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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173769
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電流制限回路及び電流制限装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20241205BHJP
   H03K 17/082 20060101ALI20241205BHJP
   G05F 1/56 20060101ALI20241205BHJP
   H03K 17/08 20060101ALN20241205BHJP
   H03K 17/687 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
H02J1/00 309R
H03K17/082
G05F1/56 320C
H03K17/08 C
H03K17/687 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024086027
(22)【出願日】2024-05-28
(31)【優先権主張番号】P 2023089610
(32)【優先日】2023-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 勉
【テーマコード(参考)】
5G165
5H430
5J055
【Fターム(参考)】
5G165BB05
5G165DA04
5G165HA07
5G165LA01
5H430BB01
5H430BB09
5H430BB12
5H430EE06
5H430FF07
5H430FF13
5H430GG11
5H430HH03
5H430JJ07
5H430LA07
5J055AX34
5J055AX55
5J055BX16
5J055CX23
5J055DX13
5J055DX22
5J055DX61
5J055DX72
5J055EX07
5J055EY01
5J055EY03
5J055EY21
5J055EY24
5J055EZ00
5J055EZ03
5J055EZ04
5J055EZ09
5J055EZ10
5J055EZ16
5J055FX04
5J055FX13
5J055GX01
5J055GX04
(57)【要約】
【課題】電流抑制とスイッチオフの速度を両立可能な電流制限回路及び電流制限装置を提供する。
【解決手段】電流制限回路10Aは、制御端を含み、電流を所定値以下に制御可能なスイッチ2を介して、入力端子Tinと出力端子Toutを接続する経路の電流を制限する回路であって、第1の信号が伝送される第1の経路と第2の信号が伝送される第2の経路との接続点を含み、第1の信号の供給を受ける入力端50cと、第1の信号と第2の信号とを結合した制御信号をスイッチ2の制御端へ供給する出力端50dとを有するゲート制御回路50と、スイッチ2と出力端子Toutとの間に設けられるノードN1との間に容量6が接続されると、容量6を介してノードN1に結合される入力端と、入力端と接続される出力端とを有する負帰還回路30Aとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御端を含み、電流を所定値以下に制御可能なスイッチを介して、入力端子と出力端子を接続する経路の電流を制限する回路であって、
第1の信号が伝送される第1の経路と第2の信号が伝送される第2の経路との接続点を含み、前記第1の信号の供給を受ける第1入力端と、前記第1の信号と前記第2の信号とを結合した制御信号を前記スイッチの制御端へ供給する出力端とを有する制御回路と、
前記スイッチと前記出力端子との間に設けられる第1のノードとの間に容量が接続されると、当該容量を介して前記第1のノードに結合される入力端と、前記制御回路の第1入力端と接続される出力端とを有する負帰還回路と、
を備えることを特徴とする電流制限回路。
【請求項2】
前記負帰還回路は、前記制御回路の第1入力端と第1の電源電圧が供給される第2のノードとの間に接続され、前記負帰還回路の入力端の電圧が閾値電圧よりも高い場合に、前記負帰還回路の入力端の電圧と前記閾値電圧との差電圧に基づく電流に変換する電圧電流変換回路と、
前記負帰還回路の入力端と、前記第2のノードとの間に接続され、前記負帰還回路の入力端の電圧を、前記第1の電源電圧又は前記第1の電源電圧よりも高く前記閾値電圧よりも低い所定電圧にクランプするクランプ回路と、
を備える請求項1に記載の電流制限回路。
【請求項3】
前記クランプ回路は、
前記負帰還回路の入力端と接続される第1端と、前記第2のノードに接続される第2端とを含む第1の定電流源、及び
前記負帰還回路の入力端と接続される第1端と、前記第2のノードに接続される第2端とを含む抵抗体、
の何れか1個を有する請求項2に記載の電流制限回路。
【請求項4】
前記第1の定電流源は、ソースとゲートが接続されたデプレッション型のFETを有する請求項3に記載の電流制限回路。
【請求項5】
前記第1の定電流源は、前記負帰還回路の入力端と接続されるドレインと、前記第2のノードに接続されるソースと、ゲートとを含む第1のFETと、
前記第1のFETのゲートと接続されるドレインと、前記第2のノードに接続されるソースと、前記第1のFETのゲート及び自己のドレインと接続されるゲートと、を含む第2のFETと、
前記第2のFETのドレインに定電流を供給する第2の定電流源と、を備える請求項3に記載の電流制限回路。
【請求項6】
前記クランプ回路は、前記負帰還回路の入力端、前記クランプ回路及び前記電圧電流変換回路を接続するノードに前記所定電圧を供給するバイアス回路を有する請求項3に記載の電流制限回路。
【請求項7】
前記電圧電流変換回路は、
前記クランプ回路の第1端と接続されるゲートを含み、前記接続点と第2のノードとの間に接続されるFET、及び
前記クランプ回路の第1端と接続される第1入力端と、前記閾値電圧の供給を受ける第2入力端と、前記接続点と接続される出力端とを含み、前記第1入力端の電圧が前記第2入力端に供給される前記閾値電圧との差電圧に基づく電流を自己の出力端に供給する増幅回路のうち、何れか一方を有する請求項2に記載の電流制限回路。
【請求項8】
前記制御回路は、
前記第1のノードと接続される第2入力端と、
前記スイッチと前記入力端子との間に設けられる第3のノードと接続される第3入力端と、
前記制御回路の第2入力端と接続される第1入力端と、前記制御回路の第3入力端と接続される第2入力端と、複数の信号レベルを含み自己の第1入力端及び第2入力端にそれぞれ受ける電圧の電圧差に基づく信号を前記第2の信号として出力する出力端と、を有する電圧検出回路と、
前記電圧検出回路の出力端と前記接続点を介して接続される出力端と、
を有する請求項1に記載の電流制限回路。
【請求項9】
前記接続点と前記制御回路の出力端との間に接続される出力回路をさらに有し、
前記出力回路は、前記接続点の電圧をゲートに受けるFETを含むソース接地増幅回路又はソースフォロワ回路である請求項8に記載の電流制限回路。
【請求項10】
前記入力端子と、
前記出力端子と、
前記スイッチと、
前記容量と、
請求項1から9の何れか一項に記載の電流制限回路と、
