(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174189
(43)【公開日】2024-12-13
(54)【発明の名称】コネクタユニット
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6581 20110101AFI20241206BHJP
【FI】
H01R13/6581
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024173241
(22)【出願日】2024-10-02
(62)【分割の表示】P 2021051801の分割
【原出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(72)【発明者】
【氏名】和泉 海志
(72)【発明者】
【氏名】吉川 正章
(57)【要約】
【課題】コネクタユニットにおける電磁シールド効果をより高めることを目的とする。
【解決手段】第1コネクタ20と、第2コネクタ30と、第1コネクタと第2コネクタとを電気的に接続する複数の電線40と、複数の電線を覆う電磁シールド部材50と、第1コネクタを覆った状態で第1コネクタに固定された電磁シールドカバー60と、第2コネクタとは分離した状態で、接地対象箇所に固定される導電性ブラケット70とを備え、電磁シールドカバーは、カバー本体62と、カバー本体に固定されるカバー用固定プレート68とを含み、電磁シールド部材の一端部がカバー本体62とカバー用固定プレート68とに挟持されることで電磁シールドカバーに固定されており、電磁シールド部材の他端部に導電性ブラケット70が固定されており、導電性ブラケット70は導電性ブラケットの厚み方向に突出する補強リブ部75、77を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタと、
第2コネクタと、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとを電気的に接続する複数の電線と、
前記複数の電線を電磁的にシールド可能な状態で覆う電磁シールド部材と、
前記第1コネクタを覆った状態で前記第1コネクタに固定された電磁シールドカバーと、
前記第2コネクタとは分離した状態で、接地対象箇所に固定される導電性ブラケットと、
を備え、
前記電磁シールドカバーは、カバー本体と、前記カバー本体に固定されるカバー用固定プレートとを含み、
前記電磁シールド部材の一端部が前記カバー本体と前記カバー用固定プレートとに挟持されることで、前記電磁シールドカバーに固定されており、
前記電磁シールド部材の他端部に前記導電性ブラケットが固定されており、
前記導電性ブラケットは、前記導電性ブラケットの厚み方向に突出する補強リブ部を含み、
前記補強リブは、前記電磁シールド部材の存在範囲外に位置する、コネクタユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタユニットであって、
前記電磁シールドカバーと前記導電性ブラケットとの少なくとも一方に、前記電磁シールド部材の固定のためのプレス痕として凹部が形成されており、
前記凹部が前記電磁シールドカバー又は前記導電性ブラケットの固定対象側に開口している、コネクタユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタユニットであって、
前記凹部が水平方向よりも下を向くように開口している、コネクタユニット。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタユニットであって、
前記第2コネクタは、前記複数の電線の他端に接続される複数の端子と、前記複数の端子を保持する樹脂製のハウジングとを含む、コネクタユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコネクタユニットであって、
前記電磁シールド部材は、前記複数の電線が並ぶ方向に垂直な方向において、前記複数の電線の一方側のみを覆う、コネクタユニット。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコネクタユニットであって、
前記導電性ブラケットは、前記電磁シールド部材が固定された部分から前記接地対象箇所に向けて延出するブラケット固定部を含み、
前記補強リブ部は、前記ブラケット固定部に形成された固定部用補強リブ部を含む、コネクタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に、車両などに用いられるコネクタユニットが開示されている。同コネクタユニットは、第1コネクタと、第2コネクタと、第1コネクタと第2コネクタとを電気的に接続する複数の電線と、を備える。また、同コネクタユニットは、複数の電線を覆う電磁シールド部材と、電磁シールド部材の一端部に固定された電磁シールドカバーと、電磁シールド部材の他端部に固定されたブラケットと、を備える。電磁シールド部材は、例えば、導体にてシート状に構成された金属編組である。電磁シールドカバーは、第1コネクタを覆う態様で第1コネクタに固定されている。電磁シールドカバーの一部を折返すように曲げ変形した折り曲げ固定部で電磁シールド部材の端部を挟むことにより、電磁シールドカバーに電磁シールド部材が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電磁シールドカバーにおいて、折り曲げ固定部は、電磁シールドカバーから電磁シールド部材を引き出す側に折り返されている。このため、電磁シールドカバーには、折り曲げ固定部の成形に伴い開口が形成される。ここにおいて、電磁シールドカバー、電磁シールド部材等によるシールド効果をより高めることが望まれている。
【0005】
