(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173797
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】綜絖枠とレバーの間のフック装置、及びそのような装置を潤滑化する方法
(51)【国際特許分類】
D03C 13/00 20060101AFI20241205BHJP
D03C 9/06 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
D03C13/00 J
D03C9/06 B
D03C9/06 C
D03C9/06 D
D03C13/00 C
D03C13/00 A
D03C9/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024087906
(22)【出願日】2024-05-30
(31)【優先権主張番号】FR2305572
(32)【優先日】2023-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】524206670
【氏名又は名称】ストブリ ファベルジュ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】バスチアン タルディ
(72)【発明者】
【氏名】ペドロ ベルナルド
(72)【発明者】
【氏名】ティエリー フォンテーヌ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】綜絖枠と杼口形成機によって作動させられる引張機構のレバーとの間の接続を提供する機械部品の摩耗がより少ない新たなフック装置を提供する。
【解決手段】フック装置は綜絖枠に堅く取付けられるように構成された固定具8を備え、さらに2つのフランジ12、12’と内部リング16であってフランジ同士の間に取付けられておりかつ外縁面16B上に形成された正放線方向スロット16Cを備えている内部リングと多角形プロファイルリング14であってグリースニップル24及び内部リングを中心とした回転が可能であるように取付けられているボア15を備えている多角形プロファイルリングとを備えている。フック装置はフックを含みロック部材が多角形プロファイルリングと協働するようにフックを保持する傾向がある。本発明によれば多角形プロファイルリングはそのボアの表面15A上に設けられた潤滑剤を受け取るための溝30を有している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
綜絖枠(2)を、織機の杼口形成機によって作動させられるレバーに接続するように構成されたフック装置(4、4’)であって、前記フック装置(4、4’)は、
固定具(8、60)であって、前記固定具(8、60)は、綜絖枠(2)に堅く取付けられるように構成されており、かつ、
互いに向かい合う内壁(12A)及び互いに逆向きの外壁(12B)をそれぞれ含む2つのフランジ(12、12’、62)と、
内部リング(16)であって、
2つの前記フランジ(12、12’、62)の前記内壁(12A)同士の間に、2つの前記フランジ(12、12’、62)に直交する前記フック装置(4)の第1の軸(X1)を中心として、取付けられており、かつ、
その外縁面(16B)上に形成された第1のスロット(16C)及び第2のスロット(16D)を備えている、内部リング(16)と、
多角形プロファイルリング(14)であって、前記内部リング(16)を中心として回転して割出角度位置に入るように取付けられており、かつ、
前記内部リング(16)を収容するためのボア(15)と、
グリースチャネル(241)を備えているグリースニップル(24)であって、前記グリースチャネル(241)は、前記第1の軸の半径方向に、開口部(241A)を通って、前記多角形プロファイルリング(14)の前記ボア(15)上へと開口している、グリースニップル(24)と、
2つの側部(14A)であって、前記フランジ(12、12’、62)の前記内壁(12A)同士の間で、かつ前記フランジ(12、12’、62)の前記内壁(12A)に平行に取付けられた2つの側部(14A)と、を備える多角形プロファイルリング(14)と、を備える固定具(8、60)と、
フック(10)であって、前記フック(10)は、前記多角形プロファイルリング(14)と協働するように構成されており、かつ、
フック開口(34)と、
2つの側部(10A、10B)であって、前記フック(10)が前記多角形プロファイルリング(14)との係合位置にあるとき、前記第1の軸(X1)に平行に測定されるフックの厚さがそれらの間で画定される、2つの側部(10A、10B)と、
ロック部材(38)であって、前記ロック部材(38)は、前記フック(10)が前記係合位置にあるときに、前記多角形プロファイルリング(14)と協働するように前記フック(10)を保持する傾向がある、ロック部材(38)と、を備えている、フック(10)と、
を備えているフック装置において、
前記多角形プロファイルリング(14)は、その前記ボア(15)の表面(15A)上に設けられた、潤滑剤を受け取るための潤滑剤ソケット(30)を備えている、ことを特徴とするフック装置。
【請求項2】
前記多角形プロファイルリング(14)の溝(30)が、前記フック装置(4)の前記第1の軸(X1)に沿って、かつ前記多角形プロファイルリング(14)の厚さ全体にわたって、その2つの前記側部(14A)の間で延びている、請求項1に記載のフック装置。
【請求項3】
前記多角形プロファイルリング(14)の前記溝(30)の少なくとも一部(30A、30B)は、前記装置の前記第1の軸(X1)を中心として正放線状に、前記多角形プロファイルリング(14)の前記グリースニップル(24)の潤滑化チャネルの前記開口部(241A)の各側に、分布させられている、請求項1又は2のいずれか一項に記載のフック装置。
【請求項4】
前記多角形プロファイルリング(14)は、そのボア(15)上に、
第1の角度区間にわたって分布させられた前記溝(30)の第1のセット(30A)と、
第2の角度区間にわたって分布させられた前記溝(30)の第2のセット(30B)と、を備えており、
前記多角形プロファイルリング(14)が割出角度位置にあるとき、前記第1の角度区間は、前記内部リング(16)の前記第1のスロット(16C、16D)に面しており、かつ、前記第2の角度区間は、前記内部リング(16)の前記第2のスロット(16C、16D)に面している、請求項1又は2のいずれか一項に記載のフック装置。
【請求項5】
前記第1の角度区間及び前記第2の角度区間は、各々、
第1の深さ(p1)を有する少なくとも1つの第1の溝(301)と、
前記第1の深さよりも小さな第2の深さ(p2)を有しておりかつ第1の溝(301)の各々の各側に配置されている、少なくとも2つの第2の溝(302)と、
前記内部リング(16)の前記外縁面(16B)と接触している、前記多角形プロファイルリング(14)の前記ボア(15)の表面の部分(15A)であって、前記第1の軸(X1)に対して正放線状の方向に沿って、2つの溝(301、302)の間に各々配置されている、表面の部分(15A)と、を備えている、請求項4に記載のフック装置。
【請求項6】
前記内部リング(16)の前記外縁面(16B)上に形成された前記第1のスロット(16C)及び前記第2のスロット(16D)は、径方向に反対側であり、
前記内部リング(16)は、第1の貫通チャネル(161)であって、その第1の開口部(161A)が前記第1のスロット(16C)の中心に現れる、第1の貫通チャネル(161)と、第2の貫通チャネル(162)であって、その第1の開口部(162A)が前記第2のスロット(16D)の中心に現れる、第2の貫通チャネル(162)と、を備えており、前記スロット(16C、16D)の前記中心は、前記スロット(16C、16D)の前記第1の軸(X1)を中心とした正放線の範囲の中心として定義され、
前記多角形プロファイルリング(14)が割出角度位置にあるとき、前記多角形プロファイルリング(14)の前記溝の前記第1のセット(30A)及び前記第2のセット(30B)は、前記第1の軸(X1)に対する正放線状の方向で、前記内部リング(16)の貫通チャネル(161、162)の各々の前記第1の開口部(161A、162A)に関して対称に、分布させられる、請求項4に記載のフック装置。
