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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173781
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】測定システムおよび測定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20241205BHJP
   G01N 21/45 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G01N21/17 A
G01N21/45 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024086648
(22)【出願日】2024-05-28
(31)【優先権主張番号】P 2023090962
(32)【優先日】2023-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】512094410
【氏名又は名称】西華デジタルイメージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 敬夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 勉
(72)【発明者】
【氏名】町井 潤
(72)【発明者】
【氏名】中村 健一
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059EE04
2G059FF01
2G059KK04
2G059MM01
2G059MM09
(57)【要約】
【課題】測定対象物の密度勾配の測定感度を向上させることができる測定システムおよび測定プログラムを提供すること。
【解決手段】測定システムは、測定対象物を撮像する条件が入力される入力部3と、入力部3に入力された条件に応じてパターンを有する背景画像を生成する第1画像生成部411と、第1画像生成部411により生成された背景画像を表示する表示部5と、表示部5により表示された背景画像と測定対象物とを条件で撮像する撮像部6と、撮像部6により撮像された撮像画像に基づいて密度勾配を示す密度勾配画像を生成する第2画像生成部412と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の密度勾配を可視化する測定システムであって、
前記測定対象物を撮像する条件が入力される入力部と、
前記入力部に入力された前記条件に応じてパターンを有する背景画像を生成する第1画像生成部と、
前記第1画像生成部により生成された前記背景画像を表示する表示部と、
前記表示部により表示された前記背景画像と前記測定対象物とを前記条件で撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された撮像画像に基づいて前記密度勾配を示す密度勾配画像を生成する第2画像生成部と、
を備えたことを特徴とする測定システム。
【請求項2】
前記パターンは、規則性を有することを特徴とする請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
前記撮像部は、撮像素子を有し、
前記パターンは、前記撮像素子の画素の配列方向に対して傾斜した方向に配列された明部および暗部を有する縞模様であることを特徴とする請求項1に記載の測定システム。
【請求項4】
前記縞模様は、白黒2値の縞模様であることを特徴とする請求項3に記載の測定システム。
【請求項5】
前記明部および前記暗部のそれぞれは、前記撮像素子において2画素以上、10画素以下の幅を有することを特徴とする請求項3に記載の測定システム。
【請求項6】
前記明部および前記暗部が前記配列方向に対して傾斜した方向の角度は、25度以上、65度以下であることを特徴とする請求項3に記載の測定システム。
【請求項7】
前記明部および前記暗部が前記配列方向に対して傾斜した方向の角度は、45度であることを特徴とする請求項3に記載の測定システム。
【請求項8】
前記表示部は、可視光線を射出または反射することにより前記背景画像を表示し、
前記測定対象物は、前記可視光線を透過させる膜または板であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項9】
前記表示部は、不可視光線を射出または反射することにより前記背景画像を表示し、
前記測定対象物は、可視光線を透過させず前記不可視光線を透過させることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項10】
測定対象物の密度勾配を可視化する測定システムであって、
パターンを有する背景画像を表示する表示部と、
