(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174121
(43)【公開日】2024-12-13
(54)【発明の名称】情報生成システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241206BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024171979
(22)【出願日】2024-10-01
(62)【分割の表示】P 2022076397の分割
【原出願日】2015-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123021
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 元幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126538
【弁理士】
【氏名又は名称】嶺 直道
(72)【発明者】
【氏名】西村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】中島 正浩
(57)【要約】
【課題】交通情報の生成のために必要なプローブ情報を効率的に提供することのできる情報生成装置を提供する。
【解決手段】情報生成装置は、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を含むプローブ情報を収集する複数の事業者の各々から、当該事業者に関連する複数の車両について検出されたプローブ情報の組であるプローブ情報群を取得するプローブ情報群取得部と、プローブ情報群取得部が取得したプローブ情報群に基づいて、外部に提供するための提供情報を生成する情報生成部と、情報生成部が生成した提供情報を外部に提供する情報提供部とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を含むプローブ情報を収集する複数の事業者の各々から、当該事業者に関連する複数の車両について検出されたプローブ情報の組であるプローブ情報群を取得するプローブ情報群取得部と、
前記プローブ情報群取得部が取得した前記プローブ情報群に基づいて、外部に提供するための提供情報を生成する情報生成部と、
前記情報生成部が生成した前記提供情報を外部に提供する情報提供部と
を備える情報生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報生成システム、情報生成装置、情報生成方法、情報生成プログラム、プローブ情報収集装置、プローブ情報収集方法、およびプローブ情報収集プログラムに関する。より特定的には、事業者から提供されたプローブ情報群を用いて提供情報を生成する情報生成システム、情報生成装置、情報生成方法、および情報生成プログラムに関する。また、本発明は、複数の車両からプローブ情報を収集するプローブ情報収集装置、プローブ情報収集方法、およびプローブ情報収集プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路を走行する車両から収集したプローブ情報に基づいて、旅行時間情報などの車両の運転に役立つ交通情報を生成し、生成した交通情報をドライバーに提供するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、個人所有の車両からプローブ情報を直接取得して交通情報を生成するシステムにおいて、プローブ情報を送信した個人に対して、取得した各プローブ情報の品質に応じたインセンティブを与えるシステムも提案されている(例えば、特許文献2参照)。このシステムでは、ある種の業務を行う業者が所有する複数台の業者車両のプローブ情報も取得して利用しうることについても開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-241987号公報
【特許文献2】特開2008-310396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
交通情報の生成のためには、交通情報を生成する事業者(プローブ事業者)にとって価値のあるプローブ情報をできるだけ効率的に取得する必要がある。本発明者らは、従来のシステムの以下の点に着目した。つまり、従来のシステムでは、個人が所有する車両との間でプローブ情報の収集と交通情報の配信を行うプローブ事業者が、自己の契約する個人である自らの会員から収集したプローブ情報に基づいてサービスしているだけである。このため、得られるプローブ情報の量が限られていたり、走行エリアに偏りが生じたりすることがあるという問題点に着目した。
【0006】
また、特許文献2では業者車両のプローブ情報も収集する構成となっているが、例えばここにいう業者であるタクシー業者やバス業者等の所有する車両はたかだか数百台程度に過ぎない。その上、業者車両は特定の業務を行うことを目的として走行するため、一般車両が通常走行しない特殊な道路や経路で走行したり、一般車両が通常停車しない場所に長時間停車したりする。このため、特許文献2に記載の業者車両から得られるプローブ情報の利用には限度があることに本発明者らは気が付いた。
【0007】
これらの先行文献では1つのプローブ事業者によって自らのプローブ情報センタの中で閉じたサービスが行われている、という点では、従来のシステムと同様の枠組みである。
【0008】
本発明は、このような本発明者らの新たな着眼点に基づいてなされたものであり、交通情報の生成のために必要なプローブ情報を、効率よく収集する情報生成システム、情報生成装置、情報生成方法、および情報生成プログラムを提供することを目的とする。
【0009】
また、交通情報の生成のために必要なプローブ情報を効率的に提供することのできるプローブ情報収集装置、プローブ情報収集方法、およびプローブ情報収集プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記目的を達成するために、本発明の一実施態様に係る情報生成システムは、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を含むプローブ情報を収集する複数の事業者の各々から、当該事業者に関連する複数の車両について検出されたプローブ情報の組であるプローブ情報群を取得するプローブ情報群取得部と、前記プローブ情報群取得部が取得した前記プローブ情報群に基づいて、外部に提供するための提供情報を生成する情報生成部と、前記情報生成部が生成した前記提供情報を外部に提供する情報提供部とを備える。
【0011】
(9)本発明の他の一実施態様に係るプローブ情報収集装置は、複数の車両の各々から、当該車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を含むプローブ情報を収集するプローブ情報収集部と、前記プローブ情報収集部が収集した前記プローブ情報の組であるプローブ情報群を、当該プローブ情報群を用いて提供情報を生成する情報生成装置に提供するプローブ情報群提供部と、前記情報生成装置から、前記プローブ情報群の価値に応じた前記提供情報を取得する情報取得部とを備える。
【0012】
(10)本発明の他の一実施態様に係る情報生成装置は、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を含むプローブ情報を収集する複数の事業者の各々から、当該事業者に関連する複数の車両について検出されたプローブ情報の組であるプローブ情報群を取得するプローブ情報群取得部と、前記プローブ情報群取得部が取得した前記プローブ情報群に基づいて、外部に提供するための提供情報を生成する情報生成部と、前記情報生成部が生成した前記提供情報を外部に提供する情報提供部とを備える。
【0013】
(11)本発明の他の一実施態様に係る情報生成方法は、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を含むプローブ情報を収集する複数の事業者の各々から、当該事業者に関連する複数の車両について検出されたプローブ情報の組であるプローブ情報群を取得するステップと、取得された前記プローブ情報群に基づいて、外部に提供するための提供情報を生成するステップと、生成された前記提供情報を外部に提供するステップとを含む。
【0014】
(12)本発明の他の一実施態様に係るプローブ情報収集方法は、複数の車両の各々から、当該車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を含むプローブ情報を収集するステップと、収集された前記プローブ情報の組であるプローブ情報群を、当該プローブ情報群を用いて提供情報を生成する情報生成装置に提供するステップと、前記情報生成装置から、前記プローブ情報群の価値に応じた前記提供情報を取得するステップとを含む。
【0015】
(13)本発明の他の一実施態様に係る情報生成プログラムは、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を含むプローブ情報を収集する複数の事業者の各々から、当該事業者に関連する複数の車両について検出されたプローブ情報の組であるプローブ情報群を取得するプローブ情報群取得部と、前記プローブ情報群取得部が取得した前記プローブ情報群に基づいて、外部に提供するための提供情報を生成する情報生成部と、前記情報生成部が生成した前記提供情報を外部に提供する情報提供部としてコンピュータを機能させる。
【0016】