そこで、本開示は、コネクタユニットにおける電磁シールド効果をより高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタユニットは、第1コネクタと、第2コネクタと、前記第1コネクタと前記第2コネクタとを電気的に接続する複数の電線と、前記複数の電線を電磁的にシールド可能な状態で覆う電磁シールド部材と、前記第1コネクタを覆った状態で前記第1コネクタに固定された電磁シールドカバーと、前記第2コネクタとは分離した状態で、接地対象箇所に固定される導電性ブラケットと、を備え、前記電磁シールドカバーは、カバー本体と、前記カバー本体に固定されるカバー用固定プレートとを含み、前記電磁シールド部材の一端部が前記カバー本体と前記カバー用固定プレートとに挟持されることで、前記電磁シールドカバーに固定されており、前記電磁シールド部材の他端部に前記導電性ブラケットが固定されており、前記導電性ブラケットは、前記導電性ブラケットの厚み方向に突出する補強リブ部を含む、コネクタユニットである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コネクタユニットにおける電磁シールド効果がより高められる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態に係るコネクタユニットを示す斜視図である。
【
図2】
図2はコネクタユニットを示す側面図である。
【
図3】
図3は電磁シールドユニットを示す斜視図である。
【
図4】
図4は電磁シールドユニットを示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は電磁シールド部材と電磁シールドカバーとの固定箇所を示す図である。
【
図6】
図6は導電性ブラケットと電磁シールドカバーとの固定箇所を示す図である。
【
図7】
図7は導電性ブラケットと電磁シールドカバーとの固定箇所を別方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示のコネクタユニットは、次の通りである。
【0011】
(1)第1コネクタと、第2コネクタと、前記第1コネクタと前記第2コネクタとを電気的に接続する複数の電線と、前記複数の電線を電磁的にシールド可能な状態で覆う電磁シールド部材と、前記第1コネクタを覆った状態で前記第1コネクタに固定された電磁シールドカバーと、前記第2コネクタとは分離した状態で、接地対象箇所に固定される導電性ブラケットと、を備え、前記電磁シールドカバーは、カバー本体と、前記カバー本体に固定されるカバー用固定プレートとを含み、前記電磁シールド部材の一端部が前記カバー本体と前記カバー用固定プレートとに挟持されることで、前記電磁シールドカバーに固定されており、前記電磁シールド部材の他端部に前記導電性ブラケットが固定されており、前記導電性ブラケットは、前記導電性ブラケットの厚み方向に突出する補強リブ部を含む、コネクタユニットである。
【0012】
このコネクタユニットによれば、電磁シールド部材の一端部がカバー本体とカバー用固定プレートとに挟まれて固定される。これにより、電磁シールドカバーに開口を設けなくても電磁シールド部材を電磁シールドカバーに固定することが可能となる。また、導電性ブラケットが第2コネクタから分離した状態で、接地対象箇所に固定されて接地されることが可能となる。この際、導電性ブラケットには、補強リブ部が形成されているため、厚み方向の振動が抑制され、導電性ブラケットが接地対象箇所に安定して固定される。結果、コネクタユニットにおける電磁シールド効果がより高められる。
【0013】
(2)(1)のコネクタユニットであって、前記電磁シールドカバーと前記導電性ブラケットとの少なくとも一方に、前記電磁シールド部材の固定のためのプレス痕として凹部が形成されており、前記凹部が前記電磁シールドカバー又は前記導電性ブラケットの固定対象側に開口していてもよい。このように、凹部が電磁シールドカバーの内側に開口すると、凹部内に水が溜り難くなり、防食性が向上する。
【0014】
(3)(2)のコネクタユニットであって、前記凹部が水平方向よりも下を向くように開口していてもよい。これにより、凹部に水が侵入したとしても、水が外に排出され易い。
【0015】
(4)(1)から(3)のいずれか1つに係るコネクタユニットであって、前記第2コネクタは、前記複数の電線の他端に接続される複数の端子と、前記複数の端子を保持する樹脂製のハウジングとを含んでもよい。第2コネクタのハウジングを樹脂によって容易に製造できるので、コスト低減が可能となる。
【0016】
(5)(1)から(4)のいずれか1つに係るコネクタユニットであって、前記電磁シールド部材は、前記複数の電線が並ぶ方向に垂直な方向において、前記複数の電線の一方側のみを覆ってもよい。これにより、電磁シールド部材の使用量を減らすことができる。
【0017】
(6)(1)から(5)のいずれか1つに係るコネクタユニットであって、前記導電性ブラケットは、前記電磁シールド部材が固定された部分から前記接地対象箇所に向けて延出するブラケット固定部を含み、前記補強リブ部は、前記ブラケット固定部に形成された固定部用補強リブ部を含んでもよい。これにより、ブラケット固定部を補強することができ、固定箇所を中心として導電性ブラケットが厚み方向に振動することが抑制される。
【0018】
(7)(1)から(6)のいずれか1つの態様に係るコネクタユニットであって、前記導電性ブラケットは、前記接地対象箇所に固定されるブラケット本体と、前記ブラケット本体に固定されるブラケット用固定プレートとを含み、前記電磁シールド部材の他端部が前記ブラケット本体と前記ブラケット用固定プレートとに挟持されることで、前記導電性ブラケットに固定されており、前記ブラケット本体と前記ブラケット用固定プレートとの一方が、前記ブラケット本体と前記ブラケット用固定プレートとの重ね合せ領域から前記電磁シールド部材が延出する方向に延出する保護用延出部を含んでもよい。この場合、保護用延出部によって電磁シールド部材を保護することができる。
【0019】
