IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日亜化学工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174074
(43)【公開日】2024-12-13
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/58 20100101AFI20241206BHJP
【FI】
H01L33/58
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024167574
(22)【出願日】2024-09-26
(62)【分割の表示】P 2023033021の分割
【原出願日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】P 2022059466
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022169324
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(72)【発明者】
【氏名】石井 貴士
(72)【発明者】
【氏名】若木 貴功
(72)【発明者】
【氏名】武藏 直樹
(57)【要約】
【課題】光を出射する光学部材の角の領域での出射光の輝度の低下を抑えた発光装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る発光装置は、基板と、前記基板上に配置された発光素子と、前記発光素子上に配置され第1面を有する波長変換部材と、前記第1面から上方に離隔して配置された光学部材と、前記波長変換部材と前記光学部材との間に配置され、前記光学部材の屈折率よりも低い屈折率を有する透光層と、前記発光素子、前記波長変換部材、前記透光層および前記光学部材を囲む光反射性部材と、を備える。前記光学部材は、前記上面に、第1領域と前記第1領域に隣り合う第2領域とを含む。前記第1領域は、前記第1面に対する内角が第1角度の第1出射面を含む。前記第2領域は、前記第1角度よりも小さい第2角度の第2出射面を含む。前記第2領域は、前記光学部材の1つの角の領域に位置する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置された発光素子と、
前記発光素子上に配置され、前記発光素子と対向する面の反対側に位置する第1面を有する波長変換部材と、
上面を有し、前記第1面から上方に離隔して配置された光学部材と、
前記波長変換部材と前記光学部材との間に配置され、前記光学部材の屈折率よりも低い屈折率を有する透光層と、
前記発光素子、前記波長変換部材、前記透光層および前記光学部材を囲む光反射性部材と、
を備え、
前記光学部材の上面は、前記第1面に対する内角が第1角度の第1出射面を含む第1領域と、前記第1領域に隣り合い、前記第1面に対する内角が第2角度の第2出射面を含む第2領域と、を含み、
上面視で、
前記光学部材の外周の形状は、凸多角形であり、
前記凸多角形は、
第1辺部、第2辺部および前記第1辺部が前記第2辺部に交差する第1頂点を有し、
前記第2領域は、
前記第1頂点と、
前記第1辺部を二等分する点よりも前記第1頂点に近い前記第1辺部上の第1点と、
前記第2辺部を二等分する点よりも前記第1頂点に近い前記第2辺部上の第2点と、
をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域に含まれ、
前記第2角度は、前記第1角度よりも小さい発光装置。
【請求項2】
前記第2出射面は、前記第2角度が0°に設定された平坦面である請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2領域は、前記発光素子の外周よりも外側に位置する請求項1記載の発光装置。
【請求項4】
前記第2領域は、前記発光素子の外周の内側の領域を含む請求項1記載の発光装置。
【請求項5】
前記光学部材は、前記上面に、前記第1領域に隣り合う第3領域を含み、
上面視で、
前記凸多角形は、第3辺部および前記第1辺部が前記第3辺部に交差する第2頂点をさらに有し、
前記第3領域は、
前記第2頂点と、
前記第1辺部を二等分する位置よりも前記第2頂点に近い前記第2辺部上の第3点と、
前記第3辺部を二等分する位置よりも前記第2頂点に近い前記第3辺部上の第4点と、
をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域に含まれた請求項1記載の発光装置。
【請求項6】
前記光学部材は、前記上面に、前記第1領域に隣り合う第4領域および第5領域を含み、
上面視で、
前記凸多角形は、第4辺部および前記第2辺部が前記第4辺部に交差する第3頂点をさらに有し、
前記第4領域は、
前記第3頂点と、
前記第2辺部を二等分する位置よりも前記第3頂点に近い前記第2辺部上の第5点と、
前記第4辺部を二等分する位置よりも前記第3頂点に近い前記第4辺部上の第6点と、
をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域に含まれ、
前記凸多角形は、前記第3辺部が前記第4辺部に交差する第4頂点をさらに有し、
前記第5領域は、
前記第4頂点と、
前記第3辺部を二等分する位置よりも前記第4頂点に近い第7点と、
前記第4辺部を二等分する位置よりも前記第4頂点に近い第8点と、
をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域に含まれた請求項5記載の発光装置。
【請求項7】
平面視で、
前記第2領域の外周は、前記第1頂点を頂点に含む方形または三角形である請求項1記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光素子の外周は、前記第1辺部に平行な辺を有し、
前記第2領域および前記第3領域は、いずれも、前記第1辺部に平行な辺および前記第1辺部に直交する辺を有する正方形または長方形であり、
前記第2領域と前記第3領域との間で前記第1辺部に平行な前記第1領域の長さは、前記発光素子の前記辺の長さの90%~110%の範囲以内である請求項5または6に記載の発光装置。
【請求項9】
前記光学部材の上面は、前記第1出射面を有する錐体を含む請求項1記載の発光装置。
【請求項10】
前記錐体は、複数個配置されており、前記複数の錐体は、連続的かつ規則的に並んだ請求項9記載の発光装置。
【請求項11】
前記透光層は空気の層であり、前記透光層は前記波長変換部材の前記第1面の全面にわたって配置された請求項1記載の発光装置。
【請求項12】
基板と、
前記基板上に配置され、光出射面を有する発光素子と、
上面を有し、前記光出射面上に配置された光学部材と、
前記発光素子および前記光学部材を囲む光反射性部材と、
を備え、
前記光学部材の上面は、前記光出射面に対する内角が第1角度の第1出射面を含む第1領域と、前記第1領域に隣り合い、前記光出射面に対する内角が第2角度の第2出射面を含む第2領域と、を含み、
上面視で、
前記光学部材の外周の形状は、凸多角形であり、
前記凸多角形は、
第1辺部、第2辺部および前記第1辺部が前記第2辺部に交差する第1頂点を有し、
前記第2領域は、
前記第1頂点と、
前記第1辺部を二等分する点よりも前記第1頂点に近い前記第1辺部上の第1点と、
前記第2辺部を二等分する点よりも前記第1頂点に近い前記第2辺部上の第2点と、
をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域に含まれ、
前記第2角度は、前記第1角度よりも小さい発光装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光装置は、出射する光を狭配光化することによって、より高い輝度での発光が可能になる。発光装置の狭配光化のために、発光素子上に配置された波長変換層の上方にテクスチャ加工された光学部材を有する構造が知られている(特許文献1参照)。特許文献1の発光装置では、波長変換層と光学部材との間に空気の層を配置することによって、さらに狭配光化された発光装置を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-531517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、光学部材の上面における角の領域での輝度の低下を抑えた発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る発光装置は、基板と、前記基板上に配置された発光素子と、前記発光素子上に配置され、前記発光素子と対向する面の反対側に位置する第1面を有する波長変換部材と、上面を有し、前記第1面から上方に離隔して配置された光学部材と、前記波長変換部材と前記光学部材との間に配置され、前記光学部材の屈折率よりも低い屈折率を有する透光層と、前記発光素子、前記波長変換部材、前記透光層および前記光学部材を囲む光反射性部材と、を備える。前記光学部材は、前記上面に、前記第1面に対する内角が第1角度の第1出射面を含む第1領域と、前記第1領域に隣り合い、前記第1面に対する内角が第2角度の第2出射面を含む第2領域と、を含む。上面視で、前記光学部材の外周の形状は、凸多角形であり、前記凸多角形は、第1辺部、第2辺部および前記第1辺部が前記第2辺部に交差する第1頂点を有し、前記第2領域は、前記第1頂点と、前記第1辺部を二等分する点よりも前記第1頂点に近い前記第1辺部上の第1点と、前記第2辺部を二等分する点よりも前記第1頂点に近い前記第2辺部上の第2点と、をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域に含まれ、前記第2角度は、前記第1角度よりも小さい。
