(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174164
(43)【公開日】2024-12-13
(54)【発明の名称】カセット
(51)【国際特許分類】
B41J 17/32 20060101AFI20241206BHJP
B41J 15/04 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
B41J17/32 A
B41J15/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024172837
(22)【出願日】2024-10-01
(62)【分割の表示】P 2023106134の分割
【原出願日】2019-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】村山 健太郎
(57)【要約】
【課題】インクリボンが設けられる空間を、上下方向に直交する直交方向に小さくすることができるカセットを提供する。
【解決手段】供給スプール270の少なくとも一部及び巻取スプール276の少なくとも一部は、印刷テープロール226と第1方向に重なっている。これにより、印刷テープロール226とインクリボン268および巻取スプール276とが、テープケース220とリボンケース221とに分かれて設けられているので、カセット210は、第1方向と直交する直交方向においてカセットの小型化ができる。
【選択図】
図35
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷媒体である印刷テープが巻回された印刷テープロールと、
前記印刷テープへの印刷に使用されるインクリボンが巻回され、回転可能な供給スプールと、
前記供給スプールから供給される前記インクリボンを巻き取るように回転可能な巻取スプールと、
を備え、
前記供給スプールおよび前記巻取スプールは、前記印刷テープロールに対し、前記供給スプールに巻回された前記インクリボンの幅方向である第1方向の一方側に位置し、
前記供給スプールの少なくとも一部及び前記巻取スプールの少なくとも一部は、前記印刷テープロールと前記第1方向に重なる
ことを特徴とするカセット。
【請求項2】
前記巻取スプールの回転中心は、前記印刷テープロールと前記第1方向に重なることを特徴とする請求項1に記載のカセット。
【請求項3】
前記供給スプールの回転中心は、前記印刷テープロールと前記第1方向に重なることを特徴とする請求項1又は2に記載のカセット。
【請求項4】
前記印刷テープロールは、回転可能な印刷テープスプールに前記印刷テープが巻回されてなり、
前記巻取スプールに巻き取られた前記インクリボンの少なくとも一部は、前記印刷テープスプールと前記第1方向に重なることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のカセット。
【請求項5】
前記巻取スプールの少なくとも一部は、前記印刷テープスプールと前記第1方向に重なることを特徴とする請求項4に記載のカセット。
【請求項6】
前記印刷テープロールは、回転可能な印刷テープスプールに前記印刷テープが巻回されてなり、
前記第1方向と直交する直交方向において、前記巻取スプールの回転中心と前記印刷テープスプールの回転中心との間の距離は、前記供給スプールの回転中心と前記印刷テープスプールの回転中心との間の距離よりも短いことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のカセット。
【請求項7】
前記第1方向と直交する第2方向、及び、前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向において、前記カセットの前記第2方向の中心且つ前記第3方向の中心である中心位置と前記印刷テープロールの回転中心との間の距離は、前記巻取スプールの回転中心と前記中心位置との間の距離及び前記供給スプールの回転中心と前記中心位置との間の距離の何れよりも小さいことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のカセット。
【請求項8】
前記第1方向と直交する第2方向における、前記印刷テープロール、前記巻取スプール及び前記供給スプールにより定義される凸包絡の寸法は、前記第2方向における前記カセットの寸法の半分の寸法よりも大きく、
前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向における前記凸包絡の寸法は、前記第3方向における前記カセットの寸法の半分の寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1から7の何れかに記載のカセット。
【請求項9】
前記印刷テープロールが収容されたテープケースと、
前記テープケースに対して前記第1方向の一方に位置し、前記供給スプールと前記巻取スプールとが収容されたリボンケースと、
を備え、
前記リボンケースは、
前記印刷テープロールから供給された前記印刷テープ及び前記供給スプールに巻回された前記インクリボンが、前記リボンケースから排出される排出口と、
前記排出口から排出された前記インクリボンが前記リボンケースに搬入される搬入口と、
を備え、
前記巻取スプールは、前記搬入口から搬入された前記インクリボンが巻回されることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載のカセット。
【請求項10】
前記搬入口と前記インクリボンが前記巻取スプールに巻回される位置との間に位置する前記インクリボンの一部は、前記印刷テープロールと前記第1方向に重なることを特徴とする請求項9に記載のカセット。
【請求項11】
前記リボンケースは、前記印刷テープに貼り合わされる貼合せテープが巻回された貼合せテープロールを備え、
前記貼合わせテープロールの少なくとも一部は、前記印刷テープロールと前記第1方向に重なることを特徴とする請求項9又は10に記載のカセット。
【請求項12】
前記印刷テープロールは、回転可能な印刷テープスプールに前記印刷テープが巻回されてなり、
前記貼合せテープロールの少なくとも一部は、前記印刷テープスプールと前記第1方向に重なることを特徴とする請求項11に記載のカセット。
【請求項13】
前記貼合せテープロールは、回転可能な貼合せテープスプールに前記貼合せテープが巻回されて構成され、
前記貼合せテープスプールの回転中心は、前記印刷テープロールと前記第1方向に重なることを特徴とする請求項11又は12に記載のカセット。
【請求項14】
前記印刷テープロールは、回転可能な印刷テープスプールに前記印刷テープが巻回されてなり、
前記貼合せテープスプールの少なくとも一部は、前記印刷テープスプールと前記第1方向に重なることを特徴とする請求項13に記載のカセット。
【請求項15】
被印刷媒体である印刷テープが巻回された印刷テープロールと、
前記印刷テープへの印刷に使用されるインクリボンが巻回され、回転可能な供給スプールと、
前記供給スプールから供給される前記インクリボンを巻き取るように回転可能な巻取スプールと、
前記供給スプールに巻回された前記インクリボンの幅方向である第1方向において、前記印刷テープロールに当接するスペーサフィルムと、
を備え、
前記供給スプールの少なくとも一部及び前記巻取スプールの少なくとも一部は、前記スペーサフィルムと前記第1方向に重なる
ことを特徴とするカセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に脱着可能に装着されるカセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷テープと、印刷テープに印刷を行うためのインクリボンとを備えたカセットが知られている。例えば特許文献1に記載のインクリボンカートリッジは、リボンカートリッジと印刷シートカートリッジとを備える。リボンカートリッジの中には、インクリボンロールと、インクリボンを巻き取るための巻取スプールとが収容される。印刷シートカートリッジの中には、印刷テープロールが収容される。印刷テープカートリッジの外周壁には、複数のセット爪が設けられる。複数のセット爪がリボンカートリッジと係合することで、印刷テープカートリッジは、リボンカートリッジの上方に重ね合わされて、リボンカートリッジと一体化される。リボンカートリッジには、プリンタのヘッドが挿入されるヘッド開口部が設けられる。印刷テープカートリッジのうち印刷テープロールに対してヘッド開口部とは反対の位置には、印刷テープが通過するテープ開口部が設けられる。印刷テープは、印刷テープロールから引き出された後、テープ開口部を介して印刷テープカートリッジの外に出される。その後、印刷テープは、印刷テープカートリッジの外周壁の周りを通ってヘッド開口部を通過する。ヘッド開口部では、印刷テープとインクリボンとが互いに重ね合されて、プリンタのヘッドによって印刷が行われる。印刷された印刷テープは、ヘッド開口部側のセット爪によって、印刷テープを排出するためのフィルムゲートへ案内される。印刷に用いられたインクリボンは、巻取スプールによって巻き取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記インクリボンカートリッジは、巻取スプールの軸線方向、すなわち上下方向において異なる位置にインクリボンと印刷テープロールとを設けることで、上下方向に直交する直交方向においてカートリッジを小型化する。しかし、カセットには、上下方向に直交する直交方向において更なる小型化が求められている。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、インクリボンの幅方向に直交する直交方向に小さくすることができるカセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の要旨とするところは、(a)被印刷媒体である印刷テープが巻回された印刷テープロールと、(b)前記印刷テープへの印刷に使用されるインクリボンが巻回され、回転可能な供給スプールと、前記供給スプールから供給される前記インクリボンを巻き取るように回転可能な巻取スプールと、を備え、(c)前記供給スプールおよび前記巻取スプールは、前記印刷テープロールに対し、前記供給スプールに巻回された前記インクリボンの幅方向である第1方向の一方側に位置し、(d)前記供給スプールの少なくとも一部及び前記巻取スプールの少なくとも一部は、前記印刷テープロールと前記第1方向に重なることにある。
【0007】
第2発明の要旨とするところは、前記巻取スプールの回転中心は、前記印刷テープロールと前記第1方向に重なることにある。
【0008】
第3発明の要旨とするところは、前記供給スプールの回転中心は、前記印刷テープロールと前記第1方向に重なることにある。
【0009】
第4発明の要旨とするところは、前記印刷テープロールは、回転可能な印刷テープスプールに前記印刷テープが巻回されてなり、前記巻取スプールに巻き取られた前記インクリボンの少なくとも一部は、前記印刷テープスプールと前記第1方向に重なることにある。
【0010】
第5発明の要旨とするところは、前記巻取スプールの少なくとも一部は、前記テープスプールと前記第1方向に重なることにある。
【0011】
第6発明の要旨とするところは、前記印刷テープロールは、回転可能な印刷テープスプールに前記印刷テープが巻回されてなり、前記第1方向と直交する直交方向において、前記巻取スプールの回転中心と前記印刷テープスプールの回転中心との間の距離は、前記供給スプールの回転中心と前記印刷テープスプールの回転中心との間の距離よりも短いことにある。
【0012】
第7発明の要旨とするところは、前記第1方向と直交する第2方向、及び、前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向において、前記カセットの前記第2方向の中心且つ前記第3方向の中心である中心位置と前記印刷テープロールの回転中心との間の距離は、前記巻取スプールの回転中心と前記中心位置との間の距離及び前記供給スプールの回転中心と前記中心位置との間の距離の何れよりも小さいことにある。
【0013】
第8発明の要旨とするところは、前記第1方向と直交する第2方向における、前記印刷テープロール、前記巻取スプール及び前記供給スプールにより定義される凸包絡の寸法は、前記第2方向における前記カセットの寸法の半分の寸法よりも大きく、前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向における前記凸包絡の寸法は、前記第3方向における前記カセットの寸法の半分の寸法よりも大きいことにある。