(14)本発明の他の一実施態様に係るプローブ情報収集プログラムは、複数の車両の各々から、当該車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を含むプローブ情報を収集するプローブ情報収集部と、前記プローブ情報収集部が収集した前記プローブ情報の組であるプローブ情報群を、当該プローブ情報群を用いて提供情報を生成する情報生成装置に提供するプローブ情報群提供部と、前記情報生成装置から、前記プローブ情報群の価値に応じた前記提供情報を取得する情報取得部としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、交通情報の生成のために必要なプローブ情報を効率的に取得または提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係る交通情報提供システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】プローブ情報収集装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図3】車両のプローブ端末から収集するプローブ情報のフォーマット例を示す図である。
【
図4】情報生成装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図5】プローブ情報収集装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】情報生成装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】マップマッチングについて説明するための図である。
【
図8】情報生成装置が生成した交通情報としての旅行時間情報と、外部装置が生成した交通情報としての旅行時間情報との散布図である。
【
図9】プローブ情報の位置精度について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者らは、「背景技術」の欄において記載した、従来のシステムに関し、さらに以下の知見を見出した。
【0020】
複数の事業者のプローブ情報を統合して交通情報を作成して各事業者に還元すれば、プローブ情報の数やエリアの大幅な拡大による交通情報の改善が期待でき、事業者のメリットも大きい。事業者がプローブ情報を提供したり交通情報を提供されたりする際に、対価を授受しても良い。対価は、現金に限らず、電子マネーやポイント制度などでも良い。
【0021】
一方で、事業者によって、センサなどのハードウェアや、プローブ情報の収集や伝送を行うソフトウェアも千差万別であり、プローブ情報の品質にばらつきがあることが予想される。同一事業者内でも、ハードウェアやソフトウェアの世代の違いなどによって、同様のことが起こり得る。
【0022】
このような状況下で各事業者を同様に扱えば、品質が高いプローブ情報を提供する優良事業者が不公平感を抱き、プローブ情報の提供に消極的になってしまう恐れがある。
【0023】
逆に、優良事業者に何らかのインセンティブを与えれば、提供に意欲的になり、さらなるインセンティブを得るために、プローブ情報の品質の向上や情報量の増大を図る動きが大きくなる可能性がある。また、事業者が車載ナビゲーションシステムやスマートフォンのアプリケーションソフトウェアを開発しているカーメーカーや大手のサービスプロバイダの場合には、ハードウェアやソフトウェアの改良を積極的に行い、技術の進歩が加速することも期待できる。
【0024】
そうなれば、プローブ情報の品質がさらに改善し、結果的に交通情報の品質が向上することになり、交通渋滞の改善による社会への貢献も大きい。
【0025】
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
【0026】
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0027】
(1)本発明の一実施態様に係る情報生成システムは、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を含むプローブ情報を収集する複数の事業者の各々から、当該事業者に関連する複数の車両について検出されたプローブ情報の組であるプローブ情報群を取得するプローブ情報群取得部と、前記プローブ情報群取得部が取得した前記プローブ情報群に基づいて、外部に提供するための提供情報を生成する情報生成部と、前記情報生成部が生成した前記提供情報を外部に提供する情報提供部とを備える。
【0028】
この構成によると、複数の事業者からプローブ情報群を取得し、取得したそれらのプローブ情報群から提供情報を生成している。この、提供情報は、旅行時間情報や渋滞区間情報などの交通情報、または事業者にとって有益な情報(例えば、商品やサービスの割引情報)である。プローブ情報群を複数の事業者から取得しているため、1つの事業者だけではカバーしきれないエリアのプローブ情報などを取得することができる。また、事業者間で質の異なるプローブ情報群の中から、質の高いプローブ情報を選択して利用することもできる。このため、交通情報の生成のために必要なプローブ情報を効率的に取得することができる。
【0029】
(2)また、上述の情報生成システムは、さらに、前記事業者ごとに、当該事業者が提供する前記プローブ情報群の価値を評価する価値評価部を備えてもよい。
【0030】
この構成によると、事業者ごとにプローブ情報群の価値を評価している。このため、プローブ情報群の価値に応じて、生成する提供情報の内容を変更したり、事業者に支払う対価を変更したりすることができる。よって、事業者に、より価値の高いプローブ情報を提供しようとするインセンティブが働き、その結果、事業者から交通情報の生成のために必要なプローブ情報を効率的に取得できるようになる。
【0031】
(3)また、前記情報生成部は、前記価値評価部が評価した前記プローブ情報群の価値と前記プローブ情報群取得部が取得した前記プローブ情報群とに基づいて、前記提供情報を生成してもよい。
【0032】
この構成によると、プローブ情報群の価値を加味して提供情報を生成することができる。例えば、プローブ情報の位置精度が高く価値が高いプローブ情報の重みを、位置精度が低く価値が低いプローブ情報の重みよりも大きくした上で、複数の事業者から取得したプローブ情報を用いて旅行時間情報を生成する。その結果、精度の高い旅行時間情報などの交通情報を生成することができるようになる。
【0033】
(4)また、前記情報提供部は、前記提供情報を前記複数の事業者に提供してもよい。
【0034】
この構成によると、各事業者は、プローブ情報群の提供の対価として提供情報の提供を受けることができる。このため、事業者に、プローブ情報を提供しようとするインセンティブが働き、その結果、事業者から交通情報の生成のために必要なプローブ情報を効率的に取得できるようになる。
【0035】
(5)また、前記情報提供部は、前記価値評価部が評価した前記プローブ情報群の価値に基づいて、前記事業者ごとに異なる前記提供情報を提供してもよい。
【0036】
この構成によると、価値の高いプローブ情報群を提供した事業者に対して、より価値の高い提供情報を提供することができる。このため、事業者に、より価値の高いプローブ情報を提供しようとするインセンティブが働き、その結果、事業者から交通情報の生成のために必要なプローブ情報を効率的に取得できるようになる。
【0037】
(6)また、前記情報提供部は、前記複数の事業者以外のユーザにも前記提供情報を提供してもよい。
【0038】
この構成によると、提供情報を、プローブ情報を提供する事業者以外の利用に供することができる。
【0039】
(7)また、上述の情報生成システムは、さらに、前記事業者または前記事業者以外のユーザが前記提供情報の提供に対して支払う対価を示す対価情報を取得する対価情報取得部を備え、前記情報生成部は、前記対価情報取得部が取得した前記対価情報が示す対価に応じて、前記事業者または前記ユーザごとに前記提供情報の内容を変更して、前記提供情報を生成してもよい。
【0040】
この構成によると、より高い対価を支払う事業者またはユーザほど、より高品質な提供情報の提供を受けることができる。
【0041】
(8)また、前記価値評価部は、(1)前記プローブ情報群が示す前記複数の車両の総走行距離、(2)前記プローブ情報群に含まれる前記プローブ情報の総数、(3)前記プローブ情報群に含まれる前記プローブ情報が示す前記車両の位置がカバーするエリア、(4)前記プローブ情報群のリアルタイム性、(5)前記プローブ情報群が示す移動軌跡の位置間隔、(6)前記プローブ情報群のうちマップマッチング済みの前記プローブ情報が占める割合、(7)前記プローブ情報群のうち専用端末で取得された前記プローブ情報が占める割合、(8)前記プローブ情報群に含まれる前記プローブ情報に含まれる情報の種類、(9)前記プローブ情報群のうち歩行者について検出されたプローブ情報の占める割合、(10)所定の道路の位置の位置情報を含むプローブ情報の有無、(11)渋滞区間を移動する車両から得られるプローブ情報の有無、(12)前記プローブ情報群に基づいて前記情報生成部が生成した前記提供情報としての交通情報の精度、(13)前記プローブ情報群が示す移動軌跡の起点および終点間の距離、(14)前記プローブ情報群が示すプローブ情報の位置精度、(15)前記プローブ情報群が示す車両の位置に係る道路の種別、および(16)前記プローブ情報群のうち停車車両のプローブ情報が占める割合のうちの少なくとも1つに基づいて、前記プローブ情報群の価値を評価してもよい。
【0042】
