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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174201
(43)【公開日】2024-12-13
(54)【発明の名称】エルボ及び雨樋システム
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/08 20060101AFI20241206BHJP
【FI】
E04D13/08 301E
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024173814
(22)【出願日】2024-10-02
(62)【分割の表示】P 2020158697の分割
【原出願日】2020-09-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】元 隆明
(57)【要約】
【課題】呼び樋から流入した排水を、竪樋に効率よく流下させるエルボ及び雨樋システムを提供することを目的とする。
【解決手段】第1エルボ10は、第1の受け口11と、第2の受け口13と、第1の受け口11と第2の受け口13とを接続する直管部12と、を備え、第1の受け口11の軸線と直管部12の軸線が交差し、直管部12の軸線と第2の受け口13の軸線とが交差している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の受け口と、
第2の受け口と、
前記第1の受け口と前記第2の受け口とを接続する直管部と、
を備え、
前記第1の受け口の軸線と前記直管部の軸線が交差し、前記直管部の軸線と前記第2の受け口の軸線とが交差している、
エルボ。
【請求項2】
前記第1の受け口の軸線、前記直管部の軸線、および、前記第2の受け口の軸線が同一の平面上に位置している、
請求項1に記載のエルボ。
【請求項3】
前記第1の受け口の軸線と、前記第2の受け口の軸線と、が直交している、
請求項2に記載のエルボ。
【請求項4】
前記平面を正面から見た正面視における前記エルボの内周側において、前記直管部は、前記第1の受け口と前記第2の受け口とが直結されることで形成されている、
請求項2または3に記載のエルボ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のエルボを用いた雨樋システムであって、
呼び樋と、
前記呼び樋の下流側の端に前記第1の受け口が接続される前記エルボと、
前記エルボの前記第2の受け口に接続される竪樋と、
を備え、
前記呼び樋を流れる雨水は前記エルボを介して前記竪樋へ排水される、
雨樋システム。
【請求項6】
前記直管部の流路断面積が、前記呼び樋の流路断面積及び前記竪樋の流路断面積よりも小さい、
請求項5に記載の雨樋システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エルボ及び雨樋システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築物には、屋根から流れ落ちる雨水を受け止め、地上へと流し込むための雨樋が設けられる。雨樋は、軒樋、集水器、呼び樋、竪樋、連結管、エルボ継手、チーズ継手(以下、それぞれの継ぎ手を単に、エルボやチーズという)等の部材が複数組み合わされて構成される。近年、雨樋の排水能力を高めるために、竪樋の内部を満水状態にすることによって、水の吸引作用(所謂、サイフォン現象)を発生させ、排水量を飛躍的に増大させるサイフォン雨樋システムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019‐120068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
雨樋システムにおいて雨水を縦引きから横引きにする部分(又は、雨水を横引きから縦引きにする部分)には、各種の樋や連結部材同士を接続するための継手としてエルボが用いられる。従来規格化されているエルボとしては、例えば90°曲がりエルボ(所謂、DL)、がある。
【0005】
曲がりエルボ内を排水が流れるとき、サイフォン現象発生には至らない量の排水、すなわち、管径に対して少量あるいは中量の排水の場合は、排水は重力に従い呼び樋の底面付近を流れる。その排水が曲がりエルボを介して竪樋に流入するとき、排水は慣性に従い曲がりエルボの曲がりの外側及び曲がりエルボに接続された竪樋における曲がりの外側の内壁に衝突する。そして、排水は、そのまま竪樋における曲がりの外側の内壁を伝って流下する。
