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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173988
(43)【公開日】2024-12-13
(54)【発明の名称】ホイールカバー
(51)【国際特許分類】
   B60B 7/20 20060101AFI20241206BHJP
   B60B 7/04 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
B60B7/20 A
B60B7/04 H
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024165270
(22)【出願日】2024-09-24
(62)【分割の表示】P 2022183433の分割
【原出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】591246023
【氏名又は名称】岡本 好晃
(71)【出願人】
【識別番号】506066629
【氏名又は名称】岡本 丸
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 教郎
(74)【代理人】
【識別番号】100227983
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 久美子
(72)【発明者】
【氏名】岡本 好晃
(72)【発明者】
【氏名】岡本 丸
(57)【要約】
【課題】タイヤが回転しても回転せずカバー本体の着脱が容易なホイールカバーの提供。
【解決手段】ホイールカバー100は、ホイールW1に固定される固定側部104と、固定側部104に軸受B1を介して回転可能に取り付けられた可動側部106とを備えている。可動側部106が、軸受B1に固定された可動側ベース部120と、可動側ベース部120に着脱可能に取り付けられたホイールカバー本体122とを有する。ホイールカバー本体122が、可動側ベース部120に係合するカバー側係合部142を有している。可動側ベース部120が、カバー側係合部142に係合するベース側係合部128を有する。カバー側係合部142がベース側係合部128に上側から掛けられた状態で、カバー側係合部142がベース側係合部128に係合した係合状態が形成されている。更に、移動阻止部160が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のホイールに固定される固定側部と、前記固定側部に軸受を介して回転可能に取り付けられた可動側部とを備えており、
前記可動側部の重心が、前記固定側部に対する前記可動側部の回転の回転軸からずれており、
前記可動側部が、前記軸受に固定された可動側ベース部と、前記可動側ベース部に着脱可能に取り付けられたホイールカバー本体とを有しており、
前記ホイールカバー本体が、前記可動側ベース部に係合するカバー側係合部を有しており、
前記可動側ベース部が、前記カバー側係合部に係合するベース側係合部を有しており、
前記カバー側係合部が前記ベース側係合部に上側から掛けられた状態で、前記カバー側係合部が前記ベース側係合部に係合した係合状態が形成されており、
前記可動側ベース部に対する前記ホイールカバー本体の上側への移動を阻止して前記係合状態を保持する移動阻止部が更に設けられており、
前記カバー側係合部が、上下方向に移動するにつれて水平方向幅が連続的に変化するカバー側テーパー部を有しており、
前記ベース側係合部が、前記カバー側テーパー部に対応して水平方向幅が連続的に変化するベース側テーパー部を有しており、
前記係合状態において、前記カバー側テーパー部が前記ベース側テーパー部に上側から嵌め込まれており、
前記カバー側テーパー部は、上側にいくほど水平方向幅が小さくなっており、
前記ベース側テーパー部は、上側にいくほど水平方向幅が小さくなっており、
前記カバー側テーパー部及び前記ベース側テーパー部のテーパー角度が、20°以上50°以下であり、
前記ホイールに取り付けられたホイールカバーを静置した基準状態において、前記可動側ベース部の下端と前記ホイールカバー本体との間に、上下方向の隙間が設けられているホイールカバー。
【請求項2】
前記可動側ベース部が、プレート部を有しており、
前記ベース側係合部が、前記プレート部の外縁部である請求項1に記載のホイールカバー。
【請求項3】
前記カバー側係合部が、下側に開放されたカバー側挿入部を有しており、