(8)(7)のコネクタユニットであって、前記保護用延出部は、前記ブラケット本体と前記ブラケット用固定プレートとの前記重ね合せ領域の幅よりも小さい幅に形成されていてもよい。このように、保護用延出部を、保護が要請される領域に合せて前記ブラケット本体と前記ブラケット用固定プレートとの重ね合せ領域の幅よりも小さい幅に形成することで、軽量化が可能となる。
【0020】
(9)(7)又は(8)のコネクタユニットであって、前記補強リブ部は、前記保護用延出部に形成された延出部用補強リブ部を含んでもよい。これにより、保護用延出部がその厚み方向に振動することが抑制される。
【0021】
(10)(7)から(9)のいずれか1つに係るコネクタユニットであって、前記保護用延出部に、孔が形成されていてもよい。これにより、導電性ブラケットの軽量化が可能となる。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタユニットの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0023】
[実施形態]
以下、実施形態に係るコネクタユニットについて説明する。
図1はコネクタユニット10を示す斜視図であり、
図2はコネクタユニット10を示す側面図である。
図2において、取付対象となる機器B1、B2、B3、周辺機器B4の一部が図示される。
【0024】
<コネクタユニットの全体構成>
コネクタユニット10の全体構成について説明する。コネクタユニット10は、第1コネクタ20と、第2コネクタ30と、複数の電線40と、電磁シールド部材50と、電磁シールドカバー60と、導電性ブラケット70とを備える。
【0025】
第1コネクタ20は、第1機器B1に固定される。第2コネクタ30は第2機器B2に固定される。機器B1、B2は、車載機器である。例えば、第1機器B1はインバータであり、第2機器B2は、電気自動車又はハイブリッド車における走行駆動用のモーターである。複数の電線40は、第1コネクタ20と第2コネクタ30とを電気的に接続する。これにより、第1機器B1と第2機器B2とが電気的に接続される。つまり、第1コネクタ20と、第2コネクタ30と、複数の電線40とによって、第1機器B1と第2機器B2とを電気的に接続する配線部品が構成される。本実施形態では、第1コネクタ20と第2コネクタ30とは高圧用のコネクタであり、複数の電線40は高圧用の電線である。
【0026】
電磁シールド部材50は、複数の電線40を電磁的にシールド可能な状態で覆う部材である。電磁シールドカバー60は、第1コネクタ20を覆った状態で第1コネクタ20に固定される部材である。電磁シールドカバー60は、第1コネクタ20を介して第1機器B1に固定される。導電性ブラケット70は、第2コネクタ30とは分離した状態で、接地対象箇所及び固定対象箇所の一例である機器B3に固定される部材である。機器B3は、機器B2と同じであってもよいし、機器B2とは異なっていてもよい。電磁シールド部材50の一端部は電磁シールドカバー60に固定されている。電磁シールド部材50の他端部は導電性ブラケット70に固定されている。このため、電磁シールド部材50は、電磁シールドカバー60を介して第1機器B1に接地される。また、電磁シールド部材50は、導電性ブラケット70を介して機器B3に接地される。電磁シールド部材50と電磁シールドカバー60と導電性ブラケット70とによって、電磁シールドユニットが構成される。
【0027】
各部構成についてより具体的に説明する。
【0028】
<第1コネクタについて>
第1コネクタ20は、複数の第1端子22と、複数の第1端子22を保持する第1保持部材24とを備える。各第1端子22は、各電線40の一端部に接続されている。
【0029】
第1保持部材24は、例えば、ベース部材25と、樹脂部26とを備える。ベース部材25は、例えば、金属板をプレス加工することによって形成される。ベース部材25の中央部に楕円状の貫通孔が形成されており、その貫通孔の周縁部に樹脂部26が一体形成される。
【0030】
樹脂部26は、複数の第1端子22をインサート部品として金型成形することにより形成される。複数の第1端子22は、樹脂部26によって並列状態に保持される。複数の第1端子22と電線40との接続部分は、樹脂部26内に設けられる。樹脂部26は、ベース部材25の貫通孔の周縁部に沿った環状枠形状をなす部分を有しており、その内部に開口部26hが形成される。複数の第1端子22のうち電線40とは反対側の機器側接続端部は、当該開口部26h内に延出している。
【0031】
樹脂部26の外周部からベース部材25が延出している。ベース部材25が第1機器B1の筐体に接した状態で、ベース部材25が第1機器B1に対してネジ止等によって固定される。第1機器B1の筐体は、車体に接地されている。このため、ベース部材25は、第1機器B1の筐体を介して接地される。このように、第1コネクタ20が第1機器B1に固定された状態で、当該第1機器B1側の端子が第1端子22の機器側接続端部に接続される。
【0032】
<第2コネクタについて>
第2コネクタ30は、複数の第2端子32と、複数の第2端子32を保持するハウジングとしての第2保持部材34と、端子台36とを備える。各第2端子32は、各電線40の他端部に接続されている。
【0033】
第2保持部材34は、例えば、樹脂によって形成されている。第2保持部材34は、複数の第2端子32をインサート部品として金型成形することにより形成される。複数の第2端子32と電線40との接続部分は、第2保持部材34内に設けられる。第2保持部材34は、環状枠形状をなす部分を有しており、その内部に開口部34hが形成される。複数の第2端子32のうち電線40とは反対側の機器側接続端部は開口部34h内に延出している。
【0034】
端子台36は、例えば、樹脂によって形成されている。端子台36は、第2保持部材34の周囲から張出す形状、例えば、板状に形成される。端子台36は、第2保持部材34とは別体に金型成形された樹脂部分であり、当該第2保持部材34と合体された構成であってもよい。端子台36は、第2保持部材34と一体に金型成形されていてもよい。
【0035】
