスプライン接続構造により、固定部及び係合部を係合させるものである。スプライン軸及びスプラインハブは、それぞれ複数の突起及び凹部があり、それらが周方向に均等に配置されたものであるため、大きなトルクを効率的に伝達することができる。従って、本発明の扉開閉補助装置は、固定部及び係合部におけるトルクの伝達効率が高い。また、前述のように、固定部及び係合部をスプライン接続構造によって接続するものとした場合、固定部及び係合部を軸方向に相対的にスライドさせることにより固定部及び係合部の接続や分解を行うことができる。従って、本発明の扉開閉補助装置は、固定部及び係合部の接続作業や分解作業を容易に行うことができる。さらに、前述のように、固定部及び係合部をスプライン接続構造によって接続するものとした場合、複数の突起と複数の凹部の組み合わせにより固定部及び係合部が接続されることになるため、固定部及び係合部の接触面積が大きくなり、その分だけ固定部及び係合部の接続部分に作用する応力が分散されることになる。そのため、本発明の扉開閉補助装置は、固定部及び係合部の耐久性を向上させることができる。
【0015】
(5)本発明の扉開閉補助装置は、前記ワイヤーケーブルが、前記開き戸に対して前記回動軸を中心として回動させる方向への回動力が作用することにより、前記ストランドの撚り方向とは反対方向への捩り力が作用するように設けられているものであると良い。
【0016】
本発明の扉開閉補助装置は、上記(5)のような構成とすることにより、開き戸からなる扉に対して回動力を作用させた後、扉が元の状態に戻るときに過剰に勢いよく扉が動作するのを抑制できる。従って、本発明の扉開閉補助装置は、上記(5)のような構成とすることにより、扉を適度な勢いで動作させることが可能な、より一層安全性の高いものとすることができる。
【0017】
(6)本発明の扉開閉補助装置は、前記中間部が、長手方向の途中において屈曲可能とされており、前記軸方向延伸部に対して交差する方向に延びる交差方向延伸部を形成できるものであり、前記第一接続部は、前記交差方向延伸部において、前記軸方向延伸部とは反対側となる位置に設けられているものであると良い。
【0018】
本発明の扉開閉補助装置は、上記(6)のような構成とすることにより、軸方向延伸部に対して交差する方向に離れた位置において、第一接続部を介して開き戸からなる扉に対して接続することができる。これにより、本発明の扉開閉補助装置は、扉の回動軸や軸方向延伸部の近傍において扉に対して接続する場合に比べて、力の作用点が回動軸から離れる分だけ、より大きなモーメントが得られる。従って、本発明の扉開閉補助装置は、上記(6)のような構成とすることにより、扉の開閉を軽快かつスムーズに行うことができる。
【0019】
(7)本発明の扉開閉補助装置は、前記第一接続部及び前記第二接続部の少なくとも一方に対して、クランプ部が設けられており、前記第一接続部及び前記第二接続部の少なくとも一方が、前記クランプ部を介して前記開き戸あるいは前記支持体に対して接続されるものであると良い。
【0020】
本発明の扉開閉補助装置は、上記(7)のような構成とすることにより、第一接続部及び第二接続部の少なくとも一方について、開き戸あるいは支持体に対する接続を容易に行うことができる。
【0021】
(8)本発明の扉構造体は、上述した本発明の扉開閉補助装置と、所定の回動軸を中心として回動することにより開閉する開き戸と、前記開き戸を回動可能に支持する支持体と、を有し、前記開き戸及び前記支持体に対して前記扉開閉補助装置が取り付けられているものである。
【0022】
本発明の扉構造体は、上述した本発明の扉開閉補助装置を、開き戸及び支持体に対して接続したものであるため、扉の開閉をスムーズに行えるとともに、グリス等の油分を使用しなくても安定的に使用することができる。
【0023】
(9)本発明の扉構造体は、前記中間部は、長手方向の途中において屈曲可能とされており、前記軸方向延伸部に対して交差する方向に延びる交差方向延伸部を有するものであり、前記扉開閉補助装置は、前記軸方向延伸部の長さが、前記交差方向延伸部の長さよりも長くなるように取り付けられるものであると良い。
【0024】
本発明の扉構造体は、上記(9)のような構成とすることにより、扉の開閉に伴って負荷が作用する軸方向延伸部を大きく確保できる。これにより、本発明の扉構造体は、扉開閉補助装置において扉開閉補助装置の軸方向延伸部に作用する負荷を分散させ、扉開閉補助装置の長寿命化を図ることができる。
【0025】
(10)本発明の扉開閉補助装置は、前記固定部及び前記係合部のうち一方が、スプライン軸を備えたものであり、前記固定部及び前記係合部のうち他方が、前記スプライン軸が嵌合可能なスプラインハブを備えたものであり、前記スプライン軸を前記スプラインハブに挿入してスプライン接続構造を形成することにより、前記固定部及び前記係合部が係合状態とされるものであり、前記スプライン軸には、複数の軸側凹部が形成されており、前記スプラインハブは、前記スプライン軸を挿通するための挿通孔が貫通形成されており、前記挿通孔の周面には、挿入始端から挿入終端に亘って、前記軸側凹部と係合する複数の突起が形成されており、前記軸側凹部は、前記突起の軸線方向長さよりも短く形成されると共に、前記軸側凹部の形成終端部が、前記突起の前記挿入始端と係合するものであると良い。
【0026】
本発明の扉開閉補助装置は、上記(10)のように構成することにより、固定部(スプライン軸)にフランジを設ける必要がない。したがって、固定部の構成を簡素なものとすることができ、コストを低減できる。また、本発明の扉開閉補助装置は、軸側凹部の上端部分における形成終端部の位置を調整することにより、固定部及び係合部の係合量を調整できる。これにより、本発明の扉開閉補助装置は、取り付け時の調整を容易に行うことができるので、取り付け性を向上できると共に、扉開閉時の勢いを調整することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、上述した課題を解決可能な扉開閉補助装置、及び扉構造体の提供を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態に係る扉開閉補助装置、及び扉構造体を示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る扉開閉補助装置を示す正面図である。
図3図1の要部拡大図である。
図4】変形例1に係る扉開閉補助装置が備える接続具を示す分解斜視図である。
図5】変形例1に係る扉開閉補助装置が備える接続具を示す断面図である。
図6】(a)は変形例2に係る扉開閉補助装置が備える接続具を示す平面図、(b)は当該接続具に係る斜視図である。
図7】(a)は変形例3に係る扉開閉補助装置が備える接続具を示す平面図、(b)は当該接続具に係る斜視図である。
図8】変形例4に係る扉開閉補助装置が備える接続具を示す断面図である。
図9】(a)は変形例5に係る扉開閉補助装置が備える接続具を示す平面図、(b)は当該接続具に係る斜視図である。
図10】変形例6に係る扉開閉補助装置が備える接続具を示す一部破断正面図である。