【請求項7】
前記溝の前記第1のセット(30A)及び前記溝の前記第2のセット(30B)は、各々、前記装置の前記第1の軸(X1)を中心として、40度以上である頂角(α)の角度区間にわたって、正放線状の方向に延在させられている、請求項4に記載のフック装置。
【請求項8】
前記頂角(α)の角度は、60度以上である、請求項7に記載のフック装置。
【請求項9】
前記頂角(α)の角度は、100度以上である、請求項8に記載のフック装置。
【請求項10】
前記固定具(8、60)のフランジ(12、12’、62)は、各々、
前記綜絖枠(2)を保持するように構成された取付壁(44)と、
ガイド壁(46)であって、前記多角形プロファイルリング(14)の前記側部(14A)を、前記第1の軸(X1)に直交する方向でガイドするように構成されており、前記フランジ(12、12’)の前記取付壁(44)と下縁部(12C、12’C)の間に延在しており、かつ前記多角形プロファイルリング(14)のガイド平面を画定する、ガイド壁(46)と、
前記ガイド壁(46)の突出したシート(48、48’)であって、前記内壁(12A)の側にあり、前記フック(10)を収容するための空間を画定し、かつ前記フック(10)の前記側部(10A、10B)を前記フック(10)の前記係合位置へと側方ガイドするように構成されている、突出したシート(48、48’)と、を備えており、かつ、
前記第1の軸(X1)に沿って測定される、2つの前記フランジ(12、12’)の2つの前記ガイド壁(46)同士の間の、前記リング(14)のガイド距離は、前記第1の軸(X1)に沿って測定される、2つの前記フランジ(12、12’)の突出した前記シート(48、48’)同士の間の距離よりも厳密に大きい、請求項1又は2のいずれか一項に記載のフック装置。
【請求項11】
フランジ(12、12’、62)の各々の前記ガイド壁(46)は、前記フランジ(12、12’、62)上において、前記多角形プロファイルリング(14)の多角形プロファイルの多角形の突出部の外接円(C、C’)によって区切られる表面積よりも大きな表面積にわたって延在しており、かつ前記外接円(C、C)によって区切られる表面を含んでいる、請求項10に記載のフック装置。
【請求項12】
前記フランジ(12、12’、62)の各々の前記シート(48、48’)のうち少なくとも2つは、多角形プロファイル(14)が前記ガイド壁(46)上にある状態で、前記リングの前記多角形プロファイルの前記多角形の前記突出部の前記外接円(C、C’)の外側に形成されている、請求項11に記載のフック装置。
【請求項13】
ガイド壁(46)は、各々、ガイド用の前記シート(482、483、484、485、48’2、48’3、48’4、48’5)のうち2つの間に形成された第1のレシーバソケット(52、54)を少なくとも1つ備えており、前記第1のレシーバソケット(52、54)は、前記多角形プロファイルリング(14)の割出レリーフ(26)を受けるように、かつ割出位置を中心とした前記多角形プロファイルリング(14)の回転を制限するように、構成されている、請求項12に記載のフック装置。
【請求項14】
前記フランジの各々の前記シート(481、48’1)のうち少なくとも1つは、前記第1の軸(X1)と前記フランジ(12、12’、62)の前記取付壁(44)の間に配置されたエンボス加工部を含んでいる、請求項10に記載のフック装置。
【請求項15】
前記フランジの各々の前記シート(481、48’1)のうち少なくとも1つは、前記第1の軸(X1)と前記フランジ(12、12’、62)の前記取付壁(44)の間に配置されたエンボス加工部を備えており、
前記エンボス加工部は、横長であり、
前記エンボス加工部の最大寸法は、前記第1の軸(X1)と、前記フランジ(12、12’、62)の下縁部(12C、12C’)を通って走る、前記第1の軸(X1)に直交する第2の軸(X2)と、を含む基準平面(P1)に直交して延びており、
前記エンボス加工部は、前記基準平面(P1)に関して対称であり、
ガイド壁(46)は、各々、ガイド用の前記シート(482、483、484、485、48’2、48’3、48’4、48’5)のうち2つの間に、かつ前記基準平面(P1)に関して前記第1のレシーバソケット(52、54)に対して対称に、形成された、第2のレシーバソケット(52、54)を備えており、前記第2のレシーバソケット(52、54)は、前記多角形プロファイルリング(14)の割出レリーフ(26)を収容するように、かつ割出位置を中心とした前記多角形プロファイルリング(14)の回転を制限するように、構成されている、請求項13に記載のフック装置。
【請求項16】
第1の前記フランジ(12、62)の前記ガイド壁(46)の前記シート(48)は、第1の前記フランジ(12、62)の前記ガイド壁に平行な、前記フック(10)の第1のガイド平面を画定し、
第2の前記フランジ(12’、62)の前記ガイド壁(46)の前記シート(48’)は、第2の前記フランジ(12’、62)の前記ガイド壁に平行な、フックの第2のガイド平面(10)を画定し、
前記フック(10)の前記第1のガイド平面と前記フック(10)の前記第2のガイド平面の間の間隔は、前記フック(10)の前記厚さと等しい、請求項10に記載のフック装置。
【請求項17】
2つの前記フランジ(12、12’)の前記取付壁(44)同士の間の、前記第1の軸(X1)に沿って測定される距離は、前記多角形プロファイルリング(14)の前記ガイド距離よりも短い、請求項10に記載のフック装置。
【請求項18】
前記多角形プロファイルリング(14)は、前記第1の軸(X1)に沿って、前記多角形プロファイルリング(14)の2つの前記側部(14A)同士の間の距離として測定される、一定の厚さを有しており、
前記多角形プロファイルリング(14)の前記一定の厚さは、前記フック(10)の前記厚さよりも大きい、請求項1又は2のいずれか一項に記載のフック装置。
【請求項19】
請求項1又は2のいずれか一項に記載のフック装置を潤滑化する方法であって、前記方法は、
(a)前記ロック部材(38)を用いて、前記多角形プロファイルリング(14)の前記フック(10)をアンロックするステップと、
(b)前記フック(10)を、前記多角形プロファイルリング(14)から係合解除するステップと、
(c)外部潤滑化装置によって、潤滑化チャネル(241)を介して、前記多角形プロファイルリング(14)の前記溝(30)に潤滑剤を供給するステップと、
(d)前記内部リング(16)を中心として前記多角形プロファイルリング(14)を回転させるステップであって、割出位置に対する前記多角形プロファイルリング(14)の回転は、180度未満の角度的大きさを有している、回転させるステップと、を少なくとも含む、方法。
【請求項20】
ステップ(d)の間、前記割出位置に対する前記多角形プロファイルリング(14)の前記回転は、90度未満の角度的大きさを有している、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(d)の間、前記割出位置に対する前記多角形プロファイルリング(14)の前記回転は、70度未満の角度的大きさを有している、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綜絖枠と杼口形成機によって作動させられるレバーとの間のフック装置に関する。本発明は、さらに、そのようなフック装置を潤滑化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
綜絖枠を織機に取付ける操作及び織機から取外す動作を単純化するために、半自動のフック装置を使用する方法が知られている。
【0003】
そのような取付装置は、欧州特許出願公開第0117826号明細書(特許文献1)、仏国特許出願公開第2815047号明細書(特許文献2)、及び欧州特許出願公開第2586895号明細書(特許文献3)に記載されている。それらの装置は、多角形リングと協働するように構成されたオープンフックを含んでいる。多角形リングは、フランジによって綜絖枠の水平方向横材に結合されている。フックは、ウィービング機構によって作動させられるレバーに結合され、多角形リングと、その開口部を通じて協働している。フックと多角形リングの係合は、フックによって支持されたロック部材によって保証されている。