この構成によると、交通情報の生成に役立つプローブ情報群ほど価値が高いと評価することができる。このため、プローブ情報群を収集する事業者を適切に評価することができ、高い価値のプローブ情報群を提供する事業者に対して、質の高い提供情報を提供することができる。よって、事業者に、より価値の高いプローブ情報を提供しようとするインセンティブが働き、その結果、事業者から交通情報の生成のために必要なプローブ情報を効率的に取得できるようになる。
【0043】
(9)本発明の他の実施態様に係るプローブ情報収集装置は、複数の車両の各々から、当該車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を含むプローブ情報を収集するプローブ情報収集部と、前記プローブ情報収集部が収集した前記プローブ情報の組であるプローブ情報群を、当該プローブ情報群を用いて提供情報を生成する情報生成装置に提供するプローブ情報群提供部と、前記情報生成装置から、前記プローブ情報群の価値に応じた前記提供情報を取得する情報取得部とを備える。
【0044】
この構成によると、情報生成装置に提供したプローブ情報群の価値が高いほど、より質の高い提供情報を取得することができる。このため、プローブ情報収集装置を運用する事業者に、より価値の高いプローブ情報を提供しようとするインセンティブが働く。その結果、プローブ情報収集装置が、情報生成装置に対して、交通情報の生成のために必要なプローブ情報を効率的に提供するようになる。
【0045】
(10)本発明の他の実施態様に係る情報生成装置は、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を含むプローブ情報を収集する複数の事業者の各々から、当該事業者に関連する複数の車両について検出されたプローブ情報の組であるプローブ情報群を取得するプローブ情報群取得部と、前記プローブ情報群取得部が取得した前記プローブ情報群に基づいて、外部に提供するための提供情報を生成する情報生成部と、前記情報生成部が生成した前記提供情報を外部に提供する情報提供部とを備える。
【0046】
この構成は、(1)に示した情報生成システムの構成と同様であり、その作用および効果も同様である。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0047】
(11)本発明の他の実施態様に係る情報生成方法は、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を含むプローブ情報を収集する複数の事業者の各々から、当該事業者に関連する複数の車両について検出されたプローブ情報の組であるプローブ情報群を取得するステップと、取得された前記プローブ情報群に基づいて、外部に提供するための提供情報を生成するステップと、生成された前記提供情報を外部に提供するステップとを含む。
【0048】
この構成は、(1)に示した情報生成システムの各処理部に対応するステップを含み、その作用および効果は、(1)に示したものと同様である。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0049】
(12)本発明の他の実施態様に係るプローブ情報収集方法は、複数の車両の各々から、当該車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を含むプローブ情報を収集するステップと、収集された前記プローブ情報の組であるプローブ情報群を、当該プローブ情報群を用いて提供情報を生成する情報生成装置に提供するステップと、前記情報生成装置から、前記プローブ情報群の価値に応じた前記提供情報を取得するステップとを含む。
【0050】
この構成は、(9)に示したプローブ情報収集装置の各処理部に対応するステップを含み、その作用および効果は、(9)に示したものと同様である。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0051】
(13)本発明の他の実施態様に係る情報生成プログラムは、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を含むプローブ情報を収集する複数の事業者の各々から、当該事業者に関連する複数の車両について検出されたプローブ情報の組であるプローブ情報群を取得するプローブ情報群取得部と、前記プローブ情報群取得部が取得した前記プローブ情報群に基づいて、外部に提供するための提供情報を生成する情報生成部と、前記情報生成部が生成した前記提供情報を外部に提供する情報提供部としてコンピュータを機能させる。
【0052】
この構成は、(1)に示した情報生成システムの構成と同様であり、その作用および効果も同様である。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0053】
(14)本発明の他の実施態様に係るプローブ情報収集プログラムは、複数の車両の各々から、当該車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を含むプローブ情報を収集するプローブ情報収集部と、前記プローブ情報収集部が収集した前記プローブ情報の組であるプローブ情報群を、当該プローブ情報群を用いて提供情報を生成する情報生成装置に提供するプローブ情報群提供部と、前記情報生成装置から、前記プローブ情報群の価値に応じた前記提供情報を取得する情報取得部としてコンピュータを機能させる。
【0054】
この構成は、(9)に示したプローブ情報収集装置の構成と同様であり、その作用および効果も同様である。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0055】
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲によって特定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0056】
(実施の形態)
[1.交通情報提供システムの全体構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る交通情報提供システムの構成の一例を示す図である。交通情報提供システム100は、道路上を走行する車両5A~5Cにそれぞれ配置されたプローブ端末から車両5の位置および当該位置を通過する時刻の情報を含むプローブ情報を収集する。交通情報提供システム100は、各車両5のプローブ端末から収集したプローブ情報に基づいて旅行時間情報や渋滞区間情報などの交通情報を生成し、生成した交通情報を各車両5のカーナビゲーションシステムなどに提供する。各車両5はGPS(Global Positioning System)受信機などを搭載し、車両5の位置情報を収集する。
【0057】
交通情報提供システム100は、プローブ情報収集装置1A~1Cと、情報生成装置2と、利用者装置3と、プローブ利用装置4とを備える。
【0058】
プローブ情報収集装置1Aは、事業者Aが管理する装置であり、事業者Aが契約する車両5Aのプローブ端末からプローブ情報を収集する装置である。プローブ情報収集装置1Bは、事業者Bが管理する装置であり、事業者Bが契約する車両5Bのプローブ端末からプローブ情報を収集する装置である。プローブ情報収集装置1Cは、事業者Cが管理する装置であり、事業者Cが契約する車両5Cのプローブ端末からプローブ情報を収集する装置である。事業者とは、車両5を製造するメーカーであったり、車両5に搭載されたカーナビゲーションシステムを製造するメーカーであったりする。ただし、事業者は、プローブ情報を収集する業者であればこれらに限定されるものではない
【0059】
以下の説明では、プローブ情報収集装置1A~1Cを区別しない場合には、プローブ情報収集装置1と記載し、車両5A~5Cを区別しない場合には車両5と記載する。
【0060】
情報生成装置2は、プローブ情報収集装置1A~1Cの各々からプローブ情報の組であるプローブ情報群を取得し、取得したプローブ情報群に基づいて交通情報を含む提供情報を生成する。情報生成装置2は、生成した提供情報をプローブ情報収集装置1A~1Cに提供する。また、情報生成装置2は、プローブ情報群の提供の対価として、金銭的価値を有する対価情報をプローブ情報収集装置1A~1Cに提供してもよい。さらに、情報生成装置2は、プローブ情報収集装置1A~1Cから金銭的価値を有する対価情報を取得し、取得した対価情報に対する対価として、生成した提供情報をプローブ情報収集装置1A~1Cに提供してもよい。
【0061】
利用者装置3は、例えば、一般のドライバーなどが利用する装置であり、情報生成装置2に対してプローブ情報の提供は行わないが、情報生成装置2から提供情報の提供を受ける装置である。利用者装置3は、例えば、車両に備えつけられたカーナビゲーションシステムや、車両のドライバーが利用するスマートフォンなどである。利用者装置3は、提供情報の提供を受けるにあたり、金銭的価値を有する対価情報を情報生成装置2に送信する。
【0062】
プローブ利用装置4は、情報生成装置2がプローブ情報収集装置1A~1Cから収集したプローブ情報群を再利用して、交通情報を生成する装置である。例えば、プローブ利用装置4は、情報生成装置2を運用する事業者とは異なる事業者によって運用され、情報生成装置2とは異なる観点で交通情報を生成する。プローブ利用装置4は、情報生成装置2からプローブ情報群の提供を受けるにあたり、金銭的価値を有する対価情報を情報生成装置2に送信する。
【0063】