図11】変形例6に係る扉開閉補助装置が備える接続具に係る斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
≪第一実施形態≫
以下、本発明の第一実施形態に係る扉構造体1及び扉開閉補助装置10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、上下左右等の位置関係については、特に断りのない限り、扉構造体1及び扉開閉補助装置10を通常の設置状態で設置した姿勢を基準として説明する。
【0030】
扉構造体1は、例えば、高所作業を行う現場や、工場や作業現場等において、作業用の架台や領域を囲んだり、他の領域から隔てるように設けられ、転落事故や作業領域等への侵入を防止する等の用途で用いられる柵等において好適に用いられるものであり、作業者の出入り等のために設けられる扉に係る構造体である。図1に示すように、扉構造体1は、扉3、支持体5、及び扉開閉補助装置10を備えている。
【0031】
扉3は、所定の回動軸を中心として回動することにより開閉する開き戸によって構成されている。図示例では、扉3は、縦方向(上下方向)に延びる縦枠部3a、横方向(水平方向)に延びる横枠部3b、及び桟部3cを有する。扉3は、上端側及び下端側において、対向配置された2本の縦枠部3aの間を横枠部3bで繋ぐことにより形成された枠状体3dによって略矩形の外形が形成されるとともに、枠状体3dに対して桟部3cを取り付けた構成とされている。桟部3cは、上下に離れて配置された2本の横枠部3b,3bの中間において、横枠部3bに対して略並行となるように配されるとともに、両端部が水平方向に離れて配置された2本の縦枠部3a,3aに対して接続されている。
【0032】
扉3は、幅方向一方側に設けられた蝶番3eを介して支持体5に対して回動可能に取り付けられている。蝶番3eは、従来公知のものと同様に、二つのヒンジリーフ3f,3fをピン3gによって連結することにより、ピン3gを支軸としてヒンジリーフ3f,3fを回動可能に連結したものである。蝶番3eを構成する一方のヒンジリーフ3fを扉3に対して固定し、他方のヒンジリーフ3fを支持体5に対して固定することにより、扉3は、ピン3gを回動軸3hとして回動可能に取り付けられている。
【0033】
支持体5は、開き戸からなる扉3を回動可能に支持するものである。図示例では、支持体5は、作業用の架台等からなる領域を囲むように設けられた柵によって構成されている。具体的には、支持体5は、柱部5a、横桟部5bを備えている。
【0034】
柱部5aは、作業用の架台等からなる領域の周囲に設置され、柵の骨組みを構成する縦方向(上下方向)に延びる部材である。柱部5aは、所定の間隔で配置され、横桟部5bと組み合わされて、柵の全体構造を形成する。横桟部5bは、隣接する柱部5aの間を横方向(水平方向)に連結する部材であり、作業者の転落等を防止するための部材である。横桟部5bは、柱部5aの高さ方向に複数(図示例では4本)に設けられている。支持体5は、隣接する柱部5a,5aの間を横桟部5bで連結することなく解放された扉設置部5cを有する。扉設置部5cは、上述した扉3の幅と同等あるいはこれよりも僅かに大きい程度の幅(間口)を有する。また、扉設置部5cの幅方向一方側に立設された柱部5aに対し、上述した扉3が蝶番3eを介して接続されている。
【0035】
扉開閉補助装置10は、上述した扉3の開閉を補助する装置である。図2に示すように、扉開閉補助装置10は、上述した扉3及び支持体5に対して取り付けられている。扉開閉補助装置10は、中間部20、第一接続部30、及び第二接続部40を備えている。
【0036】
中間部20は、第一接続部30及び第二接続部40を繋ぐように設けられた部分である。中間部20は、長手方向の途中において屈曲可能なものとされている。本実施形態では、中間部20は、略「L」字型に屈曲可能とされている。中間部20は、長手方向の途中において形成された屈曲箇所を境として一方側を軸方向延伸部22とし、他方側を交差方向延伸部24とすることができる。
【0037】
図1図3に示すように、軸方向延伸部22は、扉3及び支持体5に対して扉開閉補助装置10を取り付けた状態において、扉3の回動軸3hに沿って延びるように配される部分である。また、交差方向延伸部24は、軸方向延伸部に対して交差する方向に延びる部分である。中間部20は、軸方向延伸部22及び交差方向延伸部24をなす部分のうち、少なくとも軸方向延伸部22をなす部分においてワイヤーケーブルを備えた構成とされている。本実施形態では、中間部20は、軸方向延伸部22及び交差方向延伸部24を含む全体が、ワイヤーケーブル26によって構成されている。また、ワイヤーケーブル26は、第一接続部30側の端部、及び第二接続部40側の端部において回動不能に固定されている。
【0038】
図2に示すように、ワイヤーケーブル26は、複数のストランド26aを撚ることにより形成されたものである。具体的には、本実施形態で用いられるワイヤーケーブル26は、図示しない中心線(コア)と、取り巻く複数の層からなるストランド26aを備えたものとされている。各ストランド26aは、複数の金属線(ワイヤー)を捩じり合わせたものである。ワイヤーケーブル26は、複数の金属線(ワイヤー)を捩じり合わせてなるストランド26aをさらに捩じり合わせることにより形成されている。ストランド26aは、ワイヤーケーブル26の周囲を取り巻くように配置され、コアを中心に捩じり合わせられている。ストランド26aは、ワイヤーケーブル26全体の強度と柔軟性に寄与する。
【0039】
ストランド26aの数、形状、材料、および捩じり方向(撚り方向)は、扉開閉補助装置10においてワイヤーケーブル26に要求される性能等に応じて適宜変更可能である。例えば、ワイヤーケーブル26には、いわゆる「S撚り」と呼ばれるもののように、ストランド26aが左斜め上方向に撚り合わせられたものや、いわゆる「Z撚り」と呼ばれるもののように、ストランド26aが右斜め上方向に撚り合わせられたものを適宜選択することができる。さらに詳細には、ワイヤーケーブル26は、扉3に対して回動軸3hを中心として回動させる方向への回動力が作用することにより、ストランド26aの撚り方向とは反対方向への捩り力が作用するように、「S撚り」あるいは「Z撚り」のいずれかを選択すると良い。
【0040】
図1図3に示すように、第一接続部30は、扉3に対して接続される部分である。第一接続部30は、中間部20において軸方向延伸部22をなす側の位置に設けられている。図1図3に示すように、本実施形態では、第一接続部30は、軸方向延伸部22の端部に設けられている。
【0041】
図1図3に示すように、第二接続部40は、扉3を回動可能に支持する支持体5に対して接続される部分である。図1図3に示すように、第二接続部40は、軸方向延伸部とは反対側の位置に設けられている。すなわち、第二接続部40は、中間部20において交差方向延伸部24をなす側の位置に設けられている。本実施形態では、第二接続部40は、交差方向延伸部24の端部に設けられている。
【0042】