前記プレート部の前記外縁部が下側から前記カバー側挿入部に挿入されることで、前記係合状態が形成されている請求項1又は2に記載のホイールカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等のホイールに取り付けられるホイールカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車、トラック、バス等の自動車のホイールに取り付けられ、タイヤ及びホイールが回転しても回転しないホイールカバーが知られている。
【0003】
特開2020-19468号公報は、ホイールに固定されている固定側取付け具と、前記固定側取付け具の中央部に固定された取付け軸に軸受を介して取り付けられている可動側取付け部とを有する。可動側取付け部に、ホイールカバー本体が着脱可能に取り付けられている。可動側取付け部は、可動側取付け板と、この可動側取付け板に取り付けられた操作レバーとを有しており、この可動側取付け板が周方向複数位置に設けられた複数の係止片挿入凹部を有している。操作レバーは、その先端部にスライド移動可能に取り付けられホイールカバー本体の外周部より出没可能に伸縮する出没操作片を有している。ホイールカバー本体は、その内面に、前記係止片挿入凹部に対応して配置された複数の係止片を有している。これらの係止片を用いてホイールカバー本体が可動側取付け板に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-19468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2020-19468号公報に記載のホイールカバーにおいて、ホイールカバー本体を可動側取付け板に取り付けるためには、先ず、ホイールカバー本体の複数の係止片と可動側取付け板の複数の係止片挿入凹部とを位置合わせしながら、ホイールカバー本体の内面に可動板取付け板を当接させる。次いで、操作レバーを操作して、ホイールカバー本体に対して可動側取付け板を回動させ、係止片挿入凹部に隣接する傾斜面部を係止片により形成された隙間に圧入して係止する。最後に、操作レバーをホイールカバー本体の内面に形成されたストッパーに係合させて、ホイールカバー本体を可動側取付け板に対して回り止めする。ホイールカバー本体を取り外すには、これらと逆の手順が必要となる。
【0006】
ホイールカバー本体を可動側取付け部に取り付ける際に、ホイールカバー本体の内側に位置する可動側取付け部は見えない。ホイールカバー本体の周方向複数位置の係止片と可動側取付け板の周方向複数位置の係止片挿入凹部とを位置合わせするのは、容易ではない。また、操作レバーを操作して、可動側取付け板を係止片により形成された隙間に圧入するのには力を必要とする。加えて、上記ホイールカバーは、部品点数が多いため、重くなりやすく、且つ、製造コストも上がりやすい。
【0007】
本発明の目的の一つは、タイヤが回転しても回転しないホイールカバーにおいて、ホイールカバー本体の着脱を容易とすることができるホイールカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの態様では、ホイールカバーは、自動車のホイールに固定される固定側部と、前記固定側部に軸受を介して回転可能に取り付けられた可動側部とを備えている。前記可動側部の重心は、前記固定側部に対する前記可動側部の回転の回転軸からずれている。前記可動側部が、前記軸受に固定された可動側ベース部と、前記可動側ベース部に着脱可能に取り付けられたホイールカバー本体とを有している。前記ホイールカバー本体が、前記可動側ベース部に係合するカバー側係合部を有している。前記可動側ベース部が、前記カバー側係合部に係合するベース側係合部を有している。前記カバー側係合部が前記ベース側係合部に上側から掛けられた状態で、前記カバー側係合部が前記ベース側係合部に係合した係合状態が形成されている。前記可動側ベース部に対する前記ホイールカバー本体の上側への移動を阻止して前記係合状態を保持する移動阻止部が更に設けられている。
【発明の効果】
【0009】
一つの側面として、タイヤが回転しても回転しないホイールカバーにおいて、ホイールカバー本体の着脱を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係るホイールカバーが使用されている自動車の側面図である。図1は、ホイールカバーを外側から見た正面図を含む。
図2図2は、図1のホイールカバーを内側から見た背面図である。図2では、固定側部の長手方向が水平方向(左右方向)に配向している。
図3図3は、図2のA-A線に沿った断面図である。ただし、図3では、図2と異なり、固定側部の長手方向が上下方向に配向している。
