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特開2024-173795排出方法、排出プログラム、排出システム、及び作業車両
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173795
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】排出方法、排出プログラム、排出システム、及び作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/127 20060101AFI20241205BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20241205BHJP
   G05D 1/648 20240101ALI20241205BHJP
   G05D 1/43 20240101ALN20241205BHJP
【FI】
A01D41/127
A01B69/00 303M
G05D1/648
G05D1/43
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024087860
(22)【出願日】2024-05-30
(31)【優先権主張番号】P 2023091964
(32)【優先日】2023-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】山口 雄司
(72)【発明者】
【氏名】村山 昌章
(72)【発明者】
【氏名】西井 康人
(72)【発明者】
【氏名】李 昇圭
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 雅史
【テーマコード(参考)】
2B043
2B074
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB15
2B043AB20
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB14
2B043DC01
2B043EA03
2B043EA04
2B043EA12
2B043EA18
2B043EA26
2B043EA34
2B043EB05
2B043EB15
2B043EB17
2B043EB22
2B043EC02
2B043EC12
2B043EC13
2B043EC14
2B043EC15
2B043EC19
2B043EC20
2B043ED12
2B043ED14
2B074AA02
2B074AB01
2B074AC02
2B074BA09
2B074DE03
2B074DF03
2B074EA02
2B074EB02
2B074EB15
2B074EC01
2B074FA10
5H301AA03
5H301BB01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG07
(57)【要約】
【課題】収穫物の排出作業の作業効率を向上させることが可能な排出方法、排出プログラム、排出システム、及び作業車両を提供する。
【解決手段】コンバイン1は、収穫した収穫物を回収部に排出する穀粒排出装置28と、前記収穫物の排出作業においてコンバイン1及び穀粒排出装置28の少なくともいずれかの動作を制御する動作処理部112と、穀粒排出装置28から前記収穫物を前記回収部に排出させる排出処理部113と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両により収穫された収穫物を前記作業車両の排出部から前記収穫物を回収する回収部に排出させる排出方法であって、
前記収穫物の排出作業において前記作業車両及び前記排出部の少なくともいずれかの動作を制御することと、
前記排出部から前記収穫物を前記回収部に排出させることと、
を実行する排出方法。
【請求項2】
前記回収部内の前記収穫物の排出状態に基づいて、前記作業車両及び前記排出部の少なくともいずれかの動作を制御する、
請求項1に記載の排出方法。
【請求項3】
前記排出部は、前記収穫物を外部へ排出する排出口と、収穫作業時の格納位置と前記排出作業時の排出位置との間で移動可能であって、前記排出作業において前記収穫物を前記排出口に搬送する排出アームとを含み、
前記回収部に対する前記排出アームの前記排出位置、及び、前記回収部に対する前記排出口の排出方向の少なくともいずれかを制御する、
請求項1又は2に記載の排出方法。
【請求項4】
前記回収部に対する前記作業車両の位置を制御する、
請求項1又は2に記載の排出方法。
【請求項5】
前記作業車両を、前記回収部の側方の所定の排出場所に移動させ、
前記排出アームを前記作業車両の進行方向に対して実質的に垂直になる位置に移動させ、
前記排出口から前記収穫物を前記回収部に排出させている間、前記作業車両を前記進行方向に走行させる、
請求項3に記載の排出方法。
【請求項6】
前記作業車両を、前記進行方向が前記回収部の側辺に実質的に平行になる位置に移動させる、
請求項5に記載の排出方法。
【請求項7】
前記排出口から前記収穫物を前記回収部に排出させている間、前記作業車両を前記進行方向に走行させ、かつ、前記排出口の排出方向を前記進行方向に対して直交する方向に変更する、
請求項6に記載の排出方法。
【請求項8】
前記排出部は、前記収穫物を外部へ排出する排出口と、収穫作業時の格納位置と前記排出作業時の排出位置との間で移動可能であって、前記排出作業において前記収穫物を前記排出口に搬送する排出アームとを含み、
前記回収部に対して、前記作業車両の進行方向に直交する方向に複数の排出目標位置を設定し、
前記作業車両を、前記進行方向が前記回収部の側辺に実質的に平行になる位置に移動させ、
前記排出アームを、前記排出口が前記複数の排出目標位置のいずれかに対応する位置に移動させて、前記排出口から前記収穫物を前記回収部に排出させる排出処理を開始させ、
前記排出処理中、前記作業車両を前記進行方向に走行させる、
請求項1に記載の排出方法。
【請求項9】
前記排出処理中、前記複数の排出目標位置のそれぞれに前記排出アームを順に移動させる、
請求項8に記載の排出方法。
【請求項10】
前記作業車両を前記回収部の側方の所定の排出場所に停車させた状態で、前記排出アームを移動させながら前記排出口から前記収穫物を前記回収部に排出させる、
請求項3に記載の排出方法。
【請求項11】
前記作業車両を前記回収部の側方の所定の排出場所に停車させた状態で前記排出アームを移動させて前記収穫物を前記回収部に排出させるか、又は、前記作業車両を前記排出場所で移動させながら前記収穫物を前記回収部に排出させるかを設定する、
請求項3に記載の排出方法。
【請求項12】
作業車両により収穫された収穫物を前記作業車両の排出部から前記収穫物を回収する回収部に排出させる排出プログラムであって、
前記収穫物の排出作業において前記作業車両及び前記排出部の少なくともいずれかの動作を制御することと、
前記排出部から前記収穫物を前記回収部に排出させることと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための排出プログラム。
【請求項13】
作業車両により収穫された収穫物を前記作業車両の排出部から前記収穫物を回収する回収部に排出させる排出システムであって、
前記収穫物の排出作業において前記作業車両及び前記排出部の少なくともいずれかの動作を制御する動作処理部と、
前記排出部から前記収穫物を前記回収部に排出させる排出処理部と、
を備える排出システム。
【請求項14】
収穫した収穫物を回収部に排出する排出部を備える作業車両であって、
前記収穫物の排出作業において前記作業車両及び前記排出部の少なくともいずれかの動作を制御する動作処理部と、
前記排出部から前記収穫物を前記回収部に排出させる排出処理部と、
を備える作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両が収穫した収穫物を回収部に排出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場において、予め設定された目標経路に従って自動走行しながら収穫物を収穫する作業車両(例えばコンバイン)が知られている。例えば、コンバインは、収穫した収穫物(穀粒)を圃場内の所定の排出場所まで移動して回収車両に収穫物を排出する処理を実行する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-087962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、例えば作業車両が排出場所に到着すると、収穫物が回収車両の回収部内に満遍なく収容されるように作業者が手動により作業車両の排出部を操作する必要がある。このため、作業者に負担が掛かったり、作業者の熟練度によって回収部内の収穫物の収容状態にばらつきが生じたりするなど、作業効率が低下する問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、収穫物の排出作業の作業効率を向上させることが可能な排出方法、排出プログラム、排出システム、及び作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る排出方法は、作業車両により収穫された収穫物を前記作業車両の排出部から前記収穫物を回収する回収部に排出させる方法である。前記排出方法は、前記収穫物の排出作業において前記作業車両及び前記排出部の少なくともいずれかの動作を制御することと、前記排出部から前記収穫物を前記回収部に排出させることと、を実行する。
【0007】
本発明に係る排出プログラムは、作業車両により収穫された収穫物を前記作業車両の排出部から前記収穫物を回収する回収部に排出させるプログラムである。前記排出プログラムは、前記収穫物の排出作業において前記作業車両及び前記排出部の少なくともいずれかの動作を制御することと、前記排出部から前記収穫物を前記回収部に排出させることと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
【0008】
本発明に係る排出システムは、作業車両により収穫された収穫物を前記作業車両の排出部から前記収穫物を回収する回収部に排出させるシステムであって、動作処理部と排出処理部とを備える。前記動作処理部は、前記収穫物の排出作業において前記作業車両及び前記排出部の少なくともいずれかの動作を制御する。前記排出処理部は、前記排出部から前記収穫物を前記回収部に排出させる。
