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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174086
(43)【公開日】2024-12-13
(54)【発明の名称】排出管理システム
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/00 20060101AFI20241206BHJP
   G01N 33/497 20060101ALI20241206BHJP
   A47K 17/00 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
E03D9/00 Z
G01N33/497 D
A47K17/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024168815
(22)【出願日】2024-09-27
(62)【分割の表示】P 2022527493の分割
【原出願日】2021-01-15
(31)【優先権主張番号】63/030,528
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】P 2020185250
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004303
【氏名又は名称】弁理士法人三協国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金井 博文
(72)【発明者】
【氏名】森 俊英
(72)【発明者】
【氏名】山田 由佳
(57)【要約】
【課題】排便時又は放屁時に十分な臭気が発生しない人物に対しても排便及び放屁の少な
くとも1つが行われたことを正確に判定する。
【解決手段】排出物判定方法は、第1ガスセンサ1が検出したセンシングデータを取得し、カメラ2が撮像した画像データを取得し、センシングデータが示すガス濃度が第1基準濃度より大きいか否かを判定する第1判定を行い、画像データに対して画像処理を実行して画像データに排便を示す画像が含まれているか否かを判定する第2判定を行い、第1判定の判定結果と第2判定の判定結果とに基づいて、排便及び放屁の少なくとも1つが行われたことを判定する第3判定を行い、第3判定の判定結果を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の縁部に掛けられたセンサユニットと、
排出物の判定を行う排出物判定装置と、を備え、
前記センサユニットには、内部に測距センサ及び前記便器のボウル部が撮影可能なカメラが配置されており、
前記排出物判定装置は、前記測距センサが検出した物体の距離が基準距離未満の場合、着座したと判定する排出管理システム。
【請求項2】
前記排出物判定装置は、着座を判定すると、前記カメラから画像データを取得する、
請求項1記載の排出管理システム。
【請求項3】
前記排出物判定装置は、ネットワークに接続させる通信部を有し、
前記センサユニットと前記排出物判定装置は有線又は無線で接続されている、
請求項1又は2記載の排出管理システム。
【請求項4】
前記排出物判定装置は、排出行為が行われた日時を示す日時情報を含む排出履歴情報を生成し、前記排出履歴情報を前記通信部を介してサーバへ送信する、
請求項3記載の排出管理システム。
【請求項5】
前記排出物判定装置は、排出者の識別情報を含む排出履歴情報を生成し、前記排出履歴情報を前記通信部を介してサーバへ送信する、
請求項3記載の排出管理システム。
【請求項6】
前記排出物判定装置は、前記カメラが撮影した画像データを取得し前記画像データに対して画像処理を実行して前記画像データに排便及び排尿の少なくとも一方を示す画像が含まれているか否かを判定する、
請求項1~5いずれか1項に記載の排出管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人物から排出された排出物を判定する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、介護施設等では被介護者の排出物を客観的に管理することが求められている。そこで、特許文献1には、温度計測部で計測された温度データが温度閾値を超えるか否かの判定結果と臭気計測部で計測された臭気データが臭気閾値を超えたか否かの判定結果との組み合わせに応じて、ボウル部内で排出される排出物が、排便、排尿、及び排尿のいずれに該当するかを判定する技術が開示されている。
【0003】
ところで、排便時又は放屁時に十分な臭気が発生しない人物が存在する。そのため、温度データ及び臭気データを用いる特許文献1の技術では、このような人物に対して排便及び放屁の少なくとも1つが行われたことを正確に判定できないという課題がある。また、特許文献1の技術では、放屁を伴う排便を検出することは何ら言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-178764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、排便時又は放屁時に十分な臭気が発生しない人物に対しても排便及び放屁の少なくとも1つが行われたことを正確に判定できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る排出管理システムは、便器の縁部に掛けられたセンサユニットと、排出物の判定を行う排出物判定装置と、を備え、前記センサユニットには、内部に測距センサ及び前記便器のボウル部が撮影可能なカメラが配置されており、前記排出物判定装置は、前記測距センサが検出した物体の距離が基準距離未満の場合、着座したと判定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、排便時又は放屁時に十分な臭気が発生しない人物に対しても排出行為が行われたことを正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態1における排出管理システムの構成を示す図である。
図2】本開示の実施の形態1におけるセンサユニット及び排出物判定装置の配置位置を説明するための図である。
図3】本開示の実施の形態1に係る排出物判定処理のフローチャートである。
図4】本開示の実施の形態2における排出管理システムの構成を示す図である。
図5】本開示の実施の形態2に係る排出物判定処理のフローチャートである。
図6】本開示の実施の形態3に係る排出管理システムの構成を示すブロック図である。
図7】本開示の実施の形態3に係る便秘判定処理のフローチャートである。
図8】本開示の実施の形態3に係る服薬状態判定処理のフローチャートである。
図9】本開示の変形例に係る排出物判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0010】
(本開示に至る経緯)
