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特開2024-173837冷却構造、そのような冷却構造を備える電力変換器および車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173837
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】冷却構造、そのような冷却構造を備える電力変換器および車両
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20241205BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024089491
(22)【出願日】2024-05-31
(31)【優先権主張番号】2305474
(32)【優先日】2023-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】522447473
【氏名又は名称】ヴァレオ、イーオートモーティブ、ジャーマニー、ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】VALEO EAUTOMOTIVE GERMANY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル、ファクス
(72)【発明者】
【氏名】アーノウト、シュミット
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル、ヘヒト
(72)【発明者】
【氏名】シャウナック、コート
(72)【発明者】
【氏名】アルンプラサード、アンバジャガン
(72)【発明者】
【氏名】フリードヘルム、クンツェ
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA21
5H770BA02
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA41
5H770JA10X
5H770PA12
5H770PA42
5H770QA01
5H770QA06
5H770QA28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より均一な温度分布を有する冷却構造を提供する。
【解決手段】流体分配層(1)を備える冷却構造であって、流体分配層(1)の両側に配置された、冷却流体用の第1の開口部および第2の開口部と、第1の開口部が設置された細長い内側領域(4)と、第2の開口部が設置され、内側領域(4)を部分的に取り囲む2つのサイドアーム(6,7)を有する細長い外側領域(5)と、内側領域(4)と外側領域(5)とを分離する障壁(8)と、を有し、内側領域(4)の幅が第1の開口部から第2の開口部への方向に沿って減少する、冷却構造。また、電力変換器および車両が開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体分配層(1,19,29)を備える冷却構造(28)であって、
前記流体分配層(1,19,29)の両側に配置された冷却流体用の第1の開口部および第2の開口部と、
前記第1の開口部が設置された細長い内側領域(4,20)と、
前記第2の開口部が設置され、前記内側領域(4,20)を部分的に取り囲む2つのサイドアーム(6,7)を有する細長い外側領域(5,21)と、
前記内側領域(4,20)と前記外側領域(5,21)とを分離する障壁(8)と、
を有し、
前記内側領域(4,20)の幅が前記第1の開口部から前記第2の開口部への方向に沿って減少する、
冷却構造(28)。
【請求項2】
前記第1の開口部が前記冷却流体のための入口(2)であり、前記第2の開口部が出口(3)であり、またはその逆である、請求項1に記載の冷却構造。
【請求項3】
前記外側領域(5,21)の幅が、前記第1の開口部から前記第2の開口部への方向に沿って増加する請求項1または2に記載の冷却構造。
【請求項4】
前記障壁(8)が、U字形状またはV字形状を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の冷却構造。
【請求項5】
前記内側領域(4,20)の幅が、段階的に減少する、請求項1から4のいずれか一項に記載の冷却構造。
【請求項6】
前記内側領域(4,20)の外縁が、前記第1の開口部、具体的には前記入口(2)から前記第2の開口部、具体的には前記出口(3)への軸に対して傾斜している、請求項1から5のいずれか一項に記載の冷却構造。
【請求項7】
前記内側領域(4,20)および前記外側領域(5,21)が、前記第1の開口部、具体的には前記入口(2)から前記第2の開口部、具体的には前記出口(3)への軸に対して基本的に対称である、請求項1から6のいずれか一項に記載の冷却構造。
【請求項8】