前記表示部により表示された前記背景画像と前記測定対象物としての膜または板とを撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された撮像画像に基づいて前記密度勾配を示す密度勾配画像を生成する画像生成部と、
を備えたことを特徴とする測定システム。
【請求項11】
測定対象物の密度勾配を可視化する測定システムのコンピュータによって実行される測定プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記測定対象物を撮像する条件を取得するステップと、
取得した前記条件に応じてパターンを有する背景画像を生成するステップと、
生成された前記背景画像を表示させるステップと、
表示された前記背景画像と前記測定対象物とを前記条件で撮像させるステップと、
撮像された撮像画像に基づいて前記密度勾配を示す密度勾配画像を生成するステップと、
を実行させることを特徴とする測定プログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の密度勾配を可視化する測定システムおよび測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、背景指向型シュリーレン法(Background Oriented Schlieren法、以下「BOS法」とも称する)を用いた流体の密度勾配検知システムが開示されている。特許文献1には、汎用カメラまたは既設のカメラにおいて高感度に気流の密度勾配を可視化する点が記載されている。
【0003】
しかし、汎用カメラおよび既設のカメラなどの撮像部が背景画像を撮像する条件あるいは背景画像のパターンあるいは測定対象物の形状等によっては、測定対象物の密度勾配の測定感度を向上したり、密度勾配を示す画像に現れるノイズを低減したりすることが困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-184123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、測定対象物の密度勾配の測定感度を向上させることができる測定システムおよび測定プログラム。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、測定対象物の密度勾配を可視化する測定システムであって、前記測定対象物を撮像する条件が入力される入力部と、前記入力部に入力された前記条件に応じてパターンを有する背景画像を生成する第1画像生成部と、前記第1画像生成部により生成された前記背景画像を表示する表示部と、前記表示部により表示された前記背景画像と前記測定対象物とを前記条件で撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された撮像画像に基づいて前記密度勾配を示す密度勾配画像を生成する第2画像生成部と、を備えたことを特徴とする本発明に係る測定システムにより解決される。
【0007】
本発明に係る測定システムによれば、第1画像生成部は、入力部に入力された撮像条件に応じてパターンを有する背景画像を生成する。そのため、第1画像生成部は、入力部に入力された撮像条件に応じてより適切なパターンを有する背景画像を生成することができる。また、撮像部は、第1画像生成部により生成されより適切なパターンを有する背景画像と測定対象物とを、入力部に入力された撮像条件で撮像する。そして、第2画像生成部は、撮像部により撮像された撮像画像に基づいて、測定対象物の密度勾配を示す密度勾配画像を生成する。これにより、本発明に係る測定システムは、測定対象物の密度勾配の測定感度を向上させることができる。
【0008】
本発明に係る測定システムにおいて、好ましくは、前記パターンは、規則性を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る測定システムによれば、ランダムパターンを有する背景画像が表示される場合と比較して、ランダムパターンの影響による測定感度の不均一性を抑え、密度勾配の測定感度を全方向において略均一に向上させることができる。
【0010】
本発明に係る測定システムにおいて、好ましくは、前記撮像部は、撮像素子を有し、前記パターンは、前記撮像素子の画素の配列方向に対して傾斜した方向に配列された明部および暗部を有する縞模様であることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る測定システムによれば、測定対象物の密度勾配の方向に依らず、全方向の密度勾配の測定感度を向上させることができる。
【0012】
本発明に係る測定システムにおいて、好ましくは、前記縞模様は、白黒2値の縞模様であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る測定システムによれば、背景画像の縞模様の明部と暗部とのコントラストを高めることにより、測定対象物の密度勾配の測定感度を向上させることができる。
【0014】