排尿、排便、及び放屁を排出する排出行為の回数及び時間等を示す排出履歴情報は、人物の健康リスクを把握する上で重要な情報である。特に、便秘になりやすい体質を有する高齢者を多く収容する介護施設では、被介護者の排出履歴情報を客観的に記録し、下剤等の薬剤を被介護者に適切に服薬させることが求められている。しかしながら、介護施設には多数の被介護者がいるため、このような排出履歴情報の記録作業を介護職員に課すことは、介護職員の負担が増大するため容易ではない。そこで、本発明者らはこのような排出履歴情報を人手を介さずに自動的に管理する技術の研究を進めている。
【0011】
このような技術に関連する先行技術文献として上述の特許文献1がある。特許文献1では、便器のボウル部の温度を示す温度データが温度閾値より大きい場合、硫化水素センサで計測された第1臭気データ又はアンモニアセンサで計測された第2臭気データが臭気閾値より大きければ、排便が行われたと判定され、第1臭気データ及び第2臭気データが共に臭気閾値以下であれば排尿が行われたと判定されている。また、特許文献1では、温度データが温度閾値以下の場合、第1臭気データ又は第2臭気データが臭気閾値より大きければ、放屁が行われたと判定されている。
【0012】
しかしながら、下剤及び抗生物質等の薬剤を日常的に服薬している人物の中には排便時又は放屁時に十分な臭気が発生しない人物もいる。特に被介護者はこのような薬剤を大量に服薬している傾向を有しており、排便時に十分な臭気が発生しない可能性が高い。また、摂取した食事内容によって排便時又は放屁時に十分な臭気を発生しない人物もいる。したがって、特許文献1は、このような人物に対して、排便が行われたのかを正確に判定できないという課題がある。
【0013】
具体的には、特許文献1の技術をこのような人物に適用した場合、放屁時にはボウル部の温度変化が現れず、臭気閾値以下の第1臭気データ及び第2臭気データが計測されるため、放屁が判定されない。また、排便時にはボウル部の温度変化は現れるものの、臭気閾値以下の第1臭気データ及び第2臭気データが計測されるため、排便が判定されない。さらに、特許文献1では、放屁を伴う排便の判定について何ら言及されていない。
【0014】
そこで、本発明者は、排便時又は放屁時に十分な臭気が発生しない人物であっても体内から臭気を伴わないガスが発生しているとの知見を得た。そして、ボウル部の内部の状況を撮像した画像データの分析結果とガスセンサが計測したセンシングデータの分析結果とを組み合わせれば、排便時又は放屁時に十分な臭気が発生しない人物に対しても、排便及び放屁の少なくとも1つが行われたことを正確に判定できるとの知見を得た。そして、この知見を踏まえて以下に示す本開示の各態様を想到するに至った。
【0015】
本開示の一態様に係る排出物判定方法は、排出物を判定する排出物判定装置における排出物判定方法であって、トイレ内に設置されたガスセンサが検出したセンシングデータを取得し、前記トイレ内の便器のボウル部が撮影可能に前記便器に設置されたカメラが撮像した画像データを取得し、前記センシングデータが示すガス濃度が基準濃度より大きいか否かを判定する第1判定を行い、前記画像データに対して画像処理を実行して前記画像データに排便を示す画像が含まれているか否かを判定する第2判定を行い、前記第1判定の判定結果と前記第2判定の判定結果とに基づいて、前記排便及び放屁の少なくとも1つが行われたことを判定する第3判定を行い、前記第3判定の判定結果を出力する。
【0016】
本構成によれば、ガスセンサが検出したガス濃度が基準濃度より大きいか否かを判定する第1判定の判定結果と、カメラが撮像した画像データに排便を示す画像が含まれているか否かを判定する第2判定の判定結果とに基づいて、排便及び放屁の少なくとも1つが行われたことが判定されている。そのため、排便時又は放屁時に十分な臭気が発生しない人物であっても排便及び放屁の少なくとも1つが行われたことを正確に判定できる。
【0017】
上記排出物判定方法において、前記第3判定では、前記第1判定の判定結果が、前記ガス濃度が基準濃度より大きいことを示し、且つ、前記第2判定の判定結果が、前記画像データに前記排便を示す画像が含まれていることを示す場合、前記排便及び前記放屁が行われたと判定してもよい。
【0018】
本構成によれば、第1判定の判定結果が画像データに排便を示す画像が含まれていないことを示し且つ第2判定の判定結果がガスセンサの検出したガス濃度が基準濃度より大きいことを示す場合、排便及び放屁が行われたと判定されているため、放屁を伴う排便が行われたことを正確に判定できる。
【0019】
上記排出物判定方法において、前記第3判定では、前記第1判定の判定結果が、前記ガス濃度が前記基準濃度より大きいことを示し、且つ、前記第2判定の判定結果が、前記画像データに前記排便を示す画像が含まれていないことを示す場合、前記放屁のみが行われたと判定してもよい。
【0020】
本構成によれば、第1判定の判定結果がガスセンサの検出したガス濃度が基準濃度より大きいことを示し、且つ、第2判定の判定結果が画像データに排便を示す画像が含まれていないことを示す場合、放屁のみが行われたと判定されているため、放屁のみが行われたことを正確に判定できる。
【0021】
上記排出物判定方法において、前記ガスセンサは水素に感度を有する第1ガスセンサであってもよい。
【0022】
排便時及び放屁時において、臭気が発生しない人物であっても体内から水素が排出されることが知見された。本構成では、ガスセンサは水素に感度を有する第1ガスセンサを含んでいるため、排便時又は放屁時に臭気が発生しない人物であっても、排便及び放屁の少なくとも1つが行われたことを正確に判定できる。
【0023】
上記排出物判定方法において、前記第2判定は、前記第1判定が肯定された場合に実行されてもよい。
【0024】
本構成によれば、第1判定が肯定された場合にカメラを起動することができるため、カメラを常時起動させる必要がなくなり、消費電力を削減することができる。
【0025】
上記排出物判定方法において、前記ガスセンサは、水素に感度を有する第1ガスセンサと、アンモニアに感度を有する第2ガスセンサと、硫化水素に感度を有する第3ガスセンサとを含み、さらに、前記第1判定の判定結果が前記第1ガスセンサの検出したガス濃度が前記基準濃度以下であることを示す場合、前記第2ガスセンサの検出したアンモニア濃度と前記第3ガスセンサの検出した硫化水素濃度とに基づいて、排便又は排尿が行われた否かを判定する第4判定を実行してもよい。
【0026】
本構成によれば、第1ガスセンサが基準濃度以上の水素濃度を検出できなかった場合、第2ガスセンサが検出したアンモニア濃度と第3ガスセンサが検出した硫化水素濃度とに基づいて、排便及び排尿のいずれか一方が行われたか否かが判定される。そのため、第1ガスセンサでは検出が困難な排尿を検出できる。
【0027】
上記排出物判定方法において、さらに、前記第1判定の判定結果が前記第1ガスセンサの検出したガス濃度が前記基準濃度以下であることを示す場合、前記画像データに基づいて排便又は排尿が行われたか否かを判定する第4判定を実行してもよい。
【0028】
本構成によれば、第1ガスセンサが基準濃度以上の水素を検出できなかった場合、画像データに基づいて排便又は排尿が行われたか否かが判定される。そのため、第1ガスセンサでは検出が困難な排尿を検出できる。
【0029】
上記排出物判定方法において、前記第1判定、前記第2判定、及び前記第3判定は、排出者が前記便器に着座したことを検知する着座センサにより前記着座が検知された場合に実行されてもよい。