【0014】
第9発明の要旨とするところは、前記印刷テープロールが収容されたテープケースと、前記テープケースに対して前記第1方向の一方に位置し、前記供給スプールと前記巻取スプールとが収容されたリボンケースとを備え、前記リボンケースは、前記印刷テープロールから供給された前記印刷テープ及び前記供給スプールに巻回された前記インクリボンが、前記リボンケースから排出される排出口と、前記排出口から排出された前記インクリボンが前記リボンケースに搬入される搬入口と、を備え、前記巻取スプールは、前記搬入口から搬入された前記インクリボンが巻回されることにある。
【0015】
第10発明の要旨とするところは、前記搬入口と前記インクリボンが前記巻取スプールに巻回される位置との間に位置する前記インクリボンの一部は、前記印刷テープロールと前記第1方向に重なることにある。
【0016】
第11発明の要旨とするところは、前記リボンケースは、前記印刷テープに貼り合わされる貼合せテープが巻回された貼合せテープロールを備え、前記貼り合わせテープの少なくとも一部は、前記印刷テープロールと前記第1方向に重なることにある。
【0017】
第12発明の要旨とするところは、前記印刷テープロールは、回転可能な印刷テープスプールに前記印刷テープが巻回されてなり、前記貼合せテープロールの少なくとも一部は、前記印刷テープスプールと前記第1方向に重なることにある。
【0018】
第13発明の要旨とするところは、前記貼合せテープロールは、回転可能な貼合せテープスプールに前記貼合せテープが巻回されて構成され、前記貼合せテープスプールの回転中心は、前記印刷テープロールと前記第1方向に重なることにある。
【0019】
第14発明の要旨とするところは、前記印刷テープロールは、回転可能な印刷テープスプールに前記印刷テープが巻回されてなり、前記貼合せテープスプールの少なくとも一部は、前記印刷テープスプールと前記第1方向に重なることにある。
【0020】
第15発明の要旨とするところは、(a)被印刷媒体である印刷テープが巻回された印刷テープロールと、(b)前記印刷テープへの印刷に使用されるインクリボンが巻回され、回転可能な供給スプールと、(c)前記供給スプールから供給される前記インクリボンを巻き取るように回転可能な巻取スプールと、(d)前記供給スプールに巻回された前記インクリボンの幅方向である第1方向において、前記印刷テープロールに当接するスペーサフィルムとを備え、(e)前記供給スプールの少なくとも一部及び前記巻取スプールの少なくとも一部は、前記スペーサフィルムと前記第1方向に重なることにある。
【発明の効果】
【0021】
第1発明のカセットによれば、(a)被印刷媒体である印刷テープが巻回された印刷テープロールと、(b)前記印刷テープへの印刷に使用されるインクリボンが巻回され、回転可能な供給スプールと、前記供給スプールから供給される前記インクリボンを巻き取るように回転可能な巻取スプールと、を備え、(c)前記供給スプールおよび前記巻取スプールは、前記印刷テープロールに対し、前記供給スプールに巻回された前記インクリボンの幅方向である第1方向の一方側に位置し、(d)前記供給スプールの少なくとも一部及び前記巻取スプールの少なくとも一部は、前記印刷テープロールと前記第1方向に重なっている。これにより、印刷テープロールと供給スプールおよび巻取スプールとが、第1方向に分かれて設けられ、供給スプールの少なくとも一部及び巻取スプールの少なくとも一部が、印刷テープロールと第1方向に重なっているので、カセットは、第1方向と直交する直交方向においてカセットの小型化ができる。
【0022】
第2発明のカセットによれば、前記巻取スプールの回転中心は、前記印刷テープロールと前記第1方向に重なっている。これにより、カセットは、巻取スプールの回転中心が印刷テープロールと第1方向に重ならない場合よりも、第1方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0023】
第3発明のカセットによれば、前記供給スプールの回転中心は、前記印刷テープロールと前記第1方向に重なっている。これにより、カセットは、供給スプールの回転中心が印刷テープロールと第1方向に重ならない場合よりも、第1方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0024】
第4発明のカセットによれば、前記印刷テープロールは、回転可能な印刷テープスプールに前記被印刷テープが巻回されてなり、前記巻取スプールに巻き取られた前記インクリボンの少なくとも一部は、前記印刷テープスプールと前記第1方向に重なっている。これにより、カセットは、巻取スプールに巻き取られた前記インクリボンの少なくとも一部が、印刷テープスプールと前記第1方向において重ならない場合よりも、第1方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0025】
第5発明のカセットによれば、前記巻取スプールの少なくとも一部は、前記テープスプールと前記第1方向に重なっている。これにより、カセットは、巻取スプールの少なくとも一部が、前記印刷テープスプールと前記第1方向において重ならない場合よりも、第1方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0026】
第6発明のカセットによれば、前記印刷テープロールは、回転可能な印刷テープスプールに前記印刷テープが巻回されてなり、前記第1方向と直交する直交方向において、前記巻取スプールの回転中心と前記テープスプールの回転中心との間の距離は、前記供給スプールの回転中心と前記印刷テープスプールの回転中心との間の距離よりも短い。これにより、カセットは、巻取スプールの回転中心と前記印刷テープスプールの回転中心との間の距離は、前記供給スプールの回転中心と前記印刷テープスプールの回転中心との間の距離よりも長い場合よりも、第1方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0027】
第7発明のカセットによれば、前記第1方向と直交する第2方向、及び、前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向において、前記カセットの前記第2方向の中心且つ前記第3方向の中心である中心位置と前記印刷テープロールの回転中心との間の距離は、前記巻取スプールの回転中心と前記中心位置との間の距離及び前記供給スプールの回転中心と前記中心位置との間の距離の何れよりも小さい。中心位置と前記印刷テープロールの回転中心との間の距離が、前記巻取スプールの回転中心と前記中心位置との間の距離及び前記供給スプールの回転中心と前記中心位置との間の距離の何れよりも小さくない場合よりも、印刷テープロールと供給スプール及び巻取スプールとの重なりが大きく得られ、カセットは、第1方向と直交する直交方向において小型化が可能となる。
【0028】
第8発明のカセットによれば、前記第1方向と直交する第2方向における、前記印刷テープロール、前記巻取スプール及び前記供給スプールにより定義される凸包絡の寸法は、前記第2方向における前記カセットの寸法の半分の寸法よりも大きい。さらに、前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向における前記凸包絡の寸法は、前記第3方向における前記カセットの寸法の半分の寸法よりも大きい。これにより、カセット内の空間を前記印刷テープロール、前記巻取スプール及び前記供給スプールで締める割合が高くなるので、カセットは、第1方向と直交する直交方向において小型化が可能となる。
【0029】
第9発明のカセットによれば、前記印刷テープロールが収容されたテープケースと、前記テープケースに対して前記第1方向の一方に位置し、前記供給スプールと前記巻取スプールとが収容されたリボンケースとを備え、前記リボンケースは、前記印刷テープロールから供給された前記印刷テープ及び前記供給スプールに巻回された前記インクリボンが、前記リボンケースから排出される排出口と、前記排出口から排出された前記インクリボンが前記リボンケースに搬入される搬入口と、を備え、前記巻取スプールは、前記搬入口から搬入された前記インクリボンが巻回される。これにより、一旦、排出口から排出されてから搬入口から搬入されたインクリボンが巻取スプールにより巻き取られるので、リボンケース内に形成された経路でインクリボンが巻取りスプールに巻き取られる場合よりも、経路を形成する空間が不要となり、カセットは、第1方向と直交する直交方向においてカセットの小型化ができる。
【0030】
第10発明のカセットによれば、前記搬入口と前記インクリボンが前記巻取スプールに巻回される位置との間に位置する前記インクリボンの一部は、前記印刷テープロールと前記第1方向に重なっている。これにより、カセットは、搬入口と前記インクリボンが前記巻取スプールに巻回される位置との間に位置する前記インクリボンの一部が、前記印刷テープロールと前記第1方向に重ならない場合よりも、第1方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0031】
第11発明のカセットによれば、前記リボンケースは、前記印刷テープに貼り合わされる貼合せテープが巻回された貼合せテープロールを備え、前記貼合わせテープロールの少なくとも一部は、前記印刷テープロールと前記第1方向に重なっている。これにより、カセットは、貼合わせテープの少なくとも一部が、印刷テープロールと前記第1方向に重ならない場合よりも第1方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0032】
第12発明のカセットによれば、前記印刷テープロールは、回転可能な印刷テープスプールに前記印刷テープが巻回されてなり、前記貼合せテープロールの少なくとも一部は、前記印刷テープスプールと前記第1方向に重なっている。これにより、カセットは、貼合わせテープの少なくとも一部が、印刷テープスプールと前記第1方向に重ならない場合よりも、第1方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0033】
第13発明のカセットによれば、前記貼合せテープロールは、回転可能な貼合せテープスプールに前記貼合せテープが巻回されて構成され、前記貼合せテープスプールの回転中心は、前記印刷テープロールと前記第1方向に重なっている。これにより、カセットは、貼合せテープスプールの回転中心が、前記印刷テープロールと前記第1方向に重ならない場合よりも、第1方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0034】
第14発明のカセットによれば、前記印刷テープロールは、回転可能な印刷テープスプールに前記印刷テープが巻回されており、前記貼合せテープスプールの少なくとも一部は、前記印刷テープスプールと前記第1方向に重なる。これにより、カセットは、貼合せテープスプールの少なくとも一部は、前記印刷テープスプールと前記第1方向に重ならない場合よりも、第1方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0035】
第15発明のカセットによれば、(a)被印刷媒体である印刷テープが巻回された印刷テープロールと、(b)前記印刷テープへの印刷に使用されるインクリボンが巻回され、回転可能な供給スプールと、(c)前記供給スプールから供給される前記インクリボンを巻き取るように回転可能な巻取スプールと、(d)前記供給スプールに巻回された前記インクリボンの幅方向である第1方向において、前記印刷テープロールに当接するスペーサフィルムとを備え、(e)前記供給スプールの少なくとも一部及び前記巻取スプールの少なくとも一部は、前記スペーサフィルムと前記第1方向に重なっている。これにより、スペーサフィルムと供給スプール及び巻取スプールとが第1方向に重ならない場合に比較して、カセットは、第1方向と直交する直交方向においてカセットの小型化ができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態のラミネートタイプであるカセットの上面側を示す斜視図である。
【
図2】
図1のカセットの下面側を示す斜視図である。
【
図3】
図1のカセットのケースの構成および内部構成を、ケースを構成する第1ケース部材、第2ケース部材、第3ケース部材、および第4ケース部材を分離して示す斜視図である。