図4図4は、可動側ベース部及びこの可動側ベース部に回動自在に取り付けられた固定側部を示す平面図である。
図5図5は、図4のA-A線に沿った断面図である。
図6図6は、ホイールカバー本体を内側から見た背面図である。
図7図7は、図6のA-A線に沿った断面図である。
図8図8は、図6のB-B線に沿った断面図である。
図9図9は、タイヤのホイールに取り付けられたホイールカバーからホイールカバー本体が外された状態を示す図である。
図10図10は、ホイールカバー本体を可動側ベース部に取り付ける手順の一例を示す説明図である。
図11図11は、ホイールカバー本体を可動側ベース部から取り外す手順の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面が参照されつつ、実施形態が詳細に説明される。
【0012】
図1は、一実施形態に係るホイールカバー100がタイヤT1のホイールに取り付けられた自動車V1の側面図である。図示されていないが、ホイールカバー100は、全て(4つ)のタイヤT1に取り付けられている。自動車V1が走行し、タイヤT1が回転しても、ホイールカバー100は回転しない。自動車V1の走行中に、ホイールカバー100は静止しているように見える。本願では、この状態が静止状態とも称される。なお、ホイールカバー100は、英語でハブキャップ(hub cap)とも称される。
【0013】
図1は、ホイールカバー100を外側から見た正面図を含んでいる。ホイールカバー100の外面には、絵、文字、記号、図形等の表示102が設けられている。表示102は、自動車V1の走行中に回転しない。表示102は、自動車V1の走行中に判別されうる。自動車V1の走行中に回転しない表示102は、人目を引く。
【0014】
図2は、ホイールカバー100を内側から見た背面図である。図3は、図2のA-A線に沿った断面図である。図3には、ホイールカバー100が取り付けられるホイールW1が仮想線(2点鎖線)で示されている。
【0015】
ホイールカバー100は、ホイールに固定される固定側部104と、固定側部104に回動可能に取り付けられた可動側部106とを有する。可動側部106は、軸受B1を介して、固定側部104に取り付けられている。固定側部104に対して、可動側部106は回動自在である。可動側部106の重心は、ホイールW1の中心(ホイールW1の回転軸Z1)からずれている。ホイールW1に取り付けられて静置されたホイールカバー100の基準状態では、可動側部106の重心は、ホイールW1の回転軸Z1の真下(鉛直方向下側)に位置する。
【0016】
固定側部104は、ホイール取付け部108と、軸部110とを有する。ホイール取付け部108は、プレート状の部材である。ホイール取付け部108は、複数の取付け穴112を有する。取付け穴112は、ホイール取付け部108を貫通している。自動車V1のハブにホイールW1を取り付けるボルト又はナットを活用して、ホイール取付け部108がホイールW1に固定される。前記ボルト又はナットを取付け穴112に貫通させて、ホイール取付け部108がホイールW1に固定される。本実施形態では取付け穴112が2つであり、2つの取付け穴112が同一直線上に配置されている。この取付け穴112は、4穴のホイールW1に用いられる。ホイールW1が5穴である場合、取付け穴112が3つとされうる。ホイール取付け部108の重心は、ホイールW1の回転軸Z1上に位置するように設定されている。ホイール取付け部108の重心は、固定側部104と可動側ベース部120との相対回転の回転軸Z2上に位置する。
【0017】
固定側部104は、自動車のホイールの回転軸Z1を含む位置で、ホイールW1に固定される。すなわち、固定側部104は、上記回転軸Z2をホイールW1の回転軸Z1に一致させることができる位置で、ホイールW1に固定されている。
【0018】
なお、図2ではホイール取付け部108の長手方向が水平方向であるのに対して、図3では、ホイール取付け部108の長手方向が上下方向とされている。
【0019】
軸部110は、ホイール取付け部108に固定されている。軸部110は、ホイール取付け部108に一体成形されていてもよい。固定側部104がホイールW1に固定された状態において、軸部110の中心線は、ホイールW1の回転軸Z1に一致している。軸部110は、軸受B1の内輪側に固定されている。
【0020】
可動側部106は、可動側ベース部120と、ホイールカバー本体122とを有する。ホイールカバー本体122は、全体として円盤形状である。ホイールカバー本体122は、可動側ベース部120に、着脱可能に取り付けられている。
【0021】