流体分離プレート(9)が、前記流体分配層(1,19,29)と前記冷却構造(28)の積層(12,15,16,17)との間に配置され、前記流体分離プレート(9)が、前記内側領域(4,20)または前記外側領域(5,21)のいずれかと連通する貫通開口部(10,11)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の冷却構造。
【請求項9】
前記貫通開口部(10,11)が、前記入口(2)から前記出口(3)への方向に沿って配置されたスリットとして形成される請求項8に記載の冷却構造。
【請求項10】
いくつかの層(12,15,16,17)と、積層方向に従って互いに積み重ねられた前記いくつかの層(12,15,16,17)の間に分布した局在したチャンバ(32)のネットワークと、を備え、各局在したチャンバ(32)が、少なくとも2つの開口部を備え、そのうちの少なくとも1つは、前記層(12,15,16,17)のうちの別の層の局在したチャンバ(32)と連通し、各局在したチャンバ(32)は、前記2つの開口部の間の前記局在したチャンバ(32)内の任意の直接経路を遮断する1つまたはいくつかの蛇行した構造を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の冷却構造。
【請求項11】
基板(25)上に配置された、半導体パワー部品(26)を有するパワーモジュール(23)と、
ベースプレート(24)であって、前記基板(25)がその上に配置されたベースプレート(24)と、
前記ベースプレート(24)の下方に配置された、請求項1から10のいずれか一項に記載の冷却構造(28)と、
を備える、電力変換器、具体的にはインバータ(38)。
【請求項12】
前記インバータ(38)が多相インバータであり、前記流体分離プレート(9)の前記貫通開口部(10,11)、具体的には前記スリットが列状に配置され、前記列の数が前記相の数に対応する、請求項11に記載の電力変換器。
【請求項13】
前記冷却構造(28)が、冷却流体のための入口(30)および出口(31)を有するハウジング(27)に収容される、請求項11または12に記載の電力変換器。
【請求項14】
バッテリと、少なくとも1つの車輪を駆動するように構成された多相電動機(37)と、請求項11から13のいずれか一項に記載の電力変換器と、を備える車両(33)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却構造およびそのような冷却構造を備える電力変換器、詳細にはインバータに関する。本発明はまた、そのような電力変換器を有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータのような電力変換器は、バッテリによって供給される直流電圧から電気機械を動作させるための交流電圧、特に多相交流電圧を生成するために使用される。電気機械は、電動車両の車輪または車軸を駆動するための電動機として使用することができる。
【0003】
電力変換器は、制御可能なスイッチ、例えばIGBTなどの制御可能な半導体スイッチを備える。電力変換器の動作中、かなりの量の熱が発生し、半導体の動作温度を所定の限界値未満に保つためには、これを放散させなければならない。
【0004】
欧州特許出願公開第2416483号明細書は、直接冷却される両面単相パワーモジュールを記載している。具体的には、パワーモジュールは、ピンが突出するプレートを備える。ピンは、流路を流れる冷媒がピンに接触するように、流路の開口部に挿入されるようになっている。
【0005】
国際公開第2022/248427号は、いくつかの層と、積層方向に従って互いに積み重ねられたそのいくつかの層の間に分布した局在したチャンバのネットワークと、を備え、各局在したチャンバは少なくとも2つの開口部を備え、そのうちの少なくとも1つは層のうちの別の層の局在したチャンバと連通し、各局在したチャンバは、2つの開口部の間の局在したチャンバ内の任意の直接経路を遮断する1つまたはいくつかの蛇行した構造を備える冷却構造を開示している。各局在したチャンバでは、2つの開口部間を流れる冷媒は、少なくとも1つの蛇行した構造と接触せざるを得ず、その結果、蛇行した構造の壁から冷媒に熱が比較的容易に伝達され得る。各層は、冷却構造の入口と冷媒の温度が上昇する出口との間で1つ以上の蛇行した構造を備え、それによって冷却構造を備えるパワーモジュールから熱が放散される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2416483号明細書
【特許文献2】国際公開第2022/248427号
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、より均一な温度分布を有する冷却構造を提供することである。
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有する冷却構造によって達成される。
【0009】
本発明の冷却構造は、流体分配層を備え、流体分配層の両側に配置された冷却流体用の第1の開口部および第2の開口部と、第1の開口部が設置された細長い内側領域と、第2の開口部が設置され、内側領域を部分的に取り囲む2つのサイドアームを有する細長い外側領域と、内側領域と外側領域とを分離する障壁と、を有し、内側領域の幅が第1の開口部から第2の開口部への方向に沿って減少する。
