(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173787
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】樹脂管施工情報生成システム、これを用いた樹脂管施工情報生成方法及び樹脂管施工情報生成システムを実行させるためのコンピュータプログラム並びにこれを記録した記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20241205BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20241205BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024087435
(22)【出願日】2024-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2023089127
(32)【優先日】2023-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523242745
【氏名又は名称】西尾レントオール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 光司
(74)【代理人】
【識別番号】100146503
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 泰典
【テーマコード(参考)】
5L050
【Fターム(参考)】
5L050CC06
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】 施工内容の記録及び後日の確認が簡便で且つ施工時の品質向上も可能な樹脂管施工情報生成システム等を提供すること。
【解決手段】 電気融着装置及び作業記録装置は、少なくとも携帯端末と通信可能であり、融着作業毎に一意のプライマリーキーを発行するプライマリーキー発行部と、作業内容をイラスト及び/又はテキストで携帯端末に出力する作業指示出力部と、工程終了データを要求する工程完了データ要求部と、継手情報の読み取りを要求する継手情報要求部と、継手本体の融着を開始させる電気融着指示部と、電気融着の情報を携帯端末から電気融着装置に要求する電気融着情報要求部と、継手本体の位置情報を要求する位置情報要求部と、工程終了データ、継手情報、電気融着の情報及び位置情報をプライマリーキーに基づいて関連付けして施工情報を生成する施工情報生成部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂管が挿入された継手本体の電熱線を通電発熱させて前記樹脂管と前記継手本体とを融着させる電気融着装置と、前記融着を行う作業者が携帯する携帯端末と、融着作業の情報を記録する作業記録装置とを少なくとも備えた樹脂管施工情報生成システムであって、
前記電気融着装置及び前記作業記録装置は、少なくとも前記携帯端末と通信可能であり、
前記融着作業毎に一意のプライマリーキーを発行するプライマリーキー発行部と、
前記融着作業の複数の工程の内の1以上の工程において、当該工程の作業内容をイラスト及び/又はテキストで前記携帯端末に出力する作業指示出力部と、
前記工程の終了を示す工程終了データを要求する工程完了データ要求部と、
前記携帯端末による前記継手本体の継手情報の読み取りを要求する継手情報要求部と、
読み取った前記継手情報を前記携帯端末から前記電気融着装置に送信し前記電気融着装置を作動させ前記継手本体の前記融着を開始させる電気融着指示部と、
前記融着の完了後に、当該融着に関する前記電気融着の情報を前記携帯端末から前記電気融着装置に要求する電気融着情報要求部と、
前記携帯端末を介して前記融着が完了した前記継手本体の位置情報を要求する位置情報要求部と、
取得した前記工程終了データ、前記読み取った前記継手情報、取得した前記電気融着の情報及び取得した位置情報を前記プライマリーキーに基づいて関連付けして施工情報を生成する施工情報生成部とを有する樹脂管施工情報生成システム。
【請求項2】
前記工程完了データ要求部は、前記1以上の工程において、前記工程終了データとして当該工程における作業部位の撮影画像を要求する画像要求部を有する請求項1記載の樹脂管施工情報生成システム。
【請求項3】
前記工程完了データ要求部は、前記画像要求部が当該工程における前記撮影画像を取得することで当該工程の終了を判断し、前記作業指示出力部は、次の工程の作業内容をイラスト及び/又はテキストで前記携帯端末に出力する請求項2記載の樹脂管施工情報生成システム。
【請求項4】
前記工程完了データ要求部は、融着開始前までの工程が正常に終了したかを確認する前工程完了確認部を含む請求項3記載の樹脂管施工情報生成システム。
【請求項5】
前記作業記録装置は、前記撮影画像に基づいて当該工程の作業の良否を判定する良否判定部を有する請求項2又は4記載の樹脂管施工情報生成システム。
【請求項6】
前記撮影画像に撮影日時情報及び撮影位置情報を付与する撮影情報付与部をさらに備える請求項5記載の樹脂管施工情報生成システム。
【請求項7】
前記作業記録装置は、前記取得した電気融着の情報に基づいて融着状況を分析する融着状況分析部をさらに有する請求項5記載の樹脂管施工情報生成システム。
【請求項8】
前記画像要求部は、前記樹脂管の端部を切断した後の管端部、前記管端部にマークされた標線、前記管端部の切削面、前記樹脂管と前記継手本体との固定状態及び融着完了後の前記継手本体のインジケータの撮影画像を要求する請求項3又は4記載の樹脂管施工情報生成システム。
【請求項9】
GNSSにより位置を測位する位置測位装置をさらに備え、前記位置情報要求部は、前記位置測位装置より前記位置情報を取得する請求項1記載の樹脂管施工情報生成システム。
【請求項10】
前記工程完了データ要求部は、前記融着作業時の天候データを要求する天候データ要求部を有する請求項1記載の樹脂管施工情報生成システム。
【請求項11】
前記作業記録装置は、前記施工情報を出力する施工情報出力部を有し、前記施工情報出力部は、前記位置情報に基づいて地図上に前記施工箇所をマッピングするマッピング部を有する請求項1記載の樹脂管施工情報生成システム。
【請求項12】
前記施工情報出力部は、生成した前記施工情報に基づいて帳票を出力する帳票出力部を有する請求項11記載の樹脂管施工情報生成システム。
【請求項13】
前記工程完了データ要求部は、前記1以上の工程において、前記工程終了データとして当該工程における作業部位の撮影画像を要求する画像要求部を有し、前記撮影画像に撮影日時情報及び撮影位置情報を付与する撮影情報付与部をさらに備え、前記施工情報出力部は、前記撮影日時情報及び/又は前記撮影位置情報に基づいて前記撮影画像を出力する撮影画像出力部をさらに有する請求項11記載の樹脂管施工情報生成システム。
【請求項14】
請求項1記載の樹脂管施工情報生成システムを用いた樹脂管施工情報生成方法であって、
前記融着作業毎に一意のプライマリーキーを発行するプライマリーキー発行ステップと、
前記融着作業の複数の工程の内の1以上の工程において、当該工程の作業内容をイラスト及び/又はテキストで前記携帯端末に出力する作業指示出力ステップと、
前記工程の終了を示す工程終了データを要求する工程完了データ要求ステップと、
前記携帯端末による前記継手本体の継手情報の読み取りを要求する継手情報要求ステップと、
読み取った前記継手情報を前記携帯端末から前記電気融着装置に送信し前記電気融着装置を作動させ前記継手本体の前記融着を開始させる電気融着指示ステップと、
前記融着の完了後に、当該融着に関する前記電気融着の情報を前記携帯端末から前記電気融着装置に要求する電気融着情報要求ステップと、
前記携帯端末を介して前記融着が完了した前記継手本体の位置情報を要求する位置情報要求ステップと、
取得した前記工程終了データ、前記読み取った前記継手情報、取得した前記電気融着の情報及び取得した位置情報を前記プライマリーキーに基づいて関連付けして施工情報を生成する施工情報生成ステップとを有する樹脂管施工情報生成方法。
【請求項15】
前記継手情報要求ステップの前に、それまでのステップの工程が正常に終了したかを確認する前工程完了確認ステップをさらに有する請求項14記載の樹脂管施工情報生成方法。
【請求項16】
