(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174033
(43)【公開日】2024-12-13
(54)【発明の名称】マルチリンクトラフィックインジケーションマップに対応する通信装置および通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 28/06 20090101AFI20241206BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20241206BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20241206BHJP
【FI】
H04W28/06 110
H04W88/06
H04W84/12
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024166467
(22)【出願日】2024-09-25
(62)【分割の表示】P 2023178926の分割
【原出願日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】10202005463Q
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チトラカール ロジャン
(72)【発明者】
【氏名】ホァン レイ
(72)【発明者】
【氏名】浦部 嘉夫
(57)【要約】
【課題】MLDを含むWLANネットワークにおいてバッファリングされたBUに関する追加情報をシグナリングするために必要なオーバーヘッドを減らす。
【解決手段】本開示のステーション(STA)は、非APマルチリンクデバイス(MLD)に属する複数のステーション(STA)のうちのSTAであって、前記複数のSTAの各々が、前記非AP MLDの対応するリンクで動作しており、前記STAは、トラフィックインジケーションマップ(TIM)要素および開始AID情報を含むフレームを受信し、前記TIM要素は、前記非AP MLDのための1つまたは複数のバッファリングされたユニット(BU)の存在を示す部分仮想ビットマップ(PVM)を含み、前記開始AID情報は、1つまたは複数のBUに関連する追加情報が前記フレームに存在する最小のAIDを示す、受信部と、前記フレームを受信処理する回路と、を備えている。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のステーション(STA)を含む非アクセスポイント(AP)マルチリンクデバイス(MLD)であって、
トラフィックインジケーションマップ(TIM)要素および開始AID(Associated Identifier)フィールドを含むフレームを受信し、前記TIM要素は、前記非AP MLDを含む複数の非AP MLDの各々について1つまたは複数のバッファリングされたユニット(BU)の存否を示す部分仮想ビットマップ(PVM)を含み、前記開始AIDフィールドは、前記複数の非AP MLDに対応するAIDのうち、リンク毎のトラフィックの有無を示すリンク情報ビットマップが存在する最小のAIDを示す、受信部と、
前記開始AIDフィールド及び前記リンク情報ビットマップに基づいて、自身向けの前記1つまたは複数のBUが存在するリンクを判定する回路と、
を備えている非AP MLD。
【請求項2】
前記PVMは、複数のレガシーSTAに割り当てられるAIDに関連付けられた第1の部分と、前記複数の非AP MLDに割り当てられるAIDに関連付けられた第2の部分とを含み、前記第2の部分の開始位置は前記開始AIDフィールドにより示される開始AIDにより指定される、
請求項1に記載の非AP MLD。
【請求項3】
前記フレームは、ビーコンフレームである、
請求項1に記載の非AP MLD。
【請求項4】
各非AP MLDに属する複数の非AP STAの各々について1つまたは複数のBUの存否を示すPVMは、前記TIM要素とは異なるTIM要素に含まれる、
請求項1に記載の非AP MLD。
【請求項5】
複数のステーション(STA)を含む非アクセスポイント(AP)マルチリンクデバイス(MLD)のための通信方法であって、
トラフィックインジケーションマップ(TIM)要素および開始AID(Associated Identifier)フィールドを含むフレームを受信するステップであって、前記TIM要素は、前記非AP MLDを含む複数の非AP MLDの各々について1つまたは複数のバッファリングされたユニット(BU)の存否を示す部分仮想ビットマップ(PVM)を含み、前記開始AIDフィールドは、前記複数の非AP MLDに対応するAIDのうち、リンク毎のトラフィックの有無を示すリンク情報ビットマップが存在する最小のAIDを示す、ステップと、
前記開始AIDフィールド及び前記リンク情報ビットマップに基づいて、自身向けの前記1つまたは複数のBUが存在するリンクを判定するステップと、
を含む通信方法。
【請求項6】
前記PVMは、複数のレガシーSTAに割り当てられるAIDに関連付けられた第1の部分と、前記複数の非AP MLDに割り当てられるAIDに関連付けられた第2の部分とを含み、前記第2の部分の開始位置は前記開始AIDフィールドにより示される開始AIDにより指定される、
請求項5に記載の通信方法。
【請求項7】
前記フレームは、ビーコンフレームである、
請求項5に記載の通信方法。
【請求項8】
各非AP MLDに属する複数の非AP STA各々について1つまたは複数のBUの存否を示すPVMは、前記TIM要素とは異なるTIM要素に含まれる、
請求項5に記載の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、通信装置に関し、より詳細には、マルチリンクトラフィックインジケーションマップに対応する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、通信デバイスは、有線のコンピューティングデバイスと同じ機能をワイヤレスで動作させることが期待されている。例えばユーザは、自身の無線通信デバイスにストリーミングされる高解像度の映画をシームレスに視聴できることを期待している。これにより、通信デバイスに関する課題と、通信デバイスが無線接続するアクセスポイントに関する課題が生じている。
【0003】
米国電気電子学会(The Institute of Electrical and Electronics Engineers:IEEE)802.11グループは、これらの課題に取り組むため、最近になって802.11タスクグループ(TG)を立ち上げた。このような通信のための候補技術として、2.4GHz、5GHz、および6GHzの周波数帯におけるマルチリンク動作が認識されている。複数のリンクにわたるマルチチャネルアグリゲーションは、通信データのスループットを数倍に増やすための自然な方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アクセスポイント(AP)マルチリンクデバイス(MLD)と非AP MLDとの間のマルチリンク動作では、パワーセーブ(PS)モードで動作している関連する非AP STAのためのバッファリングされたトラフィック(BU:buffered traffic)を示すために、トラフィックインジケーションマップ(TIM:traffic indication map)要素がビーコンフレームまたはTIMフレームなどにおいて伝えられる。マルチリンク動作では、シングルリンク動作とは異なり、TIM要素内のBU指示だけでは、BUを取得するための推奨されるリンク、またはBUに関連付けられるTIDなど、BUに関する追加情報が提供されない。リンクマッピング、リンク推奨を含むリンクセット指示、TID(トラフィック識別子:traffic identifier)など、バッファリングされたBUに関する追加情報をシグナリングするための方法を使用できるが、非AP MLDがリンク/TID情報セット内の自身の位置を正しく把握するためには、後述するように、使用される方法にかかわらず、TIM要素において1に設定された各ビットに対して追加のビットマップが必要である。
【0005】
したがって、上述した課題を解決し、MLDを含むWLANネットワークにおいてバッファリングされたBUに関する追加情報をシグナリングするために必要なオーバーヘッドを減らす目的で、マルチリンクトラフィックインジケーションマップに対応する通信装置および通信方法が必要とされている。さらに、他の望ましい特徴および特性は、添付の図面および本開示の背景技術のセクションと合わせて考慮される、以下の詳細な説明および添付の請求項から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
非限定的かつ例示的な実施形態は、マルチリンクトラフィックインジケーションマップに対応する通信装置および通信方法の提供を容易にする。
【0007】
第1の実施形態において、本開示は、APマルチリンクデバイス(MLD)に属する複数のアクセスポイント(AP)のうちのAPであって、複数のAPの各々が、AP MLDの対応するリンクで動作しており、APが、以下の構成要素、すなわち、動作時に、トラフィックインジケーションマップ(TIM)要素および存在ビットマップを含むフレームを生成する回路であって、TIM要素が、APまたはAP MLDに関連付けられる非AP STAまたは非AP MLDの一方のための1つまたは複数のバッファリングされたユニットの存在を示す部分仮想ビットマップ(PVM)を含み、存在ビットマップが、非AP STAまたは非AP MLDの一方を対象とするフレームに、1つまたは複数のBUに関連する追加情報が存在するかどうかを示す、回路と、動作時に、フレームをリンクにおいて送信する送信機と、を備えている、アクセスポイント(AP)、を提供する。
【0008】
第2の実施形態において、本開示は、AP MLDに関連付けられる非アクセスポイント(非AP)マルチリンクデバイス(MLD)に属する複数のステーション(STA)のうちのSTAであって、複数のSTAの各々が、非AP MLDの対応するリンクで動作しており、STAが、以下の構成要素、すなわち、動作時に、リンクにおいてフレームを受信する受信機であって、フレームがトラフィックインジケーションマップ(TIM)要素および存在ビットマップを含み、TIM要素が、非AP MLDのための1つまたは複数のバッファリングされたユニットの存在を示す部分仮想ビットマップ(PVM)を含み、存在ビットマップが、非AP MLDを対象とするフレームに、1つまたは複数のBUに関連する追加情報が存在するかどうかを示す、受信機と、動作時に、フレームを処理する回路と、を備えている、ステーション(STA)、を提供する。
【0009】
第3の実施形態において、本開示は、通信方法であって、トラフィックインジケーションマップ(TIM)要素および存在ビットマップを含むフレームを生成するステップであって、TIM要素が、APまたはAP MLDに関連付けられる非AP STAまたは非AP MLDの一方のための1つまたは複数のバッファリングされたユニットの存在を示す部分仮想ビットマップ(PVM)を含み、存在ビットマップが、非AP STAまたは非AP MLDの一方を対象とするフレームに、1つまたは複数のBUに関連する追加情報が存在するかどうかを示す、ステップと、フレームをリンクにおいて送信するステップと、を含む、方法、を提供する。
【0010】
開示されている実施形態の追加の恩恵および利点は、本明細書および図面から明らかになるであろう。これらの恩恵および/または利点は、本明細書および図面の様々な実施形態および特徴によって個別に得ることができ、そのような恩恵および/または利点の1つ以上を得るために、実施形態および特徴のすべてが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付の図は、以下の詳細な説明とともに本明細書に組み込まれてその一部を構成しており、様々な実施形態を図解し、本実施形態による様々な原理および利点を説明する役割を果たす。別々の図全体を通じて、類似する参照数字は同一または機能的に類似する要素を指す。
【
図1】TIM要素と、TIM要素のビットマップ制御(Bitmap Control)フィールドとを示している。
【
図2】マルチリンク電力管理およびトラフィック指示のための、AP MLDと非AP MLDとの間の通信を図解した概略図を示している。
【
図3】TIMビットマップと、リンクマッピングビットマップ(LMB:Link mapping bitmap)のセットとを示している。
【
図4】TIMビットマップおよびリンク推奨(LR:link recommendation)要素を示している。
【
図5】TIM要素におけるTIMビットマップ500、マルチリンク(ML)-TIM要素、およびLR要素を示している。
【
図6】TIMビットマップと、トラフィック識別子(TID)ビットマップとを示している。
【
図7】TIMビットマップと、TID指示とを示している。
【
図8】本開示による通信装置800の例示的な構成を図解した概略図を示している。
【
図9】本開示の様々な実施形態によるマルチリンクトラフィックマップに対応する通信方法を図解したフローチャートを示している。
【
図10】例示的なビーコンフレーム/TIMフレームを示している。
【
図11】例示的な関連識別子(AID:associated identifier)の割当てと、3つのリンクにおいてAP-MLDによってそれぞれ送信される3つの例示的なTIMビットマップを示している。
【
図12】TIMフレーム/ビーコンフレームにおける例示的なTIMビットマップ、例示的なLMB存在ビットマップ、および例示的なLMBセットを示している。
【
図13】TIMフレーム/ビーコンフレームにおける例示的なTIMビットマップ、例示的なLR存在ビットマップ、および例示的なLRビットマップセットを示している。
【
図14】TIMフレーム/ビーコンフレームにおける例示的なTIMビットマップ、例示的なリンクセット存在ビットマップ、例示的なリンクセットビットマップセット、および例示的なLRビットマップセットを示している。
【
図15】TIMフレーム/ビーコンフレームにおける例示的なTIMビットマップ、例示的なTID情報存在ビットマップ、および例示的なTID情報ビットマップセットを示している。
【
図16】TIMフレーム/ビーコンフレームにおける例示的なTIMビットマップ、例示的なAC情報存在ビットマップ、および例示的なAC情報ビットマップセットを示している。
【
図17】例示的なAIDの割当てと、AP MLDから3つのリンクにおいてそれぞれ送信される3つの例示的なTIMビットマップを示している。
