(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174049
(43)【公開日】2024-12-13
(54)【発明の名称】建設機械の動作制御システム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20241206BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
E02F9/20 Q
E02F9/20 N
H04Q9/00 301B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024166836
(22)【出願日】2024-09-26
(62)【分割の表示】P 2021034911の分割
【原出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】福田 善文
(72)【発明者】
【氏名】中 拓久哉
(72)【発明者】
【氏名】坂本 博史
(72)【発明者】
【氏名】時田 充基
(57)【要約】
【課題】操作対象の建設機械をより確実に指定することができるとともに、正しい操作対象への指令が発行されたか否かをより容易かつより短い時間で確認することができる建設機械の動作制御システムを提供すること。
【解決手段】操作者によって操作装置で指定された周囲映像内の所定位置と端末姿勢検出装置により検出された施工管理端末の向きと端末位置検出装置により検出された施工管理端末の位置とに基づいて、施工現場での所定位置に対応する指定領域の位置を算出し、指定領域の位置と機械位置検出装置により検出された建設機械の位置情報とに基づいて、指定領域内に建設機械が存在するかを判定し、指定領域内に建設機械が存在すると判定された場合、制御情報として建設機械を停止させる停止制御情報を作成すると共に、停止制御情報を機械制御装置へ出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械を操作するための制御情報を作成する施工管理端末と、前記制御情報に基づいて前記建設機械の動作を制御する機械制御装置と、を備えた建設機械の動作制御システムにおいて、
前記施工管理端末の向きを検出する端末姿勢検出装置と、
前記施工管理端末の位置を検出する端末位置検出装置と、
前記建設機械の位置情報を検出する機械位置検出装置と、をさらに備え、
前記施工管理端末は、施工現場を撮影するカメラと、前記カメラが撮影した前記施工現場を周囲映像として表示する表示装置と、前記表示装置に表示された前記周囲映像内の所定位置を操作者が指定するための操作装置と、前記制御情報を作成する端末制御装置と、を有し、
前記端末制御装置は、
操作者によって前記操作装置で指定された前記周囲映像内の前記所定位置と前記端末姿勢検出装置により検出された前記施工管理端末の向きと前記端末位置検出装置により検出された前記施工管理端末の位置とに基づいて、前記施工現場での前記所定位置に対応する指定領域の位置を算出し、
前記指定領域の位置と前記機械位置検出装置により検出された前記建設機械の位置情報とに基づいて、前記指定領域内に前記建設機械が存在するかを判定し、
前記指定領域内に前記建設機械が存在すると判定された場合、前記制御情報として前記建設機械を停止させる停止制御情報を作成すると共に、前記停止制御情報を前記機械制御装置へ出力することを特徴とする建設機械の動作制御システム。
【請求項2】
請求項1記載の建設機械の動作制御システムにおいて、
前記建設機械の姿勢、および前記建設機械を操作するための前記制御情報からなる機械稼働情報を検出する機械稼働状態検出装置と、
をさらに備え、
前記機械制御装置と、前記機械位置検出装置と、前記機械稼働状態検出装置と、は前記建設機械に取り付けられており、
前記端末制御装置は、
前記機械稼働状態検出装置により検出された前記機械稼働情報から、前記建設機械の外郭形状を算出し、
前記指定領域の位置、前記建設機械の位置情報、および前記外郭形状に基づき、前記外郭形状が前記指定領域内に存在するかを判定し、
前記外郭形状が前記指定領域内に存在する場合、前記指定領域内に前記建設機械が存在すると判定することを特徴とする建設機械の動作制御システム。
【請求項3】
請求項1記載の建設機械の動作制御システムにおいて、
前記建設機械の姿勢、および前記建設機械を操作するための前記制御情報からなる機械稼働情報を検出する機械稼働状態検出装置と、
前記機械稼働状態検出装置により検出された前記機械稼働情報に基づいて前記建設機械を安定して停止可能かどうかを判定する停止可否判定装置と、
をさらに備え、
前記機械制御装置と、前記機械位置検出装置と、前記機械稼働状態検出装置と、前記停止可否判定装置と、は前記建設機械に取り付けられており、
前記停止可否判定装置は、
前記機械制御装置が前記停止制御情報を受信した場合、前記建設機械を安定して停止可能かどうかを判定し、
前記建設機械を安定して停止可能であると判定した場合は前記機械制御装置に前記建設機械を停止させ、
前記建設機械を安定して停止不可であると判定した場合は停止不可な状態であることを示す停止不可情報を前記施工管理端末に送信することを特徴とする建設機械の動作制御システム。
【請求項4】
請求項1記載の建設機械の動作制御システムにおいて、
前記端末制御装置は、
前記指定領域内に前記建設機械が複数存在すると判定される場合、前記端末位置検出装置にて検出された前記施工管理端末の位置と、前記機械位置検出装置にて検出された複数の前記建設機械の位置情報に基づき、複数の前記建設機械のうち、前記施工管理端末に最も近い位置に存在する前記建設機械を停止させる停止制御情報を出力することを特徴とする建設機械の動作制御システム。
【請求項5】
請求項1記載の建設機械の動作制御システムにおいて、
前記端末制御装置は、
前記指定領域内に前記建設機械が複数存在すると判定される場合、前記指定領域内に存在すると判定された全ての前記建設機械を停止させる停止制御情報を出力することを特徴とする建設機械の動作制御システム。
【請求項6】
請求項1記載の建設機械の動作制御システムにおいて、
前記端末制御装置は、
前記指定領域内に前記建設機械が複数存在すると判定される場合、前記指定領域内に存在すると判定された全ての前記建設機械の情報を前記表示装置に出力し、前記建設機械の情報を一覧表示させ、
複数の前記建設機械のうち前記操作者が前記操作装置によって前記一覧表示から選択した前記建設機械を停止させる停止制御情報を出力することを特徴とする建設機械の動作制御システム。
【請求項7】
建設機械を操作するための制御情報を作成する制御装置と、前記制御情報に基づいて前記建設機械の動作を制御する機械制御装置と、を備えた建設機械の動作制御システムにおいて、
施工現場を撮影するカメラと、
前記カメラの向きを検出するカメラ姿勢検出装置と、
前記カメラの位置を検出するカメラ位置検出装置と、
前記建設機械の位置情報を検出する機械位置検出装置と、
前記カメラが撮影した前記施工現場を周囲映像として表示する表示装置と、
前記表示装置に表示された前記周囲映像内の所定位置を操作者が指定するための操作装置と、をさらに備え、
前記制御装置は、
操作者によって前記操作装置で指定された前記周囲映像内の前記所定位置と前記カメラ姿勢検出装置により検出された前記カメラの向きと前記カメラ位置検出装置により検出された前記カメラの位置とに基づいて、前記施工現場での前記所定位置に対応する指定領域の位置を算出し、
