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  • 特開-布団篭の本体パネル及び布団篭 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174138
(43)【公開日】2024-12-13
(54)【発明の名称】布団篭の本体パネル及び布団篭
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/08 20060101AFI20241206BHJP
   E02D 17/20 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
E02B3/08 301
E02D17/20 103G
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024172398
(22)【出願日】2024-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】390019323
【氏名又は名称】小岩金網株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】坂本 茂
(57)【要約】
【課題】上下に積み重ねて小さな空間で保管できる本体パネルと整った立方体形状を確保可能な布団篭を提供する。
【解決手段】本発明の布団篭の本体パネル10は、幅方向に延在する底面線11aと、底面線11aの両端部から上方に延在する2本の立面線11bと、からなる枠線材11と、複数の枠線材11を長手方向に連結する複数の連結線材12と、を備え、底面線11aと立面線11bの接続角が90度であり、かつ底面線11aの中央が上方に隆起するように湾曲した形状、又は上方に突起するように屈折した形状を呈することにより、2枚の立面部10bを上方に開いた形状に構成したことを特徴とする。本発明の布団篭1は、複数の本体パネル10と、複数の端部パネル20と、複数の連結材40と、複数の補強材50と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に延在する底面線と、前記底面線の両端部から上方に延在する2本の立面線と、からなる枠線材と、
複数の前記枠線材を長手方向に連結する複数の連結線材と、を備え、
複数の前記底面線と、複数の前記連結線材と、によって、底面部を構成し、
複数の前記立面線と、複数の前記連結線材と、によって対向する2枚の立面部を構成した布団篭の本体パネルであって、
前記底面線と前記立面線の接続角が90度であり、かつ前記底面線の中央が上方に隆起するように湾曲した形状を呈することにより、前記2枚の立面部を上方に開いた形状に構成したことを特徴とする、
布団篭の本体パネル。
【請求項2】
幅方向に延在する底面線と、前記底面線の両端部から上方に延在する2本の立面線と、からなる枠線材と、
複数の前記枠線材を長手方向に連結する複数の連結線材と、を備え、
複数の前記底面線と、複数の前記連結線材と、によって、底面部を構成し、
複数の前記立面線と、複数の前記連結線材と、によって対向する2枚の立面部を構成した布団篭の本体パネルであって、
前記底面線と前記立面線の接続角が90度であり、かつ前記底面線の中央が上方に突起するように屈折した形状を呈することにより、前記2枚の立面部を上方に開いた形状に構成したことを特徴とする、
布団篭の本体パネル。
【請求項3】
前記底面部の幅方向中央に、隣り合う前記連結線材の間隔が、他の部分の間隔より広い目開き部を設けたことを特徴とする、
請求項1又は2に記載の布団篭の本体パネル。
【請求項4】
長手方向に沿って配置した請求項1又は2に記載の複数の本体パネルと、
長手方向端部の前記本体パネルの立面部間を塞ぐ複数の端部パネルと、
長手方向に連続する2つの前記本体パネル及び前記本体パネルと前記端部パネルを連結する複数の連結材と、
対向する2枚の前記立面部、又は前記底面部と前記立面部を拘束する複数の補強材と、を備えることを特徴とする、
布団篭。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布団篭の本体パネル及び布団篭に関し、特に上下に積み重ねて小さな空間で保管できる本体パネルと、整った立方体形状を確保可能な布団篭に関する。
【背景技術】
【0002】
布団篭にかかる従来技術として、前面、底面、及び背面(以下、本発明では前面と背面を併せて「立面」という)からなる断面倒コの字形状の本体パネルと、本体パネルの両端部を塞ぐ端部パネルと、蓋パネルと、を組み立ててなる布団篭が知られている。
布団篭は、内部に中詰材を充填し、斜面に沿って階段状に積み上げ、下段の布団篭の上面の線材と、上段の布団篭の立面下部の線材に連結コイルを螺入して連結し、一体の土木構造物を構築する。
特許文献1には、溶接金網を折り曲げて底面と2枚の立面を一体に構成した金網パネルであって、立面を構成する金網の最上部に、縦方向の鉄線よりも太い横方向の鉄線を配置し、最上部の横方向鉄線を、補強部材を介して底面の金網と連結する金網パネルが開示されている。この金網パネルは、立面と底面がなす角を約100°に構成し、布団篭の組立時には立面をステーで内側に引き寄せて垂直に補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-55434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の金網パネルには以下の問題点がある。