図1に示した各装置間は、インターネット等の通信網を介して接続されていてもよいし、専用の通信網を介して接続されていてもよい。また、車両5A~5Cのプローブ端末とプローブ情報収集装置1A~1Cとの間は、携帯電話網などの無線通信網により接続されていてもよいし、専用の無線通信網により接続されていてもよい。
【0064】
[2.プローブ情報収集装置1の構成]
図2は、プローブ情報収集装置1の機能的な構成を示すブロック図である。
【0065】
プローブ情報収集装置1は、通信I/F部11と、プローブ情報収集部12と、プローブ情報蓄積部13と、プローブ情報群提供部14と、対価情報提供部15と、情報取得部16と、提供情報蓄積部17と、対価情報蓄積部18と、情報提供部19とを備える。
【0066】
通信I/F部11は、車両5のプローブ端末および情報生成装置2と有線または無線でデータの送受信を行うための通信インタフェースであり、LAN(Local Area Network)アダプタなどにより構成される。
【0067】
プローブ情報収集部12は、通信I/F部11を介して、車両5のプローブ端末からプローブ情報を収集する。プローブ情報収集部12は、収集したプローブ情報をプローブ情報蓄積部13に書き込むことにより、プローブ情報蓄積部13に蓄積する。
【0068】
プローブ情報蓄積部13は、プローブ情報収集部12が収集したプローブ情報を記憶する記憶装置であり、HDD(Hard Disk Drive)などにより構成される。
【0069】
図3は、車両5のプローブ端末から収集するプローブ情報のフォーマット例を示す図である。車両5のプローブ端末は、所定時間間隔(例えば、30秒間隔)または所定距離間隔(例えば、100m間隔)でプローブ情報を取得する。プローブ情報は、車両ID情報と、位置情報と、時刻情報と、方位情報と、燃費情報と、端末種別情報と、車種情報と、マップマッチングフラグとを含む。
【0070】
車両ID情報は、車両5または車両5のプローブ端末を識別するための情報である。位置情報は、車両5の走行位置を緯度および経度により示す情報である。時刻情報は、位置情報を取得した時刻を示す情報である。方位情報は、車両5の進行方向を示す情報である。燃費情報は、車両5の燃費を示す情報である。端末情報は、プローブ情報を取得する端末の種別を特定するための情報である。つまり、端末情報は、車両5に配置されたプローブ端末が、車両5に搭載されたカーナビゲーションシステムなどの専用端末であるのか、車両5のドライバーが使用するスマートフォンなどの汎用端末であるのかを示す。車種情報は、車両5の車種区分を示す情報である。例えば、車種情報は、車両5が軽自動車なのか、普通車なのか、中型車なのか、大型車なのかを示す。マップマッチングフラグは、位置情報がマップマッチング済みの位置情報であるか否かを示す。
【0071】
再度
図2を参照して、プローブ情報群提供部14は、プローブ情報収集部12が収集し、プローブ情報蓄積部13に蓄積されたプローブ情報の組であるプローブ情報群を、通信I/F部11を介して情報生成装置2に送信する。ここで、プローブ情報群提供部14は、予め定められた時間の間にプローブ情報蓄積部13に蓄積されたプローブ情報群を送信してもよい。また、プローブ情報群提供部14は、予め定められた数のプローブ情報がプローブ情報蓄積部13に蓄積された後に、当該予め定められた数のプローブ情報をまとめたプローブ情報群を送信してもよい。
【0072】
対価情報提供部15は、金銭的価値を有する対価情報を、通信I/F部11を介して情報生成装置2に送信する。対価情報を送信することで、より質の高い提供情報を取得するための対価を、情報生成装置2を運用する事業者に支払うことができる。
【0073】
情報取得部16は、プローブ情報群提供部14が提供したプローブ情報群の価値に応じた提供情報を、通信I/F部11を介して情報生成装置2から取得する。つまり、提供したプローブ情報群の価値が高いほど、情報取得部16は、より高品質な提供情報を取得することができる。また、対価情報提供部15が情報生成装置2に対価情報を送信している場合には、対価情報が示す金銭的価値が高いほど、情報取得部16は、より高品質な提供情報を取得することができる。情報取得部16は、取得した提供情報を提供情報蓄積部17に蓄積する。
【0074】
また、情報取得部16は、通信I/F部11を介して、情報生成装置2から、プローブ情報群の提供の対価として、金銭的価値を有する対価情報を取得してもよい。情報取得部16は、取得した対価情報を対価情報蓄積部18に蓄積する。情報取得部16が対価情報を取得する場合とは、プローブ情報群の提供の対価として提供情報の代わりに対価情報を取得する場合の他、プローブ情報群の提供の対価として提供情報を取得しているが、プローブ情報群の価値が提供情報の価値よりも高い場合がある。後者の場合には、情報取得部16は、プローブ情報群の価値と提供情報の価値の差を金銭的価値に置き換えた対価情報を、情報生成装置2から取得する。
【0075】
提供情報蓄積部17および対価情報蓄積部18は、情報取得部16が取得した提供情報および対価情報をそれぞれ記憶する記憶装置であり、HDDなどにより構成される。
【0076】
情報提供部19は、提供情報蓄積部17に蓄積された提供情報を通信I/F部11を介して車両5のプローブ端末に送信することで、車両5に提供情報を提供する。例えば、提供情報が交通情報である場合には、プローブ端末は、当該交通情報をプローブ端末の画面に表示することにより、車両5のドライバーの運転を支援する。また、提供情報が映像コンテンツ情報である場合には、プローブ端末は、当該映像コンテンツ情報をプローブ端末の画面に表示することにより、車両5のドライバーまたは同乗者の休憩時間に娯楽を提供する。
【0077】
また、情報提供部19は、対価情報蓄積部18に蓄積された対価情報を通信I/F部11を介して車両5のプローブ端末に送信することで、対価情報を提供する。対価情報が示す対価の額は、プローブ情報収集装置1を運営する事業者が個別に判断する。
【0078】
なお、提供情報および対価情報の提供先はプローブ端末に限定されるものではなく、カーナビゲーションシステムや、スマートフォンなどであってもよい。
【0079】
[3.情報生成装置2の構成]
図4は、情報生成装置2の機能的な構成を示すブロック図である。
【0080】
情報生成装置2は、通信I/F部21と、プローブ情報群取得部22と、プローブ情報蓄積部23と、価値評価部24と、対価情報取得部25と、情報生成部26と、情報提供部27とを備える。
【0081】
通信I/F部21は、プローブ情報収集装置1A~1C、利用者装置3およびプローブ利用装置4と有線または無線でデータの送受信を行うための通信インタフェースであり、LANアダプタなどにより構成される。
【0082】
プローブ情報群取得部22は、通信I/F部21を介して、プローブ情報収集装置1A~1Cの各々からプローブ情報の組であるプローブ情報群を取得する。プローブ情報群取得部22は、取得したプローブ情報群を、プローブ情報収集装置1毎に分けて、プローブ情報蓄積部23に蓄積する。
【0083】
プローブ情報蓄積部23は、上述のプローブ情報群を記憶する記憶装置であり、HDDなどにより構成される。
【0084】
価値評価部24は、プローブ情報蓄積部23に蓄積されたプローブ情報群の価値を、プローブ情報収集装置1毎に評価する。価値評価部24は、プローブ情報群の量や質の観点から、その価値を評価する。価値の評価方法については後述する。
【0085】
対価情報取得部25は、通信I/F部21を介して、プローブ情報収集装置1A~1C、利用者装置3およびプローブ利用装置4から対価情報を取得する。この対価情報は、情報生成装置2が提供する提供情報の対価として支払われる対価を示す情報である。例えば、対価情報が示す対価は1から5まで5段階あり、値が高いほど対価の額が大きいとする。また、対価が1、2、3、4および5の対価情報は、10万円、20万円、30万円、40万円および50万円の価値を有するものとする。
【0086】
情報生成部26は、プローブ情報蓄積部23に蓄積されたプローブ情報群に基づいて、外部に提供するための提供情報としての交通情報を生成する。例えば、情報生成部26は、所定時間帯の時刻情報を含むプローブ情報群が示す車両5の移動軌跡から、予め定められた道路区間の旅行時間を示す旅行時間情報を生成したり、当該道路区間のうちの渋滞区間を示す渋滞区間情報を生成したりする。
【0087】
情報生成部26は、プローブ情報蓄積部23に蓄積されたプローブ情報群の価値を加味して交通情報を生成してもよい。例えば、プローブ情報収集装置1Aから取得したプローブ情報群の価値が5(例えば、5段階で値が高いほど価値が高いとする)であり、プローブ情報収集装置1Bから収集したプローブ情報群の価値が3であり、プローブ情報収集装置1Cから収集したプローブ情報群の価値が1であるとする。このとき、情報生成部26は、プローブ情報蓄積部23に蓄積された全てのプローブ情報を使って交通情報を生成するのではなく、以下のように選択されたプローブ情報を用いて交通情報を生成してもよい。つまり、情報生成部26は、プローブ情報蓄積部23に蓄積されたプローブ情報の中から、プローブ情報収集装置1A、プローブ情報収集装置1Bおよびプローブ情報収集装置1Cから取得したプローブ情報の割合が、5:3:1となるようにプローブ情報を選択する。情報生成部26は、選択したプローブ情報を用いて交通情報を生成する。このように、高い価値のプローブ情報群を優先的に用いて交通情報を生成することにより、精度の高い交通情報を生成することができる。
【0088】
情報生成部26は、予め記憶している映像コンテンツ情報を取得したり、外部のサーバから映像コンテンツ情報を取得したりすることにより、提供情報としての映像コンテンツ情報を生成してもよい。