前記指定領域の位置と前記機械位置検出装置により検出された前記建設機械の位置情報とに基づいて、前記指定領域内に前記建設機械が存在するかを判定し、
前記指定領域内に前記建設機械が存在すると判定された場合、前記制御情報として前記建設機械を停止させる停止制御情報を作成すると共に、前記停止制御情報を前記機械制御装置へ出力することを特徴とする建設機械の動作制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械に適用される建設機械の動作制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
施工現場において異なる作業を行う複数の建設機械を自動運転で動作させる技術として、例えば、特許文献1には、異なる作業を行う複数の建設機械が自動運転機能を有し、施工管理部により前記複数の建設機械を管理する建設機械の施工方法であって、前記建設機械毎に施工位置情報を前記施工管理部が前記建設機械に送信する施工情報送信工程と、前記建設機械毎に前記施工情報送信工程で送信された前記施工位置情報を前記建設機械が受信する施工情報受信工程と、前記建設機械毎に前記施工情報受信工程で受信した前記施工位置情報を用いて前記建設機械が自動運転で作業を行う自動運転作業工程と、を備える、建設機械の施工方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、施工管理部から施工現場の複数の建設機械それぞれに対して施工位置情報を送信する。施工現場の複数の建設機械は、それぞれが受信した施工位置情報に基づいて自動運転による作業を実行する。これにより、施工管理部による管理下において、複数の建設機械を自動運転で動作させることができる。
【0005】
また、施工システムを取り扱うオペレータは、建設機械が作業を実施している範囲を目視している際中に、通常と異なる状況が発生したと認識した場合、状況に合わせて建設機械に作業を停止させる指令、すなわち作業停止指令を発行する。作業停止指令は、施工管理部から送受信装置を介して各建設機械に送信され、建設機械による作業を停止させる。これにより、建設機械による作業において、通常と異なる状況の発生に伴う施工効率の低下を回避することを可能としている。
【0006】
しかしながら、上記従来技術においては、システム上での指令の発行対象と、指令を適用する実際の建設機械との対応付けが明示されていない。特に、同種の建設機械が複数台存在し並行して作業を行っている場合は、指令を発行する対象を特定するのに時間を要し、施工効率を低下させる可能性がある。また、オペレータの目視結果にもとづいて指令の発行対象を定めているため、発行対象を見誤り、異なる建設機械に指令を発行することで意図しない結果を発生させる可能性がある。さらに、確実に正しい対象に対して指令を発行できたかどうかを確認するには、実際に対象となる建設機械が指令通りの動作を開始するまで待たなければならず、施工効率を低下させる可能性がある。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、操作対象の建設機械をより確実に指定することができるとともに、正しい操作対象への指令が発行されたか否かをより容易かつより短い時間で確認することができる建設機械の動作制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、建設機械を操作するための制御情報を作成する施工管理端末と、前記制御情報に基づいて前記建設機械の動作を制御する機械制御装置と、を備えた建設機械の動作制御システムにおいて、前記施工管理端末の向きを検出する端末姿勢検出装置と、前記施工管理端末の位置を検出する端末位置検出装置と、前記建設機械の位置情報を検出する機械位置検出装置と、をさらに備え、前記施工管理端末は、施工現場を撮影するカメラと、前記カメラが撮影した前記施工現場を周囲映像として表示する表示装置と、前記表示装置に表示された前記周囲映像内の所定位置を操作者が指定するための操作装置と、前記制御情報を作成する端末制御装置と、を有し、前記端末制御装置は、操作者によって前記操作装置で指定された前記周囲映像内の前記所定位置と前記端末姿勢検出装置により検出された前記施工管理端末の向きと前記端末位置検出装置により検出された前記施工管理端末の位置とに基づいて、前記施工現場での前記所定位置に対応する指定領域の位置を算出し、前記指定領域の位置と前記機械位置検出装置により検出された前記建設機械の位置情報とに基づいて、前記指定領域内に前記建設機械が存在するかを判定し、前記指定領域内に前記建設機械が存在すると判定された場合、前記制御情報として前記建設機械を停止させる停止制御情報を作成すると共に、前記停止制御情報を前記機械制御装置へ出力するものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作対象の建設機械をより確実に指定することができるとともに、正しい操作対象への指令が発行されたか否かをより容易かつより短い時間で確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施の形態に係る建設機械の動作制御システムの構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る建設機械の動作制御システムの処理を示すフローチャートである。
【
図3】施工現場で建設機械が稼働している様子を例示する図である。
【
図4】カメラの姿勢検出の基本原理を説明する図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る操作装置による建設機械の指定の様子を示す図である。
【
図6】建設機械が施工管理端末の表示装置に表示される様子を示す図である。
【
図7】建設機械の停止可否の判定の原理を説明する図であって、ゼロモーメントポイントが指示多角形の内部にある場合を例示する図である。
【
図8】施工管理端末の表示装置に表示される情報の一例を示す図である。
【
図9】建設機械の停止可否の判定の原理を説明する図であって、ゼロモーメントポイントが指示多角形の外部にある場合を例示する図である。
【
図10】施工管理端末の表示装置に表示される情報の一例を示す図である。
【
図11】第2の実施の形態に係る操作装置による建設機械の指定の様子を示す図である。
【
図12】第2の実施の形態に係る建設機械の動作制御システムの処理を示すフローチャートである。
【
図13】第3の実施の形態に係る操作装置による建設機械の指定の様子を示す図である。
【
図14】第3の実施の形態に係る建設機械の動作制御システムの処理を示すフローチャートである。
【
図15】第4の実施の形態に係る操作装置による建設機械の指定の様子を示す図である。
【
図16】第4の実施の形態に係る建設機械の動作制御システムの処理を示すフローチャートである。
【
図17】第5の実施の形態に係る表示装置における推定鉛直誤差の表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、本実施の形態では、建設機械の一例として油圧ショベルを例示して説明するが、これに限られず、施工現場において稼働する他の建設機械においても本発明を適用することが可能である。
【0012】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態を
図1~