図4は、可動側ベース部120及びこの可動側ベース部120に回動自在に取り付けられた固定側部104を示す平面図である。換言すれば、図4は、ホイールカバー100からホイールカバー本体122が除かれた部材を示す平面図である。この部材はユニット化されている。図5は、図4のA-A線に沿った断面図である。なお、図4及び図5では、ホイール取付け部108の長手方向は上下方向とされている。
【0022】
固定側部104に対する可動側ベース部120の回転の回転軸Z2が、前記回転軸Z1に一致するように、固定側部104がホイールW1に取り付けられる。
【0023】
可動側ベース部120は、プレート部124を有する。プレート部124は、板(平板)により形成されている。可動側ベース部120の軽量化及び錘126(後述)の重心効果を高める観点から、プレート部124の材質は、アルミニウム合金とされうる。
【0024】
可動側ベース部120は、錘126を有する。錘126は、プレート部124に回動自在に取り付けられている。錘126は、プレート部124の下部に取り付けられている。錘126は、軸受B2を介して、プレート部124に取り付けられている。錘126は、軸受B2を介することなく、プレート部124にぶら下げられていてもよい。
【0025】
可動側ベース部120の重心は、ホイールW1の回転軸Z1からずれている。可動側ベース部120の重心は、ホイールW1の回転軸Z1の下側に位置する。錘126は、可動側ベース部120の重心をホイールW1の回転軸Z1から離すのに寄与している。プレート部124の重心も、ホイールW1の回転軸Z1の下側に位置する。
【0026】
錘126は、可動側ベース部120(可動側部106)の重心をホイールW1の回転軸Z1から遠ざけるのに寄与している。更に、錘126は、揺動することで、ホイールカバー本体122の回動を抑制することができる。錘126は、重量バランスと回動抑制との両面で、ホイールカバー本体122の静止状態を維持するのに役立つ。
【0027】
可動側ベース部120は、ベース側係合部128を有する。ベース側係合部128は、ホイールカバー本体122と係合する。本実施形態では、プレート部124の外縁部130が、ベース側係合部128である。
【0028】
プレート部124の外縁部130は、上縁部132と、左右方向の一方側に位置する第1側縁部134と、左右方向の他方側に位置する第2側縁部136とを有する。上縁部132は、水平に延びている。上縁部132は、回転軸Z2(回転軸Z1)よりも上側に位置する。第1側縁部134は、第1側縁部134は、上縁部132の一方側の端から斜め下側に延びている。第2側縁部136は、上縁部132の他方側の端から斜め下側に延びている。第1側縁部134及び第2側縁部136は、上下方向に対して傾斜して延びている。図4において符号CP1で示されるのは、前記回転軸Z2を含み且つ上下方向に平行な平面であり、縦中心面とも称される。縦中心面CP1は、第1側縁部134と第2側縁部136との間に位置する。第1側縁部134は、下側にいくにつれて縦中心面CP1から離れるように延びている。第2側縁部136は、下側にいくにつれて縦中心面CP1から離れるように延びている。平面視(背面図)において、第1側縁部134と第2側縁部136とは、縦中心面CP1を示す直線に対して互いに線対称である。平面視(背面図)において、ベース側係合部128は、縦中心面CP1を示す直線に対して互いに線対称である。
【0029】
上縁部132、第1側縁部134及び第2側縁部136が、ベース側係合部128を構成している。ベース側係合部128は、ベース側テーパー部140を有する。ベース側テーパー部140は、第1側縁部134及び第2側縁部136を含む部分である。ベース側テーパー部140では、上下方向に移動するにつれて水平方向幅D1が連続的に変化している。ベース側テーパー部140では、上側にいくほど水平方向幅D1が小さくなっている。なお、最も上側の位置において、水平方向幅D1は、70mm以上90mm以下、更には75mm以上85mm以下とされうる。本実施形態では、最も上側の位置での水平方向幅D1は80mmである。
【0030】
可動側ベース部120は、欠け部138を有する。欠け部138は、可動側ベース部120の上縁部に設けられている。欠け部138は、凹形状の切り欠きを形成している。欠け部138は、外縁部130の一部を欠落させている。欠け部138は、上縁部132の一部を欠落させている。後述の図9が示すように、欠け部138は、固定側部104をホイールW1に取り付ける際に、可動側ベース部120が締結部材F1の操作を阻害するのを回避している。欠け部138を設けることで、可動側ベース部120(ベース側係合部128)を大型化して係合強度を高めつつ、固定側部104を容易にホイールW1に取り付けることができる。欠け部138は、1箇所のみ設けられている。可動側ベース部120を回転して、ホイールW1の周方向各位置に設けられた締結箇所(4穴であれば4箇所、5穴であれば5箇所)に欠け部138を合わせることで、全ての締結箇所で締結部材F1を操作することができる。欠け部138を最小限の1箇所としているため、可動側ベース部120の強度低下が抑制され、また、ベース側係合部128の係合力の低下が抑制される。