【0089】
情報生成部26は、価値評価部24が評価したプローブ情報群の価値に応じて、プローブ情報収集装置1に提供する提供情報の質を変化させる。つまり、高い価値のプローブ情報群を提供したプローブ情報収集装置1に対しては、高品質な提供情報を提供する。プローブ情報群の価値が高いほど、提供する旅行時間情報の時間の分解能を高くしてもよい。例えば、プローブ情報収集装置1A、プローブ情報収集装置1Bおよびプローブ情報収集装置1Cに提供される旅行時間情報の時間分解能を、それぞれ、1分単位、5分単位および10分単位としてもよい。また、プローブ情報群の価値が高いほど、提供する渋滞区間情報の位置分解能を高くしてもよい。例えば、プローブ情報収集装置1A、プローブ情報収集装置1Bおよびプローブ情報収集装置1Cに提供される渋滞区間情報の位置分解能を、それぞれ、1m単位、5m単位および10m単位としてもよい。また、提供情報として映像コンテンツ情報を提供する場合には、プローブ情報群の価値が高いほど、提供する映像コンテンツ情報の画面解像度を高くしてもよい。例えば、プローブ情報収集装置1A、プローブ情報収集装置1Bおよびプローブ情報収集装置1Cに提供される映像コンテンツ情報の画面解像度を、それぞれ、1024×768画素、640×480画素および320×240画素としてもよい。
【0090】
情報生成部26は、商品やサービスの割引情報など、プローブ情報収集装置1の事業者または車両5のドライバーにとって有益な情報を提供情報として生成してもよい。その際、情報生成部26は、価値の高いプローブ情報群を提供したプローブ情報収集装置1ほど、割引率を大きくした割引情報を生成してもよい。
【0091】
なお、情報生成部26が、プローブ情報収集装置1から対価情報を取得している場合には、価値評価部24が評価したプローブ情報群の価値と、対価情報が示す対価とに基づいて、プローブ情報収集装置1に提供される提供情報が生成される。つまり、情報生成部26は、プローブ情報群の価値と、対価情報が示す対価との合計値が大きいプローブ情報収集装置1に対して、より高品質な提供情報を提供する。
【0092】
情報生成装置2は、利用者装置3からはプローブ情報群を取得せずに、対価情報のみを取得する。このため、情報生成部26は、利用者装置3に提供するための提供情報として、利用者装置3から取得した対価情報が示す対価が高いほど、高品質な提供情報を生成する。
【0093】
情報生成装置2は、プローブ利用装置4からはプローブ情報群を取得せずに、対価情報のみを取得する。また、情報生成装置2がプローブ利用装置4に提供する情報は、プローブ情報群である。このため、情報生成部26は、プローブ利用装置4に提供するためのプローブ情報群として、プローブ利用装置4から取得した対価情報が示す対価が高いほど、高品質なプローブ群情報を生成する。例えば、情報生成部26は、対価が高いほど、価値評価部24で価値が高いと評価されたプローブ情報が多く含まれるように、プローブ情報蓄積部23からプローブ情報を選択する。これにより、情報生成部26は、対価に応じたプローブ情報群を生成する。
【0094】
なお、情報生成部26は、提供情報を生成する代わりに、プローブ情報群の価値に応じた対価情報を生成してもよい。つまり、価値の高いプローブ情報群を提供したプローブ情報収集装置1に対しては、対価の高い対価情報を生成してもよい。
【0095】
また、情報生成部26は、提供情報の生成に加えて、対価情報を生成してもよい。つまり、提供を受けたプローブ情報群の価値の方が、生成した提供情報の価値よりも高い場合には、情報生成部26は、価値の差分を対価として支払うために対価情報を生成する。
【0096】
情報提供部27は、情報生成部26が生成した提供情報または対価情報を、通信I/F部21を介してプローブ情報収集装置1に送信することにより提供する。また、情報提供部27は、情報生成部26が生成した提供情報を、通信I/F部21を介して利用者装置3に送信することにより提供する。さらに、情報提供部27は、情報生成部26が生成したプローブ情報群を、通信I/F部21を介してプローブ利用装置4に送信することにより提供する。
【0097】
[4.プローブ情報収集装置1の処理フロー]
図5は、プローブ情報収集装置1が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【0098】
プローブ情報収集部12は、車両5に配置されたプローブ端末からプローブ情報を収集する(S1)。収集したプローブ情報のフォーマット例は、
図3に示した通りである。
【0099】
プローブ情報収集部12は、収集したプローブ情報をプローブ情報蓄積部13に書き込むことにより蓄積する(S2)。
【0100】
プローブ情報群提供部14は、プローブ情報蓄積部13に蓄積されたプローブ情報の組であるプローブ情報群を、通信I/F部11を介して情報生成装置2に送信することにより提供する(S3)。例えば、プローブ情報群提供部14は、3分ごとに、そのプローブ情報蓄積部13に間に蓄積されたプローブ情報をまとめて、プローブ情報群として情報生成装置2に提供する。プローブ情報群提供部14は、提供したプローブ情報群をプローブ情報蓄積部13から削除してもよい。
【0101】
対価情報提供部15は、情報生成装置2に対して提供する対価情報があるか否かを判断する(S4)。例えば、プローブ情報収集装置1の事業者と情報生成装置2の事業者との間で、1月ごとに10万円の対価を支払う契約がなされている場合には、支払期日になった時に提供する対価情報があると判断される。
【0102】
提供する対価情報がある場合には(S4でYES)、対価情報提供部15は、予め定められた額の対価を示す対価情報を、通信I/F部11を介して情報生成装置2に送信することにより、対価情報を提供する(S5)。
【0103】
対価情報提供処理(S5)の後、または提供する対価情報がない場合には(S4でNO)、情報取得部16は、通信I/F部11を介して、情報生成装置2から、プローブ情報群提供部14が提供したプローブ情報群の価値に応じた提供情報を取得する(S6)。
情報取得部16は、取得した提供情報を提供情報蓄積部17に蓄積する(S7)。
【0104】
情報提供部19は、提供情報蓄積部17に蓄積された提供情報を、通信I/F部11を介して車両5のプローブ端末に送信することで、提供情報を提供する(S8)。
【0105】
情報取得部16は、通信I/F部11を介して、情報生成装置2から、プローブ情報群の提供の対価として、金銭的価値を有する対価情報が提供されているか否かを判断する(S9)。
【0106】
対価情報が提供されている場合には(S9でYES)、情報取得部16は、通信I/F部11を介して情報生成装置2から対価情報を受信することにより、対価情報を取得する(S10)。
【0107】
また、情報取得部16は、取得した対価情報を対価情報蓄積部18に蓄積する(S11)。
【0108】
また、情報提供部19は、対価情報蓄積部18に蓄積された対価情報を、通信I/F部11を介して車両5のプローブ端末に送信することで、対価情報を提供する(S12)。
【0109】
[5.情報生成装置2の処理フロー]
図6は、情報生成装置2が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図6は、プローブ情報収集装置1との間での情報生成装置2が実行する処理を示す。
【0110】
プローブ情報群取得部22は、通信I/F部21を介してプローブ情報収集装置1からプローブ情報群を取得する(S21)。
【0111】
プローブ情報群取得部22は、取得したプローブ情報群を、プローブ情報収集装置1毎に分けて、プローブ情報蓄積部23に蓄積する(S22)。つまり、プローブ情報群にプローブ情報収集装置1の識別子を付して蓄積する。
【0112】
価値評価部24は、プローブ情報蓄積部23に蓄積されたプローブ情報群の価値を評価する(S23)。価値の評価方法については後述する。
【0113】
対価情報取得部25は、プローブ情報収集装置1から対価情報の提供を受けているか否かを判断する(S24)。
【0114】
対価情報の提供を受けている場合には(S24でYES)、対価情報取得部25は、通信I/F部21を介して、プローブ情報収集装置1から対価情報を受信することにより、対価情報を取得する(S25)。
【0115】
対価情報取得処理(S25)の後、または、対価情報の提供を受けていない場合には(S24でNO)、情報生成部26は、プローブ情報収集装置1に提供するための提供情報を生成する(S26)。提供情報は、価値評価部24が評価したプローブ情報群の価値と、対価情報取得部25が取得した対価情報が示す対価とに応じて、生成される。
【0116】
情報提供部27は、生成された提供情報を、通信I/F部21を介してプローブ情報収集装置1に送信することにより提供する(S27)。
【0117】
情報生成部26は、プローブ情報収集装置1に対して対価の支払いが必要か否かを判断する(S28)。つまり、提供を受けたプローブ情報群の価値の方が、生成した提供情報の価値よりも高い場合には、対価の支払いが必要であると判断する。例えば、情報生成部26は、プローブ情報群の価値が5であり、生成した提供情報の価値が3である場合には、差分値である2の対価(例えば、20万円)の支払いが必要であると判断する。つまり、差分値が0よりも大きければ、対価の支払いが必要であると判断すればよい。なお、対価情報取得部25が、プローブ情報収集装置1から対価情報を取得している場合には、取得した対価情報が示す対価およびプローブ情報群の価値と、生成した提供情報の価値との差分値に基づいて、対価の支払いが必要であるか否かを判断してもよい。