【発明の効果】
【0006】
本実施形態によれば、光学部材の上面における角の領域での輝度の低下を抑えた発光装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る発光装置を例示する模式的な上面図である。
図2図1のII-II線における矢視断面であり、実施形態に係る発光装置を例示する模式的な断面図である。
図3図1のIII-III線における矢視断面であり、実施形態に係る発光装置を例示する模式的な断面図である。
図4A図1のIVA部の模式的な拡大上面図である。
図4B図4AのIVB-IVB線における模式的な断面図である。
図4C図4Aの一部を拡大した模式的な斜視図である。
図5A】実施形態の変形例に係る発光装置の模式的な拡大上面図である。
図5B図5AのVB-VB線における模式的な断面図である。
図6】実施形態に係る発光装置の動作を説明するための模式的な断面図である。
図7A】実施形態に係る発光装置の動作を説明するための模式図である。
図7B】比較例に係る発光装置の動作を説明するための模式図である。
図7C】実施形態に係る発光装置の動作を説明するための模式図である。
図8A】実施形態に係る発光装置の動作を説明するために、比較例の発光装置の一部を示す模式的な拡大上面図である。
図8B】実施形態に係る発光装置の動作を説明するために、比較例の発光装置の一部を示す模式的な断面図であり、図8AのVIIIB-VIIIB線における矢視断面図である。
図9A】実施形態に係る発光装置の動作を説明するために、発光装置の一部を例示する模式的な拡大上面図である。
図9B】実施形態に係る発光装置の動作を説明するために、発光装置の一部を例示する模式的な断面図であり、図9AのIXB-IXB線における矢視断面図である。
図10】実施形態に係る発光装置の輝度に関するパラメータの定義を説明するための模式的な上面図である。
図11図10のパラメータの定義による相対輝度を表すグラフ図である。
図12A】実施形態の変形例に係る発光装置を例示する模式的な上面図である。
図12B】実施形態の変形例に係る発光装置を例示する模式的な上面図である。
図13A】実施形態の変形例に係る発光装置を例示する模式的な上面図である。
図13B】実施形態の変形例に係る発光装置を例示する模式的な上面図である。
図14A】実施形態の変形例に係る発光装置を例示する模式的な上面図である。
図14B】実施形態の変形例に係る発光装置を例示する模式的な上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。なお、断面図は、切断面のみを示す端面図を用いることがある。
【0009】
図1は、実施形態に係る発光装置を例示する模式的な上面図である。
図2は、図1のII-II線における矢視断面であり、実施形態に係る発光装置を例示する模式的な断面図である。
図3は、図1のIII-III線における矢視断面であり、実施形態に係る発光装置を例示する模式的な断面図である。
図1図3に示すように、本実施形態に係る発光装置1は、基板10と、発光素子20と、波長変換部材30と、光学部材40と、透光層60と、光反射性部材70と、を備える。
【0010】
発光素子20は、基板10上に配置されている。波長変換部材30は、発光素子20上に配置されている。波長変換部材30は、第1面31aを有しており、発光素子20は、第1面31aの反対側の波長変換部材30の面に対向して配置されている。発光素子20は、光出射面21Sを有する。光出射面21Sは、波長変換部材30の第1面31aの反対側の面に対向する位置に配置されている。光出射面21Sは、発光素子20が主として光を出射する面である。第1面31aと光出射面21Sとは平行である。
【0011】
以下の説明では、3次元のXYZ座標を用いることがある。XY平面は、第1面31aおよび光出射面21Sに平行な平面であるものとする。X軸の方向およびY軸の方向は、任意にとることができる。光学部材40は、XY平面視で、正方形の外周を有する。その場合に、X軸は、光学部材40の外周の4つの辺にうちの1つの辺である第1辺部S1に平行であり、Y軸は、光学部材40の外周の4つの辺のうちの第1辺部S1に直交し第1辺部S1の隣の第2辺部S2に平行であるものとする。Z軸は、X軸およびY軸に直交し、第1面31aの反対側に位置する波長変換部材30の面から第1面31aに向かう方向を正方向とする。なお、本明細書において、「平行」とは2つの直線、辺、面などが0度から±5%程度の範囲を含む。
【0012】
Z軸の正方向を「上」や「上部」、「上方」のようにいい、Z軸の負方向を「下」や「下部」、「下方」のように言うことがある。発光装置1を上方から見る場合を「上面視」ということがある。また、上方から見る場合と下方から見る場合とを区別しないときには、「XY平面視」あるいは単に「平面視」ということがある。Z軸に沿う方向は、必ずしも重力がかかる方向であるとは限らない。これらは説明の理解を容易にするためのものであって、実際の「上」、「上部」、「上方」、「下」、「下部」および「下方」に限定されるものではない。Z軸方向の長さを厚さということがある。
【0013】
図2に示すように、光学部材40は、波長変換部材30の第1面31aから上方に離隔して配置されている。光学部材40は、上面40Tを有する。光学部材40は、上面40Tの反対側に位置する面が第1面31aに対向するように配置されている。図2に示す例では、光学部材40は、上面視で、波長変換部材30と同じ形状を有している。光学部材40および波長変換部材30は、重なって配置されている。なお、上面視において、光学部材40の形状は、波長変換部材30の形状と異なっていてもよい。
【0014】
透光層60は、波長変換部材30と光学部材40との間に配置されている。透光層60は、光学部材40の屈折率よりも低い屈折率を有する。
【0015】
光反射性部材70は、XY平面視で、発光素子20、波長変換部材30、透光層60および光学部材40を囲んでいる。
【0016】
光学部材40の構成について詳細に説明する。
図1に示すように、光学部材40の上面40Tは、第1領域51と第2領域52とを含む。光学部材40の上面40Tは、第3領域53と第4領域54と第5領域55とをさらに含む。
【0017】
第1領域51は、図1に示す例では、上面40Tの中央部および周辺部を含むほとんどの領域を占めている。第1領域51は、後述する図4Aに示す構造体100を含んでいる。構造体100は、傾斜面(第1出射面)101を有している。傾斜面101は、図4Bに示すように、第1面31aに平行な仮想的な平面31bに対して第1角度φ1を有する。第1角度φ1は、好ましくは、40°~50°である。光学部材40を透過する光の一部は、第1領域51の傾斜面101から出射される。
【0018】
図1に示すように、第2領域52は、第1領域51に隣り合っている。第3領域53、第4領域54および第5領域55も、第1領域51にそれぞれ隣り合っている。第1領域51は、第2領域52と第3領域53との間に位置する。第1領域51は、第2領域52と第4領域54との間に位置する。第1領域51は、第3領域53と第5領域55との間に位置する。第1領域51は、第4領域54と第5領域55との間に位置する。つまり、第2領域52~第5領域55は、相互に隣り合っていない。
【0019】
第2領域52は、構造体を含んでもよいし、含んでいなくてもよい。第2領域52が構造体を含む場合、構造体は、光の出射面(第2出射面)を含む。この出射面は、第1面31aに対して第2角度φ2を有する。図3では、第1面31aに平行な仮想的な平面31bが示されており、出射面が平面31bに対して第2角度φ2を有していることが示されている。第2角度φ2は、第1角度φ1よりも小さく、好ましくは、第1面31aに対して40°よりも小さい。第2領域52が、構造体を含まない場合、第1面31aに平行な平坦面(すなわち、第2角度が第1面31aに対して、好ましくは0°の面であり、±5°程度の傾きがあってもよい)が光の出射面(第2出射面)となる。光学部材40を透過する光の一部は、第2領域52を出射面(第2出射面)として、外部空間に出射される。
