(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173798
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ラジアルタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 9/18 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B60C9/18 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024087962
(22)【出願日】2024-05-30
(31)【優先権主張番号】18/325421
(32)【優先日】2023-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513158760
【氏名又は名称】ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】上横 清志
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ウィリアム シェレンバーガー、 ザ セカンド
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131AA34
3D131AA35
3D131AA37
3D131BB05
3D131BC05
3D131BC22
3D131BC34
3D131DA34
3D131DA43
3D131DA44
3D131DA45
3D131KA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】回転時にトレッド表面の大径化を防止し、異物等による切断に対する耐久性を高め、タイヤの重量を低減した航空機用ラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】ラジアルタイヤにおける、半径方向においてカーカスとトレッド部との間に配置されているベルト構造は、主ベルト層と、主ベルト層の半径方向外側に配置された第1の非補強ゴム層と、主ベルト層内に配置された第2の非補強ゴム層と、第1の非補強ゴム層の半径方向外側であってトレッド部の半径方向内側に配置された保護ベルト層と、を有する。主ベルト層の半径方向最外側の層は、それぞれが直径を有する複数の補強コードを有し、第1および第2の非補強ゴム層は、その直径に対して、第1および第2の半径方向厚さをそれぞれ有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対のビードコアと、
一方の前記ビードコアから他方の前記ビードコアまで環状に延びる1つまたは複数のカーカスプライを有するカーカスと、
環状の前記カーカスを周方向に取り囲むトレッド部と、
半径方向において前記カーカスと前記トレッド部との間に配置されているベルト構造と、を含み、
前記ベルト構造は、主ベルト層と、前記主ベルト層の半径方向外側に配置された第1の非補強ゴム層と、前記主ベルト層の内部に配置された第2の非補強ゴム層と、前記第1の非補強ゴム層の半径方向外側であって前記トレッド部の半径方向内側に配置された保護ベルト層と、を有し、前記主ベルト層の半径方向最外側のベルトプライは、それぞれが直径を有する複数の補強コードを有し、前記第1の非補強ゴム層は、前記主ベルト層の前記半径方向最外側のベルトプライの複数の前記補強コードの前記直径の0.5倍から4.0倍までの間の第1の半径方向厚さを有し、前記第2の非補強ゴム層は、前記主ベルト層の前記半径方向最外側のベルトプライの複数の前記補強コードの前記直径の0.5倍から2.5倍までの間の第2の半径方向厚さを有することを特徴とする、ラジアルタイヤ。
【請求項2】
前記第2の非補強ゴム層は、前記主ベルト層の前記半径方向最外側のベルトプライの複数の前記補強コードの前記直径の0.5倍から1.5倍までの間の第2の半径方向厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載のラジアルタイヤ。
【請求項3】
前記第2の非補強ゴム層は、前記ベルト構造の全体の軸方向幅の0.5倍から1.1倍までの範囲内の第2の軸方向幅を有することを特徴とする、請求項1に記載のラジアルタイヤ。
【請求項4】
前記第1の非補強ゴム層は、前記主ベルト層の前記半径方向最外側のベルトプライの複数の前記補強コードの前記直径の0.5倍から3.0倍までの範囲内の第1の半径方向厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載のラジアルタイヤ。
【請求項5】
前記主ベルト層の前記半径方向最外側のベルトプライの複数の前記補強コードは、複数の有機繊維の複合コードであることを特徴とする、請求項1に記載のラジアルタイヤ。
【請求項6】
前記カーカスが有機繊維コードを有することを特徴とする、請求項1に記載のラジアルタイヤ。
【請求項7】
前記第2の非補強ゴム層の半径方向内側または前記第2の非補強ゴム層の半径方向外側で、前記主ベルト層の内部に配置されている第3の非補強ゴム層をさらに有することを特徴とする、請求項1に記載のラジアルタイヤ。
【請求項8】
前記第3の非補強ゴム層は、前記主ベルト層の前記半径方向最外側のベルトプライの複数の前記補強コードの前記直径の0.5倍から2.5倍までの範囲内の第3の半径方向厚さを有することを特徴とする、請求項7に記載のラジアルタイヤ。