本発明に係る測定システムにおいて、好ましくは、前記明部および前記暗部のそれぞれは、前記撮像素子において2画素以上、10画素以下の幅を有することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る測定システムによれば、測定対象物の密度勾配の測定感度を向上させることができるとともにノイズを低減することができる。
【0016】
本発明に係る測定システムにおいて、好ましくは、前記明部および前記暗部が前記配列方向に対して傾斜した方向の角度は、25度以上、65度以下であることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る測定システムによれば、測定対象物の密度勾配の方向に依らず、全方向の密度勾配の測定感度をより一層向上させることができる。
【0018】
本発明に係る測定システムにおいて、好ましくは、前記明部および前記暗部が前記配列方向に対して傾斜した方向の角度は、45度であることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る測定システムによれば、測定対象物の密度勾配の方向に依らず、全方向の密度勾配の測定感度をより一層向上させることができる。
【0020】
本発明に係る測定システムにおいて、好ましくは、前記表示部は、可視光線を射出または反射することにより前記背景画像を表示し、前記測定対象物は、前記可視光線を透過させる膜または板であることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る測定システムによれば、可視光線を透過させるフィルムなどの膜およびガラス板などの板の密度勾配の測定感度を向上させることができる。
【0022】
本発明に係る測定システムにおいて、好ましくは、前記表示部は、不可視光線を射出または反射することにより前記背景画像を表示し、前記測定対象物は、可視光線を透過させず前記不可視光線を透過させることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る測定システムによれば、測定対象物が可視光線を透過させない場合であっても、表示部が不可視光線を射出または反射して背景画像を表示することにより、不可視光線を透過させる測定対象物の密度勾配の測定感度を向上させることができる。
【0024】
前記課題は、測定対象物の密度勾配を可視化する測定システムであって、パターンを有する背景画像を表示する表示部と、前記表示部により表示された前記背景画像と前記測定対象物としての膜または板とを撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された撮像画像に基づいて前記密度勾配を示す密度勾配画像を生成する画像生成部と、を備えたことを特徴とする本発明に係る測定システムにより解決される。
【0025】
本発明に係る測定システムによれば、測定対象物が比較的薄い厚さを有する膜および板であっても、測定対象物の密度勾配の測定感度を向上させることができるとともにノイズを低減することができる。
【0026】
前記課題は、測定対象物の密度勾配を可視化する測定システムのコンピュータによって実行される測定プログラムであって、前記コンピュータに、前記測定対象物を撮像する条件を取得するステップと、取得した前記条件に応じてパターンを有する背景画像を生成するステップと、生成された前記背景画像を表示させるステップと、表示された前記背景画像と前記測定対象物とを前記条件で撮像させるステップと、撮像された撮像画像に基づいて前記密度勾配を示す密度勾配画像を生成するステップと、を実行させることを特徴とする本発明に係る測定プログラムにより解決される。
【0027】
本発明に係る測定プログラムによれば、取得した撮像条件に応じてパターンを有する背景画像を生成する。そのため、取得した撮像条件に応じてより適切なパターンを有する背景画像を生成することができる。また、生成されより適切なパターンを有する背景画像と測定対象物とを、取得した撮像条件で撮像させる。そして、撮像された撮像画像に基づいて、測定対象物の密度勾配を示す密度勾配画像を生成する。これにより、本発明に係る測定プログラムは、測定対象物の密度勾配の測定感度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、測定対象物の密度勾配の測定感度を向上させることができる測定システムおよび測定プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施形態に係る測定システムを表す模式図である。
図2】本実施形態の測定システムが備えるコンピュータを表すブロック図である。
図3】本実施形態に係る測定システムが実行する処理の具体例を表すフローチャートである。
図4】本実施形態の背景画像のパターンの第1具体例である。
図5】本実施形態の背景画像のパターンの第2具体例である。
図6】背景画像のパターンが図4に例示した縞模様である場合に生成された密度勾配画像の一例を表す図である。
図7】背景画像のパターンが図4に例示した縞模様である場合に生成された密度勾配画像の一例を表す図である。
