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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174113
(43)【公開日】2024-12-13
(54)【発明の名称】塗布方法および塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/26 20060101AFI20241206BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20241206BHJP
   B05C 5/02 20060101ALI20241206BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20241206BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20241206BHJP
   A61F 13/42 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
B05D1/26 Z
B05D7/24 301P
B05D7/24 301S
B05C5/02
B05C13/02
B65H5/06 B
A61F13/42 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024171311
(22)【出願日】2024-09-30
(62)【分割の表示】P 2020199714の分割
【原出願日】2020-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 哲
(57)【要約】
【課題】本発明は、ホットメルト接着剤が設計上の非塗布範囲に塗布されるのを防ぐことができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】一定方向に搬送される被塗工物に塗布ガンからホットメルト接着剤を間欠的に塗布する塗布方法であって、塗布ガンは、ホットメルト接着剤を吐出する吐出口を有し、ホットメルト接着剤を被塗工物に塗布する塗布状態において、吐出口を被塗工物に接触させる第1工程と、塗布状態において、吐出口を被塗工物から離間させる第2工程と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定方向に搬送される被塗工物に塗布ガンからホットメルト接着剤を間欠的に塗布する塗布方法であって、
前記塗布ガンは、前記ホットメルト接着剤を吐出する吐出口を有し、
前記ホットメルト接着剤を前記被塗工物に塗布する塗布状態において、前記吐出口を前記被塗工物に接触させる第1工程と、
前記塗布状態において、前記吐出口を前記被塗工物から離間させる第2工程と、
を含む、塗布方法。
【請求項2】
前記被塗工物の下側であり、且つ、前記吐出口の上流側には、前記被塗工物の搬送速度に同期して前記被塗工物の搬送方向に回転するローラが配置されており、
前記ローラは、円周部と、扁平部と、を有し、
前記第1工程において前記円周部に前記被塗工物を沿わせることで前記吐出口を前記被塗工物に接触させ、
前記第2工程において前記扁平部に前記被塗工物を沿わせることで前記吐出口から前記被塗工物を離間させる、
請求項1に記載の塗布方法。
【請求項3】
前記被塗工物の上側であり、且つ、前記吐出口の上流側には、前記被塗工物の搬送速度に同期して前記被塗工物の搬送方向に回転するローラが配置されており、
前記ローラは、前記被塗工物への前記ホットメルト接着剤の非塗布範囲の長さに対応する円周部を有し、
前記円周部の半径は、前記ローラの回転中心から前記シート材までの距離より長く、
前記第1工程において前記ローラと前記被塗工物を非接触とすることで前記吐出口を前記被塗工物に接触させ、
前記第2工程において前記円周部によって前記被塗工物を押し下げることで前記吐出口から前記被塗工物を離間させる、
請求項1に記載の塗布方法。
【請求項4】
前記被塗工物の下側で前記吐出口と対向するように、前記被塗工物の搬送速度に同期して前記被塗工物の搬送方向に回転するローラが配置されており、
前記ローラは、凸部と、凹部と、を有し、
前記第1工程において前記突起部が前記吐出口と向き合うことで前記吐出口を前記被塗工物に接触させ、
前記第2工程において前記凹部が前記吐出口と向き合うことで前記吐出口から前記被塗工物を離間させる、
請求項1に記載の塗布方法。
【請求項5】
前記塗布ガンを上下方向に昇降させる昇降装置が配置されており、
前記第1工程において前記塗布ガンを下降させることで前記吐出口を前記被塗工物に接触させ、
前記第2工程において前記塗布ガンを上昇させることで前記吐出口から前記被塗工物を離間させる、
請求項1に記載の塗布方法。
【請求項6】
一定方向に搬送される被塗工物に塗布ガンからホットメルト接着剤を間欠的に塗布する塗布方法であって、
前記塗布ガンは、前記ホットメルト接着剤を吐出する吐出口を有し、
前記ホットメルト接着剤を前記被塗工物に塗布する塗布状態において、前記吐出口を前
記被塗工物に接触させる第1工程と、
前記塗布状態において、前記被塗工物に対して下側から圧力をかけることによって、前記吐出口の下流側に溜まった前記ホットメルト接着剤を濾しとる第2工程と、
を含む、塗布方法。
【請求項7】
前記被塗工物の下側であり、且つ、前記吐出口の下流側には上下移動可能なローラであって、前記被塗工物の搬送速度に同期して前記被塗工物の搬送方向に回転するローラが配置されており、
前記第1工程において、前記ローラは前記被塗工物と所定位置で接しており、
前記第2工程において、前記所定位置よりも上方で前記ローラが前記被塗工物に接することによって前記被塗工物に対して圧力をかけ、前記吐出口の下流側に溜まった前記ホットメルト接着剤を濾しとり、
前記塗布方法は、前記塗布状態において前記ローラを下降させることによって前記吐出口から前記被塗工物を離間させる第3工程を含む、
請求項6に記載の塗布方法。
【請求項8】
前記被塗工物の下側であり、且つ、前記吐出口の下流側には前記被塗工物の搬送速度に同期して前記被塗工物の搬送方向に回転するローラが配置されており、
前記ローラは、
前記被塗工物への前記ホットメルト接着剤の塗布範囲の長さに対応する円周部と、
前記円周部よりも拡径された拡径部であって、前記被塗工物に対して圧力をかけ、前記吐出口の下流側に溜まった前記ホットメルト接着剤を濾しとる拡径部と、
前記円周部よりも縮径された縮径部であって、前記拡径部よりも後に前記被塗工物側を向くように配置された縮径部と、
を有し、
前記第1工程において前記円周部に前記被塗工物を沿わせることで前記吐出口を前記被塗工物に接触させ、
前記第2工程において前記拡径部によって前記被塗工物に対して圧力をかけることによって、前記吐出口の下流側に溜まった前記ホットメルト接着剤を濾しとり、
前記塗布方法は、前記塗布状態において、前記縮径部を前記被塗工物に向けることによって前記吐出口から前記被塗工物を離間させる第3工程を含む、
