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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173824
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】両面封入平面状カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/287 20210101AFI20241205BHJP
   A61B 5/308 20210101ALI20241205BHJP
   A61B 18/14 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
A61B5/287
A61B5/308
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024088897
(22)【出願日】2024-05-31
(31)【優先権主張番号】63/505,764
(32)【優先日】2023-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/398,738
(32)【優先日】2023-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・エメリウス・バン・ニーキルク
(72)【発明者】
【氏名】ババク・エブラヒミ
(72)【発明者】
【氏名】シュバユ・バス
(72)【発明者】
【氏名】ジェイミー・ヘンリケス
【テーマコード(参考)】
4C127
4C160
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127HH13
4C160KK03
4C160KK12
4C160KK36
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】カテーテル用の多層エンドエフェクタを提供すること。
【解決手段】マッピングカテーテル用の多層エンドエフェクタであって、第1のフレキシブル回路と、第1のフレキシブル回路に略平行であり、長手方向軸に直交する第1の直交間隙によって第1のフレキシブル回路から分離されている、フレームワークと、第2のフレキシブル回路と、適切に配向され、好ましくはフレームワークに略平行に配置され、第2の直交間隙によってフレームワークから分離されている、複数のコイルを有する位置感知コイル層とを含む多層エンドエフェクタ。第2のフレキシブル回路は、第3の直交間隙によって位置感知コイル層から分離させることができる。第1の直交間隙、第2の直交間隙、及び第3の直交間隙は、フレキシブル非導電性材料で充填することができ、第1のフレキシブル回路の第1の面及び第2のフレキシブル回路の第1の面は、フレキシブル非導電性材料でコーティングされている。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル用の多層エンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、
前記エンドエフェクタの近位部分から遠位部分まで長手方向軸に沿って延在し、第1の面及び第2の面を備える、第1のフレキシブル回路と、
第1の側及び反対側の第2の側を含み、前記第1のフレキシブル回路に略平行に前記長手方向軸に沿って延在するフレームワークであって、前記第1の側は前記第1のフレキシブル回路から離間している、フレームワークと、
前記第1のフレキシブル回路及び前記フレームワークを少なくとも部分的に封入する第1の非導電性フレキシブル層と、
前記フレームワークの前記第2の側に配置され、前記フレームワークから離間しており、第1の面及び第2の面を有する、第2のフレキシブル回路と、
前記第2のフレキシブル回路及び前記フレームワークを少なくとも部分的に封入する第2の非導電性フレキシブル層と、を備える多層エンドエフェクタ。
【請求項2】
前記フレームワークに略平行に配置され、第3の非導電性フレキシブル層によって前記フレームワークから分離されている、複数のコイルを含む位置感知コイル層を更に備える、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項3】
前記第1のフレキシブル回路の前記第1の面に取り付けられた1つ以上の第1の電極を更に備え、前記1つ以上の第1の電極の各々は、前記第1の非導電性フレキシブル層を通して周囲環境に露出された接触面を有する、請求項2に記載のエンドエフェクタ。
【請求項4】
前記第2のフレキシブル回路の第1の面に取り付けられた1つ以上の第2の電極を更に備え、前記1つ以上の第2の電極の各々は、前記第2の非導電性フレキシブル層を通して前記周囲環境に露出された接触面を有する、請求項3に記載のエンドエフェクタ。
【請求項5】
前記第1の電極の少なくとも一部は、前記長手方向軸に直交して前記第2の電極の少なくとも1つの位置と軸方向に整列されて、対向する電極の対を画定する、請求項4に記載のエンドエフェクタ。
【請求項6】
前記複数のコイルは、前記長手方向軸に概ね沿って位置する結合部において互いに接合された2つのコイルを含み、前記位置感知コイル層は、
前記近位部分から前記結合部まで遠位方向に延在する中央スパインを更に含む、請求項2に記載のエンドエフェクタ。
【請求項7】
前記位置感知コイル層は、前記複数のコイルから延在する少なくとも1つの細長い指部を更に備える、請求項6に記載のエンドエフェクタ。
【請求項8】
前記第1のフレキシブル回路の前記第1の面上に配置された複数の対の第1の電極を更に備え、前記第1の電極の各対の前記電極は、第1の所定の長手方向距離だけ離間しており、前記第1の電極の各対は、隣接する第1の電極の対から第2の所定の長手方向距離だけ離間しており、前記第2の所定の長手方向距離は、前記第1の所定の長手方向距離よりも大きい、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項9】
前記第1の非導電性フレキシブル層に配置され、前記第1の非導電性フレキシブル層を通して周囲環境に露出された接触面を有する、1つ以上の第1の電極を更に備える、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項10】
前記第2の非導電性フレキシブル層に配置された1つ以上の第2の電極を更に備え、前記1つ以上の第2の電極の各々は、前記第2の非導電性フレキシブル層を通して前記周囲環境に露出された接触面を有する、請求項9に記載のエンドエフェクタ。
【請求項11】
前記エンドエフェクタは、略平面状の表面に対する垂直軸において前記エンドエフェクタの前記近位部分に印加される力によって、前記略平面状の表面に対して接触したままである、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項12】
マッピングカテーテル用のエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、
第1の面及び第2の面を備え、前記エンドエフェクタの近位部分から遠位部分まで長手方向軸に沿って延在する、第1のフレキシブル回路と、
前記第1のフレキシブル回路に略平行に前記長手方向軸に沿って延在し、前記長手方向軸に直交する第1の直交間隙によって前記第1のフレキシブル回路から分離されている、フレームワークと、
第1の面及び第2の面を備え、前記近位部分から前記遠位部分まで前記長手方向軸に沿って延在する、第2のフレキシブル回路と、を備えるエンドエフェクタ。
【請求項13】
前記エンドエフェクタは、
前記フレームワークに略平行に配置され、第2の直交間隙によって前記フレームワークから分離された複数のコイルを備える位置感知コイル層を更に備え、前記第2のフレキシブル回路は、第3の直交間隙によって前記位置感知コイル層から分離されている、請求項12に記載のエンドエフェクタ。
【請求項14】
前記第1の直交間隙、前記第2の直交間隙、及び前記第3の直交間隙は、フレキシブル非導電性材料で充填され、前記第1のフレキシブル回路の前記第1の面及び前記第2のフレキシブル回路の前記第1の面は、前記フレキシブル非導電性材料でコーティングされている、請求項13に記載のエンドエフェクタ。
【請求項15】
前記フレキシブル非導電性材料内に配置され、前記フレキシブル非導電性材料を通して周囲環境に露出されるそれぞれの複数の接触面を有する、第1の複数の電極を更に備える、請求項14に記載のエンドエフェクタ。
【請求項16】
カテーテル用のエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、
前記エンドエフェクタの長手方向軸に略平行に延在し、第1のフレキシブル回路及び第2のフレキシブル回路を含む、フレキシブル回路と、
前記フレキシブル回路に電気的に接続された複数の電極と、
前記フレキシブル回路に略平行に前記長手方向軸に沿って延在するフレームワークと、
前記フレキシブル回路と前記フレームワークとを互いに分離し、前記フレキシブル回路と前記フレームワークとを少なくとも部分的に絶縁する、フレキシブル非導電性材料の連続塊と、を備えるエンドエフェクタ。
【請求項17】
前記フレキシブル非導電性材料の連続塊によって前記フレキシブル回路及び前記フレームワークから分離された位置感知コイル層を更に備える、請求項16に記載のエンドエフェクタ。
【請求項18】
前記電極は、前記フレキシブル非導電性材料の連続塊内に配置され、前記フレキシブル非導電性材料の連続塊内の複数のそれぞれの穴を通して周囲環境に露出されている、請求項17に記載のエンドエフェクタ。
