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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173803
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】バッテリセルを絶縁する方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/595 20210101AFI20241205BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20241205BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20241205BHJP
【FI】
H01M50/595
H01M50/588
H01M50/548 101
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024088045
(22)【出願日】2024-05-30
(31)【優先権主張番号】10 2023 205 063.3
(32)【優先日】2023-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 2, 38440 Wolfsburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス クウォチェク
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA04
5H043AA19
5H043CA04
5H043GA23
5H043GA27
5H043KA28D
5H043KA45D
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より低い材料コストに結びつくと共に簡単に実施され得る、バッテリセルを絶縁する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、バッテリセル(10)を絶縁する方法であって、バッテリセル(10)は、バッテリセル(10)の極の電気的な接触接続用の電気的なコンタクト部材(12)を備えたバッテリケーシングを有しており、バッテリセル(10)のバッテリケーシングの一部に絶縁層(14)を設け、バッテリケーシングの、電気的なコンタクト部材(12)と絶縁層(14)との間に配置された領域(16)に絶縁材料の断片(18)を接着し、これにより、バッテリケーシングのこの領域(16)を電気的に絶縁する、方法に関する。本方法は、絶縁材料を巻かれた条片(20)として提供し、巻かれた条片(20)から断片(18)を繰り出して切り離してから、断片(18)をバッテリケーシングに接着する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリセル(10)を絶縁する方法であって、
前記バッテリセル(10)は、該バッテリセル(10)の極の電気的な接触接続用の電気的なコンタクト部材(12)を備えたバッテリケーシングを有しており、
前記バッテリセル(10)の前記バッテリケーシングの一部に絶縁層(14)を設け、前記バッテリケーシングの、前記電気的なコンタクト部材(12)と前記絶縁層(14)との間に配置された領域(16)に絶縁材料の断片(18)を接着し、これにより、前記バッテリケーシングの前記領域(16)を電気的に絶縁する、方法において、
前記絶縁材料を巻かれた条片(20)として提供し、該巻かれた条片(20)から前記断片(18)を繰り出して切り離してから、該断片(18)を前記バッテリケーシングに接着することを特徴とする、方法。
【請求項2】
巻く前に、前記条片(20)に自己接着性のコーティングを施す、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記条片(20)を巻く前に、特に該条片(20)から該条片(20)のピースを打ち抜くことにより、前記条片(20)に切抜き部(19)を形成する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記コンタクト部材(12)が前記断片(18)に設けられた切抜き部(19)を通り抜け、前記断片(18)が前記コンタクト部材を取り囲むように、前記断片(18)を前記バッテリケーシングの前記領域に接着する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
複数の前記断片(18)を前記バッテリケーシングの前記領域(16)に互いに重なり合うように接着し、これにより、前記断片(18)を組み合わせて1つのまとまった断片ユニットを形成する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記断片(18)を組み合わせ、これにより、前記断片ユニットが各前記断片(18)により包囲された切抜き部(19)を有しており、該切抜き部(19)を前記コンタクト部材(12)が通り抜け、これにより、前記断片ユニットが前記コンタクト部材(12)を取り囲むようにする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