請求項6に記載の塗布方法。
【請求項9】
前記第2工程において、前記被塗工物の下側から前記被塗工物に対して圧縮空気をかけることによって、前記ホットメルト接着剤を濾しとる、
請求項6に記載の塗布方法。
【請求項10】
前記被塗工物は、吸収性物品用のシート材であり、
前記ホットメルト接着剤には、排泄物と接触すると変色する材料が配合されている、
請求項1から9のいずれか一項に記載の塗布方法。
【請求項11】
一定方向に搬送される被塗工物に塗布ガンからホットメルト接着剤を間欠的に塗布する塗布装置であって、
前記ホットメルト接着剤を吐出する吐出口を有する前記塗布ガンであって、前記ホットメルト接着剤を前記被塗工物に塗布する塗布状態において前記吐出口を前記被塗工物に接触させる前記塗布ガンと、
前記塗布状態において前記吐出口を前記被塗工物から離間させる離間手段と、
を備える、塗布装置。
【請求項12】
一定方向に搬送される被塗工物に塗布ガンからホットメルト接着剤を間欠的に塗布する
塗布装置であって、
前記ホットメルト接着剤を吐出する吐出口を有する前記塗布ガンであって、前記ホットメルト接着剤を前記被塗工物に塗布する塗布状態において前記吐出口を前記被塗工物に接触させる前記塗布ガンと、
前記塗布状態において前記被塗工物に対して下側から圧力をかけることによって、前記吐出口の下流側に溜まった前記ホットメルト接着剤を濾しとる濾しとり手段と、
を備える、塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布方法および塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ、尿パッド、生理用品等の吸収性物品の製造工程において、一定方向に搬送されるシート材等の被塗工物にホットメルト接着剤を間欠的に塗布することが行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-131162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホットメルト接着剤は、固体原料を加熱して溶融させた状態で塗布ガンから被塗工物に塗布される。ホットメルト接着剤は、塗布ガンの吐出口を被塗工物に接触させた状態で塗布される。ホットメルト接着剤は溶融させた状態であっても粘度が高いため、シート材上に載りきらなかったホットメルト接着剤が塗布ガンの吐出口の搬送方向下流側に溜まってしまう虞がある。ホットメルト接着剤を間欠的に塗布しようする場合に、吐出口の搬送方向下流側にホットメルト接着剤が溜まってしまうと、溜まったホットメルト接着剤を塗布ガンが引きずってしまう尾引きが生じ、設計上、ホットメルト接着剤を塗布しない非塗布範囲にもホットメルト接着剤が塗布されてしまう。
【0005】
本発明は、ホットメルト接着剤が設計上の非塗布範囲に塗布されるのを防ぐことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では、ホットメルト接着剤の塗布状態において、吐出口を被塗工物から離間させる工程を設けた。
【0007】
詳細には、本発明は、一定方向に搬送される被塗工物に塗布ガンからホットメルト接着剤を間欠的に塗布する塗布方法であって、前記塗布ガンは、前記ホットメルト接着剤を吐出する吐出口を有し、前記ホットメルト接着剤を前記被塗工物に塗布する塗布状態において、前記吐出口を前記被塗工物に接触させる第1工程と、前記塗布状態において、前記吐出口を前記被塗工物から離間させる第2工程と、を含む。
【0008】
上記塗布方法において、前記被塗工物の下側であり、且つ、前記吐出口の上流側には、前記被塗工物の搬送速度に同期して前記被塗工物の搬送方向に回転するローラが配置されており、前記ローラは、円周部と、扁平部と、を有し、前記第1工程において前記円周部に前記被塗工物を沿わせることで前記吐出口を前記被塗工物に接触させ、前記第2工程において前記扁平部に前記被塗工物を沿わせることで前記吐出口から前記被塗工物を離間させてもよい。
【0009】
上記塗布方法において、前記被塗工物の上側であり、且つ、前記吐出口の上流側には、前記被塗工物の搬送速度に同期して前記被塗工物の搬送方向に回転するローラが配置されており、前記ローラは、前記被塗工物への前記ホットメルト接着剤の非塗布範囲の長さに対応する円周部を有し、前記円周部の半径は、前記ローラの回転中心から前記シート材ま
での距離より長く、前記第1工程において前記ローラと前記被塗工物を非接触とすることで前記吐出口を前記被塗工物に接触させ、前記第2工程において前記円周部によって前記被塗工物を押し下げることで前記吐出口から前記被塗工物を離間させてもよい。
【0010】
上記塗布方法において、前記被塗工物の下側で前記吐出口と対向するように、前記被塗工物の搬送速度に同期して前記被塗工物の搬送方向に回転するローラが配置されており、前記ローラは、凸部と、凹部と、を有し、前記第1工程において前記突起部が前記吐出口と向き合うことで前記吐出口を前記被塗工物に接触させ、前記第2工程において前記凹部が前記吐出口と向き合うことで前記吐出口から前記被塗工物を離間させてもよい。
【0011】
上記塗布方法において、前記塗布ガンを上下方向に昇降させる昇降装置が配置されており、前記第1工程において前記塗布ガンを下降させることで前記吐出口を前記被塗工物に接触させ、前記第2工程において前記塗布ガンを上昇させることで前記吐出口から前記被塗工物を離間させてもよい。
【0012】
また、本発明は、一定方向に搬送される被塗工物に塗布ガンからホットメルト接着剤を間欠的に塗布する塗布方法であって、前記塗布ガンは、前記ホットメルト接着剤を吐出する吐出口を有し、前記ホットメルト接着剤を前記被塗工物に塗布する塗布状態において、前記吐出口を前記被塗工物に接触させる第1工程と、前記塗布状態において、前記被塗工物に対して下側から圧力をかけることによって、前記吐出口の下流側に溜まった前記ホットメルト接着剤を濾しとる第2工程と、を含んでいてもよい。
【0013】
上記塗布方法において、前記被塗工物の下側であり、且つ、前記吐出口の下流側には上下移動可能なローラであって、前記被塗工物の搬送速度に同期して前記被塗工物の搬送方向に回転するローラが配置されており、前記第1工程において、前記ローラは前記被塗工物と所定位置で接しており、前記第2工程において、前記所定位置よりも上方で前記ローラが前記被塗工物に接することによって前記被塗工物に対して圧力をかけ、前記吐出口の下流側に溜まった前記ホットメルト接着剤を濾しとり、前記塗布方法は、前記塗布状態において前記ローラを下降させることによって前記吐出口から前記被塗工物を離間させる第3工程を含んでいてもよい。
【0014】