前記電気融着情報要求ステップは、前記電気融着の情報に基づいて融着状況を分析する融着状況分析ステップを含む請求項14又は15記載の樹脂管施工情報生成方法。
【請求項17】
請求項1記載の樹脂管施工情報生成システムを実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項18】
請求項15記載のコンピュータプログラムを記録した記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂管施工情報生成システム、これを用いた樹脂管施工情報生成方法及び樹脂管施工情報生成システムを実行させるためのコンピュータプログラム並びにこれを記録した記録媒体に関する。さらに詳しくは、樹脂管が挿入された継手本体の電熱線を通電発熱させて前記樹脂管と前記継手本体とを融着させる電気融着装置と、前記融着を行う作業者が携帯する携帯端末と、融着作業の情報を記録する作業記録装置とを少なくとも備えた樹脂管施工情報生成システム、これを用いた樹脂管施工情報生成方法及び樹脂管施工情報生成システムを実行させるためのコンピュータプログラム並びにこれを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、樹脂管等の施工工事において、施工業者(作業者)は施工現場にてその施工内容を紙媒体に記入したり、作業後に事務所にてパソコン等に必要事項や撮影した写真等を入力等することで日報等を作成していた。その書類作成業務は煩雑で且つ時間を要していた。また、後日に施工内容等の各種情報を簡便に確認することも困難であった。
これに対し、例えば特許文献1に記載の如き支援システムが知られている。このような支援システムにより、書類作成業務がある程度効率化されるものの、施工時の作業品質の向上を図るものではなく、品質の担保も困難となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、施工内容の記録及び後日の確認が簡便で且つ施工時の品質向上も可能な樹脂管施工情報生成システム、これを用いた樹脂管施工情報生成方法及び樹脂管施工情報生成システムを実行させるためのコンピュータプログラム並びにこれを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る樹脂管施工情報生成システムの特徴は、樹脂管が挿入された継手本体の電熱線を通電発熱させて前記樹脂管と前記継手本体とを融着させる電気融着装置と、前記融着を行う作業者が携帯する携帯端末と、融着作業の情報を記録する作業記録装置とを少なくとも備えた構成において、前記電気融着装置及び前記作業記録装置は、少なくとも前記携帯端末と通信可能であり、前記融着作業毎に一意のプライマリーキーを発行するプライマリーキー発行部と、前記融着作業の複数の工程の内の1以上の工程において、当該工程の作業内容をイラスト及び/又はテキストで前記携帯端末に出力する作業指示出力部と、前記工程の終了を示す工程終了データを要求する工程完了データ要求部と、前記携帯端末による前記継手本体の継手情報の読み取りを要求する継手情報要求部と、読み取った前記継手情報を前記携帯端末から前記電気融着装置に送信し前記電気融着装置を作動させ前記継手本体の前記融着を開始させる電気融着指示部と、前記融着の完了後に、当該融着に関する前記電気融着の情報を前記携帯端末から前記電気融着装置に要求する電気融着情報要求部と、前記携帯端末を介して前記融着が完了した前記継手本体の位置情報を要求する位置情報要求部と、取得した前記工程終了データ、前記読み取った前記継手情報、取得した前記電気融着の情報及び取得した位置情報を前記プライマリーキーに基づいて関連付けして施工情報を生成する施工情報生成部とを有することにある。
【0006】
上記構成によれば、融着作業の複数の工程の内の1以上の工程において、当該工程の作業内容をイラスト及び/又はテキストで携帯端末に出力する作業指示出力部と、工程の終了を示す工程終了データを要求する工程完了データ要求部とを有するので、作業者は携帯端末に表示(出力)される作業内容を確認しながら作業を行い完了させることを繰り返し行えるので、施工ミスを防止でき且つ施工品質も向上する。
そして、携帯端末による継手本体の継手情報の読み取りを要求する継手情報要求部と、読み取った継手情報を携帯端末から電気融着装置に送信し電気融着装置を作動させ継手本体の融着を開始させる電気融着指示部と、融着の完了後に、当該融着に関する電気融着の情報を携帯端末から電気融着装置に要求する電気融着情報要求部と、携帯端末を介して融着が完了した継手本体の位置情報を要求する位置情報要求部とを有するので、作業指示出力部により出力される作業内容が表示(出力)される携帯端末で、継手情報、電気融着の情報、位置情報を取得することができ、しかも、継手本体の融着指示をもその携帯端末で行うことができる。よって、作業者は、作業指示出力部により出力される作業内容を携帯端末で確認しながら作業を進めるだけで、施工情報に必要な上述の各種情報を効率良く且つ抜けなく取得でき、また融着も実行できるので作業効率もよい。
さらに、融着作業毎に一意のプライマリーキーを発行するプライマリーキー発行部を有するので、融着作業の一連の作業工程において取得する上述の各種情報は他の融着作業の情報と混同することなく識別されて記憶される。そして、施工情報生成部が、取得した工程終了データ、読み取った継手情報、取得した電気融着の情報及び取得した位置情報を融着作業毎に一意のプライマリーキーに基づいて関連付けして施工情報を生成する。
このように、作業者が携帯端末の表示(出力)に沿って一連の融着作業を進めていくことで、その携帯端末で他の融着情報と区別された各種作業情報を順次取得すると共に、取得した各種作業情報をプライマリーキーで関連付けして施工情報として生成するので、施工内容の記録及び後日の確認が簡便で且つ施工時の品質向上も可能となる。
【0007】
上記構成において、前記工程完了データ要求部は、前記1以上の工程において、前記工程終了データとして当該工程における作業部位の撮影画像を要求する画像要求部を有するとよい。これにより、携帯端末の表示(出力)に沿って進めるだけで、工程終了データとして当該工程における作業部位の撮影画像を順次取得でき、施工内容の記録がより簡便となる。
【0008】
さらに、係る構成において、前記工程完了データ要求部は、前記画像要求部が当該工程における前記撮影画像を取得することで当該工程の終了を判断し、前記作業指示出力部は、次の工程の作業内容をイラスト及び/又はテキストで前記携帯端末に出力するようにするとよい。撮影画像の取得により作業工程の終了を判断し次の作業工程へ進むので、作業者が作業内容に沿って作業を進めるだけで、各工程の撮影画像を抜け無く取得することができる。
【0009】
そして、前記工程完了データ要求部は、融着開始前までの工程の前までの工程が正常に終了したかを確認する前工程完了確認部を含むとよい。融着開始前までの作業工程が正確に行われているかを確認するので、融着不良(異常)の原因となり得る前工程での作業の不備や不足を排除でき、施工時の施工品質(融着の品質)をさらに向上させることができる。
【0010】
また、前記作業記録装置は、前記撮影画像に基づいて当該工程の作業の良否を判定する良否判定部を有するとよい。撮影した画像によって作業の要否を判定するので、作業内容の確認及び良否判定が容易となり且つ判定の精度も向上する。その結果、不十分なものは作業者にやり直しを促し、より適切で良好なものを選別して次の工程(作業)へ進めるので、更なる品質向上が図られる。
【0011】
係る場合、前記撮影画像に撮影日時情報及び撮影位置情報を付与する撮影情報付与部をさらに備えるとよい。撮影画像にこれらの情報を付与する(紐付ける)ことで、記録の信憑性が高まると共に画像の差替等による記録の改ざんをも防止できる。しかも、これらの情報に基づいて撮影画像を後日容易に確認することも可能である。
【0012】
また、前記作業記録装置は、前記取得した電気融着の情報に基づいて融着状況を分析する融着状況分析部をさらに有するとよい。融着前までの作業の各工程や融着の工程において、作業者の経験や力量、天候等によって作業内容の正確性や作業量に僅かな不足等が発生し得る。そして、このような僅かな不足等であれば、作業者自身は各作業を完了していると認識して工程を順次進め、また、融着時に電気融着装置が融着エラーを検知せず融着が完了する可能性が考えられる。そのため、融着の完了後に取得する電気融着の情報に基づいて融着状況を分析することで、例えば、不安定な数値、通常と異なる数値等を検知した場合に融着状況を作業者に警告し、再確認させることができる。これにより、さらに施工品質を向上させることができる。なお、融着状況の分析は、例えば、予め設定された閾値との比較により行う。
