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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017415
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】変速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20240201BHJP
   F16H 57/021 20120101ALI20240201BHJP
【FI】
F16H57/04 J
F16H57/04 Q
F16H57/04 Z
F16H57/021
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120036
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】山中 駿平
【テーマコード(参考)】
3J063
【Fターム(参考)】
3J063AA02
3J063AB02
3J063AB22
3J063AC03
3J063BA01
3J063BA11
3J063CA01
3J063CB38
3J063CB43
3J063CD09
3J063CD42
3J063XA11
3J063XD03
3J063XD33
3J063XD44
3J063XD47
3J063XD62
3J063XD72
3J063XD73
3J063XE15
3J063XE18
3J063XF14
(57)【要約】
【課題】ギヤのオイルによる潤滑を効率的に行うことが可能な変速機を提供する。
【解決手段】変速機1は、第1回転軸21と、第1回転軸21に支持された第1ギヤ22と、第1回転軸21と隣接して配された第2回転軸31と、第2回転軸31に支持されると共に第1ギヤ22と噛合う第2ギヤ32と、第1回転軸21及び第2回転軸31を、ベアリング70を介して回転可能に支持する支持部11bと、支持部11bから第1ギヤ22の下方に向けて突出形成されたリブ12と、ベアリング70に対して供給されたオイルをリブ12の上面側に向けて排出するオイル排出部40とを備える。変速機1において、リブ12は、第1ギヤ22における歯部22aの下方側において、歯部22aの少なくとも一部とラップする位置まで達するように突出形成されており、オイル排出部40から排出されたオイルの少なくとも一部を上面側で保持可能であることを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転軸と、
前記第1回転軸に支持された第1ギヤと、
前記第1回転軸と隣接して配された第2回転軸と、
前記第2回転軸に支持されると共に前記第1ギヤと噛合う第2ギヤと、
前記第1回転軸及び前記第2回転軸を、ベアリングを介して回転可能に支持する支持部と、
前記支持部から前記第1ギヤ及び前記第2ギヤのいずれか一方側のギヤの下方に向けて突出形成されたリブと、
前記ベアリングに対して供給されたオイルを前記リブの上面側に向けて排出するオイル排出部と、
を備え、
前記リブは、前記ギヤにおける歯部の下方側において、前記歯部の少なくとも一部とラップする位置まで達するように突出形成されており、前記オイル排出部から排出されたオイルの少なくとも一部を上面側で保持可能であること、を特徴とする変速機。
【請求項2】
前記リブと前記ギヤとの間隔は、前記リブ上に前記オイルが保持された際に、前記オイルの液面が、前記ギヤの下端部よりも下方に位置するように設定されていることを、特徴とする請求項1に記載の変速機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の変速機が、当該変速機の少なくとも一部を覆うカバーを有しており、
前記リブは、前記カバーが前記変速機に装着される際に、前記カバーを所定の位置に案内可能であること、を特徴とする変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)や自動変速機(AT:Automatic Transmission)などの変速機が知られている(例えば、特許文献1)。上述した特許文献1に記載の変速機では、各種のギヤ機構が用いられている。前記ギヤ機構におけるギヤやベアリングは、摩耗を防止するために潤滑する必要がある。
【0003】
そのため、従来の変速機には、ベアリングの潤滑用オイルを供給するためのオイルポンプが設けられており、当該オイルポンプによってオイルが強制的にベアリングに供給されている。また、ベアリングに供給されたオイルの一部がギヤに供給されている。これにより、ベアリング及びギヤがオイルで潤滑されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-139592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の変速機は、プライマリ軸がベアリングにより回転可能に支持されており、前記ベアリングと隣接して入力軸ギヤが前記プライマリ軸に支持されている。また、オイルポンプによって供給されるオイルは、ベアリング側から入力軸ギヤに向けて供給されている。従って、オイルポンプによってベアリングに供給されたオイルは、オイルポンプから送出される勢いでベアリングを介して入力軸ギヤに供給されるものとされている。
