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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173946
(43)【公開日】2024-12-13
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/32 20130101AFI20241206BHJP
   G06V 40/12 20220101ALI20241206BHJP
   G06V 40/13 20220101ALI20241206BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241206BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20241206BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20241206BHJP
   H10K 59/40 20230101ALI20241206BHJP
   H10K 59/95 20230101ALI20241206BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20241206BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241206BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
G06F21/32
G06V40/12
G06V40/13
G06T7/00 530
G06T1/00 400G
H05B33/14 Z
H10K59/40
H10K59/95
H10K59/10
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
G09F9/00 366A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024161115
(22)【出願日】2024-09-18
(62)【分割の表示】P 2021507458の分割
【原出願日】2020-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2019176624
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 大介
(72)【発明者】
【氏名】楠 紘慈
(57)【要約】
【課題】新規な電子機器を提供する。簡便な操作で様々な処理を実行することのできる電子機器を提供する。セキュリティレベルの高い電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、制御部と、検出部と、記憶部と、を有する。検出部は、タッチ操作を検出する機能と、触れた指の指紋情報を取得する機能と、を有する。記憶部は、あらかじめ登録された複数の指の指紋情報を保持する機能を有する。制御部は、検出部がタッチ操作を検出した際に、検出部により取得された触れた指の指紋情報と、複数の指の指紋情報とを照合し、触れた指の指紋情報が複数の指の指紋情報におけるいずれか一と一致した場合に、触れた指の指紋情報または触れた指の指紋情報とタッチ操作の組み合わせに応じた処理を実行する機能を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、表示部と、記憶部と、を有する電子機器であって、
前記表示部は、画像を表示する機能と、タップ操作を検出する機能と、触れた指の指紋情報を取得する機能と、を有し、
前記表示部は、表示領域全体に指紋情報を認証する機能を有し、
前記記憶部は、あらかじめ登録された複数の指の指紋情報を保持する機能を有し、
前記制御部は、
前記触れた指の指紋情報と、前記複数の指の指紋情報のそれぞれとを照合し、前記触れた指の指紋情報が前記複数の指の指紋情報のいずれかと一致した場合に、前記複数の指の指紋情報のうち前記触れた指の指紋情報と一致した指紋情報と前記タップ操作の組み合わせに応じた処理を実行する機能を有する、
電子機器。
【請求項2】
制御部と、表示部と、記憶部と、を有する電子機器であって、
前記表示部は、画像を表示する機能と、ロングタップ操作を検出する機能と、触れた指の指紋情報を取得する機能と、を有し、
前記表示部は、表示領域全体に指紋情報を認証する機能を有し、
前記記憶部は、あらかじめ登録された複数の指の指紋情報を保持する機能を有し、
前記制御部は、
前記触れた指の指紋情報と、前記複数の指の指紋情報のそれぞれとを照合し、前記触れた指の指紋情報が前記複数の指の指紋情報のいずれかと一致した場合に、前記複数の指の指紋情報のうち前記触れた指の指紋情報と一致した指紋情報と前記ロングタップ操作の組み合わせに応じた処理を実行する機能を有する、
電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記制御部は、前記触れた指の指紋情報が前記複数の指の指紋情報のいずれとも一致しない場合に、システムをロックされた状態に移行する機能を有する、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、電子機器に関する。本発明の一態様は、表示装置に関する。本発明の一態様は、プログラムに関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置(例えば、タッチセンサなど)、入出力装置(例えば、タッチパネルなど)、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
スマートフォンなどの携帯電話、タブレット型情報端末、ノート型PC(パーソナルコンピュータ)などの情報端末機器が広く普及している。このような情報端末機器の多くは、画面上にユーザーの指を接触させることで直感的な画面の操作を可能としている。例えば、タッチ、スワイプ、二本指でのピンチイン、ピンチアウトなど、マルチタッチやタッチ時間の違いを利用することにより、拡大や縮小等といった機能及び動作の振り分けを実現させている。
【0004】
また、このような情報端末機器は、個人情報などが含まれることが多く、不正な利用を防止するための様々な認証技術が開発されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、プッシュボタンスイッチ部に、指紋センサを備える電子機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0056493号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、マルチタッチでの操作においては、四本以上の指で操作することで実行される機能など、一部実行し難いものも含まれる。
【0008】
本発明の一態様は、新規な電子機器を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、簡便な操作で様々な処理を実行することのできる電子機器を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、セキュリティレベルの高い電子機器を提供することを課題の一とする。
【0009】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、制御部と、検出部と、記憶部と、を有する電子機器である。検出部は、タッチ操作を検出する機能と、触れた指の指紋情報を取得する機能と、を有する。記憶部は、あらかじめ登録された複数の指の指紋情報を保持する機能を有する。制御部は、触れた指の指紋情報と、複数の指の指紋情報のそれぞれとを照合し、触れた指の指紋情報が複数の指の指紋情報のいずれかと一致した場合に、複数の指の指紋情報のうち触れた指の指紋情報と一致した指紋情報に応じた処理を実行する機能を有する。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、制御部と、検出部と、記憶部と、を有する電子機器である。検出部は、タッチ操作を検出する機能と、触れた指の指紋情報を取得する機能と、を有する。記憶部は、あらかじめ登録された複数の指の指紋情報を保持する機能を有する。制御部は、触れた指の指紋情報と、複数の指の指紋情報のそれぞれとを照合し、触れた指の指紋情報が複数の指の指紋情報のいずれかと一致した場合に、複数の指の指紋情報のうち触れた指の指紋情報と一致した指紋情報とタッチ操作の組み合わせに応じた処理を実行する機能を有する。
【0012】
また、本発明の他の一態様は、制御部と、表示部と、記憶部と、を有する電子機器である。表示部は、画像を表示する機能と、タッチ操作を検出する機能と、触れた指の指紋情報を取得する機能と、を有する。記憶部は、あらかじめ登録された複数の指の指紋情報を保持する機能を有する。制御部は、触れた指の指紋情報と、複数の指の指紋情報のそれぞれとを照合し、触れた指の指紋情報が複数の指の指紋情報のいずれかと一致した場合に、複数の指の指紋情報のうち触れた指の指紋情報と一致した指紋情報に応じた処理を実行する機能を有する。
【0013】
また、本発明の他の一態様は、制御部と、表示部と、記憶部と、を有する電子機器である。表示部は、画像を表示する機能と、タッチ操作を検出する機能と、触れた指の指紋情報を取得する機能と、を有する。記憶部は、あらかじめ登録された複数の指の指紋情報を保持する機能を有する。制御部は、触れた指の指紋情報と、複数の指の指紋情報のそれぞれとを照合し、触れた指の指紋情報が複数の指の指紋情報のいずれかと一致した場合に、複数の指の指紋情報のうち触れた指の指紋情報と一致した指紋情報とタッチ操作の組み合わせに応じた処理を実行する機能を有する。
【0014】
また、上記において、触れた指の指紋情報が複数の指の指紋情報のいずれとも一致しない場合に、システムをロックされた状態に移行する機能を有することが好ましい。
【0015】
また、上記において、表示部は、複数の画素と、表示領域全体に指紋情報を認証する機能を有することが好ましい。このとき、画素は、発光素子と、受光素子と、を有し、発光素子と、受光素子とは、同一面上に設けられることが好ましい。
【0016】
また、上記において、発光素子は、第1の電極と、発光層と、共通電極と、が積層された積層構造を有することが好ましい。また受光素子は、第2の電極と、活性層と、共通電極と、が積層された積層構造を有することが好ましい。このとき、発光層と、活性層とは、それぞれ互いに異なる有機化合物を含むことが好ましい。また、第1の電極と、第2の電極とは、同一面上に離間して設けられ、共通電極は、発光層及び活性層を覆って設けられることが好ましい。
【0017】
または、上記において、発光素子は、第1の電極と、共通層と、発光層と、共通電極と、が積層された積層構造を有することが好ましい。また受光素子は、第2の電極と、共通層と、活性層と、共通電極と、が積層された積層構造を有することが好ましい。このとき、発光層と、活性層とは、それぞれ互いに異なる有機化合物を含むことが好ましい。また第1の電極と、第2の電極とは、同一面上に離間して設けられ、共通電極は、発光層及び活性層を覆って設けられ、共通層は、第1の電極及び第2の電極を覆って設けられることが好ましい。
【0018】
また、上記において、発光素子は、可視光を発する機能を有し、受光素子は、発光素子が発する可視光を受光する機能を有することが好ましい。
【0019】
または、上記において、発光素子は、赤外光を発する機能を有し、受光素子は、発光素子が発する赤外光を受光する機能を有することが好ましい。
【0020】
また、本発明の他の一態様は、制御部と、検出部と、を有する電子機器に実行させるためのプログラムである。ここで、検出部は、タッチ操作を検出する機能と、触れた指の指紋情報を取得する機能と、を有する。本発明の一態様のプログラムは、検出部が、タッチ操作を検出した際に、触れた指の指紋情報を取得するステップと、制御部が、触れた指の指紋情報と、あらかじめ登録された複数の指の指紋情報とを照合するステップと、触れた指の指紋情報と複数の指の指紋情報のいずれか一とが一致した場合に、制御部が、複数の指の指紋情報のうち触れた指の指紋情報と一致した指紋情報に応じた処理を実行するステップと、を有する。
【0021】
また、本発明の他の一態様は、制御部と、検出部と、を有する電子機器に実行させるためのプログラムである。ここで、検出部は、タッチ操作を検出する機能と、触れた指の指紋情報を取得する機能と、を有する。本発明の一態様のプログラムは、検出部が、タッチ操作を検出した際に、触れた指の指紋情報を取得するステップと、制御部が、触れた指の指紋情報と、あらかじめ登録された複数の指の指紋情報とを照合するステップと、触れた指の指紋情報と複数の指の指紋情報のいずれか一とが一致した場合に、制御部が、複数の指の指紋情報のうち触れた指の指紋情報と一致した指紋情報とタッチ操作との組み合わせに応じた処理を実行するステップと、を有する。
【0022】
また、上記において、本発明の一態様のプログラムは、触れた指の指紋情報が複数の指の指紋情報のいずれとも一致しない場合に、制御部が、システムをロックされた状態に移行するステップを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様により、指の種類ごとに異なる処理を設定することで、簡便な操作で様々な処理を実行することができる電子機器を提供できる。または、セキュリティレベルの高い電子機器を提供できる。または、新規な電子機器を提供できる。
【0024】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、電子機器の構成例を示す図である。
図2図2は、電子機器の動作方法例を説明する図である。
図3図3A及び図3Bは、電子機器の構成例を示す図である。
図4図4A及び図4Bは、電子機器の構成例と、その動作方法例を説明する図である。
図5図5A図5Cは、電子機器の構成例と、その動作方法例を説明する図である。
図6図6A図6D図6Fは、表示装置の一例を示す断面図である。図6E図6Gは、表示装置が撮像した画像の例を示す図である。図6H図6J図6Lは、画素の一例を示す上面図である。
図7図7A図7Gは、画素の一例を示す上面図である。
図8図8A図8Bは、表示装置の一例を示す断面図である。
図9図9A図9Bは、表示装置の一例を示す断面図である。
図10図10A図10Cは、表示装置の一例を示す断面図である。
図11図11Aは、表示装置の一例を示す断面図である。図11B図11Cは、樹脂層の上面レイアウトの一例を示す図である。
図12図12は、表示装置の一例を示す斜視図である。
図13図13は、表示装置の一例を示す断面図である。
図14図14は、表示装置の一例を示す断面図である。
図15図15Aは、表示装置の一例を示す断面図である。図15Bは、トランジスタの一例を示す断面図である。
図16図16A図16Bは、画素回路の一例を示す回路図である。
図17図17A図17Bは、電子機器の一例を示す図である。
図18図18A図18Dは、電子機器の一例を示す図である。
図19図19A図19Fは、電子機器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0027】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0028】
また、図面において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0029】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、又は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能である。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能である。
【0030】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器及び電子機器の動作方法について説明する。
【0031】
なお、本明細書に添付した図面では、構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとしてブロック図を示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることが難しく、一つの構成要素が複数の機能に関わることや、一つの機能を複数の構成要素で実現することもあり得る。
【0032】
以下では、本発明の一態様の電子機器のより具体的な構成例について、図面を参照して説明する。
【0033】
本発明の一態様の電子機器では、取得した指紋情報から、人差し指、中指といった、触れている指の違いを認識する機能を設けることにより、簡便かつ多彩な操作が可能となる。例えば、人差し指でタップを行うことによって表示画面を拡大させ、中指でタップを行うことによって表示画面を縮小させることができる。
【0034】
また、本発明の一態様の電子機器では、取得した指紋情報から、人差し指、中指といった、触れている指の違いを認識し、さらに当該指紋情報と検出したタッチ操作を組み合わせることにより、簡便かつ多彩な操作が可能となる。例えば、人差し指でダブルタップを行うことによって任意のアプリケーションを起動させ、中指でダブルタップを行うことによって起動していたアプリケーションを終了させることができる。
【0035】
さらに、本発明の一態様の電子機器では、タッチ操作の検出と指紋情報の取得とを表示部で行うことができる。したがって別途指紋センサ等を設ける必要がなく、電子機器を構成するための部材を最小限に抑えることができる。
【0036】
[電子機器の構成例]
図1に、本発明の一態様の電子機器の一例であるデバイス10のブロック図を示す。デバイス10は、制御部11と、表示部12と、記憶部13と、を有する。表示部12は、検出部21を有する。デバイス10は、例えば情報端末機器などの電子機器として用いることができる。
【0037】
表示部12は、画像を表示する機能と、タッチ操作を検出する機能と、画面等に触れた指の指紋情報を取得する機能と、を有する。ここでは、表示部12が、検出部21を有する例を示している。検出部21は、表示部12の上記機能のうち、タッチ操作を検出する機能及び指紋情報を取得する機能を担う部分である。表示部12は、指紋情報取得機能付きタッチパネルともいうことができる。例えば、表示部12には、実施の形態2で詳述する表示装置を用いることができる。
【0038】
検出部21は、画面にタッチされた指の位置情報を制御部11に出力する機能を有する。また、検出部21は、画面に触れた指の指紋を撮像し、その画像情報を指紋情報として制御部11に出力する機能を有する。
【0039】
表示部12は、画面上のどの位置であっても、触れた指の指紋情報を取得することができることが好ましい。すなわち、画面上におけるタッチセンサが機能する範囲と、指紋情報の取得が可能な範囲とが、一致または概略一致することが好ましい。
【0040】
記憶部13は、あらかじめ登録されたユーザーの指紋情報、及び当該指紋情報または当該指紋情報とタッチ操作の組み合わせに応じた処理情報を保持する機能を有する。記憶部13は、制御部11の要求に応じて、当該情報を制御部11に出力することができる。なお、当該処理情報は、電子機器内のアプリケーションなどによって個別に設定されていてもよい。
【0041】
多彩な操作を実現するため、記憶部13には、ユーザーが画面の操作に用いる全ての指の指紋情報が保持されていることが好ましい。例えば、ユーザーの右手の人差し指と、左手の人差し指の指紋情報のほかに、ユーザーの右手の中指と、左手の中指の指紋情報を保持していることが好ましい。また、これに加えて、薬指、小指、親指のうち、1つ以上の指紋情報を保持することが好ましく、ユーザーの両手の五指すべての指紋情報を保持していてもよい。
【0042】
制御部11は、検出部21がタッチ操作を検出した際に、検出部21に対して指紋情報の取得を要求する機能を有する。そして、制御部11は、検出部21から入力される指紋情報と、あらかじめ登録された複数の指の指紋情報とを照合する機能を有する。制御部11は、検出部21から入力された指紋情報が、当該複数の指の指紋情報のいずれか一と一致すると判断した場合には、あらかじめ設定された、当該指紋情報に応じた処理、または、当該指紋情報とタッチ操作の組み合わせに応じた処理を実行する。さらに、制御部11は、入力された指紋情報が登録されている指紋情報のいずれとも一致しないと判断した場合には、システムを任意の状態に移行する機能を有することが好ましい。任意の状態とは、ここでは、例えばデバイスがロックされた状態や、画面上に指紋情報が一致しない旨の警告文が表示された状態等を指す。なお、当該機能は本明細書に記載した例とは異なる状態に移行するものであってもよい。または、当該機能を有さなくてもよい。
【0043】
制御部11によって実行される、指紋認証の方法としては、例えば、2つの画像を比較して、その類似度を用いるテンプレートマッチング法、またはパターンマッチング法などの手法を用いることができる。また、機械学習を用いた推論により、指紋認証処理を実行してもよい。このとき、特にニューラルネットワークを用いた推論により行われることが好ましい。
【0044】
また、制御部11は、例えば中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)として機能することができる。制御部11は、プロセッサにより種々のプログラムからの命令を解釈し実行することで、各種のデータ処理やプログラム制御を行う。プロセッサにより実行しうるプログラムは、プロセッサが有するメモリ領域に格納されていてもよいし、記憶部13に格納されていてもよい。