図10を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る建設機械の動作制御システムの構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【0014】
図1において、建設機械の動作制御システムは、利用者がカメラ映像上で建設機械を指定することにより、指定した建設機械の操作を行うものであり、施工現場で稼働する建設機械300(例えば、油圧ショベル)が備える機能部と建設機械300の操作を行う利用者が操作する施工管理端末100が備える機能部とを有している。
【0015】
施工管理端末100は、例えば、施工現場で稼働している複数の建設機械(
図1では、建設機械300を代表して示す)を管理する現場管理者などの利用者が所持して操作するもの(例えば、タブレットやスマートフォンなどの携帯端末)であり、制御装置101、表示装置102、操作装置103、送受信装置104、姿勢検出装置109、位置検出装置110、カメラ111、および、状態算出装置112から概略構成されている。
【0016】
制御装置101及び状態算出装置112は、例えば、施工管理端末100に設けられた入力インタフェース、プロセッサである中央処理装置(CPU)、記憶装置であるリードオンリー(ROM)やランダムアクセスメモリ(RAM)、出力インタフェースなどを有する演算装置によって構成されている。すなわち、制御装置101及び状態算出装置112の各機能は、入力インタフェースを介して入力される信号やROMおよびRAMなどに記憶された情報に対し、ROMに記憶された制御プログラムに従って所定の演算処理を行い、出力インタフェースを介して出力することにより構成されている。
【0017】
制御装置101(端末制御装置)は、利用者による操作入力や、施工管理端末の状態、カメラ映像、建設機械から入力する情報などをもとに計算処理を行い、例えば、建設機械300を操作するための制御情報を作成して、結果として出力するものである。
【0018】
表示装置102(端末表示装置)は、制御装置101が作成して出力する情報を画面に表示して利用者(操作者)に示すものである。表示装置102は、例えば、液晶モニタなどである。
【0019】
操作装置103(端末操作装置)は、利用者の入力を検出し制御装置101に検出した情報を入力するものである。操作装置103は、タッチパネルなどの入力装置であり、表示装置102の表面に配置されることで、表示装置102とともにGUI(Graphical User Interface)を構成している。
【0020】
姿勢検出装置109(端末姿勢検出装置)は、施工管理端末が施工現場空間に設定された座標系において物理的にどの方向を向いているかを検出し、検出結果を端末姿勢情報として出力するものである。姿勢検出装置109としては、例えば、地磁気を検出する磁気センサや、加速度センサ、角速度センサ(ジャイロセンサ)、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)などのセンサを単体あるいは組み合わせて用いることができる。
【0021】
位置検出装置110(端末位置検出装置)は、施工管理端末が施工現場空間内のどのような位置に存在するかを検出し、検出結果を端末位置情報として出力するものである。位置検出装置110は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)である。
【0022】
カメラ111(端末カメラ)は、施工管理端末に取り付けられていて、施工現場空間内の映像を撮影し、撮影した映像を制御装置101に出力するものである。カメラ111は、例えば、CMOSイメージセンサーなどを用いた撮影装置などである。
【0023】
状態算出装置112は、姿勢検出装置109から入力される端末姿勢情報と位置検出装置110から入力される端末位置情報とに基づいて、施工管理端末が施工現場空間内においてどのような位置に存在しどのような姿勢を保っているかを算出し、算出結果を端末状態情報として制御装置101に出力する。
【0024】
送受信装置104は、制御装置101が出力する情報(後述する制御情報など)を、ネットワーク200を通じて建設機械300の送受信装置105に送信し、また、建設機械300の送受信装置105から出力される情報(後述する停止不可情報など)を受信して制御装置101に入力するものである。送受信装置104は、例えば、無線通信を行う通信機である。
【0025】
建設機械300は、例えば、施工現場で稼働している油圧ショベルなどの作業機械であり、送受信装置105、位置検出装置106、制御装置107、制御対象108、稼働状態検出装置113、および、停止可否判定装置114から概略構成されている。
【0026】
制御装置107、可動状態検出装置113及び停止可否判定装置114は、例えば、建設機械300に設けられた入力インタフェース、プロセッサである中央処理装置(CPU)、記憶装置であるリードオンリー(ROM)やランダムアクセスメモリ(RAM)、出力インタフェースなどを有する演算装置によって構成されている。すなわち、制御装置107、可動状態検出装置113及び停止可否判定装置114の各機能は、入力インタフェースを介して入力される信号やROMおよびRAMなどに記憶された情報に対し、ROMに記憶された制御プログラムに従って所定の演算処理を行い、出力インタフェースを介して出力することにより構成されている。
【0027】
送受信装置105(機械送受信装置)は、施工管理端末100の送受信装置104から出力される情報(後述する制御情報など)を、ネットワーク200を通じて受信して制御装置107に入力し、また、建設機械300で生成された情報(後述する停止不可情報など)を施工管理端末100の送受信装置104に送信する。送受信装置105は、例えば、無線通信を行う通信機である。
【0028】
位置検出装置106(機械位置検出装置)は、建設機械が施工現場空間内のどのような位置に存在するかを検出し、結果の位置情報を出力する。位置検出装置106は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)である。
【0029】
制御装置107(機械制御装置)は、建設機械300を操作するために、入力した制御情報に応じた制御量を生成し、操作可能な車体の各装置(制御対象)に対して制御量を含む信号として出力する。
【0030】
制御対象108は、制御装置107から入力した制御量をもとに動作する建設機械の制御機構である。本実施の形態で建設機械300で例示する油圧ショベルにおいては、例えば、エンジンや各種油圧シリンダなどが制御対象となる。
【0031】
稼働状態検出装置113(機械稼働状態検出装置)は、建設機械300の各部がどのような状態にあり、建設機械300がどのような姿勢にあるかを検出し、建設機械300の姿勢を表す情報である機械姿勢情報と現在適用中の制御量とからなる機械稼働状態情報を検出結果として出力する。
【0032】
停止可否判定装置114は、稼働状態検出装置113の出力する機械稼働状態情報をもとに、建設機械300の動作を停止させた場合における転倒や滑落などの可能性のある不安定な挙動に至る状態にあるかどうかを判定し、判定した結果が動作を停止させた結果として不安定な挙動に至る状態である場合には停止不可情報を送受信装置105に、動作を停止した結果として不安定な挙動に至る状態でない場合には停止制御情報を制御装置107にそれぞれ出力する。