【0013】
また、前記画像要求部は、前記樹脂管の端部を切断した後の管端部、前記管端部にマークされた標線、前記管端部の切削面、前記樹脂管と前記継手本体との固定状態及び融着完了後の前記継手本体のインジケータの撮影画像を要求するとよい。これらの撮影画像は、切断、切削長さのマーキング、切削、固定、融着完了の作業工程の作業結果を示すものであって、融着作業(施工)の良否の影響が現れやすい。よって、これらの撮影画像を取得することで、施工内容の記録及び後日の確認がより簡便となる。また、これらの撮影画像に基づいて当該工程の作業の良否を判定することで、施工時の品質判定も可能となる。
【0014】
上記構成において、GNSSにより位置を測位する位置測位装置をさらに備え、前記位置情報要求部は、前記位置測位装置より前記位置情報を取得するようにするとよい。GNSS(Global Navigation Satellite System、全球測位衛星システム)では、数cm単位での緯度、経度、海抜の3次元位置情報が得られるので、埋設位置を高精度に把握することができる。よって、例えば、マンホールやガス管等の位置情報と一緒に取得することで、樹脂管や継手との離隔幅が明確となり施工後の維持管理の向上も可能となる。また、前記工程完了データ要求部は、前記融着作業時の天候データを要求する天候データ要求部を有するとよい。
【0015】
上記構成において、前記作業記録装置は、前記施工情報を出力する施工情報出力部を有し、前記施工情報出力部は、前記位置情報に基づいて地図上に前記施工箇所をマッピングするマッピング部を有するとよい。また、前記施工情報出力部は、生成した前記施工情報に基づいて帳票を出力する帳票出力部を有するとよい。上述したように、作業者が携帯端末の表示に沿って融着作業を進めていくことで、生成される施工情報は、上述の各種情報が融着作業毎に一意のプライマリーキーによって関連付け(紐付け)された施工情報が生成される。よって、作業完了により、マッピングや帳票としてのチェックシートや作業日報等として出力でき、施工内容の記録及び後日の確認が容易となる。
【0016】
また、前記工程完了データ要求部は、前記1以上の工程において、前記工程終了データとして当該工程における作業部位の撮影画像を要求する画像要求部を有し、前記撮影画像に撮影日時情報及び撮影位置情報を付与する撮影情報付与部をさらに備え、前記施工情報出力部は、前記撮影日時情報及び/又は前記撮影位置情報に基づいて前記撮影画像を出力する撮影画像出力部をさらに有するとよい。これにより、例えば、融着作業の複数の工程の内の1以上の工程において撮影された撮影画像の他、融着作業の工程以外(融着作業開始前や完了後など)で本システムにより撮影した撮影画像を含め、撮影日時や撮影場所(施工現場)単位で複数の撮影画像を纏めて(整理して)出力でき、施工内容の確認がさらに簡便となる。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明に係る樹脂管施工情報生成システムの特徴は、上記に記載の樹脂管施工情報生成システムを用いた樹脂管施工情報生成方法において、前記融着作業毎に一意のプライマリーキーを発行するプライマリーキー発行ステップと、前記融着作業の複数の工程の内の1以上の工程において、当該工程の作業内容をイラスト及び/又はテキストで前記携帯端末に出力する作業指示出力ステップと、前記工程の終了を示す工程終了データを要求する工程完了データ要求ステップと、前記携帯端末による前記継手本体の継手情報の読み取りを要求する継手情報要求ステップと、読み取った前記継手情報を前記携帯端末から前記電気融着装置に送信し前記電気融着装置を作動させ前記継手本体の前記融着を開始させる電気融着指示ステップと、前記融着の完了後に、当該融着に関する前記電気融着の情報を前記携帯端末から前記電気融着装置に要求する電気融着情報要求ステップと、前記融着が完了した前記継手本体の位置情報を要求する位置情報要求ステップと、取得した前記工程終了データ、前記読み取った前記継手情報、取得した前記電気融着の情報及び取得した位置情報を前記プライマリーキーに基づいて関連付けして施工情報を生成する施工情報生成ステップとを有することにある。
【0018】
上記構成において、前記継手情報要求ステップの前に、それまでのステップの工程が正常に終了したかを確認する前工程完了確認ステップをさらに有するとよい。さらに、前記電気融着情報要求ステップは、前記電気融着の情報に基づいて融着状況を分析する融着状況分析ステップを含むようにしてもよい。
【0019】
また、上記記載の樹脂管施工情報生成システムは、これをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムにより実現され、このコンピュータプログラムは記録媒体に記録される。
【発明の効果】
【0020】
上記本発明に係る樹脂管施工情報生成システム、これを用いた樹脂管施工情報生成方法及び樹脂管施工情報生成システムを実行させるためのコンピュータプログラムの特徴によれば、施工内容の記録及び後日の確認が簡便で且つ施工時の品質向上も可能となった。
【0021】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る樹脂管施工情報生成システムの全体概要を示すブロック図である。
【
図2】電気融着装置及び電気融着継手を模式的に示す図である。
【
図3】携帯端末を示すブロック図であり、(a)はハードウェア構成、(b)はソフトウェア構成を示す。
【
図4】作業記録装置を示すブロック図であり、(a)はハードウェア構成、(b)はソフトウェア構成を示す。
【
図5A】樹脂管施工の作業工程を示すフローチャートである。
【
図5B】樹脂管施工の作業工程を示すフローチャートである。
【
図5C】樹脂管施工の作業工程を示すフローチャートである。
【
図7】携帯端末に表示される画面の一例を示す図であり、(a)は切断工程、(b)は切削長さマーキング工程、(c)は切削工程の表示画面を示す。
【
図8】携帯端末に表示される画面の一例を示す図であり、(a)は固定工程、(b)は融着データ入力工程、(c)は融着完了工程の表示画面を示す。
【
図9】樹脂管施工情報の生成手順を示すフローチャートである。
【
図10】施工情報の出力例を示す図であり、(a)継手位置をマッピングした地図、(b)は接合チェックシート、(c)融着履歴一覧を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、適宜添付図面を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。
(システム全体構成)
本発明に係る樹脂管施工情報生成システム1は、
図1に示すように、大略、電気融着継手100の樹脂管101と継手本体102とを融着させる電気融着装置2と、融着を行う作業者が携帯する携帯端末3と、融着作業の情報を記録する作業記録装置4とを少なくとも備える。また、本実施形態において、樹脂管施工情報生成システム1は、施工場所の位置を測位する位置測位装置5をさらに備える。
図1に示すように、作業の際に、作業者は、位置測位装置5のアンテナ51を施工対象の継手本体102近傍で支持すると共に携帯端末3を操作する。また、作業記録装置4は、サーバとして、施工主や工事業者等の関係者の利用者端末(コンピュータ)9とインターネット等を介して接続されている。
【0024】
(電気融着継手100)
ここで、
図2に示すように、電気融着継手100の継手本体102には、その内面に電熱線103が設けられてあり、外面にはターミナル突出部104が設けられている。ターミナル突出部104の内部には、電熱線103と接続するターミナルピン105が設けられている。よって、電気融着装置2のコネクタ2cをターミナル突出部104に装着することで、ターミナルピン105を介して電熱線103が通電可能となる。継手本体102には、継手情報を有するバーコード106が貼付されている。また、継手本体102の電熱線103の近傍(上部)には、電気融着による樹脂の溶融によって継手本体102の外面より隆起するインジケータ107が形成されている。なお、バーコード106は、継手本体102に貼付されたものに限らず、例えば、バーコード106が印刷されたカード状物であって、継手本体102に取り付けられたり、継手本体102と共に梱包されたものも含む。