【0118】
対価の支払いが必要であると判断した場合には(S28でYES)、情報生成部26は、価値の差分を対価として支払うために対価情報を生成する(S29)。
【0119】
情報提供部27は、生成された対価情報を、通信I/F部21を介してプローブ情報収集装置1に送信することにより提供する(S30)。
【0120】
[6.プローブ情報群の価値評価処理の具体例]
次に、情報生成装置2の価値評価部24が実行するプローブ情報群の価値評価処理(
図6のS23)の具体例について説明する。価値評価部24は、プローブ情報の量的または質的な側面からプローブ情報群の価値を評価する。具体的には、価値評価部24は、以下に示す(1)~(16)のうちの少なくとも1つに基づいて、プローブ情報群の価値をプローブ情報収集装置1ごとに評価する。
【0121】
(1)プローブ情報群が示す複数の車両5の総走行距離
プローブ情報群は、複数の車両5の移動軌跡を示している。このため、価値評価部24は、プローブ情報群が示す複数の車両5の総走行距離が大きいほど、よりプローブ情報群の価値が高いものとして評価を行う。総走行距離は、例えば、プローブ情報群が示す移動軌跡の起点および終点間の距離の合計値として算出される。価値評価部24は、距離とプローブ情報群の価値との関係であって、距離が大きいほど価値が高くなるような関係を予め定めたデータテーブルを参照して、総走行距離からプローブ情報群の価値を求めてもよい。
【0122】
(2)プローブ情報群に含まれるプローブ情報の総数
価値評価部24は、プローブ情報群に含まれるプローブ情報の総数が大きいほど、より価値が高いものとして評価を行う。ただし、車両5が同じ距離を移動する間にサンプリングされたプローブ情報群であっても、サンプリング間隔が小さいほどプローブ情報の個数が多くなる。このため、価値評価部24は、サンプリング間隔が小さいほど小さくなるような重みで、プローブ情報の総数を重み付けし、重み付けされたプローブ情報の総数に基づいて、プローブ情報群の価値を評価してもよい。価値評価部24は、プローブ情報の数とプローブ情報群の価値との関係であって、プローブ情報の数が大きいほど価値が高くなるような関係を予め定めたデータテーブルを参照して、重み付けされたプローブ情報の総数からプローブ情報群の価値を求めてもよい。
【0123】
(3)プローブ情報群に含まれるプローブ情報が示す車両5の位置がカバーするエリア
広いエリアを車両5が走行することにより得られるプローブ情報は、狭いエリアを車両5が走行することにより得られるプローブ情報に比べて、より多くの道路において交通情報を生成する際に役立てることができる。このため、価値評価部24は、プローブ情報群に含まれるプローブ情報が示す車両5の位置がカバーするエリアが広いほど、プローブ情報群の価値を高く評価してもよい。価値評価部24は、エリアの面積とプローブ情報群の価値との関係であって、面積が大きいほど価値が高くなるような関係を予め定めたデータテーブルを参照して、上述したカバーするエリアの面積からプローブ情報群の価値を求めてもよい。
【0124】
(4)プローブ情報群のリアルタイム性
位置情報を取得した時刻が新しいプローブ情報は、ドライバーにリアルタイム情報として提供される旅行時間情報や渋滞区間情報の生成に役立てることができる。その一方、当該時刻が古いプローブ情報は、リアルタイム情報として提供することはできず、旅行時間情報や渋滞区間情報の統計情報として役立てることができるだけである。このため、位置情報を取得した時刻が新しいほど、プローブ情報の価値が高い。例えば、価値評価部24は、プローブ情報群に含まれるプローブ情報の時刻情報が示す時刻と現在時刻との差分の平均を算出し、差分の平均が小さいほど、よりプローブ情報群の価値を高く評価してもよい。価値評価部24は、現在時刻からの差分とプローブ情報群の価値との関係であって、差分が小さいほど価値が高くなるような関係を予め定めたデータテーブルを参照して、上述した差分の平均からプローブ情報群の価値を求めてもよい。
【0125】
(5)プローブ情報群が示す移動軌跡の位置間隔
プローブ情報群は車両5ごとの移動軌跡を示しているが、移動軌跡の位置間隔(プローブ情報の位置情報が示す位置の間隔)が狭いほど、車両5の移動軌跡をより詳細に示している。つまり、移動軌跡の位置間隔が狭いほど、車両5の加減速の位置、急ブレーキの位置、または急ハンドルの位置などを精度よく検出することができる。このため、移動軌跡の位置間隔が狭いほど、プローブ情報群の価値が高い。例えば、価値評価部24は、移動軌跡の位置間隔とプローブ情報群の価値との関係であって、当該位置間隔が狭いほど価値が高くなるような関係を予め定めたデータテーブルを参照して、プローブ情報群が示す位置間隔の平均から、プローブ情報群の価値を求めてもよい。
【0126】
(6)プローブ情報群のうちマップマッチング済みのプローブ情報が占める割合
図7は、マップマッチングについて説明するための図である。
図7(a)は、マップマッチング前のプローブ情報の位置情報が示す位置(以下、プローブ位置という)を示し、
図7(b)は、マップマッチング後のプローブ位置を示す。マップマッチング前では、
図7(a)に示すようにプローブ位置31が道路32から離れているが、マップマッチング後では、
図7(b)に示すようにプローブ位置31が道路32上に載っている。正確な交通情報を生成するためにはマップマッチング処理が必要であるが、マップマッチング処理が予め施されていれば、情報生成装置2がマップマッチング処理を行う必要がなくなる。このため、情報生成装置2の処理量を減らすことができる。よって、マップマッチング処理が施されているプローブ情報は価値が高いと判断することができる。
【0127】
マップマッチングが施されているか否かは、
図3に示すプローブ情報に設けられたマップマッチングフラグにより判断してもよい。例えば、プローブ情報収集装置1は、マップマッチングを行ったプローブ情報については、マップマッチングフラグを立ててもよい(マップマッチングフラグに1をセットしてもよい)。ただし、事業者との事前の契約などにより、プローブ情報収集装置1から提供されるプローブ情報のすべてが、マップマッチングされている、またはマップマッチングされていないことが予め分かっている場合には、プローブ情報にマップマッチングフラグを設ける必要はない。
【0128】
情報生成装置2は、マップマッチング済みプローブ情報の割合とプローブ情報群の価値との関係を予め定めたデータテーブルを参照して、プローブ情報収集装置1から取得したプローブ情報群のうちマップマッチング済みプローブ情報が占める割合から、プローブ情報群の価値を求めてもよい。データテーブルが定める関係は、当該割合が大きいほど当該価値が高くなるような関係である。
【0129】
(7)プローブ情報群のうち専用端末で取得されたプローブ情報が占める割合
カーナビゲーションシステムなどの専用端末で取得されたプローブ情報は、必ず車両5の移動軌跡を示している。しかし、スマートフォンなどの汎用端末で取得されたプローブ情報は、車両5の移動軌跡を示す場合もあるし、歩行者の移動軌跡を示す場合もある。このため、専用端末で取得されたプローブ情報の方が信頼性が高く、情報生成装置2にとって価値が高い。価値評価部24は、
図3に示すプローブ情報の端末種別情報から、プローブ情報群のうち専用端末で取得されたプローブ情報が占める割合を算出する。価値評価部24は、専用端末で取得されたプローブ情報の割合とプローブ情報群の価値との関係であって、当該割合が大きいほど当該価値が高くなるような関係を予め定めたデータテーブルを参照して、算出した上記プローブ情報の割合から、プローブ情報群の価値を求めてもよい。なお、端末種別情報の例として、車載ナビゲーションシステム、GPSロガー、携帯電話、スマートフォン、タブレットなどが挙げられる。このうち、車載ナビゲーションシステムが専用端末であり、GPSロガー、携帯電話、スマートフォン、タブレットが汎用端末である。また、事業者との事前の契約などにより、プローブ情報収集装置1から提供されるプローブ情報のすべてが専用端末で取得されたプローブ情報であることが予め分かっている場合には、プローブ情報に端末種別情報を設ける必要はない。
【0130】
(8)プローブ情報群に含まれるプローブ情報に含まれる情報の種類
図3に一例を示したようにプローブ情報には様々な情報が含まれる。プローブ情報に含まれる情報の種類が多いほど、生成可能な交通情報の数を増やすことができたり、交通情報の精度を向上させたりすることができる。このため、価値評価部24は、プローブ情報群に含まれるプローブ情報に含まれる情報の種類の数の平均を算出する。価値評価部24は、情報の種類の数とプローブ情報群の価値との関係であって、情報の種類の数が大きいほど価値が高くなるような関係を予め定めたデータテーブルを参照して、算出した種類の数の平均から、プローブ情報群の価値を求めてもよい。なお、価値のある情報ほど大きな重みを付けて、重みを足し合わせることで情報の種類の数を計算してもよい。
【0131】
(9)プローブ情報群のうち歩行者について検出されたプローブ情報の占める割合