【請求項9】
前記第3の非補強ゴム層は、前記主ベルト層の前記半径方向最外側のベルトプライの複数の前記補強コードの前記直径の0.5倍から1.5倍までの範囲内の第3の半径方向厚さを有することを特徴とする、請求項7に記載のラジアルタイヤ。
【請求項10】
前記第3の非補強ゴム層は、前記ベルト構造の全体の軸方向幅の0.5倍から1.1倍までの間の第3の軸方向幅を有することを特徴とする、請求項7に記載のラジアルタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジアルタイヤに関し、特に、航空機に適しており、異物等による航空機用タイヤの切断を軽減し、航空機用タイヤの重量を低減することができるラジアルタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の航空機用ラジアルタイヤは、離着陸時に高い内圧、高負荷、および時速200マイルを超える高速で用いられることがある。タイヤがこのような高速で回転すると、大きい角加速度および速度により、タイヤのクラウン領域が半径方向外側に拡大することがある。トレッドが半径方向外側に拡大すると、トレッドゴムはタイヤの周方向に伸びることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タイヤが異物を乗り越えた場合、タイヤのいわゆる「エンベローピング特性」が損なわれることがある。トレッドゴムがタイヤの周方向に伸びると、異物に対する抵抗力が弱くなることがある。さらに、踏みつけられたこのような異物はトレッドに容易に入り込み、タイヤを損傷する可能性がある。
【0005】
タイヤのクラウン領域の拡大量が、タイヤの向かい合うショルダー部よりも大きくなると、タイヤの直径に違いが生じる可能性がある。この直径の違いにより、回転するタイヤに引き摺り現象が生じる可能性がある。その結果、トレッドのショルダー領域は、トレッドのクラウン領域よりも早く摩耗し、それによってトレッドとタイヤの寿命が短くなる可能性がある。この現象は偏摩耗と呼ばれる。
【0006】
トレッドの拡大変形を抑制することによりトレッドのエンベローピング特性とトレッドの摩耗特性とを向上させるために、従来のラジアルタイヤは、トレッドゴム層とクラウン領域のカーカスとの間に配置されたベルト構造を含んでいる場合がある。ベルト構造は、トレッドのクラウン領域の拡大変形を制限することができる。
【0007】
前述した点を考慮すると、本発明の目的は、回転時にトレッド表面の直径が大きくなることを防止し、異物等により生じる切断に対する耐久性を高め、かつ、タイヤの重量を低減した航空機用ラジアルタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るラジアルタイヤは、1対のビードコアと、一方の前記ビードコアから他方の前記ビードコアまで環状に延びる1つまたは複数のカーカスプライを有するカーカスと、環状の前記カーカスを周方向に取り囲むトレッド部と、半径方向において前記カーカスと前記トレッド部との間に配置されているベルト構造と、を含み、前記ベルト構造は、主ベルト層と、前記主ベルト層の半径方向外側に配置された第1の非補強ゴム層と、前記主ベルト層の内部に配置された第2の非補強ゴム層と、前記第1の非補強ゴム層の半径方向外側であって前記トレッド部の半径方向内側に配置された保護ベルト層と、を有し、前記主ベルト層の半径方向最外側のベルトプライは、それぞれが直径を有する複数の補強コードを有し、前記第1の非補強ゴム層は、前記主ベルト層の前記半径方向最外側のベルトプライの複数の前記補強コードの前記直径の0.5倍から4.0倍までの間の第1の半径方向厚さを有し、前記第2の非補強ゴム層は、前記主ベルト層の前記半径方向最外側のベルトプライの複数の前記補強コードの前記直径の0.5倍から2.5倍までの間の第2の半径方向厚さを有する。
【0009】
ラジアルタイヤの他の態様によると、前記第2の非補強ゴム層は、前記主ベルト層の前記半径方向最外側のベルトプライの複数の前記補強コードの前記直径の0.5倍から1.5倍までの間の第2の半径方向厚さを有する。
【0010】
ラジアルタイヤのさらに他の態様によると、前記第2の非補強ゴム層は、前記ベルト構造の全体の軸方向幅の0.5倍から1.1倍までの範囲内の第2の軸方向幅を有する。
【0011】
ラジアルタイヤのさらに他の態様によると、前記第1の非補強ゴム層は、前記主ベルト層の前記半径方向最外側のベルトプライの複数の前記補強コードの前記直径の0.5倍から3.0倍までの範囲内の第1の半径方向厚さを有する。
【0012】
ラジアルタイヤのさらに他の態様によると、前記主ベルト層の前記半径方向最外側のベルトプライの複数の前記補強コードは、複数の有機繊維の複合コードである。
【0013】
ラジアルタイヤのさらに他の態様によると、前記カーカスが有機繊維コードを有する。
【0014】
ラジアルタイヤの他の態様によると、ラジアルタイヤは、前記第2の非補強ゴム層の半径方向内側で、前記主ベルト層の内部に配置されている第3の非補強ゴム層をさらに有する。
【0015】
ラジアルタイヤのさらに他の態様によると、ラジアルタイヤは、前記第2の非補強ゴム層の半径方向外側で、前記主ベルト層の内部に配置されている第3の非補強ゴム層をさらに有する。
【0016】