端子台36は、第2機器B2に対してネジ止等によって固定される。この場合、端子台36にネジ止用の貫通孔が形成される。貫通孔には、筒状のカラーが埋設されていてもよい。カラーは、端子台36を形成する樹脂よりも高剛性な材料、例えば、金属によって形成されてもよい。
【0036】
端子台36は、複数の中継端子を保持していてもよい。各中継端子の一端部が第2端子の機器側接続端部に接続され、各中継端子の他端部が第2機器B2側の端子に接続されてもよい。なお、第2端子の機器側接続端部が、中継端子を介さずに、第2機器B2の端子に接続されてもよい。
【0037】
複数の電線40の一端部は第1コネクタ20によって並列状態に保持され、複数の電線40の他端部は第2コネクタ30によって並列状態に保たれる。このため、複数の電線40の長さ方向中間部も、第1コネクタ20と第2コネクタ30との間において並列状態に保たれる。第1コネクタ20が第1機器B1に固定され、第2コネクタ30が第2機器B2に固定された状態で、複数の電線40がその並列方向に対して交差する方向に容易に曲げられる。
【0038】
<電磁シールドユニットについて>
図3は電磁シールドユニットを示す斜視図であり、
図4は電磁シールドユニットを示す分解斜視図である。電磁シールドユニットは、電磁シールド部材50と電磁シールドカバー60と導電性ブラケット70とを備える。電磁シールド部材50が複数の電線40に対する電磁シールドを行い、電磁シールドカバー60が第1コネクタ20に対する電磁シールドを行う。電磁シールド部材50が電磁シールドカバー60及び導電性ブラケット70を介して接地される。
【0039】
<電磁シールド部材について>
電磁シールド部材50は、導体によってシート状に構成されている。電磁シールド部材50は、厚み方向に曲げ可能な柔軟性を有している。例えば、電磁シールド部材50は、導体によって形成された複数の素線が編まれてシート状に形成された編組であってもよい。素線の形成材料としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金が用いられてもよい。本実施形態では、電磁シールド部材50は、一方向に長い長方形シート状に形成されている。
【0040】
電磁シールド部材50は、複数の電線40が並ぶ方向に垂直な方向において複数の電線40の一方側のみを覆っている。このため、複数の電線40は、電磁シールド部材50が設けられた側とは他方側では、電磁シールド部材によって覆われていない。
【0041】
本実施形態では、第1コネクタ20が第1機器B1に固定されると共に、第2コネクタ30が第2機器B2に固定された状態で、複数の電線40の中間部が実質的に90゜曲っている。電磁シールド部材50は、複数の電線40のうち第1コネクタ20寄りの部分において、当該複数の電線40が並ぶ幅方向及び複数の電線40が延びる方向の両方に垂直な方向において複数の電線40の一方側のみを覆っている。
【0042】
例えば、複数の電線40に対して当該複数の電線40が並ぶ方向に垂直な方向の一方側に、電磁ノイズ対策が必要な機器B4が配置される場合、上記電磁シールド部材50によって、複数の電線40と機器B4との間で電磁シールドがなされ得る。
【0043】
<電磁シールドカバーについて>
図5は電磁シールド部材50と電磁シールドカバー60との固定箇所を第1機器B1側から見た図である。
図3から
図5に示すように、電磁シールドカバー60は、カバー本体62と、カバー用固定プレート68とを含む。カバー本体62は、第1コネクタ20を覆う部分である。カバー用固定プレート68は、カバー本体62に重ね合わされた状態で、カバー本体62に固定される部分である。カバー本体62及びカバー用固定プレート68は、例えば、金属板をプレス加工することによって形成される。
【0044】
カバー本体62は、第1コネクタ20を覆った状態で第1コネクタ20に固定される。例えば、カバー本体62は、第1保持部材24を覆う覆い部分62aと、当該覆い部分62aから外方に延出する固定片62bとを有する。覆い部分62aは、細長い天井部分の周囲3方から当該天井部分と交差するように周壁部分が突出する形状に形成される。この覆い部分62aが、第1保持部材24のうち開口部26hの外向き部分(第1機器B1とは反対側部分)と、当該第1保持部材24のうち電線40が延出する側を除く3方向部分を覆う。覆い部分62aの両側から一対の固定片62bが延出する。固定片62bがベース部材25に重なった状態で、ネジ止等によって、固定片62bがベース部材25に固定される。これにより、電磁シールドカバー60が第1コネクタ20に接した状態で固定される。また、上記したように、第1コネクタ20は第1機器B1に固定されるため、電磁シールドカバー60は、当該第1コネクタ20と一体化された状態で、第1機器B1に固定される。
【0045】
上記覆い部分62aのうち電線40が延出する側の縁に沿って板状の固定部63が形成される。カバー用固定プレート68は、一方向に長い長方形板状に形成されている。カバー用固定プレート68は、上記固定部63に重ね合わされる。電磁シールド部材50の一端部は、カバー本体62の固定部63とカバー用固定プレート68とに挟持されることで、電磁シールドカバー60に固定される。本実施形態では、カバー用固定プレート68は、カバー本体62に対し第1コネクタ20が収容される側(第1機器B1側でもある)に重ね合わされる。カバー用固定プレート68は、カバー本体62に対し第1コネクタ20とは反対側の外側に重ね合わされてもよい。
【0046】
カバー用固定プレート68をカバー本体62に重ね合せた状態に固定するための構成例について説明する。例えば、カバー用固定プレート68とカバー本体62とが重ね合わされた状態で、プレス加工することによって、カバー用固定プレート68がカバー本体62に固定される。
【0047】