【請求項19】
前記第2のフレキシブル回路は、前記フレームワークの、前記第1のフレキシブル回路とは反対の側に配置され、前記複数の電極は、前記第1のフレキシブル回路に電気的に接続された第1の複数の電極と、前記第2のフレキシブル回路に電気的に接続された第2の複数の電極とを含み、
前記フレキシブル非導電性材料の連続塊は、前記第2のフレキシブル回路と前記フレームワークとを互いに分離し、前記第2のフレキシブル回路と前記フレームワークとを少なくとも部分的に絶縁する、請求項18に記載のエンドエフェクタ。
【請求項20】
前記第1の複数の電極及び前記第2の複数の電極は、前記フレキシブル非導電性材料の連続塊内の前記複数のそれぞれの穴を通して前記周囲環境に露出されている、請求項19に記載のエンドエフェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年12月30日に出願された先出願の米国特許仮出願第63/478,059号(代理人整理番号253757.000354 BIO6801USPSP1)及び2023年6月2日に出願された米国特許仮出願第63/505,764号(代理人整理番号No.253757.000380 BIO6846USPSP1)に対する米国特許法第119号の下での優先を主張するものであり、これらの各々は、本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、低侵襲性医療デバイス、具体的には感知カテーテルに関し、更に、心臓マッピングカテーテルに関するが、排他的ではない。
【背景技術】
【0003】
心房細動などの心不整脈は、心組織の領域から隣接組織に電気信号が異常に伝導する場合に発生し、これにより、正常な心周期が乱されて、非同期的律動を引き起こす。所望されない信号源は、心房又は心室の組織に位置する場合がある。望ましくない信号は、心臓組織を通って他の箇所に伝導し、不整脈を引き起こすか、又は不整脈を継続させる場合がある。
【0004】
不整脈を治療するための処置としては、不整脈の原因となる信号の発生源を外科的に妨害すること、及びこのような信号の伝導路を妨害することが挙げられる。より最近では、心内膜の電気特性と心容積をマッピングし、エネルギーの印加により心組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓のある部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を中断又は修正することが可能であることが判明している。アブレーション過程では、非伝導病巣の形成によって望ましからざる電路を壊す。
【0005】
マッピングとそれに続くアブレーションを含む、この二工程手順においては、通常、1つ又は2つ以上の電気センサを備えるカテーテルを心臓の中に進入させ、多数の点でデータを取得することによって、心臓内の各点における電気活動が感知及び測定される。次いで、これらのデータを利用して、アブレーションが実施される標的エリアが選択される。
【0006】
より高いマッピング解像度のために、マッピングカテーテルが標的生体構造に密接に適合することが望ましい。心房又は心室(例えば、心室の心尖部)内でのマッピングについては、カテーテルがより短い時間内により多くのデータ信号を収集することが望ましい。また、このようなカテーテルは、様々な組織表面、例えば、平坦な、湾曲した、凹凸のある、又は非平面的な表面組織との十分な電極接触を可能にし、かつ患者の脈管系を通って非侵襲的に前進及び後退するために折り畳み可能であることが望ましい。既存のカテーテルは、概して、所定の構成が維持されることを確実にするために堅い内部構造部材を必要とする。この剛性は、電極が組織に接触するのを妨げる可能性があるため、身体器官内での操作中には不都合となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態により、カテーテル用の多層エンドエフェクタが提供される。エンドエフェクタは、第1のフレキシブル回路、フレームワーク、第1の非導電性フレキシブル層、第2のフレキシブル回路、及び第2の非導電性フレキシブル層を含むことができる。第1のフレキシブル回路は、エンドエフェクタの近位部分から遠位部分まで長手方向軸に沿って延在することができ、第1の面及び第2の面を含むことができる。フレームワークは、第1の側及び反対側の第2の側を含むことができ、第1のフレキシブル回路に略平行に長手方向軸に沿って延在することができ、第1の側は第1のフレキシブル回路から離間している。第1の非導電性フレキシブル層は、第1のフレキシブル回路及びフレームワークを少なくとも部分的に封入することができる。第2のフレキシブル回路は、フレームワークの第2の側に配置され、フレームワークから離間することができ、第2のフレキシブル回路は、第1の面及び第2の面を有することができる。第2の非導電性フレキシブル層は、第2のフレキシブル回路及びフレームワークを少なくとも部分的に封入することができる。
【0008】
開示される技術は、マッピングカテーテル用のエンドエフェクタを含む。エンドエフェクタは、第1の面及び第2の面を備え、エンドエフェクタの近位部分から遠位部分まで長手方向軸に沿って延在する、第1のフレキシブル回路と、第1のフレキシブル回路に略平行に長手方向軸に沿って延在し、長手方向軸に直交する第1の直交間隙によって第1のフレキシブル回路から分離されている、フレームワークと、第1の面及び第2の面を備え、近位部分から遠位部分まで長手方向軸に沿って延在する、第2のフレキシブル回路とを含むことができる。エンドエフェクタは、好適に配向され、好ましくは、フレームワークに略平行に配置され、第2の直交間隙によってフレームワークから分離される、複数のコイルを有する、位置感知コイル層を更に含むことができる。第2のフレキシブル回路は、第3の直交間隙によって位置感知コイル層から分離させることができる。
【0009】
開示される技術は、カテーテルシャフト用のエンドエフェクタを含む。エンドエフェクタは、エンドエフェクタの長手方向軸に略平行に延在するフレキシブル回路と、フレキシブル回路に電気的に接続された複数の電極と、フレキシブル回路に略平行に長手方向軸に沿って延在するフレームワークと、フレキシブル回路とフレームワークとを互いに分離し、フレキシブル回路とフレームワークとを少なくとも部分的に絶縁する、フレキシブル非導電性材料の連続塊とを含むことができる。フレキシブル回路は、第1のフレキシブル回路及び第2のフレキシブル回路を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による、平面カテーテルを含む医療システムの概略的な描写図である。
図2A】本発明の一実施形態による、エンドエフェクタの斜視図である。
図2B図2Aのエンドエフェクタの分解斜視図である。
図2C】本発明の一実施形態による、エンドエフェクタの分解斜視図である。
図2D1】本発明の一実施形態による、エンドエフェクタの分斜視図である。
図2D2図2D1のエンドエフェクタの拡大図である。
図2D3図2D1のエンドエフェクタの拡大図である。
図3A】本発明の一実施形態による、フレキシブル材料に封入されたエンドエフェクタの側面図である。
図3B図3Aのエンドエフェクタの詳細図である。
図3C】フレキシブル材料を含まない図3Aのエンドエフェクタの図である。
図4A】本発明の一実施形態による、エンドエフェクタの上面図である。
図4B】本発明の一実施形態による、エンドエフェクタの底面図である。
図5A】は、典型的な使用シナリオにおける図2Aのエンドエフェクタの図である。
図5B】アブレーション電極としてエンドエフェクタの電極を用いたアブレーション中の電圧勾配の図である。
図6】本発明の一実施形態によるカテーテルアセンブリの図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
背景技術のセクションで述べたマッピング及びアブレーションカテーテルの機能を強化するために、本開示は、マッピング分解能、標的生体構造との電極接触、標的生体構造へのエンドエフェクタの送達、生体適合性、エンドエフェクタ剛性、及び非外傷性を含むがこれらに限定されない、マッピング及びアブレーションカテーテル性能の様々な態様を強化する多層エンドエフェクタに関する。
【0012】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を描示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく、例として、本発明の原理を例解する。この説明は、当業者が本発明を作製及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形例、代替物、及び使用を説明する。
【0013】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に説明される意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「ほぼ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば、「約90%」は、71%~110%の値の範囲を指し得る。加えて、本明細書で使用される場合、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「対象」という用語は、任意のヒト又は動物対象を指し、ヒト患者における本発明の使用が好ましい実施形態を表すが、システム又は方法をヒトの使用に限定することを意図するものではない。同様に、「近位」という用語は、作業者又は医師により近い方の位置を示す一方、「遠位」は、オペレータ又は医師からより遠い位置を示す。