【0031】
図6は、ホイールカバー本体122を内側から見た背面図である。なお、ホイールカバー本体122を外側から見た正面図は、図1に示されている。図7は、図6のA-A線に沿った断面図である。図8は、図6のB-B線に沿った断面図である。
【0032】
ホイールカバー本体122は、カバー側係合部142を有する。カバー側係合部142は、ホイールカバー本体122の内面側に形成されている。可動側ベース部120へのホイールカバー本体122の取付けでは、カバー側係合部142がベース側係合部128に係合する。カバー側係合部142は、カバー側挿入部144を有する。図7が示すように、カバー側係合部142は、下方に開放された凹部143を形成している。この凹部143は、カバー側挿入部144を構成している。カバー側挿入部144は、カバー側テーパー部152(後述)を含むカバー側係合部142を構成している。プレート部124の外縁部130が下側からカバー側挿入部144に挿入される。プレート部124の外縁部130が下側からカバー側挿入部144に挿入されている。この挿入により、前記係合状態が形成されている。
【0033】
カバー側係合部142(カバー側挿入部144)は、ベース側係合部128に対応した形状を有している。カバー側係合部142(カバー側挿入部144)は、上部146と、左右方向の一方側に位置する第1側部148と、左右方向の他方側に位置する第2側部150とを有する。上部146は、水平に延びている。上部146は、回転軸Z2(回転軸Z1)よりも上側に位置する。第1側部148は、上部146の一方側の端から斜め下側に延びている。第2側部150は、上部146の他方側の端から斜め下側に延びている。第1側部148及び第2側部150は、上下方向に対して傾斜して延びている。縦中心面CP1は、第1側部148と第2側部150との間に位置する。第1側部148は、下側にいくにつれて縦中心面CP1から離れるように延びている。第2側部150は、下側にいくにつれて縦中心面CP1から離れるように延びている。平面視(背面図)において、第1側部148と第2側部150とは、縦中心面CP1を示す直線に対して互いに線対称である。平面視(背面図)において、カバー側係合部142(カバー側挿入部144)は、縦中心面CP1を示す直線に対して互いに線対称である。縦中心面CP1は、上部146を2等分している。
【0034】
上部146、第1側部148及び第2側部150が、カバー側係合部142(カバー側挿入部144)を構成している。カバー側係合部142は、カバー側テーパー部152を有する。カバー側テーパー部152は、第1側部148と第2側部150とにより構成されている。カバー側テーパー部152では、上下方向に移動するにつれて水平方向幅D2が連続的に変化している。カバー側テーパー部152では、上側にいくほど水平方向幅D2が小さくなっている。水平方向幅D2は、第1側部148と第2側部150との水平方向の間隔である。なお、最も上側の位置において、水平方向幅D2は、70mm以上90mm以下、更には75mm以上85mm以下とされうる。本実施形態では、最も上側の位置での水平方向幅D2は80mmである。
【0035】
ホイールカバー100では、可動側ベース部120に対してホイールカバー本体122が着脱可能である。カバー側係合部142をベース側係合部128に上側から掛けることで、カバー側係合部142がベース側係合部128に係合した係合状態が形成されている(図2参照)。この係合状態では、ベース側テーパー部140とカバー側テーパー部152とのテーパー嵌合が形成されている。すなわち、第1側縁部134が第1側部148に当接し、第2側縁部136が第2側部150に当接している。
【0036】
ホイールカバー100は、可動側ベース部120に対するホイールカバー本体122の上側への移動を阻止して前記係合状態を保持する移動阻止部160を有する。移動阻止部160は、回転軸Z2よりも下側に位置する。移動阻止部160は、縦中心面CP1上に位置する。移動阻止部160は、ネジ止め機構により構成されている。移動阻止部160は、ホイールカバー本体122に形成された貫通孔162と、可動側ベース部120(プレート部124)に形成された雌ネジ孔164と、雄ネジ166とを有する。プレート部124にバーリング加工がなされることで、フランジ168が形成されている。フランジ168により、雌ネジ孔164が長くされており、ネジ結合力及びネジ結合部の強度が高められている。