【0009】
本発明に係る作業車両は、収穫した収穫物を回収部に排出する排出部と、前記収穫物の排出作業において前記作業車両及び前記排出部の少なくともいずれかの動作を制御する動作処理部と、前記排出部から前記収穫物を前記回収部に排出させる排出処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、収穫物の排出作業の作業効率を向上させることが可能な排出方法、排出プログラム、排出システム、及び作業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る走行システムの構成を示す機能ブロック図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るコンバインの構成を示す外観側面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るコンバインの構成を示す外観上面図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る圃場に設定される目標経路の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係るコンバインの作業手順の一例を示す図である。
図6A図6Aは、本発明の実施形態に係るコンバインの穀粒排出装置の構成を示す上面図である。
図6B図6Bは、本発明の実施形態に係るコンバインの穀粒排出装置の構成を示す背面図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る回収車両を撮像した撮像画像の一例を示す図である。
図8A図8Aは、本発明の第1実施例に係る排出方法の一例を示す図である。
図8B図8Bは、本発明の第1実施例に係る排出方法の一例を示す図である。
図9A図9Aは、本発明の第2実施例に係る排出方法の一例を示す図である。
図9B図9Bは、本発明の第2実施例に係る排出方法の一例を示す図である。
図10A図10Aは、本発明の第3実施例に係る排出方法の一例を示す図である。
図10B図10Bは、本発明の第3実施例に係る排出方法の一例を示す図である。
図11A図11Aは、本発明の第4実施例に係る排出方法の一例を示す図である。
図11B図11Bは、本発明の第4実施例に係る排出方法の一例を示す図である。
図12A図12Aは、本発明の第4実施例に係る排出方法の一例を示す図である。
図12B図12Bは、本発明の第4実施例に係る排出方法の一例を示す図である。
図13A図13Aは、本発明の第4実施例に係る排出方法の一例を示す図である。
図13B図13Bは、本発明の第4実施例に係る排出方法の一例を示す図である。
図14図14は、本発明の実施形態に係る走行システムによって実行される排出制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図15図15は、本発明の他の実施形態に係る排出方法の一例を示す図である。
図16図16は、本発明の他の実施形態に係る排出方法の一例を示す図である。
図17図17は、本発明の他の実施形態に係る排出方法の一例を示す図である。
図18図18は、本発明の他の実施形態にコンバインの排出オーガの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
本発明の作業車両の一例として、コンバイン1を挙げて説明する。図1に示すように、本発明の実施形態に係る走行システム10は、コンバイン1と操作端末30とを含んでいる。コンバイン1及び操作端末30は、通信網N1を介して通信可能である。例えば、コンバイン1及び操作端末30は、携帯電話回線網、パケット回線網、又は無線LANを介して通信可能である。
【0014】
コンバイン1は、圃場において刈取等の農作業(例えば収穫作業)を行う作業車両である。例えば、コンバイン1は、圃場内を走行しながら穀稈の刈取作業を行うとともに、コンバイン1に搭載されたGNSSアンテナのGNSS情報、すなわちコンバイン1の自車位置を計測点データとして操作端末30に送信する。
【0015】
また、コンバイン1は、予め設定された目標経路に従って自動走行を行うことが可能である。なお、コンバイン1は、圃場の一部の領域(例えば直進経路)を自動走行し、他の領域(例えば旋回経路)を手動走行する構成であってもよい。例えばコンバイン1は、操作端末30から各種の設定情報を受信して、設定情報に従って自動走行を行う。
【0016】
また、コンバイン1は、圃場内に予め設定された排出場所において、刈り取った穀稈の穀粒(収穫物)を回収車両に排出する排出作業を行う。回収車両は、例えば圃場外において前記排出場所に横付けされて、コンバイン1から排出される穀粒を回収部内に回収する。回収車両は、回収した穀粒を所定の場所に搬送する搬送車である。
【0017】
操作端末30は、コンバイン1を遠隔操作可能な携帯端末であって、例えば、タブレット端末、ノート型のパーソナルコンピュータ、スマートフォン等で構成される。なお、操作端末30と同様の操作装置がコンバイン1に搭載されていてもよい。
【0018】
作業者(オペレータ)は、操作端末30において、各種の設定項目について設定操作を行うことが可能である。また、操作端末30は、自動走行中のコンバイン1の作業状況、走行状況などの情報を表示させる。また、操作端末30は、穀粒の排出作業中の排出状況などの情報を表示させる。作業者は、操作端末30において作業状況、走行状況、排出状況などを把握することが可能である。なお、本発明において、操作端末30は省略されてもよい。
【0019】
図4には、圃場Fに対して設定された目標経路Rの一例を示している。例えば、コンバイン1は、圃場F内において、目標経路Rに従って開始位置Sから終了位置Gまで、外周側から内周側へ向かって走行しながら刈取作業(「回り刈り」、「往復刈り」)を行う。具体的には、コンバイン1は、圃場Fの外周側の外周領域F1では、圃場端(外周)に沿って走行しながら刈取作業を行う。また、圃場Fの内周側の内周領域F2では、コンバイン1は、図4の上下方向において各作業経路を直進走行しながら刈取作業を行い、左右方向において刈取作業を行わずに旋回走行及び直進走行を行って作業経路間を移動する。
【0020】
コンバイン1の作業手順の一例を図5を用いて説明する。先ず、コンバイン1は、開始位置Sにおいて自動走行を開始すると、圃場Fの外周に沿って穀稈を刈り取りながら走行する。また、コンバイン1は、刈り取った穀稈を脱穀すると、藁屑などの排藁を機体後方から外部に排出する。これにより、コンバイン1の走行跡には排藁B1が堆積され、コンバイン1が刈取作業を終えた経路には排藁列が形成される。なお、コンバイン1は、刈り取り対象の穀稈の位置に、刈り取った当該穀稈の排藁を排出するように設定されており、排藁B1の位置、幅(排藁列の左右方向の横幅)、長さなどを把握可能に構成されている。例えば、排藁B1は、コンバイン1の左右方向の中心を基準にして、機体の横幅よりも狭い幅で排出される。
【0021】
例えば、コンバイン1は、外周領域F1を2周する。この場合、2周分の排藁列が形成される。なお、外周領域F1の周回数は2周に限定されず、1周又は3周以上であってもよい。
【0022】
コンバイン1は、外周領域F1の刈取作業を終えると、内周領域F2に進入して、内周領域F2の刈取作業を開始する。内周領域F2では、コンバイン1は、上下方向において各作業経路を直進走行しながら刈取作業を行い、左右方向において刈取作業を行わずに外周領域F1(作業済領域、既刈領域)を旋回走行及び直進走行を行って作業経路間を移動する。コンバイン1は、内周領域F2において刈取作業を行い、終了位置Gに到達すると自動走行及び刈取作業を終了する。
【0023】
また、コンバイン1は、刈取作業中に収穫した穀粒の貯留量が所定量(上限値)に達すると、圃場F内の排出場所Haに移動して貯留タンク27(図2参照)に貯留されている穀粒を回収車両60(図5参照)に排出する。
【0024】
コンバイン1は、上記のように圃場F内において目標経路Rに従って自動走行しながら刈取作業及び排出作業を行う。なお、コンバイン1は、作業者が搭乗しないで自動走行する構成であってもよいし、作業者が搭乗して作業者の操作を受け付けながら自動走行する構成であってもよいし、作業者の手動操舵に応じて走行(手動走行)する構成であってもよい。また、コンバイン1は、作業者の設定操作に応じて、自動走行モードと手動走行モードとを切り替え可能であってもよい。
【0025】
[操作端末30]
図1に示すように、操作端末30は、操作制御部31、記憶部32、操作表示部33、及び通信部34などを備える情報処理装置である。操作端末30は、例えばタブレット端末で構成される。
【0026】
通信部34は、操作端末30を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して一又は複数のコンバイン1などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0027】
操作表示部33は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるタッチパネル、マウス、又はキーボードのような操作部とを備えるユーザーインターフェースである。作業者は、前記表示部に表示される操作画面において、前記操作部を操作して各種の設定情報を登録する操作を行うことが可能である。また、作業者は、前記操作部を操作してコンバイン1に対する自動走行指示を行うことが可能である。さらに、作業者は、コンバイン1から離れた場所において、操作端末30に表示される走行軌跡により、圃場F内を自動走行するコンバイン1の走行状態を把握することが可能である。また、作業者は、コンバイン1から離れた場所において、操作端末30に表示される排出状況を把握することが可能である。
【0028】
記憶部32は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリーなどの不揮発性の記憶部である。記憶部32には、操作制御部31に所定の制御処理を実行させるための制御プログラムが記憶されている。例えば、前記制御プログラムは、フラッシュROM、EEPROM、CD、又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、操作端末30が備える所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部32に記憶される。なお、前記制御プログラムは、サーバー(不図示)から通信網N1を介して操作端末30にダウンロードされて記憶部32に記憶されてもよい。また、記憶部32は、コンバイン1から送信される作業情報を記憶してもよい。