【0004】
公知のやり方では、引張機構は、接続ロッドのセットと杼口形成機によって作動させられる揺動(rocking)レバーとを含んでいる。引張機構のレバーと綜絖枠の間に伝達される力は、フック装置へと伝達される、より詳細には、フックと多角形リングの間の接触面によって、伝達される。この力を可能な限り分散させるために、接触面が最大化されてきたが、リングは綜絖枠に結合されるので綜絖枠の厚さを超える厚さを有することはできないという事実により、そのサイズには制限がある。
【0005】
特許文献2及び3の取付装置は、綜絖枠の力による機械部品の摩耗を遅らせるための潤滑化回路も備えている。
【0006】
幅の広い櫛を用いるか、又は綜絖枠の強い加速を伴うウィービング速度で繊維をウィービングするような、幾つかのウィービングの適用例では、綜絖枠のフック装置に対する大きな力が発生させられ、公知のフック装置の機械部品の早期摩耗が引き起こされる。フック装置の摩耗は、織機の正しい使用を妨げる騒音及び振動現象につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0117826号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2815047号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2586895号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、綜絖枠と杼口形成機によって作動させられる引張機構のレバーの間の接続を提供する機械部品の摩耗がより少ない、新たなフック装置を提供することにより、このような欠点を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主題は、綜絖枠を、織機の杼口形成機によって作動させられるレバーに接続するように構成されたフック装置である。前記フック装置は、固定具を備えており、前記固定具は、綜絖枠に堅く取付けられるように構成されており、かつ、互いに向かい合う内壁及び互いに逆向きの外壁をそれぞれ含む2つのフランジと、内部リングであって、2つの前記フランジの前記内壁同士の間に、2つの前記フランジに直交する前記フック装置の第1の軸を中心として、取付けられており、かつ、その外縁面上に形成された第1のスロット及び第2のスロットを備えている、内部リングと、多角形プロファイルリングであって、前記内部リングを中心として回転して割出角度位置(indexing angular position)に入るように取付けられており、かつ、前記内部リングを収容することを意図された適当なボアと、グリースチャネルを備えるグリースニップルであって、前記グリースチャネルは、前記第1の軸の半径方向に、開口部を通って前記多角形プロファイルリングの前記ボア内へと開口している、グリースニップルと、2つの側部(flank)であって、前記フランジの前記内壁同士の間で、かつ前記フランジの前記内壁に平行に取付けられた2つの側部と、を備える多角形プロファイルリングと、を備えている。前記フック装置は、さらに、フックを備えており、前記フックは、前記多角形プロファイルリングと協働するように構成されており、かつ、フック開口と、2つの側部であって、前記フックが前記多角形プロファイルリングとの係合位置にあるとき、前記第1の軸に平行に測定されるフックの厚さがそれらの間で画定される、2つの側部と、ロック部材であって、前記ロック部材は、前記フックが前記係合位置にあるときに、前記多角形プロファイルリングと協働するように前記フックを保持する傾向がある、ロック部材と、を備えている。本発明によれば、前記多角形プロファイルリングは、その前記ボアの表面上に設けられた、潤滑剤を受け取るための溝を備えている。
【0010】
本発明によって、多角形リングの内部表面には、溝を通じて潤滑剤が供給され、このことにより、その摩耗は減速させられ、枠の大きな力に対するよりよい耐性につながる。
【0011】
本発明の他の有利な態様によれば、フック装置は、以下の特徴のうち1つ以上を備えている。それらの特徴は個々で採用される場合もあれば、すべての技術的に可能な組み合わせに従って採用される場合もある。
【0012】
-前記多角形プロファイルリングの前記溝が、前記フック装置の前記第1の軸に沿って、かつ前記多角形プロファイルリングの厚さ全体にわたって、その2つの前記側部の間で延びている。
【0013】
-前記多角形プロファイルリングの前記溝の少なくとも一部は、前記装置の前記第1の軸を中心として正放線状に(orthoradially)、前記多角形プロファイルリングの前記グリースニップルのオイルチャネルの前記開口部の各側に、分布させられている。
【0014】
-前記多角形プロファイルリングは、その前記ボア上に、第1の角度区間にわたって分布させられた前記溝の第1のセットと、第2の角度区間にわたって分布させられた前記溝の第2のセットと、を備えており、
一方で、前記多角形プロファイルリングの割出角度位置にあるとき、前記第1の角度区間は、前記内部リングの前記第1のスロットに面しており、かつ、前記第2の角度区間は、前記内部リングの前記第2のスロットに面している。
【0015】
-前記第1の角度区間及び前記第2の角度区間は、各々、第1の深さを有する少なくとも1つの第1の溝と、前記第1の深さよりも小さな第2の深さを有しておりかつ第1の溝の各々の各側に配置されている、少なくとも2つの第2の溝と、前記内部リングの前記外縁面と接触している、前記多角形プロファイルリングの前記ボアの表面の部分であって、前記第1の軸に対して正放線状の方向に沿って、2つの溝の間に各々配置されている、表面の部分と、を備えている。
【0016】
-前記内部リングの前記外縁面上に設けられた前記第1のスロット及び前記第2のスロットは、径方向に反対側である。
一方で、前記内部リングは、第1の貫通チャネルであって、その第1の開口部が前記第1のスロットの中心に現れる、第1の貫通チャネルと、第2の貫通チャネルであって、その第1の開口部が前記第2のスロットの中心に現れる、第2の貫通チャネルと、を備えており、前記スロットの前記中心は、前記スロットの前記第1の軸を中心とした正放線の範囲の中心として定義され、かつ、
前記多角形プロファイルリングが割出角度位置にあるとき、前記多角形プロファイルリングの前記溝の前記第1のセット及び前記第2のセットは、前記第1の軸に対する正放線状の方向で、前記内部リングの貫通チャネルの各々の前記第1の開口部に関して対称に、分布させられる。
【0017】
-前記溝の前記第1のセット及び前記溝の前記第2のセットは、各々、前記装置の前記第1の軸を中心として、40度以上である、好ましくは60度以上である、さらに好ましくは100度以上である頂角の角度区間にわたって、正放線状の方向に延在させられている。
【0018】
-前記固定具のフランジは、各々、前記綜絖枠に着座するように構成された取付壁と、ガイド壁であって、前記多角形プロファイルリングの前記側部を、前記第1の軸に直交するようにガイドするように構成されており、前記フランジの前記取付壁と下縁部の間に延在しており、かつ前記多角形プロファイルリングのガイド平面を画定する、ガイド壁と、前記ガイド壁の突出した面であって、前記内壁の側にあり、前記フックを収容するための空間を画定し、かつ前記フックの前記側部を前記フックの前記係合位置へと側方ガイドするように構成されている、突出した面と、を備えており、
一方で、前記第1の軸に沿って測定される、2つの前記フランジの2つの前記ガイド壁同士の間の、前記リングのガイド距離は、前記第1の軸に沿って測定される、2つの前記フランジの突出したシート同士の間の距離よりも厳密に大きい。
【0019】
-フランジの各々の前記ガイド壁は、前記フランジ上において、前記多角形プロファイルリングの多角形プロファイルの多角形の突出部の外接円によって区切られる表面よりも大きな表面積にわたって延在しており、かつ前記外接円によって区切られる表面積を含んでいる。
【0020】
-前記フランジの各々の前記シートのうち少なくとも2つは、前記ガイド壁上にある状態で、前記多角形プロファイルリングの前記多角形プロファイルの前記多角形の前記突出部の前記外接円の外側に配置されている。