【
図4】
図1の第1ケース部材の上面側を示す正面図である。
【
図5】
図1の第1ケース部材の下面側を示す斜視図である。
【
図6】
図1の第2ケース部材の上面側を印刷テープロールとともに示す正面図である。
【
図7】
図1のカセットを、第1ケース部材を取り除いて示す斜視図である。
【
図8】印刷テープがテープケース内からリボンケース内へ架け渡されている状態を示す、
図6のVIII-VIII視断面図である。
【
図9】
図1の第2ケース部材の下面側を示す斜視図である。
【
図10】
図1の第3ケース部材の上面側を示す斜視図である。
【
図11】
図1の第3ケース部材の下面側を示す斜視図である。
【
図12】
図1の第4ケース部材の上面側を示す斜視図である。
【
図13】
図1の第4ケース部材の下面側を示す下面図である。
【
図14】
図1の第3ケース部材の下面を示す図を用いて、印刷テープロールから引き出される印刷テープおよび貼合せテープロールから引き出される貼合せテープの経路と、インクリボンから引き出されるインクリボンの経路とを、それぞれ示す図である。
【
図15】
図1のカセットから送り出された印刷テープおよび貼合せテープの積層体を説明する図である。
【
図16】
図1のカセットの平面視であって、印刷テープロール、貼合せテープロール、インクリボン、巻取スプールの相対位置を示す図である。
【
図17】
図6のXVII-XVII視断面図である。
【
図18】
図1のカセットが装着される、印刷装置のカセット装着部を説明する図である。
【
図19】本発明の他の実施形態のノンラミネートタイプのカセットの上面側を示す斜視図である。
【
図21】
図19のカセットのケースの構成および内部構成を、ケースを構成する第1ケース部材、第2ケース部材、第3ケース部材、および第4ケース部材を分離して示す斜視図である。
【
図22】
図19の第1ケース部材の上面側を示す正面図である。
【
図23】
図19の第1ケース部材の下面側を示す斜視図である。
【
図24】
図19の第2ケース部材の上面側を印刷テープロールとともに示す正面図である。
【
図25】
図19のカセットを、第1ケース部材を取り除いて示す斜視図である。
【
図26】
図19のカセットにおいて、印刷テープがテープケース内からリボンケース内へ架け渡されている状態を示す、
図24のXXVI-XXVI視断面図である。
【
図27】
図19の第2ケース部材の下面側を示す斜視図である。
【
図28】
図19の第3ケース部材の上面側を示す斜視図である。
【
図29】
図19の第3ケース部材の下面側を示す斜視図である。
【
図30】
図19の第4ケース部材の上面側を示す斜視図である。
【
図31】
図19の第4ケース部材の下面側を示す下面図である。
【
図32】
図19のカセットの縦断面を示す図であって、
図24のXXXII-XXXII視断面図である。
【
図33】
図19の第3ケース部材の下面を示す図を用いて、印刷テープロールから引き出される印刷テープの経路と、インクリボンから引き出されるインクリボンの経路とを、それぞれ示す図である。
【
図34】
図19のカセットから送り出された印刷テープおよび貼合せテープの積層体を説明する図である。
【
図35】
図19のカセットの平面視であって、印刷テープロール、インクリボン、巻取スプールの相対位置を示す図である。
【
図36】本発明の他の実施形態のカセットの構成を示す摸式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例0038】
[実施形態1]
図1は、本発明の一実施形態であるカセット10を正面側すなわち上面から示す斜視図である。本実施形態の説明では、
図1の上側をカセット10の前側とし、下側をカセット10の後側とし、右側をカセット10の左側とし、左側をカセット10の右側とし、左上側をカセット10の上側とし、右下側をカセット10の下側とする。
図2は、カセット10を裏面側すなわち下面から示す斜視図である。
図3は、カセット10の第1ケース部材12、第2ケース部材14、第3ケース部材16、および第4ケース部材18を分離させて、カセット10の内部構成を説明する斜視図である。カセット10は、全体として直方体状を成し、後述の
図18に示す印刷装置102のカセット装着部104に着脱可能に装着される。カセット10は、第1ケース部材12および第2ケース部材14から構成される第1ケースすなわちテープケース20と、第3ケース部材16および第4ケース部材18から構成される第2ケースすなわちリボンケース21とを備えている。第1ケース部材12から第4ケース部材18の積重ね方向、すなわち
図1に示す上下方向が、本発明における第1方向に対応する。また、
図1に示す前後方向が、前記第1方向と直交する第2方向に対応し、
図1に示す左右方向が、前記第1方向と第2方向とに直交する第3方向に対応する。
【0039】
リボンケース21は、テープケース20に対して上下方向の一方側に位置する。本実施形態では、リボンケース21は、テープケース20に対して上下方向の一方側である下側に位置する。テープケース20は、内部に形成された第1空間S1に被印刷媒体である印刷テープ22が巻回された印刷テープロール26を備える。リボンケース21は、内部に形成された第2空間S2にインクリボンロール72及び貼合せテープロール64を備える。
【0040】
インクリボンロール72は、帯状のインクリボン68が、幅方向が上下方向となるように巻取スプール76に巻回されて構成される。インクリボン68は、帯状の印刷テープ22への印刷に使用される。インクリボンロール72の径方向は前後方向及び左右方向であり、径方向は上下方向に直交する直交方向である。直交方向は、上下方向に直交する平面に平行な任意の方向とも言い換えることができる。貼合せテープロール64は、印刷された印刷テープ22に貼り合わされる帯状の貼合せテープ60が、貼合せテープ60の幅方向が上下方向となるように貼合せスプールに巻回されている。第1ケース部材12、第2ケース部材14、第3ケース部材16および第4ケース部材18は、上下方向に相互に重ねられた状態で、相互の外周壁間にそれぞれ設けられた複数の係止爪27と固定爪28との係合と位置決め突起29による位置決めとによって相互に固定されている。なお、本実施形態において、各ケース部材12~18の上側の面を上面もしくは正面と称し、下側の面を下面もしくは裏面と称す。
【0041】
図2に示すように、カセット10の第4ケース部材18の下面には、上下方向に貫通する巻取スプール支持穴94が設けられている。また、第3ケース部材16および第4ケース部材18の前側の面、すなわち、リボンケース21の前側の面には、カセット10が印刷装置102のカセット装着部104に装着されたとき、カセット装着部104に設けられた後述の印刷ヘッド106が挿入される凹部99が形成されている。
【0042】
図4は、第1ケース部材12の上面側を示す正面図であり、
図5は第1ケース部材12の下面側を示す斜視図である。
図6は第2ケース部材14の上面側を示す正面図である。なお、
図6では、印刷テープロール26から引き出された印刷テープ22の記載は省略されている。
図7は第2ケース部材14の上面側を示す斜視図である。また、
図8は印刷テープ22がテープケース20内からリボンケース21内へ架け渡されている状態を示す、
図6のVIII-VIII視断面図である。
図9は第2ケース部材14の下面側を示す斜視図であり、
図10は第3ケース部材16の上面側を示す斜視図であり、
図11は第3ケース部材16の下面側を示す斜視部である。
図12は第4ケース部材18の上面側を示す斜視図であり、
図13は第4ケース部材18の下面側を示す下面図である。
【0043】
第1ケース部材12と第2ケース部材14との間には、第1空間S1が形成されている。第1空間S1には、印刷テープロール26が上下方向に平行な第1回転中心線C1まわりに回転可能に収容されている。なお、第1回転中心線C1は、印刷テープロール26の回転中心であるとともに、印刷テープスプール24の回転中心でもある。印刷テープロール26は、印刷テープ22が円筒状の軸芯材である印刷テープスプール24に巻回されて構成される。第1ケース部材12および第2ケース部材14は長方形状であって、第1回転中心線C1は、第1ケース部材12および第2ケース部材14における、第2方向である左右方向の中央略右寄り、且つ、第3方向である前後方向の略中央付近に位置している。
【0044】
印刷テープ22は、印刷ヘッド106によって印刷される被印刷媒体である。印刷テープ22は、たとえば
図15に示すように、剥離テープ22cが被印刷テープ22aの印刷面とは反対側の面に、粘着剤22bを介して積層されることにより構成されたものである。
【0045】
図3、
図5に示すように、第1ケース部材12の下面側には、円筒状の第1支持突起30と、第1円周壁34とが設けられる。第1支持突起30は、円筒状の印刷テープスプール24に挿入され印刷テープロール26を回転可能に支持する。第1ケース部材12は、短辺部44aと長辺部44bを有する外周壁44を備える。第1円周壁34は、印刷テープロール26の外径よりも大きい内径を有する。第1支持突起30と第1円周壁34は、第1回転中心線C1と同じ中心線を有する状態で第1ケース部材12の下面側から下向きに突設されている。
図6及び
図7に示すように、第2ケース部材14の上面側には、円筒状の第2支持突起32と、第2円周壁36とが設けられる。第2支持突起32は、円筒状の印刷テープスプール24に挿入され印刷テープロール26を回転可能に支持する。第2円周壁36は、印刷テープロール26の外径よりも大きい内径を有する。第2支持突起32と第2円周壁36は、第1回転中心線C1と同じ中心線を有する状態で第2ケース部材14の上面側から上向きに突設されている。印刷テープロール26は、印刷テープロール26の外径と略同じ外径を有する円形のスペーサフィルム38を印刷テープロール26の上下にそれぞれ介在させた状態で第1ケース部材12と第2ケース部材14との間に配設されている。
【0046】
第1ケース部材12の下面側および第2ケース部材14の上面側には、
図5および
図6に示すように、印刷テープロール26から印刷テープ22を一定の位置から引き出すために第1円周壁34および第2円周壁36の一部を切り欠いて形成した印刷テープゲート40、42が形成されている。
図6および
図7に示すように、第2ケース部材14の上面側には、印刷テープロール26から引き出された印刷テープ22を一定の方向に案内するために、印刷テープゲート42の左端から左側へ延びる案内壁50が形成されている。
【0047】
図6に示すように、印刷テープゲート42の左端から左方向へ延びる案内壁50は、外周壁46の短辺部46aに到達する前に長辺部46b側すなわち後方へ曲がり、第2円周壁36に沿って延設されて長辺部46bへ接続されている。
【0048】
図6に示すように、第2ケース部材14の底板14aには、案内壁50と外周壁46の長辺部46bとに沿って前後方向及び左右方向に延びる正面視略L字状の貫通穴52が形成されている。底板14aには、第2円周壁36のうち案内壁50および長辺部46bに対向する部分と貫通穴52との間において複数の案内リブ54が形成されている。複数の案内リブ54は、印刷テープロール26から巻き出され且つ印刷テープゲート40および42を通して送り出された印刷テープ22を貫通穴52内へ案内する。
【0049】
図7は、第1ケース部材12を取り除いたカセット10を示す。
図7に示すように、印刷テープロール26から巻き出された印刷テープ22は、貫通穴52を通して第3ケース部材16と第4ケース部材18との間の第2空間内S2へ導かれている。印刷テープ22は、第1空間S1と第2空間内S2とを区画する板材として機能する底板14aに形成された貫通穴52を通して、テープケース20とリボンケース21とに架け渡される。
【0050】
図8に示すように、印刷テープ22は、貫通穴52を通して、テープケース20内からリボンケース21内へ斜めに架け渡される。より詳細には、後述する
図14に示すように、印刷テープ22は、リボンケース21の凹部99にまで架け渡されている。
図9は、第2ケース部材14の下面側を示している。
図9に示すように、第2ケース部材14の底板14aの裏面には、貫通穴52が開口しており、貫通穴52に沿って案内壁56が上下方向に立設されている。