【0029】
また、記憶部32には、コンバイン1を自動走行させるための専用アプリケーションがインストールされている。操作制御部31は、前記専用アプリケーションを起動させて、コンバイン1に関する各種設定情報の設定処理、コンバイン1に対する自動走行指示などを行う。
【0030】
操作制御部31は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリーとして使用される。そして、操作制御部31は、前記ROM又は記憶部32に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより操作端末30を制御する。
【0031】
図1に示すように、操作制御部31は、設定処理部311、出力処理部312などの各種の処理部を含む。なお、操作制御部31は、前記CPUで前記制御プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記制御プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0032】
設定処理部311は、コンバイン1が自動走行を行うための各種の設定情報を設定する。具体的には、設定処理部311は、圃場に関する圃場情報を設定する。前記圃場情報は、例えば、圃場最外周の形状、大きさ、及び位置情報(座標など)、圃場最外周を構成する計測点データ、圃場で作業を行う圃場内作業領域の形状、大きさ、及び位置情報(座標など)などを含む。また、前記圃場情報は、圃場の住所、圃場情報の登録名及び登録日、圃場内作業領域の登録名及び登録日などを含む。設定処理部311は、作業者による圃場情報の登録操作を受け付けて圃場情報を設定する。
【0033】
また、設定処理部311は、作業経路及び旋回経路を含む目標経路Rを作成する。例えば、作業者は、設定画面(不図示)において、経路パターン、旋回タイプなどを選択する。前記経路パターンには、複数の行程を往復する「往復刈り」と、圃場内作業領域の内周に沿った行程の周回を中央側にずらしながら繰り返す「回り刈り」とが含まれ、作業者はいずれかの経路パターンを選択する。また、作業者は、前記設定画面において、往復刈り及び回り刈りの作業で旋回する際の旋回半径を補正することが可能である。
【0034】
また、設定処理部311は、前記圃場情報、前記経路パターン、前記旋回タイプ、前記旋回半径などの情報に基づいて作業経路を作成する。設定処理部311は、作成した作業経路の経路情報(目標経路R)を圃場Fに対応付けて登録する。
【0035】
また、設定処理部311は、コンバイン1が実施する作業に関する作業情報を設定する。前記作業情報には、刈取作業に関する情報、コンバイン1が刈取作業の途中に所定位置において行う途中作業の情報などが含まれる。例えば、コンバイン1は、刈取作業中に貯留タンク27(図2参照)の貯留量が所定量(上限値)に達すると、圃場F内の排出場所Haに移動して貯留タンク27に貯留されている穀粒を回収車両60に排出する。また例えば、コンバイン1は、刈取作業中に燃料が所定量(下限値)に達すると、圃場F内の補給場所に移動して燃料を補給する。設定処理部311は、作業者の設定操作に応じて、圃場F内の任意の位置に排出場所Ha、補給場所を設定する。前記作業情報には、前記貯留量の上限値及び排出場所Ha、前記燃料の下限値及び補給場所などの情報が含まれる。なお、設定処理部311は、コンバイン1が刈取作業中に、コンバイン1に設けられたカメラ(不図示)により撮像された撮像画像を解析して回収車両60を検出し、回収車両60の位置に応じて排出場所Haを設定してもよい。回収車両60の検出方法は、車体の形状を照合する方法、車体に付された識別情報を認識する方法など周知の方法を適用することができる。
【0036】
また、設定処理部311は、コンバイン1の走行速度(車速)を設定する。例えば、作業者は、前記設定画面において、作業時及び非作業時の直進車速、旋回車速、後進車速を設定することが可能である。
【0037】
設定処理部311は、上述の情報に加えて、コンバイン1の種類(最大刈取条数)、車幅、車両長さなど周知の情報を設定する。
【0038】
出力処理部312は、設定処理部311により設定された各種の設定情報をコンバイン1に出力する。また、出力処理部312は、作業者の操作に基づいて、作業開始指示及び作業終了指示をコンバイン1に出力する。
【0039】
操作制御部31が作業者から前記作業開始指示操作を受け付けると、出力処理部312は前記作業開始指示をコンバイン1に出力する。これにより、コンバイン1の制御装置11は、操作端末30から前記作業開始指示を取得する。制御装置11は、前記作業開始指示を取得すると、コンバイン1の作業及び走行を開始させる。また、操作制御部31が作業者から前記作業停止指示操作を受け付けると、出力処理部312は前記作業停止指示をコンバイン1に出力する。これにより、コンバイン1の制御装置11は、操作端末30から前記作業停止指示を取得する。制御装置11は、前記作業停止指示を取得すると、コンバイン1の作業及び走行を停止させる。
【0040】
なお、操作端末30は、サーバー(不図示)が提供する農業支援サービスのウェブサイト(農業支援サイト)に通信網N1を介してアクセス可能であってもよい。この場合、操作端末30は、操作制御部31によってブラウザプログラムが実行されることにより、前記サーバーの操作用端末として機能することが可能である。そして、前記サーバーは、上述の各処理部を備え、各処理を実行する。
【0041】
[コンバイン1]
図2にはコンバイン1を側方から見た外観図を示し、図3にはコンバイン1を上方から見た外観図を示している。図1図3に示すように、コンバイン1は、走行部2、刈取部3、脱穀部4、選別部5、貯留部6、排藁処理部7、動力部8、操縦部9、制御装置11、記憶部51、測位ユニット52、検知部53、通信部54などを備える。コンバイン1は、走行部2によって走行しつつ、刈取部3によって穀稈を刈り取り、刈り取った穀稈を脱穀部4で脱穀し、選別部5で穀粒(収穫物)を選別して貯留部6に貯える。また、コンバイン1は、脱穀後の排藁を排藁処理部7によって処理する。コンバイン1は、動力部8が供給する動力によって、走行部2、刈取部3、脱穀部4、選別部5、貯留部6、及び排藁処理部7を駆動する。
【0042】
走行部2は、機体フレーム12の下方に設けられており、左右一対のクローラ式走行装置23と、トランスミッション(不図示)とを備える。走行部2は、動力部8のエンジン20から伝達される動力(例えば回転動力)によって、クローラ式走行装置23のクローラを回転することで、コンバイン1を前後方向に走行させたり、左右方向に旋回させたりする。トランスミッションは、動力部8の動力(回転動力)をクローラ式走行装置23に伝達するものであり、回転動力を変速することもできる。
【0043】
刈取部3は、作業対象の圃場Fに対して作業を行う作業機であり、走行部2の前方に設けられ、圃場Fの未作業領域である未刈穀稈を有する領域(以下、未刈領域と称する)における所定の刈取幅の穀稈の刈取を行う。刈取部3は、デバイダ13と、掻込リール14と、刈刃15と、掻込オーガ16と、フィーダハウス17と、搬送コンベヤ18とを備えている。また、刈取部3は、刈取作業を行うための回転作業の回転速度(作業速度)を検出する回転検出部(不図示)を備えている。前記回転検出部は、例えば、掻込リール14の回転速度、掻込オーガ16の回転速度、搬送コンベヤ18の回転速度などを検出する回転センサーで構成される。
【0044】
デバイダ13は、刈取部3の左前端及び右前端から前方に突出して設けられ、未刈領域の穀稈を刈取幅内に案内する。掻込リール14は、デバイダ13の後方に配置され、左右方向に延びた回転軸周りに回転可能に設けられる。掻込リール14は、デバイダ13によって案内された穀稈の刈取を補助するために、回転駆動することによって穀稈を引き起こしながら穀稈の穂先側を掻き込む。刈刃15は、掻込リール14の下方に配置され、掻込リール14によって掻き込まれた穀稈の稈元側を切断して穀稈の刈取を行う。
【0045】
掻込オーガ16は、掻込リール14及び刈刃15の後方に配置され、左右方向に延びた回転軸周りに回転可能に設けられている。掻込オーガ16は、回転駆動することによって、刈刃15により刈り取った穀稈を掻き込んで後方へ搬送する。
【0046】
フィーダハウス17は、機体フレーム12から前方に延びていて掻込オーガ16の後方に配置され、機体フレーム12に昇降可能に支持されている。また、フィーダハウス17が昇降することによってデバイダ13、掻込リール14、刈刃15及び掻込オーガ16が昇降し、すなわち刈取部3が昇降する。
【0047】
なお、コンバイン1は、フィーダハウス17を昇降させて刈取部3を昇降させる昇降装置19を機体フレーム12に備えており、刈取部3を作業位置(図2参照)と非作業位置(不図示)との間で昇降させる。昇降装置19は、例えば、エンジン20から動力を受けて稼動する油圧シリンダ等で構成される。
【0048】
搬送コンベヤ18は、フィーダハウス17内に回転可能に設けられており、フィーダハウス17の昇降に伴って移動する。搬送コンベヤ18は、回転駆動することによって、掻込オーガ16によってフィーダハウス17内に搬送された穀稈を更に後方に向かって脱穀部4へと搬送する。
【0049】
脱穀部4は、刈取部3のフィーダハウス17の後方に設けられており、フィーダハウス17から搬送された穀稈を脱穀する。脱穀部4は、扱胴21と、受網22とを備える。扱胴21は、フィーダハウス17から搬送された穀稈から穀粒を脱穀するとともに、脱穀後の穀稈、すなわち排藁を排藁処理部7へと搬送する。受網22は、扱胴21によって搬送される穀稈を支持するとともに、穀粒をふるいにかけて落下させる。
【0050】
選別部5は、脱穀部4の下方に設けられている。選別部5は、揺動選別装置24と、送風選別装置25と、穀粒搬送装置(不図示)と、藁屑排出装置(不図示)とを備える。揺動選別装置24は、脱穀部4から落下した脱穀物をふるいにかけて穀粒と藁屑等に選別する。送風選別装置25は、脱穀部4から落下した脱穀物や揺動選別装置24によって選別された脱穀物を送風によって更に穀粒と藁屑等に選別する。穀粒搬送装置は、揺動選別装置24及び送風選別装置25によって選別された穀粒(収穫物)を貯留部6へ搬送する。藁屑排出装置は、揺動選別装置24及び送風選別装置25によって選別された穀粒以外の藁屑等を機外へ排出する。
【0051】