【
図18】例示的なビーコンフレーム/TIMフレームを示している。
【
図19】ビーコンフレーム/TIMフレームにおける例示的なTIMビットマップおよび例示的なLMBセットを示している。
【
図20】別の例示的なビーコンフレーム/TIMフレームを示している。
【
図21】ビーコンフレーム/TIMフレームにおける例示的なTIMビットマップ、例示的なTID情報存在ビットマップ、および例示的なTID情報ビットマップセットを示している。
【
図22】AP MLDからリンクにおいて送信される例示的なTIMビットマップと、AC情報存在ビットマップおよびAC情報ビットマップセットの例示的なフォーマットを示している。
【
図23】ビーコンフレーム/TIMフレームにおけるTIMビットマップ、TID情報存在ビットマップ2304、およびTID情報ビットマップセットの例示的なフォーマットを示している。
【
図24】マルチリンクTIM(Multi-link TIM)要素の例示的なフォーマットを示している。
【
図25】ビーコンフレーム/TIMフレームにおける例示的なTIMビットマップ、例示的なマルチリンクTIMビットマップ、例示的なAC情報存在ビットマップ、および例示的なAC情報ビットマップセットを示している。
【
図26】マルチリンクTIMビットマップを含むマルチリンクTIM(Multi-link TIM)要素の例示的なフォーマットを示している。
【
図27】通信デバイスと、通信デバイスに属する3つの通信装置の例示的な構成を示している。通信デバイスはAP MLDとして実施されており、属する通信装置の各々は、本開示によるマルチリンクトラフィックインジケーションマップに対応するように構成されたAPとして実施することができる。
【
図28】通信デバイスと、通信デバイスに属する3つの通信装置の例示的な構成を示している。通信デバイスは、非AP MLDとして実施されており、属する通信装置の各々は、本開示によるマルチリンクトラフィックインジケーションマップに対応するように構成されたSTAとして実施することができる。
【0012】
図中の要素は、簡潔さおよび明瞭さを目的として示してあり、必ずしも正しい縮尺では描かれていないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、図解、ブロック図、またはフローチャートにおけるいくつかの要素の寸法は、本実施形態の正確な理解を助けるために、他の要素に対して誇張されていることがある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明は、単に例示的なものであり、実施形態または実施形態の適用および用途を限定することを意図するものではない。さらに、先の背景技術または発明を実施するための形態のセクションに提示されている理論に拘束されるように意図するものではない。さらには、添付の図面および本開示の背景と合わせて考慮される、以下の詳細な説明および添付の請求項から、他の望ましい特徴および特性が明らかになるであろう。
【0014】
IEEE 802.11(Wi-Fi)技術の文脈では、ステーション(同義語としてSTAとも呼ばれる)とは、802.11プロトコルを使用する能力を有する通信装置である。IEEE 802.11-2020の定義に基づくと、STAは、IEEE 802.11準拠のメディアアクセス制御(MAC)および無線媒体(WM)への物理層(PHY)インターフェースを含む任意のデバイスとすることができる。
【0015】
例えば、STAは、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)環境におけるノ-トパソコン、デスクトップパソコン(PC)、携帯情報端末(PDA)、アクセスポイント(AP)またはWi-Fi電話であってよい。STAは固定であっても移動可能であってもよい。WLAN環境では、「STA」、「無線クライアント」、「ユーザ」、「ユーザデバイス」、および「ノード」という用語は、しばしば同義語として使用される。
【0016】
同様に、AP(IEEE 802.11(Wi-Fi)技術の文脈では同義語として無線アクセスポイント(WAP:wireless access point)とも呼ばれる)は、WLAN内のSTAが有線ネットワークに接続することを可能にする通信装置である。APは、通常ではスタンドアロンデバイスとして(有線ネットワークを介して)ルーターに接続するが、ルーターに組み込む、またはルーターにおいて使用することもできる。
【0017】
上述したように、WLAN内のSTAは、場合によってはAPとして機能することがあり、その逆も同様である。その理由として、IEEE 802.11(Wi-Fi)技術の文脈における通信装置は、STAハードウェアコンポーネントとAPハードウェアコンポーネントの両方を含むことができるためである。このようにして、通信装置は、実際のWLANの条件および/または要件に基づいて、STAモードとAPモードとの間で切り替えることができる。
【0018】
本開示の様々な実施形態において、マルチリンクデバイス(MLD)とは、2つ以上の周波数帯域またはリンク(2.4GHz、5GHz、または6GHz)で動作するデバイスを指す。MLDは、2つ以上のリンクに対応する2つ以上の通信装置を備えていることができ、各通信装置が特定の周波数帯域またはリンクで動作する。簡潔さのため、本開示に示したMLDの各リンクは、そのMLDに属する多数の通信装置の1つに関連しており、これらの通信装置は、特定の周波数帯域(2.4GHz、5GHz、または6GHz)で動作し、そのMLDに属さない別の通信装置(その特定の周波数帯域で動作する)との間で信号を送信/受信するように主に構成されている。
【0019】
本開示の様々な実施形態において、特に指定しない限り、非MLD STA、11n STA、11ac STA、または11ax STAは、レガシー(HE/VHT/HT)STA、またはMLDに属さないEHT STAを指す。同様に、非MLD APは、MLDに属さないEHT APを指す。
【0020】
本開示の様々な実施形態において、部分仮想ビットマップ(PVM:partial virtual bitmap)フィールドは、APまたはAP MLDによってリンク上で送信されるフレームにおいて伝えられるトラフィックインジケーションマップ(TIM)要素のビットマップを指し、用語「PVM」または「部分仮想ビットマップ」は、TIMビットマップの同義語として使用されている。
【0021】
パワーセーブ(PS)モードで動作する非AP STAのためのバッファリングされたトラフィック(BU)を示すために、ビーコンフレームにおいてトラフィックインジケーションマップ(TIM)要素が伝えられる。
図1は、TIM要素と、TIM要素100のビットマップ制御(Bitmap Control)フィールドとを示している。TIM要素100は、要素識別子(Element identifier)(ID)フィールド、長さ(Length)フィールド、配信TIM(DTIM)カウント(Delivery TIM (DTIM) Count)フィールド、DTIM期間(DTIM Period)フィールド、ビットマップ制御(Bitmap Control)フィールド102、および部分仮想ビットマップ(Partial Virtual Bitmap)(PVB)フィールドを含む。ビットマップ制御(Bitmap Control)フィールド102は、トラフィックインジケータ(Traffic Indicator)フィールドおよびビットマップオフセット(Bitmap Offset)フィールドを含む。長さ(Length)フィールドは、(N
1+N
2)+4に設定され、ここでN
1は、トラフィックインジケーション仮想ビットマップにおける番号1~(N
1×8)-1のビットがすべて0であるような最大の偶数であり、N
2は、トラフィックインジケーション仮想ビットマップにおける番号(N
2+1)×8~2007までのビットがすべて0であるような最小の数であり、N
1およびN
2は、AID範囲の両端のTIMビットがすべて0に設定されているときにPVBフィールドで伝えられるTIMビットマップの実際の範囲をシグナリングするために使用される。PVBフィールドは、AIDに対してバッファリングされたBUが存在することを示すために、AIDに対して1に設定される。トラフィックインジケータは、1つまたは複数のグループアドレッシングされたメディアアクセス制御(MAC)サービスデータユニット(MSDU)/MAC管理プロトコルデータユニット(MMPDU)がAPにおいてバッファリングされているとき、DTIMカウント(DTIM Count)フィールドが0に設定されたTIM要素において1に設定される。1つまたは複数のグループアドレッシングされたMSDU/MMPDUがAPにおいてバッファリングされているとき、DTIMカウント(DTIM Count)フィールドが0に設定されたTIM要素において1に設定される。ビットマップオフセット(Bitmap Offset)フィールドは、値N
1/2を含む。
【0022】
マルチリンク電力管理では、有効なリンクで動作している非AP MLDの各STAは、自身の電力管理モードおよび電力状態を維持する。非AP MLDの各STAは、自身の電力管理モードまたは電力状態を独立して変更することができる。
図2は、マルチリンク電力管理およびトラフィック指示のためのAP MLD 202と非AP MLD 204との間の通信を図解した概略
図200を示している。有効なリンク上で動作する非AP MLD 204のSTA(例えばSTA1、STA2)がアクティブモードまたはパワーセーブモードアウェイク状態で動作している場合(例えばPM(電力管理モード)フィールドの値が0に設定されている)、そのリンク上でのフレーム交換は可能であるが、AP MLD 202が、関連する非AP MLD 204の所属STA(例えばSTA1、STA2)のためのバッファリングされたトラフィック(BU)を有する場合(所属STAはパワーセーブモードドーズ状態(例えばPM(電力管理モード)フィールドの値が1に設定されている)で動作している)、AP MLD 202側の対応する所属AP(例えばAP1、AP2)は、非AP MLD 204のためのバッファリングされたトラフィックを示すために、ビーコンフレームで伝えられるTIM要素を使用する。
【0023】
TID-リンクマッピングは、802.11beで導入された新しいメカニズムであり、このメカニズムにより、AP MLDと、マルチリンクセットアップを実行した非AP MLDは、ダウンリンク(DL)とアップリンク(UL)においてどのようにTIDが確立済みリンクにマッピングされるかを決定することができる。デフォルトでは、ULおよびDLの両方において、すべてのTIDがすべての確立済みリンクにマッピングされる。TIDが特定の方向(DL/UL)のリンクにマッピングされる場合、そのTIDに属するフレームの送信は、その方向において許可される。
【0024】
確立済みリンクは、少なくとも1つのTIDがそのリンクにマッピングされている場合には有効、TIDがそのリンクにマッピングされていない場合には無効と定義される。アドミッションコントロールが使用されていない限り、任意の時点において、TIDは常に少なくとも1つの確立済みリンクにマッピングされている。デフォルトでは、すべてのTIDがすべての確立済みリンクにマッピングされているため、すべての確立済みリンクが有効である。
【0025】
TIDがULにおいて非AP MLDの有効なリンクのセットにマッピングされている場合、非AP MLDは、この有効なリンクのセット内の任意のリンクを使用して、そのTIDを有するMSDUまたはA-MSDU(アグリゲーションMSDU)を伝えるフレームを送信することができる。TIDがDLにおいて非AP MLDの有効なリンクのセットにマッピングされている場合、非AP MLDは、この有効なリンクのセット内の任意のリンクにおいて、そのTIDに対応するバッファリングされたBUを取得することができ、一方でAP MLDは、それら有効なリンクに適用されるフレームの送信に関する既存の制限に従いながら、この有効なリンクのセット内の任意のリンクを使用して、そのTIDを有するMSDUまたはA-MSDUを伝えるフレームを送信することができる。
【0026】
従来、TIM要素はそのまま使用される。非AP MLDの場合、確立されているリンクの数に関係なく、非AP MLD毎にTIMビットが割り当てられる、すなわち、すべてのリンクにまたがって非AP MLDに1つのAIDが割り当てられる。非AP STA/MLDのTIMビットは、AP MLDが、非AP STA/MLDに送信するバッファリングされたフレームを有さない場合は、0に設定され、AP MLDが、使用される任意のリンク上で非AP STA/MLDに送信する1つまたは複数のバッファリングされたフレームを有する場合は、1に設定される。IEEE 802.11-2020仕様によれば、1~2007の範囲内の任意の値を、関連するSTAのAIDとして使用することができるが、本開示で使用される様々な例では、AP MLDは、1~255のAID範囲内で、関連する非AP STAおよび非AP MLDにAIDを割り当てる。
【0027】
従来のTIM要素に加えて、例えばLMBを伝える別の要素が定義され、自身のTIMビットが1に設定されている各非AP MLDを対象に、バッファリングされたデータとリンクのマッピングを示す。
【0028】
図3は、TIM要素におけるTIMビットマップ300と、LMBのセット302とを示している。AID 0を除くTIMビットマップの各ビットは、非AP STA/MLDのAIDに対応する。12、28、35、57、77のAIDに対応するTIMビットは1に設定されており、AP MLDが、AIDに関連付けられる対応するSTA/MLDに送信する1つまたは複数のバッファリングされたフレームを有することを示している。TIMビットマップ300において1に設定されている各ビットに対して、1つのLMBが存在する。この場合に非AP MLDは、TIMビットマップ300において1に設定されているビットの順序に基づいて、LMBセット302における自身のLMBの位置を計算する。従来、非AP MLDが自身のLMBを正しく見つけることができるように、レガシーSTAに対してもLMBが必要であり、なぜならTIMビットマップ300に基づいてレガシーSTAを識別することができないためである。一例では、1つのLMBのビット数は、非AP MLDの有効なリンクの数に一致する。
【0029】