ラジアルタイヤのさらに他の態様によると、前記第3の非補強ゴム層は、前記主ベルト層の前記半径方向最外側のベルトプライの複数の前記補強コードの前記直径の0.5倍から2.5倍までの範囲内の第3の半径方向厚さを有する。
【0017】
ラジアルタイヤの他の態様によると、前記第3の非補強ゴム層は、前記主ベルト層の前記半径方向最外側のベルトプライの複数の前記補強コードの前記直径の0.5倍から1.5倍までの範囲内の第3の半径方向厚さを有する。
【0018】
ラジアルタイヤのさらに他の態様によると、前記第3の非補強ゴム層は、前記ベルト構造の全体の軸方向幅の0.5倍から1.1倍までの間の第3の軸方向幅を有する。
【0019】
本発明に係る他のラジアルタイヤは、1対のビードコアと、一方の前記ビードコアから他方の前記ビードコアまで環状に延びる1つまたは複数のカーカスプライを有するカーカスと、環状の前記カーカスを周方向に取り囲むトレッド部と、半径方向において前記カーカスと前記トレッド部との間に配置されているベルト構造と、を含み、前記ベルト構造は、主ベルト層と、前記主ベルト層の半径方向外側に配置された第1の非補強ゴム層と、前記主ベルト層の内部に配置された第2の非補強ゴム層と、前記主ベルト層の内部に配置された第3の非補強ゴム層と、前記第1の非補強ゴム層の半径方向外側であって前記トレッド部の半径方向内側に配置された保護ベルト層と、を有し、前記主ベルト層の半径方向最外側のベルトプライは、それぞれが直径を有する複数の補強コードを有し、前記第1の非補強ゴム層は、前記主ベルト層の前記半径方向最外側のベルトプライの複数の前記補強コードの前記直径の0.5倍から4.0倍までの間の第1の半径方向厚さを有し、前記第2の非補強ゴム層は、前記主ベルト層の前記半径方向最外側のベルトプライの複数の前記補強コードの前記直径の0.5倍から2.5倍までの間の第2の半径方向厚さを有し、前記第3の非補強ゴム層は、前記主ベルト層の前記半径方向最外側のベルトプライの複数の前記補強コードの前記直径の0.5倍から2.5倍までの間の第3の半径方向厚さを有する。
【0020】
ラジアルタイヤの他の態様によると、前記第3の非補強ゴム層は、前記第2の非補強ゴム層の半径方向内側に配置されている。
【0021】
ラジアルタイヤのさらに他の態様によると、前記第3の非補強ゴム層は、前記第2の非補強ゴム層の半径方向外側に配置されている。
【0022】
ラジアルタイヤのさらに他の態様によると、前記第2の非補強ゴム層は、前記主ベルト層の前記半径方向最外側のベルトプライの複数の前記補強コードの前記直径の0.5倍から1.5倍までの範囲内の第2の半径方向厚さを有する。
【0023】
ラジアルタイヤのさらに他の態様によると、前記第3の非補強ゴム層は、前記主ベルト層の前記半径方向最外側のベルトプライの複数の前記補強コードの前記直径の0.5倍から1.5倍までの範囲内の第3の半径方向厚さを有する。
【0024】
ラジアルタイヤの他の態様によると、前記第2および第3の非補強ゴム層は、前記ベルト構造の全体の軸方向幅の0.5倍から1.1倍までの範囲内の第2および第3の軸方向幅をそれぞれ有する。
【0025】
[定義]
「エイペックス」は、ビードコアの半径方向上方で、プライと折り返しプライとの間に位置するエラストマーフィラーを意味する。
【0026】
「環状」は、リング状に形成されていることを意味する。
【0027】
「アスペクト比」は、タイヤの断面高さの断面幅に対する比を意味する。
【0028】
「ビード断面のアスペクト比」は、ビードの断面高さの断面幅に対する比を意味する。
【0029】
「非対称トレッド」は、タイヤの中心面または赤道面(EP)を中心として対称でないトレッドパターンを有するトレッドを意味する。
【0030】
「軸方向」および「軸方向に」は、タイヤの回転軸に平行な線または方向を指す。
【0031】
「ビード」は、プライコードで包まれた環状の引張部材を含み、フリッパー、チッパー、エイペックス、トーガード、チェーファーなどの他の補強部材を含んでいても含んでいなくてもよい、設計リムに適合するように成形されたタイヤの部分を意味する。
【0032】
「ベルト構造」は、トレッドの下にあり、ビードに固定されておらず、タイヤの赤道面(EP)に対して傾斜したコードを有し、織られていても織られていなくてもよい、平行なコードの少なくとも2つの環状の層またはプライを意味する。ベルト構造は、制限層として機能する、比較的小さい角度で傾斜した平行なコードのプライも含んでいてよい。
【0033】
「バイアスタイヤ」(クロスプライ)は、カーカスプライ内の補強コードが、タイヤの赤道面(EP)に対して約25°から約65°の角度でビードからビードまでタイヤを斜めに横切って延びているタイヤを意味する。複数のプライが存在する場合、プライコードは交互に反対の角度で層をなす。
【0034】
「ブレーカー」は、タイヤの赤道面(EP)に対して、カーカスプライ内の平行な補強コードと同じ角度を有する平行な補強コードの、少なくとも2つの環状の層またはプライを意味する。ブレーカーは通常、バイアスタイヤに関連するものである。
【0035】
「ケーブル」は、層状になった2本以上の糸を一緒に撚り合わせて作られたコードを意味する。
【0036】
「カーカス」は、ベルト構造、トレッド、アンダートレッド、プライの上方のサイドウォールゴムを除くが、ビードを含むタイヤ構造を意味する。
【0037】