上記塗布方法において、前記被塗工物の下側であり、且つ、前記吐出口の下流側には前記被塗工物の搬送速度に同期して前記被塗工物の搬送方向に回転するローラが配置されており、前記ローラは、前記被塗工物への前記ホットメルト接着剤の塗布範囲の長さに対応する円周部と、前記円周部よりも拡径された拡径部であって、前記被塗工物に対して圧力をかけ、前記吐出口の下流側に溜まった前記ホットメルト接着剤を濾しとる拡径部と、前記円周部よりも縮径された縮径部であって、前記拡径部よりも後に前記被塗工物側を向くように配置された縮径部と、を有し、前記第1工程において前記円周部に前記被塗工物を沿わせることで前記吐出口を前記被塗工物に接触させ、前記第2工程において前記拡径部によって前記被塗工物に対して圧力をかけることによって、前記吐出口の下流側に溜まった前記ホットメルト接着剤を濾しとり、前記塗布方法は、前記塗布状態において、前記縮径部を前記被塗工物に向けることによって前記吐出口から前記被塗工物を離間させる第3工程を含んでいてもよい。
【0015】
上記塗布方法において、前記第2工程において、前記被塗工物の下側から前記被塗工物に対して圧縮空気をかけることによって、前記ホットメルト接着剤を濾しとってもよい。
【0016】
上記塗布方法において、前記被塗工物は、吸収性物品用のシート材であり、前記ホットメルト接着剤には、排泄物と接触すると変色する材料が配合されていてもよい。
【0017】
また、本発明を塗布装置の側面から捉えることができる。例えば、本発明は、一定方向に搬送される被塗工物に塗布ガンからホットメルト接着剤を間欠的に塗布する塗布装置であって、前記ホットメルト接着剤を吐出する吐出口を有する前記塗布ガンであって、前記ホットメルト接着剤を前記被塗工物に塗布する塗布状態において前記吐出口を前記被塗工物に接触させる前記塗布ガンと、前記塗布状態において前記吐出口を前記被塗工物から離間させる離間手段と、を備えていてもよい。
【0018】
また、本発明は、一定方向に搬送される被塗工物に塗布ガンからホットメルト接着剤を間欠的に塗布する塗布装置であって、前記ホットメルト接着剤を吐出する吐出口を有する前記塗布ガンであって、前記ホットメルト接着剤を前記被塗工物に塗布する塗布状態において前記吐出口を前記被塗工物に接触させる前記塗布ガンと、前記塗布状態において前記被塗工物に対して下側から圧力をかけることによって、前記吐出口の下流側に溜まった前記ホットメルト接着剤を濾しとる濾しとり手段と、を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ホットメルト接着剤が設計上の非塗布範囲に塗布されるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、比較例に係る塗布方法を示す模式図である。
図2図2は、実施形態1に係る塗布方法の概要を示したフローチャートである。
図3図3は、実施形態1の実施例1に係る塗布方法を示す模式図である。
図4図4は、実施形態1の実施例2に係る塗布方法を示す模式図である。
図5図5は、実施形態1の実施例3に係る塗布方法を示す模式図である。
図6図6は、実施形態1の実施例4に係る塗布方法を示す模式図である。
図7図7は、実施形態1の実施例5に係る塗布方法を示す模式図である。
図8図8は、実施形態1の実施例5の変形例1に係る塗布方法を示す模式図である。
図9図9は、実施形態1の実施例5の変形例2に係る塗布方法を示す模式図である。
図10図10は、実施形態1の実施例5の変形例3に係る塗布方法を示す模式図である。
図11図11は、実施形態1の実施例6に係る塗布方法を示す模式図である。
図12図12は、実施形態2の塗布方法の概要を示したフローチャートである。
図13図13は、実施形態2の実施例1に係る塗布方法を示す模式図である。
図14図14は、実施形態2の実施例2に係る塗布方法を示す模式図である。
図15図15は、実施形態2の実施例3に係る塗布方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施形態の構成に限定されるものではない。
【0022】
<塗布方法の概要>
本実施形態に係る塗布方法は、一定方向に搬送される被塗工物に塗布ガンからホットメルト接着剤を間欠的に塗布する方法である。被塗工物としては、例えば、使い捨ておむつ、尿パッド、生理用品等の吸収性物品に使用されるシート材が挙げられる。吸収性物品を製造するための製造ラインにおいて、一定方向に搬送される吸収性物品用のシート材にホットメルト接着剤が塗布される。ホットメルト接着剤は、設計上の塗布範囲(以下、「塗布範囲」と称する)に塗布され、設計上の非塗布範囲(以下、「非塗布範囲」と称する)に塗布されないように、シート材に対して間欠的に塗布される場合がある。塗布範囲と非
塗布範囲とはシート材の搬送方向において連続しており、シート材の塗布範囲が塗布ガンの下を通過するときに塗布ガンからホットメルト接着剤が吐出され、シート材の非塗布範囲が塗布ガンの下を通過するときに塗布ガンからホットメルト接着剤が吐出されないようにする。これにより、一定方向に搬送されるシート材にホットメルト接着剤が間欠的に塗布される。
【0023】
また、本実施形態に係る塗布方法では、ホットメルト接着剤をシート材に塗布する塗布状態において塗布ガンの吐出口をシート材に接触させる。これと異なり、塗布ガンの吐出口をシート材に接触させずにホットメルト接着剤を塗布する場合、スプレーによってホットメルト接着剤を塗布することとなり、間欠的にホットメルト接着剤を塗布する際に終端部でホットメルト接着剤を切れよく塗布できない。したがって、ホットメルト接着剤を間欠的に塗布する必要がある場合(非接着領域を設ける必要がある、又はインジケータを形成するための呈色物質を含むホットメルト接着剤を塗布する等の場合)には、本実施形態に係る塗布方法のように、塗布ガンをシート材に接触させることが好ましい。
【0024】
また、本実施形態に係る塗布方法において、ホットメルト接着剤は、固体原料を約140℃~160℃に加熱して溶融させた状態で塗布ガンからシート材に塗布される。ホットメルト接着剤は、溶融させた状態であっても粘度が高いため、シート材上に載りきらなかったホットメルト接着剤が塗布ガンの吐出口の搬送方向下流側に溜まってしまう虞がある。
【0025】
図1は、比較例に係る塗布方法を示す模式図である。図1の上段は、被塗工物であるシート材Sを上から見た模式図であり、図1の下段は、シート材Sを横から見た模式図である。シート材Sは、図1の矢印A2の指す方向に回転するローラR100によって、図1の矢印A1の指す方向に搬送されている。塗布ガンGには約140℃~160℃に加熱されたホットメルト接着剤Hの原材料が不図示の供給装置からポンプによって供給され、塗布ガンGは先端に設けられた吐出口Nからホットメルト接着剤Hを吐出可能である。また、供給装置のポンプを作動状態と非作動状態に切り替えることによって、吐出口Nからホットメルト接着剤Hを吐出する吐出状態と、吐出口Nからホットメルト接着剤Hを吐出しない非吐出状態とを切り替えることができる。また、比較例では、吐出口Nをシート材に常時接触させる接触式の塗布ガンGが採用されている。
【0026】