【0020】
第3領域53~第5領域55も、第2領域52と同様に、構造体を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。第3領域53~第5領域55の構造体は、光の出射面をそれぞれ有し、これらの出射面は、第1面31aに対して、第3角度~第5角度をそれぞれ有する。第3角度~第5角度は、第1角度よりも小さい。第3角度~第5角度は、第2角度φ2と同様に、好ましくは、第1面31aに対して40°よりも小さい。第3領域53~第5領域55が、構造体を含まない場合、第1面31aに平行な平坦面(すなわち、第3角度~第5角度が第1面31aに対して、好ましくは0°の面であり、±5°程度の傾きがあってもよい)が光の出射面(第2出射面)となる。光学部材40を透過した光の一部は、第3領域53~第5領域55を出射面として、外部空間に出射される。
【0021】
例えば、第2領域52~第5領域55のそれぞれの構造体は、1つでもよいし、複数でもよい。第1領域51の構造体100と同様の四角錐とすることができる。第2領域52~第5領域55のそれぞれの出射面は、第2領域52~第5領域55のそれぞれの構造体である四角錘を構成する傾斜面に対応する。これらの傾斜面の第1面31aに対する第2角度~第5角度が第1角度よりも小さければ、四角錐に限らず、後述するように他の形状であってもよい。
【0022】
図1に示す例では、光学部材40の上面視での外周(第1外周)の形状は、第1頂点V1、第2頂点V2、第3頂点V3および第4頂点V4を4つの頂点とする正方形である。光学部材40の上面視での外周の形状は、正方形に限らず、長方形でもよいし、台形や他の方形でもよい。光学部材40の外周の形状は、四角形に限らず、四角形以外の任意の凸多角形とすることができる。
以下では、図形の外周を表す場合に、その図形の頂点の符号を時計回りに配して表すことがある。外周という場合には、上面視または平面視における外周であるところ、単に外周ということがある。
【0023】
光学部材40の外周V1V2V4V3は、第1辺部S1、第2辺部S2、第3辺部S3および第4辺部S4からなる。第1辺部S1、第2辺部S2、第3辺部S3および第4辺部S4は、同じ長さの線分である。第1辺部S1および第4辺部S4は、平行である。第2辺部S2および第3辺部S3は、平行である。第1辺部S1および第4辺部は、第2辺部S2および第3辺部S3に直交する。
【0024】
第1頂点V1は、第1辺部S1が第2辺部S2と交差する点である。第2頂点V2は、第1辺部S1が第3辺部S3に交差する点である。第3頂点V3は、第2辺部S2が第4辺部S4に交差する点である。第4頂点V4は、第3辺部S3が第4辺部に交差する点である。
【0025】
第2領域52は、第1頂点V1を含む領域R1に含まれる領域として定義される。第3領域53は、第2頂点V2を含む領域R2に含まれる領域として定義される。第4領域54は、第3頂点V3を含む領域R3に含まれる領域として定義される。第5領域55は、第4頂点V4を含む領域R4に含まれる領域として定義される。より詳細には、以下の通りである。
【0026】
領域R1は、第1頂点V1、第1辺部S1上の第1点P1および第2辺部S2上の第2点P2をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域である。第2領域52は、領域R1に含まれた領域である。第1点P1は、第1辺部S1を二等分する点よりも、第1頂点V1に近い位置の点である。第2点P2は、第2辺部S2を二等分する点よりも、第1頂点V1に近い点である。
【0027】
領域R2は、第2頂点V2、第1辺部S1上の第3点P3および第3辺部S3上の第4点P4をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域である。第3領域53は、領域R2に含まれた領域である。第3点P3は、第1辺部S1を二等分する点よりも、第2頂点V2に近い位置の点である。第4点P4は、第3辺部S3を二等分する点よりも、第2頂点V1に近い点である。
【0028】
領域R3は、第3頂点V3、第2辺部S2上の第5点P5および第4辺部S4上の第6点P6をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域である。第4領域54は、領域R3に含まれた領域である。第5点P5は、第2辺部S2を二等分する点よりも、第3頂点V3に近い位置の点である。第6点P6は、第4辺部S4を二等分する点よりも、第3頂点V3に近い点である。
【0029】
領域R4は、第4頂点V4、第3辺部S3上の第7点P7および第4辺部S4上の第8点P8をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域である。第5領域55は、領域R4に含まれた領域である。第7点P7は、第3辺部S3を二等分する点よりも、第4頂点V4に近い位置の点である。第8点P8は、第4辺部S4を二等分する点よりも、第4頂点V4に近い点である。
【0030】
図1の例では、第2領域52を規定する外周の形状の頂点は、第1頂点V1を含んでいる。第2領域52の外周の形状は、第1辺部S1に平行な1辺を有し、第2辺部S2に平行な1辺を有する。第2領域52の外周の形状は正方形である。
【0031】
図1の例では、第3領域53~第5領域55は、第2領域52の外周の形状と同一の形状の外周を有する。第3領域53は、R2に含まれる領域である。第3領域53の外周の形状を規定する頂点の1つは、第2頂点V2である。第3領域53の外周の形状は、第1辺部S1に平行な1辺を有し、第3辺部S3に平行な1辺を有する。
【0032】
図1の例では、第4領域54は、R3に含まれる領域である。第4領域54の外周の形状を規定する頂点の外周の1つは、第3頂点V3である。第4領域54の外周の形状は、第2辺部S2に平行な1辺を有し、第4辺部S4に平行な1辺を有する。
【0033】
図1の例では、第5領域55は、R4に含まれる領域である。第5領域55の外周の形状を規定する頂点の1つは、第4頂点V4である。第5領域55の外周の形状は、第3辺部S3に平行な1辺を有し、第4辺部S4に平行な1辺を有する。
【0034】
第3領域53~第5領域55のそれぞれの外周の形状は正方形であり、第3領域53~第5領域55の面積は、第2領域52の面積と等しい。
【0035】
図2および図3に示す例では、光学部材40は、側面に位置決め溝41を有する。光反射性部材70は、位置決め凸部71を有する。位置決め溝41および位置決め凸部71は、Z軸上の同じ位置にそれぞれ配置されている。位置決め溝41は、位置決め凸部71に嵌め合わされることができる。位置決め溝41に位置決め凸部71を嵌め合わせることによって、第1面31aからの光学部材40の下面の位置を正確に設定することができる。そのため、透光層60のZ軸方向の長さを確実に確保することができる。
【0036】
波長変換部材30に対する光学部材40の位置決めは、上述の例に限らず、他の手段も用いてもよい。例えば、光学部材40は、光学部材40の下面に1つ以上の支柱部を有することができる。光学部材40が平面視において矩形状であり、4隅を有する場合、4つの支柱部は、光学部材40の下面の4隅に配置することができる。4隅に配置された各支柱部の外周は、平面視において光学部材40の外周の一部に一致してもよいし、光学部材40の外周から離隔してもよい。支柱部の平面視における形状は、例えば、矩形または円形である。光学部材40が支柱部を有することで、透光層60を介して光学部材40を波長変換部材30上に光学部材40を配置することができる。4隅に配置される支柱は、平面視において、任意の位置に配置できる。4隅に配置される支柱は、例えば、平面視において、第2領域52~第5領域と重なる位置でもよいし、第2領域52~第5領域と一部重なる位置でもよいし、第2領域52~第5領域と重ならない位置でもよい。
【0037】
その他、光反射性部材の形成方法を工夫することによっても、波長変換部材30に対する光学部材40の位置決めを実現することができる。例えば、あらかじめ光学部材40の側面の全面にわたって光反射性部材を形成した第1中間部材を用意する。第1中間部材においては、光反射性部材の下端が光学部材40の下面と一致するように、光反射性部材は形成される。
【0038】
また、基板10上に発光素子20および波長変換部材30を配置し、発光素子20および波長変換部材30のそれぞれの側面の全面にわたって光反射性部材を形成した第2中間部材を用意する。第2中間部材においては、光反射性部材の形成時に光反射性部材の上端の位置を波長変換部材30の第1面31aの高さよりも透光層60の厚さ分だけ高くなるように設定する。