非AP MLDは、TIM要素において、自身のAIDに対応するTIMビットが1に設定されていることを認識すると、そのAIDに対応するLMBをさらにチェックし、バッファリングされたトラフィックがマッピングされている(1つまたは複数の)特定のリンクを識別する。例えば、AID 28を有する非AP MLDは、自身のTIMビットが1に設定されているため、AP MLDが有効なリンクの1つにおいてバッファリングされたトラフィックを有することを認識する。次に非AP MLDは、自身のLMBの順序が2番目である(TIMビットマップにおいて1に設定されている2番目のビット)ことを認識し、LMBのセット302において2番目のLMBをチェックする。次に非AP MLDは、自身のLMBの第2ビットと第3ビットが1に設定されており、AP MLDがリンク2およびリンク3において非AP MLDのためのバッファリングされたトラフィックを有することを示しているものと認識する。
【0030】
従来の別の例では、AIDが非AP MLDに割り当てられ、TIM要素は非AP MLDそれぞれのBUステータスを示す。デフォルトのTID-リンクマッピングでは、TIDはすべての有効なリンクにマッピングされる。非AP MLDのAIDに対応するTIM要素のビットが1に設定されているとき、非AP MLDは有効なリンクのうちの任意のリンクを通じてバッファリングされたデータを取得できるが、AP MLDは、LR要素を使用して(1つまたは複数の)推奨リンクを示すことができる。LR要素では、非AP MLDにビットマップが割り当てられ、ビットマップの各ビットがリンクに対応付けられ、そのリンクの使用が推奨されるかどうかを示す。
【0031】
図4は、TIMビットマップ400およびLR要素402を示している。TIMビットマップ400では、非AP MLD 1のAIDおよび非AP MLD 3のAIDに関連付けられるTIMビット(ビット1およびビット3)が1に設定されており、AP MLDが、非AP MLD 1および非AP MLD 3に送信する1つまたは複数のバッファリングされたフレームを有することを示している。LR要素402は、TIMビットマップ400において1に設定されている各ビットに対するビットマップを含み、この場合、ビットマップ1およびビットマップ3は、非AP MLD 1および非AP MLD 3それぞれのための推奨されるリンクを示す。一例では、LRビットマップのビット数は、非AP MLDのための有効なリンクの数に一致する。ビットマップ1は値「1」、「0」、「0」を有し、非AP MLD 1がAP MLDからバッファリングされたフレームを取得するのに最初のリンクが推奨されることを示している。ビットマップ3は値「0」、「0」、「1」を有し、非AP MLD 3がAP MLDからバッファリングされたフレームを取得するのに3番目のリンクが推奨されることを示している。
【0032】
デフォルトのTID-リンクマッピングの他に、2つ以上のリンクを1つのリンクセットに分類することができ、異なるTIDを異なるリンクセットにマッピングすることもできる。新しいマルチリンク(ML)TIM要素を使用することによって、異なるリンクセットのBUステータスを示すことができる。ML TIM要素内のビットマップは、非AP MLDに割り当てられる。ビットマップの各ビットはリンクセットにマッピングされてBUステータスを示し、例えば、リンクセットに対して1つまたは複数のBUが存在する場合には1に、BUが存在しない場合には0に設定される。LR要素を使用して、リンクセット内の推奨リンクを示すこともできる。
【0033】
図5は、TIMビットマップ500、ML-TIM要素502、およびLR要素504を示している。TID 0~3は、リンク1およびリンク2から構成される第1のリンクセットにマッピングされており、一方、TID 4~7は、リンク3から構成される第2のリンクセットにマッピングされている。非AP MLD 1のAIDおよび非AP MLD 2のAIDに対応するTIMビット(ビット1およびビット2)が1に設定されており、AP MLDが、非AP MLD 1および非AP MLD 2に送信する1つまたは複数のバッファリングされたフレームを有することを示している。ML-TIM要素502は、TIM要素において1に設定されている各ビットに対するビットマップを含み、この場合、ビットマップ1およびビットマップ2は、非AP MLD 1および非AP MLD 2それぞれの、異なるリンクセットのBU状態を示している。ML-TIMビットマップ502のビット数は、リンクセットの数に一致する。ビットマップ1は、値「1」、「0」を有し、最初のリンクセットが非AP MLD 1のためのBUを有することを示し、ビットマップ2は、値「0」、「1」を有し、2番目のリンクセットが非AP MLD 2のためのBUを有することを示している。
【0034】
LR要素504は、リンクセット内の推奨されるリンクを示すビットマップをさらに含み、ビットマップ1は値「0」、「1」を有し、リンクセット1の2番目のリンク(すなわち非AP MLD 1のリンク2)が推奨されるリンクであることを示している。ビットマップ2は非AP MLD 2のための2番目のリンクセットを示し、2番目のリンクセットには1つのリンク(リンク3)のみが含まれるため、非AP MLD 2にはリンク3が推奨され、個別のLR要素は必要ない。
【0035】
従来のさらに別の例では、非AP MLDにAIDが割り当てられ、TIM要素は、非AP MLDそれぞれのBUステータスを示す。TIM要素において非AP MLDに対して1に設定されている各ビットに対するTIDビットマップ(TIDあたり8ビット)は、AP MLDが非AP MLDのための1つまたは複数のBUを有するTIDを示す。TIDビットマップの各ビットは、TID 0から開始して1つのTIDを表し、1に設定されているビットは、対応するTIDに属するバッファリングされたフレームがAP MLDに存在することを示す。STAは、TID-リンクマッピングを使用して、バッファリングされたMPDU(MACプロトコルデータユニット)を取得するためにどのリンクをウェイクアップさせるべきかを決定する。この例では、異なるTIDが異なるリンクにマッピングされているものと想定している。
【0036】
図6は、TIM要素におけるTIMビットマップ600と、TIDビットマップ602とを示している。TIMビットマップ600において、AID 27が割り当てられている1つの非AP STAと、AID 12、28、35、57、77が割り当てられている5つの非AP MLDに対応するTIMビットは1に設定されており、AP MLDが、対応するSTAおよびMLDにそれぞれ送信する1つまたは複数のバッファリングされたフレームを有することを示している。TIM要素において1に設定されている非AP MLDのTIMビットそれぞれに対して、8ビットのTIDが存在する。この場合、TIDビットマップ602は、AP MLDが、送信する1つまたは複数のバッファリングされたフレームを有している対象である5つのそれぞれの非AP MLDのための5つの8ビットTIDを含む。8ビットTIDは、それぞれの非AP MLDが、バッファリングされたMPDUをAP MLDから取得するためにどの(1つまたは複数の)リンクをウェイクアップさせるべきかを決定するために使用される。しかしながら、この例では、AID 27のレガシー非AP STAにもTID指示が必要であるかどうかが明らかではない。しかしながらこのTID指示がなければ、27より大きいAIDを有する非AP MLDは、自身の正しいTID指示を識別することができない。
【0037】
あるいは、APは、8ビットのTIDビットマップ602ではなく、3ビットを使用するシングルTIDをシグナリングする。
図7は、TIM要素におけるTIMビットマップ700と、TID 702とを示している。3ビットのTIDは、1に設定されているTIMビットに対応するAIDを有する各STA/MLDにシグナリングされ、複数のTIDに属するフレームが非AP MLDのためにAP MLDにおいてバッファリングされている場合、シグナリングされるTIDは、特定の実装に固有な基準に基づくことができる。APは、示されたTIDに属するMPDUを、STA/MLDがウェイクアップさせるリンク上で配信し、MPDUでは、APが非AP MLDのためのBUを有する追加のTIDをシグナリングするA-Control(TID制御)フィールドが伝えられる。留意すべき点として、たとえレガシーSTAがTID指示を認識しない場合でも、非AP MLDが正しいTID指示を見つけることができるように、レガシーSTAにもTID指示が必要である。
【0038】
前述したように、バッファリングされたBUに関する追加情報をシグナリングするために使用される方法(例えば
図3~7に示した、リンクマッピング、リンク推奨を有するリンクセット指示、およびTID指示)にかかわらず、非AP MLDがリンク/TID情報セット内の自身の位置を正しく把握するために、TIM要素内で1に設定された各ビットに対して追加のビットマップが必要である(レガシーSTAおよび非MLD EHT STAを含む)。したがって、上述した課題を解決し、MLDを含むWLANネットワークにおいてバッファリングされたBUに関する追加情報をシグナリングするために必要なオーバーヘッドを減らすために、マルチリンクトラフィックインジケーションマップに対応する通信装置および通信方法が必要とされている。
【0039】
本開示によれば、2つの解決策が提案される。具体的には、非AP STA/MLDのためのバッファリングされたBUに関連する対応するリンク/TID/AC情報がリンク/TID/AC情報セット内に存在するかどうかを示すために、存在ビットマップがビーコン/TIM/FILS発見/OPSフレーム内で伝えられる。存在ビットマップは、ビットが0に設定されている場合でも、リンクに関する暗黙的な情報を依然として伝えることができる。
【0040】
さらに、リンク/TID/AC情報セットにリンク/TID/AC情報が含まれている対象の非AP MLDに関連付けられる最小のAID(例えば最初の非AP MLDのAID)を示すために、「開始AID(Starting AID)」フィールドがビーコン/TIM/FILS発見/OPSフレームにおいて伝えられる。リンク/TID/AC情報セットのオーバーヘッドをさらに減らすために、レガシーSTA/非MLD超高スループット(EHT)STAへのAIDの割当て用と、非AP MLDへのAIDの割当て用とに、異なる部分(例えばAID空間)を予約することができる。
【0041】
図8は、本開示による通信装置800の例示的な構成を図解した概略図を示している。通信装置800は、APおよびSTAとして実施することができ、本開示によるマルチリンクトラフィックインジケーションマップに対応するように構成することができる。
図8に示したように、通信装置800は、回路814と、少なくとも1つの無線送信機802と、少なくとも1つの無線受信機804と、少なくとも1つのアンテナ812(簡潔さのため
図8には説明を目的として1つのアンテナのみが描かれている)と、を含むことができる。回路814は、少なくとも1つのコントローラ806を含むことができ、コントローラ806は、多入力多出力(MIMO)無線ネットワークにおける1つまたは複数の別の通信装置との通信の制御を含む、少なくとも1つのコントローラ806が実行するように設計されているタスクをソフトウェアおよびハードウェアの支援下で実行するために使用される。回路814は、さらに、少なくとも1つの送信信号生成器808および少なくとも1つの受信信号処理器810を含むことができる。少なくとも1つのコントローラ806は、少なくとも1つの無線送信機802を介して送信されるMACフレーム(例えば、データフレーム、管理フレーム、およびアクションフレーム)を生成するように、少なくとも1つの送信信号生成器808を制御することができ、さらに、1つまたは複数の別の通信装置から少なくとも1つの無線受信機804を介して受信されるMACフレーム(例えば、データフレーム、管理フレーム、およびアクションフレーム)を処理するように、少なくとも1つの受信信号処理器810を制御することができる。少なくとも1つの送信信号生成器808および少なくとも1つの受信信号処理器810は、
図8に示したように、上述した機能のために少なくとも1つのコントローラ806と通信する、通信装置800の独立したモジュールとすることができる。あるいは、少なくとも1つの送信信号生成器808および少なくとも1つの受信信号処理器810を、少なくとも1つのコントローラ806に含めることができる。これらの機能モジュールの配置は柔軟であり、実際のニーズおよび/または要件に応じて変化してもよいことが当業者には理解されるであろう。データ処理装置、記憶装置、および他の関連する制御装置を、適切な回路基板および/またはチップセットに設けることができる。様々な実施形態において、動作時、少なくとも1つの無線送信機802、少なくとも1つの無線受信機804、および少なくとも1つのアンテナ812を、少なくとも1つのコントローラ806によって制御することができる。
【0042】
通信装置800は、動作時に、マルチリンクトラフィックインジケーションマップに必要な機能を提供する。例えば、通信装置800は、AP MLDに属する複数のAPのうちのAPであってよく(複数のAPの各々が、AP MLDの対応するリンクで動作する)、回路(例えば回路814の少なくとも1つの送信信号生成器808)は、動作時に、トラフィックインジケーションマップ(TIM)要素および存在ビットマップを含むフレームを生成する。TIM要素は、APまたはAP MLDに関連付けられる非AP STAまたは非AP MLDの一方のための1つまたは複数のバッファリングされたユニットの存在を示す部分仮想ビットマップ(PVM)を含み、存在ビットマップは、非AP STAまたは非AP MLDの一方を対象とするフレームに、1つまたは複数のBUに関連する追加情報が存在するかどうかを示す。無線送信機802は、動作時に、フレームをリンクにおいて送信することができる。
【0043】
例えば、通信装置800は、AP MLDに関連付けられる非AP MLDに属する複数のSTAのうちのSTAであってよく(複数のSTAの各々は、非AP MLDの対応するリンクで動作する)、無線受信機804は、動作時に、リンク上でフレームを受信する。このフレームは、トラフィックインジケーションマップ(TIM)要素および存在ビットマップを含み、TIM要素は、非AP MLDのための1つまたは複数のバッファリングされたユニットの存在を示す部分仮想ビットマップ(PVM)を含み、存在ビットマップは、非AP MLDを対象とするフレームに、1つまたは複数のBUに関連する追加の情報が存在するかどうかを示す。回路(例えば、回路814の少なくとも1つの受信信号処理器810)は、動作時に、フレームを処理することができる。
【0044】