より具体的には、カバー本体62における固定部63とカバー用固定プレート68との間に電磁シールド部材50の一端部を挟み込んだ状態で、カバー用固定プレート68とカバー本体62をプレス加工する。この際、一方側のプレス型として部分的な凸部が形成されたものを用い、他方側のプレス型として凸部と対向する位置に凹部が形成されたものを用いる。一対のプレス型によって、カバー本体62とカバー用固定プレート68とをプレスすることによって、カバー本体62とカバー用固定プレート68との一方に形成された凸部が他方の凹部に嵌り込んで、カバー本体62とカバー用固定プレート68とが重なり合った状態に固定される。
【0048】
例えば、一方側のプレス型の凸部をカバー用固定プレート68に押し当て、他方側のプレス型の凹部をカバー本体62の外向き面に配置して、プレス加工を行う。すると、カバー用固定プレート68の一部がカバー本体62側に押出されるように変形する。カバー用固定プレート68のプレス痕として、カバー本体62とは反対側から見て凹み、カバー本体62側から見て突出する形状部分が形成される。カバー本体62のプレス痕として、カバー用固定プレート68側から見て凹み、カバー用固定プレート68とは反対側から見て突出する形状部分が形成される。カバー用固定プレート68とカバー本体62との間において、カバー用固定プレート68のプレス痕である凸部がカバー本体62側のプレス痕である凹部に嵌り込むことで、カバー用固定プレート68がカバー本体62の固定部63に重ね合わされた状態に固定される。この嵌り合い構造が、カバー本体62とカバー用固定プレート68との間に電磁シールド部材50の一端部が介在した状態で成立する。
【0049】
上記凹凸の向きは特に限定されないが、外部から見て観察されるプレス痕としての凹部69は、電磁シールドカバー60の固定対象である第1機器B1側に開口していることが好ましい。本実施形態では、カバー本体62に対してカバー用固定プレート68が第1機器B1側に位置しているため、カバー用固定プレート68側に凹部69が形成されていることが好ましい。本実施形態では、カバー用固定プレート68の長さ方向において間隔をあけて複数箇所に上記プレス痕が形成されているが、当該プレス箇所の数は任意である。
【0050】
上記プレス痕である凹部69は、重力方向に直交する水平方向よりも下を向くように開口していることが好ましい。カバー用固定プレート68のうち電磁シールド部材50が延出する側の長辺の縁は、電磁シールド部材50とは反対側にカーブをなしつつ曲げられていてもよい。これにより、カバー用固定プレート68の縁が線状の小さい領域で電磁シールド部材50に接触し難くなる。
【0051】
カバー本体62に対してカバー用固定プレート68及び電磁シールド部材50の一端部を位置精度よく位置決めするため、次の構成が採用されてもよい。
【0052】
すなわち、カバー本体62のうち固定部63の周縁に、第1位置決め孔63hが形成される。第1位置決め孔63hは、固定部63の板厚方向から見て例えば略長方形をなしている。第1位置決め孔63hは、例えば、カバー用固定プレート68が配置される境界に沿って複数設けられている。例えば、複数の第1位置決め孔63hは、固定部63に重ね合わされるカバー用固定プレート68の一方の長辺(電磁シールド部材50が延出する側とは反対側の長辺)に沿って間隔をあけて複数形成される。また、第1位置決め孔63hは、固定部63に重ね合わされるカバー用固定プレート68の両方の短辺に沿う位置に形成される。
【0053】
カバー用固定プレート68の外周縁に第1位置決め凹部68hが形成される。第1位置決め凹部68hは、カバー用固定プレート68の板厚方向から見て例えば略長方形をなして凹む形状に形成されている。第1位置決め凹部68hは、例えば、カバー用固定プレート68の外周縁に複数設けられる。例えば、複数の第1位置決め凹部68hは、カバー用固定プレート68の一方の長辺側の縁に間隔をあけて複数形成される。また、第1位置決め凹部68hは、カバー用固定プレート68の両方の短辺側の縁にも形成される。
【0054】
複数の第1位置決め凹部68hは、複数の第1位置決め孔63hの各々に対応している。カバー用固定プレート68が固定部63に固定された状態において、各第1位置決め凹部68hと各第1位置決め孔63hとは、固定部63及びカバー用固定プレート68の厚み方向に沿って見て、少なくとも一部で重なり合う領域に形成される。
【0055】
なお、カバー用固定プレート68の長辺側の縁に形成された第1位置決め凹部68hは、第1位置決め孔63hよりもカバー用固定プレート68の内側に大きく凹むように形成されている。カバー用固定プレート68が固定部63に重ね合わされた状態で、第1位置決め凹部68hのうちの開口に近い領域に第1位置決め孔63hが配置され、第1位置決め凹部68hのうち奥側に近い領域に電磁シールド部材50の一端部の端縁部が位置することができる。
【0056】
カバー本体62の固定部63にカバー用固定プレート68をプレス加工等によって固定する際には、次のように位置決めされる。
【0057】
まず、カバー本体62の固定部63を、例えば、プレス型に載置する際に、当該プレス型から突出する複数の第1位置決めピンP1が、固定部63の複数の第1位置決め孔63hにそれぞれ挿入される。
【0058】
次に、カバー本体62の固定部63に、電磁シールド部材50の一端部を載置する。この際、電磁シールド部材50の縁部を、カバー用固定プレート68の一方の長辺に沿うこととなる第1位置決めピンP1に突き当てて位置決めすることができる。
【0059】
次に、固定部63に載置された電磁シールド部材50の上にカバー用固定プレート68を重ね合せる。このとき、複数の第1位置決めピンP1が、カバー用固定プレート68の第1位置決め凹部68hに挿入される。これにより、固定部63及びカバー用固定プレート68の面が広がる方向において、カバー用固定プレート68がカバー本体62に対して位置決めされる。
【0060】
なお、カバー用固定プレート68の一方の長辺に沿うこととなる第1位置決めピンP1と第1位置決め凹部68hの奥側部分との間には隙間が存在する。この隙間を通じて電磁シールド部材50の端縁の有無を観察することで、電磁シールド部材50が当該第1位置決めピンP1に接触する所定の位置に配置されているかどうかを確認することができる。
【0061】