【0045】
[電子機器の動作例]
以下では、上記デバイス10の動作の一例について説明する。図2は、デバイス10の動作に係るフローチャートである。図2に示すフローチャートは、ステップS1乃至ステップS6を有する。
【0046】
ステップS1において、検出部21によってタッチ操作の検出が行われる。タッチが検出された場合には、ステップS2に移行する。タッチ操作が行われない場合には、タッチ操作が行われるまで待機する(再度ステップS1に移行する)。
【0047】
なお、ステップS1において、一定期間タッチ操作が行われない場合には、制御部11はシステムを、ロックされた状態へ移行してもよい。
【0048】
ステップS2において、検出部21によって指紋情報の取得が行われる。検出部21は、取得した指紋情報を、制御部11に出力する。
【0049】
ステップS3において、制御部11は、指紋認証処理を実行する。具体的には、記憶部13にあらかじめ保持された複数の指紋情報と、検出部21で取得した指紋情報とを照合し、後者が前者のいずれかと一致するかを判定する。記憶部13に保持された複数の指紋情報のうち、指Aの指紋情報と、検出部21で取得した指紋情報が一致すると判断した場合には、ステップS4に移行する。また、記憶部13に保持された複数の指紋情報のうち、指Bの指紋情報と、検出部21で取得した指紋情報が一致すると判断した場合には、ステップS5に移行する。一方、記憶部13に保持された複数の指紋情報のうちのいずれとも、検出部21で取得した指紋情報が一致しないと判断した場合には、ステップS6に移行する。
【0050】
ステップS4において、制御部11は、検出部21で検出したタッチ操作に基づいて、指Aの指紋情報に応じた処理Aを実行する。または、制御部11は、検出部21で検出したタッチ操作に基づいて、指Aの指紋情報とタッチ操作の組み合わせに応じた処理Aを実行する。タッチ操作としては、タップ、ロングタップ、スワイプ、フリック、スライド、ドラッグなどの操作がある。
【0051】
ステップS5において、制御部11は、検出部21で検出したタッチ操作に基づいて、指Bの指紋情報に応じた処理Bを実行する。または、制御部11は、検出部21で検出したタッチ操作に基づいて、指Bの指紋情報とタッチ操作の組み合わせに応じた処理Bを実行する。タッチ操作としては、タップ、ロングタップ、スワイプ、フリック、スライド、ドラッグなどの操作がある。
【0052】
なお、ここでの指A及び指Bとは、記憶部13にあらかじめ保持された指紋情報を有する任意の指のことであり、例えば、人差し指、中指、薬指、小指、親指のうちのいずれかを指す。なお、本明細書では便宜上、指A及び指Bの指紋情報を検出した場合のフローのみについて記載しているが、記憶部13に保持されている指紋情報の数に応じて適宜フローを変更してもよい。例えば、記憶部13があらかじめ登録された任意の指Cの指紋情報を保持しており、検出部21が指Cの指紋情報を検知した場合、制御部11は指Cの指紋情報あるいは指Cの指紋情報とタッチ操作の組み合わせに応じた処理Cを実行するフローを有することが好ましい。
【0053】
上記の機能を有することで、異なる指で同じ操作を行った場合に、それぞれの指が有する指紋情報に応じた異なる処理を実行することができる。これにより、2本の指の操作、例えばピンチイン、ピンチアウトなどの操作が必要であった処理を、1本の指で実行することができるため、簡便かつ多彩な操作が可能となる。
【0054】
また、例えばタップ操作のみで、多彩な処理を実行することもできる。例えば中指でタップすることで、スライド操作が必要とされていた画面のスクロールを実行することもできる。すなわち、指をスライドさせる動作を行わなくても、多彩な操作が可能となる。これにより、高齢者や手に障害を持つ人にとっても操作しやすい機器を実現することができる。
【0055】
なお、指の指紋情報とタッチ操作の組み合わせに応じた処理は、アプリケーションの機能と連動させてもよい。例えば、あるアプリケーションでは、薬指で画面をタップすることで、アプリケーションの終了をすることができ、別のアプリケーションでは、薬指でファイルに関連付けられた画像またはアイコンをタップすることで、当該ファイルを削除する処理を実行することもできる。
【0056】
ステップS6において、制御部11は、任意の処理Xを実行する。処理Xとしては、例えばシステムをロックする処理や、画面上に指紋情報が合致しない旨の警告文を表示させる処理などを行うことが好ましい。これにより、電子機器を操作しているユーザーは、電子機器を使用することができなくなる。または、使用可能な機能が制限された状態となる。
【0057】
なお、ステップS6における処理Xとして、本明細書に示した例とは異なる処理を行ってもよい。または、処理を行わなくてもよい。
【0058】
図2のフローを繰り返すことで、デバイス10では様々な処理を実行することができる。
【0059】
以上が、図2に示すフローチャートの説明である。
【0060】
なお、図2では1本の指の指紋情報に応じた処理を実行する例を示したが、本発明の一態様はこれに限定されない。本発明の一態様では、2本以上の指の指紋情報(または指紋情報及びタッチ操作)の組み合わせに応じた処理を実行してもよい。例えば、各指で実行できるタッチ操作としては、タップ、ロングタップ、スワイプ、フリック、スライド、ドラッグなどがあり、2本の指で実行できるタッチ操作としては、ピンチイン、ピンチアウト、回転などがある。具体的には、人差し指と中指でタップを行う場合と、人差し指と薬指でタップを行う場合と、で異なる処理を実行してもよい。
【0061】
なお、本発明の一態様の電子機器により実行される処理方法、操作方法、動作方法、または表示方法等は、例えばプログラムとして記述されうる。例えば、上記で例示したデバイス10等により実行される処理方法、操作方法、動作方法、または表示方法等が記述されたプログラムは、非一時的記憶媒体に格納され、デバイス10の制御部11が有する演算装置等に読み出され、実行することができる。すなわち、上記で例示した動作方法等を、ハードウェアにより実行させるためのプログラム、及び当該プログラムが格納された非一時的記憶媒体は、本発明の一態様である。
【0062】
[変形例]
上記では、表示部12が、検出部21を含む例を示したが、これらが別々に設けられていてもよい。図3Aに示すデバイス10Aは、検出部21が表示部12に含まれない例を示している。
【0063】
デバイス10Aの検出部21としては、例えば画像表示機能を有さないタッチパッドなどが挙げられる。
【0064】
または、デバイス10Aが、指紋情報を取得する機能を有さない表示部12と、画像を表示する機能を有する検出部21の2つを有する構成としてもよい。すなわち、入力手段である検出部21として、指紋情報取得機能付きタッチパネルを用い、これとは別に、画像表示手段として表示部12を有する構成としてもよい。
【0065】
または、タッチ検出に用いる検出部と、指紋情報の取得に用いる検出部とが別々に設けられていてもよい。図3Bに示すデバイス10Bは、指紋情報の取得を行う検出部21Aが表示部12に含まれ、タッチ検出を行う検出部21Bが独立して設けられている例を示している。例えば、表示部12に、実施の形態2で詳述する表示装置を用い、検出部21Bに、静電容量式のタッチセンサを用いてもよい。
【0066】
なお、デバイス10Bにおいて、表示部12に含まれるのが、タッチ検出を行う検出部21Bであってもよく、独立して設けられるのが、指紋情報の取得を行う検出部21Aであってもよい。
【0067】
[具体例]
以下では、本発明の一態様の電子機器の具体的な例について説明する。
【0068】
図4Aに、電子機器30と、電子機器30を操作する第1の指25を模式的に示す。電子機器30は、表示部31を有する。電子機器30は、例えばスマートフォンとして機能する携帯情報端末機器である。
【0069】
電子機器30として、前述のデバイス10、デバイス10Aまたはデバイス10Bを適用することができる。
【0070】
図4Aでは、第1の指25の指先が表示部31に触れている。このとき、表示部31によって、第1の指25の指紋情報26を取得することができる。
【0071】
さらに、図4Aには、表示部31にて取得された指紋情報26と、電子機器30にあらかじめ登録されたユーザーの複数の指の指紋情報27とを示している。複数の指の指紋情報の一つである指紋情報27Aと、表示部31にて取得された指紋情報26とが一致すると制御部11が判断した結果、指紋情報27A(または指紋情報27Aとタッチ操作の組み合わせ)に応じた処理が実行される。例えば、図4Aに示すように、ユーザーは、第1の指25でタップすることで、画像35を拡大するなどの操作を行うことができる。
【0072】
図4Bには、電子機器30と、電子機器30を操作する第2の指28を模式的に示している。
【0073】
図4Bでは、第2の指28の指先が表示部31に触れている。このとき、表示部31によって、第2の指28の指紋情報29を取得することができる。
【0074】
さらに、図4Bには、図4Aと同様に、表示部31にて取得された指紋情報29と、電子機器30にあらかじめ登録されたユーザーの複数の指の指紋情報27とを示している。複数の指の指紋情報の一つである指紋情報27Bと、表示部31にて取得された指紋情報29とが一致すると制御部11が判断した結果、指紋情報27B(または指紋情報27Bとタッチ操作の組み合わせ)に応じた処理が実行される。例えば、図4Bに示すように、ユーザーは、第2の指28でタップすることで、画像35を縮小するなどの操作を行うことができる。
【0075】
図5Aには、本発明の一態様の具体例である電子機器40を示している。電子機器40は、ノート型のパーソナルコンピュータとして機能する。
【0076】
電子機器40は、表示部41、入力部42、複数の入力キー43、筐体44、筐体45、ヒンジ部46等を有する。表示部41は筐体44に設けられる。入力部42及び入力キー43は、筐体45に設けられる。筐体44と筐体45とは、ヒンジ部46により連結されている。
【0077】
入力部42はタッチパッドとして機能する。入力部42は、指24の指先が触れた位置情報及びタッチ操作を取得する機能と、当該指先の指紋情報を取得する機能と、を有する。
【0078】
表示部41にタッチパネルを適用する場合には、指紋情報を取得する機能を有することが好ましい。
【0079】
図5Bには、表示部41Aにフレキシブルディスプレイが適用された電子機器40Aを示している。表示部41Aは、筐体44と筐体45とにわたって設けられている。これにより、2つの筐体にわたって継ぎ目のない表示を行うことができる。
【0080】
表示部41Aは、画像を表示する機能と、指24の指先が触れた位置情報及びタッチ操作を取得する機能と、当該指先の指紋情報を取得する機能と、を有する。
【0081】
図5Cには、2つの筐体それぞれに表示部が設けられた電子機器40Bを示している。筐体44には表示部41Bが設けられる。筐体45には表示部41Cが設けられる。
【0082】
表示部41Bと表示部41Cのうち、少なくとも一方、好ましくは両方が、画像を表示する機能と、指24の指先が触れた位置情報を取得する機能と、当該指先の指紋情報を取得する機能と、を有する。
【0083】
以上が具体例についての説明である。
【0084】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。また、本明細書において、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
【0085】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について図6図15を用いて説明する。
【0086】
本実施の形態の表示装置は、実施の形態1で説明したデバイスの表示部に好適に用いることができる。
【0087】
本発明の一態様の表示装置の表示部は、発光素子(発光デバイスともいう)を用いて画像を表示する機能を有する。さらに、当該表示部は、撮像機能及びセンシング機能の一方または双方も有する。
【0088】
本発明の一態様の表示装置は、受光素子(受光デバイスともいう)と発光素子とを有する。または、本発明の一態様の表示装置は、受発光素子(受発光デバイスともいう)と発光素子とを有する。
【0089】
まず、受光素子と発光素子とを有する表示装置について説明する。
【0090】
本発明の一態様の表示装置は、表示部に、受光素子と発光素子とを有する。本発明の一態様の表示装置は、表示部に、発光素子がマトリクス状に配置されており、当該表示部で画像を表示することができる。また、当該表示部には、受光素子がマトリクス状に配置されており、表示部は、撮像機能及びセンシング機能の一方または双方も有する。表示部は、イメージセンサやタッチセンサに用いることができる。つまり、表示部で光を検出することで、画像を撮像することや、対象物(指やペンなど)の近接もしくは接触を検出することができる。さらに、本発明の一態様の表示装置は、発光素子をセンサの光源として利用することができる。したがって、表示装置と別に受光部及び光源を設けなくてよく、電子機器の部品点数を削減することができる。
【0091】
本発明の一態様の表示装置では、表示部が有する発光素子が発した光を対象物が反射(または散乱)した際、受光素子がその反射光(または散乱光)を検出できるため、暗い場所でも、撮像やタッチ操作(接触または近接)の検出が可能である。
【0092】
本発明の一態様の表示装置は、発光素子を用いて、画像を表示する機能を有する。つまり、発光素子は、表示素子(表示デバイスともいう)として機能する。
【0093】
発光素子としては、OLED(Organic Light Emitting Diode)やQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)などのEL素子(ELデバイスともいう)を用いることが好ましい。EL素子が有する発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、無機化合物(量子ドット材料など)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally Activated Delayed Fluorescence:TADF)材料)などが挙げられる。また、発光素子として、マイクロLED(Light Emitting Diode)などのLEDを用いることもできる。
【0094】
本発明の一態様の表示装置は、受光素子を用いて、光を検出する機能を有する。
【0095】
受光素子をイメージセンサに用いる場合、表示装置は、受光素子を用いて、画像を撮像することができる。例えば、本実施の形態の表示装置は、スキャナとして用いることができる。
【0096】
例えば、イメージセンサを用いて、指紋、掌紋などの生体情報に係るデータを取得することができる。つまり、表示装置に、生体認証用センサを内蔵させることができる。表示装置が生体認証用センサを内蔵することで、表示装置とは別に生体認証用センサを設ける場合に比べて、電子機器の部品点数を少なくでき、電子機器の小型化及び軽量化が可能である。
【0097】
また、受光素子をタッチセンサに用いる場合、表示装置は、受光素子を用いて、対象物の近接または接触を検出することができる。
【0098】
受光素子としては、例えば、pn型またはpin型のフォトダイオードを用いることができる。受光素子は、受光素子に入射する光を検出し電荷を発生させる光電変換素子(光電変換デバイスともいう)として機能する。受光素子に入射する光量に基づき、受光素子から発生する電荷量が決まる。
【0099】
特に、受光素子として、有機化合物を含む層を有する有機フォトダイオードを用いることが好ましい。有機フォトダイオードは、薄型化、軽量化、及び大面積化が容易であり、また、形状及びデザインの自由度が高いため、様々な表示装置に適用できる。
【0100】
本発明の一態様では、発光素子として有機EL素子(有機ELデバイスともいう)を用い、受光素子として有機フォトダイオードを用いる。有機EL素子及び有機フォトダイオードは、同一基板上に形成することができる。したがって、有機EL素子を用いた表示装置に有機フォトダイオードを内蔵することができる。
【0101】
有機EL素子及び有機フォトダイオードを構成する全ての層を作り分けようとすると、成膜工程が非常に多くなる。有機フォトダイオードは、有機EL素子と共通の構成にできる層が多いため、共通の構成にできる層は一括で成膜することで、成膜工程の増加を抑制することができる。
【0102】
例えば、一対の電極のうち一方(共通電極)を、受光素子及び発光素子で共通の層とすることができる。また、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層の少なくとも1つを、受光素子及び発光素子で共通の層とすることが好ましい。また、例えば、受光素子が活性層を有し、発光素子が発光層を有する以外は、受光素子と発光素子とで同一の構成にすることもできる。つまり、発光素子の発光層を、活性層に置き換えるのみで、受光素子を作製することもできる。このように、受光素子及び発光素子が共通の層を有することで、成膜回数及びマスクの数を減らすことができ、表示装置の作製工程及び作製コストを削減することができる。また、表示装置の既存の製造装置及び製造方法を用いて、受光素子を有する表示装置を作製することができる。
【0103】
なお、受光素子と発光素子が共通で有する層は、発光素子における機能と受光素子における機能とが異なる場合がある。本明細書中では、発光素子における機能に基づいて構成要素を呼称する。例えば、正孔注入層は、発光素子において正孔注入層として機能し、受光素子において正孔輸送層として機能する。同様に、電子注入層は、発光素子において電子注入層として機能し、受光素子において電子輸送層として機能する。また、受光素子と発光素子が共通で有する層は、発光素子における機能と受光素子における機能とが同一である場合もある。正孔輸送層は、発光素子及び受光素子のいずれにおいても、正孔輸送層として機能し、電子輸送層は、発光素子及び受光素子のいずれにおいても、電子輸送層として機能する。
【0104】
次に、受発光素子と発光素子とを有する表示装置について説明する。
【0105】
本発明の一態様の表示装置において、いずれかの色を呈する副画素は、発光素子の代わりとして、受発光素子を有し、その他の色を呈する副画素は、発光素子を有する。受発光素子は、光を発する機能(発光機能)と、受光する機能(受光機能)と、の双方を有する。例えば、画素が、赤色の副画素、緑色の副画素、青色の副画素の3つの副画素を有する場合、少なくとも1つの副画素が受発光素子を有し、他の副画素は発光素子を有する構成とする。したがって、本発明の一態様の表示装置の表示部は、受発光素子と発光素子との双方を用いて画像を表示する機能を有する。
【0106】
受発光素子が、発光素子と受光素子とを兼ねることで、画素に含まれる副画素の数を増やさずに、画素に受光機能を付与することができる。これにより、画素の開口率(各副画素の開口率)、及び、表示装置の精細度を維持したまま、表示装置の表示部に、撮像機能及びセンシング機能の一方または双方を付加することができる。したがって、本発明の一態様の表示装置は、発光素子を有する副画素とは別に、受光素子を有する副画素を設ける場合に比べ、画素の開口率を高くでき、また、高精細化が容易である。
【0107】
本発明の一態様の表示装置は、表示部に、受発光素子と発光素子がマトリクス状に配置されており、当該表示部で画像を表示することができる。また、表示部は、イメージセンサやタッチセンサに用いることができる。本発明の一態様の表示装置は、発光素子をセンサの光源として利用することができる。したがって、表示装置と別に受光部及び光源を設けなくてよく、電子機器の部品点数を削減することができる。
【0108】
本発明の一態様の表示装置では、表示部が有する発光素子が発した光を対象物が反射(または散乱)した際、受発光素子がその反射光(または散乱光)を検出できるため、暗い場所でも、撮像やタッチ操作(接触または近接)の検出が可能である。
【0109】
受発光素子は、有機EL素子と有機フォトダイオードを組み合わせて作製することができる。例えば、有機EL素子の積層構造に、有機フォトダイオードの活性層を追加することで、受発光素子を作製することができる。さらに、有機EL素子と有機フォトダイオードを組み合わせて作製する受発光素子は、有機EL素子と共通の構成にできる層を一括で成膜することで、成膜工程の増加を抑制することができる。
【0110】
例えば、一対の電極のうち一方(共通電極)を、受発光素子及び発光素子で共通の層とすることができる。また、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層の少なくとも1つを、受発光素子及び発光素子で共通の層とすることが好ましい。また、例えば、受光素子の活性層の有無以外は、受発光素子と発光素子とで同一の構成にすることもできる。つまり、発光素子に、受光素子の活性層を加えるのみで、受発光素子を作製することもできる。このように、受発光素子及び発光素子が共通の層を有することで、成膜回数及びマスクの数を減らすことができ、表示装置の作製工程及び作製コストを削減することができる。また、表示装置の既存の製造装置及び製造方法を用いて、受発光素子を有する表示装置を作製することができる。
【0111】