本比較例では、図1に示す範囲Bがホットメルト接着剤Hの設計上の塗布範囲である。当該塗布範囲Bの後端が吐出口Nを通過する時にホットメルト接着剤Hが非吐出状態となる。しかしながら、吐出口Nの搬送方向下流側に溜まったホットメルト接着剤Hを塗布ガンGが引きずってしまう尾引きが生じており、非塗布範囲にもホットメルト接着剤Hが塗布されている。このように、塗布ガンGの吐出口Nをシート材Sに常に接触させた状態でホットメルト接着剤Hを間欠的に塗布すると、ホットメルト接着剤Hを塗布ガンGが引きずってしまう尾引きが生じ、非塗布範囲にもホットメルト接着剤Hが塗布されてしまう。吸収性物品においては、非接着としたい非塗布範囲で接着性が発揮されてしまうのは好ましくない。なお、ホットメルト接着剤Hの温度を160℃よりも高くすることでホットメルト接着剤Hの粘度を低下させて尾引きの発生を抑制することも考えられるが、ホットメルト接着剤Hを160℃より高くしてしまうと、性能が変化してしまう虞があり好ましくない。
【0027】
<実施形態1>
まず、実施形態1に係る塗布方法について説明する。本実施形態に係る塗布方法では、ホットメルト接着剤をシート材に塗布する塗布状態において塗布ガンの吐出口をシート材から離間させる。これにより、吐出口の搬送方向下流側にホットメルト接着剤が溜まるのを防ぐ。本実施形態に係る塗布方法は、ホットメルト接着剤の非塗布状態において塗布ガ
ンがホットメルト接着剤を引きずるのを防ぎ、ホットメルト接着剤が設計上の非塗布範囲に塗布されるのを防ぐことができる。
【0028】
図2は、本実施形態に係る塗布方法の概要を示したフローチャートである。本実施形態に係る塗布方法では、まず、ホットメルト接着剤Hをシート材に塗布する塗布状態において吐出口をシート材に接触させる(ステップS101、本願でいう「第1工程」の一例)。次に、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において吐出口をシート材から離間させる(ステップS102、本願でいう「第2工程」の一例)。本実施形態に係る塗布方法は、ステップS101とステップS102を1回または複数回繰り返し実行することで、吐出口の搬送方向下流側にホットメルト接着剤Hが溜まるのを防ぐ。本実施形態に係る塗布方法は、ステップS101とステップS102を1回または複数回繰り返した後、ホットメルト接着剤Hを非塗布状態とすることで、一定方向に搬送されるシート材にホットメルト接着剤Hを間欠的に塗布することができる。
【0029】
次に、図3図8に基づいて、本実施形態に係る塗布方法についてより詳細に説明する。本実施形態では、実施例1~6の6つの具体例を例示する。図3図8に示されるように、本実施形態では、塗布ガンGは、ホットメルト接着剤Hを吐出する吐出口Nを有している。塗布ガンGには約140℃~160℃に加熱されたホットメルト接着剤Hの原材料が不図示の供給装置からポンプによって供給される。また、上述の比較例と同様に、供給装置のポンプを作動状態と非作動状態に切り替えることによって、ホットメルト接着剤Hの吐出状態と非吐出状態とを切り替えることができる。また、図3図8に示す各実施例において、各図の矢印A1の指す方向にシート材が搬送されている。
【0030】
<実施例1>
図3(a)、(b)に基づいて、実施例1に係る塗布方法について説明する。図3(a)、(b)は、本実施例に係る塗布方法を説明する模式図である。本実施例に係る塗布方法で用いられる塗布装置は、塗布ガンGとローラR1(本願でいう「離間手段」の一例)を備える。ローラR1は、シート材Sの搬送速度に同期して搬送方向(矢印A2の指す方向)に回転している。本実施例に係る塗布方法は、シート材Sの下側であり、且つ、吐出口Nの上流側に配置されたローラR1によって吐出口Nをシート材Sから離間させる。
【0031】
図3(a)は、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において吐出口Nをシート材Sに接触させた状態を示す模式図であり、図3(b)は、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において吐出口Nをシート材Sから離間させた状態を示す模式図である。ローラR1は、円周部C1と、扁平部C2と、を有する。本実施例に係る塗布方法では、塗布状態において円周部C1にシート材を沿わせることで吐出口Nをシート材Sに接触させ、塗布状態において扁平部C2にシート材Sを沿わせることで吐出口Nからシート材Sを離間させる。これにより、塗布状態において、吐出口Nをシート材Sに接触させることと、吐出口Nからシート材Sを離間させることとを、1回または複数回行うことができ、吐出口の搬送方向下流側にホットメルト接着剤Hが溜まるのを防ぐことができる。
【0032】
<実施例2>
図4(a)、(b)に基づいて、実施例2に係る塗布方法について説明する。図4(a)、(b)は、本実施例に係る塗布方法を説明する模式図である。本実施例に係る塗布方法で用いられる塗布装置は、塗布ガンGとローラR2(本願でいう「離間手段」の一例)を備える。ローラR2は、シート材Sの搬送速度に同期して搬送方向(矢印A2の指す方向)に回転している。本実施例に係る塗布方法は、シート材Sの上側であり、且つ、吐出口Nの上流側に配置されたローラR2によって吐出口Nをシート材Sから離間させる。
【0033】
図4(a)は、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において吐出口Nをシート材Sに接触
させた状態を示す模式図であり、図4(b)は、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において吐出口Nをシート材Sから離間させた状態を示す模式図である。ローラR2は、円周部C3を有し、円周部C3の半径は、ローラR2の回転中心Oからシート材Sまでの距離より長い。本実施例に係る塗布方法では、ローラR2とシート材Sを非接触とすることで吐出口Nをシート材Sに接触させ、塗布状態において円周部C3によってシート材Sを押し下げることで吐出口Nからシート材Sを離間させる。これにより、塗布状態において、吐出口Nをシート材Sに接触させることと、吐出口Nからシート材Sを離間させることとを、1回または複数回行うことができ、吐出口の搬送方向下流側にホットメルト接着剤Hが溜まるのを防ぐことができる。
【0034】
<実施例3>
図5(a)、(b)に基づいて、実施例3に係る塗布方法について説明する。図5(a)、(b)は、本実施例に係る塗布方法を説明する模式図である。本実施例に係る塗布方法で用いられる塗布装置は、塗布ガンGとローラR3(本願でいう「離間手段」の一例)を備える。ローラR3は、シート材Sの搬送速度に同期して搬送方向(矢印A2の指す方向)に回転している。本実施例に係る塗布方法は、シート材Sの下側で吐出口Nに対向するように配置されたローラR3によって吐出口Nをシート材Sから離間させる。
【0035】