を備える電流制限装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流制限回路及び電流制限装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電流を負荷へ供給するにあたり、過大な突入電流が生じる場合がある。例えば、電流供給側と負荷側とを接続する電流経路(以下、単に「経路」とする)に設けられたいわゆるハイサイドスイッチにおいて、出力端子に容量性の負荷や誘導性の負荷が接続されている場合、起動時や出力端子の地絡からの復帰時等の出力電圧が低い状態からの電圧上昇過程で突入電流が流れてしまう。この突入電流が過大な場合、経路にあるデバイスが損傷又は損壊し得るため、電流の突入を抑制する電流制限回路が適用される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載される突入電流抑制回路のように、抵抗及び容量によって形成されるローパスフィルタをハイサイドスイッチの制御端であるFETのゲートに接続した従前の電流制限回路では、ゲート電圧を緩やかに制御することができる。ゲート電圧を緩やかに下降させることができるので、突入電流が生じた場合にもハイサイドスイッチを緩やかにオンさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-33869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従前の電流制限回路では、スイッチをオンさせたい場合のみならずオフさせたい場合においても、ゲート電圧が緩やかに変化してしまう。そのため、素早いスイッチオフが必要な場面においても、素早いオフ動作が阻害されてしまう。すなわち、突入電流の抑制とスイッチオフ速度にトレードオフが生じていた。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、電流抑制とスイッチオフの速度を両立可能な電流制限回路及び電流制限装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電流制限回路は、制御端を含み、電流を所定値以下に制御可能なスイッチを介して、入力端子と出力端子を接続する経路の電流を制限する回路であって、第1の信号が伝送される第1の経路と第2の信号が伝送される第2の経路との接続点を含み、前記第1の信号の供給を受ける第1入力端と、前記第1の信号と前記第2の信号とを結合した制御信号を前記スイッチの制御端へ供給する出力端とを有する制御回路と、前記スイッチと前記出力端子との間に設けられる第1のノードとの間に容量が接続されると、当該容量を介して前記第1のノードに結合される入力端と、前記制御回路の第1入力端と接続される出力端とを有する負帰還回路と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る電流制限装置は、前記入力端子と、前記出力端子と、前記スイッチと、前記容量と、上述した電流制限回路と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電流抑制とスイッチオフの速度を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電流制限回路及び電流制限装置の適用例を概略的に示したブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る電流制限回路が備えるゲート制御回路の第1構成例を示した概略図である。
図3】第1の実施形態に係る電流制限回路が備えるクランプ回路の第1構成例を示した概略図である。
図4】(A)は第1の実施形態に係る電流制限回路が備えるクランプ回路が有する定電流源の第1構成例を示した概略図、(B)は第2構成例を示した概略図である。
図5】第1の実施形態に係る電流制限回路が備える電圧電流変換回路の第1構成例を示した概略図である。
図6】横軸を時間、縦軸を電圧として、第1の実施形態に係る電流制限回路における出力電圧及び負帰還回路の入力端の電圧の時間推移を表したグラフである。
図7】第1の実施形態に係る電流制限回路が備える電圧電流変換回路の変形例(第2構成例)を示した概略図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る電流制限回路及び電流制限装置の適用例を概略的に示したブロック図である。
図9】第2の実施形態に係る電流制限回路が備える電圧電流変換回路の第1構成例を示した概略図である。
図10】第2の実施形態に係る電流制限回路が備える電圧電流変換回路のより詳細な構成例を示した概略図である。
図11】第2の実施形態に係る電流制限回路が備える電圧電流変換回路の電圧源の第1構成例を示した概略図である。
図12】横軸を時間、縦軸を電圧として、第2の実施形態に係る電流制限回路における出力電圧及び負帰還回路の入力端の電圧の時間推移を表したグラフである。
図13】本実施形態に係る電流制限回路が備える電圧電流変換回路の電圧源の変形例(第2構成例)を示した概略図である。
図14】本実施形態に係る電流制限回路が備える電圧電流変換回路の電圧源の変形例(第3構成例)を示した概略図である。
図15】本実施形態に係る電流制限回路が備える電圧電流変換回路の電圧源の変形例(第4構成例)を示した概略図である。
図16】本実施形態に係る電流制限回路が備えるゲート制御回路の変形例(第2構成例)を示した概略図である。
図17】本実施形態に係る電流制限回路が備えるゲート制御回路の他の変形例(第3構成例)を示した概略図である。
図18】(A)は本実施形態に係る電流制限回路が備えるクランプ回路の変形例(第2構成例)を示した概略図、(B)は他の変形例(第3構成例)を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る電流制限回路及び電流制限装置について、図面を参照して説明する。なお、説明の便宜上、一部の構成の図示を省略したり、縮尺を変更したりしている場合がある。
【0012】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電流制限回路及び電流制限装置の一例である電流制限回路10A及び電流制限装置1Aの適用例を概略的に示したブロック図である。図中のG、D及びSは、それぞれ、N型のMOSFET(以下、「NMOSFET」とする)21,22のゲート、ドレイン及びソースを表している。
【0013】
電流制限装置1Aは、入力端子Tinと、出力端子Toutと、スイッチ2と、容量6と、電流制限回路10Aと、を備え、スイッチ2によって、入力端子Tinと出力端子Toutを接続する経路の電流を制限する装置である。出力端子Toutには、接地電圧GNDを供給するGND端子3との間に、負荷4と、出力容量5が接続されている。
【0014】
スイッチ2は、少なくとも、入力端子Tin側から出力端子Tout側へ向かう方向の電流を制限する電流制限素子である電流制限トランジスタを有して構成される。スイッチ2は、電流制限トランジスタの一例であるNMOSFET21と、逆流防止トランジスタ一例であるNMOSFET22と、を有し、NMOSFET21のソースとNMOSFET22のソースとが接続されている。
【0015】
NMOSFET21のドレインは入力端子Tinに接続されている。NMOSFET21のソースはNMOSFET22のソース及びバルクと接続されている。NMOSFET21のゲートは、NMOSFET22のゲートと接続されている。NMOSFET22のドレインは出力端子Toutに接続されている。NMOSFET22のソースはバルクと接続されている。ここで、NMOSFET21のソース、NMOSFET22のソース、及びバルクとの接続点をノードN2と呼称する。
【0016】
電流制限回路10Aは、入力端10a,10b,10c,10eと、出力端10dと、制御回路としてのゲート制御回路50と、クランプ回路31、電圧電流変換回路(以下、V/I変換回路とする)33及び出力端を有する負帰還回路30Aとを備えている。入力端10aは、スイッチ2と出力端子Toutとの間に設けられるノードN1と接続される。
入力端10bは、スイッチ2と入力端子Tinとの間に設けられるノードN3と接続される。入力端10cは、容量6の一端が接続される。入力端10eは、GND端子3に接続される。
【0017】
制御回路としてのゲート制御回路50は、3個の入力端50a,50b,50cと、1個の出力端50dと、を有している。入力端50aは入力端10aと接続されている。入力端50bは入力端10bと接続されている。出力端50dは出力端10dと接続されている。