【0037】
雄ネジ166の頭部表面には、工具によって雄ネジ166を回すための工具係止部が設けられうる。この工具係止部(穴、溝等)は、通常のプラス溝、マイナス溝、六角穴等とされてもよいが、特殊な工具のみが係合しうる形態とされてもよい。すなわち、雄ネジ166には、いじり止めネジ或いはいたずら防止ネジ等と称されるものが採用されてもよい。工具係合部は、例えば三角穴とされうる。
【0038】
なお、移動阻止部160はネジ止め機構に限定されない。例えば、ホイールカバー本体122を可動側ベース部120に対して下側に移動することで、突出方向に付勢された突起と凹部とが自動的に係合する自動係合機構が採用されてもよい。この場合、押圧操作等により係合を解除する操作部が設けられてもよい。
【0039】
ホイールカバー本体122は、整流部170を有する。整流部170は、ホイールカバー本体122の外縁部に凹部172を形成している。この凹部172は、ホイールカバー本体122の内面に設けられている。この凹部172は、ホイールW1(ホイールカバー本体122)の半径方向に沿って、ホイールカバー本体122の外縁122aまで延在している。ホイールカバー100が自動車V1のホイールW1に取り付けられたとき、整流部170は自動車V1の後方側に位置する。自動車V1が走行すると、気流が整流部170を通過する。この気流は、ホイールカバー100の静止状態を維持する力を生じる。整流部170は、ホイールカバー本体122の回動を抑制し静止状態を維持するのに寄与している。
【0040】
図9は、タイヤT1のホイールW1に取り付けられたホイールカバー100からホイールカバー本体122が取り外された状態を示す図である。図9は、使用中のホイールカバー100からホイールカバー本体122が取り外された状態を示している。固定側部104は、締結部材F1(ボルト)によってホイールW1に固定されている。固定側部104に対して回転自在な可動側ベース部120は、その重心がホイールW1の回転軸Z1(前記回転軸Z2)の下側となる状態で静止している。なお、図9で示されるホイールW1は4穴のタイプである。
【0041】
図10は、ホイールカバー本体を可動側ベース部に取り付ける手順の一例を示す説明図である。この取り付けでは、ホイールカバー本体122が上側から可動側ベース部120に掛けられて、係合状態が形成される。次に、移動阻止部160である雄ネジ166が締め付けられる。移動阻止部160により、可動側ベース部120に対するホイールカバー本体122の上側への移動が阻止され、前記係合状態が保持される。この結果、ホイールカバー本体122の取り付けが完了する。ホイールカバー本体122の取り付けは容易である。
【0042】
上記係合状態の形成では、ホイールカバー本体122を上側から下側に動かすことで、下方に開放された凹部143を構成するカバー側係合部142(カバー側挿入部144)に、ベース側係合部128(プレート部124の外縁部130)が挿入される(図2図3及び図7参照)。外縁部130の厚みD3(図5参照)はカバー側係合部142(カバー側挿入部144)を構成する凹部143の前後方向幅D4(図7参照)と略同一である。この挿入は、圧入である。前後方向幅を有する凹部143への挿入により、挿入係合が達成される。この挿入係合により、ホイールカバー本体122は可動側ベース部120に対して前後方向に動けない状態となる。
【0043】
図2が示すように、外縁部130の上縁部132が、カバー側挿入部144の上部146に挿入されている。また、外縁部130の第1側縁部134が、カバー側挿入部144の第1側部148に挿入されている。また、外縁部130の第2側縁部136が、カバー側挿入部144の第2側部150に挿入されている。これらの挿入により、上記挿入係合は強固である。この挿入係合により、係合状態におけるホイールカバー本体122の固定が確実に達成されている。
【0044】
なお、本実施形態では、カバー側係合部142にベース側係合部128が挿入されているが、逆にベース側係合部128にカバー側係合部142が挿入されてもよい。この場合、ベース側係合部128が上側に開放された凹部を有していてもよい。すなわち、カバー側係合部142とベース側係合部128との間で、一方が他方に挿入される挿入係合が形成されることで、前後方向に固定されればよい。
【0045】
