(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173970
(43)【公開日】2024-12-13
(54)【発明の名称】ケラチン繊維を同時に脱色及び染色するための特定の複素環式塩を含む組成物並びにこの組成物を使用する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20241206BHJP
A61K 8/22 20060101ALI20241206BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20241206BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/22
A61K8/41
A61Q5/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024164082
(22)【出願日】2024-09-20
(62)【分割の表示】P 2022575440の分割
【原出願日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】2006566
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ブレ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・サベル
(57)【要約】
【課題】本発明は、ケラチン繊維を同時に脱色及び染色するための1種又は複数種の特定の複素環式塩を含む組成物並びに更にこの組成物を使用してケラチン繊維を同時に脱色及び染色するための方法に関する。
【解決手段】組成物であって:
a)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生剤、及びこれらの混合物から選択される1種又は複数種の化学的酸化剤と;
b)1種又は複数種の直接染料と;
c)1種又は複数種の式(A)の複素環式塩と;
を含む組成物の提供。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって:
a)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生剤、及びこれらの混合物から選択される1種又は複数種の化学的酸化剤と;
b)1種又は複数種の直接染料と;
c)1種又は複数種の式(A):
【化1】
(式中、
□ Hetは:
- 5~10個の環員、好ましくは5又は6個の環員;及び
- R
1が結合しているアンモニウムに加えて、窒素又は酸素原子から選択される、好ましくは窒素原子である1個又は2個の原子;
を含むカチオン性芳香族不飽和複素環式基を表し、
前記複素環式基は、任意選択的に、1つ又は複数のR’
1又はR
2基で置換されており;
□ R
1及びR’
1は、同一であっても異なっていてもよく、任意選択的に、特に、ヒドロキシル、アミノ、(C
1~C
6)ジアルキルアミノ、(C
1~C
6)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C
1~C
4)アルコキシ、-SO
3H、スルホネート、及びフェニルから選択される1つ又は複数の基で置換された、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC
1~C
12炭化水素系基を表し;
□ R
2は、ヒドロキシル基;アミノ基;任意選択的に、特に、ヒドロキシル、アミノ、(C
1~C
6)ジアルキルアミノ、(C
1~C
6)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C
1~C
4)アルコキシ、-SO
3H、スルホネート、及びフェニルから選択される1つ又は複数の基で置換された直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC
1~C
12炭化水素系基;を表し;
□ Y
-は、アニオン性対イオンを表し;
但し:
- R
1、R’
1、又はR
2の炭化水素系基の1つがカルボキシレート基又はスルホネート基で置換されている場合、前記式(A)の塩の電気的中性が保たれるように、Y
-は存在しないことが理解される)の複素環式塩と;
を含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維を同時に脱色及び染色するための1種又は複数種の特定の複素環式塩を含む組成物並びにこの組成物を使用してケラチン繊維を同時に脱色及び染色するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
髪の色を全く違う色に変えたり、特に元の色よりも明るい色にしたくなった場合は、髪を脱色してから染色を行うことが必要になる場合が多い。これを行うためには幾つかの方法がある。
【0003】
第1の方法は、アンモニア水及び過酸化水素をベースとする明色化製品を使用することから構成される。この製品は、任意選択的に染料を含有させてもよく、こうすることにより、毛髪の明色化及び染色を同時に行うことができる。しかしながら、特に天然の色及び/又は暗く染めた毛髪には、この製品を適用しても得られる明色化の成果は依然として限られている。
【0004】
第2の方法は、過硫酸塩などの過酸化塩及びアルカリ剤をベースとする毛髪明色化組成物を、明色化の度合いを高めることを目的とする過酸化水素を用時添加して適用することから構成される。この組成物には、毛髪の染色及び脱色を同時に行うための直接染料を含有させることもできる。しかしながら、このような条件下で色を良好に蓄積(build-up)させて濃い有彩色の色を得るためには、安定な直接染料しか使用することができないため、この組成物に使用できる直接染料の範囲は未だ限られている。この安定性の問題を改善しようとする試みにおいては、二段階方法を実施し:第1段階で明色化組成物を使用して毛髪を脱色し、次いで第2段階で直接染料を含む組成物を使用して毛髪を染色することが想定されていた。しかし、二段階方法は、操作数が多くなることに加えて、比較的時間がかかるという欠点もあるため、満足できるものではない。
【0005】
したがって、ケラチン繊維を脱色及び染色するための、直接染料を含む組成物であって、特に暗色の毛髪に適用した場合に良好な明色化特性及び良好な染色特性の両方を示し、特に、色を良好に蓄積させることに加えて濃い有彩色を得ることが可能な組成物を開発することが切に求められている。更にこの種の組成物は、使用者が求める色合いを得ることを可能にする幅広い種類の直接染料を含むことができる。最後に、この種の組成物は、ケラチン繊維を同時に脱色及び染色する一段階方法に使用することができる。
【0006】
驚くべきことに、本願出願人は、これらの目的が全て本発明による組成物を用いることによって達成されることを見出した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によれば、本発明の主題は:
a)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生剤、及びこれらの混合物から選択される1種又は複数種の化学的酸化剤と;
b)1種又は複数種の直接染料と;
c)1種又は複数種の式(A):
【化1】
□ Hetは:
- 5~10個の環員、好ましくは5又は6個の環員;及び
- R
1が結合しているアンモニウムに加えて、窒素又は酸素原子から選択される、好ましくは窒素原子である1個又は2個の原子;
を含むカチオン性芳香族不飽和複素環式基を表し、
前記複素環式基は、1つ又は複数のR’
1又はR
2基で任意選択的に置換されており;
□ R
1及びR’
1は、同一であっても異なっていてもよく、任意選択的に、特に、ヒドロキシル、アミノ、(C
1~C
6)ジアルキルアミノ、(C
1~C
6)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C
1~C
4)アルコキシ、-SO
3H、スルホネート、及びフェニルから選択される1つ又は複数の基で置換された、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC
1~C
12炭化水素系基を表し;
□ R
2は、ヒドロキシル基;アミノ基;任意選択的に、特に、ヒドロキシル、アミノ、(C
1~C
6)ジアルキルアミノ、(C
1~C
6)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C
1~C
4)アルコキシ、-SO
3H、スルホネート、及びフェニルから選択される1つ又は複数の基で置換された直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC
1~C
12炭化水素系基;を表し;
□ Y
-は、アニオン性対イオンを表し;
但し、
- R
1、R’
1、又はR
2の炭化水素系基の1つがカルボキシレート基又はスルホネート基で置換されている場合、式(A)の塩の電気的中性が保たれるように、Y
-は存在しないことが理解される)の複素環式塩と;
を含む組成物にある。
【0008】
第2の態様によれば、本発明の主題は、ケラチン繊維を同時に脱色及び染色するための方法であって、ケラチン繊維に先に定義した組成物を適用することを含む、方法にある。
【0009】
第3の態様によれば、本発明の主題は、複数の区画を備えるデバイス又はキットであって:
□ 第1区画であって、a)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生剤、及びこれらの混合物から選択される1種若しくは複数種の化学的酸化剤を含む組成物を収容している第1区画と;
□ 第2区画であって:
b)1種若しくは複数種の直接染料;及び
c)先に定義した式(A)の1種若しくは複数種の塩;を含む組成物を収容している第2区画と;
を備えるか、
又は
□ 第1区画であって、a)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生剤、及びこれらの混合物から選択される1種若しくは複数種の化学的酸化剤を含む組成物を収容している第1区画と;
□ 第2区画であって、b)1種若しくは複数種の直接染料を含む組成物を収容している第2区画と;
□ 第3区画であって、c)先に定義した式(A)の1種若しくは複数種の塩を含む組成物を収容している第3区画と;
を備える、デバイス又はキットにある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の趣旨に関しては、別段の指定がない限り、次の通りである:
□ 「ケラチン繊維」という用語は、毛髪、体毛、睫毛、眉毛、羊毛、アンゴラヤギの毛、カシミヤ、又は毛皮などのヒト又は動物由来の繊維を意味することを意図している。本発明によれば、ケラチン繊維は、好ましくはヒトのケラチン繊維、より優先的には毛髪である。
□ 「直接染料」という用語は、酸化染料以外の、抽出物の形態を含む、天然及び/又は合成染料を意味することを意図している。これらは繊維の表面上に広がることになる染料である。これらは、イオン性又は非イオン性、即ち、アニオン性、カチオン性、中性、又は非イオン性であり得る。直接染料は、同種のイオン性を有するものであってもよいし、或いは混合物であってもよい。
□ 直接染料は、1つ又は複数の発色団を有し、この染料は、波長λ
absが400nm~700nmの範囲にある光を吸収することができる。
□ 蛍光直接染料は、少なくとも1つの蛍光発色団を含む染料であり、この染料は、400nm~800nmの範囲にある可視領域の波長λ
absを吸収し、吸収した波長よりも長い400nm~800nmの範囲にある可視領域の波長λ
emを再放出することができる。ストークスシフトとしても知られる吸収波長と発光波長との差は、1nm~100nmである。好ましくは、蛍光直接染料は、420nm~550nmの範囲の波長λ
absを吸収し、可視領域の470nm~600nmの範囲の波長λ
emを再放出することができる染料である。
□ 「化学的酸化剤」という用語は、大気中の酸素以外の酸化剤を意味することを意図している。
□ 「アルキル基」という用語は、直鎖又は分岐の飽和炭化水素系基を意味することを意図している。
□ 「(C
x~C
y)アルキル基」という用語は、x~y個の炭素原子を含むアルキル基を意味することを意図している。
□ 「ヒドロキシ(C
x~C
y)アルキル基」という用語は、その水素原子の少なくとも1個がヒドロキシル(-OH)基に置き換えられている(C
x~C
y)アルキル基を意味することを意図している。
□ 「(ヒドロキシ)(C
x~C
y)アルキル基」という用語は、ヒドロキシ(C
x~C
y)アルキル基又は(C
x~C
y)アルキル基を意味することを意図している。
□ 「アルコキシ基」という用語は、酸素原子に結合しているアルキル基を意味することを意図している。
□ 「(C
x~C
y)アルコキシ基」という用語は、x~y個の炭素原子を含むアルコキシ基を意味することを意図している。
□ 「ヒドロキシ(C
x~C
y)アルコキシ基」という用語は、その水素原子の少なくとも1個がヒドロキシル(-OH)基に置き換えられている(C
x~C
y)アルコキシ基を意味することを意図している。
□ アルキル基又はアルコキシ基に適用される「任意選択的に置換された」という表現は、アルキル基又はアルコキシ基が次の基から選択される1つ又は複数の基で置換されていてもよいことを意味している:i)ヒドロキシル;ii)(C
1~C
4)アルコキシ;iii)アシルアミノ;iv)1又は2個の同一又は異なる(ヒドロキシ)(C
1~C
4)アルキル基で任意選択的に置換されたアミノ(前記アルキル基は、それが結合している窒素原子と一緒になって、5~7個の環員を含む複素環を形成していてもよく、前記複素環は、任意選択的に、他の窒素又は窒素以外のヘテロ原子を含む);v)4級アンモニウム基-N
+R’R’’R’’’,M
-(式中、R’、R’’、及びR’’’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(C
1~C
4)アルキル基を表すか、或いはR’、R’’、R’’’が、N
+と一緒になって、(C
1~C
4)アルキル基で任意選択的に置換されたイミダゾリウムなどのヘテロアリールを形成し、M
-は、電気的中性が保たれるようなアニオン又はアニオンの混合物を表す)。
□ 「アルキレン」基という用語は:i)ヒドロキシル、ii)(C
1~C
2)アルコキシル、iii)(ポリ)ヒドロキシ(C
2~C
4)アルコキシ(ジ)(C
1~C
2)(アルキル)アミノ、iv)(ポリ)ヒドロキシ(ジ)(C
1~C
2)(アルキル)アミノ、v)R
a-Z
a-C(Z
b)-Z
c-、vi)R
a’-C(Z
b)-Z
a-、及びvii)R
a-Z
a-S(O)
t-Z
c-(式中、Z
a、Z
bは、同一であっても異なっていてもよく、酸素若しくは硫黄原子又はNR
a’基を表し、Z
cは、結合、酸素若しくは硫黄原子、又はNR
a’基を表し、R
aは、アルカリ金属、水素原子、アルキル基を表すか、或いは分子の他の部分がカチオン性である場合は、存在せず、R