それぞれ異なる幅を有する複数の、特に2つの巻かれた前記条片(20)を提供し、該複数の巻かれた条片(20)から前記断片(18)を繰り出して切り離し、それぞれ異なる幅の前記条片(20)の前記断片(18)から前記断片ユニットを組み合わせ、特に同一の前記条片(20)の前記断片(18)同士が、前記コンタクト部材(12)に対して互いに反対の側に配置されているようにする、請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
前記断片(18)および/または前記断片ユニットを、前記バッテリケーシングの、前記コンタクト部材(12)と前記絶縁層(14)との間に配置された複数の領域(16)に接着し、これにより、互いに別個の複数の断片(18)および/または断片ユニットが生じるようにする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記コンタクト部材(12)を、前記バッテリセル(10)の基本形状により画定された面に配置し、前記バッテリセル(10)に前記絶縁層(14)を設ける際に、該絶縁層(14)の縁部領域を前記面に被着し、前記断片(18)および/または前記断片ユニットを、前記縁部領域に重ね合わせて接着する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記バッテリセル(10)は、少なくとも実質的に直方体形の基本形状を有しており、かつ前記バッテリセル(10)の前記基本形状により画定される、互いに反対の側に位置する面に、各1つのコンタクト部材(12)と、前記ケーシングの、前記コンタクト部材(12)と前記絶縁層(14)との間に配置された、前記断片および/または断片ユニットが接着される領域(16)とを有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の、バッテリセルを絶縁する方法に関する。
【0002】
上述した形式のバッテリセルは、バッテリセルの極の電気的な接触接続用の少なくとも1つの電気的なコンタクト部材を備えたバッテリケーシングを有している。
【0003】
バッテリケーシングを電気的に絶縁するために、バッテリセルのバッテリケーシングの一部に定期的に絶縁層が設けられる。このことは、バッテリケーシングの表面の大部分において行われてよく、このとき特別な技術的課題が生じることはない。しかしながら実際には、バッテリケーシングはいくつかの箇所において、絶縁層の被着を困難にするもしくは阻止する特性を有している。
【0004】
したがって従来技術において、バッテリケーシングの十分な電気的絶縁を可能にするために、絶縁層に対して追加的な絶縁手段を設ける方法が開発されてきた。
【0005】
つまり例えば独国特許出願公開第102011077292号明細書および独国特許出願公開第102017216673号明細書には、このようなバッテリケーシングの溶接シームを、絶縁材料から成る条片により被覆することで別個に絶縁する方法が開示されている。
【0006】
このようなバッテリケーシングの、電気的絶縁が特に難しい別の箇所は、バッテリケーシングの電気的なコンタクト部材と絶縁層との間に配置されたバッテリケーシングの領域の電気的絶縁である。実際には、バッテリセルのバッテリケーシングの一部に被着される絶縁層が電気的なコンタクト部材の近傍に達し、これにより、コンタクト部材と絶縁層との間に配置されたバッテリケーシングの領域を、別の絶縁手段により電気的に絶縁する必要がなくなる、ということは実現され得ないか、または少なくとも許容し得る手間では実現され得ない場合が多い。
【0007】
実際には、従来技術によるこのような領域の電気的絶縁は、特に絶縁材料の断片をこれらの領域に接着し、これにより、これらの領域を電気的に絶縁する、ということにより行われる。この場合、従来技術では断片を打ち抜いて支持体に被着し、支持体を巻き、巻いた状態で提供する。バッテリセルの製造時に、支持体材料を繰り出し、断片を支持体材料から取り外してバッテリセルの相応の領域に接着する。この場合、電気的なコンタクト部材を包囲するバッテリセルの領域であることが多い。このような領域に有効な電気的絶縁をもたらすために、断片は切抜き部を有していることが多い。この場合、断片は、コンタクト部材が切抜き部を通り抜け、これにより、断片がコンタクト部材を包囲するように接着される。
【0008】
ただし、このような方法の欠点は、電気的絶縁にかかるコストが比較的高い、という点にある。これは、断片を接着しようとする被絶縁領域に断片を適合させて提供しなければならないためである。相応して、個別に既製された断片が支持体材料上に製造され、このことは、断片に関して極度に高い材料コストにつながる。さらに、予め既製された断片の取扱いは、多くの場合に切抜き部が少なくとも部分的に、絶縁材料の極細の条片により包囲されているだけに過ぎない断片の形状に基づき、困難であることが多い。
