(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173792
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ボルト締結体を設計する方法
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20241205BHJP
F16B 31/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G01L5/00 103Z
F16B31/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024087682
(22)【出願日】2024-05-30
(31)【優先権主張番号】23177051
(32)【優先日】2023-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】524205499
【氏名又は名称】アールアンドディー エンジニアリング アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】フレミング セルマ ニルスン
(72)【発明者】
【氏名】イェスパ ストクベク
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ベスタゴー ニュボ
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA06
2F051BA07
(57)【要約】
【課題】ボルト締結体を確立する方法、既設のボルト締結体を整備する方法、及び、ボルト伸び率測定装置の使用の提供。
【解決手段】本発明は、ボルト締結体を確立する方法であって、ボルト締結体のタイプを選択するステップと、選択したボルト締結体の目標予張力レベルを算定するステップであって、目標予張力レベルは、上記ボルト締結体の最大予張力レベルよりも10%未満だけ低く、上記最大予張力レベルは、ボルト締結体を損なわないように超えてはならない予張力レベルに関連する、ステップと、ボルト締結体を装着するステップであって、ボルト締結体の実際の予張力レベルが締付けプロセス中に測定される、ステップとを含む、方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルト締結体を確立する方法であって、
ボルト締結体のタイプを選択するステップと、
選択されたボルト締結体の目標予張力レベルを決定するステップであって、前記目標予張力レベルは、前記ボルト締結体の最大予張力レベルよりも10%未満だけ低く、前記最大予張力レベルは、前記ボルト締結体を損なわないように超えてはならない予張力レベルに関連するものである、ステップと、
前記ボルト締結体を装着するステップであって、前記ボルト締結体の実際の予張力レベルが締付けプロセス中に測定される、ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記目標予張力レベルは、前記ボルト締結体の最大予張力レベルを約5%だけ下回る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記目標予張力レベルは、前記ボルト締結体の最小予張力レベルよりも10%未満だけ高く、前記最小予張力レベルは、前記ボルト締結体が必要とする保持力を確立するために満たさなければならない予張力レベルに関連するものである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ボルト締結体の前記実際の予張力レベルを測定することは、
前記締付けプロセスの前に、前記ボルト締結体におけるボルトの無負荷時の長さを測定することと、
前記締付けプロセスの後に、前記ボルトの負荷時の長さを測定することと、
前記ボルトの前記無負荷時の長さと前記負荷時の長さとの間の差に基づいて、前記実際の予張力レベルを決定することと、
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記実際の予張力レベルが前記目標予張力レベルよりも低いときに、前記ボルト締結体を再締付けすることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記目標予張力レベル、及び/又は、前記締付けプロセスの後に達成された前記実際の予張力レベルを記憶すること、
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
既設のボルト締結体を整備する方法であって、
前記ボルト締結体の予張力レベルを測定することと、
測定された前記予張力レベルを、前記ボルト締結体の初期締付けプロセス中に取得された記憶済み予張力レベルと比較することと、
測定される前記予張力レベルが前記記憶済み予張力レベルと合致するように前記ボルト締結体を再締め付けすることと、
を含む、方法。
【請求項8】
ボルト締結体の実際の予張力レベルを検証するための、前記ボルト締結体の締付けプロセス中のボルト伸び率測定装置の使用であって、前記ボルト伸び率測定装置は、前記ボルト締結体の少なくとも2つの異なる長さ測定を適用するように構成されている、使用。
【請求項9】
前記伸び率測定装置は、
前記締付けプロセスの前に、前記ボルト締結体におけるボルトの無負荷時の長さを測定することと、
