(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017384
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】保持部材、切断装置、及び切断品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20240201BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20240201BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20240201BHJP
B26D 7/18 20060101ALI20240201BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20240201BHJP
B28D 7/04 20060101ALI20240201BHJP
B26D 7/20 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H01L21/78 N
H01L21/78 F
B24B41/06 L
B24B27/06 M
B26D7/18 E
B23Q11/00 Q
B23Q11/00 N
B28D7/04
B26D7/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119983
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100227019
【弁理士】
【氏名又は名称】安 修央
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】岩井 雅浩
【テーマコード(参考)】
3C011
3C021
3C034
3C069
3C158
5F063
【Fターム(参考)】
3C011BB12
3C011BB21
3C021FC04
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB72
3C034BB75
3C034DD10
3C069AA01
3C069BA04
3C069BC07
3C069CA06
3C069CB01
3C069DA06
3C069DA07
3C069EA03
3C069EA05
3C158AA03
3C158AA14
3C158AA16
3C158AB04
3C158CB01
3C158CB06
3C158DA17
5F063AA15
5F063AA40
5F063BA17
5F063CA04
5F063DD01
5F063FF01
(57)【要約】
【課題】 切断対象物の切断により生じる端材の散乱を抑制又は防止できる保持部材を提供する。
【解決手段】 切断対象物Wを保持するための保持部材2Xであって、
保持部材2Xは、切断対象物を保持するテーブル2と、凸部20a及び20bとを含み、
凸部20a及び20bは、テーブル2における切断対象物Wを保持する側の面において、切断対象物Wを保持する位置の周囲の一部に設けられ、
凸部20a及び20bの高さは、テーブル2に保持される切断対象物Wの高さよりも低い、保持部材2X。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断対象物を保持するための保持部材であって、
前記保持部材は、切断対象物を保持するテーブルと、凸部とを含み、
前記凸部は、前記テーブルにおける前記切断対象物を保持する側の面において、前記切断対象物を保持する位置の周囲の一部の、前記切断対象物と接触しない位置に設けられ、
前記凸部の高さは、前記テーブルに保持される前記切断対象物の高さよりも低い、保持部材。
【請求項2】
前記切断対象物の形状が多角形であり、
前記凸部は、前記切断対象物を保持する位置の周囲において、前記切断対象物の辺の外側に該当する位置の一部の、前記切断対象物の辺と接触しない位置に設けられ、
前記切断対象物の一辺の外側に設けられる前記凸部の長さは、前記一辺の長さよりも短い、請求項1記載の保持部材。
【請求項3】
前記切断対象物の一辺の外側に設けられた前記凸部は、前記テーブル上において、前記一辺に垂直で前記一辺の両端にそれぞれ接する二本の仮想線に挟まれた内側に配置されている、請求項2記載の保持部材。
【請求項4】
前記切断対象物の形状が矩形である、請求項1から3のいずれか一項に記載の保持部材。
【請求項5】
前記切断対象物の長辺の外側に設けられる前記凸部が複数に分割され、前記複数の凸部の間の隙間から、前記切断対象物の切断により生じた端材が前記保持部材の外に出ることが可能である、請求項4記載の保持部材。
【請求項6】
前記複数の凸部の間の隙間が、少なくとも前記切断対象物の長辺の中央部に該当する位置に設けられている、請求項5記載の保持部材。
【請求項7】
前記保持部材における前記凸部が設けられた側の面に流体を流すことにより、前記凸部が設けられていない部分から、前記切断対象物の切断により生じた端材が前記保持部材の外に出ることが可能である、請求項1から6のいずれか一項に記載の保持部材。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の保持部材と、