【0025】
(電気融着装置2)
電気融着装置2は、
図1,2に示すように、大略、本体部20に電力を供給する電源装置2aと、融着ケーブル2bを介して接続されたコネクタ2cとを備える。本体部20は、携帯端末3と通信可能な第1通信手段21と、電気融着を監視し制御する電気融着制御部22と、電気融着の情報等を記録する記録部23とを有する。なお、電源装置2aは、外部電源の他、電気融着装置2に内蔵のバッテリーであってもよい。
【0026】
ここで、第1通信手段21としては、例えば、Bluetooth(登録商標)による無線通信手段(インターフェース)が用いられる。もちろん、インターネット等の他の無線通信手段や有線による直接接続等、データの送受信が可能であれば、特に通信手段は限定されない。もちろん、作業性を考慮すると、第1通信手段21は無線通信手段が好ましい。
【0027】
電気融着制御部22は、後述する携帯端末3の電気融着指示部65からの指示に基づいて第1通信手段21を介して電気融着を開始、制御する。また、記録部23には、継手のメーカー、呼び径、製造番号等の継手に関する情報、融着時の電圧値、電流値、時間等の融着に関する情報等の電気融着の情報が融着履歴として融着作業毎に記録される。この融着履歴は、融着に関する電気融着の情報として、電気融着情報要求部66からの指示に基づいて第1通信手段21を介して携帯端末3に送信される。
【0028】
(携帯端末3)
携帯端末3のハードウェア構成は、
図3(a)に示すように、大略、電気融着装置2と通信可能な第1通信手段31と、後述の作業記録装置4と通信可能な第2通信手段32と、融着作業の作業箇所や作業状況等を撮影する撮影手段33と、融着作業の作業情報の入力を行う入力手段34と、撮影した画像や入力したデータを記憶する記憶手段35と、画像やデータを表示する表示手段36と、施工場所の位置情報を取得する位置情報取得手段37と、これら手段を制御する携帯端末制御手段38とを含み、内部バス39で接続されている。これら手段が協働してソフトウェアを稼働させる。なお、携帯端末3としては、スマートフォンの他、タブレットやノートパソコン等の携帯可能な情報処理装置を用いてもよい。
【0029】
ここで、携帯端末3の第1通信手段31は、電気融着装置2の第1通信手段21と同じ通信手段(Bluetooth(登録商標))が採用される。また、第2通信手段32としては、例えば、インターネット等の無線通信手段が用いられる。これら通信手段31,32は、データの送受信が可能であれば、特に手段は限定されない。また、撮影手段33としては、写真(静止画)及び動画が撮影可能なカメラである。カメラは、携帯端末3に内蔵されているものの他、USBケーブル等で接続した外部カメラであってもよい。なお、本発明において、「撮影画像」とは、静止画(写真)に限るものではなく、カメラで撮影可能な動画(音声を含む)を含むものである。また、通信状況等に応じて、静止画や動画を選択するようにしても構わない。
【0030】
入力手段34は、タッチパネル、操作ボタンやキーボード等により構成され、作業者の操作による入力を携帯端末制御手段38に送信する。記憶手段35は、ROM、RAM等のメモリや、HDD等のストレージ装置により構成され、ソフトウエアの他、撮影した画像や入力データ等のデータを記憶する。なお、記憶手段35のストレージ装置として、例えば、USB(Universal Serial Bus/登録商標)メモリ、SDメモリカード等の外部の記憶媒体を用いてもよい。 表示手段36は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のタッチパネルにより構成され、操作画面、各種データ及び判定結果等を適宜表示する。携帯端末制御手段38は、CPUを備える。本実施形態において、位置情報取得手段37は、位置測位装置5を介して施工場所(継手本体102の埋設場所)の位置情報を取得する。
【0031】
携帯端末3のソフトウェア構成は、
図3(b)に示すように、大略、作業指示出力部61と、プライマリーキー発行部62と、工程完了データ要求部63と、継手情報要求部64と、電気融着指示部65と、電気融着情報要求部66と、位置情報要求部67と、施工情報生成部68と、撮影情報付与部69とを有する。
【0032】
作業指示出力部61は、融着作業の複数の工程の内の1以上の工程において、当該工程の作業内容をイラスト及び/又はテキストで表示手段36に出力する。これにより、作業ミスが減少し施工精度も向上する。プライマリーキー発行部62は、融着作業毎に一意のプライマリーキーを発行する。
【0033】
工程完了データ要求部63は、工程の終了を示す工程終了データを要求する。本実施形態において、工程完了データ要求部63は、1以上の工程において、工程終了データとして当該工程における作業部位の撮影画像を要求する画像要求部63aと、融着作業時の天候データを要求する天候データ要求部63bとを有する。画像要求部63aは、樹脂管101の端部を切断した後の管端部101a、管端部101aにマークされた標線108、管端部101aの切削面101b、樹脂管101と継手本体102との固定状態及び融着完了後の継手本体102のインジケータ107の撮影画像を要求する。また、工程完了データ要求部63は、融着開始前までの工程が完了しているかを確認する前工程完了確認部63cを含む。
【0034】
継手情報要求部64は、バーコード106の読み取りを要求する。電気融着指示部65は、読み取ったバーコード106のデータ(継手情報)を電気融着装置2に送信し電気融着装置2を作動させ継手本体102の融着を開始させる。電気融着情報要求部66は、融着の完了後に、当該融着に関する電気融着の情報(融着履歴)を電気融着装置2に要求する。位置情報要求部67は、融着が完了した継手本体102の位置情報を要求する。施工情報生成部68は、後述する各作業工程で得られる工程終了データ、継手情報、融着履歴及び位置情報をプライマリーキーにより関連付けして融着作業単位の施工情報を生成する。撮影情報付与部69は、工程終了データとして撮影される各工程における作業部位の撮影画像に対し撮影日時情報及び撮影位置情報を当該画像に付与する。
【0035】
(作業記録装置4)
作業記録装置4としてのサーバのハードウェア構成は、
図4(a)に示すように、大略、CPUを備える制御手段41と、メモリやストレージ装置を備える記憶手段42と、インターネットを介して他の機器と通信可能な通信手段43ととを備え、内部バス44で接続されている。通信手段43を介して、携帯端末3や他の情報処理装置(パーソナルコンピュータ)とデータの送受信が可能である。もちろん、マウスやキーボード等の入力手段やモニタ等の表示手段を備えていても構わない。
作業記録装置4のソフトウェア構成は、
図4(b)に示すように、携帯端末3が取得した工程終了データ、継手情報、電気融着の情報(融着履歴)及び位置情報を関連付けした施工情報を出力する施工情報出力部71と、撮影画像に基づいて当該工程の作業の良否を判定する良否判定部72と、電気融着の情報に基づいて融着状況を分析する融着状況分析部73とを有する。施工情報出力部71は、位置情報に基づいて地図上に施工箇所をマッピングするマッピング部71aと、生成された施工情報に基づいて各種の帳票を出力する帳票出力部71bを有する。帳票としては、例えばチェックシートや、作業日報、融着履歴一覧などが挙げられる。さらに、施工情報出力部71は、撮影情報付与部69により付与された撮影日時情報及び/又は撮影位置情報に基づいて撮影画像を出力する撮影画像出力部71cを有する。
【0036】
(位置測位装置5)
本実施形態において、施工場所の位置情報として、GNSS(Global Navigation Satellite System、全球測位衛星システム)による位置情報を用いる。位置測位装置5は、アンテナ51と、アンテナ51で測位した位置情報を受信すると共にサーバへ送信する送受信機(図示省略)とを有する。アンテナ51で測位した位置情報は送受信機を介して位置情報サーバ(図示省略)に保存され、携帯端末3の位置情報要求部67が第2通信手段32(インターネット)を介して位置情報サーバに保存された位置情報を取得する。GNSSでは、数cm単位での緯度、経度、海抜の3次元位置情報が得られるので、埋設位置を高精度に把握することができる。よって、例えば、マンホールやガス管等の位置情報と一緒に取得することで、水道配管と他の埋設物等との離隔幅を正確に把握することも可能である。また、給水管等では、官民境界線での埋設位置情報の把握も可能となる。