a’は、水素原子又はアルキル基を表し、tは1又は2である)から選択される同一であっても異なっていてもよい1つ又は複数の基で任意選択的に置換された、直鎖又は分岐のC
1~C
10、特にC
1~C
6、より詳細にはC
1~C
2の二価の非環式炭化水素系鎖を意味することを意図しており;好ましくは、「アルキレン」基は、-(CH
2)
p-基(式中、pは1~6の間、好ましくは1~4の間の整数である)を表す。
□ 「(ヘテロ)アリール基」という用語は、アリール基又はヘテロアリール基を意味することを意図している。
□ 「アリール基」という用語は、6~22個の炭素原子を含み、その少なくとも1つの環が芳香族である、単環式又は縮合若しくは非縮合多環式炭素系基を意味することを意図しており、優先的には、アリール基は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、インデニル、アントラセニル、又はテトラヒドロナフチルである。
□ 「ヘテロアリール基」は、窒素、酸素、硫黄、及びセレン原子から選択される1~6個のヘテロ原子を含む、任意選択的にカチオン性であり、その少なくとも1つの環が芳香族である、5~22員単環式又は縮合若しくは非縮合多環式基を意味することを意図しており、優先的には、ヘテロアリール基は、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾビストリアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾピリダジニル、ベンゾキノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズオキサゾリル、ピリジニル、テトラゾリル、ジヒドロチアゾリル、イミダゾピリジル、イミダゾリル、インドリル、イソキノリル、ナフトイミダゾリル、ナフトオキサゾリル、ナフトピラゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾロピリジル、フェナジニル、フェノキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリリル、ピラゾイルトリアジル、ピリジル、ピリジノイミダゾリル、ピロリル、キノリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チアゾロピリジル、チアゾイルイミダゾリル、チオピリリル、トリアゾリル、キサンチニル、及びそのアンモニウム塩から選択される。
□ (ヘテロ)アリール基又は任意の基のアリール若しくはヘテロアリール部分は、炭素原子に結合している次に示す基から選択される少なくとも1つの基で任意選択的に置換されていてもよい:
- 次に示すものから選択される少なくとも1つの基で任意選択的に置換された(C
1~C
10)アルキル、好ましくは(C
1~C
4)アルキル基:ヒドロキシル;(C
1~C
2)アルコキシ;ヒドロキシ(C
2~C
4)アルコキシ;アシルアミノ;少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択的に有する同一であっても異なっていてもよい1つ又は2つの(C
1~C
4)アルキル基で任意選択的に置換されたアミノ(或いは、この2つの(C
1~C
4)アルキル基が、これらが結合している窒素原子と一緒になって、5~7員、好ましくは5又は6員の複素環を形成していてもよく、前記複素環は、飽和又は不飽和であり、任意選択的に置換されており、他の窒素又は窒素以外のヘテロ原子を任意選択的に含む);
- ハロゲン原子;
- ヒドロキシル基;
- (C
1~C
2)アルコキシ基;
- (ヒドロキシル)(C
2~C
4)アルコキシ基;
- アミノ基;
- 5又は6員のヘテロシクロアルキル基;
- 任意選択的にカチオン性である5又は6員のヘテロアリール基、優先的にはイミダゾリウムであって、(C
1~C
4)アルキル基、優先的にはメチルで任意選択的に置換された、ヘテロアリール基;
- 1つ又は2つの同一又は異なる(C
1~C
6)アルキル基で置換されたアミノ基であって、任意選択的に、少なくとも;
i)ヒドロキシル基;
ii)1つ又は2つの任意選択的に置換された(C
1~C
3)アルキル基で任意選択的に置換されたアミノ基(前記アルキル基は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、飽和又は不飽和の、任意選択的に置換された、少なくとも1個の他の窒素又は窒素以外のヘテロ原子を任意選択的に含む5~7員の複素環を形成していてもよい);
iii)4級アンモニウム基-N
+R’R’’R’’’,M
-(式中、R’、R’’、及びR’’’は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(C
1~C
4)アルキル基を表し、M
-はアニオン性対イオンを表す);
iv)任意選択的にカチオン性である5又は6員のヘテロアリール基、優先的にはイミダゾリウムであって、(C
1~C
4)アルキル基、優先的にはメチルで任意選択的に置換された、ヘテロアリール基;
v)アシルアミノ(-N(R)-C(O)-R’)基(式中、Rは、水素原子又は(ヒドロキシ)(C
1~C
4)アルキル基を表し、R’は、(C
1~C
2)アルキル基を表す);
を有する、アミノ基;
- アシルアミノ(-N(R)-C(O)-R’)基(式中、Rは、水素原子又は(ヒドロキシ)(C
1~C
4)アルキル基を表し、R’は、(C
1~C
2)アルキル基を表す);
- カルバモイル((R)
2N-C(O)-)基(式中、Rは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(ヒドロキシ)(C
1~C
4)アルキル基を表す);
- アルキルスルホニルアミノ(R’-S(O)
2-N(R)-)基(式中、Rは、水素原子又は(ヒドロキシ)(C
1~C
4)アルキル基を表し、R’は、(C
1~C
4)アルキル基又はフェニル基を表す);
- アミノスルホニル((R)
2N-S(O)
2-)基(式中、Rは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(ヒドロキシ)(C
1~C
4)アルキル基を表す);
- 酸形態又は塩形態のカルボキシル基(好ましくは、アルカリ金属又は置換若しくは無置換のアンモニウムと塩を形成している);
- シアノ基;
- ニトロ又はニトロソ基;
- ポリハロアルキル基、優先的にはトリフルオロメチル;
- エステル基。
□ 「カチオン性ヘテロアリール基」という用語は、環内又は環外に4級化されたカチオン性基を含む、先に定義したヘテロアリール基を意味することを意図しており、
- カチオン電荷が環内にある場合、これはメソメリー効果による非局在化電子に含まれ、例えばこれは、ピリジニウム、イミダゾリウム、又はインドリニウム基:
【化2】
(式中、R及びR’は、先に定義したヘテロアリールの置換基、特に(ヒドロキシ)(C
1~C
8)アルキル基、例えばメチルである)であり;
- 電荷が環外にある場合、例えばこれは、対応するピリジル、インドリル、イミダゾリル、ナフタルイミジルなどのヘテロアリールの外側にある、トリメチルアンモニウムなどのアンモニウム置換基R
+又はホスホニウムである:
【化3】
(式中、Rは、先に定義したヘテロアリール置換基であり、R
+は、アンモニウムR
aR
bR
cN
+-、ホスホニウムR
aR
bR
cP
+-、又はアンモニウムR
aR
bR
cN
+-(C
1~C
6)アルキルアミノ基であり、R
a、R
b、及びR
cは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はメチルなどの(C
1~C
8)アルキル基を表す)。
□ 「環外電荷を有するカチオン性アリール基」という用語は、4級化されたカチオン性基が前記環の外にあるアリール環を意味することを意図しており;これは特に、フェニル又はナフチルなどのアリールの外にあるトリメチルアンモニウムなどのアンモニウム置換基R
+又はホスホニウムである:
【化4】
。
□ 「(複素)環式基」という用語は、複素環式基又は炭素環式基を意味することを意図している。
□ 「複素環式基」という用語は、1つ又は2つの不飽和を含んでいてもよいが、非芳香族である、窒素、酸素、硫黄、及びセレン原子から選択される1~6個のヘテロ原子を含む5~22員の単環式又は縮合若しくは非縮合多環式基を意味することを意図している。
□ 「ヘテロシクロアルキル基」という用語は、モルホリニル、ピペラジニル、又はピペリジニルなどの飽和複素環式基を意味することを意図している。
□ 「炭素環式基」という用語は、1つ又は2つの不飽和を含んでいてもよいが、非芳香族である、5~22員の単環式又は縮合若しくは非縮合多環式基、例えば、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルを意味することを意図している。
□ 非芳香族基の炭素環式又は複素環式部分は、次の基から選択される少なくとも1つの基で任意選択的に置換されていてもよい:
- ヒドロキシル基;
- (C
1~C
4)アルコキシ又はヒドロキシ(C
2~C
4)アルコキシ基;
- (C
1~C
4)アルキル基;
- アルキルカルボニルアミノ(R-C(O)-N(R’)-)基(式中、R’は、水素原子又は(ヒドロキシ)(C
1~C
4)アルキル基であり、Rは、(C
1~C
2)アルキル基であるか又は1つ若しくは2つの同一若しくは異なる(ヒドロキシ)(C
1~C
4)アルキル基で任意選択的に置換されたアミノ基であり、前記(ヒドロキシ)(C
1~C
4)アルキル基は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、飽和又は不飽和の、任意選択的に置換された、少なくとも1個の他の窒素又は窒素以外のヘテロ原子を任意選択的に含む5~7員の複素環を形成していてもよい);
- アルキルカルボニルオキシ(R-C(O)-O-)基(式中、R基は、(C
1~C
4)アルキル基であるか又は1つ若しくは2つの同一であるか若しくは異なる(ヒドロキシ)(C
1~C
4)アルキル基で任意選択的に置換されたアミノ基であり、前記(ヒドロキシ)(C
1~C
4)アルキル基は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、飽和又は不飽和の、任意選択的に置換された、少なくとも1個の他の窒素又は窒素以外のヘテロ原子を任意選択的に含む5~7員の複素環を形成していてもよい);
- アルコキシカルボニル(R-G-C(O)-)基(式中、Rは、(C
1~C
4)アルキル基であり、Gは、酸素原子であるか又は(ヒドロキシ)(C
1~C
4)アルキル基で任意選択的に置換されたアミノ基である)。
□ 環式若しくは複素環式基又はアリール若しくはヘテロアリール基の非芳香族部分は、少なくとも1つのオキソ基でも置換されていてもよい。
□ 炭化水素系鎖が1つ若しくは複数の二重結合及び/又は1つ若しくは複数の三重結合を含む場合、これは不飽和鎖である。
【0011】
別段の指定がない限り、本出願において化合物に言及する場合、これは、単独で又は混合物としての、その光学異性体、その幾何異性体、その互変異性体、その塩、又はその溶媒和物も含む。
【0012】
「少なくとも1の」及び「1又は複数の」は同義であり、互換的に使用することができる。
【0013】
組成物
第1の態様によれば、本発明の主題は、先に定義した組成物にある。
【0014】
驚くべきことに、本出願人は、1種又は複数種の酸化剤を含む組成物に1種又は複数種の式(A)の複素環式塩を添加すると、直接染料が安定化し、満足のいく水準の明色化が達成されると共に、色の良好な蓄積及び濃い有彩色を得ることが可能になることを認めた。
【0015】
化学的酸化剤a)
本発明による組成物は、a)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生剤、及びこれらの混合物から選択される1種又は複数種の化学的酸化剤を含む。
【0016】
過酸化塩以外の過酸化水素発生剤は、過酸化尿素、過酸化水素を放出することができる高分子複合体、酸化酵素、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0017】
過酸化水素を放出することができる高分子複合体の例として、特に粉末形態にあるポリビニルピロリドン/H2O2、並びに米国特許第5008093号明細書、米国特許第3376110号明細書、及び米国特許第5183901号明細書に記載されている他の高分子複合体を挙げることができる。
【0018】
酸化酵素は、適切な物質(例えば、グルコースオキシダーゼの場合のグルコース、又はウリカーゼの場合の尿酸など)の存在下で過酸化水素を発生することができる。
【0019】
特に好ましくは、本発明による組成物は、化学的酸化剤として過酸化水素を含む。
【0020】
特定の一実施形態によれば、過酸化水素及び/又は過酸化塩以外の過酸化水素発生剤は、本発明による組成物をケラチン繊維に適用する直前に添加することができる。過酸化水素及び/又は過酸化塩以外の過酸化水素発生剤を含む中間組成物は、酸化性組成物と称することができ、毛髪明色化組成物に従来使用されている様々な追加の化合物又は様々な補助剤も含むことができる。
【0021】
化学的酸化剤は、組成物中に、組成物の総質量に対し、0.1質量%~40質量%の範囲、好ましくは1質量%~20質量%の範囲、より優先的には2質量%~15質量%の範囲の総含有量で存在することができる。
【0022】
直接染料b)
本発明による組成物は、b)1種又は複数種の直接染料を含む。
【0023】
直接染料b)は、中性、カチオン性、又はアニオン性直接染料とすることができる。
【0024】
直接染料b)は:アクリジン;アクリドン;アンスラントロン(anthranthrone);アントラピリミジン;アントラキノン;アジン;(ポリ)アゾ又はアゾ、ヒドラゾノ又はヒドラゾン、特にアリールヒドラゾン;アゾメチン;ベンズアントロン;ベンズイミダゾール;ベンズイミダゾロン;ベンズインドール;ベンゾオキサゾール;ベンゾピラン;ベンゾチアゾール;ベンゾキノン;ビス-イソインドリン;カルボキサニリド;クマリン;(ジ)アザカルボシアニン、(ジ)アザヘミシアニン、ヘミシアニン、又はテトラアザカルボシアニンなどのシアニン;(ジ)アジン;ビス-アジン;(ジ)オキサジン;(ジ)チアジン;(ジ)フェニルアミン;(ジ)フェニルメタン;(ジ)ケトピロロピロール;フラバントロン及びフラボンなどのフラボノイド;フルオリンジン;ホルマザン;インダミン;インダントロン;インジゴイド、チオインジゴイド、及びシュードインジゴイド(pseudoindigoid);インドフェノール;インドアニリン;イソインドリン;イソインドリノン;イソビオラントロン;ラクトン;スチルベン又はスチリル型のジメチンなどの(ポリ)メチン;ナフタルイミド;ナフトアニリド;ナフトラクタム;ナフトキノン;ニトロ、特にニトロ(複素)芳香族;オキサジアゾール;オキサジン;ペリロン(perilone);ペリノン;ペリレン;フェナジン;フェノキサジン;フェノチアジン;フタロシアニン;ポリエン/カロテノイド;ポルフィリン;ピラントロン;ピラゾロアントロン;ピラゾロン;ピリミジノアントロン;ピロニン;キナクリドン;キノリン;キノフタロン;スクアラン;テトラゾリン;チアジン;チオピロニン;トリアリールメタン;又はキサンテン;及び天然直接染料から選択される中性、カチオン性、又はアニオン性直接染料とすることができる。好ましくは、直接染料b)は、アントラキノン、(ポリ)アゾ、アゾメチン、及びスチルベンから、より優先的にはアントラキノンから選択される。