【0010】
本発明の冷却構造は、半導体スイッチの均一な冷却を冷却構造が確実にするため、いくつかの半導体スイッチを備える電力変換器に特に好適である。本発明の別の利点は、冷却流体の圧力損失が国際公開第2022/248427号の構造と比較して低く、その結果、閉じた巡回路で冷却流体を搬送するために必要なエネルギーが少なくなることである。
【0011】
流体分配層の第1の開口部は、冷却流体のための入口とすることができ、第2の開口部は、出口とすることができる。しかし、入口と出口とを逆転させ、冷却流体の逆の流れをもたらす代替の実施形態も可能である。
【0012】
上述したように、内側領域の幅は、第1の開口部、好ましくは入口から第2の開口部、好ましくは出口への方向に沿って減少する。好ましくは、流体分配層の外側領域の幅は増加する。
【0013】
障壁は、U字形状またはV字形状であることが好ましい。このような形状により、冷却構造の長手方向において、内側領域の幅が入口から出口に向かい減少する一方で、外側領域の幅が増加することを確実にすることができる。
【0014】
「U字形状」および「V字形状」は、広義に理解されるべきである。U字形状障壁の脚部は、必ずしも垂直ではない。U字形状の障壁は、外側にわずかに傾斜した脚部を有することができる。このようなU字形状の障壁は、その脚部よりも比較的短い中央部分を有することができる。一方、V字形状の障壁は、必ずしも尖った端部を有していなくてもよい。V字形状の障壁の脚部の接続は、丸くすることもできる。
【0015】
好ましい実施形態によれば、内側領域の幅は段階的に減少することが想定され得る。この構造により、冷却構造の長手方向に互いに隣接して設置された、いくつかの半導体スイッチの位置に流れを感度良く適合させることが可能となる。
【0016】
内側領域の外縁が、入口から出口への軸に対して傾斜していることも可能である。内側領域の外縁は、いくつかの部分に分割されてもよく、各部分は、長手方向軸に対して異なる傾斜を有する。傾斜した外縁を有する本発明の冷却構造はまた、冷却流体の流れに影響を及ぼすために非常に正確に適合させることもできる。
【0017】
内側領域および外側領域は、入口から出口への軸に対して基本的に対称であることが特に好ましい。この特徴は、均一な温度分布にも寄与する。
【0018】
好ましくは、流体分離プレートは、流体分配層と冷却構造の積層との間に配置され、流体分離プレートは、内側領域または外側領域のいずれかと連通する貫通開口部を備える。さらに好ましくは、流体分離プレートの貫通開口部は、冷却流体が正しい位置に搬送されるように、インバータの半導体スイッチと同じ位置にある。
【0019】
これに関して、貫通開口部は、入口から出口への方向に沿って配置されたスリットとして形成されることも想定され得る。このようなスリットは、本質的に流れ圧力を損なわない。
【0020】
本発明の冷却構造は、いくつかの層と、積層方向に従って互いに積み重ねられたそのいくつかの層の間に分布した局在したチャンバのネットワークと、を備えることができ、各局在したチャンバは少なくとも2つの開口部を備え、そのうちの少なくとも1つは層のうちの別の層の局在したチャンバと連通し、各局在したチャンバは、2つの開口部の間の局在したチャンバ内の任意の直接経路を遮断する1つまたはいくつかの蛇行した構造を備える。本発明により、高い電力密度を有するパワー電子部品から熱を放散させることが可能となる。
【0021】
本発明はさらに、基板上に配置された半導体パワー部品を有するパワーモジュールと、ベースプレートであって、基板がその上に配置されたベースプレートと、ベースプレートの下方に配置された本発明の冷却構造と、を備える電力変換器、詳細にはインバータに関する。
【0022】
好ましくは、インバータは多相インバータであり、流体分離プレートの貫通開口、具体的にはスリットは列状に配置され、列の数は相の数に対応する。
【0023】
好ましくは、冷却構造は、冷却流体のための入口および出口を有するハウジングに収容される。
【0024】
本発明はさらに、バッテリと、少なくとも1つの車輪を駆動するように構成された多相電動機と、本発明の電力変換器と、を備える車両に関する。
【0025】
本発明は、図面を参照して好ましい例によって説明される。図面は概略図であり、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】流体分配層の上面図を示す。
図2】流体分離プレートの上面図を示す。
図3】クロス蛇行層を示す。
図4】いくつかのクロス蛇行層を示す。
図5】上部プレートを示す。
図6】本発明の冷却構造の側断面図を示す。
図7】冷却構造の断面図を示す。
図8】流体分配層の第2の実施形態を示す。