汎用端末で取得されたプローブ情報は、歩行者について検出されたプローブ情報の場合もあり、歩行者のプローブ情報は交通情報の生成にとってはノイズである。このため、プローブ情報群のうち歩行者について検出されプローブ情報が占める割合が少ないほど、プローブ情報群の価値が高いと言える。例えば、価値評価部24は、プローブ情報群が示す移動軌跡から、移動軌跡ごとに移動体の平均移動速度を算出し、平均移動速度が所定の閾値以下の移動軌跡を構成するプローブ情報を、歩行者について検出されたプローブ情報であると判定する。価値評価部24は、歩行者について検出されたプローブ情報の割合とプローブ情報群の価値との関係であって、当該割合が小さいほど価値が高い関係を予め定めたデータテーブルを参照して、プローブ情報群のうち歩行者について検出されたプローブ情報が占める割合から、プローブ情報群の価値を求める。なお、事業者との事前の契約などにより、プローブ情報収集装置1から提供されるプローブ情報のすべてが専用端末で取得されたプローブ情報であることが予め分かっている場合には、プローブ情報に端末種別情報を設ける必要はない。その場合には、歩行者について検出されるプローブ情報の数は0である。
【0132】
(10)所定の道路の位置の位置情報を含むプローブ情報の有無
道路によっては、プローブ情報が収集されにくい道路もある。これは、交通量が少ない道路の他、プローブ情報収集装置1が契約している車両5が特定の地域に偏在し、すべての地域をカバーできていない場合などに生じ得る。しかし、このようにプローブ情報が収集されにくい道路であっても、サービス向上の観点からは交通情報を生成することが望ましい。このため、交通量の少ない道路などのように所定の道路の位置の位置情報を含むプローブ情報(以下、「所定道路走行時プローブ情報」という)は価値が高いと言える。例えば、所定道路走行時プローブ情報を含むプローブ情報群の価値と、所定道路走行時プローブ情報を含まないプローブ情報群の価値とが予め定められているものとする。また、これらの価値を示す情報がデータテーブルに記憶されているものとする。価値評価部24は、プローブ情報群に所定道路走行時プローブ情報が含まれるか否かを判断し、当該データテーブルを参照することにより、プローブ情報群の価値を求める。
【0133】
(11)渋滞区間を移動する車両から得られるプローブ情報の有無
車両5が渋滞区間を移動している場合には、当該車両5のプローブ情報から渋滞区間情報を生成することができる。このようなプローブ情報は、交通情報の生成のために有益であり、価値が高い。例えば、渋滞区間を移動する車両5から得られるプローブ情報を含むプローブ情報群の価値と、当該プローブ情報を含まないプローブ情報群の価値とを予め定めたデータテーブルが用意されているものとする。価値評価部24は、プローブ情報群が示す移動軌跡において走行速度が所定の速度閾値以下の区間が含まれていれば、当該プローブ情報群に渋滞区間を移動する車両5から得られるプローブ情報が含まれていると判断し、上述のデータテーブルからプローブ情報群の価値を求める。
【0134】
(12)プローブ情報群に基づいて情報生成部26が生成した提供情報としての交通情報の精度
【0135】
プローブ情報群に基づいて情報生成部26が生成した交通情報の精度が高い場合には、プローブ情報群の価値が高い。このような精度を求めるために、例えば、価値評価部24は、プローブ情報群に基づいて情報生成部26が生成した交通情報と、高精度な交通情報を提供している外部装置より取得した交通情報との相関係数を算出し、算出した相関係数を精度として求める。
図8は、情報生成装置2が生成した交通情報としての旅行時間情報と、外部装置が生成した交通情報としての旅行時間情報との散布図である。横軸は情報生成装置2が生成した旅行時間を示し、縦軸は外部装置が生成した旅行時間を示す。2つの旅行時間の相関係数が1に近ければ、両者は類似し、プローブ情報群の精度が高く、価値が高いと判断する。つまり、価値評価部24は、相関係数とプローブ情報群の価値との関係であって、相関係数が大きいほど価値が高くなるような関係を予め定めたデータテーブルを参照して、算出した相関係数からプローブ情報群の価値を求める。なお、価値評価部24は、外部装置が生成した交通情報を、通信I/F部21を介して取得するものとする。また、
図6のフローチャートでは、プローブ情報群の価値を評価した後に、交通情報を生成することとしているが、(12)に示す価値評価を行う場合には、プローブ情報群の評価に先だって、交通情報を生成してもよい。
【0136】
なお、事業者間で交通情報を比較することにより交通情報の精度を求め、プローブ情報群の価値評価を行ってもよい。例えば、A、B、C、DおよびEという5つの事業者のプローブ情報収集装置1からプローブ情報の提供を受けるものとする。この場合、情報生成部26は、事業者ごとに、当該事業者のプローブ情報収集装置1から提供されたプローブ情報を用いて旅行時間情報を算出する。価値評価部24は、事業者間で旅行時間情報の傾向を比較する。例えば、同一道路区間における旅行時間の推移を比較する。その結果、事業者A~Dの旅行時間情報は同じような傾向を示すものの、事業者Eだけが他とは異なる傾向を示す場合には、事業者Eのプローブ情報群の価値を、他の事業者A~Eのプローブ情報群の価値よりも低くしてもよい。
【0137】
なお、事業者によっては、プローブ情報は提供せずに、旅行時間情報などの交通情報を提供する場合もある。このような場合には、価値評価部24は、提供を受けた交通情報と、他の事業者から提供を受けたプローブ情報群に基づいて、情報生成部24が事業者ごとに生成した交通情報と比較してもよい。提供を受けた交通情報が、生成した複数の交通情報と傾向が異なる場合には、交通情報のみを提供する事業者の評価を下げ、提供情報の質を下げたり、提供する対価情報が示す対価の額を下げたりしてもよい。
【0138】
(13)プローブ情報群が示す移動軌跡の起点および終点間の距離
プローブ情報群は複数の移動軌跡を示すが、プローブ情報群に距離の短い移動軌跡ばかりが含まれている場合には、旅行時間を正確に算出することが困難であり、プローブ情報群の価値が低い。このため、価値評価部24は、プローブ情報群が示す複数の移動軌跡の起点および終点間の距離の平均を算出する。価値評価部24は、距離とプローブ情報群の価値との関係であって、距離が大きいほど価値が高くなるような関係を予め定めたデータテーブルを参照して、算出した距離の平均から、プローブ情報群の価値を求める。
【0139】
(14)プローブ情報群が示すプローブ情報の位置精度
プローブ情報群が示すプローブ情報の位置精度が高いほど、高精度な交通情報を生成することができる。このため、高い位置精度のプローブ情報を含むプローブ情報群ほど価値が高い。
図9は、プローブ情報の位置精度について説明するための図である。
図9(a)は、相対的に位置精度が高いプローブ情報のプローブ位置31と道路32との位置関係を示す図である。
図9(b)は、
図9(a)に示したプローブ位置31の誤差の発生確率を示すグラフであり、横軸が誤差を示し、縦軸が誤差の発生確率を示す。誤差は、
図9(a)に示す破線の距離であり、プローブ位置31と道路32との間の距離である。
図9(c)は、相対的に位置精度が低いプローブ情報のプローブ位置31と道路32との位置関係を示す図である。
図9(d)は、
図9(c)に示したプローブ位置31の誤差の発生確率を示すグラフであり、横軸が誤差を示し、縦軸が誤差の発生確率を示す。誤差は、
図9(c)に示す破線の距離であり、プローブ位置31と道路32との間の距離である。
【0140】
価値評価部24は、プローブ情報群に含まれるプローブ情報の誤差の平均を算出する。価値評価部24は、誤差が小さいほど価値が高くなるような誤差とプローブ情報群の価値との関係を予め定めたデータテーブルを参照して、算出した誤差の平均からプローブ情報群の価値を求める。
【0141】
(15)プローブ情報群が示す車両の位置に係る道路の種別
車両5が走行する道路の種別が高速道路であるのか一般道路であるのかに応じてプローブ情報の価値を変更してもよい。例えば、情報生成装置2が一般道路を中心に交通情報を提供している場合には、一般道路を走行する車両5から収集されたプローブ情報を多く含むプローブ情報群ほど価値を高く評価してもよい。車両5が走行する道路の種別は、プローブ情報に含まれる位置情報と種別ごとの道路の位置を示す道路情報(図示せず)とを照合することにより行ってもよい。価値評価部24は、プローブ情報群のうち一般道路走行時に収集されたプローブ情報の占める割合を算出する。価値評価部24は、一般道路の割合とプローブ情報群の価値との関係であって、一般道路の割合が大きいほど価値が高くなるような関係を予め定めたデータテーブルを参照して、上記算出した割合から、プローブ情報群の価値を求める。
【0142】
逆に、情報生成装置2が高速道路を中心に交通情報を提供している場合には、高速道路を走行する車両5から収集されたプローブ情報を多く含むプローブ情報群ほど価値を高く評価してもよい。この場合、価値評価部24は、プローブ情報群のうち高速道路走行時に収集されたプローブ情報の占める割合を算出し、高速道路の割合が大きいほど価値が高くなるような関係を予め定めたデータテーブルを参照して、上記算出した割合から、プローブ情報群の価値を求める。
【0143】
(16)プローブ情報群のうち停車車両のプローブ情報が占める割合
車両5は、荷物の積み下ろし、休憩、学校などの教育機関や駅前などでの送迎待ち、駐車場の入庫待ちなどのために停車する場合もある。車両5が停車している間であっても、その間に当該車両5からプローブ情報が収集される。しかし、このような停車車両から収集したプローブ情報は、旅行時間情報や渋滞区間情報などの交通情報の生成の役には立たない。このため、プローブ情報群のうち停車車両のプローブ情報が占める割合が少ないほど、プローブ情報群の価値が高いと言える。例えば、価値評価部24は、プローブ情報群から、所定時間以上の間、位置情報が変化していないことを示すプローブ情報を、停車車両のプローブ情報として検出する。価値評価部24は、プローブ情報群が示す総走行時間のうち、停車車両のプローブ情報が示す停車時間の割合を算出する。価値評価部24は、停車時間の割合とプローブ情報群の価値との関係であって、当該割合が小さいほど価値が高い関係を予め定めたデータテーブルを参照して、停車時間の割合から、プローブ情報群の価値を求める。