【0033】
以上のように構成した建設機械の動作制御システムにおいては、施工管理端末100で操作者が所望の建設機械300を指定し、指定した建設機械300の稼働状態が停止可能であるか否かを判定し、判定結果に応じて動作を停止させる。
【0034】
図2は、建設機械の動作制御システムの処理を示すフローチャートである。
【0035】
図2において、施工管理端末100が動作を開始すると、最初に操作装置103からの入力を検出する(ステップS201)。
【0036】
図3は、施工現場で建設機械が稼働している様子を例示する図である。
【0037】
図3では、施工現場空間内に、第1のショベル301、第2のショベル302、第3のショベル303の合計3台のショベルが存在している場合を例示している。
【0038】
この状態において、施工管理端末上に、表示装置102として液晶ディスプレイを備え、液晶ディスプレイにはカメラ111から入力した施工現場空間内の映像を表示しているものとする。また、表示装置102の表面に重なる形式で、操作装置103としてタッチパネルを備えるものとする。利用者は操作装置103を操作することにより、カメラ111が撮影した施工現場空間内の映像の点を指定することが可能となる。指定した結果、操作装置103はこの入力を検出する。
【0039】
続いて、カメラ111の姿勢を算出する(ステップS202)。
【0040】
図4は、カメラの姿勢検出の基本原理を説明する図である。
【0041】
図4に示すように、施工現場空間を示す座標系における施工管理端末上のカメラ111の位置(xc,yc,zc)を、カメラ位置401と呼ぶ。カメラ位置401は位置検出装置110を用いて求める。位置検出装置110では、例えばGPS(Global Positioning System)を用いて取得する地球上での緯度経度から施工現場空間内での位置を算出するといった手法が考えられる。まあ、他の例としては、トータルステーションなどを利用して、施工現場空間内での位置を取得するといった手法も考えられる。
【0042】
また、カメラ111の方向を示す方向ベクトル(xe,ye,ze)をカメラ方向ベクトル402と呼ぶ。カメラ方向ベクトル402は、姿勢検出装置109を用いて求める。姿勢検出装置109では、例えば地磁気センサや角度センサのようなセンサ類から方向を算出するといった方法が考えられる。
【0043】
続いて、利用者(施工管理端末100の操作者)が操作装置103を操作して指定した表示装置102上の位置から、施工現場空間内で利用者が指定した位置を算出する(ステップS203)。
【0044】
図5は、操作装置による建設機械の指定の様子を示す図である。
【0045】
図5において、カメラ111は施工管理端末の背面に取り付けられている。建設機械の候補は、利用者が操作装置103を操作して指定する表示装置102上の点の位置に撮影されている建設機械であるとする。この点を指定点501と呼ぶ。指定点501の、表示装置102上における座標をPsとする。指定点501によって示される建設機械の候補が存在するのは、カメラ111の焦点位置から指定点501に対応する方向に伸ばした半直線上である。この半直線を指定直線502と呼ぶ。指定直線502との交点を持つ建設機械を、操作対象の建設機械(操作対象建設機械503)とする。以後の処理ではこの操作対象建設機械503を取得することとなるが、このために用いる指定点501を、利用者による指定位置として処理を行う。
【0046】
続いて、ネットワーク200に接続しているすべての建設機械に対して、検証処理を実施したか否かを判定し(ステップS204)、判定結果がYESの場合には、ステップS212の処理に進む。
【0047】
また、ステップS204での判定結果がNOの場合、すなわち、検証処理が未実施の建設機械があると判定した場合には、検証処理の対象となる1台の建設機械の位置を取得する(ステップS205)。
【0048】
ネットワーク200に接続している建設機械の内の1台において、位置検出装置106が検出した建設機械の位置情報を、建設機械の送受信装置105が送信し、ネットワーク200を通じて施工管理端末100の送受信装置104が受信して、制御装置101に入力する。制御装置101は、受信した建設機械の位置を、施工現場空間の3次元座標系から、カメラ位置401、カメラ方向ベクトル402、カメラ111の保持するレンズ及び撮像素子の幾何特性を用いてカメラ111の座標系に変換する。カメラ111の座標系とは、表示装置102に表示している施工現場空間の平面映像の示す座標系と同等である。
【0049】
図6は、建設機械が施工管理端末の表示装置に表示される様子を示す図である。
【0050】
図6に示すように、位置検出装置106が検出した建設機械の位置は、カメラ111の座標系において、映像上の建設機械の位置601として表現される。
【0051】
続いて、表示装置102の映像上の建設機械の位置601が指定点501と重なるか否かを判定する(ステップS206)。
【0052】
建設機械は、施工現場空間内で一定の空間を占有している。これを占有空間Vと呼ぶ。なお、
図6の例では模式的に占有空間Vを直方体で表現しているが、実際には操作対象建設機械503の稼働状態検出装置113が出力する情報から得られる現在の操作対象建設機械503の表現する形状を、操作対象建設機械503の位置検出装置106が出力する情報から得られる位置に配置した状態において占有する空間を表す。この占有空間Vをカメラ111の座標系上に投影すると、
図6に示したように、表示装置102に表示する2次元の映像上で一定の領域を占有する。これを映像上の建設機械の占有領域602と呼ぶ。記号ではAと表記する。Aと占有空間Vとの関係はA=P(V)と表現可能である。ここでPとは、3次元の空間である占有空間Vから2次元の領域であるAへの射影である。指定点501が映像上の建設機械の占有領域602の中に含まれる場合、すなわちPs⊂Aである場合は、両者が重なると判定する。
【0053】
ステップS206での判定結果がNOの場合、すなわち、映像上の建設機械の位置が指定点と重ならないと判定した場合には、ステップS204の処理に戻る。
【0054】
また、ステップS206での判定結果がYESの場合には、指定点501に重なっていると判定された操作対象建設機械503において、動作制御に使用する情報、例えば位置検出装置106より得られる操作対象建設機械503の現在位置といった情報を取得する(ステップS207)。
【0055】
続いて、操作対象建設機械503の稼働状態を取得する(ステップS208)。稼働状態検出装置113により、ショベルにおけるブームやアーム、バケットの位置、上部旋回体の旋回角度、下部走行体の傾きといった情報を取得する。
【0056】
続いて、現時点の処理において、操作対象建設機械503を安定して停止させることが可能であるか否かを判定する(ステップS209)。
【0057】
図7は、建設機械の停止可否の判定の原理を説明する図であって、ゼロモーメントポイントが指示多角形の内部にある場合を例示する図である。
【0058】
図7では、操作対象建設機械503は斜面を下っている状態にある場合を例示している。操作対象建設機械503の接地位置701は、稼働状態検出装置113から取得する、操作対象建設機械503の有する1組の平行する履帯が、地面に対して接地する位置となる。この状態において、操作対象建設機械503の支持多角形702は、平行する履帯の間を含む長方形の領域を示す。続いて、操作対象建設機械503の重心703は、稼働状態検出装置113より入力する操作対象建設機械503のブーム、アーム、バケット、上部旋回体、下部走行体などの状態から求める。この重心703床反力の圧力中心であるZMP(Zero Moment Point)704を求める。ZMP704が支持多角形702の領域内に存在する場合は、操作対象建設機械503は安定した状態にあると言える。