上述した第一接続部30及び第二接続部40は、接続部材50を用いて構成されている。接続部材50は、鋼材により形成された筒状の部材とされている。接続部材50は、中間部20をなすワイヤーケーブル26に対し、溶接や接着、クランプ等の固定具を用いた固定方法等により固定することができるが、本実施形態では接続部材50をなす筒体に対してワイヤーケーブル26を差し込んでかしめて固定する方法が採用されている。これにより、接続部材50は、ワイヤーケーブル26に対して相対回転不能に固定されている。
【0043】
図1図3に示すように、第一接続部30は、上述した接続部材50を支持体5に対して固定することにより取り付けられる。具体的には、第一接続部30は、支持体5において扉3の設置のために蝶番3eが取り付けられている柱部5aに対し、中間部20の軸方向延伸部22をなす部分が回動軸3hに沿って上下方向(本実施形態では上方)に延びるように取り付けられる。第一接続部30は、接続部材50を溶接や接着、クランプ等の固定具を用いた固定方法等により支持体5に対して固定することにより設置できる。本実施形態では、第一接続部30をなす接続部材50が鋼材によって形成されているため、溶接により支持体5に対して強固に固定することができる。
【0044】
図1図3に示すように、第二接続部40は、上述した接続部材50を支持体5に対して固定することにより取り付けられる。具体的には、本実施形態においては、中間部20を中途部分において屈曲させることにより交差方向延伸部24が形成される。交差方向延伸部24は、扉3の横枠部3bあるいは桟部3c(本実施形態では横枠部3b)に沿って延びるように設けられる。第二接続部40は、このようにして横枠部3bに沿って延びる中間部20の交差方向延伸部24の端部において、桟部3cに対して固定される。第二接続部40は、接続部材50を溶接や接着、クランプ等の固定具を用いた固定方法等により扉3に対して固定することにより設置できる。本実施形態では、第二接続部40をなす接続部材50が鋼材によって形成されているため、溶接により扉3に対して強固に固定することができる。
【0045】
上述したようにして第一接続部30及び第二接続部40を扉3や支持体5に対して取り付けるのに際し、第一接続部30及び第二接続部40の取付位置を調整することにより、軸方向延伸部22及び交差方向延伸部24の長さを調整することができる。本実施形態では、第一接続部30及び第二接続部40は、軸方向延伸部22の長さが、交差方向延伸部24の長さよりも長くなるように位置調整した状態で取り付けられる。
【0046】
扉構造体1は、上述したようにして、扉3及び支持体5に対して扉開閉補助装置10を取り付けたものとされている。扉構造体1は、このような構成とされているため、扉3を押したり引いたりすることにより、扉3に対して回動軸3hを中心として回動させる方向への回動力を作用させて扉3を開くことにより、中間部20の軸方向延伸部22においてワイヤーケーブル26に対して捩り力を作用させることができる。また、扉3に対して作用する回動力を解除あるいは低減させることにより、扉3を開状態とするときにワイヤーケーブル26に作用した捩り力の作用方向とは反対方向への復元力を発現させ、回動力の作用方向とは反対方向、すなわち扉3を閉じる方向に向けて扉3を回動させることができる。
【0047】
≪作用効果≫
上述した実施形態において例示した扉構造体1、及び扉開閉補助装置10は、以下の(a)~(f)のような特徴的構成を備えている。これにより、扉構造体1、及び扉開閉補助装置10は、以下に記載のような特有の効果を奏することができる。
【0048】
(a)本実施形態の扉開閉補助装置10は、所定の回動軸3hを中心として回動することにより開閉する扉3の開閉を補助するものであって、扉3に対して接続される第一接続部30と、扉3を回動可能に支持する支持体5に対して接続される第二接続部40と、第一接続部30及び第二接続部40を繋ぐ中間部20と、を有し、中間部20の少なくとも一部が、回動軸3hに沿って延びるように配される軸方向延伸部22を構成できるものであり、中間部20が、少なくとも軸方向延伸部22を構成する部分において、複数のストランド26aを撚ることにより形成されたワイヤーケーブル26を備えており、ワイヤーケーブル26が、第一接続部30側の端部、及び第二接続部40側の端部において回動不能に固定されており、第一接続部30を扉3に対して接続するとともに、第二接続部40を支持体5に対して接続した状態として取り付けられ、扉3に対して回動軸3hを中心として回動させる方向への回動力を作用させることにより、軸方向延伸部22において、ワイヤーケーブル26に対して捩り力を作用させ、扉3に対する回動力を解除あるいは低減させることにより、ワイヤーケーブル26に作用した捩り力の作用方向とは反対方向への復元力を発現させ、回動力の作用方向とは反対方向に向けて扉3を回動させることができるものである。
【0049】
本実施形態の扉開閉補助装置10は、中間部20の少なくとも一部をなす軸方向延伸部22を有し、開き戸からなる扉3の回動軸3hに沿って延びるように軸方向延伸部22を配した状態で設置することができる。本実施形態の扉開閉補助装置10は、少なくとも軸方向延伸部22を構成する部分にワイヤーケーブル26を備えている。また、ワイヤーケーブル26は、扉3に対して接続される第一接続部30側、及び扉3を回動可能に支持する支持体5に対して接続される第二接続部40側において、回動不能に固定されている。そのため、本実施形態の扉開閉補助装置10は、扉3に対して回動軸3hを中心として回動させる方向への回動力を作用させることにより、軸方向延伸部22において、ワイヤーケーブル26に対して捩り力を作用させることができる。また、本実施形態の扉開閉補助装置10は、このようにしてワイヤーケーブル26に対して捩り力が作用した状態において、扉3に対して作用する回動力が解除あるいは低減されると、ワイヤーケーブル26において、捩り力の作用方向とは反対方向への復元力が発現し、回動力の作用方向とは反対方向に向けて扉3を回動させることができる。このように、本実施形態の扉開閉補助装置10は、扉3の回動に伴ってワイヤーケーブル26に対して作用する捩り力を動力源として、扉3をスムーズ回動させることができる。また、本実施形態の扉開閉補助装置10は、ワイヤーケーブル26に作用する捩り力を活用するものであるため、従来技術のもののように、グリス等の油分を使用しなくても安定的に使用することができる。
【0050】
(b)本実施形態の扉開閉補助装置10は、第一接続部30における扉3に対する第一接続部30の周方向への接続位置、及び第二接続部40における支持体5に対する第二接続部40の周方向への接続位置の少なくともいずれかを変更することにより、ワイヤーケーブル26におけるストランド26aの撚り状態を調整できるものである。
【0051】