【0006】
雨樋内にてサイフォン現象が発生する量の排水、すなわち、管径に対して大量の排水が流れるとき、排水は呼び樋の底面付近を流速を速めながら流れる。しかしながら、従来の曲がりエルボは、曲がりの外側が円弧状になっている。よって、例えば、呼び樋から勢いよく流入した排水が曲がりエルボの曲がりの外側の内壁に衝突したとき、排水はエルボの曲がりの内側及び曲がりエルボに接続された竪樋における曲がりの内側の内壁に反射するように流れる。曲がりの内側に衝突した排水は、再びエルボの曲がりの外側及び曲がりエルボに接続された竪樋における曲がりの外側の内壁に反射する。このような動きを繰り返しながら竪樋を流れていくために、管路内の流れが乱れ、効率よく排水されない。
【0007】
その結果、呼び樋内を勢いよく流れる排水が竪樋内で流れ切らず、竪樋から呼び樋に向けて逆流が発生する。そして、逆流した排水が軒樋から溢れるといった問題が発生する。
【0008】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、呼び樋から流入した排水を、竪樋に効率よく流下させるエルボ及び雨樋システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るエルボは、第1の受け口と、第2の受け口と、前記上第1の受け口と前記第2の受け口とを接続する直管部と、を備え、前記第1の受け口の軸線と前記直管部の軸線が交差し、前記直管部の軸線と前記第2の受け口の軸線とが交差している。
【0010】
この発明によれば、第1の受け口の軸線と直管部の軸線が交差し、直管部の軸線と第2の受け口の軸線とが交差している。
このことから、エルボの直管部によって第1の受け口から第2の受け口に向けて排水の流れの方向を変えることができる。更に、流れの方向を曲げる部位が直管形状であり、円弧状の形状を有さない。このような形状にすることにより、第1の受け口からの排水が直管部に衝突した時、第1の受け口から第2の受け口に向けて直接排水の流れ方向が転換される。更に、円弧状の形状を有さないことによって、円弧状の形状を有している場合と比較して直管部内が排水で満たされやすくなる。これにより、より排水管内でサイフォン現象が発生しやすくなる。これらのことによって、より排水を効率よく下流側に送ることができる。
【0011】
また、前記第1の受け口の軸線、前記直管部の軸線、および、前記第2の受け口の軸が同一の平面上に位置していてもよい。
【0012】
この発明によれば、第1の受け口の軸線、直管部の軸線、および、第2の受け口の軸線が同一の平面上に位置している。このことによって、直管部の長さを必要最小限に抑えることができる。そのため、排水が流れる経路が短くなり、より効率的に排水することができる。さらに、エルボが小型になることによりデザイン性に優れたエルボを提供することができる。
【0013】
また、前記第1の受け口の軸線と、前記第2の受け口の軸線と、が直交していてもよい。
【0014】
この発明によれば、第1の受け口の軸線と、第2の受け口の軸線と、が直交している。このような形状にすることにより、第1の受け口に流入した排水の流れを第2の受け口にかけて90°曲げることができる。よって、例えば、呼び樋を流れる排水を竪樋に流下させる際、呼び樋に勾配を持たせる必要がなくなる。このため、呼び樋を建物に対して水平に設置することができ、見栄えを向上することができる。
【0015】
また、前記平面を正面から見た正面視における前記エルボの内周側において、前記直管部は、前記第1の受け口と前記第2の受け口とが直結されることで形成されていてもよい。
【0016】
この発明によれば、直管部は、第1の受け口と第2の受け口とが直結されることで形成されている。すなわち、直管部の長さが最小限となっている。
このような形状とすることによって、第1の受け口を介して直管部に流入した排水が、直管部の内壁に衝突した時、第2の受け口に向けて直接反射されるように流下する。このため、排水管内で排水の流れ方向が乱れることなく、より効率的に排水することができる。更に、より小型のエルボを提供することができ、見栄えを向上することができる。
【0017】
また、前記呼び樋と、前記呼び樋の下流側の端に前記第1の受け口が接続される前記エルボと、前記エルボの前記第2の受け口に接続される竪樋と、を備え、前記呼び樋を流れる雨水は前記エルボを介して前記竪樋へ排水される、雨樋システムとしてもよい。
【0018】
この発明によれば、呼び樋と、呼び樋の下流側の端に第1の受け口が接続されるエルボと、エルボの第2の受け口に接続される竪樋と、を備えている。