図7の例では、ZMP704は支持多角形702の領域内に存在している。操作対象建設機械503がこの状態にある場合は、操作対象建設機械503を安定して停止させることが可能であると判定する。
【0059】
ステップS209での判定結果がYESの場合、すなわち、建設機械の停止が可能であると判定した場合には、制御装置107が制御対象108に対して停止信号(停止に相当する制御量)を送出し、操作対象建設機械503を停止させる(ステップS210)。
【0060】
図8は、施工管理端末の表示装置に表示される情報の一例を示す図である。
【0061】
図8に示すように、施工管理端末100から操作対象建設機械503に停止制御情報が送出されると、表示装置102における映像上の建設機械の位置601の付近に、指定の操作信号(すなわち、停止制御信号)の送信が完了した旨の表示内容(メッセージ)901を表示させる。これにより、施工管理端末の操作者は、正しい操作対象への指令が発行されたか否かをより容易かつより短い時間で確認することができる。
【0062】
また、ステップS209での判定結果がNOの場合、すなわち、建設機械の停止が不可であると判定した場合には、操作対象建設機械503に対する操作が不可能である理由を、建設機械の送受信装置105、ネットワーク200、及び、施工管理端末100の送受信装置104を通じて制御装置101に送出する(ステップS211)。
【0063】
図9は、建設機械の停止可否の判定の原理を説明する図であって、ゼロモーメントポイントが指示多角形の外部にある場合を例示する図である。
【0064】
図9においては、操作対象建設機械503は、
図7で例示した場合に比べて、より角度の大きい斜面を下っている状態を例示している。異なる状態における重心801にもとづき、異なる状態におけるZMP802が求められる。異なる状態におけるZMP802は、支持多角形702の領域外に存在している。この結果を制御装置101に対して送出する。送出する電文803には、電文803の送出元の建設機械を特定する名称、停止操作を行うことが可能であるかどうかを示す操作可否情報、停止操作を行うことが不可能である場合はその理由を含める。制御装置101は、この電文803を受信した場合、内容を表示装置102に示す。
【0065】
図10は、施工管理端末の表示装置に表示される情報の一例を示す図である。
【0066】
図10では、電文803をもとに作成した表示内容(メッセージ)902を、表示装置102における映像上の建設機械の位置601の付近に表示させる。これにより、操作対象建設機械503が停止しない状態であることの理由を利用者に示し、他の対応を促すことを可能とする。
【0067】
ステップS210、又は、ステップS211の処理が終了すると、続いて、建設機械の動作制御システムの動作を終了させるか否かを判定する(ステップS212)。
【0068】
例えば、利用者が施工管理端末の電源を切ることにより、動作を終了させると判定することが可能である。ステップS212での判定結果がYESの場合、すなわち、終了と判定した場合はシステムを終了させる。また、ステップS212での判定結果がNOの場合には、ステップS201の処理に戻る。
【0069】
なお、本実施の形態においては、操作対象建設機械503を停止可能であるかどうか判定する際にZMP704を使用した場合を例示して示しているが、他の手法を用いて判定することも可能である。このような処理により、利用者が指定した操作対象建設機械503を停止させ、あるいは停止することによって操作対象建設機械503の動作が不安定になる場合は停止させずにその理由を利用者に対して示すことで、安定した建設機械の操作を行うことを可能としている。
【0070】
以上のように構成した本実施の形態においては、建設機械を操作するための制御情報を作成する端末制御装置(制御装置101)と、端末制御装置により作成された前記制御情報を表示する端末表示装置(表示装置102)と、端末表示装置に表示された前記制御情報の少なくとも一部を操作者が指定した場合に、指定された前記制御情報の座標を入力座標値として検出し、検出された入力座標値を出力する端末操作装置(操作装置103)と、前記制御情報の送受信を行う端末送受信装置(送受信装置104)とを有する施工管理端末100と、前記制御情報を送受信する機械送受信装置(送受信装置105)と、施工現場空間内における建設機械の位置を取得して機械位置情報として出力する機械位置検出装置(位置検出装置106)と、入力された前記制御情報に応じた制御信号を出力する機械制御装置(制御装置107)と、機械制御装置から入力された制御信号に応じて動作する建設機械の制御機構である制御対象とを有する建設機械とを備えた建設機械の動作制御システムにおいて、施工管理端末は、施工管理端末の施工現場空間内における向きを検出して端末姿勢情報として出力する端末姿勢検出装置(姿勢検出装置109)と、施工管理端末の施工現場空間内における位置を取得して端末位置情報として出力する端末位置検出装置(位置検出装置110)と、施工管理端末と一体的に設けられ、施工管理端末の周囲の状況を撮影し、周囲映像として出力する端末カメラ(カメラ111)と、端末姿勢検出装置により検出された端末姿勢情報と端末位置検出装置により検出された端末位置情報とに基づいて、施工管理端末の状態を示す端末状態情報を算出して出力する端末状態算出装置(状態算出装置112)とをさらに有し、端末カメラにより出力された周囲映像が端末表示装置に表示された状態において端末表示装置で指定された入力座標値と端末状態算出装置により算出された端末状態情報とに基づいて、端末操作装置で指定された入力座標値に対応する施工現場空間内に存在する建設機械を操作対象として同定し、操作対象として同定された建設機械を停止させる制御情報である停止制御情報を生成するように構成したので、操作対象の建設機械をより確実に指定することができるとともに、正しい操作対象への指令が発行されたか否かをより容易かつより短い時間で確認することができる。
【0071】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を
図11及び
図12を参照しつつ説明する。
【0072】
本実施の形態は、利用者(施工管理端末の操作者)が指定した位置に複数の操作対象となる建設機械が存在する場合に、複数の中から1台を抽出して処理する場合を示すものである。
【0073】
図11は、操作装置による建設機械の指定の様子を示す図である。また、
図12は、建設機械の動作制御システムの処理を示すフローチャートである。
図11及び
図12の図中において、第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0074】