本実施形態の扉開閉補助装置10は、上記(b)のような構成とすることにより、ワイヤーケーブル26におけるストランド26aの撚り状態(撚り強度)を調整できる。すなわち、本実施形態の扉開閉補助装置10は、ワイヤーケーブル26におけるストランド26aの撚り方向に向けて第一接続部30及び第二接続部40を相対回転させることにより、ワイヤーケーブル26においてストランド26aが一層強固に撚られた状態とすることができる。また、本実施形態の扉開閉補助装置10は、ワイヤーケーブル26におけるストランド26aの撚り方向とは反対方向に向けて第一接続部30及び第二接続部40を相対回転させることにより、ワイヤーケーブル26においてストランド26aの撚りを緩めることができる。本実施形態の扉開閉補助装置10は、上述したように、ワイヤーケーブル26に作用する捩り力を活用して扉3を開閉させるものである。そのため、本実施形態の扉開閉補助装置10は、上記(b)のような構成とすることにより、ワイヤーケーブル26におけるストランド26aの撚り状態(撚り強度)を調整することにより、扉3に対して回動力を作用させた際にワイヤーケーブル26において発生する捩り力を調整し、扉3の開閉動作の勢いや、開閉動作に要する力(回動力)の大きさを調整することができる。
【0052】
(c)本実施形態の扉開閉補助装置10は、ワイヤーケーブル26が、扉3に対して回動軸3hを中心として回動させる方向への回動力が作用することにより、ストランド26aの撚り方向とは反対方向への捩り力が作用するように設けられているものである。
【0053】
本実施形態の扉開閉補助装置10は、上記(c)のような構成とすることにより、扉3からなる扉3に対して回動力を作用させた後、扉3が元の状態に戻るときに過剰に勢いよく扉3が動作するのを抑制できる。従って、本実施形態の扉開閉補助装置10は、上記(c)のような構成とすることにより、扉3を適度な勢いで動作させることが可能な、より一層安全性の高いものとすることができる。
【0054】
(d)本実施形態の扉開閉補助装置10は、中間部20が、長手方向の途中において屈曲可能とされており、軸方向延伸部22に対して交差する方向に延びる交差方向延伸部24を形成できるものであり、第一接続部30は、交差方向延伸部24において、軸方向延伸部22とは反対側となる位置に設けられているものである。
【0055】
本実施形態の扉開閉補助装置10は、上記(d)のような構成とすることにより、軸方向延伸部22に対して交差する方向に離れた位置において、第一接続部30を介して扉3からなる扉3に対して接続することができる。これにより、本実施形態の扉開閉補助装置10は、扉3の回動軸3hや軸方向延伸部22の近傍において扉3に対して接続する場合に比べて、力の作用点が回動軸3hから離れる分だけ、より大きなモーメントが得られる。従って、本実施形態の扉開閉補助装置10は、上記(d)のような構成とすることにより、扉3の開閉を軽快かつスムーズに行うことができる。
【0056】
(e)本実施形態の扉構造体1は、上述した本実施形態の扉開閉補助装置10と、所定の回動軸3hを中心として回動することにより開閉する扉3と、扉3を回動可能に支持する支持体5と、を有し、扉3及び支持体5に対して扉開閉補助装置10が取り付けられているものである。
【0057】
本実施形態の扉構造体1は、上述した本実施形態の扉開閉補助装置10を、扉3及び支持体5に対して接続したものであるため、扉3の開閉をスムーズに行えるとともに、グリス等の油分を使用しなくても安定的に使用することができる。
【0058】
(f)本実施形態の扉構造体1は、中間部20は、長手方向の途中において屈曲可能とされており、軸方向延伸部22に対して交差する方向に延びる交差方向延伸部24を有するものであり、扉開閉補助装置10は、軸方向延伸部22の長さが、交差方向延伸部24の長さよりも長くなるように取り付けられるものである。
【0059】
本実施形態の扉構造体1は、上記(f)のような構成とすることにより、扉3の開閉に伴って負荷が作用する軸方向延伸部22を大きく確保できる。これにより、本実施形態の扉構造体1は、扉開閉補助装置10において扉開閉補助装置10の軸方向延伸部22に作用する負荷を分散させ、扉開閉補助装置10の長寿命化を図ることができる。
【0060】
≪変形例≫
上記実施形態において例示したものは、本発明の一例を示したものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、例えば上述した(a)~(f)に係る構成を上記実施形態において例示したものとは異なるものとすることが可能である。また、本発明の扉構造体1、及び扉開閉補助装置10は、上述した(a)~(f)に含まれる構成に加えて、あるいは(a)~(f)に含まれる構成に代えて他の構成を備えたものとしたり、一部の構成を省略した構成としたりしても良い。具体的には、以下に説明するような変形例1~変形例6のような構成が考えられる。以下、変形例1~変形例6について、詳細に説明する。
【0061】
≪変形例1≫
上述した第一接続部30及び第二接続部40は、接続部材50を用いて構成されたものであるが、第一接続部30及び第二接続部40の一方又は双方について、接続部材50に代えて図4図5に示すような接続部材150を採用したものとしても良い。具体的には、接続部材150は、固定部152、係合部154、及び保持部156(図4においては図示せず省略)を備えている。
【0062】
固定部152は、中間部20に対して固定されるものである。固定部152は、上述した接続部材50と同様に、鋼材により形成された部材とされている。固定部152は、中間部20をなすワイヤーケーブル26に対し、溶接や接着、クランプ等の固定具を用いた固定方法等により固定することができる。固定部152は、接続部材50と同様に、ワイヤーケーブル26を差し込んでかしめて固定する方法を採用することができる。これにより、固定部152は、ワイヤーケーブル26に対して相対回転不能に固定されている。
【0063】
図4に示すように、固定部152は、外周部に複数の歯部152a及び軸側凹部153を備えたスプライン軸とされている。歯部152a及び軸側凹部153は、固定部152の軸線方向に延びるように形成されている。歯部152aは、周方向に所定のピッチで複数設けられている。歯部152aは、例えば、歯数を図示のように12とすることができる。歯部152aの歯数は、限定されるものではないが、扉3の開閉時の勢いを細かく調整する観点から、例えば、12以上設けることが望ましく、20以上設けることがより望ましい。すなわち、歯部152aの歯数を増やすことにより、ワイヤーケーブル26の捩り度合い(扉3の開閉強度)の調整を細かく多段階に亘って行うことができる。また、図5に示すように、固定部152の端部には、固定具158を連結可能な連結部152bが設けられている。図示例では、連結部152bは、固定具158をなすネジやボルト等を螺合可能なように形成されたネジ穴によって構成されている。
【0064】
係合部154は、固定部152に対して係合する部材である。図4に示すように、係合部154は、固定部152をなすスプライン軸を挿入可能なように開口した筒状の部材であり、固定部152を挿入することにより、固定部152を相対回転不能に保持可能なものとされている。本実施形態では、係合部154は、固定部152をなすスプライン軸が嵌合可能なスプラインハブとされている。そのため、接続部材150は、固定部152を係合部154に挿入することによりスプライン接続構造を形成し、これにより固定部152及び係合部154を係合状態とすることができるものである。また、係合部154の端部には、固定具158を挿通可能な挿通孔154aが設けられている。挿通孔154aは、連結部152bに対応する位置に設けられている。また、挿通孔154aの周面には、複数の突起155及びハブ側凹部155aがスプライン軸の軸側凹部153と係合可能なように形成されている。