図8】背景画像のパターンが図5に例示した市松模様である場合に生成された密度勾配画像の一例を表す図である。
図9】背景画像のパターンがランダムパターンである場合に生成された密度勾配画像の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0031】
図1は、本発明の実施形態に係る測定システムを表す模式図である。
図2は、本実施形態の測定システムが備えるコンピュータを表すブロック図である。
【0032】
本実施形態に係る測定システム2は、背景指向型シュリーレン法(Background Oriented Schlieren法、以下「BOS法」とも称する)を用いて測定対象物9の密度勾配を可視化するシステムである。測定対象物9は、流体(すなわち気体および液体)には限定されず、固体であってもよい。また、測定対象物9は、可視光線を透過させる物であってもよく、可視光線を透過させず不可視光線を透過させる物であってもよい。測定対象物9としては、例えば、可視光線を透過させる膜または板が挙げられる。また、測定対象物9としては、例えば、可視光線を透過させず不可視光線を透過させる膜または板が挙げられる。さらに、測定対象物9としては、例えば、可視光線を透過させず不可視光線を透過させるコーヒーまたは醤油などが挙げられる。但し、測定対象物9は、これらの物に限定されるわけではない。
【0033】
図1に表したように、本実施形態の測定システム2は、入力部3と、コンピュータ4と、第1表示部5と、撮像部6と、を備える。測定システム2は、第2表示部7をさらに備えていてもよい。
【0034】
入力部3には、測定対象物9を撮像する条件(以下、説明の便宜上「撮像条件」と称する)が入力される。撮像条件としては、例えば、撮像部6の撮像素子(すなわちイメージセンサ)の画素サイズ(すなわちピクセルサイズ)、画素数(すなわちピクセル数)、撮像部6のレンズの焦点距離、撮像部6のレンズの画角、および撮像部6と第1表示部5との間の距離Dなどが挙げられる。また、入力部3としては、例えばキーボードおよびマウスなどが挙げられる。
【0035】
入力部3は、第2表示部7と一体的に設けられていてもよい。すなわち、入力部3は、例えば測定者の指の接触等を検出可能なタッチパネルを含むディスプレイとして第2表示部7と一体的に設けられていてもよい。この場合には、例えば測定者は、入力部3と一体的に設けられた第2表示部7を操作することにより撮像条件を入力することができる。入力部3に入力された撮像条件は、コンピュータ4に送信される。
【0036】
図2に表したように、コンピュータ4は、制御部41と、送受信部42と、記憶部43と、を有し、入力部3に入力された撮像条件を送受信部42を介して受信する。また、コンピュータ4は、記憶部43に記憶されたプログラム431を読み出して種々の演算や処理を実行する。ここでいう「コンピュータ」とは、パソコンには限定されず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0037】
本実施形態のプログラム431は、本発明の「測定プログラム」の一例である。プログラム431は、画像を認識するための画像認識プログラム、画像を生成するための画像生成プログラム、および第1表示部5により表示された画像と測定対象物9とを所定の撮像条件(すなわち入力部3から送受信部42を介して受信した撮像条件)で撮像部6に撮像させるためのシーケンスプログラムなどを含む。なお、プログラム431は、記憶部43に格納されていることには限定されず、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に予め格納され頒布されてもよく、あるいはネットワークを介してコンピュータ4にダウンロードされてもよい。
【0038】
制御部41は、例えばCPU(central processing unit)などであり、記憶部43に記憶されたプログラム431を読み出して種々の演算や処理を実行する。制御部41は、第1画像生成部411と、第2画像生成部412と、を有する。第1画像生成部411および第2画像生成部412は、記憶部43に格納されているプログラム431をコンピュータ4が実行することにより実現される。なお、第1画像生成部411および第2画像生成部412は、ハードウェアによって実現されてもよく、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0039】
第1画像生成部411は、入力部3に入力された撮像条件に応じてパターンを有する背景画像を生成する。例えば、第1画像生成部411により生成された背景画像は、送受信部42を介して第1表示部5に送信され表示される。この場合、第1表示部5は、例えば液晶パネルおよび有機EL(Electro Luminescence)パネルなどのディスプレイであり、コンピュータ4から受信した背景画像を表示する。
【0040】