<1>鈍角に開いた立面をステーの交点で内側に引き寄せる構成であるため、内部に中詰材を充填すると、中詰材の圧力により交点以外の部分が外側にはらみ出し、出来形が著しく悪化する。
<2>底面隅部が鈍角に固定されているため、立面にステーをかける際、立面の線材を手で掴んで内側に引き寄せる必要がある。このため、作業員の肉体的負担が大きい。
<3>底面隅部が鈍角に固定されているため、立面をステーで内側に引き寄せると、底面の中央が下方に膨らみ、立面の下部が上に反り返る(図6)。このため、底面と地盤との間に隙間が生じて、構造上不安定となる。
<4>立面下部が上に反り返っているため、布団篭を段積みする場合、下段の布団篭に取付けた連結コイルが、上段の金網パネルの立面下部に届かず、上下に連結できないおそれがある。
【0005】
本発明は、以上の問題点を解決するための布団篭の本体パネル及び布団篭を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の布団篭の本体パネルは、幅方向に延在する底面線と、底面線の両端部から上方に延在する2本の立面線と、からなる枠線材と、複数の枠線材を長手方向に連結する複数の連結線材と、を備え、複数の底面線と、複数の連結線材と、によって、底面部を構成し、複数の立面線と、複数の連結線材と、によって対向する2枚の立面部を構成した布団篭の本体パネルであって、底面線と立面線の接続角が90度であり、かつ底面線の中央が上方に隆起するように湾曲した形状を呈することにより、2枚の立面部を上方に開いた形状に構成したことを特徴とする。
【0007】
本発明の布団篭の本体パネルは、幅方向に延在する底面線と、底面線の両端部から上方に延在する2本の立面線と、からなる枠線材と、複数の枠線材を長手方向に連結する複数の連結線材と、を備え、複数の底面線と、複数の連結線材と、によって、底面部を構成し、複数の立面線と、複数の連結線材と、によって対向する2枚の立面部を構成した布団篭の本体パネルであって、底面線と立面線の接続角が90度であり、かつ底面線の中央が上方に突起するように屈折した形状を呈することにより、2枚の立面部を上方に開いた形状に構成したことを特徴とする。
【0008】
本発明の布団篭の本体パネルは、底面部の幅方向中央に、隣り合う連結線材の間隔が、他の部分の間隔より広い目開き部を設けてもよい。
【0009】
本発明の布団篭は、長手方向に沿って配置した複数の本体パネルと、長手方向端部の本体パネルの立面部間を塞ぐ端部パネルと、長手方向に連続する2つの本体パネル及び本体パネルと端部パネルを連結する複数の連結材と、対向する2枚の立面部、又は底面部と立面部を拘束する複数の補強材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の布団篭の本体パネル及び布団篭は、以上の構成を備えるため、次の効果のうち少なくとも一つを備える。
<1>2枚の立面部が上方に開いた形状を呈するため、本体パネルを上下に積み重ねて小さな空間で保管・搬送できる(図5)。
<2>中詰材を充填すると、中詰材の荷重で底面部が下方に押し込まれ、2枚の立面部が垂直に起き上がる。このため、立面部とステーの交点に中詰材の圧力が集中せず、立面部が平らな整った立方体形状を確保できる。
<3>底面部の中央を足で踏むことで、2枚の立面部を垂直に起こすことができる。このため、ステーの取付けが容易で作業効率が高い。
<4>底面隅部が90°に固定されているため、立面部を垂直に立てると底面部が水平になり、立面部の下方が浮き上がらない。このため、布団篭を積み上げた状態において重心が安定し、下段の布団篭とのコイル連結が容易となる。
<5>底面部の中央に目開き部を設ける場合、底面部の変形が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の本体パネルの説明図
図2】本発明の布団篭の説明図
図3】補強材の取付けの説明図
図4】実施例2の説明図
図5】本体パネルを積み重ねた状態の説明図
図6】従来技術の説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書等における「高さ」「幅」「長さ」「上」「下」等の方向性の用語は、本発明の布団篭の本体パネルを地盤に設置し、2枚の立面部を幅方向両側に向けて正面視した状態における各方向を表す。
【実施例0013】
<1>本体パネル
本発明の布団篭の本体パネル10は、布団篭1の構成部材である。
本体パネル10は、略コの字状に折り曲げた溶接金網によって、底面部10aと2枚の立面部10bを一体に構成してなる。詳細には、正面視略倒コの字形状の複数の枠線材11を、複数の連結線材12で長手方向に連結してなる。
本体パネル10は、底面部10aと立面部10bの接続角を90度に維持しつつ、底面部10aを上方に湾曲させることで、2枚の立面部10bを上方に開いた形状に構成した点に1つの特徴を有する。
なお、本発明の本体パネル10における、底面部10aが湾曲した形状、底面部10aが屈折した形状、及び2枚の立面部10bが上方に開いた形状とは、布団篭1の構成部材として供用する前の状態、すなわち、立面部10bを補強材50で拘束したり、内部に中詰材Aを充填する前の状態における形状を意味する。