【0006】
しかしながら、従来の変速機においては、オイルポンプによって供給されたオイルがベアリングに供給されるため、供給されたオイルをギヤまで到達させるためには、オイル供給量を増大させる必要があった。従って、従来の変速機においては、オイルポンプの仕事量の増大、かつ、ベアリング等の機械的ロスの増大により、燃費が悪化する問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、ギヤのオイルによる潤滑を効率的に行うことが可能な変速機を提供することを目的とする。また、本発明は、オイルポンプの仕事量の増大を抑制し、かつ、ベアリング等の機械的ロスを低減可能な変速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の変速機は、第1回転軸と、前記第1回転軸に支持された第1ギヤと、前記第1回転軸と隣接して配された第2回転軸と、前記第2回転軸に支持されると共に前記第1ギヤと噛合う第2ギヤと、前記第1回転軸及び前記第2回転軸を、ベアリングを介して回転可能に支持する支持部と、前記支持部から前記第1ギヤ及び前記第2ギヤのいずれか一方側のギヤの下方に向けて突出形成されたリブと、前記ベアリングに対して供給されたオイルを前記リブの上面側に向けて排出するオイル排出部と、を備え、前記リブは、前記ギヤにおける歯部の下方側において、前記歯部の少なくとも一部とラップする位置まで達するように突出形成されており、前記オイル排出部から排出されたオイルの少なくとも一部を上面側で保持可能であること、を特徴とするものである。
【0009】
上述した変速機は、リブが、前記ギヤにおける歯部の下方側において、前記歯部の少なくとも一部とラップする位置まで達するように突出形成されている。言い換えれば、上述した変速機は、リブが、前記ギヤにおける歯部の下方側において、前記歯部と所定の間隔を空けて形成されると共に、前記歯部の一部と重なる位置まで達するように突出形成されている。また、上述した変速機は、オイル排出部から排出されたオイルの少なくとも一部をリブの上面側で保持可能なものとされている。従って、上述した変速機では、オイル排出部から排出されたオイルの少なくとも一部がギヤの潤滑に供される。ここで、オイル排出部から排出されるオイルは、例えば、ベアリング潤滑用オイルポンプ(単にオイルポンプとも称する)によって供給されるものとされている。従って、上述した変速機は、オイルポンプの仕事量の増大を抑制し、かつ、ベアリング等の機械的ロスを低減できる。これにより、変速機を利用する車両等の燃費向上が期待できる。また、上述した変速機は、ベアリングへのオイルの供給量の増大を抑制できるので、ベアリングの機械的ロスを軽減できる。このように、上述した変速機は、ベアリング潤滑用のオイル等を有効的に活用して、効率的にギヤを潤滑できる。
【0010】
(2)上述した本発明の変速機は、前記リブが、前記ギヤの外周に沿って延びるように形成されていること、を特徴とするとよい。
【0011】
上述した変速機は、かかる構成とすることにより、ギヤの外周(特に歯部)にオイルを供給できる。そのため、上述した変速機は、ギヤの摩耗や損傷、あるいは発熱を効果的に抑制できる。
【0012】
(3)上述した本発明の変速機において、前記リブは、前記ギヤの噛合い部側に位置する一端側が、前記ギヤと噛合う相手側ギヤと干渉しない範囲で前記噛合い部に向けて延びるように形成されており、前記相手側ギヤに対して反対側に位置する他端側が、前記ギヤにおける軸心の下方よりも前記相手側ギヤから離間する方向にオフセットされた位置まで延びるように形成されていること、を特徴とするとよい。
【0013】
上述した変速機では、ギヤの噛合い部側に位置するリブの一端側が前記ギヤと噛合う相手側ギヤ(単に相手側ギヤとも称する)との噛合い部に向けて延びるように形成されているので、ギヤによって跳ね上がられたオイルが相手側ギヤに供給される。そのため、上述した変速機は、ギヤ及び相手側ギヤを効率良く潤滑できる。ここで、ギヤ及び相手側ギヤは、噛合い部において、上方側に向けて回転されるとよい。上述した変速機は、かかる構成とすることにより、ギヤで跳ね上げたオイルを効率的に相手側ギヤに供給できる。そのため、上述した変速機は、オイルによるギヤ及び相手側ギヤの潤滑をより効率的に行うことができる。また、上述した変速機は、相手側ギヤに対して反対側に位置する他端側が、ギヤにおける軸心の下方よりも相手側ギヤから離間する方向にオフセットされた位置まで延長されている。これにより、上述した変速機は、リブの上面側にオイルを確実に保持させることができる。すなわち、ギヤの円周方向に沿って、リブの他端側からオイルが流出することを抑制できるので、オイルが確実にリブの上面側に保持される。これにより、上述した変速機は、ギヤ及び相手側ギヤを確実に潤滑することができる。
【0014】
(4)上述した本発明の変速機において、前記リブと前記ギヤとの間隔は、前記リブ上に前記オイルが保持された際に、前記オイルの液面が、前記ギヤの下端部よりも下方に位置するように設定されていることを、を特徴とするとよい。
【0015】