【0021】
-ガイド壁は、各々、ガイド用の前記シートのうち2つの間に形成された第1のレシーバソケットを少なくとも1つ備えており、前記第1のレシーバソケットは、前記多角形プロファイルリングの割出レリーフを受けるように、かつ割出位置を中心とした前記多角形プロファイルリングの回転を制限するように、構成されている。
【0022】
-前記フランジの各々の前記シートのうち少なくとも1つは、前記第1の軸と前記フランジの前記取付壁の間に配置されたエンボス加工部を含んでいる。
【0023】
-前記フランジの各々の前記シートのうち少なくとも1つは、前記第1の軸と前記フランジの前記取付壁の間に配置されたエンボス加工部を備えており、
一方で、前記エンボス加工部は、横長であり、かつ、
前記エンボス加工部の最大寸法は、前記第1の軸と、前記フランジの下縁部を通って走る、前記第1の軸に直交する第2の軸と、を含む基準平面に直交して延びており、かつ、
前記エンボス加工部は、前記基準平面に関して対称であり、かつ、
ガイド壁は、各々、ガイド用の前記シートのうち2つの間に、かつ前記基準平面に関して前記第1のレシーバソケットに対して対称に、形成された第2のレシーバソケットを備えており、前記第2のレシーバソケットは、前記多角形プロファイルリングの割出レリーフを受け入れるように、かつ割出位置を中心とした前記多角形プロファイルリングの回転を制限するように、構成されている。
【0024】
-第1の前記フランジの前記ガイド壁の前記シートは、第1の前記フランジの前記ガイド壁に平行な、前記フックの第1のガイド平面を画定し、
一方で、第2の前記フランジの前記ガイド壁の前記シートは、第2の前記フランジの前記ガイド壁に平行な、前記フックの第2のガイド平面を画定し、
前記フックの前記第1のガイド平面と前記フックの前記第2のガイド平面の間の距離は、前記フックの前記厚さと等しい。
【0025】
-2つの前記フランジの前記取付壁同士の間の、前記第1の軸に沿って測定される距離は、前記多角形プロファイルリングからの前記ガイドのオフセットよりも短い。
【0026】
前記多角形プロファイルリングは、前記第1の軸に沿って、前記多角形プロファイルリングの2つの前記側部同士の間の距離として測定される、一定の厚さを有しており、
一方で、前記多角形プロファイルリングの前記一定の厚さは、前記フックの前記厚さよりも大きい。
【0027】
さらに本発明は、本明細書で上記されたフック装置を潤滑化する方法にも関する。前記方法は、
(a)前記ロック部材を用いて、前記多角形プロファイルリングの前記フックをアンロックするステップと、
(b)前記フックを、前記多角形プロファイルリングから係合解除するステップと、
(c)外部潤滑化装置によって、潤滑化チャネルを介して、前記多角形プロファイルリングの前記溝に潤滑剤を供給するステップと、
(d)前記内部リングを中心として前記多角形プロファイルリングを回転させるステップであって、前記割出位置に対する前記多角形プロファイルリングの回転は、180度未満の、好ましくは90度未満の、好ましくは70度未満の角度的大きさを有している、回転させるステップと、を少なくとも含む。
【0028】
本発明は、以下の詳細な説明を読んだ際には、そして、本発明を限定することはなく例としてのみ与えられる図面を参照した際には、よりよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明による、3つのフック装置を備える綜絖枠の部分的な正面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されたフック装置の、フックが多角形リングと係合されていないときの正面図である。挿
図Aは割出位置にある多角形リングを示しており、挿
図Bは割出位置から外れた多角形リングを示している。
【
図3】
図3は、
図1に示されたフック装置の正面図であり、部分的に切断されている。一方、フックは多角形リングに係合されており、ロック部材はロック位置にある。
【
図4】
図4は、
図3に類似の図であり、ロック部材が非ロック位置にあるように示されている。
【
図5】
図5は、
図1~4に示されたフック装置に属する直立部の固定具の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、使用時の摩耗測定装置の正面図である。挿
図Aは、摩耗度が正常であるときの測定装置を示しており、挿
図Bは摩耗度が異常であるときの測定装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、複数のフック装置4、4’が取付けられている綜絖枠2の部分図を示している。これにより、綜絖枠2を、ドビー(図示されてはいない)等の杼口形成機によって作動させられる引張機構のレバーに接続することが可能になっている。図示されている例においては、2つのフック装置4が綜絖枠2の直立部2Aに取付けられており、さらに、装置4’が綜絖枠2の横材2C上に取付けられた水平バー2B上に取付けられている。
【0031】
以下の説明は、綜絖枠2の直立部2A上に取付けられたフック装置4のために与えられる。
【0032】
図2、3、及び4に示されているように、フック装置4は、綜絖枠2の直立部2Aに堅く取付けられるように構成された固定具8と、この固定具8と協働するように構成されたフック10とを含む。フック10は、引張機構のレバーに機械的に結合されている。
【0033】
固定具8は、
図5に分解図が示されているが、2つの同一のフランジ12、12’と、多角形プロファイルリング14と、内部リング16と、中央リベット18と、を備える。
【0034】
フランジ12、12’は、互いに向かい合うように配置され、リベット20によって綜絖枠2上に取付けられている。リベット20は、フランジ12及び12’にそれぞれ設けられた開口21及び21’に配置されている。フランジ12、12’は、例えば金属板である。フランジ12、12’は、全体的に、丸みを帯びた二等辺三角形の形状を有する。フランジ12、12’は、各々、内壁及び外壁を備えており、内壁は、フランジ12の内壁12Aのみを
図5に見ることができ、外壁は、フランジ12’の外壁12’Bのみを
図5に見ることができる。フック装置4の、綜絖枠2に取付けられた構成においては、内壁12Aは綜絖枠2の直立部2Aの各側に面するように配置され、互いに向かい合っている。
【0035】
多角形プロファイルリング14は、フランジ12、12’の内壁12A同士の間に配置されている。多角形プロファイルリング14は、内部リング16を中心として回転することができるように取付けられている。内部リング16は、中央リベット18の周囲に取付けられ、固定具8に対する所定の位置に固定されている。中央リベット18は、固定具8を形成するすべての要素を堅く取付け、固定具8内における内部リング16の方向づけを永久的に維持する。
【0036】
中央リベット18は、それぞれフランジ12、12’の環状開口22、22’に配置されている。中央リベット18は、円柱形状を有する。有利には、中央リベット18の直径は、24ミリメートルから26ミリメートルの間に含まれており、好ましくは25ミリメートルに等しい。
【0037】
フック装置4の第1の軸X1が、中央リベット18の軸として定義される。取付装置4の第2の軸X2は、フランジ12の対称軸として定義され、この第2の軸X2は第1の軸X1に直交する。同様にして、フック装置4の第3の軸X2’は、第2の軸X2に平行な、フランジ12’の対称軸として定義される。
【0038】
中央リベット18は中空であり、その外縁面18A上には溝18Bを有する。中央リベット18の厚さは、軸X1に沿った中央リベット18の範囲として画定される。溝18Bは、好ましくは、中央リベット18の厚さの中心に配置されている。
【0039】
内部リング16は、円柱形状を有しており、中央リベット18を受け入れるボア16Aを備えている。内部リング16は、ボア16Aの周囲に、反対側同士である2つの環状の側部を備えている。側部16Eのみを、
図5に見ることができる。有利には、内部リング16の外径は、35ミリメートルから45ミリメートルの間に含まれており、好ましくは40ミリメートルに等しい。内部リング16は、第1の軸X1を中心としてリベット18に堅く取付けられている。内部リング16の環状の側部は、フランジ12、12’の内壁12A同士の間で、それらに対して平行に、取付られている。