【0009】
したがって本発明の課題は、より低い材料コストに結びつくと共に簡単に実施され得る、バッテリセルを絶縁する方法を示すことにある。
【0010】
この課題は、請求項1に記載の特徴を備えた、バッテリセルを絶縁する方法により解決される。従属請求項に記載の特徴は、有利な実施形態に関する。
【0011】
絶縁しようとするバッテリセルは、バッテリセルの極の電気的な接触接続用の電気的なコンタクト部材を備えたバッテリケーシングを有している。バッテリセルは、特に二次電池および/または蓄電池、例えばリチウムイオン蓄電池のことである。
【0012】
バッテリセルのバッテリケーシングの一部には、絶縁層が設けられる。このことは特に、バッテリケーシングが閉じられた後に行われてよい。バッテリケーシングは、特に金属材料から成るバッテリケーシングであってよい。
【0013】
バッテリセルは、角型セルであってよい。角型セルは、少なくとも実質的に直方体形の基本形状を備えたバッテリケーシングを有している。この基本形状により、バッテリケーシングの相応する面が画定される。これに関連して、絶縁層は特に、基本形状により画定された4つの面を含む、バッテリケーシングの一部に被着され得、4つの面は、バッテリケーシングの基本形状に関してその外周面を形成すると共に、特にコンタクト部材が配置されていない状態で互いに隣接している。
【0014】
この場合、絶縁層は特に、バッテリセルに被着される特に帯状の材料により形成され得る。具体的には、バッテリセルに絶縁層を設けるために、バッテリセルは、特に帯状の材料で巻かれてよい。この材料は、特にフィルムであってよい。このように絶縁されたバッテリセルは、上述の方法に特に良好に適していることが判った。
【0015】
絶縁材料の断片を、バッテリケーシングの、電気的なコンタクト部材と絶縁層との間に配置された領域に接着し、これにより、この領域を電気的に絶縁する。この領域は、電気的なコンタクト部材を取り囲んでいてよい。特に、絶縁層が上述した方法で被着されるバッテリセルには、絶縁層を補う絶縁手段によりこのような領域を電気的に絶縁する必要性が生じることが多い。それというのも、絶縁層はコンタクト部材に十分に近接するように形成され得ないか、または少なくとも許容し得る手間では形成され得ないことが多いからである。
【0016】
前記課題は特に、絶縁材料を巻かれた条片として提供し、巻かれた条片から断片を繰り出して切り離してから、断片をバッテリケーシングに接着することにより解決される。絶縁材料は、特にポリエチレンテレフタレート(PET)であってよい。
【0017】
本発明に関連して、絶縁課題は、断片を、絶縁材料の巻かれた条片から繰り出して切り離してから、バッテリケーシングの被絶縁領域に接着することによっても解決され得る、ということが判った。ただし、絶縁材料の巻かれた条片は、支持体材料上に提供される仕上がった既製の断片よりも大幅に廉価に提供され得る。これにより、バッテリケーシングを絶縁する方法にかかる材料コストを大幅に低下させることができる。
【0018】
本方法は、巻く前に、条片に自己接着性のコーティングを施すことを想定し得る。このような条片は、断片の接着の形成に関して、本方法の実施を容易にする。それというのも、接着は、自己接着性のコーティングを介して簡単に生ぜしめられてよいからである。
【0019】
本方法は、条片を巻く前に、条片に切抜き部を形成することを想定し得る。これにより、解決すべき絶縁課題に適合させられた半製品が製造され得るが、この半製品において、材料コストおよび取扱いに関する重要な利点となる主な理由、つまり条片を、つながって巻かれた条片として提供することが失われることはなく、引き続き、コストの低下をもたらす。切抜き部は、例えば条片から条片のピースが打ち抜かれることにより、条片に形成され得る。このような打抜きにより、切抜き部を廉価に形成することができる。
【0020】
切抜き部が形成された条片は、コンタクト部材が断片に設けられた切抜き部を通り抜け、断片がコンタクト部材を取り囲むように、断片をバッテリケーシングの領域に接着することを可能にする。このようにして、バッテリケーシングの、コンタクト部材を取り囲む、コンタクト部材と絶縁層との間に配置された領域を、単一の断片により電気的に絶縁することができる。この場合、切抜き部は、特にコンタクト部材に適合させられており、かつ条片の長さにわたり分散されており、これにより、断片が条片から切り離されると、各断片が1つの切抜き部を有するようになっている。
【0021】
択一的かつ/または補足的に、本方法は、複数の断片をバッテリケーシングの領域に互いに重なり合うように接着し、これにより、これらの断片を組み合わせて1つのまとまった断片ユニットを形成する、ということを想定していてもよい。このようにして、複数の断片から組み合わせられた断片ユニットによりその形状が模倣されることで、断片により絶縁されるべき領域の複雑な幾何学形状も絶縁され得る。このような「パッチワーク状」の絶縁は、バッテリセルのバッテリケーシングの相応する領域を確実に電気的に絶縁するために十分に適していることが判った。同時に、断片を巻かれた条片から、ひいては理想的にはすでに市場で入手可能な廉価な半製品から切り離すことができる。