【0030】
本構成によれば、ユーザの着座中においてのみ第1判定、第2判定、及び第3判定が行われるため、排出物判定装置の処理負担が軽減される。
【0031】
上記排出物判定方法において、前記出力では、判定結果と、排出行為が行われた日時を示す日時情報と、前記ガス濃度とを含む排出履歴情報を生成し、前記排出履歴情報をメモリに格納し、さらに、前記メモリに格納された前記排出履歴情報が、排便間隔が第1閾値以上であることを示し且つ前記排便間隔内に連続して前記放屁が行われていることを示す場合、前記排出履歴情報が示す前記ガス濃度の上昇度が第2閾値以上であるか否かを判定し、前記上昇度が前記第2閾値以上であると判定した場合、排出者が便秘であると判定し、さらに、前記便秘の判定結果を出力してもよい。
【0032】
便秘時には、排便の間隔が増大すると共に放屁の頻度が増大する。さらに、便秘時には放屁によって体内から排出されるガス濃度は上昇する。本構成によれば、排便間隔が第1閾値以上且つ排便間隔内に連続して放屁が行われたことが排出履歴情報から特定され、さらに、ガス濃度の上昇度が第2閾値以上変化した場合、便秘であると判定されている。そのため、便秘を正確に判定できる。
【0033】
上記排出物判定方法において、前記出力では、判定結果と、排出行為が行われた日時を示す日時情報と、前記ガス濃度とを含む排出履歴情報を生成し、前記排出履歴情報をメモリに格納し、さらに、前記メモリに格納された排出履歴情報に基づいて前記ガス濃度の上昇度を算出し、前記上昇度が第3閾値以上であるか否かに基づいて排出者の服薬状態を判定し、さらに、前記服薬状態の判定結果を出力してもよい。
【0034】
排出者が処方された薬剤の服薬を停止すると、排便及び放屁の少なくとも1つが行われたときに体内から排出されるガス濃度は上昇するとの知見が得られた。本構成によれば、排出履歴情報に基づいてガス濃度の上昇度が算出され、この上昇度が第3閾値以上であるか否かに基づいて排出者の服薬状態が判定されている。そのため、排出者の服薬状態の有無を正確に判定できる。
【0035】
本開示の別の一態様に係る排出物判定装置は、排出物を判定する排出物判定装置であって、トイレ内に設置されたガスセンサからセンシングデータを取得するセンシングデータ取得部と、前記トイレ内の便器のボウル部が撮影可能に前記便器に設置されたカメラから画像データを取得する画像データ取得部と、前記センシングデータが示すガス濃度が基準濃度より大きいか否かを判定する第1判定を行い、前記画像データに対して画像処理を実行して前記画像データに排便を示す画像が含まれているか否かを判定する第2判定を行い、前記第1判定の判定結果と前記第2判定の判定結果とに基づいて、前記排便及び放屁の少なくとも1つが行われたことを判定する第3判定を行う排出物判定部と、前記第3判定の判定結果を出力する判定結果出力部とを備える。
【0036】
本開示のさらに別の一態様に係る排出物判定プログラムは、トイレ内に設置されたガスセンサからセンシングデータを取得し、前記トイレ内の便器のボウル部が撮影可能に前記便器に設置されたカメラから画像データを取得し、前記センシングデータが示すガス濃度が基準濃度より大きいか否かを判定する第1判定を実行し、前記画像データに対して画像処理を実行して前記画像データに排便を示す画像が含まれているか否かを判定する第2判定を実行し、前記第1判定の判定結果と前記第2判定の判定結果とに基づいて、前記排便及び放屁の少なくとも1つが行われたことを判定する第3判定を実行し、前記第3判定の判定結果を出力するようにコンピュータを機能させる。
【0037】
これらの構成によれば、上述の排出物判定方法と同様の効果が得られる。
【0038】
本開示は、このような排出物判定方法に含まれる特徴的な各構成をコンピュータに実行させる排出物判定プログラム、或いはこの特徴的な各構成を備える排出物判定装置として実現することもできる。また、このようなコンピュータプログラムを、CD-ROM等のコンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体あるいはインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
【0039】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0040】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1における排出管理システムの構成を示す図である。図2は、本開示の実施の形態1におけるセンサユニット105及び排出物判定装置3の配置位置を説明するための図である。以下の説明において、排出物は、排便、排尿、及び放屁を含む。
【0041】
図1に示す排出管理システムは、第1ガスセンサ1、カメラ2、排出物判定装置3、着座センサ4、及びサーバ6を備える。第1ガスセンサ1は、便器101内に配置され、水素に感度を有している。第1ガスセンサ1は、図2に示すセンサユニット105内に配置されている。図2に示すように、便器101は、ボウル部101a及び縁部101bを含む。縁部101bは、便器101の上端に配置され、開口部を画定する部材である。ボウル部101aは、縁部101bの下側に配置され、排便及び排尿を受ける部材である。センサユニット105は、縁部101bに掛けられている。第1ガスセンサ1は、便器101内の空間の水素濃度を検出する。第1ガスセンサ1は、排出物判定装置3と有線又は無線により互いに通信可能に接続されている。第1ガスセンサ1は、検出した水素濃度を示すセンシングデータを排出物判定装置3へ送信する。なお、第1ガスセンサ1の配置箇所は、センサユニット105内に限定されず、センサユニット105の外部であってもよい。例えば、第1ガスセンサ1は、便器101の周囲の壁に設けられてもよく、トイレ空間の内部であればどのような場所に設けられていてもよい。
【0042】
ボウル部101aの底部には、不図示の排水路が設けられている。ボウル部101a内に排出された排便及び排尿は、排水路を通って流される。また、便器101の上部には、排出者が座るための便座102が設けられている。便座102は、上下に回動する。排出者は、便座102を便器101上に下ろした状態で座る。便器101の後方には、排便及び排尿を流すための水を蓄える貯水タンク103が設けられている。
【0043】
なお、第1ガスセンサ1は、排出者が便座102に座った時点から、排出者が便座102から離れた時点までの期間に検出した水素濃度を示すセンシングデータを排出物判定装置3へ送信すればよい。但し、これは一例であり、第1ガスセンサ1は、検出した水素濃度を示すセンシングデータを排出物判定装置3へ常時送信してもよい。
【0044】