【0025】
直接染料b)は、特に、中性、カチオン性、又はアニオン性ニトロベンゼン直接染料、中性、カチオン性、又はアニオン性アゾ直接染料、中性、カチオン性、又はアニオン性テトラアザペンタメチン染料、カチオン性又はアニオン性キノン染料、特に、中性、カチオン性又はアニオン性アントラキノン染料、中性、カチオン性、又はアニオン性アジン直接染料、中性、カチオン性、又はアニオン性トリアリールメタン直接染料、中性、カチオン性、又はアニオン性アゾメチン直接染料、及び天然直接染料から選択することができる。好ましくは、直接染料は、中性又はアニオン性アントラキノン染料及びスチルベンから選択される。
【0026】
本発明に使用することができる中性、アニオン性、又はカチオン性直接染料として、次の染料を挙げることができる:アクリジン;アクリドン;アンスラントロン(anthranthrone);アントラピリミジン;アントラキノン;アジン;(ポリ)アゾ;ヒドラゾノ又はヒドラゾン、特にアリールヒドラゾン;アゾメチン;ベンズアントロン;ベンズイミダゾール;ベンズイミダゾロン;ベンズインドール;ベンゾオキサゾール;ベンゾピラン;ベンゾチアゾール;ベンゾキノン;ビスアジン;ビス-イソインドリン;カルボキサニリド;クマリン;アザカルボシアニン、ジアザカルボシアニン、ジアザヘミシアニン、ヘミシアニン、又はテトラアザカルボシアニンなどのシアニン;ジアジン;ジケトピロロピロール;ジオキサジン;ジフェニルアミン;ジフェニルメタン;ジチアアジン;フラバントロン及びフラボンなどのフラボノイド;フルオリンジン;ホルマザン;インダミン;インダントロン;インジゴイド及びシュードインジゴイド(pseudoindigoid);インドフェノール;インドアニリン;イソインドリン;イソインドリノン;イソビオラントロン;ラクトン;スチルベン又はスチリル型のジメチンなどの(ポリ)メチン;ナフタルイミド;ナフトアニリド;ナフトラクタム;ナフトキノン;ニトロ、特にニトロ(複素)芳香族;オキサジアゾール;オキサジン、ペリロン(perilone);ペリノン;ペリレン;フェナジン;フェノキサジン;フェノチアジン;フタロシアニン;ポリエン/カロテノイド;ポルフィリン;ピラントロン;ピラゾロアントロン;ピラゾロン;ピリミジノアントロン;ピロニン;キナクリドン;キノリン;キノフタロン;スクアラン;テトラゾール;チアジン;チオインジゴ;チオピロニン;トリアリールメタン;又はキサンテン。
【0027】
中性直接染料
直接染料b)は、好ましくは、次に示す式(IIIa)及び(III’a)のヒドラゾノ染料、アゾ及びスチリル染料(IVa)、ジアゾ及びジスチリル染料(IV’a)及び(IV’’a)、アントラキノン染料(Va)、並びにアゾメチン染料(VIa)及び(VI’a)、並びにこれらの混合物から選択される中性直接染料とすることができる:
【0028】
【化5】
(式(IIIa)、(III’a)、(IVa)、(IV’a)、(IV’’a)、(Va)、(VIa)、及び(VI’a)中、
□ Arは、アリール基であって、少なくとも1つの電子供与性基、例えば、i)任意選択的に置換された(C
1~C
8)アルキル、ii)任意選択的に置換された(C
1~C
8)アルコキシ、iii)アルキル基がヒドロキシル基で任意選択的に置換された(ジ)(C
1~C
8)(アルキル)アミノ、iv)アリール(C
1~C
8)アルキルアミノ、v)任意選択的に置換されたN-(C
1~C
8)アルキル-N-アリール(C
1~C
8)アルキルアミノ、で置換されたフェニル若しくはナフチルなどのアリール基を表すか、又はArはジュロリジン基を表し;
□ Ar’は、任意選択的に置換された二価の(ヘテロ)アリーレン基、例えば、好ましくは1つ又は複数の(C
1~C
8)アルキル基、ヒドロキシル基、又は(C
1~C
8)アルコキシ基で任意選択的に置換された、フェニレン、特にパラフェニレン、又はナフタレンを表し;
□ Ar’’は、(ヘテロ)アリール基であって、好ましくは少なくともi)ニトロ、ニトロソ、-C(X)-X’-R’などの電子吸引性基、又はii)(ジ)(C
1~C
6)(アルキル)アミノ基、iii)ヒドロキシル、iv)(C
1~C
6)アルコキシ、で任意選択的に置換された(ヘテロ)アリール基を表し;特に(ヘテロ)アリールは、イミダゾリル、トリアゾリル、インドリル、若しくはピリジル、又は好ましくはフェニル基のパラ位を置換しているニトロ、ニトロソ、及びアミノから選択される少なくとも1つの基で任意選択的に置換されたフェニルから選択され;
□ X、X’、及びX’’は、同一であっても異なっていてもよく、酸素若しくは硫黄原子又はNR’’基、好ましくは酸素原子を表し;
□ R
1、R
2、R
3、及びR
4は、同一であっても異なっていてもよく、水素若しくはハロゲン原子、又はヒドロキシル、チオール、(C
1~C
4)アルキル、(C
1~C
4)アルコキシ、(ジ)(C
1~C
4)(アルキル)アミノ、ニトロ、及びニトロソから選択される基を表し;
□ R’及びR’’は、(C
1~C
4)アルキル基を表し;
□ R
a及びR
bは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は好ましくはヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C
1~C
8)アルキル基を表すか;
又は、一変形として、置換基R
aがAr’’の置換基と、及び/又はR
bがArの置換基と、及び/又はR
aがR
bと、これらが結合している原子と一緒になって、(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;
特に、R
a及びR
bは、水素原子を表すか、又はヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C
1~C
4)アルキル基を表し;
□ T及びT’は、同一であっても異なっていてもよく、C(R
a)基又はN、好ましくはNを表し;
□ Lは、二価の基-ALK-、-C(X)-ALK-、-ALK-C(X)-、又は-C(X)-ALK-C(X’)-(式中、ALKは、メチレンなどの直鎖又は分岐の(C
1~C
6)アルキレン基を表し、X及びX’は、先に定義した通りである)を表し、
□ R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、及びR
27は、同一であっても異なっていてもよく、水素若しくはハロゲン原子を表すか、又は、次に示す:
- (C
1~C
6)アルキル;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- (C
1~C
6)アルコキシ、(C
1~C
6)アルキルチオ;
- アリールオキシ又はアリールチオ;
- アリール(C
1~C
6)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(C
1~C
6)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシ(C
1~C
6)アルキル)アミノ;
から選択され、
□ Z’は、水素原子又はNR
28R
29基(式中、R
28及びR
29は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は、次に示す基;
- (C
1~C
6)アルキル;
- ヒドロキシエチルなどのポリヒドロキシ(C
1~C
6)アルキル;
- 1つ又は複数の基、特にi)(C
1~C
6)アルキル;iii)R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、(C
1~C
6)アルキル基を表し、X、X’、及びX’’は、先に定義した通りである);iv)スルホネート、で任意選択的に置換されたアリール;
- シクロアルキル、特にシクロヘキシル;
から選択される基を表す)を表し;
□ Zは、ヒドロキシル及びNR’
28R’
29(式中、R’
28及びR’
29は、同一であっても異なっていてもよく、先に定義したR
28及びR
29と同じ原子又は基を表す)から選択される基を表す)。
【0029】
式(IV’’a)の直接染料b)は、好ましくは、式(IV’’’a):
【化6】
(式(IV’’’a)中、
□ R
1及びR
3は、同一であっても異なっていてもよく、好ましくは同一であり、水素原子、メチルなどの(C
1~C
4)アルキル基、又はグルコシルなどの糖を表し、好ましくは水素原子を表し;
□ R
2及びR
4は、同一であっても異なっていてもよく、好ましくは同一であり、水素原子、(C
1~C
4)アルキル若しくは(C
1~C
4)アルコキシ基、又は-O-グルコシルなどの-O-糖基を表し、好ましくはメトキシなどの(C
1~C
4)アルコキシを表し;
□ Xは、同一であっても異なっていてもよく、好ましくは同一であり、酸素若しくは硫黄原子又はN-R(式中、Rは、水素原子又は任意の基、好ましくは酸素原子を表す)を表し;
□ ALKは、メチレン又はエチレンなどの(C
1~C
4)アルキレン基、好ましくはメチレンを表す)のものである。
【0030】
式(IV’’a)の直接染料は、クルクミン、デメトキシクルクミン、及びビスデメトキシクルクミンから誘導することができる。
【0031】
好ましくは、直接染料b)は、先に定義した式(IV’’a)及び(IV’’’a)の直接染料並びにこれらの混合物から選択される。
【0032】
特に好ましい一実施形態によれば、直接染料b)は、次に示す化合物(A)~(G)及びこれらの混合物から選択される中性直接染料であり:
【0033】
【化7】
好ましくは、化合物(E)、(F)、及び(G)並びにこれらの混合物から、より優先的には化合物(E)及び(G)並びにこれらの混合物から選択される中性直接染料である。
【0034】
カチオン性直接染料
直接染料b)は、カチオン性であるか又は酸性物質と親和性があることから一般に「塩基性染料」と称される、特にその構造内に少なくとも1つの環内又は環外のカチオン性基又はカチオン化可能な基を含む、直接染料から選択することができる。
【0035】
本発明に使用することができるカチオン性アゾ染料として、特に、2010年4月19日に改訂されたKirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology,“Dyes,Azo”,J.Wiley & Sonsに記載されているカチオン性染料を挙げることができる。
【0036】
特許出願である国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット、及び欧州特許第714954号明細書に記載されているカチオン性アゾ染料も挙げることができる。
【0037】
Color Index International,3rd editionに記載されているカチオン性アゾ染料、特に次の化合物:ベーシックレッド22;ベーシックレッド76;ベーシックイエロー57;ベーシックブラウン16;ベーシックブラウン17も挙げることができる。
【0038】
カチオン性キノン染料の中でも、Color Index International,3rd editionに記載されているものが適しており、その中でも特に、次の染料:ベーシックブルー22;ベーシックブルー99を挙げることができる。
【0039】
好適なアジン染料の中でも、Color Index International,3rd editionに列挙されているもの、例えば、次の染料:ベーシックブルー17、ベーシックレッド2を挙げることができる。
【0040】
本発明に従い使用することができるカチオン性トリアリールメタン染料の中でも、Color Index International, 3rd editionに列挙されているものに加えて、次の染料:ベーシックグリーン1、ベーシックバイオレット3、ベーシックバイオレット14、ベーシックブルー7、ベーシックブルー26を挙げることができる。
【0041】
米国特許第5888252号明細書、欧州特許第1133975号明細書、国際公開第03/029359号パンフレット、欧州特許第860636号明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第95/15144号パンフレット、及び欧州特許第714954号明細書の文書に記載されている直接染料も挙げることができる。
【0042】
K.Venkataramanによる百科事典“The Chemistry of Synthetic Dyes”,1952,Academic Press,vol.1-7;”Kirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology”の”Dyes and Dye Intermediates”章,1993,Wiley and Sons;及び”Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”,7th edition,Wiley and Sonsの様々な章;に列挙されているものも挙げることができる。
【0043】
好ましくは、カチオン性直接染料は、アゾ及びヒドラゾノ型の染料から得られるものから選択される。
【0044】
カチオン性直接染料は、欧州特許第850636号明細書、仏国特許第2788433号明細書、欧州特許第920856号明細書、国際公開第99/48465号パンフレット、仏国特許第2757385号明細書、欧州特許第850637号明細書、欧州特許918053号明細書、国際公開第97/44004号パンフレット、仏国特許第2570946号明細書、仏国特許第2285851号明細書、独国特許第2538363号明細書、仏国特許第2189006号明細書、仏国特許第1560664号明細書、仏国特許第1540423号明細書、仏国特許第1567219号明細書、仏国特許第1516943号明細書、仏国特許第1221122号明細書、独国特許第4220388号明細書、独国特許第4137005号明細書、国際公開第01/66646号パンフレット、米国特許第5708151明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第515144号パンフレット、英国特許第1195386号明細書、米国特許第3524842号明細書、米国特許第5879413号明細書、欧州特許第1062940号明細書、欧州特許第1133976号明細書、英国特許第738585号明細書、独国特許第2527638号明細書、仏国特許第2275462号明細書、英国特許出願公開第1974-27645号明細書、Acta Histochem,(1978),61(1),48-52;Tsitologiya(1968),10(3),403-5;Zh.Obshch.Khim.,(1970),40(1),195-202;Ann.Chim.(Rome)(1975),65(5-6),305-14;Journal of the Chinese Chemical Society(Taipei)(1998),45(1),209-211;Rev.Roum.Chim.(1988),33(4),377-83;Text.Res.J.(1984),54(2),105-7;Chim.Ind.(Milan)(1974),56(9),600-3;Khim.Tekhnol.(1979),22(5),548-53;Ger.Monatsh.Chem.(1975),106(3),643-8;MRL Bull.Res.Dev.(1992),6(2),21-7;Lihua Jianyan,Huaxue Fence(1993),29(4),233-4;Dyes Pigm.(1992),19(1),69-79;Dyes Pigm.(1989),11(3),163-72に記載されているカチオン性アゾ染料とすることができる。