図9】本発明の車両を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、おおよそ矩形形状の矩形流体分配層1の上面図である。流体分配層1は、冷却構造の構成要素である。冷却流体用の入口2および出口3が、流体分配層1の両側に配置されている。入口2は、細長い内側領域4に設置される。細長い外側領域5には、内側領域4を部分的に取り囲む2つのサイドアーム6、7が設けられている。障壁8は、内側領域4を外側領域5から分離する。図1の実施形態では、障壁8はV字形状を有する。入口と出口との間に延びる長手方向に沿って、内側領域4の幅は減少するが、外側領域5の幅は増加する。内側領域4および外側領域5は、入口2と出口3との間に延びる長手方向軸に対して基本的に対称である。
【0028】
図2は、装着された状態では流体分配層1の上に配置されている流体分離プレート9を示す。流体分離プレート9は、長手方向に一列に配置された3つの貫通開口部10を備える。貫通開口部10は、流体分離プレート9の中心に沿って置かれているため、流体分配層1の内側領域4と連通する。また、貫通開口部10の両側には、更なる貫通開口部11が配置されている。貫通開口部10と、更なる貫通開口部11とは、互いに平行に配置されている。貫通開口部10、11はいずれもスリットとして形成されている。中央の貫通開口部10はドットでマークされ、外側の貫通開口部11は十字形でマークされている。これらの記号は、流れ方向を表す。ドットは、冷却流体が面外に向け下向きに流れることを表すが、十字形は、冷却流体が面内に向け下向きに流れることを表す。流体分離プレート9の機能は、冷却流体をいくつかのパワーモジュール間に分配することである。図示の例では、3つのパワーモジュールが存在し、それらは冷却構造の上部に配置されている。
【0029】
図3は、流体分離プレート9の上部に設置されたクロス蛇行層12を示す。この実施形態では、クロス蛇行プレート12は、それぞれがほぼ正方形の形状を有する3つの別個だが同一の蛇行領域13を備える。各蛇行領域13は、横方向に向けられた蛇行構造を備える。蛇行領域13は、横方向セパレータによって互いに分離されている。流体分離プレート9からの低温の冷却流体は、上方に進み、ドットで示されているクロス蛇行層12の中央に入る。クロス蛇行層12の中央部分は、線で表される2つの平行な障壁14によって限定される。この蛇行構造により、低温の冷却流体は、金属からなるクロス蛇行層12から吸熱し、温められる。蛇行領域13間のセパレータおよび障壁14は、平行な障壁14の間にある冷却流体がさらに上方に流れることしかできないようにする。十字形で示すように、クロス蛇行層12の両方の外側部分の高温の冷却流体は、流体分離プレート9へと下方に流れる。クロス蛇行層12の両方の外側部分の幅は異なり、これは、障壁14が中心線(長手方向軸)に対して対称に配置されていないことを意味することに留意されたい。
【0030】
図4は、互いに積層された合計4つのクロス蛇行層を示す。第1のクロス蛇行層12については、既に説明した通りである。第2のクロス蛇行層15は、障壁14の位置を除いて、第1のクロス蛇行層12と同様の構造を有する。第1のクロス蛇行層12の平行な障壁14は、中心線から右側に一定量だけずれており、第2のクロス蛇行層15の障壁14は、中心線から左側に一定量だけずれている。第3のクロス蛇行層16は、第1のクロス蛇行層12と同一であり、第4のクロス蛇行層17は、第2のクロス蛇行層15と同一である。障壁14の位置は中心線に対して対称ではなく、ある層から次の層へと交互に変わるため、冷却流体は、混合され、上下に移動せざるを得ない。積層された層12、15、16、17は、三次元構造の巡回路を生成する。
【0031】
図5は、第4のクロス蛇行層17の上に置かれ、冷却構造を封止し、パワーモジュールとの良好な熱的接続を確実にする上部プレート18を示す。
【0032】
図6は、DC電圧をAC電圧に変換する用に構成されたインバータ22の流れ方向に沿った断面図である。矢印「V」は、垂直方向を示している。矢印「F」は流れ方向を示す。インバータ22は、DC電圧を平滑化するように構成されたDCリンクコンデンサ(図示せず)を備える。DC電圧のAC電圧への変換は、ベースプレート24と、ベースプレート24の上面に固定された基板25と、を備えるパワーモジュール23によって実行される。パワーモジュール23は、基板25によって支持された半導体パワー部品26である制御可能スイッチをさらに備える。パワーモジュール23は、基板25および半導体パワー部品26を囲む電気的絶縁ハウジング27を備えるが、ベースプレート24の下向き面は覆われていない。パワーモジュール23は、ベースプレート24の底面に固定された冷却構造28をさらに備える。
【0033】
冷却流体を案内するように構成された流体分配層29の断面図が、パワーモジュール23の下に示されている。流体分配層29は、入口30と出口31とを備える。断面図では、内側領域と外側領域との間の障壁8も見える。冷却構造28は、細長い側壁を有し、パワーモジュール23に固定されるように構成され、その結果、積層されたクロス蛇行層12が冷却構造の空洞内に収容される。冷却構造28とパワーモジュール23を備えるインバータ22とは、互いに固定され、封止されている。
【0034】
