(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173841
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20241205BHJP
【FI】
G06Q30/0601 340
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024093243
(22)【出願日】2024-06-07
(62)【分割の表示】P 2023089547の分割
【原出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茂木 信二
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 綱太
(72)【発明者】
【氏名】辻 恭平
【テーマコード(参考)】
5L030
【Fターム(参考)】
5L030BB66
(57)【要約】
【課題】仮想空間上の施設に従事する従事者が、施設へ来訪した顧客に主体的に応対できるようにする。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る情報処理装置1は、仮想空間において従事者が従事者アバタを用いて従事する施設である仮想施設における、顧客が仮想施設を利用するために用いる顧客アバタの行動を示す行動情報を取得する取得部132と、行動情報に基づいて、顧客アバタと、仮想施設又は従事者アバタと、が所定の位置関係になったことを示す通知条件が満たされたか否かを判定する判定部133と、通知条件が満たされたと判定部が判定したことを条件として、現実空間における仮想施設に対応する施設である実施設に関連付けられた情報端末に通知する通知部135と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間において従事者が従事者アバタを用いて従事する施設である仮想施設における、顧客が前記仮想施設を利用するために用いる顧客アバタの行動を示す行動情報を取得する取得部と、
前記行動情報に基づいて、前記顧客アバタと、前記仮想施設又は前記従事者アバタと、が所定の位置関係になったことを示す通知条件が満たされたか否かを判定する判定部と、
予め記憶部に記憶された、前記仮想施設を区分した複数のエリアそれぞれと前記仮想施設に従事する複数の前記従事者それぞれとを関連付けた情報において、前記顧客アバタが位置する前記仮想施設内のエリアに関連付けられたいずれかの前記従事者を選択する選択部と、
前記通知条件が満たされたと前記判定部が判定したことを条件として、現実空間における前記仮想施設に対応する施設である実施設に関連付けられた情報端末であって、前記選択部が選択した前記従事者が利用する情報端末に通知する通知部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
仮想空間において従事者が従事者アバタを用いて従事する施設である仮想施設における、顧客が前記仮想施設を利用するために用いる顧客アバタの行動を示す行動情報を取得する取得部と、
前記行動情報に基づいて、前記顧客アバタが前記仮想施設で販売されている商品に対して所定の行動をとったことを示す通知条件が満たされたか否かを判定する判定部と、
予め記憶部に記憶された、前記仮想施設を区分した複数のエリアそれぞれと前記仮想施設に従事する複数の前記従事者それぞれとを関連付けた情報において、前記顧客アバタが位置する前記仮想施設内のエリアに関連付けられたいずれかの前記従事者を選択する選択部と、
前記通知条件が満たされたと前記判定部が判定したことを条件として、現実空間における前記仮想施設に対応する施設である実施設に関連付けられた情報端末であって、前記選択部が選択した前記従事者が利用する情報端末に通知する通知部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項3】
前記位置関係は、前記顧客アバタが前記仮想施設内に入ったことと、前記顧客アバタと前記従事者アバタとの間の距離が基準値以下になったことと、のうち少なくとも一方を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記行動は、前記顧客アバタと前記商品との間の距離が基準値以下になったことと、前記顧客アバタが前記商品の情報を表示するための行動をしたことと、のうち少なくとも1つを含む、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報端末において、前記通知条件の指定を受け付ける受付部をさらに有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記通知部は、前記通知条件が満たされたと前記判定部が判定し、かつ前記従事者アバタが前記仮想空間上にいることを条件として、前記情報端末に通知する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記通知部は、前記通知条件が満たされたと前記判定部が判定し、かつ前記従事者アバタが前記仮想空間上の前記仮想施設内にいることを条件として、前記情報端末に通知する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記選択部は、前記仮想施設に従事する複数の前記従事者のうち、前記顧客アバタが位置する前記仮想施設内のエリアに加えて、前記顧客アバタに対応する前記顧客の属性に基づいて、いずれかの前記従事者を選択する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記選択部は、前記仮想施設に従事する複数の前記従事者のうち、前記顧客アバタが位置する前記仮想施設内のエリアに加えて、前記顧客アバタが前記行動の対象とした前記商品の種類に基づいて、いずれかの前記従事者を選択する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記通知部が通知した第1従事者が利用する前記情報端末において、前記顧客アバタに応対するか否かを示す操作を受け付ける受付部をさらに有し、