なお、受発光素子が有する層は、受発光素子が、受光素子として機能する場合と、発光素子として機能する場合と、で、機能が異なることがある。本明細書中では、受発光素子が発光素子として機能する場合における機能に基づいて構成要素を呼称する。例えば、正孔注入層は、受発光素子が発光素子として機能する際には、正孔注入層として機能し、受発光素子が受光素子として機能する際には、正孔輸送層として機能する。同様に、電子注入層は、受発光素子が発光素子として機能する際には、電子注入層として機能し、受発光素子が受光素子として機能する際には、電子輸送層として機能する。また、受発光素子が有する層は、受発光素子が、受光素子として機能する場合と、発光素子として機能する場合と、で、機能が同一であることもある。正孔輸送層は、発光素子及び受光素子のいずれとして機能する場合においても、正孔輸送層として機能し、電子輸送層は、発光素子及び受光素子のいずれとして機能する場合においても、電子輸送層として機能する。
【0112】
本実施の形態の表示装置は、発光素子及び受発光素子を用いて、画像を表示する機能を有する。つまり、発光素子及び受発光素子は、表示素子として機能する。
【0113】
本実施の形態の表示装置は、受発光素子を用いて、光を検出する機能を有する。受発光素子は、受発光素子自身が発する光よりも短波長の光を検出することができる。
【0114】
受発光素子をイメージセンサに用いる場合、本実施の形態の表示装置は、受発光素子を用いて、画像を撮像することができる。例えば、本実施の形態の表示装置は、スキャナとして用いることができる。
【0115】
また、受発光素子をタッチセンサに用いる場合、本実施の形態の表示装置は、受発光素子を用いて、対象物の近接または接触を検出することができる。
【0116】
受発光素子は、受発光素子に入射する光を検出し電荷を発生させる光電変換素子として機能する。受発光素子に入射する光量に基づき、受発光素子から発生する電荷量が決まる。
【0117】
受発光素子は、上記発光素子の構成に、受光素子の活性層を追加することで作製することができる。
【0118】
受発光素子には、例えば、pn型またはpin型のフォトダイオード構造を適用することができる。
【0119】
特に、受発光素子には、有機化合物を含む層を有する有機フォトダイオードの活性層を用いることが好ましい。有機フォトダイオードは、薄型化、軽量化、及び大面積化が容易であり、また、形状及びデザインの自由度が高いため、様々な表示装置に適用できる。
【0120】
以下では、本発明の一態様の表示装置について、図面を用いてより具体的に説明する。
【0121】
[表示装置]
図6A図6D及び図6Fに、本発明の一態様の表示装置の断面図を示す。
【0122】
図6Aに示す表示装置200Aは、基板201と基板209との間に、受光素子を有する層203、機能層205、及び、発光素子を有する層207を有する。
【0123】
表示装置200Aは、発光素子を有する層207から、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の光が射出される構成である。
【0124】
受光素子を有する層203に含まれる受光素子は、表示装置200Aの外部から入射した光を検出することができる。
【0125】
図6Bに示す表示装置200Bは、基板201と基板209との間に、受発光素子を有する層204、機能層205、及び、発光素子を有する層207を有する。
【0126】
表示装置200Bは、発光素子を有する層207から、緑色(G)の光及び青色(B)の光が射出され、受発光素子を有する層204から赤色(R)の光が射出される構成である。なお、本発明の一態様の表示装置において、受発光素子を有する層204が発する光の色は、赤色に限定されない。また、発光素子を有する層207が発する光の色も、緑色と青色の組み合わせに限定されない。
【0127】
受発光素子を有する層204に含まれる受発光素子は、表示装置200Bの外部から入射した光を検出することができる。当該受発光素子は、例えば、緑色(G)の光及び青色(B)の光のうち一方または双方を検出することができる。
【0128】
機能層205は、受光素子または受発光素子を駆動する回路、及び、発光素子を駆動する回路を有する。機能層205には、スイッチ、トランジスタ、容量、抵抗、配線、端子などを設けることができる。なお、発光素子及び受光素子をパッシブマトリクス方式で駆動させる場合には、スイッチやトランジスタを設けない構成としてもよい。
【0129】
本発明の一態様の表示装置は、表示装置に接触している指などの対象物を検出する機能(タッチパネルとしての機能)を有していてもよい。例えば、図6Cに示すように、発光素子を有する層207において発光素子が発した光を、表示装置200Aに接触した指202が反射することで、受光素子を有する層203における受光素子がその反射光を検出する。これにより、表示装置200Aに指202が接触したことを検出することができる。また、表示装置200Bでは、発光素子を有する層207において発光素子が発した光を、表示装置200Bに接触した指が反射することで、受発光素子を有する層204における受発光素子がその反射光を検出することができる。なお、以下では、発光素子の発光が対象物により反射される場合を例に挙げて説明するが、光は対象物により散乱される場合もある。
【0130】
本発明の一態様の表示装置は、図6Dに示すように、表示装置に近接している(接触していない)対象物を検出または撮像する機能を有していてもよい。
【0131】
本発明の一態様の表示装置は、指202の指紋を検出する機能を有していてもよい。図6Eに、本発明の一態様の表示装置で撮像した画像のイメージ図を示す。図6Eには、撮像範囲263内に、指202の輪郭を破線で、接触部261の輪郭を一点鎖線で示している。接触部261内において、受光素子(または受発光素子)に入射する光量の違いによって、コントラストの高い指紋262の画像を撮像することができる。
【0132】
本発明の一態様の表示装置は、ペンタブレットとしても機能させることができる。図6Fには、スタイラス208の先端を基板209に接触させた状態で、破線矢印の方向に滑らせている様子を示している。
【0133】
図6Fに示すように、スタイラス208の先端と、基板209の接触面で散乱される散乱光が、当該接触面と重なる部分に位置する受光素子(または受発光素子)に入射することで、スタイラス208の先端の位置を高精度に検出することができる。
【0134】
図6Gに、本発明の一態様の表示装置で検出したスタイラス208の軌跡266の例を示している。本発明の一態様の表示装置は、高い位置精度でスタイラス208等の被検出体の位置検出が可能であるため、描画アプリケーション等において、高精細な描画を行うことも可能である。また、静電容量式のタッチセンサや、電磁誘導型のタッチペン等を用いた場合とは異なり、絶縁性の高い被検出体であっても位置検出が可能であるため、スタイラス208の先端部の材料は問われず、様々な筆記用具(例えば筆、ガラスペン、羽ペンなど)を用いることもできる。
【0135】
[画素]
本発明の一態様の表示装置は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。1つの画素は、複数の副画素を有する。1つの副画素は、1つの発光素子、1つの受発光素子、または1つの受光素子を有する。
【0136】
複数の画素は、それぞれ、発光素子を有する副画素、受光素子を有する副画素、及び、受発光素子を有する副画素のうち1つまたは複数を有する。
【0137】
例えば、画素は、発光素子を有する副画素を複数(例えば、3つまたは4つ)有し、受光素子を有する副画素を1つ有する。
【0138】
なお、受光素子は、全ての画素に設けられていてもよく、一部の画素に設けられていてもよい。また、1つの画素が複数の受光素子を有していてもよい。また、1つの受光素子が複数の画素にわたって設けられていてもよい。受光素子の精細度と発光素子の精細度は互いに異なっていてもよい。
【0139】
画素が発光素子を有する副画素を3つ有する場合、当該3つの副画素としては、R、G、Bの3色の副画素、黄色(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の3色の副画素などが挙げられる。画素が発光素子を有する副画素を4つ有する場合、当該4つの副画素としては、R、G、B、白色(W)の4色の副画素、R、G、B、Yの4色の副画素などが挙げられる。
【0140】
図6H図6J図6K図6Lに、発光素子を有する副画素を複数有し、受光素子を有する副画素を1つ有する画素の一例を示す。なお、本実施の形態で示す副画素の配列は図示した順序に限定されない。例えば、副画素(B)と副画素(G)の位置を逆にしても構わない。
【0141】
図6H図6J図6Kに示す画素は、いずれも、受光機能を有する副画素(PD)、赤色の光を呈する副画素(R)、緑色の光を呈する副画素(G)、及び、青色の光を呈する副画素(B)を有する。
【0142】
図6Hに示す画素には、マトリクス配列が適用されており、図6Jに示す画素には、ストライプ配列が適用されている。また、図6Kは、横1列に、赤色の光を呈する副画素(R)、緑色の光を呈する副画素(G)、及び、青色の光を呈する副画素(B)が配置され、その下に受光機能を有する副画素(PD)が配置されている例である。つまり、図6Kにおいて、副画素(R)、副画素(G)、及び副画素(B)は互いに同じ行に配置され、副画素(PD)とは異なる行に配置される。
【0143】
図6Lに示す画素は、図6Kに示す画素の構成に加えて、R、G、B以外の光を呈する副画素(X)を有する。R、G、B以外の光としては、白色(W)、黄色(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、赤外光(IR)等の光が挙げられる。副画素(X)が赤外光を呈する場合、受光機能を有する副画素(PD)は、赤外光を検出する機能を有することが好ましい。受光機能を有する副画素(PD)は、可視光及び赤外光の双方を検出する機能を有していてもよい。センサの用途に応じて、受光素子が検出する光の波長を決定することができる。
【0144】
または、例えば、画素は、発光素子を有する副画素を複数有し、受発光素子を有する副画素を1つ有する。
【0145】
受発光素子を有する表示装置は、画素に受光機能を組み込むために画素配列を変更する必要がないため、開口率及び精細度を低減させずに、表示部に撮像機能及びセンシング機能の一方または双方を付加することができる。
【0146】
なお、受発光素子は、全ての画素に設けられていてもよく、一部の画素に設けられていてもよい。また、1つの画素が複数の受発光素子を有していてもよい。
【0147】
図7A図7Dに、発光素子を有する副画素を複数有し、受発光素子を有する副画素を1つ有する画素の一例を示す。
【0148】
図7Aに示す画素は、ストライプ配列が適用され、赤色の光を呈し、かつ、受光機能を有する副画素(R・PD)、緑色の光を呈する副画素(G)、及び、青色の光を呈する副画素(B)を有する。画素が、R、G、Bの3つの副画素からなる表示装置において、Rの副画素に用いる発光素子を、受発光素子に置き換えることで、画素に受光機能を有する表示装置を作製することができる。
【0149】
図7Bに示す画素は、赤色の光を呈し、かつ、受光機能を有する副画素(R・PD)、緑色の光を呈する副画素(G)、及び、青色の光を呈する副画素(B)を有する。副画素(R・PD)は、副画素(G)と副画素(B)とは異なる列に配置される。副画素(G)と副画素(B)とは、同じ列に交互に配置され、一方が奇数行に設けられ、他方が偶数行に設けられる。なお、他の色の副画素と異なる列に配置される副画素は、赤色(R)に限られず、緑色(G)または青色(B)であってもよい。
【0150】
図7Cに示す画素は、マトリクス配列が適用され、赤色の光を呈し、かつ、受光機能を有する副画素(R・PD)、緑色の光を呈する副画素(G)、青色の光を呈する副画素(B)、及び、R、G、B以外の光を呈する副画素(X)を有する。画素が、R、G、B、Xの4つの副画素からなる表示装置においても、Rの副画素に用いる発光素子を、受発光素子に置き換えることで、画素に受光機能を有する表示装置を作製することができる。
【0151】
図7Dには、2つの画素を示しており、点線で囲まれた3つの副画素により1つの画素が構成されている。図7Dに示す画素は、赤色の光を呈し、かつ、受光機能を有する副画素(R・PD)、緑色の光を呈する副画素(G)、及び、青色の光を呈する副画素(B)を有する。図7Dに示す左の画素では、副画素(R・PD)と同じ行に副画素(G)が配置され、副画素(R・PD)と同じ列に副画素(B)が配置されている。図7Dに示す右の画素では、副画素(R・PD)と同じ行に副画素(G)が配置され、副画素(G)と同じ列に副画素(B)が配置されている。図7Dに示す画素レイアウトでは、奇数行と偶数行のいずれにおいても、副画素(R・PD)、副画素(G)、及び副画素(B)が繰り返し配置されており、かつ、各列において、奇数行と偶数行では互いに異なる色の副画素が配置される。
【0152】
図7Eには、ペンタイル配列が適用された4つの画素を示しており、隣接する2つの画素は組み合わせの異なる2色の光を呈する副画素を有する。なお、図7Eに示す副画素の形状は、当該副画素が有する発光素子または受発光素子の上面形状を示している。図7Fは、図7Eに示す画素配列の変形例である。
【0153】
図7Eに示す左上の画素と右下の画素は、赤色の光を呈し、かつ、受光機能を有する副画素(R・PD)、及び、緑色の光を呈する副画素(G)を有する。図7Eに示す左下の画素と右上の画素は、緑色の光を呈する副画素(G)、及び、青色の光を呈する副画素(B)を有する。
【0154】
図7Fに示す左上の画素と右下の画素は、赤色の光を呈し、かつ、受光機能を有する副画素(R・PD)、及び、緑色の光を呈する副画素(G)を有する。図7Fに示す左下の画素と右上の画素は、赤色の光を呈し、かつ、受光機能を有する副画素(R・PD)、及び、青色の光を呈する副画素(B)を有する。
【0155】
図7Eでは、各画素に緑色の光を呈する副画素(G)が設けられている。一方、図7Fでは、各画素に赤色の光を呈し、かつ、受光機能を有する副画素(R・PD)が設けられている。各画素に受光機能を有する副画素が設けられているため、図7Fに示す構成では、図7Eに示す構成に比べて、高い精細度で撮像を行うことができる。これにより、例えば、生体認証の精度を高めることができる。
【0156】
また、発光素子及び受発光素子の上面形状は特に限定されず、円、楕円、多角形、角の丸い多角形等とすることができる。副画素(G)が有する発光素子の上面形状について、図7Eでは円形である例を示し、図7Fでは正方形である例を示している。各色の発光素子及び受発光素子の上面形状は、互いに異なっていてもよく、一部または全ての色で同じであってもよい。
【0157】
また、各色の副画素の開口率は、互いに異なっていてもよく、一部または全ての色で同じであってもよい。例えば、各画素に設けられる副画素(図7Eでは副画素(G)、図7Fでは副画素(R・PD))の開口率を、他の色の副画素の開口率に比べて小さくしてもよい。
【0158】
図7Gは、図7Fに示す画素配列の変形例である。具体的には、図7Gの構成は、図7Fの構成を45°回転させることで得られる。図7Fでは、2つの副画素により1つの画素が構成されることとして説明したが、図7Gに示すように、4つの副画素により1つの画素が構成されていると捉えることもできる。
【0159】
図7Gでは、点線で囲まれた4つの副画素により1つの画素が構成されることとして説明を行う。1つの画素は、2つの副画素(R・PD)と、1つの副画素(G)と、1つの副画素(B)と、を有する。このように、1つの画素が、受光機能を有する副画素を複数有することで、高い精細度で撮像を行うことができる。したがって、生体認証の精度を高めることができる。例えば、撮像の精細度を、表示の精細度のルート2倍とすることができる。
【0160】
図7Fまたは図7Gに示す構成が適用された表示装置は、p個(pは2以上の整数)の第1の発光素子と、q個(qは2以上の整数)の第2の発光素子と、r個(rはpより大きく、qより大きい整数)の受発光素子と、を有する。pとrはr=2pを満たす。また、p、q、rはr=p+qを満たす。第1の発光素子と第2の発光素子のうち一方が緑色の光を発し、他方が青色の光を発する。受発光素子は、赤色の光を発し、かつ、受光機能を有する。
【0161】
例えば、受発光素子を用いて、タッチ検出を行う場合、光源からの発光がユーザーに視認されにくいことが好ましい。青色の光は、緑色の光よりも視認性が低いため、青色の光を発する発光素子を光源とすることが好ましい。したがって、受発光素子は、青色の光を受光する機能を有することが好ましい。
【0162】
以上のように、本実施の形態の表示装置には、様々な配列の画素を適用することができる。
【0163】
[デバイス構造]
次に、本発明の一態様の表示装置に用いることができる、発光素子、受光素子、及び受発光素子の詳細な構成について説明する。
【0164】
本発明の一態様の表示装置は、発光素子が形成されている基板とは反対方向に光を射出するトップエミッション型、発光素子が形成されている基板側に光を射出するボトムエミッション型、両面に光を射出するデュアルエミッション型のいずれであってもよい。
【0165】
本実施の形態では、トップエミッション型の表示装置を例に挙げて説明する。
【0166】
なお、本明細書等において、特に説明のない限り、要素(発光素子、発光層など)を複数有する構成を説明する場合であっても、各々の要素に共通する事項を説明する場合には、アルファベットを省略して説明する。例えば、発光層283R及び発光層283G等に共通する事項を説明する場合に、発光層283と記す場合がある。
【0167】
図8Aに示す表示装置280Aは、受光素子270PD、赤色(R)の光を発する発光素子270R、緑色(G)の光を発する発光素子270G、及び、青色(B)の光を発する発光素子270Bを有する。
【0168】
各発光素子は、画素電極271、正孔注入層281、正孔輸送層282、発光層、電子輸送層284、電子注入層285、及び共通電極275をこの順で積層して有する。発光素子270Rは、発光層283Rを有し、発光素子270Gは、発光層283Gを有し、発光素子270Bは、発光層283Bを有する。発光層283Rは、赤色の光を発する発光物質を有し、発光層283Gは、緑色の光を発する発光物質を有し、発光層283Bは、青色の光を発する発光物質を有する。
【0169】
発光素子は、画素電極271と共通電極275との間に電圧を印加することで、共通電極275側に光を射出する電界発光素子である。
【0170】
受光素子270PDは、画素電極271、正孔注入層281、正孔輸送層282、活性層273、電子輸送層284、電子注入層285、及び共通電極275をこの順で積層して有する。
【0171】
受光素子270PDは、表示装置280Aの外部から入射される光を受光し、電気信号に変換する、光電変換素子である。
【0172】
本実施の形態では、発光素子及び受光素子のいずれにおいても、画素電極271が陽極として機能し、共通電極275が陰極として機能するものとして説明する。つまり、受光素子は、画素電極271と共通電極275との間に逆バイアスをかけて駆動することで、受光素子に入射する光を検出し、電荷を発生させ、電流として取り出すことができる。
【0173】
本実施の形態の表示装置では、受光素子270PDの活性層273に有機化合物を用いる。受光素子270PDは、活性層273以外の層を、発光素子と共通の構成にすることができる。そのため、発光素子の作製工程に、活性層273を成膜する工程を追加するのみで、発光素子の形成と並行して受光素子270PDを形成することができる。また、発光素子と受光素子270PDとを同一基板上に形成することができる。したがって、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光素子270PDを内蔵することができる。
【0174】
表示装置280Aでは、受光素子270PDの活性層273と、発光素子の発光層283と、を作り分ける以外は、受光素子270PDと発光素子が共通の構成である例を示す。ただし、受光素子270PDと発光素子の構成はこれに限定されない。受光素子270PDと発光素子は、活性層273と発光層283のほかにも、互いに作り分ける層を有していてもよい。受光素子270PDと発光素子は、共通で用いられる層(共通層)を1層以上有することが好ましい。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光素子270PDを内蔵することができる。
【0175】
画素電極271と共通電極275のうち、光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0176】
本実施の形態の表示装置が有する発光素子には、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造が適用されていることが好ましい。したがって、発光素子が有する一対の電極の一方は、可視光に対する透過性及び反射性を有する電極(半透過・半反射電極)を有することが好ましく、他方は、可視光に対する反射性を有する電極(反射電極)を有することが好ましい。発光素子がマイクロキャビティ構造を有することで、発光層から得られる発光を両電極間で共振させ、発光素子から射出される光を強めることができる。
【0177】
なお、半透過・半反射電極は、反射電極と可視光に対する透過性を有する電極(透明電極ともいう)との積層構造とすることができる。
【0178】
透明電極の光の透過率は、40%以上とする。例えば、発光素子には、可視光(波長400nm以上750nm未満の光)の透過率が40%以上である電極を用いることが好ましい。半透過・半反射電極の可視光の反射率は、10%以上95%以下、好ましくは30%以上80%以下とする。反射電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。また、これらの電極の抵抗率は、1×10-2Ωcm以下が好ましい。なお、発光素子が近赤外光(波長750nm以上1300nm以下の光)を発する場合、これらの電極の近赤外光の透過率または反射率は、可視光の透過率または反射率と同様に、上記の数値範囲を満たすことが好ましい。