冷媒は、入口30から出口31に流れるために垂直方向Vに垂直な流れの方向Fに沿って、クロス蛇行層12の蛇行領域においてチャンバ32を横切るように意図されている。チャンバ32は、穴によって形成され、垂直方向に沿って互いに積み重ねられたいくつかのクロス蛇行層12の間に分布している。各層は、図3に示すように蛇行した構造を備える。チャンバは、オフセットして積み重ねられ、その結果2つの連続するチャンバ32の間を流れるためには、冷却流体は別のクロス蛇行層12の1つのチャンバを通過しなければならない。異なる層のチャンバ間の冷媒の流れを可能にするために、各チャンバ32は、隣接する層のチャンバと重なる。隣接する層の2つのチャンバ32の間の重なりにより、これらの2つのチャンバ32の間の冷媒の連通を可能にする冷却流体の開口部が形成される。冷却流体がクロス蛇行層12を流れると、半導体パワー部品26で発生した熱がベースプレート24から放散される。
【0035】
図7は、図6に示す冷却構造28の流れ方向に垂直な断面図である。障壁8は、内側領域4を2つの外側領域5から分離する。
【0036】
図8は、流体分配層1と類似の流体分配層19である第2の実施形態を示す。流体分配層19は、入口2と、出口3と、外側領域21によって囲まれた細長い内側領域20と、を有する。第1の実施形態とは対照的に、内側領域20の幅は、入口から出口に向かって段階的に減少する。内側領域20は、中心線に関して対称である3つの領域を備える。これらの領域の幅は、入口2から出口3に向かって減少する。
【0037】
図9は、車輪34と、1つ以上の車輪を直接的または間接的に駆動するように構成された電気駆動部35と、を備える自動車車両33を示す。車両33は、電気駆動部35に電力を供給するためのバッテリなどのDC電圧源36を備える。DC電圧源36は、DC電圧Eを供給するように構成される。
【0038】
電気駆動部35は、電動機37と、電力を供給することによって電動機37を駆動するように構成されたインバータ38と、を備える。この実施形態では、電動機37は、固定子相を備えた回転電動機である。記載された例では、電動機37は、3つの固定子相を備えた三相電動機である。
【0039】
インバータ38は、DC電圧Eが入力端子IT+、IT-に存在するように、DC電圧源36に接続された入力端子IT+、IT-を備える。より正確には、入力端子IT+、IT-は、
【0040】
DC電圧源36の正端子に接続された正入力端子IT+と、DC電圧源106の負端子および電気接地GNDに接続された負入力端子IT-と、を含む。
【0041】
インバータ38は、電動機37に接続された出力端子OTをさらに備える。AC電圧は、電動機37に電力を供給するために出力端子OTに存在するように意図されている。AC電圧は、単相または多相のAC電圧であってもよい。電動機37が三相電動機である記載の例では、AC電圧は三相AC電圧である。
【0042】
インバータ38は、入力端子IT+、IT-および出力端子OTに接続された、主スイッチと呼ばれる制御可能スイッチQ、Q’をさらに備える。主スイッチQ、Q’は、例えばトランジスタを備える半導体スイッチである。各主スイッチQ、Q’は、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、および炭化ケイ素MOSFET(SiC MOSFET)のうちの1つを備える。これらのスイッチQ、Q’は、図6の半導体パワー部品26に対応する。記載された実施形態では、インバータ38は、電動機37の固定子相にそれぞれ関連付けられたスイッチ素子39を備える。各スイッチ素子39は、正入力端子IT+に接続されたハイサイド(HS)主スイッチQ’と、負入力端子ITに接続されたローサイド(LS)主スイッチQと、を備える。HS主スイッチQ’とLS主スイッチQとは、電動機37の対応付けられた固定子相に接続された出力端子OTに接続された中間点で接続されている。
【0043】
各スイッチ素子39は、2つの構成間を行き来するように制御されるためのものである。ハイサイド(HS)構成と呼ばれる第1の構成では、HS主スイッチQ’は閉じており(オン)、LS主スイッチQは開いており(オフ)、その結果、DC電圧Eが対応付けられた固定子相に基本的に印加される。ローサイド(LS)構成と呼ばれる第2の構成では、HS主スイッチQ’は開いており(オフ)、LS主スイッチQは閉じており(オン)、その結果、0電圧が対応付けられた固定子相に基本的に印加される。
【0044】
インバータ38は、主スイッチQ、Q’がDC電圧EをAC電圧に変換するように、主スイッチQ、Q’を制御するように構成された制御装置40をさらに備える。記載された例では、制御装置40は、上述の2つの構成の間で各スイッチ素子39を切り替えるように構成される。パワーモジュール23は、例えば、スイッチ素子39のうちの1つまたはすべてのスイッチ素子39を実装することができる。
【0045】
本発明が上述の実施形態に限定されるものではないことに留意されたい。開示された教示に照らして、上述の実施形態に様々な修正を加えることができることが当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】