前記通知部は、前記第1従事者が前記顧客アバタに応対しないことを示す操作を前記受付部が受け付けたことを条件として、前記第1従事者とは異なる第2従事者が利用する前記情報端末に通知する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
プロセッサが実行する、
仮想空間において従事者が従事者アバタを用いて従事する施設である仮想施設における、顧客が前記仮想施設を利用するために用いる顧客アバタの行動を示す行動情報を取得するステップと、
前記行動情報に基づいて、前記顧客アバタと、前記仮想施設又は前記従事者アバタと、が所定の位置関係になったことを示す通知条件が満たされたか否かを判定するステップと、
予め記憶部に記憶された、前記仮想施設を区分した複数のエリアそれぞれと前記仮想施設に従事する複数の前記従事者それぞれとを関連付けた情報において、前記顧客アバタが位置する前記仮想施設内のエリアに関連付けられたいずれかの前記従事者を選択するステップと、
前記判定するステップにおいて前記通知条件が満たされたと判定したことを条件として、現実空間における前記仮想施設に対応する施設である実施設に関連付けられた情報端末であって、前記選択するステップにおいて選択した前記従事者が利用する情報端末に通知するステップと、
を有する、情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータに、
仮想空間において従事者が従事者アバタを用いて従事する施設である仮想施設における、顧客が前記仮想施設を利用するために用いる顧客アバタの行動を示す行動情報を取得するステップと、
前記行動情報に基づいて、前記顧客アバタと、前記仮想施設又は前記従事者アバタと、が所定の位置関係になったことを示す通知条件が満たされたか否かを判定するステップと、
予め記憶部に記憶された、前記仮想施設を区分した複数のエリアそれぞれと前記仮想施設に従事する複数の前記従事者それぞれとを関連付けた情報において、前記顧客アバタが位置する前記仮想施設内のエリアに関連付けられたいずれかの前記従事者を選択するステップと、
前記判定するステップにおいて前記通知条件が満たされたと判定したことを条件として、現実空間における前記仮想施設に対応する施設である実施設に関連付けられた情報端末であって、前記選択するステップにおいて選択した前記従事者が利用する情報端末に通知するステップと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間に関する情報を処理するための情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、顧客用端末において仮想空間上の店舗に配置された商品の情報を表示させ、顧客が顧客用端末に表示された画面上で所定のボタンを押下したことに応じて、店員用端末を介して店員を呼び出すシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現実空間上の店舗等の施設では、施設に従事する従事者が顧客に応対することにより、商品の売上を向上できる場合がある。それに対して、特許文献1に記載のシステムでは、顧客が従事者を呼び出す必要があるため、従事者が顧客の来訪に気付かず、主体的に顧客に応対することができない場合がある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、仮想空間上の施設に従事する従事者が、施設へ来訪した顧客に主体的に応対できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、仮想空間において従事者が従事者アバタを用いて従事する施設である仮想施設における、顧客が前記仮想施設を利用するために用いる顧客アバタの行動を示す行動情報を取得する取得部と、前記行動情報に基づいて、前記顧客アバタと、前記仮想施設又は前記従事者アバタと、が所定の位置関係になったことを示す通知条件が満たされたか否かを判定する判定部と、予め記憶部に記憶された、前記仮想施設を区分した複数のエリアそれぞれと前記仮想施設に従事する複数の前記従事者それぞれとを関連付けた情報において、前記顧客アバタが位置する前記仮想施設内のエリアに関連付けられたいずれかの前記従事者を選択する選択部と、前記通知条件が満たされたと前記判定部が判定したことを条件として、現実空間における前記仮想施設に対応する施設である実施設に関連付けられた情報端末であって、前記選択部が選択した前記従事者が利用する情報端末に通知する通知部と、を有する。
【0007】
本発明の第2態様の情報処理装置は、仮想空間において従事者が従事者アバタを用いて従事する施設である仮想施設における、顧客が前記仮想施設を利用するために用いる顧客アバタの行動を示す行動情報を取得する取得部と、前記行動情報に基づいて、前記顧客アバタが前記仮想施設で販売されている商品に対して所定の行動をとったことを示す通知条件が満たされたか否かを判定する判定部と、予め記憶部に記憶された、前記仮想施設を区分した複数のエリアそれぞれと前記仮想施設に従事する複数の前記従事者それぞれとを関連付けた情報において、前記顧客アバタが位置する前記仮想施設内のエリアに関連付けられたいずれかの前記従事者を選択する選択部と、前記通知条件が満たされたと前記判定部が判定したことを条件として、現実空間における前記仮想施設に対応する施設である実施設に関連付けられた情報端末であって、前記選択部が選択した前記従事者が利用する情報端末に通知する通知部と、を有する。