図10は、第3ケース部材16の上面側を示している。第3ケース部材16の天井板16eには、貫通穴58と、貼合せテープロール支持穴66と、インクリボン支持穴74と、巻取スプール支持穴78と、ローラ支持穴82とが、形成されている。貫通穴58は、印刷テープロール26から引き出された印刷テープ22を第2空間S2へ通すために、第2ケース部材14の貫通穴52に対応する位置に形成されている。つまり、貫通穴52の一部と貫通穴58の一部は上下方向において互いに重複している。
【0051】
第2ケース部材14の底板14aおよび第3ケース部材16の天井板16eは、テープケース20内の第1空間S1とリボンケース21内の第2空間S2とを区画する。
【0052】
貼合せテープロール支持穴66は、貼合せテープ60が巻回された貼合せスプール62の一端を嵌め入れて貼合せテープロール64を第1回転中心線C1と平行な第2回転中心線C2まわりに回転可能に支持する。なお、第2回転中心線C2は、貼合せテープロール64の回転中心であるとともに、貼合せテープスプール62の回転中心でもある。貼合せテープ60は、
図15に示すように、印刷テープ22の印刷面を保護するためにたとえばこの印刷面と接触する一面に粘着剤60bが塗布された透明フィルム60aから成る。インクリボン支持穴74は、インクリボン68が巻回された供給スプール70の一端を嵌め入れてインクリボンロール72を第1回転中心線C1と平行な第3回転中心線C3まわりに回転可能に支持する。なお、第3回転中心線C3は、インクリボンロール72の回転中心であるとともに、供給スプール70の回転中心でもある。巻取スプール支持穴78は、インクリボンロール72から巻き出されたインクリボン68を巻き取る巻取スプール76の一端を嵌め入れて巻取スプール76を第1回転中心線C1と平行な第4回転中心線C4まわりに回転可能に支持する。なお、第4回転中心線C4は、巻取スプール24の回転中心である。ローラ支持穴82は、印刷テープ22の印刷面と貼合せテープ60の接着面とを圧着するために印刷テープ22と貼合せテープ60とを印刷装置102のローラとの間で挟圧するローラ80の一端を嵌め入れてローラ80を第1回転中心線C1と平行な第5回転中心線C5まわりに回転可能に支持する。
【0053】
図11に示すように、第3ケース部材16の下面には、貼合せテープロール保持壁84と、インクリボンロール保持壁86と、円筒状突起88と、円弧状壁92とが、形成されている。貼合せテープロール保持壁84および円弧状壁92は、貼合せテープロール64の配置位置を規定するために貼合せテープロール支持穴66の周囲に貼合せテープロール支持穴66を中心とする円弧状に形成されている。インクリボンロール保持壁86は、巻取スプール76に巻き取られたインクリボン68の配置位置を規定するために巻取スプール支持穴78の周囲に巻取スプール支持穴78を中心とする円弧状に形成されている。円筒状突起88は、インクリボン支持穴74の周囲から下方に突設され且つ先端面に周方向に並ぶ凹凸が形成されている。第3ケース部材16は、外周壁として短辺部16aと長辺部16bと、凹部99を囲むように配置されたU字状の凹部壁16cを備える。また、第3ケース部材16の下面には、貼合せテープ60の貼り付きを防止する貼付防止ローラ91の上端部を回動可能に支持する支持突起93が設けられている。また、
図12に示すように、第4ケース部材18の上面には、貼付防止ローラ91の下端部を連結可能に支持する支持突起95が設けられている。
【0054】
図3に示されるように、インクリボン68が巻回された供給スプール70の他端には、クラッチばねを収容したクラッチばねホルダ90が嵌め付けられており、供給スプール70がクラッチばねホルダ90内のクラッチばねによってインクリボンロール72には適度の回転抵抗が付与されるようになっている。
【0055】
図12および
図13は、第4ケース部材18の上面および下面を示している。第4ケース部材18には、巻取スプール76の他端を嵌め入れて巻取スプール76を回転可能に支持する巻取スプール支持穴94が上下方向に貫通して形成されている。巻取スプール76の他端側の端面に形成された連結穴96が、
図2に示すように巻取スプール支持穴94を通して第4ケース部材18の下面に露出させられる。カセット10が印刷装置102に装着されたとき、後述の印刷装置102の巻取スプール駆動軸108が連結穴96内に挿入されて巻取スプール76に連結され、巻取スプール76が巻取スプール駆動軸108により回転駆動される。また、第4ケース部材18には、供給スプール70の他端を嵌め入れて供給スプール70を回転可能に支持する円筒状の支持突起97が形成されている。
【0056】
第4ケース部材18には、第3ケース部材16に形成されたローラ支持穴82に対応する位置に、ローラ80の軸端を露出させるローラ露出穴98が設けられている。ローラ80の第4ケース部材18側の端部に形成された連結部80aが、
図2に示すようにローラ露出穴98を通して第4ケース部材18の下面に露出させられる。カセット10が印刷装置102に装着されたとき、後述の印刷装置102のローラ駆動軸110が連結部80aと連結され、ローラ80がローラ駆動軸110により回転駆動される。第4ケース部材18には、
図12および
図13に示すように、凹部壁16cに対応するU字状の切欠き18aが形成されている。これら凹部壁16cおよび切欠き18aによって、凹部99が形成されている。
【0057】
図14は、カセット10が印刷装置102のカセット装着部104に装着されたときの、第3ケース部材16の下面を示す図である。前述の通り、印刷テープ22は、印刷テープロール26から引き出され、貫通穴52および貫通穴58を介してテープケース20内の第1空間S1からリボンケース21内の第2空間S2に斜めに架け渡される。そのため、第3ケース部材16を示す
図14において印刷テープ22は、第3ケース部材16の後方の貫通穴58から描画されている。
図14に示すように、印刷テープ22および貼合せテープ60は、ローラ80と印刷装置102の押圧ローラ118とに挟圧され、ローラ80の駆動によって、各々印刷テープロール26および貼合せテープロール64から引き出される。インクリボン68は、巻取スプール76の駆動によってインクリボンロール72から引き出され、巻取スプール76に巻き取られる。印刷テープ22は二点鎖線で、貼合せテープ60は破線で、インクリボン68は一点鎖線で示されている。
【0058】
図14に示すように、インクリボン68は、カセット10のリボンケース21すなわち第3ケース部材16に形成された排出口130から印刷テープ22と共に印刷場所Pへ向かってリボンケース21から排出される。印刷ヘッド106とプラテンローラ116との間の印刷場所Pにおいて、印刷テープ22はインクリボン68を介して印刷ヘッド106に押しつけられる。この状態で、印刷ヘッド106の表面に配置された複数の発熱素子が選択的に駆動されて局所発熱することで、インクリボン68の一面に設けられたインク68aのうち一部が印刷テープ22に転写されて、印刷テープ22に文字、記号などが印刷される。印刷場所Pを通過した使用済のインクリボン68は、搬入口132からリボンケース21内へ搬入され、巻取スプール76に巻き取られる。印刷場所Pを通過した印刷テープ22の印刷面は、ローラ80と印刷装置102の押圧ローラ118により透明な貼合せテープ60が狭圧されて接着される。これにより、印刷テープ22の印刷面は貼合せテープ60により保護される。
【0059】
図15は、カセット10から送り出された印刷テープ22および貼合せテープ60の積層体を模式的に示している。印刷テープ22の被印刷テープ22a側すなわち印刷面側に、一面に粘着剤60bが塗布された透明フィルム60aから構成された貼合せテープ60が、貼り着けられている。これにより、印刷テープ22の印刷面に転写されたインク68aが保護される。なお、
図15に描かれた積層体の各部材22a~22c,60a,60b,68aの大きさや寸法比等は必ずしも正確ではない。
【0060】
図16は、第3ケース部材16の下面を示す図である。第3ケース部材16と第4ケース部材18との間の第2空間S2内すなわちリボンケース21内には、貼合せテープロール64、インクリボンロール72、巻取スプール76、およびローラ80が配置される。上述したように、リボンケース21は、テープケース20に対して下方に重ねて配置されている。テープケース20内に収容された印刷テープロール26およびスペーサフィルム38を第2空間S2内で前後方向および左右方向に広がる投影面上に対し上下方向に投影した場合、印刷テープロール26およびスペーサフィルム38の投影位置は
図16の一点鎖線で示される。なお、スペーサフィルム38は印刷テープロール26と略同じ直径を有するので、
図16では印刷テープロール26を表す一点鎖線のみを記載する。
図16に示すように、貼合せテープロール64、インクリボンロール72及び巻取スプール76は、印刷テープロール26と上下方向に重なる位置に配置されている。貼合せテープロール64の少なくとも一部及び貼合せテープスプール62の少なくとも一部は、印刷テープロール26と上下方向に重なっている。より詳細には、貼合せテープロール64の一部及び貼合せスプール62の一部は、それぞれ印刷テープスプール24及び印刷テープスプール24に巻回された印刷テープ22と上下方向に重なっている。
【0061】
図16において、印刷テープロール26は、貼合せテープロール64の第2回転中心線C2、インクリボンロール72の第3回転中心線C3、および巻取スプール76の第4回転中心線C4と上下方向において重なっている。換言すれば、印刷テープロール26の上下方向への投影面の中に、貼合せテープロール64の第2回転中心線C2、インクリボンロール72の第3回転中心線C3、および巻取スプール76の第4回転中心線C4が位置している。なお、第3回転中心線C3は、供給スプール70の回転中心でもあり、また、第4回転中心線C4は、巻取スプール24の回転中心である。また、貼合せテープロール64の一部および貼合せスプール62は、印刷テープロール26およびスペーサフィルム38と上下方向において重なっている。供給スプール70の少なくとも一部、インクリボンロール72の少なくとも一部、巻取スプール76の少なくとも一部、巻取スプール76に巻き取られたインクリボン68の少なくとも一部及び印刷場所Pを通過した使用済のインクリボン68の少なくとも一部は、印刷テープロール26およびスペーサフィルム38と上下方向に重なっている。すなわち、貼合せテープロール64、貼合せスプール62、供給スプール70、インクリボンロール72の各々の少なくとも一部は、上下方向への印刷テープロール26およびスペーサフィルム38の投影面の中に位置している。
【0062】
また、
図16において、貼合せテープロール64の第2回転中心線C2とインクリボンロール72の第3回転中心線C3との間の距離は、貼合せテープロール64の第2回転中心線C2と巻取スプール76の第4回転中心線C4との間の距離およびインクリボンロール72の第3回転中心線C3と巻取スプール76の第4回転中心線C4との間の距離よりも大きい。貼合せテープロール64の第2回転中心線C2と巻取スプール76の第4回転中心線C4との間の距離は、インクリボンロール72の第3回転中心線C3と巻取スプール76の第4回転中心線C4との間よりも大きい。
【0063】
また、
図16において、印刷テープロール26の第1回転中心線C1は、貼合せテープロール64の第2回転中心線C2とインクリボンロール72の第3回転中心線C3との間を結び直線の中間点近傍に位置する。第1回転中心線C1は、前後方向及び左右方向において貼合せテープロール64に重なる。すなわち、印刷テープロール26の回転中心、換言すれば印刷テープスプール24の回転中心は、貼合せテープロール64と上下方向に重なる。巻取スプール76の第4回転中心線C4は前記直線の凹部99とは反対側に位置している。第4回転中心線C4と第1回転中心線C1との間の距離は、第3回転中心線C3と第1回転中心線C1との間の距離よりも短く、第2回転中心線C2と第1回転中心線C1との間の距離よりも短い。
【0064】
また、巻取スプール76、巻取スプール76に巻き取られたインクリボン68の少なくとも一部及び印刷場所Pを通過し、搬入口132から巻取スプール76に巻回される位置との間に位置するインクリボン68の少なくとも一部は、印刷テープロール26、印刷テープスプール24およびスペーサフィルム38と上下方向に重なっている。
【0065】
図1及び
図2に示すように、第3ケース部材16の外周壁は、カセット10の外周壁の一部を構成する。第3ケース部材16の前後方向および左右方向の大きさは、カセット10の前後方向および左右方向の大きさと略等しい。そのため、前後方向および左右方向における第3ケース部材16の中心位置は、前後方向および左右方向におけるカセット10の中心位置と略一致する。