一実施形態において、通信装置800によって送信/受信されるフレームは、1つまたは複数のBUに関連する追加情報がフレーム内に存在する最小のAIDを示す開始AID(関連識別子)をさらに含む。さらに別の実施形態では、TIM要素のPVMの第1の部分が、レガシーSTAおよび非MLD EHT STAに割り当てられるAIDに関連付けられており、TIM要素のPVMの第2の部分が、非AP MLDに割り当てられるAIDに関連付けられており、TIM要素の第1の部分と第2の部分は重複しない。
【0045】
図9は、本開示の様々な実施形態によるマルチリンクトラフィックマップのための通信方法を図解したフローチャート900を示している。ステップ902において、トラフィックインジケーションマップ(TIM)要素および存在ビットマップを含むフレームを生成するステップが実行され、TIM要素は、APまたはAP MLDに関連付けられる非AP STAまたは非AP MLDの一方のための1つまたは複数のバッファリングされたユニットの存在を示す部分仮想ビットマップ(PVM)を含み、存在ビットマップは、非AP STAまたは非AP MLDの一方を対象とするフレームに、1つまたは複数のBUに関連する追加情報が存在するかどうかを示す。ステップ904において、フレームをリンクにおいて送信するステップが実行される。
【0046】
図10は、例示的なビーコンフレーム/TIMフレーム1000を示している。ビーコンフレーム/TIMフレームのフォーマットが示されているが、同じフォーマットを、高速初期リンク設定(FILS)発見(Fast Initial Link Setup (FILS) Discovery)フレームまたは動作(OPS)(Operation (OPS))フレームに適用できることが理解されるであろう。ビーコンフレーム/TIMフレーム1000は、部分仮想ビットマップ(PVM)1008を含むTIM要素1002と、リンク/TID/AC情報存在ビットマップ1004と、関連するMLDの各々のリンク/TID/AC情報を含むリンク/TID/AC情報セット1006とを伝える。存在ビットマップ1004は、非AP MLDのためのバッファリングされたBUに関連する対応するリンク/TID/AC情報が、存在ビットマップ1004に存在するかどうかを示す。
【0047】
リンク/TID/AC情報存在ビットマップ1004は、TIM要素1002において1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1ビットを、PVB 1008と同じ順序で含む。存在ビットマップ1004のビットは、リンク/TID/AC情報の対応するエントリがリンク/TID/AC情報セット1006に存在する場合は1に設定され、そうでない場合は0に設定される。
【0048】
レガシーSTAに対応するビットは常に0に設定される。一方で、MLDに対応するビットは、MLDのためのリンク/TID/AC情報がリンク/TID/AC情報セット1006内に存在する場合、例えば、AP MLDが非AP MLDのためのBUを他のリンクにおいてバッファリングしている場合、またはAP MLDが他のリンクでBUを取得するように非AP MLDに推奨する場合、またはAP MLDが他のリンクにマッピングされているTIDのBUをシグナリングする必要がある場合には、1に設定される。それ以外の場合は0に設定される。例えば、AP MLDが、TIM要素を伝えるTIMフレーム/ビーコンフレーム1000が送信される同じリンク(本明細書では「現在のリンク」と称するが、「送信リンク」と称してもよい)において非AP MLDのためのBUをバッファリングしている場合、またはAP MLDが、現在のリンクにおいてBUを取得するように非AP MLDに推奨する場合、または非AP MLDのためのすべてのBUが、現在のリンクに排他的にマッピングされているTIDに属する場合、または、1つのリンクにおいてのみビーコンをリッスンするシングルリンクEHT STAまたはシングルリンク非AP MLDに対して、ビットがすべてのリンクで0に設定される。有利なことに、0に設定されたビットは、依然として現在のリンクに関する暗黙的な情報を伝え、リンク/TID/AC情報は、情報を必要とするMLDに対してのみ存在する。ビーコンフレーム/TIMフレーム1000内の存在ビットマップ1004を使用して、非AP MLDは、PVB 1008内の自身の対応するビットが1に設定されていれば、存在ビットマップ1004内の自身の対応するビットをチェックし、存在ビットマップ1004内の自身のビットが1に設定されていれば、リンク/TID/AC情報セット1006内の対応するエントリをさらにチェックして、リンク/TID/ACに関連するBUについてのさらなる情報を得るように構成されている。
【0049】
本開示によれば、すべてのリンクにわたって同じAIDがMLDに割り当てられるが、レガシーには各リンクにおいて一意のAIDが割り当てられ、すなわち異なるリンクでは、異なるレガシーSTAに同じAIDが割り当てられてもよい。有利なことに、AP MLDによってAIDがどのように割り当てられるかについて制限はない。
【0050】
図11は、例示的なAIDの割当てと、3つのリンクにおいてそれぞれAP-MLDによって送信される3つの例示的なTIMビットマップ1100,1110,1120を示している。3つのリンク(リンク1、リンク2、リンク3)すべてで動作するMLD 1,2,3と、シングルリンクMLD 4は、それぞれ、3つのリンクにわたって同じAID 12,28,57,77に割り当てられており、レガシーSTAは、それぞれの動作リンクにおいて一意のAIDに割り当てられている。注目すべき点として、リンク1およびリンク2では同じAID 35が、それぞれ異なるレガシーSTA(レガシー1およびレガシー2)に割り当てられているが、リンク3ではAID 35が割り当てられていない。添付の
図12~16を参照しながら以下に説明する本開示の様々な実施形態は、例示的なTIMビットマップ1100において使用されている例示的なAID割当てに基づいている。
【0051】
一実施形態では、
図10に示した存在ビットマップ1004はリンクマッピングビットマップ(LMB)とすることができ、
図10に示したリンク/TID/AC情報セット1006はLMBセットであり、存在ビットマップが、LMBセット内に対応するLMBが存在するかどうかを示す。レガシーSTAに対応するビットは常に0に設定される。一方でMLDに対応するビットは、例えばTID-リンクマッピングにより、またはMLDがそのリンク上でのみ動作するなどの理由で、BUが、TIM要素を伝えるTIMフレーム/ビーコンフレームが送信されるリンク上でのみ利用可能である場合、0に設定され、BUが他のリンク上でも利用可能である場合、1に設定される。LMB存在ビットマップは、TIMビットマップにおいて1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1ビットを、TIMビットマップと同じ順序で含み、LMBセットは、LMB存在ビットマップにおいて1に設定されているビットに対してそれぞれ1つのLMBを、LMB存在ビットマップと同じ順序で含む。有利なことに、LMB存在ビットマップにおいて0に設定されているビットは、対応する非AP MLDが現在のリンクでBUを取得するのみでよいことを示し、LMBセットにLMBが必要なく、リンク/TID/AC情報のオーバーヘッドが減少する。
【0052】
図12は、TIMフレーム/ビーコンフレームにおける例示的なTIMビットマップ1200と、例示的なLMB存在ビットマップ1202と、例示的なLMBセット1204を示している。TIMビットマップ1200において、MLD 1、MLD 2、レガシー1、MLD 3、およびシングルリンクMLD 4にそれぞれ割り当てられているAID 12、28、35、57、および77に対応するTIMビットは1に設定されており、AP MLDが、これらのSTA/MLDに送信する1つまたは複数のバッファリングされたフレームを有することを示している。LMB存在ビットマップ1202は、TIMビットマップ1200において1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1ビットを、TIMビットマップ1200と同じ順序で含み、したがってLMB存在ビットマップ1202は、5ビットの合計サイズを有する。
【0053】
この例では、TIMフレーム/ビーコンフレームを送信するAP MLDは3つのリンク(リンク1、リンク2、リンク3)で動作し、リンク1(本明細書では現在のリンクと称する)で送信されるTIMフレーム/ビーコンフレームが図示されている。MLD 1は、リンク1にマッピングされたTIDのBUのみを有し、一方でMLD 4は、この例ではリンク1でのみ動作する。MLD 1およびMLD 4のTIDのBUは現在のリンク(リンク1)にマッピングされているため、MLD 1およびMLD 4のための追加情報は必要なく、LMBセットには、MLD 2およびMLD 3のためのLMBのみが存在する、または必要である。MLD 1およびMLD 4に対応するLMB存在ビットマップ1202の第1ビットおよび第5ビットは0に設定されており、BUが現在のリンク(リンク1)でのみ利用可能であることを示している。一方で、MLD 2およびMLD 3に対応するLMB存在ビットマップ1202の第2ビットおよび第4ビットは1に設定されており、MLD 2およびMLD 3のBUが他のリンク(リンク2、リンク3)でも利用可能であることを示している。レガシー1はレガシーSTAであり、したがってレガシー1に対応するLMB存在ビットマップ1202の第3ビットは、常に0に設定される。
【0054】
LMBセット1204は、LMB存在ビットマップ1202において1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1つのLMBを、LMB存在ビットマップ1202と同じ順序で含む。この場合、各LMBは、3つの異なるリンク(リンク1、リンク2、リンク3)に対応する3つのビットを含み、したがってLMBセット1204は、6ビットの合計サイズを有する。MLDに対応するLMBのビットは、対応するリンクにおいてBUが利用可能であることを示すために1に設定される。この場合、MLD 2に対応するLMBセット1204の最初のLMBは、その第2ビットおよび第3ビットが1に設定されており、MLD 2のためのBUがリンク2およびリンク3において利用可能であることを示している。この例では、LMB存在ビットマップ1202(5ビット)およびLMBセット1204(6ビット)を使用するリンク/TID/AC情報の合計オーバーヘッドは、11ビットである。
【0055】
別の実施形態では、存在ビットマップ1004は、リンク推奨(LR)存在ビットマップとすることができ、リンク/TID/AC情報セット1006は、LRビットマップセットである。TIDがすべての有効なリンクにマッピングされるデフォルトのTID-リンクマッピングの場合、LR存在ビットマップは、対応するLRビットマップがLRビットマップセット内に存在するかどうかを示す。MLDに対応するビットは、TIM要素を伝えるTIMフレーム/ビーコンフレームが送信されるリンクが推奨される場合、またはAP MLDがリンク推奨を有さない場合には0に設定され、現在のリンク以外のリンクが推奨される場合には1に設定される。
【0056】
LR存在ビットマップは、TIMビットマップにおいて1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1ビットを、TIMビットマップと同じ順序で含み、LRビットマップセットは、LR存在ビットマップにおいて1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1つのLRビットマップを、LR存在ビットマップと同じ順序で含む。LMBとは異なり、現在のリンクはLRビットマップから除外されており、なぜならLR存在ビットマップの対応するビットを0に設定することによって現在のリンクを推奨できるためである。有利なことに、LR存在ビットマップにおいて0に設定されているビットは、対応する非AP MLDが現在のリンクにおいてBUを取得するのみでよいことを示し、LRビットマップセットにLRビットマップが必要なく、リンク/TID/AC情報のオーバーヘッドが減少する。
【0057】
図13は、TIMフレーム/ビーコンフレームにおける例示的なTIMビットマップ1300と、例示的なLR存在ビットマップ1302と、例示的なLRビットマップセット1304を示している。TIMビットマップ1300において、MLD 1、MLD 2、レガシー1、MLD 3、およびシングルリンクMLD 4にそれぞれ割り当てられているAID 12、28、35、57、および77に対応するTIMビットは1に設定されており、AP MLDが、これらのSTA/MLDに送信する1つまたは複数のバッファリングされたフレームを有することを示している。LR存在ビットマップ1302は、TIMビットマップ1300において1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1ビットを、TIMビットマップ1300と同じ順序で含み、したがってLR存在ビットマップ1302は5ビットの合計サイズを有する。
【0058】
この例では、TIMフレーム/ビーコンフレームを送信するAP MLDは3つのリンク(リンク1、リンク2、リンク3)で動作し、TIMフレーム/ビーコンフレームはリンク1(本明細書では現在のリンクと称する)で送信される。MLD 1は、リンク1にマッピングされたTIDのBUのみを有し、一方でMLD 4はリンク1でのみ動作する。MLD 1およびMLD 4のTIDのBUは現在のリンク(リンク1)にマッピングされているため、MLD 1およびMLD 4の追加情報は必要なく、LRビットマップセット1304にはMLD 2およびMLD 3のLRビットマップのみが存在する、または必要である。MLD 1およびMLD 4に対応するLR存在ビットマップ1302の第1ビットおよび第5ビットは0に設定されており、BUが現在のリンク(リンク1)でのみ利用可能であることを示しており、一方、MLD 2およびMLD 3に対応するLR存在ビットマップ1302の第2ビットおよび第4ビットは1に設定されており、MLD 2およびMLD 3のBUが他のリンク(リンク2、リンク3)上でも利用可能であることを示している。レガシー1はレガシーSTAであり、したがってレガシー1に対応するLR存在ビットマップ1302の第3ビットは、常に0に設定される。
【0059】