つまり、呼び樋と竪樋との間に、排水性能を向上する効果を持つエルボを備えている。このことから、竪樋への流入性及び排水性を向上することができる。よって、竪樋の内部が排水で満たされやすくなる。すなわち、竪樋内の充水率を向上することができる。そのため、例えば、竪樋内でサイフォン現象が発生しやすくなる。よって、大量に排水することが出来る。すなわち、竪樋及び呼び樋の管径を太くする必要がなくなる。このことから、経済性及び施工性に優れた雨樋システムを提供することができる。
【0019】
また、前記直管部の流路断面積が、前記呼び樋の流路断面積及び前記竪樋の流路断面積よりも小さくなっていてもよい。
【0020】
この発明によれば、直管部の流路断面積が、呼び樋の流路断面積及び竪樋の流路断面積よりも小さい。これにより、呼び樋から流下した排水をエルボの直管部によって竪樋に向けて方向転換する際に、直管部内が排水で満たされやすくなる。すなわち、より排水管内でサイフォン現象が発生しやすくなる。これらのことによって、より排水を効率よく下流側に送ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、呼び樋から流入した排水を、竪樋に効率よく流下させるエルボ及び雨樋システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る雨樋システムの側面図である。
図2】同システムにおけるエルボの平面図である。
図3図2に示すエルボの斜視図である。
図4図2に示すエルボの側面図である。
図5図4に示すエルボの断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る雨樋システム内の排水の流れを示す断面図である。
図7】同システムにおけるエルボが円弧状の形状を有していた場合の排水の流れを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る雨水排水装置及びエルボを説明する。 図1に示すように、建造物等に設置される雨樋システム100は、第1エルボ(エルボ)10と、呼び樋20と、竪樋30と、軒樋40と、排水部材50と、第2エルボ60と、を備えている。
軒樋40に流入した雨水(排水)90(後述する)は、第2エルボ60、呼び樋20、第1エルボ10、竪樋30の中空間を流下する。竪樋30を流下した雨水90は、不図示の排水施設に排水される。
【0024】
呼び樋20は、軒樋40から第2エルボ60を介して流下した雨水90を水平方向に運搬する。呼び樋20に流下した雨水90は竪樋30に向けて運搬される。竪樋30は雨樋システムの設置される建物のレイアウト等の要件によって、やむを得ず軒樋40から離れた位置に備えられることがある。このような場合に、呼び樋20は、軒樋40と竪樋30との間を接続する。このことによって、呼び樋20に集約された雨水90(後述する)を竪樋30まで運搬する。このため、呼び樋20は、軒樋40付近の高さ、すなわち建物の屋根付近の高さに設置される。なお、本実施形態において、呼び樋20は中空の円柱形状を有する。
【0025】
竪樋30は、第1エルボ10を介して呼び樋20から流下した雨水90を、地上付近の排水施設へ運搬する。すなわち、竪樋30は建物に垂直に設置される。本実施形態では、竪樋30は呼び樋20と同様に中空の円柱形状を有する。更に、竪樋30と呼び樋20との内径及び外径は等しい。
【0026】
軒樋40は、建物の屋根の縁に設けられている。軒樋40は、建物の屋根に降った雨水90を集約する。軒樋40によって集約された雨水90は、第2エルボ60を介して呼び樋20へ流下する。
【0027】
排水部材50は、軒樋40と第2エルボ60との間に設置される。排水部材50は、軒樋40に大量の雨水90が集約された時、第2エルボ60以下の配管内にてサイフォン現象を発生させる。これにより、第2エルボ60以下の配管内を雨水90で満たす。よって、排水効率を向上させる。よって、豪雨時等に軒樋40から雨水90が溢れることを防ぐ。
【0028】
第2エルボ60は、軒樋40から流下した雨水90を呼び樋20に運搬する。第2エルボ60は、軒樋40に備えられた穴の直下に設置される。本実施形態では、第2エルボ60は、直上の軒樋40から流下した雨水90を水平方向に設置された呼び樋20に運搬する。そのため、第2エルボ60の曲げ角度は90°である。
【0029】
第1エルボ10は、図6に示すように、呼び樋20と竪樋30との間に、例えば、竪樋30内でサイフォン現象が発生しやすくなるように備えられる。第1エルボ10は、呼び樋20から流下した雨水90を竪樋30に運搬する。本実施形態では、第1エルボ10は、水平に設置された呼び樋20と、垂直に設置された竪樋30との間に備えられる。すなわち、第1エルボ10の曲げ角度は90°である。