あるいは、第1表示部5は、スクリーンおよび壁などであり、プロジェクタにより投射された背景画像を表示する。この場合、第1画像生成部411により生成された背景画像は、送受信部42を介してプロジェクタに送信される。あるいは、第1画像生成部411により生成された背景画像は、持ち運び可能な記憶媒体に格納され、記憶媒体によりプロジェクタに入力されてもよい。第1表示部5がプロジェクタにより投射された背景画像を表示する場合、第1表示部5は、プロジェクタにより投射された背景画像を表示する媒体(スクリーンおよび壁など)と、背景画像を投射する機器(プロジェクタなど)と、を含む。
【0041】
あるいは、第1表示部5は、背景画像を投射する機器(プロジェクタなど)であってもよい。すなわち、第1表示部5は、プロジェクタにより投射された背景画像を表示する媒体(スクリーンおよび壁など)を必ずしも有していなくともよく、背景画像を投射する機器のみであってもよい。この場合、例えば、プロジェクタなどの機器により投射された背景画像の結像位置と撮像部6の焦点位置とを合致させることにより、撮像部6は、第1表示部5により表示された背景画像を撮像できる。
【0042】
また、例えば、第1画像生成部411により生成された背景画像は、紙などの持ち運び可能な媒体に印刷される。この場合、第1表示部5は、スクリーンおよび壁などであり、背景画像が印刷された媒体が貼り付けられることにより背景画像を表示する。第1表示部5が紙などの媒体に印刷された背景画像を表示する場合、第1表示部5は、背景画像が印刷された媒体(例えば紙)と、背景画像が印刷された媒体が貼り付けられるスクリーンおよび壁などと、を含む。
【0043】
また、例えば、第1画像生成部411により生成された背景画像は、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)シート(すなわちトレンスペアレンシー)などの持ち運び可能な媒体に印刷される。この場合、第1表示部5は、スクリーンおよび壁などであり、OHPにより投射された背景画像を表示する。第1表示部5がOHPにより投射された背景画像を表示する場合、第1表示部5は、背景画像が印刷された媒体(例えばトレンスペアレンシー)と、OHPと、OHPにより投射された背景画像を表示する媒体(スクリーンおよび壁など)と、を含む。
【0044】
あるいは、第1表示部5は、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)シート(すなわちトレンスペアレンシー)およびOHPであってもよい。すなわち、第1表示部5は、OHPにより投射された背景画像を表示する媒体(スクリーンおよび壁など)を必ずしも有していなくともよく、背景画像が印刷されたOHPシートおよびOHPのみであってもよい。この場合、例えば、OHPにより投射された背景画像の結像位置と撮像部6の焦点位置とを合致させることにより、撮像部6は、第1表示部5により表示された背景画像を撮像できる。
【0045】
このように、第1表示部5は、光線を射出または反射することにより、第1画像生成部411により生成された背景画像を表示する。本願明細書において「光線を射出する」とは、前述したように、例えば液晶パネルおよび有機ELパネルなどのディスプレイが光線を射出することだけではなく、OHPが光線を射出して光線がOHPシートを透過することを含む。また、本願明細書において「光線を反射する」とは、前述したように、スクリーンおよび壁などの媒体が光線を反射することだけではなく、背景画像が印刷された紙などの媒体が光線を反射することを含む。
【0046】
第1表示部5は、可視光線を射出または反射することにより、第1画像生成部411により生成された背景画像を表示してもよく、不可視光線を射出または反射することにより、第1画像生成部411により生成された背景画像を表示してもよい。第1表示部5が可視光線を射出または反射することにより背景画像を表示する場合には、測定対象物9は、可視光線を透過させる物、例えば可視光線を透過させる膜および板などである。また、第1表示部5が不可視光線を射出または反射することにより背景画像を表示する場合には、測定対象物9は、可視光線を透過させず不可視光線を透過させる物、例えば可視光線を透過させず不可視光線を透過させる膜および板などである。あるいは、第1表示部5が不可視光線を射出または反射することにより背景画像を表示する場合には、測定対象物9は、例えば、可視光線を透過させず不可視光線を透過させるコーヒーおよび醤油などである。
なお、第1画像生成部411により生成される背景画像のパターンの例については、後述する。
【0047】
第2画像生成部412は、撮像部6により撮像された撮像画像に基づいて、測定対象物9の密度勾配を示す密度勾配画像を生成する。第2画像生成部412は、密度勾配画像を生成する際、既知の解析アルゴリズムを使用する。第2画像生成部412により使用される解析アルゴリズムは、記憶部43に記憶されている。また、第2画像生成部412は、生成した密度勾配画像を送受信部42を介して第2表示部7に送信し、密度勾配画像を第2表示部7に表示させる処理を実行する。