【0040】
2つのスロット16C及び16Dが、内部リング16の外縁面16B上に形成されている。好ましくは、これらの2つのスロット16C及び16Dは、径方向に反対側である。スロット16C、16Dは、各々、ある角度区画にわたって第1の軸X1に対して正放線状に延びており、その頂角αは110度から130度の間に含まれており、好ましくは120度に等しい。換言すれば、スロット16C、16Dは、各々、外縁面16Bの接線に平行なそれぞれの軸に沿って延びている。
【0041】
内部リング16は、
図3に見ることができる2つの貫通チャネル161、162を備えている。貫通チャネルとは、第1の軸X1に対して径方向に、ボア16Aと内部リング16の外縁面16Bの間にわたって、延びているチャネルを意味すると理解される。
【0042】
第1の貫通チャネル161の第1の開口部161Aが、第1のスロット16C内へと現れており、第1の貫通チャネル161の第2の開口部161Bが、ボア16A内へと現れている。第2の貫通チャネル162の第1の開口部162Aが、第2のスロット16D内へと現れており、第2の貫通チャネル162の第2の開口部162Bが、ボア16A内へと現れている。
【0043】
スロット16C、16Dの中心は、スロットの、第1の軸X1の正放線範囲の中央として定義される。好ましくは、第1の貫通チャネル161の第1の開口部は、第1のスロット16Cの中心に現れ、第2の貫通チャネル162の第1の開口部は、第2のスロット16Dの中心に現れる。
【0044】
多角形プロファイルリング14は、内部リング16を中心として自由に回転するように取付けられる。多角形プロファイルリング14の側部は、特に側部14Aは、フランジ12、12’の内壁12A同士の間かつそれらに対して平行に取付けられており、多角形プロファイルリング14の側部14Aのみを、
図5に見ることができる。側部は、特に側部14Aは、フランジ12、12’の内壁12Aと平面接触している。
【0045】
多角形プロファイルリング14は、第1の軸X1に直交する平面内に、多角形断面を有する。好ましくは、多角形プロファイルリング14の断面は、実質的に六角形である。好ましくは、その断面は、非正多角形によって定義される。
【0046】
多角形プロファイルリング14の厚さは、第1の軸X1に沿った、多角形プロファイルリング14の2つの側部14A同士の間の距離として画定され、リング14全体にわたって一定であり、6ミリメートルから8ミリメートルの間に含まれ、好ましくは7ミリメートルに等しい。
【0047】
内部リング16の厚さは、多角形プロファイルリング14の厚さに実質的に等しい。中央リベット18の厚さは、内部リング16の厚さに実質的に等しい。
【0048】
多角形プロファイルリング14は、ボア15を含む。
【0049】
多角形プロファイルリング14は、自己潤滑化プラスチック材料の射出成型によって生産される。変形例においては、多角形プロファイルリングは、他の材料から、例えばPEEK等の熱可塑性プラスチックから作製されるか、又はプラスチック射出成型法以外の方法によって製造される。
【0050】
多角形プロファイルリング14は、単一部片であり、グリースニップル24を備える。グリースニップル24は、多角形プロファイルリング14と内部リング16の間の接触領域を潤滑剤で満たすようにはたらく。グリースニップル24は、第1の軸X1に対して径方向に延びており、かつ、開口部241Aを介してボア15内へと現れるグリースチャネル241を備えている。グリースニップル24は、グリースチャネル241に潤滑剤を供給するためのグリースチップ242を備えている。
【0051】
多角形プロファイルリング14は、第1の軸X1を中心として回転することができ、その結果、グリースニップル24は、
図2以降において実線で示されている位置である、0度割出位置と呼称される位置に、又は、
図2の挿
図Aにおいて破線で示されている位置である、180度割出位置に、配置され得る。0度割出位置か180度割出位置かの選択は、意図されたフック10との協働方向に応じてなされる。
図1においては、綜絖枠2の左側の直立部2Aに結合している多角形プロファイルリング14は、0度割出位置にあり、一方、綜絖枠2の右側の直立部2Aに結合している多角形プロファイルリング14は、180度割出位置にある。
【0052】
グリースニップル24の側部24Aは、多角形プロファイルリング14の側部14Aと、それぞれ連続である。グリースニップル24の側部24Aは、各々、側部24Aに対して突出した割出レリーフ26を備えている。
【0053】
多角形プロファイルリング14のボア15は、表面15A上に、潤滑剤を受け入れることを意図された溝30を備えている。リングの溝30は、第1の軸X1に沿って、多角形プロファイルリング14の厚さ全体にわたって延びている。換言すれば、溝30は、多角形プロファイルリング14の側部14Aに接続している。
【0054】
図5に示されているように、溝30は2つのセット30A、30B内に分布させられている。セット30A、30Bは、各々、4つの溝30を含んでいる。溝のセット30A、30Bは、各々、第1の軸X1に対して正放線状に、ある角度区間にわたって延びている。その角度区間の頂角βは、40度以上であり、好ましくは60度以上であり、又は好ましくは100度よりも大きい。換言すれば、溝のセット30A、30Bは、第1の軸X1を中心とするある角度区間にわたって、表面15A上を延びている。セット30A及び30Bは、第1の軸X1に関する径方向に反対側同士である。第1のセット30Aは、潤滑化チャネル24の開口部241Aの各側に、軸X1に対して正放線状に対称的に、分布させられている。
【0055】
多角形プロファイルリング14がその0度割出位置に配置されているとき、溝の第1のセット30Aは内部リング16の第1のスロット16Cに面しており、溝の第2のセット30Bは内部リング16の第2のスロット16Dに面している。
【0056】
好ましくは、溝30のセット30Aは、第1の軸X1に対して正放線状に対称的に、内部リング16の第1の貫通チャネル161の第1の開口部161Aの各側に分布させられている。同様にして、溝30のセット30Bは、内部リング16の第2の貫通チャネル162の第1の開口部162Aの各側に分布させられている。
【0057】
多角形プロファイルリング14が180度割出位置に配置されているときには、対称的に、溝の第1のセット30Aは第2のスロット16Dに面しており、溝の第2のセット30Bは第1のスロット16Cに面している。
【0058】
溝の2つのセット30A及び30Bは、各々、好ましくは同一の形で、異なる深さの溝30を備えている。各セット30A、30Bは、第1の深さp1を有する2つの溝301と、第2の深さp2を有する2つの溝302を備えている。溝302の第2の深さp2は、溝301の第1の深さp1よりも小さい。
【0059】
溝301及び302は、第1及び第2の溝301が、隣り合い、かつセット30A、30Bの延長された角度区間の中心に位置させられているように、配置されている。第1の溝302は第1の溝301に隣接しており、第2の溝302は第2の溝301に隣接している。換言すれば、溝302は、2つの溝301の各側に、セット30A、30Bの延長された角度区間の周縁の部分に、配置されている。溝30の各セットは、多角形プロファイルリング14のボア15の表面15Aの一部分が、第1の軸X1に対する正放線の方向に沿って内部リング16の外縁面16Bと接触している状態で、交互に設けられている。
【0060】
一変形例(図示されてはいない)においては、溝の2つのセット30A、30Bは、第1の深さp1を有する溝301を1つだけ含んでいる。そして、第2の深さp2を有する2つの溝302が、その溝301の各側に配置されている。
【0061】
多角形プロファイルリング14は、フック装置4内で、綜絖枠2をレバーにフックさせるためのフック10と協働する。
【0062】