【0018】
負帰還回路30Aでは、電流制限回路10Aの入力端10cが負帰還回路30Aの入力端に相当している。また、V/I変換回路33の出力端332が、負帰還回路30Aの出力端に相当しており、ゲート制御回路50の出力端50dと接続されている。負帰還回路30Aは、ノードN1との間に容量6が接続されると、入力端10c(負帰還回路30Aの入力端に相当)が容量6を介してノードN1に結合される。この結果、電流制限回路10Aでは、容量6、負帰還回路30A及びゲート制御回路50を介してノードN1からスイッチ2の制御端となるNMOSFET21,22のゲートまでの負帰還ループが形成される。
【0019】
クランプ回路31は、GND端子3と接続される入力端10eと同一のノードであるノードN5と、電流制限回路10Aの入力端10cに相当する負帰還回路30Aの入力端と同一のノードであるノードN4との間に接続され、ノードN4の電圧Vsscを接地電圧GNDにクランプする回路である。
【0020】
V/I変換回路33は、負帰還回路30Aの入力端、すなわちノードN4の電圧Vsscを受ける入力端331と、変換した電流I1が流れる出力端332と、を有している。入力端331は、すなわち負帰還回路30Aの入力端と同一のノードであるノードN4に接続されている。出力端332は、ゲート制御回路50の入力端50cと接続されている。
【0021】
V/I変換回路33は、入力端331から受ける電圧、すなわちノードN4の電圧Vsscが閾値電圧Vthよりも高い場合に、電圧Vsscと閾値電圧Vthとの差電圧Vod(=Vssc-Vth)に基づき電流I1に変換する回路である。V/I変換回路33の相互コンダクタンスGmと、差電圧Vodとを用いれば、V/I変換回路33が変換して得る電流I1は、相互コンダクタンスGmと、差電圧Vodと積(=Gm×Vod)で表すことができる。なお、出力端子Toutの電圧(以下、「出力電圧」とする)Voutが電圧上昇なく安定している状態(以下、「定常時」とする)におけるノードN4の電圧Vsscは、閾値電圧Vthを超えない電圧値に設定される。
【0022】
このように構成される電流制限回路10Aでは、V/I変換回路33が電流I1を流す際に、ゲート制御回路50から供給される制御信号の電圧が低下するように設計されており、出力電圧Voutが急峻に上昇した際に、NMOSFET21のゲート電圧を低下させ、NMOSFET21の出力電流Ioutを低下させることができる。
【0023】
続いて、電流制限回路10Aにおける個々の回路について、より具体的に説明する。
図2は、ゲート制御回路50(第1構成例)を示した概略図である。
【0024】
制御回路としてのゲート制御回路50は、3個の入力端50a,50b,50cと、1個の出力端50dと、電圧検出回路51と、を有している。
【0025】
電圧検出回路51は、電圧降下Vbを発生させる電圧源52を介して入力端50bと接続される非反転入力端(+)と、入力端50aと接続される反転入力端(-)と、出力端51aを含み、非反転入力端(+)及び反転入力端(-)にそれぞれ受ける電圧の電圧差に基づく信号を出力する回路である。
【0026】
ゲート制御回路50には、入力端50cとノードN7とを接続し、負帰還回路30Aからの負帰還信号が伝送される経路P1と、ノードN7を介して出力端51aと出力端50dとを接続し、電圧検出回路51からの出力信号である電圧検出信号が伝送される経路P2とが形成されている。第1の経路としての経路P1と第2の経路としての経路P2は、ノードN7で接続されている。ゲート制御回路50は、ノードN7を含むので、第1の信号としての負帰還信号と第2の信号としての電圧検出信号とが、ノードN7で結合され、結合された信号が制御信号として出力端50dからスイッチ2へ供給される。
【0027】
図3は、クランプ回路31(第1構成例)を示した概略図である。
【0028】
クランプ回路31は、例えば、ノードN4からノードN5へ向かう定電流(電流値Issc)を供給する定電流源310を有して構成されている。定電流源310は、外付けされる容量6と相俟って、直流成分をカットするDCカットフィルタ70を構成している。
【0029】
図4(A)は定電流源310の第1構成例を示した概略図である。図4(B)は定電流源310の第2構成例を示した概略図である。
【0030】
第1の定電流源としての定電流源310は、例えば、ソースとゲートが接続されたデプレッション型のFETとしてのデプレッション型NMOSFET311を有し、デプレッション型NMOSFET311のドレインに電流値Isscの定電流を流すように構成される。
【0031】
また、定電流源310は、第1のFETとしてのNMOSFET3121と、第2のFETとしてのNMOSFET3122とを接続して構成されたカレントミラー回路312と、NMOSFET3122のドレインに定電流Isscbを流す第2の定電流源としての定電流源313と、を有して構成することもできる。カレントミラー回路312及び定電流源313を有する定電流源310では、NMOSFET3122のドレイン電流である定電流Isscbに基づいて、NMOSFET3121のドレイン、すなわちノードN4に電流値Isscの定電流を生成して流すことができる。図4(B)に示されるVDD端子9は、GND端子3とは異なる電源端子であり、接地電圧GNDとは異なる電源電圧VDDを供給する電源端子である。
【0032】
図5は、V/I変換回路33(第1構成例)を示した概略図である。
V/I変換回路33は、出力端332と接続されるドレインと、入力端331と接続されるゲートと、GND端子3と接続されるソースとを含むNMOSFET333を有して構成されている。NMOSFET333を有するV/I変換回路33では、閾値電圧VthはNMOSFET333の閾値電圧とすればよい。
【0033】
次に、電流制限回路10Aを備える電流制限装置1Aの動作及び効果について説明する。
【0034】
電流制限回路10Aは、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に接続されたNMOSFET21及びNMOSFET22のオン抵抗(抵抗値)を制御することによって、負荷4へ供給する電流を制御する。ゲート制御回路50は、入力端子Tin側のノードN3と、出力端子Tout側のノードN1の電圧に基づく電圧検出信号と、負帰還回路30Aからの負帰還信号とを結合させた制御信号を生成する。ゲート制御回路50は、生成した制御信号を、スイッチ2の制御端としてのNMOSFET21,22のゲートに供給することによって、NMOSFET21,22のオン抵抗(抵抗値)を制御する。
【0035】
定常時においては、電圧Vsscと閾値電圧Vthとの差電圧Vod(=Vssc-Vth)が0[V]になるので、経路P1を流れる電流I1は0[A]となり、経路P2から伝送される電圧検出信号が支配的となっている。すなわち、定常時においては、経路P2から伝送される電圧検出信号が事実上の制御信号となって、NMOSFET21とNMOSFET22のオン抵抗(抵抗値)が制御される。
【0036】
続いて、出力電圧Voutが上昇している非定常時における電流制限回路10Aの動作について説明する。
【0037】
図6は、電流制限回路10Aにおける出力電圧Vout(線PL2)及び負帰還回路30Aの入力端10c、すなわちノードN4の電圧Vssc(線PL1)の時間推移を、横軸を時間t、縦軸を電圧Vとして表したグラフである。
【0038】
説明に際して、時間t=0[秒]で出力電圧Voutが上昇を開始し、時間t=t1で電圧Vsscが閾値電圧Vthに至り、時間t=t2で出力電圧Voutの上昇が終了したものとする。また、定常時におけるノードN4の電圧Vsscは、Vssc=GND=0[V]とする。さらに、図6に示される線PL1及び線PL2は、それぞれ、電圧Vssc及び出力電圧Voutを表している。
【0039】