【0014】
本明細書で考察される際、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「対象」の組織、脈管系、又は器官は、ヒト又は任意の動物のものであり得る。動物は、哺乳類、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを含むが、これらに限定されない、様々な任意の適用可能なタイプのものであり得ることを理解するべきである。一例として、動物は、ヒトに類似したある特定の性質を有するように特に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サルなど)であり得る。対象は、例えば、任意の適用可能なヒト患者であり得ることを理解するべきである。
【0015】
本明細書で考察されるように、「医師」は、医師、外科医、技術者、科学者、作業者、又は対象への薬物難治性心房細動の治療のための多電極カテーテルの送達に関連する任意の他の個人若しくは送達器具を含むことができる。
【0016】
本明細書で論じられるように、「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語は、本開示のデバイス及び対応するシステムに関するものであり、細胞内の不規則な心臓信号の発生を低減又は防止するように構成されている構成要素及び構造的特徴を指す。例えば、無線周波数(RF)アブレーションなどの熱エネルギー、又は不可逆電気穿孔(IRE)等の非熱エネルギーを利用することによって、本開示を通して、パルス電場(PEF)及びパルス場アブレーション(PFA)と互換的に称される。本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、アブレーションすること又はアブレーションは、不整脈、心房粗動アブレーション、肺静脈隔離、上室頻脈アブレーション、及び心室頻脈アブレーションを含むがこれらに限定されない特定の状態の心臓組織の熱アブレーション又は非熱アブレーションを参照して、本開示全体を通して使用される。「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語はまた、当業者によって理解されるように、様々な形態の身体組織アブレーションを達成するための既知の方法、デバイス、及びシステムを含む。
【0017】
本明細書で考察されるように、「管状」及び「管」という用語は、広義に解釈されるものとし、直円柱構造、若しくは断面が厳密に円形である構造、又はその長さ全体にわたって均一な断面である構造に限定されるものではない。例えば、管状構造は、概して、実質的な直円柱構造として例解される。しかしながら、管状構造は、本開示の範囲から逸脱することなく、先細状又は湾曲した外面を有し得る。
【0018】
本開示は、心臓不整脈を治療するための心臓組織のマッピング及びアブレーションのためのシステム、方法、又は使用及びデバイスに関する。アブレーションエネルギーは、通常、アブレーションするべき組織に沿ってアブレーションエネルギーを送達することができるカテーテルの先端部分によって心臓組織に供給される。いくつかの例示的カテーテルは、先端部分に三次元構造を含み、三次元構造上に位置付けられた様々な電極からアブレーションエネルギーを管理するように構成されている。このような例示的なカテーテルを組み込むアブレーション処置は、X線透視法を使用して可視化することができる。
【0019】
機能不全の心臓を改善するために、高周波(RF)エネルギー及び冷凍アブレーションなどの熱的技術を適用する心臓組織のアブレーションは、周知の処置である。典型的には、熱的技術を使用して首尾よくアブレーションするために、心筋の様々な位置で心電位を測定する必要がある。加えて、アブレーション中の温度測定により、アブレーションの有効性を可能にするデータを提供する。通常、熱的技術を使用したアブレーション処置では、実際のアブレーション前、アブレーション中、及びアブレーション後に、電極電位及び温度が測定される。RFアプローチは、組織の炭化、燃焼、スチームポップ、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得るリスクを有し得る。冷凍アブレーションは、RFアブレーションと関連するいくらかの熱リスクを低減することができるRFアブレーションへの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操作し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難である。したがって、冷凍アブレーションは、電気アブレーションデバイスによって到達され得る特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0020】
本開示は、RFアブレーション、冷凍アブレーション、及び/又は不可逆的エレクトロポレーション(IRE)のために構成された電極を含むことができる。IREは、本開示全体を通して、パルス電場(PEF)アブレーション及びパルスフィールドアブレーション(PFA)と交換可能に称され得る。本開示で考察されるIREは、心房性不整脈のアブレーションに使用することができる非熱的細胞死技術である。IRE/PEFを使用してアブレーションするために、二相性電圧パルスを印加して心筋の細胞構造を破壊する。二相性パルスは非正弦波形であり、細胞の電気生理学に基づいて標的細胞に調整することができる。対照的に、RFを使用してアブレーションするために、正弦波電圧波形が適用されて、治療エリアにおいて熱を生成し、治療エリア内の全ての細胞を無差別に加熱する。したがって、IREは、アブレーションモダリティ又は隔離モダリティで既知である起こり得る合併症の低減において有益であろう、隣接する感熱性構造又は組織を救う能力を有する。追加的又は代替的に、単相性パルスを利用することができる。
【0021】
例示的なカテーテルベースの電気生理学マッピング及びアブレーションシステム10を示す図1を参照する。システム10は、患者23の血管系を通って、心臓12の腔又は血管構造内に医師24によって経皮的に挿入される複数のカテーテルを含む。典型的には、送達シースカテーテルは、心臓12の所望の位置の近くの左心房又は右心房内に挿入される。その後、複数のカテーテルを送達シースカテーテルに挿入して、所望の位置に到達させることができる。複数のカテーテルは、心内電位図(Intracardiac Electrogram、IEGM)信号の感知専用のカテーテル、アブレーション専用のカテーテル、及び/又は感知及びアブレーションの両方に専用のカテーテルを含み得る。IEGMを感知するように構成された例示的なカテーテル14が本明細書に例解されている。医師24は、心臓12内の標的部位を感知するために、カテーテル14の遠位先端部を有するカテーテルシャフト90(すなわち、多層エンドエフェクタ100)を心臓壁と接触させる。アブレーションのために、医師24は、同様に、アブレーションカテーテルの遠位端をアブレーションのための標的部位に運ぶ。
【0022】
カテーテル14は、以下より詳細に記載するように、カテーテルシャフト90に連結されたエンドエフェクタ100にわたって任意選択で分布し、IEGM信号を感知するように構成された1つ、好ましくは複数の電極26を含む例示的なカテーテルである。カテーテル14は、エンドエフェクタ100の位置及び配向を追跡するために、エンドエフェクタ100内又はその近くに埋め込まれた位置センサ(図2Bに示す)を更に含み得る。任意選択的にかつ好ましくは、位置センサは、三次元(three-dimensional、3D)位置及び配向を感知するための複数の磁気コイルを含む磁気ベースの位置センサである。
【0023】
磁気ベースの位置センサは、所定の作業体積内に磁場を生成するように構成された複数の磁気コイル32を含む位置パッド25とともに動作し得る。カテーテル14のエンドエフェクタ100のリアルタイム位置は、位置パッド25によって生成され、磁気ベースの位置センサによって感知される磁場に基づいて追跡され得る。磁気ベースの位置感知技術の詳細は、米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,239,724号、同第6,332,089号、同第6,484,118号、同第6,618,612号、同第6,690,963号、同第6,788,967号、同第6,892,091号を参照されたい。これらは、2023年6月2日に出願された優先出願である米国特許出願第63/505,764号(代理人整理番号253757.000380 BIO6846USPSP1)に完全に記載され添付されているかのように、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【0024】
システム10は、位置パッド25の位置基準及び電極26のインピーダンスベースの追跡を確立するために、患者23上の皮膚接触のために配置された1つ以上の電極パッチ38を含む。インピーダンスベースの追跡のために、電流が電極26に方向付けられ、電極皮膚パッチ38において感知され、それにより、各電極の位置を、電極パッチ38を介して三角測量することができる。インピーダンスベースの位置追跡技術の詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,536,218号、同第7,756,576号、同第7,848,787号、同第7,869,865号、及び同第8,456,182号を参照されたい。これらは、2023年6月2日に出願された優先出願である米国特許出願第63/505,764号(代理人整理番号253757.000380 BIO6846USPSP1)に完全に記載され添付されているかのように、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【0025】