【0039】
その後、第1中間部材の光反射性部材の下端を、第2中間部材の光反射性部材の上端を接合することによって、波長変換部材30と光学部材40との間に透光層60が設けられた発光装置を形成することができる。この方法によれば、凸部および溝の精密な位置出しをする必要がなく、簡便に発光装置を形成することが可能になる。
【0040】
図4Aは、図1のIVA部の模式的な拡大上面図である。
図4Bは、図4AのIVB-IVB線における模式的な断面図である。
図4Cは、図4Aの一部を拡大した模式的な斜視図である。
図4A図4Cに示すように、光学部材40の第1領域51は、複数の構造体100を含む。複数の構造体100は、この例では、行列状にすき間なく連続的に並んでいる。構造体100は、四角錘である。四角錘のXY平面視での形状は、正方形である。図4Bに示された平面31bは、第1面31aに平行な仮想的な平面である。
【0041】
構造体100は、4つの傾斜面101~104を有する。図4Bの例では、構造体100は、第1面31aに平行な仮想的な平面31b上に配置されている。図4Bに示すように、傾斜面101は、傾斜面102の反対側に位置する。傾斜面103は、傾斜面104の反対側に位置する。傾斜面103、104は、傾斜面101,102に隣り合って配置されている。傾斜面(第1出射面)101は、第1面31aに平行な仮想的な平面31bに対して第1角度φ1の内角の傾きを有する。したがって、第1角度φ1は、第1面31aに対する内角の角度である。すなわち、第1面31aに対する内角とは、第1出射面101と、第1面31aに平行な仮想的な平面31bとがなす角度である。傾斜面101の反対側に位置する傾斜面102も傾斜面101と異なる向きで傾斜面101と同じ第1角度φ1の傾きを有している。残りの2つの傾斜面103,104も同様に、異なる向きで第1角度φ1の傾きを有している。傾斜面101~104の第1角度φ1は、構造体100の傾斜面が平面31bに交差する線分100Bと構造体100の頂点100Vとを含む平面の平面31bに対する角度を言うものとする。
【0042】
(構造体100の並びの変形例)
構造体100は、すき間なく連続的に並ぶほか、すき間をあけて不連続的に並んでもよい。
図5Aは、実施形態の変形例に係る発光装置の模式的な拡大上面図である。
図5Bは、図5AのVB-VB線における模式的な断面図である。
図5Aおよび図5Bに示すように、構造体100は、規則的に並び、構造体100同士は、離隔して並んでいる。図5Bに示す例では、隣り合う構造体100は、平坦面で繋がれる。構造体100は、1辺の長さBLの正方形の底面を含む。隣り合う構造体100の最短の距離SLが、2つの構造体100の離隔された距離である。この例では、BL=SLとされている。なお、図4A図4Cの例では、SL=0である。構造体100間の離隔された距離SLは、発光素子20から狭配光化された光が放射されれば、BL=SLやSL=0に限らず、任意の値に設定することが可能である。
【0043】
本実施形態では、構造体100は、四角錘である。但し、これに限らず、構造体100の形状は、狭配光化された光が発光装置1から放射できればそのほかの形状であってもよい。例えば、構造体は、三角錐や五角錐等の他の角錐でもよいし、円錐や楕円錐等であってもよい。あるいは、構造体は、錐体に限らず、角錐台や円錐台であってもよいし、半球面や半楕円体等であってもよい。
【0044】
実施形態に係る発光装置1では、光学部材40の上面40Tにおいて、外周V1V2V4V3の角の領域である角領域の位置に、第2領域52~第5領域55を含む。第1領域51は、第2領域52~第5領域55のいずれにも属さない領域であり、角領域を除いた領域である。
【0045】
第1領域51は、規則的に並んだ複数の構造体100を含む。これにより、光学部材40に入射した光を狭配光化することができる。
【0046】
光学部材40は、透光性の材料で形成される。透光性の材料は、透光層60の屈折率よりも高い屈折率を有し、例えば、透光性樹脂やガラスである。
【0047】
続いて、光学部材40のほかの発光装置1の構成要素について詳細に説明する。
基板10は、基材11上に配線12が形成されている。基材11は、この例では、上面視で、正方形の板状の部材である。基材11は、好ましくは高熱伝導性を有する絶縁性の材料で形成される。基材11は、例えば、アルミナ等を含むセラミック基板である。基材11は、セラミック基板に限らず、ガラスエポキシ基板やポリイミド樹脂繊維を含む高熱伝導性基板等でもよい。あるいは、サファイヤ基板や表面を絶縁処理したシリコン基板や金属製の基板であってもよい。
【0048】
発光素子20は、半導体構造体と、半導体構造体の下面に半導体構造体と電気的に接続された正負一対の電極と、を備える。電極は、配線12に接続されている。半導体構造体においては、例えば、p型半導体層、発光層、n型半導体層が少なくとも積層されることにより、発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)構造が実現されている。
【0049】
発光層の構造としては、ダブルヘテロ構造、単一量子井戸構造(SQW)のように単一の活性層を持つ構造でもよいし、多重量子井戸構造(MQW)のようにひとまとまりの活性層群を持つ構造でもよい。発光層は、可視光または紫外光を発光可能である。例えば、可視光としては、少なくとも青色から赤色までの光を挙げることができる。このような発光層を含む半導体構造体としては、例えば、InAlGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)を含むことができる。
【0050】
また、発光素子20は、半導体構造体に2以上の発光層を含むことができる。例えば、半導体積層体は、n型半導体層とp型半導体層との間に2以上の発光層を含む構造であってもよいし、n型半導体層と発光層とp型半導体層とが順に積層された構造が2回以上繰り返された構造であってもよい。2以上の発光層は、例えば、発光色が異なる発光層を含んでいてもよいし、発光色が同じ発光層を含んでいてもよい。なお、発光色が同じとは、使用上同じ発光色とみなせる範囲であればよく、例えば、各発光色の主波長に数nm程度のばらつきがあってもよい。発光色の組み合わせとしては適宜選択することができ、例えば2つの発光層を含む場合の組み合わせとしては、青色光と青色光、緑色光と緑色光、赤色光と赤色光、紫外光と紫外光、青色光と緑色光、青色光と赤色光、または緑色光と赤色光などが挙げられる。
【0051】
発光素子20の上部の周囲および発光素子20と波長変換部材30との間には、この例では固定部材24が配置されている。固定部材24は配置しなくてもよい。固定部材24は、透光性の樹脂材料、例えば、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂等を母材とする接着剤が固化したものである。固定部材24は、母材よりも屈折率が低い樹脂材料からなる粒子等を含むことができる。固定部材24は、発光素子20から側方に出射した光を内面で反射させ、上方に導くことができるため、光取り出しを向上させることができる。
【0052】
波長変換部材30は、発光素子20上に配置されている。平面視で、波長変換部材30は発光素子20よりも大きい。波長変換部材30においては、例えば、透光性の樹脂材料からなる母材中に、蛍光体が分散されている。蛍光体は、発光素子20から出射した光の一部を吸収して、異なる波長の光を放射する。一例では、発光素子20は青色光を出射し、蛍光体は、発光素子20から出射した青色の光を吸収して、黄色の光を放射する。これにより、青色の光と黄色の光が混色して、発光装置1は白色の光を出射する。
【0053】
波長変換部材30の蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y(Al,Ga)12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu(Al,Ga)12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb(Al,Ga)12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(POl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、SrAl1425:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、CaMgSi16l2:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)(O,N):Eu)若しくはαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、KSiF:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、KSi0.99Al0.015.99:Mn)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I)3)、または、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInSまたはAgInSe)等を用いることができる。波長変換部材の母材に添加する蛍光体としては、1種類の蛍光体を用いてもよく、複数種類の蛍光体を用いてもよい。