出力電圧Voutが上昇を開始すると(時間t=0[秒])、容量6の上端には正の電荷が、下端には負の電荷が蓄積される。容量6における電荷の移動は、容量6を流れる電流Icと捉えることができる。電流Icは、容量6の容量値Csscと、出力電圧Voutとを用いて、次式(1)
Ic=Cssc×dVout/dt ---(1)
で表すことができる。
【0040】
この容量6を流れる電流Icが、定電流源310が供給する定電流の電流値Isscよりも大きい場合、電圧Vssc(線PL1)は、上昇する。また、出力電圧Vout(線PL2)は、電圧Vssc(線PL1)が閾値電圧Vthに至る時間t=t1までの期間T01においては、負帰還がかからずに上昇する。
【0041】
電圧Vsscが閾値電圧Vthを超えると、V/I変換回路33が差電圧Vod(=Vssc-Vth)に比例する電流I1を発生させる。電流I1が発生すると、NMOSFET21のゲート電圧を低下させる方向の制御、すなわち負帰還がかかり、V/I変換回路33は、入力端331の電圧を、バーチャルショート(Vod≒0[V])となるように制御する。したがって、電圧Vsscは閾値電圧Vthとほぼ等しい電圧値(Vssc≒Vth)に制御される。
【0042】
電圧Vsscは閾値電圧Vthとほぼ等しい電圧値(Vssc≒Vth)に制御されると、容量6を流れる電流Icは電流値Isscに制限されるため、Vssc≒Vthに到達した後の出力電圧Voutの傾きは一定になる。この現象は容量を介した負帰還回路のスルーレートSRとして知られており、電流制限回路10Aでは、次式(2)
dVout/dt=SR≒Issc/Cssc ---(2)
で表すことができる。
【0043】
このように、出力電圧Voutは、DCカットフィルタ70を介した交流(AC)的な負帰還によって、単位時間における電圧上昇(=グラフの傾き)がDCカットフィルタ70のスルーレートSRに制限される。この状態は、出力電圧Voutの上昇が終了する時間t=t2迄の期間T02において継続する。
【0044】
さらに、時間t=t2において、出力電圧Voutの上昇が終了すると、時間t=t2より後の期間T03では、電圧Vsscは閾値電圧Vthから定常時の電圧である0[V]に向けて低下する。一方、出力電圧Voutは、入力端子Tinの電圧である入力電圧Vinとほぼ等しくなるため、一定値となる。
【0045】
このように、電流制限回路10Aによれば、期間T02における線PL2の傾きである出力電圧Voutの単位時間における電圧上昇は、期間T01における線PL2の傾きを期間T02まで延長した想像線ILに対して小さく抑えられている。
【0046】
なお、電流制限回路10A及び電流制限装置1Aでは、出力電圧VoutのSRと出力容量5の容量値Coutによって、出力容量5を流れる電流が決定される。ここで、説明を簡潔化するため、出力容量5を、軽負荷状態で出力電流Ioutが全て出力容量5に流れ込むとすると、出力電流Ioutは次式(3)
Iout≒Issc・Cout/Cssc ---(3)
で表すことができる。式(3)は、出力容量5を流れる突入電流を、容量6の容量値Csscと、定電流源310が供給する定電流の電流値Isscと、出力容量5の容量値Coutの3個の定数によって決まる電流値に制御できることを意味している。
【0047】
以上、電流制限回路10A及び電流制限回路10Aを備える電流制限装置1Aによれば、NMOSFET21及びNMOSFET22のゲート電圧の変化を緩やかにさせるための容量が接続されていないので、スイッチ2のスイッチオフの速度が阻害されない。一方、急激な出力電圧Voutの上昇場面では、外付けされる容量6と相俟って構成されるDCカットフィルタ70によって、出力電圧Voutの単位時間における上昇(傾き)をDCカットフィルタ70のスルーレートSRに制限することができる。このように、電流制限回路10A及び電流制限回路10Aを備える電流制限装置1Aによれば、スイッチオフの速度を低下させることなく、出力電圧Voutが上昇する場面ではその上昇を制限することができる。すなわち、電流抑制とスイッチオフの速度との間にトレードオフが無く、電流抑制とスイッチオフの速度を両立することができる。
【0048】
また、電流制限回路10A及び電流制限回路10Aを備える電流制限装置1Aによれば、スイッチ2が電流制限トランジスタであるNMOSFET21及び逆流防止トランジスタであるNMOSFET22を含む場合においても、各トランジスタのゲートに個別の制御信号を供給する必要がなく、同じ制御信号を供給して動作させることができる。したがって、電流制限回路10A及び電流制限回路10Aを備える電流制限装置1Aでは、電流制限トランジスタを動作させるゲート制御回路と逆流防止トランジスタを動作させるゲート制御回路とを個別に配設する必要はなく、ゲート制御回路50を1個に集約することができる。
【0049】
さらに、電流制限回路10A及び電流制限回路10Aを備える電流制限装置1Aによれば、出力容量5を流れる突入電流である出力電流Ioutが、上述したように、電流制限回路10Aの外部の構成要素である出力容量5及び容量6の各容量値の比(Cout/Cssc)を含む定数によって決まるので(式(3)参照)、回路設計の自由度が高い回路及び装置を提供することができる。
【0050】
なお、本実施形態において、V/I変換回路33は、NMOSFET333を有する例を説明したが、上述した例に限られない。例えば、後述するような変形例であるV/I変換回路33(図7に例示)を採用してもよい。
【0051】
図7は、V/I変換回路33の変形例であるV/I変換回路33Aを示した概略図である。
【0052】
V/I変換回路33Aは、V/I変換回路33のNMOSFET333の代わりに、いわゆるOTA(Operational Transconductance Amplifier)334を有している点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。OTA334は、相互コンダクタンスGmを持ち、非反転入力端(+)と反転入力端(-)との差電圧Vodが正となる場合(差電圧Vod>0)に、差電圧Vodと相互コンダクタンスGmとの積に等しい電流I1を出力端334aに流す増幅回路である。OTA334の非反転入力端(+)は、入力端331と接続されている。反転入力端(-)は、閾値電圧Vthを基準電圧として供給する基準電圧源335の出力端と接続されている。出力端334aは出力端332と接続されている。
【0053】
[第2の実施形態]
図8は、本発明の第2の実施形態に係る電流制限回路及び電流制限装置の一例である電流制限回路10B及び電流制限装置1Bの適用例を概略的に示したブロック図である。
【0054】
電流制限装置1Bは、電流制限装置1Aに対して、電流制限回路10Aの代わりに、電流制限回路10Bを備える点で相違する。電流制限回路10Bは、電流制限回路10Aに対して、V/I変換回路33を有する負帰還回路30Aの代わりに、V/I変換回路34を有する負帰還回路30Bを備える点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。そこで、本実施形態の説明では、電流制限回路10A及び電流制限装置1Aに対する相違を中心に説明し、実質的に相違しない構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0055】
電流制限装置1Bは、入力端子Tinと、出力端子Toutと、スイッチ2と、容量6と、電流制限回路10Bと、を備えている。電流制限回路10Bは、入力端10a,10b,10c,10eと、出力端10dと、制御回路としてのゲート制御回路50と、クランプ回路31、V/I変換回路34及び出力端を有する負帰還回路30Bとを備えている。入力端10aは、スイッチ2と出力端子Toutとの間に設けられる第1のノードとしてのノードN1と接続される。入力端10bは、スイッチ2と入力端子Tinとの間に設けられる第3のノードとしてのノードN3と接続される。入力端10cは、容量6の一端が接続される。入力端10eは、GND端子3に接続される。