カメラ2は、ボウル部101aが撮影可能に便器101に設置されている。ここでは、カメラ2は、センサユニット105内に配置されている。カメラ2は、例えば、高感度且つ広角のカメラであって、R(赤)成分、G(緑)成分、及びB(青)成分を有するカラー画像が撮像可能なカメラで構成されている。物体検出分野においては、赤外発光ダイオードと白色発光ダイオードとで対象物を照射し、対象物を撮影するカメラが広く用いられている。しかしながら、このような従来のカメラでは、特に赤系の色成分を多く有する対象物の検知が困難であったため、排便及び排尿の区別が困難であった。そこで、本実施の形態では、カメラ2として、高感度且つ広角のカメラが採用されている。具体的には、カメラ2は、1/4インチのCMOSを有する高感度カメラで構成されている。また、カメラ2は、水平方向の画角が120度、垂直方向の画角が45度の広角カメラで構成されている。なお、これら、インチ数及び画角数の数値は一例にすぎず、他の値が採用されてもよい。カメラ2は、有線又は無線により排出物判定装置3と互いに通信可能に接続されている。カメラ2は、所定のフレームレートでボウル部101aの内部を撮像し、得られた画像データを送信する。ここで、カメラ2は、排出者が便座102に座った時点から、排出者が便座102から離れた時点までの期間に撮像した画像データを排出物判定装置3へ送信すればよい。但し、これは一例であり、カメラ2は、撮像した画像データを排出物判定装置3へ常時送信してもよい。
【0045】
着座センサ4は、センサユニット105内に配置され、排出者が便座102に座っているか否かを検出する。着座センサ4は、ボウル部101aの周囲の照度を検出する照度センサ及びボウル部101aの周囲の物体の距離を検出する測距センサを含む。排出者が便座102に座ると開口部が臀部で塞がれるため、ボウル部101aの周囲は暗くなり、且つ、センサユニット105の近傍に物体が存在することになる。そのため、照度センサ及び測距センサを用いて排出者が便座102に座ったか否かを検出することが可能となる。なお、着座センサ4は、照度センサ及び測距センサに代えて、便座102に座った排出者の圧力を検出する圧力センサで構成されてもよい。また、着座センサ4は、照度センサ及び測距センサのいずれか一方で構成されてもよい。
【0046】
排出物判定装置3は、例えば、貯水タンク103の側面に配置されている。なお、排出物判定装置3の配置位置は、上記に限定されず、トイレ内であればどこでもよい。また、センサユニット105と排出物判定装置3とが無線により接続されている場合、排出物判定装置3は、トイレ内に配置されていなくてもよく、センサユニット105と無線通信可能な場所に配置されていればよい。
【0047】
排出物判定装置3は、プロセッサ31、メモリ32及び通信部33を含む。メモリ32は、例えば、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリ等の各種情報を記憶可能な記憶装置で構成されている。メモリ32は、第1ガスセンサ1によって送信されたセンシングデータを記憶する。
【0048】
プロセッサ31は、例えば、中央演算処理装置(CPU)又はASIC(application specific integrated circuit)で構成されている。プロセッサ31は、センシングデータ取得部311、画像データ取得部312、排出物判定部313、判定結果出力部314、及び着座判定部315を含む。
【0049】
センシングデータ取得部311は、第1ガスセンサ1によって検出された便器101周辺の水素濃度を示すセンシングデータを取得する。センシングデータ取得部311は、メモリ32に記憶されているセンシングデータを読み出す。
【0050】
画像データ取得部312は、カメラ2が撮像した画像データを取得する。
【0051】
排出物判定部313は、センシングデータが示す水素濃度が第1基準濃度より大きいか否かを判定する(第1判定)。放屁時に排出される水素濃度は、排便のみが行われた場合に放出される水素濃度より高いという知見が得られた。したがって、排出者が排便のみをしたときの水素濃度の検出結果に基づいて第1基準濃度を設定すると、第1ガスセンサ1が検出した水素濃度が第1基準濃度以上であれば、排出者は排便及び放屁のうち少なくとも排便を行ったと判定できる。そこで、第1基準濃度は、排出者が排便のみをしたときの水素濃度の検出結果に基づいて予め設定された値が採用されている。但し、これは一例であり、第1基準濃度は、排出者が放屁をしたときの水素濃度の検出結果に基づいて予め設定された値が採用されてもよい。
【0052】
排出物判定部313は、画像データに対して画像処理を実行して画像データに排便を示す排便画像が含まれているか否かを判定する(第2判定)。画像処理の内容については後述する。排出物判定部313は、第1判定の判定結果と第2判定の判定結果とに基づいて、排便及び放屁の少なくとも1つが行われたことを判定する(第3判定)。
【0053】
ここで、第3判定では、第1判定の判定結果が、水素濃度が第1基準濃度より大きいことを示し、且つ、第2判定の判定結果が、画像データに排便画像が含まれていることを示す場合、排便及び放屁が行われたと判定する。また、第3判定では、第1判定の判定結果が、水素濃度が第1基準濃度より大きいことを示し、且つ、第2判定の判定結果が画像データに排便画像が含まれていないことを示す場合、放屁のみが行われたと判定する。
【0054】
排出物判定部313は、第1判定の判定結果が、第1ガスセンサ1が検出した水素濃度が第1基準濃度以下であることを示す場合、画像データに基づいて排尿又は排便が行われたか否かを判定する(第4判定)。
【0055】
判定結果出力部314は、第3判定の判定結果又は第4判定の判定結果を含む排出履歴情報を生成し、排出履歴情報を通信部33を介してサーバ6へ送信すると共に排出履歴情報をメモリ32に格納する。排出履歴情報には、排出行為(排便、放屁、排尿、並びに排便及び放屁)が行われた日時を示す日時情報が含まれてもよい。さらに、排出履歴情報には、排出者の識別情報が含まれていてもよい。さらに、排出履歴情報には、第1ガスセンサ1が検出した水素濃度が含まれてもよい。さらに、排出履歴情報には、カメラ2が撮像した画像データが含まれてもよい。例えば、便器101が被介護者の個室に配置されている場合、被介護者の部屋番号から被介護者を特定できる。この場合、排出者の識別情報は、排出物判定装置3が設置された部屋の識別情報が採用される。
【0056】
着座判定部315は、着座センサ4の検出結果に基づいて便座102に排出者が着座したか否かを判定する。例えば、着座判定部315は、着座センサ4の照度センサが検出した照度が所定の基準照度未満且つ着座センサ4の測距センサが検出した物体の距離が基準距離未満の場合、排出者が着座したと判定すればよい。但し、これは一例であり、着座判定部315は、照度センサ及び測距センサのいずれか一方の検出結果を用いて便座102に排出者が着座したと判定してもよいし、圧力センサが検出した圧力が基準圧力以上の場合、便座102に排出者が着座したと判定してもよい。
【0057】
通信部33は、排出物判定装置3をネットワーク5に接続させる通信回路で構成されている。通信部33は、排出履歴情報をサーバ6へ送信する。排出物判定装置3は、ネットワーク5を介してサーバ6と互いに通信可能に接続されている。ネットワーク5は、例えば、インターネットである。
【0058】
サーバ6は、排出物判定装置3によって送信された排出履歴情報を受信する。サーバ6は、排出履歴情報を記憶するデータベースを備える。
【0059】