【0045】
好ましくは、カチオン性直接染料は4級アンモニウム基を含み;より優先的には、カチオン性電荷は環内にある。このカチオン性基は、例えば:
- 環外に(ジ/トリ)(C1~C8)アルキルアンモニウム電荷を有するカチオン性基であるか;又は
- 環内電荷、例えば:アクリジニウム、ベンズイミダゾリウム、ベンゾビストリアゾリウム、ベンゾピラゾリウム、ベンゾピリダジニウム、ベンゾキノリウム、ベンゾチアゾリウム、ベンゾトリアゾリウム、ベンゾオキサゾリウム、ビピリジニウム、ビス-テトラゾリウム、ジヒドロチアゾリウム、イミダゾピリジニウム、イミダゾリウム、インドリウム、イソキノリウム、ナフトイミダゾリウム、ナフトオキサゾリウム、ナフトピラゾリウム、オキサジアゾリウム、オキサゾリウム、オキサゾロピリジニウム、オキソニウム、フェナジニウム、フェノオキサゾリウム、ピラジニウム、ピラゾリウム、ピラゾイルトリアゾリウム、ピリジニウム、ピリジノイミダゾリウム、ピロリウム、ピリリウム、キノリウム、テトラゾリウム、チアジアゾリウム、チアゾリウム、チアゾロピリジニウム、チアゾイルイミダゾリウム、チオピリリウム、トリアゾリウム、若しくはキサンチリウム、から選択されるカチオン性ヘテロアリール基を含む環内電荷を有するカチオン性基である。
【0046】
次の式(IIb)及び(IIIb)のヒドラゾノカチオン性直接染料並びに式(IVb)及び(Vb)のアゾ染料も挙げることができる:
Het+-C(Ra)=N-N(Rb)-Ar,Q(IIb)-;
Het+-N(Ra)-N=C(Rb)-Ar,Q-(IIIb);
Het+-N=N-Ar,Q(IVb);
Ar+-N=N-Ar’’,Q-(Vb);
(式(IIb)~(Vb)中:
□ Het+は、優先的には少なくとも1つのメチルなどの(C1~C8)アルキル基で任意選択的に置換された、優先的には環内にカチオン性電荷を有する、イミダゾリウム、インドリウム、又はピリジニウムなどのカチオン性ヘテロアリール基を表し;
□ Ar+は、環外にカチオン性電荷、優先的にはアンモニウム、特にトリメチルアンモニウムなどのトリ(C1~C8)アルキルアンモニウムを有する、フェニル又はナフチルなどのアリール基を表し;
□ Arは、アリール基であって、優先的には1つ又は複数の電子供与性基、例えば、i)任意選択的に置換された(C1~C8)アルキル、ii)任意選択的に置換された(C1~C8)アルコキシ、iii)アルキル基がヒドロキシル基で任意選択的に置換された(ジ)(C1~C8)(アルキル)アミノ、iv)アリール(C1~C8)アルキルアミノ、v)任意選択的に置換されたN-(C1~C8)アルキル-N-アリール(C1~C8)アルキルアミノ、で任意選択的に置換されたアリール基、特にフェニルを表すか、或いは、Arはジュロリジン基を表し;
□ Ar’’は、任意選択的に置換されたフェニル又はピラゾリルなどの(ヘテロ)アリール基であって、優先的には1つ又は複数の(C1~C8)アルキル、ヒドロキシル、(ジ)(C1~C8)(アルキル)アミノ、(C1~C8)アルコキシ、又はフェニル基で任意選択的に置換された、(ヘテロ)アリール基を表し;
□ Ra及びRbは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は任意選択的に、優先的にはヒドロキシル基で置換された(C1~C8)アルキル基を表すか;
□ 或いは、置換基RaがHet+の置換基と、及び/又はRbがArの置換基と、及び/又はRaがRbと、これらが結合している原子と一緒になって、(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;特に、Ra及びRbは、水素原子を表すか、又はヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C1~C4)アルキル基を表し;
□ Q-は、ハライド、アルキルスルフェート、又はアルキルスルホネートなどのアニオン性対イオンを表す)。
【0047】
特に、先に定義した環内カチオン電荷を有する式(IIb)~(Vb)のアゾ及びヒドラゾノ直接染料を挙げることができる。より具体的には、国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット、及び欧州特許第714954号明細書に記載されている、環内カチオン電荷を有する式(IIb)~(Vb)のカチオン性直接染料を挙げることができる。
【0048】
好ましくは、次に示す直接染料を挙げることができる:
【化8】
(式(II-1)及び(IV-1)中、
□ R
1は、メチルなどの(C
1~C
4)アルキル基を表し;
□ R
2及びR
3は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又はメチルなどの(C
1~C
4)アルキル基を表し;
□ R
4は、水素原子を表すか、又は電子供与性基、例えば任意選択的に置換された(C
1~C
8)アルキル、任意選択的に置換された(C
1~C
8)アルコキシ、若しくはアルキル基が任意選択的にヒドロキシル基で置換された(ジ)(C
1~C
8)(アルキル)アミノを表し;特に、R
4は、水素原子であり、
□ Zは、CH基又は窒素原子、優先的にはCHを表し、
□ Q
-は、先に定義したアニオン性対イオン、特にクロリドなどのハライド又はメチルスルフェート若しくはメシチルなどのアルキルスルフェートである)。
【0049】
特に、式(II-1)及び(IV-1)の染料は、ベーシックレッド51、ベーシックイエロー87、及びベーシックオレンジ31、又はこれらの誘導体から選択される:
【化9】
(式中、Q’は、先に定義したアニオン性対イオンであり、特に、クロリドなどのハライド、又はメチルスルフェート若しくはメシチルなどのアルキルスルフェートである)。
【0050】
蛍光染料
直接染料b)は、蛍光直接染料から選択することができる。
【0051】
本発明に使用することができる蛍光染料の例として、次の染料から選択される中性、アニオン性、又はカチオン性染料を挙げることができる:アクリジン、アクリドン、ベンズアントロン、ベンゾイミダゾール、ベンズイミダゾロン、ベンズインドール、ベンゾキサゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、クマリン、ジフルオロ{2-[(2H-ピロール-2-イリデン-kN)メチル]-1H-ピロラト-kN}ホウ素(BODIPY(登録商標))、ジケトピロロピロール、フルオリンジン、(ポリ)メチン(特に、シアニン及びスチリル/ヘミシアニン)、ナフタルイミド、ナフトアニリド、ナフチルアミン(ダンシルなど)、オキサジアゾール、オキサジン、ペリロン、ペリノン、ペリレン、ポリエン/カロテノイド、スクアラン、スチルベン、キサンテン。
【0052】
欧州特許第1133975号明細書、国際公開第03/029359号パンフレット、欧州特許第860636号明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第95/15144号パンフレット、及び欧州特許第714954号明細書に記載されている蛍光染料並びにK.Venkataramanによる百科事典“The Chemistry of Synthetic Dyes”,1952,Academic Press,vol.1-7、“Kirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology”の“Dyes and Dye Intermediates”章,1993,Wiley and Sons、“Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”,7th edition,Wiley and Sonsの様々な章、及びインターネット上で回覧されるか又は印刷版でのハンドブック“A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies”,10th Ed.,Molecular Probes/Invitrogen-Oregon 2005に記載されているものも挙げることができる。
【0053】
好ましい変形によれば、蛍光染料は、次の式(Vb)のものなどの、少なくとも1つの4級アンモニウム基を含むカチオン性ポリメチンである:
W+-[C(Rc)=C(Rd)]m’-Ar,Q-
(式(Vb)中、
□ W+は、特に4級アンモニウムを含み、この4級アンモニウムが、特に1つ又は複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された1つ又は複数の(C1~C8)アルキル基で任意選択的に置換されている、カチオン性複素環式又はヘテロアリール基を表し;
□ Arは、フェニル又はナフチルなどのアリール基であって、好ましくは、i)1個又は複数個の塩素又はフッ素などのハロゲン原子;ii)1つ又は複数のメチルなどの(C1~C8)アルキル、好ましくは(C1~C4)アルキル基;iii)1つ又は複数のヒドロキシル基;iv)1つ又は複数のメトキシなどの(C1~C8)アルコキシ基;v)1つ又は複数のヒドロキシエチルなどのヒドロキシ(C1~C8)アルキル基;vi)1つ若しくは複数のアミノ基又はそのC1~C4アルキル部分が好ましくは1つ若しくは複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(ジ)(C1~C8)アルキルアミノ基、例えば(ジ)ヒドロキシエチルアミノ;vii)1つ又は複数のアシルアミノ基;viii)1つ又は複数のヘテロシクロアルキル基、例えば、ピペラジニル、ピペリジル、又は5若しくは6員のヘテロアリール、例えばピロリジニル、ピリジル、及びイミダゾリニル;で任意選択的に置換されたアリール基を表し;
□ m’は、1~4の範囲の整数を表し、好ましくは、m’は、1又は2であり;より優先的にはm’=1であり;
□ Rc及びRdは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は任意選択的に置換された(C1~C8)アルキル基、優先的には(C1~C4)アルキル基を表すか、或いは、W+と隣接するRcが、及び/又はArと隣接するRdが、これらが結合している原子と一緒になって(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;特に、RcはW+と隣接しており、これらがシクロヘキシルなどの(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;
□ Q-は、先に定義したアニオン性対イオンである)。
【0054】
アニオン性染料
直接染料b)は、アニオン性直接染料又はアルカリ性物質と親和性があることから一般に「酸性」直接染料と称される染料から選択することができる。
【0055】
「アニオン性直接染料」という用語は、その構造内に少なくとも1つのCO2R又はSO3R置換基(式中、Rは、水素原子を表すか、又は金属若しくはアミンに由来するカチオン若しくはアンモニウムイオンを表す)を含む、任意の直接染料を意味することを意図している。アニオン性染料は、酸性ニトロ直接染料、酸性アゾ染料、酸性アジン染料、酸性トリアリールメタン染料、酸性インドアミン染料、酸性アントラキノン染料、インジゴイド、及び酸性天然染料から選択することができる。
【0056】
好ましくは、アニオン性直接染料は、酸性アントラキノンである。
【0057】
直接染料b)は、好ましくは以下に示す式(III)、(III’)、(IV)、(IV’)、(V)、(V’)、(VI)、(VI’)、(VII)、(VIII)、(IX)、及び(X)、並びにこれらの混合物から選択されるアニオン性直接染料とすることができる。
【0058】
a)式(III)又は(III’)のアニオン性ジアリールアゾ染料:
【化10】
(式(III)及び(III’)中:
□ R
7、R
8、R
9、R
10、R’
7、R’
8、R’
9、及びR’
10は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は次の基:
- (C
1~C
6)アルキル;
- (C
1~C
6)アルコキシ、(C
1~C
6)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又は(C
1~C
6)アルキル基又はフェニルなどのアリール基を表し;X、X’、及びX’’は、同一であっても異なっていてもよく、酸素若しくは硫黄原子又はNR(式中、Rは、水素原子又は(C
1~C
6)アルキル基を表す)を表す);
- (O)
2S(O
-)-,M
+(式中、M
+は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO
--,M
+(式中、M
+は、先に定義した通りである);
- R’’-S(O)
2-(式中、R’’は、水素原子、アルキル基、又はアリール、(ジ)(C
1~C
6)(アルキル)アミノ、又はアリール(C
1~C
6)(アルキル)アミノ基を表し;優先的にはフェニルアミノ又はフェニル基を表す);
- R’’’-S(O)
2-X’-(式中、R’’’は、任意選択的に置換された(C
1~C
6)アルキル基又はアリール基を表し、X’は先に定義した通りである);
- (ジ)(C
1~C
6)(アルキル)アミノ;
- i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)
2S(O
-)-,M
+(式中、M
+は先に定義した通りである)、及びiv)(C
1~C
6)アルコキシ;から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されたアリール(C
1~C
6)(アルキル)アミノ;
- 任意選択的に置換されたヘテロアリール;優先的にはベンゾチアゾリル基;
- シクロアルキル、特にシクロヘキシル;
- Ar-N=N-(式中、Arは、任意選択的に置換されたアリール基を表し;優先的には、1つ又は複数のアルキル、(O)
2S(O
-)-,M
+、又はフェニルアミノ基で任意選択的に置換されたフェニルを表す);
から選択される基を表すか、
- 或いは、2個の隣接している基であるR
7及びR
8又はR
8及びR
9又はR
9及びR
10が一緒になって縮合ベンゾ基A’を形成し;R’
7及びR’
8又はR’
8及びR’
9又はR’
9及びR’
10が一緒になって縮合ベンゾ基B’を形成し;A’及びB’は、i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)