図5(a)は、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において吐出口Nをシート材Sに接触させた状態を示す模式図であり、図5(b)は、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において吐出口Nをシート材Sから離間させた状態を示す模式図である。ローラR3は、凸部D1と、凹部D2と、を有する。本実施例に係る塗布方法では、塗布状態において突起部D1が吐出口Nと向き合うことで吐出口Nをシート材Sに接触させ、塗布状態において凹部D2が吐出口Nと向き合うことで吐出口Nからシート材Sを離間させる。これにより、塗布状態において、吐出口Nをシート材Sに接触させることと、吐出口Nからシート材Sを離間させることとを、1回または複数回行うことができ、吐出口の搬送方向下流側にホットメルト接着剤Hが溜まるのを防ぐことができる。
【0036】
<実施例4>
図6(a)、(b)に基づいて、実施例4に係る塗布方法について説明する。図6(a)、(b)は、本実施例に係る塗布方法を説明する模式図である。本実施例に係る塗布方法で用いられる塗布装置は、塗布ガンGとローラR4(本願でいう「離間手段」の一例)を備える。ローラR4は、シート材Sの搬送速度に同期して搬送方向(矢印A2の指す方向)に回転している。本実施例に係る塗布方法は、シート材Sの下側であり、且つ、吐出口Nの上流側に配置されたローラR4によって吐出口Nをシート材Sから離間させる。
【0037】
図6(a)は、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において吐出口Nをシート材Sに接触させた状態を示す模式図であり、図6(b)は、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において吐出口Nをシート材Sから離間させた状態を示す模式図である。ローラR4は、第1ローラR41と第2ローラR42とを組み合わせて構成されている。第1ローラR41と第2ローラ42とは、ローラR4の円周部C4を形成している。また、第1ローラR41と第2ローラ42との間には、円周部C4が形成されない離間部D3が設けられている。本実施例に係る塗布方法では、塗布状態において円周部C4にシート材を沿わせることで吐出口Nをシート材Sに接触させ、塗布状態において離間部D3にシート材Sを沿わせることで吐出口Nからシート材Sを離間させる。これにより、塗布状態において、吐出口Nをシート材Sに接触させることと、吐出口Nからシート材Sを離間させることとを、1回または複数回行うことができ、吐出口の搬送方向下流側にホットメルト接着剤Hが溜まるのを防ぐことができる。
【0038】
<実施例5>
図7(a)、(b)に基づいて、実施例5に係る塗布方法について説明する。図7(a)、(b)は、本実施例に係る塗布方法を説明する模式図である。本実施例に係る塗布方法で用いられる塗布装置は、塗布ガンGと塗布ガンGを上下方向に昇降させる昇降装置M1(本願でいう「離間手段」の一例)を備える。昇降装置M1は、駆動部M11と対向配置された2本のガイドレールLを有しており、駆動部M11によって塗布ガンGをガイドレールLに沿って上下に駆動することができる。駆動部M11は、例えば、モータや油圧装置を含んで構成されていてもよい。本実施例に係る塗布方法は、昇降装置M1によって塗布ガンGを上昇させることによって吐出口Nをシート材Sから離間させる。
【0039】
図7(a)は、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において吐出口Nをシート材Sに接触させた状態を示す模式図であり、図7(b)は、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において吐出口Nをシート材Sから離間させた状態を示す模式図である。本実施例に係る塗布方法では、塗布状態において塗布ガンGを下降させることで吐出口Nをシート材Sに接触させ、塗布状態において塗布ガンGを上昇させることで吐出口Nからシート材Sを離間させる。これにより、塗布状態において、吐出口Nをシート材Sに接触させることと、吐出口Nからシート材Sを離間させることとを、1回または複数回行うことができ、吐出口の搬送方向下流側にホットメルト接着剤Hが溜まるのを防ぐことができる。
【0040】
<実施例5の変形例1>
図8(a)、(b)に基づいて、実施例5の変形例1に係る塗布方法について説明する。図8(a)、(b)は、本変形例に係る塗布方法を説明する模式図である。本変形例に係る塗布方法で用いられる塗布装置は、塗布ガンGと塗布ガンGを上下方向に昇降させる昇降装置M20(本願でいう「離間手段」の一例)を備える。昇降装置M20は、動力シリンダであり、シリンダチューブM21と、シリンダチューブM21に対して進退可能に設けられたピストンロッドM22と、上下方向に延伸するように対向配置された2本のガイドレールLを有する。ピストンロッドM22の下端部が塗布ガンGと接続されている。シリンダチューブM21には、不図示の配管が接続されており、当該配管を通じて、動力源としての気体や油等の液体が供給、排出されることにより、ピストンロッドM22がシリンダチューブM21に対し進退可能となっている。昇降装置M20は、ピストンロッドM22をシリンダチューブM21に対し進退させることによって、塗布ガンGをガイドレールLに沿って上下に駆動することができる。本変形例に係る塗布方法は、昇降装置M20によって塗布ガンGを上昇させることによって吐出口Nをシート材Sから離間させる。
【0041】
図8(a)は、ホットメルト接着剤Hの塗布状態を示す模式図であり、図8(b)は、ホットメルト接着剤Hの非塗布状態を示す模式図である。本変形例に係る塗布方法では、塗布状態において塗布ガンGを下降させることで吐出口Nをシート材Sに接触させ、非塗布状態において塗布ガンGを上昇させることで吐出口Nからシート材Sを離間させる。これにより、ホットメルト接着剤Hを塗布状態から非塗布状態に切り替える際に、吐出口Nからシート材Sを離間させることができる。
【0042】
<実施例5の変形例2>
図9(a)、(b)に基づいて、実施例5の変形例2に係る塗布方法について説明する。図9(a)、(b)は、本変形例に係る塗布方法を説明する模式図である。本変形例に係る塗布方法で用いられる塗布装置は、塗布ガンGと塗布ガンGを昇降させる昇降装置M30(本願でいう「離間手段」の一例)を備える。昇降装置M30は、動力シリンダであり、シリンダチューブM31と、シリンダチューブM31に対して進退可能に設けられたピストンロッドM32と、アームM33とを有する。ピストンロッドM32と、アームM33は、回転軸AX1によって接続されており、アームM33がピストンロッドM32に対して回転軸AX1周りに回動可能である。また、アームM33の下端部が塗布ガンGに接続されている。塗布ガンGは回転軸AX2周りに回動可能である。シリンダチューブM