例えば、介護者は、被介護者のモニタリングデータを作成する際に、サーバ6のデータベースを利用する。すなわち、介護者が使用する端末装置は、被介護者の識別情報に対応する排出履歴情報及び日時情報をサーバ6から取得し、被介護者のモニタリングデータを作成する。例えば、端末装置は、所定期間に放屁した回数、所定期間に排便した回数、所定期間に排尿した回数、所定期間に排尿した回数、及び所定期間に排便及び放屁した回数をモニタリングデータとして作成してもよい。モニタリングデータが作成される所定期間は1日であってもよいし、1週間であってもよいし、1か月であってもよい。また、例えば、端末装置は、所定期間に放屁、排便、排尿、並びに排便及び放屁した時刻をモニタリングデータとして作成してもよい。
【0060】
続いて、本開示の実施の形態1に係る排出物判定装置3に係る排出物判定処理について説明する。図3は、本開示の実施の形態1に係る排出物判定処理のフローチャートである。ステップS101において、着座判定部315は、着座センサ4の検出結果に基づいて排出者が便器101に着座したか否かを判定する。排出者が着座したと判定されなかった場合(ステップS101でNO)、処理はステップS101で待機する。一方、排出者が着座したと判定された場合(ステップS101でYES)、処理はステップS102に進む。
【0061】
ステップS102において、センシングデータ取得部311は、第1ガスセンサ1が検出した水素濃度を示すセンシングデータを第1ガスセンサ1から取得する。ステップS103において、画像データ取得部312は、カメラ2が撮像した画像データをカメラ2から取得する。
【0062】
ステップS104において、排出物判定部313は、ステップS102で取得されたセンシングデータが示す水素濃度が第1基準濃度以上であるか否かを判定する(第1判定)。水素濃度が第1基準濃度以上であると判定された場合(ステップS104でYES)、処理はステップS105に進み、水素濃度が第1基準濃度未満であると判定された場合(ステップS104でNO)、処理はステップS109に進む。
【0063】
ステップS105において、排出物判定部313は、ステップS103で取得された画像データに排便画像が含まれているか否かを判定する(第2判定)。
【0064】
ここで、排出物判定部313は、例えば以下のようにして、画像データに排便画像が含まれているか否かを判定すればよい。まず、排出物判定部313は、ステップS103で取得された画像データとベース画像データとの差分を示す差分画像データを算出する。ここで、ベース画像データは、センサユニット105が便器101に設置されたときに実施されるキャリブレーションによって生成された画像データである。ベース画像データは、例えば、カメラ2が排便及び排尿がされていないボウル部101aの状態を複数回撮像することによって得られた複数のカラー画像データに基づいて生成される。すなわち、ベース画像データは、排便及び排尿がされていないボウル部101aのデフォルト状態のカラー画像データである。したがって、排便時又は排尿時に撮像された画像データとベース画像データとの差分をとることによって、排便又は排尿を示す画像データを抽出することができる。
【0065】
次に、排出物判定部313は、算出した差分画像データに含まれるR成分と、G成分と、B成分とのRGB比率を算出する。次に、排出物判定部313は、算出したRGB比率と所定の排便基準比率との距離を算出する。ここで、RGB比率は、例えば差分画像データにおける、R成分の輝度の合計値と、G成分の輝度の合計値と、B成分の輝度の合計値との比率である。排便基準比率は、様々な排便画像を含む複数の画像データを分析することによって算出された典型的な排便のRGB比率である。距離は、例えばユークリッド距離が採用される。最後に、排出物判定部313は、算出した距離が基準距離以下であれば、カメラ2が撮像した画像データには排便が含まれていると判定する。
【0066】
ステップS105において、画像データに排便画像が含まれると判定された場合(ステップS105でYES)、排出物判定部313は、排便及び放屁の両方が行われたと判定する(ステップS106)。
【0067】
一方、ステップS105において、画像データに排便画像が含まれていないと判定された場合(ステップS105でNO)、排出物判定部313は、放屁のみが行われたと判定する(ステップS107)。
【0068】
ステップS109において、排出物判定部313は、画像データに排便画像が含まれているか否かを判定する(第4判定)。画像データに排便画像が含まれていると判定された場合(ステップS109でYES)、排出物判定部313は排便のみが行われたと判定する(ステップS110)。ここで、画像データに排便画像が含まれているか否かを判定する処理の詳細は、上述のステップS105と同じである。
【0069】
一方、画像データに排便画像が含まれていないと判定された場合(ステップS109でNO)、排出物判定部313は、画像データに排尿を示す排尿画像が含まれているか否かを判定する(第4判定)。
【0070】
ここで、排出物判定部313は、例えば以下のようにして画像データに排尿画像が含まれているか否かを判定すればよい。まず、排出物判定部313は、ステップS103で取得された画像データとベース画像データとから差分画像データを算出する。次に、排出物判定部313は、差分画像データのRGB比率を算出する。次に、排出物判定部313は、算出したRGB比率と所定の排尿基準比率との距離を算出する。ここで、所定の排尿基準比率は、様々な排尿画像を含む複数の画像データを分析することによって算出された典型的な排尿のRGB比率である。最後に、排出物判定部313は、算出した距離が基準距離以下の場合、ステップS103で取得された画像データには排尿画像が含まれていると判定すればよい。
【0071】
ステップS111において、ステップS103で取得された画像データに排尿画像が含まれていると判定された場合(ステップS111でYES)、排出物判定部313は、排尿のみが行われたと判定する(ステップS112)。一方、ステップS103で取得された画像データに排尿画像が含まれていないと判定された場合(ステップS111でNO)、排出行為は行われていないため、処理はステップS101に戻る。
【0072】
ステップS106、S107、S110、S112が終了すると処理はステップS108に進む。ステップS108において、判定結果出力部314は、ステップS105、S109、又はS111の判定結果を含む排出履歴情報を通信部33を介してサーバ6へ送信する。
【0073】
例えば、放屁の判定結果が得られた場合(ステップS107)、放屁の判定結果と、放屁が行われた日時を示す日時情報と、判定時の水素濃度と、識別情報とが対応付けられた排出履歴情報が生成される。例えば、排便及び放屁の判定結果が得られた場合(ステップS108)、排便及び放屁の判定結果と、排便及び放屁が行われた日時を示す日時情報と、判定時の水素濃度と、識別情報とが対応付けられた排出履歴情報が生成される。例えば、排便のみが行われたと判定された場合(ステップS110)、排便の判定結果と、排便が行われた日時を示す日時情報と、判定時の水素濃度と、識別情報とが対応付けられた排出履歴情報が生成される。例えば、排尿が行われたと判定された場合(ステップS112)、排尿の判定結果と、排尿が行われた日時を示す日時情報と、判定時の水素濃度と、識別情報とが対応付けられた排出履歴情報が生成される。
【0074】