上述した変速機は、かかる構成とすることにより、リブ上に保持されたオイルとギヤとが直接接触する面積を低減できる。これにより、上述した変速機は、オイルによるギヤの抵抗の増大を抑制しつつ、効率良くギヤ及び相手側ギヤを潤滑できる。また、変速機を利用する車両や装置の負荷を低減できるので、車両の燃費向上や、装置のエネルギー効率の向上が期待できる。
【0016】
(5)上述した本発明の変速機は、前記リブの突出端が、前記第1ギヤ及び前記第2ギヤの噛合い強度が高まる位置に亘って延びるように形成されていること、を特徴とするとよい。
【0017】
上述した変速機は、かかる構成とすることにより、第1ギヤ及び第2ギヤにおける一番負荷が掛かる位置(噛合い強度が高まる位置)にオイルを供給することができる。これにより、上述した変速機は、第1ギヤ及び第2ギヤを効率良く潤滑できる。従って、上述した変速機は、第1ギヤ及び第2ギヤの摩耗や損傷、あるいは発熱を効果的に抑制できる。
【0018】
(6)上述した本発明の変速機は、当該変速機の少なくとも一部を覆うカバーを有しており、前記リブは、前記カバーが前記変速機に装着される際に、前記カバーを所定の位置に案内可能であること、を特徴とするとよい。
【0019】
上述した変速機は、かかる構成とすることにより、カバーを所定の位置に容易に位置決めすることができる。そのため、上述した変速機は、リブにより、第1ギヤ及び第2ギヤの潤滑を適切に行いつつ、当該リブを利用してカバーの取り付けを正確かつ迅速に行うことができる。従って、上述した変速機によれば、カバーを所定の位置に案内する案内部材を別途に設ける必要がないので、コスト低減や取り付け精度の向上が期待できる。ここで、カバーは、変速機の少なくとも一部を覆うものであれば、各種のものを用いることができる。
【0020】
(7)上述した本発明の変速機は、前記第1回転軸又は前記第2回転軸のいずれか一方にトルクコンバータが接続されていること、を特徴とするとよい。
【0021】
上述した変速機は、かかる構成とすることにより、トルクコンバータを有する変速機に好ましく利用できる。そのため、変速機の自動化が期待できる。
【0022】
(8)上述した本発明の変速機は、無段変速機又は自動変速機で構成されていること、を特徴とするとよい。
【0023】
上述した変速機は、上述したような構成とすることにより、無段変速機(CVT)又は自動変速機(AT)に適した構成とすることができる。これにより、無段変速機や自動変速機におけるギヤをオイルにより効率的に潤滑することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ギヤのオイルによる潤滑を効率的に行うことが可能な変速機を提供することができる。また、本発明によれば、オイルポンプの仕事量の増大を抑制し、かつ、ベアリング等の機械的ロスを低減可能な変速機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る変速機の断面図である。
図2図1の要部拡大断面図である。
図3】本発明の変速機を構成するリブを突出端側から見た要部拡大図である。
図4図3のA-A方向矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係る変速ユニット1(変速機1とも称する)について、図1図4を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、変速機1が無段変速機10(CVT10とも称する)として構成されている場合を例として説明する。また、これらの図は模式図であって、必ずしも大きさを正確な比率で記したものではないことに留意されたい。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係る変速ユニット1(動力伝達装置)は、例えば、車両に搭載され、走行用の駆動源としてのエンジン2が発生する動力を変速させるユニットである。なお、本実施形態で例示する変速ユニット1が搭載される車両は、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)ベースの2輪駆動車である。なお、トランスファを設けることにより、4WD(four-wheel-drive:4輪駆動)車にも利用することができる。
【0028】
エンジン2は、たとえば、3気筒4ストロークエンジンであり、クランクシャフトが車体の前後方向に対して縦向きになる縦置きで搭載される。エンジン2の気筒数は、3気筒に限らず、4気筒以上であってもよいし、2気筒以下であってもよい。また、エンジン2のストローク数は、4ストロークに限らず、2ストロークであってもよい。
【0029】
変速ユニット1(動力伝達装置)は、ユニットケース11、トルクコンバータ50、及びCVT10(Continuously Variable Transmission:無段変速機)を有している。また、変速ユニット1には、前進クラッチ93、及び後進クラッチ94が設けられている。
【0030】
変速ユニット1は、収容体をなすユニットケース11内に、トルクコンバータ50、及びCVT10を収容した構成となっている。なお、ユニットケース11は、トルクコンバータ50、及びCVT10を収容するトランスミッションケース11a、及びトルクコンバータ50とCVT10とを隔てる隔壁11bを含んでいる。