【0022】
本方法は、複数の断片を組み合わせ、これにより、断片ユニットが各断片により包囲された切抜き部を有しており、この切抜き部をコンタクト部材が通り抜け、これにより、断片ユニットはコンタクト部材を取り囲むことになる、ということを想定し得る。このようにして、断片ユニットにより、コンタクト部材を取り囲む絶縁も提供され得る。
【0023】
本方法は、それぞれ異なる幅を有する複数の巻かれた条片を提供し、複数の巻かれた条片から断片を繰り出して切り離し、それぞれ異なる幅の条片の断片から断片ユニットを組み合わせる、ということを想定し得る。それぞれ異なる幅の条片をこのように使用することにより、断片ユニットの可能な幾何学形状を、断片源としての幅を有する1つの条片だけを使用した場合よりも簡単かつ多様に変化させることができる。特に、それぞれ異なる幅の2つの巻かれた条片を提供し、2つの巻かれた条片から断片を繰り出して切り離すことができる。この場合、断片ユニットは特に、2つの条片の各2つの断片から組み合わせられてよい。この場合、断片ユニットは、同一の条片の断片同士が、コンタクト部材に対して互いに反対の側に配置されているように組み合わせられてよい。このような断片ユニットにより、特に典型的な、角型セルの場合に絶縁されるべき、各セルのコンタクト部材の周囲の領域を、特に良好に絶縁することができる。このように構成された断片ユニットは、これらの領域に、その幾何学形状に関して特に良好に適合され得る。
【0024】
択一的かつ/または補足的に、本方法は、断片および/または断片ユニットを、バッテリケーシングの、コンタクト部材と絶縁層との間に配置された複数の領域に接着し、これにより、互いに別個の複数の断片および/または断片ユニットが生じる、ということを想定してもよい。断片および/または断片ユニットのこのような配置は特に、絶縁層がコンタクト部材の周囲の部分区間において十分にコンタクト部材に近接しており、これにより、これらの部分区間ではコンタクト部材と絶縁層との間のバッテリケーシングの追加的な絶縁を省くことできる場合に有用であり得る。この場合、断片および/または断片ユニットを、コンタクト部材と絶縁層との間でコンタクト部材の周囲の、絶縁層がコンタクト部材に十分に達していない部分区間に位置する領域のみに接着すれば十分である。
【0025】
コンタクト部材は、バッテリの基本形状により画定される面に配置されていてよい。
【0026】
本方法は特に、コンタクト部材は、バッテリセルの基本形状により画定される面に配置されている、ということを想定し得る。択一的かつ/または補足的に、複数の、特に2つのコンタクト部材が、バッテリセルの基本形状により画定される面に配置されていてよい。特に有利なのは、バッテリセルに絶縁層が設けられる際に、縁部にわたり、1つまたは複数のコンタクト部材を含む面に隣接する面に被着される絶縁層の縁部領域が、縁部にわたりバッテリケーシングの表面に沿って、1つまたは複数のコンタクト部材を含む面内に延びるように、この面に被着される場合である。この目的のために、特に絶縁層を形成するフィルムを、縁部を包囲するように曲げかつ/または折り畳むことができる。
【0027】
断片および/または断片ユニットを、絶縁層の縁部領域に重ね合わせて接着してもよい。縁部領域は、特に縁部にわたりバッテリケーシングの表面に沿って、1つまたは複数のコンタクト部材を含む面内に延びる縁部のことであってよい。絶縁層と断片および/または断片ユニットとの間の重畳により、断片および/または断片ユニットと絶縁層との間の移行領域においても確実な電気的絶縁が保証され得る。このことは特に、縁部領域が、縁部領域である場合に有利である。
【0028】
バッテリセルは、少なくとも実質的に直方体形の基本形状を有していてよい。バッテリセルの基本形状により画定される、互いに反対の側に位置する面において、バッテリセルは各1つのコンタクト部材と、バッテリケーシングの、コンタクト部材と絶縁層との間に配置された1つまたは複数の、断片および/または断片ユニットが接着される領域とを有していてよい。このようなバッテリセルでは、上記の方法により可能になる節約度が特に高い。それというのも、接着された断片による電気的絶縁が、バッテリセルの2つの互いに反対の側において行われ、ひいては従来技術では1つの支持体材料に個々に支持されて提供されたコストのかかる2つの断片を代替することができるからである。
【0029】
以下に、本発明の別の実際の実施形態を図面に関連して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来技術による方法を示す概略図である。
図2】第1の実施形態による、バッテリセルを絶縁する1つの例示的な方法を示す概略図である。
図3】第2の実施形態による、バッテリセルを絶縁する1つの例示的な方法を示す概略図である。
図4】第3の実施形態による、バッテリセルを絶縁する1つの例示的な方法を示す概略図である。