上記挿入と同時に、カバー側テーパー部152(図6参照)が、ベース側テーパー部140(図4図9参照)に、上側から嵌め込まれる。すなわち、カバー側テーパー部152の第1側部148がベース側テーパー部140の第1側縁部134に当接し、カバー側テーパー部152の第2側部150がベース側テーパー部140の第2側縁部136に当接する(図2参照)。このテーパー嵌合により、ホイールカバー本体122は可動側ベース部120に対して、下側に動けない状態となり、且つ、左右方向にも動けない状態となる。
【0046】
なお、図2では、プレート部124の上縁部132がカバー側係合部142の上部146に当接しているが、この当接は達成されていなくてもよい。各部の寸法誤差を吸収して上記テーパー嵌合が確実に達成されるとの観点からは、この当接が回避されてもよい。
【0047】
図4及び図6において両矢印θ1で示されるのは、第1側縁部134、第2側縁部136、第1側部148及び第2側部150の勾配角度である。この勾配角度は、鉛直方向に対する角度である。この角度θ1の2倍が、テーパー角度である。テーパー嵌合を容易として、ホイールカバー本体122の取り付け容易性を高める観点から、ベース側テーパー部140及びカバー側テーパー部152のテーパー角度は、20°以上が好ましく、25°以上がより好ましく、30°以上がより好ましい。左右方向における固定性の観点から、このテーパー角度は、50°以下が好ましく、45°以下がより好ましく、40°以下がより好ましい。上記実施形態では、このテーパー角度は35°とされた。
【0048】
このように、カバー側係合部142がベース側テーパー部140に上側から掛けられることで、上記挿入係合が達成され、且つ、上記テーパー嵌合が達成されている。この状態では、ホイールカバー本体122が可動側ベース部120に対して上側に移動しない限り、ホイールカバー本体122は可動側ベース部120に固定される。ここで移動阻止部160が機能することにより、可動側ベース部120に対するホイールカバー本体122の上側の移動が阻止される。この結果、可動側ベース部120に対するホイールカバー本体122の固定が達成される。
【0049】
可動側ベース部120へのホイールカバー本体122の取り付けは、容易である。図10の第1ステップSt1及び第2ステップSt2が示すように、ホイールカバー本体122を上側から可動側ベース部120に近づけて、ベース側係合部128にカバー側係合部142を上側から掛ける。上側から掛けるだけで、上記係合状態が達成される。この係合状態では、ホイールカバー本体122は、可動側ベース部120に対して、前後方向に動かず、下側に動かず、且つ、左右方向にも動かない。つまり、この係合状態では、ホイールカバー本体122は、可動側ベース部120に対して、上側にのみ動きうる状態にある。その後、移動阻止部160を機能させる(雄ネジ166を締める)だけで、取り付けが完了する(第3ステップSt3)。
【0050】
第2ステップSt2の図が示すように、取り付けの際に、可動側ベース部120は見えない状態となり、且つ、ホイールカバー本体122の内側(裏側)にあるカバー側係合部142も見えない。しかし、ベース側係合部128とカバー側係合部142との係合が上側からの挿入係合及びテーパー嵌合であるから、ベース側係合部128とカバー側係合部142との位置関係が厳格に調整されなくても、容易に両者を係合させることができる。よって、ホイールカバー本体122を簡単に取り付けることができる。
【0051】
なお、テーパー嵌合の形態は限定されない。カバー側テーパー部152がベース側テーパー部140に上側からテーパー嵌合できる形態であればよい。
【0052】
ホイールカバー本体122の取り外しは、上記図10で示される手順とは逆の手順でなされうる。すなわち、移動阻止部160を解除した後、ホイールカバー本体122を上側に移動させればよい。この手順の他に、より好ましい方法として、図11で示される手順も採用されうる。
【0053】
図11は、ホイールカバー本体を可動側ベース部から取り外す手順の一例を示す説明図である。この手順では、移動阻止部160を解除し、ホイールカバー本体122を180°回して上下反転させる(第1ステップStA)。ホイールカバー本体122が上下反転した状態(第1ステップStA)では、可動側ベース部120も上下反転している。この状態で、ホイールカバー本体122を下側に移動させる(第2ステップStB、第3ステップStC)。この下側への移動では、ホイールカバー本体122の自重が下側に作用するので、係合の解除が容易である。なお、係合が解除された瞬間に、可動側ベース部120は、その重量バランスにより上下反転して元の状態(図9)に戻っている。
【0054】