「ケーシング」は、カーカス、ベルト構造、ビード、サイドウォール、およびトレッドとアンダートレッドを除くその他のすべてのタイヤ構成部品、すなわちタイヤ全体を意味する。
【0038】
「チッパー」は、ビード領域内に位置する布またはスチールコードの細い帯を指し、その機能はビード領域を補強し、サイドウォールの半径方向において最も内側の部分を安定させることである。
【0039】
「円周方向」および「円周方向に」は、赤道面(EP)に平行で軸方向に垂直な、環状タイヤの表面の周囲に沿って延びる線または方向を意味する。これは、断面を見た場合に、トレッドの軸方向の曲率を定義する半径を有する隣接する円曲線の組の方向を指すこともある。
【0040】
「コード」は、タイヤの補強構造を構成する補強ストランドの1つを意味する。
【0041】
「コード角度」は、タイヤの平面図においてコードが赤道面(EP)に対して形成する左または右の鋭角を意味する。「コード角度」は、硬化しているが膨張していないタイヤにおいて測定される。
【0042】
「クラウン」は、タイヤのトレッドの幅の両端部内にあるタイヤの部分を意味する。
【0043】
「デニール」は、9000メートルあたりのグラム単位の重量を意味する(線密度を表す単位)。「Dtex」は、1000メートルあたりのグラム単位の重量を意味する。
【0044】
「密度」は、単位長さあたりの重量を意味する。
【0045】
「エラストマー」は、変形後に大きさと形状を回復できる弾性材料を意味する。
【0046】
「赤道面(EP)」は、タイヤの回転軸に対して垂直でトレッドの中心を通る平面、またはトレッドの円周方向中心線を含む平面を意味する。
【0047】
「布」は、基本的に一定方向に延びるコードからなる網状の織物を意味し、この網状の織物は撚り合わせられたものであってよく、また、高弾性率材料の多数のフィラメント(撚り合わせられていてもよい)から構成されている。
【0048】
「繊維」は、フィラメントの基本要素を形成する自然または人工の物質の単位であり、長さが直径または幅の少なくとも100倍であることを特徴とする。
【0049】
「フィラメントカウント」は、糸を構成するフィラメントの数を意味する。例:1000デニールのポリエステルは約190本のフィラメントを有する。
【0050】
「フリッパー」は、強度を高め、ビードワイヤーをタイヤ本体に固定するための、ビードワイヤーの周囲の補強用布を指す。
【0051】
「フットプリント」は、速度ゼロで通常の荷重と圧力がかかった状態で平らな表面と接触する、タイヤのトレッドの接触区画または接触領域を意味する。
【0052】
「ゲージ」は、一般的には測定値を指し、具体的には厚さの測定値を指す。
【0053】
「溝」は、トレッドの周りで、周方向または横方向に、直線状、曲線状、またはジグザグ状に延びる、トレッド内の細長い空隙領域を意味する。周方向および横方向に延びる溝は共通部分を有する場合がある。「溝幅」は、溝または溝部分が占めるトレッド表面を、その溝または溝部分の長さで割った値であってよい。したがって、溝幅は、その長さにわたっての幅の平均値である。タイヤの溝の深さは様々である。溝の深さはトレッドの円周に沿って変化していてよく、また、1つの溝の深さは一定であるが、タイヤ内の別の溝の深さとは異なっていてもよい。このような狭いまたは広い溝が、相互に接続している周方向の広い溝と比較して実質的に深さが浅い場合には、それらは、関連するトレッド領域にリブのような特徴を維持する傾向がある「タイバー」を形成しているとみなすことができる。ここで使用される溝は、タイヤの接地区画、すなわちフットプリント内で開口したままであるために十分な大きさの幅を有するように意図されている。
【0054】
「高張力鋼(HT)」は、0.20mmのフィラメント直径で少なくとも3400MPaの引張強度を持つ炭素鋼を意味する。
【0055】
「内側」はタイヤの内部に向かうことを意味し、「外側」はタイヤの外部に向かうことを意味する。
【0056】
「インナーライナー」は、チューブレスタイヤの内面を形成し、タイヤ内に膨張用液体を収容できる、エラストマーまたはその他の材料の1つまたは複数の層を意味する。
【0057】
「機内側」は、タイヤがホイールに取り付けられて、ホイールが乗物に取り付けられた時に、タイヤの乗物に最も近い側を意味する。
【0058】
「LASE」は、特定の伸びの時の荷重を意味する。
【0059】
「横方向」は、軸方向を意味する。
【0060】
「撚り合わせ長さ」は、撚られるフィラメントまたはストランドが別のフィラメントまたはストランドの周りを360度回転するために移動する距離を意味する。
【0061】
「荷重範囲」は、タイヤ・リム協会の表で定義されている、特定の種類の用途で用いられる所定のタイヤの荷重および膨張の限界を意味する。
【0062】
「メガ高張力鋼(MT)」は、0.20mmのフィラメント直径で少なくとも4500MPaの引張強度を持つ炭素鋼を意味する。
【0063】
「正味接触面積」は、所定の境界縁部間の地面接触部分の合計面積を、トレッドの全周にわたって測定された境界縁部間の総面積で割った値を意味する。
【0064】
「ネット対グロス比」は、トレッドの全周にわたるトレッドの横方向縁部間の地面接触部分の合計面積を、トレッドの全周の横方向縁部間の総面積で割った値を意味する。
【0065】
「非方向性トレッド」は、前進に好ましい向きはなく、トレッドパターンが走行に好ましい位置に確実に揃うように乗物の1つまたは複数の特定のホイール位置に配置する必要はないトレッドを意味する。逆に、方向性のあるトレッドパターンは、特定のホイール位置を必要とする、走行に好ましい方向がある。