【0048】
記憶部43は、第1画像生成部411により生成された背景画像と、撮像部6により撮像された撮像画像と、第2画像生成部412により生成された密度勾配画像と、コンピュータ4によって実行されるプログラム431と、第2画像生成部412により使用される解析アルゴリズムと、を格納する。記憶部43としては、コンピュータ4に内蔵された半導体メモリやハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)などが挙げられる。あるいは、記憶部43としては、コンピュータ4に接続可能なCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、RAM(Random access memory)、ROM(Read only memory)、ハードディスク、メモリカードなどの種々の記憶媒体および記憶装置が挙げられる。
【0049】
撮像部6は、コンピュータ4に電気的に接続されている。撮像部6は、コンピュータ4から受信した制御信号に基づいて、第1表示部5により表示された背景画像と、測定対象物9と、を入力部3に入力された撮像条件で撮像する。撮像部6は、例えばCCD(Charge Coupled Device)あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージセンサを有するカメラであり、撮像した画像データを送受信部42を介してコンピュータ4に送信する。撮像部6により撮像されコンピュータ4に送信された画像データ(すなわち撮像画像)は、記憶部43に格納される。
【0050】
第2表示部7は、第2画像生成部412により生成された密度勾配画像を解析結果として表示する。第2表示部7としては、例えば液晶パネルおよび有機ELパネルなどのディスプレイが挙げられる。前述したように、第2表示部7は、例えば測定者の指の接触等を検出可能なタッチパネルを含むディスプレイとして入力部3と一体的に設けられていてもよい。
【0051】
ここで、撮像部が背景画像を撮像する条件あるいは背景画像のパターンによっては、測定対象物の密度勾配の測定感度を向上したり、密度勾配画像に現れるノイズを低減したりすることが困難な場合がある。
【0052】
これに対して、本実施形態に係る測定システム2では、第1画像生成部411は、入力部3に入力された撮像条件に応じてパターンを有する背景画像を生成する。そのため、第1画像生成部411は、入力部3に入力された撮像条件に応じてより適切なパターンを有する背景画像を生成することができる。また、撮像部6は、第1画像生成部411により生成されより適切なパターンを有する背景画像と測定対象物9とを、入力部3に入力された撮像条件で撮像する。そして、第2画像生成部412は、撮像部6により撮像された撮像画像に基づいて、測定対象物9の密度勾配を示す密度勾配画像を生成する。これにより、本実施形態に係る測定システム2は、測定対象物9の密度勾配の測定感度を向上させることができる。
【0053】
次に、本実施形態に係る測定システム2が実行する処理の具体例を、図面を参照して説明する。以下に説明する処理の具体例は、本実施形態に係る測定プログラムがコンピュータ4に実行させる処理の一例である。
【0054】
図3は、本実施形態に係る測定システムが実行する処理の具体例を表すフローチャートである。
図4は、本実施形態の背景画像のパターンの第1具体例である。
図5は、本実施形態の背景画像のパターンの第2具体例である。
【0055】
まず、ステップS1において、測定対象物9を撮像する条件(すなわち撮像条件)が入力部3に入力される。例えば、測定者が、入力部3を操作することにより撮像条件を入力する。図1および図2に関して前述したように、入力部3に入力される撮像条件としては、例えば、撮像部6の撮像素子の画素サイズ、画素数、撮像部6のレンズの焦点距離、撮像部6のレンズの画角、および撮像部6と第1表示部5との間の距離D(図1参照)などが挙げられる。
【0056】
続いて、ステップS2において、第1画像生成部411が、入力部3に入力された撮像条件に応じてパターンを有する背景画像を生成する。図4に表したように、第1画像生成部411により生成された背景画像のパターンは、例えば規則性を有する斜め線である。具体的には、図4に表した背景画像のパターンは、撮像部6の撮像素子(すなわちイメージセンサ)の画素の配列方向に対して傾斜した方向に配列された明部44および暗部45を有する縞模様である。例えば、明部44が白であり、暗部45が黒である。この場合、図4に表した背景画像のパターンは、白黒2値の縞模様である。
【0057】
第1画像生成部411により生成された背景画像のパターンすなわち縞模様における明部44および暗部45のそれぞれは、撮像部6の撮像素子において2画素以上、10画素以下の幅を有する。背景画像の縞模様における明部44および暗部45のそれぞれは、撮像部6の撮像素子において2画素以上、6画素以下の幅を有することがより好ましい。図4に表した1つの目盛は、撮像部6の撮像素子における1画素を表している。すなわち、図4に表した例では、縞模様における明部44および暗部45のそれぞれは、撮像部6の撮像素子において4画素の幅を有する。