【0179】
発光素子は少なくとも発光層283を有する。発光素子は、発光層283以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。
【0180】
例えば、発光素子及び受光素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層のうち1層以上を共通の構成とすることができる。また、発光素子及び受光素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層のうち1層以上を互いに作り分けることができる。
【0181】
正孔注入層は、陽極から正孔輸送層に正孔を注入する層であり、正孔注入性の高い材料を含む層である。正孔注入性の高い材料としては、芳香族アミン化合物や、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)とを含む複合材料を用いることができる。
【0182】
発光素子において、正孔輸送層は、正孔注入層によって、陽極から注入された正孔を発光層に輸送する層である。受光素子において、正孔輸送層は、活性層において入射した光に基づき発生した正孔を陽極に輸送する層である。正孔輸送層は、正孔輸送性材料を含む層である。正孔輸送性材料としては、10-6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質が好ましい。なお、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものも用いることができる。正孔輸送性材料としては、π電子過剰型複素芳香族化合物(例えばカルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体など)や芳香族アミン(芳香族アミン骨格を有する化合物)等の正孔輸送性の高い材料が好ましい。
【0183】
発光素子において、電子輸送層は、電子注入層によって、陰極から注入された電子を発光層に輸送する層である。受光素子において、電子輸送層は、活性層において入射した光に基づき発生した電子を陰極に輸送する層である。電子輸送層は、電子輸送性材料を含む層である。電子輸送性材料としては、1×10-6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質が好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものも用いることができる。電子輸送性材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体等の他、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン配位子を有するキノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、その他含窒素複素芳香族化合物を含むπ電子不足型複素芳香族化合物等の電子輸送性の高い材料を用いることができる。
【0184】
電子注入層は、陰極から電子輸送層に電子を注入する層であり、電子注入性の高い材料を含む層である。電子注入性の高い材料としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。電子注入性の高い材料としては、電子輸送性材料とドナー性材料(電子供与性材料)とを含む複合材料を用いることもできる。
【0185】
発光層283は、発光物質を含む層である。発光層283は、1種または複数種の発光物質を有することができる。発光物質としては、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色などの発光色を呈する物質を適宜用いる。また、発光物質として、近赤外光を発する物質を用いることもできる。
【0186】
発光物質としては、蛍光材料、燐光材料、TADF材料、量子ドット材料などが挙げられる。
【0187】
蛍光材料としては、例えば、ピレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタレン誘導体などが挙げられる。
【0188】
燐光材料としては、例えば、4H-トリアゾール骨格、1H-トリアゾール骨格、イミダゾール骨格、ピリミジン骨格、ピラジン骨格、またはピリジン骨格を有する有機金属錯体(特にイリジウム錯体)、電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属錯体(特にイリジウム錯体)、白金錯体、希土類金属錯体等が挙げられる。
【0189】
発光層283は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種または複数種の有機化合物(ホスト材料、アシスト材料等)を有していてもよい。1種または複数種の有機化合物としては、正孔輸送性材料及び電子輸送性材料の一方または双方を用いることができる。また、1種または複数種の有機化合物として、バイポーラ性材料、またはTADF材料を用いてもよい。
【0190】
発光層283は、例えば、燐光材料と、励起錯体を形成しやすい組み合わせである正孔輸送性材料及び電子輸送性材料と、を有することが好ましい。このような構成とすることにより、励起錯体から発光物質(燐光材料)へのエネルギー移動であるExTET(Exciplex-Triplet Energy Transfer)を用いた発光を効率よく得ることができる。発光物質の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるような発光を呈する励起錯体を形成するような組み合わせを選択することで、エネルギー移動がスムーズとなり、効率よく発光を得ることができる。この構成により、発光素子の高効率、低電圧駆動、長寿命を同時に実現できる。
【0191】
励起錯体を形成する材料の組み合わせとしては、正孔輸送性材料のHOMO準位(最高被占有軌道準位)が電子輸送性材料のHOMO準位以上の値であると好ましい。正孔輸送性材料のLUMO準位(最低空軌道準位)が電子輸送性材料のLUMO準位以上の値であると好ましい。材料のLUMO準位及びHOMO準位は、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって測定される材料の電気化学特性(還元電位及び酸化電位)から導出することができる。
【0192】
励起錯体の形成は、例えば正孔輸送性材料の発光スペクトル、電子輸送性材料の発光スペクトル、及びこれら材料を混合した混合膜の発光スペクトルを比較し、混合膜の発光スペクトルが、各材料の発光スペクトルよりも長波長シフトする(または長波長側に新たなピークを持つ)現象を観測することにより確認することができる。または、正孔輸送性材料の過渡フォトルミネッセンス(PL)、電子輸送性材料の過渡PL、及びこれら材料を混合した混合膜の過渡PLを比較し、混合膜の過渡PL寿命が、各材料の過渡PL寿命よりも長寿命成分を有する、または遅延成分の割合が大きくなるなどの過渡応答の違いを観測することにより、確認することができる。また、上述の過渡PLは過渡エレクトロルミネッセンス(EL)と読み替えても構わない。すなわち、正孔輸送性材料の過渡EL、電子輸送性を有する材料の過渡EL、及びこれらの混合膜の過渡ELを比較し、過渡応答の違いを観測することによっても、励起錯体の形成を確認することができる。
【0193】
活性層273は、半導体を含む。当該半導体としては、シリコンなどの無機半導体、及び、有機化合物を含む有機半導体が挙げられる。本実施の形態では、活性層273が有する半導体として、有機半導体を用いる例を示す。有機半導体を用いることで、発光層283と、活性層273と、を同じ方法(例えば、真空蒸着法)で形成することができ、製造装置を共通化できるため好ましい。
【0194】
活性層273が有するn型半導体の材料としては、フラーレン(例えばC60、C70等)、フラーレン誘導体等の電子受容性の有機半導体材料が挙げられる。フラーレンは、サッカーボールのような形状を有し、当該形状はエネルギー的に安定である。フラーレンは、HOMO準位及びLUMO準位の双方が深い(低い)。フラーレンは、LUMO準位が深いため、電子受容性(アクセプター性)が極めて高い。通常、ベンゼンのように、平面にπ電子共役(共鳴)が広がると、電子供与性(ドナー性)が高くなるが、フラーレンは球体形状であるため、π電子が大きく広がっているにも関わらず、電子受容性が高くなる。電子受容性が高いと、電荷分離を高速に効率よく起こすため、受光素子として有益である。C60、C70ともに可視光領域に広い吸収帯を有しており、特にC70はC60に比べてπ電子共役系が大きく、長波長領域にも広い吸収帯を有するため好ましい。
【0195】
また、n型半導体の材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クマリン誘導体、ローダミン誘導体、トリアジン誘導体、キノン誘導体等が挙げられる。
【0196】
活性層273が有するp型半導体の材料としては、銅(II)フタロシアニン(Copper(II) phthalocyanine;CuPc)、テトラフェニルジベンゾペリフランテン(Tetraphenyldibenzoperiflanthene;DBP)、亜鉛フタロシアニン(Zinc Phthalocyanine;ZnPc)、スズフタロシアニン(SnPc)、キナクリドン等の電子供与性の有機半導体材料が挙げられる。
【0197】
また、p型半導体の材料としては、カルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体、芳香族アミン骨格を有する化合物等が挙げられる。さらに、p型半導体の材料としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ピロール誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、インドール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
【0198】
電子供与性の有機半導体材料のHOMO準位は、電子受容性の有機半導体材料のHOMO準位よりも浅い(高い)ことが好ましい。電子供与性の有機半導体材料のLUMO準位は、電子受容性の有機半導体材料のLUMO準位よりも浅い(高い)ことが好ましい。
【0199】
電子受容性の有機半導体材料として、球状のフラーレンを用い、電子供与性の有機半導体材料として、平面に近い形状の有機半導体材料を用いることが好ましい。似た形状の分子同士は集まりやすい傾向にあり、同種の分子が凝集すると、分子軌道のエネルギー準位が近いため、キャリア輸送性を高めることができる。
【0200】
例えば、活性層273は、n型半導体とp型半導体と共蒸着して形成することが好ましい。
【0201】
発光素子及び受光素子には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。発光素子及び受光素子を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0202】
図8Bに示す表示装置280Bは、受光素子270PDと発光素子270Rが同一の構成である点で、表示装置280Aと異なる。
【0203】
受光素子270PDと発光素子270Rは、活性層273と発光層283Rを共通して有する。
【0204】
ここで、受光素子270PDは、検出したい光よりも長波長の光を発する発光素子と共通の構成にすることが好ましい。例えば、青色の光を検出する構成の受光素子270PDは、発光素子270R及び発光素子270Gの一方または双方と同様の構成にすることができる。例えば、緑色の光を検出する構成の受光素子270PDは、発光素子270Rと同様の構成にすることができる。
【0205】
受光素子270PDと、発光素子270Rと、を共通の構成にすることで、受光素子270PDと、発光素子270Rと、が互いに作り分ける層を有する構成に比べて、成膜工程の数及びマスクの数を削減することができる。したがって、表示装置の作製工程及び作製コストを削減することができる。
【0206】
また、受光素子270PDと、発光素子270Rと、を共通の構成にすることで、受光素子270PDと、発光素子270Rと、が互いに作り分ける層を有する構成に比べて、位置ずれに対するマージンを狭くできる。これにより、画素の開口率を高めることができ、表示装置の光取り出し効率を高めることができる。これにより、発光素子の寿命を延ばすことができる。また、表示装置は、高い輝度を表現することができる。また、表示装置の高精細度化も可能である。
【0207】
発光層283Rは、赤色の光を発する発光材料を有する。活性層273は、赤色よりも短波長の光(例えば、緑色の光及び青色の光の一方または双方)を吸収する有機化合物を有する。活性層273は、赤色の光を吸収しにくく、かつ、赤色よりも短波長の光を吸収する有機化合物を有することが好ましい。これにより、発光素子270Rからは赤色の光が効率よく取り出され、受光素子270PDは、高い精度で赤色よりも短波長の光を検出することができる。
【0208】
また、表示装置280Bでは、発光素子270R及び受光素子270PDが同一の構成である例を示すが、発光素子270R及び受光素子270PDは、それぞれ異なる厚さの光学調整層を有していてもよい。
【0209】
図9A図9Bに示す表示装置280Cは、赤色(R)の光を発し、かつ、受光機能を有する受発光素子270R・PD、緑色(G)の光を発する発光素子270G、及び、青色(B)の光を発する発光素子270Bを有する。
【0210】
各発光素子は、画素電極271、正孔注入層281、正孔輸送層282、発光層、電子輸送層284、電子注入層285、及び共通電極275をこの順で積層して有する。発光素子270Gは、発光層283Gを有し、発光素子270Bは、発光層283Bを有する。発光層283Gは、緑色の光を発する発光物質を有し、発光層283Bは、青色の光を発する発光物質を有する。
【0211】
受発光素子270R・PDは、画素電極271、正孔注入層281、正孔輸送層282、活性層273、発光層283R、電子輸送層284、電子注入層285、及び共通電極275をこの順で積層して有する。
【0212】
なお、表示装置280Cが有する受発光素子270R・PDは、表示装置280Bが有する発光素子270R及び受光素子270PDと同一の構成である。また、表示装置280Cが有する発光素子270G、270Bについても、表示装置280Bが有する発光素子270G、270Bと同一の構成である。
【0213】
図9Aでは、受発光素子270R・PDが発光素子として機能する場合を示す。図9Aでは、発光素子270Bが青色の光を発し、発光素子270Gが緑色の光を発し、受発光素子270R・PDが赤色の光を発している例を示す。
【0214】
図9Bでは、受発光素子270R・PDが受光素子として機能する場合を示す。図9Bでは、発光素子270Bが発する青色の光と、発光素子270Gが発する緑色の光と、を、受発光素子270R・PDが検出している例を示す。
【0215】
発光素子270B、発光素子270G、及び受発光素子270R・PDは、それぞれ、画素電極271及び共通電極275を有する。本実施の形態では、画素電極271が陽極として機能し、共通電極275が陰極として機能する場合を例に挙げて説明する。
【0216】
本実施の形態では、発光素子と同様に、受発光素子270R・PDにおいても、画素電極271が陽極として機能し、共通電極275が陰極として機能するものとして説明する。つまり、受発光素子270R・PDは、画素電極271と共通電極275との間に逆バイアスをかけて駆動することで、受発光素子270R・PDに入射する光を検出し、電荷を発生させ、電流として取り出すことができる。
【0217】
なお、図9A図9Bに示す受発光素子270R・PDは、発光素子に、活性層273を追加した構成ということができる。つまり、発光素子の作製工程に、活性層273を成膜する工程を追加するのみで、発光素子の形成と並行して受発光素子270R・PDを形成することができる。また、発光素子と受発光素子とを同一基板上に形成することができる。したがって、作製工程を大幅に増やすことなく、表示部に撮像機能及びセンシング機能の一方または双方を付与することができる。
【0218】
なお、発光層283Rと活性層273との積層順は限定されない。図9A図9Bでは、正孔輸送層282上に活性層273が設けられ、活性層273上に発光層283Rが設けられている例を示す。正孔輸送層282上に発光層283Rが設けられ、発光層283R上に活性層273が設けられていてもよい。
【0219】
図9A図9Bに示すように、活性層273と発光層283Rとは、互いに接していてもよい。また、活性層273と発光層283Rとの間にバッファ層が挟まれていてもよい。バッファ層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、正孔ブロック層、及び電子ブロック層等のうち少なくとも1層を用いることができる。
【0220】
活性層273と発光層283Rとの間にバッファ層を設けることで、発光層283Rから活性層273に励起エネルギーが移動することを抑制できる。また、バッファ層を用いて、マイクロキャビティ構造の光路長(キャビティ長)を調整することもできる。したがって、活性層273と発光層283Rとの間にバッファ層を有する受発光素子からは、高い発光効率を得ることができる。
【0221】
また、受発光素子は、正孔注入層281、正孔輸送層282、電子輸送層284、及び電子注入層285のうち少なくとも1層を有していなくてもよい。また、受発光素子は、正孔ブロック層、電子ブロック層など、他の機能層を有していてもよい。
【0222】
また、受発光素子は、活性層273及び発光層283Rを有さず、発光層と活性層を兼ねる層を有していてもよい。発光層と活性層を兼ねる層としては、例えば、活性層273に用いることができるn型半導体と、活性層273に用いることができるp型半導体と、発光層283Rに用いることができる発光物質と、の3つの材料を含む層を用いることができる。
【0223】
なお、n型半導体とp型半導体との混合材料の吸収スペクトルの最も低エネルギー側の吸収帯と、発光物質の発光スペクトル(PLスペクトル)の最大ピークと、は互いに重ならないことが好ましく、十分に離れていることがより好ましい。
【0224】
受発光素子において、光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0225】
受発光素子を構成する各層の機能及び材料は、発光素子及び受光素子を構成する各層の機能及び材料と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0226】
以下では、図10図11を用いて、本発明の一態様の表示装置の詳細な構成について説明する。
【0227】
[表示装置100A]
図10Aに表示装置100Aの断面図を示す。
【0228】
表示装置100Aは、受光素子110及び発光素子190を有する。
【0229】
発光素子190は、画素電極191、バッファ層192、発光層193、バッファ層194、及び共通電極115をこの順で積層して有する。バッファ層192は、正孔注入層及び正孔輸送層の一方または双方を有することができる。発光層193は、有機化合物を有する。バッファ層194は、電子注入層及び電子輸送層の一方または双方を有することができる。発光素子190は、可視光を発する機能を有する。なお、表示装置100Aは、さらに、赤外光を発する機能を有する発光素子を有していてもよい。
【0230】
受光素子110は、画素電極191、バッファ層182、活性層183、バッファ層184、及び共通電極115をこの順で積層して有する。バッファ層182は、正孔輸送層を有することができる。活性層183は、有機化合物を有する。バッファ層184は、電子輸送層を有することができる。受光素子110は、可視光を検出する機能を有する。なお、受光素子110は、さらに、赤外光を検出する機能を有していてもよい。
【0231】
本実施の形態では、発光素子190及び受光素子110のいずれにおいても、画素電極191が陽極として機能し、共通電極115が陰極として機能するものとして説明する。つまり、受光素子110を、画素電極191と共通電極115との間に逆バイアスをかけて駆動することで、表示装置100Aは、受光素子110に入射する光を検出し、電荷を発生させ、電流として取り出すことができる。
【0232】
画素電極191、バッファ層182、バッファ層192、活性層183、発光層193、バッファ層184、バッファ層194、及び共通電極115は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0233】
画素電極191は、絶縁層214上に位置する。各画素電極191は、同一の材料及び同一の工程で形成することができる。画素電極191の端部は、隔壁216によって覆われている。互いに隣り合う2つの画素電極191は隔壁216によって互いに電気的に絶縁されている(電気的に分離されている、ともいう)。
【0234】
隔壁216としては、有機絶縁膜が好適である。有機絶縁膜に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。隔壁216は、可視光を透過する層である。隔壁216のかわりに、可視光を遮る隔壁を設けてもよい。