【0031】
図にはそれぞれ、未接着状態(A)におけるバッテリセル10の面の平面図と、バッテリセルに接着する断片(B)と、接着状態(C)における面の平面図とが示されている。
【0032】
図にそれぞれ示した、バッテリセル10の基本形状により画定された面は、図示の例では例示的に中央に配置されたコンタクト部材12を含んでいる。バッテリセル10は、絶縁層14を備えている。絶縁層14は、図示の例では特にバッテリケーシングの一部に被着され、バッテリケーシングは、基本形状により画定された4つの面(図示せず)を有しており、これらの面は、バッテリケーシングの基本形状に関してその外周面を形成すると共に、コンタクト部材が配置されていない状態で互いに隣接している。この絶縁層14の縁部領域は、バッテリセル10に絶縁層14を設けた場合、コンタクト部材12が配置された図示の面に被着される。この場合、この縁部領域は、縁部にわたりバッテリケーシングの表面に沿って、コンタクト部材12を含む図示の面内に延びている。ただしこの場合、絶縁層14は、コンタクト部材12の領域に十分な絶縁が生じるようにコンタクト部材12に到達してはいない。むしろ、電気的なコンタクト部材12と絶縁層14との間に配置されたバッテリケーシングの領域16は、絶縁されないままである。
【0033】
図1には、従来技術による方法が示されている。バッテリセル10のこの状態は、図1Aに例示的に示されている。
【0034】
従来技術による方法は、絶縁材料の断片18を準備して、バッテリケーシングの領域16に接着することを想定している。この場合、断片18は、絶縁層14の縁部領域と重なるようにバッテリセル10に接着されてよい。その結果生じた、断片18が接着されたバッテリセル10が、図1Cに示されている。
【0035】
従来技術により使用される断片18は、切抜き部19を有している。コンタクト部材12は、断片18をバッテリセル10に接着する際に、断片18の切抜き部19を通って案内される。このようにして、図1に示す従来技術に基づく例の場合には、断片18がコンタクト部材12を取り囲んでいる。
【0036】
バッテリセル10を絶縁する上述の方法は、図2に示す第1の実施例では、絶縁材料が巻かれた条片20として提供される、ということを想定している。条片20から、例示的に図2Bに示した断片18を繰り出して切断し、その後、断片18を、例示的に図2Aに示したバッテリセル10に接着し、これにより結果として、図2Cに示したバッテリセル10が得られる。
【0037】
図2に例示的に示した実施例の場合も、断片18がコンタクト部材12を取り囲んでおり、コンタクト部材12は、断片18がバッテリセル10に接着される際に、断片18に設けられた切抜き部19を通って案内される。相応して、図2Dに例示的に示す条片20は、既に切抜き部19を有している。条片20から断片18を切り離す場合、切断箇所22は図示の例のように、各断片18がコンタクト部材12用の切抜き部19を1つだけ有するように選択されていてよい。
【0038】
図3に示す例の場合、図3Aに基づき認められるように、絶縁層14の縁部領域は、コンタクト部材12の周囲の部分区間において、コンタクト部材12に十分に近接しており、これにより、コンタクト部材12の周囲のこれらの部分区間では、コンタクト部材12と絶縁層14との間のバッテリケーシングの追加的な絶縁を省くことができる。その結果、図3Aに例示的に示すバッテリセル10は、例示的に示した面に、絶縁層14とコンタクト部材12との間で、コンタクト部材12の周囲の、絶縁層14がコンタクト部材12に十分に近接していない部分区間に配置された、バッテリケーシングの2つの領域16を有している。この場合、本方法は、バッテリケーシングのこれらの領域16のそれぞれを、例示的に図3Bに示すような各1つの断片18に接着する、ということを想定し得る。相応して、断片18は、図3Cに例示的に示すようにバッテリセル10に接着され、これにより、2つの互いに別個の断片18が生じることになる。この図示の例でも、バッテリセル10に接着された断片18は、絶縁層14の縁部領域と重なり合っていてよい。
【0039】
図3Dに例示的に示す条片20も、やはり巻かれた形態で提供され、断片18用の半製品に関する1つの極めて廉価な態様を成している。
【0040】
図4に示す例の場合、図4Aに示すようなバッテリセル10の構成は、例示的に図1および図2に示したバッテリセル10に相応する。このバッテリセル10の、コンタクト部材12を取り囲む領域16を絶縁するために、図4に示す例の場合には、図4Bに例示的に示す4つの断片18から成る1つの断片ユニットが形成される。図4Bに示す断片18は、バッテリセル10が接着されると組み合わさって、図4Cに見られる断片ユニットを形成する。
【0041】
図4Dおよび図4Eには、それぞれ絶縁材料から成る条片20が例示的に示されており、これらの条片20から断片18が切り離されることにより、条片20から図4Bに示した断片18が製造される。図示の例のように、それぞれ異なる幾何形状を有する断片18を得るためには、それぞれ異なる幅の条片20が使用され得、この場合、断片18は、好適にはバッテリケーシングの被絶縁領域16に幾何学形状を適合された断片ユニットを形成するように組み合わせられてよい。