【0008】
前記位置関係は、前記顧客アバタが前記仮想施設内に入ったことと、前記顧客アバタと前記従事者アバタとの間の距離が基準値以下になったことと、のうち少なくとも一方を含んでもよい。
【0009】
前記行動は、前記顧客アバタと前記商品との間の距離が基準値以下になったことと、前記顧客アバタが前記商品の情報を表示するための行動をしたことと、のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0010】
前記情報処理装置は、前記情報端末において、前記通知条件の指定を受け付ける受付部をさらに有してもよい。
【0011】
前記通知部は、前記通知条件が満たされたと前記判定部が判定し、かつ前記従事者アバタが前記仮想空間上にいることを条件として、前記情報端末に通知してもよい。
【0012】
前記通知部は、前記通知条件が満たされたと前記判定部が判定し、かつ前記従事者アバタが前記仮想空間上の前記仮想施設内にいることを条件として、前記情報端末に通知してもよい。
【0013】
前記選択部は、前記仮想施設に従事する複数の前記従事者のうち、前記顧客アバタが位置する前記仮想施設内のエリアに加えて、前記顧客アバタに対応する前記顧客の属性に基づいて、いずれかの前記従事者を選択してもよい。
【0014】
前記選択部は、前記仮想施設に従事する複数の前記従事者のうち、前記顧客アバタが位置する前記仮想施設内のエリアに加えて、前記顧客アバタが前記行動の対象とした前記商品の種類に基づいて、いずれかの前記従事者を選択してもよい。
【0015】
前記情報処理装置は、前記通知部が通知した第1従事者が利用する前記情報端末において、前記顧客アバタに応対するか否かを示す操作を受け付ける受付部をさらに有し、前記通知部は、前記第1従事者が前記顧客アバタに応対しないことを示す操作を前記受付部が受け付けたことを条件として、前記第1従事者とは異なる第2従事者が利用する前記情報端末に通知してもよい。
【0016】
【0017】
【0018】
本発明の第3の態様の情報処理方法は、プロセッサが実行する、仮想空間において従事者が従事者アバタを用いて従事する施設である仮想施設における、顧客が前記仮想施設を利用するために用いる顧客アバタの行動を示す行動情報を取得するステップと、前記行動情報に基づいて、前記顧客アバタと、前記仮想施設又は前記従事者アバタと、が所定の位置関係になったことを示す通知条件が満たされたか否かを判定するステップと、予め記憶部に記憶された、前記仮想施設を区分した複数のエリアそれぞれと前記仮想施設に従事する複数の前記従事者それぞれとを関連付けた情報において、前記顧客アバタが位置する前記仮想施設内のエリアに関連付けられたいずれかの前記従事者を選択するステップと、前記判定するステップにおいて前記通知条件が満たされたと判定したことを条件として、現実空間における前記仮想施設に対応する施設である実施設に関連付けられた情報端末であって、前記選択するステップにおいて選択した前記従事者が利用する情報端末に通知するステップと、を有する。
【0019】
本発明の第4の態様のプログラムは、コンピュータに、仮想空間において従事者が従事者アバタを用いて従事する施設である仮想施設における、顧客が前記仮想施設を利用するために用いる顧客アバタの行動を示す行動情報を取得するステップと、前記行動情報に基づいて、前記顧客アバタと、前記仮想施設又は前記従事者アバタと、が所定の位置関係になったことを示す通知条件が満たされたか否かを判定するステップと、予め記憶部に記憶された、前記仮想施設を区分した複数のエリアそれぞれと前記仮想施設に従事する複数の前記従事者それぞれとを関連付けた情報において、前記顧客アバタが位置する前記仮想施設内のエリアに関連付けられたいずれかの前記従事者を選択するステップと、前記判定するステップにおいて前記通知条件が満たされたと判定したことを条件として、現実空間における前記仮想施設に対応する施設である実施設に関連付けられた情報端末であって、前記選択するステップにおいて選択した前記従事者が利用する情報端末に通知するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、仮想空間上の施設に従事する従事者が、施設へ来訪した顧客に主体的に応対できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムの模式図である。
【
図2】実施形態に係る情報処理システムのブロック図である。
【
図3】例示的な設定画面を表示している従事者端末の模式図である。
【
図4】判定部が、通知条件が満たされたか否かを判定する方法を説明するための模式図である。
【
図5】判定部が、通知条件が満たされたか否かを判定する方法を説明するための模式図である。
【
図6】例示的な通知画面を表示している従事者端末の模式図である。
【
図7】移動制御部が従事者アバタを自動的に移動させる方法を説明するための模式図である。
【
図8】実施形態に係る情報処理装置が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[情報処理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの模式図である。情報処理システムSは、情報処理装置1と、顧客端末2と、従事者端末3と、を含む。情報処理システムSは、複数の顧客端末2及び従事者端末3を含んでもよい。情報処理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0023】