レコーダ11は、体表面ECG電極18で捕捉された電位図21と、カテーテル14の電極26で捕捉された心内電位図(IEGM)と、を表示する。レコーダ11は、心臓の律動をペーシングするためのペーシング能力を含み得、及び/又は独立型ペーサに電気的に接続され得る。
【0026】
システム10は、アブレーションするように構成されたカテーテルの遠位先端にある1つ以上の電極26にアブレーションエネルギーを伝達するように適合されたアブレーションエネルギー生成器50を含み得る。アブレーションエネルギー生成器50によって生成されるエネルギーは、不可逆エレクトロポレーション(IRE)をもたらすために使用され得るような単極性若しくは双極性高電圧直流パルスを含む、高周波(RF)エネルギー若しくはパルス場アブレーション(PFA)エネルギー、又はそれらの組み合わせを含み得るが、それらに限定されない。
【0027】
患者インターフェースユニット(patient interface unit、PIU)30は、カテーテルと、電気生理学的機器と、電源と、システム10の動作を制御するワークステーション55との間の電気通信を確立するように構成されたインターフェースである。システム10の電気生理学的機器は、例えば、複数のカテーテル、位置パッド25、体表面ECG電極18、電極パッチ38、アブレーションエネルギー生成器50、及びレコーダ11を含み得る。任意選択的に、かつ好ましくは、PIU30は、カテーテルの位置のリアルタイム計算を実装し、ECG計算を実行するための処理能力を追加的に含む。
【0028】
ワークステーション55は、メモリと、適切なオペレーティングソフトウェアがロードされたメモリ又は記憶装置を有するプロセッサユニットと、ユーザインターフェース機能と、を含む。ワークステーション55は、任意選択的に、(1)心内膜解剖学的構造を三次元(3D)でモデルリングし、モデル又は解剖学的マップ20をディスプレイデバイス27上に表示するためにレンダリングすることと、(2)記録された電位図21からコンパイルされた活性化シーケンス(又は他のデータ)を、レンダリングされた解剖学的マップ20上に重ね合わされた代表的な視覚的指標又は画像でディスプレイデバイス27上に表示することと、(3)心腔内の複数のカテーテルのリアルタイム位置及び配向を表示することと、(5)アブレーションエネルギーが印加された位置などの関心部位をディスプレイデバイス27上に表示することと、を含む、複数の機能を提供し得る。システム10の要素を具現化する1つの市販製品は、Biosense Webster,Inc.,31 Technology Drive,Suite 200, Irvine,CA 92618から市販されている、CARTO(商標)3システムとして入手可能である。
【0029】
所望の剛性、マッピング解像度、標的生体構造との電極接触、及び標的生体構造に見られる平坦な組織表面、湾曲した組織表面、不規則な組織表面、及び/又は非平面的な組織表面に対する本明細書に開示されるエンドエフェクタの適合性を達成するために、エンドエフェクタは、少なくともフレームワーク、フレキシブル回路層、並びに第1及び第2の非導電層を有する。本明細書で使用される場合、「フレキシブル回路」という用語は、薄膜回路、フレキシブルプリント回路基板、ポリイミド又は更にはニチノール基板などの基板上へのリソグラフィ及びエッチングプロセスによる薄膜堆積を含む。
【0030】
ここで、カテーテルシャフト90に連結されたエンドエフェクタ100を示す図2A及び図2Bを参照する。重要なことに、エンドエフェクタ100は、全体的に平坦な外形を有する。図2Bは、カテーテル200(図6に示す)のための図2Aの多層エンドエフェクタ100の分解図である。エンドエフェクタ100は、垂直軸V-Vに沿って直交方向に分解されて示されている。エンドエフェクタ100は、第1のフレキシブル回路110、フレームワーク120、第1の非導電性フレキシブル層130a、第2のフレキシブル回路150、及び第2の非導電性フレキシブル層130bを含むことができる。第1のフレキシブル回路110は、エンドエフェクタ100の近位部分102から遠位部分104まで長手方向軸L-Lに沿って延在することができ、第1の面112及び第2の面114を含むことができる。フレームワーク120は、第1の側122及び反対側の第2の側124を含むことができ、第1のフレキシブル回路110に略平行に長手方向軸L-Lに沿って延在することができ、第1の側122は、第1のフレキシブル回路110から離間している。第1の非導電性フレキシブル層130aは、第1のフレキシブル回路110及びフレームワーク120を少なくとも部分的に封入することができる。第2のフレキシブル回路150は、フレームワーク120の第2の側124上に配置され、フレームワーク120から離間することができ、第2のフレキシブル回路150は、第1の面152及び第2の面154を有することができる。第2の非導電性フレキシブル層130bは、第2のフレキシブル回路150及びフレームワーク120を少なくとも部分的に封入することができる。
【0031】
いくつかの例では、第1のフレキシブル回路層110及び第2のフレキシブル回路層150は、主にポリイミドから作製することができる。他の例では、それは、生体適合性ポリイミド、ガラス強化エポキシ積層材料、銅、又はグラフェンのいずれかを単独であるいは組み合わせて作製され得る。第1のフレキシブル回路層110及び第2のフレキシブル回路層150は、導電性トレースを含むことができる。
【0032】
エンドエフェクタ100は、フレームワーク120に略平行に位置し、第3の非導電性フレキシブル層130cによってフレームワーク120から分離された複数のコイル142を含む位置感知コイル層140を更に含むことができる。コイル142は、いくつかの例では同一平面上にあり得る。位置感知コイル層140に関して、いくつかの例では、図2Bに見られるように、複数のコイル142は、概して長手方向軸L-Lに沿って位置する結合部144において互いに接合された2つのコイル142a、142bを含むことができ、位置感知コイル層140は、近位部分102から結合部144まで遠位方向に延在する中央スパイン146を更に含むことができる。中央スパイン146は、実質的に正弦波状の経路に沿って近位部分102から結合部144まで遠位方向に延在することができる。結合部144は、実質的に直線であり得、2つのコイル142a、142bの各々は、そうでなければ、実質的に円形の波状経路に沿って延在する。位置感知コイル層140は、複数のコイル142から延在する少なくとも1つの細長い指部148を更に含むことができる。少なくとも1つの細長い指部148は、長手方向軸L-Lに略平行に延在することができる。少なくとも1つの細長い指部148は、位置感知コイル層140の材料をより均一に分布させることによって、エンドエフェクタ100の剛性を調節し、エンドエフェクタ100の曲げを正規化するように機能することができる。
【0033】
エンドエフェクタ100は、第1のフレキシブル回路110の第1の面112に取り付けられた1つ以上の第1の電極160aを更に含むことができる。1つ以上の第1の電極160aの各々は、第1の非導電性フレキシブル層130aを通して周囲環境に露出された接触面C(図3Bに示す)を有することができる。第1の電極160a(又は第2の電極160b)の全てが、非導電性フレキシブル層130aを通して露出されるわけではないことに留意されたい。なぜなら、これらの露出されていない電極は、電極160a又は160bに接触する組織に近接するノイズ低減のために遠距離場信号を感知するために使用され得るからである。同様に、基準電極161aが組織と接触せず、血液とのみ接触するように、フレームワーク100の近位基部102の近くの一方の側に配置された基準電極161aを用いて、エンドエフェクタ全体について、遠距離場信号(ノイズ又はアーチファクトを含む)を低減又は相殺することができる。同様に、別の基準電極161bは、基準電極がマッピング又は記録中に(電極160との組織接触を介して)組織と接触しないように、近位基部102の近くのフレームワーク100の対向面上に配置することができる。基準電極161a及び161bは、好ましくは、周囲血液環境に露出されるが、基準電極が非導電層を通して露出されないように、ポリマー内に封入することができる。灌注は、カテーテルシャフト90内に配置された灌注ライン(図示せず)と流体連通している灌注ポート163a(一方の側)及び163b(他方の側)を用いて提供され得る。カテーテルシャフト90とは別個の灌注ラインの代わりに、カテーテルシャフト90の押出成形によって管腔を形成して、管腔チャネルを提供することができる。ポート163a又は163bは、血栓形成を防止又は低減するように、灌注流中に灌注流体がマッピング電極を覆うのに十分な分流器特性を有するように構成され得ることに留意されたい。
【0034】
エンドエフェクタ100は、第2のフレキシブル回路150の第1の面152に固定された1つ以上の第2の電極160bを更に含むことができる。1つ以上の第2の電極160bの各々は、第2の非導電性フレキシブル層130bを通して周囲環境に露出された接触面C(図3Bに示す)を有することができる。いくつかの例では、第1の電極160a及び第2の電極160bのいずれかの接触面Cは、それぞれの第1の非導電性ポリマー層130a及び第2の非導電性ポリマー層130bをレーザ切断することによって露出させることができる。