【0058】
第1画像生成部411により生成された背景画像のパターンすなわち縞模様における明部44および暗部45が撮像部6の撮像素子の画素の配列方向に対して傾斜した方向の角度は、25度以上、65度以下である。図4に表した例では、第1画像生成部411により生成された背景画像のパターンすなわち縞模様における明部44および暗部45が撮像部6の撮像素子の画素の配列方向に対して傾斜した方向の角度は、45度である。
【0059】
あるいは、図5に表したように、第1画像生成部411により生成された背景画像のパターンは、例えば規則性を有する市松模様である。本願明細書において「市松模様」は、撮像部6の撮像素子の画素の配列方向に対して傾斜した方向に配列された明部44および暗部45を有する縞模様に含まれる。例えば、明部44が白であり、暗部45が黒である。この場合、図5に表した背景画像のパターンは、白黒2値の縞模様である。
【0060】
第1画像生成部411により生成された背景画像のパターンすなわち市松模様における明部44および暗部45のそれぞれは、撮像部6の撮像素子において2画素以上、10画素以下の幅を有する。背景画像の市松模様における明部44および暗部45のそれぞれは、撮像部6の撮像素子において2画素以上、6画素以下の幅を有することがより好ましい。図5に表した1つの目盛は、撮像部6の撮像素子における1画素を表している。すなわち、図5に表した例では、市松模様における明部44および暗部45のそれぞれは、撮像部6の撮像素子において4画素の幅を有する。
【0061】
図5に表した例では、第1画像生成部411により生成された背景画像のパターンすなわち市松模様における明部44および暗部45が撮像部6の撮像素子の画素の配列方向に対して傾斜した方向の角度は、45度である。
【0062】
図4に表した縞模様では、撮像部6の撮像素子の画素の第1配列方向(例えば縦方向および横方向のいずれか一方)に沿ってみたとき、第2配列方向(例えば縦方向および横方向のいずれか他方)に1画像以上ずれた明部44同士および暗部45同士が存在する。一方で、図5に表した市松模様では、撮像部6の撮像素子の画素の第1配列方向に沿ってみたとき、第2配列方向に1画像以上ずれた明部44同士および暗部45同士が存在しない。すなわち、図5に表した市松模様では、撮像部6の撮像素子の画素の第1配列方向に沿ってみたとき、明部44同士および暗部45同士の画素は、第2配列方向において合致している。
【0063】
ステップS2に続くステップS3において、第1表示部5が、第1画像生成部411により生成された背景画像を表示する。第1表示部5が背景画像を表示する形態は、図1および図2に関して前述した通りである。続いて、ステップS4において、撮像部6が、コンピュータ4から受信した制御信号に基づいて、第1表示部5により表示された背景画像と、測定対象物9と、を入力部3に入力された撮像条件で撮像する。
【0064】
続いて、ステップS5において、第2画像生成部412が、撮像部6により撮像された撮像画像に基づいて、測定対象物9の密度勾配を示す密度勾配画像を生成する。第2画像生成部412は、密度勾配画像を生成する際、既知の解析アルゴリズムを使用する。続いて、ステップS6において、第2表示部7は、第2画像生成部412により生成された密度勾配画像(すなわち測定対象物9の密度勾配を示す画像)を解析結果として表示する。
【0065】
本具体例によれば、図4および図5に表したように、背景画像のパターンが規則性を有するため、ランダムパターンを有する背景画像が第1表示部5により表示される場合と比較して、ランダムパターンの影響による測定感度の不均一性を抑え、密度勾配の測定感度を全方向において略均一に向上させることができる。
【0066】
また、背景画像のパターンが、撮像部6の撮像素子の画素の配列方向に対して傾斜した方向に配列された明部44および暗部45を有する縞模様である。そのため、測定対象物の密度勾配の方向に依らず、全方向の密度勾配の測定感度を向上させることができる。また、背景画像のパターンが白黒2値の縞模様である場合には、縞模様の明部44と暗部45とのコントラストを高めることにより、測定対象物の密度勾配の測定感度を向上させることができる。
【0067】
また、縞模様の明部44および暗部45のそれぞれが撮像部6の撮像素子において2画素以上、10画素以下の幅を有するため、測定対象物9の密度勾配の測定感度を向上させることができるとともにノイズを低減することができる。この詳細については、図6図9を参照して後述する。
【0068】
また、背景画像のパターンにおける明部44および暗部45が撮像部6の撮像素子の画素の配列方向に対して傾斜した方向の角度が、25度以上、65度以下(図4および図5の例では45度)であるため、測定対象物9の密度勾配の方向に依らず、全方向の密度勾配の測定感度をより一層向上させることができる。この詳細についても、図6図9を参照して後述する。