【0056】
負帰還回路30Bでは、電流制限回路10Bの入力端10cが負帰還回路30Bの入力端に相当している。また、V/I変換回路34の出力端342が、負帰還回路30Bの出力端に相当しており、ゲート制御回路50の入力端50cと接続されている。負帰還回路30Bは、ノードN1との間に容量6が接続されると、入力端10c(負帰還回路30Bの入力端に相当)が容量6を介してノードN1に結合される。この結果、電流制限回路10Bでは、容量6、負帰還回路30B及びゲート制御回路50を介してノードN1からスイッチ2の制御端となるNMOSFET21,22のゲートまでの負帰還ループが形成される。
【0057】
V/I変換回路34は、負帰還回路30Bの入力端、すなわちノードN4の電圧Vsscを受ける入力端341と、変換した電流I1が流れる出力端342と、を有している。入力端341は、すなわち負帰還回路30Bの入力端と同一のノードであるノードN4に接続されている。出力端342は、ゲート制御回路50の入力端50cと接続されている。
【0058】
V/I変換回路34は、入力端341から受ける電圧、すなわちノードN4の電圧Vsscが閾値電圧Vthよりも高い場合に、電圧Vsscと閾値電圧Vthとの差電圧Vod(=Vssc-Vth)に基づき電流I1及び電流I2に変換する回路である。V/I変換回路34の相互コンダクタンスGm1及びGm2と差電圧Vodとを用いれば、V/I変換回路34が変換して得る電流I1及び電流I2は、それぞれ、各相互コンダクタンスGm1,Gm2と差電圧Vodとの積(I1=Gm1×Vod、I2=Gm2×Vod)で表すことができる。なお、出力端子Toutの電圧(以下、「出力電圧」とする)Voutが電圧上昇なく安定している状態(以下、「定常時」とする)におけるノードN4の電圧Vsscは、閾値電圧Vthを超えない電圧値に設定される。
【0059】
このように構成される電流制限回路10Bでは、V/I変換回路34が電流I1を流す際に、ゲート制御回路50から供給される制御信号の電圧が低下するように設計されており、出力電圧Voutが急峻に上昇した際に、NMOSFET21のゲート電圧を低下させ、NMOSFET21の出力電流Ioutを低下させることができる。
【0060】
図9は、V/I変換回路34(基本構成例)を示した概略図である。
V/I変換回路34は、入力端341及び出力端342の他、いわゆるOTA(Operational Transconductance Amplifier)80と、制御端90bから受ける切替信号に基づいて2個の異なる閾値電圧Vthを切り替えて出力端90aから出力可能な電圧源90と、切替信号生成回路としての電流比較回路100と、を有している。
【0061】
増幅回路としてのOTA80は、非反転入力端(+)及び反転入力端(-)を含む2個の入力端と、2個の出力端80a,80bと、を有する2入力2出力回路として構成される。OTA80は、2個の異なる相互コンダクタンスGm1とGm2とを持ち、非反転入力端(+)と反転入力端(-)との差電圧Vodが正となる場合(差電圧Vod>0)に、差電圧Vodと相互コンダクタンスGm1との積に等しい電流I1を出力端80aに流す一方、差電圧Vodと相互コンダクタンスGm2との積に等しい電流I2を出力端80bに流す回路である。OTA80の非反転入力端(+)は、入力端341と接続されている。反転入力端(-)は、閾値電圧Vthを供給する電圧源90の出力端90aと接続されている。出力端80aは出力端342と接続されている。
【0062】
電圧源90は、出力端90aと、制御端90bとを有し、制御端90bから入力される切替信号に基づいて2個の異なる閾値電圧(以下、電圧の低い方を閾値電圧「VthL」とし、電圧の高い方を閾値電圧「VthH」とする)から一方を閾値電圧Vthとして選択して出力可能な可変電圧源である。
【0063】
電流比較回路100は、入力端100aと、出力端100bとを有し、入力端100aから入力される電流I2が基準電流に対して大きいか小さいかに対応する信号を、閾値電圧Vthの切替信号として出力端100bから出力可能に構成されている。
【0064】
図10は、V/I変換回路34のうち、OTA80及び電流比較回路100をより詳細に図示することによってV/I変換回路34のより詳細な構成例を示した概略図である。
【0065】
OTA80は、差動対を構成する一対のNMOSトランジスタ81a,81bと、定電流Ib1を供給する定電流源82と、ミラー比k(kは正数)のカレントミラー回路を構成するPMOSトランジスタ83,84と、を有して構成される。
【0066】
NMOSトランジスタ81aは、入力端341と接続され、OTA80の非反転入力端(+)に相当するゲートと、出力端342と接続され、OTA80の出力端80aに相当するドレインと、ソースとを含んでいる。NMOSトランジスタ81bは、出力端90aと接続され、OTA80の反転入力端(-)に相当するゲートと、ドレインと、NMOSトランジスタ81aのソースと接続されるソースとを含んでいる。定電流源の82は、NMOSトランジスタ81aのソース及びNMOSトランジスタ81bのソースに接続される第1端と、GND端子3と接続されている第2端とを含んでいる。
【0067】
PMOSトランジスタ83のゲート及びドレインは、PMOSトランジスタ84のゲートと接続されている。PMOSトランジスタ83,84の各ソースは、VDD端子9と接続されている。PMOSトランジスタ83のドレインは、NMOSトランジスタ81bのドレインと接続されている。PMOSトランジスタ84のドレインは、電流比較回路100(より詳細には、入力端100a)と接続されており、OTA80の出力端80bに相当する。
【0068】
電流比較回路100は、入力端100a及び出力端100bの他、入力される電流I2と比べる際の基準電流である定電流Ib2を供給する定電流源101と、入力端100aと定電流源101との接続点であるノードN8に接続される入力端と、電流比較回路100の出力端100bと接続される出力端を含むインバータ102と、インバータ102の出力端に接続される入力端と、電流比較回路100の出力端100bと接続される出力端とを含むインバータ103とを有している。
【0069】
ここで、定電流Ib2は、電圧Vsscが上昇して閾値電圧VthHを上回ること又は電圧Vsscが下降して閾値電圧VthLを下回ることに呼応して、電流I2との大小関係が逆転するように設定される。すなわち、電流比較回路100は、電圧Vsscが閾値電圧VthHを上に超えると、出力端100bから出力する閾値電圧Vthの切替信号の信号レベルをローレベルからハイレベルに遷移し、電圧Vsscが閾値電圧VthLを下に超えると、出力端100bから出力する閾値電圧Vthの切替信号の信号レベルがハイレベルからローレベルに遷移するように構成されている。
【0070】
また、出力端100bは、インバータ103からの出力信号を出力する出力端と接続される第1出力端104と、インバータ102からの出力信号を出力する出力端と接続される第2出力端105と、を含んでいる。すなわち、出力端100bは、インバータ102からの出力信号及びインバータ103からの出力信号の独立した2個の信号を出力可能に構成されている。
【0071】
図11は、V/I変換回路34のうち、電圧源90の構成例をより詳細に示した概略図である。
【0072】
電圧源90は、基準電圧Vrefを供給する基準電圧源91と、バッファ回路92と、バッファ回路92から出力される電圧を分圧して閾値電圧VthH及び閾値電圧VthLを得る分圧回路93と、電流比較回路100から供給される信号の信号レベルに応じて、供給される閾値電圧VthH及び閾値電圧VthLのうち一方を閾値電圧Vthとして出力するセレクタ94と、を有している。
【0073】