図11においては、利用者が操作装置103を操作して指定する表示装置102上の点を、第2の例の指定点1001と呼ぶ。第2の例の指定点1001の、表示装置102上における座標をP’sとする。第2の例の指定点1001が存在する位置によって示される建設機械の候補が存在するのは、カメラ111の焦点位置から第2の例の指定点1001に対応する方向に伸ばした半直線上にある。この半直線を第2の例の指定直線1002と呼ぶ。第2の例の指定直線1002との交点を持つ建設機械は、この例では3台存在する。これらは、第2の例の指定直線1002上で空間的に前後関係を有する。建設機械のような物理的な物体は、複数が空間内の全く同じ位置に同時に存在し得ないためである。カメラ111が撮影する映像内では、施工現場空間内においてカメラ111に最も近い位置に存在する建設機械が映っている。すなわちこの場合は、利用者は施工管理端末に最も近い建設機械を指定していることとなる。この操作対象の建設機械を第2の例の操作対象建設機械1003と呼ぶ。
【0075】
図12において、施工管理端末100が動作を開始すると、最初に操作装置103からの入力を検出する(ステップS201)。
【0076】
続いて、カメラ111の姿勢を算出する(ステップS202)。
【0077】
続いて、利用者(施工管理端末100の操作者)が操作装置103を操作して指定した表示装置102上の位置から、施工現場空間内で利用者が指定した位置を算出する(ステップS203)。
【0078】
続いて、ネットワーク200に接続しているすべての建設機械に対して、検証処理を実施したか否かを判定し(ステップS204)、判定結果がYESの場合には、ステップS212の処理に進む。
【0079】
また、ステップS204での判定結果がNOの場合、すなわち、検証処理が未実施の建設機械があると判定した場合には、検証処理の対象となる1台の建設機械の位置を取得する(ステップS205)。
【0080】
続いて、表示装置102の映像上の建設機械の位置601が指定点501と重なるか否かを判定する(ステップS206)。第2の例の指定点1001が映像上の建設機械の占有領域602の中に含まれる場合、すなわちP’s⊂Aである場合は、両者が重なると判定する。
【0081】
ステップS206の判定結果がYESの場合には、ステップS206の判定の結果、P’s⊂Aである建設機械の存在する施工現場空間内の位置を、制御装置101内に保存し(ステップS1101)、ステップS204の処理に戻る。
【0082】
また、ステップS206の判定結果がNOの場合には、ステップS204の処理に戻る。
【0083】
ステップS204での判定結果がYESの場合には、ステップS1101において保存した建設機械の情報の中から、カメラ111の位置に最も近い建設機械を第2の例の操作対象建設機械1003として抽出する(ステップS207)。
【0084】
続いて、操作対象建設機械の稼働状態を取得する(ステップS208)。
【0085】
続いて、現時点の処理において、操作対象建設機械を安定して停止させることが可能であるか否かを判定する(ステップS209)。
【0086】
ステップS209での判定結果がYESの場合、すなわち、建設機械の停止が可能であると判定した場合には、制御装置107が制御対象108に対して停止信号(停止に相当する制御量)を送出し、操作対象建設機械を停止させる(ステップS210)。
【0087】
また、ステップS209での判定結果がNOの場合、すなわち、建設機械の停止が不可であると判定した場合には、操作対象建設機械に対する操作が不可能である理由を、建設機械の送受信装置105、ネットワーク200、及び、施工管理端末100の送受信装置104を通じて制御装置101に送出する(ステップS211)。
【0088】
ステップS210、又は、ステップS211の処理が終了すると、続いて、建設機械の動作制御システムの動作を終了させるか否かを判定する(ステップS212)。
【0089】
ステップS212での判定結果がYESの場合、すなわち、終了と判定した場合はシステムを終了させる。また、ステップS212での判定結果がNOの場合には、ステップS201の処理に戻る。
【0090】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0091】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0092】
また、第2の例の指定点1001の指定により得られる第2の例の指定直線1002上に複数の建設機械が存在する際に、施工管理端末上で第2の例の指定点1001の位置に表示している建設機械を第2の例の操作対象建設機械1003として取得することが可能となり、利用者の視点で指定した建設機械を誤りなく操作することが可能となる。
【0093】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態を
図13及び
図14を参照しつつ説明する。
【0094】
本実施の形態は、利用者(施工管理端末の操作者)が指定した領域に複数の操作対象となる建設機械が存在する場合に、これらを抽出して処理する場合を示すものである。
【0095】
図13は、操作装置による建設機械の指定の様子を示す図である。また、
図14は、建設機械の動作制御システムの処理を示すフローチャートである。
図13及び
図14の図中において、第1及び第2の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0096】
図13においては、操作装置103を操作して指定する表示装置102上の領域を、第3の例の指定領域1201と呼ぶ。第3の例の指定領域1201を記号ではRsと表記する。第3の例の指定領域1201は、例えば矩形の領域で表現することが可能であり、表示装置102上の2点を指定して、これらをそれぞれ左上隅と右下隅の頂点とする矩形で表すことが可能である。第3の例の指定領域1201が存在する位置によって示される建設機械の候補が存在するのは、カメラ111の焦点位置から第3の例の指定領域1201に対応する方向に伸ばした四角錐の内部にある。この四角錐を第3の例の指定四角錐1202と呼ぶ。第3の例の指定四角錐1202と交わる建設機械は、この例では2台存在する。これらの操作対象の建設機械を、それぞれ、第3の例の第1操作対象建設機械1203並びに第3の例の第2操作対象建設機械1204と呼ぶ。
【0097】
第3の例の第1操作対象建設機械1203及び第3の例の第2操作対象建設機械1204は、第1の実施の形態の
図6の説明と同様に、表示装置102に表示する2次元の映像上で一定の領域を占有する。第3の例の第1操作対象建設機械1203の占有領域を記号ではA1と表記し、第3の例の第2操作対象建設機械1204の占有領域を記号ではA2と表記する。ここでは、A1∩Rs、及びA2∩Rsはいずれも空集合ではない。
【0098】
図14において、施工管理端末100が動作を開始すると、最初に操作装置103からの入力を検出する(ステップS201)。
【0099】
続いて、カメラ111の姿勢を算出する(ステップS202)。
【0100】
続いて、第3の例の指定領域1201の算出を行う(ステップS1301)。前述のように、表示装置102上の2点を指定して、これらをそれぞれ左上隅と右下隅の頂点とする矩形で領域Rsを表す。
【0101】
続いて、ネットワーク200に接続しているすべての建設機械に対して、検証処理を実施したか否かを判定し(ステップS204)、判定結果がYESの場合には、ステップS212の処理に進む。
【0102】
また、ステップS204での判定結果がNOの場合、すなわち、検証処理が未実施の建設機械があると判定した場合には、検証処理の対象となる1台の建設機械の位置を取得する(ステップS205)。
【0103】