2S(O
-)-,M
+;iv)ヒドロキシル;v)メルカプト;vi)(ジ)(アルキル)アミノ;vii)R°-C(X)-X’-;viii)R°-X’-C(X)-;ix)R°-X’-C(X)-X’’-;x)Ar-N=N-、及びxi)任意選択的に置換されたアリール(C
1~C
6)(アルキル)アミノ(式中、M
+、R°、X、X’、X’’、及びArは、先に定義した通りである);から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されており;
□ Wは、シグマσ結合、酸素若しくは硫黄原子、又は二価の基i)-NR-(式中、Rは先に定義した通りである)若しくはii)メチレン-C(R
a)(R
b)-(式中、R
a及びR
bは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はアリール基を表すか、或いは、R
a及びR
bが、これらが結合している炭素原子と一緒になってスピロシクロアルキルを形成する)を表し;優先的には、Wは、硫黄原子を表すか、又はR
a及びR
bが一緒になってシクロヘキシルを形成し;
但し、式(III)及び(III’)は、環A、A’、B、B’、又はCのうちの1つの上に:
- 少なくとも1つの(O)
2S(O
-)-,M’
+基(式中、M’
+は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO
--,M’
+基(式中、M’
+は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは、少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基;
を含むことが理解される)。
【0059】
式(III)の染料の例として:アシッドレッド1、アシッドレッド4、アシッドレッド13、アシッドレッド14、アシッドレッド18、アシッドレッド27、アシッドレッド28、アシッドレッド32、アシッドレッド33、アシッドレッド35、アシッドレッド37、アシッドレッド40、アシッドレッド41、アシッドレッド42、アシッドレッド44、ピグメントレッド57、アシッドレッド68、アシッドレッド73、アシッドレッド135、アシッドレッド138、アシッドレッド184、フードレッド1、フードレッド13、アシッドオレンジ6、アシッドオレンジ7、アシッドオレンジ10、アシッドオレンジ19、アシッドオレンジ20、アシッドオレンジ24、黄5、アシッドイエロー9、アシッドイエロー36、アシッドイエロー199、フードイエロー3、アシッドバイオレット7、アシッドバイオレット14、アシッドブルー113、アシッドブルー117、アシッドブラック1、アシッドブラウン4、アシッドブラウン20、アシッドブラック26、アシッドブラック52、フードブラック1、フードブラック2、フードイエロー3、又はサンセットイエローを挙げることができ、
式(III’)の染料の例として:アシッドレッド111、アシッドレッド134、アシッドイエロー38を挙げることができる。
【0060】
b)式(IV)及び(IV’)のアニオン性ピラゾロンアゾ染料:
【化11】
(式(IV)及び(IV’)中:
□ R
11、R
12、及びR
13は、同一であっても異なっていてもよく、水素を表すか、又はハロゲン原子、(C
1~C
6)アルキル、若しくは-(O)
2S(O
-),M
+基(式中、M
+は先に定義した通りである)を表し;
□ R
14は、水素原子、(C
1~C
6)アルキル基、又は-C(O)O
-,M
+基(式中、M
+は先に定義した通りである)を表し;
□ R
15は、水素原子を表し;
□ R
16は、オキソ基を表し、その場合、R’
16は存在せず、或いは、R
15がR
16と一緒になって二重結合を形成し;
□ R
17及びR
18は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は:
- (O)
2S(O
-)-,M
+(式中、M
+は先に定義した通りである);
- Ar-O-S(O)
2-(式中、Arは、任意選択的に置換されたアリール基を表し、優先的には、1つ又は複数のアルキル基で任意選択的に置換されたフェニルを表す);
から選択される基を表し;
□ R
19及びR
20は、一緒になって、二重結合又は任意選択的に置換されたベンゾ基D’のいずれかを形成し;
□ R’
16、R’
19、及びR’
20は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は(C
1~C
6)アルキル若しくはヒドロキシル基を表し;
□ R
21は、水素原子を表すか、又は(C
1~C
6)アルキル若しくは(C
1~C
6)アルコキシ基を表し;
□ R
a及びR
bは、同一であっても異なっていてもよく、先に定義した通りであり;優先的には、R
aは水素原子を表し、R
bはフェニルなどのアリール基を表し;
□ Yは、ヒドロキシル基又はオキソ基のいずれかを表し;
□
【化12】
は、Yがオキソ基である場合は単結合を表し;Yがヒドロキシル基である場合は二重結合を表し;
但し、式(IV)及び(IV’)は、環D又はEのうちの1つの上に:
- 少なくとも1つの(O)
2S(O
-)-,M’
+基(式中、M’
+は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO
--,M’
+基(式中、M’
+は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは、少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基;
を含むことが理解される)。
【0061】
式(IV)の染料の例として:アシッドレッド195、アシッドイエロー23、アシッドイエロー27、アシッドイエロー76を挙げることができ、式(IV’)の染料の例として:アシッドイエロー17を挙げることができる。
【0062】
c)式(V)又は(V’)のアントラキノン染料:
【化13】
(式(V)及び(V’)中:
□ R
22、R
23、R
24、R
25、R
26及びR
27は、同一であっても異なっていてもよく、水素若しくはハロゲン原子を表すか、又は:
- (C
1~C
6)アルキル;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- (C
1~C
6)アルコキシ、(C
1~C
6)アルキルチオ;
- 優先的にはアルキル及び(O)
2S(O
-)-,M
+(式中、M
+は、先に定義した通りである)から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されたアリールオキシ又はアリールチオ;
- アルキル及び(O)
2S(O
-)-,M
+(式中、M
+は先に定義した通りである)から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されたアリール(C
1~C
6)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(C
1~C
6)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシ(C
1~C
6)アルキル)アミノ;
- (O)
2S(O
-)-,M
+(式中、M
+は先に定義した通りである);
から選択され、
□ Z’は、水素原子を表すか、又はNR
28R
29基(式中、R
28及びR
29は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は
- (C
1~C
6)アルキル;
- ヒドロキシエチルなどのポリヒドロキシ(C
1~C
6)アルキル;
- 1つ又は複数の基、特に、i)メチル、n-ドデシル、n-ブチルなどの(C
1~C
6)アルキル;ii)(O)
2S(O
-)-,M
+(式中、M
+は先に定義した通りである);iii)R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°、X、X’、及びX’’は先に定義した通りであり、優先的には、R°は(C
1~C
6)アルキル基を表す);で任意選択的に置換されたアリール;
- シクロアルキル;特にシクロヘキシル;
から選択される基を表す)を表し;
□ Zは、ヒドロキシル及びNR’
28R’
29(式中、R’
28及びR’
29は、同一であっても異なっていてもよく、先に定義したR
28及びR
29と同じ原子又は基を表す)から選択される基を表し;
但し、式(V)及び(V’)は:
- 少なくとも1つの(O)
2S(O
-)-,M’
+基(式中、M’
+は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO
--,M’
+基(式中、M’
+は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは、少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基;
を含むことが理解される)。
【0063】
式(V)の染料の例として、アシッドブルー25、アシッドブルー43、アシッドブルー62、アシッドブルー78、アシッドブルー129、アシッドブルー138、アシッドブルー140、アシッドブルー251、アシッドグリーン25、アシッドグリーン41、アシッドバイオレット42、アシッドバイオレット43、モルダントレッド3;EXTバイオレットNo.2を挙げることができ;
式(V’)の染料の例として、アシッドブラック48を挙げることができる。
【0064】
d)式(VI)又は(VI’)のニトロ染料:
【化14】
(式(VI)及び(VI’)中:
□ R
30、R
31、及びR
32は、同一であっても異なっていてもよく、水素若しくはハロゲン原子を表すか、又は次に示す基:
- (C
1~C
6)アルキル;
- 1つ若しくは複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C
1~C
6)アルコキシ又は1つ若しくは複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C
1~C
6)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- ポリハロ(C
1~C
6)アルキル;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°、X、X’、及びX’’は先に定義した通りである);
- (O)
2S(O
-)-,M
+(式中、M
+は先に定義した通りである)
- (O)CO
--,M
+(式中、M
+は先に定義した通りである);
- (ジ)(C
1~C
6)(アルキル)アミノ;
- (ジ)(ヒドロキシ(C
1~C
6)アルキル)アミノ;
- ピペリジノ、ピペラジノ、又はモルホリノなどのヘテロシクロアルキル;
から選択される基を表し、
- 特に、R
30、R
31、及びR
32は、水素原子を表し;
□ R
c及びR
dは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(C
1~C
6)アルキル基を表し;
□ Wは、先に定義した通りであり;特にWは、-N(H)-基を表し;
□ ALKは、直鎖又は分枝の二価のC
1~C
6アルキレン基を表し;特に、ALKは-CH
2-CH
2-基を表し;
□ nは、1又は2であり;
□ pは、1~5の範囲の整数を表し;
□ qは、1~4の範囲の整数を表し;
□ uは、0又は1であり;
□ nが1である場合、Jは、ニトロ又はニトロソ基;特にニトロを表し;
□ nが2である場合、Jは、酸素若しくは硫黄原子又は二価の基-S(O)
m-(式中、mは、1又は2の整数を表す)を表し;優先的には、Jは-SO
2-基を表し;
□ M’’は、水素原子又はカチオン性対イオンを表し;
□
【化15】
は、存在していても存在していなくてもよく、先に定義した1つ又は複数のR
30基で任意選択的に置換されたベンゾ基を表し;
但し、式(VI)及び(VI’)は:
- 少なくとも1つの(O)
2S(O
-)-,M’
+基(式中、M’
+は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO
--,M’
+基(式中、M’
+は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは、少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基;
を含むことが理解される)。
【0065】
式(VI)の染料の例として、アシッドブラウン13及びアシッドオレンジ3を挙げることができ;式(VI’)の染料の例として、アシッドイエロー1、2,4-ジニトロ-1-ナフトール-7-スルホン酸のナトリウム塩、2-ピペリジノ-5-ニトロベンゼンスルホン酸、2-(4’-N,N-2”-ヒドロキシエチル)アミノ-2’-ニトロ)アニリンエタンスルホン酸、4-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-ニトロベンゼンスルホン酸;Ext.D&Cイエロー7を挙げることができる。
【0066】
e)式(VII)のトリアリールメタン染料:
【化16】
(式(VII)中、
□ R
33、R
34、R
35、及びR
36は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は(C
1~C
6)アルキル、任意選択的に置換されたアリール、及び任意選択的に置換されたアリール(C
1~C
6)アルキルから選択される基;特に、(C
1~C
6)アルキル基及び任意選択的に(O)
mS(O
-)-,M
+基(式中、M
+及びmは先に定義した通りである)で置換されたベンジルから選択される基を表し;
□ R
37、R
38、R
39、R
40、R
41、R
42、R
43、及びR
44は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は次の基:
- (C
1~C
6)アルキル;
- (C
1~C
6)アルコキシ、(C
1~C
6)アルキルチオ;
- (ジ)(C
1~C
6)(アルキル)アミノ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又はアルキル若しくはアリール基を表し;X、X’、及びX’’は、同一であっても異なっていてもよく、酸素若しくは硫黄原子又はNR(式中、Rは、水素原子又は(C
1~C
6)アルキル基を表す)を表す);
- (O)
2S(O
-)-,M
+(式中、M
+は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO
--,M
+(式中、M
+は先に定義した通りである);
から選択される基を表すか、
- 或いは、隣接する2つの基R
41とR
42又はR
42とR
43又はR
43とR
44が一緒になって、i)ニトロ;ii)ニトロソ;iii)(O)
2S(O
-)-,M
+;iv)ヒドロキシル;v)メルカプト;vi)(ジ)(C
1~C