【0031】
<トルクコンバータ>
トルクコンバータ50は、ユニットケース11内に収容されている。トルクコンバータ50は、図1及び図2に示すように、フロントカバー51、ポンプインペラ52、タービンハブ53、タービンランナ54、ロックアップ機構55、及びステータ56を備えている。
【0032】
フロントカバー51は、車両(車体)の前後方向に延びる入力軸21(第1回転軸21とも称する)を中心に略円板状に延び、その外周端部がエンジン2側と反対側(後述する無段変速機構30側)である後側に屈曲した形状をなしている。フロントカバー51の中心部は、前側に膨出している。この膨出した部分には、エンジン2のクランクシャフトが相対回転不能に結合される。
【0033】
ポンプインペラ52は、フロントカバー51の後側に配置されている。ポンプインペラ52の外周端部は、フロントカバー51の外周端部に接続され、回転軸線を中心にフロントカバー51と一体回転可能に設けられている。ポンプインペラ52の内面には、複数のブレード57が放射状に並べて配置されている。ポンプインペラ52は、入力軸21を中心に略円板状に延び、内周部分が後方側に膨出している。また、ポンプインペラ52は、入力軸21に沿って、後方側に円筒状に突出する後方突出部52aを有している。
【0034】
タービンハブ53は、フロントカバー51とポンプインペラ52との間に配置されている。
【0035】
タービンランナ54は、タービンハブ53に固定されている。タービンランナ54のポンプインペラ52との対向面には、複数のブレード58が放射状に並べて配置されている。
【0036】
ロックアップ機構55は、ロックアップピストン61、及びダンパ機構62を備えている。
【0037】
ロックアップピストン61は、略円環板状をなし、その内周端部がタービンハブ53に外嵌されて、フロントカバー51とタービンランナ54との間に位置している。ロックアップピストン61に対してタービンランナ54側の係合側油室63の油圧がフロントカバー51側の解放側油室64の油圧よりも高いと、その差圧により、ロックアップピストン61がフロントカバー51側に移動する。そして、ロックアップピストン61がフロントカバー51に押し付けられると、ポンプインペラ52とタービンランナ54とが直結(ロックアップオン)される。逆に、解放側油室64の油圧が係合側油室63の油圧よりも高いと、その差圧により、ロックアップピストン61がタービンランナ54側に移動する。ロックアップピストン61がフロントカバー51から離間した状態では、ポンプインペラ52とタービンランナ54との直結が解除(ロックアップオフ)される。
【0038】
ダンパ機構62は、ポンプインペラ52とタービンランナ54との直結時にエンジン2からの振動を減衰するための機構である。
【0039】
ステータ56は、ポンプインペラ52とタービンランナ54との間に配置されている。
【0040】
ロックアップオフの状態において、エンジントルクによりポンプインペラ52が回転すると、ポンプインペラ52からタービンランナ54に向かうオイルの流れが生じる。このオイルの流れがタービンランナ54のブレード58で受けられて、タービンランナ54が回転する。このとき、トルクコンバータ50の増幅作用が生じ、タービンランナ54には、エンジントルクよりも大きなトルクが発生する。
【0041】
<CVT>
以下では、まずCVT10の動力伝達に関する構成の詳細を説明した後、本発明の変速機1(変速ユニット1)を構成するリブ12及びオイル排出部40(図4参照)の詳細を説明する。
【0042】
CVT10は、図1に示すように、トランスミッションケース11a内に収容されている。トランスミッションケース11aは、トルクコンバータ50の後方側において、径方向に形成された隔壁11b(支持部11bとも称する)を有している。隔壁11bは、トルクコンバータ50と、CVT10とを、隔てるものとされている。
【0043】
CVT10は、入力軸21(第1回転軸21とも称する)、無段変速機構30、出力軸23、及びリバース伝達機構75を備えている。CVT10は、前記の他、リブ12及びオイル排出部40等を備えている。変速ユニット1は、CVT10の入力軸21が車両の前後方向に延びる縦向きとなる縦置きで配置されている。
【0044】
なお、以下の説明において、入力軸21の軸線が延びる方向を、単に「軸線方向X」と記載して説明する場合がある。
【0045】
また、以下の説明では、動力源となるエンジン2からの入力方向(軸線方向X)において、動力源(エンジン2)から見た手前(前方)を単に「前方Fr」と、奥側(後方)を単に「後方Rr」と記載して説明する場合がある。
【0046】
入力軸21は、中空軸として形成されており、軸線がトルクコンバータ50の回転軸線と一致するように配置されている。また、入力軸21には、入力軸ギヤ22(第1ギヤ22又はギヤ22とも称する)が一体に形成されている。入力軸21の前方Frの端部は、トルクコンバータ50内に挿入されており、タービンハブ53とスプライン嵌合している。これにより、トルクコンバータ50と入力軸21とが接続される。また、入力軸21は、ベアリング70,72を介して隔壁11bに回転可能に支持されている。