図16に示すように、前後方向および左右方向(直交方向)において、カセット10の前後方向の中心であり、且つ、左右方向の中心である中心位置Mと印刷テープロール26の第1回転中心線C1との間の距離は、中心位置Mと貼合せテープロール64の第2回転中心線C2との間の距離、中心位置Mとインクリボンロール72の第3回転中心線C3との間の距離、および、中心位置Mと巻取スプール76の第4回転中心線C4との間の距離よりも短い。つまり、上下方向に直交する直交方向において、第1回転中心線C1は、第2回転中心線C2乃至第4回転中心線C4のいずれよりもカセット10の中心に近い位置に配置されている。
【0066】
また、印刷テープロール26の径は貼合せテープロール64の径よりも大きい上下方向と直交する前後方向、及び、上下方向と前後方向とに直交する左右方向の各方向における印刷テープロール26の大きさ(径寸法d)は、前後方向及び左右方向の各方向におけるカセット10の大きさの半分たとえば長辺の半分Lよりも大きい。
【0067】
図17は、
図6のXVII-XVII視断面図である。上下方向において、印刷テープロール26の上下方向の一方側(下側)端部と、貼合せテープロール64の上下方向の他方側(上側)端部との間の距離Dは、貼合せテープ60の幅寸法W1よりも小さい。印刷テープ22と貼合せテープ60とは同じ幅寸法であるので、距離Dは、印刷テープロール26の幅寸法よりも小さい。
【0068】
そして、上下方向と直交する前後方向、及び、上下方向と前後方向とに直交する左右方向において、カセットの前後方向の中心及び左右方向の中心である中心位置Mから印刷テープロール26の回転中心である第1回転中心線C1までの距離は、中心位置Mから貼合せテープロール64の回転中心である第2回転中心線C2までの距離よりも小さい。印刷テープロール26の径は貼合せテープロール64のよりも大きい。この印刷テープロール26、巻取スプール76、インクリボン68が巻回された供給スプール70の外周円を接線で結ぶことにより形成される凸包絡(線)Hの前後方向の寸法は、第3ケース部材16の前後方向の寸法の半分の寸法よりも大きい。凸包絡(線)Hの左右方向の大きさは、第3ケース部材16の左右方向の寸法の半分の寸法よりも大きい。
図2に示すように、第3ケース部材16の外周壁はカセット10の外周壁の一部を構成する。そのため、凸包絡(線)Hの前後方向及び左右方向のそれぞれの寸法は、カセット10の前後方向及び左右方向のそれぞれの寸法の半分の寸法よりも大きいとも表現することができる。
【0069】
図18は、印刷システム122に含まれる印刷装置102の一部に設けられたカセット装着部104を示している。カセット装着部104には、嵌め入れられたカセット10を位置決めする矩形の位置決め穴112と、位置決め穴112の底面に立設された巻取スプール駆動軸108およびローラ駆動軸110とが設けられている。位置決め穴112は、カセット10の下ケースであるリボンケース21の一部を収容する収容部として機能している。これら巻取スプール駆動軸108およびローラ駆動軸110は、図示しないステップモータによりギヤ機構を介して同じ方向に回転駆動される。また、カセット装着部104の位置決め穴112の底面には、熱式の印刷ヘッド(サーマルプリントヘッド)106が固着されたヘッド保持板114が立設されており、プラテンローラ116および押圧ローラ118が回転可能に先端部に設けられたプラテン保持部材120がその基端部まわりに回動可能に設けられている。ヘッド保持板114は、たとえばアルミニウム製の金属板であって、印刷ヘッドのヒートシンクを兼ねている。
【0070】
カセット10が、印刷装置102のカセット装着部104に装着されると、カセット装着部104に立設された巻取スプール駆動軸108およびローラ駆動軸110が巻取スプール76およびローラ80に連結される。次いで、カセット10がカセット装着部104に装着された状態で印刷装置102の図示しないカバーが閉じられると、プラテン保持部材120がその基端部まわりに回動させられて、プラテンローラ116および押圧ローラ118が印刷ヘッド106およびカセット10のローラ80へ押圧されるようになっている。印刷装置102とカセット10とが、印刷システム122を構成している。
【0071】
本実施形態のカセット10によれば、被印刷媒体である印刷テープ22が巻回された印刷テープロール26と、印刷テープロール26から供給される印刷テープ22への印刷に使用されるインクリボン68が巻回され、回転可能な供給スプール70と、供給スプール70から供給されるインクリボン68を巻き取るように回転可能な巻取スプール76とを備え、供給スプール70および巻取スプール76は、印刷テープロール26に対し、供給スプール70に巻回されたインクリボン68の幅方向である上下方向のうちの下方向側に位置し、供給スプール70の少なくとも一部及び巻取スプール76の少なくとも一部は、印刷テープロール26と上下方向に重なっている。これにより、印刷テープロール26と供給スプール70および巻取スプール76とが、上下方向に分かれて設けられ、供給スプール70の少なくとも一部及び巻取スプール76の少なくとも一部が、印刷テープロール26と上下方向に重なっているので、カセット10は、上下方向と直交する直交方向においてカセットの小型化ができる。
【0072】
また、本実施形態のカセット10によれば、巻取スプール76の回転中心である第4回転中心線C4は、印刷テープロール26と上下方向において重なっている。これにより、カセット10は、巻取スプール76の第4回転中心線C4が印刷テープロール26と上下方向に重ならない場合よりも、上下方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0073】
また、本実施形態のカセット10によれば、供給スプール70の回転中心である第3回転中心線C3は、印刷テープロール26と上下方向において重なっている。これにより、カセット10は、供給スプール70の第3回転中心線C3が印刷テープロールと上下方向に重ならない場合よりも、上下方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0074】
また、本実施形態のカセット10によれば、印刷テープロール26は、回転可能な印刷テープスプール24に印刷テープ22が巻回されてなり、巻取スプール76に巻き取られたインクリボン68の少なくとも一部は、印刷テープロール26と上下方向において重なっている。これにより、カセット10は、巻取スプール76に巻き取られたインクリボン68の少なくとも一部が、印刷テープロール26と上下方向において重ならない場合よりも、上下方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0075】
また、本実施形態のカセット10によれば、巻取スプール76の少なくとも一部は、印刷テープスプール24と上下方向において重なっている。これにより、カセット10は、巻取スプール76の少なくとも一部が、印刷テープスプール24と上下方向において重ならない場合よりも、上下方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0076】
また、本実施形態のカセット10によれば、印刷テープロール26は、回転可能な印刷テープスプール24に印刷テープが巻回されてなり、上下方向と直交する直交方向において、巻取スプー76ルの回転中心である第4回転中心線C4と印刷テープスプール24の回転中心である第1回転中心線C1との間の距離は、供給スプール70の回転中心である第3回転中心線C3と印刷テープスプール24の回転中心である第1回転中心線C1との間の距離よりも短い。これにより、カセット10は、巻取スプール76の回転中心である第4回転中心線C4と印刷テープスプール24の回転中心である第1回転中心線C1との間の距離は、供給スプール70の回転中心である第3回転中心線C3と印刷テープスプール24の回転中心である第1回転中心線C1との間の距離よりも長い場合よりも、上下方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0077】
また、本実施形態のカセット10によれば、上下方向と直交する前後方向、及び、上下方向と前後方向とに直交する左右方向において、カセット10の前後方向の中心且つ左右方向の中心である中心位置Mと印刷テープロール26の回転中心である第1回転中心線C1との間の距離は、巻取スプール76の回転中心である第4回転中心線C4と中心位置Mとの間の距離及び供給スプール70の回転中心である第3回転中心線C3と中心位置との間の距離の何れよりも小さい。印刷テープロール26の径は貼合せテープロール64のよりも大きいので、これにより、中心位置Mと印刷テープロール26の回転中心との間の距離が、巻取スプール276の回転中心と中心位置Mとの間の距離及び供給スプール270の回転中心と中心位置Mとの間の距離の何れよりも小さくない場合よりも、印刷テープロール26供給スプール70との重なりが大きく得られ、カセット10は、上下方向と直交する直交方向において小型化が可能となる。
【0078】
また、本実施形態のカセット10によれば、上下方向と直交する前後方向における、印刷テープロール26、巻取スプール76及びインクリボンロール72或いは供給スプール70の外周円とそれらに接する接線とで定義される凸包絡Hの寸法は、前後方向におけるカセット10の寸法の半分の寸法よりも大きい。さらに、上下方向と前後方向とに直交する左右方向における凸包絡Hの寸法は、左右方向におけるカセット10の寸法の半分の寸法よりも大きい。これにより、カセット10内の空間を印刷テープロール26、巻取スプール76及び供給スプール70で締める割合が高くなるので、カセット10は、上下方向と直交する直交方向において小型化が可能となる。
【0079】
また、本実施形態のカセット10によれば、印刷テープロール62が収容されたテープケース20と、テープケース20に対して上下方向の下方に位置し、供給スプール70と巻取スプール76とが収容されたリボンケース21とを備え、リボンケース21は、印刷テープロール62から供給された印刷テープ22及び供給スプール70に巻回されたインクリボン68が、リボンケース21から排出される排出口130と、排出口130から排出されたインクリボン68がリボンケース21に搬入される搬入口132と、を備え、巻取スプール76は、搬入口132から搬入されたインクリボン68が巻回される。これにより、一旦、排出口130から排出されてから搬入口132から搬入されたインクリボン68が巻取スプール76により巻き取られるので、リボンケース21内に形成された経路でインクリボン68が巻取りスプール76に巻き取られる場合よりも、インクリボン68の戻り経路をリボンケース221内に形成する空間が不要となり、カセット10は、上下方向と直交する直交方向においてカセットの小型化ができる。
【0080】
また、本実施形態のカセット10によれば、搬入口132とインクリボン68が巻取スプール76に巻回される位置との間に位置するインクリボン68の一部は、印刷テープロール26と上下方向に重なっている。これにより、カセット10は、搬入口132とインクリボン68が巻取スプール76に巻回される位置との間に位置する前記インクリボンの一部が、印刷テープロール26と上下方向に重ならない場合よりも、上下方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0081】
また本実施形態のカセット10によれば、リボンケース21は、印刷テープ22に貼り合わされる貼合せテープ60が巻回された貼合せテープロール64を備え、貼合わせテープ60の少なくとも一部は、印刷テープロール26と上下方向に重なっている。これにより、カセット10は、貼合わせテープ60の少なくとも一部が、印刷テープロール26と上下方向に重ならない場合よりも上下方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0082】
本実施形態のカセット10によれば、印刷テープロール26は、回転可能な印刷テープスプール24に印刷テープ22が巻回されてなり、貼合せテープロール64の少なくとも一部は、印刷テープスプール24と上下方向に重なっている。これにより、カセット10は、貼合わせテープロール64の少なくとも一部が、印刷テープスプール24と上下方向に重ならない場合よりも、上下方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0083】