【0037】
(樹脂管施工情報生成ステップ)
次に、樹脂管施工情報の生成手順について説明する。
作業者は、施工時に、
図5A~Cに示すように、基本情報登録、切断、切削長さマーキング、切削、清掃、固定、天候登録、前工程完了確認、融着データ入力、融着開始、融着完了、冷却、位置情報取得、融着履歴読込、作業確認よりなる作業工程(K1~K15)を行う。各工程において、作業者は、スマートフォン(携帯端末3)に表示される指示等に基づいて、必要な作業を行うと共に必要事項の入力や撮影等を行う。このように、施工情報の生成は、樹脂管の施工作業に沿って蓄積されるので、作業効率がよく施工ミスの防止にもなる。
【0038】
1)基本情報登録工程(K1)
作業指示出力部61は、始めに、タッチパネル(表示手段36)に、工事情報として、施工会社、現場代理人、施工者、工事名、施工場所等の入力・選択事項を表示させる。次に、作業指示出力部61は、融着作業の作業情報として、施工する継手の継手番号、施工年月日、呼び径、発電機の機種及び電圧、EFCの機種及び正常作動確認の有無等の入力・選択事項を表示させる。これらの入力・選択が完了し、作業者が「OK」アイコンをタップすると、工程完了データ要求部63は工程終了と判断して、入力データを第2通信手段32(インターネット)により作業記録装置4に送信し、記憶部42に記憶される。この時、プライマリーキー発行部62は、
図6に示す如きプライマリーキーを付与した情報テーブルをメモリ35に生成する。このプライマリーキーは、他の継手の融着作業と区別されるユニークな値である。上記の入力データは、施工情報生成部68によってメモリ35内の情報テーブルに格納される。以下の作業工程において生成される各種データも、施工情報生成部68により同じプライマリーキーが付与された情報テーブルに格納される。
【0039】
また、上記のデータ入力と合わせて、スマートフォン3は、第1通信手段21,31(Bluetooth)により電気融着装置3と通信可能となると共に、第2通信手段23、通信手段43(インターネット)により作業記録装置4(サーバ)との接続を確保する。
【0040】
2)切断工程(K2)
次に、作業指示出力部61は、
図7(a)に示す如く、切断工程の作業内容をイラスト及びテキストでタッチパネル36に出力する。そして、作業者は、スマートフォン3を確認しながら施工する樹脂管の端部の切断を行う。切断完了後、作業者が「OK」アイコンをタップしても、工程完了データ要求部63は工程終了と判断しない。
【0041】
この工程では、画像要求部63aは、工程終了データとして樹脂管101の端部を切断した後の管端部の撮影画像を要求する。係る場合、作業指示出力部61は、
図7(a)に示す如く、タッチパネル36に「カメラ」アイコンを表示させる。作業者が「カメラ」アイコンをタップし、スマートフォン3のカメラ(撮影手段33)により管端部を撮影することにより、画像要求部63aが撮影した管端部画像を取得すると共に施工情報生成部68が撮影した管端部画像をメモリ等35内の情報テーブルに記憶する。ここで、本実施形態では、撮影情報付与部69が管端部画像の撮影日時情報及び撮影位置情報を当該画像に付与する。例えば、撮影時のスマートフォン3の日時情報及び位置測位装置5にて測位した位置情報を撮影画像に紐付けて記録することで、これら情報を撮影画像に付与する。施工情報生成部68は、撮影した管端部画像と共に撮影日時情報及び撮影位置情報をメモリ等35内の情報テーブルに記憶する。なお、日時情報はインターネットを介して入手してもよく、位置情報はスマートフォン3に内蔵されたGPSの位置情報であってもよい。
【0042】
そして、作業者が「OK」アイコンをタップすると、工程完了データ要求部63は工程終了と判断すると共に、インターネット32により撮影した管端部画像並びに当該画像の撮影日時情報及び撮影位置情報を格納した情報テーブルのプライマリーキーと共に作業記録装置4に送信し、記憶部42に記憶される。このように、撮影を行わなければ次の工程に進むことができず、作業(工程)の漏れ及びデータ(情報)の漏れを防止できる。また、作業者の切断作業の仕上がりが画像として必ず保存(記録)されるので、作業記録(エビデンス)として利用することも可能となる。しかも、撮影画像にその画像の撮影日時情報及び撮影位置情報を付与(紐付け、関連づけ)されるので、例えば、他の現場等で撮影した画像の利用による改ざんを防止でき、作業記録の信憑性も高まる。なお、これは、撮影が要求される以下の作業工程でも同様である。
【0043】
なお、
図7(a)に示すように、作業指示出力部61は、作業内容と共に「?」アイコンを表示させる。作業者が「?」アイコンをタップすると、作業指示出力部61は、作業のポイントや注意点等のより詳細な作業内容を表示させる。これは、以下の工程でも同様である。
【0044】
3)切削長さマーキング工程(K3)
次に、作業指示出力部61は、
図7(b)に示す如く、マーキング工程の作業内容をイラスト及びテキストでスマートフォン3のタッチパネル36に出力する。作業者は、スマートフォン3を確認しながら規定の差込長さを管端から測定して管表面の規定位置に標線を記入する。標線記入後、作業者が「OK」アイコンをタップしても、工程完了データ要求部63は工程終了と判断しない。
【0045】
この工程では、画像要求部63aが、工程終了データとして標線近傍の撮影画像を要求する。係る場合、作業指示出力部61は、
図7(b)に示す如く、タッチパネル36に「カメラ」アイコンを表示させる。作業者が「カメラ」アイコンをタップし、スマートフォン3のカメラ33により標線108近傍を撮影することにより、画像要求部63aが撮影した標線近傍画像を取得すると共に施工情報生成部68が撮影した標線近傍画像並びに当該画像の撮影日時情報及び撮影位置情報をメモリ等35内の情報テーブルに記憶する。そして、作業者が「OK」アイコンをタップすると、工程完了データ要求部63は工程終了と判断すると共に、インターネット32により撮影した標線近傍画像並びに当該画像の撮影日時情報及び撮影位置情報を上記のプライマリーキーと共に作業記録装置4に送信し、記憶部42に記憶される。これにより、作業者が記入した標線の位置が画像として必ず保存(記録)される。
【0046】
4)切削工程(K4)
次に、作業指示出力部61は、
図7(c)に示す如く、切削工程の作業内容をイラスト及びテキストでスマートフォン3のタッチパネル36に出力する。作業者は、スマートフォン3を確認しながら管端から標線まで管端表面を切削(スクリーブ)する。切削後、作業者が「OK」アイコンをタップしても、工程完了データ要求部63は工程終了と判断しない。
【0047】
この工程では、画像要求部63aが、工程終了データとして切削部近傍の撮影画像を要求する。係る場合、作業指示出力部61は、
図7(c)に示す如く、タッチパネル36に「カメラ」アイコンを表示させる。作業者が「カメラ」アイコンをタップし、スマートフォン3のカメラ33により切削部近傍を撮影することにより、画像要求部63aが撮影した切削部画像を取得すると共に施工情報生成部68が撮影した切削部画像並びに当該画像の撮影日時情報及び撮影位置情報をメモリ等35内の情報テーブルに記憶する。そして、作業者が「OK」アイコンをタップすると、工程完了データ要求部63は工程終了と判断すると共に、インターネット32により撮影した切削部画像並びに当該画像の撮影日時情報及び撮影位置情報を上記のプライマリーキーと共に作業記録装置4に送信し、記憶部42に記憶される。これにより、作業者の切削作業の仕上がりが画像として必ず保存(記録)される。
【0048】
5)清掃工程(K5)
次に、作業指示出力部61は、清掃工程の作業内容をイラスト及びテキストでスマートフォン3のタッチパネル36に出力する。作業者は、スマートフォン3を確認しながら切削面及び継手本体の内面を清掃する。清掃後、作業者が「OK」アイコンをタップすると、工程完了データ要求部63は工程終了と判断し、施工情報生成部68が清掃完了のデータをメモリ等35内の情報テーブルに記憶する。また、清掃完了のデータは、上記のプライマリーキーと共にインターネット32により作業記録装置4に送信され、記憶部42に記憶される。
【0049】
6)固定工程(K6)
次に、作業指示出力部61は、