前記締付けプロセスの後に、前記ボルトの負荷時の長さを測定することと、
前記ボルトの前記無負荷時の長さと前記負荷時の長さとの間の差に基づいて、前記実際の予張力レベルを決定することと、
を行うように構成されている、請求項8に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト締結体(ねじ継手)を確立する方法に関する。本発明は、さらに、ボルト締結体を整備(点検)する方法と、ボルト締結体の締付けプロセス中のボルト伸び率測定装置の使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービンのサイズが全世界で大きくなるにつれて、ボルト接続部を介して伝達される臨界負荷についての要件がますます高まっている。ボルト接続部によって吸収される伝達負荷がこのように増大することで、いくつかの影響が及ぼされる。例えば、臨界負荷の増大によって、ボルト締結体の材料の必要とされる量が多くなり、これにより、グローバル資源が圧迫され、そのようなボルト接続部の重量及びハンドリングする際の難しさが増大する。多くの場合、これらの高負荷は、エキゾチック鋼合金等の特殊設計の材料によってしかハンドリングすることができない。概して、これにより、ボルト締結体が必要とする保持力を達成するカスタムメイドな構成要素の必要性が高まっている。
【発明の概要】
【0003】
上記の課題に鑑みて、本発明の目的は、ボルト締結体の機械的特性の使用を最適化することができ、計画段階中の設計自由度を増大させる、ボルト締結体を確立する方法を提供することである。また、この新たな方法は、ボルト締結体等の接合構成要素に必要とされる材料の量を削減し、特殊合金ではなく標準的な構成要素の使用を可能にするものである。
【0004】
本発明の上述の目的は、独立請求項1、7、及び8に記載の方法によって果たされる。更なる実施形態が付属の従属請求項に開示される。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、ボルト締結体を確立する方法であって、
ボルト締結体のタイプを選択するステップと、
選択したボルト締結体の目標予張力レベルを決定(算定)するステップであって、目標予張力レベルは、上記ボルト締結体の最大予張力レベルよりも10%未満だけ低く、上記最大予張力レベルは、ボルト締結体を損なわないように超えてはならない予張力レベルに関連する、ステップと、
ボルト締結体を装着するステップであって、ボルト締結体の実際の予張力レベルが締付けプロセス中に測定される、ステップと、
を含む、方法が提供される。
【0006】
ボルト締結体において、締結体のボルト及びクランプ構成要素は、締結体を通して接続される部品の間の外部張力負荷を伝達するように設計される。締結体は、常に、締結体を分離するように作用する外力がクランプ負荷を決して上回らないように設計されるべきである。
【0007】
締結体のクランプ力は、予負荷レベルによって規定される。予負荷レベルは、締付けによって導入されるボルトの軸力である。換言すれば、ボルト締結体の機能のためには、正しい予負荷レベルを達成することが不可欠である。一般に、予負荷は、ボルト締結体を締め付けるために使用されるトルクに伴って増大する。しかしながら、よく知られているように、引張応力の量、すなわち、ボルト接続部が耐え得る予負荷の量には限界がある。この最大予張力レベルは、降伏としても知られ、ボルト締結体を損なわないために超えられてはならない。
【0008】
ボルト締結体の従来の計画手順及びガイドラインを使用するとき、締付けプロセス中に降伏強さ、すなわち、最大予張力レベルを超えないことを確実にするために、大きな安全マージンが適用される。換言すれば、従来通りに計画されたボルト締結体によって達成される予張力レベルは、締付け中、ボルトの降伏強さを大幅に下回る。これにより、印加されるトルクにおいて或る特定の公差が可能になる。オペレーターが過大なトルクを印加する場合、これは依然として、予張力レベルがボルト締結体の降伏強さを超えることには繋がらないはずである。典型的なマージンは、「散乱係数」としても知られており、典型的には+/-20%である。これはまた、従来の計画方法の目標予張力レベルが、不注意でボルトを締め過ぎることを可能にするように、ボルト締結体の潜在的な予張力レベルの70%以下を使用することを意味する。
【0009】
上記から、従来の計画プロセスは、上記の誤差マージンに起因してボルト締結体の全潜在能力を利用しないこととなる。
【0010】
上記で述べた本発明の方法は、「散乱係数」、すなわち、ボルト接続部の予負荷公差を意図的に低下させることを提言している。特に、本発明は、ボルト締結体の最大予張力レベル(すなわち、降伏強さ)の10%未満だけ下回る、ボルト締結体の予張力レベルを目標とすることを提言している。換言すれば、本発明の方法は、ボルト締結体を介して利用可能である潜在的な保持力の約90%以上を使用する。そのため、これを使用することで、2つの部品を接合するために適用されるボルトの数を削減することもできる。代替的に又は加えて、より従来通りの/より豊富な材料から作製される軽量のボルトを使用することで、ボルト降伏の70%しか使用されない場合である専門家材料と同じ保持力を達成することができる。そのようにボルト締結体を確立することにより、ボルト接続部の費用及び材料消費量が削減される。
【0011】