【0066】
「通常荷重」は、タイヤの使用条件に応じて、適切な標準化機関によって指定された特定の設計膨張圧力および荷重を意味する。
【0067】
「通常張力鋼(NT)」は、0.20mmのフィラメント直径で少なくとも2800MPaの引張強度を持つ炭素鋼を意味する。
【0068】
「機外側」は、タイヤがホイールに取り付けられて、ホイールが乗物に取り付けられた時に、タイヤの乗物から最も遠い側を意味する。
【0069】
「プライ」は、ゴムで被覆され、放射状に配置されるか、または平行なコードで補強された層を意味する。
【0070】
「半径方向」および「半径方向に」は、放射状にタイヤの回転軸に向かう方向、または放射状にタイヤの回転軸から離れる方向を意味する。
【0071】
「ラジアルプライ構造」は、1つ以上のカーカスプライ、または少なくとも1つのプライを有する構造を意味する。
【0072】
「ラジアルプライタイヤ」は、少なくとも1つのプライが、ビードからビードまで延びてタイヤの赤道面(EP)に対して65°から90°までの間のコード角度で配置されているコードを有している、ベルトが付けられるか、または周方向に制限された空気入りタイヤを意味する。
【0073】
「リブ」は、少なくとも1つの周方向溝と、同様な第2の溝または横方向縁部とによって画定されており、横方向には完全な深さの溝によって分割されていない、トレッド上の周方向に延びるゴムのストリップを意味する。
【0074】
「リベット」は、層内のコード間の空きスペースを意味する。
【0075】
「断面高さ」は、公称リム直径からタイヤの赤道面(EP)における外径までの半径方向の距離を意味する。
【0076】
「断面幅」は、タイヤを通常の圧力で24時間膨張させた後であって、荷重がかかっていない状態での、ラベル、装飾、または保護バンドによるサイドウォールの隆起を除く、サイドウォールの外側同士の間の、タイヤの軸に平行な最大直線距離を意味する。
【0077】
「自立型ランフラット」は、タイヤが膨張していない状態で、限られた時間だけ、限られた速度で動作するときに、タイヤ構造のみで乗物の荷重を支えるのに十分な強度を持つ構造を有する種類のタイヤである。(例えば内部構造を持たない)タイヤ構造のみによって、タイヤのサイドウォールおよび内面が潰れたり座屈したりしない。
【0078】
「サイドウォールインサート」は、タイヤのサイドウォール領域に配置されたエラストマーまたはコード補強材を意味する。インサートは、タイヤの外面を形成するカーカス補強プライおよび外側サイドウォールゴムに追加されていてよい。
【0079】
「サイドウォール」は、タイヤのトレッドとビードの間の部分を意味する。
【0080】
「サイプ」または「切り込み」は、トレッド表面を細分化して牽引力を向上させる、タイヤのトレッド部材に成形された小さなスロットを意味する。サイプは、溝とは区別されるように、接地区画、すなわちフットプリント内にある時に閉じるように構成されていてよい。
【0081】
「ばね定数」は、与えられた圧力における荷重たわみ曲線の傾きとして表されるタイヤの剛性を意味する。
【0082】
「剛性比」は、コードの両端を支持して両固定端の間の中心に加わる荷重によって曲げる固定3点曲げ試験によって決定された、制御ベルト構造の剛性の値を別のベルト構造の剛性の値で割った値を意味する。
【0083】
「スーパー高張力鋼(ST)」は、0.20mmのフィラメント直径で少なくとも3650MPaの引張強度を持つ炭素鋼を意味する。
【0084】
「テナシティ」は、ひずみのない試験片の単位線密度あたりの力として表される応力である(gm/texまたはgm/デニール)。繊維製品において使用される。
【0085】
「張力」は、力/断面積で表される応力である。psi単位の強度は12,800×比重×テナシティ(デニール当たりグラム)。
【0086】
「トーガード」は、各ビードの軸方向内側の、周方向に配置されたタイヤのエラストマーのリムと接触する部分を指す。
【0087】
「トレッド」は、タイヤケーシングに接合された時に、タイヤが通常通りに膨張して通常の荷重を受けると路面と接触するタイヤの部分を含む成形ゴム部品を意味する。
【0088】
「トレッド部材」または「牽引部材」は、リブまたはブロック部材を意味する。
【0089】
「トレッド幅」は、タイヤの回転軸を含む平面におけるトレッド表面の円弧の長さを意味する。
【0090】
「折り返し端部」は、カーカスプライの、プライが周りに巻かれているビードから上向き(すなわち半径方向外側)に曲がる部分を意味する。
【0091】
「ウルトラ高張力鋼(UT)」は、0.20mmのフィラメント直径で少なくとも4000MPaの引張強度を持つ炭素鋼を意味する。
【0092】
「垂直方向のたわみ」は、荷重がかかったときにタイヤがたわむ量を意味する。
【0093】
「糸」は、繊維製品の繊維またはフィラメントの連続したストランドの総称である。糸は以下の形態で生じる。(1)一緒に撚り合わせられた多数のフィラメント、(2)撚り合わせられずに一緒に置かれた多数のフィラメント、(3)ある程度撚り合わせられて一緒に置かれた多数のフィラメント、(4)撚られていても撚られていなくてもよい単一のフィラメント(モノフィラメント)、および(5)撚られていても撚られていなくてもよい材料の狭いストリップ。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【