前記保持部材に保持された前記切断対象物を切断する切断機構と、
を含む、切断装置。
【請求項9】
切断対象物を切断して製造される切断品の製造方法であって、
前記切断品の製造方法は、
請求項8記載の切断装置を用いて行い、
前記保持部材に前記切断対象物を保持する切断対象物保持工程と、
前記保持部材に保持された前記切断対象物を切断する切断対象物切断工程と、
を含む、切断品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持部材、切断装置、及び切断品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップを樹脂封止した樹脂成形品を製造する場合等において、パッケージ基板等の切断対象物を、切断装置(切削装置)により切断することがある(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図7の平面図に、切断装置の一例を示す。なお、同図では、説明の便宜のため、切断装置の一部のみを図示している。
図7(a)に示すとおり、この切断装置は、切断対象物Wを保持するための保持部材(テーブル)2を有し、さらに、保護カバー10と、端材収容部11と、CCSブロック13と、スライド部材14とを含む。スライド部材14は、スライド部材14を移動させる移動機構(図示せず)により、水平方向の一方向に往復移動可能である。スライド部材14が移動可能な方向は、同図では、矢印で図示したY軸方向(すなわち、図の上下方向)となる。スライド部材14は、保護カバー10の上に保持されている。保護カバー10は、スライド部材14を移動させる前述の移動機構を覆っており、その移動機構を保護している。また、保護カバー10は、蛇腹構造を有し、スライド部材14の移動とともに図示の上下方向に伸縮可能である。端材収容部11は、保護カバー10の一端(図の下端)に設けられ、切断対象物Wの切断により生じた端材Tを収容可能である。スライド部材14が最も端材収容部11側に移動した状態では、スライド部材14の端部は、最も端材収容部11側に位置する保護カバー10の上面又はそれよりも端材収容部11側に位置することになる。すなわち、この状態では、スライド部材14は、保護カバー10の上面全体又は略全体を覆うことになる。保持部材2は、スライド部材14の上面に固定され、スライド部材14とともに移動する。保持部材2は、その上面において、切断対象物Wを載置して保持可能である。切断装置は、例えば、切断対象物Wを切断するための回転刃(ブレード)を有する切断機構(図示せず)をY軸方向(図の上下方向)に移動させて、切断対象物Wを切断できる。また、切断装置は、例えば、スライド部材14をY軸方向に移動させることにより、切断対象物Wを切断機構(ブレードを含む)に対し相対的に移動させることによっても、切断対象物Wを切断できる。また、切断装置は、スライド部材14をY軸方向に移動させることにより、例えば、カバー部材10の上に流された端材(
図7(a)では図示せず)を押し出して、端材収容部11内に落下させ収容することができる。CCSブロック13は、スライド部材14の上面に固定され、保持部材2に隣接して配置されている。例えば、切断対象物Wの切断に先立ち、切断対象物Wを切断するための回転刃(ブレード)をCCSブロック13に接触させることで、回転刃(ブレード)の高さを制御できる。
【0005】
図7(a)に示した切断装置では、例えば、切断(切削)時に回転刃(ブレード)に吹き付けられる水流により、又は、それとは別の水流により、切断対象物Wの切断により生じた端材Tを吹き飛ばして、又は流して端材収容部11内に収容することができる。また、例えば、前述のように、スライド部材14を図示の上下方向に移動させることにより、端材収容部11内に端材を収容することもできる。
【0006】
しかし、
図7(a)に示した切断装置では、切断対象物Wの切断により生じた端材が散乱することにより、切断装置を損傷、又は切断対象物Wの切断により製造される切断品を損傷させるおそれがある。
図7(b)は、
図7(a)に示した切断装置において、端材が散乱した例を示す平面図である。
図7(b)において、T1~T4は、散乱した端材を示す。T1は、切断対象物Wの上に散乱した端材を示す。このように端材T1が切断対象物Wの上に散乱することで、端材T1が回転刃(ブレード)による切断対象物Wの切断を阻害し、又は製品(切断品)を損傷させるおそれがある。T2は、CCSブロック13上に散乱した端材を示す。このようにCCSブロック13上に端材T2が散乱することで、回転刃(ブレード)の高さを制御しようとする際に、回転刃(ブレード)が端材T2に接触し、回転刃(ブレード)を損傷させるおそれがある。