情報処理装置1は、顧客端末2及び従事者端末3に表示される仮想空間に関する情報を処理するコンピュータである。仮想空間は、コンピュータ上に形成された仮想的な空間(例えば、メタバース)である。仮想空間は、顧客端末2及び従事者端末3それぞれにおいて面積又は体積を有する領域として表示される。一方、ユーザが生活する実際の空間(例えば、地球上の空間)を現実空間という。
【0024】
情報処理装置1は、仮想空間上に仮想的な施設である仮想施設を配置する。仮想施設は、例えば、一又は複数の種類の商品Iを販売する店舗である。仮想施設は、現実空間上の施設である実施設に対応しており、例えば仮想空間上で実施設を模した構造を有する。顧客は、顧客アバタA1を用いて仮想施設を訪れることにより、仮想施設に対応する実店舗を訪れるような体験をすることができる。
【0025】
商品Iは、仮想空間上の仮想的な物品である。商品Iが現実空間上の物品に対応している場合に、仮想施設に対応する実店舗は、例えば、顧客が仮想施設において商品Iを購入したことに応じて、顧客に対して商品Iに対応する現実空間上の物品を送付する。
【0026】
顧客端末2は、仮想施設を利用する顧客であるユーザが利用する情報端末である。従事者端末3は、仮想施設に従事する従事者(仮想施設の従業員、仮想施設の所有者、仮想施設の管理者等)であるユーザが利用する情報端末であり、仮想施設に対応する実施設に予め関連付けられている。顧客は、仮想空間上で顧客アバタA1を操作することにより仮想施設を利用する。従事者は、仮想空間上で従事者アバタA2を操作することにより仮想施設において接客、販売等の業務を行う。
【0027】
実空間における従事者の位置と、仮想空間における当該従事者に対応する従事者アバタA2の位置と、は連動していてもよい。この場合に、情報処理装置1は、従事者が保持する従事者端末3の位置情報に応じて、仮想空間上の従事者アバタA2を自動的に移動させる。これにより、従事者は、実店舗において実際に移動しながら、実店舗に対応する仮想店舗内の顧客アバタA1を応対することができる。
【0028】
顧客端末2及び従事者端末3は、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータである。顧客端末2及び従事者端末3は、操作を受け付けるためのタッチパネルやキーボード等の操作部と、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、を有する。顧客端末2及び従事者端末3は、ネットワークを介して情報処理装置1と通信可能である。
【0029】
本実施形態に係る情報処理装置1が実行する処理の概要を以下に説明する。情報処理装置1は、仮想施設における顧客アバタA1の行動を示す行動情報を取得する。行動情報は、例えば、顧客アバタA1の位置や行動等を示す情報である。
【0030】
情報処理装置1は、取得した行動情報に基づいて、顧客アバタA1と、仮想施設又は従事者アバタA2と、が所定の位置関係になったことを示す通知条件が満たされたか否かを判定する。仮想施設又は従事者アバタA2に関する通知条件は、例えば、顧客アバタA1が仮想施設に入ったこと、又は顧客アバタA1と従事者アバタA2との間の距離が基準値以下になったことを含む。
【0031】
また、情報処理装置1は、取得した行動情報に基づいて、顧客アバタA1が仮想施設で販売されている商品Iに対して所定の行動をとったことを示す通知条件が満たされたか否かを判定してもよい。商品Iに関する通知条件は、例えば、顧客アバタA1と商品Iとの間の距離が基準値以下になったことと、顧客アバタA1が商品Iの情報を表示するための行動をしたこと、又は顧客アバタA1が商品Iを購入するための行動をしたことを含む。
【0032】
情報処理装置1は、通知条件が満たされたと判定したことを条件として、仮想施設に対応する実施設に関連付けられた従事者端末3に通知する。従事者は、従事者端末3において従事者アバタA2を用いて仮想店舗内の顧客アバタA1に接する。
【0033】
このように、情報処理装置1は、顧客アバタA1が仮想施設、従事者アバタA2又は商品Iに関する所定の通知条件を満たしたことに応じて、従事者端末3に通知する。これにより、情報処理装置1は、顧客が従事者を呼び出すことを必要とせずに、仮想施設への顧客の来訪を従事者に気付かせ、従事者が主体的に顧客に応対することができる。
【0034】
[情報処理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る情報処理システムSのブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0035】
情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。情報処理装置1は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、情報処理装置1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0036】
通信部11は、ネットワークを介して顧客端末2及び従事者端末3との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部11は、顧客端末2、従事者端末3又はその他の装置からネットワークを介して受信したデータを制御部13に通知する。また、通信部11は、ネットワークを介して、制御部13から出力されたデータを顧客端末2、従事者端末3又はその他の装置に送信する。