6)(アルキル)アミノ;vii)R°-C(X)-X’-;viii)R°-X’-C(X)-;ix)R°-X’-C(X)-X’’-(式中、M
+、R°、X、X’、及びX’’は先に定義した通りである);から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された縮合ベンゾ基を形成し;
特に、R
37~R
40は、水素原子を表し、R
41~R
44は、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシル基又は(O)
2S(O
-)-,M
+(式中、M
+は、先に定義した通りである)を表し;R
43及びR
44が一緒になってベンゾ基を形成している場合、これは優先的には(O)
2S(O
-)-基で置換されており;
但し、環G、H、又はIの少なくとも1つは:
- 少なくとも1つの(O)
2S(O
-)-,M’
+基(式中、M’
+は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO
--,M’
+基(式中、M’
+は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは、少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基;
を含むことが理解される)。
【0067】
式(VII)の染料の例として、アシッドブルー1;アシッドブルー3;アシッドブルー7;アシッドブルー9;アシッドバイオレット49;アシッドグリーン3;アシッドグリーン5;及びアシッドグリーン50を挙げることができる。
【0068】
f)式(VIII)のキサンテン系染料:
【化17】
(式(VIII)中:
□ R
45、R
46、R
47、及びR
48は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はハロゲン原子を表し;
□ R
49、R
50、R
51、及びR
52は、同一であっても異なっていてもよく、水素若しくはハロゲン原子を表すか、又は次に示す基:
- (C
1~C
6)アルキル;
- (C
1~C
6)アルコキシ、(C
1~C
6)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- (O)
2S(O
-)-,M
+(式中、M
+は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO
--,M
+(式中、M
+は先に定義した通りである);
から選択される基を表し、
特に、R
53、R
54、R
55、及びR
48は、水素又はハロゲン原子を表し;
□ Gは、酸素若しくは硫黄原子又はNR
e基(式中、R
eは先に定義した通りである)を表し;特に、Gは酸素原子を表し;
□ Lは、アルコキシドO
-,M
+;チオアルコキシドS
-,M
+、又はNR
f基(式中、R
fは、水素原子又は(C
1~C
6)アルキル基を表し、M
+は先に定義した通りであり;M
+は特にナトリウム又はカリウムである)を表し;
□ L’は、酸素若しくは硫黄原子又はアンモニウム基:N
+R
fR
g(式中、R
f及びR
gは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、(C
1~C
6)アルキル基、又は任意選択的に置換されたアリール基を表す)を表し;特にL’は、酸素原子を表すか又は1つ若しくは複数のアルキル若しくは(O)
mS(O
-)-,M
+基(式中、m及びM
+は先に定義した通りである)で任意選択的に置換されたフェニルアミノ基を表し;
□ Q及びQ’は、同一であっても異なっていてもよく、酸素又は硫黄原子を表し;特にQ及びQ’は酸素原子を表し;
□ M
+は、先に定義した通りである)。
【0069】
式(VIII)の染料の例として:アシッドイエロー73、アシッドレッド51、アシッドレッド52;アシッドレッド87、アシッドレッド92、アシッドレッド95、及びアシッドバイオレット9を挙げることができる。
【0070】
g)式(IX)のインドール系染料:
【化18】
(式(IX)中、
□ R
53、R
54、R
55、R
56、R
57、R
58、R
59、及びR
60は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は次に示す基:
- (C
1~C
6)アルキル;
- (C
1~C
6)アルコキシ、(C
1~C
6)アルキルチオ;
- ヒドロキシル、メルカプト;
- ニトロ、ニトロソ;
- R°-C(X)-X’-、R°-X’-C(X)-、R°-X’-C(X)-X’’-(式中、R°は、水素原子又はアルキル若しくはアリール基を表し;X、X’、及びX’’は、同一であっても異なっていてもよく、酸素若しくは硫黄原子又はNR(式中、Rは、水素原子又は(C
1~C
6)アルキル基を表す)を表す);
- (O)
2S(O
-)-,M
+(式中、M
+は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す);
- (O)CO
--,M
+(式中、M
+は先に定義した通りである);
から選択される基を表し、
□ Gは、酸素若しくは硫黄原子又はNR
e基(式中、R
eは先に定義した通りである)を表し;特に、Gは酸素原子を表し;
□ R
i及びR
hは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(C
1~C
6)アルキル基を表し;
但し、式(IX)は:
- 少なくとも1つの(O)
2S(O
-)-,M’
+基(式中、M’
+は、カチオン性対イオンを表す);又は
- 少なくとも1つの(O)CO
--,M’
+基(式中、M’
+は、カチオン性対イオンを表す);
好ましくは、少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基;
を含むことが理解される)。
【0071】
式(IX)の染料の例として、アシッドブルー74を挙げることができる。
【0072】
h)式(X)のキノリン系染料:
【化19】
(式(X)中:
□ R
61は、水素若しくはハロゲン原子又は(C
1~C
6)アルキル基を表し;
□ R
62、R
63、及びR
64は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(O)
2S(O
-)-,M
+基(式中、M
+は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す)を表すか;或いはR
61とR
62又はR
61とR
64が一緒になって、1つ又は複数の(O)
2S(O
-)-,M
+基(式中、M
+は、水素原子又はカチオン性対イオンを表す)で任意選択的に置換されたベンゾ基を形成し;
但し、式(X)は、少なくとも1つの(O)
2S(O
-)-,M’
+基(式中、M’
+はカチオン性対イオンを表す)、好ましくは少なくとも1つのスルホン酸ナトリウム基を含むことが理解される)。
【0073】
式(X)の染料の例として、アシッドイエロー2、アシッドイエロー3、及びアシッドイエロー5を挙げることができる。
【0074】
より具体的には、本発明において有用な式(III)~(VIII)の染料は、次に示すものから選択される:アシッドレッド87(VIII)(C.I.45380);2,4-ジニトロ-1-ナフトール-7-スルホン酸のナトリウム塩(VI’)(C.I.10316);アシッドオレンジ3(VI)(C.I.10383);アシッドイエロー9/フードイエロー2(III)(C.I.13015);ダイレクトレッド45/フードレッド13(III)(C.I.14780);アシッドブラック52(III)(C.I.13711);アシッドイエロー36(III)(C.I.13065);1-ヒドロキシ-2-(2’,4’-キシリル-5-スルホナトアゾ)ナフタレン-4-スルホン酸のナトリウム塩/フードレッド1(III)(C.I.14700);アシッドレッド14/フードレッド3/モルダントブルー79(III)(C.I.14720);4-ヒドロキシ-3-[(2-メトキシ-5-ニトロフェニル)ジアザ]-6-(フェニルアミノ)ナフタレン-2-スルホン酸のナトリウム塩/アシッドブラウン4(III)(C.I.14805);アシッドオレンジ7/ピグメントオレンジ17/ソルベントオレンジ49(III)(C.I.15510);フードイエロー3/ピグメントイエロー104(III)(C.I.15985);アシッドレッド27/フードレッド9(III)(C.I.16185);アシッドオレンジ10/フードオレンジ4(III)(C.I.16230);アシッドレッド44(III)(C.I.16250);アシッドレッド33/フードレッド12(III)(C.I.17200);アシッドレッド184(III)(C.I.15685);アシッドバイオレット3(III)(C.I.19125);1-ヒドロキシ-2-(4’-アセトアミドフェニルアゾ)-8-アセトアミドナフタレン-3,6-ジスルホン酸のナトリウム塩/アシッドバイオレット7/フードレッド11(III)(C.I.18055);アシッドレッド135(III)(C.I.18130);アシッドイエロー27(IV)(C.I.19130);アシッドイエロー23/フードイエロー4(IV)(C.I.19140);4’-(スルホナト-2”,4”-ジメチル)-ビス-(2,6-フェニルアゾ)-1,3-ジヒドロキシベンゼン/アシッドオレンジ24(III)(C.I.20170);1-アミノ-2-(4’-ニトロフェニルアゾ)-7-フェニルアゾ-8-ヒドロキシナフタレン-3,6-ジスルホン酸のナトリウム塩/アシッドブラック1(III)(C.I.20470);(4-((4-メチルフェニル)スルホニルオキシ)フェニルアゾ)-2,2’-ジメチル-4-((2-ヒドロキシ-5,8-ジスルホナト)ナフチルアゾ)ビフェニル/アシッドレッド111(III’)(C.I.23266);フードブラック2(III)(C.I.27755);1-(4’-スルホナトフェニルアゾ)-4-((2”-ヒドロキシ-3”-アセチルアミノ-6”,8”-ジスルホナト)ナフチルアゾ)-6-スルホナトナフタレン(四ナトリウム塩)/フードブラック1(III)(C.I.25440);アシッドブルー9(VII)(C.I.42090);アシッドバイオレット43(V)(C.I.60730);アシッドグリーン25(V)(C.I.61570);1-アミノ-4-シクロヘキシルアミノ-9,10-アントラキノン-2-スルホン酸のナトリウム塩/アシッドブルー62(V)(C.I.62045);アシッドブルー78(V)(C.I.62105);4-ヒドロキシ-3-((2-メトキシフェニル)アゾ)-1-ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩/アシッドレッド4(III)(C.I.14710);2-ピペリジノ5-ニトロベンゼンスルホン酸(VI’);2(4’-N,N(2”-ヒドロキシエチル)アミノ-2’-ニトロ)アニリンエタンスルホン酸(VI’);4-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-ニトロベンゼンスルホン酸(VI’);アシッドバイオレット49(VII)(C.I.42640);アシッドブルー7(VII)(C.I.42080);1,2-ジヒドロキシ-3-スルホアントラキノンのナトリウム塩/モルダントレッド3(V)(C.I.58005);1-アミノ-9,10-ジヒドロ-9,10-ジオキソ-4-(フェニルアミノ)2-アントラセンスルホン酸のナトリウム塩/アシッドブルー25(V)(C.I.62055);4-ヒドロキシ-3-((2-メトキシフェニル)アゾ)-1-ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩/アシッドレッド4(III)(C.I.14710)。
【0075】
これらの染料の大部分は、特に、The Society of Dyers and Colorists,P.O.Box 244,Perkin House,82 Grattan Road,Bradford,Yorkshire,BD1 2JBN Englandにより発行されているColor Indexに記載されている。
【0076】
特に最も好ましいアニオン性染料は、Color Indexにおいて、番号C.I.58005(1,2-ジヒドロキシ-9,10-アントラキノン-3-スルホン酸の一ナトリウム塩)、C.I.60730(2-[(9,10-ジヒドロ-4-ヒドロキシ-9,10-ジオキソ-1-アントラセニル)アミノ]-5-メチルベンゼンスルホン酸の一ナトリウム塩)、C.I.15510(4-[(2-ヒドロキシ-1-ナフタレニル)アゾ]ベンゼンスルホン酸の一ナトリウム塩)、C.I.15985(6-ヒドロキシ-5-[(4-スルホフェニル)アゾ]-2-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩)、C.I.17200(5-アミノ-4-ヒドロキシ3-(フェニルアゾ)-2,7-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩)、C.I.20470(1-アミノ-2-(4’-ニトロフェニルアゾ)-7-フェニルアゾ-8-ヒドロキシ-3,6-ナフタレンジスルホン酸の二ナトリウム塩)、C.I.42090(N-エチル-N-[4-[[4-[エチル(3-スルホフェニル)メチル]アミノ]フェニル](2-スルホフェニル)メチレン]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン]-3-スルホベンゼンメタンアミニウムヒドロキシドの二ナトリウム塩、分子内塩)、C.I.61570(2,2’-[(9,10-ジヒドロ-9,10-ジオキソ-1,4-アントラセンジイル)ジイミノ]ビス[5-メチル]ベンゼンスルホン酸の二ナトリウム塩)で表示される染料である。
【0077】
構造(III)~(X)のメソメリー又は互変異性形態に対応する化合物を使用することもできる。
【0078】
天然染料
直接染料は、天然直接染料から選択することができる。
【0079】
本発明に従い使用することができる天然直接染料のうち、ローソン、ジュグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン(spinulosin)、アピゲニジン(apigenidin)、オルセイン、ブラジリン、ブラジレイン、ヘマテイン、及びヘマトキシリンを挙げることができる。これらの天然染料を含有する抽出物又は煎出液、特にヘンナベースの湿布又は抽出物も使用することができる。
【0080】
好ましい一実施形態によれば、直接染料b)は、次に示す式(IIa1)及び(IIa2)のトリアリールメタン直接染料並びにこれらの混合物から選択される:
【0081】
【化20】
(式中、
□ R
1、R
2、R
3、及びR
4は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は次に示す基;好ましくはヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C
1~C