図7(b)において、T3は、保持部材2上に散乱した端材を示す。このように保持部材2上に端材T3が散乱することで、端材T3がさらに別の場所に散逸するなどして、切断装置を損傷させるおそれがある。T4は、スライド部材14、保護カバー10及び端材収容部11が2つ以上隣接して配置された場合において、隣接する保護カバー10の上に散乱した端材を示す。このように保護カバー10の上に端材T4が散乱することで、保護カバー10の伸縮時に保護カバー10を損傷させるおそれがある。また、前述のように、スライド部材14を図示の上下方向に移動させることによって、カバー部材10の上に散乱した端材T4を押し出して端材収容部11内に落下させようとした場合にも、同様に保護カバー10を損傷させるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、切断対象物の切断により生じる端材の散乱を抑制又は防止できる保持部材、切断装置、及び切断品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明の保持部材は、
切断対象物を保持するための保持部材であって、
前記保持部材は、切断対象物を保持するテーブルと、凸部とを含み、
前記凸部は、前記テーブルにおける前記切断対象物を保持する側の面において、前記切断対象物を保持する位置の周囲の一部の、前記切断対象物と接触しない位置に設けられ、
前記凸部の高さは、前記テーブルに保持される前記切断対象物の高さよりも低い、保持部材である。
【0009】
本発明の切断装置は、前記本発明の保持部材と、前記保持部材に保持された前記切断対象物を切断する切断機構と、含む、切断装置である。
【0010】
本発明の切断品の製造方法は、
切断対象物を切断して製造される切断品の製造方法であって、
前記切断品の製造方法は、
前記本発明の切断装置を用いて行い、
前記保持部材に前記切断対象物を保持する切断対象物保持工程と、
前記保持部材に保持された前記切断対象物を切断する切断対象物切断工程と、
を含む、切断品の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、切断対象物の切断により生じる端材の散乱を抑制又は防止できる保持部材、切断装置、及び切断品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の保持部材及びそれを用いた本発明の切断装置の一例を示す平面図である。
【
図2】
図2(a)は、
図1の保持部材及び切断装置を用いて切断対象物を切断する状態の一例を示す平面図である。
図2(b)は、
図1の保持部材及び切断装置を用いた切断対象物の切断における別の一例を示す平面図である。
【
図3】
図3(a)は、本発明の保持部材及びそれを用いた本発明の切断装置の別の一例を示すとともに、それらを用いて切断対象物を切断する状態の一例を示す平面図である。
図3(b)は、
図3(a)の保持部材及び切断装置を用いた切断対象物の切断における別の一例を示す平面図である。
【
図4】
図4(a)は、凸部を有しない保持部材において、切削粉による汚れを例示する平面図である。
図4(b)は、本発明の保持部材において、切削粉による汚れがない状態を例示する平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の保持部材及びそれを用いた本発明の切断装置のさらに別の一例を示す平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の切断装置における全体の構成を例示する平面図である。
【
図7】
図7(a)は、凸部を有しない保持部材及びそれを用いた切断装置の一例を示す平面図である。
図7(b)は、
図7(a)の保持部材及び切断装置を用いて切断対象物を切断する状態の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明において、切断対象物は特に限定されず、例えば、基板を樹脂封止したパッケージ基板(樹脂成形品)等であってもよいし、樹脂封止していない基板等であってもよい。また、本発明における切断対象物は、これらに限定されず任意である。
【0014】
本発明において、樹脂成形品は、特に限定されず、例えば、単に樹脂を成形した樹脂成形品でもよいし、半導体チップ、抵抗素子、キャパシタ素子等の電子素子を樹脂成形により樹脂封止した樹脂成形品でもよい。本発明において、樹脂成形品は、例えば、電子部品等であってもよい。電子部品としては、特に限定されず任意であり、例えば、半導体チップ、抵抗素子、キャパシタ素子等の任意の電子素子を樹脂封止した任意の電子部品でもよい。電子素子の種類、形態等も特に限定されず、例えば、前述した各種形態(フリップチップを含む)の少なくとも一つであってもよい。また、樹脂成形品は、半導体チップ、抵抗素子、キャパシタ素子等の電子素子を樹脂封止した電子部品をさらに樹脂封止したものであってもよい。
【0015】
また本発明において、「チップ」は、樹脂封止する前のチップをいい、具体的には、例えば、IC、LEDチップ、半導体チップ、電力制御用の半導体素子等のチップが挙げられる。本発明において、樹脂封止する前のチップは、樹脂封止後の電子部品と区別するために、便宜上「チップ」という。しかし、本発明における「チップ」は、樹脂封止する前のチップであれば、特に限定されず、チップ状でなくてもよい。
【0016】