本実施形態のカセット10によれば、貼合せテープロール64は、回転可能な貼合せテープスプール62に貼合せテープ60が巻回されて構成され、貼合せテープスプール62の回転中心は、印刷テープロール26と上下方向に重なっている。これにより、カセット10は、貼合せテープスプール62の回転中心が、印刷テープロール26と上下方向に重ならない場合よりも、上下方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0084】
本実施形態のカセット10によれば、印刷テープロール26は、回転可能な印刷テープスプール24に印刷テープ22が巻回されてなり、貼合せテープスプール62の少なくとも一部は、印刷テープスプール24と上下方向に重なる。これにより、カセット10は、貼合せテープスプール62の少なくとも一部は、印刷テープスプール24と上下方向に重ならない場合よりも、上下方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0085】
また、本実施形態のカセット10によれば、被印刷媒体である印刷テープ22が巻回された印刷テープロール26と、印刷テープ22への印刷に使用されるインクリボン68が巻回され、回転可能な供給スプール70と、供給スプール70から供給されるインクリボン68を巻き取るように回転可能な巻取スプール76と、供給スプール70に巻回されたインクリボン68の幅方向である上下方向において、印刷テープロール26に当接するスペーサフィルム38とを、備え、供給スプール70の少なくとも一部及び巻取スプール76の少なくとも一部は、スペーサフィルム38と上下方向に重なっている。これにより、スペーサフィルム38とインクリボン68とが上下方向に重ならない場合に比較して、カセット10は、上下方向と直交する直交方向において小型化ができる。
【0086】
[実施形態2]
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の説明において、実施形態相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0087】
図19は、本発明の他の実施形態であるカセット210を正面側すなわち上面から示す斜視図である。本実施形態の説明では、
図19の上側をカセット210の前側とし、下側をカセット210の後側とし、右側をカセット210の左側とし、左側をカセット210の右側とし、左上側をカセット210の上側とし、右下側をカセット210の下側とする。
図20は、カセット210を裏面側すなわち下面から示す斜視図である。カセット210は、全体として直方体状を成し、寸法が少し相違し且つローラ駆動軸110を備えないだけで
図18と同様に構成されたプリンタに着脱可能に装着される。以後においては、そのプリンタとして、
図18の印刷装置102を用いて説明する。本実施形態のカセット210は、貼合せテープロール64およびローラ80を備えないノンラミネートタイプであるため、ラミネートタイプであるカセット10と比較して小型である。
図21は、カセット210の第1ケース部材212、第2ケース部材214、第3ケース部材216、および第4ケース部材218を分離させて、カセット210の内部構成を説明する斜視図である。
【0088】
カセット210は、第1ケース部材212および第2ケース部材214から構成される第1ケースすなわちテープケース220と、第3ケース部材216および第4ケース部材218から構成される第2ケースすなわちリボンケース221とを備えている。第1ケース部材212から第4ケース部材218の積重ね方向、すなわち
図19に示す上下方向が、本発明における第1方向に対応する。また、
図19に示す前後方向が、前記第1方向と直交する第2方向に対応し、
図19に示す左右方向が、前記第1方向と第2方向とに直交する第3方向に対応する。
【0089】
リボンケース221は、テープケース220に対して上下方向の一方側に位置する。本実施形態では、リボンケース221は、テープケース220に対して上下方向の一方側である下側に位置する。テープケース220は、内部に形成された第1空間S1に被印刷媒体である印刷テープ222が巻回された印刷テープロール226を備える。リボンケース221は、内部に形成された第2空間S2にインクリボンロール272を備える。
【0090】
インクリボンロール272は、帯状のインクリボン268が、幅方向が上下方向となるように巻取スプール76に巻回されて構成される。インクリボン268は、帯状の印刷テープ222への印刷に使用される。インクリボンロール272の径方向は前後方向及び左右方向であり、径方向は上下方向に直交する直交方向である。直交方向は、上下方向に直交する平面に平行な任意の方向とも言い換えることができる。
【0091】
第1ケース部材212、第2ケース部材214、第3ケース部材216および第4ケース部材218は、上下方向に相互に重ねられた状態で、相互の外周壁間にそれぞれ設けられた複数の係止爪227と固定爪228との係合と位置決め突起229による位置決めとによって相互に固定されることにより、カセット210を構成している。なお、本実施形態2において、各ケース部材212~218の上側の面を上面もしくは正面と称し、下側の面を下面もしくは裏面と称す。
【0092】
図20に示すように、カセット210の第4ケース部材218の下面には、上下方向に貫通する巻取スプール支持穴294が設けられている。また、第3ケース部材216および第4ケース部材218の前側の面、すなわち、リボンケース221の前側の面には、カセット210が印刷装置102のカセット装着部104に装着されたとき、カセット装着部104に設けられた後述の印刷ヘッド106が挿入される凹部299が形成されている。
【0093】
図22は、第1ケース部材212の上面側を示す正面図であり、
図23は第1ケース部材212の下面側を示す斜視図である。
図24は第2ケース部材214の上面側を示す正面図である。なお、
図24では、印刷テープロール226から引き出された印刷テープ222の記載は省略されている。
図25は第2ケース部材214の上面側を示す斜視図である。また、
図26は印刷テープ222がテープケース220内からリボンケース221内へ架け渡されている状態を示す、
図24のXXVI-XXVI視断面図である。
図27は第2ケース部材214の下面側を示す斜視図であり、
図28は第3ケース部材216の上面側を示す斜視部であり、
図29は第3ケース部材216の下面側を示す斜視部である。
図30は第4ケース部材218の上面側を示す斜視部であり、
図31は第4ケース部材218の下面側を示す下面図である。
【0094】
第1ケース部材212と第2ケース部材214との間には、第1空間S1が形成されている。第1空間S1には、印刷テープロール226が上下方向に平行な第1回転中心線C1まわりに回転可能に収容されている。印刷テープロール226は、印刷テープ222が円筒状の軸芯材である印刷テープスプール224に巻回されて構成される。第1ケース部材212および第2ケース部材214は長方形状であって、第1回転中心線C1は、第1ケース部材212および第2ケース部材214における、第2方向である左右方向の中央略右寄り、且つ、第3方向である前後方向の略中央付近に位置している。
【0095】
印刷テープ222は印刷ヘッド106によって印刷される被印字媒体である。印刷テープ222は、たとえば
図34に示すように、剥離テープ222cが被印刷テープ222aの印刷面とは反対側の面に、粘着剤222bを介して積層されることにより構成されたものである。
【0096】
図21、
図23に示すように、第1ケース部材212の下面側には、円筒状の第1支持突起230と、第1円周壁234とが設けられる。第1支持突起230は、円筒状の印刷テープスプール224に挿入され印刷テープロール226を回転可能に支持する。第1ケース部材212は、短辺部244aと長辺部244bを有する外周壁244を備える。第1円周壁234は、印刷テープロール226の外径よりも大きい内径を有する。第1支持突起230と第1円周壁234は、第1回転中心線C1と同じ中心線を有する状態で第1ケース部材212の下面側から下向きに突設されている。
図24及び
図25に示すように、第2ケース部材214の上面側には、円筒状の第2支持突起232と、第2円周壁236とが設けられる。第2支持突起232は、円筒状の印刷テープスプール224に挿入され印刷テープロール226を回転可能に支持する。第2円周壁236は、印刷テープロール226の外径よりも大きい内径を有する。第2支持突起232と第2円周壁236は、第1回転中心線C1と同じ中心線を有する状態で第2ケース部材214の上面側から上向きに突設されている。印刷テープロール226は、印刷テープロール226の外径と略同じ外径を有する円形のスペーサフィルム238を印刷テープロール226の上下にそれぞれ介在させた状態で第1ケース部材212と第2ケース部材214との間に配設されている。
【0097】
第1ケース部材212の下面側および第2ケース部材214の上面側には、
図23および
図24に示すように、印刷テープロール226から印刷テープ222を一定の位置から引き出すために第1円周壁234および第2円周壁236の一部を切り欠いて形成した印刷テープゲート240、242が形成されている。
図24および
図25に示すように、第2ケース部材214の上面側には、印刷テープ226から引き出された印刷テープ222を一定の方向に案内するために、印刷テープゲート242の左端から左側に延びる案内壁250が形成されている。本実施形態では、案内壁248は第2円周壁236の一部により構成されている。
【0098】
図23に示すように、第1ケース部材212の案内壁248は、印刷テープゲート240から左方向延びて外周壁244の短辺部244aに接続される。
図24に示すように、第2ケース部材214の案内壁250は、印刷テープゲート240から左方向に延びて外周壁246の短辺部246aに接続されている。
【0099】
図24に示すように、第2ケース部材214の底板214aには、第2円周壁236と外周壁246の短辺部246aおよび長辺部246bとの間に沿って前後方向及び左右方向に延びる正面視略L字状の第3開口である貫通穴252が形成されている。底板214aには、第2円周壁236のうち短辺部246aおよび長辺部246bの角部と対向する部分と貫通穴252との間において複数の案内リブ254が形成されている。複数の案内リブ254は、印刷テープロール226から巻き出され且つ印刷テープゲート240および242を通して送り出された印刷テープ222を貫通穴252内へ案内する。
【0100】
図25は、第1ケース部材212を取り除いたカセット210を示す。
図25に示すように、印刷テープロール226から巻き出された印刷テープ222は、貫通穴252を通して第3ケース部材216と第4ケース部材218との間の第2空間内S2へ導かれている。これにより、印刷テープ222は、第1空間S1と第2空間内S2とを区画する板材として機能する底板214aに形成された貫通穴252を通して、テープケース220とリボンケース221とに架け渡されている。
【0101】
図26に示すように、印刷テープ222は、貫通穴252を通して、テープケース220内からリボンケース221内へ斜めに架け渡される。より詳細には、後述する
図33に示すように、印刷テープ222は、リボンケース221の凹部299にまで架け渡されている。
図27は、第2ケース部材214の底板214aの下面側を示している。
図27に示すように、第2ケース部材214の底板214aの裏面には、貫通穴252が開口しており、貫通穴252に沿って案内壁256が上下方向に立設されている。
図28は、第3ケース部材216の上面側を示している。第3ケース部材216の天井板216eには、貫通穴258と、インクリボン支持穴274と、巻取スプール支持穴278とが、形成されている。貫通穴258は、印刷テープ222を第2空間S2へ通すために、第2ケース部材214の貫通穴252に対応する位置に形成されている。つまり、貫通穴252の一部と貫通穴258の一部は上下方向において互いに重複している。
【0102】
第2ケース部材214の底板214aおよび第3ケース部材216の天井板216eは、テープケース220内の第1空間S1とリボンケース221内の第2空間S2とを区画する。
【0103】