【0065】
図5に示すように、保持部156は、固定部152と係合部154とを係合させた状態で保持するためのものである。保持部156は、例えば、上述した固定具158によって構成することができる。保持部156を固定具158によって構成する場合には、固定部152を係合部154に対して挿通して連結した状態において、挿通孔154aを介して連結部152bに対して固定具158を差し込み、連結部152bと固定具158とを螺合により連結する。これにより、保持部156は、固定部152と係合部154とを係合させた状態で保持することができる。
【0066】
≪変形例1に係る作用効果≫
上述した変形例1において例示したような構成を備えた扉構造体1、及び扉開閉補助装置10は、以下の(g)や(h)のような特徴的構成を備えている。これにより、扉構造体1、及び扉開閉補助装置10は、以下に記載のような特有の効果を奏することができる。
【0067】
(g)本変形例の扉開閉補助装置10は、第一接続部30及び第二接続部40の少なくとも一方が、中間部20に対して固定される固定部152と、固定部152に対して係合する係合部154と、を有し、固定部152及び係合部154の係合位置を周方向に複数段階、あるいは無段階(上述の例においては複数段階)に変更して調整できるものであり、固定部152及び係合部154の係合位置を周方向に調整することにより、ワイヤーケーブル26におけるストランド26aの撚り状態を調整できるものである。
【0068】
本変形例の扉開閉補助装置10は、上記(g)のような構成とすることにより、第一接続部30及び第二接続部40の少なくとも一方において、固定部152及び係合部154の係合位置を周方向に調整することにより、ワイヤーケーブル26におけるストランド26aの撚り状態(撚り強度)を調整できる。すなわち、本変形例の扉開閉補助装置10は、上記(g)のような構成とすることにより、第一接続部30及び第二接続部40の少なくとも一方について、ワイヤーケーブル26におけるストランド26aの撚り調整機能を有するものとすることができる。従って、本変形例の扉開閉補助装置10は、上記(g)のような構成とすることにより、固定部152及び係合部154の係合位置を調整することにより、扉3に対して回動力を作用させた際にワイヤーケーブル26において発生する捩り力を調整し、扉3の開閉動作の勢いや、開閉動作に要する力(回動力)の大きさを調整することができる。なお、上述の例においては、固定部152及び係合部154の係合位置を周方向に複数段階に変更して調整できる例を示したが、扉開閉補助装置10は、固定部152及び係合部154の係合位置を周方向に無段階に変更できるものとすることも可能である。
【0069】
(h)本変形例の扉開閉補助装置10は、固定部152及び係合部154のうち一方が、スプライン軸を備えたものであり、固定部152及び係合部154のうち他方が、スプライン軸が嵌合可能なスプラインハブを備えたものであり、スプライン軸をスプラインハブに挿入してスプライン接続構造を形成することにより、固定部152及び係合部154が係合状態とされるものであり、スプライン軸及びスプラインハブの嵌合位置を周方向に変更することにより、ワイヤーケーブル26におけるストランド26aの撚り状態を調整できるものである。
【0070】
本変形例の扉開閉補助装置10は、上記(h)のような構成とすることにより、第一接続部30及び第二接続部40の少なくとも一方において、固定部152及び係合部154をなすスプライン軸及びスプラインハブの係合位置を周方向に調整することにより、ワイヤーケーブル26におけるストランド26aの撚り状態(撚り強度)を調整できる。従って、本変形例の扉開閉補助装置10は、上記(h)のような構成とすることにより、固定部152及び係合部154の係合位置を調整することにより、扉3に対して回動力を作用させた際にワイヤーケーブル26において発生する捩り力を調整し、扉3の開閉動作の勢いや、開閉動作に要する力(回動力)の大きさを調整することができる。
【0071】
また、本変形例の扉開閉補助装置10は、上記(h)のように、固定部152及び係合部154を構成するスプライン軸及びスプラインハブによるスプライン接続構造により、固定部152及び係合部154を係合させるものである。スプライン軸は、複数の歯部152a及び軸側凹部153を有しており、スプラインハブは、複数の突起155及びハブ側凹部155aを有している。歯部152a、軸側凹部153、突起155、及びハブ側凹部155aは、それぞれ周方向に均等に配置されたものであるため、大きなトルクを効率的に伝達することができる。従って、本変形例の扉開閉補助装置10は、固定部152及び係合部154におけるトルクの伝達効率が高い。また、前述のように、固定部152及び係合部154をスプライン接続構造によって接続するものとした場合、固定部152及び係合部154を軸方向に相対的にスライドさせることにより固定部152及び係合部154の接続や分解を行うことができる。従って、本変形例の扉開閉補助装置10は、固定部152及び係合部154の接続作業や分解作業を容易に行うことができる。さらに、前述のように、固定部152及び係合部154をスプライン接続構造によって接続するものとした場合、複数の突起155及び歯部152a並びに複数のハブ側凹部155a及び軸側凹部153の組み合わせにより固定部152及び係合部154が接続されることになるため、固定部152及び係合部154の接触面積が大きくなり、その分だけ固定部152及び係合部154の接続部分に作用する応力が分散されることになる。そのため、本変形例の扉開閉補助装置10は、固定部152及び係合部154の耐久性を向上させることができる。
【0072】
なお、本変形例においては、接続部材150が、固定部152及び係合部154に加えて、保持部156を備えたものである例を示したが、本発明はこれに限定されず、保持部156を備えていないものとすることも可能である。
【0073】
≪変形例2≫
上述した第一接続部30及び第二接続部40は、接続部材50や、上述した接続部材150の係合部154を直接、扉3や支持体5に対して溶接等により接続する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第一接続部30及び第二接続部40の少なくとも一方について、接続部材50や接続部材150の係合部154に代えて、図6に示すようにクランプ部252を備えた接続部材250を採用したものとすることができる。(図示例の接続部材250は、接続部材150の係合部154に対してクランプ部252を一体的に設けたものである。)
【0074】
≪変形例2に係る作用効果≫
上述した変形例2において例示したような構成を備えた扉構造体1、及び扉開閉補助装置10は、以下の(i)のような特徴的構成を備えている。これにより、扉構造体1、及び扉開閉補助装置10は、以下に記載のような特有の効果を奏することができる。
【0075】