誤差マージンが小さくなっているにもかかわらず、最大予張力レベルを超えないこと、それにより、ボルト締結体を損なわないこと、を確実にするために、本発明は、締付けプロセス中に実際の/現在の予張力レベルを測定することを提言する。したがって、必要とされる予張力負荷を高レベルな精度で設定することができる。
【0012】
別の実施の形態によれば、目標予張力レベルは、ボルト締結体の最大予張力レベルを約5%だけ下回る。この例によれば、本発明の方法により、ボルト締結体の機械的潜在能力を更に良好に使用することが可能になる。
【0013】
別の実施の形態によれば、目標予張力レベルは、上記ボルト締結体の最小予張力レベルの10%未満だけ、好ましくは5%未満だけ上回り、上記最小予張力レベルは、ボルト締結体が必要とする保持力を確立するために満たさなければならない予張力レベルに関連する。以下により詳細に説明するように、本発明の方法は、必要なクランプ力を達成するために必要とされる最小予張力レベルにより近い値に意図的に設定することもできる。そのため、本発明の方法を使用することで、締付け不足が効果的に回避されるため、目標予張力レベルと最小予張力レベルとの間の公差を低減することもできる。換言すれば、本方法の選択プロセスは、より高いトルクでボルト締結体が締め付けられると想定するだけでなく、予張力のレベルによって達成されるクランプ力が、従来の計画方法よりも必要とされる保持力に近くなるようにボルト締結体のサイズ決定も行う。
【0014】
別の実施の形態によれば、ボルト締結体の実際の予張力レベルを測定することは、
締付けプロセスの前に、ボルト締結体におけるボルトの無負荷時の長さを測定することと、
締付けプロセスの後に、ボルトの負荷時の長さを測定することと、
ボルトの無負荷時の長さと負荷時の長さとの間の差に基づいて、実際の予張力レベルを決定することと、
を含む。
【0015】
別の実施の形態によれば、本方法は、実際の予張力レベルが目標予張力レベルよりも低い場合、ボルト締結体を再締付する(締め直す)ことを含む。
【0016】
別の実施の形態によれば、本方法は、目標予張力レベル及び/又は締付けプロセスの後に達成された実際の予張力レベルを記憶することを含む。そのような記憶された予張力レベルは、ボルト接続部の保守中に再使用することができる。特に、ボルト接続部の整備中、測定装置を使用することで、例えば、ボルト接続部が或る特定の期間にわたって使用された後の現在の予張力レベルを測定することができる。その後、現在の予張力レベルを、記憶された目標予張力レベル、及び/又はボルト締結体の初期装着中に印加された、記憶された実際の予張力レベルと比較することができる。その後、オペレーターがボルト締結体を締め直すことによって、予張力値の間の相違(すなわち、ボルト締結体の緩みに起因するもの)を補正することができる。
【0017】
本発明の別の態様によれば、既設のボルト締結体を整備する方法であって、
ボルト締結体の予張力レベルを測定することと、
測定した予張力レベルを、ボルト締結体の初期締付けプロセス中に取得される記憶された予張力レベルと比較することと、
測定した予張力レベルが記憶された予張力レベルと合致するように、ボルト締結体を締め直すことと、
を含む、方法が提供される。
【0018】
本発明の別の態様は、ボルト締結体の実際の予張力レベルを検証するためのボルト締結体の締付けプロセス中のボルト伸び率測定装置の使用であって、ボルト伸び率測定装置は、ボルト締結体の少なくとも2つの異なる長さ測定を適用するように構成される、使用に関する。
【0019】
上記で詳細に述べたように、ボルト締結体の装着プロセス中、すなわち、締付けプロセス中のボルト伸び率測定装置の使用により、ボルト締結体の機械的潜在能力をより効果的に使用することが可能になる。これは、ボルト伸び率測定装置が実際の予張力レベルの正確な測定値を提供することができ、ボルト締結体の締め過ぎ/締付け不足を系統立てて回避することができ、そのため、誤差マージンを小さくしてボルト締結体を選択することができるためである。
【0020】
別の実施の形態によれば、締付けプロセス中に使用される伸び率測定装置は、
締付けプロセスの前に、ボルト締結体におけるボルトの無負荷時の長さを測定することと、
締付けプロセスの後に、ボルトの負荷時の長さを測定することと、
ボルトの無負荷時の長さと負荷時の長さとの間の差に基づいて、実際の予張力レベルを決定することと、
を行うように構成される。
【0021】
次に、添付の図面に示される例示的な実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る方法の概略フローチャートである。
【
図2】本発明の方法によって適用される散乱係数と、当該技術分野において適用される従来の経験的な散乱係数との概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明に係る方法の一実施形態の概略フローチャートである。方法100は、好適なボルト締結体接続部を確立するために使用されるものであり、ステップ102及び104における計画段階と、ステップ106における装着段階との両方を含む。
【0024】
第1のステップ102において、ボルト締結体のタイプを選択する。これは、最も顕著には、ボルト締結体に使用されるボルトのサイズ、形状、材料(複数の場合もある)、及び数の選択を含む。理解されるように、各タイプのボルト締結体は、異なる特性、例えば、上述した最大予張力負荷に関連する、それぞれのボルトの最大降伏強さを含む。このボルト締結体のタイプは、典型的には当該ボルト接続部に使用することができる好適なボルト締結体のリストから選択される。