【0014】
<2>枠線材
枠線材11は、本体パネル10の幅方向と高さ方向に延在する線材である。
枠線材11は、幅方向に延在する底面線11aと、底面線11aの両端部から上方に延在する2本の立面線11bと、からなる。
底面線11aと立面線11bは90度で接続し、底面線11aの中央は上方に隆起するように湾曲する。これによって、2本の立面線11bが、上方に開いた正面視略倒コの字形状を呈する。
【0015】
<3>連結線材
連結線材12は、本体パネル10の長さ方向に延在する線材である。
複数の連結線材12によって、複数の枠線材11を長手方向に連結することで、連結線材12と底面線11aで底面部10aを構成し、連結線材12と立面線11bで2枚の立面部10bを構成する。
本例では、底面部10aの幅方向中央に、連結線材12のピッチを他の部分より広くした目開き部10cを設ける。
【0016】
<4>目開き部
目開き部10cは、底面部10aの変形を容易にする部分である。
目開き部10cは、底面部10aの幅方向中央付近の連結線材12の本数を減らして、幅方向両側部付近より連結線材12のピッチを広くして構成する。ここで「幅方向中央付近」とは、例えば底面部10aの中心約1/3程度の範囲だが、約1/2程度、又は約1/4程度等であってもよい。
底面部10aの中央に目開き部10cを設けることで、後述する底面部10aの変形が容易になる。
ただし、目開き部10cは必須の構成要素ではなく、底面部10aに目開き部10cを設けず、連結線材12のピッチを均一としてもよい。
【0017】
<5>布団篭(図2
布団篭1は、複数の本体パネル10と、複数の端部パネル20と、複数の蓋パネル30と、複数の連結材40と、複数の補強材50と、を備える。なお、図2では便宜上、本体パネル10が1つだけの状態を表示している。
端部パネル20は、布団篭1の両端部を塞ぐ板状の部材である。蓋パネル30は、布団篭1の上部を塞ぐ板状の部材である。本例では、端部パネル20及び蓋パネル30として、矩形の溶接金網を採用する。
連結材40は、本体パネル10、端部パネル20、及び蓋パネル30を相互に連結する部材である。本例では、連結材40としてパネルの線材に巻き付ける鋼製のコイルを採用する。なお、連結材40はコイルに限らず、番線やクリップ等の他の公知の連結手段であってもよい。
【0018】
<5.1>補強材
補強材50は、対向する立面部10bを相互に拘束して中詰材Aの圧力に抵抗する部材である。
補強材50の長さは、垂直に立設した状態の2枚の立面部10b間の距離に対応する。
本例では、補強材50として、両端に立面部10bの線材に掛止するフックを設けた金属製のステーを採用する。なお、補強材50はフック付きのステーに限らず、フック付きの枠状体やワイヤロープ等であってもよい。
【0019】
<6>布団篭の組み立て
布団篭1は、例えば以下のように組み立てることができる。
長手方向に沿って複数の本体パネル10を配置し、本体パネル10の端部を連結材40で連結する。
長手方向端部の本体パネル10の立面部10b間を端部パネル20で塞ぎ、連結材40で連結する。
対向する2枚の立面部10bの間に補強材50を架け渡して接続する。なお、補強材50は底面部10aと立面部10bの間に斜めに架け渡してもよい。
なお、本体パネル10は底面部10aが湾曲し、立面部10bが上方に開いた形状であるため、端部の形状が端部パネル20の外形と一致しない。このため、端部パネル20付近の2枚の立面部10bを補強材50で相互に拘束することで、2枚の立面部10bを引き寄せて端部の形状を合わせる。
本体パネル10の内部に、砕石や割栗石等の中詰材Aを充填する。これによって、上方に湾曲した底面部10aが中詰材Aの荷重で水平に変形し、底面部10aと90°に連結した2枚の立面部10bが垂直に起き上がる。
本体パネル10の上部を蓋パネル30で覆い、連結材40で連結する。
【0020】
<7>補強材の取付け
補強材50の長さは、垂直な状態における2枚の立面部10b間の距離に対応するため、中詰材Aの荷重で立面部10bを垂直にする前の、上方に開いた状態では、立面部10bにかけた補強材50のフックが、対向する立面部10bの線材に届かない。
本例では、補強材50の取付け時、作業員が足で底面部10aの線材を踏んで体重をかける。すると、作業員の体重によって底面部10aの湾曲部が地面に押し付けられ、立面部10bが内向きに起き上がる。
この状態で立面部10bに補強材50のフックをかければ、立面部10bを手で掴み大きな力で引き寄せる必要なく、容易に立面部10bに補強材50を架け渡すことができる。
【実施例0021】
[底面部が屈折形状を備える例(図4)]
実施例1の本体パネル10は底面部10aが湾曲形状を呈する構造であったが、本例では底面部10aが上部に突起する屈折形状を呈する。
本例では、枠線材11の底面線11aを上方に突起するように屈折させ、かつ底面線11aと立面線11bの接続角を90度とする。
これによって、2枚の立面部10bが上方に開き、底面部10aの長手方向中央に連続した峰状の突起が形成される。
その他の構成は実施例1と同様である。
【符号の説明】
【0022】
1 布団篭
10 本体パネル
10a 底面部
10b 立面部
10c 目開き部
11 枠線材
11a 底面線
11b 立面線
12 連結線材
20 端部パネル
30 蓋パネル
40 連結材
50 補強材
A 中詰材
図1
図2
図3
図4
図5
図6