【0030】
図2から図4に示すように、第1エルボ10は、第1の受け口11と、直管部12と、第2の受け口13と、を有する。ここで、第1の受け口11の軸線と直管部12の軸線が交差し、直管部12の軸線と第2の受け口13の軸線とが交差している。また、第1の受け口11の軸線、直管部12の軸線、および第2の受け口13の軸線が同一の平面上に位置している。更に、第1の受け口11の軸線と、第2の受け口13の軸線とは直交している。
また、図5に示すように、第1の受け口における直管部12側の端部には、第1の底部11aを有する。また、第2の受け口13における直管部12側の端部には、第2の底部13aを有する。
【0031】
図6に示すように、第1の受け口11には、呼び樋20の下流側の端が接続される。その際、呼び樋20の端部が、第1の底部11aに突き当たるまで挿入される。
また、第2の受け口13には、竪樋30の上流側の端が接続される。その際、竪樋30の端部が、第2の底部13aに突き当たるまで挿入される。
【0032】
また、上述の通り、呼び樋20と竪樋30との内径及び外径は等しい。また、直管部12の両端部、すなわち第1の底部11a及び第2の底部13aの内径は、それぞれ呼び樋20及び竪樋30の内径と等しい。
すなわち、第1の受け口11の内径は、呼び樋20の外径と等しい。また、第2の受け口13の内径は、竪樋30の外径と等しい。
図5に示すように、直管部12は、第1の受け口11と第2の受け口13とを接続する。また、上述の平面(各軸線が位置する平面)を正面から見た正面視における第1エルボ10の内周側において、直管部12は、第1の受け口11と第2の受け口13とが直結されることで形成されている。すなわち、直管部12の長さが最小限となっている。
【0033】
また、図5に示すように、直管部12中央部の内径12aは、第1の底部11a及び第2の底部13aの内径よりも小さくなる。すなわち、直管部12中央部の流路断面積は、呼び樋20及び竪樋30の内径よりも小さい。なお、ここでの流路断面積とは、呼び樋20、竪樋30および直管部12それぞれにおいて、軸線に直交する断面の面積をいう。
【0034】
第1エルボ10の材質は、硬質塩化ビニル樹脂やポリカーボネート、ABS、AES等の合成樹脂が好適に用いられる。また、第1エルボ10の成型方法は、射出成型が好適に用いられる。
【0035】
つぎに、呼び樋20に流下した雨水の流れについて、図6を用いて説明する。
まず、呼び樋20内を雨水90が流れるとき、サイフォン現象発生には至らない量の雨水90、すなわち、呼び樋20の内径に対して少量あるいは中量の場合は、雨水90は重力に従い呼び樋20の底面付近を流れる。雨水90が第1エルボ10を介して竪樋30に流入するとき、雨水90は慣性に従い第1エルボ10の曲がりの外側及び第1エルボ10に接続された竪樋30における曲がりの外側の内壁に衝突する。そして、雨水90は、そのまま竪樋30における曲がりの外側の内壁を伝って流下する。
【0036】
呼び樋20内にてサイフォン現象が発生する量の雨水90、すなわち、呼び樋20の内径に対して大量の雨水90が流れるとき、雨水90は呼び樋20の底面付近を流速を速めながら流れる。この雨水90が第1エルボ10内に勢いよく流れ込むと、雨水90は直管部12の曲がりの外側の内壁に衝突する。そして、雨水90は竪樋30に向けて直接反射されるように流れる。
【0037】
ここで、図7に示すように、例えば、呼び樋20と竪樋30とを第2エルボ60によって接続すると、第1エルボ10の直管部12相当の部位は円弧状となる。呼び樋20から流入した雨水90が第2エルボ60の円弧状の部位の内壁に衝突したとき、雨水90は第2エルボ60の曲がりの内側及び第2エルボ60に接続された竪樋30における曲がり内側の内壁に反射するように流れる。曲がりの内側に衝突した雨水90は、再び第2エルボ60の円弧状の部位の内壁側及び第2エルボ60に接続された竪樋30における曲がりの外側の内壁に反射する。このような動きを繰り返しながら竪樋30に流れていくために、竪樋30内の流れが乱れる。すなわち、効率よく雨水90が排水されない。
【0038】
図6に示すように、第1エルボ10は、第1の受け口11と第2の受け口13とを直管部12により接続する。このことで、呼び樋20から流入した雨水90が直管部12の内壁に衝突した時、雨水90は竪樋30の方向へ直接反射されるように流れる。このことによって、竪樋30内の流れを乱さず、雨水90を効率よく排水する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る第1エルボ10によれば、第1の受け口11の軸線と直管部12の軸線が交差し、直管部12の軸線と第2の受け口13の軸線とが交差している。