【0069】
次に、本発明者が本実施形態に係る測定システム2および測定プログラムを使用して取得した密度勾配画像の例を、図面を参照して説明する。
図6および図7は、背景画像のパターンが図4に例示した縞模様である場合に生成された密度勾配画像の一例を表す図である。
図8は、背景画像のパターンが図5に例示した市松模様である場合に生成された密度勾配画像の一例を表す図である。
図9は、背景画像のパターンがランダムパターンである場合に生成された密度勾配画像の一例を表す図である。
【0070】
なお、図6(a)および図7(a)は、撮像部6が、第1表示部5により表示された背景画像のみを撮像したときに、第2画像生成部412により生成された密度勾配画像の一例を表す図である。図6(b)、図7(b)、図8および図9は、撮像部6が、第1表示部5により表示された背景画像と、測定対象物9としての「人の手の周りの空気」と、を撮像したときに、第2画像生成部412により生成された密度勾配画像の一例を表す図である。
【0071】
本発明者は、本実施形態に係る測定システム2および測定プログラムを使用して密度勾配画像を取得した。本発明者により入力部3に入力された撮像条件は、次の通りである。すなわち、撮像部6は、高解像CMOSカメラである。撮像部6の撮像素子の画素数は、500万である。撮像部6のフレームレートは、30fpsである。第1表示部5は、液晶パネルである。すなわち、第1表示部5としての液晶パネルが、第1画像生成部411により生成された背景画像を表示する。
【0072】
図9に表したように、第1表示部5により表示された背景画像のパターンがランダムパターンである場合、ノイズ91が密度勾配画像における人の手の周りの空気(すなわち測定対象物9)に現れている。また、測定対象物9(すなわち人の手の周りの空気)の密度勾配の測定感度が、比較的低い。図9に表した密度勾配画像において、背景画像のランダムパターンは、明部(白)の画素と暗部(黒)の画素とのそれぞれの比率が50%になるように、第1画像生成部411が明部(白)および暗部(黒)の画素を無作為に選択したパターンである。そのため、明部の存在範囲および暗部の存在範囲が背景画像において均一ではなく、図9に表したように、測定対象物9の密度勾配の測定感度が不均一である。
【0073】
これに対して、図6(a)および図7(a)に表したように、第1表示部5により表示された背景画像のパターンが図4に例示した縞模様である場合、ノイズは、密度勾配画像には現れていない。また、図6(b)および図7(b)に表したように、第1表示部5により表示された背景画像のパターンが図4に例示した縞模様である場合、ノイズは、密度勾配画像における人の手の周りの空気(すなわち測定対象物9)には現れていない。さらに、図6(b)および図7(b)に表したように、第1表示部5により表示された背景画像のパターンが図4に例示した縞模様である場合、測定対象物9(すなわち人の手の周りの空気)の密度勾配の測定感度が、比較的高い。
【0074】
図6(a)~図7(b)に表した密度勾配画像において、第1表示部5により表示された背景画像のパターンは、白黒2値の縞模様である。また、縞模様における明部44および暗部45が撮像部6の撮像素子の画素の配列方向に対して傾斜した方向の角度は、45度である。図6(a)~図6(b)に表した密度勾配画像において、背景画像の縞模様における明部44および暗部45のそれぞれは、撮像部6の撮像素子において5画素の幅を有している。また、図7(a)~図7(b)に表した密度勾配画像において、背景画像の縞模様における明部44および暗部45のそれぞれは、撮像部6の撮像素子において3画素の幅を有している。
【0075】
また、図8に表したように、第1表示部5により表示された背景画像のパターンが図5に例示した市松模様である場合、ノイズは、密度勾配画像における人の手の周りの空気(すなわち測定対象物9)には現れていない。さらに、図8に表したように、第1表示部5により表示された背景画像のパターンが図5に例示した市松模様である場合、測定対象物9(すなわち人の手の周りの空気)の密度勾配の測定感度が、比較的高い。
【0076】
図8に表した密度勾配画像において、第1表示部5により表示された背景画像のパターンは、白黒2値の市松模様である。図8に表した密度勾配画像において、背景画像の市松模様における明部44および暗部45のそれぞれは、撮像部6の撮像素子において4画素の幅を有している。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0078】
2:測定システム、 3:入力部、 4:コンピュータ、 5:第1表示部、 6:撮像部、 7:第2表示部、 9:測定対象物、 41:制御部、 42:送受信部、 43:記憶部、 44:明部、 45:暗部、 91:ノイズ、 411:第1画像生成部、 412:第2画像生成部、 431:プログラム


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9