インクリボン支持穴274は、インクリボン268が巻回された供給スプール270の一端を嵌め入れてインクリボンロール272を第1回転中心線C1と平行な第3回転中心線C3まわりに回転可能に支持する。巻取スプール支持穴278は、インクリボンロール272から巻き出されたインクリボン268を巻き取る巻取スプール276の一端を嵌め入れて巻取スプール276を第1回転中心線C1と平行な第4回転中心線C4まわりに回転可能に支持する。
【0104】
図29に示すように、第3ケース部材216の下面には、インクリボンロール保持壁286と、円筒状突起288とが、形成されている。インクリボンロール保持壁286は、巻取スプール276に巻き取られたインクリボン268の配置位置を規定するために巻取スプール支持穴278の周囲に巻取スプール支持穴278を中心とする円弧状に形成されている。円筒状突起288、インクリボン支持穴274の周囲から下方に突設され且つ先端面に周方向に並ぶ凹凸が形成されている。また、第3ケース部材216は、外周壁として短辺部216aと長辺部216bと、凹部299を囲むように配置されたU字状の凹部壁216cを備える。
【0105】
図21に示されるように、インクリボン268が巻回された供給スプール270の一端と円筒状突起288の先端面との間には、クラッチばねを収容したクラッチばねホルダ290が介在させられており、供給スプール270がクラッチばねホルダ290内のクラッチばねによって、インクリボンロール272には適度の回転抵抗が付与されるようになっている。
【0106】
図30および
図31は、第4ケース部材218の上面および下面を示している。第4ケース部材218には、巻取スプール276の他端を嵌め入れて巻取スプール276を回転可能に支持する巻取スプール支持穴294が第4ケース部材218を上下方向に貫通して形成されている。また、第4ケース部材218には、供給スプール270の他端を嵌め入れて供給スプール270を回転可能に支持する円筒状の支持突起297が形成されている。巻取スプール276の他端側の端面に形成された連結穴296が、
図20に示すように巻取スプール支持穴294を通して第4ケース部材218の下面に露出させられる。カセット210が印刷装置102に装着されたとき、印刷装置102の巻取スプール駆動軸108が連結穴296内に挿入されて巻取スプール76に連結され、巻取スプール276が巻取スプール駆動軸108により回転駆動される。第4ケース部材218には、
図30および
図31に示すように、凹部壁16cに対応するU字状の切欠き218aが形成されている。これら凹部壁216cおよび切欠き218aによって、凹部299が形成されている。
【0107】
図32は、
図24のXXXII-XXXII視断面図である。テープケース220とリボンケース221との間、すなわち、第2ケース部材214の底板214aと第3ケース部材216の天井板216eとの間には、所定容積の第3空間S3が形成されている。
【0108】
図33は、第3ケース部材216の下面を示す図である。
図33は、カセット210が巻取スプール駆動軸108が立設されたカセット装着部104に装着されたときの、印刷テープロール226から引き出される印刷テープ222、およびインクリボンロール272から引き出されるインクリボン268の経路を、それぞれ示している。前述の通り、印刷テープ222は、印刷テープロール226から引き出され、貫通穴252および貫通穴258を介してテープケース220内の第1空間S1からリボンケース221内の第2空間S2に斜めに架け渡される。そのため、第3ケース部材216を示す
図33において印刷テープ222は、第3ケース部材216の後方の貫通穴258から描画されている。巻取スプール駆動軸108により回転駆動される巻取スプール276がインクリボン268を巻きとることにより、印刷ヘッド106とプラテンローラ116との間においてインクリボン268と共に挟圧された印刷テープ222が印刷テープロール226から引き出される。
図33では、印刷テープ222の経路と、巻取スプール276の駆動によってインクリボンロール272から引き出されたインクリボン268の経路とが、二点鎖線および破線でそれぞれ示されている。
【0109】
印刷ヘッド106とプラテンローラ116との間の印刷場所Pでは、印刷テープ222がインクリボン268を介して印刷ヘッド106に押しつけられる。この状態で、印刷ヘッド106の表面に配置された複数の発熱素子が選択的に駆動されて局所発熱することで、インクリボン268の一面に設けられたインク68aのうち一部が印刷テープ222に転写されて、印刷テープ222に文字、記号などが印刷される。インクリボン268は、カセット210のリボンケース221すなわち第3ケース部材216に形成された排出口300から印刷テープ222と共に印刷場所Pへ向かって排出される。印刷場所Pを通過した使用済のインクリボン268は、搬入口302からリボンケース221内へ搬入され、巻取スプール276に巻き取られる。排出口300は、カセット210において、印刷テープロール226に対して上下方向の下方向側であるリボンケース221に設けられている。また、搬入口302は、カセット210において、印刷テープロール226に対して上下方向の下方向側であるリボンケース221に設けられている。
【0110】
図34は、カセット210から送り出された印刷テープ222の積層構を模式的に示している。印刷テープ222は、被印刷テープ222aと、被印刷テープ222aの非印刷面側に粘着剤222bを介して貼り着けられた剥離テープ222cとの積層体である。被印刷テープ222aの印刷面には、印刷テープ222からのインク268aが転写されている。なお、
図34に描かれた積層体の各部材222a~222c,268aの大きさや寸法比等は必ずしも正確ではない。
【0111】
図35は、第3ケース部材216の下面を示す図である。第3ケース部材216と第4ケース部材218との間の第2空間S2内すなわちリボンケース221内には、インクリボンロール272、巻取スプール276が収容されている。上述したように、リボンケース221は、テープケース220に対して下方に重ねて配置されている。テープケース220内に収容された印刷テープロール226およびスペーサフィルム238を第2空間S2内で上下方向に直交する前後方向および左右方向に広がる投影面上に対し上下方向に投影した場合、印刷テープロール226およびスペーサフィルム238の投影位置は
図35の一点鎖線で示される。なお、スペーサフィルム238は印刷テープロール226と略同じ直径を有するので、
図35では印刷テープロール226を表す一点鎖線のみを記載する。
図35に示すように、インクリボンロール272及び巻取スプール276は、印刷テープロール226と上下方向に重なる位置に配置されている。
図35に示されるように、印刷テープロール226の径は、インクリボンロール272の径よりも大きく、インクリボンロール272の径は巻取スプール276の径よりも大きい。
【0112】
図35において、印刷テープロール226は、インクリボンロール272の第3回転中心線C3、および巻取スプール276の第4回転中心線C4と上下方向において重なっている。換言すれば、印刷テープロール226の上下方向への投影面の中に、インクリボンロール272の第3回転中心線C3、および巻取スプール276の第4回転中心線C4が位置している。なお、第3回転中心線C3は、供給スプール270の回転中心でもある。また、供給スプール270の少なくとも一部、インクリボンロール272の少なくとも一部、巻取スプール276に巻き取られたインクリボン268の少なくとも一部及び印刷場所Pを通過した使用済のインクリボン268の少なくとも一部は、印刷テープロール226およびスペーサフィルム238と上下方向すなわち第1方向に重なっている。
【0113】
また、巻取スプール276の第4回転中心線C4とインクリボンロール272の第3回転中心線C3との間の距離は、印刷テープロール226の第1回転中心線C1とインクリボンロール272の第3回転中心線C3との間の距離よりも長い。印刷テープロール226の第1回転中心線C1と巻取スプール276の第4回転中心線C4との間の距離は、印刷テープロール226の第1回転中心線C1とインクリボンロール272の第3回転中心線C3との間の距離よりも短く、1/3以下である。印刷テープロール226の第1回転中心線C1は、巻取スプール276の第4回転中心線C4とインクリボンロール272の第3回転中心線C3とを結ぶ直線よりも印刷場所P側に位置している。
【0114】
また、
図35において、カセット210の上下方向に直交する前後方向、および、上下方向および前後方向に直交する左右方向において、カセット210の前後方向の中心すなわち奥行き方向寸法L1の中間と左右方向の中心すなわち左右方向寸法L2の中心である中心位置Mと、印刷テープロール226の回転中心である第1回転中心線C1との間の距離は、中心位置Mと巻取スプール276の回転中心すなわち第4回転中心線C4との間の距離、および中心位置Mとインクリボン268を巻回した供給スプール270の回転中心すなわち第3回転中心線C3との間の距離のいずれよりも小さい。また、印刷テープロール226、巻取スプール276、およびインクリボンロール272或いは供給スプール270の外周円をそれらに接する接線にて結ぶことで形成される凸包絡(線)Hの前後方向の寸法は、第3ケース部材216の前後方向の寸法の半分の寸法よりも大きい。凸包絡(線)Hの左右方向の寸法は、第3ケース部材216の左右方向の寸法の半分の寸法よりも大きい。
図19に示すように、第3ケース部材216の外周壁はカセット210の外周壁の一部を構成する。そのため、凸包絡(線)Hの前後方向及び左右方向のそれぞれの寸法は、カセット210の前後方向及び左右方向のそれぞれの寸法の半分の寸法よりも大きいとも表現することができる。なお、本実施形態では、巻取スプール276の全体が印刷テープロール226と上下方向に重なっているので、凸包絡Hは、印刷テープロール226および供給スプール270の外周円それらに接する接線にて結ぶことで形成される。
【0115】
本実施形態のカセット210によれば、被印刷媒体である印刷テープ222が巻回された印刷テープロール226と、印刷テープロール226から供給される印刷テープ222への印刷に使用されるインクリボン268が巻回され、回転可能な供給スプール270と、供給スプール270から供給されるインクリボン268を巻き取るように回転可能な巻取スプール276とを備え、供給スプール270および巻取スプール276は、印刷テープロール226に対し、供給スプール270に巻回されたインクリボン268の幅方向である上下方向のうちの下方向側に位置し、供給スプール270の少なくとも一部及び巻取スプール276の少なくとも一部は、印刷テープロール226と上下方向に重なっている。これにより、印刷テープロール226と供給スプール270および巻取スプール276とが、上下方向に分かれて設けられ、供給スプール270の少なくとも一部及び巻取スプール276の少なくとも一部が、印刷テープロール226と上下方向に重なっているので、カセット210は、上下方向と直交する直交方向においてカセットの小型化ができる。
【0116】
本実施形態のカセット210によれば、巻取スプール276の回転中心である第4回転中心線C4は、印刷テープロール226と上下方向において重なっている。これにより、カセット210は、巻取スプール276の第4回転中心線C4が印刷テープロール226と上下方向に重ならない場合よりも、上下方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0117】
本実施形態のカセット210によれば、供給スプール270の回転中心である第3回転中心線C3は、印刷テープロール226と上下方向において重なっている。これにより、カセット210は、供給スプール270の第3回転中心線C3が印刷テープロール226と上下方向に重ならない場合よりも、上下方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0118】
本実施形態のカセット210によれば、印刷テープロール226は、回転可能な印刷テープスプール224に印刷テープ222が巻回されてなり、巻取スプール276に巻き取られたインクリボン268の少なくとも一部は、印刷テープロール226と上下方向において重なっている。これにより、カセット210は、巻取スプール276に巻き取られたインクリボン268の少なくとも一部が、印刷テープロール226と上下方向において重ならない場合よりも、上下方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0119】