ステップS108が終了すると処理はステップS101に戻る。排出履歴情報を受信したサーバ6は、排出履歴情報を排出履歴情報としてデータベースに記憶する。
【0075】
このように、本実施の形態によれば、第1判定の判定結果が画像データに排便画像が含まれていないことを示し且つ第2判定の判定結果が第1ガスセンサ1の検出した水素濃度が第1基準濃度より大きいことを示す場合、排便及び放屁が行われたと判定されているため、放屁を伴う排便が行われたことを正確に判定できる。
【0076】
さらに、本実施の形態によれば、第1判定の判定結果が第1ガスセンサ1の検出した水素濃度が第1基準濃度より大きいことを示し、且つ、第2判定の判定結果が画像データに排便画像が含まれていないことを示す場合、放屁のみが行われたと判定されているため、放屁のみが行われたことを正確に判定できる。
【0077】
さらに、本構成では、第1ガスセンサ1は水素に感度を有するガスセンサであるため、排便時又は放屁時に臭気が発生しない人物であっても、排便及び放屁の少なくとも1つが行われたことを正確に判定できる。
【0078】
さらに、第1ガスセンサ1が第1基準濃度以上の水素を検出できなかった場合、画像データに基づいて排尿又は排尿が行われたか否かが判定される。そのため、第1ガスセンサ1では検出が困難な排尿を検出できる。
【0079】
(実施の形態2)
図4は、本開示の実施の形態2における排出管理システムの構成を示す図である。実施の形態2は、排出管理システムがさらに第2ガスセンサ7及び第3ガスセンサ8を備えることを特徴とする。実施の形態2において実施の形態1と同じ構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。また、図4において、実施の形態1に対して機能が相違するブロックには参照符号の末尾にAの符号が付されている。
【0080】
第2ガスセンサ7は、アンモニアに感度を有するガスセンサである。第2ガスセンサ7は、排出者が便座102に座った時点から、排出者が便座102から離れた時点までの期間に検出したアンモニア濃度を示すセンシングデータを排出物判定装置3へ送信すればよい。但し、これは一例であり、第2ガスセンサ7は、検出したアンモニアを示すセンシングデータを排出物判定装置3へ常時送信してもよい。
【0081】
第3ガスセンサ8は、硫化水素に感度を有するガスセンサである。第3ガスセンサ8は、排出者が便座102に座った時点から、排出者が便座102から離れた時点までの期間に検出した硫化水素濃度を示すセンシングデータを排出物判定装置3へ送信すればよい。但し、これは一例であり、第2ガスセンサ7は、検出した硫化水素濃度を示すセンシングデータを排出物判定装置3へ常時送信してもよい。
【0082】
第2ガスセンサ7及び第3ガスセンサ8は、それぞれ例えばセンサユニット105内に配置されている。第2ガスセンサ7及び第3ガスセンサ8はそれぞれ、有線又は無線により、排出物判定装置3Aと通信可能に接続されている。
【0083】
センシングデータ取得部311Aは、第1ガスセンサ1のセンシングデータに加えて、さらに第2ガスセンサ7によって検出された便器101周辺のアンモニア濃度を示すセンシングデータを取得すると共に、第3ガスセンサ8によって検出された便器101周辺の硫化水素濃度を示すセンシングデータを取得する。
【0084】
排出物判定部313Aは、実施の形態1に対して第4判定が相違する。すなわち、排出物判定部313Aは、第1ガスセンサ1が検出した水素濃度が第1基準濃度以下であることを示す場合、第2ガスセンサ7の検出したアンモニア濃度に基づいて、排尿のみが行われたか否かを判定する(第4判定)。さらに、排出物判定部313Aは、第1ガスセンサ1が検出した水素濃度が第1基準濃度以下であることを示す場合、第3ガスセンサ8の検出した硫化水素濃度に基づいて、排便のみが行われたか否かを判定する。
【0085】
続いて、本開示の実施の形態2に係る排出物判定装置3Aに係る排出物判定処理について説明する。図5は、本開示の実施の形態2に係る排出物判定処理のフローチャートである。なお、本フローチャートにおいて実施の形態1と同一の処理には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0086】
ステップS102Aにおいて、センシングデータ取得部311Aは、第1ガスセンサ1、第2ガスセンサ7、及び第3ガスセンサ8のそれぞれからセンシングデータを取得する。
【0087】
ステップS104に続くステップS201において、排出物判定部313は、第3ガスセンサ8が検出した硫化水素濃度が第3基準濃度以上であるか否かを判定する。第3基準濃度は、例えば排出者が排便のみをしたときの硫化水素濃度の検出結果に基づいて予め設定された値が採用されている。
【0088】
硫化水素濃度が第3基準濃度以上と判定された場合(ステップS201でYES)、排出物判定部313Aは、排便のみが行われたと判定する(ステップS202)。一方、硫化水素濃度が第3基準濃度未満と判定された場合(ステップS201でNO)、処理はステップS203に進む。
【0089】
ステップS203において、排出物判定部313Aは、第2ガスセンサ7が検出したアンモニア濃度が第2基準濃度以上であるか否かを判定する。アンモニア濃度が第2基準濃度以上であると判定された場合(ステップS203でYES)、排出物判定部313Aは、排尿のみが行われたと判定する(ステップS204)。第2基準濃度は、例えば排出者が排尿のみをしたときのアンモニア濃度の検出結果に基づいて予め設定された値が採用されている。一方、アンモニア濃度が第2基準濃度未満であると判定された場合、排出行為は行われていないため、処理はステップS101に戻る。ステップS202、S204が終了すると、処理はステップS108に進む。
【0090】
このように、実施の形態2によれば、第1ガスセンサ1が第1基準濃度以上の水素を検出できなかった場合、アンモニアを検出する第2ガスセンサ7が検出したセアンモニア濃度と硫化水素を検出する第3ガスセンサ8が検出した硫化水素濃度とに基づいて、排尿が行われたか否かが判定される。そのため、第1ガスセンサ1では検出が困難な排尿を検出できる。
【0091】
さらに、実施の形態2によれば、第1判定が肯定された場合(ステップS104でYES)にのみカメラ2が起動されるため、消費電力を削減することができる。
【0092】
(実施の形態3)
図6は、本開示の実施の形態3に係る排出管理システムの構成を示すブロック図である。実施の形態3は、実施の形態1をベースとしており、プロセッサ31がさらに便秘判定部316及び服薬状態判定部317を含んでいることを特徴とする。なお、実施の形態3において、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0093】
便秘判定部316は、メモリ32から排出者別に排出履歴情報を読み出し、読み出した排出履歴情報が、排出者の排便間隔が第1閾値以上であることを示し且つ排便間隔内に連続して放屁が行われていることを示す場合、排出履歴情報が示す水素濃度の上昇度が第2閾値以上であるか否かを判定し、第2閾値以上であると判定した場合、便秘であると判定する。
【0094】