貯留部6は、脱穀部4の右側方に設けられている。貯留部6は、貯留タンク(グレンタンク)27と、穀粒排出装置28とを備える。貯留タンク27は、選別部5から搬送されてきた穀粒を貯留する。穀粒排出装置28は、本発明の排出部の一例である。
【0052】
穀粒排出装置28は、収穫物である穀粒の排出作業を行う。具体的には、穀粒排出装置28は、貯留タンク27に貯留されている穀粒を予め設定された排出場所Haにおいて回収車両60に排出する(図5参照)。図6A及び図6Bには排出作業の方法を模式的に示している。穀粒排出装置28は、穀粒の外部への排出方向を調整可能な排出シュータ282(本発明の排出口の一例)と、収穫作業時の格納位置と排出作業時の排出位置との間で移動可能であって、排出作業において貯留タンク27内の穀粒を排出シュータ282に搬送する排出オーガ281(本発明の排出アームの一例)とを含む。排出オーガ281は、車両本体に固定された回転軸284を支点にして水平方向及び垂直方向に回転可能に設けられている。コンバイン1が刈取作業を行っている間、排出オーガ281は格納位置A1(図6A参照)に格納されており非動作状態となる。コンバイン1が排出作業を行う場合、排出オーガ281は格納位置A1から排出位置A2(図6A参照)に移動して動作状態となる。排出オーガ281の排出位置A2は、例えばコンバイン1の進行方向(Y方向)に対する角度D1に応じて設定される。
【0053】
排出シュータ282は、排出オーガ281の先端に設けられており、また排出オーガ281に固定された回転軸285を支点にして回転可能に設けられている(図6B参照)。例えば排出シュータ282は、回転軸285を支点にして排出オーガ281の延伸方向(図6Bの矢印方向)に回転可能に構成されている。
【0054】
また穀粒排出装置28は、カメラ283を備えている。カメラ283は、排出オーガ281の先端又は排出シュータ282に設けられており、上方から下方に向けて撮影範囲を撮像する。例えば図6Bに示す状態ではカメラ283は、回収車両60の回収部61を含む範囲を上方から撮像する。カメラ283は、所定のフレームレートで撮像処理を実行して画像データを制御装置11に送信する。
【0055】
制御装置11は、排出作業において、排出オーガ281及び排出シュータ282の位置(回転角度)を制御する。具体的な制御方法については後述する。
【0056】
排藁処理部7は、脱穀部4の後方に設けられている。排藁処理部7は、例えば、排藁搬送装置(不図示)と、排藁切断装置(不図示)とを備えている。排藁処理部7は、脱穀部4から搬送された排藁を排藁搬送装置によって排藁切断装置へ搬送して、排藁切断装置によって切断した後でコンバイン1の後方に排出する(図5参照)。
【0057】
動力部8は、走行部2の上方、かつ貯留部6の下方に設けられている。動力部8は、回転動力を発生させるエンジン20を備えている。動力部8は、エンジン20が発生させた回転動力を、走行部2、刈取部3、脱穀部4、選別部5、貯留部6及び排藁処理部7に伝達する。また、コンバイン1は、動力部8のエンジン20へ供給する燃料を収容する燃料タンクを備えている。
【0058】
操縦部9は、動力部8の上方に設けられている。操縦部9は、作業者が座る座席40である運転席の周囲に、コンバイン1の走行を操縦するための操作具として、コンバイン1の機体の旋回を指示するためのハンドル、コンバイン1の前後進の速度変更を指示するための主変速レバー及び副変速レバー等を備える。コンバイン1の手動走行は、操縦部9のハンドル、主変速レバー、及び副変速レバーの操作を受け付けた走行部2によって実行される。また、操縦部9は、刈取部3による刈取作業、脱穀部4による脱穀作業、貯留部6の穀粒排出装置28による排出作業等を操作するための機構を備える。
【0059】
測位ユニット52は、GPS等の衛星測位システムを利用してコンバイン1の自車位置を取得する。例えば、測位ユニット52は、測位アンテナを介して測位衛星から測位信号を受信し、測位信号に基づいて測位ユニット52の位置情報、すなわちコンバイン1の自車位置(計測点データ)を取得する。測位ユニット52は、測位アンテナに代えて、量子コンパスで構成されてもよい。
【0060】
通信部54は、コンバイン1を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して操作端末30などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0061】
記憶部51は、各種の情報を記憶するHDD、SSD、フラッシュメモリーなどの不揮発性の記憶部である。記憶部51には、制御装置11に後述の排出制御処理(図14参照)を実行させるための排出制御プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記排出制御プログラムは、フラッシュROM、EEPROM、CD、又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部51に記憶される。なお、前記排出制御プログラムは、サーバー(不図示)から通信網N1を介してコンバイン1にダウンロードされて記憶部51に記憶されてもよい。また、記憶部51には、操作端末30から取得する各種設定情報が記憶される。
【0062】
検知部53は、赤外線、超音波などを利用して所定の検知範囲の検知対象を検知するセンサーである。例えば、検知部53は、レーザーを用いて測定対象物(検知対象)までの距離を3次元で測定可能なライダーセンサ(距離センサ)であってもよいし、超音波を用いて測定対象物までの距離を測定可能な複数のソナーを有するソナーセンサであってもよい。検知部53は、コンバイン1の機体の前部及び後部に配置されてもよいし、コンバイン1の機体の前後左右の各部に配置されてもよい。
【0063】
検知部53は、測定情報(検知情報)を制御装置11に送信する。制御装置11は、検知部53から取得する測定情報に基づいて検知対象を検知するとともに検知対象の位置を特定する。制御装置11は、コンバイン1が自動走行中に報知エリアにおいて検知対象を検知した場合に、警報を外部に報知させる。また、制御装置11は、コンバイン1が自動走行中に減速エリアにおいて検知対象を検知した場合に、コンバイン1を減速させる。また、制御装置11は、コンバイン1が自動走行中に停止エリアにおいて検知対象を検知した場合に、コンバイン1を停止させる。制御装置11は、特定した検知対象の位置を示す位置情報を操作端末30に出力してもよい。
【0064】
制御装置11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリーとして使用される。そして、制御装置11は、前記ROM又は記憶部51に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することによりコンバイン1を制御する。
【0065】
ところで、従来の技術では、例えば作業車両が排出場所に到着すると、収穫物が回収車両の回収部内に満遍なく収容されるように作業者が手動により作業車両の排出部(穀粒排出装置)を操作する必要がある。このため、作業者に負担が掛かったり、作業者の熟練度によって回収部内の収穫物の収容状態にばらつきが生じたりするなど、作業効率が低下する問題が生じる。これに対して、本実施形態に係るコンバイン1は、以下に示すように、収穫物の排出作業の作業効率を向上させることが可能な構成を備えている。
【0066】
具体的には、図1に示すように、制御装置11は、走行処理部111、動作処理部112、排出処理部113などの各種の処理部を含む。なお、制御装置11は、前記CPUで前記排出制御プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記排出制御プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0067】
走行処理部111は、コンバイン1を走行させる走行処理を実行する。具体的には、走行処理部111は、圃場Fに対して設定された目標経路Rに従ってコンバイン1を自動走行させる。走行処理部111は、目標経路Rに含まれる、コンバイン1に所定の作業(刈取作業)を行なわせる複数の作業経路と、複数の作業経路間を接続する移動経路(旋回経路など)とに従ってコンバイン1を走行させる。走行処理部111は、圃場Fに対して設定される各種設定情報を操作端末30から取得する。また、走行処理部111は、刈取作業において、測位ユニット52からコンバイン1の自車位置を取得し、自車位置と目標経路Rに含まれる作業経路とに基づいて、コンバイン1が作業経路に沿って自動走行及び刈取作業を行うように走行部2、刈取部3、及び動力部8を制御する。
【0068】
例えば図5に示すように、走行処理部111は、コンバイン1を、開始位置Sから外周領域F1において外周に沿って自動走行及び刈取作業を実行させた後、内周領域F2において終了位置Gまで自動走行及び刈取作業を実行させる。
【0069】
また、走行処理部111は、刈取作業中に貯留タンク27の貯留量が所定量(上限値)に達すると、刈取部3を非作業位置に上昇させて刈取作業を停止し、コンバイン1を現在位置(作業中断位置)から排出場所Ha(図5参照)までの移動経路を走行させる。走行処理部111は、例えば現在位置から排出場所Haまでの最短経路を生成して、コンバイン1を最短経路に従って自動走行させる。なお、走行処理部111は、現在位置から排出場所Haまで作業者の手動操舵に応じて走行(手動走行)させてもよい。
【0070】
動作処理部112及び排出処理部113は、排出作業に関する処理を実行する。動作処理部112は、排出作業においてコンバイン1及び穀粒排出装置28の少なくともいずれかの動作を制御する。すなわち、動作処理部112は、排出作業において、作業者の手動操作によらず、コンバイン1及び穀粒排出装置28の少なくともいずれかを動作させる。また、動作処理部112は、排出作業において、回収部61内に収容される穀粒(収穫物)が満遍なく満杯の状態になるように、コンバイン1及び穀粒排出装置28の少なくともいずれかを動作させる。排出処理部113は、穀粒排出装置28から穀粒を回収部61に排出させる。
【0071】
具体的には、動作処理部112は、回収車両60の回収部61に対するコンバイン1の位置を制御する。例えば、動作処理部112は、排出場所Haに到着したコンバイン1を、コンバイン1の進行方向が回収部61の側辺に実質的に平行(略平行)になる位置に移動させる。すなわち、動作処理部112は、コンバイン1が回収部61に対して平行になる位置に停車させる。
【0072】