【0235】
共通電極115は、受光素子110と発光素子190に共通で用いられる層である。
【0236】
受光素子110及び発光素子190が有する一対の電極の材料及び膜厚等は等しくすることができる。これにより、表示装置の作製コストの削減及び作製工程の簡略化ができる。
【0237】
表示装置100Aは、一対の基板(基板151及び基板152)間に、受光素子110、発光素子190、トランジスタ131、及びトランジスタ132等を有する。
【0238】
受光素子110において、それぞれ画素電極191及び共通電極115の間に位置するバッファ層182、活性層183、及びバッファ層184は、有機層(有機化合物を含む層)ということもできる。画素電極191は可視光を反射する機能を有することが好ましい。共通電極115は可視光を透過する機能を有する。なお、受光素子110が赤外光を検出する構成である場合、共通電極115は赤外光を透過する機能を有する。さらに、画素電極191は赤外光を反射する機能を有することが好ましい。
【0239】
受光素子110は、光を検出する機能を有する。具体的には、受光素子110は、表示装置100Aの外部から入射される光122を受光し、電気信号に変換する、光電変換素子である。光122は、発光素子190の発光を対象物が反射した光ということもできる。また、光122は、表示装置100Aに設けられたレンズなどを介して受光素子110に入射してもよい。
【0240】
発光素子190において、それぞれ画素電極191及び共通電極115の間に位置するバッファ層192、発光層193、及びバッファ層194は、まとめてEL層ということもできる。なお、EL層は、少なくとも発光層193を有する。上述の通り、画素電極191は可視光を反射する機能を有することが好ましい。また、共通電極115は可視光を透過する機能を有する。なお、表示装置100Aが、赤外光を発する発光素子を有する構成である場合、共通電極115は赤外光を透過する機能を有する。さらに、画素電極191は赤外光を反射する機能を有することが好ましい。
【0241】
本実施の形態の表示装置が有する発光素子には、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造が適用されていることが好ましい。
【0242】
バッファ層192またはバッファ層194は、光学調整層としての機能を有していてもよい。バッファ層192またはバッファ層194の膜厚を異ならせることで、各発光素子において、特定の色の光を強めて取り出すことができる。
【0243】
発光素子190は、可視光を発する機能を有する。具体的には、発光素子190は、画素電極191と共通電極115との間に電圧を印加することで、基板152側に光を射出する電界発光素子である(発光121参照)。
【0244】
受光素子110が有する画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ131が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。
【0245】
発光素子190が有する画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ132が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。
【0246】
トランジスタ131とトランジスタ132とは、同一の層(図10Aでは基板151)上に接している。
【0247】
受光素子110と電気的に接続される回路の少なくとも一部は、発光素子190と電気的に接続される回路と同一の材料及び同一の工程で形成されることが好ましい。これにより、2つの回路を別々に形成する場合に比べて、表示装置の厚さを薄くすることができ、また、作製工程を簡略化できる。
【0248】
受光素子110及び発光素子190は、それぞれ、保護層116に覆われていることが好ましい。図10Aでは、保護層116が、共通電極115上に接して設けられている。保護層116を設けることで、受光素子110及び発光素子190に水などの不純物が入り込むことを抑制し、受光素子110及び発光素子190の信頼性を高めることができる。また、接着層142によって、保護層116と基板152とが貼り合わされている。
【0249】
基板152の基板151側の面には、遮光層158が設けられている。遮光層158は、発光素子190と重なる位置、及び、受光素子110と重なる位置に開口を有する。
【0250】
ここで、発光素子190の発光が対象物によって反射された光を受光素子110は検出する。しかし、発光素子190の発光が、表示装置100A内で反射され、対象物を介さずに、受光素子110に入射されてしまう場合がある。遮光層158は、このような迷光の影響を抑制することができる。例えば、遮光層158が設けられていない場合、発光素子190が発した光123は、基板152で反射され、反射光124が受光素子110に入射することがある。遮光層158を設けることで、反射光124が受光素子110に入射することを抑制できる。これにより、ノイズを低減し、受光素子110を用いたセンサの感度を高めることができる。
【0251】
遮光層158としては、発光素子からの発光を遮る材料を用いることができる。遮光層158は、可視光を吸収することが好ましい。遮光層158として、例えば、金属材料、又は、顔料(カーボンブラックなど)もしくは染料を含む樹脂材料等を用いてブラックマトリクスを形成することができる。遮光層158は、赤色のカラーフィルタ、緑色のカラーフィルタ、及び青色のカラーフィルタの積層構造であってもよい。
【0252】
[表示装置100B]
図10B図10Cに表示装置100Bの断面図を示す。なお、以降の表示装置の説明において、先に説明した表示装置と同様の構成については、説明を省略することがある。
【0253】
表示装置100Bは、発光素子190B、発光素子190G、及び受発光素子190R・PDを有する。
【0254】
発光素子190Bは、画素電極191、バッファ層192B、発光層193B、バッファ層194B、及び共通電極115をこの順で積層して有する。発光素子190Bは、青色の光121Bを発する機能を有する。
【0255】
発光素子190Gは、画素電極191、バッファ層192G、発光層193G、バッファ層194G、及び共通電極115をこの順で積層して有する。発光素子190Gは、緑色の光121Gを発する機能を有する。
【0256】
受発光素子190R・PDは、画素電極191、バッファ層192R、活性層183、発光層193R、バッファ層194R、及び共通電極115をこの順で積層して有する。受発光素子190R・PDは、赤色の光121Rを発する機能と、光122を検出する機能と、を有する。
【0257】
図10Bでは、受発光素子190R・PDが発光素子として機能する場合を示す。図10Bでは、発光素子190Bが青色の光を発し、発光素子190Gが緑色の光を発し、受発光素子190R・PDが赤色の光を発している例を示す。
【0258】
図10Cでは、受発光素子190R・PDが受光素子として機能する場合を示す。図10Cでは、発光素子190Bが発する青色の光と、発光素子190Gが発する緑色の光と、を、受発光素子190R・PDが検出している例を示す。
【0259】
表示装置100Bは、一対の基板(基板151及び基板152)間に、受発光素子190R・PD、発光素子190G、発光素子190B、及びトランジスタ132等を有する。
【0260】
画素電極191は、絶縁層214上に位置する。互いに隣り合う2つの画素電極191は隔壁216によって互いに電気的に絶縁されている。画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ132が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。
【0261】
受発光素子及び発光素子は、それぞれ、保護層116に覆われていることが好ましい。また、接着層142によって、保護層116と基板152とが貼り合わされている。基板152の基板151側の面には、遮光層158が設けられている。
【0262】
[表示装置100C]
図11Aに表示装置100Cの断面図を示す。
【0263】
表示装置100Cは、受光素子110及び発光素子190を有する。
【0264】
発光素子190は、画素電極191、共通層112、発光層193、共通層114、及び共通電極115をこの順で有する。共通層112は、正孔注入層及び正孔輸送層の一方または双方を有することができる。発光層193は、有機化合物を有する。共通層114は、電子注入層及び電子輸送層の一方または双方を有することができる。発光素子190は、可視光を発する機能を有する。なお、表示装置100Cは、さらに、赤外光を発する機能を有する発光素子を有していてもよい。
【0265】
受光素子110は、画素電極191、共通層112、活性層183、共通層114、及び共通電極115をこの順で積層して有する。活性層183は、有機化合物を有する。受光素子110は、可視光を検出する機能を有する。なお、受光素子110は、さらに、赤外光を検出する機能を有していてもよい。
【0266】
画素電極191、共通層112、活性層183、発光層193、共通層114、及び共通電極115は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0267】
画素電極191は、絶縁層214上に位置する。互いに隣り合う2つの画素電極191は隔壁216によって互いに電気的に絶縁されている。画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ132が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。
【0268】
共通層112、共通層114、及び共通電極115は、受光素子110と発光素子190に共通で用いられる層である。受光素子110と発光素子190を構成する層の少なくとも一部を共通の構成とすることで、表示装置の作製工程を削減でき、好ましい。
【0269】
表示装置100Cは、一対の基板(基板151及び基板152)間に、受光素子110、発光素子190、トランジスタ131、及びトランジスタ132等を有する。
【0270】
受光素子110及び発光素子190は、それぞれ、保護層116に覆われていることが好ましい。また、接着層142によって、保護層116と基板152とが貼り合わされている。
【0271】
基板152の基板151側の面には、樹脂層159が設けられている。樹脂層159は、発光素子190と重なる位置に設けられ、受光素子110と重なる位置には設けられない。
【0272】
樹脂層159は、例えば、図11Bに示すように、発光素子190と重なる位置に設けられ、かつ、受光素子110と重なる位置に開口159pを有する構成とすることができる。または、樹脂層159は、例えば、図11Cに示すように、発光素子190と重なる位置に島状に設けられ、かつ、受光素子110と重なる位置には設けられない構成とすることができる。
【0273】
基板152の基板151側の面及び樹脂層159の基板151側の面には、遮光層158が設けられている。遮光層158は、発光素子190と重なる位置、及び、受光素子110と重なる位置に開口を有する。
【0274】
ここで、発光素子190の発光が対象物によって反射された光を受光素子110は検出する。しかし、発光素子190の発光が、表示装置100C内で反射され、対象物を介さずに、受光素子110に入射されてしまう場合がある。遮光層158は、このような迷光を吸収し、受光素子110に入射する迷光を低減することができる。例えば、遮光層158は、樹脂層159を通過し基板152の基板151側の面で反射した迷光123aを吸収することができる。また、遮光層158は、樹脂層159に届く前に迷光123bを吸収することができる。これにより、受光素子110に入射する迷光を低減することができる。したがって、ノイズを低減し、受光素子110を用いたセンサの感度を高めることができる。特に、遮光層158が発光素子190から近い位置にあると、迷光をより低減できるため好ましい。また、遮光層158が発光素子190から近い位置にあると、表示の視野角依存性を抑制できるため、表示品位の向上の観点からも好ましい。
【0275】
また、遮光層158を設けることで、受光素子110が光を検出する範囲を制御することができる。遮光層158が受光素子110から離れた位置にあると、撮像範囲が狭くなり、撮像の解像度を高めることができる。
【0276】
樹脂層159が開口を有する場合、遮光層158は、当該開口の少なくとも一部、及び当該開口にて露出している樹脂層159の側面の少なくとも一部を覆うことが好ましい。
【0277】
樹脂層159が島状に設けられている場合、遮光層158は、樹脂層159の側面の少なくとも一部を覆うことが好ましい。
【0278】
このように、樹脂層159の形状に沿って遮光層158が設けられるため、遮光層158から発光素子190(具体的には、発光素子190の発光領域)までの距離は、遮光層158から受光素子110(具体的には、受光素子110の受光領域)までの距離に比べて短くなる。これにより、センサのノイズを低減しつつ、撮像の解像度を高め、かつ、表示の視野角依存性を抑制することができる。したがって、表示装置における表示品位と撮像品位との双方を高めることができる。
【0279】
樹脂層159は、発光素子190の発光を透過する層である。樹脂層159の材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。なお、基板152と遮光層158との間に設ける構造物は、樹脂層に限定されず、無機絶縁膜などを用いてもよい。当該構造物の厚さが厚いほど、遮光層から受光素子までの距離と、遮光層から発光素子までの距離と、に差が生じる。樹脂などの有機絶縁膜は厚く形成することが容易であるため、当該構造物として好適である。
【0280】
遮光層158から受光素子110までの距離と、遮光層158から発光素子190までの距離と、を比較するために、例えば、遮光層158の受光素子110側の端部から共通電極115までの最短距離L1と、遮光層158の発光素子190側の端部から共通電極115までの最短距離L2と、を用いることができる。最短距離L1に比べて、最短距離L2が短いことで、発光素子190からの迷光を抑制し、受光素子110を用いたセンサの感度を高めることができる。また、表示の視野角依存性を抑制することができる。最短距離L2に比べて、最短距離L1が長いことで、受光素子110の撮像範囲を狭くすることができ、撮像の解像度を高めることができる。
【0281】
また、接着層142における、発光素子190と重なる部分に比べて、受光素子110と重なる部分が厚い構成とすることでも、遮光層158から受光素子110までの距離と、遮光層158から発光素子190までの距離と、に差を生じさせることができる。
【0282】
以下では、図12図15を用いて、本発明の一態様の表示装置の、より詳細な構成について説明する。
【0283】
[表示装置100D]
図12に表示装置100Dの斜視図を示し、図13に、表示装置100Dの断面図を示す。
【0284】
表示装置100Dは、基板152と基板151とが貼り合わされた構成を有する。図12では、基板152を破線で明示している。
【0285】
表示装置100Dは、表示部162、回路164、配線165等を有する。図12では表示装置100DにIC173及びFPC172が実装されている例を示している。そのため、図12に示す構成は、表示装置100D、IC(集積回路)、及びFPC(フレキシブルプリント回路基板、Flexible Printed Circuit)を有する表示モジュールということもできる。
【0286】
回路164としては、例えば走査線駆動回路を用いることができる。
【0287】
配線165は、表示部162及び回路164に信号及び電力を供給する機能を有する。当該信号及び電力は、FPC172を介して外部から、またはIC173から配線165に入力される。
【0288】
図12では、COG(Chip On Glass)方式またはCOF(Chip On Film)方式等により、基板151にIC173が設けられている例を示す。IC173は、例えば走査線駆動回路または信号線駆動回路などを有するICを適用できる。なお、表示装置100D及び表示モジュールは、ICを設けない構成としてもよい。また、ICを、COF方式等により、FPCに実装してもよい。
【0289】
図13に、図12で示した表示装置100Dの、FPC172を含む領域の一部、回路164を含む領域の一部、表示部162を含む領域の一部、及び、端部を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
【0290】
図13に示す表示装置100Dは、基板151と基板152の間に、トランジスタ241、トランジスタ245、トランジスタ246、トランジスタ247、発光素子190B、発光素子190G、受発光素子190R・PD等を有する。
【0291】
基板152と保護層116は接着層142によって貼り合わされている。発光素子190B、発光素子190G、受発光素子190R・PDの封止には、固体封止構造または中空封止構造などが適用できる。図13では、基板152、接着層142、及び絶縁層214に囲まれた空間が、接着層142によって封止されているおり、固体封止構造が適用されている。
【0292】
発光素子190Bは、絶縁層214側から画素電極191、共通層112、発光層193B、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ247が有する導電層222bと接続されている。トランジスタ247は、発光素子190Bの駆動を制御する機能を有する。画素電極191の端部は、隔壁216によって覆われている。画素電極191は可視光を反射する材料を含み、共通電極115は可視光を透過する材料を含む。
【0293】
発光素子190Gは、絶縁層214側から画素電極191、共通層112、発光層193G、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ246が有する導電層222bと接続されている。トランジスタ246は、発光素子190Gの駆動を制御する機能を有する。
【0294】
受発光素子190R・PDは、絶縁層214側から画素電極191、共通層112、活性層183、発光層193R、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ245が有する導電層222bと電気的に接続されている。トランジスタ245は、受発光素子190R・PDの駆動を制御する機能を有する。
【0295】
発光素子190B、発光素子190G、受発光素子190R・PDが発する光は、基板152側に射出される。また、受発光素子190R・PDには、基板152及び接着層142を介して、光が入射する。基板152及び接着層142には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。
【0296】
発光素子190B、発光素子190G、受発光素子190R・PDが有する画素電極191は同一の材料及び同一の工程で作製することができる。共通層112、共通層114、及び共通電極115は、発光素子190B、発光素子190G、受発光素子190R・PDに共通して用いられる。受発光素子190R・PDは、赤色の光を呈する発光素子の構成に活性層183を追加した構成である。また、発光素子190B、発光素子190G、受発光素子190R・PDは、活性層183と各色の発光層193の構成が異なる以外は全て共通の構成とすることができる。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置100Dの表示部162に受光機能を付加することができる。
【0297】
基板152の基板151側の面には、遮光層158が設けられている。遮光層158は、発光素子190B、発光素子190G、受発光素子190R・PDのそれぞれと重なる位置に開口を有する。遮光層158を設けることで、受発光素子190R・PDが光を検出する範囲を制御することができる。上述の通り、受発光素子190R・PDと重なる位置に設けられる遮光層の開口の位置を調整することで、受発光素子に入射する光を制御することが好ましい。また、遮光層158を有することで、対象物を介さずに、発光素子190から受発光素子190R・PDに光が直接入射することを抑制できる。したがって、ノイズが少なく感度の高いセンサを実現できる。
【0298】
トランジスタ241、トランジスタ245、トランジスタ246、及びトランジスタ247は、いずれも基板151上に形成されている。これらのトランジスタは、同一の材料及び同一の工程により作製することができる。
【0299】
基板151上には、絶縁層211、絶縁層213、絶縁層215、及び絶縁層214がこの順で設けられている。絶縁層211は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層213は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層215は、トランジスタを覆って設けられる。絶縁層214は、トランジスタを覆って設けられ、平坦化層としての機能を有する。なお、ゲート絶縁層の数及びトランジスタを覆う絶縁層の数は限定されず、それぞれ単層であっても2層以上であってもよい。
【0300】