【0035】
第1の電極160aの少なくとも一部は、長手方向軸L-Lに直交して、第2の電極160bの少なくとも1つの位置と軸方向に整列されて、対向する電極の対を画定することができる。電極160は、組織信号を感知するか、又はエネルギー発生器から組織にエネルギー(AC又はDC)を伝送することができる。
【0036】
第1のフレキシブル回路110の第1の面112上に配置された第1の電極160aの複数の対を設けることができ、第1の電極160aの各対の電極は、第1の所定の長手方向距離Dだけ離間しており、第1の電極160aの各対は、第1の電極160aの隣接する対から第2の所定の長手方向距離Dだけ離間しており、第2の所定の長手方向距離Dは、第1の所定の長手方向距離Dよりも大きい。
【0037】
エンドエフェクタ100は、第2のフレキシブル回路150の第1の面152上に配置された複数の対の第2の電極160bを更に含むことができ、各対の第2の電極160bの電極は、第1の所定の長手方向距離Dだけ離間しており、各対の第2の電極160bは、隣接する対の第2の電極160bから第2の所定の長手方向距離Dだけ離間している。
【0038】
いくつかの例では、約92個の電極40と、約46対の第1の電極160a及び第2の電極160bと、が存在する。いくつかの例では、約48個の電極40と、約24対の第1の電極160a及び第2の電極160bと、が存在する。いくつかの例では、約64個の電極40と、約32対の第1の電極160a及び第2の電極160bと、が存在する。いくつかの例では、約72個の電極40と、約36対の第1の電極160a及び第2の電極160bと、が存在する。いくつかの例では、約98個の電極40と、約49対の第1の電極160a及び第2の電極160bと、が存在する。電極対の別個のセット間の間隔に対する各対の電極の間隔の詳細は、2022年9月14日に出願された米国仮出願第63/406,673号(代理人整理番号BIO6749USPSP3)に見出すことができ、2023年6月2日に出願された優先出願である米国仮特許出願第63/505,764号(代理人整理番号253757.000380 BIO6846USPSP1)に完全に記載され添付されているかのように、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【0039】
図2Cでは、カテーテルシャフト90の円筒形状に適合するように、位置センサを平坦に折り畳むか、又は巻くことができる近位位置センサ145を設けることができることが分かる。近位位置センサ145は、図2Cの位置感知コイル層140の一部として示されている。
【0040】
図2D1に示すように、近位位置センサ145は、位置感知コイル層140の一部である代わりに、第1のフレキシブル回路110の一部として、また第2のフレキシブル回路150の一部として設けることができる。更に、2つの別個の近位位置センサ145を設けることができ、一方が第1のフレキシブル回路110の一部であり、他方が第2のフレキシブル回路150の一部である。あるいは、本明細書に記載及び図示されるフレキシブル回路の形態の3つの別個の近位位置センサは、シャフト90の長手方向軸を中心に120度で配置されて、3軸センサ(TAS)を提供することができる。いくつかの例では、位置センサ145は、単軸センサ(SAS)であり得る。
【0041】
図2D2及び図2D3では、近位位置センサ145は、エンドエフェクタ100に平坦に適合するように、展開された状態(図2D2)及び折り畳まれた状態(図2D3)で示されている。この例では、折り畳まれたとき、位置センサ145は、第1のフレキシブル回路110、フレームワーク140、又は第2のフレキシブル回路150のいずれかと必ずしも同一平面上にない。位置センサ145は、フレキシブル非導電性材料130に埋め込むことができる。代替的に、位置センサ145は、第1のフレキシブル回路110及び第2のフレキシブル回路150などの他の構成要素がフレキシブル非導電性材料130によって封入された後に折り畳むことができ、したがって、フレキシブル非導電性材料140の外側に存在する。近位位置センサ145は、図2Cに関連して上述したように、円筒を形成するように巻くこともできる。
【0042】
図3A図3Bに示されるようないくつかの例では、対向する電極の対は、長手方向軸L-Lに略平行に整列させることができる。いくつかの例では、対向する電極の対は、長手方向軸L-Lに対して略横方向に整列させることができる。当業者によって理解されるように、対向する電極の対を利用することができ、1つの電極が組織を直接感知し、対向する電極が、典型的には雑音を含み得る遠距離場信号を感知することによって、雑音を相殺する。
【0043】
エンドエフェクタ100を示す図3A~3Cの参照を続けると、エンドエフェクタ100は、この例では、マッピングカテーテル200のために提供される。エンドエフェクタ100は、言い換えれば、第1の面112及び第2の面114を有し、エンドエフェクタ100の近位部分102から遠位部分104まで長手方向軸L-Lに沿って延在する、第1のフレキシブル回路110を含むものとして理解することができる。エンドエフェクタ100は、第1のフレキシブル回路110に略平行に長手方向軸L-Lに沿って延在し、長手方向軸L-Lに直交する第1の直交間隙70aによって第1のフレキシブル回路110から分離されている、フレームワーク120と、第1の面152及び第2の面154を有し、長手方向軸L-Lに沿って近位部分102から遠位部分104まで延在する、第2のフレキシブル回路150とを更に含むことができる。
【0044】
エンドエフェクタ100は、フレームワーク120に略平行に位置し、第2の直交間隙70bによってフレームワーク120から分離された複数のコイル142を有する位置感知コイル層140を更に含むことができる。第2のフレキシブル回路150は、第3の直交間隙70cによって位置感知コイル層140から分離することができる。
【0045】
重要なことに、第1の直交間隙70a、第2の直交間隙70b、及び第3の直交間隙70cは、エンドエフェクタ100が標的生体構造により良好に適合することを可能にするように、第1のフレキシブル回路110、フレームワーク120、位置感知コイル層140、及び第2のフレキシブル回路150が屈曲し、限定された範囲で互いにすれ違うことを可能にするように部分的に機能する。
【0046】
図3Cに示されるように、第1の直交間隙70a、第2の直交間隙70b、及び第3の直交間隙70cは、フレキシブル非導電性材料130で充填することができ、第1のフレキシブル回路110の第1の面112及び第2のフレキシブル回路150の第1の面は、フレキシブル非導電性材料130でコーティングされている。言い換えれば、第1のフレキシブル回路110、フレームワーク120、位置感知コイル層140、及び第2のフレキシブル回路150の各々は、第1のフレキシブル回路110、フレームワーク120、位置感知コイル層140、及び第2のフレキシブル回路150の各々が互いに分離されるように、フレキシブル非導電性材料130内に懸架させることができる。
【0047】
この非導電性フレキシブル材料130はまた、エンドエフェクタ100の非外傷性を向上させ、鋭い縁部から対象を保護するように機能する。
【0048】
エンドエフェクタ100は、フレキシブル非導電性材料130内に配置され、フレキシブル非導電性材料130を通して周囲環境に露出されるそれぞれの複数の接触面Cを有する、第1の複数の電極160aを更に含むことができる。第1の複数の電極160aは、フレキシブル非導電性材料130内の複数の穴を通して周囲環境に露出させることができる。いくつかの例では、第1の複数の電極160aは、第1のフレキシブル回路110上に配置されている。
【0049】
図4Aに示されるようないくつかの例では、第1のフレキシブル回路110、フレームワーク120、及び第2のフレキシブル回路150は、複数の枝部106を有する分岐構造100aを画定することができ、1つ以上の第1の電極のうちのいくつかは、当該枝部106の間に配置された第1のアブレーション電極460aである。フレームワーク120の平坦な外形は、任意の好適な方法を使用して、材料の平面状又は円筒状ストックから形成されることができる。例えば、フレームワーク120は、切断、レーザ切断、スタンピングなどによって形成することができる。
【0050】
1つ以上の第1の電極は、第1のフレキシブル回路110上に配置された第1のマッピング電極160aと、第1の非導電性フレキシブル層130a内に配置され、第1の非導電性フレキシブル層130aを通して周囲環境に露出された接触面Cを有する、第1のアブレーション電極460aとを含むことができる。いくつかの例では、第1のアブレーション電極460aは、前述したように、第1のフレキシブル回路110と実質的に同一平面上にあり、周囲環境に露出させることができる。あるいは、全て又はいくつかの第1のアブレーション電極460aは、第1のフレキシブル回路110上に配置することができ、第1のマッピング電極160aの全て又はいくつかは、第1の非導電性フレキシブル層130a内に配置することができる。
【0051】