このことから、第1エルボ10の直管部12によって第1の受け口11から第2の受け口13に向けて雨水90の流れの方向を変えることができる。更に、流れの方向を曲げる部位が直管形状であり、円弧状の形状を有さない。このような形状にすることにより、第1の受け口11からの雨水90が直管部12に衝突した時、第1の受け口11から第2の受け口13に向けて直接雨水90の流れ方向が転換される。更に、円弧状の形状を有さないことによって、円弧状の形状を有している場合と比較して直管部12内が雨水90で満たされやすくなる。これにより、より排水管内でサイフォン現象が発生しやすくなる。これらのことによって、より雨水90を効率よく下流側に送ることができる。
【0040】
また、第1の受け口11の軸線、直管部12の軸線、および、第2の受け口13の軸線が同一の平面上に位置している。このことによって、直管部12の長さを必要最小限に抑えることができる。そのため、雨水90が流れる経路が短くなり、より効率的に排水することができる。さらに、第1エルボ10が小型になることによりデザイン性に優れた第1エルボ10を提供することができる。
【0041】
また、第1の受け口11の軸線と、第2の受け口13の軸線と、が直交している。このような形状にすることにより、第1の受け口11に流入した雨水90の流れを第2の受け口13にかけて90°曲げることができる。よって、例えば、呼び樋20を流れる雨水90を竪樋30に流下させる際、呼び樋20に勾配を持たせる必要がなくなる。このため、呼び樋20を建物に対して水平に設置することができ、見栄えを向上することができる。
【0042】
また、直管部12は、第1の受け口11と第2の受け口13とが直結されることで形成されている。すなわち、直管部12の長さが最小限となっている。
このような形状とすることによって、第1の受け口11を介して直管部12に流入した雨水90が、直管部12の内壁に衝突した時、第2の受け口13に向けて直接反射されるように流下する。このため、排水管内で雨水90の流れ方向が乱れることなく、より効率的に排水することができる。更に、より小型の第1エルボ10を提供することができ、見栄えを向上することができる。
【0043】
また、呼び樋20と、呼び樋20の下流側の端に第1の受け口11が接続される第1エルボ10と、第1エルボ10の第2の受け口13に接続される竪樋30と、を備えている。
つまり、呼び樋20と竪樋30との間に、排水性能を向上する効果を持つ第1エルボ10を備えている。このことから、竪樋30への流入性及び排水性を向上することができる。よって、竪樋30の内部が雨水90で満たされやすくなる。すなわち、竪樋30内の充水率を向上することができる。そのため、例えば、竪樋30内でサイフォン現象が発生しやすくなる。よって、大量に排水することが出来る。すなわち、竪樋30及び呼び樋20の管径を太くする必要がなくなる。このことから、経済性及び施工性に優れた雨樋システム100を提供することができる。
【0044】
また、直管部12の流路断面積が、呼び樋20の流路断面積及び竪樋30の流路断面積よりも小さい。これにより、呼び樋20から流下した雨水90を第1エルボ10の直管部12によって竪樋30に向けて方向転換する際に、直管部12内が雨水90で満たされやすくなる。すなわち、より排水管内でサイフォン現象が発生しやすくなる。これらのことによって、より排水を効率よく下流側に送ることができる。
【0045】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0046】
例えば、第1の受け口11の軸線と、直管部12の軸線と、第2の受け口13との軸線は、同一の平面上に位置していなくてもよい。
【0047】
また、第1の受け口11の軸線と、第2の受け口13の軸線とは、直交していなくてもよい。
【0048】
また、第1の受け口11と第2の受け口13は、直結していなくてもよい。
【0049】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 第1エルボ
11 第1の受け口
12 直管部
13 第2の受け口
20 呼び樋
30 竪樋
90 雨水(排水)
100 雨樋システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7