LRビットマップセット1304は、LR存在ビットマップ1202において1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1つのLRを、LR存在ビットマップ1202と同じ順序で含む。この場合、各LRビットマップは、現在のリンク(リンク1)以外の2つの異なるリンク(リンク2、リンク3)に対応する2つのビットを含み、したがってLRビットマップセット1304は、4ビットの合計サイズを有する。MLDに対応するLRビットマップのビットが1に設定されると、現在のリンク以外のリンクにおけるBUが推奨されることを示す。この場合、LRビットマップセット1304の最初のLRビットマップは、MLD 2に関連付けられており、第1ビットが1に設定されており、リンク2がMLD 2に推奨されることを示している。LRビットマップセット1304の2番目のLRビットマップは、MLD 3に関連付けられており、第2ビットが1に設定されており、リンク3がMLD 3に推奨されることを示している。LR存在ビットマップ1302(5ビット)およびLRセット1304(4ビット)を使用するリンク/TID/AC情報の合計オーバーヘッドは、9ビットである。
【0060】
LR存在ビットマップおよびLRビットマップセットは、デフォルトのTID-リンクマッピングにおいて使用される以外に、異なるTIDが異なるリンクセットにマッピングされるときにも使用することができる。ここで、リンクセットとは、有効なリンクのうちの1つまたは複数のリンクが1つのリンクセットに分類されるものである。このような場合、存在ビットマップはリンクセット存在ビットマップとすることができ、リンク/TID/AC情報セットはリンクセットビットマップセットである。リンクセット存在ビットマップは、リンクセットビットマップセットの中に対応するリンクセットビットマップが存在するかどうかを示す。MLDに対応するビットは、TIM要素を伝えるTIMフレーム/ビーコンフレームが送信されるリンクがリンクセット内の唯一のリンクであり、かつこのリンクセットにおいてのみBUが存在する場合には0に設定され、他のリンクセットにおいてBUが存在する場合には1に設定される。
【0061】
リンクセット存在ビットマップは、TIMビットマップにおいて1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1ビットを、TIMビットマップと同じ順序で含み、リンクセットビットマップセットは、リンクセット存在ビットマップにおいて1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1つのリンクセットビットマップを、リンクセット存在ビットマップと同じ順序で含む。LRビットマップセットは、リンクセットビットマップセットにおいて1に設定されたビットをさらに使用して、リンクセット内のリンクのうちBUが存在するリンクを示すことができる。
【0062】
図14は、例示的なTIMビットマップ1400と、例示的なリンクセット存在ビットマップ1402と、例示的なリンクセットビットマップセット1404と、例示的なLRビットマップセット1406を示している。TIMビットマップ1400において、MLD 1、MLD 2、レガシー1、MLD 3、およびシングルリンクMLD 4にそれぞれ割り当てられているAID 12、28、35、57、および77に対応するTIMビットは1に設定されており、AP MLDが、これらのSTA/MLDに送信する1つまたは複数のバッファリングされたフレームを有することを示している。リンクセット存在ビットマップ1402は、TIMビットマップ1400において1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1ビットを、TIMビットマップ1400と同じ順序で含み、したがってリンクセット存在ビットマップ1402は、5ビットの合計サイズを有する。
【0063】
この例では、TIMフレーム/ビーコンフレームを送信するAP MLDは3つのリンク(リンク1、リンク2、リンク3)で動作し、TIMフレーム/ビーコンフレームはリンク3(本明細書では現在のリンクまたは現在のリンクセットと称する)で送信される。TID 0~3はリンク1およびリンク2にマッピングされており、したがってリンク1およびリンク2をリンクセット(リンクセット1)に分類することができ、TID4~7は、別のリンクセット(リンクセット2)として分類されるリンク3にマッピングされる。MLD 1およびMLD 2は、リンクセット2(すなわちリンク3)にマッピングされているTIDのBUのみを有し、一方でMLD 4はリンク3でのみ動作する。MLD 1、MLD 2、MLD 4のTIDのBUは、現在のリンクセット(リンクセット2またはリンク3)にマッピングされているため、MLD 1、MLD 2、およびMLD 4のための追加情報は必要なく、リンクセットビットマップセット1404にはMLD 3に対するリンクセットビットマップのみが存在する、または必要である。MLD 1、MLD 2、およびMLD 4に対応するリンクセット存在ビットマップ1402の第1ビット、第2ビット、および第5ビットは0に設定されており、BUが現在のリンクセット上でのみ利用可能であることを示しており、一方、MLD 3に対応するリンクセット存在ビットマップ1402の第4ビットは1に設定されており、BUが他のリンクセット(リンクセット1)上でも利用可能であることを示している。レガシー1はレガシーSTAであり、したがってレガシー1に対応するリンクセット存在ビットマップ1402の第3ビットは、常に0に設定される。
【0064】
リンクセットビットマップセット1404は、リンクセット存在ビットマップ1402において1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1つのリンクセットビットマップを、リンクセット存在ビットマップ1402と同じ順序で含む。この場合、各リンクセットビットマップは、2つの異なるリンクセット(リンクセット1、リンクセット2)に対応する2つのビットを含み、したがってリンクセットビットマップセット1404(1つのリンクセットビットマップのみを含む)は、2ビットの合計サイズを有する。MLDに対応するリンクセットビットマップのビットが1に設定されると、BUがそのリンクセットに存在することを示す。この場合、MLD 3に関連付けられるリンクセットビットマップセットの第1ビットが1に設定されており、MLD 3のためのBUがリンクセット1に存在することを示している。LRビットマップセット1406は、リンクセットビットマップセット1404において1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1つのLRビットマップを含む。リンクセットのリンクに対応するLRビットマップのビットは、BUがリンクセットのそのリンクに存在するかどうかを示す。この場合、MLD 3に関連付けられるLRビットマップセット1406のLRビットマップは、その第2ビットが1に設定されており、リンクセット1のリンク2にBUが存在することを示している。リンクセット存在ビットマップ1402(5ビット)、リンクセットビットマップセット1404(2ビット)、LRビットマップセット1406(2ビット)を使用するリンク/TID/AC情報の合計オーバーヘッドは、9ビットである。
【0065】
一実施形態では、
図10に示した存在ビットマップ1004は、TID情報存在ビットマップとすることができ、リンク/TID/AC情報セット1006は、TID情報ビットマップセットであり、TID情報存在ビットマップが、TID情報ビットマップセット内に対応するTID情報が存在するかどうかを示す。MLDに対応するビットは、バッファリングされたBUが、TIM要素を伝えるTIMフレーム/ビーコンフレームが送信されるリンクにマッピングされたTIDにのみ属する場合には0に設定され、他のリンクにマッピングされたTIDのBUもバッファリングされている場合には1に設定される。
【0066】
TID情報存在ビットマップは、TIMビットマップにおいて1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1ビットを、TIMビットマップと同じ順序で含み、TID情報ビットマップセットは、TID情報存在ビットマップにおいて1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1つのTID情報ビットマップを、TID情報存在ビットマップと同じ順序で含む。有利なことに、非AP MLDに対してTID情報存在ビットマップのビットが0に設定されている場合、その非AP MLDは現在のリンクにおいてBUを取得するのみでよく、TID情報ビットマップセットにTID情報ビットマップが必要なく、リンク/TID/AC情報のオーバーヘッドが減少する。
【0067】
図15は、TIMフレーム/ビーコンフレームにおける例示的なTIMビットマップ1500、TID情報存在ビットマップ1502、およびTID情報ビットマップセット1506を示している。TIMビットマップ1500において、MLD 1、MLD 2、レガシー1、MLD 3、およびシングルリンクMLD 4にそれぞれ割り当てられているAID 12、28、35、57、および77に対応するTIMビットが1に設定されており、AP MLDが、これらのSTA/MLDに送信する1つまたは複数のバッファリングされたフレームを有することを示している。TID情報存在ビットマップ1502は、TIMビットマップ1500において1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1ビットを、TIMビットマップと同じ順序で含み、したがってTID情報存在ビットマップは、5ビットの合計サイズを有する。
【0068】
この例では、TIMフレーム/ビーコンフレームを送信するAP MLDは3つのリンク(リンク1、リンク2、リンク3)で動作し、TIMフレーム/ビーコンフレームはリンク1(本明細書では現在のリンクと称する)で送信される。MLD 1はリンク1にマッピングされているTIDのBUのみを有し、一方でMLD 4はリンク1のみで動作する。MLD 1およびMLD 4のTIDのBUは現在のリンクにマッピングされているため、MLD 1およびMLD 4のための追加情報は必要なく、TID情報ビットマップセット1504にはMLD 2およびMLD 3のためのTID情報ビットマップのみが存在する、または必要である。MLD 1およびMLD 4に対応するTID情報存在ビットマップ1502の第1ビットおよび第5ビットは0に設定されており、MLD 1およびMLD 4のためのバッファリングされたBUが、現在のリンク(リンク1)にマッピングされているTIDにのみ属することを示している。これに対して、MLD 2およびMLD 3に対応するTID情報存在ビットマップ1502の第2ビットおよび第4ビットは1に設定されており、他のリンク(リンク2およびリンク3)にマッピングされているTIDのそれぞれのBUもバッファリングされていることを示している。レガシー1はレガシーSTAであり、したがってレガシー1に対応するTID情報存在ビットマップの第3ビットは、常に0に設定される。
【0069】
TID情報ビットマップセット1504は、TID情報存在ビットマップ1502において1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1つのTID情報ビットマップを、TID情報存在ビットマップ1502と同じ順序で含む。この場合、各TID情報ビットマップは、8つのTID(TID 0~7)に対応する8ビットを含み、したがってTID情報ビットマップセット1504は、16ビットの合計サイズを有する。MLDに対応するTID情報ビットマップのビットは、他のリンク(リンク2、リンク3)にマッピングされているそれぞれのTIDのBUもバッファリングされている場合、1に設定される。この場合、TID情報ビットマップセット1504のTID情報ビットマップは、MLD 2およびMLD 3に関連付けられており、その第2ビット~第7ビット(TID1~6に対応する)が1に設定されており、他のリンクにマッピングされているTID1~6のBUもバッファリングされていることを示している。この場合のTID情報存在ビットマップ1502(5ビット)およびTID情報ビットマップセット1504(16ビット)を使用するリンク/TID/AC情報の合計オーバーヘッドは、21ビットである。
【0070】
あるいは、TID情報ビットマップ(8ビット)の代わりに、
図7で説明した方法と同様に、シングルTID(3ビット)をシグナリングしてもよく、ただしTID情報存在ビットマップ1502において1に設定されているMLD(この場合にはMLD 2およびMLD 3)のビットに対してのみシグナリングする。
【0071】
また、一実施形態では、TID-リンクマッピングはアクセスカテゴリ(AC)ごとに行われ、すなわち、ACの2つのTIDは常に一緒にリンクにマッピングされ、これらが別々にリンクにマッピングされることはない。このような実施形態では、存在ビットマップはAC情報存在ビットマップとすることができ、リンク/TID/AC情報セットはAC情報ビットマップセットであり、AC情報存在ビットマップは、対応するAC情報がAC情報ビットマップセット内に存在するかどうかを示す。MLDに対応するビットは、TIM要素を伝えるTIMフレーム/ビーコンフレームが送信されるリンク(本明細書では現在のリンクと称する)にマッピングされているACのTIDのBUのみがバッファリングされている場合には0に設定され、他のリンクにマッピングされているACのTIDのBUもバッファリングされている場合には1に設定される。有利なことに、非AP MLDに対するAC情報存在ビットマップのビットが0に設定されている場合、その非AP MLDは、現在のリンクにおいてBUを取得するのみでよい。
【0072】
AC情報存在ビットマップは、TIMビットマップにおいて1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1ビットを、TIMビットマップと同じ順序で含み、AC情報ビットマップセットは、AC情報存在ビットマップにおいて1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1つのAC情報ビットマップを、AC情報存在ビットマップと同じ順序で含む。有利なことに、非AP MLDに対するAC情報存在ビットマップのビットが0に設定されている場合、その非AP MLDは現在のリンクにおいてBUを取得するのみでよく、AC情報ビットマップセットにはAC情報ビットマップが必要なく、リンク/TID/AC情報のオーバーヘッドが減少する。
【0073】