図4Bは、図4Aに示される側とは反対のエンドエフェクタ100の側を示し、1つ以上の第2の電極のうちのいくつかは、当該枝部106の間に配置された第2のアブレーション電極460bである。1つ以上の第2の電極は、第2のフレキシブル回路150上に配置された第2のマッピング電極160bと、第2の非導電性フレキシブル層130b内に配置された第2のアブレーション電極460bとを含むことができる。いくつかの例では、第2のアブレーション電極460bは、前述したように、第2のフレキシブル回路150と実質的に同一平面上にあり、周囲環境に露出させることができる。あるいは、第2のアブレーション電極460bの全て又はいくつかは、第2のフレキシブル回路150上に配置することができ、第2のマッピング電極160bの全て又はいくつかは、第2の非導電性フレキシブル層130b内に配置することができる。
【0052】
他の例では、第1のフレキシブル回路110は、複数の枝部116を有する平面形状110aを有することができ、第1の複数の電極160aは、第1のフレキシブル回路110と同一平面上にあり、第1のフレキシブル回路110の枝部116の間に配置されている。
【0053】
いくつかの例では、第2の複数の電極160bは、第2のフレキシブル回路150上に配置することができる。他の例では、第2のフレキシブル回路150は、複数の枝部156を含む平面形状150aを有することができる。第2の複数の電極160bは、第2のフレキシブル回路150と同一平面上にあり、第2のフレキシブル回路150の枝部156の間に配置することができる。
【0054】
第1の非導電性フレキシブル層130a、第2の非導電性フレキシブル層130b、第3の非導電性フレキシブル層130c、及びフレキシブル非導電性材料130はまた、フレキシブル非導電性材料130の連続塊と考えることができる。換言すれば、エフェクタ100は、エンドエフェクタ100の長手方向軸L-Lに略平行に延在するフレキシブル回路と、フレキシブル回路に電気的に接続された複数の電極と、フレキシブル回路に略平行に長手方向軸L-Lに沿って延在するフレームワーク120とを含むことができ、フレキシブル非導電性材料130の連続塊は、フレキシブル回路とフレームワーク120とを互いに分離し、フレキシブル回路とフレームワーク120とを少なくとも部分的に電気的に絶縁する。フレキシブル回路は、第1のフレキシブル回路110及び第2のフレキシブル回路150を含むことができ、その各々が前述したような構成を有する。
【0055】
いくつかの例では、フレキシブル非導電性材料130は、生体適合性シリコーンを含むことができる。他の例では、フレキシブル非導電性材料130は、生体適合性フレキシブルポリマー、熱弾性ポリマー材料、及び誘電材料を含むことができる。フレキシブル非導電性材料130は、任意選択で、レーザ切断を容易にするために着色することができる。
【0056】
フレキシブル非導電性材料130の連続塊は、除去された部分132を有することができる。部分132は、フレキシブル回路110及びフレームワーク120のうちの1つ又は全てに形成することもできる。部分132は、多層エンドエフェクタ100の全ての層、又は層のうちのいくつかのみを通過することができる。部分132は、エンドエフェクタ100が送達カテーテルを通過することを可能にするために、縮小された送達構成へと折り畳まれるかあるいは屈曲するエンドエフェクタ100の能力を向上させるために含めることができる。
【0057】
コイル142a、142bの内側にある部分132は、コイル142a、142bの幾何学的完全性及び感知能力を維持しながら、エンドエフェクタ100を屈曲に対してより許容的にするために除去することができる。加えて、いくつかの例では、フレームワーク120は、位置感知コイル層140の幾何学的完全性及び感知能力を維持しながら、エンドエフェクタ100を屈曲に対してより許容的にするように付形され得る。
【0058】
位置感知コイル層140は、三角測量を介して対象内のエンドエフェクタ100の位置を決定するために、1つ以上の磁場発生器(図示せず)と併せて使用され得る。電磁位置感知技術は、米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,690,963号、及び同第6,788,967号を参照されたい。これらは、2023年6月2日に出願された優先出願である米国特許出願第63/505764号(代理人整理番号253757.000380 BIO6846USPSP1)に完全に記載され添付されているかのように、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【0059】
いくつかの例では、エンドエフェクタ100は、フレキシブル非導電性材料130の連続塊の一部によってフレキシブル回路及びフレームワーク120から分離された位置感知コイル層140を更に含むことができる。あるいは、いくつかの例では、フレームワーク120は、位置感知コイル層140として使用することができる。
【0060】
いくつかの例では、電極160は、フレキシブル非導電性材料130の連続塊内に配置され、フレキシブル非導電性材料130の連続塊内の複数のそれぞれの穴132を通して周囲環境に露出させることができる。
【0061】
いくつかの例では、第2のフレキシブル回路150は、フレームワーク120の第1のフレキシブル回路110とは反対側に配置することができ、複数の電極は、第1のフレキシブル回路110に電気的に接続された第1の複数の電極160aと、第2のフレキシブル回路150に電気的に接続された第2の複数の電極160bとを含むことができる。フレキシブル非導電性材料130の連続塊は、第2のフレキシブル回路150及びフレームワーク120を互いに分離し、第2のフレキシブル回路150及びフレームワーク120を少なくとも部分的に絶縁することができる。
【0062】
いくつかの例では、第1の複数の電極160a及び第2の複数の電極160bは、フレキシブル非導電性材料130の連続塊内の複数のそれぞれの穴132を通して周囲環境に露出させることができる。
【0063】
図5Aに示されるようないくつかの例では、エンドエフェクタ100は、略平面状の表面Sに対して垂直軸V-Vにおいてエンドエフェクタ100の近位部分102に印加される力によって、略平面状の表面Sに対して接触したままであり得る。エンドエフェクタ100は、略平面状の表面Sに対して垂直軸V-Vにおいてエンドエフェクタ100の近位部分102に印加される力と、略平面状の表面Sに略平行に印加される力とによって略平面状の表面Sに対して接触したままであり得る。医師24はまた、管状部材230(図6に示され、以下でより詳細に説明される)を介してエンドエフェクタ100にトルクを印加し、したがってエンドエフェクタ100が平面状の表面Sに対して平坦になるように促すことができる。エンドエフェクタ100はまた、長手方向軸L-Lに略平行に印加される力によって略平面状の表面Sに対して平坦に押すことができる。エンドエフェクタ100は、医師24が略平面状の表面Sにわたってエンドエフェクタ100をドラッグするときに医師24によるプルワイヤの作動を介して略平面状の表面Sに対して平らに置かれるように作製することができる。プルワイヤを介したエンドエフェクタの操作の詳細は、米国特許出願第2021/0369339号に記載されており、これは、2023年6月2日に出願された優先出願である米国仮特許出願第63/505764号(代理人整理番号253757.000380 BIO6846USPSP1)に完全に記載され添付されているかのように、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。図5Bは、エンドエフェクタ100の両側の電極間、並びにエンドエフェクタ100の同じ側の電極間で双極アブレーションを生成するエンドエフェクタ100の能力を示す。図5Bは、この場合はアブレーション電極460aである組織接触アブレーション電極と、この場合はエンドエフェクタの反対側のアブレーション電極460bである非組織接触アブレーション電極との間で生成された双極アブレーションのシミュレーション500の図を示す。図5Bでは、リング500a、500b、500c、及び500dは、それぞれ、800v、1200v、1800v、及び1800vの電圧、並びにミリメートル単位で示される組織Tへの侵入深さを表す。
【0064】
いくつかの例では、第1のフレキシブル回路110、第2のフレキシブル回路150、及びフレームワーク120の各々は、図5Aに示すように、エンドエフェクタ100の屈曲時に、非導電性材料130内で互いに対して滑るように構成することができる。
【0065】
本開示は、長手方向軸L-Lに沿って延在し、エンドエフェクタ100をシース210の外に送達するように構成された管状部材230を含み得る、図6に示されるようなカテーテルアセンブリ200を提供する。医師24は、ハンドル220を用いてカテーテル200を操作することができる。カテーテルアセンブリ200、及びハンドル220、シース210、管状部材230、及び本明細書で言及されない他のものなどのその副構成要素の適切な例は、米国特許出願公開第2021/0369339号に記載されており、同出願は、2023年6月2日に出願された優先出願である米国仮出願第63/505,764号(代理人整理番号第253757号、000380 BIO6846USPSP1)に完全に記載され添付されているかのように、その全体が参照により本出願に組み込まれる。
【0066】
本明細書に説明される本開示の技術は、以下の条項に従って更に理解することができる。
【0067】