服薬状態判定部317は、メモリ32に格納された排出履歴情報に基づいて水素濃度の上昇度を算出し、算出した上昇度が第3閾値以上であるか否かに基づいて排出者の服薬状態を判定する。服薬状態とは、排出者が処方されている薬剤を適切に服薬しているか否かの状態を示す。例えば、排出者が抗生物質又は便秘薬等の薬剤の服薬を停止した場合、排便及び放屁の少なくとも1つが行われたときに体内から排出される水素濃度は上昇するとの知見が得られた。したがって、排出者の水素濃度をモニタすることで、排出者の服薬状態を判定できる。
【0095】
図7は、本開示の実施の形態3に係る便秘判定処理のフローチャートである。このフローチャートは定期的(例えば1日ごと、1週間ごと、1か月ごと)に実行されてもよいし、前回、実行されてからメモリ32に格納された該当する排出者の排出履歴情報が一定個数増大したときに実行されてもよい。ステップS301において、便秘判定部316は、識別情報に基づいて、メモリ32から排出者別に排出履歴情報を取得する。ここで、便秘判定部316は、現在から過去一定期間までの排出履歴情報を取得すればよい。以下、ある一人の排出者に対する便秘判定処理を説明する。
【0096】
ステップS302において、便秘判定部316は、排出履歴情報に基づいて各排出者の排便間隔を算出する。ここで、便秘判定部316は、読み出した排出履歴情報の中から、排出行為が排便のみであることを示す排出履歴情報と、排出行為が排便及び放屁であることを示す排出履歴情報を抽出する。そして、便秘判定部316は、時系列に前後する2つの排出履歴情報のそれぞれの日時情報が示す日時の差分を算出する処理を、抽出した全ての排出履歴情報に対して適用することにより排便間隔を算出する。これにより、排便間隔の時系列データが得られる。
【0097】
ステップS303において、便秘判定部316は、排便間隔の平均値である平均排便間隔を算出する。
【0098】
ステップS304において、便秘判定部316は、平均排便間隔が第1閾値以上であるか否かを判定する。平均排便間隔が第1閾値以上である場合(ステップS304でYES)、便秘判定部316は、放屁が連続して行われているか否かを判定する(ステップS305)。
【0099】
例えば、便秘判定部316は、各排便間隔内において排出行為が放屁のみの排出履歴情報を抽出する。そして、便秘判定部316は、抽出した排出履歴情報に基づいて各排便間隔内における放屁回数を算出する。次に、便秘判定部316は、全ての排便間隔のうち、放屁回数が所定回数(2以上の予め定められた値)以上である排便間隔を抽出する。そして、便秘判定部316は、抽出した排便間隔が所定個数以上ある場合、放屁が連続して行われていると判定する。一方、便秘判定部316は、放屁回数が所定回数以上の排便間隔がない場合、又は放屁回数が所定回数以上の排便間隔が所定個数未満の場合、放屁が連続して行われていないと判定する。
【0100】
放屁が連続して行われていると判定された場合(ステップS305でYES)、便秘判定部316は水素濃度の上昇度が第2閾値以上であるか否かを判定する(ステップS306)。例えば、便秘判定部316は、ステップS301で読み出した現在から過去一定期間までの排出履歴情報が示す水素濃度から、水素濃度の上昇度を算出し、算出した上昇度が第2閾値以上であれば、水素濃度は第2閾値以上上昇したと判定すればよい。上昇度の詳細は後述する服薬状態判定処理において説明する。
【0101】
水素濃度の上昇度が第2閾値以上であると判定された場合(ステップS306でYES)、便秘判定部316は、排出者が便秘であると判定する(ステップS307)。
【0102】
ステップS308において、便秘判定部316は、排出者が便秘であることを示す便秘通知情報を生成し、通信部33を介して便秘通知情報を出力する。この場合、便秘判定部316は、便秘通知情報を、例えば排出者の管理者が所持する端末装置に送信すればよい。排出者の管理者としては、例えば排出者の介護者及び家族が採用される。
【0103】
続いて、服薬状態の判定について説明する。図8は、本開示の実施の形態3に係る服薬状態判定処理のフローチャートである。このフローチャートは定期的(例えば1日ごと、1週間ごと、1か月ごと)に実行されてもよいし、前回、実行されてからメモリ32が記憶する該当するユーザの排出履歴情報が一定個数増大したときに実行されてもよい。
【0104】
ステップS401において、識別情報に基づいて、メモリ32から排出者別に排出履歴情報を取得する。ここで、便秘判定部316は、現在から過去一定期間までの排出履歴情報を取得すればよい。以下、ある一人の排出者に対する服薬状態判定処理を説明する。
【0105】
ステップS402において、服薬状態判定部317は、水素濃度の上昇度が第3閾値以上であるか否かを判定する。ここで、服薬状態判定部317は、ステップS401で取得した排出履歴情報のうち最新の排出履歴情報が示す水素濃度から最古の排出履歴情報が示す水素濃度を減じた値を上昇度として算出してもよい。
【0106】
或いは、服薬状態判定部317は、最新を含む第1期間における排出履歴情報が示す水素濃度の平均値から最古を含む第2期間における排出履歴情報が示す水素濃度の平均値を減じた値を上昇度として算出してもよい。第1期間は、例えば最新の日時から過去に向けて一定期間(例えば1週間、2週間、1か月)前までの期間が該当する。第2期間は最古の日時から現在に向けて一定期間(例えば1週間、2週間、1か月)後までの期間が該当する。
【0107】
或いは、服薬状態判定部317は、抽出した排出履歴情報において、時系列に前後する後の排出履歴情報が示す水素濃度から前の排出履歴情報が示す水素濃度を減じることで水素濃度の上昇値を算出する。そして、服薬状態判定部317は、この水素濃度の上昇値を算出する処理を、ステップS401で取得した全ての排出履歴情報に対して適用し、算出した複数の上昇値を積算することによって積算値を算出し、算出した積算値を上昇度として算出してもよい。なお、上昇値は時系列に前後する後の排出履歴情報が示す水素濃度が前の排出履歴情報が示す水素濃度に対して減少している場合は、マイナスの値をとる。
【0108】
水素濃度の上昇度が第3閾値以上であると判定された場合(ステップS402でYES)、服薬状態判定部317は、該当する排出者の服薬状態は薬剤を服薬していない状態(非服薬)であると判定する(ステップS403)。
【0109】
ステップS404において、服薬状態判定部317は、排出者が薬剤を服薬できていないことを示す服薬状態情報を生成し、生成した服薬状態情報を出力する。ここで、服薬状態判定部317は、生成した服薬状態情報を通信部33を介して、該当する排出者の管理者が所持する端末装置に送信すればよい。これにより、管理者は排出者が薬剤を服薬していないことを認識することができ、排出者に対して服薬を促す適切な処置を行うことができる。
【0110】
一方、水素濃度の上昇度が第3閾値未満であると判定された場合(ステップS402でNO)、服薬状態判定部317は、該当する排出者の服薬状態は服薬中であると判定する(ステップS405)。服薬であると判定された場合、問題なく服薬がされているため、服薬状態情報は生成されずに処理は終了される。なお、これは一例である。服薬状態判定部317は、服薬状態が服薬中の場合も服薬中であることを示す服薬状態情報を生成し、端末装置に送信してもよい。これにより、該当する排出者の管理者は排出者が服薬していることを確認できる。