(i)本変形例の扉開閉補助装置10は、第一接続部30及び第二接続部40の少なくとも一方に対して、クランプ部252が設けられており、第一接続部30及び第二接続部40の少なくとも一方が、クランプ部252を介して扉3あるいは支持体5に対して接続されるものである。
【0076】
本変形例の扉開閉補助装置10は、上記(i)のような構成とすることにより、第一接続部30及び第二接続部40の少なくとも一方について、扉3あるいは支持体5に対する接続を容易に行うことができる。また、本変形例に係る扉開閉補助装置10は、上記(i)のような構成とすることにより、溶接によらずに扉3や支持体5に接続できるので、例えば、火気厳禁の場所に設置する場合でも安全に扉開閉補助装置10を設置することができる。
【0077】
≪変形例3≫
上述した変形例2に係る構成では、接続部材50や接続部材150の係合部154に代えてクランプ部252を備えた接続部材250を採用したものを例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第一接続部30及び第二接続部40の少なくとも一方について、接続部材250に代えて、図7に示すようにクランプ部352を備えた接続部材350を採用したものとすることができる。具体的には、クランプ部352は、筒状に形成されており、軸線方向に沿って二分割することにより形成された第一クランプ部材352a及び第二クランプ部材352bを備えている。第一クランプ部材352a及び第二クランプ部材352bは、柱部5aや横枠部3b等をクランプ(挟持)することができる。
【0078】
第一クランプ部材352aは、例えば、アルミニウム等を素材とした金属等で半円筒状に形成されており、係合部154と一体的に形成されている。第一クランプ部材352aは、第二クランプ部材352bとの左右一対の合わせ面のそれぞれにおいて、軸線方向(図示上下方向)に沿って間隔を空けて一対のネジ孔356,356が形成されている。なお、上下方向の一対のネジ孔356,356は、軸線方向に対して左右同様に設けられているため、以下の説明では、簡略化のため、左右一方側(図7(a)図示上方側)のネジ孔356,356について説明する。
【0079】
第二クランプ部材352bは、アルミニウム、鉄等を素材とした金属等で半円筒状に形成されている。第二クランプ部材352bの外周面には、第一クランプ部材352aのネジ孔356,356と対応する位置に一対のザグリ部354,354が形成されている。ザグリ部354,354には、ネジ孔356,356と対向するように一対の挿通孔(図示せず)が形成されている。第一クランプ部材352a及び第二クランプ部材352bは、前記挿通孔にネジやボルト等からなる固定具358を挿通して、ネジ孔356,356に螺合させることにより、互いに結合させることができる。すなわち、第一クランプ部材352a及び第二クランプ部材352bは、柱部5a等をクランプした状態で、互いに締結することにより、柱部5a等の各所に固定することができる。なお、ネジ孔356及びザグリ部354を設ける個数や、配置する位置は、適宜変更することができる。例えば、ネジ孔356が、第二クランプ部材352bに設けられており、ザグリ部354が、第一クランプ部材352aに設けられていてもよい。
【0080】
≪変形例3に係る作用効果≫
上述した変形例3に係る扉構造体1及び扉開閉補助装置10(以下、単に扉開閉補助装置10とも総称する)は、上述したように構成することにより、以下に記載のような特有の効果を奏することができる。
【0081】
変形例3に係る扉開閉補助装置10は、上記のような構成とすることにより、第一接続部30及び第二接続部40の少なくとも一方について、扉3あるいは支持体5に対する接続を容易に行うことができる。また、変形例3に係る扉開閉補助装置10は、上記のような構成とすることにより、クランプ部352と係合部154とが予め一体的に形成されているので、設置時の溶接等が不要となる。そのため、変形例3に係る扉開閉補助装置10は、例えば、設置場所が火気厳禁のような場所においても、制限されることなく安全に設置することができる。
【0082】
≪変形例4≫
上述した変形例1に係る扉開閉補助装置10においては、図5に示すように、係合部154の底部が、固定具158のための開孔を除いて、閉鎖された状態で形成されている。そのため、係合部154における突起155やハブ側凹部155aを、係合部154の底部まで形成するために手間を要したり、熟練を要したりするものとされている。そこで、変形例4に係る扉開閉補助装置10においては、図8に示すように、係合部154における挿通孔154aを貫通孔として形成している。以下、具体的に説明する。
【0083】
変形例4に係る固定部152には、円形のフランジ160が設けられている。フランジ160は、固定部152における上端部に設けられており、固定部152を係合部154に係合させた際に、係合部154の上端部に当接するものとされている。これにより、固定部152は、係合部154に対して位置決めされる。また、変形例1と同様に、固定部152の端部には、固定具158を連結可能な連結部152bが設けられている。連結部152bは、固定具158をなすネジやボルト等を螺合可能なように形成されたネジ穴によって構成されている。
【0084】
保持部156は、変形例1と同様に、固定部152と係合部154とを係合させた状態で保持するためのものである。変形例4では、保持部156が、例えば、ワッシャ162と、固定具158とによって構成されている。
【0085】
ワッシャ162は、係合部154の外周と略同径か、係合部154の外周よりも大きく形成されている。したがって、ワッシャ162は、係合部154に係合することができる。
【0086】
保持部156は、固定部152を係合部154に対して挿通して連結した状態において、ワッシャ162を介して、連結部152bに対して固定具158を差し込み、連結部152bと固定具158とを螺合により連結する。これにより、保持部156は、固定部152と係合部154とを係合させた状態で保持することができる。
【0087】
≪変形例4に係る作用効果≫
上述した変形例4に係る扉開閉補助装置10は、上述したように構成することにより、以下に記載のような特有の効果を奏することができる。
【0088】
変形例4に係る扉開閉補助装置10は、上記のような構成とすることにより、係合部154に対して突起155及びハブ側凹部155aを容易に精度良く形成することができる。また、変形例4に係る扉開閉補助装置10は、固定部152と係合部154との軸方向の係合量を容易に調整することができる。そのため、変形例4に係る扉開閉補助装置10は、第一接続部30及び第二接続部40の接続時の微調整を容易に行うことができる。
【0089】
≪変形例5≫
上述した変形例3に係る構成では、接続部材350としてクランプ部352を採用したものを例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、扉3や支持体5において、円筒状のパイプではなく、平坦なアングル部材等が設けられている場合があり、かかる場合は、円筒状に形成されたクランプ部352では、取り付けが困難な場合があった。そこで、上述した課題を解決すべく、変形例5に係る扉開閉補助装置10は、例えば、接続部材350に代えて、図9に示すように板状部材452を備えた接続部材450を採用したものである。