6)アルキル;フェニルなどのアリール;ベンジルなどのアリール(C
1~C
4)アルキル;ヘテロアリール;ヘテロアリール(C
1~C
4)アルキル;のうちの1つを表すか、或いは、同一の窒素原子に結合している2つの基R
1及びR
2並びに/又はR
3及びR
4が、これらが結合している窒素原子と一緒になって、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル基、例えば、モルホリノ、ピペラジノ、又はピペリジノを形成し、好ましくは、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は(C
1~C
4)アルキル基を表し;
□ R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、及びR
16は、同一であっても異なっていてもよく、水素若しくはハロゲン原子を表すか、又は次に示す基:i)ヒドロキシル;ii)チオール;iii)アミノ;iv)(ジ)(C
1~C
4)(アルキル)アミノ;v)(ジ)フェニルアミノなどの(ジ)アリールアミノ;vi)ニトロ;vii)アシルアミノ(-NR-C(O)R’)(式中、R基は、水素原子、任意選択的に少なくとも1つのヒドロキシル基を有するC
1~C
4アルキル基であり、R’基はC
1~C
2アルキル基である);viii)カルバモイル((R)
2N-C(O)-)(式中、R基は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は任意選択的に少なくとも1つのヒドロキシル基を有するC
1~C
4アルキル基を表す);ix)カルボン酸又はエステル(-O-C(O)R’)又は(-C(O)OR’)(式中、R’基は、水素原子又は任意選択的に少なくとも1つのヒドロキシル基を有するC
1~C
4アルキル基であり、R’基はC
1~C
2アルキル基である);x)特にヒドロキシル基で任意選択的に置換されたアルキル;xi)アルキルスルホニルアミノ(R’SO
2-NR-)(式中、R基は、水素原子を表すか、又は任意選択的に少なくとも1つのヒドロキシル基を有するC
1~C
4アルキル基を表し、R’基は、C
1~C
4アルキル基、フェニル基を表す);xii)アミノスルホニル((R)
2N-SO
2-)(式中、R基は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は任意選択的に少なくとも1つのヒドロキシル基を有するC
1~C
4アルキル基を表す);xiii)(C
1~C
4)アルコキシ;及びxiv)(C
1~C
4)アルキルチオ;から選択される基を表すか、
□ 或いは、隣接している2個の炭素原子に結合している2つの基であるR
5及びR
6並びに/又はR
7及びR
8並びに/又はR
9及びR
10並びに/又はR
11及びR
12並びに/又はR
13及びR
14並びに/又はR
15及びR
16が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、アリール又はヘテロアリール、好ましくはベンゾである、6員の縮合環を形成し、前記環は、任意選択的に置換された、好ましくは無置換のベンゾ環であってもよく;
□ Q
-は、電気的中性を達成するための、好ましくは、クロリド又はブロミドなどのハライド及びホスフェートから選択されるアニオン性対イオンを表す)。
【0082】
直接染料b)は、好ましくは、ベーシックバイオレット1、ベーシックバイオレット2、ベーシックバイオレット3、ベーシックバイオレット4、ベーシックバイオレット14、ベーシックブルー1、ベーシックブルー7、ベーシックブルー26、ベーシックグリーン1、及びHCブルー15、並びにこれらの混合物から選択することもできる。
【0083】
より優先的には、直接染料b)は、HCブルー15である。
【0084】
直接染料b)は、組成物中に、組成物の総質量に対し、0.001質量%~10質量%の範囲、好ましくは0.05質量%~5質量%の範囲、より優先的には0.1質量%~3質量%の範囲の総含有量で存在することができる。
【0085】
式(A)の複素環式塩
本発明による組成物は、c)1種又は複数種の式(A):
【化21】
(式中、
□ Hetは:
- 5~10個の環員、好ましくは5又は6個の環員;及び
- R
1が結合しているアンモニウムに加えて、窒素又は酸素原子から選択される、好ましくは窒素原子である1個又は2個の原子;
を含むカチオン性芳香族不飽和複素環式基を表し、
前記複素環式基は、1つ又は複数のR’
1又はR
2基で任意選択的に置換されており;
□ R
1及びR’
1は、同一であっても異なっていてもよく、任意選択的に、特に、ヒドロキシル、アミノ、(C
1~C
6)ジアルキルアミノ、(C
1~C
6)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C
1~C
4)アルコキシ、-SO
3H、スルホネート、及びフェニルから選択される1つ又は複数の基で置換された、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC
1~C
12炭化水素系基を表し;
□ R
2は、ヒドロキシル基;アミノ基;任意選択的に、特に、ヒドロキシル、アミノ、(C
1~C
6)ジアルキルアミノ、(C
1~C
6)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C
1~C
4)アルコキシ、-SO
3H、スルホネート、及びフェニルから選択される1つ又は複数の基で置換された直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC
1~C
12炭化水素系基;を表し;
□ Y
-は、アニオン性対イオンを表し;
但し:
- R
1、R’
1、又はR
2の炭化水素系基の1つが、カルボキシレート基又はスルホネート基で置換されている場合、式(A)の塩の電気的中性が保たれるように、Y
-は存在しない)の複素環式塩を含む。
【0086】
好ましくは、式(A)の塩は、次の式(I):
【化22】
(式(I)中、
□ R
1は、ヒドロキシル、アミノ、(C
1~C
6)ジアルキルアミノ、(C
1~C
6)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C
1~C
4)アルコキシ、-SO
3H、スルホネート、及びフェニルから選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC
1~C
12炭化水素系基を表し;
□ R’
1は、水素原子;ヒドロキシル、アミノ、(C
1~C
6)ジアルキルアミノ、(C
1~C
6)アルキルアミノ、カルボキシル、カルボキシレート、カルバミド、(C
1~C
4)アルコキシ、-SO
3H、スルホネート、及びフェニルから選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の(C
1~C
12)炭化水素系基を表し;
□ R
2は、ヒドロキシル基;ヒドロキシル、(C
1~C
4)アルコキシ、-SO
3H、スルホネート、及びベンゼンから選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC
1~C
12炭化水素系基を表し;
□ nは、0、1、2、又は3であり;好ましくは、nは0又は1であり;
□ Y
-は、アニオン性の対イオンを表し、
但し:
- R
1、R’
1、又はR
2の炭化水素系基の1つがカルボキシレート基又はスルホネート基で置換されている場合、式(A)の塩の電気的中性が保たれるように、Y
-は存在せず、
- nが2又は3である場合、置換基は同一であるか又は異なると理解される)のものから選択される。
【0087】
特定の一実施形態によれば、式(I)の塩は、R’1が、水素原子を表すか、又はヒドロキシル、(C1~C2)アルコキシ、-SO3H、-SO3
-、及びフェニルから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換された直鎖若しくは分岐の飽和若しくは不飽和のC1~C8炭化水素系基を表すものであり、好ましくは、R’1は、水素原子を表すか、又は飽和の直鎖若しくは分岐の、より優先的には直鎖のC1~C6炭化水素系基を表し、更に優先的には、R’1はメチル基を表す。
【0088】
特定の実施形態によれば、式(I)の塩は、R2が、メチルなどの直鎖又は分岐の飽和C1~C6炭化水素系基を表すものであり;好ましくは、nは1であり、R2は2位にある。
【0089】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式(A)の塩は、次の化合物1~27及びこれらの混合物から選択され:
【0090】
【化23】
(式中、Y
-は、アニオン性対イオンを表す)
好ましくは、化合物2、3、4、5、及び25、並びにこれらの混合物から、より優先的には、化合物2、4、5、及び25、並びにこれらの混合物から、更に優先的には、化合物4及びこれらの混合物から選択される。
【0091】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式(A)の塩は、Y
-が、i)クロリド又はブロミドなどのハライド、ii)ハイドロジェンスルフェート、iii)ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド及びビス(フルオロスルホニル)イミドなどの(ビス)(ポリ)ハロ(C
1~C
12)(アルキル)スルホニルイミド、iv)(C
1~C
12)アルキルスルフェート、v)ヘキサフルオロホスフェートなどの(ポリ)ハロホスフェート、vi)ホスフェートなどの(C
1~C
12)(アルキル)ホスフェート、vii)テトラフルオロボレートなどの(ポリ)ハロボレート、viii)カーボネート、ix)バイカーボネート、x)(C
1~C
12)アルキルカーボネート、xi)ジシアナミド、xii)ナイトレート、xiii)チオシアネート、xiv)ホルメート、xv)その(C
1~C
12)アルキル基が、1つ又は複数の、ハロゲン原子又はヒドロキシル、(C
1~C
6)(ジ)(アルキル)アミノ、フェニル、イミダゾール、(C
1~C
4)アルキルカルボニル、(C
1~C
4)アルキルカルボニルオキシ、(C
1~C
4)アルキルカルボニルアミノ、グアニジン、チオール、-SO
3H、(C
1~C
8)アルコキシから選択される基で置換されていてもよい、(C
1~C
12)アルキルカルボキシレート、例えば、トリフルオロアセテート;xvi)その(C
1~C
20)アルケン基が、1つ又は複数の二重結合を有していてもよく、1つ又は複数のヒドロキシル基で置換されていてもよい、(C
1~C
20)アルケンカルボキシレート;xvii)そのアリール基が、1つ又は複数の、ハロゲン原子又はヒドロキシル、(C
1~C
6)(ジ)(アルキル)アミノ、フェニル、イミダゾール、(C
1~C
4)アルキルカルボニル、(C
1~C
4)アルキルカルボニルオキシ、(C
1~C
4)アルキルカルボニルアミノ、グアニジン、チオール、-SO
3H、(C
1~C
8)アルコキシから選択される基で置換されていてもよい、(C
6~C
12)アリールカルボキシレート;xviii)その(C
1~C
12)アルキル基が、1つ又は複数の、ハロゲン原子又はヒドロキシル、(C
1~C
6)(ジ)(アルキル)アミノ、フェニル、イミダゾール、(C
1~C
4)アルキルカルボニル(alkylcarbonyle)、(C
1~C
4)アルキルカルボニルオキシ、(C
1~C
4)アルキルカルボニルアミノ、グアニジン、チオール、-SO
3H、(C
1~C
8)アルコキシから選択される基で置換されていてもよい、(C
1~C
12)アルキルスルホネート、例えば、トリフラート、特に、メチルスルホネート又はメシラートなどの(C
1~C
6)アルキルスルホネート;並びにxix)そのアリール基が、1つ又は複数の、ハロゲン原子又はヒドロキシル、(C
1~C
6)(ジ)(アルキル)アミノ、フェニル、イミダゾール、(C
1~C
4)アルキルカルボニル、(C
1~C
4)アルキルカルボニルオキシ、(C
1~C
4)アルキルカルボニルアミノ、グアニジン、チオール、-SO
3H、(C
1~C
8)アルコキシから選択される基で置換されていてもよい、(C
6~C
12)アリールスルホネート、例えば、ベンゼンスルホネート及びトルエンスルホネート又はトシラート;から選択されるアニオン性対イオンを表すものであり;好ましくは、Y
-は、次から選択されるアニオン性の対イオンを表し:
【化24】
より優先的には、Y
-は、次から選択されるアニオン性対イオンを表し:
【化25】
更に優先的には、Y
-は、次から選択されるアニオン性対イオンを表す:
【化26】
【0092】
特に好ましい一実施形態によれば、式(A)の塩は、次の化合物4a、4b、4c、及び4d並びにこれらの混合物から選択される:
【化27】
【0093】
式(A)の塩は、組成物中に、組成物の総質量に対し、1質量%~99.5質量%、好ましくは3質量%~90質量%の範囲、より優先的には5質量%~80質量%の範囲、更に優先的には5質量%~60質量%の範囲、最も優先的には5質量%~50質量%の範囲、より良好には5質量%~40質量%の範囲の総含有量で存在することができる。
【0094】
過酸化塩d)
本発明による組成物は、好ましくは、d)1種又は複数種の過酸化塩を含む。過酸化塩は、好ましくは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はアンモニウムの過硫酸塩、過ホウ酸塩、又は過炭酸塩、及びこれらの混合物から、より優先的には、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、又は過硫酸アンモニウム、及びこれらの混合物から選択される。
【0095】
過酸化塩d)は、好ましくは、組成物中に、組成物の総質量に対し、0.1質量%~50質量%の範囲、好ましくは1質量%~25質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0096】
アルカリ剤e)
本発明による組成物は、好ましくは、e)1種又は複数種のアルカリ剤を含む。アルカリ剤は、好ましくは、アンモニア水、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン、尿素、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、又は硝酸アンモニウムなどのアンモニウム塩、並びにリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びバリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のケイ酸塩、リン酸塩、若しくは炭酸塩、並びにこれらの混合物から選択される。好ましくは、アルカリ剤は、アンモニア水、モノエタノールアミン、及びケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩、並びにこれらの混合物から選択される。
【0097】