図8(a)に示す如く、固定工程の作業内容をイラスト及びテキストでスマートフォン3のタッチパネル36に出力する。作業者は、スマートフォン3を確認しながら継手本体に管を標線の位置まで挿入しクランプで固定する。固定後、作業者が「OK」アイコンをタップしても、工程完了データ要求部63は工程終了と判断しない。
【0050】
この工程では、画像要求部63aが、工程終了データとして固定部分の撮影画像を要求する。係る場合、作業指示出力部61は、
図8(a)に示す如く、タッチパネル36に「カメラ」アイコンを表示させる。作業者が「カメラ」アイコンをタップし、スマートフォン3のカメラ33により固定部分を撮影することにより、画像要求部63aが撮影した固定部画像を取得すると共に施工情報生成部68が撮影した固定部画像並びに当該画像の撮影日時情報及び撮影位置情報をメモリ等35内の情報テーブルに記憶する。そして、作業者が「OK」アイコンをタップすると、工程完了データ要求部63は工程終了と判断すると共に、インターネット32により撮影した固定部画像並びに当該画像の撮影日時情報及び撮影位置情報を上記のプライマリーキーと共に作業記録装置4に送信し、記憶部42に記憶される。これにより、作業者の固定作業の仕上がりが画像として必ず保存(記録)される。
【0051】
7)天候登録工程(K7)
次に、この工程では、天候データ要求部63bが、工程終了データとして融着作業時の天候データを要求する。係る場合、例えば、作業指示出力部61は、タッチパネル36に天候の選択肢(アイコン)を表示させる。作業者が「天候」アイコンをタップして「OK」アイコンをタップすると、工程完了データ要求部63は工程終了と判断し、施工情報生成部68が天候データをメモリ等35内の情報テーブルに記憶する。また、天候データは、上記のプライマリーキーと共にインターネット32により作業記録装置4に送信され、記憶部42に記憶される。なお、天候登録は、インターネット等を介して天候データを入手することも可能である。
【0052】
8)前工程完了確認工程(K8)
天候登録工程(K7)完了後、前工程完了確認部63cが、これまでの前工程(K1~7)の全てが正常に完了しているか否かを確認する。係る場合、例えば、前工程完了確認部63cは、作業記録装置4(サーバ)の良否判定部72に対し、これまでの工程で記憶(保存)された撮影画像や情報について、正常の状態(健全データ)と比較して作業の良否を判定させる。
【0053】
ところで、施工現場の品質管理は施工者による部分が大半であり、これまで、地方自治体等の水道局などの発注者と施工工事会社との間で有効且つ効率的に施工情報を共有する手段がなく、両者で融着の品質を事後的に確認する場合が多かった。例えば、継手の融着接合部分から漏水が発生した場合、管側の切削長さのマーキング作業が不十分で継手の差し込みが不足し、融着が不十分となったことが発生原因の1つの可能性として考えられる。
【0054】
本実施形態では、前工程完了確認部63cを介して良否判定部72が撮影画像や情報について正常の状態と比較して作業の良否を判定するので、例えば、切削長さマーキング工程(K3)において撮影した標線近傍画像に基づいて規定の差込長さを管端から測定して管表面の規定位置に標線を記入したか否かが判定される。また、固定工程(K6)において撮影した固定部画像に基づいて継手本体に管を標線の位置まで挿入して固定したか否かが判定される。このように、融着開始前に、それまでの前工程(作業)が正常に完了しているか否かを判定するので、上述の如き漏水等の原因となりえる施工(作業)不備を融着前に発見し、予防することができ、施工品質を向上させることができる。また、作業記録装置4は、サーバとして、施工主や工事業者等の関係者の利用者端末(コンピュータ)9とインターネット等を介して接続されているので、前工程の状況をリアルタイムで確認することも可能となる。
【0055】
そして、良否判定部72は、各判定結果を記憶部42に記憶すると共に前工程完了確認部63cに送信する。判定結果にNGがある場合、前工程完了確認部63cは、例えば、判定結果をスマートフォン3のタッチパネル36に表示させると共にNGの判定となった作業工程の画面を表示し、作業者に作業のやり直しを促す。一方、全ての判定結果がOKであった場合、工程完了データ要求部63は工程終了と判断し、施工情報生成部68が判定結果をメモリ等35内の情報テーブルに記憶する。
【0056】
8)融着データ入力工程(K9)
次に、この工程では、継手情報要求部64が、継手本体102に貼付された継手情報としてのバーコードの読み取りを要求する。係る場合、例えば、作業指示出力部61は、
図8(b)に示す如く、タッチパネル36に「カメラ」アイコンを表示させる。作業者が「カメラ」アイコンをタップし、スマートフォン3のカメラ33によりバーコードを撮影することにより、継手情報要求部64がバーコードから継手情報を読み取ると共に、施工情報生成部68が読み取った継手情報をメモリ等35内の情報テーブルに記憶する。これにより、上記各作業工程における画像等の作業結果と継手情報とが上記のプライマリーキーを介して関連づけ(紐付け)られる。その後、作業者が「OK」アイコンをタップすると、工程完了データ要求部63は工程終了と判断する。
【0057】
また、電気融着指示部65は、読み取った継手情報をBluetooth21,31を介して電気融着装置2の電気融着制御部22に送信する。電気融着制御部22は、記録部23に予め記憶されている継手本体毎の融着条件等を参照する。これにより、次工程で融着させる継手本体の融着条件が特定されるので、スマートフォン33からの融着指示(操作)が可能となる。
【0058】
9)融着工程(K10)
次に、この工程では、電気融着指示部65が、電気融着制御部22を作動させ融着を開始させる。係る場合、例えば、作業指示出力部61は、「融着開始」アイコンをスマートフォン3のタッチパネル36に出力する。作業者が「融着開始」アイコンをタップすると、電気融着指示部65は、タッチパネル36に読み取った継手情報に基づいて融着時間を表示すると共に、電気融着装置2の電気融着制御部21を作動させ融着を開始させる。
【0059】
電気融着制御部21は、融着を開始すると共に、電気融着の情報としての融着履歴の生成を開始する。この融着履歴は、融着作業単位でユニークな作業連番、融着開始日時、先の工程で受信した継手情報要求部63が読み取った継手情報(バーコードデータ)の他、継手メーカー名、品種、呼び径等の各情報を含む。また、融着履歴には、融着の進捗に応じて、制御電圧値、融着時間、環境温度、継手抵抗値、実通電時間、入力・出力電圧(最大及び最小)、出力電流(最大及び最小)、積算熱量、融着結果等が融着結果として逐次記録される。これにより、読み取った継手情報と融着履歴とが作業連番によって融着する継手単位で関連づけられる。
【0060】
また、電気融着制御部21は、融着開始直後から融着状態を監視し、融着中に異常を検知すると、融着を中止する。この時、作業指示出力部61は、タッチパネル36に異常(融着停止)の警告を表示させる。また、記録部23が上述の融着結果と共に検知した異常(融着エラー)の内容を記録し、融着異常履歴として生成する。ここで、融着異常履歴とは、上述の融着履歴に検知した異常(融着エラー)の内容が追記されたものをいう。
【0061】
そして、電気融着制御部21は、生成した融着異常履歴を第1通信手段21を介して携帯端末3に送信する。送信された融着異常履歴は、施工情報生成部68によってメモリ等35内の情報テーブルに記憶されると共に、プライマリーキーと共にインターネット32により作業記録装置4に送信され、記憶部42に記憶される。これにより、異常(融着エラー)の内容が作業者及びインターネット等を介して作業記録装置4に接続している施工主や工事業者等の関係者と情報共有が図られ、状況の把握、作業内容の確認が容易となる。
【0062】
そして、作業指示出力部61は、タッチパネル36に異常(融着エラー)に対する処置を入力させるコメント欄を表示させる。作業者がコメント欄に処置の内容を入力し、「OK」アイコンをタップすると、工程完了データ要求部63は工程終了と判断し、施工情報生成部68が入力された処置の内容をメモリ等35内の情報テーブルに記憶する。また、工程完了データ要求部63は、タッチパネル36に警告画面を表示し、例えば、最初の作業工程の画面を表示し、作業者に作業のやり直しを促す。融着中に異常を検知し融着を中止した場合、継手部分を含む樹脂管を切断、廃棄して、最初の工程からやり直すのが原則である。このように、融着が正常に完了しなかった情報をも記録でき且つ継手が埋設させることなく作業のやり直しを促すので、施工品質も向上する。