トランジスタを覆う絶縁層の少なくとも一層に、水や水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層をバリア層として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに外部から不純物が拡散することを効果的に抑制でき、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0301】
絶縁層211、絶縁層213、及び絶縁層215としては、それぞれ、無機絶縁膜を用いることが好ましい。無機絶縁膜としては、例えば、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜などを用いることができる。また、酸化ハフニウム膜、酸化窒化ハフニウム膜、窒化酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜、及び酸化ネオジム膜等を用いてもよい。また、上述の絶縁膜を2以上積層して用いてもよい。なお、基板151とトランジスタとの間に下地膜を設けてもよい。当該下地膜にも上記の無機絶縁膜を用いることができる。
【0302】
ここで、有機絶縁膜は、無機絶縁膜に比べてバリア性が低いことが多い。そのため、有機絶縁膜は、表示装置100Dの端部近傍に開口を有することが好ましい。これにより、表示装置100Dの端部から有機絶縁膜を介して不純物が入り込むことを抑制することができる。または、有機絶縁膜の端部が表示装置100Dの端部よりも内側にくるように有機絶縁膜を形成し、表示装置100Dの端部に有機絶縁膜が露出しないようにしてもよい。
【0303】
平坦化層として機能する絶縁層214には、有機絶縁膜が好適である。有機絶縁膜に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。
【0304】
発光素子190B、発光素子190G、受発光素子190R・PDを覆う保護層116を設けることで、発光素子190B、発光素子190G、受発光素子190R・PDに水などの不純物が入り込むことを抑制し、発光素子190B、発光素子190G、受発光素子190R・PDの信頼性を高めることができる。
【0305】
図13に示す領域228では、絶縁層214に開口が形成されている。これにより、絶縁層214に有機絶縁膜を用いる場合であっても、絶縁層214を介して外部から表示部162に不純物が入り込むことを抑制できる。したがって、表示装置100Dの信頼性を高めることができる。
【0306】
表示装置100Dの端部近傍の領域228において、絶縁層214の開口を介して、絶縁層215と保護層116とが互いに接することが好ましい。特に、絶縁層215が有する無機絶縁膜と保護層116が有する無機絶縁膜とが互いに接することが好ましい。これにより、有機絶縁膜を介して外部から表示部162に不純物が入り込むことを抑制することができる。したがって、表示装置100Dの信頼性を高めることができる。
【0307】
保護層116は単層であっても積層構造であってもよい。例えば、保護層116は、有機絶縁膜と無機絶縁膜との積層構造であってもよい。このとき、有機絶縁膜の端部よりも無機絶縁膜の端部を外側に延在させることが好ましい。
【0308】
トランジスタ241、トランジスタ245、トランジスタ246、及びトランジスタ247は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、ソース及びドレインとして機能する導電層222a及び導電層222b、半導体層231、ゲート絶縁層として機能する絶縁層213、並びに、ゲートとして機能する導電層223を有する。ここでは、同一の導電膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパターンを付している。絶縁層211は、導電層221と半導体層231との間に位置する。絶縁層213は、導電層223と半導体層231との間に位置する。
【0309】
本実施の形態の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタ、スタガ型のトランジスタ、逆スタガ型のトランジスタ等を用いることができる。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルが形成される半導体層の上下にゲートが設けられていてもよい。
【0310】
トランジスタ241、トランジスタ245、トランジスタ246、及びトランジスタ247には、チャネルが形成される半導体層を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。または、2つのゲートのうち、一方に閾値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタの閾値電圧を制御してもよい。
【0311】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0312】
トランジスタの半導体層は、金属酸化物(酸化物半導体ともいう)を有することが好ましい。または、トランジスタの半導体層は、シリコンを有していてもよい。シリコンとしては、アモルファスシリコン、結晶性のシリコン(低温ポリシリコン、単結晶シリコンなど)などが挙げられる。
【0313】
半導体層は、例えば、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、及びマグネシウムから選ばれた一種または複数種)と、亜鉛と、を有することが好ましい。特に、Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、及びスズから選ばれた一種または複数種であることが好ましい。
【0314】
特に、半導体層として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IGZOとも記す)を用いることが好ましい。
【0315】
半導体層がIn-M-Zn酸化物の場合、当該In-M-Zn酸化物におけるInの原子数比はMの原子数比以上であることが好ましい。このようなIn-M-Zn酸化物の金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1またはその近傍の組成、In:M:Zn=1:1:1.2またはその近傍の組成、In:M:Zn=2:1:3またはその近傍の組成、In:M:Zn=3:1:2またはその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:3またはその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:4.1またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:3またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:6またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:7またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:8またはその近傍の組成、In:M:Zn=6:1:6またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:2:5またはその近傍の組成、等が挙げられる。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。
【0316】
例えば、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3またはその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を4としたとき、Gaの原子数比が1以上3以下であり、Znの原子数比が2以上4以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=5:1:6またはその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を5としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が5以上7以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1またはその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を1としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が0.1より大きく2以下である場合を含む。
【0317】
回路164が有するトランジスタと、表示部162が有するトランジスタは、同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。回路164が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。同様に、表示部162が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。
【0318】
基板151の、基板152が重ならない領域には、接続部244が設けられている。接続部244では、配線165が導電層166及び接続層242を介してFPC172と電気的に接続されている。接続部244の上面は、画素電極191と同一の導電膜を加工して得られた導電層166が露出している。これにより、接続部244とFPC172とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
【0319】
基板152の外側には各種光学部材を配置することができる。光学部材としては、偏光板、位相差板、光拡散層(拡散フィルムなど)、反射防止層、及び集光フィルム等が挙げられる。また、基板152の外側には、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜、衝撃吸収層等を配置してもよい。
【0320】
基板151及び基板152には、それぞれ、ガラス、石英、セラミック、サファイア、樹脂などを用いることができる。基板151及び基板152に可撓性を有する材料を用いると、表示装置の可撓性を高めることができる。
【0321】
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0322】
接続層としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0323】
発光素子190G、190B、及び受発光素子190R・PDの構成及び材料などは、上述の記載を参照できる。
【0324】
トランジスタのゲート、ソース及びドレインのほか、表示装置を構成する各種配線及び電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、及びタングステンなどの金属、並びに、当該金属を主成分とする合金などが挙げられる。これらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。
【0325】
また、透光性を有する導電材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグラフェンを用いることができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、及びチタンなどの金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそれらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすることが好ましい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。これらは、表示装置を構成する各種配線及び電極などの導電層や、発光素子及び受光素子(または受発光素子)が有する導電層(画素電極や共通電極として機能する導電層)にも用いることができる。
【0326】
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料が挙げられる。
【0327】
[表示装置100E]
図14及び図15Aに、表示装置100Eの断面図を示す。表示装置100Eの斜視図は表示装置100D(図9)と同様である。図14には、表示装置100Eの、FPC172を含む領域の一部、回路164の一部、及び、表示部162の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。図15Aには、表示装置100Eの、表示部162の一部を切断したときの断面の一例を示す。図14では、表示部162のうち、特に、受光素子110と赤色の光を発する発光素子190Rを含む領域を切断したときの断面の一例を示す。図15Aでは、表示部162のうち、特に、緑色の光を発する発光素子190Gと青色の光を発する発光素子190Bを含む領域を切断したときの断面の一例を示す。
【0328】
図14及び図15Aに示す表示装置100Eは、基板153と基板154の間に、トランジスタ243、トランジスタ248、トランジスタ249、トランジスタ240、発光素子190R、発光素子190G、発光素子190B、及び受光素子110等を有する。
【0329】
樹脂層159と共通電極115とは接着層142を介して接着されており、表示装置100Eには、固体封止構造が適用されている。
【0330】
基板153と絶縁層212とは接着層155によって貼り合わされている。基板154と絶縁層157とは接着層156によって貼り合わされている。
【0331】
表示装置100Eの作製方法としては、まず、絶縁層212、各トランジスタ、受光素子110、各発光素子等が設けられた第1の作製基板と、絶縁層157、樹脂層159、及び遮光層158等が設けられた第2の作製基板と、を接着層142によって貼り合わせる。そして、第1の作製基板を剥離し露出した面に基板153を貼り、第2の作製基板を剥離し露出した面に基板154を貼ることで、第1の作製基板上及び第2の作製基板上に形成した各構成要素を、基板153及び基板154に転置する。基板153及び基板154は、それぞれ、可撓性を有することが好ましい。これにより、表示装置100Eの可撓性を高めることができる。
【0332】
絶縁層212及び絶縁層157には、それぞれ、絶縁層211、絶縁層213、及び絶縁層215に用いることができる無機絶縁膜を用いることができる。
【0333】
発光素子190Rは、絶縁層214b側から画素電極191、共通層112、発光層193R、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極191は、絶縁層214bに設けられた開口を介して、導電層169と接続されている。導電層169は、絶縁層214aに設けられた開口を介して、トランジスタ248が有する導電層222bと接続されている。導電層222bは、絶縁層215に設けられた開口を介して、低抵抗領域231nと接続される。つまり、画素電極191は、トランジスタ248と電気的に接続されている。トランジスタ248は、発光素子190Rの駆動を制御する機能を有する。
【0334】
同様に、発光素子190Gは、絶縁層214b側から画素電極191、共通層112、発光層193G、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極191は、導電層169及びトランジスタ249の導電層222bを介して、トランジスタ249の低抵抗領域231nと電気的に接続される。つまり、画素電極191は、トランジスタ249と電気的に接続されている。トランジスタ249は、発光素子190Gの駆動を制御する機能を有する。
【0335】
そして、発光素子190Bは、絶縁層214b側から画素電極191、共通層112、発光層193B、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極191は、導電層169及びトランジスタ240の導電層222bを介して、トランジスタ240の低抵抗領域231nと電気的に接続される。つまり、画素電極191は、トランジスタ240と電気的に接続されている。トランジスタ240は、発光素子190Bの駆動を制御する機能を有する。
【0336】
受光素子110は、絶縁層214b側から画素電極191、共通層112、活性層183、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。
【0337】
画素電極191の端部は、隔壁216によって覆われている。画素電極191は可視光を反射する材料を含み、共通電極115は可視光を透過する材料を含む。
【0338】
発光素子190R、190G、190Bが発する光は、基板154側に射出される。また、受光素子110には、基板154及び接着層142を介して、光が入射する。基板154には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。
【0339】
各画素電極191は同一の材料及び同一の工程で作製することができる。共通層112、共通層114、及び共通電極115は、受光素子110及び発光素子190R、190G、190Bに共通して用いられる。受光素子110と各色の発光素子とは、活性層183と発光層の構成が異なる以外は全て共通の構成とすることができる。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置100Eに受光素子110を内蔵することができる。
【0340】
絶縁層157の基板153側の面には、樹脂層159及び遮光層158が設けられている。樹脂層159は、発光素子190R、190G、190Bと重なる位置に設けられ、受光素子110と重なる位置には設けられない。遮光層158は、絶縁層157の基板153側の面、樹脂層159の側面、及び樹脂層159の基板153側の面を覆って設けられる。遮光層158は、受光素子110と重なる位置及び発光素子190R、190G、190Bのそれぞれと重なる位置に開口を有する。遮光層158を設けることで、受光素子110が光を検出する範囲を制御することができる。また、遮光層158を有することで、対象物を介さずに、発光素子190R、190G、190Bから受光素子110に光が直接入射することを抑制できる。したがって、ノイズが少なく感度の高いセンサを実現できる。樹脂層159が設けられていることで、遮光層158から各色の発光素子までの距離は、遮光層158から受光素子110までの距離に比べて短い。これにより、センサのノイズを低減しつつ、表示の視野角依存性を抑制することができる。したがって、表示品位と撮像品位との双方を高めることができる。
【0341】
図14に示すように、隔壁216は、受光素子110と発光素子190Rとの間に開口を有する。当該開口を埋めるように、遮光層219aが設けられている。遮光層219aは、受光素子110と発光素子190Rとの間に位置する。遮光層219aは、発光素子190Rが発した光を吸収する。これにより、受光素子110に入射する迷光を抑制することができる。
【0342】
スペーサ219bは、隔壁216上に設けられ、発光素子190Gと発光素子190Bとの間に位置する。スペーサ219bの上面は、遮光層219aの上面よりも遮光層158に近いことが好ましい。例えば、隔壁216の高さ(厚さ)とスペーサ219bの高さ(厚さ)の和は、遮光層219aの高さ(厚さ)よりも大きいことが好ましい。これにより、接着層142を充填することが容易となる。図15Aに示すように、スペーサ219bと遮光層158とが重なる部分において、遮光層158は共通電極115(または保護層)と接していてもよい。
【0343】
基板153の、基板154が重ならない領域には、接続部244が設けられている。接続部244では、配線165が導電層167、導電層166、及び接続層242を介してFPC172と電気的に接続されている。導電層167は、導電層169と同一の導電膜を加工して得ることができる。接続部244の上面は、画素電極191と同一の導電膜を加工して得られた導電層166が露出している。これにより、接続部244とFPC172とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
【0344】
トランジスタ243、トランジスタ248、トランジスタ249、及びトランジスタ240は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、チャネル形成領域231i及び一対の低抵抗領域231nを有する半導体層、一対の低抵抗領域231nの一方と接続する導電層222a、一対の低抵抗領域231nの他方と接続する導電層222b、ゲート絶縁層として機能する絶縁層225、ゲートとして機能する導電層223、並びに、導電層223を覆う絶縁層215を有する。絶縁層211は、導電層221とチャネル形成領域231iとの間に位置する。絶縁層225は、導電層223とチャネル形成領域231iとの間に位置する。
【0345】
導電層222a及び導電層222bは、それぞれ、絶縁層215に設けられた開口を介して低抵抗領域231nと接続される。導電層222a及び導電層222bのうち、一方はソースとして機能し、他方はドレインとして機能する。
【0346】
図14及び図15Aにおいて、絶縁層225は、半導体層231のチャネル形成領域231iと重なり、低抵抗領域231nとは重ならない。例えば、導電層223をマスクに用いて絶縁層225を加工することで、図14及び図15Aに示す構造を作製できる。図14及び図15Aでは、絶縁層225及び導電層223を覆って絶縁層215が設けられ、絶縁層215の開口を介して、導電層222a及び導電層222bがそれぞれ低抵抗領域231nと接続されている。さらに、導電層222a及び導電層222b上に、トランジスタを覆う絶縁層を設けてもよい。