【0111】
このように、本実施の形態によれば、排便間隔が第1閾値以上且つ排便間隔内に連続して放屁が行われたことが排出履歴情報から特定され、さらに、水素濃度の上昇度が第2閾値以上変化した場合、便秘であると判定されている。そのため、便秘を正確に判定できる。
【0112】
さらに、本実施の形態によれば、排出履歴情報に基づいて水素濃度の上昇度が算出され、この上昇度が第3閾値以上であるか否かに基づいて排出者の服薬状態が判定されている。そのため、排出者の服薬状態の有無を正確に判定できる。
【0113】
本開示は以下の変形例が採用できる。
【0114】
(1)便秘判定部316及び服薬状態判定部317は、サーバ6に設けられてもよい。この場合、サーバ6に設けられた便秘判定部316は、サーバ6のデータベースに格納された排出履歴情報を用いて便秘の有無を判定すればよい。また、サーバ6に設けられた服薬状態判定部317は、サーバ6のデータベースに格納された排出履歴情報を用いて服薬状態を判定すればよい。
【0115】
(2)服薬状態判定部317は、水素濃度に基づいて服薬状態を判定したが、これは一例であり、硫化水素濃度又はアンモニア濃度に基づいて服薬状態を判定してもよい。硫化水素濃度又はアンモニア濃度に基づく服薬状態の判定処理の詳細は、上述した水素濃度に基づく服薬状態の判定処理と同じである。さらに、服薬状態判定部317は、水素濃度、硫化水素濃度、及びアンモニア濃度のそれぞれについて服薬状態を判定し、少なくとも1つの判定結果が非服薬である場合、該当する排出者の服薬状態は非服薬であると判定してもよい。
【0116】
(3)便秘判定部316が便秘間隔の判定に用いる第1閾値は、排出者別に異なる値が採用されてもよい。この場合、管理者は、該当する排出者の過去の排便間隔から妥当な第1閾値の値を決定し、決定した第1閾値を操作装置(図略)を用いて排出物判定装置3に入力することによって第1閾値を設定してもよい。或いは、便秘判定部316が該当する排出者の過去一定期間における排便間隔を排出履歴情報に基づいて算出し、算出した排便間隔に基づいて第1閾値を設定してもよい。
【0117】
(4)便秘判定部316が上昇度の判定に用いる第2閾値は、排出者別に異なる値が採用されてもよい。この場合、管理者は、該当する排出者の過去の水素濃度の上昇傾向(例えば上昇率)に基づいて第2閾値の値を決定し、決定した第2閾値を操作装置(図略)を用いて排出物判定装置3に入力することによって第2閾値を設定してもよい。或いは、便秘判定部316が該当する排出者の過去一定期間における水素濃度の上昇率を排出履歴情報に基づいて算出し、算出した上昇率に基づいて第2閾値を設定してもよい。或いは、第2閾値は第1基準濃度が採用されてもよい。
【0118】
(5)服薬状態判定部317が水素濃度の上昇度の判定に用いる第3閾値は、排出者別に異なる値が採用されてもよい。この場合、管理者は、服薬中の排出者の水素濃度の上昇度に基づいて第3閾値の値を決定し、決定した第3閾値を操作装置(図略)を用いて排出物判定装置3に入力することによって第3閾値を設定してもよい。或いは、服薬状態判定部317は、服薬中の排出者の水素濃度の上昇度を排出履歴情報に基づいて算出し、算出した上昇度に基づいて第3閾値を設定してもよい。このことは、服薬状態の判定処理において、水素に代えて硫化水素又はアンモニアが用いられた場合も同じである。
【0119】
(6)図3及び図5のフローチャートにおいて、ステップS102~S107及びステップS109~S112の処理が実行されたが、本開示はこれに限定されず、着座の有無にかかわらずステップS102~S107及びステップS109~S112の処理が実行されてもよい。この場合、ステップS102~S107及びステップS109~S112の処理は、所定の制御周期で実行されればよい。
【0120】
(7)図3及び図5のフローチャートでは、第1水素濃度が第1基準濃度以上であるか否かの判定処理が肯定された場合(ステップS104でYES)に画像データが排便画像を含むか否かの判定処理が行われているが(ステップS105)、本開示はこれに限定されない。例えば図9のフローチャートが採用されてもよい。図9は、本開示の変形例に係る排出物判定処理のフローチャートである。このフローチャートは、水素濃度の判定処理の前に画像データの判定処理が行われていることを特徴とする。なお、本フローチャートにおいて、図3及び図5と同じ処理には同じ符号を付して説明を省略する。
【0121】
ステップS103に続くステップS501において、排出物判定部313は、画像データに排便画像が含まれているか否かを判定する。画像データに排便画像が含まれていると判定された場合(ステップS501でYES)、排出物判定部313は、水素濃度が第1基準濃度以上であるか否かを判定する(ステップS502)。水素濃度が第1基準濃度以上と判定された場合(ステップS502でYES)、排出物判定部313は、排便及び放屁が行われたと判定する(ステップS503)。ここで設定される第1基準濃度は、排出者が放屁をしたときの水素濃度の検出結果に基づいて予め設定された値が採用されている。一方、水素濃度が第1基準濃度未満であると判定された場合(ステップS502でNO)、排出物判定部313は、排便のみが行われたと判定する(ステップS506)。
【0122】
ステップS501において画像データに排便画像が含まれていないと判定された場合(ステップS501でNO)、排出物判定部313は、画像データに排尿画像が含まれているか否かを判定する(ステップS504)。
【0123】
画像データに排尿画像が含まれていると判定された場合(ステップS504でYES)、排出物判定部313は排尿のみが行われたと判定する(ステップS508)。一方、画像データに排尿画像が含まれていないと判定された場合(ステップS504でNO)、排出物判定部313は、水素濃度が第1基準濃度以上であるか否かを判定する(ステップS505)。水素濃度が第1基準濃度以上であると判定された場合(ステップS505でYES)、排出物判定部313は放屁のみが行われたと判定する(ステップS507)。一方、水素濃度が第1基準濃度未満と判定された場合(ステップS505でNO)、処理はステップS101に戻る。
【0124】
(8)実施の形態3は実施の形態1をベースにされていたが、実施の形態2をベースにされていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本開示に係る技術は、排出者が排出行為を行ったか否かを正確に判定できるため、排出物を判定する技術として有用である。
【符号の説明】
【0126】
1 :第1ガスセンサ
2 :カメラ
3 :排出物判定装置
4 :着座センサ
5 :ネットワーク
6 :サーバ
7 :第2ガスセンサ
8 :第3ガスセンサ
31 :プロセッサ
32 :メモリ
33 :通信部
101 :便器
101a :ボウル部
105 :センサユニット
311 :センシングデータ取得部
312 :画像データ取得部
313 :排出物判定部
314 :判定結果出力部
315 :着座判定部
316 :便秘判定部
317 :服薬状態判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9