バッファ回路92は、例えば、ボルテージフォロワで構成されている。分圧回路93は、例えば、3個の抵抗素子931,932,933を直列に接続して構成されており、直列接続された3個の抵抗素子の一端と接続される第1入力端子935と、他端と接続される第2入力端子936と、抵抗素子931,932の接続点と接続される第1出力端子937と、抵抗素子932,933の接続点と接続される第2出力端子938と、を有している。第1入力端子935は、バッファ回路92の出力端と同一ノードであるノードN9と接続されている。第2入力端子936は、GND端子3と接続されている。
【0074】
セレクタ94は、第1入力端941と、第2入力端942と、出力端943と、第1入力端941と出力端943とを開閉可能に接続するスイッチ944と、第2入力端942と出力端943とを開閉可能に接続するスイッチ945と、スイッチ944の制御端946と、スイッチ945の制御端947と、を有している。ここで、スイッチ944及びスイッチ945は、制御端946及び制御端947に、ハイレベルの信号が供給されると閉じ、ローレベルの信号が供給されると開くスイッチである。セレクタ94は、スイッチ944及びスイッチ945の一方が開状態、他方が閉状態となるように開閉制御されることによって、供給される閾値電圧VthH及び閾値電圧VthLのうち一方を閾値電圧Vthとして出力可能に構成されている。
【0075】
分圧回路93は、セレクタ94に対して、第1出力端子937が第1入力端941と接続され、第2出力端子938が第2入力端942と接続されている。セレクタ94において、出力端943は、電圧源90の出力端90aと接続されている。セレクタ94の制御端946は電圧源90の制御端90bに含まれる第1制御端900と接続されている。第1制御端900は、電流比較回路100の出力端100bに含まれる第1出力端104と接続されている。セレクタ94の制御端947は制御端90bに含まれる第2制御端901と接続されている。第2制御端901は、出力端100bに含まれる第2出力端105と接続されている。
【0076】
次に、電流制限回路10Bを備える電流制限装置1Bの動作及び効果について説明する。
【0077】
電流制限回路10Bは、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に接続されたNMOSFET21及びNMOSFET22のオン抵抗(抵抗値)を制御することによって、負荷4へ供給する電流を制御する。ゲート制御回路50は、入力端子Tin側のノードN3と、出力端子Tout側のノードN1の電圧に基づく電圧検出信号と、負帰還回路30Bからの負帰還信号とを結合させた制御信号を生成する。ゲート制御回路50Bは、生成した制御信号を、スイッチ2の制御端としてのNMOSFET21,22のゲートに供給することによって、NMOSFET21,22のオン抵抗(抵抗値)を制御する。
【0078】
負帰還回路30Bにおいて、負帰還信号である電流I1は、上述したように、OTA80(図10)の相互コンダクタンスGm1と差電圧Vodとの積(=Gm1×Vod)で表すことができる。また、電流比較回路100(図9及び図10)に供給される電流I2は、OTA80の相互コンダクタンスGm2と差電圧Vodとの積(=Gm2×Vod)で表すことができる。
【0079】
ここで、差動対を構成する一対のNMOSトランジスタ81a,81b(図10)のドレイン電流である電流I1,I3の関係(I1=-I3)と、PMOSトランジスタ83,84(図10)で構成されるカレントミラー回路(ミラー比k)との関係(I2=k×I3)を考慮すると、電流I1と電流I2との関係は、次式(4)
I2=k×I3
=k×(-I1)
=-k×I1 ---(4)
で表すことができる。
【0080】
電流比較回路100(図10)に電流I2が供給されると、電流比較回路100は、電流I2と定電流Ib2との大小を比べて、電流I2が定電流Ib2よりも大きい場合、電圧が高い方の閾値電圧VthHが選択され、電流I2が定電流Ib2よりも小さい場合、電圧が低い方の閾値電圧VthLが選択される。なお、起動直後の出力電圧Vout≒0[V]の場合、電流比較回路100は、高い方の閾値電圧VthHを選択する閾値電圧Vthの切替信号を出力するように設定されている。
【0081】
このように動作する電流制限回路10Bは、電流I2が定電流Ib2よりも大きいか否か、換言すれば、電圧Vsscと閾値電圧Vthとの差電圧Vod(=Vssc-Vth)が所定の電圧よりも大きいか否かによって、閾値電圧Vthを、閾値電圧VthH又は閾値電圧VthLに切り替えて負帰還を作用させる。
【0082】
電流制限回路10Bは、定常時においては、電圧Vsscが0[V]であるため、電圧Vsscと閾値電圧Vth(>0)との差電圧Vodは負電圧になり(Vod<0)、経路P1に電流I1は流れない(I1=0)。したがって、電流制限回路10Bは、定常時において、経路P2から伝送される電圧検出信号が支配的となっている。すなわち、定常時においては、経路P2から伝送される電圧検出信号が事実上の制御信号となって、NMOSFET21とNMOSFET22のオン抵抗(抵抗値)が制御される。
【0083】
続いて、出力電圧Voutが上昇している非定常時における電流制限回路10Bの動作について説明する。
【0084】
図12は、電流制限回路10Bにおける出力電圧Vout(線PL1)及び負帰還回路30Bの入力端10c、すなわちノードN4の電圧Vssc(線PL2)の時間推移を、横軸を時間t、縦軸を電圧Vとして表したグラフである。
【0085】
説明に際して、時間t=0[秒]で出力電圧Voutが上昇を開始し、時間t=t1で電圧Vsscが閾値電圧VthHに至り、時間t=t2で出力電圧Voutの上昇が終了したものとする。また、定常時におけるノードN4の電圧Vsscは、Vssc=GND=0[V]とする。さらに、図12に示される線PL1及び線PL2は、それぞれ、電圧Vssc及び出力電圧Voutを表している。
【0086】
出力電圧Voutが上昇を開始すると(時間t=0[秒])、容量6の上端には正の電荷が、下端には負の電荷が蓄積される。容量6における電荷の移動は、容量6を流れる電流Icと捉えることができる。電流Icは、容量6の容量値Csscと、出力電圧Voutとを用いて、次式(5)
Ic=Cssc×dVout/dt ---(5)
で表すことができる。
【0087】
この容量6を流れる電流Icが、定電流源310が供給する定電流の電流値Isscよりも大きい場合、電圧Vssc(線PL2)は、上昇する。また、出力電圧Vout(線PL1)は、電圧Vssc(線PL2)が閾値電圧VthHに至る時間t=t1までの期間T01においては、負帰還がかからずに上昇する。
【0088】
時間t=t1において、電圧Vsscが閾値電圧VthHを超えると、V/I変換回路34は差電圧Vod(=Vssc-VthH)に比例する電流I1を発生させる。上述したように、ゲート制御回路50は、電流I1が流れる際に出力端50dの電圧が低下するため、ゲート制御回路50がNMOSFET21のゲート電圧を低下させ、NMOSFET21の出力電流Ioutを低下させる。すなわち、電流制限回路10Bは、電圧Vsscが閾値電圧VthHを超えると、負帰還がかかる。
【0089】
電流比較回路100(図10)において、電圧Vsscが上昇していく段階で閾値電圧VthHの近傍では、NMOSトランジスタ81aのドレインを流れる電流I1は増大する一方、NMOSトランジスタ81bのドレインを流れる電流I3及びPMOSトランジスタ84のドレインを流れる電流I2は減少する。電流I2が減少していくと、やがて電流I2は定電流Ib2を下回る。電流I2が定電流Ib2を下回ると、電流比較回路100は、閾値電圧Vthの切替信号の信号レベルを反転させて、閾値電圧Vthを閾値電圧VthLに切り替える。閾値電圧Vthが閾値電圧VthLに切り替わることで、差電圧Vod及び電流I1が大きくなり、時間t=t1(図12)以降で出力電流Ioutと出力電圧Voutの上昇傾きが0に近づく。