続いて、第3の例の指定領域1201と占有領域とが重なっているか否かを判定する(ステップS1302)。ステップS205にて取得した建設機械において、表示装置102に表示する2次元の映像上での占有領域をAとして、A∩Rsを算出する。A∩Rsが空集合でない場合は、第3の例の指定領域1201と占有領域とが重なっていると判定する。
【0104】
ステップS1302の判定結果がYESの場合には、P’s⊂Aである建設機械の存在する施工現場空間内の位置を、制御装置101内に保存し(ステップS1101)、ステップS204の処理に戻る。
【0105】
また、ステップS1302の判定結果がNOの場合には、ステップS204の処理に戻る。
【0106】
また、ステップS204での判定結果がYESの場合には、ステップS1101において保存した建設機械の情報を1個ずつ抽出する(ステップS207)。
【0107】
続いて、操作対象建設機械の稼働状態を取得する(ステップS208)。
【0108】
続いて、現時点の処理において、操作対象建設機械を安定して停止させることが可能であるか否かを判定する(ステップS209)。
【0109】
ステップS209での判定結果がYESの場合、すなわち、建設機械の停止が可能であると判定した場合には、制御装置107が制御対象108に対して停止信号(停止に相当する制御量)を送出し、操作対象建設機械を停止させる(ステップS210)。
【0110】
また、ステップS209での判定結果がNOの場合、すなわち、建設機械の停止が不可であると判定した場合には、操作対象建設機械に対する操作が不可能である理由を、建設機械の送受信装置105、ネットワーク200、及び、施工管理端末100の送受信装置104を通じて制御装置101に送出する(ステップS211)。
【0111】
ステップS210、又は、ステップS211の処理が終了すると、続いて、ステップS1101において保存した建設機械の情報、すなわち
図13における第3の例の第1操作対象建設機械1203並びに第3の例の第2操作対象建設機械1204の中から、ステップS207においてすべての情報が抽出されたかどうか、つまりすべての対象を検証したかどうかを判定する(ステップS1303)。
【0112】
ステップS1303での判定結果がNOの場合には、ステップS207の処理に戻る。また、ステップS1303での判定結果がYESの場合には、建設機械の動作制御システムの動作を終了させるか否かを判定する(ステップS212)。
【0113】
ステップS212での判定結果がYESの場合、すなわち、終了と判定した場合はシステムを終了させる。また、ステップS212での判定結果がNOの場合には、ステップS201の処理に戻る。
【0114】
その他の構成は第1及び第2の実施の形態と同様である。
【0115】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0116】
また、第3の例の指定領域1201の指定により得られる第3の例の指定四角錐1202上に複数の建設機械が存在する際に、該当するすべての建設機械を対象として操作することが可能となり、複数の建設機械の動作が関連して発生する可能性のある事象を迅速に回避することが可能となる。
【0117】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態を
図15及び
図16を参照しつつ説明する。
【0118】
本実施の形態は、利用者(施工管理端末の操作者)が指定した領域に複数の操作対象となる建設機械が存在する場合に、これらの中から操作対象を利用者が選択する場合を示すものである。
【0119】
図15は、操作装置による建設機械の指定の様子を示す図である。また、
図16は、建設機械の動作制御システムの処理を示すフローチャートである。
図15及び
図16の図中において、第1乃至第3の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0120】
図15においては、操作装置103を操作して指定する表示装置102上の領域を、第4の例の指定領域1401と呼ぶ。第4の例の指定領域1401を記号ではR’sと表記する。第4の例の指定領域1401は、例えば矩形の領域で表現することが可能であり、表示装置102上の2点を指定して、これらをそれぞれ左上隅と右下隅の頂点とする矩形で表すことが可能である。第4の例の指定領域1401が存在する位置によって示される建設機械の候補が存在するのは、カメラ111の焦点位置から第4の例の指定領域1401に対応する方向に伸ばした四角錐の内部にある。この四角錐を第4の例の指定四角錐1402と呼ぶ。第4の例の指定四角錐1402と交わる建設機械は、この例では3台存在する。これらの操作対象の建設機械を、それぞれ、第4の例の第1操作対象建設機械1403、第4の例の第2操作対象建設機械1404、並びに第4の例の第3操作対象建設機械1405と呼ぶ。
【0121】
第3の例の第1操作対象建設機械1203及び第3の例の第2操作対象建設機械1204は、第1の実施の形態の
図6の説明と同様に、表示装置102に表示する2次元の映像上で一定の領域を占有する。第4の例の第1操作対象建設機械1403の占有領域を記号ではA’1と表記し、名称はM1、カメラ111からの距離は5mとする。同様に、第4の例の第2操作対象建設機械1404の占有領域を記号ではA’2と表記し、名称はM2、カメラ111からの距離は12mする。また、第4の例の第3操作対象建設機械1405の占有領域を記号ではA’3と表記し、名称はM3、カメラ111からの距離は6mする。ここでは、A’1∩R’s、A’2∩R’s、及びA’3∩R’sはいずれも空集合ではない。上述の各建設機械の情報は、表示装置102上に建設機械リスト1406として表示している。この例では、各建設機械の名称と、カメラ111からの距離を示し、各建設機械を選択しているかどうかをチェックマークで示している。また、操作を実行するための実行ボタンを備えている。
【0122】
図16において、施工管理端末100が動作を開始すると、最初に操作装置103からの入力を検出する(ステップS201)。
【0123】
続いて、カメラ111の姿勢を算出する(ステップS202)。
【0124】
続いて、第3の例の指定領域1201の算出を行う(ステップS1301)。前述のように、表示装置102上の2点を指定して、これらをそれぞれ左上隅と右下隅の頂点とする矩形で領域Rsを表す。
【0125】
続いて、ネットワーク200に接続しているすべての建設機械に対して、検証処理を実施したか否かを判定し(ステップS204)、判定結果がYESの場合には、ステップS212の処理に進む。
【0126】
また、ステップS204での判定結果がNOの場合、すなわち、検証処理が未実施の建設機械があると判定した場合には、検証処理の対象となる1台の建設機械の位置を取得する(ステップS205)。
【0127】
続いて、第3の例の指定領域1201と占有領域とが重なっているか否かを判定する(ステップS1302)。ステップS205にて取得した建設機械において、表示装置102に表示する2次元の映像上での占有領域をAとして、A∩Rsを算出する。A∩Rsが空集合でない場合は、第3の例の指定領域1201と占有領域とが重なっていると判定する。
【0128】
ステップS1302の判定結果がYESの場合には、P’s⊂Aである建設機械の存在する施工現場空間内の位置を、制御装置101内に保存し(ステップS1101)、ステップS204の処理に戻る。