【0063】
一方、電気融着制御部21は、異常(融着エラー)を検知しなければ、規定時間まで融着を続行する。このように、電気融着装置2を操作することなく、スマートフォン3の操作で規定の融着時間の電気融着を行うことができ、融着状況(結果)が融着履歴として生成される。そして、融着時間の経過後、作業者が融着状況を目視にて確認し「OK」アイコンをタップすると、工程完了データ要求部63が工程終了と判断し、電気融着情報要求部65が電気融着制御部21に融着完了した継手の融着履歴の作業連番及び融着開始日時、制御電圧値、融着時間、継手抵抗値、環境温度、実通電時間、入力・出力電圧(最大及び最小)、出力電流(最大及び最小)等の融着履歴の一部の項目(データ)を要求する。そして、施工情報生成部68が返信された作業連番及び上述の融着履歴の一部の項目(データ)をメモリ等35内の情報テーブルに記憶する。
【0064】
10)融着完了工程(K11)
次に、作業指示出力部61は、
図8(c)に示す如く、融着完了工程の作業内容をイラスト及びテキストでスマートフォン3のタッチパネル36に出力する。作業者は、スマートフォン3を確認しながらインジケータ107の隆起を確認する。確認後、作業者が「OK」アイコンをタップしても、工程完了データ要求部63は工程終了と判断しない。
【0065】
この工程では、画像要求部63aが、工程終了データとしてインジケータ107の周辺(継手本体)の撮影画像を要求する。係る場合、作業指示出力部61は、
図8(c)に示す如く、タッチパネル36に「カメラ」アイコンを表示させる。作業者が「カメラ」アイコンをタップし、スマートフォン3のカメラ33によりインジケータ107の周辺を撮影することにより、画像要求部63aが撮影したインジケータ画像を取得すると共に施工情報生成部68が撮影したインジケータ画像並びに撮影日時情報及び撮影位置情報をメモリ等35内の情報テーブルに記憶する。そして、作業者が「OK」アイコンをタップすると、工程完了データ要求部63は工程終了と判断すると共に、インターネット32により撮影したインジケータ画像並びに撮影日時情報及び撮影位置情報を上記のプライマリーキーと共に作業記録装置4に送信し、記憶部42に記憶される。よって、電気融着の仕上がりが画像として必ず保存(記録)される。
【0066】
さらに、本実施形態では、工程完了データ要求部63は、作業連番及び融着履歴の一部の項目(データ)を上記のプライマリーキーと共にインターネット32により作業記録装置4に送信し、記憶部42に記憶される。ここで、例えば、記憶部42には、融着履歴データの一部の項目に対して設定した閾値を予め記憶させておく。そして、融着状況分析部73が、受信した融着履歴の一部の項目と設定された閾値とを比較して融着状況を分析する。
【0067】
融着前までの作業の各工程で、作業者の経験や力量、天候等によって作業内容の正確性や作業量に僅かな不足等が発生し得る。そして、作業者自身は各作業を完了していると認識して工程を順次進め、また、融着時に融着エラーを検知せずに完了する可能性も考えられる。そこで、本実施形態では、融着状況分析部73が、融着履歴の一部の項目と閾値とを比較して融着状況を分析し、分析結果を記憶部42に記憶すると共に工程完了データ要求部63に送信する。
【0068】
そして、工程完了データ要求部63は、分析結果が好ましくない場合、例えば、タッチパネル36に分析結果を表示させて、作業者に状況確認を促す。一方、分析結果が良好であった場合、工程完了データ要求部63は工程終了と判断し、施工情報生成部68が判定結果をメモリ等35内の情報テーブルに記憶する。このように、例えば、融着直後に融着履歴データの一部の項目に不安定な数値、通常と異なる数値等を検知した場合に、その融着状況を作業者に警告し、作業を再確認、見直しさせることができるので、さらに施工品質を向上させることができる。
【0069】
11)冷却工程(K12)
次に、作業指示出力部61は、冷却工程の作業内容をイラスト及びテキストでスマートフォン3のタッチパネル36に出力する。例えば、タッチパネル36に読み取った継手情報に基づいて冷却時間を表示する。作業者は、スマートフォン3を確認しながら表示された冷却時間で冷却を行い、その冷却完了時刻(冷却時間)を継手本体102に記入する。そして、冷却時間経過後、作業者が「OK」アイコンをタップすると、工程完了データ要求部63は工程終了と判断し、施工情報生成部68が冷却が完了したデータをメモリ等35内の情報テーブルに記憶する。また、冷却が完了した旨のデータは、上記のプライマリーキーと共にインターネット32により作業記録装置4に送信され、記憶部42に記憶される。
【0070】
12)位置情報取得工程(K13)
次に、この工程では、位置情報要求部67が、工程終了データとして融着が完了した継手本体102の位置情報を要求する。係る場合、例えば、作業指示出力部61は、「位置測位」アイコンをスマートフォン3のタッチパネル36に出力する。作業者が「位置測位」アイコンをタップすると、位置情報要求部67がインターネット32を介してアンテナ51で測位した位置情報を取得すると共に施工情報生成部68が取得した位置情報をメモリ等35内の情報テーブルに記憶する。これにより、上記各作業工程における画像等の作業結果と継手情報と位置情報とが上記のプライマリーキーを介して関連づけ(紐付け)られる。そして、作業者が「OK」アイコンをタップすると、工程完了データ要求部63は工程終了と判断すると共に、インターネット32により位置情報を上記のプライマリーキーと共に作業記録装置4に送信し、記憶部42に記憶される。なお、「位置測位」アイコンをタップする前に、埋設深度を入力することでGNSSの位置情報から地表からの深さを記録することも可能である。
【0071】
13)融着履歴取得工程(K14)
次に、この工程では、電気融着情報要求部66が、工程終了データとして電気融着の情報(融着履歴)を電気融着装置2に要求する。係る場合、例えば、作業指示出力部61は、「履歴取込」アイコンをスマートフォン3のタッチパネル36に出力する。作業者が「履歴取込」アイコンをタップすると、電気融着情報要求部66は、Bluetooth21,31を介して電気融着制御部21に先の融着工程K10で生成した融着履歴の全項目(データ)を要求し、記録部23から同じ作業連番が付与された融着履歴の全項目(データ)を入手する。そして、施工情報生成部68が入手した融着履歴をメモリ等35内の情報テーブルに記憶する。これにより、上記各作業工程における画像等の作業結果と継手情報と位置情報に加えて融着履歴も上記のプライマリーキーを介して関連づけ(紐付け)られる。そして、作業者が「OK」アイコンをタップすると、工程完了データ要求部61は工程終了と判断すると共に、インターネット32により先の工程で読み取った継手情報と融着履歴を上記のプライマリーキーと共に作業記録装置4に送信し、記憶部42に記憶される。
【0072】
さらに、本実施形態では、工程完了データ要求部63は、作業連番及び融着履歴の全項目を上記のプライマリーキーと共にインターネット32により作業記録装置4に送信し、記憶部42に記憶される。そして、融着状況分析部73が、送信されてきた融着履歴の全項目(データ)を分析する。これにより、エラーの履歴や融着時の傾向、融着機のコンディションの把握、確認が容易となり、融着異常の予防、融着品質のエビデンスとなり得る。
【0073】
14)作業確認工程(K15)
最後に、作業指示出力部61は、上記工程において入力した事項等をスマートフォン3のタッチパネル36に出力する。確認後、作業者が「OK」アイコンをタップすると、工程完了データ要求部61は工程終了と判断すると共に、確認が完了した旨のデータをメモリ等35内の情報テーブルに記憶する。また、確認が完了した旨のデータは、上記のプライマリーキーと共にインターネット32により作業記録装置4に送信され、記憶部42に記憶される。これにて、継手の施工作業は完了となる。
【0074】
このように、記憶部42には、上記一連の工程において取得した工程終了データとしての各種撮影画像、読み取った継手情報及び測位した位置情報並びに電気融着の情報(融着履歴)が上記融着作業単位で記録されることとなる。そして、施工情報出力部71は、上記のプライマリーキーを介して関連づけ(紐付け)られて生成された施工情報に基づいて融着作業単位での各種帳票やマッピングを出力する。