アルカリ剤e)は、好ましくは、組成物中に、組成物の総質量に対し0.01質量%~40質量%の範囲、好ましくは0.1質量%~30質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0098】
本発明による組成物は、化粧用組成物である、すなわち、化粧用媒体中にある。
【0099】
「化粧用媒体」と言う用語は、染料担体としても知られる、ケラチン繊維の染色に適した媒体を意味することを意図しており、一般には水から、又は水と1種又は複数種の有機溶媒との混合物若しくは有機溶媒混合物から形成されている化粧用媒体である。
【0100】
組成物は、好ましくは、水を、組成物の総質量に対し5質量%~99質量%、より優先的には5質量%~95質量%の範囲の含有量で含む。
【0101】
「有機溶媒」という用語は、他の物質を化学的に修飾することなく溶解することができる有機物質を意味することを意図している。
【0102】
有機溶媒としては、例えば、低級C2~C4アルカノール、例えばエタノール及びイソプロパノール;ポリオール及びポリオールエーテル、例えば、2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノメチルエーテル、更には芳香族アルコール、例えば、ベンジルアルコール又はフェノキシエタノール、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0103】
有機溶媒は、組成物の総質量に対し、好ましくは0.1質量%~40質量%の範囲、より優先的には1質量%~30質量%の範囲、更に優先的には1質量%~25質量%の範囲の比率で存在する。
【0104】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は:
a)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生剤、及びこれらの混合物から選択される1種又は複数種の化学的酸化剤と;
b)1種又は複数種の直接染料と;
c)先に定義した式(A)の1種又は複数種の複素環式塩と;
d)1種又は複数種の過酸化塩と;
e)1種又は複数種のアルカリ剤と;
を含む。
【0105】
特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は:
a)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生剤、及びこれらの混合物から選択される1種又は複数種の化学的酸化剤と;
b)1種又は複数種の直接染料と;
c)先に定義した式(A)の1種又は複数種の複素環式塩と;
d)1種又は複数種の過酸化塩と;
e)1種又は複数種のアルカリ剤と;
f)水又は水と低級C2~C4アルカノール、好ましくはエタノールから選択される1種若しくは複数種の有機溶媒との混合物と;
を含む。
【0106】
pH
本発明による組成物のpHは、3~12、より優先的には5~11、更に優先的には8~10.5である。
【0107】
この組成物のpHは、化粧品に従来から使用されている酸性化剤又はアルカリ剤で調整することができる。
【0108】
酸性化剤の中でも、その例として、有機又は無機酸を挙げることができる。
【0109】
「無機酸」という用語は、無機化合物から誘導される任意の酸を意味することを意図している。無機酸の中でも、塩酸、オルトリン酸、硫酸、スルホン酸、及び硝酸を挙げることができる。
【0110】
「有機酸」という用語は、有機化合物から誘導される任意の酸を意味することを意図している。有機酸の中でも、酢酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、及びスルホン酸を挙げることができる。
【0111】
特に、塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば、酢酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、及びスルホン酸などの無機又は有機酸を使用することができる。
【0112】
塩基性化剤の中でも、例えば、アンモニア水、アルカリ金属炭酸塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンなどのアルカノールアミン並びにこれらの誘導体、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、並びに式(B):
【化28】
(式(B)中、Wは、1つ又は複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C
1~C
6)アルキレン基であり;R
a、R
b、R
c、及びR
dは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子を表すか、又は1つ若しくは複数のヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C
1~C
4)アルキル基を表す)の化合物を挙げることができる。好ましくは、pH調整剤は、アンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、1,3-プロパンジアミンなどのアルカリ剤;又は2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールなどのアルカリ性水酸化物;或いはリン酸又は塩酸などの酸性化剤から選択することができる。
【0113】
本発明による組成物は、液体形態、美容液形態、増粘された形態、特に、ゲル、クリーム、ワックス、若しくはペースト、又はフォーム形態であってもよい。
【0114】
本発明による組成物はまた、非イオン性、アニオン性、カチオン性、若しくは両性界面活性剤;天然若しくは合成由来の、カチオン性、アニオン性、非イオン性、若しくは両イオン性の、会合性若しくは非会合性増粘ポリマー;油、ガム、樹脂の形態のシリコーン;又は植物性、鉱物性、若しくは合成の非シリコーン系油;UV遮蔽剤;真珠光沢剤及び二酸化チタンなどの金属酸化物、粘土などの充填剤;香料;解膠剤;ビタミン剤;並びに防腐剤から選択される。
【0115】
ケラチン繊維を同時に脱色及び染色するための方法
第2の態様によれば,本発明の主題は、ケラチン繊維を同時に脱色及び染色するための方法であって、ケラチン繊維に先に定義した組成物を適用することを含む、方法にある。
【0116】
組成物は、濡れた又は乾いたケラチン繊維に適用することができる。
【0117】
好ましくは、本発明による組成物のケラチン繊維への適用は、室温、即ち25℃~30℃の温度で実施される。
【0118】
この方法は、組成物をケラチン繊維上に5分間~60分間の範囲の時間放置することから構成されるステップを含む。
【0119】
本発明の有利な一変形によれば、組成物を適用した後、又は放置時間が存在する場合は放置時間が経過した後、ケラチン繊維を濯ぎ、任意選択的にシャンプー洗浄した後、自然に又は例えば30℃以上の温度で乾燥させる。
【0120】
特定の一実施形態によれば、この温度は40℃を超える。特定の一実施形態によれば、この温度は45℃を超え、且つ220℃未満である。
【0121】
好ましくは、ケラチン繊維を乾燥させる場合、熱の供給に加えて空気流を用いることにより乾燥させる。
【0122】
乾燥中、繊維に対してコーミング、ブラッシング、又は手櫛などの機械的な作用を与えることができる。この操作は、ケラチン繊維を自然に又はそれ以外の形で乾燥させた後も同様に実施することができる。
【0123】
乾燥ステップは、フード型ドライヤー(hood)、ヘアドライヤー、又はClimazonなどの乾燥器具を用いて実施することができる。
【0124】
乾燥ステップは、乾燥温度を40℃~110℃の範囲、好ましくは50℃~90℃の範囲として、フード型ドライヤー又はヘアドライヤーを用いて実施することができる。
【0125】
乾燥が完了したら、任意選択的に最終的な濯ぎ又はシャンプー洗浄を実施することができる。
【0126】
組成物は、濡れた又は乾いたケラチン繊維に、毛髪の量に対する適用される組成物の量の質量比が、好ましくは0.1~10の範囲、より具体的には0.2~7.5の範囲となるように適用される。
【0127】
キット
第3の態様によれば、本発明の主題は、複数の区画を備えるデバイス又はキットであって:
□ 第1区画であって、a)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生剤、及びこれらの混合物から選択される1種若しくは複数種の化学的酸化剤を含む組成物を収容している第1区画と;
□ 第2区画であって:
b)1種若しくは複数種の直接染料;及び
c)先に定義した式(A)の1種若しくは複数種の塩;を含む組成物を収容している第2区画と;
を備えるか、
又は
□ 第1区画であって、a)過酸化水素、過酸化塩以外の過酸化水素発生剤、及びこれらの混合物から選択される1種若しくは複数種の化学的酸化剤を含む組成物を収容している第1区画と;
□ 第2区画であって、b)1種若しくは複数種の直接染料を含む組成物を収容している第2区画と;
□ 第3区画であって、c)先に定義した式(A)の1種若しくは複数種の塩を含む組成物を収容している第3区画と;
を備える、デバイス又はキットにある。
【0128】
d)1種又は複数種の過酸化塩及び/又はe)1種又は複数種のアルカリ剤を含む本発明の組成物に係る実施形態において、これらは第2又は第3区画に収容されている組成物中に存在することができる。
【0129】
本発明による組成物の様々な成分に関する先に定義した技術的特徴は、キットの成分にも適用される。
【実施例0130】
以下に示す実施例によって本発明をより明確に理解することが可能になるであろうが、これらは本発明の性質を限定するものではない。
【0131】
実施例1
次に示す組成物を調製し、次いで、次に記載する適用手順に従い適用した。
【0132】
【0133】
適用手順:
水槽(trough)内で、組成物1、2、又は3の10gを、トーンレベル(tone depth)4(TD4)のコーカシアン毛の毛束1gに、33℃の温度で50分間適用する。次いで毛束を濯ぎ、シャンプー洗浄し、乾燥させる。
【0134】
色差測定
ミノルタ分光光度計CM3610A測色計(光源D65)を使用し、CIE L*a*b*系で色の蓄積(ΔE*)を評価した。このL*a*b*系では、L*は色の明度を表し、a*は緑/赤軸方向の色合いを表し、b*は青/黄軸方向の色合いを表す。L*の値が低いほど、色は暗く又は濃くなる。a*の値が高いほど、赤味の強い色合いとなり、b*の値が高いほど、青味の強い色合いとなる。
【0135】
下の表のΔE
*は、次式に従いL
*a
*b
*の値から算出した値である。
【数1】
【0136】
式中、L*、a*、及びb*は、上述の手順で処理した後の毛束で測定された値を表し、L0
*、a0
*、及びb0
*は、組成物1で処理した対照毛束で測定された値を表す。
【0137】
ΔE*の値が高いほど、染料が良好に蓄積している。
【0138】
結果
測定結果を次の表に示す。
【0139】
【0140】
上の結果から、本発明による式(A)の塩が存在することによって、色の蓄積が著しく改善されることが分かる。
【0141】
実施例2
次に示す組成物を調製し、次いで、次に記載する適用手順に従い適用した。
【0142】
【0143】
適用手順:
水槽内で、組成物4、5、又は6の10gを、TD4の白人毛の毛束1gに、33℃の温度で50分間適用する。次いで毛束を濯ぎ、シャンプー洗浄し、乾燥させる。
【0144】
色差測定
ミノルタ分光光度計CM3610A測色計(光源D65)を使用し、CIE L*a*b*系で色の蓄積(ΔE*)を評価した。このL*a*b*系では、L*は色の明度を表し、a*は緑/赤色軸方向の色合いを表し、b*は青/黄色軸方向の色合いを表す。L*の値が低いほど、色は暗く又は濃くなる。a*の値が高いほど、赤味の強い色合いとなり、b*の値が高いほど、青味の強い色合いとなる。
【0145】
下の表のΔE
*は、次式に従いL
*a
*b
*の値から算出した値である。
【数2】
【0146】
式中、L*、a*、及びb*は、上述の手順で処理した後の毛束で測定された値を表し、L0
*、a0
*、及びb0
*は、組成物4で処理した対照毛束で測定された値を表す。
【0147】
ΔE*の値が高いほど、染料が良好に蓄積している。
【0148】
結果
測定結果を次の表に示す。
【0149】
【0150】
上の結果から、本発明による式(A)の塩が存在することによって、色の蓄積が著しく改善されることが分かる。
【0151】
実施例3
次に示す組成物を調製し、次いで、次に記載する適用手順に従い適用した。
【0152】
【0153】
適用手順:
水槽内で、組成物7、8、又は9の10gを、90%が白髪である天然の白人毛の毛束1gに、33℃の温度で50分間適用する。次いで毛束を濯ぎ、シャンプー洗浄し、乾燥させる。
【0154】
色差測定
ミノルタ分光光度計CM3610A測色計(光源D65)を使用し、CIE L*a*b*系で色の蓄積(ΔE*)を評価した。このL*a*b*系では、L*は色の明度を表し、a*は緑/赤色軸方向の色合いを表し、b*は青/黄色軸方向の色合いを表す。L*の値が低いほど、色は暗く又は濃くなる。a*の値が高いほど、赤味の強い色合いとなり、b*の値が高いほど、青味の強い色合いとなる。
【0155】
下の表のΔE
*は、次式に従いL
*a
*b
*の値から算出した値である。
【数3】
【0156】
式中、L*、a*、及びb*は、上述の手順で処理した後の毛束で測定された値を表し、L0
*、a0
*、及びb0
*は、組成物7で処理した対照毛束で測定された値を表す。
【0157】
ΔE*の値が高いほど、染料が良好に蓄積している。
【0158】
結果
測定結果を次の表に示す。
【0159】
【0160】
上の結果から、本発明による式(A)の塩が存在することによって、色の蓄積が著しく改善されることが分かる。
【0161】
実施例4
次に示す組成物を調製し、次いで、次に記載する適用手順に従い適用した。
【0162】
【0163】
適用手順:
水槽内で、組成物10、11、又は12の10gを、90%が白髪である天然の白人毛の毛束1gに、33℃の温度で50分間適用する。次いで毛束を濯ぎ、シャンプー洗浄し、乾燥させる。
【0164】
色差測定
ミノルタ分光光度計CM3610A測色計(光源D65)を使用し、CIE L*a*b*系で色の蓄積(ΔE*)を評価した。このL*a*b*系では、L*は色の明度を表し、a*は緑/赤色軸方向の色合いを表し、b*は青/黄色軸方向の色合いを表す。L*の値が低いほど、色は暗く又は濃くなる。a*の値が高いほど、赤味の強い色合いとなり、b*の値が高いほど、青味の強い色合いとなる。
【0165】
下の表のΔE
*は、次式に従いL
*a
*b
*の値から算出した値である。
【数4】
【0166】
式中、L*、a*、及びb*は、上述の手順で処理した後の毛束で測定された値を表し、L0
*、a0
*、及びb0
*は、組成物10で処理した対照毛束で測定された値を表す。
【0167】
ΔE*の値が高いほど、染料が良好に蓄積している。
【0168】
結果
測定結果を次の表に示す。
【0169】
【0170】
上の結果から、本発明による式(A)の塩が存在することによって、色の蓄積が著しく改善されることが分かる。