【0129】
また、ステップS1302の判定結果がNOの場合には、ステップS204の処理に戻る。
【0130】
また、ステップS204での判定結果がYESの場合には、ステップS1101において制御装置101に保存した建設機械の情報を、リスト形式にて表示装置102上に表示する(ステップS501)。これは、建設機械リスト1406のような表示内容となる。利用者は、操作装置103を操作することにより、建設機械リスト1406中のチェックマークのオンまたはオフを切り換える。ここでは、チェックマークをオンにした建設機械を操作対象とする。この例では、第4の例の第1操作対象建設機械1403と第4の例の第3操作対象建設機械1405の行のチェックマークがオンになっていて、これらの建設機械を操作対象としている。次いで実行ボタンを押すことにより、処理を次に進める。
【0131】
続いて、ステップS1101において保存した建設機械の情報を1個ずつ抽出する(ステップS207)。
【0132】
続いて、操作対象建設機械の稼働状態を取得する(ステップS208)。
【0133】
続いて、現時点の処理において、操作対象建設機械を安定して停止させることが可能であるか否かを判定する(ステップS209)。
【0134】
ステップS209での判定結果がYESの場合、すなわち、建設機械の停止が可能であると判定した場合には、制御装置107が制御対象108に対して停止信号(停止に相当する制御量)を送出し、操作対象建設機械を停止させる(ステップS210)。
【0135】
また、ステップS209での判定結果がNOの場合、すなわち、建設機械の停止が不可であると判定した場合には、操作対象建設機械に対する操作が不可能である理由を、建設機械の送受信装置105、ネットワーク200、及び、施工管理端末100の送受信装置104を通じて制御装置101に送出する(ステップS211)。
【0136】
ステップS210、又は、ステップS211の処理が終了すると、続いて、ステップS1101において保存した建設機械の情報、すなわち
図13における第3の例の第1操作対象建設機械1203並びに第3の例の第2操作対象建設機械1204の中から、ステップS207においてすべての情報が抽出されたかどうか、つまりすべての対象を検証したかどうかを判定する(ステップS1303)。
【0137】
ステップS1303での判定結果がNOの場合には、ステップS207の処理に戻る。また、ステップS1303での判定結果がYESの場合には、建設機械の動作制御システムの動作を終了させるか否かを判定する(ステップS212)。
【0138】
ステップS212での判定結果がYESの場合、すなわち、終了と判定した場合はシステムを終了させる。また、ステップS212での判定結果がNOの場合には、ステップS201の処理に戻る。
【0139】
その他の構成は第1乃至3の実施の形態と同様である。
【0140】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0141】
また、ステップS1501を実行する前に候補とした建設機械の中から、利用者が選択した建設機械のみを指定して操作対象とすることが可能となり、複数の建設機械を操作する場合に、対象外と推測される建設機械、例えばカメラ111からの距離が著しく離れている建設機械を操作対象から除外でき、効率的な建設機械の操作を行うことが可能となる。
【0142】
<第5の実施の形態>
本発明の第5の実施の形態を
図17を参照しつつ説明する。
【0143】
本実施の形態は、施工管理端末に搭載しているカメラ111以外の機器を利用して建設機械の操作を行う場合を示すものである。
【0144】
図17は、本実施の形態に係る建設機械の動作制御システムの構成を概略的に示す機能ブロック図である。図中、第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0145】
本実施の形態では、第1の実施の形態(
図1参照)の構成に、撮影設備を加えた場合を示している。
【0146】
図17において、撮影設備400は、送受信装置1601(設備送受信装置)、カメラ1602(設備カメラ)、姿勢検出装置1603(設備姿勢検出装置)、及び、位置検出装置1604(設備位置検出装置)から概略構成されている。
【0147】
撮影設備が有する送受信装置1601は、撮影設備にて取得した情報を、ネットワーク200を通じて施工管理端末に送信する。
【0148】
カメラ1602は、施工現場空間内の映像を撮影し、結果を送受信装置1601に出力する。
【0149】
姿勢検出装置1603は、撮影設備が物理的にどの方向を向いているかを検出し、方向の情報を出力する。
【0150】
位置検出装置1604は、撮影設備が施工現場空間内のどのような位置に存在するかを検出し、結果の位置情報を出力する。
【0151】
施工管理端末100の制御装置101は、送受信装置104、ネットワーク200、及び、送受信装置1601を通じて、撮影設備の位置や姿勢、並びにカメラ1602が撮影する映像を取得する。
【0152】
施工管理端末100が受信した情報を用いて行う処理は、例えば、第1の実施の形態で
図2を用いて説明したように、カメラ111が撮影する映像、姿勢検出装置109及び位置検出装置110が出力する情報を用いているが、これらを、カメラ1602が撮影する映像、姿勢検出装置1603及び位置検出装置1604が出力する情報に置き換えて処理を行う。
【0153】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0154】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0155】
また、施工管理端末が存在していない場所、例えば撮影設備は存在しているが利用者の視線が届かない遠隔地において、動作している建設機械を操作することが可能となり、利用者が施工管理端末を携帯して移動する手間を省くことができるため、操作を効率的に実行することが可能となる。
【0156】
<付記>
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例や組み合わせが含まれる。また、本発明は、上記の実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。
【0157】
例えば、第5の実施の形態においては、施工現場において操作者が施工管理端末100を操作することにより、指定した建設機械の操作を行う場合を例示しているが、これに限られず、施工管理端末100の一部の機能(制御装置101、表示装置102、操作装置103、送受信装置104、状態算出装置112)を有する端末を施工現場の管理事務所内に設置し、撮影設備400からの情報を用いて、管理事務所から建設機械の操作を行うように構成しても良い。
【0158】
また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0159】
100…施工管理端末、101…制御装置、102…表示装置、103…操作装置、104…送受信装置、105…送受信装置、106…位置検出装置、107…制御装置、108…制御対象、109…姿勢検出装置、110…位置検出装置、111…カメラ、112…状態算出装置、113…稼働状態検出装置、114…停止可否判定装置、200…ネットワーク、300…建設機械、1601…送受信装置、1602…カメラ、1603…姿勢検出装置、1604…位置検出装置