図1】一実施例の航空機用ラジアルタイヤの半分の断面図である。
【
図2】
図1の実施例の航空機用ラジアルタイヤの半分の部分断面図である。
【
図3】他の実施例の航空機用ラジアルタイヤの半分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
本発明の実施例を、添付の図面を参照して以下に説明する。
【0096】
本発明の実施例を説明する図面中の部材の形状、寸法、または数は、単なる例示であり、限定するものではない。また、図面中の同様な参照数字は同様な部材を指している。
【0097】
図1は、本発明の一実施例の航空機用ラジアルタイヤ10の半分の断面図を示している。タイヤ10は赤道面(EP)を中心として対称であるため、タイヤ10の半分のみが示されている。図示されているように、タイヤ10は、ビードコア14がそれぞれ埋め込まれている1対のビード部12を有していてよい。各ビードコア14は円形の断面を有していてよい。各ビードコア14は、中央部分にアルミニウム、アルミニウム合金、またはその他の軽量合金を有していてよく、中央部分を囲む複数の鋼製シースワイヤを有していてよい。当業者は、他のビードコアを用いることもできることが分かるであろう。
【0098】
タイヤ10は、ビード部12の各々から実質的に半径方向外側に延びるサイドウォール部11と、サイドウォール部11の半径方向外側端部同士の間を実質的に軸方向に延びるトレッド部18と、をさらに含んでいてよい。さらに、タイヤ10は、一方のビード部12から他方のビード部12まで環状に延びるカーカス16を含んでいてよい。カーカス16は、1つのカーカスプライ22または複数のカーカスプライ22、例えば6つ以上のカーカスプライ22を含んでいてよい。
図1の実施例のタイヤ10では、タイヤ10は6つのカーカスプライ22を含む。1つのカーカスプライ22または複数のカーカスプライ22をビード部12の周りに巻き付けて折り返し部を形成してもよい。また、1つのカーカスプライ22または複数のカーカスプライ22は、タイヤ10の半径方向に配置されてビードコア14によって保持された、ゴムでコーティングされた有機繊維コードを含んでいてよい。なお、フリッパー、チェーファー、チッパーなど、その他の構造は従来の構造と同じであってよいので、
図1には示されていないことに留意して欲しい。
【0099】
1つのカーカスプライ22または複数のカーカスプライ22の各々は、一実施例では、引張破壊強度が6.3cN/dtex以上であり、伸長方向の荷重が0.2cN/dtexである場合の伸び率が0.2%~1.8%であり、伸長方向の荷重が1.0cN/dtexである場合の伸び率が1.4%~6.4%であり、伸長方向の荷重が2.9cN/dtexである場合の伸び率が2.1%~8.6%である有機繊維コードを用いていてよい。1つのカーカスプライ22または複数のカーカスプライ22の各々の有機繊維コードは、内層係数が0.12~0.85、または0.17~0.51であり、外層係数が0.4~0.85である芳香族ポリアミド繊維であってよい。
【0100】
1つのカーカスプライ22または複数のカーカスプライ22の各々は、他の実施例では、引張破壊強度が6.3cN/dtex以上であり、伸長方向の荷重が0.3cN/dtexである場合の伸び率が0.2%~2.0%であり、伸長方向の荷重が2.1cN/dtexである場合の伸び率が1.5%~7.0%であり、伸長方向の荷重が3.2cN/dtexである場合の伸び率が2.2%~9.3%である有機繊維コードを用いていてよい。1つのカーカスプライ22または複数のカーカスプライ22の各々の有機繊維コードは、内層係数が0.12~0.85、または0.17~0.51であり、外層係数が0.4~0.85である芳香族ポリアミド繊維であってよい。
【0101】
1つのカーカスプライ22または複数のカーカスプライ22の各々の有機繊維コードは、芳香族ポリアミド繊維と脂肪族ポリアミド繊維とを含む複合コードまたはハイブリッドコードであってよい。芳香族ポリアミド繊維と脂肪族ポリアミド繊維との重量比は、100:27から100:255までの間であってよい。さらに、複合コードの一部または全部にナイロンが用いられていてよい。
【0102】
例示されている航空機用ラジアルタイヤ10は、カーカス16とトレッド部18との間に放射状に配置されたベルト構造20も有していてよい。
図1および
図2は、例示されているタイヤ10に用いるのに適したベルト構造20の一実施例の半分を示す。ベルト構造20は、全体の軸方向幅AWを有していてよい。ベルト構造20は、主ベルト層26と保護ベルト層28とを含んでいてよい。主ベルト層26は保護ベルト層28の半径方向内側に配置されていてよく、それにより主ベルト層26はベルト構造20の半径方向内側に配置され、保護ベルト層28はベルト構造20の半径方向外側に配置される。主ベルト層26は軸方向幅AWMを有していてよく、保護ベルト層28は軸方向幅AWPを有していてよい。
図1および
図2の実施例では、主ベルト層26の軸方向幅AWMは、ベルト構造20の全体の軸方向幅AWである。保護ベルト層28の軸方向幅AWPは、主ベルト層26の軸方向幅AWMに比べて小さくても大きくてもよい。いくつかの実施例では、保護ベルト層28の軸方向幅AWPと主ベルト層26の軸方向幅AWMとの比は、0.30から1.10までの間であってよい。他の実施例では、保護ベルト層28の軸方向幅AWPは、主ベルト層26の軸方向幅AWMの72パーセントであってよい。