【0054】
透光層60は、光学部材40の屈折率よりも低い屈折率を有する層である。透光層60は、例えば空気の層である。透光層60の屈折率は、光学部材40の屈折率より低ければ、空気の層に限らず、他の材質でもよい。透光層60は、真空の屈折率に近い屈折率を有することが好ましく、他の物質を含んでもよい。
【0055】
光学部材40に入射する光を上方に向かうように屈折させることができればよいので、透光層60の厚さは、光学部材40および波長変換部材30の厚さよりも薄くてもよい。
【0056】
図3に示す例では、光反射性部材70は、発光素子20、固定部材24、波長変換部材30、透光層60および光学部材40のそれぞれの側面を覆うように囲んでいる。また、光反射性部材70は、発光素子20および波長変換部材30のそれぞれの下面も覆っている。
【0057】
光反射性部材70は、発光素子20、固定部材24、波長変換部材30、透光層60および光学部材40のそれぞれの側面、ならびに、発光素子20および波長変換部材30のそれぞれの下面から放射される光を反射する。光反射性部材70によって反射された光の一部は、上方へ向かい、発光装置1の狭配光化に寄与する。
【0058】
光反射性部材70は、例えば、光拡散材を含有した樹脂材料により形成されており、全体として白色である。光拡散材には、例えば、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、またはガラス等を用いることができる。このような光反射性部材70は、60%以上の光の反射率を有し、好ましくは90%以上の反射率を有する。
【0059】
上述の具体例では、1つの基板10に1つの発光素子20および1つの光学部材40を適用した場合について説明したが、これに限らない。例えば、1つの基板に複数の発光素子を配置し、複数の発光素子上に複数の光学部材がそれぞれ配置されてもよい。さらに、1つの基板に複数の発光素子を配置し、複数の発光素子上に1つの光学部材を配置してもよい。いずれの場合においても、発光素子上の波長変換部材と光学部材との間には、ほぼ等しい厚さの透光層が配置される。
【0060】
(発光装置1の動作)
まず、透光層60および構造体100の動作について説明する。
図6は、実施形態に係る発光装置の動作を説明するための模式的な断面図である。
図6には、実施形態に係る発光装置1の一部である、波長変換部材30、透光層60、光学部材40および構造体100が示されている。図6の矢印は、発光装置1を通過する光のうち1本の光線LL1が屈折しながら各媒体中を進行する様子を示している。図6中の一点鎖線は、光軸に平行な直線であり、入射角および出射角の基準線である。光軸は、Z軸に平行である。
【0061】
図6に示すように、発光素子20から放射され、波長変換部材30に入射された光線LL1は、波長変換部材30内を直進し、透光層60に入射される。透光層60に入射された光線LL1は、透光層60内を直進し、光学部材40に入射される。
【0062】
透光層60の屈折率は、光学部材40の屈折率よりも低いので、スネルの法則により、光学部材40の入射角θ2は、透光層60出射角θ1よりも小さい。
【0063】
入射角θ2で光学部材40に入射された光線LL1は、そのまま直進して、構造体100の傾斜面101から出射される。傾斜面101は、出射する光線が上方へ向かうように、第1角度φ1が設定されているので、発光装置1の狭配光化が実現される。
【0064】
透光層60から出射した光が光学部材40で狭配光化される原理を比較例の発光装置の動作を用いて、具体的に説明する。
図7Aは、実施形態に係る発光装置の動作を説明するための模式図である。
図7Bは、比較例に係る発光装置の動作を説明するための模式図である。
図7Aは、透光層60の屈折率をn=1とし、光学部材40の屈折率をn=1.51とした場合のランバーシアン配光特性を有する光がどの程度狭配光化されるかを模式的に表している。
図7Bは、透光層60に代えて、光学部材40と同じ屈折率n=1.51を有する透光性の部材とした場合のランバーシアン配光特性を有する光の配光を模式的に表している。 図7Aおよび図7Bにおいて、LAは光軸を表しており、Z軸に平行な光軸であることが示されている。
【0065】
図7Aに示すように、屈折率n=1の透光層60を通過したランバーシアン配光特性の光は、屈折率n=1.51の光学部材40に入射されることによって、光学部材40での配光角は、41.5°まで狭配光化される。
【0066】
図7Bに示すように、同じ屈折率の部材を通過する光は、ランバーシアン配光のままである。
【0067】
次に、光学部材40に狭配光化された光が入射されることによって、構造体100を出射した光がより上方へ向かうようになり、狭配光化されることを説明する。
図7Cは、実施形態に係る発光装置の動作を説明するための模式図である。
図7Cには、構造体100の部分が拡大して示されており、2種類の角度を持つ光線LL3,LL4が2本の矢印で示されている。図7Cの例では、第1角度φ1=45°としている。LAは光軸であり、Z軸に平行である。LA1は、傾斜面101に直交する直線であり、光軸LAに対して第1角度φ1を有する補助線を表すとともに、傾斜面101に関して、構造体100から出射される光の出射角および外部空間へ入射する光の入射角の基準線である。傾斜面101は第1角度であり、第1角度は45°であるものとする。
【0068】
図7Cに示すように、構造体100の屈折率は、空気である外部空間の屈折率よりも大きいので、外部空間への入射角は、構造体100内を進行する光線の構造体100からの出射角よりも大きくなる。光線LL3は、光軸LAに対して0°~45°の角度で構造体100内を進行する光線である。そのため、傾斜面101から出射するときには、光軸に対する角度が小さくなる。つまり、光線LL3は、より上方へ向かうように屈折する。
【0069】
光線LL4は、光軸LAに対して45°~90°の角度で構造体100内を進行しているので、傾斜面101から出射するときには、光軸LAに対する角度が大きくなる。つまり、光線LL4の構造体100から光は、上方へ向かう光の成分がより小さくなる。
【0070】
図7Aに関連して説明したように、本実施形態に係る発光装置1では、光学部材40内を進行する光は、ランバーシアン配光からより狭配光となるように配光される。このとき、光学部材40の屈折率と透光層60の屈折率との比が図7Aの場合であれば、光学部材40中の光は、41.5°に狭配光化されている。そのため、光学部材40内を進行する光は、図7Cに示した光線LL4のような角度の光線は、光学部材40中にはほとんど存在しないので、光学部材40中を進行する光のほとんどは、さらに狭配光化されて構造体100から外部空間に出射される。
【0071】
より一般化すれば、傾斜面101の角度は、第1角度φ1であり、傾斜面101から出射する光が、Z軸の正方向の成分をより多く含むようにするには、透光層60から出射した光が光学部材40へ入射するときに、第1角度φ1以下に狭配光されることが望ましい。
【0072】
次に、第2領域52~第5領域55のそれぞれの領域が構造体100と同じ構造体100aを含む場合、構造体100aを経由して光を出射すると、狭配光化が妨げられることについて説明し、狭配光化を妨げないように、第2領域52~第5領域55を平坦面とすることについて説明する。
図8Aは、実施形態に係る発光装置の動作を説明するために、比較例の発光装置の一部を示す模式的な拡大上面図である。
図8Bは、実施形態に係る発光装置の動作を説明するために、比較例の発光装置の一部を示す模式的な断面図であり、図8AのVIIIB-VIIIB線における矢視断面図である。
図9Aは、実施形態に係る発光装置の動作を説明するために、発光装置の一部を例示する模式的な拡大上面図である。
図9Bは、実施形態に係る発光装置の動作を説明するために、発光装置の一部を例示する模式的な断面図であり、図9AのIXB-IXB線における矢視断面図である。
説明の便宜上、比較例の発光装置の動作について説明した後、実施形態に係る発光装置の動作について説明する。