本発明において、「フリップチップ」とは、ICチップ表面部の電極(ボンディングパット)にバンプと呼ばれる瘤状の突起状電極を有するICチップ、あるいはそのようなチップ形態のことをいう。このチップを、下向きに(フェースダウン)してプリント基板などの配線部に接続させる。前記フリップチップは、例えば、ワイヤレスボンディング用のチップあるいは接続方式の一つとして用いられる。
【0017】
本発明において、樹脂成形の成形対象物は、特に限定されないが、例えば、基板であってもよい。また、本発明において、例えば、基板(成形対象物)に固定された電子素子(例えば半導体チップ、抵抗素子、キャパシタ素子等)を樹脂封止(樹脂成形)して樹脂成形品を製造してもよい。本発明において、樹脂成形の成形対象物である基板(インターポーザともいう。)としては、特に限定されないが、例えば、リードフレーム、配線基板、ウェハー、ガラスエポキシ製基板、セラミック製基板、樹脂製基板、金属製基板等であっても良い。基板は、例えば、その一方の面又は両面にチップが固定された実装基板であっても良い。チップの固定方法は、特に限定されないが、例えば、ワイヤーボンディング、フリップチップボンディング等が挙げられる。本発明では、例えば、チップが固定された基板を樹脂封止することにより、チップが樹脂封止された電子部品を製造しても良い。また、本発明の樹脂成形装置により樹脂封止される基板の用途は、特に限定されないが、例えば、LED用基板、携帯通信端末用の高周波モジュール基板、電力制御用モジュール基板、機器制御用基板等が挙げられる。
【0018】
以下、本発明の具体的な実施形態を図面に基づいて説明する。各図は、説明の便宜のため、適宜省略、誇張等をして模式的に描画されている。ただし、本発明は以下の説明又は描画により限定されない。
【実施形態1】
【0019】
実施形態1では、本発明の保持部材及びそれを用いた本発明の切断装置の一例について説明する。
【0020】
図1の平面図に、本発明の切断装置の一例を示す。なお、同図では、説明の便宜のため、切断装置の一部のみを図示している。図示のとおり、この切断装置は、保持部材が凸部を有すること以外は
図7に示した切断装置と同様である。具体的には、
図7では保持部材がテーブル2のみからなっていたが、
図1の保持部材2Xは、切断対象物Wを保持するテーブル2と、凸部20a及び20bとを含む。凸部20a及び20bは、図示のとおり、テーブル2における切断対象物Wを保持する側の面において、切断対象物Wを保持する位置の周囲の一部の、切断対象物Wと接触しない位置(すなわち、切断対象物Wを保持する位置から離れた位置)に設けられている。切断対象物Wを保持する位置の周囲において、凸部20aと凸部20bとの隙間、すなわち凸部20a及び20bが設けられていない部分から、切断対象物Wの切断により生じた端材が保持部材2Xの外に出ることが可能である。
【0021】
図1では、切断対象物Wは矩形である。凸部20aは二つあり、切断対象物Wの二つの長辺の外側の、長辺と接触しない位置(すなわち、長辺から離れた位置)にそれぞれ設けられている。凸部20bは二つあり、切断対象物Wの二つの短辺の外側の、短辺と接触しない位置(すなわち、短辺から離れた位置)にそれぞれ設けられている。切断対象物Wの長辺の外側に設けられた凸部20aの長さは、切断対象物Wの長辺の長さよりも短い。これにより、切断対象物Wの切断により生じた端材が保持部材2Xの外に出やすい。そして、凸部20aは、図示のとおり、テーブル2上において、切断対象物Wの長辺に垂直でその長辺の両端にそれぞれ接する二本の仮想線a1及びa2に挟まれた内側に配置されている。これにより、切断対象物Wの切断により生じた端材は、さらに保持部材2Xの外に出やすい。同様に、切断対象物Wの短辺の外側に設けられた凸部20bの長さも、切断対象物Wの短辺の長さよりも短い。これにより、切断対象物Wの切断により生じた端材は保持部材2Xの外に出やすい。そして、凸部20bは、図示のとおり、テーブル2上において、切断対象物Wの短辺に垂直でその短辺の両端にそれぞれ接する二本の仮想線b1及びb2に挟まれた内側に配置されている。これにより、切断対象物Wの切断により生じた端材は、さらに保持部材2Xの外に出やすい。
【0022】
また、凸部20a及び20bの高さは、テーブル2に保持される切断対象物Wの高さよりも低い。これにより、凸部20a及び20bが切断対象物Wを切断するための回転刃(ブレード)に引っかかって、切断の邪魔になることを防止できる。
【0023】
なお、
図1では、保持部材2X、保護カバー10、端材収容部11、CCSブロック13、及びスライド部材14のセットが、2つ並列に配置されている。ただし、これは例示であり、これらのセットの数は特に限定されず、1つのみでもよいし3つ以上でもよい。
【0024】
図2(a)及び(b)に、
図1の保持部材及び切断装置を用いて切断対象物を切断する状態の一例を、それぞれ示す。
図2(a)は、切断対象物Wの長辺を、切断対象物Wを切断するための回転刃の回転面と平行になるように保持した例である。
図2(b)は、切断対象物Wの短辺を、切断対象物Wを切断するための回転刃の回転面と平行になるように保持した例である。
【0025】