【0103】
主ベルト層26は、例えば2つから16までの範囲内の複数のベルトプライを含んでいてよい。ベルトプライの幅は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。さらに、一実施例では、主ベルト層26の複数のベルトプライの各々は、複数の補強コードを含むように形成されていてよく、複数の補強コードは、1つまたは複数の有機繊維コードを含む。さらに、他の実施例では、主ベルト層26の半径方向最外側のベルトプライは、複数の補強コードを含むように形成され、複数の補強コードは、1つまたは複数の有機繊維コードを含む。前述したいずれの実施例においても、複数の補強コードは直径を有していてよい。複数の補強コードのそれぞれの直径は1.02mmであってよい。また、前述したいずれの実施例においても、複数の補強コードは、タイヤ10の赤道面EPに対して1度から45度までの範囲内、または10度から45度までの範囲内のコード角度を有していてよい。また、前述したいずれの実施例においても、複数の補強コードが複数の有機繊維コードを含む場合、複数の有機繊維コードの密度は、4.0コード/10mmから10.0コード/10mmまでの範囲内、または7.0コード/10mmであってよい。
【0104】
主ベルト層26の複数の補強コードが1つまたは複数の有機繊維コードを含んでいる実施例では、1つまたは複数の有機繊維コードは、芳香族ポリアミド繊維と脂肪族ポリアミド繊維とを含む複合コードまたはハイブリッドコードであってよい。芳香族ポリアミド繊維と脂肪族ポリアミド繊維との重量比は、100:27から100:255までの間であってよい。さらに、例示されている複合コードの一部または全部にナイロンが用いられていてよい。
【0105】
保護ベルト層28は、1つのベルトプライから形成されていてもよく、複数のベルトプライから形成されていてもよい。さらに、一実施例では、保護ベルト層28の1つまたは複数のベルトプライは、複数の補強コードを含むように形成されていてよく、複数の補強コードは、1つまたは複数の有機繊維コードを含む。参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,712,499号明細書に開示されているように、1つまたは複数の有機繊維コードは、ゴムでコーティングされ、巻かれた帯状の薄肉体を形成していてよく、この薄肉体が1回転、すなわち360度巻かれるごとに、薄肉体がベルトプライの軸方向両端部の間を往復し、薄肉体がタイヤ10の赤道面(EP)に対して0度~45度の角度だけ傾いてよく、このように巻くことを、薄肉体同士の間に隙間が生じないように、タイヤ10の周方向に薄肉体をその幅と実質的に同じ距離だけずらしながら多数回行ってよい(以下、これをジグザグ巻き無端ベルトと呼ぶ)。その結果、実質的にタイヤ10の周方向にジグザグ状に延びる1つまたは複数の有機繊維コードを、ベルトプライの軸方向両端部で曲げ方向を変えることにより、保護ベルト層28の1つまたは複数のベルトプライの全領域に実質的に均等に埋め込むことができる。保護ベルト層28の1つまたは複数のベルトプライの複数の補強コードも、主ベルト層26の複数のベルトプライの1つまたは複数の有機繊維コードのコード角度よりも大きい場合があるコード角度を有していてよい。
【0106】
保護ベルト層28において、いくつかの実施例では1つまたは複数の有機繊維コードであってよい複数の補強コードは、主ベルト層26の1つまたは複数の有機繊維コードであってよい複数の補強コードの弾性率以下の弾性率を有していてよい。例示される保護層28の有機繊維コードは、ナイロンなどの脂肪族ポリアミド繊維、またはアラミドなどの芳香族ポリアミド繊維とナイロンなどの脂肪族ポリアミド繊維との複合コードを含んでいてよい。保護ベルト層28は、1つまたは複数の有機繊維コードのコード角度がタイヤ赤道面に対して0度から45度までの範囲内、または10度の角度であるジグザグ巻き無端ベルトを含んでいてよい。
【0107】
図1および
図2に示すように、例示されている航空機用ラジアルタイヤ10は、(例えばコード補強材等がない)第1の非補強ゴム層30をさらに含んでいてよい。一実施例では、第1の非補強ゴム層30は、主ベルト層26の半径方向外側に配置されていてもよく、半径方向において主ベルト層26と保護ベルト層28との間に配置されていてもよい。第1の非補強ゴム層30は軸方向幅AW1を有していてよい。第1の非補強ゴム層30の半径方向の最小厚さは、2.0mmから10.0mmまでの範囲内、または4.6mmから10.0mmまでの範囲内、または4.5mmであってよい。第1の非補強ゴム層30は、全体の厚さが前述した範囲内にある複数の層を含んでいてよく、より具体的には、第1の非補強ゴム層30は、主ベルト層26の複数の補強コードの直径の0.5倍から4.0倍までの範囲内の半径方向厚さを有していてよい。保護ベルト層28は、第1の非補強ゴム層30の半径方向外側であってトレッド部18の半径方向内側に配置されていてよい。
【0108】
さらに、
図1および