【0144】
なお、価値評価部24は、プローブ情報群に含まれるプローブ情報の総数に対する停車車両のプローブ情報の数の割合を計算し、当該割合が小さいほどプローブ情報群の価値がより高いと判断してもよい。
【0145】
逆に、プローブ情報群が示す総走行時間のうち、停車車両のプローブ情報が示す停車時間の割合、またはプローブ情報の総数に対する停車車両のプローブ情報の数の割合が大きいほど、プローブ情報群の価値が高いと判断してもよい。例えば、駐車場の入庫待ちが生じているエリアでは上記割合が大きくなるが、このようなエリアを積極的に発見し、駐車場のマーケティングに役立てたいという要望に対しては、このような判断が有効である。このように、プローブ情報の利用目的等に応じて、プローブ情報群の価値評価指標を変更してもよい。なお、(1)~(15)に示した項目についても同様に価値評価指標を変更してもよい。
【0146】
以上説明した(1)~(16)の項目を組み合わせてプローブ情報群の価値を求めてもよい。例えば、(1)に示した車両の総走行距離から価値を求め、(2)に示したプローブ情報の総数から価値を求め、それらを足し合わせたものをプローブ情報群の価値としてもよい。
【0147】
[7.実施の形態の効果等]
以上説明したように、本発明の実施の形態によると、情報生成装置2は、複数の事業者のプローブ情報収集装置1からプローブ情報群を取得し、取得したそれらのプローブ情報群から提供情報を生成している。この、提供情報は、旅行時間情報や渋滞区間情報などの交通情報、または事業者にとって有益な情報(例えば、商品やサービスの割引情報)である。情報生成装置2は、プローブ情報群を複数の事業者のプローブ情報収集装置1から取得しているため、1つの事業者だけではカバーしきれないエリアのプローブ情報などを取得することができる。また、事業者間で質の異なるプローブ情報群の中から、質の高いプローブ情報を選択して利用することもできる。このため、交通情報の生成のために必要なプローブ情報を効率的に取得することができる。
【0148】
また、情報生成装置2は、事業者のプローブ情報収集装置1ごとにプローブ情報群の価値を評価している。このため、プローブ情報群の価値に応じて、生成する提供情報の内容を変更したり、事業者に支払う対価を変更したりすることができる。よって、事業者に、より価値の高いプローブ情報を提供しようとするインセンティブが働き、その結果、事業者から交通情報の生成のために必要なプローブ情報を効率的に取得できるようになる。
【0149】
また、情報生成装置2は、プローブ情報群の価値を加味して提供情報を生成することができる。例えば、プローブ情報の位置精度が高く価値が高いプローブ情報の重みを、位置精度が低く価値が低いプローブ情報の重みよりも大きくした上で、複数の事業者から取得したプローブ情報を用いて旅行時間情報を生成する。その結果、精度の高い旅行時間情報などの交通情報を生成することができるようになる。
【0150】
また、情報生成装置2は、生成した提供情報をプローブ情報収集装置1に提供している。これにより、プローブ情報収集装置1の各事業者は、プローブ情報群の提供の対価として提供情報の提供を受けることができる。このため、事業者に、プローブ情報を提供しようとするインセンティブが働き、その結果、事業者から交通情報の生成のために必要なプローブ情報を効率的に取得できるようになる。
【0151】
また、情報生成装置2は、価値の高いプローブ情報群を提供した事業者に対して、より価値の高い提供情報を提供することができる。このため、事業者に、より価値の高いプローブ情報を提供しようとするインセンティブが働き、その結果、事業者から交通情報の生成のために必要なプローブ情報を効率的に取得できるようになる。
【0152】
また、情報生成装置2は、プローブ情報収集装置1以外の利用者装置3などにも提供情報を提供する。これにより、提供情報を、プローブ情報を提供する事業者以外の利用に供することができる。
【0153】
また、情報生成装置2は、プローブ情報収集装置1または利用者装置3が支払う対価に応じて、提供内容を変更することもできる。これにより、より高い対価を支払う事業者またはユーザほど、より高品質な提供情報の提供を受けることができる。
【0154】
また、情報生成装置2の価値評価部24は、上述した(1)~(16)のうちの少なくとも1つに基づいて、プローブ情報群の価値をプローブ情報収集装置1ごとに評価している。これにより、交通情報の生成に役立つプローブ情報群ほど価値が高いと評価することができる。このため、プローブ情報群を収集する事業者を適切に評価することができ、高い価値のプローブ情報群を提供する事業者に対して、質の高い提供情報を提供することができる。よって、事業者に、より価値の高いプローブ情報を提供しようとするインセンティブが働き、その結果、事業者から交通情報の生成のために必要なプローブ情報を効率的に取得できるようになる。
【0155】
また、プローブ情報収集装置1は、情報生成装置2に提供したプローブ情報群の価値が高いほど、より質の高い提供情報を取得することができる。このため、プローブ情報収集装置1を運用する事業者に、より価値の高いプローブ情報を提供しようとするインセンティブが働く。その結果、プローブ情報収集装置1が、情報生成装置2に対して、交通情報の生成のために必要なプローブ情報を効率的に提供するようになる。
【0156】
[8.付記]
以上、本発明の実施の形態に係る交通情報提供システム100について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0157】
例えば、プローブ情報収集装置1または情報生成装置2は、それぞれ1台の装置により構成されるとして説明したが、各装置が複数台の装置から構成されており、プローブ情報収集装置1または情報生成装置2がそれぞれプローブ情報収集システムまたは情報生成システムとして構成されていてもよい。各システムを構成する各装置は、インターネットなどの広域ネットワークを介して相互に接続され、分散配置されていてもよい。
【0158】
また、プローブ情報群の価値評価処理(
図6のS23)についての上記(7)または(9)に示した価値判断項目において、事業者との事前の契約などにより、プローブ情報のすべてが専用端末で取得されたプローブ情報であることが予め分かっている場合には、プローブ情報に端末種別情報を設ける必要が無いとした。契約以外であっても、例えば、GPS受信機、基地局情報、車速センサ、方位センサ、加速度センサまたは角速度センサなどが使われていることが予め分かっているのであれば、プローブ情報のすべてが専用端末で取得されたプローブ情報であると判断される。このため、このような場合には、プローブ情報に端末種別情報を設ける必要がない。
【0159】
また、上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムとして構成されてもよい。RAMまたはハードディスクドライブには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0160】
さらに、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0161】
また、本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、本発明は、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0162】
さらに、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号をコンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体、例えば、ハードディスクドライブ、CD-ROM、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの非一時的な記録媒体に記録されている上記デジタル信号であるとしてもよい。
【0163】
また、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0164】
また、上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記非一時的な記録媒体に記録して移送することにより、または上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0165】
また、上記プログラムに含まれる各ステップは、複数のコンピュータにより実行されてもよい。
【0166】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0167】
1 プローブ情報収集装置
1A プローブ情報収集装置
1B プローブ情報収集装置
1C プローブ情報収集装置
2 情報生成装置
3 利用者装置
4 プローブ利用装置
5 車両
5A 車両
5B 車両
5C 車両
11 通信I/F部
12 プローブ情報収集部
13 プローブ情報蓄積部
14 プローブ情報群提供部
15 対価情報提供部
16 情報取得部
17 提供情報蓄積部
18 対価情報蓄積部
19 情報提供部
21 通信I/F部
22 プローブ情報群取得部
23 プローブ情報蓄積部
24 価値評価部
25 対価情報取得部
26 情報生成部
27 情報提供部
31 プローブ位置
32 道路
100 交通情報提供システム