【0037】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部12は、情報処理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部13との間でデータの授受を行ってもよい。
【0038】
制御部13は、受付部131と、取得部132と、判定部133と、選択部134と、通知部135と、移動制御部136と、を有する。制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、受付部131、取得部132、判定部133、選択部134、通知部135及び移動制御部136として機能する。
【0039】
以下、情報処理装置1が実行する処理について詳細に説明する。情報処理装置1において、受付部131は、従事者端末3において、仮想施設への顧客の来訪を通知するための通知条件の指定と、通知先の従事者を選択するための選択条件の指定と、を受け付ける。従事者端末3は、従事者による通知条件及び選択条件の指定を受け付けるための設定画面を表示部上に表示する。
【0040】
図3は、例示的な設定画面を表示している従事者端末3の模式図である。設定画面は、例えば、通知条件の指定を受け付けるための領域と、選択条件の指定を受け付けるための領域と、を含む。
【0041】
通知条件は、例えば、顧客アバタA1と、仮想施設又は従事者アバタA2と、が所定の位置関係になったことを示す条件である。通知条件である位置関係は、例えば、顧客アバタA1が仮想施設内に入ったことと、顧客アバタA1と従事者アバタA2との間の距離が基準値以下になったことと、のうち少なくとも一方を含む。距離の基準値は、設定画面において従事者により指定された値であってもよく、所定の値であってもよい。
【0042】
また、通知条件は、例えば、顧客アバタA1が仮想施設で販売されている商品Iに対して所定の行動をとったことを示す条件であってもよい。通知条件である行動は、顧客アバタA1と商品Iとの間の距離が基準値以下になったことと、顧客アバタA1が商品Iの情報を表示するための行動をしたことと、顧客アバタA1が商品Iを購入するための行動をしたことと、のうち少なくとも1つを含む。距離の基準値は、設定画面において従事者により指定された値であってもよく、所定の値であってもよい。
【0043】
選択条件は、例えば、顧客アバタA1と従事者アバタA2との間の距離と、顧客アバタA1に対応する顧客の属性と従事者との関係と、顧客アバタA1が位置する仮想施設内のエリアと従事者との関係と、顧客アバタA1が行動の対象とした商品Iの種類と従事者との関係と、のうちいずれかに関する条件である。
【0044】
従事者端末3は、設定画面において従事者が指定した通知条件及び選択条件を含む条件情報を、情報処理装置1に送信する。情報処理装置1において、受付部131は、従事者端末3から条件情報を受信し、受信した条件情報を記憶部12に記憶させる。
【0045】
取得部132は、仮想施設における顧客アバタA1の行動を示す行動情報を取得する。取得部132は、例えば、所定の時間間隔(1秒、5秒等)で顧客アバタA1の行動情報を取得し、取得した行動情報を判定部133に通知する。
【0046】
行動情報は、例えば、顧客アバタA1の位置と、顧客アバタA1の行動と、のうち少なくとも一方を示す情報である。顧客アバタA1の位置は、例えば、仮想空間上の座標を含む。顧客アバタA1の行動は、例えば、顧客アバタA1が仮想施設に入る行動をしたこと、顧客アバタA1が仮想施設内の商品Iの情報を表示するための行動をしたこと、顧客アバタA1が仮想施設内の商品Iを購入するための行動をしたこと等を含む。顧客は、顧客端末2において所定の操作を行うことにより、顧客アバタA1を移動させ、顧客アバタA1を仮想施設に入らせ、顧客アバタA1を用いて商品Iの情報を表示し、又は顧客アバタA1を用いて商品Iを購入することができる。
【0047】
取得部132は、行動情報に加えて、顧客アバタA1に対応する顧客の属性を示す属性情報を取得してもよい。顧客の属性は、顧客の特性を示す情報であり、例えば、顧客の年齢、性別、居住地、仮想施設又は実施設における商品の購入履歴等を含む。
【0048】
判定部133は、取得部132が取得した行動情報に基づいて、受付部131が受け付けた通知条件が満たされたか否かを判定する。
図4(a)、
図4(b)、
図5(a)及び
図5(b)は、判定部133が、通知条件が満たされたか否かを判定する方法を説明するための模式図である。
【0049】
図4(a)の例は、通知条件が、顧客アバタA1と仮想施設とが所定の位置関係になったことを示す場合を表している。この場合に、判定部133は、例えば、顧客アバタA1が仮想施設内に入ったことを行動情報が示す場合に、通知条件が満たされたと判定し、顧客アバタA1が仮想施設内に入ったことを行動情報が示さない場合に、通知条件が満たされていないと判定する。これにより、情報処理装置1は、顧客が従事者を呼び出すことを必要とせずに、顧客アバタA1が仮想施設に入ったことを従事者に通知できる。
【0050】
図4(b)の例は、通知条件が、顧客アバタA1と従事者アバタA2とが所定の位置関係になったことを示す場合を表している。この場合に、判定部133は、例えば、顧客アバタA1と従事者アバタA2との間の距離が基準値以下になったことを行動情報が示す場合に、通知条件が満たされたと判定し、顧客アバタA1と従事者アバタA2との間の距離が基準値以下になったことを行動情報が示さない場合に、通知条件が満たされていないと判定する。距離の基準値は、従事者端末3において従事者により指定された値であってもよく、所定の値(仮想空間における1メートル、2メートル等)であってもよい。これにより、情報処理装置1は、顧客が従事者を呼び出すことを必要とせずに、顧客アバタA1が従事者に接近したことを従事者に通知できる。