31には、不図示の配管が接続されており、当該配管を通じて、動力源としての気体や油等の液体が供給、排出されることにより、ピストンロッドM32がシリンダチューブM31に対し進退可能となっている。昇降装置M30は、ピストンロッドM32をシリンダチューブM31に対し進退させることによって、アームM33及びそれに接続されている塗布ガンGを回動させることによって、塗布ガンGの吐出口Nがシート材Sに接触する状態と、塗布ガンGの吐出口Nがシート材Sから離間した状態とに切替可能である。
【0043】
図9(a)は、ホットメルト接着剤Hの塗布状態を示す模式図であり、図9(b)は、ホットメルト接着剤Hの非塗布状態を示す模式図である。本変形例に係る塗布方法では、非塗布状態において塗布ガンGを下流側に回動させることで吐出口Nからシート材Sを離間させる。これにより、ホットメルト接着剤Hを塗布状態から非塗布状態に切り替える際に、吐出口Nからシート材Sを離間させることができる。
【0044】
<実施例5の変形例3>
図10(a)、(b)に基づいて、実施例5の変形例3に係る塗布方法について説明する。図10(a)、(b)は、本変形例に係る塗布方法を説明する模式図である。本変形例に係る塗布方法で用いられる塗布装置は、塗布ガンGと塗布ガンGを上下方向に昇降させる昇降装置M40(本願でいう「離間手段」の一例)を備える。昇降装置M40は、モータM41と、モータ41の回転軸に固定されたピニオンギアM42と、ピニオンギアM42と噛み合うラックギアM43とを有する。ラックギアM43の下端部が塗布ガンGに接続されている。昇降装置M40は、モータM41を駆動することによってピニオンギアM42を回転させ、これによってラックギアM43を上下方向に昇降させる。これによって、昇降装置M40は、塗布ガンGを上下に駆動することができる。本変形例に係る塗布方法は、昇降装置M40によって塗布ガンGを上昇させることによって吐出口Nをシート材Sから離間させる。
【0045】
図10(a)は、ホットメルト接着剤Hの塗布状態を示す模式図であり、図10(b)は、ホットメルト接着剤Hの非塗布状態を示す模式図である。本変形例に係る塗布方法では、塗布状態において塗布ガンGを下降させることで吐出口Nをシート材Sに接触させ、非塗布状態において塗布ガンGを上昇させることで吐出口Nからシート材Sを離間させる。これにより、ホットメルト接着剤Hを塗布状態から非塗布状態に切り替える際に、吐出口Nからシート材Sを離間させることができる。
【0046】
<実施例6>
図11(a)、(b)に基づいて、実施例6に係る塗布方法について説明する。図11(a)、(b)は、本実施例に係る塗布方法を説明する模式図である。本実施例に係る塗布方法で用いられる塗布装置は、塗布ガンGとシート材Sを吸引することによって下降させる吸引装置M2(本願でいう「離間手段」の一例)を備える。吸引装置M2は、シート材Sの下側で吐出口Nと対抗する位置に配置されている。本実施例に係る塗布方法は、吸引装置M2でシート材Sを吸引することによって吐出口Nをシート材Sから離間させる。
【0047】
図11(a)は、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において吐出口Nをシート材Sに接触させた状態を示す模式図であり、図11(b)は、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において吐出口Nをシート材Sから離間させた状態を示す模式図である。本実施例に係る塗布方法では、塗布状態において吐出口Nをシート材Sに接触させ、塗布状態において吸引装置Mでシート材Sを吸引することで吐出口Nからシート材Sを離間させる。これにより、塗布状態において、吐出口Nをシート材Sに接触させることと、吐出口Nからシート材Sを離間させることとを、1回または複数回行うことができ、吐出口の搬送方向下流側にホットメルト接着剤Hが溜まるのを防ぐことができる。
【0048】
本実施形態に係る塗布方法は、上記の各実施例のいずれかを採用することができる。本実施形態の各実施例に係る塗布方法によれば、吐出口の搬送方向下流側にホットメルト接着剤Hが溜まるのを防ぎ、塗布ガンGがホットメルト接着剤Hを引きずってしまう尾引きの発生を防ぐことができるので、ホットメルト接着剤Hが設計上の非塗布範囲に塗布されるのを防ぐことができる。
【0049】
<実施形態2>
次に、実施形態2に係る塗布方法について説明する。本実施形態に係る塗布方法では、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において、吐出口の下流側に溜まったホットメルト接着剤Hを濾しとる。これにより、吐出口の搬送方向下流側にホットメルト接着剤Hが溜まるのを防ぐ。本実施形態に係る塗布方法は、ホットメルト接着剤Hの非塗布状態において塗布ガンがホットメルト接着剤Hを引きずるのを防ぎ、ホットメルト接着剤Hが設計上の非塗布範囲に塗布されるのを防ぐことができる。
【0050】
図12は、本実施形態に係る塗布方法の概要を示したフローチャートである。本実施形態に係る塗布方法では、まず、ホットメルト接着剤Hをシート材に塗布する(ステップS201、本願でいう「第1工程」の一例)。次に、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において、シート材に対して下側から圧力をかけることによって、吐出口の下流側に溜まったホットメルト接着剤Hを濾しとる(ステップS202、本願でいう「第2工程」の一例)。次に、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において、吐出口からシート材を離間させる(ステップS203、本願でいう「第3工程」の一例)。本実施形態に係る塗布方法は、ステップS201~ステップS203を1回または複数回繰り返し実行することで、吐出口の搬送方向下流側にホットメルト接着剤Hが溜まるのを防ぐ。本実施形態に係る塗布方法は、ステップS201~ステップS203を1回または複数回繰り返した後、ホットメルト接着剤Hを非塗布状態とすることで、一定方向に搬送されるシート材にホットメルト接着剤Hを間欠的に塗布することができる。なお、ステップS203は省略可能である。
【0051】
次に、図13図15に基づいて、本実施形態に係る塗布方法についてより詳細に説明する。本実施形態では、実施例1~3の3つの具体例を例示する。図13図15に示されるように、本実施形態では、上記実施形態1と同様に、塗布ガンGは、ホットメルト接着剤Hを吐出する吐出口Nを有している。また、本実施形態では、吐出状態において吐出口Nをシート材Sに接触させる接触式の塗布ガンGが採用されている。また、図10図12に示す各実施例において、各図の矢印A1の指す方向にシート材が搬送されている。
【0052】
<実施例1>