図16は、TIMフレーム/ビーコンフレームにおける例示的なTIMビットマップ1600、例示的なAC情報存在ビットマップ1602、および例示的なAC情報ビットマップセット1604を示している。TIMビットマップ1600において、MLD 1、MLD 2、レガシー1、MLD 3、およびシングルリンクMLD 4にそれぞれ割り当てられているAID 12、28、35、57、および77に対応するTIMビットは1に設定されており、AP MLDが、これらのSTA/MLDに送信する1つまたは複数のバッファリングされたフレームを有することを示している。AC情報存在ビットマップ1602は、TIMビットマップ1600において1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1ビットを、TIMビットマップ1600と同じ順序で含み、したがってTID情報存在ビットマップ1602は、5ビットの合計サイズを有する。
【0074】
この例では、TIMフレーム/ビーコンフレームを送信するAP MLDは、3つのリンク(リンク1、リンク2、リンク3)で動作し、TIMフレーム/ビーコンフレームはリンク1(本明細書では現在のリンクと称する)で送信される。4つのAC、すなわちAC_BK、AC_BE、AC_VI、およびAC_VOが存在する。4つのACの各々に2つのTIDがマッピングされる。ACとTIDのマッピングの一例を下の表1に示す。各ACの2つのTIDは、常にリンクにマッピングされる。この例では、AC_VOおよびAC_VIはリンク1およびリンク2にマッピングされ、AC_BEおよびAC_BKはリンク3にマッピングされている。
【0075】
MLD 1は、リンク1にマッピングされたACのBUのみを有し、一方でMLD 4はリンク1でのみ動作する。MLD 1およびMLD 4のACのBUは現在のリンクにマッピングされているため、MLD 1およびMLD 4のための追加情報は必要なく、AC情報ビットマップセット1604にはMLD 2およびMLD 3のためのAC情報ビットマップのみが存在する、または必要である。MLD 1およびMLD 4に対応するAC情報存在ビットマップ1602の第1ビットおよび第5ビットは0に設定されており、現在のリンク(リンク1)にマッピングされているACのTIDのBUのみがバッファリングされていることを示している。一方、MLD 2およびMLD 3に対応するAC情報存在ビットマップ1602の第2ビットおよび第4ビットは1に設定されており、他のリンク(リンク2およびリンク3)にマッピングされているACのそれらのBUもバッファリングされていることを示している。レガシー1はレガシーSTAであり、したがってレガシー1に対応するAC情報存在ビットマップ1602の第3ビットは、常に0に設定される。
【表1】
【0076】
AC情報ビットマップセット1604は、AC情報存在ビットマップ1602において1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1つのAC情報ビットマップを、AC情報存在ビットマップ1602と同じ順序で含む。この場合、各AC情報ビットマップは、4つのAC(AC_BK、AC_BE、AC_VI、AC_VO)に対応する4ビットを含み、したがってAC情報ビットマップセット1604は、8ビットの合計サイズを有する。この場合のAC情報存在ビットマップ1602(5ビット)およびAC情報ビットマップセット1604(8ビット)を使用するリンク/TID/AC情報の合計オーバーヘッドは、13ビットである。
【0077】
本開示によれば、レガシーSTA/非MLD超高スループット(EHT)STAへのAIDの割当て用と、非AP MLDへのAIDの割当て用とに、TIMビットマップの異なる部分(例えばAID空間)を予約することができ、このとき異なる部分は重複しない。
【0078】
図17は、例示的なAIDの割当てと、AP MLDから3つのリンクでそれぞれ送信される3つの例示的なTIMビットマップ1700,1710,1720を示している。この例では、(最大2007個のうち)255個の連続するAIDがAP MLDによって使用され、最初のAID(0)は、グループアドレッシングされるフレームを示すために使用され、STAには割り当てられない。続く30個のAID(1~30)は、レガシーSTAおよびシングルリンクEHT STA用に予約されており、残りのAID(31~255)が非AP MLD用に使用される。
【0079】
各TIMビットは、AIDにマッピングされる。したがって、AID 0に関連付けられる最初のTIMビットに続く、TIMビットマップの次の部分(この場合にはAID 1~30に関連付けられる部分)が、レガシーSTAおよび非MLD EHT STA用に予約され(本明細書では非MLD STAのAID空間と称する)、TIMビットマップの残りの部分が非AP MLD用に使用される(本明細書では非AP MLDのAID空間と称する)。有利なことに、このようなAIDの割当てにより、リンク/TID/AC情報のオーバーヘッドを減らすことができる。
【0080】
したがって、AIDの割当てにより、バッファリングされたBUに関連するリンク/AID/AC情報は、非AP MLDに対してのみ、リンク/AID/AC情報セット内に存在する。非AP MLDのAID空間におけるAIDのうち、リンク/AID/AC情報がリンク/TID/AC情報セットに含まれる最初の非AP MLDのAID(例えば最小のAID)を示すために、開始AID(Starting AID)フィールドを使用することができる。添付の
図19および
図21を参照しながら以下に説明する本開示の様々な実施形態は、例示的なTIMビットマップ1710に使用されている例示的なAID割当てに基づく。
【0081】
図18は、例示的なビーコンフレーム/TIMフレーム1800を示している。ビーコンフレーム/TIMフレームのフォーマットが示されているが、同じフォーマットを、高速初期リンク設定(FILS)発見(Fast Initial Link Setup (FILS) Discovery)フレームまたは動作(OPS)フレームに適用できることが理解されるであろう。ビーコンフレーム/TIMフレーム1800は、部分仮想ビットマップ(PVM)1808を含むTIM要素1802と、開始AID(Starting AID)フィールド1804と、関連するMLDの各々のリンク/TID/AC情報を含むリンク/TID/AC情報セット1806とを伝える。
【0082】
図19は、ビーコンフレーム/TIMフレームにおける例示的なTIMビットマップ1900およびLMBセット1904を示している。TIMビットマップ1900において、AP MLDが、使用されるいずれかのリンク上で非AP STA/MLDに送信する1つまたは複数のバッファリングされたフレームを有する場合、TIMビットが1に設定される。レガシー2、シングルリンクEHT STA、MLD 1、MLD 2、MLD 3、およびシングルリンクMLD 4にそれぞれ割り当てられているAID 11、12、35、57、77、255に対応するTIMビットは1に設定されており、AP MLDが、これらのSTA/MLDに送信する1つまたは複数のバッファリングされたフレームを有することを示している。
【0083】
開始AID(Starting AID)フィールド1902は、非AP MLDに割り当てられているAIDのうち、TIMビットが1に設定されている(すなわちリンク/TID/AC情報がフレーム内に存在する)最小のAIDを示す。この場合、開始AIDは35である。TIMビットマップにおける非AP MLDのAID空間の割当ておよび開始AIDにより、存在ビットマップが不要になり、したがってリンク/TID/AC情報のオーバーヘッドが減少する。
【0084】
非AP MLDは、開始AID(Starting AID)フィールド1902の開始AIDとTIMビットマップ1900とに基づいて、リンク/TID/AC情報セット内の自身の対応するリンク/TID/AC情報の位置を把握することができる。具体的には、35の開始AIDは、リンク/TID/AC情報セットの最初のエントリが、AID 35に割り当てられている非AP MLD(この場合にはMLD 1)に関連付けられていることを示す。
【0085】
図20は、別の例示的なビーコンフレーム/TIMフレーム2000を示している。リンク/TID/AC情報存在ビットマップ2005を開始AID(Starting AID)フィールド2004と一緒に使用して、リンク/TID/AC情報のオーバーヘッドをさらに減らすことができる。
【0086】
図21は、ビーコンフレーム/TIMフレームにおける例示的なTIMビットマップ2100、例示的なTID情報存在ビットマップ2104、および例示的なTID情報ビットマップセット2106を示している。TIMビットマップ2100において、レガシー2、シングルリンクEHT STA、MLD 1、MLD 2、MLD 3、およびシングルリンクMLD 4にそれぞれ割り当てられているAID 11、12、35、57、77、255のAIDに対応するTIMビットが1に設定されており、AP MLDが、これらのSTA/MLDに送信する1つまたは複数のバッファリングされたフレームを有することを示している。この例では、TIMはリンク2で送信され、開始AID(Starting AID)フィールド2102は、非AP MLDのAID空間の先頭(AID 31)に設定されている。TID情報存在ビットマップは、開始AID(Starting AID)フィールドが指すAID(すなわち31)から開始して、TIMビットマップにおいて1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1つのビットを含む。TIMビットマップ2100における非AP MLD AID空間の割当ておよび開始AID 2102を通じて、非MLD STAのAID空間(AID1~30)に対するTID情報存在ビットマップ2104が省略され、したがってリンク/TID/AC情報のオーバーヘッドが減少する。
【0087】
この例では、MLD 1は、リンク2にマッピングされているTIDのBUのみを有し、一方でMLD 4はリンク1でのみ動作し、したがってMLD 4のためのTID情報はリンク2に含まれない。MLD 1およびMLD 4のためのバッファリングされたBUの追加情報は必要なく、TID情報ビットマップセット2106には、MLD 2およびMLD 3のTID情報ビットマップのみが存在する、または必要である。MLD 2およびMLD 3に対応する、TID情報存在ビットマップ2104の第2ビットおよび第3ビットは1に設定されており、他のリンクにマッピングされているTIDのそれらのBUもバッファリングされていることを示している。
【0088】
TID情報ビットマップセットは、TID情報存在ビットマップ2104において1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1つのTID情報ビットマップを、TID情報存在ビットマップ2104と同じ順序で含む。この場合、MLD 2およびMLD 3のそれぞれについてシングルTID(3ビット)がシグナリングされ、したがってTID情報ビットマップセット2106は、6ビットの合計サイズを有する。3ビットのTIDである101および111は、MLD 2およびMLD 3に対してTID 5およびTID 7のBUがそれぞれバッファリングされていることをシグナリングする。他のTIDのBUが存在する場合、それらは示されたTIDに属する後続のデータフレームのA制御フィールドにおいてシグナリングされる。
【0089】
一実施形態では、多重BSSIDセットのメンバーであるAP(すなわち仮想AP)に対して、TIMビットマップのビット1~(2n-1)は、非送信BSSIDに対応する各AP(仮想AP)に対して1つまたは複数のグループアドレッシングされたフレームがバッファリングされていることを示すために使用され、非TxBSS識別子(NonTxBSSID)と呼ばれる。これらのビットは、BSS内のSTAに割り当てられない。さらに、いくつかのAIDは、AP MLDの他の所属APのグループアドレッシングされたBUの存在をシグナリングするために予約されてもよく、これらのAIDは、仮想APに割り当てられたAIDがある場合、その直後に発生してよい。またAP MLDは、関連する非AP STA/MLDのためのAID空間を適切に計画することによって、レガシーSTAのためのリンク/TID/AC情報のオーバーヘッドを減らすことができる。例えば、AP MLDは、APのために予約されている最後のAID(例えば3)の直後から始まるAID空間から、関連する非AP MLDにAIDを割り当てることができ、一方、関連する非MLD STAには、非AP MLDのために予約されているAID空間の後から始まるAID空間からAIDが割り当てられる。
【0090】
図22は、AP MLDからリンクで送信される例示的なTIMビットマップ2200と、AC情報存在ビットマップ2202およびAC情報ビットマップセット2204の例示的なフォーマットを示している。この例では、(最大2008個のうちの)255個の連続するAIDがAP MLDによって使用され、最初の4個のAID(0~3)が、4つの仮想APに対応するグループアドレッシングされたフレームを示すために使用され、続く200個のAID(4~203)が、複数のリンクで動作する非AP MLD用に予約され、残りのAID(204~255)が、レガシーSTAおよびシングルリンクEHT STA用に使用される。
【0091】
各TIMビットは、AIDにマッピングされる。したがって、TIMビットマップ2200の開始部分2211(この場合、AID 0~3に関連付けられるTIMビット)は、AP MLD用に予約されている(本明細書ではAP MLDのAID空間と称する)。AP MLDのAID空間2211に続いて、TIMビットマップの次の部分2212(この場合、AID11~203に関連付けられる部分)は、非AP MLD用に予約されており(本明細書では非AP MLDのAID空間と称する)、TIMビットマップの残りの部分2213は、レガシーSTAおよび非MLD EHT STA用に予約されている(本明細書では非MLD STAのAID空間と称する)。
【0092】
非AP MLDのAID空間2212は、TIMビットマップ2200内のAP用に予約されているAID空間2211の直後から(付加される形で)開始される。シングルリンクMLD(例えば