【0047】
入力軸21の軸心位置に形成された貫通孔には、ポンプ軸26が挿通されている。ポンプ軸26は、入力軸21の内周面と隙間を空けて挿通されている。ポンプ軸26の前端部は、トルクコンバータ50のフロントカバー51に達し、そのフロントカバー51の中心部に相対回転不能に接続されている。これにより、エンジン2の動力によりフロントカバー51が回転すると、フロントカバー51と一体にポンプ軸26及びポンプギヤ28が回転し、オイルポンプ27から油圧が発生する。
【0048】
ステータシャフト25は、円筒状に形成されており、ユニットケース11に圧入により支持されている。ステータシャフト25には、入力軸21が相対回転可能に挿通されている。また、ステータシャフト25の前端側における外周側には、ステータ56が支持されている。
【0049】
図4に示すように、ステータシャフト25の外周側には、ブッシュ45が嵌め込まれている。また、ブッシュ45は、ステータシャフト25との間に隙間(図示せず)を有しており、当該隙間を介してブッシュ45及びステータシャフト25の間が潤滑される。
【0050】
ブッシュ45は、例えば、金属、樹脂、ゴム等を素材として円筒状に形成されており、トルクコンバータ50における後方突出部52aの内周側に嵌め込まれている。従って、ブッシュ45は、トルクコンバータ50を支持するものとされている。言い換えると、トルクコンバータ50は、ブッシュ45を介してステータシャフト25に支持されている。
【0051】
図2に示すように、ベアリング70は、隔壁11bの後方Rr側に形成された円形状のベアリングホルダ73に嵌め込まれることにより外輪部分が支持されている。ベアリング70には、オイル供給路41を介してオイルポンプ27が接続されている。従って、ベアリング70には、オイルポンプ27を介して潤滑用のオイルが供給される。オイルポンプ27から送り出されたオイルは、オイル供給路41を通じてベアリング70に供給される。これにより、ベアリング70が潤滑される。図3に示すように、ベアリング70の後方Rr側には、後述するオイル排出部40が形成されている。また、ベアリング70の前方Fr側には、オイルシール71が設けられている。
【0052】
オイルシール71は、ゴム等を素材として環状に形成されており、後方突出部52aの外周に嵌め込まれている。また、オイルシール71は、隔壁11bから前方Fr側に向けて環状に突出形成された突出部11cによって挟持されている。これにより、オイルシール71は、ブッシュ45に供給されたオイルが、前方Fr側(トルクコンバータ50側)に流出することを抑制している。
【0053】
出力軸23は、図1に示すように、入力軸21に対して後方Rrに間隔を空けて配置されている。出力軸23は、軸線が入力軸21の軸線と沿うように配置されている。言い換えれば、入力軸21と出力軸23とは、軸線方向Xに間隔を空けて、車両の前後方向に沿った縦向きに延びる共通の軸線を有するように配置されている。出力軸23には、出力軸ギヤ24が一体に形成されている。出力軸ギヤ24は、後述するセカンダリ出力ギヤ35と噛み合っている。
【0054】
なお、出力軸ギヤ24は、はすば歯車となっている。そのため、出力軸ギヤ24がセカンダリ出力ギヤ35から回転動力を受けて回転すると、出力軸23には、軸線方向Xに沿って後方Rrに向けた力(スラスト方向の力)が作用する。
【0055】
無段変速機構30は、プライマリ軸31(第2回転軸31とも称する)、セカンダリ軸33、プライマリプーリ36、セカンダリプーリ39、及びベルト49を備えている。
【0056】
プライマリ軸31(第2回転軸31)は、軸線が入力軸21(第1回転軸21)の軸線と沿うように(平行に)配置されている。また、プライマリ軸31は、入力軸21に対して径方向に離間した位置に設けられている。プライマリ軸31には、プライマリ入力ギヤ32(第2ギヤ32又は相手側ギヤ32とも称する)が相対回転可能に取り付けられている。プライマリ入力ギヤ32(第2ギヤ32)は、入力軸ギヤ22(第1ギヤ22とも称する)と噛み合うことにより、噛合い部43(図2参照)を構成している。
【0057】
図1に示すように、セカンダリ軸33は、軸線が入力軸21の軸線と沿うように(平行に)配置されている。また、セカンダリ軸33は、入力軸21の軸心に対して径方向に離間した位置に設けられている。セカンダリ軸33には、セカンダリ入力ギヤ34、及びセカンダリ出力ギヤ35が取り付けられている。
【0058】
セカンダリ入力ギヤ34は、セカンダリ軸33の前方Fr側に設けられており、セカンダリ軸33に対して相対回転可能となっている。
【0059】
セカンダリ出力ギヤ35は、セカンダリ軸33の後方Rr側に設けられている。また、セカンダリ出力ギヤ35は、セカンダリ軸33に対して相対回転不能に取り付けられている。セカンダリ出力ギヤ35は、出力軸23に設けられた出力軸ギヤ24と噛み合っている。
【0060】