このように、ホイールカバー本体122の着脱が容易である。よって、ホイールカバー100をホイールW1に取り付けるのは容易である。また、ホイールカバー100の使用中において、ホイールカバー本体122を取り外したい場面がある。例えば、タイヤT1の空気圧を確認したり、タイヤT1に空気を入れたりする場面である。ホイールカバー本体122がタイヤT1のバルブを覆っている場合、ホイールカバー本体122が装着されたままでは、空気圧の確認や空気の充填が困難である。ホイールカバー本体122の着脱が容易とされることで、空気圧の確認及び空気の充填が容易とされうる。
【0055】
ホイールカバー100では、特開2020-19468号公報に記載のホイールカバーと比較して、取り付け構造がシンプルであり、部品点数が少ない。ホイールカバー100では、軽量化及び製造コストの低減が達成されうる。
【0056】
なお、特に説明しない限り、本願では、ホイールW1に取り付けられたホイールカバー100を静置した基準状態において、上側、下側、左右方向、上下方向、前後方向及び水平方向が定義される。左右方向は水平方向と一致する。前後方向は、ホイールW1の回転軸Z1の方向に一致している。上記基準状態では、重心バランスに起因して、可動側ベース部120の回転軸Z2に対して可動側部106の重心が真下(鉛直方向下側)に位置する。特に説明しない限り、本願で説明されている構成は、この基準状態における構成である。自動車V1の走行中、ホイールカバー100に若干の揺動は生じるが、基準状態が実質的に維持される。すなわち、自動車V1の走行中、上記静止状態が維持される。
【0057】
以下の付記は、本発明に含まれる発明の一部である。この付記は、本願出願時のクレームセットである。
[付記1]
自動車のホイールに固定される固定側部と、前記固定側部に軸受を介して回転可能に取り付けられた可動側部とを備えており、
前記可動側部の重心が、前記固定側部に対する前記可動側部の回転の回転軸からずれており、
前記可動側部が、前記軸受に固定された可動側ベース部と、前記可動側ベース部に着脱可能に取り付けられたホイールカバー本体とを有しており、
前記ホイールカバー本体が、前記可動側ベース部に係合するカバー側係合部を有しており、
前記可動側ベース部が、前記カバー側係合部に係合するベース側係合部を有しており、
前記カバー側係合部が前記ベース側係合部に上側から掛けられた状態で、前記カバー側係合部が前記ベース側係合部に係合した係合状態が形成されており、
前記可動側ベース部に対する前記ホイールカバー本体の上側への移動を阻止して前記係合状態を保持する移動阻止部が更に設けられているホイールカバー。
[付記2]
前記カバー側係合部が、上下方向に移動するにつれて水平方向幅が連続的に変化するカバー側テーパー部を有しており、
前記ベース側係合部が、前記カバー側テーパー部に対応して水平方向幅が連続的に変化するベース側テーパー部を有しており、
前記係合状態において、前記カバー側テーパー部が前記ベース側テーパー部に上側から嵌め込まれている付記1に記載のホイールカバー。
[付記3]
前記カバー側テーパー部は、上側にいくほど水平方向幅が小さくなっており、
前記ベース側テーパー部は、上側にいくほど水平方向幅が小さくなっている付記2に記載のホイールカバー。
[付記4]
前記可動側ベース部が、プレート部を有しており、
前記ベース側係合部が、前記プレート部の外縁部である付記1から3のいずれか1項に記載のホイールカバー。
[付記5]
前記カバー側係合部が、下側に開放されたカバー側挿入部を有しており、
前記プレート部の前記外縁部が下側から前記カバー側挿入部に挿入されることで、前記係合状態が形成されている付記4に記載のホイールカバー。
【符号の説明】
【0058】
100・・・ホイールカバー
102・・・表示
104・・・固定側部
106・・・可動側部
108・・・ホイール取付け部
110・・・軸部
112・・・取付け穴
120・・・可動側ベース部
122・・・ホイールカバー本体
124・・・プレート部
126・・・錘
128・・・ベース側係合部
130・・・プレート部の外縁部
132・・・上縁部
134・・・第1側縁部
136・・・第2側縁部
140・・・ベース側テーパー部
142・・・カバー側係合部
144・・・カバー側挿入部
146・・・上部
148・・・第1側部
150・・・第2側部
152・・・カバー側テーパー部
160・・・移動阻止部
170・・・整流部
V1・・・自動車
T1・・・タイヤ
W1・・・ホイール
B1、B2・・・軸受
Z1・・・ホイールの回転軸
Z2・・・固定側部に対する可動側ベース部の回転の回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11