フック10は、ロッド6を有する単一部片であるか、又はそれに溶接されている。ロッド6は、枠に対する接続ロッド(図示されてはいない)の第1の端に接続されており、この接続ロッドは、杼口形成機の引張機構の接続ロッドによって作動させられる揺動レバーに関節連結された第2の端を含んでいる。このレバーは、ウィービング中に揺動し、杼口形成機の運動を枠に対する接続ロッドに伝達する傾向がある。フック10は、
図1~4に見ることができるが、多角形プロファイルリング14を収容するための開口34を画定するヘッド部32を備えている。開口34は、多角形プロファイルリング14の外縁面の表面14
1、14
2、14
3、14
4にそれぞれ係合することに適した上シート34
1、側シート34
2、34
3、及び下シート34
4によって境界付けられている。
【0063】
上シート341とヘッド部の頂部の間で測定される、フック10のヘッド部32の高さh32は、28ミリメートルから32ミリメートルの間に含まれ、好ましくは30ミリメートルに等しい。
【0064】
フック10が多角形プロファイルリング14の周囲に係合しているときの、第1の軸X1に沿った、開口34におけるフックの2つの側部10Aと10Bの間の距離として測定されるフック10の厚さは、5ミリメートルから7ミリメートルの間に含まれ、好ましくは6ミリメートルに等しい。
【0065】
フック10の厚さは、多角形プロファイルリング14の厚さよりも小さい。有利には、そのような寸法決めによって、フックの相互作用表面がフックとの係合位置にある多角形プロファイルリングにもたらすエッジ効果が制限される。
【0066】
さらに、公知のやり方では、フック10は、ブランチ36であって、多角形プロファイルリング14を
図3のフックとの係合位置に保持するためのラッチ38が取付けられる、ブランチ36をさらに備える。
【0067】
ラッチ38は、多角形プロファイルリング14の側表面145と接触するように意図された表面381を備えている。ラッチ38の表面381が多角形プロファイルリングの側表面145と接触しているとき、ラッチ38は、フック10を多角形プロファイルリング14にロックすることを可能にするロック位置にある。
【0068】
ラッチ38はラグ(lug)382を備えており、ラグ382の端部383は部分的に円柱形状の外側区画を有しており、それが、ブランチ36の厚さ内に形成されかつ返し部361によって境界付けられた空隙内に、関節軸を形成できる。
図3に示されたラッチのロック位置では、返し部361は、ラグ382と、表面381とは反対側のラッチ38の後部384と、の間に画定されるスロットの内部に係合している。
【0069】
ラッチ38は、圧縮ばね40の1つの端部40Aを収容するための溝385を備えており、圧縮ばね40の第2の端部40Bは、ブランチ36に設けられた溝362内に収容されている。ばね40は、それが、
図3に示された矢印F2の方向にラッチ38を傾ける傾向がある力F1を、即ち、ラッチ38がフック10を多角形プロファイルリング14に係合された状態に保つことを可能にする力F1を、永久的に及ぼすように、寸法決めされている。
【0070】
操縦部材42が、成型プラスチック部品によって形成される。この操縦部材42は、円柱ピン423及び幕板424によって結合された、2つのフランジ421、422を備えている。操縦部材42はまた、ラグ425を備えており、ラグ425は、ユーザが、
図4において矢印F3によって示されている力を、ラッチを
図3に示されているロック位置から
図4に示されているアンロック位置まで傾ける傾向がある力を、及ぼすことを可能にする。操縦部材42のラグ425は、内部潤滑化チャネル426を備えている。
【0071】
操縦部材42が所定の位置でラッチ38に接しているとき、フランジ421及び422は、ラッチ38とブランチ36の間に画定される体積部分を外部から隔離する2つの側面を形成しており、これにより潤滑化チャネル426を通じて供給され得る潤滑剤を含有することが可能になり、ラッチ38のブランチ36への関節接合が容易化される。
【0072】
綜絖枠2、多角形プロファイルリング14、及びフック10は異なる厚さを有しているので、固定具8を異なる厚さに適合させ、かつ多角形プロファイルリング14及びフック10の最適化されたガイドを行うことに適合させるために、フランジ12及び12’は、取付壁44、ガイド壁46、及びガイド壁から突出したシート48、48’を備えている。フランジのうち1つのみの、即ちフランジ12の、取付壁44及びガイド壁46を、
図5に見ることができる。取付壁及びガイド壁及び突出したシートは、2つのフランジ12及び12’について同一である。有利には、固定具のフランジ12及び12’は、枠の一方の側又は他方の側に、同じように取付けられる。
【0073】
取付壁44は、綜絖枠2の直立部2Aを保持するように構成されている。取付壁44は、第1の軸X1に直交している。取付壁44は、固定具8を綜絖枠2に取付けるためのリベット20を収容する2つの開口21、21’を備えている。
【0074】
ガイド壁46は、多角形プロファイルリング14の側部14Aをガイドするようにはたらく。ガイド壁46は、各々、第1の軸X1に直交し、かつ、対応する取付壁44と、対応するフランジ12、12’の下縁部12C、12’Cとの間に延びている。ガイド壁46は、各々、多角形プロファイルリング14のためのガイド平面を画定するが、これは図面の明瞭性のために図示されてはいない。多角形プロファイルリング14のガイド距離は、第1の軸X1に沿って測定される、2つのフランジ12、12’の2つのガイド壁46同士の間と定義される。各フランジ12、12’の下縁部12C、12’Cは、丸みを帯びた形状を有しており、第1の軸X1を中心とする角度区間にわたって延びている。
【0075】
綜絖枠2の直立部2Aの厚さは、多角形プロファイルリング14の厚さよりも小さいので、フランジ12、12’は、各々、固定具8が綜絖枠に取付けられるときに、第1の軸X1に平行な軸に沿って測定される取付壁44同士の間の距離が、第1の軸X1に平行な軸に沿って測定されるガイド壁46同士の間の距離よりも短くなるような、襞部50、50’)を有している。換言すれば、取付壁44同士の間の距離は、綜絖枠2の直立部2Aを収容することを可能にし、かつ、ガイド壁46同士の間の距離は、直立部2Aよりも厚い多角形プロファイルリング14を収容することを可能にする。
【0076】
フランジ12、12’の各々について、取付壁44とガイド壁46の間の襞部50、50’は、スタンピングによって形成される。
【0077】
ガイド壁46は、中央リベット18を収容する開口22及び22’を備えている。
【0078】
多角形プロファイルリング14の側部14Aを収容するガイド壁46は、各々、フランジ12、12’上で、多角形プロファイルリング14の多角形プロファイルの多角形の突出部の外接円C、C’によって区切られた表面の表面積よりも大きい表面積にわたって延在している。ガイド壁46は、外接円C、C’によって区切られた表面に加え、その円の外側の表面部分も含んでいる。
【0079】
ここまで述べられてきたように、ガイド壁46は、各々、ガイド壁46から突出したガイドシート48、48’を備えている。ガイドシート48、48’は、フック10を収容するように意図された空間を画定しており、かつ、フックが多角形プロファイルリング14に係合した位置にあるときに、フックの側部10A及び10Bを側方ガイドするように構成されている。
【0080】
図示された例においては、第1のフランジ12は、5つのガイドシート481、482、483、484、485を備えており、第2のフランジ12’はまた、5つのガイドシート48’1、48’2、48’3、48’4、48’5を備えている。
【0081】
ガイドシート48、48’は、ガイド壁46上で、多角形プロファイルリング14の多角形プロファイルの多角形の突出部の外接円C、C’の外側に設けられている。外接円C、C’は、対応するフランジ12、12’の下縁部12C、12C’を画定する。下縁部12Cは、ガイドシート483及び484によって角度的に区切られる。下縁部12’Cは、ガイドシート48’3及び48’4によって角度的に区切られる。下縁部12C、12’Cには、レリーフがない。下縁部12C、12’Cは、一定の厚さを有するそれぞれのフランジ12、12’の環状部分に内接している。
【0082】
第1の軸X1及び第2の軸X2を含む基準平面P1が定められている。基準平面P1は、フランジ12、12’の各々について対称な平面である。