プライマリプーリ36は、プライマリ固定シーブ36a、及びプライマリ可動シーブ36bを備えている。プライマリ固定シーブ36aは、プライマリ軸31に固定されている。また、プライマリ可動シーブ36bは、プライマリ固定シーブ36aにベルト49を挟んで対向するよう配置されており、プライマリ軸31の軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持されている。プライマリ可動シーブ36bの前方Frには、シリンダ37が設けられている。また、プライマリ可動シーブ36bとシリンダ37との間には、油圧室(ピストン室)38が形成されている。
【0061】
セカンダリプーリ39は、セカンダリ固定シーブ39a、及びセカンダリ可動シーブ39bを備えている。セカンダリ固定シーブ39aは、セカンダリ軸33に固定されている。また、セカンダリ可動シーブ39bは、セカンダリ固定シーブ39aにベルト49を挟んで対向するよう配置されており、セカンダリ軸33の軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持されている。セカンダリ可動シーブ39bの後方Rrには、ピストン47が設けられている。また、セカンダリ可動シーブ39bとピストン47との間には、油圧室48が形成されている。
【0062】
ベルト49は、無端状に形成されている。ベルト49は、プライマリプーリ36及びセカンダリプーリ39に巻き掛けられている。より詳細に説明すると、ベルト49は、プライマリプーリ36側では、プライマリ固定シーブ36aとプライマリ可動シーブ36bとの間に挟まれた状態でプライマリプーリ36に巻き掛けられている。また、ベルト49は、セカンダリプーリ39側では、セカンダリ固定シーブ39aとセカンダリ可動シーブ39bとの間に挟まれた状態でセカンダリプーリ39に巻き掛けられている。
【0063】
無段変速機構30では、プライマリプーリ36及びセカンダリプーリ39の各油圧室38,48に供給される油圧が制御されて、プライマリプーリ36及びセカンダリプーリ39の各溝幅が変更されることにより、ベルト変速比(プライマリプーリ36とセカンダリプーリ39とのプーリ比)が一定の変速比範囲内で、連続的に無段階で変更される。
【0064】
リバース伝達機構75は、入力軸21の動力(回転)をセカンダリ入力ギヤ34に伝達する機構である。リバース伝達機構75は、リバースアイドラ軸76、第1リバースギヤ77、及び第2リバースギヤ78を備えている。第1リバースギヤ77は、リバースアイドラ軸76と一体に形成されて、入力軸ギヤ22と噛み合っている。第2リバースギヤ78は、第1リバースギヤ77の後方Rrにおいて、リバースアイドラ軸76と一体に形成され、セカンダリ入力ギヤ34と噛み合っている。詳細は省略するが、リバース伝達機構75は、車両を後退させる際の動力を伝達するものとされている。
【0065】
以上が変速ユニット1の構成であり、次に本発明の変速ユニット1(変速機1)におけるオイル排出部40及びリブ12等による第1ギヤ22及び第2ギヤ32の潤滑についての詳細を図3及び図4を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1ギヤ22(入力軸ギヤ22)を単にギヤ22とも称し、第1ギヤ22に噛み合う第2ギヤ32(プライマリ入力ギヤ32)を相手側ギヤ32とも称することがある。
【0066】
図4に示すように、オイル排出部40は、ベアリング70及びベアリングホルダ73の間に形成された隙間とされている。オイル排出部40は、オイル供給路41(図2参照)と連通している。また、オイル排出部40は、ベアリング70の外周に沿って、円環状に形成され、隔壁11bの後方Rrに向けて開口している。従って、オイル排出部40は、ベアリング70に供給されたオイルを排出することができる。ここで、オイル排出部40は、開口端が、第1ギヤ22と隣接して配されている。そのため、オイル排出部40から排出されたオイルは、第1ギヤ22に供給される。すなわち、ベアリング70に供給されたオイルの少なくとも一部が、第1ギヤ22に供給される。また、オイル排出部40の下方側には、後述するリブ12が形成されている。従って、オイル排出部40は、ベアリング70に対して供給されたオイルをリブ12の上面側に向けて排出することができる。
【0067】
リブ12は、隔壁11bから第1ギヤ22の下方に向けて突出形成されている。リブ12は、第1ギヤ22における歯部22aの下方側において、歯部22aの少なくとも一部とラップする位置まで達するように突出形成されている。言い換えれば、リブ12は、ギヤ22における歯部22aの下方側において、歯部22aと所定の間隔を空けて形成されると共に、歯部22aの一部と重なる位置まで達するように突出形成されている。リブ12は、オイル排出部40から排出されたオイルの少なくとも一部を上面側で保持することができる。これにより、上述した変速ユニット1は、オイル排出部40から排出されたオイルの少なくとも一部をギヤ22の潤滑に供することができる。
【0068】
ここで、オイル排出部40から排出されるオイルは、例えば、オイルポンプ27によって供給されるものとされている。従って、上述した変速ユニット1は、オイルポンプ27の仕事量の増大を抑制し、かつ、ベアリング70等の機械的ロスを低減できる。これにより、変速ユニット1を利用する車両等の燃費向上が期待できる。このように、上述した変速ユニット1は、ベアリング潤滑用のオイル等を有効的に活用して、効率的にギヤ22や相手側ギヤ32を潤滑できる。