【0051】
また、判定部133は、顧客アバタA1と従事者アバタA2との間の距離が基準値以下になったことを行動情報が示している状態が所定時間以上継続したことを条件として、通知条件が満たされたと判定してもよい。これにより、情報処理装置1は、顧客アバタA1が従事者アバタA2付近を通り過ぎた場合等に頻繁に通知することを抑制できる。
【0052】
図5(a)、
図5(b)の例は、通知条件が、顧客アバタA1が仮想施設で販売されている商品Iに対して所定の行動をとったことを示す場合を表している。
図5(a)の例では、判定部133は、例えば、顧客アバタA1と商品Iとの間の距離が基準値以下になったことを行動情報が示す場合に、通知条件が満たされたと判定し、顧客アバタA1と商品Iとの間の距離が基準値以下になったことを行動情報が示さない場合に、通知条件が満たされていないと判定する。距離の基準値は、従事者端末3において従事者により指定された値であってもよく、所定の値(仮想空間における1メートル、2メートル等)であってもよい。これにより、情報処理装置1は、顧客が従事者を呼び出すことを必要とせずに、顧客アバタA1が商品Iに接近したことを従事者に通知できる。
【0053】
また、判定部133は、顧客アバタA1と商品Iとの間の距離が基準値以下になったことを行動情報が示している状態が所定時間以上継続したことを条件として、通知条件が満たされたと判定してもよい。これにより、情報処理装置1は、顧客アバタA1が商品I付近を通り過ぎた場合等に頻繁に通知することを抑制できる。
【0054】
図5(b)の例では、判定部133は、例えば、顧客アバタA1が商品Iの情報を表示するための行動をしたことを行動情報が示す場合に、通知条件が満たされたと判定し、顧客アバタA1が商品Iの情報を表示するための行動をしたことを行動情報が示さない場合に、通知条件が満たされていないと判定する。商品Iの情報は、例えば、商品Iの内容、価格、説明文等の商品Iの詳細情報である。商品Iの情報を表示するための行動は、例えば、顧客が顧客アバタA1を用いて商品Iを選択する操作を行ったことである。商品Iの情報は、当該行動が行われることによって、顧客の従事者端末3において表示されていない状態から表示されている状態に切り替えられる。これにより、情報処理装置1は、顧客が従事者を呼び出すことを必要とせずに、顧客アバタA1が商品Iに興味を持っていることを従事者に通知できる。
【0055】
また、判定部133は、例えば、顧客アバタA1が商品Iを購入するための行動をしたことを行動情報が示す場合に、通知条件が満たされたと判定し、顧客アバタA1が商品Iを購入するための行動をしたことを行動情報が示さない場合に、通知条件が満たされていないと判定する。商品Iを購入するための行動は、例えば、顧客が顧客アバタA1を用いていずれかの商品Iを購入リスト(ショッピングカート等)に追加する操作を行ったことである。その後、顧客は従事者端末3において購入リスト内の商品Iの代金を支払う操作を行うことにより、商品Iを購入することができる。これにより、情報処理装置1は、顧客が従事者を呼び出すことを必要とせずに、顧客アバタA1が商品Iを購入する意思を持っていることを従事者に通知できる。
【0056】
判定部133は、ここに示した具体的な通知条件に限られず、仮想施設への顧客の来訪を通知するためのその他の通知条件が満たされたか否かを判定してもよい。
【0057】
選択部134は、受付部131が受け付けた選択条件に従って、仮想施設に従事する複数の従事者のうち、通知先とするいずれかの従事者を選択する。仮想施設に1人の従事者のみ従事している場合に、選択部134は、選択条件によらず当該1人の従事者を選択してもよい。
【0058】
選択条件が顧客アバタA1と従事者アバタA2との間の距離に関する条件である場合に、選択部134は、例えば、複数の従事者のうち、取得部132が取得した行動情報が示す顧客アバタA1の位置に最も近い従事者アバタA2に対応するいずれかの従事者を選択する。これにより、情報処理装置1は、顧客アバタA1に早く近付くことができる従事者アバタA2に対応する従事者に通知できる。
【0059】
選択条件が顧客アバタA1に対応する顧客の属性と従事者との関係に関する条件である場合に、選択部134は、例えば、複数の従事者のうち、取得部132が取得した属性情報が示す顧客の属性に関連付けられた従事者を選択する。顧客の属性は、例えば、顧客の年齢、性別、居住地、仮想施設又は実施設における商品の購入履歴である。顧客の属性と従事者とを関連付けた情報(テーブル等)は、予め記憶部12に記憶されている。これにより、情報処理装置1は、顧客アバタA1に対応する顧客の属性と関連する従事者(顧客の属性に応じた担当者等)に通知できる。
【0060】
選択条件が顧客アバタA1が位置する仮想施設内のエリアと従事者との関係に関する条件である場合に、選択部134は、例えば、複数の従事者のうち、取得部132が取得した行動情報が示す顧客アバタA1の位置が含まれている仮想施設内のエリアに関連付けられた従事者を選択する。仮想施設内のエリアは、例えば、男性用品を取り扱うエリア、女性用品を取り扱うエリア等、配置された商品Iの特性に応じたエリアである。仮想施設内のエリアと従事者とを関連付けた情報(テーブル等)は、予め記憶部12に記憶されている。これにより、情報処理装置1は、顧客アバタA1が位置する仮想施設内のエリアと関連する従事者(エリアごとの担当者等)に通知できる。