【0090】
また、時間t=t1(図12)から、容量6の電荷は定電流源310によって放電され、電圧Vsscは低下していく。電流比較回路100(図10)において、電圧Vsscが下降していく段階で閾値電圧VthLの近傍では、NMOSトランジスタ81aのドレインを流れる電流I1は減少する一方、NMOSトランジスタ81bのドレインを流れる電流I3及びPMOSトランジスタ84のドレインを流れる電流I2は増大する。電流I2が増大していき、時間t=t11において、電流I2が定電流Ib2を上回ると、電圧Vsscは閾値電圧Vth=VthLまで低下する。
【0091】
電流比較回路100は、電圧Vsscが閾値電圧Vth=VthLまで低下すると、閾値電圧Vthの切替信号の信号レベルを反転させて、閾値電圧Vthを閾値電圧VthHに切り替える。閾値電圧Vthが閾値電圧VthHに切り替わることで、差電圧Vod及び電流I1が小さくなる。時間t=t11(図12)以降では、期間T01と同様に負帰還がかからないので、出力電流Ioutが増大し、出力電圧Voutが上昇する。その後、時間t=t12において、電圧Vsscが閾値電圧VthHを超えると、V/I変換回路34は差電圧Vodに比例する電流I1を発生させる。時間t=t12以降は、時間t=t1以降t12まで(t1≦t<t12)の動作を繰り返す。
【0092】
負帰還回路30B(より詳細にはV/I変換回路34)は、電圧Vsscの上昇及び下降の際に異なる閾値電圧Vthに切り替えるヒステリシス動作を繰り返すことによって、出力電圧Voutの上昇を、緩やかな階段状に抑制する。負帰還回路30Bのヒステリシス動作は、出力電圧Voutの上昇が終了する時間t=t2迄の期間T02において継続する。
【0093】
さらに、時間t=t2において、出力電圧Vout(線PL1)の上昇が終了すると、時間t=t2より後の期間T03では、電圧Vssc(線PL2)は定常時の電圧である0[V]に向けて低下する。一方、出力電圧Voutは、入力端子Tinの電圧である入力電圧Vinとほぼ等しくなるため、一定値となる。
【0094】
このように、電流制限回路10Bによれば、期間T02における線PL2の傾きである出力電圧Voutの単位時間における電圧上昇は、期間T01における線PL2の傾きを期間T02まで延長した想像線ILに対して小さく抑えられている。
【0095】
以上、電流制限回路10B及び電流制限回路10Bを備える電流制限装置1Bによれば、NMOSFET21及びNMOSFET22のゲート電圧の変化を緩やかにさせるための容量が接続されていないので、スイッチ2のスイッチオフの速度が阻害されない。一方、急激な出力電圧Voutの上昇場面では、負帰還回路30Bが負帰還をかけるオン状態と負帰還をかけないオフ状態とを繰り返すことによって、出力電圧Voutの上昇を階段状に抑制、すなわち想像線ILに対して緩やかな上昇に制限することができる。したがって、電流制限回路10B及び電流制限回路10Bを備える電流制限装置1Bによれば、急激な出力電圧Voutの上昇場面において、突入電流を制限することができる。
【0096】
出力電圧Voutが上昇する際の階段状の特性は、主に電圧源90の閾値電圧Vthのヒステリシスと、例えば、容量6の容量値Cssc及び定電流源310が供給する電流値Issc等のDCカットフィルタ70の定数によって決まるため、設計自由度が高い。さらに、上述した出力電圧Voutの制限制御は、出力電圧Voutが下降するFETのオフ制御には関与しないため、素早いオフ制御の阻害要因にはならない。
【0097】
このように、電流制限回路10B及び電流制限回路10Bを備える電流制限装置1Bによれば、電流制限回路10A及び電流制限装置1Aと同様に、スイッチオフの速度を低下させることなく、出力電圧Voutが上昇する場面ではその上昇を制限することができる。すなわち、電流抑制とスイッチオフの速度との間にトレードオフが無く、電流抑制とスイッチオフの速度を両立することができる。
【0098】
電流制限回路10B及び電流制限回路10Bを備える電流制限装置1Bによれば、電流制限回路10A及び電流制限装置1Aと同様に、電流制限トランジスタを動作させるゲート制御回路と逆流防止トランジスタを動作させるゲート制御回路とを個別に配設する必要はなく、ゲート制御回路50を1個に集約できる。
【0099】
電流制限回路10B及び電流制限回路10Bを備える電流制限装置1Bによれば、主に電圧源90の閾値電圧Vthのヒステリシスと、DCカットフィルタ70の定数によって決まるため、設計自由度が高い回路及び装置を提供することができる。
【0100】
なお、本実施形態において、V/I変換回路34における電圧源90は、上述した構成に限られない。V/I変換回路34は、電圧源90の代わりに、電圧源90A、電圧源90B又は電圧源90Cを有していてもよい。続いて、電圧源90A、電圧源90B及び電圧源90Cについて説明する。
【0101】
図13図14及び図15は、それぞれ、電圧源90A、電圧源90B及び電圧源90Cの構成例をより詳細に示した概略図である。
【0102】
電圧源90A(図13)は、電圧源90(図11)に対して、基準電圧源91及びバッファ回路92の代わりに、基準電圧回路を構成する定電流源95及びNMOSトランジスタ97と、分圧回路93を負荷とするソースフォロワを構成するNMOSトランジスタ96と、を有する点で相違するが、その他の点は実質的に相違しない。そこで、定電流源95、NMOSトランジスタ96及びNMOSトランジスタ97を中心に説明し、電圧源90と重複する構成である分圧回路93及びセレクタ94については、同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0103】
定電流源95は、一端がVDD端子9に接続されている。NMOSトランジスタ97は、GND端子3と接続されるソースと、分圧回路93の第1入力端子935と接続されるゲートと、定電流源95の他端と接続されるドレインとを含んでいる。NMOSトランジスタ96は、VDD端子9に接続されるドレインと、定電流源95の他端とNMOSトランジスタ97のドレインとの接続点、すなわちノードN10に接続されるゲートと、分圧回路93の第1入力端子935と接続されるソースとを含んでいる。
【0104】
このように構成される電圧源90Aでは、ノードN10に発生する基準電圧Vrefが分圧回路93の第1入力端子935に供給される。分圧回路93によって得られる分圧電圧のうち、閾値電圧VthHは第1出力端子937からセレクタ94の第1入力端941に供給され、閾値電圧VthLは第2出力端子938からセレクタ94の第2入力端942に供給される。なお、NMOSトランジスタ97のゲートには、分圧回路93の第1入力端子935の電圧、すなわち、NMOSトランジスタ96のソースの電圧が供給される。セレクタ94の動作は、電圧源90と同様である。
【0105】
電圧源90B(図14)及び電圧源90C(図15)は、電圧源90A(図13)に対して、分圧回路93の第1入力端子935、第1出力端子937及び第2出力端子938の接続先が、それぞれ異なるものの、構成される素子は同一である。電圧源90Bでは、第1入力端子935、第1出力端子937及び第2出力端子938の接続先が、それぞれ、第1入力端941、第2入力端942及びNMOSトランジスタ97のゲートである。電圧源90Cでは、第1入力端子935、第1出力端子937及び第2出力端子938の接続先が、それぞれ、第1入力端941、NMOSトランジスタ97のゲート及び第2入力端942である。
【0106】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階では、上述した実施例以外にも様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、追加、置き換え又は変更することができる。例えば、上述したスイッチ2は、電流制限トランジスタであるNMOSFET21と、逆流防止トランジスタであるNMOSFET22との複数のトランジスタを有する構成を例に挙げて説明したが、この例に限定されない。