図2(a)を用いて、この保持部材及び切断装置を用いて切断対象物を切断する状態の一例について説明する。図示のとおり、この切断装置の一部であるスピンドル6及びスピンドル6に取り付けられた回転刃(ブレード)61を用いて切断対象物Wを切断する。スピンドル6は、この切断装置において、保持部材2Xに保持された切断対象物Wを切断する「切断機構」に該当する。また、この切断装置を用いた切断対象物Wの切断は、本発明の切断品の製造方法における一例であるということもできる。この切断品の製造方法は、保持部材2Xに切断対象物Wを保持する「切断対象物保持工程」と、保持部材2Xに保持された切断対象物Wを切断する「切断対象物切断工程」と、を含む。
【0026】
まず、
図2(a)に示したとおり保持部材2Xに切断対象物Wを保持する「切断対象物保持工程」を行う。保持部材2Xに切断対象物Wを保持する方法は特に限定されず、例えば、本発明の技術分野における一般的な方法と同様でもよいし、他の任意の方法でもよい。具体的には、例えば、切断対象物Wを保持部材2Xに載置し、機械的な機構(例えばねじ、クランプ等)により保持部材2X上に固定することで、保持部材2Xに切断対象物Wを保持してもよい。また、例えば、切断対象物Wを保持部材2Xに載置し、保持部材2X及びスライド部材14に設けられた吸引孔(図示せず)から吸引して保持部材2Xに吸着させ固定することで、保持部材2Xに切断対象物Wを保持してもよい。また、
図2(a)では、切断対象物Wは、長辺が保護カバー10の伸縮方向及びスライド部材14の移動方向と平行に(図示の上下方向に)なるように配置されている。
【0027】
つぎに、保持部材2Xに保持された切断対象物Wを切断する「切断対象物切断工程」を行う。切断対象物Wを切断する方法も特に限定されず、例えば、本発明の技術分野における一般的な方法と同様でもよいし、他の任意の方法でもよい。具体的には、例えば、スピンドル6及び回転刃61を保護カバー10の伸縮方向及びスライド部材14の移動方向と平行に(図示の上下方向に)移動させることにより、回転刃61で切断対象物Wを切断してもよい。また、例えば、保護カバー10を伸縮させるとともに、スライド部材14及び保持部材2Xをスピンドル6及び回転刃61に対して相対的に移動させることにより、回転刃61で切断対象物Wを切断してもよい。切断対象物Wの切断時には、一般的な切断方法と同様に、回転刃61を冷却するための切削水を回転刃61に吹き付けながら切断を行うことが好ましい。また、例えば、回転刃61で切断対象物Wを切断するに先立ち、回転刃61をCCSブロック13に接触させることで、回転刃61の高さを制御してもよい。CCSブロック13のより具体的な使用方法は特に限定されないが、例えば、特開2022-006715号公報に記載された使用方法と同様又はそれに準じてもよい。
【0028】
そして、
図2(a)に示すとおり、切断対象物Wの切断により生じた端材を流すための端材処理水30を、矢印で図示したY軸方向(すなわち、図の上下方向)に、保持部材2Xから端材収容部11に向かって流す。これにより、端材が保持部材2Xの外に流れ出て、さらに端材収容部11に向かって流れる。同図において、T11、T12及びT13は、それぞれ端材を表す。図示のとおり、端材処理水30が流れる方向の上流から下流に向かってT11、T12及びT13の順序で示している。端材処理水30によって流された端材は、最終的に、端材収容部11内に落ちて収容される。端材処理水30を流すタイミングは特に限定されず、例えば、切断対象物切断工程と同時に流してもよいし、切断対象物切断工程が終了後に流してもよいし、その両方でもよい。また、切断対象物切断工程前に端材処理水30を流し始めてもよい。また、例えば、回転刃61を冷却するために回転刃61に吹き付ける切削水が端材処理水30を兼ねてもよい。しかしながら、切削水とは別に端材処理水30を流すことが、端材を流す効率等の観点から好ましい。また、実施形態1では端材処理水30として水を用いているが、これに限定されず、水に加え、又は水に代えて任意の流体(例えば、水以外の液体、又は空気等の任意の気体)を用いることもできる。しかしながら、水を用いることが、コスト、簡便さ等の観点から好ましい。端材処理水30としての水も特に限定されず、例えば、一般的な切削水と同様でもよく、例えば、水道水、蒸留水等であってもよい。
【0029】
以上のようにして、
図2(a)に示す切断対象物Wを切断し、切断品を製造することができる。
【0030】
また、
図2(b)における切断対象物Wの切断では、「切断対象物保持工程」において、切断対象物Wを、短辺が保護カバー10の伸縮方向及びスライド部材14の移動方向(図示のY軸方向)と平行になるように保持する。これ以外は、
図2(b)における切断対象物Wの切断は、
図2(a)と同様にして行うことができる。
【0031】
実施形態1では、切断対象物Wの切断により生じた端材が、凸部20aと凸部20bとの隙間からのみ保持部材Wの外に出て、凸部20a及び20bが配置された箇所からは出て行かない。また、例えば、凸部20a及び20bにより、端材を吹き飛ばす(拡散させる)水流の方向を変え、端材を端材回収部11に向かって押し流す水流に変換する効果が得られる。したがって、実施形態1によれば、切断対象物Wの切断により生じた端材の拡散を抑制又は防止できるので、端材の拡散により起こる切断品の損傷、切断装置の損傷等を抑制又は防止できる。また、切断対象物Wの切断により生じた端材の拡散を抑制又は防止できることにより、端材を効率的に回収することもできる。