【0347】
一方、図15Bに示すトランジスタ252では、絶縁層225が半導体層の上面及び側面を覆う例を示す。導電層222a及び導電層222bは、それぞれ、絶縁層225及び絶縁層215に設けられた開口を介して低抵抗領域231nと接続される。
【0348】
以上のように、本発明の一態様の表示装置は、2つの発光素子の受光素子(または受発光素子)までの距離の差と、当該2つの発光素子の受光素子(または受発光素子)と重なる遮光層の開口までの距離の差とが互いに異なる。このような構成とすることで、受光素子または受発光素子は、2つの発光素子の一方に由来する光を、他方に由来する光に比べて多く受光することができる。したがって、例えば、本発明の一態様の表示装置では、受光素子または受発光素子に、光源として用いる発光素子に由来する光を多く入射させることができる。
【0349】
[画素回路の例]
本発明の一態様の表示装置は、表示部に、受光素子を有する第1の画素回路と、発光素子を有する第2の画素回路と、を有する。第1の画素回路と第2の画素回路は、それぞれ、マトリクス状に配置される。
【0350】
図16Aに、受光素子を有する第1の画素回路の一例を示し、図16Bに、発光素子を有する第2の画素回路の一例を示す。
【0351】
図16Aに示す画素回路PIX1は、受光素子PD、トランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、トランジスタM4、及び容量C1を有する。ここでは、受光素子PDとして、フォトダイオードを用いた例を示している。
【0352】
受光素子PDは、カソードが配線V1と電気的に接続し、アノードがトランジスタM1のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM1は、ゲートが配線TXと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が容量C1の一方の電極、トランジスタM2のソースまたはドレインの一方、及びトランジスタM3のゲートと電気的に接続する。トランジスタM2は、ゲートが配線RESと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線V2と電気的に接続する。トランジスタM3は、ソースまたはドレインの一方が配線V3と電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方がトランジスタM4のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM4は、ゲートが配線SEと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線OUT1と電気的に接続する。
【0353】
配線V1、配線V2、及び配線V3には、それぞれ定電位が供給される。受光素子PDを逆バイアスで駆動させる場合には、配線V2に、配線V1の電位よりも低い電位を供給する。トランジスタM2は、配線RESに供給される信号により制御され、トランジスタM3のゲートに接続するノードの電位を、配線V2に供給される電位にリセットする機能を有する。トランジスタM1は、配線TXに供給される信号により制御され、受光素子PDに流れる電流に応じて上記ノードの電位が変化するタイミングを制御する機能を有する。トランジスタM3は、上記ノードの電位に応じた出力を行う増幅トランジスタとして機能する。トランジスタM4は、配線SEに供給される信号により制御され、上記ノードの電位に応じた出力を配線OUT1に接続する外部回路で読み出すための選択トランジスタとして機能する。
【0354】
図16Bに示す画素回路PIX2は、発光素子EL、トランジスタM5、トランジスタM6、トランジスタM7、及び容量C2を有する。ここでは、発光素子ELとして、発光ダイオードを用いた例を示している。特に、発光素子ELとして、有機EL素子を用いることが好ましい。
【0355】
トランジスタM5は、ゲートが配線VGと電気的に接続し、ソースまたはドレインの一方が配線VSと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が、容量C2の一方の電極、及びトランジスタM6のゲートと電気的に接続する。トランジスタM6のソースまたはドレインの一方は配線V4と電気的に接続し、他方は、発光素子ELのアノード、及びトランジスタM7のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM7は、ゲートが配線MSと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線OUT2と電気的に接続する。発光素子ELのカソードは、配線V5と電気的に接続する。
【0356】
配線V4及び配線V5には、それぞれ定電位が供給される。発光素子ELのアノード側を高電位に、カソード側をアノード側よりも低電位にすることができる。トランジスタM5は、配線VGに供給される信号により制御され、画素回路PIX2の選択状態を制御するための選択トランジスタとして機能する。また、トランジスタM6は、ゲートに供給される電位に応じて発光素子ELに流れる電流を制御する駆動トランジスタとして機能する。トランジスタM5が導通状態のとき、配線VSに供給される電位がトランジスタM6のゲートに供給され、その電位に応じて発光素子ELの発光輝度を制御することができる。トランジスタM7は配線MSに供給される信号により制御され、トランジスタM6と発光素子ELとの間の電位を、配線OUT2を介して外部に出力する機能を有する。
【0357】
受光素子PDのカソードが電気的に接続される配線V1と、発光素子ELのカソードが電気的に接続される配線V5は、同一の層、同一の電位とすることができる。
【0358】
本発明の一態様の表示装置では、画素回路PIX1及び画素回路PIX2に含まれるトランジスタの全てに、チャネルが形成される半導体層に金属酸化物(酸化物半導体ともいう)を有するトランジスタ(以下、OSトランジスタともいう)を用いることが好ましい。OSトランジスタは、オフ電流が極めて小さく、当該トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。また、OSトランジスタを用いることで、表示装置の消費電力を低減することができる。
【0359】
または、本発明の一態様の表示装置では、画素回路PIX1及び画素回路PIX2に含まれるトランジスタ全てに、チャネルが形成される半導体層にシリコンを有するトランジスタ(以下、Siトランジスタともいう)を用いることが好ましい。シリコンとしては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン等が挙げられる。特に、半導体層に低温ポリシリコン(LTPS(Low Temperature Poly-Silicon))を有するトランジスタ(以下、LTPSトランジスタともいう)を用いることが好ましい。LTPSトランジスタは、電界効果移動度が高く高速動作が可能である。
【0360】
さらに、LTPSトランジスタなどのSiトランジスタを用いることで、CMOS回路で構成される各種回路を、表示部と同一基板に作りこむことが容易となる。これにより、表示装置に実装される外部回路を簡略化することができ、部品コスト、実装コストを削減することができる。
【0361】
または、本発明の一態様の表示装置では、画素回路PIX1に、2種類のトランジスタを用いることが好ましい。具体的には、画素回路PIX1は、OSトランジスタと、LTPSトランジスタと、を有することが好ましい。トランジスタに求められる機能に応じて、半導体層の材料を変えることで、画素回路PIX1の品質を高め、センシングや撮像の精度を高めることができる。このとき、画素回路PIX2には、OSトランジスタ及びLTPSトランジスタのうち一方を用いてもよく、双方を用いてもよい。
【0362】
さらに、画素に2種類のトランジスタ(例えば、OSトランジスタとLTPSトランジスタ)を用いた場合でも、LTPSトランジスタを用いることで、CMOS回路で構成される各種回路を、表示部と同一基板に作りこむことが容易となる。これにより、表示装置に実装される外部回路を簡略化することができ、部品コスト、実装コストを削減することができる。
【0363】
シリコンよりもバンドギャップが広く、かつキャリア密度の小さい金属酸化物を用いたトランジスタは、極めて小さいオフ電流を実現することができる。そのため、その小さいオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。そのため、特に容量C1または容量C2に直列に接続されるトランジスタM1、トランジスタM2、及びトランジスタM5には、OSトランジスタを用いることが好ましい。
【0364】
また、トランジスタM3には、Siトランジスタを用いることが好ましい。これにより、撮像データの読み出し動作を高速に行うことができる。
【0365】
なお、表示部に、受光素子を有する第1の画素回路と、発光素子を有する第2の画素回路と、を有する表示装置は、画像表示を行うモード、撮像を行うモード、画像表示と撮像とを同時に行うモードのいずれでも駆動することができる。画像表示を行うモードでは、例えば、発光素子を用いてフルカラーの画像を表示することができる。また、撮像を行うモードでは、例えば、発光素子を用いて撮像用画像(例えば、緑単色、青単色など)を表示し、受光素子を用いて撮像を行うことができる。撮像を行うモードでは、例えば、指紋認証などを行うことができる。また、画像表示と撮像とを同時に行うモードでは、例えば、一部の画素では、発光素子を用いて撮像用画像を表示し、かつ、受光素子を用いて撮像を行い、残りの画素では、発光素子を用いて、フルカラーの画像を表示することができる。
【0366】
なお、図16A図16Bにおいて、トランジスタをnチャネル型のトランジスタとして表記しているが、pチャネル型のトランジスタを用いることもできる。また、トランジスタは、シングルゲートに限らず、さらに、バックゲートを有していてもよい。
【0367】
受光素子PD、または発光素子ELと重なる位置に、トランジスタ及び容量の一方又は双方を有する層を1つまたは複数設けることが好ましい。これにより、各画素回路の実効的な占有面積を小さくでき、高精細な表示部を実現できる。
【0368】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0369】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記の実施の形態で説明したOSトランジスタに用いることができる金属酸化物(酸化物半導体ともいう)について説明する。
【0370】
金属酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウム及び亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウム、コバルトなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0371】
また、金属酸化物は、スパッタリング法、有機金属化学気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法などの化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法や、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法などにより形成することができる。
【0372】
<結晶構造の分類>
酸化物半導体の結晶構造としては、アモルファス(completely amorphousを含む)、CAAC(c-axis-aligned crystalline)、nc(nanocrystalline)、CAC(cloud-aligned composite)、単結晶(single crystal)、及び多結晶(poly crystal)等が挙げられる。
【0373】
なお、膜または基板の結晶構造は、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)スペクトルを用いて評価することができる。例えば、GIXD(Grazing-Incidence XRD)測定で得られるXRDスペクトルを用いて評価することができる。なお、GIXD法は、薄膜法またはSeemann-Bohlin法ともいう。
【0374】
例えば、石英ガラス基板では、XRDスペクトルのピークの形状がほぼ左右対称である。一方で、結晶構造を有するIGZO膜では、XRDスペクトルのピークの形状が左右非対称である。XRDスペクトルのピークの形状が左右非対称であることは、膜中または基板中の結晶の存在を明示している。別言すると、XRDスペクトルのピークの形状で左右対称でないと、膜または基板は非晶質状態であるとは言えない。
【0375】
また、膜または基板の結晶構造は、極微電子線回折法(NBED:Nano Beam Electron Diffraction)によって観察される回折パターン(極微電子線回折パターンともいう)にて評価することができる。例えば、石英ガラス基板の回折パターンでは、ハローが観察され、石英ガラスは、非晶質状態であることが確認できる。また、室温成膜したIGZO膜の回折パターンでは、ハローではなく、スポット状のパターンが観察される。このため、室温成膜したIGZO膜は、結晶状態でもなく、非晶質状態でもない、中間状態であり、非晶質状態であると結論することはできないと推定される。
【0376】
<<酸化物半導体の構造>>
なお、酸化物半導体は、構造に着目した場合、上記とは異なる分類となる場合がある。例えば、酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、上述のCAAC-OS、及びnc-OSがある。また、非単結晶酸化物半導体には、多結晶酸化物半導体、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、非晶質酸化物半導体、などが含まれる。
【0377】
ここで、上述のCAAC-OS、nc-OS、及びa-like OSの詳細について、説明を行う。
【0378】
[CAAC-OS]
CAAC-OSは、複数の結晶領域を有し、当該複数の結晶領域はc軸が特定の方向に配向している酸化物半導体である。なお、特定の方向とは、CAAC-OS膜の厚さ方向、CAAC-OS膜の被形成面の法線方向、またはCAAC-OS膜の表面の法線方向である。また、結晶領域とは、原子配列に周期性を有する領域である。なお、原子配列を格子配列とみなすと、結晶領域とは、格子配列の揃った領域でもある。さらに、CAAC-OSは、a-b面方向において複数の結晶領域が連結する領域を有し、当該領域は歪みを有する場合がある。なお、歪みとは、複数の結晶領域が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。つまり、CAAC-OSは、c軸配向し、a-b面方向には明らかな配向をしていない酸化物半導体である。
【0379】
なお、上記複数の結晶領域のそれぞれは、1つまたは複数の微小な結晶(最大径が10nm未満である結晶)で構成される。結晶領域が1つの微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の最大径は10nm未満となる。また、結晶領域が多数の微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の大きさは、数十nm程度となる場合がある。
【0380】
また、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズ、チタンなどから選ばれた一種、または複数種)において、CAAC-OSは、インジウム(In)、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛(Zn)、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能である。よって、(M,Zn)層にはインジウムが含まれる場合がある。また、In層には元素Mが含まれる場合がある。なお、In層にはZnが含まれる場合もある。当該層状構造は、例えば、高分解能TEM(Transmission Electron Microscope)像において、格子像として観察される。
【0381】
CAAC-OS膜に対し、例えば、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、c軸配向を示すピークが2θ=31°またはその近傍に検出される。なお、c軸配向を示すピークの位置(2θの値)は、CAAC-OSを構成する金属元素の種類、組成などにより変動する場合がある。
【0382】
また、例えば、CAAC-OS膜の電子線回折パターンにおいて、複数の輝点(スポット)が観測される。なお、あるスポットと別のスポットとは、試料を透過した入射電子線のスポット(ダイレクトスポットともいう)を対称中心として、点対称の位置に観測される。
【0383】
上記特定の方向から結晶領域を観察した場合、当該結晶領域内の格子配列は、六方格子を基本とするが、単位格子は正六角形とは限らず、非正六角形である場合がある。また、上記歪みにおいて、五角形、七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリー)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属原子が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
【0384】
なお、明確な結晶粒界が確認される結晶構造は、いわゆる多結晶(polycrystal)と呼ばれる。結晶粒界は、再結合中心となり、キャリアが捕獲されトランジスタのオン電流の低下、電界効果移動度の低下などを引き起こす可能性が高い。よって、明確な結晶粒界が確認されないCAAC-OSは、トランジスタの半導体層に好適な結晶構造を有する結晶性の酸化物の一つである。なお、CAAC-OSを構成するには、Znを有する構成が好ましい。例えば、In-Zn酸化物、及びIn-Ga-Zn酸化物は、In酸化物よりも結晶粒界の発生を抑制できるため好適である。
【0385】
CAAC-OSは、結晶性が高く、明確な結晶粒界が確認されない酸化物半導体である。よって、CAAC-OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。また、CAAC-OSは、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対しても安定である。従って、OSトランジスタにCAAC-OSを用いると、製造工程の自由度を広げることが可能となる。
【0386】
[nc-OS]
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。別言すると、nc-OSは、微小な結晶を有する。なお、当該微小な結晶の大きさは、例えば、1nm以上10nm以下、特に1nm以上3nm以下であることから、当該微小な結晶をナノ結晶ともいう。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。従って、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc-OS膜に対し、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、結晶性を示すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、ナノ結晶よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対し、ナノ結晶の大きさと近いかナノ結晶より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、ダイレクトスポットを中心とするリング状の領域内に複数のスポットが観測される電子線回折パターンが取得される場合がある。
【0387】
[a-like OS]
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。即ち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。また、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、膜中の水素濃度が高い。
【0388】
<<酸化物半導体の構成>>
次に、上述のCAC-OSの詳細について、説明を行う。なお、CAC-OSは材料構成に関する。
【0389】
[CAC-OS]
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つまたは複数の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
【0390】
さらに、CAC-OSとは、第1の領域と、第2の領域と、に材料が分離することでモザイク状となり、当該第1の領域が、膜中に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。つまり、CAC-OSは、当該第1の領域と、当該第2の領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。