【0069】
図3に示すように、本実施形態におけるリブ12は、ギヤ22の外周に沿って延びるように形成されている。従って、上述した変速ユニット1によれば、ギヤ22の外周(特に歯部22a)にオイルを供給することができる。そのため、上述した変速ユニット1は、ギヤ22の摩耗や損傷、あるいは発熱を効果的に抑制できる。
【0070】
また、本実施形態におけるリブ12は、ギヤ22の噛合い部43側に位置する一端側が、ギヤ22と噛合う相手側ギヤ32(第2ギヤ32)と干渉しない範囲で噛合い部43に向けて延びるように形成されている。また、リブ12は、相手側ギヤ32に対して反対側に位置する他端側が、ギヤ22における軸心の下方よりも相手側ギヤ32から離間する方向にオフセットされた位置まで延びるように形成されている。
【0071】
このように上述した変速ユニット1では、ギヤ22の噛合い部43側に位置するリブ12の一端側が相手側ギヤ32との噛合い部43に向けて延びるように形成されているので、ギヤ22によって跳ね上がられたオイルが相手側ギヤ32に供給される。そのため、上述した変速ユニット1は、ギヤ22及び相手側ギヤ32を効率良く潤滑できる。
【0072】
ここで、ギヤ22及び相手側ギヤ32は、噛合い部43において、上方側に向けて回転されるとよい。上述した変速ユニット1は、かかる構成とすることにより、ギヤ22で跳ね上げたオイルが相手側ギヤ32に供給される。そのため、上述した変速ユニット1は、オイルによるギヤ22及び相手側ギヤ32の潤滑をより効率的に行うことができる。また、上述した変速ユニット1は、相手側ギヤ32に対して反対側に位置する他端側が、ギヤ22における軸心の下方よりも相手側ギヤ32から離間する方向にオフセットされた位置まで延長されている。これにより、上述した変速ユニット1は、リブ12の上面側にオイルを確実に保持させることができる。すなわち、ギヤ22の円周方向に沿って、リブ12の他端側からオイルが流出することを抑制できるので、オイルが確実にリブ12の上面側に保持される。これにより、上述した変速ユニット1は、ギヤ22及び相手側ギヤ32を確実に潤滑することができる。なお、上述のオフセットさせる量は、オイルの特性等に応じて、適宜変更すればよい。
【0073】
また、本実施形態では、リブ12とギヤ22とが、所定の間隔を空けて配置されている。具体的には、リブ12とギヤ22との間隔が、リブ12上にオイルが保持された際に、オイルの液面が、ギヤ22の下端部よりも下方に位置するように設定されている。
【0074】
従って、上述した変速ユニット1は、リブ12上に保持されたオイルとギヤ22とが直接接触する面積を低減できる。これにより、上述した変速ユニット1は、オイルによるギヤ22の抵抗の増大を抑制しつつ、効率良くギヤ22及び相手側ギヤ32を潤滑できる。また、変速ユニット1を利用する車両や装置の負荷を低減できるので、車両の燃費向上や、装置のエネルギー効率の向上が期待できる。
【0075】
また、上述した変速ユニット1においては、リブ12の突出端(図4参照)が、ギヤ22及び相手側ギヤ32の噛合い強度が高まる位置に亘って延びるように形成されているとよい。かかる構成を採用することにより、上述した変速ユニット1は、ギヤ22及び相手側ギヤ32における一番負荷が掛かる位置(噛合い強度が高まる位置)にオイルを供給することができる。これにより、上述した変速ユニット1は、ギヤ22及び相手側ギヤ32を効率良く潤滑できる。従って、上述した変速ユニット1は、ギヤ22及び相手側ギヤ32の摩耗や損傷、あるいは発熱を効果的に抑制できる。
【0076】
また、上述した変速ユニット1においては、変速ユニット1の少なくとも一部を覆うカバー(例えば、トランスミッションケース11a等)が装着される際に、リブ12がカバーを所定の位置に案内可能であるとよい。かかる構成を採用することにより、上述した変速ユニット1は、カバーを所定の位置に容易に位置決めすることができる。そのため、上述した変速ユニット1は、リブ12により、ギヤ22及び相手側ギヤ32の潤滑を適切に行いつつ、リブ12を利用してカバーの取り付けを正確かつ迅速に行うことができる。従って、上述した変速ユニット1によれば、カバーを所定の位置に案内する案内部材を別途に設ける必要がないので、コスト低減や取り付け精度の向上が期待できる。ここで、カバーは、トランスミッションケース11aだけではなく、変速ユニット1の少なくとも一部を覆うものであれば、各種のものを用いることができる。
【0077】
以上が、本発明の変速ユニット1の実施形態の構成及び作用効果であるが、本発明の変速ユニット1は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変形を行うことができる。
【0078】