【0083】
フランジ12、12’上では、ガイドシート481、48’1が、第1の軸X1と取付壁44の間に配置されている。フック10が、多角形プロファイルリング14と係合した位置にあるとき、ガイドシート481、48’1は、フック10のヘッド部32に面している。より具体的には、該シートは、上シート341とヘッド部32の頂部との間に存在するヘッド部32の領域に対向している。
【0084】
ガイドシート481、48’1は、平面状のエンボス加工部を備えている。ガイドシート481、48’1のエンボス加工部は、横長である。このエンボス加工部は、基準平面P1に関して対称である。このエンボス加工部の最大寸法は、基準平面P1に直交して延びている。
【0085】
ガイドシート482及び483は、ガイド壁46の自由側縁部上に設けられており、それらの間に、第1のレシーバソケット52を形成している。第1のレシーバソケット52は、ソケットが0度割出位置にあるとき、多角形プロファイルリング14の割出レリーフ26を収容するように構成されている。
【0086】
基準平面P1に関して対称的に、ガイドシート484及び485は、それらの間に第2のレシーバソケット54を形成する。第2のレシーバソケット54は、ソケットが180度割出位置にあるとき、多角形プロファイルリング14の割出レリーフ26を収容するように構成されている。
【0087】
レシーバソケット52、54は、割出レリーフ26の位置をレシーバソケット52、54の内部に拘束することによって、多角形プロファイルリング14の回転を制限する。
【0088】
同様にして、ガイドシート48’2、48’3は、フランジ12’上に第1のレシーバソケット(図示されてはいない)を形成しており、かつ、ガイドシート48’4、48’5は、第2のレシーバソケット(これもまた図示されてはいない)を形成している。
【0089】
第1のフランジ12のガイド壁46のガイドシート48は、フック10のための第1のガイド平面を画定するが、図面の明瞭性を維持するために、図示されてはいない。第1のガイド平面は、第1のフランジ12のガイド壁46に平行であり、かつ、該壁からは、第2のフランジ12’の側で、ガイドシート48の厚さの分だけオフセットされている。換言すれば、第1のガイド平面は、軸X1に対して垂直である。
【0090】
第2のフランジ12’のガイド壁のガイドシート48’は、フック10の第2のガイド平面を画定しているが、図面の明瞭性を維持するために、図示されてはいない。第2のガイド平面は、第2のフランジ12’のガイド壁46に平行であり、かつ、該壁からは、第1のフランジ12の側で、ガイドシート48’の厚さの分だけオフセットされている。換言すれば、第2のガイド平面は、軸X1に対して垂直である。
【0091】
第1の軸X1に沿って測定される、フック10の第1のガイド平面とフック10の第2のガイド平面の間の距離は、該フックが多角形プロファイルリング14と係合している位置にあるときにフック10がガイドシート48、48’によってガイドされるように、フック10の厚さに等しい。
【0092】
フック10の厚さは多角形プロファイルリング14の厚さよりも小さいので、第1の軸X1に沿って測定される2つのフランジ12、12’の突出したシート48、48’同士の間の距離は、多角形プロファイルリング14のガイド距離よりも厳密に短い。
【0093】
綜絖枠2の直立部2Aの厚さは多角形プロファイルリング14の厚さよりも小さいので、第1の軸X1に沿って測定される、2つのフランジ12、12’の取付壁44同士の間の距離は、多角形プロファイルリング14のガイド距離よりも小さい。
【0094】
フランジ12、12’の上記の構造により、フランジ12、12’同士の間の自由空間を、綜絖枠2、多角形プロファイルリング14、及びフック10が有する異なる厚さに対応させることが可能になる。
【0095】
綜絖枠2を備えた織機を用いる際には、固定具8は、綜絖枠2の直立部2Aに堅く取付けられる。多角形プロファイルリング14は、0度又は180度の割出位置に配置されている。
【0096】
オペレータは、フック10のシート341、342、343、344が多角形プロファイルリング14の協働する表面141、142、143、144にそれぞれ対向して配置されるように、フック10を多角形プロファイルリング14に係合させる。
【0097】
フック10が多角形プロファイルリング14に係合できるようにするために、オペレータは、矢印F3によって示される力を、ばね40の返し力に対抗するように、操縦部材42のラグ425に対して及ぼす。フック10が係合されたときには、オペレータは、操縦部材42上にはもはやいかなる力も及ぼさない。ばね40は、返し力F1を及ぼし、ラッチ38を係合させるようにはたらく。ラッチ38の表面381は、多角形プロファイルリング14の側表面145と接触する。その後、綜絖枠2を、引張機構のレバーによって作動させることができる。フック装置4は、綜絖枠2及び引張機構のレバーに機械的に結合するようにはたらき、ウィービングにおいて所望の経糸及び緯糸の杼口を形成する目的で、枠を持ち上げるか又は下ろす運動を枠に伝達する。
【0098】
フック装置4の性能を向上させるために、2つの潤滑化の方法が実装される。即ち、多角形プロファイルリング14との係合位置にあるフック10を潤滑化する方法と、多角形プロファイルリング14との係合解除位置にあるフック10を潤滑化整備する方法である。
【0099】
多角形プロファイルリング14が0度割出位置にあるときの、係合位置における潤滑化のための潤滑化の方法が、以下で記述される。
【0100】
係合位置にあるフック10を潤滑化する方法の第1のステップは、潤滑化チャネル241に対して潤滑剤を供給するために、外部潤滑化装置を、グリースニップル24のチップ242に接続することである。
【0101】
潤滑剤は、潤滑化チャネル241を通って、多角形プロファイルリング14の溝のセット30Aに流れ、その後、内部リングのスロット16Cを流れていく。その後、潤滑剤は、内部リング16のチャネル161を通って、中央リベット18のソケット18Bへと流れる。
【0102】
中央リベットのソケット18Bでは、潤滑剤は180度移動し、内部リング16のチャネル162の開口部162Bに達する。その後、潤滑剤は、多角形プロファイルリング14の溝のセット30Bに対向する内部リング16のスロット16Dまで流れる。
【0103】
本方法は、固定具8のすべての接触領域を、特に、グリースニップル24に径方向に対向する多角形プロファイルリングの溝のセット30Bを潤滑化することを可能にする。本方法は、内部リング16の周囲における潤滑剤の体積の維持を改善することに役立つ。
【0104】
この潤滑化の方法は、多角形プロファイルリング14が180度割出位置にあるときも同様である。潤滑剤は、上記の構成で、潤滑化チャネル241から溝のセット30Aへ、その後、スロット16Dを通ってチャネル162へと入り、中央リベットのソケット18Bに流れる。潤滑剤が中央リベット18のソケット内を180度移動すると、同じ流れが多角形プロファイルリングの溝のセット30Bに対向するスロット16Cを通って流れる。
【0105】
綜絖枠2の圧縮力を引張機構のレバーに伝える接触面を潤滑化することもまた重要である。
【0106】
最も大きな力は、フックの開口34の上シート341及び下シート344に及ぼされる。フック10の上シート341及び下シート344は、多角形プロファイルリング14の外縁面の表面141及び144と協働する。換言すれば、最も大きな力は、中央リベット18の中心を通って走る第2の軸X2に対して平行な軸に沿って伝達される。多角形プロファイルリング14の外縁面の表面141及び144は、表面142、143、及び145よりも大きな表面積を有している。より詳細には、多角形プロファイルリング14のフック10との接触面141、144の長さは、第1の軸X1に対する正放線の方向に沿って測定される接触面143、144の長さよりも大きい。表面141、144の長さは、30mmよりも大きく、好ましくは32mm以上である。
【0107】