【0032】
なお、
図1及び2の切断装置において、図示した部分以外(例えば、保護カバー10を伸縮させスライド部材14を移動させる機構等)の構成及び動作は特に限定されず、例えば、一般的な切断装置と同様でもよく、例えば、特許第6876586号公報に記載された装置と同様又はそれに準じてもよい。
【0033】
図3(a)及び(b)に、
図1及び2の切断装置の変形例を示す。図示のとおり、この切断装置は、切断対象物Wの長辺の外側に設けられる凸部20aが凸部20a1及び20a2に二分割されていること以外は、
図1及び2の切断装置と同様である。図示のとおり、凸部20aは、切断対象物Wの長辺の中央部で離間するように、凸部20a1及び20a2に二分割されている。
図3(a)は、切断対象物Wの長辺を、切断対象物Wを切断するための回転刃の回転面と平行になるように保持した例である。
図3(b)は、切断対象物Wの短辺を、切断対象物Wを切断するための回転刃の回転面と平行になるように保持した例である。
【0034】
図3(a)及び(b)における切断対象物Wの切断(切断品の製造方法)は、それぞれ、
図2(a)及び(b)と同様にして行うことができる。ただし、本変形例では、
図3(b)に示すとおり、切断対象物Wの切断により生じた端材が、凸部20aを二分割した凸部20aと凸部20bとの隙間からも、端材処理水30の水流とともに保持部材2Xの外に出ることが可能である。これにより、例えば、切断により分割された切断対象物Wの内側からも端材を出すことができるため、端材がいっそう保持部材2Xの外に出やすくなる。
【0035】
なお、実施形態1(
図1~2)及びその変形例(
図3)では、例えば、前述のとおり、凸部20a及び20bにより、端材を吹き飛ばす(拡散させる)水流の方向を変え、端材を端材回収部11に向かって押し流す水流に変換する効果が得られる。したがって、端材処理水30を効率的に利用できるので、副次的効果として、端材処理水30の使用量を大幅に低減することも可能である。例えば、凸部20a及び20bが無い場合と比較して、端材処理水30の使用量を約半分又はそれ以下に低減することも可能である。
【0036】
さらに、実施形態1(
図1~2)及びその変形例(
図3)の副次的効果として、凸部20a及び20bがあることにより、保持部材2Xのテーブル2上面で端材処理水30の渦流を発生させることができる。これにより、例えば、切断対象物Wの切断により生じた切削粉をテーブル2上面から洗い流すことができるので、切削粉がテーブル2上面に滞留することを抑制又は防止できる。
図4は、平面視において、その効果を模式的に示す。
図4(a)は、凸部20a及び20bが無い場合である。
図4(b)は、
図1~2と同様に凸部20a及び20bがある場合である。図示のとおり、
図4(a)では、テーブル2上面の切断対象物Wと隣接する領域αに切削粉cが滞留している。これに対し、
図4(b)では、領域αに切削粉cは滞留していない。
【0037】
また、
図5に、実施形態1(
図1~3)のさらに別の変形例を示す。図示のとおり、この保持部材2X及び切断装置は、切断対象物Wの長辺の外側に設けられた凸部20a1及び20a2が、端材回収部11に向かって(すなわち、端材処理水30の上流側から下流側に向かって)開くように傾斜していること以外は、
図3と同じである。凸部20a1及び20a2が傾斜していることで、例えば、端材処理水30を流した時に端材が傾いて流れても、凸部20a1及び20a2に引っかかりにくく、スムーズにテーブル2上から出ていくことができる。
【0038】
さらに、実施形態1には種々の変形例が可能である。例えば、
図3及び5では凸部20aを凸部20a1及び20a2に二分割したが、これに限定されず、三つ以上の凸部に分割してもよい。また、
図1~5では切断対象物Wが矩形である例を示したが、切断対象物Wの形状は、矩形に限定されず任意である。例えば、切断対象物Wの形状は、正方形でもよいし、方形以外の任意の多角形でもよいし、円形でもよいし、楕円形でもよい。
【実施形態2】
【0039】
つぎに、本発明の実施形態2について説明する。実施形態2では、本発明の切断装置における全体の構成及びその動作の一例について説明する。
【0040】
実施形態2の切断装置100は、
図6に示すように、切断対象物である樹脂成形された基板Wを切断することによって複数の製品Pに個片化する切断装置である。この切断装置100は、基板供給モジュールAと基板切断モジュールBと検査モジュールCとを、それぞれ構成要素として備える。各構成要素(各モジュールA~C)は、それぞれ他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0041】
基板供給モジュールAには、基板供給モジュールAには基板供給機構1が設けられる。被切断物に相当する樹脂成形された基板Wが、基板供給機構1から搬出され、移送機構(図示なし)によって基板切断モジュールBに移送される。