【0090】
板状部材452は、例えば、アルミニウム、鉄等の金属を素材として、矩形状の平板で形成されている。板状部材452は、係合部154の外周に溶接や接着剤等で接合するか、あるいは、係合部154と一体的に形成することができる。板状部材452は、一端側が、係合部154の軸線方向(図示上下方向)に沿って接合されている。また、板状部材452には、柱部5aや横枠部3b等に接続するための一対の接続孔454,454が、上下方向に間隔を空けて形成されている。なお、板状部材452の形状・大きさ・材質等は各種のものが採用できる。また、板状部材452に設ける接続孔454の形状・大きさ・数量も柱部5aや横枠部3b等に応じて、各種のものが採用できる。また、板状部材452は、本変形例では、係合部154の軸線方向に沿って形成されているが、これには限定されず、例えば、係合部154の軸線方向に対して交差する傾斜方向に形成されているものや、前記軸線方向と直交する水平方向等に沿って形成されているものなど各種の方向に形成することができる。また、板状部材452は平板状のものだけではなく、湾曲・屈曲等しているものや、複数の板状部材452の組み合わせで構成されていてもよい。
【0091】
≪変形例5に係る作用効果≫
上述した変形例5に係る扉開閉補助装置10は、上述したように構成することにより、以下に記載のような特有の効果を奏することができる。
【0092】
変形例5に係る扉開閉補助装置10は、上述したように構成することにより、各種の支持体5や扉3に取り付けることができる。これにより、変形例5に係る扉開閉補助装置10は、汎用性を向上できる。また、変形例5に係る扉開閉補助装置10は、上記のような構成とすることにより、板状部材452と係合部154とが予め一体的に形成されているので、設置時の溶接等が不要となる。そのため、変形例5に係る扉開閉補助装置10は、例えば、設置場所が火気厳禁のような場所においても、制限されることなく安全に設置することができる。
【0093】
≪変形例6≫
変形例6に係る扉開閉補助装置10は、変形例4に係る固定部152(図8参照)に代えて、図10及び図11に示すように、固定部152における軸側凹部153(軸側溝部153とも称する)の上端側を軸方向の中間部分に留めて形成したものである。すなわち、変形例6に係る扉開閉補助装置10では、軸側凹部153が、係合部154(スプラインハブ)における突起155の軸線方向長さよりも短く形成されている。言い換えると、軸側凹部153の軸線方向長さは、係合部154における挿通孔154aの軸線方向長さよりも短く形成されている。したがって、変形例6に係る固定部152は、挿通孔154aの挿入始端から挿入終端に向けてスプライン軸を挿入した際に、軸側凹部153の上端側における形成終端部153aがストッパとして機能し、固定部152と係合部154との係合が軸側凹部153の形成終端部153aで停止する。これにより、変形例6に係る固定部152では、軸側凹部153の形成終端部153aがフランジ160として機能するので、別途にフランジ160を設ける必要がない。
【0094】
固定部152は、変形例4と同様に、下端側に挿通孔154aが形成されている。固定部152及び係合部154は、変形例4と同様にワッシャ162を介して固定具158を挿通孔154aに螺合等させることにより締結される。なお、軸側凹部153の軸方向に沿う形成長さは、限定されるものではないが、係合部15との係合におけるガタつきを抑制する観点から、係合部154における突起155(挿通孔154a)の全長の半分以上であることが望ましい。また、挿通孔154aの形成深さや固定具158の長さは、軸側凹部153の形成長さに応じて適宜変更することが可能である。また、ワッシャ162は、必要により段部を設けて、段部が挿通孔154aに嵌入可能に構成されていてもよい。これにより、固定部152の先端が挿通孔154aの挿入終端に到達しない場合であっても固定部152と係合部154とを連結することができる。
【0095】
≪変形例6に係る作用効果≫
上述した変形例6に係る扉開閉補助装置10は、上述したように構成することにより、以下に記載のような特有の効果を奏することができる。
【0096】
(j)本変形例の扉開閉補助装置10は、固定部152及び係合部154のうち一方が、スプライン軸を備えたものであり、固定部152及び係合部154のうち他方が、前記スプライン軸が嵌合可能なスプラインハブを備えたものであり、前記スプライン軸を前記スプラインハブに挿入してスプライン接続構造を形成することにより、固定部152及び係合部154が係合状態とされるものであり、前記スプライン軸には、複数の軸側凹部153が形成されており、前記スプラインハブは、前記スプライン軸を挿通するための挿通孔154aが貫通形成されており、挿通孔154aの周面には、挿入始端から挿入終端に亘って、軸側凹部153と係合する複数の突起155が形成されており、軸側凹部153は、突起155の軸線方向長さよりも短く形成されると共に、軸側凹部153の形成終端部152cが、突起155の前記挿入始端と係合するものである。
【0097】
変形例6に係る扉開閉補助装置10は、上記(j)のように構成することにより、固定部152(スプライン軸)にフランジ160を設ける必要がない。したがって、固定部152の構成を簡素なものとすることができ、コストを低減できる。また、変形例6に係る扉開閉補助装置10は、歯部152aの上端部分における形成終端部152cの位置を調整することにより、固定部152及び係合部154の係合量を調整できる。これにより、本発明の扉開閉補助装置10は、取り付け時の調整を容易に行うことができるので、取り付け性を向上できると共に、扉開閉時の勢いを調整することができる。
【0098】
≪その他の変形例≫
上記実施形態や変形例において例示したものは、本発明の一例を示したものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、例えば上述した(a)~(j)に係る構成を上記実施形態において例示したものとは異なるものとすることが可能である。また、本発明の扉構造体1、及び扉開閉補助装置10は、上述した(a)~(j)に含まれる構成に加えて、あるいは(a)~(j)に含まれる構成に代えて他の構成を備えたものとしたり、一部の構成を省略した構成としたりしても良い。具体的には、以下に説明するような変形例が考えられる。
【0099】
上記実施形態等では、中間部20の全体がワイヤーケーブル26によって構成された例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、扉開閉補助装置10は、上記(a)に記載のとおり、中間部20が、少なくとも軸方向延伸部22を構成する部分においてワイヤーケーブル26を備えたものであれば良い。すなわち、扉開閉補助装置10は、中間部20において軸方向延伸部22をなす部分の一部又は全部についてワイヤーケーブル26を設け、他の部分についてはワイヤーケーブル26を有さないものとすることができる。このような構成とする場合についても、扉開閉補助装置10は、扉3の開閉のために回動力が作用するのに伴ってワイヤーケーブル26が捩れ、回動力が解除あるいは低減されたときに、ワイヤーケーブル26が復元する力を利用して、回動力の作用方向とは反対方向に扉3を作動させることができるものであれば良い。