【0042】
本明細書、図面および請求項に開示された本発明の特徴は、単独でも任意の組合せにおいても、本発明をその様々な実施形態において実現するために重要であり得る。本発明は、請求項の枠内で、かつ担当する当業者の知識を考慮して変更されてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 バッテリセル
12 コンタクト部材
14 絶縁層
16 領域
18 断片
19 切抜き部
20 条片
22 切断箇所
A 未接着状態
B バッテリセルに接着する断片
C 接着状態
D,E 提供される絶縁材料
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-07-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリセル(10)を絶縁する方法であって、
前記バッテリセル(10)は、該バッテリセル(10)の極の電気的な接触接続用の電気的なコンタクト部材(12)を備えたバッテリケーシングを有しており、
前記バッテリセル(10)の前記バッテリケーシングの一部に絶縁層(14)を設け、前記バッテリケーシングの、前記電気的なコンタクト部材(12)と前記絶縁層(14)との間に配置された領域(16)に絶縁材料の断片(18)を接着し、これにより、前記バッテリケーシングの前記領域(16)を電気的に絶縁する、方法において、
前記絶縁材料を巻かれた条片(20)として提供し、該巻かれた条片(20)から前記断片(18)を繰り出して切り離してから、該断片(18)を前記バッテリケーシングに接着することを特徴とする、方法。
【請求項2】
巻く前に、前記条片(20)に自己接着性のコーティングを施す、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記条片(20)を巻く前に、特に該条片(20)から該条片(20)のピースを打ち抜くことにより、前記条片(20)に切抜き部(19)を形成する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記コンタクト部材(12)が前記断片(18)に設けられた切抜き部(19)を通り抜け、前記断片(18)が前記コンタクト部材を取り囲むように、前記断片(18)を前記バッテリケーシングの前記領域に接着する、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
複数の前記断片(18)を前記バッテリケーシングの前記領域(16)に互いに重なり合うように接着し、これにより、前記断片(18)を組み合わせて1つのまとまった断片ユニットを形成する、請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
前記断片(18)を組み合わせ、これにより、前記断片ユニットが各前記断片(18)により包囲された切抜き部(19)を有しており、該切抜き部(19)を前記コンタクト部材(12)が通り抜け、これにより、前記断片ユニットが前記コンタクト部材(12)を取り囲むようにする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
それぞれ異なる幅を有する複数の、特に2つの巻かれた前記条片(20)を提供し、該複数の巻かれた条片(20)から前記断片(18)を繰り出して切り離し、それぞれ異なる幅の前記条片(20)の前記断片(18)から前記断片ユニットを組み合わせ、特に同一の前記条片(20)の前記断片(18)同士が、前記コンタクト部材(12)に対して互いに反対の側に配置されているようにする、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記断片(18)および/または前記断片ユニットを、前記バッテリケーシングの、前記コンタクト部材(12)と前記絶縁層(14)との間に配置された複数の領域(16)に接着し、これにより、互いに別個の複数の断片(18)および/または断片ユニットが生じるようにする、請求項1または2記載の方法。
【請求項9】
前記コンタクト部材(12)を、前記バッテリセル(10)の基本形状により画定された面に配置し、前記バッテリセル(10)に前記絶縁層(14)を設ける際に、該絶縁層(14)の縁部領域を前記面に被着し、前記断片(18)および/または前記断片ユニットを、前記縁部領域に重ね合わせて接着する、請求項1または2記載の方法。
【請求項10】
前記バッテリセル(10)は、少なくとも実質的に直方体形の基本形状を有しており、かつ前記バッテリセル(10)の前記基本形状により画定される、互いに反対の側に位置する面に、各1つのコンタクト部材(12)と、前記ケーシングの、前記コンタクト部材(12)と前記絶縁層(14)との間に配置された、前記断片および/または断片ユニットが接着される領域(16)とを有している、請求項1または2項記載の方法。
【外国語明細書】