図2に示すように、例示されているタイヤ10は、第2の非補強ゴム層32を含んでいてよい。一実施例では、第2の非補強ゴム層32は、主ベルト層26内に、したがって第1の非補強ゴム層30に対して半径方向内側に配置されていてよい。他の実施例では、第2の非補強ゴム層32が、主ベルト層26の内部であって、主ベルト層26の複数のベルトプライのうちの任意の2つの隣接するベルトプライの間に配置されていてよい。他の実施例では、第2の非補強ゴム層32は、主ベルト層26の内部であって、主ベルト層26の複数のベルトプライのうちの半径方向外側の、隣接する2つのベルト層の間に配置されていてよい。さらに、いくつかの実施例では、例示される航空機用ラジアルタイヤ10は、第2の非補強ゴム層32と同様な第3の非補強ゴム層34も含んでいてよい。このような実施例では、第2の非補強ゴム層32は、主ベルト層26の複数のベルトプライのうちの隣接する2つのベルトプライの間に配置されていてよく、第3の非補強ゴム層34は、第2の非補強ゴム層32のベルトプライより半径方向内側または半径方向外側にある、主ベルト層26の複数のベルトプライのうちの任意の隣接する2つのベルトプライの間に配置されていてよい。第2および第3の非補強ゴム層32,34の最小厚さは、1.0mmから4.0mmまでの範囲内、または2.0mmであってよい。また、いくつかの実施例では、第2および第3の非補強ゴム層32,34は複数の層をそれぞれ含んでいてよい。このような実施例では、第2および第3の非補強ゴム層32,34のそれぞれの全体の厚さは前述した範囲内であってよく、より具体的には、第2および第3の非補強ゴム層32,34のそれぞれの半径方向厚さは、主ベルト層26の複数の補強コードの直径の0.5倍から2.5倍までの範囲内であってよい。さらに、第2および第3の非補強ゴム層32,34は、それぞれ軸方向幅AW2,AW3を有していてよい。第2および第3の非補強ゴム層32,34のそれぞれの軸方向幅AW2,AW3は、ベルト構造20の全体の軸方向幅AW、すなわち、
図1および
図2に示すように主ベルト層26の軸方向幅AWMの0.3倍から1.1倍までの範囲内であってよい。
【0109】
図1および
図2の実施例では、第1の非補強ゴム層30は主ベルト層26の半径方向外側に配置され、第2の非補強ゴム層32は、半径方向において、主ベルト層26の複数のベルトプライのうちの、隣接する2つのベルト層の間に配置され、第3の非補強ゴム層34は、主ベルト層26の複数のベルトプライのうちの、第2の非補強ゴム層32が間に配置されているベルトプライより半径方向外側にある隣接する2つのベルトプライの間に配置されている。
【0110】
図3の実施例のラジアルタイヤ10は、第1の非補強ゴム層30および第2の非補強ゴム層32のみを含んでいる点を除いて、すべての点で
図1および
図2のタイヤ10と同じである。特に、第1の非補強ゴム層30は、主ベルト層26の半径方向外側に配置され、第2の非補強ゴム層32は、半径方向において、主ベルト層26の複数のベルトプライのうちの隣接する2つのベルトプライの間に配置されている。
【0111】
ゴム層30,32,34の前述した構成により、トレッド部18と保護ベルト層28と第1の非補強ゴム層30とを通り、主ベルト層26と第2の非補強ゴム層32と第3の非補強ゴム層34(または、
図3などその他の実施例では第2の非補強ゴム層32のみ)に異物が入り込んだ後の、例示されている航空機用ラジアルタイヤ10の修理方法が改善される。この修理プロセスは、タイヤ10の前述した部分に入り込んだ異物を除去することを含んでいてよい。次に、このプロセスは、任意の適切なバフ研磨手段を用いて、第1の非補強ゴム層30の表面および切断され損傷した領域内を研磨することを含んでいてよい。次に、このプロセスは、切断され損傷した部分を補修用ゴムで埋めることを含んでいてよい。異物が、主ベルト層26、第2の非補強ゴム層32、および第3の非補強ゴム層34内に至るまで(または、他の実施例では、第2の非補強ゴム層32内のみに至るまで)、例示されている航空機用ラジアルタイヤ10に侵入すると、補修用ゴムは第2の非補強ゴム層32および第3の非補強ゴム層34(または、他の実施例では、第2の非補強ゴム層32のみ)に接着できるため、補修用ゴムの接着性が向上する。
【0112】
ゴム層30,32,34の厚さが薄過ぎると、タイヤ10を再生する際に、主ベルト層26を損傷することなくゴム層30,32,34を除去することが困難になる場合がある。逆に、ゴム層30,32,34の厚さが厚過ぎると、タイヤの重量が増加するだけでなく、トレッド部18の発熱も大きくなり、いずれもタイヤ10の性能にとって不利である。第1の非補強ゴム層30の厚さにより、再生作業中に保護層28を除去することが可能である。
【0113】
本発明に係るタイヤ10について詳細に説明した。しかしながら、本発明は前述した実施例に限定されず、その実施例に様々な変更を施してよい。先の教示を踏まえて、本発明の多数の修正および変更が可能である。したがって、添付された特許請求の範囲内で、本発明は、本明細書に具体的かつ例示的に記載されたものとは異なる方法で実施できることが理解される。
【0114】
さらに、本明細書で提示される説明を踏まえて、本発明の変形例が可能である。特定の代表的な実施形態および詳細は、本発明の例示を目的として示されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更および修正をそれに加えることができることは、当業者には明らかであるだろう。したがって、記載された特定の実施例には、以下に添付される特許請求の範囲によって定義される本発明の意図された全範囲の中で変更が加えられてよいことが理解される。
【外国語明細書】