図8Aおよび図8Bには、光学部材40の一部が示されており、実施形態の発光装置1の第4領域54に対応する部分が拡大して示されている。図8Aおよび図8Bに示す比較例の発光装置では、第4領域54が構造体100aを含む点で実施形態の発光装置1と相違する。比較例の発光装置の構成は、他の点では実施形態の発光装置の構成と同一である。
【0073】
図8Aおよび図8Bでは、領域rbにおける光の輝度が領域raにおける光の輝度よりも低下することを説明する。
図8Aおよび図8Bに示すように、構造体100aは、4つの傾斜面101a~104aを有する。傾斜面101a~104aの並びおよび形状は、図4Aおよび図4Bに関連して説明した傾斜面101~104とそれぞれ同じである。構造体100aは、構造体100aの底面の4つの内角のうちの1つが、第3頂点V3の位置に一致する。より具体的には、傾斜面101a,104aによって構成される内角の頂点の位置が、第3頂点V3の位置である。構造体100aの底面において、傾斜面101aに属する底辺は、第2辺部S2上にあり、傾斜面104aに属する底辺は、第4辺部S4上にあるものとする。
【0074】
領域ra,rbは、傾斜面101a~104aを二分する傾斜面の領域である。領域raは、傾斜面101a,104aからなり、領域rbは、傾斜面102a,103aからなる。つまり、領域raは、領域rbよりも第3頂点V3により近い領域である。なお、図8Aでは、領域ra,rbを表す破線と、傾斜面101a~104aを表す実線とを図示上区別するために、位置をずらして示している。
【0075】
構造体100aから出射される光は、構造体100aを含む領域よりも中央側に配置された発光素子20から放射される。図8Bに示すように、発光素子20から放射された光は、X軸の正方向の側から、負方向の側に向かう。
【0076】
ここで、このような光を構成する光線のうち、図8Bに図示された光線LL5は、構造体100aに入射する。このとき、構造体100aへの入射角は、Z軸に平行な光軸に対して第1角度φ1以下となる。そのため、図7Cに関連して説明したように、構造体100aは、傾斜面101から出射される光がZ軸の正方向の成分をより多く含むようになり、出射光は上方へ向かう配光特性を有することとなる。
【0077】
図8Bに図示された光線LL6は、光線LL5よりもZ軸の正方向の成分が小さい光線である。そのため、光線LL6は、構造体100aに入射する前に、光反射性部材70によって、X軸の正方向の側に反射される。光線LL6の光反射性部材70による反射光は、構造体100aに入射される。このとき、構造体100aへの入射角は、Z軸に平行な光軸に対して第1角度φ1よりも大きくなる。そのため、図7Cに関連して説明したように、傾斜面102aから出射される光のZ軸の正方向の成分が小さくなる。
【0078】
したがって、傾斜面102aから出射される光の輝度は、傾斜面101aから出射される光の輝度よりも低くなる。
【0079】
上述では、X軸方向の動作について説明したが、光は、XY平面上で広がりながら進行し、Y軸方向についてもX軸方向と同様の動作となる。つまり、発光装置1の上面視では、傾斜面103aから出射される光の輝度は、傾斜面104aから出射される光の輝度よりも小さくなる。結果として、構造体100aの4つの傾斜面のうち、第3頂点V3に近い側の傾斜面101a,104aが出射する光の輝度は高くなり、第3頂点V3から遠い傾斜面102a,103aが出射する光の輝度は弱くなり、角領域に含まれる構造体100aでは、全体として、輝度が低下する。
【0080】
上述では、上面40Tの1つの角領域である第4領域54について説明した。但し、他の角領域である第2領域52、第3領域53および第5領域55についても同様である。このように、上面40Tの角領域が傾斜面を有する構造体100aを含むと、各角領域の頂点(V1~V4)から離れて位置する傾斜面から出射される光の輝度は、頂点(V1~V4)の近くに位置する傾斜面から出射される光の輝度よりも低くなり、その構造体100aの輝度が低下する。構造体ごとに出射される光の輝度は、光反射性部材70による反射光の影響を受けにくい上面40Tの中央部に含まれる構造体100よりも、光反射性部材70による反射光の影響を受けやすい角領域に含まれる構造体100aにおいて低下することとなる。
【0081】
図9Aおよび図9Bに示すように、実施形態の発光装置1では、第3頂点V3を含む角領域は、構造体100aを含んでいない。図9Aおよび図9Bでは、図8Aおよび図8Bとの対比を容易にするために、図8Aおよび図8Bに示す構造体100aと対応する箇所に二点鎖線で示している。
【0082】
図9Bに示すように、発光素子20から放射された光は、図8Bに関連して説明した場合と同様に、光学部材40から出射する光線LL5と、光反射性部材70で反射される光線LL6を含んでいる。光線LL5,LL6が進行する角度は、図8Bの場合と同じである。
【0083】
図9Bに図示された光線LL5は、光学部材40から出射される。図9Bに図示された光線LL6は、光反射性部材70で反射された後、光学部材40から出射される。光学部材40からの光線LL5,LL6は、図8Aおよび図8Bに関連して説明した構造体100aから出射される光線よりも高い輝度を有する。上面視では、光線LL5を含む光学部材40の外側に向かう光の輝度と、光線LL6を含む光学部材40の内側に向かう光の輝度とは、ほぼ同じ程度となる。なお、図9Bに図示された光線LL5,LL6は、光学部材40よりも小さい屈折率を有する外部空間に出射されるので、光学部材40から外部空間への入射角は、光学部材40からの出射角よりも大きくなる。そのため、光学部材40から出射された光線LL5,LL6は、いずれもZ軸の正方向の成分が若干小さくなる。
【0084】
他の角領域である第2領域52、第3領域53および第5領域55についても同様である。したがって、角領域が構造体100aを含んでいない場合には、中央部と角領域の輝度の差が低減され、より狭配光化され輝度が向上した発光装置1が実現される。
【0085】
第2領域52~第5領域55の形状や大きさについては、光学部材40の形状に対して適切に設定される。一例として以下の場合について説明する。
図10は、実施形態に係る発光装置の輝度に関するパラメータの定義を説明するための模式的な上面図である。
図10に示すように、長さX1,X2,X3が規定される。X1は、発光素子20の1辺の長さである。X2は、第2領域52と第3領域53との間の第1領域51の最短の長さである。X3は、第2領域52および第3領域53の1辺の長さである。なお、第4領域54および第5領域55の1辺の長さもX3である。
【0086】
X1は、発光素子20の大きさが所与であり、この例では固定値としている。X2は、第2領域52および第3領域53の1辺の長さX3を変えることによって、変化させることのできる値である。ここでは、第2領域52~第5領域55は同一の大きさの正方形であるものとする。第2領域52~第5領域55を構成する正方形の1辺の長さX3に対する上面40Tの輝度を算出する。輝度の算出には、例えば、光学シミュレータ等を用いることができる。
【0087】
図11は、図10のパラメータの定義による相対輝度を表すグラフ図である。
図11に示すように、このグラフ図の縦軸は、平均輝度比を表している。平均輝度比とは、平均輝度の基準値に対する比率である。平均輝度は、上面40T上の輝度を単純平均した輝度である。平均輝度の基準値は、この例では、上面40Tの全面に規則的かつ連続的な構造体100を含む(すなわち、第2領域52~第5領域55が構造体100と同じ構造体を含む)場合の平均輝度である。平均輝度比が高いほど、狭配光化され、上面40Tのより広い範囲で高い輝度が得られていることを表す。
【0088】
このグラフ図の横軸は、第2領域52の1辺の長さを表しており、図10に示した第2領域52~第5領域55の1辺の長さX3である。
【0089】
このグラフ図では、X3がX3_1よりも大きく、X3がX3_2よりも小さいときに平均輝度比が基準値を上回っている。光学部材40の1辺の長さX0は、所与であり、第2領域52と第3領域53との間の第1領域51の最短の長さX2は、X3_1,X3_2で与えられる。X3_1,X3_2で与えられるX2の値は、X1×0.9~1.1である。つまり、第2領域52と第3領域53との間の第1領域51の最短の長さX2が、発光素子20の1辺の長さX1の90%~110%の範囲以内となるように、第2領域52~第5領域55の1辺の長さX3とすることによって、より狭配光化され、高い輝度で発光する発光装置1を実現することができる。
【0090】
(変形例)
図12A図14Bは、実施形態の変形例に係る発光装置を例示する模式的な上面図である。