この状態で、上記プレス加工が実施されることで、カバー本体62とカバー用固定プレート68との間に電磁シールド部材50の一端部が挟持され、もって、電磁シールド部材50の一端部が電磁シールドカバー60に固定される。
【0062】
<導電性ブラケットについて>
図6は導電性ブラケット70と電磁シールドカバー60との固定箇所を接地対象箇所の一例である機器B3側から見た図である。
図7は当該固定箇所を機器B3とは反対側から見た図である。
【0063】
導電性ブラケット70は、電磁シールド部材50の他端部に固定される部材である。この導電性ブラケット70に、当該導電性ブラケット70の厚み方向に突出する補強リブ部75、77が形成される。この補強リブ部75、77によって、導電性ブラケット70の厚み方向の変形が抑制され、例えば、導電性ブラケット70の固定箇所を中心とした振動が低減される。
【0064】
本実施形態では、導電性ブラケット70は、ブラケット本体72と、ブラケット用固定プレート78とを含む。ブラケット本体72と、ブラケット用固定プレート78とは、金属板をプレス加工等することによって形成された部材である。
【0065】
ブラケット本体72は、機器B3に固定される部分である。ブラケット用固定プレート78は、ブラケット本体72に重ね合わされた状態で当該ブラケット本体72に固定される。そして、電磁シールド部材50の他端部がブラケット本体72とブラケット用固定プレート78とに挟持されることで、電磁シールド部材50の他端部が導電性ブラケット70に固定される。
【0066】
より具体的には、ブラケット本体72は、ブラケット用固定プレート78が重ね合わされる固定部73を含む。固定部73は、一方向に長い長方形状に形成されている。ブラケット用固定プレート78は、一方向に長い長方形状に形成されている。ブラケット用固定プレート78は、上記カバー用固定プレート68と同一形状であってもよい。
【0067】
ブラケット用固定プレート78をブラケット本体72に重ね合せた状態に固定するための構成は、上記カバー用固定プレート68をカバー本体62に固定する構成と同じであってもよい。
【0068】
すなわち、ブラケット本体72における固定部73とブラケット用固定プレート78との間に電磁シールド部材50の他端部を挟み込んだ状態で、ブラケット用固定プレート78とブラケット本体72をプレス加工する。この際、一方側のプレス型として部分的な凸部が形成されたものを用い、他方側のプレス型として凸部と対向する位置に凹部が形成されたものを用いる。一対のプレス型によって、ブラケット本体72とブラケット用固定プレート78とをプレスすることによって、ブラケット本体72とブラケット用固定プレート78との間において、ブラケット本体72とブラケット用固定プレート78との一方に形成された凸部が他方の凹部に嵌り込んで、ブラケット本体72とブラケット用固定プレート78とが重なり合った状態で固定される。
【0069】
外部から見てプレス痕として形成される凹部79の向きは、特に限定されないが、導電性ブラケット70の固定対象である機器B3側に開口していることが好ましい。本実施形態では、ブラケット本体72に対してブラケット用固定プレート78が機器B3側に位置しているため、ブラケット用固定プレート78側に凹部79が形成されていることが好ましい。本実施形態では、ブラケット用固定プレート78の長さ方向において間隔をあけて複数箇所に上記プレス痕が形成されているが、当該プレス箇所の数は任意である。
【0070】
上記プレス痕である凹部79は、重力方向に直交する水平方向よりも下を向くように開口していることが好ましい。
【0071】
また、導電性ブラケット70は、ブラケット固定部74と、保護用延出部76とを含む。
【0072】
ブラケット固定部74は、電磁シールド部材50が固定された固定部73から接地対象箇所である機器B3に向けて延出している。ブラケット固定部74は、固定部73から電磁シールド部材50が延出する方向とは異なる方向に延出しており、本実施形態では、電磁シールド部材50が延出する方向とは逆側に延出している。
【0073】
ブラケット固定部74は、固定部73のうち電磁シールド部材50が延出する側とは反対側の長辺の一部から延出している。このため、ブラケット固定部74は、固定部73の長さ方向(電磁シールド部材50の幅方向)において、当該固定部73の寸法よりも小さい寸法に形成された部分を含む。例えば、ブラケット固定部74は、固定部73のうち一方の長辺の中間部から外方に延出する。ブラケット固定部74の形状は特に限定されず、例えば、台形状に形成されていてもよいし、三角形状に形成されていてもよいし、方形状に形成されていてもよいし、先端部が丸い帯状に形成されていてもよい。本実施形態は、ブラケット固定部74が台形状に形成されている例が示される。
【0074】
例えば、ブラケット固定部74にネジ止の孔74hが形成されている。ネジが本孔74hに挿通されて機器B3に設けられたネジ穴に螺合締結されることで、ブラケット固定部74が機器B3に固定される。
【0075】
ブラケット固定部74は、固定部73に対して部分的な位置から外方に延出する。このため、ブラケット固定部74は、固定部73よりも厚み方向に変形し易い。本実施形態において、補強リブ部75、77は、ブラケット固定部74に形成された固定部用補強リブ部75を含む。
【0076】
ここでは、ブラケット固定部74の一対の斜辺に対応する縁が、機器B3に接する側とは反対側に曲げられることで、固定部用補強リブ部75が形成されている。ブラケット固定部74の一対の斜辺のうちの一方のみに固定部用補強リブ部75が形成されてもよい。このように、ブラケット固定部74の縁に形成される固定部用補強リブ部に代えて又は加えて、ブラケット固定部74の縁よりも内側に固定部用補強リブ部が形成されてもよい。このような固定部用補強リブ部は、例えば、ブラケット固定部74のうち縁よりも内側の細長い領域部分を、一方面側から見て凸、他方面側から見て凹となるようにプレス加工等することによって形成され得る。
【0077】