図13(a)~(c)に基づいて、実施例1に係る塗布方法について説明する。図13(a)~(c)は、本実施例に係る塗布方法を説明する模式図である。図13(a)~(c)の上段はシート材Sを上から見た模式図であり、図13(a)~(c)の下段はシート材Sを横から見た模式図である。本実施例に係る塗布方法で用いられる塗布装置は、塗布ガンGとローラR10(本願でいう「濾しとり手段」の一例)を備える。ローラR10は、シート材Sの下側であり、且つ、回転中心Oが吐出口Nの下流側に配置されており、上下移動可能である。また、ローラR10は、シート材Sの搬送速度に同期してシート材Sの搬送方向(矢印A2の指す方向)に回転している。
【0053】
図13(a)は、ホットメルト接着剤Hを塗布する工程を示している。この工程において、ローラR10はシート材Sと所定位置で接しており、吐出口Nをシート材Sに接触させている。シート材Sは、吐出口Nと接しつつローラR10の円周の接線方向下流側に搬送されている。なお、この工程におけるローラR10の所定位置は、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において、吐出口Nに対するシート材Sが適した位置となる高さである。
【0054】
図13(b)は、ホットメルト接着剤Hを濾しとる工程を示している。この工程において、ローラR10は、所定位置よりも上方でシート材Sに接することによってシート材Sに対して圧力をかけ、吐出口Nの下流側に溜まったホットメルト接着剤Hを濾しとる。これにより、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において、吐出口Nの下流側に溜まったホットメルト接着剤Hを濾しとることができる。よって、吐出口の搬送方向下流側にホットメルト接着剤Hが溜まるのを防ぎ、ホットメルト接着剤Hが設計上の非塗布範囲に塗布されるのを防ぐことができる。
【0055】
図13(c)は、ホットメルト接着剤Hを濾しとった後、ホットメルト接着剤Hの非塗布状態において、吐出口Nからシート材Sを離間させる工程を示している。この工程では、ローラR10を下降させることによって吐出口Nからシート材Sを離間させる。この工程によって、前工程でホットメルト接着剤Hを濾しとり切れなかった場合であっても、吐出口の搬送方向下流側にホットメルト接着剤Hが溜まるのを防ぎ、ホットメルト接着剤Hが設計上の非塗布範囲に塗布されるのを防ぐことができる。
【0056】
<実施例2>
図14(a)~(c)に基づいて、実施例2に係る塗布方法について説明する。図14(a)~(c)は、本実施例に係る塗布方法を説明する模式図である。図14(a)~(c)の上段はシート材Sを上から見た模式図であり、図14(a)~(c)の下段はシート材Sを横から見た模式図である。本実施例に係る塗布方法で用いられる塗布装置は、塗布ガンGとローラR20(本願でいう「濾しとり手段」の一例)を備える。ローラR20は、シート材Sの下側であり、且つ、回転中心Oが吐出口Nの下流側に配置されている。また、ローラ20は、シート材Sの搬送速度に同期してシート材Sの搬送方向(矢印A2の指す方向)に回転している。
【0057】
ローラR20は、円周部R21と、円周部R21よりも拡径された拡径部R22と、円周部R21よりも縮径された縮径部R23とを有する。拡径部R22は、シート材Sと接触することでシート材Sに対して圧力をかけ、吐出口Nの下流側に溜まったホットメルト接着剤Hを濾しとる。拡径部R22の外周とローラR20の回転中心との距離は、シート材Sに圧力が十分にかかる長さに設定されている。縮径部R23は、拡径部R22よりも後にシート材S側を向くように配置されている。縮径部R23の外周とローラR20の回転中心との距離は、縮径部R23がシート材S側を向いている状態で、シート材SをノズルNから離間可能な長さに設定されている。
【0058】
図14(a)は、ホットメルト接着剤Hを塗布する工程を示している。この工程において、ローラR20の円周部R21にシート材Sを沿わせることで吐出口Nをシート材Sに接触させている。シート材Sは、吐出口Nと接しつつ円周部R21の接線方向下流側に搬送されている。
【0059】
図14(b)は、ホットメルト接着剤Hを濾しとる工程を示している。この工程において、拡径部R22がシート材Sに接しており、拡径部R22によってシート材Sに対して圧力をかけることによって、吐出口Nの下流側に溜まったホットメルト接着剤Hを濾しとることができる。これにより、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において、吐出口Nの下流側に溜まったホットメルト接着剤Hを濾しとることができる。よって、吐出口の搬送方向下流側にホットメルト接着剤Hが溜まるのを防ぎ、ホットメルト接着剤Hが設計上の非塗布範囲に塗布されるのを防ぐことができる。
【0060】
図14(c)は、ホットメルト接着剤Hを濾しとった後、ホットメルト接着剤Hの非塗布状態において、吐出口Nからシート材Sを離間させる工程を示している。この工程では、縮径部R23をシート材Sに向けることによって吐出口Nからシート材Sを離間させる
。この工程によって、前工程でホットメルト接着剤Hを濾しとり切れなかった場合であっても、塗布ガンGがホットメルト接着剤Hを引きずるのを防ぎ、ホットメルト接着剤Hが設計上の非塗布範囲に塗布されるのを防ぐことができる。
【0061】
<実施例3>
図15(a)~(b)に基づいて、実施例3に係る塗布方法について説明する。図15(a)~(b)は、本実施例に係る塗布方法を説明する模式図である。図15(a)~(b)の上段はシート材Sを上から見た模式図であり、図15(a)~(b)の下段はシート材Sを横から見た模式図である。本実施例に係る塗布方法で用いられる塗布装置は、塗布ガンGと送風装置M3(本願でいう「濾しとり手段」の一例)を備える。送風装置M3は、シート材Sの下側に配置されており、吐出口Nの下流側に向かって圧縮空気を送風する。
【0062】
図15(a)は、ホットメルト接着剤Hを塗布する工程を示している。この工程において、吐出口Nをシート材Sに接触させている。
【0063】
図15(b)は、ホットメルト接着剤Hを濾しとる工程を示している。この工程において、シート材Sの下側からシート材Sに対して送風装置M3から圧縮空気をかけることによって、吐出口Nの下流側に溜まったホットメルト接着剤Hを濾しとることができる。これにより、ホットメルト接着剤Hを塗布状態から非塗布状態に切り替える際に、吐出口Nの下流側に溜まったホットメルト接着剤Hを濾しとることができる。よって、非塗布状態において塗布ガンGがホットメルト接着剤Hを引きずるのを防ぎ、ホットメルト接着剤Hが設計上の非塗布範囲に塗布されるのを防ぐことができる。
【0064】
本実施形態に係る塗布方法は、上記の各実施例のいずれかを採用することができる。本実施形態の各実施例に係る塗布方法によれば、吐出口の搬送方向下流側にホットメルト接着剤Hが溜まるのを防ぎ、塗布ガンGがホットメルト接着剤Hを引きずってしまう尾引きの発生を防ぐことができるので、ホットメルト接着剤Hが設計上の非塗布範囲に塗布されるのを防ぐことができる。
【0065】