図22のシングルリンクMLD 4)にも、非MLD STAのAID空間からAIDを割り当てることができ、したがって非AP MLDのAID空間2212は、複数のリンク上で動作する非AP MLD用に排他的に予約される。AID空間を固定する代わりに、AID空間の境界が明確に定義されないことも可能である。例えば、複数のリンクで動作する非AP MLDには、最初の利用可能なAIDから開始して連続的にAIDが割り当てられ(例えば4、5、6、...など)、一方でレガシーSTAおよびシングルリンクEHT STAには、APのAID空間内の最後のAIDから開始して逆方向に連続的にAIDが割り当てられる(例えば255、254、253、...など)。有利なことに、AP用に予約されているAID空間(例えばNonTxBSS ID)は、すべての関連するSTAに認識されているため、開始AIDは既知であり、この方式では省略することができる。
【0093】
図22に戻り、このAIDの割当てを使用すると、バッファリングされたBUに関連するリンク/AID/AC情報は非AP MLDのみに対して存在し、一方でレガシーSTAおよび非MLD EHT STAはリンク/AID/AC情報セットに含まれないため、存在ビットマップには、非AP MLDのためのビットのみが必要である。MLD 1、MLD 2、MLD 3、シングルリンクMLD 4、MLD 1、MLD 2、MLD 3、およびシングルリンクMLD 4にそれぞれ割り当てられているAID 12、28、35、56、204、227、225に対応するTIMビットは、1に設定されており、AP MLDが、これらのSTA/MLDに送信する1つまたは複数のバッファリングされたフレームを有することを示している。この例では、TIMはリンク3で送信される。MLD 1は、リンク3にマッピングされているTIDのBUのみを有し、一方でMLD 4はリンク1でのみ動作するため、MLD 4のためのAC情報は含まれない。MLD 1およびMLD 4のためのバッファリングされたBUの追加情報は必要なく、AC情報ビットマップセット2204には、MLD 2およびMLD 3のためのAC情報ビットマップのみが存在する、または必要である。MLD 2およびMLD 3に対応するAC情報存在ビットマップ2202の第2ビットおよび第3ビットは1に設定されており、他のリンクにマッピングされたACのそれらのBUもバッファリングされていることを示している。
【0094】
AC情報ビットマップセット2204は、AC情報存在ビットマップ2202において1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1つのAC情報ビットマップを、AC情報存在ビットマップ2202と同じ順序で含む。この場合、各AC情報ビットマップは、4つのAC(AC_BK、AC_BE、AC_VI、AC_VO)に対応する4つのビットを含み、したがってAC情報ビットマップセット2204は、8ビットの合計サイズを有する。AC情報存在ビットマップ(3ビット)およびAC情報ビットマップセット(8ビット)を使用するリンク/TID/AC情報の合計オーバーヘッドは、11ビットである。
【0095】
さらに別の実施形態では、AIDの割当てに関する何らの制限がなくても、例えば開始AID(Starting AID)フィールドを使用して開始AIDを示すことで、開始AIDより小さいAIDを有するSTAを除外することにより、リンク/TID/AC情報のオーバーヘッドを減らすことができる。除外されるSTAは、レガシーSTA、非MLD EHT STA、さらにはリンク/TID/AC情報が存在しないMLDとすることができる。
【0096】
図23は、ビーコンフレーム/TIMフレームにおける例示的なTIMビットマップ2300と、例示的なTID情報存在ビットマップ2304と、例示的なTID情報ビットマップセット2306を示している。レガシー2、シングルリンクEHT STA、MLD 1、レガシー7、MLD 3、およびシングルリンクMLD 4にそれぞれ割り当てられているAID 11、12、35、57、77、255に対応するTIMビットは1に設定されており、AP MLDが、これらのSTA/MLDに送信する1つまたは複数のバッファリングされたフレームを有することを示している。AIDの割当てに関する何らかの制限がなければ、レガシーSTA(例えばレガシー7)のAIDと非AP MLDのAIDとが混在しうる。開始AID(Starting AID)フィールド2302は、リンク/TID/AC情報がリンク/TID/AC情報セットに含まれる最初の非AP MLDのAID(すなわち非AP MLDに関連付けられる最小のAID)を示すことができる。この場合、開始AID(Starting AID)フィールド2302は、開始AIDとして35を示す。これにより、TID情報ビットマップセットからレガシー2およびシングルリンクEHT STAが容易に除外される。レガシーSTAおよび非MLD EHT STAは、依然としてリンク/TID/AC情報セットに含まれるが、開始AIDよりも高いAIDを有するSTA(例えばレガシー7)のみである。
【0097】
TID情報存在ビットマップ2304は、TIMビットマップにおいて1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1ビットを、TIMビットマップ2300と同じ順序で含み、したがってTID情報存在ビットマップ2304は、4ビットの合計サイズを有する。この場合、TID情報存在ビットマップ2304では、MLD 1およびMLD 3に対応する第1ビットおよび第3ビットが1に設定されている。TID情報ビットマップセット2306は、TID情報存在ビットマップ2304において1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1つのTID情報ビットマップ(この場合は3ビットのシングルTID)を、TID情報存在ビットマップ2304と同じ順序で含む。この場合、TID情報存在ビットマップにおいて、MLD 1およびMLD 3に対応する第1ビットおよび第3ビットが1に設定されており、したがってTID情報ビットマップセット2306は6ビットのサイズを有する。この場合のTID情報存在ビットマップ2304(4ビット)およびTID情報ビットマップセット2306(6ビット)を使用するリンク/TID/AC情報の合計オーバーヘッドは、10ビットである。
【0098】
図24は、マルチリンクTIM(Multi-link TIM) 2400の例示的なフォーマットを示している。マルチリンクTIM 2400は、新規の要素とする、または、存在ビットマップおよびリンク/TID/AC情報セットを伝えるために定義されている、タイプフィールドが「Multi-link TIM」に設定されたマルチリンク要素とすることができる。マルチリンクTIM(Multi-link TIM)要素は、要素(Element)フィールドと、長さ(Length)フィールドと、要素ID拡張(Element ID Extension)フィールドと、タイプ(Type)フィールド(「Multi-link TIM」に設定されている)および存在ビットマップを含むマルチリンク制御(Multi-link Control)フィールドと、共通情報(Common Info)フィールドと、リンク情報(Link Info)フィールドとを含む。
【0099】
マルチリンク制御(Multi-link Control)フィールドの存在ビットマップ(Presence Bitmap)フィールドは、開始AID存在(Starting AID Present)フィールドおよび存在ビットマップサイズ存在(Presence Bitmap Size Present)フィールドをさらに含み、これらは、共通情報(Common Info)フィールドにおける開始AID(Starting AID)フィールドおよび存在ビットマップサイズ(Presence Bitmap Size)フィールドの存在を示すために使用される。共通情報(Common Info)フィールドは、リンク/TID/AC情報タイプ(Link/TID/AC Information Type)フィールド、開始AID(Starting AID)フィールド、および存在ビットマップサイズ(Presence Bitmap Size)フィールドをさらに含む。リンク情報(Link Info)フィールドは、リンク/TID/AC情報存在ビットマップ存在(Link/TID/AC Information Presence Bitmap Present)フィールド、リンク/TID/AC情報存在ビットマップ(Link/TID/AC Information Presence Bitmap)フィールド、およびリンク/TID/AC情報セット(Link/TID/AC Information Set)フィールドをさらに含む。リンク/TID/AC情報タイプ(Link/TID/AC Information Type)フィールドは、以下の表2に示されるように、リンク/TID/AC情報セット(Link/TID/AC Information Set)フィールドにおいてどのような種類の情報が伝えられるかを示す。存在ビットマップサイズ(Presence Bitmap Size)フィールドは、リンク/TID/AC情報存在ビットマップのサイズを示す。
【0100】
リンク/TID/AC情報存在ビットマップ(Link/TID/AC Information Presence Bitmap)フィールドは、リンク/TID/AC情報に、バッファリングされたBUに関するさらなる情報が存在するかどうかを示し、非AP MLDに対して設定される。リンク/TID/AC情報セット(Link/TID/AC Information Set)フィールドは、非AP MLDのそれぞれを対象に、バッファリングされたBUに関するさらなる情報を伝える。
【0101】
本開示によれば、レガシーSTA(11n、11ac、11ax STA)へのAIDの割当て用と、EHTデバイス(非MLD EHT非AP STA、および非AP MLD)へのAIDの割当て用とに、異なるAID空間が予約されていると想定すると、レガシーSTAのためのバッファリングされたBUをシグナリングするためだけに個別のTIM要素(例えば既存のベースラインTIM要素)を使用することができ、一方で、EHTデバイスのためのバッファリングされたBUをシグナリングするためだけに、マルチリンクTIM(Multi-link TIM)要素に新しいマルチリンクTIMビットマップが含まれる。グループアドレスBUを示すために使用されるAID(例えばAID 0、NonTxBSS ID、またはAP MLDのAID空間)は、レガシーSTAのためのTIMビットマップとEHTデバイスのためのマルチリンクTIMビットマップの両方で重複している。
【表2】
【0102】
図25は、ビーコンフレーム/TIMフレームにおける例示的なTIMビットマップ2500、例示的なマルチリンクTIMビットマップ2510、例示的なAC情報存在ビットマップ、および例示的なAC情報ビットマップセットを示している。この例では、(最大2008個のうち)1020個の連続するAIDがAP MLDによって使用される。510個の連続するAID(1~510)がレガシーSTAのために予約されており、残りのAID(511~1020)がEHTデバイスに使用される。したがって、TIMビットマップ2500は、レガシーデバイス(この場合にはAID 34および76にそれぞれ割り当てられているレガシー1およびレガシー2)のためのバッファリングされたBUを示すために専用に使用され、マルチリンクTIMビットマップ2510は、AID 512、528、535、557、および577にそれぞれ割り当てられているMLD 1、MLD 2、非MLD EHT STA 1、MLD 3、およびシングルリンクMLD 4などEHTデバイスのためのバッファリングされたBUを示すために専用に使用される。グループアドレスBUを示すために使用されるAID(この場合にはAID 0)は、2505によって示したように、マルチリンクTIMビットマップにおいて重複している。
【0103】
レガシーSTAはTIMビットマップ2500を復号するだけでよく、一方でEHT STAはマルチリンクTIMビットマップ2510を復号するだけでよい。マルチリンクビットマップにおいて、グループ/ブロードキャストアドレッシングされたフレームを示すために使用される(1つまたは複数の)重複しているビット2505の直後のビットは、EHTデバイス用に予約されているAID空間における最初のAIDに対応する。TIMビットマップにおけるビットの重複を避けるために、レガシーSTAへのAIDの割当て用と、EHTデバイスへのAIDの割当て用とに、異なるAID空間を予約することができる。
【0104】
バリエーションとして、すべての非MLD STAにレガシーSTAのAID空間からAIDを割り当て、ベースラインTIMを使用して非MLD STAのためのバッファリングされたBUを示すこともできる。非MLD STAとは、レガシーSTAと、MLDに属していないEHT STAを指す。
【0105】
さらなるバリエーションとして、シングルリンクMLDにレガシーSTAのAID空間からAIDを割り当てることもでき、したがって、レガシーSTAのAID空間が、レガシーSTAのみならず、シングルリンク上で動作するすべてのEHTデバイスのために排他的に予約され、シングルリンクMLDのためのバッファリングされたBUもベースラインTIMを使用して示すことができる。この場合、マルチリンクTIMビットマップは、非AP MLDのためのバッファリングされたBUを示すためだけに排他的に使用される。
【0106】
AC情報存在ビットマップ2502は、マルチリンクTIMビットマップ2510において1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1ビットを、マルチリンクTIMビットマップ2510と同じ順序で含み、したがってAC情報存在ビットマップ2502は、5ビットの合計サイズを有する。AC情報ビットマップセット2504は、AC情報存在ビットマップ2502において1に設定されている全てのビットに対してそれぞれ1つのAC情報ビットマップを、AC情報存在ビットマップ2502と同じ順序で含む。各AC情報ビットマップは、4つのACに対応する4つのビットを含む。この場合、AC情報存在ビットマップ2502において、MLD 2およびMLD 3に対応する第2ビットおよび第4ビットが1に設定されており、したがってAC情報ビットマップセットは8ビットのサイズを有する。この場合、EHTデバイスのための個別のTIM要素、すなわちAC情報存在ビットマップ2502(5ビット)、およびAC情報ビットマップセット2504(8ビット)を使用するリンク/TID/AC情報の合計オーバーヘッドは、13ビットである。
【0107】