【0025】
第2のステップ104において、本方法は、ボルト締結体の目標予張力レベルを決定することを含む。このために、ボルト接続部の必要とされる保持力、ひいては必要とされるクランプ力が決定される。これは、使用時のボルト締結体に適用される、予想される静的及び動的な負荷に基づくことができる。そのような保持力の計算に基づいて、ボルト接続部の目標予張力レベルは、自動的に又は手動で決定することができる。これに関して、ボルト締結体のクランプ力は、締付けプロセス中に確立される予張力レベルに直接依存することに留意されたい。予張力レベルとクランプ力との間のそのような依存関係は、選択されたタイプのボルト締結体の特性曲線から導出することができるか、又は、所望のクランプ力/保持力を確立するために必要とされる予張力レベルを決定するために、プロセッサが使用することができるルックアップテーブルに記憶することができる。
【0026】
目標予張力レベルは、最大予張力レベル(降伏強さ)を5%だけ下回る、すなわち最大予張力レベルの95%として決定することができる。この段階で、本方法により、目標予張力レベルが、ボルト締結体が必要とする保持力を確立するために満たさなければならない最小予張力レベルの10%未満だけ高いことを確実にすることもできる。選択されたボルト締結体の最大予張力レベルの95%が、ボルト締結体が必要とする最小予張力レベルを10%超だけ上回ると人間又はプロセッサが判断した場合、本方法はステップ102に戻り、異なるタイプのボルト締結体を選択することができる。本方法は、最小予張力レベルと最大予張力レベルとの間の公差の10%以下を呈するタイプのボルト締結体が選択されるまで、このプロセスを繰り返すことができる。
【0027】
第3のステップ106において、ボルト締結体を装着する。装着中、ボルト締結体の実際の予張力レベルが測定され、目標予張力レベルに設定される。このために、装着者は、ボルト伸び率測定装置等の好適な測定装置をボルト締結体に接続して、目標予張力レベルを達成するために必要とされる分だけ締結体を締め付けることができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、実際の予張力レベルを測定することは、締付けプロセスの前に及び/又は装着プロセスの前に、ボルト締結体におけるボルトの無負荷時の長さを測定することと、締付けプロセスの後に、ボルトの負荷時の長さを測定することと、ボルトの無負荷時の長さと負荷時の長さとの間の差に基づいて、実際の予張力レベルを決定することとを含む。
【0029】
ボルトの無負荷時の長さは、ボルト締結体が装着される前に、すなわち、第2のステップ104と第3のステップ106との間に測定することができる。無負荷時の長さ及び負荷時の長さの両方は、超音波測定、機械的測定、及び/又は光学的測定を含む、多様な既知の方法によって決定することができる。
【0030】
ボルトの無負荷時の長さと負荷時の長さとの間の差は、ボルト内の実際の予張力レベルに正比例する。
【0031】
図2は、本発明の方法において利用される予張力レベル(左側)と、当該技術分野において利用される予張力レベル(右側)との概略図である。
図2の両方の図においては、同じタイプのボルト締結体が使用されている。しかしながら、本発明の方法によれば、目標予張力レベル202は、従来通りに適用される目標予張力レベルよりも大幅に高くなるように選ばれる。特に、目標予張力レベル202は、ボルト締結体の降伏強さとして規定することができる最大予張力レベル204の10%未満、例えば約5%だけ下回るように構成される。これと同時に、目標予張力レベル202は、ボルト締結体が必要とする保持力を確立するために満たさなければならない予張力レベルである最小予張力レベル206の10%未満、例えば約5%だけ上回るように構成することができる。換言すれば、本発明に係るボルト締結体の目標予張力レベルは、ボルト締結体を締め過ぎた場合に達成される予張力レベル(最大予張力レベル)、又はボルト締結体が締付け不足となった場合に達成される予張力レベル(最小予張力レベル)の約5%となるように選ばれる。
【0032】
上記は、最大予張力レベル214の約30%だけ下回るとともに、最小予張力レベル216の約20%だけ上回るように設定される目標予張力レベル212の従来の決定とは対照をなす。この従来の手法は、装着者の経験のみに基づき得るトルクを装着者が印加することによるものである。トルクレンチが使用される場合であっても、公差は高く、得られる予張力レベルがボルト締結体の降伏を超えない保証はない。また、締付け工具が仕様に従って構成される場合であっても、最小予張力が達成される保証もない。
【0033】
対照的に、本方法は、装着プロセス中のトルクではなく予張力レベルを測定することを提言し、これにより、ボルト締結体に導入される力を大幅により正確に決定することにつながる。そのため、この情報を適用することで、目標予張力レベルを、クランプ力に必要とされる最小レベルと、ボルト締結体の潜在的な破損をもたらす最大レベルとに比較的近く選ぶことができるという点で、ボルト締結体の機械的潜在能力のほとんどを使用することができる。
【0034】
本開示は、図面に記載の実施形態に限定されず、図面に開示される特徴の組合せを含むことができる。
【外国語明細書】