本実施形態のカセット210によれば、巻取スプール276の少なくとも一部は、印刷テープスプール224と上下方向において重なっている。これにより、カセット210は、巻取スプール276の少なくとも一部が、印刷テープスプール224と上下方向において重ならない場合よりも、上下方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0120】
本実施形態のカセット210によれば、印刷テープロール226は、回転可能な印刷テープスプール224に印刷テープ222が巻回されてなり、上下方向と直交する直交方向において、巻取スプール276の回転中心である第4回転中心線C4と印刷テープスプール224の回転中心である第1回転中心線C1との間の距離は、供給スプール270の回転中心である第3回転中心線C3と印刷テープスプール224の回転中心である第1回転中心線C1との間の距離よりも短い。これにより、カセット210は、巻取スプール276の回転中心である第4回転中心線C4と印刷テープスプール224の回転中心である第1回転中心線C1との間の距離が、供給スプール270の回転中心である第3回転中心線C3と印刷テープスプール224の回転中心である第1回転中心線C1との間の距離よりも長い場合よりも、上下方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0121】
また、本実施形態のカセット210によれば、上下方向と直交する前後方向、及び、上下方向と前後方向とに直交する左右方向において、カセット210の前後方向の中心且つ左右方向の中心である中心位置Mと印刷テープロール226の回転中心である第1回転中心線C1との間の距離は、巻取スプール276の回転中心である第4回転中心線C4と中心位置Mとの間の距離及び供給スプール270の回転中心である第3回転中心線C3と中心位置との間の距離の何れよりも小さい。印刷テープロール226の径はインクリボンロール272および巻取スプール276よりも大きいので、これにより、中心位置Mと印刷テープロール226の回転中心との間の距離が、巻取スプール276の回転中心と中心位置Mとの間の距離及び供給スプール270の回転中心と中心位置Mとの間の距離の何れよりも小さくない場合よりも、印刷テープロール226と供給スプール270および巻取スプール276との重なりが大きく得られ、カセット210は、上下方向と直交する直交方向において小型化が可能となる。
【0122】
また、本実施形態のカセット210によれば、上下方向と直交する前後方向における、印刷テープロール226、巻取スプール276及びインクリボンロール272或いは供給スプール270の外周円とそれらに接する接線とで定義される凸包絡Hの寸法は、前後方向におけるカセット210の寸法の半分の寸法よりも大きい。さらに、上下方向と前後方向とに直交する左右方向における凸包絡Hの寸法は、左右方向におけるカセット210の寸法の半分の寸法よりも大きい。これにより、カセット210内の空間を印刷テープロール226、巻取スプール276及び供給スプール270で締める割合が高くなるので、カセット210は、上下方向と直交する直交方向において小型化が可能となる。
【0123】
本実施形態のカセット210によれば、印刷テープロール226が収容されたテープケース220と、テープケース220に対して第1方向の一方に位置し、供給スプール270と巻取スプール276とが収容されたリボンケース221とを備え、リボンケース221は、印刷テープロール226から供給された印刷テープ222及び供給スプール270に巻回されたインクリボン268が、リボンケース221から排出される排出口300と、排出口300から排出されたインクリボン268がリボンケース221に搬入される搬入口302とを、備え、巻取スプール276は、搬入口302から搬入されたインクリボン268が巻回される。これにより、一旦、排出口300から排出されてから搬入口302から搬入されたインクリボン268が巻取スプール276により巻き取られるので、リボンケース221内に形成された経路でインクリボン268が巻取スプール276に巻き取られる場合よりも、インクリボン268の戻り経路をリボンケース221内に形成する空間が不要となり、カセット210は、上下方向と直交する直交方向においてカセットの小型化ができる。
【0124】
本実施形態のカセット210によれば、搬入口302とインクリボン268が巻取スプール276に巻回される位置との間に位置するインクリボン268の一部は、印刷テープロール226と上下方向に重なっている。これにより、カセット210は、搬入口302とインクリボン268が巻取スプール276に巻回される位置との間に位置するインクリボン268の一部が、印刷テープロール226と上下方向に重ならない場合よりも、上下方向と直交する直交方向において小型化が可能である。
【0125】
本実施形態のカセット210によれば、被印刷媒体である印刷テープ222が巻回された印刷テープロール226と、印刷テープ222への印刷に使用されるインクリボン268が巻回され、回転可能な供給スプール270と、供給スプール270から供給されるインクリボン268を巻き取るように回転可能な巻取スプール276と、供給スプール270に巻回されたインクリボン268の幅方向である上下方向において、印刷テープロール226に当接するスペーサフィルム238とを、備え、供給スプール270の少なくとも一部及び巻取スプール276の少なくとも一部は、スペーサフィルム238と上下方向に重なっている。これにより、スペーサフィルム238とインクリボン268とが上下方向に重ならない場合に比較して、カセット210は、上下方向と直交する直交方向において小型化ができる。
【0126】
なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施形態であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が加えられ得るものである。
【0127】
例えば実施形態1のカセット10はローラ80を備えていたが、備えていなくてもよい。また、上記実施形態の印刷テープロール26,226、貼合せテープロール64、インクリボンロール72,272及び巻取スプール76,276は、前後方向もしくは左右方向に対して水平に設けられていたが、これらは水平に設けられていなくてもよい。例えばインクリボンロール72,272が前後方向及び左右方向に対して水平に設けられていない場合、インクリボン68,268の幅方向である第1方向は、上記実施形態の上下方向とは異なる方向となる。この場合、インクリボン68,268の幅方向である第1方向に直交する第2方向、及び、第1方向と第2方向とに直交する第3方向は、各々上記実施形態の前後方向及び左右方向とは異なる方向となる。また、印刷テープ22、貼合せテープ60及びインクリボン68の搬送経路は
図14に示す経路に限らず、適宜様々な経路を採用することができる。例えばインクリボン68は、搬入口132からリボンケース21に搬入された後、貼合せテープロール64の左側及び後側を通過して巻取スプール76に巻き取られてもよい。この場合でも、搬入口132から搬入されたインクリボン68の少なくとも一部が印刷テープロール26と上下方向に重なっていれば、上下方向に直交する直交方向においてカセットの小型化が可能となる。同様に、印刷テープ222及びインクリボン268の搬送経路は
図33に示す経路に限らず、適宜様々な経路を採用することができる。また、貼合せテープロール64、インクリボンロール72,272及び巻取スプール76,276の配置は上記実施形態に示す位置に限定されるものではない。例えば貼合せテープロール64が巻取スプール76よりも右側に配置されてもよいし、巻取スプール276がインクリボンロール272よりも右側に配置されていてもよい。また、実施形態1では、貼合せテープロール64、供給スプール70、巻取スプール76のすべてが印刷テープロール26と上下方向に重なる位置に配置されていたが、供給スプール70及び巻取スプール76のみが印刷テープロール26と上下方向に重なる位置に配置されていてもよい。
【0128】
また、上述した実施形態のカセット10,210は、第1ケース部材12,212、第2ケース部材14,214、第3ケース部材16,216および第4ケース部材18,218の4つのケース部材が上下方向に重ねられて構成されていたが、カセット10はこの構成に限定されるものではない。例えば
図36に示すように、カセット10は、第1ケース部材12,212と第5ケース部材501と第4ケース部材18,218の3つのケース部材が上下方向に積層されて構成されていてもよい。第5ケース部材501は、上記実施形態の貫通穴52,58,252,258に相当する上下に貫通する貫通穴502有するとともに、第1空間S1と第2空間S2とを区画する。第5ケース部材501は、上面側の構成が第2ケース部材14,214の上面側と同じ形状に構成され、下面側が第3ケース部材16,216の下面側と同じ形状に構成されるとよい。この変形例の場合、第1ケース部材12,212と第5ケース部材501により、内部に第1空間S1を有するテープケース20,220が構成され、第5ケース部材501と第4ケース部材18,218により、内部に第2空間S2を有するリボンケース21,221が構成される。
【0129】
また、上述した実施形態の印刷テープロール26,226は、印刷テープ22,222が円筒状の軸芯材である印刷テープスプール24,224に巻回されて構成されていたが、印刷テープ22,222は印刷テープスプール24,224に巻回されず、第1支持突起30,230及び第2支持突起32,232を中心に巻回されることで印刷テープロール26,226を構成してもよい。同様に、貼合せテープ60は、貼合せスプール62に巻回されることなく巻回され、貼合せテープロール保持壁84及び円弧状壁92により貼合せテープ60の外周が規定されて配置されてもよい。
また、印刷テープロール26,226は、上記実施形態の
図16又は
図35で示される第3ケース部材16,216に対する寸法比で示される寸法に限定されるものではない。例えば、印刷テープロール26,226の径をテープケース20,220の側壁内側に接するくらい大きくしてもよい。この場合、印刷テープ22,222が、テープケース20,220から排出口130、300を経由して印刷場所Pまで引き出されると、印刷テープロール26,226は、排出口130、300から排出された印刷テープ22,222と上下方向に重なることとなる。またこの場合、リボンケース21,221内を搬送される印刷テープ22,222は、排出口130、300から排出される前に印刷テープロール26,226と上下方向に重なる。このような構成を採用しても、上下方向に直交する直交方向においてカセットの小型化が可能となる。
【0130】
なお、上述したのはあくまでも本発明の位置実施形態であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が加えられ得るものである。
前記第1方向と直交する第2方向、及び、前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向において、前記カセットの前記第2方向の中心且つ前記第3方向の中心である中心位置と前記印刷テープロールの回転中心との間の距離は、前記巻取スプールの回転中心と前記中心位置との間の距離及び前記供給スプールの回転中心と前記中心位置との間の距離の何れよりも小さいことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のカセット。
前記第1方向と直交する第2方向における、前記印刷テープロール、前記巻取スプール及び前記供給スプールにより定義される凸包絡の寸法は、前記第2方向における前記カセットの寸法の半分の寸法よりも大きく、
前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向における前記凸包絡の寸法は、前記第3方向における前記カセットの寸法の半分の寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1から7の何れかに記載のカセット。
前記搬入口と前記インクリボンが前記巻取スプールに巻回される位置との間に位置する前記インクリボンの一部は、前記印刷テープロールと前記第1方向に重なることを特徴とする請求項9に記載のカセット。