【0075】
上記作業工程において、樹脂管施工情報は、
図9に示すように、融着作業の複数の工程の内の1以上の工程において、融着作業毎に一意のプライマリーキーを発行するプライマリーキー発行ステップS1と、当該工程の作業内容をイラスト及び/又はテキストで前記携帯端末に出力する作業指示出力ステップS2と、工程の終了を示す工程終了データを要求する工程完了データ要求ステップS3と、継手本体の継手情報の読み取りを要求する継手情報要求ステップS4と、読み取った継手情報を電気融着装置に送信し電気融着装置を作動させ継手本体の融着を開始させる電気融着指示ステップS5と、融着の完了後に、融着に関する電気融着の情報を電気融着装置に要求する電気融着情報要求ステップS6と、融着が完了した継手本体の位置情報を要求する位置情報要求ステップS7と、取得した工程終了データ、読み取った前記継手情報、取得した電気融着の情報及び取得した位置情報をプライマリーキーに基づいて関連付けして施工情報を生成する施工情報生成ステップS8により生成される。
【0076】
作業指示出力ステップS2及び工程完了データ要求ステップS3は、上記作業工程K1~6,11を少なくとも含み、継手情報要求ステップS4は上記作業工程K9に相当し、電気融着指示ステップS5は上記作業工程K10に相当し、電気融着情報要求ステップS6は上記作業工程K10,K14を含み、位置情報要求ステップS7は上記作業工程K13に相当し、施工情報生成ステップS8は上記作業工程K15を含む。このように、融着作業毎に発行されるプライマリーキーによって、各データは関連づけ(紐付け)されているので、上記作業工程を作業指示出力部61の出力に従って進めていくだけで、一連の作業工程(履歴)を継手本体の融着作業毎に関連づけした施工情報を生成することができる。また、融着作業毎に発行されるプライマリーキーによって、各データは関連づけ(紐付け)されているので、他の融着作業データと混同することなく、融着作業単位で施工情報を様々なフォーマットで出力することができる。よって、融着作業毎(継手毎)に、融着履歴、各作業工程で撮影した画像一覧、位置情報を個別に又は纏めて出力(表示)することも可能である。
【0077】
また、本実施形態では、継手情報要求ステップS4の前に、それまでのステップの工程が正常に終了したかを確認する前工程完了確認ステップS4’をさらに有する。また、電気融着情報要求ステップS6は、電気融着の情報(融着履歴データの一部の項目)に基づいて融着状況を分析する融着状況分析ステップを含む。前工程完了確認ステップS4’により、施工(作業)不良の原因となり得る作業不備を融着開始前に発見し、予防することができる。また、融着状況分析ステップにより、融着直後にも、融着異常が疑われるものを作業者に警告し、作業を再確認、見直しさせることができる。このように、これらステップを含むことで、作業者が携帯端末3の表示(出力)に沿って一連の融着作業を進めていくだけであっても、さらに施工品質を向上させることができる。
【0078】
そして、生成された施工情報は、例えば
図10(a)に示す如く、マッピング部71aが位置情報に基づいて地図上に施工箇所をマッピングする。また、
図10(b)に示すように、帳票出力部71bが、生成された施工情報に基づいて帳票としてのチェックシートを出力する。また、
図10(c)に示すように、融着履歴を一覧として出力することもできる。さらに、撮影画像出力部71cが、撮影した撮影画像に付与された撮影日時情報及び/又は撮影位置情報に基づいて撮影画像をリスト形式や一覧形式にて出力する。このような出力情報は、施工業者のみならず、施工主や関連業者等のアクセス権限を有するものが、作業記録装置4としてのサーバを介して利用者端末9からアクセスし利用することが可能である。なお、これらの出力例はあくまで一例に過ぎず、出力形式は適宜変更、調整可能である。
【0079】
また、上記全ての作業工程において作業完了を確認しているので、各工程の作業完了データを列挙(出力)することで、融着作業全体が正しく行われたかを判定することもできる。上記の各種判定は、作業後だけでなく、リアルタイムで判定させることも可能である。
【0080】
次に、本発明の他の実施形態の可能性について言及する。なお、上述の実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
上記実施形態において、前工程完了確認工程(K8)において、前工程完了確認部63cを介して良否判定部72がそれまでの作業工程で記憶(保存)された撮影画像や情報撮影画像や情報について正常の状態と比較して作業の良否を判定した。しかし、これに加えて、融着完了工程(K11)においても、インジケータ107の隆起の程度を撮影したインジケータ画像に基づいて融着の良否を判定することも可能である。
【0081】
係る場合、良否判定部72は、判定結果を記憶部42に記憶すると共に工程完了データ要求部63に送信する。判定結果にNGがある場合、工程完了データ要求部63は、例えば、判定結果をスマートフォン3のタッチパネル36に表示させると共に最初の作業工程に戻るよう戻るボタンを表示し、作業者に作業のやり直しを促す。一方、判定結果がOKであった場合、工程完了データ要求部63は工程終了と判断し、施工情報生成部68が判定結果をメモリ等35内の情報テーブルに記憶する。このように、融着の要否を撮影したインジケータの画像によって判定し、工程完了を判断するので、施工品質もさらに向上する。
上記実施形態において、携帯端末3において入力等したデータは、第2通信手段32(インターネット)を介して作業記録装置4に送信した。しかし、電気融着装置2に第2通信手段32(インターネット)を設けることで、電気融着装置2を介して作業記録装置4に送信するようにしてもよい。
【0082】
また、上記実施形態において、施工情報出力部71を作業記録装置4に設けたが、携帯端末3に設けることも可能である。これにより、携帯端末3上で施工情報を出力し、出力した施工情報(データ)を作業記録装置4に送信するようにするとよい。
【0083】
上記実施形態において、GNSS受信機5が測位した位置情報を用いたが、GNSS受信機5を省略し、携帯端末3に内蔵された位置情報取得手段(GPS)による位置情報を利用してもよい。
【0084】
また、上記実施形態において、作業工程完了後に完了データや撮影した画像等を作業記録装置4に送信したが、通信状況に応じて携帯端末3に保存しておき追って作業記録装置4に送信するようにしてもよい。融着作業毎に発行されるプライマリーキーによって、各データは関連づけ(紐付け)されているので、他の融着作業データと混同することもない。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、特に、水道配管に用いられるポリエチレン管(PE管)の施工情報の施工情報生成システムとして利用することができる。また、これら施工情報の管理システムとしても利用することが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1:樹脂管施工情報生成システム、2:電気融着装置、2a:電源装置、2b:融着ケーブル、2c:コネクタ、3:携帯端末、4:作業記録装置、5:位置測位装置、9:利用者の端末(コンピュータ)、20:本体部、21:第1通信手段(Bluetooth)、22:電気融着制御部、23:記録部、31:第1通信手段(Bluetooth)、32:第2通信手段(インターネット)、33:撮影手段、34:入力手段、35:記憶手段、36:表示手段、37:位置情報取得手段、38:携帯端末制御手段、39:内部バス、41:制御手段、42:記憶手段、43:通信手段(インターネット)、44:内部バス、51:アンテナ、61:作業指示出力部、62:プライマリーキー発行部、63:工程完了データ要求部、63a:画像要求部、63b:天候データ要求部、63c:前工程完了確認部、64:継手情報要求部、65:電気融着指示部、66:電気融着情報要求部、67:位置情報要求部、68:施工情報生成部、69:撮影情報付与部、71:施工情報出力部、71a:マッピング部、71b:帳票出力部、71c:撮影画像出力部、72:良否判定部、73:融着状況分析部、100:電気融着継手、101:樹脂管、101a:管端部、101b:切削面、102:継手本体、103:電熱線、104:ターミナル、105:ターミナルピン、106:バーコード(継手情報)、107:インジケータ、108:標線