導電性ブラケット70における振動は、機器B3に対するブラケット固定部74の固定箇所を中心として、固定部73寄りの重心が揺れ動くことによって生じ得る。このため、ブラケット固定部74における固定部用補強リブ部75は、固定部73の長手方向に沿って見て、ブラケット固定部74の固定箇所(つまり、孔74hが形成された箇所)から固定部73に至る範囲の少なくとも一部、好ましくは、全体に存在していることが好ましい。
【0078】
保護用延出部76は、ブラケット本体72とブラケット用固定プレート78との重ね合せ領域から電磁シールド部材50が延出する方向に延出している。本実施形態では、保護用延出部76は、ブラケット本体72から延出している。その理由は、ブラケット用固定プレート78に対してブラケット本体72側に、電磁シールド部材50に対して接触する可能性がある周辺機器B4が存在しているからである。本例とは異なり、ブラケット本体72に対してブラケット用固定プレート78側に、電磁シールド部材50に対して接触する可能性がある周辺機器が存在する場合には、ブラケット用固定プレート78から保護用延出部が延出してもよい。例えば、ブラケット本体72に対して機器B3とは反対側にブラケット用固定プレート78が重ね合わされる場合が該当する。
【0079】
保護用延出部76は、ブラケット本体72とブラケット用固定プレート78との重ね合せ領域の幅(固定部73又はブラケット用固定プレート78の長さ方向の寸法)よりも小さい幅に設定される。
【0080】
より具体的には、保護用延出部76は、固定部73のうち電磁シールド部材50が延出する側の長辺の一部から電磁シールド部材50に被さるように延出している。保護用延出部76の形状は任意であり、台形状、方形状、三角形状等に形成されてもよい。保護用延出部76が形成される領域及び形状は、電磁シールド部材50に対する周辺機器B4の位置に合せて、周辺機器B4と電磁シールド部材50との間に介在し両者の接触を回避し得るような領域に設定されるとよい。本実施形態では、例えば、電磁シールド部材50の他端部の一側寄りに周辺機器B4が配置されることを想定して、保護用延出部76は、固定部73のうち電磁シールド部材50が延出する側の長辺の一端部寄りの一部から延出している。また、保護用延出部76の先端側の縁と、固定部73の長辺の残りの部分とは、斜辺を介して連なっている。当該斜辺は、保護用延出部76の先端側の縁と、固定部73の長辺の残りの部分とに対して鈍角をなして連なっている。
【0081】
補強リブ部75、77は、保護用延出部76に形成された延出部用補強リブ部77を含む。ここでは、保護用延出部76のうちの先端側の縁と上記斜辺に該当する固定部73の長さ方向内向きの縁とが、電磁シールド部材50とは反対側に曲げられることで、延出部用補強リブ部77が形成されている。保護用延出部76のうち固定部73の長さ方向外向きの縁に延出部用補強リブ部が形成されてもよい。また、保護用延出部76の縁に形成される固定部用補強リブ部に代えて又は加えて、保護用延出部76の縁よりも内側に延出部用補強リブ部が形成されてもよい。このような延出部用補強リブ部は、例えば、保護用延出部76のうち縁よりも内側の細長い領域部分を、一方面側から見て凸、他方面側から見て凹となるようにプレス加工等することによって形成され得る。
【0082】
固定部73のうち電磁シールド部材50が延出する側の縁も、上記延出部用補強リブ部77と同様に、電磁シールド部材50とは反対側に曲げられて追加リブ部73Pに形成されている。延出部用補強リブ部77は、追加リブ部73Pに連なっている。延出部用補強リブ部77及び追加リブ部73Pが曲面をなすように曲げられることで、ブラケット本体72が、電磁シールド部材50に対して曲面で接触することができる。
【0083】
保護用延出部76における延出部用補強リブ部77は、固定部74から保護用延出部76の先端部に至る範囲の一部又は全体に存在していることが好ましい。これにより、保護用延出部76が厚み方向に振動することが抑制される。
【0084】
なお、保護用延出部76には、孔76hが形成されてもよい。
図7においては、楕円状の孔76hが仮想線で示される。孔76hは、機器B4の位置、形状、電磁シールド部材50に対する位置関係を考慮し、機器B4と電磁シールド部材50との接触を回避し範囲で、種々形状に設定されてもよい。孔76hの大きさは、当該孔76hから柔軟な電磁シールド部材50が飛出難い範囲で設定されてもよい。孔が上記形状であることは必須ではなく、また、孔の個数も任意である。例えば、保護用延出部76には、複数の丸い孔が間隔をあけて縦横に間隔をあけて並ぶように形成されていてもよい。この孔によって、保護用延出部76の軽量化が図られる。
【0085】
なお、保護用延出部76が形成されることは必須ではない。また、保護用延出部76が形成される場合において、延出部用補強リブ部77が形成されることは必須ではない。
【0086】
ブラケット本体72に対してブラケット用固定プレート78及び電磁シールド部材50の他端部を位置精度よく位置決めするため、上記電磁シールドカバー60と同様に、第2位置決め孔73h及び第2位置決め凹部78hが形成されてもよい。
【0087】
すなわち、ブラケット本体72のうち固定部73の周縁に、第2位置決め孔73hが形成される。第2位置決め孔73hは、上記第1位置決め孔63hに対応する。第2位置決め孔73hは、例えば、ブラケット用固定プレート78が配置される境界に沿って複数設けられている。例えば、複数の第2位置決め孔73hは、固定部73に重ね合わされるブラケット用固定プレート78の一方の長辺(電磁シールド部材50が延出する側とは反対側の長辺)に沿って間隔をあけて複数形成される。また、第2位置決め孔73hは、固定部73の両方の短辺側の縁にも形成される。なお、固定部73の両方の短辺側の縁に形成される第2位置決め孔73hは、固定部73の厚み方向に突抜けてはいるが、周囲は囲まれず、固定部73の短辺から外側に開口する形状に形成される。
【0088】
ブラケット用固定プレート78の外周縁に第2位置決め凹部78hが形成される。第2位置決め凹部78hは、ブラケット用固定プレート78とカバー用固定プレート68とが同形状であるとして、第1位置決め凹部68hと同じ位置及び形状に形成されてもよい。