例えばコンバイン1が排出場所Haに到着すると、動作処理部112は、カメラ283の撮影範囲に回収部61全体が入る位置まで排出オーガ281を移動させる(図6参照)。カメラ283は、前記撮影範囲を撮像すると撮像画像P1を制御装置11に送信する。図7には撮像画像P1の一例を示している。動作処理部112は、カメラ283から撮像画像P1を取得すると、撮像画像P1における回収部61の傾き(角度D0)(図7参照)と、排出オーガ281の回転角度D1(図6A参照)とに基づいて、コンバイン1と回収部61との角度差を算出し、算出した角度差に基づいてコンバイン1の位置を調整する。これにより、コンバイン1を、進行方向(Y方向)が回収部61の側辺に略平行になる位置に合わせることができる。
【0073】
コンバイン1の位置を調整する方法は上記方法に限定されない。例えば、コンバイン1の側面に設けられた検知部53が回収部61までの距離を測定し、動作処理部112が、測定距離に基づいて、コンバイン1を回収部61に平行になる位置に調整してもよい。また、回収車両60がカメラ又は検知センサーを備える場合、回収車両60がコンバイン1に平行になるように位置を調整してもよい。また、制御装置11は、回収車両60とデータ通信可能な場合、回収車両60を自動走行させて位置を調整してもよい。
【0074】
他の方法として、制御装置11は、コンバイン1が自動走行中にカメラ、検知センサーなどの検知結果に基づいて、回収車両60が圃場Fの外形(圃場辺)に対して略平行に停車しているか否か、又は、圃場辺に対して何度ずれているかを判定する。回収車両60が圃場辺に対して略平行に停車している場合には、制御装置11は、コンバイン1を圃場辺に略平行となるように排出場所Haに移動させる。回収車両60が圃場辺に対して所定角度だけずれている場合には、制御装置11は、コンバイン1を圃場辺に対して当該所定角度だけずれるように排出場所Haに移動させる。他の方法として、制御装置11は、回収車両60の側面の前後方向に付された複数の読取媒体(マーカーなど)を検出して、圃場Fに対する回収車両60の位置、及び、圃場辺に対する角度(車両方位)を特定し、特定した位置及び角度に基づいて、コンバイン1を回収車両60に略平行になるように排出場所Haに移動させてもよい。
【0075】
コンバイン1が排出場所Haにおいて回収部61に対して略平行な位置に停車すると、動作処理部112及び排出処理部113は排出処理を実行する。具体的には、動作処理部112は、回収部61内の穀粒の排出状態に基づいて、コンバイン1及び穀粒排出装置28の少なくともいずれかの動作を制御する。以下、排出処理の具体的な方法(第1実施例~第4実施例)を説明する。
【0076】
[第1実施例]
図8A及び図8Bは、第1実施例の排出方法を示す模式図である。第1実施例では、先ず、動作処理部112は、排出オーガ281をコンバイン1の進行方向(Y方向)に対して実質的に垂直(略垂直)になる位置に移動(回転)させる。例えば図8Aに示すように、動作処理部112は、排出オーガ281をコンバイン1の進行方向(Y方向)に対する角度D1が90度になる位置に移動させる。また、動作処理部112は、排出シュータ282が回収部61の後端に合うようにコンバイン1を位置合わせ(前後進)する。例えば動作処理部112は、カメラ283の撮像画像に基づいて、コンバイン1を位置合わせする。また、動作処理部112は、排出シュータ282の向き(排出方向)が垂直方向(下向き)にセットされた状態のときに回収部61の中心(X方向の中心)に合うように、コンバイン1の位置(コンバイン1と回収部61との間の距離)及び排出オーガ281の上下方向の角度を調整する。
【0077】
コンバイン1及び排出オーガ281の位置合わせが終了すると、排出処理部113は、貯留タンク27に貯留されている穀粒を、排出オーガ281内を通過させて排出シュータ282から外部(回収部61)へ排出させる排出処理を開始する。排出シュータ282から穀粒を回収部61に排出させながら、動作処理部112は、排出シュータ282の向き(排出方向)を変更する(図6B参照)。例えば、排出シュータ282が垂直下向きの位置にセットされた状態で排出処理を実行し、回収部61内の後端に山積された穀粒の頂上が回収部61の上端に近付いた時点で、動作処理部112は、排出シュータ282の向きを図8Bにおける右側に変更する。続いて、回収部61内の後端の右側に山積された穀粒の頂上が回収部61の上端に近付いた時点で、動作処理部112は、排出シュータ282の向きを図8Bにおける左側に変更する。これにより、回収部61内の後端側が満遍なく満杯の状態になる。なお、動作処理部112は、カメラ283の撮像画像に基づいて回収部61内の排出状態(穀粒が積まれた山の状態)を判定して、排出シュータ282の向きを調整する。
【0078】
続いて、動作処理部112は、排出シュータ282の向きを垂直下向きに変更するとともに、コンバイン1を進行方向(Y方向)に所定距離L1だけ前進走行させる。なお、動作処理部112による排出シュータ282及びコンバイン1の上記動作制御の間、排出処理部113は排出処理を継続してもよい。コンバイン1が所定距離L1だけ前進した位置において、動作処理部112は、排出シュータ282の向き(排出方向)を左右に変更しながら、排出処理部113が穀粒を回収部61内に排出させる。所定距離L1の位置において回収部61内が満遍なく満杯の状態になると、動作処理部112は、再度、排出シュータ282の向きを垂直下向きに変更するとともに、コンバイン1を進行方向(Y方向)に所定距離L1だけ前進走行させる。
【0079】
動作処理部112は、排出オーガ281及び排出シュータ282が回収部61の前端に移動するまで上述の動作を繰り返し実行する。そして、回収部61の前端の位置において回収部61内が満遍なく満杯の状態になると、排出処理部113は排出処理を終了する。排出作業が終了すると、動作処理部112は、排出オーガ281を格納位置A1(図6A参照)に戻す。その後、走行処理部111は、コンバイン1を排出場所Haから作業中断位置まで自動走行させ、作業中断位置から刈取作業を再開させる。
【0080】
以上のように、第1実施例に係る排出方法では、動作処理部112は、コンバイン1を回収部61の側辺に略平行になる位置に移動させ、排出オーガ281をコンバイン1の進行方向(Y方向)に対して略垂直になる位置(90度)に移動させる。また、動作処理部112は、排出シュータ282から穀粒を回収部61に排出させている間、排出オーガ281を90度に維持して、コンバイン1を所定距離L1ずつ前進走行させ、かつ、排出シュータ282の排出方向を前記進行方向に対して直交する左右方向(X方向)に変更する。
【0081】
なお、動作処理部112は、排出作業においてコンバイン1を回収部61の前端側から所定距離L1ずつ後進走行させてもよい。また、動作処理部112は、排出作業において前進走行と後進走行とを組み合わせてもよい。すなわち、排出作業においてコンバイン1の進行方向は、前進方向であってもよいし後進方向であってもよい。第1実施例の排出方法によれば、穀粒を回収部61に満遍なく満杯の状態に排出することができる。
【0082】
[第2実施例]
図9A及び図9Bは、第2実施例の排出方法を示す模式図である。第2実施例では、制御装置11は、回収部61に対して、コンバイン1の進行方向(Y方向)に直交する方向(X方向)に複数の排出目標位置を設定する。図9に示す例では、制御装置11は、X方向に3つの排出目標位置(第1排出目標位置K1、第2排出目標位置K2、第3排出目標位置K3)を設定する。例えば、制御装置11は、回収部61の横幅(X方向)を4等分する3つの排出目標位置を設定する。ここでは、コンバイン1から最も遠い排出目標位置を「第1排出目標位置K1」とし、コンバイン1に最も近い排出目標位置を「第3排出目標位置K3」とし、中間の排出目標位置を「第2排出目標位置K2」とする。
【0083】
先ず、動作処理部112は、排出オーガ281をコンバイン1の進行方向(Y方向)に対して角度Da(例えば、Da<90度)になる位置に移動(回転)させる。また、動作処理部112は、カメラ283の撮像画像に基づいて、排出シュータ282が回収部61の後端に合うようにコンバイン1を位置合わせ(前後進)する。また、動作処理部112は、排出シュータ282の排出方向が垂直方向(下向き)にセットされた状態のときに回収部61の第1排出目標位置K1に合うように、コンバイン1の位置(コンバイン1と回収部61との間の距離)及び排出オーガ281の上下方向の角度を調整する。なお、動作処理部112は、排出シュータ282が第1排出目標位置K1に合うように、排出オーガ281の水平方向の角度Daを調整してもよい。
【0084】
コンバイン1及び排出オーガ281の位置合わせが終了すると、排出処理部113は排出処理を開始する。排出シュータ282が垂直下向きの位置にセットされた状態で排出処理が開始されて、第1排出目標位置K1において回収部61内の後端に山積された穀粒の頂上が回収部61の上端に近付くと、動作処理部112は、第1排出目標位置K1に沿ってコンバイン1を所定距離だけ前進走行させる。コンバイン1が所定距離だけ移動した位置において回収部61内に山積された穀粒の頂上が回収部61の上端に近付くと、動作処理部112は、さらに第1排出目標位置K1に沿ってコンバイン1を所定距離だけ前進走行させる。動作処理部112は、第1排出目標位置K1に沿って排出オーガ281及び排出シュータ282が回収部61の前端に移動するまで上述の動作を繰り返し実行する。
【0085】
第1排出目標位置K1に対応する穀粒M1(図9B参照)が回収部61内で満遍なく収容されると、続いて、動作処理部112は、排出シュータ282が第2排出目標位置K2に合うように、コンバイン1を後進走行させ、排出オーガ281を角度Db(Db<Da)の位置に移動させる。
【0086】
コンバイン1及び排出オーガ281の位置合わせが終了すると、排出処理部113は穀粒を回収部61内の中央部分に排出させる。第2排出目標位置K2において回収部61内の後端に山積された穀粒の頂上が回収部61の上端に近付くと、動作処理部112は、第2排出目標位置K2に沿ってコンバイン1を所定距離だけ前進走行させる。コンバイン1が所定距離だけ移動した位置において回収部61内に山積された穀粒の頂上が回収部61の上端に近付くと、動作処理部112は、さらに第2排出目標位置K2に沿ってコンバイン1を所定距離だけ前進走行させる。動作処理部112は、第2排出目標位置K2に沿って排出オーガ281及び排出シュータ282が回収部61の前端に移動するまで上述の動作を繰り返し実行する。
【0087】