第2領域52~第5領域55は、第1辺部S1~第4辺部S4に平行な辺をそれぞれ有し、第1頂点V1~第4頂点を第2領域52~第5領域55の頂点にそれぞれ含む正方形であると説明した。但し、第2領域~第5領域の形状は、これに限らない。以下の変形例の発光装置では、異なる形状の第2領域~第5領域を有している。
図12A図14Bでは、第2領域の形状が示されているが、第3領域~第5領域も同様の形状とされる。
【0091】
図12Aに示すように、変形例に係る発光装置1aでは、上面40Tは第2領域52aを含んでいる。第2領域52aは、第1頂点V1を頂点の1つとする正方形である。第2領域52aの1辺の長さは、上面視での、光学部材40の1辺の長さから発光素子20の1辺の長さを差し引いた長さの1/2よりも長い。したがって、第2領域52aは、上面視で、発光素子20の外側の領域と発光素子20の内側の領域との両方を含んでいる。図10および図11に関連して説明したように、第2領域52aの1辺の長さは、そのときの第2領域52aの1辺の長さのときの、第2領域と第3領域との間の第1領域51の最短の長さが発光素子20の1辺の長さの90%以上となることが好ましい。
【0092】
図12Bに示すように、他の変形例に係る発光装置1bでは、上面40Tは第2領域52bを含んでいる。第2領域52bは、正方形である。第2領域52bは、第1頂点V1を含んでいない。したがって、第1頂点V1と第2領域52bとの間には、第1領域51が位置する。第1辺部S1と第2領域52bとの間にも、第1領域51が位置する。第2辺部S2と第2領域52bとの間にも、第1領域51が位置する。
【0093】
第2領域~第5領域の形状は、正方形に限らない。
図13Aに示すように、他の変形例に係る発光装置1cでは、上面40Tは第2領域52cを含んでいる。第2領域52cは、第1頂点V1を頂点の1つに含む長方形である。この例では、第2領域52cは、第1辺部S1上の長辺を有する長方形である。第2領域を長方形とする場合には、長方形の長辺は、第1辺部S1上とする場合に限らず、第2辺部S2上としてもよい。
【0094】
図13Bに示すように、他の変形例に係る発光装置1dでは、上面40Tは第2領域52dを含んでいる。第2領域52dは、第1頂点V1を頂点の1つに含む2つの長方形を合成した形状である。第2領域52dは、第1辺部S1上の長辺を有する長方形と、第2辺部S2上の長辺を有する長方形の合成された形状である。
【0095】
第2領域~第5領域の形状は、正方形や長方形に限らない。
図14Aに示すように、他の変形例に係る発光装置1eでは、上面40Tは第2領域52eを含んでいる。第2領域52eは、第1頂点V1を頂点の1つに含む直角二等辺三角形である。第2領域52eは、第1辺部S1上の辺と第2辺部S2上の辺とを有する直角二等辺三角形である。
【0096】
第2領域~第5領域の形状は、三角形や方形等の多角形に限らない。
図14Bに示すように、他の変形例に係る発光装置1fでは、上面40Tは第2領域52fを含んでいる。第2領域52fは、第1頂点V1を頂点の1つに含む形状である。第2領域52fは、第1辺部S1上に第1頂点V1を含む直線状の辺を有し、第2辺部S2上に第1頂点を含む直線状の辺を有している。第2領域52fの2つの辺は、第1頂点V1の反対側の端部で円弧で結ばれている。第2領域52fの円弧は、第1領域51側に中心を有する円の円弧である。第2領域は、上述の形状に限らず、第2領域側に中心を有する円の円弧であってもよい。
【0097】
第2領域~第5領域の形状は、同一の形状である必要はなく、上面視での平均輝度が向上するように、それぞれの領域の形状が決定される。光学部材40の上面視での外周の形状が正方形以外の他の凸多角形の形状であっても、凸多角形の形状等に応じて、それぞれの角領域についての適切な形状が選定される。
【0098】
実施形態に係る発光装置1の効果について説明する。
実施形態に係る発光装置1は、光学部材40と光学部材40よりも低い屈折率を有する透光層60とを備えている。そのため、透光層60から出射される光の配光は、光学部材40で狭配光化される。また、正方形の外周を有する光学部材40は、少なくとも正方形の角領域を除く領域である第1領域51に構造体100を含む。構造体100は、第1角度φ1を有する傾斜面101を有するので、光学部材40中で狭配光化された光は、さらに狭配光化されて傾斜面101から出射される。
【0099】
実施形態に係る発光装置1では、光学部材40において、正方形の外周の角に対応する第2領域52~第5領域55は、第1角度φ1よりも小さい第2角度φ2を有する傾斜面を含む。そのため、第2領域52~第5領域55のそれぞれの傾斜面から出射される光の輝度は、図8Aおよび図8Bに関連して説明した第2領域52~第5領域55が構造体100aを含む場合の光の輝度よりも低下することがない。そのため、光学部材40の外周の角領域での輝度の低下が抑制され、発光装置1が出射する光の平均輝度が向上する。
【0100】
上述では、第2領域52~第5領域55は、平面視において矩形状の光学部材の角領域に互いに離散して配置されるものとしたが、第2領域52~第5領域55のそれぞれが角領域を含んでいればよく、第2領域52~第5領域55のうち隣り合う領域同士が結合され、複数の領域が一体の領域とされても上述と同様の効果を得ることができる。例えば、第2領域52および第3領域53がX軸方向に延伸し、相互に結合され、第4領域54および第5領域55がX軸方向に延伸し、相互に結合される。また、第2領域52および第4領域54がY軸方向に延伸し、相互に結合され、第3領域53および第5領域55がY軸方向に延伸し、相互に結合される。つまり、第2領域52~第5領域55が互いに結合され、これらの領域が結合された領域は、平面視において、光学部材40の外周のすべてにわたって配置されてもよい。この場合において、結合された領域の平面視における形状は、四角環状とすることができる。
【0101】
なお、波長変換部材30および透光層60のうち、いずれか一方または両方を配置しなくてもよく、これらを配置しない場合であっても、第1領域51~第5領域55において、第1角度φ1および第2角度φ2の関係を満たすことによって、角領域における輝度の低下を抑制することができるのは言うまでもない。
【0102】
以上説明した実施形態によれば、光を出射する光学部材の角の領域での出射光の輝度の低下を抑えた発光装置を実現することができる。
【0103】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【0104】
実施形態は、以下の態様を含む。
【0105】
(付記1)
基板と、
前記基板上に配置された発光素子と、
前記発光素子上に配置され、前記発光素子と対向する面の反対側に位置する第1面を有する波長変換部材と、
上面を有し、前記第1面から上方に離隔して配置された光学部材と、
前記波長変換部材と前記光学部材との間に配置され、前記光学部材の屈折率よりも低い屈折率を有する透光層と、
前記発光素子、前記波長変換部材、前記透光層および前記光学部材を囲む光反射性部材と、
を備え、
前記光学部材の上面は、前記第1面に対する内角が第1角度の第1出射面を含む第1領域と、前記第1領域に隣り合い、前記第1面に対する内角が第2角度の第2出射面を含む第2領域と、を含み、
上面視で、
前記光学部材の外周の形状は、凸多角形であり、
前記凸多角形は、
第1辺部、第2辺部および前記第1辺部が前記第2辺部に交差する第1頂点を有し、
前記第2領域は、
前記第1頂点と、
前記第1辺部を二等分する点よりも前記第1頂点に近い前記第1辺部上の第1点と、
前記第2辺部を二等分する点よりも前記第1頂点に近い前記第2辺部上の第2点と、
をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域に含まれ、
前記第2角度は、前記第1角度よりも小さい発光装置。
【0106】
(付記2)
前記第2出射面は、前記第2角度が0°に設定された平坦面である付記1記載の発光装置。
【0107】
(付記3)
前記第2領域は、前記発光素子の外周よりも外側に位置する付記1または2に記載の発光装置。
【0108】
(付記4)
前記第2領域は、前記発光素子の外周の内側の領域を含む付記1または2に記載の発光装置。
【0109】
(付記5)
前記光学部材は、前記上面に、前記第1領域に隣り合う第3領域を含み、
上面視で、
前記凸多角形は、第3辺部および前記第1辺部が前記第3辺部に交差する第2頂点をさらに有し、
前記第3領域は、
前記第2頂点と、
前記第1辺部を二等分する位置よりも前記第2頂点に近い前記第2辺部上の第3点と、
前記第3辺部を二等分する位置よりも前記第2頂点に近い前記第3辺部上の第4点と、
をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域に含まれた付記1~4のいずれか1つに記載の発光装置。
【0110】
(付記6)
前記光学部材は、前記上面に、前記第1領域に隣り合う第4領域および第5領域を含み、