【0089】
複数の第2位置決め凹部78hと複数の第2位置決め孔73hとの対応関係は、複数の第1位置決め凹部68hに対する複数の第1位置決め孔63hの対応関係と同様である。
【0090】
ブラケット本体72の固定部73にブラケット用固定プレート78をプレス加工等によって固定する際には、上記と同様に、複数の第2位置決めピンP2が、複数の第2位置決め孔73h、複数の第2位置決め凹部78hに挿入される。これにより、ブラケット本体72に対するブラケット用固定プレート78に対する位置決め、さらに、電磁シールド部材50の他端部の位置決めがなされる。
【0091】
<効果等>
このように構成されたコネクタユニット10によると、電磁シールド部材50の一端部がカバー本体62とカバー用固定プレート68とに挟まれて固定される。これにより、電磁シールドカバー60に開口を設けなくても、電磁シールド部材50を電磁シールドカバー60に固定することが可能となる。これにより、電磁シールドカバー60が第1コネクタ20を覆う範囲が大きくなり、電磁シールドカバー60による電磁シールド効果が高められる。また、導電性ブラケット70が第2コネクタ30から分離した状態で、接地対象箇所である機器B3に固定されて接地される。この際、導電性ブラケット70には、補強リブ部75、77が形成されているため、導電性ブラケット70の厚み方向の振動が抑制され、導電性ブラケット70が機器B3に安定して接触した状態で固定される。これにより、電磁シールド部材50が安定して接地され、電磁シールド部材50による電磁シールド効果も高められる。結果、コネクタユニット10における電磁シールド効果が高められる。
【0092】
また、プレス痕である凹部69が電磁シールドカバー60に対して第1機器B1側に開口している。このため、凹部69が電磁シールドカバー60と第1機器B1とで囲まれた空間に配置され、水が凹部69に水が溜り難くなり、防食性が向上する。
【0093】
また、プレス痕である凹部79が導電性ブラケット70に対して機器B3側に開口している。このため、凹部79が導電性ブラケット70と機器B3とで囲まれた空間に配置され、水が凹部79に水が溜り難くなり、防食性が向上する。
【0094】
上記凹部69、79が水平方向よりも下を向いていれば、凹部69、79に水が侵入したとしても、水は重力によって外に排出され易い。これにより、防食性がより向上する。
【0095】
また、第2コネクタ30は、複数の第2端子32と、複数の第2端子32を保持する樹脂製のハウジングとしての第2保持部材34とを含む。つまり、電磁シールド部材50の他端の導電性ブラケット70は、第2コネクタ30とは分離した状態で機器B3に固定されるため、第1コネクタ20のように、ベース部材25と、樹脂部26との組合せ構成とし、ベース部材25を介して接地するような構成を採用しなくてもよい。これにより、第2コネクタ30の多くの部分を樹脂成形品とすることが可能となり、第2コネクタ30の低コスト化が可能となる。
【0096】
また、電磁シールド部材50は、複数の電線40の一方側を覆うため、複数の電線40の周り全体を覆う場合と比較して、電磁シールド部材50の使用量を減らすことができる。これにより、軽量化及び低コスト化が可能となる。なお、この場合、電磁シールド部材50は、複数の電線40と他の機器B4等との関係で、複数の電線40に対してノイズ対策が必要となる一方側(例えば、機器B4が配置される側)にのみ配置される構成とすればよい。
【0097】
また、ブラケット固定部74に固定部用補強リブ部75が形成されているため、機器B3に対するブラケット固定部74の固定箇所を中心として導電性ブラケット70が厚み方向に振動することが抑制される。
【0098】
特に、ブラケット固定部74を固定部73と幅狭とすることで軽量化を図りつつ、固定部用補強リブ部75によって振動対策を行うことができる。
【0099】
また、保護用延出部76によって、機器B4等から電磁シールド部材50を保護することができる。
【0100】
また、保護用延出部76を、ブラケット本体72とブラケット用固定プレート78との重ね合せ領域よりも幅狭とすることで、軽量化を図りつつ、電磁シールド部材50を要所で保護することができる。保護用延出部76が軽量化されることから、導電性ブラケット70の固定箇所から離れた部分を軽量化することが可能となり、導電性ブラケット70の振動がより抑制される。
【0101】
また、この保護用延出部76に延出部用補強リブ部77が形成されることで、保護用延出部76がその厚み方向に振動することが抑制される。
【0102】
さらに、保護用延出部76に孔76hが形成されることで、保護用延出部76を保護のために必要な領域に広げつつ軽量化することが可能となる。また、保護用延出部76の軽量化により、導電性ブラケット70の振動もより抑制される。
【0103】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0104】
10 コネクタユニット
20 第1コネクタ
22 第1端子
24 第1保持部材
25 ベース部材
26 樹脂部
26h 開口部
30 第2コネクタ
32 第2端子
34 第2保持部材
34h 開口部
36 端子台
40 電線
50 電磁シールド部材
60 電磁シールドカバー
62 カバー本体
62a 覆い部分
62b 固定片
63 固定部
63h 第1位置決め孔
68 カバー用固定プレート
68h 第1位置決め凹部
69 凹部
70 導電性ブラケット
72 ブラケット本体
73 固定部
73P 追加リブ部
73h 第2位置決め孔
74 ブラケット固定部
74h 孔
75 補強リブ部(固定部用補強リブ部)
76 保護用延出部
76h 孔
77 補強リブ部(延出部用補強リブ部)
78 ブラケット用固定プレート
78h 第2位置決め凹部
79 凹部
B1 第1機器
B2 第2機器
B3 機器(接地対象機器)
B4 機器(周辺機器)
P1 第1位置決めピン
P2 第2位置決めピン