【0042】
図6に示す切断装置100は、ツインカットテーブル方式の切断装置である。したがって、基板切断モジュールBには、2個のテーブル2A及び2Bが設けられる。テーブル2A及び2Bは、例えば、実施形態1(
図1~5)のテーブル2と同様でもよい。また、テーブル2A及び2Bには、それぞれ実施形態1と同様に凸部(
図6では図示せず)が設けられ、テーブル2A又は2Bと共に保持部材を構成している。この保持部材は、例えば、実施形態1の保持部材2Xと同様でもよい。テーブル2Aには切断用治具3Aが取り付けられている。テーブル2Bには切断用治具3Bが取り付けられている。テーブル2Aは、移動機構4Aによって
図6の矢印で示したY軸方向(図の左右方向)に移動可能であり、かつ、回転機構5Aによってθ方向に回動可能である。テーブル2Bは、移動機構4Bによって
図6のY軸方向に移動可能であり、かつ、回転機構5Bによってθ方向に回動可能である。
【0043】
また、基板切断モジュールBには、位置合わせ用のカメラ(図示せず)が設けられている。位置合わせ用のカメラは独立して矢印で示したX軸方向(図の上下方向)に移動可能である。基板切断モジュールBには、切断機構として2個のスピンドル6A及び6Bが設けられている。切断装置100は、2個のスピンドル6A及び6Bが設けられるツインスピンドル構成の切断装置である。スピンドル6A及び6Bは、独立してX方向とZ方向とに移動可能である。スピンドル6A及び6Bは、例えば、
図2及び3のスピンドル6と同様でよい。また、スピンドル6Aには回転刃61Aが取り付けられ、スピンドル6Bには回転刃61Bが取り付けられている。回転刃61A及び61Bは、例えば、
図2及び3の回転刃61と同様でよい。
【0044】
この基板切断モジュールBの動作の一例は次のとおりである。テーブル2Aでの切断は、当該テーブル2Aと2個のスピンドル6A及び6Bとを相対的に移動させることによって、樹脂成形された基板Wを切断して個片化する。また、テーブル2Bでの切断は、当該テーブル2Bと、2個のスピンドル6A及び6Bとを相対的に移動させることによって、樹脂成形された基板Wを切断して個片化する。スピンドル6Aの回転刃61A及びスピンドル6Bの回転刃61Bは、Y軸方向とZ軸方向とを含む面内において回転することによって各テーブル2A、2Bに保持された樹脂成形された基板Wを切断する。なお、テーブル2Aでの切断処理と、テーブル2Bでの切断処置は、交互に行われる。
【0045】
基板切断モジュールBを用いた樹脂成形された基板(切断対象物)Wの切断、すなわち切断品の製造方法については、例えば、実施形態1で説明したとおり「切断対象物保持工程」と「切断対象物切断工程」とを行うことにより実施できる。
【0046】
検査モジュールCには検査用テーブル7が設けられている。検査用テーブル7には、樹脂成形された基板Wを切断して個片化された複数の製品(切断品)Pからなる集合体が載置される。複数の製品Pは、検査用のカメラ(図示せず)によって検査され、良品と不良品とに選別される。良品はトレイ8に収容される。
【0047】
なお、実施形態2においては、切断装置100の動作、樹脂成形された基板Wの搬送、樹脂成形された基板Wの切断、製品Pの検査など、すべての動作を制御する制御部CTLが基板供給モジュールA内に設けられている。これに限らず、制御部CTLは他のモジュール内に設けられてもよい。
【0048】
また、実施形態2では、
図6を用いて、本発明の切断装置における全体の構成及びその動作の一例について説明した。しかし、本発明の切断装置における全体の構成及びその動作は、これに限定されず任意であり、あらゆる変更が可能である。例えば、
図6では、ツインカットテーブル方式であって、ツインスピンドル構成の切断装置を説明した。しかし、本発明の切断装置は、これに限定されず、例えば、シングルカットテーブル方式であってシングルスピンドル構成の切断装置であってもよいし、シングルカットテーブル方式であってツインスピンドル構成の切断装置等であってもよい。
【0049】
また、
図6では、切断対象物として樹脂成形された基板Wを用いる例を説明した。しかし、前述のとおり、本発明では、切断対象物は樹脂成形された基板に限定されず、例えば、樹脂成形されていない基板等であってもよい。
【0050】
さらに、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。
【0051】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載し得るが、以下には限定されない。
(付記1)
切断対象物を保持するための保持部材であって、
前記保持部材は、切断対象物を保持するテーブルと、凸部とを含み、
前記凸部は、前記テーブルにおける前記切断対象物を保持する側の面において、前記切断対象物を保持する位置の周囲の一部の、前記切断対象物と接触しない位置に設けられ、
前記凸部の高さは、前記テーブルに保持される前記切断対象物の高さよりも低い、保持部材。
(付記2)
前記切断対象物の形状が多角形であり、