本実施形態では、第1回転軸21にトルクコンバータ50が接続されているが、第1回転軸21は、トルクコンバータ50に接続されているものだけではなく、各種のものに接続することができる。例えば、第1回転軸21が、デファレンシャルギヤ等の動力伝達機構に接続されるものであってもよい。また、第1回転軸21は、第2回転軸31と置換されていてもよい。また、本実施形態では、変速機1(変速ユニット1)がCVT10として構成されている場合を例示したが、本発明の変速機1は、CVT10だけではなく、各種の変速機に利用することができる。例えば、変速機1が、自動変速機(AT)や手動式の変速機として構成されていてもよい。また、本実施形態では、変速機1が、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)ベースの2輪駆動の車両に搭載される場合を例示したが、例えば、FRベースの4WD(four-wheel-drive:4輪駆動)車にも利用することができる。かかる場合は、トランスファを設けるとよい。また、変速機1は、横置き式エンジン車やFF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式の2輪駆動車等にも利用できる。また、本発明の変速機1は、各種の車両や装置等の動力駆動機構に利用することができる。
【0079】
本実施形態では、オイル供給路41を通じてベアリング70に供給されたオイルが、オイル排出部40から排出されるものとしたが、供給されるオイルは、オイル排出部40から排出されるものだけではなく、リブ12の上方側から供給できるものであれば、各部からのオイルを利用できる。例えば、リブ12上に供給されるオイルが、第1ギヤ22(ギヤ22)や第2ギヤ32(相手側ギヤ32)に直接的又は間接的に供給されるオイルであってもよい。また、オイル供給路41やオイル排出部40は、各種の大きさや形状のものが利用できる。また、オイル供給路41やオイル排出部40に流入するオイルは、オイルポンプ27などによって強制的に供給されるものだけではなく、例えば、各所でリークしたリークオイルであってもよい。
【0080】
また、第1回転軸21、第1ギヤ22、第2回転軸31、及び第2ギヤ32は、各種の形状や大きさのものが利用できる。本実施形態では、第1回転軸21が中空に形成されているが、これには限定されず、第1回転軸21には、各種の形態のもの(例えば、中空でないもの)を利用できる。また、隔壁11b(支持部11b)の形状や大きさも変速機1の形態に応じて、各種の形状や大きさに形成できる。
【0081】
本実施形態では、リブ12が、ギヤ22における歯部22aの下方側において、歯部22aの少なくとも一部とラップする位置まで達するように突出形成されているものを例示したが、これには限定されない。リブ12は、上面側でオイルを保持しつつ、ギヤ22や相手側ギヤ32の潤滑に供することが可能なものであれば、各種の形状や大きさに形成できる。例えば、リブ12は、ギヤ22の外周に沿って延びるように形成されているものだけではなく、リブ12の上面側にオイルを保持してギヤ22を潤滑できるものであれば各種のものが利用できる。
【0082】
また、本実施形態では、ギヤ22の噛合い部43側に位置するリブ12の一端側が、ギヤ22と噛合う相手側ギヤ32と干渉しない範囲で噛合い部43に向けて延びるように形成されているが、リブ12の一端側は、リブ12上にオイルを保持できる範囲で、適宜の位置となるように形成できる。また、本実施形態では、リブ12における他端側が、ギヤ22における軸心の下方よりも相手側ギヤ32から離間する方向にオフセットされた位置まで延びるように形成されているものを例示したが、オフセット量は、オイルの特性等に応じて適宜変更することができる。また、リブ12とギヤ22との間隔は、リブ12上にオイルが保持された際に、オイルの液面が、ギヤ22の下端部よりも下方に位置するように設定されていることが望ましいが、これには限定されず、リブ12とギヤ22との間隔は、各種の間隔に設定できる。例えば、リブ12とギヤ22とが接触していてもよい。また、本実施形態では、リブ12の突出端が、第1ギヤ22及び第2ギヤ32の噛合い強度が高まる位置に亘って延びるように形成されているものを例示したが、これには限定されず、第1ギヤ22及び第2ギヤ32の特性に応じて、リブ12の突出端の位置は、各種の位置に設定できる。
【0083】
また、本実施形態では、リブ12が、トランスミッションケース11a(カバー)を所定の位置に案内可能なものとして構成したが、これには限定されず、リブ12が、カバーの案内に利用されるものでなくてもよい。また、リブ12をカバーの案内ガイドとして利用する場合において、利用されるカバーは、各種の形状や大きさのものとすることができ、リブ12もこれに合わせて各種の形状や大きさに形成できる。
【0084】
以上が、本発明に係る変速ユニット1の実施形態や変形例であるが、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の変速機は、無段変速機(CVT)や自動変速(AT)等の各種の変速機に利用することができる。また、本発明の変速機は、自動車等の各種の車両や動力伝達機構等に利用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 :変速ユニット(変速機)
10 :無段変速機(CVT)
11b:隔壁(支持部)
12 :リブ
21 :入力軸(第1回転軸)
22 :入力軸ギヤ(第1ギヤ、ギヤ)
22a:歯部
31 :プライマリ軸(第2回転軸)
32 :プライマリ入力ギヤ(第2ギヤ、相手側ギヤ)
40 :オイル排出部
43 :噛合い部
50 :トルクコンバータ
70 :ベアリング
図1
図2
図3
図4