第1項:カテーテル用の多層エンドエフェクタであって、エンドエフェクタは、エンドエフェクタの近位部分から遠位部分まで長手方向軸に沿って延在し、第1の面及び第2の面を備える、第1のフレキシブル回路と、第1の側及び反対側の第2の側を含み、第1のフレキシブル回路に略平行に長手方向軸に沿って延在する、フレームワークであって、第1の側は、フレームワークとフレキシブル回路との間に物理的接触がないように第1のフレキシブル回路から離間している、フレームワークと、第1のフレキシブル回路及びフレームワークを少なくとも部分的に封入する第1の非導電性フレキシブル層と、フレームワークの第2の側に配置され、フレームワークから離間しており、第1の面及び第2の面を有する、第2のフレキシブル回路と、第2のフレキシブル回路及びフレームワークを少なくとも部分的に封入する第2の非導電性フレキシブル層と、を備えるエンドエフェクタ。
【0068】
第2項:適切に配向され、好ましくはフレームワークに略平行に配置され、第3の非導電性フレキシブル層によってフレームワークから分離されている、複数のコイルを含む位置感知コイル層を更に備える、第1項に記載のエンドエフェクタ。
【0069】
第3項:第1のフレキシブル回路の第1の面に取り付けられた1つ以上の第1の電極を更に備え、1つ以上の第1の電極の各々は、第1の非導電性フレキシブル層を通して周囲環境に露出された接触面を有し、1つ以上の電極のうちのいくつかは、非導電性フレキシブル層を通して露出されていない、第1項~第2項のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0070】
第4項:第2のフレキシブル回路の第1の面に取り付けられた1つ以上の第2の電極を更に備え、1つ以上の第2の電極の各々は、第2の非導電性フレキシブル層を通して周囲環境に露出された接触面を有する、第1項~第3項のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0071】
第5項:第1の電極の少なくとも一部は、長手方向軸に直交して第2の電極の少なくとも1つの位置と軸方向に整列されて、対向する電極の対を画定する、第3~4項のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0072】
第6項:対向する電極の対は、長手方向軸に略平行に整列されている、第5項に記載のエンドエフェクタ。
【0073】
第7項:対向する電極の対は、長手方向軸に対して略横方向に整列されている、第5又は6項に記載のエンドエフェクタ。
【0074】
第8項:第1のフレキシブル回路の第1の面上に配置された複数の対の第1の電極を更に備え、第1の電極の各対の電極は、第1の所定の長手方向距離だけ離間しており、第1の電極の各対は、第1の電極の隣接する対から第2の所定の長手方向距離だけ離間しており、第2の所定の長手方向距離は、第1の所定の長手方向距離よりも大きい、第1~2項のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0075】
第9項:第2のフレキシブル回路の第1の面上に配置された複数の対の第2の電極を更に含み、各対の第2の電極の電極は、第1の所定の長手方向距離だけ離間しており、各対の第2の電極は、隣接する対の第2の電極から第2の所定の長手方向距離だけ離間している、第8項に記載のエンドエフェクタ。
【0076】
第10項:第1の非導電性フレキシブル層に配置され、第1の非導電性フレキシブル層を通して周囲環境に露出された接触面を有する、1つ以上の第1の電極を更に備える、第3項に記載のエンドエフェクタ。
【0077】
第11項:1つ以上の第1の電極は、第1のフレキシブル回路と実質的に同一平面上にある、第10項に記載のエンドエフェクタ。
【0078】
第12項:第1のフレキシブル回路、フレームワーク、及び第2のフレキシブル回路が、複数の枝部を有する分岐構造を画定し、1つ以上の第1の電極が、当該枝部の間に配置されている、第11項に記載のエンドエフェクタ。
【0079】
第13項:第2の非導電性フレキシブル層に配置された1つ以上の第2の電極を更に備え、1つ以上の第2の電極の各々は、第2の非導電性フレキシブル層を通して周囲環境に露出された接触面を有する、第3項に記載のエンドエフェクタ。
【0080】
第14項:1つ以上の第2の電極は、第2のフレキシブル回路と実質的に同一平面上にある、第13項に記載のエンドエフェクタ。
【0081】
第15項:第1のフレキシブル回路、フレームワーク、及び第2のフレキシブル回路は、複数のスロットを有する分岐構造を画定し、1つ以上の第2の電極は、スロット内に配置されている、第14項に記載のエンドエフェクタ。
【0082】
第16項:複数のコイルは、長手方向軸に概ね沿って位置する結合部において互いに接合された2つのコイルを備え、位置感知コイル層は、近位部分から結合部まで遠位方向に延在する中央スパインを更に備える、第2~15項のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0083】
第17項:中央スパインは、実質的に正弦波状の経路に沿って近位部分から結合部まで遠位方向に延在している、第16項に記載のエンドエフェクタ。
【0084】
第18項:結合部は直線状であり、2つのコイルの各々は、そうでなければ実質的に円形の波状経路に沿って延在する、第16~17項のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0085】
第19項:位置感知コイル層は、複数のコイルから延在する少なくとも1つの細長い指部を更に備える、第16~18項のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0086】
第20項:エンドエフェクタは、略平面状の表面に対する垂直軸においてエンドエフェクタの近位部分に印加される力によって、略平面状の表面に対して接触したままである、第1~19項のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0087】
第21項:略平面状の表面に対する垂直軸においてエンドエフェクタの近位部分に印加される力、及び略平面状の表面に対して略平行に印加される力によって、略平面状の表面に対して接触したままである、請求項1~19のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0088】
第22項:1つ以上の第1の電極は、1つ以上のマッピング電極を含む、第3~15項のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0089】
第23項:1つ以上の第1の電極は、1つ以上のアブレーション電極を含む、第3~15項のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0090】
第24項:1つ以上の第2の電極は、1つ以上のマッピング電極を含む、第4~15項のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0091】
第25項:1つ以上の第2の電極は、1つ以上のアブレーション電極を含む、第4~15項のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0092】
第26項:マッピングカテーテル用のエンドエフェクタであって、第1の面及び第2の面を備え、エンドエフェクタの近位部分から遠位部分まで長手方向軸に沿って延在する、第1のフレキシブル回路と、第1のフレキシブル回路に略平行に長手方向軸に沿って延在するフレームワークであって、長手方向軸に直交する第1の直交間隙によって第1のフレキシブル回路から分離されている、フレームワークと、第1の面及び第2の面を備え、長手方向軸に沿って近位部分から遠位部分まで延在する、第2のフレキシブル回路とを含む、エンドエフェクタ。
【0093】
第27項:エンドエフェクタは、好適に配向され、好ましくは、フレームワークに略平行に配置され、第2の直交間隙によってフレームワークから分離されている、複数のコイルを備える位置感知コイル層を更に備え、第2のフレキシブル回路は、第3の直交間隙によって位置感知コイル層から分離されている、第26項に記載のエンドエフェクタ。
【0094】
第28項:第1の直交間隙、第2の直交間隙、及び第3の直交間隙は、フレキシブル非導電性材料で充填され、第1のフレキシブル回路の第1の面及び第2のフレキシブル回路の第1の面は、フレキシブル非導電性材料でコーティングされている、第27項に記載のエンドエフェクタ。
【0095】
第29項:フレキシブル非導電性材料内に配置され、フレキシブル非導電性材料を通して周囲環境に露出されるそれぞれの複数の接触面を有する、第1の複数の電極を更に備える、第28項に記載のエンドエフェクタ。
【0096】
第30項:第1のフレキシブル回路層上に配置された第1の複数の電極を更に備える、第29項に記載のエンドエフェクタ。
【0097】
第31項:第1のフレキシブル回路は、複数の枝部を含む平面形状を有し、第1の複数の電極は、第1のフレキシブル回路と同一平面上にあり、第1のフレキシブル回路の枝部の間に配置されている、第29項に記載のエンドエフェクタ。
【0098】
第32項:フレキシブル非導電性材料内に配置され、フレキシブル非導電性材料を通して周囲環境に露出されるそれぞれの複数の接触面を有する、第2の複数の電極を更に備える、第31項に記載のエンドエフェクタ。
【0099】
第33項:第2のフレキシブル回路層上に配置された第2の複数の電極を更に備える、第32項に記載のエンドエフェクタ。
【0100】
第34項:第2のフレキシブル回路は、複数の枝部を含む平面形状を有し、第2の複数の電極は、第2のフレキシブル回路と同一平面上にあり、第2のフレキシブル回路の枝部の間に配置されている、第33項に記載のエンドエフェクタ。
【0101】