表面141、144は、多角形プロファイルリングの側部14Aの各々によって、縁を画定する。好ましくは、それらの縁は、多角形プロファイルリング14の側部を切削することによって得られる。このような設計が、固定具8の利用可能な空間にある表面141、144の接触面の表面積を最適化する。換言すれば、多角形プロファイルリングは、綜絖枠2の圧縮力が伝達される第2の軸X2に直交する方向に沿って細長くなっている非正多角形に従って定められる。これにより、最適化された表面141及び144は、先行技術よりもよく伝達力を分布させるようにはたらく。有利には、多角形プロファイルリング14の、第2の軸X2に直交する方向に沿って細長いプロファイルは、多角形プロファイルリングを弱くすることなくボア15の表面15A上に溝30を設けることを可能にするような、ボア15と表面142、143、及び145の間で測定される径方向の厚さも提供する。
【0108】
フック装置の最適な操作を保証するために、多角形プロファイルリング14の外縁面の表面141及び144の内側であるボア15の表面15Aは、内部リング16の外縁面16Bと直接接触している。換言すれば、多角形プロファイルリング14のボア15Aの溝30、及び内部リング16のスロット16C、16Dは、綜絖枠2の力が最も大きい場所に配置されてはいない。
【0109】
力が最大である領域内の接触部の潤滑化を確実にするため、潤滑化整備の方法が実装される。
【0110】
フック10は、オペレータが-矢印F3によって示されているような-力をロック部材42上に及ぼすことによってアンロックされる。そして、フック10は、多角形プロファイルリング14から係合解除される。多角形プロファイルリング14は、内部リング16を中心として自由に回転し、割出位置以外の位置に配置され得る。
【0111】
多角形プロファイルリング14は、当初は、割出位置に保持されている。潤滑化チャネル241は、外部潤滑化装置による供給を受けて、多角形プロファイルリング14の溝30、内部リング16のスロット16C、16D、及び中央リベット18のソケット18Bを潤滑剤で満たすようにはたらく。
【0112】
多角形プロファイルリング14は、その後、
図2の挿
図Bに示されているようにオペレータによって内部リング16を中心として回転させられる。多角形プロファイルリング14の第1の軸X1を中心とした回転方向の変位の角度的大きさは、180度未満である。好ましくは、多角形プロファイルリング14の第1の軸X1を中心とした回転方向の変位の角度的大きさは、90度未満であり、好ましくは70度未満である。
【0113】
多角形プロファイルリング14が第1の軸X1を中心として回転させられているとき、リング14のボアの溝30は、内部リング16の外縁面16Bに対向しつつ運動する。より詳細には、溝30は、潤滑剤で満たされており、スロット16C、16Dを含まない外縁面16Bの領域に潤滑剤を置く。ガイド壁46は、平坦であり、かつ、多角形プロファイルを有するリング14の側部14Aとの接触を維持され、内部リング16の環状側部16Eとの接触を維持されている。それにより、多角形プロファイルリング14の角度位置によらず、潤滑剤が溝30内に含有される。多角形プロファイルリング14の回転運動は、内部リング16の外縁面16Bの開口部に潤滑剤を提供するようにはたらくのである。有利には、多角形プロファイルリング14の回転運動は、割出レリーフ26がフランジ12、12’に干渉することなくして、ガイドシート48、48’同士の間で実行される。フランジ12、12’の下縁部12C、12’Cは、有利には、ガイド壁46の平面内である。
【0114】
それにより、固定具8の潤滑化回路は、内部リング16のボア16Aの表面全体及び内部リング16の外縁面全体を潤滑化する。綜絖枠2の力を伝達するように意図された固定具8のすべての接触面が、潤滑化されるのである。
【0115】
固定具8の摩耗を測定するためのツールが、
図6において、固定具8と共に使用する2つの構成で、固定具8と共に示されている。摩耗を測定するためのツールは、フック68、ラッチ69、操縦部材70、及びトグル72を含んでいる。この測定ツールは、固定具8と協働し、より詳細には、多角形プロファイルリング14と協働し、固定具8の摩耗を測定することができる。
【0116】
フック68は、フック10と同等の幾何形状を有しており、多角形プロファイルリング14の周囲との係合位置に入る。ラッチ69はラッチ38と相似であり、多角形プロファイルがフック68との係合位置にある状態で、リング14を保持するようにはたらく。操縦部材70は、操縦部材42と相似であり、ラッチ69を、多角形プロファイルリング14と接触するように配置するようにはたらく。
【0117】
トグル72は、関節ピン74を備える丸みを帯びた板金である。関節ピン74は、フック68のロッド68A内の開口部(図示されてはいない)内に収容されている。トグル72は、関節ピン74の中心軸を中心として、フック68に対して自由に回転することができる。
【0118】
トグル72は、丸みを帯びた2つの周縁面72A及び72Bを備えている。第1の周縁面72Aは、曲率半径R1によって画定されており、第2の周縁面72Bは、曲率半径R2によって画定されている。曲率半径R1及びR2の原点は、ピン74の中心軸である。曲率半径R2は、曲率半径R1よりも厳密に小さい。
【0119】
摩耗測定ツールは、固定具8の摩耗が、より詳細には多角形プロファイルリング14の摩耗が、許容できるものであるか否かを決定するように用いられる。この目的のため、フック68は、操縦部材70によって多角形プロファイルリング14に係合される。その後、フック68は、フック装置4について記述されたように、ラッチ69によってロックされる。
【0120】
その後、オペレータは、アーム72Cを用いてトグル72を枢動させ、周縁面72A、72Bのうち一方を、固定具8のフランジ12’の下縁部12’Cに接触させることができる。
【0121】
図6の挿
図Aに示された第1の使用構成においては、固定具8は正常動作状態にあり、オペレータは、周縁面72Aをフランジ12’の下縁部12’Cとの接触に持ち込むことはできるが、周縁面72Bを下縁部12’Cとの接触に持ち込むことはできない。
【0122】
図6の挿
図Bに示された第2の構成では、固定具8は異常動作状態にあり、オペレータは、周縁面72Bを下縁部12’Cとの接触に持ち込むことはできるが、周縁面72Aを下縁部12’Cとの接触に持ち込むことはできない。
【0123】
トグルによって形成されたツールが、固定具8が異常動作状態にあることを検出した場合、固定具8は綜絖枠2から取外され、整備に送られるか又は交換される。
【0124】
フック装置4’は、フック装置4’の固定具60が異なる形状を有しているという点において、フック装置4とは異なっている。
【0125】
より詳細には、固定具60のフランジ62は矩形形状を有しており、綜絖枠2の横材2C上に取付けられた水平バー2Bに、3つのリベット64によって取付けられている。フランジ62の取付壁は、綜絖枠2を保持している。多角形プロファイルリング14の側部をガイドするように構成されたガイド壁は、取付壁とそれぞれ連続である。
【0126】
上記の差異を除けば、フック装置4’は、フック装置4と相似である。
【0127】
変形例(図示されてはいない)によれば、多角形プロファイルリング14は、溝30の他の配置を備えている。特に、溝30の数、その深さ、その形状、ボア15上におけるその分布等が異なっている場合があり、そしてそれらは、目標とするウィービングの適用例に従って寸法決めされるべきである。
【0128】
他の変形例(図示されてはいない)によれば、内部リング16は、異なる幾何形状及び配置を有するスロットを備えている。例えば、スロットの形状、範囲、及び数は、綜絖枠2の力を伝達することを意図された固定具8のすべての接触面の潤滑化が保証される限りにおいて、異なってよい。
【0129】
杼口形成機は、本発明とは関係がない形で、かつ本発明に適合可能な形で、カム機、回転式ドビー、又は枠アクチュエータ等を含む。
【0130】
他の変形例(図示されてはいない)によれば、ガイドシート48、48’は、異なる幾何形状及び異なる配置を有している。例えば、エンボス加工部が異なる形状を有しており、ガイドシートがフランジの自由側縁部上に形成されてはおらず、同じフランジの複数のガイドシートがエンボス加工部を有している。
【0131】
技術的に可能な限りにおいて、上記の変形例は互いに組み合わせられ得る。
【外国語明細書】