【0107】
スイッチ2を構成する電流制限トランジスタ及び逆流防止トランジスタは、P型のMOSFET(以下、「PMOSFET」とする)でもよい。また、スイッチ2は、NMOSFET21等の電流制限トランジスタを有していればよく、逆流防止トランジスタは省略されてもよい。さらに、スイッチ2を構成する電流制限トランジスタ及び逆流防止トランジスタは、少なくとも1個のトランジスタであれば、その種類を問わない。すなわち、電流制限トランジスタは、MOSFETの他にも、接合型FET(JFET)や金属絶縁膜半導体型FET(MISFET)等の他の電界効果トランジスタ、又はバイポーラトランジスタから適宜選択してもよい。
【0108】
上述した電流制限回路10A,10Bでは、入力端10eがGND端子3に接続されている場合を説明したが、入力端10eの接続先となる電源端子は、GND端子3に限定されるものではなく、接地電圧GNDとは異なる電源電圧を供給する他の電源端子(図示省略)でもよい。
【0109】
さらに、電流制限装置1A,1B及び電流制限回路10A,10Bにおいて、ゲート制御回路50及びクランプ回路31は、上述した構成に限らず、ゲート制御回路50及びクランプ回路31の少なくとも何れかの回路について後述するような変形例を採用してもよい。すなわち、電流制限回路10A,10Bは、ゲート制御回路50の代わりに、ゲート制御回路50A又はゲート制御回路50Bを備えてもよい。電流制限回路10A,10Bは、クランプ回路31の代わりに、クランプ回路31A又はクランプ回路31Bを備えてもよい。
【0110】
ここで、ゲート制御回路50とクランプ回路31の各変形例であるゲート制御回路50A及びゲート制御回路50Bと、クランプ回路31A及びクランプ回路31Bについて説明する。
【0111】
図16及び図17は、それぞれ、ゲート制御回路50の変形例であるゲート制御回路50A及びゲート制御回路50Bを示した概略図である。
【0112】
ゲート制御回路50Aは、ゲート制御回路50に対して、ノードN7と出力端50dとの間に接続される出力回路としてのソースフォロワ回路53をさらに備えている点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。ソースフォロワ回路53は、NMOSFET531と、定電流源532とを有している。
【0113】
ソースフォロワ回路53は、ゲート制御回路50に対して、出力インピーダンスを低下させるためのバッファとして動作する。ここで、VREG端子7は電圧調整された電源電圧VREGを供給する電源端子の一つであり、GND端子3及びVDD端子9とは異なる電源端子である。また、VN2端子8は、ノードN2の電圧VN2を供給する電源端子の一つであり、GND端子3、VDD端子9、及びVREG端子7とは異なる電源端子である。
【0114】
ゲート制御回路50Bは、ゲート制御回路50に対して、PMOSFET551とPMOSFET552とを接続して構成されたカレントミラー回路55と、ノードN7と出力端50dとの間に接続される出力回路としてのソース接地増幅回路54をさらに有している点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。
【0115】
カレントミラー回路55は、PMOSFET551のゲート及びドレインとPMOSFET552のゲートが接続されている。ソース接地増幅回路54は、PMOSFET541と、定電流源542とを有し、ゲート制御回路50に対して、ゲインを増加させる。
【0116】
なお、上述した電圧検出回路51は、一般的な差動入力アンプの他、差動入力コンパレータを適用してもよい。ゲート制御回路50,50A,50Bがコンパレータで構成される電圧検出回路51を備える場合、二つの信号レベルのうち一方の信号レベル(例えばハイレベル)の制御信号でオンし、他方の信号レベル(例えばローレベル)の制御信号でオフするように、スイッチ2及び周辺回路を構成すればよい。
【0117】
上述した電圧源52は、入力端50bと非反転入力端(+)との間に接続される例を説明しているが、電圧源52は、入力端50aと反転入力端(-)との間に接続されていてもよい。また、電圧源52の電圧降下Vbは正の場合に限定されず、電圧降下Vb=0[V]や負の場合も含まれる。すなわち、電圧源52を省略したり、正負の向きを逆にしたりしてもよい。
【0118】
NMOSFET21及びNMOSFET22をオンさせるに際して、昇圧回路を用いて、入力端子Tinよりも高い電圧でスイッチング動作可能に構成してもよい。
【0119】
図18(A)及び図18(B)は、クランプ回路31の変形例であるクランプ回路31A及びクランプ回路31Bを示した概略図である。
【0120】
クランプ回路31Aは、クランプ回路31に対して、定電流源310の第1端、すなわちノードN4と同一のノードに所定電圧を供給するバイアス回路315をさらに有している点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。バイアス回路315は、例えば、NMOSFET3151と、電圧VosをNMOSFET3151のゲートに供給する基準電圧源3152と、を有するソースフォロワ回路によって構成されている。バイアス回路315は、ノードN4に所定電圧をバイアス電圧として供給する。
【0121】
バイアス回路315は、定常時におけるノードN4の電圧VsscがV/I変換回路33及び後述するV/I変換回路33Aの閾値電圧Vthを超えないように設定すれば、定常時に電流I1は流れない。一方、ノードN4と同一のノードに所定電圧をバイアス電圧として供給すれば、バイアス電圧を供給しない場合と比べて小さい出力電圧VOUTの変化でも電流I1が流れるようにすることができる。
【0122】
ここで、NMOSFET3151のゲート・ソース間電圧を電圧Vgsとすると、ノードN4の電圧Vsscは、Vssc=Vos-Vgsであるから、定常時におけるノードN4の電圧Vsscが閾値電圧Vthを超えないように設定するためには、Vos-Vgs<Vthを満たすように、NMOSFET3151及び基準電圧源3152を選択すればよい。
【0123】
図18(B)に例示のクランプ回路31Bは、クランプ回路31の定電流源310の代わりに、抵抗体316を有している点で相違するが、その他の点では実質的に相違しない。ここで、抵抗体316は、抵抗素子、ダイオード素子、及びダイオード接続されたFETのオン抵抗から選択される何れか一つを含む、所定の抵抗値を有する構成要素である。なお、クランプ回路31Bは、クランプ回路31Aに対しても適用可能である。すなわち、クランプ回路31Aにおいて、定電流源310の代わりに抵抗体316を有するクランプ回路31Aとしてもよい。
【0124】
上述したこれら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0125】
1A,1B 電流制限装置
2 スイッチ
6 容量
10A,10B 電流制限回路
30A,30B 負帰還回路
31,31A,31B クランプ回路
310 定電流源(第1の定電流源)
311 デプレッション型NMOSFET(デプレッション型のFET)
3121 NMOSFET(第1のFET)
3122 NMOSFET(第2のFET)
313 定電流源(第2の定電流源)
315 バイアス回路
316 抵抗体
33,33A 電圧電流変換回路
334 OTA(増幅回路)
50,50A,50B ゲート制御回路
50c 入力端(第1入力端)
N1 ノード(第1のノード)
N5 ノード(第2のノード)
N3 ノード(第3のノード)
N7 ノード(第1の経路と第2の経路との接続点)
Tin 入力端子
Tout 出力端子
図1
図2
図3
図4
図5
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