前記凸部は、前記切断対象物を保持する位置の周囲において、前記切断対象物の辺の外側に該当する位置の一部の、前記切断対象物の辺と接触しない位置に設けられ、
前記切断対象物の一辺の外側に設けられる前記凸部の長さは、前記一辺の長さよりも短い、付記1記載の保持部材。
(付記3)
前記切断対象物の一辺の外側に設けられた前記凸部は、前記テーブル上において、前記一辺に垂直で前記一辺の両端にそれぞれ接する二本の仮想線に挟まれた内側に配置されている、付記2記載の保持部材。
(付記4)
前記切断対象物の形状が矩形である、付記1から3のいずれかに記載の保持部材。
(付記5)
前記切断対象物の長辺の外側に設けられる前記凸部が複数に分割され、前記複数の凸部の間の隙間から、前記切断対象物の切断により生じた端材が前記保持部材の外に出ることが可能である、付記4記載の保持部材。
(付記6)
前記複数の凸部の間の隙間が、少なくとも前記切断対象物の長辺の中央部に該当する位置に設けられている、付記5記載の保持部材。
(付記7)
前記保持部材における前記凸部が設けられた側の面に流体を流すことにより、前記凸部が設けられていない部分から、前記切断対象物の切断により生じた端材が前記保持部材の外に出ることが可能である、付記1から6のいずれかに記載の保持部材。
(付記8)
付記1から7のいずれかに記載の保持部材と、
前記保持部材に保持された前記切断対象物を切断する切断機構と、
を含む、切断装置。
(付記9)
切断対象物を切断して製造される切断品の製造方法であって、
前記切断品の製造方法は、
付記8記載の切断装置を用いて行い、
前記保持部材に前記切断対象物を保持する切断対象物保持工程と、
前記保持部材に保持された前記切断対象物を切断する切断対象物切断工程と、
を含む、切断品の製造方法。
【符号の説明】
【0052】
1 基板供給機構
2、2A、2B テーブル
2X 保持部材
3A、3B 切断用治具
4A、4B 移動機構
5A、5B 回転機構
6、6A、6B スピンドル
61、61A、61B 回転刃(ブレード)
7 検査用テーブル
8 トレイ
10 保護カバー
11 端材収容部
13 CCSブロック
14 スライド部材
20a、20a1、20a2、20b 凸部
30 端材処理水
100 切断装置
W 樹脂成形された基板(切断対象物)
a1、a2 切断対象物Wの長辺に垂直でその長辺の各端にそれぞれ接する二本の仮想線
b1、b2 切断対象物Wの短辺に垂直でその短辺の各端にそれぞれ接する二本の仮想線
T、T1、T2、T3、T4、T11、T12、T13 端材
α テーブル2上面の切断対象物Wと隣接する領域
c 切削粉
P 製品(切断品)
A 基板供給モジュール
B 基板切断モジュール
C 検査モジュール
CTL 制御部
【手続補正書】
【提出日】2023-04-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断対象物を保持するための保持部材であって、
前記保持部材は、切断対象物を保持するテーブルと、凸部とを含み、
前記凸部は、前記テーブルにおける前記切断対象物を保持する側の面において、前記切断対象物を保持する位置の周囲の一部の、前記切断対象物と接触しない位置に設けられ、
前記凸部の高さは、前記テーブルに保持される前記切断対象物の高さよりも低い、保持部材。
【請求項2】
前記切断対象物の形状が多角形であり、
前記凸部は、前記切断対象物を保持する位置の周囲において、前記切断対象物の辺の外側に該当する位置の一部の、前記切断対象物の辺と接触しない位置に設けられ、
前記切断対象物の一辺の外側に設けられる前記凸部の長さは、前記一辺の長さよりも短い、請求項1記載の保持部材。
【請求項3】
前記切断対象物の一辺の外側に設けられた前記凸部は、前記テーブル上において、前記一辺に垂直で前記一辺の両端にそれぞれ接する二本の仮想線に挟まれた内側に配置されている、請求項2記載の保持部材。
【請求項4】
前記切断対象物の形状が矩形である、請求項1記載の保持部材。
【請求項5】
前記切断対象物の長辺の外側に設けられる前記凸部が複数に分割され、前記複数の凸部の間の隙間から、前記切断対象物の切断により生じた端材が前記保持部材の外に出ることが可能である、請求項4記載の保持部材。
【請求項6】
前記複数の凸部の間の隙間が、少なくとも前記切断対象物の長辺の中央部に該当する位置に設けられている、請求項5記載の保持部材。
【請求項7】
前記保持部材における前記凸部が設けられた側の面に流体を流すことにより、前記凸部が設けられていない部分から、前記切断対象物の切断により生じた端材が前記保持部材の外に出ることが可能である、請求項1記載の保持部材。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の保持部材と、
前記保持部材に保持された前記切断対象物を切断する切断機構と、
を含む、切断装置。
【請求項9】
切断対象物を切断して製造される切断品の製造方法であって、
前記切断品の製造方法は、
請求項8記載の切断装置を用いて行い、
前記保持部材に前記切断対象物を保持する切断対象物保持工程と、
前記保持部材に保持された前記切断対象物を切断する切断対象物切断工程と、
を含む、切断品の製造方法。