また、上記実施形態において、ホットメルト接着剤Hには、排泄物と接触すると変色するインジケータ用の材料が配合されていてもよい。吸収性物品において、インジケータ用の材料が塗布された部位は排尿等の排泄物の有無を外部に示すインジケータとして機能する。インジケータは、例えば、インジケータ用の材料が配合されたホットメルト接着剤Hがバックシートの肌面側に塗布されることによって設けられる。なお、インジケータ用の材料には、水分検知材料やpH反応材料等が用いられる。本実施形態に係る塗布方法によれば、インジケータの配置領域にこの材料が配合されたホットメルト接着剤Hを塗布することができ、インジケータの非配置領域にホットメルト接着剤Hが塗布されないようにすることができるので、インジケータを設計上の範囲に配置することができる。これにより、吸収性物品の設計通りの範囲にインジケータを配置することができるので、インジケータが吸収性物品のデザイン上の障害となるのを防ぐことができる。
【0066】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した種々の実施形態は可能な限り組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0067】
A1,A2・・矢印
C1,C3,C4・・円周部
C2・・扁平部
G・・塗布ガン
H・・ホットメルト接着剤
M1,M20,M30,40・・昇降装置
M2・・吸引装置
M3・・送風装置
N・・吐出口
R1,R2,R3,R4,R10,R20,R100・・ローラ
S・・シート材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-10-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定方向に搬送される被塗工物に塗布ガンからホットメルト接着剤を間欠的に塗布する塗布方法であって、
前記塗布ガンは、前記ホットメルト接着剤を吐出する吐出口を有し、
前記ホットメルト接着剤を前記被塗工物に塗布する塗布状態において、前記吐出口を前記被塗工物に接触させる第1工程と、
前記塗布状態において、前記被塗工物に対して下側から圧力をかけることによって、前記吐出口の下流側に溜まった前記ホットメルト接着剤を濾しとる第2工程と、
を含む、塗布方法。
【請求項2】
前記被塗工物の下側であり、且つ、前記吐出口の下流側には上下移動可能なローラであって、前記被塗工物の搬送速度に同期して前記被塗工物の搬送方向に回転するローラが配置されており、
前記第1工程において、前記ローラは前記被塗工物と所定位置で接しており、
前記第2工程において、前記所定位置よりも上方で前記ローラが前記被塗工物に接することによって前記被塗工物に対して圧力をかけ、前記吐出口の下流側に溜まった前記ホットメルト接着剤を濾しとり、
前記塗布方法は、前記塗布状態において前記ローラを下降させることによって前記吐出口から前記被塗工物を離間させる第3工程を含む、
請求項に記載の塗布方法。
【請求項3】
前記被塗工物の下側であり、且つ、前記吐出口の下流側には前記被塗工物の搬送速度に同期して前記被塗工物の搬送方向に回転するローラが配置されており、
前記ローラは、
前記被塗工物への前記ホットメルト接着剤の塗布範囲の長さに対応する円周部と、
前記円周部よりも拡径された拡径部であって、前記被塗工物に対して圧力をかけ、前記吐出口の下流側に溜まった前記ホットメルト接着剤を濾しとる拡径部と、
前記円周部よりも縮径された縮径部であって、前記拡径部よりも後に前記被塗工物側を向くように配置された縮径部と、
を有し、
前記第1工程において前記円周部に前記被塗工物を沿わせることで前記吐出口を前記被
塗工物に接触させ、
前記第2工程において前記拡径部によって前記被塗工物に対して圧力をかけることによって、前記吐出口の下流側に溜まった前記ホットメルト接着剤を濾しとり、
前記塗布方法は、前記塗布状態において、前記縮径部を前記被塗工物に向けることによって前記吐出口から前記被塗工物を離間させる第3工程を含む、
請求項に記載の塗布方法。
【請求項4】
前記第2工程において、前記被塗工物の下側から前記被塗工物に対して圧縮空気をかけることによって、前記ホットメルト接着剤を濾しとる、
請求項1に記載の塗布方法。
【請求項5】
前記被塗工物は、吸収性物品用のシート材であり、
前記ホットメルト接着剤には、排泄物と接触すると変色する材料が配合されている、
請求項1からのいずれか一項に記載の塗布方法。
【請求項6】
一定方向に搬送される被塗工物に塗布ガンからホットメルト接着剤を間欠的に塗布する塗布装置であって、
前記ホットメルト接着剤を吐出する吐出口を有する前記塗布ガンであって、前記ホットメルト接着剤を前記被塗工物に塗布する塗布状態において前記吐出口を前記被塗工物に接触させる前記塗布ガンと、
前記塗布状態において前記被塗工物に対して下側から圧力をかけることによって、前記吐出口の下流側に溜まった前記ホットメルト接着剤を濾しとる濾しとり手段と、
を備える、塗布装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記塗布方法において、前記被塗工物の上側であり、且つ、前記吐出口の上流側には、前記被塗工物の搬送速度に同期して前記被塗工物の搬送方向に回転するローラが配置されており、前記ローラの円周部の半径は、前記ローラの回転中心から前記被塗工物までの距離より長く、前記第1工程において前記ローラと前記被塗工物を非接触とすることで前記吐出口を前記被塗工物に接触させ、前記第2工程において前記円周部によって前記被塗工物を押し下げることで前記吐出口から前記被塗工物を離間させてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記塗布方法において、前記被塗工物の下側で前記吐出口と対向するように、前記被塗工物の搬送速度に同期して前記被塗工物の搬送方向に回転するローラが配置されており、前記ローラは、凸部と、凹部と、を有し、前記第1工程において前記凸部が前記吐出口と向き合うことで前記吐出口を前記被塗工物に接触させ、前記第2工程において前記凹部が前記吐出口と向き合うことで前記吐出口から前記被塗工物を離間させてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
図5(a)は、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において吐出口Nをシート材Sに接触させた状態を示す模式図であり、図5(b)は、ホットメルト接着剤Hの塗布状態において吐出口Nをシート材Sから離間させた状態を示す模式図である。ローラR3は、凸部D1と、凹部D2と、を有する。本実施例に係る塗布方法では、塗布状態において凸部D1が吐出口Nと向き合うことで吐出口Nをシート材Sに接触させ、塗布状態において凹部D2が吐出口Nと向き合うことで吐出口Nからシート材Sを離間させる。これにより、塗布状態において、吐出口Nをシート材Sに接触させることと、吐出口Nからシート材Sを離間させることとを、1回または複数回行うことができ、吐出口の搬送方向下流側にホットメルト接着剤Hが溜まるのを防ぐことができる。