【0100】
上記実施形態等において、扉開閉補助装置10は、上記(b)のように、第一接続部30における扉3に対する第一接続部30の周方向への接続位置、及び第二接続部40における支持体5に対する第二接続部40の周方向への接続位置の少なくともいずれかを変更できる構成とした例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、第一接続部30及び第二接続部40の双方とも、扉3や支持体5に対する接続位置を周方向に変化させることができないものとしても良い。
【0101】
上記実施形態等において、扉開閉補助装置10は、上記(c)のように、ワイヤーケーブル26が、扉3に対して回動軸3hを中心として回動させる方向への回動力が作用することにより、ストランド26aの撚り方向とは反対方向への捩り力が作用するように設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、扉開閉補助装置10は、ワイヤーケーブル26が、扉3に対して回動軸3hを中心として回動させる方向への回動力が作用することにより、ストランド26aの撚り方向と同一方向への捩り力が作用するように設けられても良い。
【0102】
上記実施形態等において、扉開閉補助装置10は、上記(d)のように、中間部20が、長手方向の途中において屈曲可能とされており、軸方向延伸部22に対して交差する方向に延びる交差方向延伸部24を形成できるものとした例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、扉開閉補助装置10は、中間部20を中途で屈曲させて交差方向延伸部24に代えて、軸方向延伸部22に対して交差する方向に延びる部材を別途設け、当該部材を軸方向延伸部22に対して一体的に動作可能なように接続することにより、交差方向延伸部24に相当するものを設けた構成とすることが可能である。
【0103】
扉構造体1は、上記(e)のように、扉3及び支持体5に対して扉開閉補助装置10が取り付けられているものであれば良く、上記実施形態等において例示したように、扉3や支持体5に対して扉開閉補助装置10が直接的に取り付けられたものとするだけでなく、他部材を介して扉3や支持体5に対して扉開閉補助装置10が間接的に取り付けられたものとすることも可能である。
【0104】
上記実施形態等において、扉構造体1は、上記(f)のように、軸方向延伸部22の長さが、交差方向延伸部24の長さよりも長くなるように扉開閉補助装置10が取り付けられるものであるが、本発明はこれに限定されない。例えば、扉構造体1は、軸方向延伸部22と交差方向延伸部24が同等の長さとなるように扉開閉補助装置10が取り付けられるものや、軸方向延伸部22が交差方向延伸部24よりも短くなるように扉開閉補助装置10が取り付けられるものとしても良い。
【0105】
上記変形例1において、扉開閉補助装置10は、上記(g)のように、固定部152及び係合部154の係合位置を周方向に複数段階、あるいは無段階に変更して調整することにより、ワイヤーケーブル26におけるストランド26aの撚り状態を調整できるものを例示したが、本発明はこれに限定されず、このような調整機能を備えていないものとすることも可能である。
【0106】
上記変形例1において、扉開閉補助装置10は、上記(h)のように、固定部152及び係合部154をスプライン軸とスプラインハブの組み合わせにより、固定部152及び係合部154の嵌合位置を周方向に変更できるようにした例を示したが、本発明はこれに限定されず、他の構成により嵌合位置を周方向に変更できるようにすることも可能である。また、上記変形例1では、固定部152側がスプライン軸を備え、係合部154側がスプラインハブを備えた構成とした例を示したが、本発明はこれに限定されず、固定部152側がスプラインハブを備え、係合部154側がスプライン軸を備えた構成とすることも可能である。
【0107】
上記変形例2において、扉開閉補助装置10は、上記(i)のように、第一接続部30及び第二接続部40の少なくとも一方が、クランプ部252を備えた接続部材250により構成され、クランプ部252を介して扉3や支持体5に対して固定可能としたものであるが、本発明はこれに限定されず、クランプ部252を備えていないものとすることも可能である。
【0108】
また、上記変形例1~6において、扉開閉補助装置10は、第一接続部30及び第二接続部40が、固定部152を係合部154に挿通して係合させる構造(挿通構造とも称する)を採用するものを例示したが、例えば、第一接続部30及び第二接続部40のいずれか一方を、固定部152を係合部154に挿通して係合させる構造とし、いずれか他方を固定部152と接続部材50とのかしめによる連結(かしめ構造とも称する)としてもよい。なお、第一接続部30及び接続部材50のいずれか一方を挿通構造とし、他方をかしめ構造とする場合は、扉3に取り付ける側(上方側)をかしめ構造とすることが望ましい。これにより、扉3の回転軸周りの捩れ角を調整することができるので、扉3の開閉時の捩れ方向とワイヤーケーブル26の捩れ方向とを一致させることができ、扉3の開閉時の勢いの調整が容易になる。
【0109】
本願発明は、上述した実施の形態に記載の構成に限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲において適宜設計変更等することが可能である。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、課題を解決するための手段、発明を実施するための形態等に記載の任意の構成要素または課題を解決するための手段、発明を実施するための形態等に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても、本願または本願に基づく分割出願等において権利取得する意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の扉構造体及び扉開閉補助装置は、例えば、高所作業を行う現場や、工場や作業現場等において、作業用の架台や領域を囲んだり、他の領域から隔てるように設けられ、転落事故や作業領域等への侵入を防止する等の用途で用いられる柵等において用いられる扉全般において好適に利用できる。
【符号の説明】
【0111】
1 :扉構造体
3 :扉
3h :回動軸
5 :支持体
10 :扉開閉補助装置(扉開閉装置)
20 :中間部
22 :軸方向延伸部
24 :交差方向延伸部
26 :ワイヤーケーブル
26a :ストランド
30 :第一接続部
40 :第二接続部
152 :固定部
153 :軸側凹部
153a :形成終端部
154 :係合部
154a :挿通孔
155 :突起
252 :クランプ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11