第2排出目標位置K2に対応する穀粒M2(図9B参照)が回収部61内で満遍なく収容されると、続いて、動作処理部112は、排出シュータ282が第3排出目標位置K3に合うように、コンバイン1を後進走行させ、排出オーガ281を角度Dc(Dc<Db)の位置に移動させる。
【0088】
コンバイン1及び排出オーガ281の位置合わせが終了すると、排出処理部113は穀粒を回収部61内の左側に排出させる。第3排出目標位置K3において回収部61内の後端に山積された穀粒の頂上が回収部61の上端に近付くと、動作処理部112は、第3排出目標位置K3に沿ってコンバイン1を所定距離だけ前進走行させる。コンバイン1が所定距離だけ移動した位置において回収部61内に山積された穀粒の頂上が回収部61の上端に近付くと、動作処理部112は、さらに第3排出目標位置K3に沿ってコンバイン1を所定距離だけ前進走行させる。動作処理部112は、第3排出目標位置K3に沿って排出オーガ281及び排出シュータ282が回収部61の前端に移動するまで上述の動作を繰り返し実行する。これにより、回収部61内の全体が満遍なく満杯の状態になる。
【0089】
回収部61内の全体が満遍なく満杯の状態になると、排出処理部113は排出処理を終了する。
【0090】
以上のように、第2実施例に係る排出方法では、回収部61に対して、コンバイン1の進行方向(Y方向)に直交する方向(X方向)に複数の排出目標位置を設定する。また、動作処理部112は、コンバイン1を回収部の側辺に略平行になる位置に移動させ、排出オーガ281を、排出シュータ282が複数の排出目標位置のいずれかに対応する位置に移動させて、排出シュータ282から穀粒を回収部61に排出させる排出処理を開始させ、排出処理中、コンバイン1を進行方向に走行(前進走行及び後進走行)させる。また、動作処理部112は、排出処理中、複数の排出目標位置のそれぞれに排出オーガ281を順に移動させる。なお、図9に示す例において、制御装置11は、第2排出目標位置K2の排出処理を行った後に、第1排出目標位置K1及び第3排出目標位置K3の排出処理を行ってもよい。第2実施例の排出方法によれば、穀粒を回収部61に満遍なく満杯の状態に排出することができる。
【0091】
また、他の実施形態として、制御装置11は、右端の排出目標位置においてコンバイン1を前進走行させながら排出処理を実行させ、次に中央の排出目標位置においてコンバイン1を後進走行させながら排出処理を実行させ、次に左端の排出目標位置においてコンバイン1を前進走行させながら排出処理を実行させてもよい。また、制御装置11は、右端の排出目標位置においてコンバイン1を後進走行させながら排出処理を実行させ、次に中央の排出目標位置においてコンバイン1を前進走行させながら排出処理を実行させ、次に左端の排出目標位置においてコンバイン1を後進走行させながら排出処理を実行させてもよい。すなわち、制御装置11は、複数の排出目標位置について、コンバイン1を前進走行及び後進走行を順に切り替えながら排出処理を実行させてもよい。
【0092】
[第3実施例]
図10A及び図10Bは、第3実施例の排出方法を示す模式図である。第3実施例では、第2実施例と同様に、制御装置11は、回収部61に対して、コンバイン1の進行方向(Y方向)に直交する方向(X方向)に複数の排出目標位置を設定する。ここでは、コンバイン1から最も遠い排出目標位置を「第2排出目標位置K2」とし、コンバイン1に最も近い排出目標位置を「第3排出目標位置K3」とし、中間の排出目標位置を「第1排出目標位置K1」とする。
【0093】
先ず、動作処理部112は、排出オーガ281をコンバイン1の進行方向(Y方向)に対して90度(D1=90度)になる位置に移動(回転)させる。また、動作処理部112は、カメラ283の撮像画像に基づいて、排出シュータ282が回収部61の後端に合うようにコンバイン1を位置合わせ(前後進)する。また、動作処理部112は、排出シュータ282の排出方向が垂直方向(下向き)にセットされた状態のときに回収部61の第1排出目標位置K1に合うように、コンバイン1の位置(コンバイン1と回収部61との間の距離)及び排出オーガ281の上下方向の角度を調整する。
【0094】
コンバイン1及び排出オーガ281の位置合わせが終了すると、排出処理部113は排出処理を開始する。排出シュータ282が垂直下向きの位置にセットされた状態で排出処理が開始されて、第1排出目標位置K1において回収部61内の後端に山積された穀粒の頂上が回収部61の上端に近付くと、動作処理部112は、第1排出目標位置K1に沿ってコンバイン1を所定距離だけ前進走行させる。コンバイン1が所定距離だけ移動した位置において回収部61内に山積された穀粒の頂上が回収部61の上端に近付くと、動作処理部112は、さらに第1排出目標位置K1に沿ってコンバイン1を所定距離だけ前進走行させる。動作処理部112は、第1排出目標位置K1に沿って排出オーガ281及び排出シュータ282が回収部61の前端に移動するまで上述の動作を繰り返し実行する。
【0095】
第1排出目標位置K1に対応する穀粒M1(図10B参照)が回収部61内で満遍なく収容されると、続いて、動作処理部112は、コンバイン1を回収部61の後端位置に合うまで後進走行させ、排出シュータ282の排出方向を右側に向けて第2排出目標位置K2に合わせる。
【0096】
コンバイン1及び排出シュータ282の位置合わせが終了すると、排出処理部113は穀粒を回収部61内の右側に排出させる。第2排出目標位置K2において回収部61内の後端に山積された穀粒の頂上が回収部61の上端に近付くと、動作処理部112は、第2排出目標位置K2に沿ってコンバイン1を所定距離だけ前進走行させる。コンバイン1が所定距離だけ移動した位置において回収部61内に山積された穀粒の頂上が回収部61の上端に近付くと、動作処理部112は、さらに第2排出目標位置K2に沿ってコンバイン1を所定距離だけ前進走行させる。動作処理部112は、第2排出目標位置K2に沿って排出オーガ281及び排出シュータ282が回収部61の前端に移動するまで上述の動作を繰り返し実行する。
【0097】
第2排出目標位置K2に対応する穀粒M2(図10B参照)が回収部61内で満遍なく収容されると、続いて、動作処理部112は、コンバイン1を回収部61の後端位置に合うまで後進走行させ、排出シュータ282の排出方向を左側に向けて第3排出目標位置K3に合わせる。
【0098】
コンバイン1及び排出オーガ281の位置合わせが終了すると、排出処理部113は穀粒を回収部61内の左側に排出させる。第3排出目標位置K3において回収部61内の後端に山積された穀粒の頂上が回収部61の上端に近付くと、動作処理部112は、第3排出目標位置K3に沿ってコンバイン1を所定距離だけ前進走行させる。コンバイン1が所定距離だけ移動した位置において回収部61内に山積された穀粒の頂上が回収部61の上端に近付くと、動作処理部112は、さらに第3排出目標位置K3に沿ってコンバイン1を所定距離だけ前進走行させる。動作処理部112は、第3排出目標位置K3に沿って排出オーガ281及び排出シュータ282が回収部61の前端に移動するまで上述の動作を繰り返し実行する。これにより、回収部61内の全体が満遍なく満杯の状態になる。
【0099】
回収部61内の全体が満遍なく満杯の状態になると、排出処理部113は排出処理を終了する。
【0100】
以上のように、実施例3に係る排出処理では、回収部61に対して、コンバイン1の進行方向(Y方向)に直交する方向(X方向)に複数の排出目標位置を設定する。また、動作処理部112は、コンバイン1を回収部の側辺に略平行になる位置に移動させ、排出オーガ281をコンバイン1の進行方向(Y方向)に対して略垂直になる位置(90度)に移動させる。また、動作処理部112は、排出シュータ282から穀粒を回収部61に排出させている間、排出オーガ281を90度に維持する。また、動作処理部112は、複数の排出目標位置のそれぞれに対応して、排出シュータ282の排出方向を変更させる。なお、図10に示す例において、制御装置11は、第2排出目標位置K2又は第3排出目標位置K3の排出処理を行った後に、第1排出目標位置K1の排出処理を行ってもよい。第3実施例の排出方法によれば、穀粒を回収部61に満遍なく満杯の状態に排出することができる。
【0101】
[第4実施例]
図11図13は、第4実施例の排出方法を示す模式図である。第4実施例では、制御装置11は、先ず回収部61の中心部に穀粒を排出させ、その後に周囲を埋めるように穀粒を排出することにより満遍なく満杯の状態にする。
【0102】
具体的には、先ず図11A及び図11Bに示すように、動作処理部112は、排出オーガ281をコンバイン1の進行方向(Y方向)に対して90度(D1=90度)になる位置に移動(回転)させる。また、動作処理部112は、排出シュータ282が回収部61の横方向(X方向)及び縦方向(Y方向)の中心に合うように、コンバイン1の位置(コンバイン1と回収部61との間の距離)及び排出オーガ281の上下方向の角度を調整する。
【0103】
コンバイン1及び排出オーガ281の位置合わせが終了すると、排出処理部113は排出処理を開始する(図11A参照)。排出シュータ282が垂直下向きの位置にセットされた状態で排出処理が開始されて、回収部61の中心部に山積された穀粒M1(図11B参照)の頂上が回収部61の上端に近付くと、動作処理部112は、排出シュータ282の排出方向を右側に向けるとともに、コンバイン1を前進走行及び後進走行させる(図12A参照)。これにより、回収部61の右側の谷部を埋めるように穀粒M2(図12B参照)が収容される。
【0104】
続いて、動作処理部112は、排出シュータ282の排出方向を左側に向けるとともに、コンバイン1を前進走行及び後進走行させる(図12A参照)。これにより、回収部61の左側の谷部を埋めるように穀粒M3(図12B参照)が収容される。
【0105】
続いて、動作処理部112は、排出シュータ282の排出方向を穀粒M1と穀粒M2の間の谷部に向けるとともに、コンバイン1を前進走行及び後進走行させる(図13A参照)。これにより、回収部61の穀粒M1と穀粒M2の間の谷部を埋めるように穀粒M4(図13B参照)が収容される。
【0106】
続いて、動作処理部112は、排出シュータ282の排出方向を穀粒M1と穀粒M3の間の谷部に向けるとともに、コンバイン1を前進走行及び後進走行させる(図13A参照)。これにより、回収部61の穀粒M1と穀粒M3の間の谷部を埋めるように穀粒M5(図13B参照)が収容される。これにより、回収部61内の全体が満遍なく満杯の状態になる。
【0107】
回収部61内の全体が満遍なく満杯の状態になると、排出処理部113は排出処理を終了する。