第35項:カテーテル用のエンドエフェクタであって、エンドエフェクタは、エンドエフェクタの長手方向軸に略平行に延在し、第1のフレキシブル回路及び第2のフレキシブル回路を備える、フレキシブル回路と、フレキシブル回路に電気的に接続された複数の電極と、フレキシブル回路に略平行に長手方向軸に沿って延在するフレームワークと、フレキシブル回路とフレームワークとを互いに分離し、フレキシブル回路とフレームワークとを少なくとも部分的に絶縁する、フレキシブル非導電性材料の連続塊と、を備えるエンドエフェクタ。
【0102】
第36項:フレキシブル非導電性材料の連続塊によってフレキシブル回路及びフレームワークから分離された位置感知コイル層を更に備える、第35項に記載のエンドエフェクタ。
【0103】
第37項:電極は、フレキシブル非導電性材料の連続塊内に配置され、フレキシブル非導電性材料の連続塊内の複数のそれぞれの穴を通して周囲環境に露出されている、第36項に記載のエンドエフェクタ。
【0104】
第38項:第2のフレキシブル回路は、フレームワークの、第1のフレキシブル回路の反対の側に配置され、複数の電極は、第1のフレキシブル回路に電気的に接続された第1の複数の電極と、第2のフレキシブル回路に電気的に接続された第2の複数の電極とを含み、フレキシブル非導電性材料の連続塊は、第2のフレキシブル回路とフレームワークとを互いに分離し、第2のフレキシブル回路とフレームワークとを少なくとも部分的に絶縁している、第35~37項のいずれか一項に記載のエンドエフェクタ。
【0105】
第39項:第1の複数の電極及び第2の複数の電極は、フレキシブル非導電性材料の連続塊内の複数のそれぞれの穴を通して周囲環境に露出されている、第37項~第38項のいずれか1つに記載のエンドエフェクタ。
【0106】
第40項:第1のフレキシブル回路、第2のフレキシブル回路、及びフレームワークの各々は、エンドエフェクタの屈曲時に、非導電性材料内で互いに対して滑るように構成されている、第39項に記載のエンドエフェクタ。
【0107】
〔実施の態様〕
(1) カテーテル用の多層エンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、
前記エンドエフェクタの近位部分から遠位部分まで長手方向軸に沿って延在し、第1の面及び第2の面を備える、第1のフレキシブル回路と、
第1の側及び反対側の第2の側を含み、前記第1のフレキシブル回路に略平行に前記長手方向軸に沿って延在するフレームワークであって、前記第1の側は前記第1のフレキシブル回路から離間している、フレームワークと、
前記第1のフレキシブル回路及び前記フレームワークを少なくとも部分的に封入する第1の非導電性フレキシブル層と、
前記フレームワークの前記第2の側に配置され、前記フレームワークから離間しており、第1の面及び第2の面を有する、第2のフレキシブル回路と、
前記第2のフレキシブル回路及び前記フレームワークを少なくとも部分的に封入する第2の非導電性フレキシブル層と、を備える多層エンドエフェクタ。
(2) 前記フレームワークに略平行に配置され、第3の非導電性フレキシブル層によって前記フレームワークから分離されている、複数のコイルを含む位置感知コイル層を更に備える、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(3) 前記第1のフレキシブル回路の前記第1の面に取り付けられた1つ以上の第1の電極を更に備え、前記1つ以上の第1の電極の各々は、前記第1の非導電性フレキシブル層を通して周囲環境に露出された接触面を有する、実施態様2に記載のエンドエフェクタ。
(4) 前記第2のフレキシブル回路の第1の面に取り付けられた1つ以上の第2の電極を更に備え、前記1つ以上の第2の電極の各々は、前記第2の非導電性フレキシブル層を通して前記周囲環境に露出された接触面を有する、実施態様3に記載のエンドエフェクタ。
(5) 前記第1の電極の少なくとも一部は、前記長手方向軸に直交して前記第2の電極の少なくとも1つの位置と軸方向に整列されて、対向する電極の対を画定する、実施態様4に記載のエンドエフェクタ。
【0108】
(6) 前記複数のコイルは、前記長手方向軸に概ね沿って位置する結合部において互いに接合された2つのコイルを含み、前記位置感知コイル層は、
前記近位部分から前記結合部まで遠位方向に延在する中央スパインを更に含む、実施態様2に記載のエンドエフェクタ。
(7) 前記位置感知コイル層は、前記複数のコイルから延在する少なくとも1つの細長い指部を更に備える、実施態様6に記載のエンドエフェクタ。
(8) 前記第1のフレキシブル回路の前記第1の面上に配置された複数の対の第1の電極を更に備え、前記第1の電極の各対の前記電極は、第1の所定の長手方向距離だけ離間しており、前記第1の電極の各対は、隣接する第1の電極の対から第2の所定の長手方向距離だけ離間しており、前記第2の所定の長手方向距離は、前記第1の所定の長手方向距離よりも大きい、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(9) 前記第1の非導電性フレキシブル層に配置され、前記第1の非導電性フレキシブル層を通して周囲環境に露出された接触面を有する、1つ以上の第1の電極を更に備える、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(10) 前記第2の非導電性フレキシブル層に配置された1つ以上の第2の電極を更に備え、前記1つ以上の第2の電極の各々は、前記第2の非導電性フレキシブル層を通して前記周囲環境に露出された接触面を有する、実施態様9に記載のエンドエフェクタ。
【0109】
(11) 前記エンドエフェクタは、略平面状の表面に対する垂直軸において前記エンドエフェクタの前記近位部分に印加される力によって、前記略平面状の表面に対して接触したままである、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(12) マッピングカテーテル用のエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、
第1の面及び第2の面を備え、前記エンドエフェクタの近位部分から遠位部分まで長手方向軸に沿って延在する、第1のフレキシブル回路と、
前記第1のフレキシブル回路に略平行に前記長手方向軸に沿って延在し、前記長手方向軸に直交する第1の直交間隙によって前記第1のフレキシブル回路から分離されている、フレームワークと、
第1の面及び第2の面を備え、前記近位部分から前記遠位部分まで前記長手方向軸に沿って延在する、第2のフレキシブル回路と、を備えるエンドエフェクタ。
(13) 前記エンドエフェクタは、
前記フレームワークに略平行に配置され、第2の直交間隙によって前記フレームワークから分離された複数のコイルを備える位置感知コイル層を更に備え、前記第2のフレキシブル回路は、第3の直交間隙によって前記位置感知コイル層から分離されている、実施態様12に記載のエンドエフェクタ。
(14) 前記第1の直交間隙、前記第2の直交間隙、及び前記第3の直交間隙は、フレキシブル非導電性材料で充填され、前記第1のフレキシブル回路の前記第1の面及び前記第2のフレキシブル回路の前記第1の面は、前記フレキシブル非導電性材料でコーティングされている、実施態様13に記載のエンドエフェクタ。
(15) 前記フレキシブル非導電性材料内に配置され、前記フレキシブル非導電性材料を通して周囲環境に露出されるそれぞれの複数の接触面を有する、第1の複数の電極を更に備える、実施態様14に記載のエンドエフェクタ。
【0110】
(16) カテーテル用のエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、
前記エンドエフェクタの長手方向軸に略平行に延在し、第1のフレキシブル回路及び第2のフレキシブル回路を含む、フレキシブル回路と、
前記フレキシブル回路に電気的に接続された複数の電極と、
前記フレキシブル回路に略平行に前記長手方向軸に沿って延在するフレームワークと、
前記フレキシブル回路と前記フレームワークとを互いに分離し、前記フレキシブル回路と前記フレームワークとを少なくとも部分的に絶縁する、フレキシブル非導電性材料の連続塊と、を備えるエンドエフェクタ。
(17) 前記フレキシブル非導電性材料の連続塊によって前記フレキシブル回路及び前記フレームワークから分離された位置感知コイル層を更に備える、実施態様16に記載のエンドエフェクタ。
(18) 前記電極は、前記フレキシブル非導電性材料の連続塊内に配置され、前記フレキシブル非導電性材料の連続塊内の複数のそれぞれの穴を通して周囲環境に露出されている、実施態様17に記載のエンドエフェクタ。
(19) 前記第2のフレキシブル回路は、前記フレームワークの、前記第1のフレキシブル回路とは反対の側に配置され、前記複数の電極は、前記第1のフレキシブル回路に電気的に接続された第1の複数の電極と、前記第2のフレキシブル回路に電気的に接続された第2の複数の電極とを含み、
前記フレキシブル非導電性材料の連続塊は、前記第2のフレキシブル回路と前記フレームワークとを互いに分離し、前記第2のフレキシブル回路と前記フレームワークとを少なくとも部分的に絶縁する、実施態様18に記載のエンドエフェクタ。
(20) 前記第1の複数の電極及び前記第2の複数の電極は、前記フレキシブル非導電性材料の連続塊内の前記複数のそれぞれの穴を通して前記周囲環境に露出されている、実施態様19に記載のエンドエフェクタ。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D1
図2D2
図2D3
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
【外国語明細書】