上面視で、
前記凸多角形は、第4辺部および前記第2辺部が前記第4辺部に交差する第3頂点をさらに有し、
前記第4領域は、
前記第3頂点と、
前記第2辺部を二等分する位置よりも前記第3頂点に近い前記第2辺部上の第5点と、
前記第4辺部を二等分する位置よりも前記第3頂点に近い前記第4辺部上の第6点と、
をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域に含まれ、
前記凸多角形は、前記第3辺部が前記第4辺部に交差する第4頂点をさらに有し、
前記第5領域は、
前記第4頂点と、
前記第3辺部を二等分する位置よりも前記第4頂点に近い第7点と、
前記第4辺部を二等分する位置よりも前記第4頂点に近い第8点と、
をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域に含まれた付記5記載の発光装置。
【0111】
(付記7)
平面視で、
前記第2領域の外周は、前記第1頂点を頂点に含む方形または三角形である付記1~6のいずれか1つに記載の発光装置。
【0112】
(付記8)
前記発光素子の外周は、前記第1辺部に平行な辺を有し、
前記第2領域および前記第3領域は、いずれも、前記第1辺部に平行な辺および前記第1辺部に直交する辺を有する正方形または長方形であり、
前記第2領域と前記第3領域との間で前記第1辺部に平行な前記第1領域の長さは、前記発光素子の前記辺の長さの90%~110%の範囲以内である付記5または6に記載の発光装置。
【0113】
(付記9)
前記光学部材の上面は、前記第1出射面を有する錐体を含む付記1~8のいずれか1つに記載の発光装置。
【0114】
(付記10)
前記錐体は、複数個配置されており、前記複数の錐体は、連続的かつ規則的に並んだ付記9記載の発光装置。
【0115】
(付記11)
前記透光層は空気の層であり、前記透光層は前記波長変換部材の前記第1面の全面にわたって配置された付記1~10のいずれか1つに記載の発光装置。
【0116】
(付記12)
基板と、
前記基板上に配置され、光出射面を有する発光素子と、
上面を有し、前記光出射面上に配置された光学部材と、
前記発光素子および前記光学部材を囲む光反射性部材と、
を備え、
前記光学部材の上面は、前記光出射面に対する内角が第1角度の第1出射面を含む第1領域と、前記第1領域に隣り合い、前記光出射面に対する内角が第2角度の第2出射面を含む第2領域と、を含み、
上面視で、
前記光学部材の外周の形状は、凸多角形であり、
前記凸多角形は、
第1辺部、第2辺部および前記第1辺部が前記第2辺部に交差する第1頂点を有し、
前記第2領域は、
前記第1頂点と、
前記第1辺部を二等分する点よりも前記第1頂点に近い前記第1辺部上の第1点と、
前記第2辺部を二等分する点よりも前記第1頂点に近い前記第2辺部上の第2点と、
をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域に含まれ、
前記第2角度は、前記第1角度よりも小さい発光装置。
【符号の説明】
【0117】
1,1a~1f 発光装置、10 基板、12 配線、20 発光素子、30 波長変換部材、31a 第1面、40 光学部材、40T 上面、41 位置決め溝、 51 第1領域、52,52a~52f 第2領域、53 第3領域、54 第4領域、55 第5領域、60 透光層、70 光反射性部材、71 位置決め凸部、100 構造体、101~104 傾斜面

図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
【手続補正書】
【提出日】2024-10-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置された発光素子と、
前記発光素子上に配置され、前記発光素子と対向する面の反対側に位置する第1面を有する波長変換部材と、
上面を有し、前記第1面から上方に離隔して配置された光学部材と、
前記波長変換部材と前記光学部材との間に配置され、前記光学部材の屈折率よりも低い屈折率を有する透光層と、
前記発光素子、前記波長変換部材、前記透光層および前記光学部材を囲む光反射性部材と、
を備え、
前記光学部材の上面は、前記第1面に対する内角が第1角度の第1出射面を含む第1領域と、前記第1領域に隣り合い、第2出射面を含む第2領域と、を含み、
上面視で、
前記光学部材の外周の形状は、凸多角形であり、
前記凸多角形は、
第1辺部、第2辺部および前記第1辺部が前記第2辺部に交差する第1頂点を有し、
前記第2領域は、
前記第1頂点と、
前記第1辺部を二等分する点よりも前記第1頂点に近い前記第1辺部上の第1点と、
前記第2辺部を二等分する点よりも前記第1頂点に近い前記第2辺部上の第2点と、
をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域に含まれ、
前記第2領域は、前記第1面に平行な平坦面であり、かつ、前記光反射部材の外側の表面から連続して配置された、
発光装置。
【請求項2】
前記第2領域は、前記発光素子の外周よりも外側に位置する請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2領域は、前記発光素子の外周の内側の領域を含む請求項1記載の発光装置。
【請求項4】
前記光学部材は、前記上面に、前記第1領域に隣り合う第3領域を含み、
上面視で、
前記凸多角形は、第3辺部および前記第1辺部が前記第3辺部に交差する第2頂点をさらに有し、
前記第3領域は、
前記第2頂点と、
前記第1辺部を二等分する位置よりも前記第2頂点に近い前記第2辺部上の第3点と、
前記第3辺部を二等分する位置よりも前記第2頂点に近い前記第3辺部上の第4点と、
をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域に含まれた請求項1記載の発光装置。
【請求項5】
前記光学部材は、前記上面に、前記第1領域に隣り合う第4領域および第5領域を含み、
上面視で、
前記凸多角形は、第4辺部および前記第2辺部が前記第4辺部に交差する第3頂点をさらに有し、
前記第4領域は、
前記第3頂点と、
前記第2辺部を二等分する位置よりも前記第3頂点に近い前記第2辺部上の第5点と、
前記第4辺部を二等分する位置よりも前記第3頂点に近い前記第4辺部上の第6点と、
をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域に含まれ、
前記凸多角形は、前記第3辺部が前記第4辺部に交差する第4頂点をさらに有し、
前記第5領域は、
前記第4頂点と、
前記第3辺部を二等分する位置よりも前記第4頂点に近い第7点と、
前記第4辺部を二等分する位置よりも前記第4頂点に近い第8点と、
をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域に含まれた請求項記載の発光装置。
【請求項6】
平面視で、
前記第2領域の外周は、前記第1頂点を頂点に含む方形または三角形である請求項1記載の発光装置。
【請求項7】
前記発光素子の外周は、前記第1辺部に平行な辺を有し、
前記第2領域および前記第3領域は、いずれも、前記第1辺部に平行な辺および前記第1辺部に直交する辺を有する正方形または長方形であり、
前記第2領域と前記第3領域との間で前記第1辺部に平行な前記第1領域の長さは、前記発光素子の前記辺の長さの90%~110%の範囲以内である請求項またはに記載の発光装置。
【請求項8】
前記光学部材の上面は、前記第1出射面を有する錐体を含む請求項1記載の発光装置。
【請求項9】
前記錐体は、複数個配置されており、前記複数の錐体は、連続的かつ規則的に並んだ請求項記載の発光装置。
【請求項10】
前記透光層は空気の層であり、前記透光層は前記波長変換部材の前記第1面の全面にわたって配置された請求項1記載の発光装置。
【請求項11】
基板と、
前記基板上に配置され、光出射面を有する発光素子と、
上面を有し、前記光出射面上に配置された光学部材と、
前記発光素子および前記光学部材を囲む光反射性部材と、
を備え、
前記光学部材の上面は、前記光出射面に対する内角が第1角度の第1出射面を含む第1領域と、前記第1領域に隣り合い、第2出射面を含む第2領域と、を含み、
上面視で、
前記光学部材の外周の形状は、凸多角形であり、
前記凸多角形は、
第1辺部、第2辺部および前記第1辺部が前記第2辺部に交差する第1頂点を有し、
前記第2領域は、
前記第1頂点と、
前記第1辺部を二等分する点よりも前記第1頂点に近い前記第1辺部上の第1点と、
前記第2辺部を二等分する点よりも前記第1頂点に近い前記第2辺部上の第2点と、
をそれぞれ結ぶ直線によって囲まれた領域に含まれ、
前記第2領域は、前記第1面に平行な平坦面であり、かつ、前記光反射部材の外側の表面から連続して配置された、
発光装置。