【0061】
選択条件が顧客アバタA1が行動の対象とした商品Iの種類と従事者との関係に関する条件である場合に、選択部134は、例えば、複数の従事者のうち、取得部132が取得した行動情報が示す顧客アバタA1が行動の対象とした商品Iの種類に関連付けられた従事者を選択する。顧客アバタA1が行動の対象とした商品Iは、顧客アバタA1が情報を表示するための行動をした商品I、又は顧客アバタA1が購入するための行動をした商品Iである。商品Iの種類と従事者とを関連付けた情報(テーブル等)は、予め記憶部12に記憶されている。これにより、情報処理装置1は、顧客アバタA1が興味を持っている商品Iの種類と関連する従事者(商品Iの種類ごとの担当者等)に通知できる。
【0062】
選択部134は、複数の従事者のうち、所定の役職の従事者(店長等)を選択してもよい。また、選択部134は、複数の従事者のうち、顧客アバタA1の応対に適している従事者を選択してもよい。従事者が顧客アバタA1の応対に適しているか否かは、例えば、過去に従事者に対して上司又は顧客から付与された評価に基づいて決定される。これにより、情報処理装置1は、顧客への応対に適した従事者に通知できる。
【0063】
選択部134は、複数の従事者のうち、過去に顧客アバタA1に対して応対した従事者アバタA2に対応する従事者を選択してもよい。過去に顧客アバタA1に対して応対した従事者アバタA2を示す情報は、記憶部12に記憶されている。これにより、情報処理装置1は、顧客アバタA1に対して過去に応対した従事者に通知できる。
【0064】
選択部134は、複数の従事者のうち、従事者端末3において仮想空間を見ている従事者を選択してもよい。選択部134は、例えば、現在時刻から遡って所定の時間内(1分以内等)に従事者アバタA2を操作した従事者を、仮想空間を見ている従事者として選択する。これにより、情報処理装置1は、従事者アバタA2を用いて早く応対可能な従事者に通知できる。
【0065】
選択部134は、ここに示した具体的な選択条件に限られず、顧客アバタA1、従事者アバタA2又は商品Iに関するその他の選択条件に従って通知先の従事者を選択してもよい。
【0066】
通知部135は、通知条件が満たされたと判定部133が判定したことを条件として、仮想施設に対応する実施設に関連付けられた従事者端末3であって、選択部134が選択した従事者が利用する従事者端末3に通知する。
【0067】
通知部135は、通知条件が満たされたと判定部133が判定し、かつ従事者アバタA2が仮想空間上にいること(例えば、従事者が仮想空間にログインしていること)を条件として、従事者端末3に通知してもよい。一方、通知部135は、従事者アバタA2が仮想空間上にいない場合に、従事者端末3に通知しない。これにより、情報処理装置1は、仮想空間に既にログインしている従事者に通知できる。
【0068】
通知部135は、通知条件が満たされたと判定部133が判定し、かつ従事者アバタA2が仮想空間上の仮想施設内にいることを条件として、従事者端末3に通知してもよい。一方、通知部135は、従事者アバタA2が仮想店舗内上にいない場合に、従事者端末3に通知しない。これにより、情報処理装置1は、仮想施設内に既に従事者アバタA2を位置させている従事者に通知できる。
【0069】
通知部135は、例えば、仮想施設に顧客アバタA1が来訪したことを示すメッセージ(文字列又は画像)を表示するための表示情報を従事者端末3に送信することにより、従事者端末3に通知する。また、通知部135は、例えば、所定の音を出力するための情報又は従事者端末3を振動させるための情報を従事者端末3に送信することにより、従事者端末3に通知してもよい。
【0070】
従事者端末3は、情報処理装置1から受信した表示情報に従って、仮想施設に顧客アバタA1が来訪したことを示すメッセージを含む通知画面を表示部上に表示する。
図6は、例示的な通知画面を表示している従事者端末3の模式図である。通知画面は、仮想施設に顧客アバタA1が来訪したことを示すメッセージを含む。
【0071】
情報処理装置1において、受付部131は、複数の従事者のうち選択部134が選択した第1従事者が利用する従事者端末3において、仮想店舗に来訪した顧客アバタA1に応対するか否かを示す操作を受け付けてもよい。従事者は、従事者端末3に表示された通知画面において、仮想店舗に来訪した顧客アバタA1に対して応対するか否かを示す操作を行う。従事者端末3は、従事者による操作内容を示す情報を、情報処理装置1に送信する。受付部131は、従事者端末3から受信した情報に基づいて、第1従事者が顧客アバタA1に応対するか否かを特定する。
【0072】
第1従事者が顧客アバタA1に応対することを示す操作を受付部131が受け付けたことを条件として、情報処理装置1は仮想空間を第1従事者が利用する従事者端末3に表示させる。第1従事者は、従事者端末3において従事者アバタA2を用いて仮想店舗内の顧客アバタA1に接する。
【0073】
一方、第1従事者が顧客アバタA1に応対しないことを示す操作を受付部131が受け付けたことを条件として、通知部135は、複数の従事者のうち第1従事者とは異なる第2従事者が利用する従事者端末3に通知する。第2従事者は、例えば、第1従事者を除く複数の従事者のうち、選択部134が上述の方法で選択した従事者である。これにより、情報処理装置1は、実空間上で従事者が忙しい場合等に、別の従事者に通知することができる。
【0074】