【0391】
ここで、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSを構成する金属元素に対するIn、Ga、及びZnの原子数比のそれぞれを、[In]、[Ga]、及び[Zn]と表記する。例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSにおいて、第1の領域は、[In]が、CAC-OS膜の組成における[In]よりも大きい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、CAC-OS膜の組成における[Ga]よりも大きい領域である。または、例えば、第1の領域は、[In]が、第2の領域における[In]よりも大きく、且つ、[Ga]が、第2の領域における[Ga]よりも小さい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、第1の領域における[Ga]よりも大きく、且つ、[In]が、第1の領域における[In]よりも小さい領域である。
【0392】
具体的には、上記第1の領域は、インジウム酸化物、インジウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。また、上記第2の領域は、ガリウム酸化物、ガリウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。つまり、上記第1の領域を、Inを主成分とする領域と言い換えることができる。また、上記第2の領域を、Gaを主成分とする領域と言い換えることができる。
【0393】
なお、上記第1の領域と、上記第2の領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0394】
また、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSとは、In、Ga、Zn、及びOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とする領域と、一部にInを主成分とする領域とが、それぞれモザイク状であり、これらの領域がランダムに存在している構成をいう。よって、CAC-OSは、金属元素が不均一に分布した構造を有していると推測される。
【0395】
CAC-OSは、例えば基板を加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC-OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、及び窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
【0396】
また、例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、Inを主成分とする領域(第1の領域)と、Gaを主成分とする領域(第2の領域)とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0397】
ここで、第1の領域は、第2の領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、第1の領域を、キャリアが流れることにより、金属酸化物としての導電性が発現する。従って、第1の領域が、金属酸化物中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
【0398】
一方、第2の領域は、第1の領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、第2の領域が、金属酸化物中に分布することで、リーク電流を抑制することができる。
【0399】
従って、CAC-OSをトランジスタに用いる場合、第1の領域に起因する導電性と、第2の領域に起因する絶縁性とが、相補的に作用することにより、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSに付与することができる。つまり、CAC-OSとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。導電性の機能と絶縁性の機能とを分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。よって、CAC-OSをトランジスタに用いることで、高いオン電流(Ion)、高い電界効果移動度(μ)、及び良好なスイッチング動作を実現することができる。
【0400】
また、CAC-OSを用いたトランジスタは、信頼性が高い。従って、CAC-OSは、表示装置をはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
【0401】
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、CAC-OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0402】
<酸化物半導体を有するトランジスタ>
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
【0403】
上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0404】
トランジスタには、キャリア濃度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体のキャリア濃度は1×1017cm-3以下、好ましくは1×1015cm-3以下、さらに好ましくは1×1013cm-3以下、より好ましくは1×1011cm-3以下、さらに好ましくは1×1010cm-3未満であり、1×10-9cm-3以上である。なお、酸化物半導体膜のキャリア濃度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性と言う。なお、キャリア濃度の低い酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ場合がある。
【0405】
また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0406】
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0407】
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0408】
<不純物>
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
【0409】
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1017atoms/cm以下とする。
【0410】
また、酸化物半導体にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1016atoms/cm以下にする。
【0411】
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア濃度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。または、酸化物半導体において、窒素が含まれると、トラップ準位が形成される場合がある。この結果、トランジスタの電気特性が不安定となる場合がある。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中の窒素濃度を、5×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm以下にする。
【0412】
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm未満、好ましくは1×1019atoms/cm未満、より好ましくは5×1018atoms/cm未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満にする。
【0413】
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0414】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0415】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、図17図19を用いて説明する。
【0416】
本発明の一態様の電子機器は、表示部で撮像を行うことや、タッチ操作(接触または近接)を検出することができる。これにより、電子機器の機能性や利便性などを高めることができる。
【0417】
本発明の一態様の電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0418】
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0419】
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
【0420】
図17Aに示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
【0421】
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、及び光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
【0422】
表示部6502に、実施の形態2で示した表示装置を適用することができる。
【0423】
図17Bは、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
【0424】
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、バッテリ6518等が配置されている。
【0425】
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が接着層(図示しない)により固定されている。
【0426】
表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
【0427】
表示パネル6511には本発明の一態様のフレキシブルディスプレイを適用することができる。そのため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
【0428】
表示パネル6511に、実施の形態2で示した表示装置を用いることで、表示部6502で撮像を行うことができる。例えば、表示パネル6511で指紋を撮像し、指紋認証を行うことができる。
【0429】
表示部6502が、さらに、タッチセンサパネル6513を有することで、表示部6502に、タッチパネル機能を付与することができる。タッチセンサパネル6513としては、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、光学方式、感圧方式など様々な方式を用いることができる。または、表示パネル6511を、タッチセンサとして機能させてもよく、その場合、タッチセンサパネル6513を設けなくてもよい。
【0430】
図18Aにテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
【0431】
表示部7000に、実施の形態2で示した表示装置を適用することができる。
【0432】
図18Aに示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることでテレビジョン装置7100を操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
【0433】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0434】
図18Bに、ノート型パーソナルコンピュータの一例を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
【0435】
表示部7000に、実施の形態2で示した表示装置を適用することができる。
【0436】
図18C図18Dに、デジタルサイネージの一例を示す。
【0437】
図18Cに示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0438】
図18Dは円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
【0439】
図18C図18Dにおいて、表示部7000に、実施の形態2で示した表示装置を適用することができる。
【0440】
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
【0441】
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表示するだけでなく、ユーザーが直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
【0442】
また、図18C図18Dに示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、ユーザーが所持するスマートフォン等の情報端末機7311または情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
【0443】
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数のユーザーが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
【0444】
図19A図19Fに示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
【0445】
図19A図19Fに示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して処理する機能、等を有することができる。なお、電子機器の機能はこれらに限られず、様々な機能を有することができる。電子機器は、複数の表示部を有していてもよい。また、電子機器にカメラ等を設け、静止画や動画を撮影し、記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
【0446】
図19A図19Fに示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
【0447】
図19Aは、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えばスマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。図19Aでは3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話などの着信の通知、電子メールやSNSなどの題名、送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050などを表示してもよい。
【0448】
図19Bは、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えばユーザーは、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。ユーザーは、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
【0449】
図19Cは、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、例えばスマートウォッチとして用いることができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うことや、充電を行うこともできる。なお、充電動作は無線給電により行ってもよい。
【0450】
図19D図19Fは、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図19Dは携帯情報端末9201を展開した状態、図19Fは折り畳んだ状態、図19E図19D図19Fの一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径0.1mm以上150mm以下で曲げることができる。
【0451】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0452】
C1:容量、C2:容量、L1:最短距離、L2:最短距離、M1:トランジスタ、M2:トランジスタ、M3:トランジスタ、M4:トランジスタ、M5:トランジスタ、M6:トランジスタ、M7:トランジスタ、OUT1:配線、OUT2:配線、PIX1:画素回路、PIX2:画素回路、V1:配線、V2:配線、V3:配線、V4:配線、V5:配線、10:デバイス、10A:デバイス、10B:デバイス、11:制御部、12:表示部、13:記憶部、21:検出部、21A:検出部、21B:検出部、24:指、25:第1の指、26:指紋情報、27:指紋情報、27A:指紋情報、27B:指紋情報、28:第2の指、29:指紋情報、30:電子機器、31:表示部、35:画像、40:電子機器、40A:電子機器、40B:電子機器、41:表示部、41A:表示部、41B:表示部、41C:表示部、42:入力部、43:入力キー、44:筐体、45:筐体、46:ヒンジ部、100A:表示装置、100B:表示装置、100C:表示装置、100D:表示装置、100E:表示装置、110:受光素子、112:共通層、114:共通層、115:共通電極、116:保護層、121:発光、121B:光、121G:光、121R:光、122:光、123:光、123a:迷光、123b:迷光、124:反射光、131:トランジスタ、132:トランジスタ、142:接着層、151:基板、152:基板、153:基板、154:基板、155:接着層、156:接着層、157:絶縁層、158:遮光層、159:樹脂層、159p:開口、162:表示部、164:回路、165:配線、166:導電層、167:導電層、169:導電層、172:FPC、173:IC、182:バッファ層、183:活性層、184:バッファ層、190:発光素子、190B:発光素子、190G:発光素子、190R・PD:受発光素子、190R:発光素子、191:画素電極、192:バッファ層、192B:バッファ層、192G:バッファ層、192R:バッファ層、193:発光層、193B:発光層、193G:発光層、193R:発光層、194:バッファ層、194B:バッファ層、194G:バッファ層、194R:バッファ層、200A:表示装置、200B:表示装置、201:基板、202:指、203:受光素子を有する層、204:受発光素子を有する層、205:機能層、207:発光素子を有する層、208:スタイラス、209:基板、211:絶縁層、212:絶縁層、213:絶縁層、214:絶縁層、214a:絶縁層、214b:絶縁層、215:絶縁層、216:隔壁、219a:遮光層、219b:スペーサ、221:導電層、222a:導電層、222b:導電層、223:導電層、225:絶縁層、228:領域、231:半導体層、231i:チャネル形成領域、231n:低抵抗領域、240:トランジスタ、241:トランジスタ、242:接続層、243:トランジスタ、244:接続部、245:トランジスタ、246:トランジスタ、247:トランジスタ、248:トランジスタ、249:トランジスタ、252:トランジスタ、261:接触部、262:指紋、263:撮像範囲、266:軌跡、270B:発光素子、270G:発光素子、270PD:受光素子、270R・PD:受発光素子、270R:発光素子、271:画素電極、273:活性層、275:共通電極、280A:表示装置、280B:表示装置、280C:表示装置、281:正孔注入層、282:正孔輸送層、283:発光層、283B:発光層、283G:発光層、283R:発光層、284:電子輸送層、285:電子注入層、6500:電子機器、6501:筐体、6502:表示部、6503:電源ボタン、6504:ボタン、6505:スピーカ、6506:マイク、6507:カメラ、6508:光源、6510:保護部材、6511:表示パネル、6512:光学部材、6513:タッチセンサパネル、6515:FPC、6516:IC、6517:プリント基板、6518:バッテリ、7000:表示部、7100:テレビジョン装置、7101:筐体、7103:スタンド、7111:リモコン操作機、7200:ノート型パーソナルコンピュータ、7211:筐体、7212:キーボード、7213:ポインティングデバイス、7214:外部接続ポート、7300:デジタルサイネージ、7301:筐体、7303:スピーカ、7311:情報端末機、7400:デジタルサイネージ、7401:柱、7411:情報端末機、9000:筐体、9001:表示部、9003:スピーカ、9005:操作キー、9006:接続端子、9007:センサ、9008:マイクロフォン、9050:アイコン、9051:情報、9052:情報、9053:情報、9054:情報、9055:ヒンジ、9101:携帯情報端末、9102:携帯情報端末、9200:携帯情報端末、9201:携帯情報端末
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