図26は、マルチリンクTIMビットマップを含むマルチリンクTIM(Multi-link TIM)要素2600の例示的なフォーマットを示している。マルチリンクTIM 2600は、要素(Element)フィールドと、長さ(Length)フィールドと、要素ID拡張(Element ID Extension)フィールドと、「Multi-link TIM」に設定されたタイプ(Type)フィールドおよび存在ビットマップ(Presence Bitmap)フィールドを含むマルチリンク制御(Multi-link Control)フィールドと、共通情報(Common Info)フィールドと、リンク情報(Link Info)フィールドとを含む。
【0108】
マルチリンク制御(Multi-link Control)フィールドの存在ビットマップ(Presence Bitmap)フィールドは、開始AID存在(Starting AID Present)フィールド、マルチリンクTIM情報存在(Multi-link TIM Information Present)フィールド、および存在ビットマップサイズ存在(Presence Bitmap Size Present)フィールドをさらに含み、これらは、共通情報(Common Info)フィールドの開始AID(Starting AID)フィールド、マルチリンクTIM情報(Multi-link TIM Information)フィールド、および存在ビットマップサイズ(Presence Bitmap Size)フィールドの存在を示すために使用される。共通情報(Common Info)フィールドは、リンク/TID/AC情報タイプ(Link/TID/AC Information Type)フィールド、開始AID(Starting AID)フィールド、マルチリンクTIM情報(Multi-link TIM Information)フィールド、および存在ビットマップサイズ(Presence Bitmap Size)フィールドをさらに含む。リンク情報(Link Info)フィールドは、リンク/TID/AC情報存在ビットマップ存在(Link/TID/AC Information Presence Bitmap Present)フィールド、リンク/TID/AC情報存在ビットマップ(Link/TID/AC Information Presence Bitmap)フィールド、およびリンク/TID/AC情報セット(Link/TID/AC Information Set)フィールドをさらに含む。マルチリンクTIM情報(Multi-Link TIM Information)フィールドは、ビットマップ制御(Bitmap Control)フィールド、ビットマップ長(Bitmap Length)フィールド、およびマルチリンクTIMビットマップ(Multi-link TIM Bitmap)フィールドをさらに含む。ビットマップ制御(Bitmap Control)フィールドは、
図24で説明および図解したレガシーTIM要素におけるビットマップ制御(Bitmap Control)フィールドと同じ機能を有する。ビットマップ長(Bitmap Length)フィールドは、マルチリンクビットマップの長さをオクテット単位で示す。マルチリンクTIMビットマップ(Multi-Link TIM Bitmap)フィールドは、EHTデバイスまたは非AP MLDのみを対象として、バッファリングされたBUを示す。リンク/TID/AC情報タイプ(Link/TID/AC Information Type)フィールドは、上の表2と同様に、リンク/TID/AC情報セット(Link/TID/AC Information Set)フィールドにおいてどのような種類の情報が伝えられるかを示す。リンク/TID/AC情報存在ビットマップ(Link/TID/AC Information Presence Bitmap)フィールドは、リンク/TID/AC情報に、バッファリングされたBUに関するさらなる情報が存在するかどうかを示し、非AP MLDに対して設定される。リンク/TID/AC情報セット(Link/TID/AC Information Set)フィールドは、非AP MLDのそれぞれを対象に、バッファリングされたBUに関するさらなる情報を伝える。
【0109】
図27は、通信デバイス2700と、通信デバイス2700に属する3つの通信装置2712,2722,2732の例示的な構成を示している。通信デバイス2700はAP MLDとして実施されており、属する通信装置2712,2722,2732のそれぞれは、本開示における様々な実施形態による、マルチリンクトラフィックインジケーションマップに対応するように構成されたAPとして実施することができる。通信デバイス2700は、開始AID(Starting AID)フィールドを使用してマルチリンクTIM(Multi-link TIM)要素および存在ビットマップを生成するなど、上述した実施形態によるマルチリンクトラフィックインジケーションマッピングを行うように構成されているマルチTIM要素生成器2702を備えており、マルチリンクTIM(Multi-link TIM)要素は、通信装置に関連付けられる外部通信装置/デバイスのための1つまたは複数のバッファリングされたユニットの存在を示す部分仮想ビットマップ(PVM)を含み、存在ビットマップは、関連する外部通信装置/デバイスのための1つまたは複数のBUに関連する追加情報(例えばリンク/TID/AC情報)が存在するかどうかを示す。
【0110】
通信デバイス2700は、そのMLD MAC MLDアドレス2701を記憶する記憶モジュールを備えている。通信デバイス2700は、インターネット層および/またはDSと通信するために使用されるMAC SAP 2740をさらに備えている。通信デバイスに属する通信装置2712,2722,2732の各々は、リンク2718,2728,2738を提供し、これらのリンクは、別の外部通信装置/デバイスおよび/またはDSに送信する(例えば、開始AIDに関連する開始AID関連フィールドを使用してのマルチリンクTIM(Multi-link TIM)要素および存在ビットマップを含むフレームを送信する)ステップ、または別の外部通信装置/デバイスおよび/またはDSから別の信号を受信するステップに関連付けられ、これらのステップを行うことができる。属する通信装置2712,2722,2732の各々は、MAC層2714,2724,2734およびPHY(物理)層2716,2726,2736を備えており、PHY層は、対応するリンク2718,2728,2738を介して別の通信装置/デバイスとの間で信号を送信/受信するために使用される無線送信機、無線受信機、およびアンテナと接続している。一実施形態では、MAC層は、そのAP MACアドレス2715,2725,2735を記憶する記憶モジュールと、レガシーSTAとの間のトラフィックのためにインターネット層と直接通信するためのオプションのAP MAC SAPとを備えている。
【0111】
図28は、通信デバイス2800と、通信デバイス2800に属する3つの通信装置2812,2822,2832の例示的な構成を示している。通信デバイス2800は、非AP MLDとして実施されており、属する通信装置2812,2822,2832のそれぞれは、本開示における様々な実施形態によるマルチリンクトラフィックインジケーションマップに対応するように構成されたSTAとして実施することができる。通信デバイス2800は、開始AID(Starting AID)フィールドを使用してマルチリンクTIM(Multi-link TIM)要素および存在ビットマップを受信して処理するなど、上述した実施形態によるマルチリンクトラフィックインジケーションマッピングを行うように構成されているマルチTIM要素パーサー2802をさらに備えており、マルチリンクTIM(Multi-link TIM)要素は、通信デバイス2700のための1つまたは複数のバッファリングされたユニットの存在を示す部分仮想ビットマップ(PVM)を含み、存在ビットマップは、通信デバイス2800を対象として1つまたは複数のBUに関連する追加情報(例えばリンク/TID/AC情報)が存在しているかどうかを示す。
【0112】
通信デバイス2800は、そのMLD MAC MLDアドレス2801を記憶する記憶モジュールを備えている。通信デバイス2800は、インターネット層および/またはDSと通信するために使用されるMAC SAP 2840をさらに備えている。通信デバイスに属する通信装置2812,2822,2832の各々は、リンク2818,2828,2838を提供し、これらのリンクは、別の外部通信装置/デバイスおよび/またはDSから他の信号を受信/送信するステップに関連付けられており、これらのステップを行うことができる。属する通信装置2812,2822,2832の各々は、MAC層2814,2824,2834およびPHY(物理)層2816,2826,2836を備えており、PHY層は、対応するリンク2818,2828,2838を介して別の通信装置/デバイスとの間で信号を送信/受信するために使用される無線送信機、無線受信機、およびアンテナと接続している。一実施形態において、MAC層は、そのSTA MACアドレス2815,2825,2835を記憶する記憶モジュールと、レガシーAP/STAとの間のトラフィックのためにインターネット層と直接通信するためのオプションのSTA MAC SAPとを備えている。
【0113】
本開示は、ソフトウェア、ハードウェア、またはハードウェアと協働するソフトウェアによって実現することができる。上述した各実施形態の説明において使用されている各機能ブロックは、その一部または全体を、集積回路などのLSI(大規模集積回路)によって実現することができ、各実施形態において説明した各処理は、その一部または全体を、同一のLSIまたはLSIの組合せによって制御することができる。LSIは、個々にチップとして形成されていてもよいし、機能ブロックの一部またはすべてを含むように1つのチップを形成してもよい。LSIは、自身に結合されたデータ入出力部を含むことができる。ここでいうLSIは、集積度の違いに応じて、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼ばれることがある。しかしながらながら、集積回路を実施する技術はLSIに限定されず、専用回路、汎用プロセッサ、または特殊目的プロセッサを使用して実現されてもよい。さらに、LSIの製造後にプログラム可能なFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ:Field Programmable Gate Array)や、LSI内部に配置された回路セルの接続や設定を変更可能なリコンフィギュラブルプロセッサを用いてもよい。本開示は、デジタル処理またはアナログ処理として実現することができる。半導体技術やその他の派生技術の進歩により、将来の集積回路技術がLSIに置き換わった場合、その将来の集積回路技術を用いて機能ブロックを集積することも可能である。バイオテクノロジーを応用することもできる。
【0114】
本開示は、通信デバイスと称される、通信の機能を有する任意の種類の装置、デバイス、またはシステムによって実現することができる。
【0115】
そのような通信デバイスのいくつかの非限定的な例としては、電話(例えばセルラー(携帯)電話、スマートフォン)、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)(例えばラップトップ、デスクトップ、ネットブック)、カメラ(例えばデジタルスチル/ビデオカメラ)、デジタルプレーヤー(デジタルオーディオ/ビデオプレーヤー)、ウェアラブルデバイス(例えばウェアラブルカメラ、スマートウォッチ、トラッキングデバイス)、ゲーム機、電子書籍リーダー、遠隔医療/テレメディシン(リモート医療・医薬)装置、通信機能を提供する車両(例えば自動車、飛行機、船舶)、およびそれらの様々な組合せが挙げられる。
【0116】
本通信デバイスは、携帯型または可搬型に限定されず、非携帯型または据付け型である任意の種類の装置、デバイス、またはシステム、例えば、スマートホームデバイス(例:電化製品、照明、スマートメーター、制御盤)、自動販売機、および「モノのインターネット(IoT:Internet of Things)」のネットワーク内の任意の他の「モノ」などを含むこともできる。
【0117】
通信は、例えばセルラーシステム、無線LANシステム、衛星システム、およびこれらのさまざまな組合せを通じてデータを交換すること、を含むことができる。
【0118】
本通信デバイスは、本開示の中で説明した通信の機能を実行する通信装置に結合されたコントローラやセンサなどの装置を備えることができる。例えば、通信デバイスは、通信デバイスの通信機能を実行する通信装置によって使用される制御信号またはデータ信号を生成するコントローラまたはセンサ、を備えていることができる。
【0119】
本通信デバイスは、インフラストラクチャ設備、例えば、上の非限定的な例における装置等の装置と通信する、またはそのような装置を制御する基地局、アクセスポイント、および任意の他の装置、デバイス、またはシステムなどを、さらに含むことができる。
【0120】
ステーションの非限定的な例は、マルチリンクステーション論理エンティティ(すなわちMLDなど)に属する第1の複数のステーションに含まれるステーションとすることができ、マルチリンクステーション論理エンティティに属する第1の複数のステーションの一部として、第1の複数のステーションのステーションは、上位層への共通の媒体アクセス制御(MAC)データサービスインターフェースを共有し、共通のMACデータサービスインターフェースは共通のMACアドレスまたはトラフィック識別子(TID)に関連付けられている。
【0121】
したがって、本開示の実施形態は、特にマルチリンクのセキュアな再送信において、マルチリンク通信のスループット利得を十分に実現するために、複数のリンク上で動作する通信デバイスおよび通信方法を提供することを理解することができる。
【0122】
本実施形態のここまでの詳細な説明では、例示的な実施形態を提示してきたが、膨大な数の変形形態が存在することを理解されたい。さらに、例示的な実施形態は例であり、本開示の範囲、適用性、動作、または構成を何ら制限するようには意図していないことを理解されたい。むしろ、ここまでの詳細な説明は、例示的な実施形態を実施するための便利な指針を当業者に提供するものである。例示的な実施形態に記載された動作のステップおよび方法の機能および編成と、例示的な実施形態に記載されたデバイスのモジュールおよび構造には、添付の請求項に記載されている主題の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることを理解されたい。