例えば顧客アバタA1が仮想施設に入ったことに応じて通知部135が従事者端末3に通知した時点で、当該従事者端末3を利用する従事者に対応する従事者アバタA2が仮想空間において仮想施設から離れた位置にいる場合がある。このような場合に、移動制御部136は、従事者アバタA2を自動的に移動させてもよい。
【0075】
図7は、移動制御部136が従事者アバタA2を自動的に移動させる方法を説明するための模式図である。移動制御部136は、例えば、通知条件が満たされたと判定部133が判定し、かつ選択部134が選択した従事者に対応する従事者アバタA2が仮想空間上の仮想施設外にいることを条件として、当該従事者アバタA2を仮想施設内に自動的に移動させる。
【0076】
移動制御部136は、従事者アバタA2の位置を、移動前の位置から仮想施設内の位置に即座に変更してもよい。また、移動制御部136は、従事者アバタA2を、移動前の位置から仮想施設内の位置に所定の速度で移動させてもよい。これにより、情報処理装置1は、顧客アバタA1が仮想施設へ来訪した際に従事者アバタA2が仮想施設外にいる場合であっても、従事者による操作を必要とせずに従事者アバタA2を仮想施設内に移動させることができる。
【0077】
実空間における従事者の位置と仮想空間における従事者アバタA2の位置とが連動している場合に、移動制御部136が従事者アバタA2を自動的に移動させると、従事者の位置と従事者アバタA2の位置との間に乖離が生じ得る。このような場合に、移動制御部136は、従事者の位置と従事者アバタA2の位置とが連動しないように一時的に設定してもよい。このとき、通知部135は、例えば、従事者の位置と従事者アバタA2の位置との間に乖離が生じていることを示す情報を顧客端末2に通知するとともに、通知条件を満たした顧客アバタA1の位置を従事者端末3に通知する。
【0078】
その後、移動制御部136は、実空間における従事者の位置と仮想空間における従事者アバタA2の位置とが一致したことに応じて、又は従事者端末3において従事者の位置と従事者アバタA2の位置とを連動させるための操作が行われたことに応じて、従事者の位置と従事者アバタA2の位置とが再び連動するように設定してもよい。これにより、情報処理装置1は、実空間における従事者の位置と仮想空間における従事者アバタA2の位置とが連動する場合であっても、顧客アバタA1が仮想施設へ来訪したことに応じて従事者アバタA2を自動的に移動させることができる。
【0079】
[情報処理方法のフロー]
図8は、本実施形態に係る情報処理装置1が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。受付部131は、従事者端末3において、仮想施設への顧客の来訪を通知するための通知条件の指定と、通知先の従事者を選択するための選択条件の指定と、を受け付ける(S11)。
【0080】
取得部132は、仮想施設における顧客アバタA1の行動を示す行動情報を取得する(S12)。行動情報は、例えば、顧客アバタA1の位置と、顧客アバタA1の行動と、のうち少なくとも一方を示す情報である。
【0081】
判定部133は、取得部132が取得した行動情報に基づいて、受付部131が受け付けた通知条件が満たされたか否かを判定する(S13)。通知条件は、例えば、顧客アバタA1と、仮想施設又は従事者アバタA2と、が所定の位置関係になったことを示す条件である。通知条件は、例えば、顧客アバタA1が仮想施設で販売されている商品Iに対して所定の行動をとったことを示す条件であってもよい。
【0082】
選択部134は、受付部131が受け付けた選択条件に従って、仮想施設に従事する複数の従事者のうち、通知先とするいずれかの従事者を選択する(S14)。選択条件は、例えば、顧客アバタA1と従事者アバタA2との間の距離と、顧客アバタA1に対応する顧客の属性と従事者との関係と、顧客アバタA1が位置する仮想施設内のエリアと従事者との関係と、顧客アバタA1が行動の対象とした商品Iの種類と従事者との関係と、のうちいずれかに関する条件である。
【0083】
通知部135は、通知条件が満たされたと判定部133が判定したことを条件として、仮想施設に対応する実施設に関連付けられた従事者端末3であって、選択部134が選択した従事者が利用する従事者端末3に通知する(S15)。
【0084】
選択部134が選択した従事者に対応する従事者アバタA2が仮想空間上の仮想施設外にいる場合に(S16のYES)、移動制御部136は、当該従事者アバタA2を仮想施設内に自動的に移動させる(S17)。選択部134が選択した従事者に対応する従事者アバタA2が仮想空間上の仮想施設内にいる場合に(S16のNO)、情報処理装置1は処理を終了する。
【0085】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る情報処理システムSによれば、情報処理装置1は、顧客アバタA1が仮想施設、従事者アバタA2又は商品Iに関する所定の通知条件を満たしたことに応じて、従事者端末3に通知する。これにより、情報処理装置1は、顧客が従事者を呼び出すことを必要とせずに、仮想施設への顧客の来訪を従事者に気付かせ、従事者が主体的に顧客に応対することができる。
【0086】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0087】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0088】
S 情報処理システム
1 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 受付部
132 取得部
133 判定部
134 選択部
135 通知部
136 移動制御部
2 顧客端末
3 従事者端末