【0108】
以上のように、実施例4に係る排出処理では、動作処理部112は、コンバイン1を回収部の側辺に略平行になる位置に移動させ、排出オーガ281をコンバイン1の進行方向(Y方向)に対して略垂直になる位置(90度)に移動させる。また、動作処理部112は、排出オーガ281を回収部61の中心部にセットし、排出シュータ282から穀粒を回収部61に排出させている間、排出オーガ281を90度に維持する。また、動作処理部112は、コンバイン1を前進走行及び後進走行させながら排出シュータ282の排出方向を調整する。このように、制御装置11は、先に回収部61の中心に穀粒の山を作り、その後に周りの隙間を埋めていくように穀粒を排出させる。
【0109】
以上のように、動作処理部112は、穀粒の排出作業においてコンバイン1及び穀粒排出装置28の少なくともいずれかの動作を制御する。具体的には、動作処理部112は、第1実施例~第4実施例のいずれかの排出方法を実行する。例えば、動作処理部112は、第1実施例~第4実施例の排出方法のうち、貯留タンク27の穀粒の貯留量に基づいて排出方法を決定してもよい。また、動作処理部112は、第1実施例~第4実施例の排出方法のうち、回収部61の形状又は収容可能量に基づいて排出方法を決定してもよい。また、動作処理部112は、第1実施例~第4実施例の排出方法のうち、排出所要時間に基づいて排出方法を決定してもよい。例えば、動作処理部112は、排出所要時間を短く設定する場合、コンバイン1の前後進距離が最短となる第4実施例の排出方法を決定する。
【0110】
また、動作処理部112は、第1実施例~第4実施例の排出方法のうち、作業者が選択した排出方法を決定してもよい。
【0111】
また、動作処理部112は、第1実施例~第4実施例の排出方法のいずれかの排出方法を実行し、排出状態に応じて他の排出方法に変更してもよい。すなわち、動作処理部112は、排出状態に応じて動的に排出方法を変更してもよい。
【0112】
また、制御装置11は、予め作成する作業計画に排出計画を含めてもよい。例えば制御装置11は、作業内容、経路情報、圃場情報、回収車両60の種別などに基づいて、排出計画を作成し、排出計画において第1実施例~第4実施例の排出方法のいずれかの排出方法を設定する。以上のように、本発明において制御装置11は、排出方法を予め決定してもよいし、排出状態に応じて動的に決定してもよい。
【0113】
[排出制御処理]
以下、図14を参照しつつ、走行システム10が実行する前記排出制御処理の一例について説明する。
【0114】
なお、本発明は、前記排出制御処理に含まれる一又は複数のステップを実行する排出方法の発明として捉えることができる。また、ここで説明する前記排出制御処理に含まれる一又は複数のステップは適宜省略されてもよい。また、前記排出制御処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここではコンバイン1の制御装置11が前記排出制御処理における各ステップを実行する場合を例に挙げて説明するが、一又は複数のプロセッサーが当該排出制御処理における各ステップを分散して実行する排出方法も他の実施形態として考えられる。
【0115】
ステップS1において、制御装置11は、排出作業の開始指示を取得したか否かを判定する。制御装置11は、刈取作業中に貯留タンク27の貯留量が所定量(上限値)に達すると、排出作業の開始指示を取得する。なお、制御装置11は、作業者が排出作業の開始指示(排出指示操作)を行った場合に、前記開始指示を取得してもよい。制御装置11は、排出作業の開始指示を取得すると(S1:Yes)、処理をステップS2に移行させる。制御装置11は、排出作業の開始指示を取得するまで待機する(S1:No)。
【0116】
ステップS2において、制御装置11は、コンバイン1を排出場所Ha(図5参照)に移動させる。具体的には、制御装置11は、刈取部3を非作業位置に上昇させて刈取作業を停止し、コンバイン1を現在位置(作業中断位置)から排出場所Haまでの移動経路を生成して、コンバイン1を移動経路に従って自動走行させる。
【0117】
次にステップS3において、制御装置11は、コンバイン1が回収車両60の回収部61の側辺に略平行になる位置に停車したか否かを判定する。制御装置11は、コンバイン1を排出場所Haに移動させると、コンバイン1が回収車両60の回収部61の側辺に略平行になるように調整する。例えば、制御装置11は、撮像画像P1に対する回収部61の傾き(角度D0)(図7参照)と、排出オーガ281の回転角度D1(図6A参照)とに基づいてコンバイン1と回収部61との角度差を算出し、算出した角度差に基づいてコンバイン1の位置を調整する。制御装置11は、コンバイン1が回収車両60の回収部61の側辺に略平行になると(S3:Yes)、処理をステップS4に移行させる。制御装置11は、コンバイン1が回収車両60の回収部61の側辺に略平行になるまで位置合わせする(S3:No)。
【0118】
ステップS4において、制御装置11は、所定の排出方法による排出処理を実行する。具体的には、制御装置11は、上述した第1実施例~第4実施例のいずれかの排出方法を実行する。制御装置11は、貯留タンク27に貯留されている全ての穀粒を回収部61に排出、又は、回収部61が満杯になると、排出作業を終了する(S5:Yes)。制御装置11は、排出作業が終了するまで排出処理を継続する(S5:No)。
【0119】
制御装置11は、排出作業が終了すると、排出オーガ281を格納位置A1(図6A参照)に戻して、コンバイン1を排出場所Haから作業中断位置まで自動走行させ、作業中断位置から刈取作業を再開させる。制御装置11は、排出作業の開始指示を取得するごとに前記排出制御処理を実行する。
【0120】
以上説明したように、本実施形態に係るコンバイン1は、収穫した穀粒(収穫物)を穀粒排出装置28(排出部)から収穫物を回収する回収部61(回収部)に排出させる。また、コンバイン1は、排出作業においてコンバイン1及び穀粒排出装置28の少なくともいずれかの動作を制御し、穀粒排出装置28から穀粒を回収部61に排出させる。
【0121】
具体的には、コンバイン1は、回収部61内の穀粒の排出状態に基づいて、コンバイン1及び穀粒排出装置28の少なくともいずれかの動作を制御する。また、穀粒排出装置28は、穀粒の外部への排出方向を調整可能な排出シュータ282と、収穫作業時の格納位置A1と排出作業時の排出位置A2との間で移動可能であって、排出作業において穀粒を排出シュータ282に搬送する排出オーガ281とを含み、回収部61に対する排出オーガ281の排出位置、及び、回収部61に対する排出シュータ282の排出方向の少なくともいずれかを制御する。
【0122】
上記構成によれば、排出作業において作業者が操作を行う必要がないため作業者の負担を軽減することができる。また、作業者による排出作業のばらつきを防止することができる。また、回収部61内の排出状態に応じて、コンバイン1、排出オーガ281、及び排出シュータ282のそれぞれの位置が変更されるため効率よく排出作業を行うことができる。
【0123】
[他の実施形態]
本発明は上述した実施形態に限定されない。本発明の他の実施形態について、以下に説明する。
【0124】
上述の実施形態では、動作処理部112は、排出場所Haに到着したコンバイン1を、コンバイン1の進行方向が回収部61の側辺に略平行になるように位置調整しているが、他の実施形態として、動作処理部112は、コンバイン1を回収部61の側辺に対して非平行な位置に停車させてもよい。例えば図15に示すように、動作処理部112は、排出オーガ281の旋回円r1が回収部61の前辺61a及び後辺61bと交わる位置にコンバイン1を移動させてもよい。この場合、動作処理部112は、穀稈の排出処理中、コンバイン1を停車させたまま、排出オーガ281を旋回円r1に沿って移動させ、かつ排出シュータ282の排出方向を変更する。また、動作処理部112は、旋回円r1の旋回半径に基づいて、回収部61に対するコンバイン1の角度(相対位置)を決定してもよい。
【0125】
本発明の他の実施形態として、図16に示すように、動作処理部112は、コンバイン1を回収車両60(回収部61)に対して略垂直になる方向に停車させてもよい。この場合、動作処理部112は、排出オーガ281をコンバイン1の進行方向(Y方向)に対して180度(D1=180度)になる位置に移動(回転)させる。圃場Fに対して設定する排出場所Haの位置に応じて図16に示す構成を採用することも可能である。
【0126】
本発明の他の実施形態として、排出オーガ281は伸縮可能に構成されてもよい。この場合、動作処理部112は、穀稈の排出処理中、排出状態に応じて排出オーガ281を伸縮させることができる。これにより、排出作業の作業効率をさらに向上させることができる。
【0127】
本発明の他の実施形態として、排出シュータ282は、排出方向を調整可能な機構(回転機能など)を備えていなくてもよい。例えば、排出シュータ282は、所定の一方向に穀粒を排出可能に排出オーガ281の先端に固定されてもよい。回転機構を有しない排出シュータ282は、例えば前記第2実施例(図9A及び図9B)に適用することができる。この場合、制御装置11は、排出オーガ281のみを動作制御して排出処理を実行する。すなわち、本発明の排出部(穀粒排出装置28)は、収穫物を外部へ排出する排出口(排出シュータ282)と、収穫作業時の格納位置と排出作業時の排出位置との間で移動可能であって、排出作業において収穫物を前記排出口に搬送する排出アーム(排出オーガ281)とを含み、回収部(回収部61)に対する前記排出アームの前記排出位置、及び、前記回収部に対する前記排出口の排出方向の少なくともいずれかを制御するものである。また、前記排出口は、排出方向を調整可能な機構を備えてもよいし、当該機構を備えていなくてもよい。また、前記排出部は、排出口(排出シュータ282)が省略され、排出アーム(排出オーガ281)により構成されてもよい。この場合、前記排出アームは、先端部から収穫物を排出する。
【0128】
本発明の他の実施形態として、制御装置11は、コンバイン1が回収車両60に対して略平行に停車可能であるか否かを判定し、判定結果に基づいて、排出処理を実行する構成であってもよい。例えば、制御装置11は、圃場Fの外形、未刈領域などを確認してコンバイン1を回収車両60に略平行に停車可能であるか否かを判定する。制御装置11は、コンバイン1を回収車両60に略平行に停車可能であると判定すると、上述した第1実施例~第4実施例(図8図13参照)のいずれかの排出処理を実行する。一方、制御装置11は、コンバイン1を回収車両60に略平行に停車できないと判定すると、図15に示すように、コンバイン1を停車させた状態で排出オーガ281を移動させて排出処理を実行する。例えば、制御装置11は、排出オーガ281を回転移動及び上下移動させるとともに、排出シュータ282を回転移動させて、穀稈を回収部61に排出する。
【0129】
また、コンバイン1を回収車両60に略平行に停車できない場合には、排出オーガ281の制御のみでは排出処理を適切に行うことができない場合がある。この場合、例えば図17に示すように、制御装置11は、コンバイン1を移動(前後進、旋回など)させながら、排出オーガ281を制御(旋回位置及び高さの制御、排出シュータ282の駆動制御など)してもよい。図17に示す一点鎖線は圃場Fの境界(圃場辺)を示し、点線は回収車両60が通行、停車する道路辺を示している。制御装置11は、圃場外形や未刈領域などを確認してコンバイン1の移動経路を生成してもよい。
【0130】
ここで、排出作業時の排出オーガ281の上下移動の制御方法について補足する。図18に示すように、排出オーガ281の下限位置Pa及び上限位置Pbが予め設定されており、排出オーガ281は下限位置Paと上限位置Pbとの間で上下移動可能に構成されてもよい。例えば、制御装置11は、回収車両60の回収部61の高さH1に所定高さh1を加算した高さH2(=H1+h1)を下限位置Paに設定し、高さH1に所定高さh2(但し、h2>h1)を加算した高さH3(=H1+h2)を上限位置Pbに設定する。所定高さh1は、排出オーガ281を下げた場合に回収部61の上端に近接しつつ接触しない高さに設定される。また、所定高さh2は、回収車両60の上方の障害物に接触しない高さに設定される。例えば、制御装置11は、コンバイン1が自動走行中にカメラの撮像画像及び検知センサーの検知結果に基づいて、回収車両60の回収部61の上端と、回収車両60の上方の障害物(電線、構造物など)とを検出し、検出結果に基づいて所定高さh1、h2を設定してもよい。また、排出オーガ281を高い位置に移動して穀稈を排出すると、穀稈が飛散して回収部61内に適切に回収できないことも考えられる。特に、風が強い場合に穀稈が飛散し易くなる。そこで、他の実施形態として、制御装置11は、風などの気象条件、外的要因などを考慮して上限位置Pbを設定してもよい。例えば、制御装置11は、その日の風速及び風向に基づいて所定高さh2を決定して、上限位置Pbを設定してもよい。
【0131】
図18に示す構成では、排出オーガ281の上下移動させることにより、回収部61に対する排出シュータ282の左右方向(図6A等のX方向)の位置を移動させることができる。例えば図18に示すように、排出オーガ281が下限位置Paにある場合、排出シュータ282を回収部61の右側に位置させることができ、排出オーガ281が中間位置Pcにある場合、排出シュータ282を回収部61の左右方向の中央に位置させることができ、排出オーガ281が上限位置Pbにある場合、排出シュータ282を回収部61の左側に位置させることができる。上記構成によれば、穀粒を回収部61に満遍なく排出することができる。
【0132】
本発明の他の実施形態として、制御装置11は、コンバイン1を移動させながら排出作業を行う(移動排出モード)か、又は、コンバイン1を停車させた状態で排出作業を行う(停車排出モード)かを決定する構成を備えてもよい。例えば作業者は、操作端末30において、前記移動排出モード及び前記停車排出モードのいずれかを設定することが可能である。例えば、作業者は、排出作業を早く終えたい場合に前記移動排出モードに設定し、圃場Fを荒したくない場合に前記停車排出モードに設定する。制御装置11は、作業者の設定操作に応じて排出処理を実行する。なお、制御装置11は、作業進捗状況、貯留タンク27の貯留量などに基づいて、自動的に前記移動排出モード及び前記停車排出モードのいずれかを設定してもよい。
【0133】
作業者が前記移動排出モードに設定した場合、制御装置11は、コンバイン1を排出場所Haに移動させた後、コンバイン1を移動(前後進、旋回など)させながら、穀稈を回収部61に排出する。なお、コンバイン1が回収車両60に略平行に移動可能な場合は、制御装置11は、コンバイン1を前後進させながら排出オーガ281及び排出シュータ282を移動させる。一方、コンバイン1が回収車両60に略平行に移動できない場合は(図17参照)、制御装置11は、コンバイン1を前後進及び旋回させながら排出オーガ281及び排出シュータ282を移動させる。
【0134】
また、作業者が前記停車排出モードに設定した場合、制御装置11は、コンバイン1を排出場所Haに移動させた後、コンバイン1を停車した状態で、排出オーガ281及び排出シュータ282を移動させながら、穀稈を回収部61に排出する。また、作業者は、前記停車排出モードに設定して排出作業が完了しない場合に、前記移動排出モードに切り替えてもよい。この場合、制御装置11は、コンバイン1を移動(前後進、旋回など)させながら、穀稈を回収部61に排出する。さらに、制御装置11は、コンバイン1を移動させるとともに、排出オーガ281及び排出シュータ282を移動させながら、穀稈を回収部61に排出してもよい。
【0135】
上述の各実施形態では、制御装置11は、排出作業において、コンバイン1を移動(前後進、旋回など)させながら、排出オーガ281及び排出シュータ282の駆動(回転、上下、伸縮など)を制御している。他の実施形態として、制御装置11は、作業者が操作端末30又は操作リモコンによりコンバイン1を移動(前後進、旋回など)させる手動操舵に従って、排出オーガ281及び排出シュータ282の駆動を制御してもよい。例えば、制御装置11は、手動操舵によるコンバイン1の移動距離及び移動速度に応じて、排出オーガ281の回転角度及び回転速度、上下移動量及び移動速度を制御する。
【0136】
上述の各実施形態では、作業車両の一例としてコンバイン1を挙げたが、本発明の作業車両は、コンバイン1に限定されず、収穫物を収穫して排出部(排出車両)に排出する各種の作業車両が含まれる。また、本発明の作業車両は、収穫作業を作業者の手動操作(手動走行)により実行し、排出作業を制御装置11の制御(自動排出処理)により実行する作業車両であってもよい。
【0137】
[発明の付記]
以下、上述の各実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0138】
<付記1>
作業車両により収穫された収穫物を前記作業車両の排出部から前記収穫物を回収する回収部に排出させる排出方法であって、
前記収穫物の排出作業において前記作業車両及び前記排出部の少なくともいずれかの動作を制御することと、
前記排出部から前記収穫物を前記回収部に排出させることと、
を実行する排出方法。
【0139】
<付記2>
前記回収部内の前記収穫物の排出状態に基づいて、前記作業車両及び前記排出部の少なくともいずれかの動作を制御する、
付記1に記載の排出方法。
【0140】
<付記3>
前記排出部は、前記収穫物を外部へ排出する排出口と、収穫作業時の格納位置と前記排出作業時の排出位置との間で移動可能であって、前記排出作業において前記収穫物を前記排出口に搬送する排出アームとを含み、
前記回収部に対する前記排出アームの前記排出位置、及び、前記回収部に対する前記排出口の排出方向の少なくともいずれかを制御する、
付記1又は2に記載の排出方法。
【0141】
<付記4>
前記回収部に対する前記作業車両の位置を制御する、
付記1~3のいずれかに記載の排出方法。
【0142】
<付記5>
前記作業車両を、前記回収部の側方の所定の排出場所に移動させ、
前記排出アームを前記作業車両の進行方向に対して実質的に垂直になる位置に移動させ、
前記排出口から前記収穫物を前記回収部に排出させている間、前記作業車両を前記進行方向に走行させる、
付記1~4のいずれかに記載の排出方法。
【0143】
<付記6>
前記作業車両を、前記進行方向が前記回収部の側辺に実質的に平行になる位置に移動させる、
付記5に記載の排出方法。
【0144】
<付記7>
前記排出口から前記収穫物を前記回収部に排出させている間、前記作業車両を前記進行方向に走行させ、かつ、前記排出口の排出方向を前記進行方向に対して直交する方向に変更する、
付記6に記載の排出方法。
【0145】
<付記8>
前記排出部は、前記収穫物を外部へ排出する排出口と、収穫作業時の格納位置と前記排出作業時の排出位置との間で移動可能であって、前記排出作業において前記収穫物を前記排出口に搬送する排出アームとを含み、
前記回収部に対して、前記作業車両の進行方向に直交する方向に複数の排出目標位置を設定し、
前記作業車両を、前記進行方向が前記回収部の側辺に実質的に平行になる位置に移動させ、
前記排出アームを、前記排出口が前記複数の排出目標位置のいずれかに対応する位置に移動させて、前記排出口から前記収穫物を前記回収部に排出させる排出処理を開始させ、
前記排出処理中、前記作業車両を前記進行方向に走行させる、
付記1~7のいずれかに記載の排出方法。
【0146】
<付記9>
前記排出処理中、前記複数の排出目標位置のそれぞれに前記排出アームを順に移動させる、
付記8に記載の排出方法。
【0147】
<付記10>
前記作業車両を前記回収部の側方の所定の排出場所に停車させた状態で、前記排出アームを移動させながら前記排出口から前記収穫物を前記回収部に排出させる、
付記3に記載の排出方法。
【0148】
<付記11>
前記作業車両を前記回収部の側方の所定の排出場所に停車させた状態で前記排出アームを移動させて前記収穫物を前記回収部に排出させるか、又は、前記作業車両を前記排出場所で移動させながら前記収穫物を前記回収部に排出させるかを設定する、
付記3に記載の排出方法。
【0149】
<付記12>
付記1~11のいずれかに記載の排出方法を実行する作業車両。
【符号の説明】
【0150】
1 :コンバイン(作業車両)
10 :走行システム
11 :制御装置
27 :貯留タンク
28 :穀粒排出装置(排出部)
30 :操作端末
60 :回収車両
61 :回収部
111 :走行処理部
112 :動作処理部
113 :排出処理部
281 :排出オーガ(排出アーム)
282 :排出シュータ(排出口)
283 :カメラ
284 :回転軸
285 :回転軸
A1 :格納位置
A2 :排出位置
F :圃場
R :目標経路
H1 :排出場所
P1 :撮像画像
K1 :第1排出目標位置
K2 :第2排出目標位置
K3 :第3排出目標位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18